(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】ポリマー粘度調整剤を含む高温粘弾性界面活性剤(VES)流体
(51)【国際特許分類】
C09K 8/68 20060101AFI20220216BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20220216BHJP
E21B 43/267 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C09K8/68
C09K3/00 103H
E21B43/267
(21)【出願番号】P 2018559240
(86)(22)【出願日】2017-05-05
(86)【国際出願番号】 US2017031201
(87)【国際公開番号】W WO2017196648
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-05-01
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】リ,ライミン
(72)【発明者】
【氏名】オッデン,セームス
(72)【発明者】
【氏名】アル-ムンタシェリ,ガイタン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,フェン
(72)【発明者】
【氏名】レディ,ビー ラガバ
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0004464(US,A1)
【文献】米国特許第04930575(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102690643(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102690644(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102703049(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0111716(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0076572(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 8/00-8/94
C09K 3/00
E21B 43/267
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下層用粘弾性流体であって、
式(I)による粘弾性界面活性剤と、
【化1】
(式中、R
1は、17~29個の炭素原子の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐アルキルまたはヒドロキシアルキル基から選択され、R
4は、H、ヒドロキシル、1~4個の炭素原子のアルキル、またはヒドロキシアルキル基から選択され、kは、2~20の整数であり、mは、1~20の整数であり、nは、0~20の整数である)
ブライン溶液と、
250,000g/mol~40,000,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する少なくとも1つのポリアクリルアミド粘度調整剤と、を含む、地下層用粘弾性流体であって、前記粘弾性流体は、少なくとも30重量%の1つ以上の金属塩を含むことを特徴とする地下層用粘弾性流体。
【請求項2】
前記粘弾性界面活性剤が、エルカミドプロピルヒドロキシプロピルスルタインを含む、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項3】
溶媒をさらに含む、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項4】
前記溶媒が、水、アルコール、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項3に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項5】
前記アルコールが、一価アルキルオキシ、ジオール、トリオール、またはこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項6】
前記粘弾性流体が、0.5体積%~20体積
%の粘弾性界面活性剤を含む、請求項1に記載の地
下層用粘弾性流体。
【請求項7】
前記粘弾性流体が
、80重量%~99重量%のブライン溶液を含む、請求項1に記載の地下
層用粘弾性流体。
【請求項8】
前記金属塩が、塩化カルシウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、またはこれらの組み合わせを含む金属ハロゲン化物である、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項9】
前記ブライン溶液が、1つ以上のアルカリまたはアルカリ土類金属のハロゲン化物を含む、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項10】
前記ポリアクリルアミドが、非イオン性ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミド系ターポリマー、ポリアクリルアミド系テトラポリマー、変性ポリアクリルアミド、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項11】
前記ポリアクリルアミド粘度調整剤が、2,000,000g/mol~8,000,000g/molのMwを有する、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項12】
前記非イオン性ポリアクリルアミド粘度調整剤が、5mol%または1mol%未満の加水分解レベルを有する、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項13】
少なくとも1つの追加の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項14】
前記追加の添加剤が、高分子電解質、例えばポリカチオン及びポリアニオン、または両性イオン性ポリマー、例えば両性イオン性ポリアクリルアミド及びコポリマーを含む、請求項13に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項15】
破壊剤材料をさらに含む、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項16】
少なくとも1つの追加の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項17】
前記追加の界面活性剤が、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、またはこれらの組み合わせを含む、請求項
16に記載の地下層用粘弾性流体。
【請求項18】
粘弾性流体を用いて、坑井によって貫通した地下層を処理する方法であって、
式(I)による粘弾性界面活性剤、ポリアクリルアミド粘度調整剤、及びブライン溶液を混合して前記粘弾性流体を生成することであって、前記粘弾性界面活性剤が式(I)によるものであり、
【化2】
(式中、R
1は、17~29個の炭素原子の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐アルキルまたはヒドロキシアルキル基から選択され、R
4は、H、ヒドロキシル、1~4個の炭素原子のアルキル、またはヒドロキシアルキル基から選択され、kは、2~20の整数であり、mは、1~20の整数であり、nは、0~20の整数である)
前記ポリアクリルアミド粘度調整剤が、5mol%未満の加水分解レベル、及び250,000g/mol~40,000,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、生成することと、
前記処理流体が、121°C超の温度に供される前記坑井を通して、前記粘弾性流体を前記地下層に導入することと、を含む、方法であって、前記粘弾性流体は、少なくとも30重量%の1つ以上の金属塩を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記処理流体が、135°Cを超える温度に供される、請求項18に記載の粘弾性流体を用いて、坑井によって貫通した地下層を処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年5月12日出願の米国仮特許出願第62/335,363号に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、概して、層中の坑井への炭化水素の流動を増強するための炭化水素貯留層中の地下層の流体破砕に関し、より詳細には、高温粘弾性界面活性剤(「VES」)破砕流体に関する。
【背景技術】
【0003】
水圧破砕は、圧縮流動導管、即ち、割れ目、亀裂、自然破砕、断層、リニアメント、及び層理面を生成する、または広げるために地下層を破裂させるのに十分な速度及び圧力で、破砕流体を地下層に注入することを伴う、坑井刺激技術である。粘弾性界面活性剤(VES)流体は、水圧破砕などの油田用途でしばしば使用される。具体的には、粘弾性流体は、異なる条件下で形成されたミセルにより、弾性挙動及び粘性挙動の両方を呈する。粘弾性流体が、例えばポンプによる剪断応力に供されると、粘弾性流体は、剪断減粘されて低粘度流体を生成し、これはポンプ送達がより容易である。剪断応力が停止すると、粘弾性流体は、より高い粘度の状態に戻る。破砕流体は、圧力が解放された後に誘発された水圧破砕を開放したまま保持するプロパントを含有するため、より高い粘度は、VES流体が懸濁し、プロパントを破砕中に輸送することを可能にする。
【0004】
粘弾性流体は、絡まって3次元(3D)粘弾性ゲルを形成し、溶液分子、例えば水の移動性を制限する、ひも状ミセルを含む。低い地下層の損傷、良好なプロパント懸濁、及び担持能力、ブライン及び生成された水との良好な適合性などの利点のため、粘弾性流体は、破砕、仕上げ、酸性化、砂防、または遮水を含む油田操作で広く使用されている。
【0005】
しかしながら、現在の粘弾性流体系は、華氏およそ250度(°F)の温度限界を有し、それを超えると、流体粘度は破砕用途には不適切である。
【発明の概要】
【0006】
より少ない高温粘弾性界面活性剤(HT VES)を使用する一方で、より高い温度で高粘度を得る必要性が継続して存在する。本開示は、より高い粘度を達成する一方で、ブライン及びプロパントとの適合性を保持し、かつ250°Fを超える温度で高い粘度を維持するために必要とされるHT VESの量を低減するか、またはHT VESの同量を保持する配合物を提供する。
【0007】
本開示の実施形態は、地下の油及びガスを含む地層の水圧破砕処理を対象とする。破砕流体は、高温で安定し、かつ高いポンプ速度及び剪断速度で安定していなければならない。本開示に見られる実施形態は、250~350°Fで必要とされるHT VESの量を効果的に低下させ、アクリルアミド系ポリマー及びコポリマーを含む選択されたポリマーの使用によって同様の粘度を維持するように設計される。粘弾性流体は、ポリアクリルアミドで増強され、それにより、より高い流体粘度をもたらす。驚くべきことに、選択されたポリアクリルアミドは、流体中の複数のHT VESミセルに付着することによって、HT VESミセルの3Dネットワークを強化し、結果として、期待値を超える粘度を増加させる可能性がある。また、VES流体粘度による粉末配合物中のポリアクリルアミドの分散の増加も存在する。
【0008】
1つ以上の実施形態によれば、本開示は、ブライン溶液と、5モルパーセント(mol%)未満の加水分解レベル及び250,000グラム/モル(g/mol)~40,000,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する少なくとも1つのアクリルアミド系ポリマーまたはコポリマーと、式(I)による粘弾性界面活性剤とを含む地下層用粘弾性流体を記載する。
【化1】
【0009】
式(I)において、R1は、17~29個の炭素原子の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐アルキルまたはヒドロキシアルキル基から選択され、R4は、H、ヒドロキシル、1~4個の炭素原子のアルキル、またはヒドロキシアルキル基から選択され、kは、2~20の整数であり、mは、1~20の整数であり、nは、0~20の整数である。
【0010】
1つ以上の実施形態によれば、本開示は、粘弾性界面活性剤及びポリアクリルアミド粘度調整剤を含む配合物をブライン溶液に添加して、粘弾性流体を生成することと、250°F超の温度に供される粘弾性流体を地下層に導入することとを含む粘弾性流体で地下層を処理する方法を記載する。この実施形態では、ポリアクリルアミド粘度調整剤は、5mol%未満の加水分解レベル、及び250,000g/mol~40,000,000g/molの重量平均分子量(Mw)、ならびに式(I)による粘弾性界面活性剤を有する。
【化2】
【0011】
式(I)において、R1は、17~29個の炭素原子の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐アルキルまたはヒドロキシアルキル基から選択され、R4は、H、ヒドロキシル、1~4個の炭素原子のアルキル、またはヒドロキシアルキル基から選択され、kは、2~20の整数であり、mは、1~20の整数であり、nは、0~20の整数である。
【0012】
記載された実施形態のさらなる特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態に記載され、一部はその説明から当業者に容易に明白であるか、または以下の発明を実施するための形態、特許請求の範囲、及び添付の図面を含む記載された実施形態を実施することによって認識される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
最も太い線(バックスラッシュによる)によって表される粘弾性流体のベースライン曲線を示す図である。
図1~5に示すように粘弾性流体「ベースライン流体」は、5%のHT VES及びブラインを含む。
【0014】
【
図1】100℃/秒の剪断速度でのセンチポアズ(cP)における温度の関数としての粘度のグラフである。試料は、ベースライン、1%の非イオン性ポリアクリルアミドポリマーを含むベースライン流体(実線として)、及びベースライン曲線と1%の非イオン性ポリアクリルアミド曲線との単純な加算から計算した曲線(点線として)を含む。
【
図2】100/s剪断速度でのcPにおける粘度の温度の関数としてのグラフである。試料は、ベースライン、20倍に拡大したベースライン(++++)、およそ10%の非イオン性ポリアクリルアミドポリマーを含むベースライン流体(濃い実線)、及びHT VESを含まないおよそ10%の非イオン性ポリアクリルアミドポリマーを含む流体(薄い灰色線)を含む。
【
図3】100/s剪断速度でのcPにおける粘度の温度の関数としてのグラフである。試料は、ベースライン、及びアニオン性ポリアクリルアミド系ターポリマーである、およそ0.5%の「SP 292」ポリマー(実線)を含むベースライン流体を含む。
【
図4】100/s剪断速度でのcPにおける粘度の温度の関数としてのグラフである。試料は、ベースライン、及びアニオン性ポリアクリルアミド系ターポリマーである、およそ0.5%の「FP 9515」ポリマー(実線)を含むベースライン流体を含む。
【
図5】100/s剪断速度でのcPにおける粘度の温度の関数としてのグラフである。試料は、ベースライン及びおよそ0.5%のポリビニルアルコール(PVA)ポリマー(実線)を含むベースライン流体が含まれる。
【0015】
図面に記載される実施形態は、本質的に例示的なものであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、図面の個別の特徴は、発明を実施するための形態を考慮することで完全に明白になり、理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願の特定の実施形態をここで説明する。しかしながら、本開示は、異なる形態で具体化されてもよく、本開示に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0017】
他に定義されない限り、本開示で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段の明確な指示がない限り、複数形も含むことが意図される。
【0018】
本開示で使用される場合、「およそ」は、反応条件と関連する測定など、測定としばしば関連する変動及びわずかな不正確さに対処するために使用される。例えば、およそが百分率を指すとき、「およそ」は、プラスまたはマイナス1%を含む。およそが温度または温度範囲を指すとき、「およそ」は、プラスまたはマイナス10度を含む。本明細書及び特許請求の範囲における任意の範囲の開示は、範囲自体及び範囲内に包含されるいかなるもの、ならびに終点も含むものと理解されるべきである。別途記載のない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載される数値的特性は、本開示の実施形態において得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本開示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も本質的に、それぞれのその測定値に見られる誤差から必然的に生じるある特定の誤差を含む。
【0019】
本開示で使用される場合、「水」という用語は、脱イオン水、蒸留水、汽水、ブライン、淡水、湧き水、水道水、ミネラルウォーター、または化学的不純物を実質的に含まない水を含む。
【0020】
本開示で使用される場合、「ポリマー」という用語は、ホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、及びターポリマーを指す。同様に、コポリマーは、少なくとも2つのモノマーを、任意選択で他のモノマーと共に含むポリマーを指してもよい。ポリマーがモノマーを含むと言及されるとき、モノマーは、モノマーの重合形態で、またはモノマーの誘導体形態でポリマー中に存在する。
【0021】
「ポリアクリルアミド」という用語は、ほぼゼロの量のアクリレート基を有するポリアクリルアミドホモポリマーまたはコポリマー、アクリレート基と加水分解によって形成されたアクリルアミド基との混合物を有するポリアクリルアミドホモポリマーまたはコポリマー、アクリルアミドまたはアクリル酸を含むコポリマー、及び任意選択で、他のモノマー、ならびにアクリルアミド系ポリマーを含む。
【0022】
本開示の実施形態は、地下の油及びガスを含む地層の水圧破砕処理などの油田操業を対象とし、概して、粘弾性流体及びそれらの流体を使用する方法を対象とする。本開示は、250°F以上の温度であっても粘度を維持する粘弾性流体を記載する。粘弾性界面活性剤、ポリアクリルアミド粘度調整剤、及びブラインの組み合わせは、粘弾性界面活性剤の使用量を増加させることなく粘度を増加させる。粘弾性流体は、掘削流体、補完流体、作業流体、酸性化流体、砂利充填、及び破砕における地下地層の浸透性を刺激または改変するために使用することができる。
【0023】
粘弾性流体の粘度は、印加される歪みの応力もしくは速度、または剪断速度によって変化し得る。剪断変形の場合、剪断速度または剪断応力の増加に伴って流体の粘度が下がることが非常に一般的である。この挙動は、「剪断減粘」と称される。界面活性剤は、流体中に粘弾性を生じさせることができ、剪断減粘挙動を示し得る。例えば、そのような流体がポンプを通過するか、または回転ドリルビットの付近にあるとき、流体は、より高い剪断速度環境にあり、粘度は低下し、結果として摩擦圧力が低くなり、ポンピングエネルギーが節約される。剪断応力が除去されると、流体は、より高い粘度の状態に戻る。
【0024】
高温では、流体中の分子の平均運動エネルギーは増加し、VESミセル構造及びミセル間の引力により多くの破壊を引き起こす。これは、流体の全体的な粘度を低下させ得る。一般に、温度の上昇は、一定の応力下で等しい歪みを付与するのに必要な時間の対数的減少と相関する。したがって、より低い温度よりもより高い温度で粘弾性材料を等距離延伸することは、より少ない労力を要する。非イオン性ポリアクリルアミドのようなポリマーの流体への添加は、高温での流体粘度を改善し得る。1つのポリアクリルアミドポリマー鎖が複数のVESミセルに連結することによって、VESミセルの3Dネットワークの安定性を高め得る。
【0025】
1つ以上の実施形態では、地下層用粘弾性流体は、式(I)による粘弾性界面活性剤、ブライン溶液、及び少なくとも1つのポリアクリルアミド粘度調整剤を含む。
【化3】
【0026】
式(I)において、R1は、17~29個の炭素原子の飽和または不飽和の炭化水素基である。他の実施形態では、R1は、18~21個の炭素原子の飽和または不飽和炭化水素基である。R1はまた、1~140のヨウ素価を有する天然の脂肪または油に由来する脂肪性脂肪族であってもよい。いくつかの実施形態では、不飽和度を決定するヨウ素価は、30~90または40~70の範囲であり得る。R1は、単一鎖長に制限されてもよく、または天然油脂もしくは原料油由来の基などの混合鎖長であってもよい。天然油脂または原料油は、獣脂アルキル、硬化獣脂アルキル、菜種アルキル、硬化菜種アルキル、トール油アルキル、硬化トール油アルキル、ココアルキル、オレイル、エルシル、大豆アルキル、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0027】
式(I)のいくつかの実施形態では、R2及びR3は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子、他の実施形態では1~4個の炭素原子、ならびに別の実施形態では1~3個の直鎖もしくは分岐アルキルまたはヒドロキシアルキル基から選択される。R4は、H、ヒドロキシル、1~4個の炭素原子のアルキル、またはヒドロキシアルキル基から選択され、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシル、またはメチルから選択することができるが、この基のリストに限定されない。
【0028】
式(I)の1つ以上の実施形態では、下付き文字kは、2~20、他の実施形態では2~12、別の実施形態では2~4の整数である。mは、1~20、他の実施形態では1~12、別の実施形態では1~6であり、いくつかの実施形態では、mは、1~3の整数でもあり得る。最後に、nは、0~20、0~12、または0~6の整数である。いくつかの実施形態では、nは、0~1の整数である。
【0029】
本開示の実施形態による粘弾性界面活性剤は、他の界面活性剤よりも低い濃度で粘弾性流体を形成することができる。この特定のレオロジー挙動は、主に流体中に存在する界面活性剤凝集体の種類による。水などの低粘度流体では、界面活性剤分子は、球状ミセルで凝集する。一方、粘弾性流体中では、ひも状、糸状、または棒状ミセルと記載され得る長いミセルが存在し、絡まっている。これらの長い柔軟なひも状ミセルは、塩の存在下で形成することができ、絡むことによって、それらは一時的なネットワークを形成し、溶液に粘弾特性を付与する。これらのミセルは、水性系における増粘剤及びレオロジー制御剤として機能することができる。ひも状ミセルは、それらのモノマーと熱平衡状態にある。したがって、ミセル自己集合(したがって、それらの長さ及び柔軟性)は、界面活性剤及び塩濃度の変化、ならびに温度の変化に応答する。
【0030】
いくつかの実施形態では、粘弾性界面活性剤は、高温粘弾性界面活性剤(HT VES)であってもよい。1つ以上の実施形態では、粘弾性界面活性剤は、Akzo Nobelによって提供されるArmovis EHS(登録商標)として商業的に知られているエルカミドプロピルヒドロキシプロピルスルタインである。
【0031】
本開示における粘弾性流体は、低重量パーセントの粘弾性界面活性剤を組み込む。粘弾性流体中の粘弾性界面活性剤の量は変化し得る。いくつかの実施形態では、粘弾性流体は、0.5重量%~10重量%の粘弾性界面活性剤を含有する。一方、別の実施形態では、粘弾性流体は、2重量%~8重量%の粘弾性界面活性剤を含む。粘弾性流体の他の実施形態は、3重量%~5重量%の粘弾性界面活性剤を有する粘弾性流体を含んでもよい。
【0032】
ポリアクリルアミド粘弾性改質剤の粘弾性流体への添加は、粘度を増加し、必要な粘弾性界面活性剤の量を低下させる。本開示において言及されるポリアクリルアミド粘弾性改質剤としては、非イオン性ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミド系ターポリマー、ポリアクリルアミド系テトラポリマー、変性ポリアクリルアミド、上記ポリマーの組み合わせ、またはカルボキシレート、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、もしくはホスホネートから選択される少なくとも1つの官能基を有するアクリルアミド系ポリマーが挙げられる。アクリルアミド系ポリマーは、任意選択で、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、またはホスホネートからなる群から選択される1つ以上の官能基を有する。
【0033】
本開示の1つ以上の実施形態では、ポリアクリルアミド粘度調整剤は、250,000g/mol~40,000,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し、別の実施形態では、ポリアクリルアミド粘度調整剤は、2,000,000g/mol~8,000,000g/molのMwを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポリアクリルアミド粘度調整剤は、5モルパーセント(mol%)未満の加水分解レベルを有する。他の実施形態では、ポリアクリルアミド粘度調整剤は、1mol%未満の加水分解レベルを有する。他の実施形態では、ポリアクリルアミド粘度調整剤は、0.1mol%未満の加水分解レベルを有し、他の実施形態では、加水分解レベルは、0.001mol%未満である。本粘弾性流体は、これらの最小加水分解レベルでポリアクリルアミドを使用しながら、適切な粘度増強を達成する。
【0035】
いくつかの実施形態では、追加の界面活性剤は、粘弾性流体に添加される。追加の界面活性剤の添加は、様々な温度、圧力、または他の条件変化において粘度を増強し得るか、またはミセル形成をもたらし得る。考えられる界面活性剤の非限定的なリストは、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、またはこれらの組み合わせである。
【0036】
塩は溶液中にあるときにイオン化し、界面活性剤と適合する対イオンは、ミセルの疎水性内部に浸透し、自己集合を促進する。ブラインまたは塩溶液の異なる濃度は、ミセル集合に異なった影響を及ぼす。粘弾性界面活性剤は、他の界面活性剤と比較してより低い濃度でミセルネットワークを形成することができるが、ポリアクリルアミドなどの粘度調整剤は、粘弾性界面活性剤溶液中の界面活性剤ミセルと会合して、プロパントが沈降するのを一時停止するまたは防止するネットワークをより良好に形成する。プロパントがあまりに速く沈降すると、それは破砕の底部に蓄積し、破砕を詰まらせ、生産性を低下させる場合がある。粘弾性界面活性剤及びポリアクリルアミド粘度調整剤を含む配合物は、ミセルとのより良好な分散かつ結合が可能であり得、結果として、粘度の増加は、期待値を超える。
【0037】
前段落で述べたように、異なる塩及び塩濃度は、ミセル形成に影響を及ぼす可能性がある。粘弾性流体中のブライン溶液は、1つ以上の金属ハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物は、アルカリまたはアルカリ土類金属のハロゲン化物を含んでもよい。金属ハロゲン化物の非限定的なリストとしては、塩化カルシウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、またはこれらの組み合わせが挙げられる。添加順序は、例えば、ブライン中の塩を溶液に添加する前に変化させてもよく、それをポリアクリルアミドまたは粘弾性界面活性剤と結合させて、配合物を形成してもよく、溶液または溶媒に添加すると、配合物は、迅速に分散する。
【0038】
いくつかの実施形態では、粘弾性流体は、およそ1重量%~50重量%の塩を含む。別の実施形態では、粘弾性流体は、10重量%~40重量%の塩を含み、他の実施形態は、15重量%~35重量%の塩を含む。通常、流体は、約1重量%~6重量%のVES、1~50重量%の塩を含有し、残りの割合は、主に水である。
【0039】
いくつかの溶媒または溶媒の組み合わせは、粘弾性界面活性剤の性能を高めることができる。溶媒は、水、アルコール、またはこれらの組み合わせを含み得る。アルコールは、アルキルオキシ、ジオール、トリオール、またはこれらの組み合わせを含む。アルキルオキシ溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。グリコール分子は、二価アルコールまたはジオールであり、ジオール溶媒の非限定的なリストとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラメチルエチレングリコール、トリメチレングリコールなどが挙げられる。
【0040】
追加の添加剤が、粘弾性流体に組み込まれて、ミセル形成を増加させるか、粘度を高めるか、またはゲルを破壊するのに必要な力であるゲル強度を増強してもよい。本開示における粘弾性流体は、界面活性剤、塩(例えば、塩化カリウム)、消泡剤、スケール防止剤、腐食防止剤、流体損失添加剤、破壊剤、及び殺菌剤などの1つ以上の添加剤をさらに含有し得る。破壊剤の目的は、破砕流体の粘度を「破壊する」または減少させることであり、これにより、この流体は、浄化中に破砕からより容易に回収される。いくつかの実施形態では、ポリアクリルアミドを含有する粘弾性流体は、破壊剤材料も含有し得る。破壊剤材料は、カプセル化された破壊剤を含む。追加の添加剤としては、高分子電解質、例えばポリカチオン及びポリアニオン、両性イオン性ポリマー、例えば両性イオン性ポリアクリルアミド系ポリマー及びコポリマー、ならびに他の界面活性剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0041】
また任意選択で、本開示に記載される粘弾性流体は、前述の添加剤及び破砕領域に多孔質パックを形成することによって、破砕動作が完了した後のプロパントの逆流を制限するように設計された材料をさらに含み得る。「プロパント逆流防止剤」と呼ばれるそのような材料は、SchlumbergerからPROPNET(登録商標)の名称で入手可能なものなどの当該技術分野において既知のいかなるものであってもよい。
【0042】
本開示に記載の一実施形態は、粘弾性流体を用いて、坑井によって貫通した地下層を処理する方法であって、粘弾性界面活性剤及びポリアクリルアミド粘度調整剤を含む配合物をブライン溶液に添加して、粘弾性流体を生成することを含む、方法である。次いで、粘弾性流体は、処理流体が250°F超の温度に供される坑井を通して地下層に導入される。1つ以上の実施形態では、処理流体は、275°F超の温度に供され、別の方法では、処理流体は、300°Fを超の温度に供される。
【実施例】
【0043】
実施例1
第1の試料において、5重量%のHT VES(Armovis(登録商標)EHS)を30重量%のCaCl
2ブラインに添加することによって、ベースライン粘弾性流体を調製した。より具体的には、40.7ミリリットル(mL)の水道水、26.8グラム(g)のCaCl
2・2H
20、及び2.6mLのHT VESを一緒に混合してベースライン流体を形成した。ベースライン流体の粘度は、Fann50型粘度計を用いて100秒/秒(s
-1)の剪断速度でおよそ70°F~350°Fまで測定し、
図1にプロットし、最も太い線(バックスラッシュにより)で示した。第2の試料では、非イオン性ポリアクリルアミド(Sigma-Aldrich、#92560-50G、粉末形態)をHT VESベースライン流体中に1重量%の使用量で混合した。粘度は、同様におよそ70°F~350°Fまで測定し、
図1にプロットし、黒線で示した。およそ250°F~およそ350°Fで平均して、粘度は、1%の非イオン性ポリアクリルアミドの添加でおよそ34%増強された。第1の試験におけるベースラインVESの粘度及び非イオン性ポリアクリルアミド(1重量%)の粘度を数学的に加算し(単純加算)、点線で示すように、
図1にプロットした。
【0044】
図1において、計算曲線(点線プロット)は、HT VES及びポリアクリルアミドを含有する実験試料の粘度と比較したとき、300°F超の温度でより小さい粘度を示した。実験結果が、理論または計算結果よりも大きい粘度の増加を示したことから、相乗効果は、高温でのHT VESと非イオン性ポリアクリルアミドとの組み合わせに起因するものであった。
【0045】
実施例2
第1の試料において、5重量%のHT VESを30重量%のCaCl2ブラインに添加することによってベースライン粘弾性流体を調製した。より具体的には、40.7mlの水道水、26.8gのCaCl
2・2H
20、及び2.6mlのHT VESを一緒に混合してベースライン流体を形成した。流体の粘度は、Fann50型粘度計を用いて100s
-1の剪断速度でおよそ70°F~350°Fまで測定し、
図2にプロットした。ベースライン曲線を
図2でより明らかにするために、粘度値を20倍に拡大し、プロットした(+++)。第2の試料において、非イオン性ポリアクリルアミド(Sigma-Aldrich、#92560-50G、粉末形態)をHT VESベースライン流体中におよそ10重量%の使用量で混合した。粘度は、同様におよそ70°F~350°Fまで測定し、濃い実線としてプロットした。第3の試料は、対照試料であり、HT VESを添加しなかったこと、及びHT VESを同じ容量の水道水と取り替えたことを除いて、第2の試験における流体と同様に調製した。粘度は、同様におよそ70°F~350°Fまで測定し、
図2に灰色線としてプロットした。
【0046】
図2において、ベースライン曲線は、些細な粘度を有し、これは他の粘弾性流体と比較して粘度の増加が最小または有意でないことを意味する。しかしながら、ポリアクリルアミド及びHT VESを含有する第2の試料は、およそ200~350°Fで10%のポリアクリルアミドのみを有する粘弾性流体を表す曲線またはHT VESのみを有する粘弾性流体を表す曲線と比較したとき、有意に増強された粘度を有していた。粘度の有意な増加は、ポリアクリルアミドとHT VESとの組み合わせによる相乗効果に起因するものであった。
【0047】
実施例3
この実施例では、5重量%のHT VES(Armovis(登録商標)EHS)を30重量%のCaCl
2ブラインに添加することによってベースライン粘弾性流体を調製した。室温~350°Fまでの流体の粘度をFann50型粘度計を用いて100s
-1の剪断速度で測定し、
図3にプロットした。別の試料では、疎水変性ポリアクリルアミド(SP 292、疎水性モノマー含量が1.5mol%未満のアニオン性ポリアクリルアミド系ターポリマー、SNF Floerger製、粉末形態)を0.5重量%の使用量でベースライン流体に混合した。粘度は、同様に室温~350°Fまで測定し、
図3にもプロットした。およそ250°F~およそ350°Fで平均して、粘度は、0.5%の疎水変性ポリアクリルアミドの添加でおよそ17%増強された。
【0048】
実施例4
この実施例では、5重量%のHT VES(Armovis(登録商標)EHS)を30重量%のCaCl
2ブラインに添加することによってベースライン粘弾性流体を調製した。室温~350°Fまでの流体の粘度をFann50型粘度計を用いて100s
-1の剪断速度で測定し、
図4にプロットした。第2の試料では、疎水変性ポリアクリルアミド(FP9515SH、10~25mol%のスルホン酸モノマーを含有する、疎水性モノマー含量が1.5mol%未満のアニオン性ポリアクリルアミド系ターポリマー、SNF Floerger製、粉末形態)を0.5重量%の使用量でベースライン流体に混合した。粘度は、同様に室温~350°Fまで測定し、
図4にもプロットした。およそ250°F~およそ350°Fで平均して、粘度は、0.5%の疎水変性ポリアクリルアミドの添加でおよそ22%増強された。
【0049】
実施例5
この実施例では、5体積%のHT VES(Armovis(登録商標)EHS)を30重量%のCaCl
2ブラインに添加することによってベースライン粘弾性流体を調製した。より具体的には、40.7mlの水道水、26.8gのCaCl
2・2H
20、及び2.6mlのHT VESを一緒に混合してベースライン流体を形成した。室温~350°Fまでの流体の粘度をFann50型粘度計を用いて100s
-1の剪断速度で測定し、
図5にプロットした。別の試験では、ポリビニルアルコール(PVA)(Aldrich製、CAS:9002-89-5、146,000~186,000の平均分子量、及び87~89%が加水分解済み)を0.5重量%の使用量でベースライン流体に混合した。粘度は、同様におよそ70°F~350°Fまで測定し、プロットした。
【0050】
図5では、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)の粘弾性流体への添加は、粘度の顕著な増加を示さない。最も太い線(バックスラッシュによる)で示される5%のHT VESを含有する粘弾性流体ベースラインの曲線及びPVAポリマーと粘弾性流体のベースライン(実線)との組み合わせを表す曲線は、互いにほぼ重なり合い、これは、PVAポリマーがHT VESを増強しなかったことを示唆している。これは、選択されたポリアクリルアミドポリマーの粘性化性能が、他のポリマーと比較して特有であることを実証した。
【0051】
特許請求された主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に種々の変更及び変形がなされ得ることは、当業者には明らかであるはずである。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るそのような変更及び変形が提供される種々の記載された実施形態の変更及び変形を網羅することを意図する。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
地下層用粘弾性流体であって、
式(I)による粘弾性界面活性剤と、
【化4】
(式中、R
1
は、17~29個の炭素原子の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R
2
及びR
3
は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐アルキルまたはヒドロキシアルキル基から選択され、R
4
は、H、ヒドロキシル、1~4個の炭素原子のアルキル、またはヒドロキシアルキル基から選択され、kは、2~20の整数であり、mは、1~20の整数であり、nは、0~20の整数である)
ブライン溶液と、
250,000g/mol~40,000,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する少なくとも1つのポリアクリルアミド粘度調整剤と、を含む、地下層用粘弾性流体。
実施形態2
前記粘弾性界面活性剤が、エルカミドプロピルヒドロキシプロピルスルタインを含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態3
溶媒をさらに含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態4
前記溶媒が、水、アルコール、またはこれらの組み合わせから選択される、実施形態3に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態5
前記アルコールが、一価アルキルオキシ、ジオール、トリオール、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態4に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態6
前記粘弾性流体が、0.5体積%~20体積%、または2体積%~8体積%、または3体積%~6体積%の粘弾性界面活性剤を含む、実施形態1に記載の地層のための粘弾性流体。
実施形態7
前記粘弾性流体が、約80重量%~99重量%のブライン溶液を含む、実施形態1に記載の地下層形成のための粘弾性流体。
実施形態8
前記ブライン溶液が、1重量%~50重量%、または10重量%~40重量%、または15重量%~35重量%の1つ以上の金属塩を含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態9
前記金属塩が、塩化カルシウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、またはこれらの組み合わせを含む金属ハロゲン化物である、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態10
前記ブライン溶液が、1つ以上のアルカリまたはアルカリ土類金属のハロゲン化物を含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態11
前記ポリアクリルアミドが、非イオン性ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミド系ターポリマー、ポリアクリルアミド系テトラポリマー、変性ポリアクリルアミド、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態12
前記ポリアクリルアミド粘度調整剤が、2,000,000g/mol~8,000,000g/molのMwを有する、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態13
前記非イオン性ポリアクリルアミド粘度調整剤が、5mol%または1mol%未満の加水分解レベルを有する、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態14
少なくとも1つの追加の添加剤をさらに含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態15
前記追加の添加剤が、高分子電解質、例えばポリカチオン及びポリアニオン、または両性イオン性ポリマー、例えば両性イオン性ポリアクリルアミド及びコポリマーを含む、実施形態14に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態16
破壊剤材料をさらに含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態17
少なくとも1つの追加の界面活性剤をさらに含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態18
前記追加の界面活性剤が、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態1に記載の地下層用粘弾性流体。
実施形態19
粘弾性流体を用いて、坑井によって貫通した地下層を処理する方法であって、
式(I)による粘弾性界面活性剤、ポリアクリルアミド粘度調整剤、及びブライン溶液を混合して前記粘弾性流体を生成することであって、前記粘弾性界面活性剤が式(I)によるものであり、
【化5】
(式中、R
1
は、17~29個の炭素原子の飽和または不飽和の炭化水素基であり、R
2
及びR
3
は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐アルキルまたはヒドロキシアルキル基から選択され、R
4
は、H、ヒドロキシル、1~4個の炭素原子のアルキル、またはヒドロキシアルキル基から選択され、kは、2~20の整数であり、mは、1~20の整数であり、nは、0~20の整数である)
前記ポリアクリルアミド粘度調整剤が、5mol%未満の加水分解レベル、及び250,000g/mol~40,000,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、生成することと、
前記処理流体が、250°F超の温度に供される前記坑井を通して、前記粘弾性流体を前記地下層に導入することと、を含む、方法。
実施形態20
前記処理流体が、275°Fを超える温度に供される、実施形態19に記載の粘弾性流体を用いて、坑井によって貫通した地下層を処理する方法。