(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】インターロイキン‐4受容体への結合のための抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220224BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220224BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20220224BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220224BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220224BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220224BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20220224BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20220224BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220224BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220224BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220224BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220224BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220224BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220224BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220224BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220224BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A61K9/08
A61K35/12
A61K39/395 N
A61K45/00
A61K47/68
A61K48/00
A61P1/00
A61P11/02
A61P11/06
A61P17/00
A61P19/02
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P37/00
A61P37/08
C07K16/28
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2018564202
(86)(22)【出願日】2017-06-08
(86)【国際出願番号】 CN2017087592
(87)【国際公開番号】W WO2017211319
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-01-08
(31)【優先権主張番号】201610399254.4
(32)【優先日】2016-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516084848
【氏名又は名称】スーチョウ・コネクト・バイオファーマシューティカルズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】パン,ウビン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リミン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,ジエ
【審査官】中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-505303(JP,A)
【文献】国際公開第2001/092340(WO,A2)
【文献】特表2007-534305(JP,A)
【文献】特表2014-501512(JP,A)
【文献】特表2007-534306(JP,A)
【文献】Light chain variable region of IL-4 receptor antibody, T57P substitution,DATABASE Geneseq [Online], accession no. AEA08961,2005年07月28日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/90
C12P1/00-41/00
C07K1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン‐4(IL‐4)受容体(IL‐4R)に結合できる抗体であって、
以下のCDR1、CDR2、及びCDR3の組み合わせ:
配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号8に記載のCDR3;
を含む軽鎖可変領域(VL)を含み、
また、以下のCDR1、CDR2、及びCDR3の組み合わせ:
配列番号14に記載のCDR1、配列番号18に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;
を含む重鎖可変領域(VH)を含む、抗体。
【請求項2】
前記抗体の軽鎖可変領域は、配列番号55に示されるアミノ酸配列を含み、また、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号91に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体は、インターロイキン‐4(IL‐4)受容体(IL‐4R)に結合できる、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体は、IL‐4Rαに結合できる、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体は、哺乳類IL‐4Rαに結合できる、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体は、ヒトIL‐4Rαに結合できる、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体は、ヒト可溶性IL‐4Rαに結合できる、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体は、100nM未満、10nM未満、1nM未満、
又は0.5nM未満
の親和性でIL‐4Rαに結合できる、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体は、モノクローナル抗体、完全若しくは部分ヒト化抗体、又はキメラ抗体である、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体は、イムノグロブリンである、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG又はIgMである、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4サブタイプである、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体は、ヒトIgG4サブタイプである、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体を含む、融合タンパク質又はコンジュゲート。
【請求項15】
請求項13に記載の抗体を含む、融合タンパク質又はコンジュゲート。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする、核酸
分子。
【請求項17】
請求項13に記載の抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする、核酸
分子。
【請求項18】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードする、請求項16に記載の核酸
分子。
【請求項19】
請求項13に記載の抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードする、請求項17に記載の核酸
分子。
【請求項20】
請求項16~19のいずれか1項に記載の核酸
分子を含むベクター。
【請求項21】
請求項16~19のいずれか1項に記載の核酸
分子又は請求項20に記載のベクターを用いて形質転換又はトランスフェクトされた、宿主細胞。
【請求項22】
前記方法は、請求項21に記載の宿主細胞を、前記宿主細胞が前記抗体への組み込みのために前記抗体の前記重鎖可変領域及び/若しくは前記軽鎖可変領域又は前記抗体の前記重鎖及び/若しくは前記軽鎖を発現できる条件下で、培養するステップを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体を産生するための方法。
【請求項23】
産生された前記抗体を回収するステップを更に含む、請求項2
2に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体、請求項14または15に記載の融合タンパク質若しくはコンジュゲート、請求項16~19のいずれか1項に記載の核酸
分子、請求項20に記載のベクター、請求項21に記載の宿主細胞、及び/又は請求項22
若しくは23に記載の方法で産生される抗体を含む、医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物は、医薬製剤である、請求項
24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬製剤は、注射液である、請求項
25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記医薬組成物又は医薬製剤は、薬学的に許容可能なキャリア又は賦形剤を更に含む、請求項
24または
25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記医薬組成物又は医薬製剤は、以下の薬剤:抗喘息薬;抗ヒスタミン剤;免疫抑制剤;M受容体ブロッカー;ロイコトリエン受容体ブロッカー、ホスホジエステラーゼ阻害剤;非ステロイド性抗炎症薬;および、ホルモンのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項
24または
25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記喘息薬は、アルブテロールである、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記抗ヒスタミン剤は、ロラタジンである、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記免疫抑制剤は、タクロリムスまたはピメクロリムスである、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記M受容体ブロッカーは、臭化イパラトロピウムである、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記ロイコトリエン受容体ブロッカーは、モンテルカストである、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤は、テオフィリンである、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記非ステロイド性抗炎症薬は、5‐アミノサリチル酸である、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記ホルモンは、ベクロメタゾンまたはブデソニドである、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項37】
請求項1、2または13に記載の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物は、医薬製剤である、請求項
37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記医薬製剤は、注射液である、請求項
38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア又は賦形剤を更に含む、請求項
37に記載の医薬組成物。
【請求項41】
炎症又はアレルギー性疾患の予防、治療又は寛解のための薬剤の製造のための、請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体、請求項14または15に記載の融合タンパク質若しくはコンジュゲート、請求項16~19のいずれか1項に記載の核酸
分子、請求項20に記載のベクター、請求項21に記載の宿主細胞、及び/又は請求項22
若しくは23に記載の方法で産生される抗体の使用。
【請求項42】
前記炎症又はアレルギー性疾患としては、自己免疫疾患が挙げられる、請求項
41に記載の使用。
【請求項43】
前記炎症又はアレルギー性疾患は、アレルギー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、湿疹、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、またはリウマチ性関節炎である、請求項
42に記載の使用。
【請求項44】
前記炎症又はアレルギー性疾患は、アレルギー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、または鼻ポリープである、請求項
41または
42に記載の使用。
【請求項45】
炎症又はアレルギー性疾患の予防、治療又は寛解のための薬剤の製造のための、請求項1、2または13に記載の抗体の使用。
【請求項46】
前記炎症又はアレルギー性疾患としては、自己免疫疾患が挙げられる、請求項
45に記載の使用。
【請求項47】
前記炎症又はアレルギー性疾患は、アレルギー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、湿疹、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、またはリウマチ性関節炎である、請求項
45に記載の使用。
【請求項48】
前記炎症又はアレルギー性疾患は、アレルギー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、または鼻ポリープである、請求項
45に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物薬剤学の分野に関する。特に本発明は、インターロイキン‐4(IL‐4)受容体(IL‐4R)に結合できる抗体、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン‐4(IL‐4)は、主に活性化T細胞、単球、好塩基球、肥満細胞及び好酸球が産生するサイトカインである。IL‐4は、多様な生体プロセスに関与し、当該技術分野において公知であるその生物学的効果としては、活性化B細胞及びT細胞の増殖並びにII型ヘルパーT細胞へのCD4+T細胞の分化の刺激が挙げられる。更にIL‐4は、アレルギー疾患、自己免疫疾患、感染性疾患及び腫瘍といった疾患に対する免疫応答の仲介において複数の効果を有し、また腫瘍、自己免疫疾患及び感染性疾患等に対する治療効果を有することが、研究によって分かっている。一方、IL‐4はワクチンに対する免疫応答を調節することもできる。従ってIL‐4は常に、大きな注目を集める研究領域であり続けている。
【0003】
IL‐13もまた、活性化T細胞が産生するサイトカインであり、これは単球、B細胞、肥満細胞及びケラチノサイトといった異なるタイプの細胞において異なる機能を有する。IL‐13は、単球からの炎症性サイトカイン及びケモカインの放出を阻害でき、B細胞の増殖及び分化を誘発でき、またIgEの合成を促進できる。IL‐13及びIL‐4は、単球からの炎症仲介因子の放出の阻害、マクロファージの樹状細胞様進行の誘発、単球の表面上でのCD23の発現の促進、及びB細胞による免疫グロブリンの合成の刺激を含む生物学的機能に関して多くの共通の特性を共有している。同時にIL‐13はまた、固有の生物学的特徴を有しており、これは主に:ヒト単球の分化及び細胞表面の抗原の変化の促進;B細胞の増殖及び分化の誘発、並びにB細胞からの抗体の分泌の促進;IgEの合成の調節(これによって体内のアレルギー反応に関連する);腫瘍細胞の成長の阻害;HIVの複製の阻害等を含む。
【0004】
IL‐4の生物活性は、細胞表面上の特異的IL‐4受容体(IL‐4R、ヒトにおいては「hIL‐4R」と呼ばれる)によって仲介される。ヒトIL‐4Rは、2つのポリペプチド鎖によって形成されたヘテロ二量体であり、そのうちα鎖(hIL‐4Rα、UniProtKB:P24394)がIL‐4に対して高い親和性を有する。また、IL‐13の細胞表面受容体α鎖(IL‐13Rα鎖)もまた、IL‐4Rα鎖を有するIL‐4R複合体の別の形態を形成することが、研究によって分かっている。IL‐4R複合体中のIL‐4Rα鎖は、IL‐4への結合において主要な役割を果たし、また他のサイトカインが関与するため、IL‐4Rα鎖は現在、主たる標的として研究されている。更に、IL‐4Rα鎖に対するヒトモノクローナル抗体は、喘息、湿疹、アトピー性皮膚炎といった状態の緩和及び治療に効果的であることが、臨床的に証明されている。
【0005】
ヒトインターロイキン‐4受容体は、T細胞によって仲介されるIL‐4及びIL‐5上方制御によって仲介される細胞増殖を阻害する、タンパク質の可溶形態(shIL‐4Rα、配列番号94)を産生することが知られている。上記受容体の2つの形態は、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、喘息、湿疹等のような疾患として現れるアレルギー反応に関連する。従って上記タンパク質を標的とするブロッキング抗体は、上記疾患の治療及び緩和を支援できる。
【0006】
喘息は慢性気道炎症性疾患であり、好酸球、肥満細胞及びリンパ球等の多くの炎症細胞が関与し、その特定の病因は依然として不明である。IL‐4等のサイトカインが、気管支喘息の発生及び進行に重要な役割を果たすことから、IL‐4に対して特異的な抗体の開発は、喘息の治療のための効果的な方法の1つである。IL‐4/IL‐4Rαの阻害は、喘息に対して有効な免疫調節効果を有することができる。
【0007】
アレルギー性鼻炎(AR)は、喘息の病因とかなり共通した病因を有し、またAR及び喘息はいずれもI型アレルギーに属する。一方、IL‐4、IL‐17及びIgEがアレルギー性鼻炎の発病において重要な役割を果たすことが、研究によって分かっている。現在のところ、薬物療法がARの治療の焦点であり、鼻腔内コルチコステロイド及び抗ヒスタミン剤がその核となっている。
【0008】
異所性皮膚炎又は遺伝性アレルギー性皮膚炎としても知られるアトピー性皮膚炎(AD)は、主に小児及び青年に見られる一般的な皮膚病であり、多くの場合、アレルギー性鼻炎、喘息等の特定の遺伝性アレルギー性疾患を併発する。IL‐4及びIL‐13といった免疫因子の関与が、主要な病因の1つである。
【0009】
好酸球性食道炎(EoE)は、食道の全ての層における好酸球(EOS)の浸出を特徴とする、慢性免疫炎症性疾患である。EoEの発症は、Th2細胞の機能不全に関連する。現在、新規の生物学的薬剤である抗IL‐5(メポリズマブ等)といった、高い特異性を有するプロトコルが、熱心な研究対象となっている。動物モデルでは免疫変調療法によって結果が得られたが、ヒトの臨床試験における探求が依然として必要である。PGD2阻害剤、抗TNF‐α及び抗IL‐13といった薬剤が、現在調査中である。
【0010】
デュピルマブ等の、hIL‐4Rを標的としたモノクローナル抗体薬剤は、臨床試験段階に入ったところであり、これはアトピー性皮膚炎の第II相臨床試験で良好な結果を示した。デュピルマブに加えて、hIL‐4Rに対する他のモノクローナル抗体も、例えば特許文献1、2といった企業による特許出願の請求対象となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第7,186,809号
【文献】米国特許第7,638,606号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、IL‐4Rに対して特異的な抗体を、抗体スクリーニング及び最適化によって提供し、上記抗体は、IL‐4のIL‐4Rへの結合に対するブロッキング剤として機能でき、またIL‐4Rへの結合による炎症又はアレルギー性疾患の治療に使用できる。
【0013】
配列番号58に記載の配列のアミノ酸残基の番号付与を参照すると、本発明の抗体は、上記抗体に含まれる軽鎖可変領域の31位のセリン(31Ser)を有し、また配列番号93に記載の配列のアミノ酸残基の番号付与を参照すると、上記抗体は、上記抗体に含まれる重鎖可変領域の103位のアスパラギン酸(103Asp)、及び104位のチロシン(104Tyr)を有する。これに対応して、31Serは、本発明の抗体の軽鎖可変領域のCDR1中にあり、また103Asp及び104Tyrは、本発明の抗体の重鎖可変領域のCDR3中にある。
【0014】
好ましくは、本発明の抗体の軽鎖可変領域は、配列番号2に記載のCDR1を含み、上記抗体の重鎖可変領域は、配列番号19に記載のCDR3を含む。
【0015】
好ましくは、本発明の抗体の軽鎖可変領域は:
(1)配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号5に記載のCDR3;
(2)配列番号2に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号5に記載のCDR3;
(3)配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号6に記載のCDR3;
(4)配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号7に記載のCDR3;
(5)配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号8に記載のCDR3;
(6)配列番号2に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号6に記載のCDR3;
(7)配列番号2に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号7に記載のCDR3;並びに
(8)配列番号2に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号8に記載のCDR3
からなる群から選択されたCDR1、CDR2、及びCDR3の組み合わせを含み、上記抗体の重鎖可変領域は:
(1)配列番号14に記載のCDR1、配列番号17に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;
(2)配列番号14に記載のCDR1、配列番号18に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;
(3)配列番号15に記載のCDR1、配列番号17に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;
(4)配列番号15に記載のCDR1、配列番号18に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;
(5)配列番号16に記載のCDR1、配列番号18に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;並びに
(6)配列番号16に記載のCDR1、配列番号17に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3
からなる群から選択されたCDR1、CDR2、及びCDR3の組み合わせを含む。
【0016】
より好ましくは、本発明の抗体は、以下の配列:配列番号40、配列番号41、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号54、配列番号55及び配列番号57に示されるアミノ酸配列から選択された軽鎖可変領域を含み、また上記抗体は、以下の配列:配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号91及び配列番号92に示されるアミノ酸配列から選択された重鎖可変領域を含む。
【0017】
更に好ましくは、本発明の抗体は:
(1)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(2)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号63に記載の重鎖可変領域;
(3)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号59に記載の重鎖可変領域;
(4)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号60に記載の重鎖可変領域;
(5)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号61に記載の重鎖可変領域;
(6)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号67に記載の重鎖可変領域;
(7)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号65に記載の重鎖可変領域;
(8)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号66に記載の重鎖可変領域;
(9)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号64に記載の重鎖可変領域;
(10)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(11)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号74に記載の重鎖可変領域;
(12)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号75に記載の重鎖可変領域;
(13)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号76に記載の重鎖可変領域;
(14)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号77に記載の重鎖可変領域;
(15)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号78に記載の重鎖可変領域;
(16)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号80に記載の重鎖可変領域;
(17)配列番号40に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(18)配列番号41に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(19)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(20)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(21)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(22)配列番号49に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(23)配列番号50に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(24)配列番号45に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(25)配列番号46に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(26)配列番号47に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(27)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(28)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(29)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(30)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(31)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(32)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;並びに
(33)配列番号51に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域
からなる群から選択された軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組み合わせを含む。
【0018】
別の態様では、本発明は、インターロイキン‐4(IL‐4)受容体(IL‐4R)に結合できる抗体を提供する。上記抗体は軽鎖可変領域(VL)を含み、上記軽鎖可変領域は:
(1)配列番号1に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号5に記載のCDR3;
(2)配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号5に記載のCDR3;
(3)配列番号2に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号5に記載のCDR3;
(4)配列番号1に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号5に記載のCDR3;
(5)配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号6に記載のCDR3;
(6)配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号7に記載のCDR3;
(7)配列番号2に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号8に記載のCDR3;
(8)配列番号1に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号6に記載のCDR3;
(9)配列番号2に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号6に記載のCDR3;
(10)配列番号2に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号8に記載のCDR3;
(11)配列番号1に記載のCDR1、配列番号4に記載のCDR2、及び配列番号8に記載のCDR3並びに
(12)配列番号1に記載のCDR1、配列番号3に記載のCDR2、及び配列番号8に記載のCDR3
からなる群から選択されたCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを含み、並びに/又は上記抗体は重鎖可変領域(VH)を含み、上記重鎖可変領域は:
(1)配列番号14に記載のCDR1、配列番号17に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;
(2)配列番号14に記載のCDR1、配列番号18に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;
(3)配列番号14に記載のCDR1、配列番号17に記載のCDR2、及び配列番号20に記載のCDR3;
(4)配列番号14に記載のCDR1、配列番号18に記載のCDR2、及び配列番号20に記載のCDR3;
(5)配列番号15に記載のCDR1、配列番号17に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;
(6)配列番号16に記載のCDR1、配列番号17に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3;並びに
(7)配列番号14に記載のCDR1、配列番号18に記載のCDR2、及び配列番号19に記載のCDR3
からなる群から選択されたCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを含む。
【0019】
更に、上述の本発明の抗体のフレームワーク領域に関して、本発明の抗体の軽鎖可変領域は好ましくは:
(1)配列番号9に記載のFR1、配列番号10に記載のFR2、配列番号12に記載のFR3、及び配列番号13に記載のFR4;並びに
(2)配列番号9に記載のFR1、配列番号11に記載のFR2、配列番号12に記載のFR3、及び配列番号13に記載のFR4
からなる群から選択されたFR1、FR2、FR3及びFR4の組み合わせを含む。
【0020】
好ましくは、上記抗体の重鎖可変領域は:
(1)配列番号21に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(2)配列番号22に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(3)配列番号23に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(4)配列番号24に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(5)配列番号24に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号35に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(6)配列番号25に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(7)配列番号26に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(8)配列番号27に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(9)配列番号29に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(10)配列番号30に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(11)配列番号24に記載のFR1、配列番号33に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(12)配列番号24に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号36に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(13)配列番号24に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号37に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(14)配列番号31に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(15)配列番号27に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号35に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(16)配列番号26に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号35に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(17)配列番号25に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号35に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(18)配列番号28に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号35に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(19)配列番号28に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号34に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(20)配列番号23に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号35に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;
(21)配列番号22に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号35に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4;並びに
(22)配列番号21に記載のFR1、配列番号32に記載のFR2、配列番号35に記載のFR3、及び配列番号38に記載のFR4
からなる群から選択されたFR1、FR2、FR3及びFR4の組み合わせを含む。
【0021】
当該技術分野で公知の抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のドメインの組成によると、本発明の抗体の軽鎖可変領域又は重鎖可変領域は、上述のドメイン構成要素を、FR1‐CDR1‐FR2‐CDR2‐FR3‐CDR3‐FR4の順序で含み、又は上述のドメイン構成要素を、(X)n‐FR1‐(X)n‐CDR1‐(X)n‐FR2‐(X)n‐CDR2‐(X)n‐FR3‐(X)n‐CDR3‐(X)n‐FR4‐(X)nの順序で含み、ここでXはいずれのアミノ酸残基であり、nは0又は0より大きい整数である。
【0022】
好ましくは、本発明が提供する抗体は、以下の配列:
配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57及び配列番号58
に示されるアミノ酸配列から選択された軽鎖可変領域を含み、並びに/又は本発明が提供する抗体は、以下の配列:
配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92及び配列番号93
に示されるアミノ酸配列から選択された重鎖可変領域を含む。
【0023】
本発明の特定の実施形態によると、本発明が提供する抗体は:
(1)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(2)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号63に記載の重鎖可変領域;
(3)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号59に記載の重鎖可変領域;
(4)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号60に記載の重鎖可変領域;
(5)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号61に記載の重鎖可変領域;
(6)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号67に記載の重鎖可変領域;
(7)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号65に記載の重鎖可変領域;
(8)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号66に記載の重鎖可変領域;
(9)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号64に記載の重鎖可変領域;
(10)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号68に記載の重鎖可変領域;
(11)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号69に記載の重鎖可変領域;
(12)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号70に記載の重鎖可変領域;
(13)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号71に記載の重鎖可変領域;
(14)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号72に記載の重鎖可変領域;
(15)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号73に記載の重鎖可変領域;
(16)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号89に記載の重鎖可変領域;
(17)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号88に記載の重鎖可変領域;
(18)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号87に記載の重鎖可変領域;
(19)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号86に記載の重鎖可変領域;
(20)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号83に記載の重鎖可変領域;
(21)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号82に記載の重鎖可変領域;
(22)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号81に記載の重鎖可変領域;
(23)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号85に記載の重鎖可変領域;
(24)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号84に記載の重鎖可変領域;
(25)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(26)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号90に記載の重鎖可変領域;
(27)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号74に記載の重鎖可変領域;
(28)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号75に記載の重鎖可変領域;
(29)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号76に記載の重鎖可変領域;
(30)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号77に記載の重鎖可変領域;
(31)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号78に記載の重鎖可変領域;
(32)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号80に記載の重鎖可変領域;
(33)配列番号39に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(34)配列番号40に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(35)配列番号41に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(36)配列番号42に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(37)配列番号43に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(38)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(39)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(40)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号68に記載の重鎖可変領域;
(41)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号72に記載の重鎖可変領域;
(42)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号82に記載の重鎖可変領域;
(43)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号85に記載の重鎖可変領域;
(44)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(45)配列番号48に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(46)配列番号49に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(47)配列番号50に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(48)配列番号45に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(49)配列番号46に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(50)配列番号47に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(51)配列番号56に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(52)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(53)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(54)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号68に記載の重鎖可変領域;
(55)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号72に記載の重鎖可変領域;
(56)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号82に記載の重鎖可変領域;
(57)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号85に記載の重鎖可変領域;
(58)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(59)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(60)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(61)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号68に記載の重鎖可変領域;
(62)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号72に記載の重鎖可変領域;
(63)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号82に記載の重鎖可変領域;
(64)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号85に記載の重鎖可変領域;
(65)配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(66)配列番号53に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(67)配列番号51に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(68)配列番号52に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(69)配列番号52に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号62に記載の重鎖可変領域;
(70)配列番号52に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(71)配列番号58に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号92に記載の重鎖可変領域;
(72)配列番号57に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号93に記載の重鎖可変領域;
(73)配列番号44に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号93に記載の重鎖可変領域;
(74)配列番号58に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号91に記載の重鎖可変領域;
(75)配列番号55に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号93に記載の重鎖可変領域;並びに
(76)配列番号51に記載の軽鎖可変領域、及び配列番号93に記載の重鎖可変領域
からなる群から選択された軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組み合わせを含む。
【0024】
本発明が提供する抗体は、IL‐4Rに結合でき、IL‐4Rのアンタゴニストとして機能する。好ましくは、上記抗体は、IL‐4Rα、好ましくは哺乳類IL‐4Rα、より好ましくはヒトIL‐4Rα、更に好ましくはヒト可溶性IL‐4Rαに結合できる。
【0025】
本発明が提供する抗体の、IL‐4Rαに対する結合親和性は、Biacore又はELISAという方法で決定できる。上記抗体は、100nM未満、10nM未満、1nM未満、0.5nM未満、更には0.1nM未満の親和性でIL‐4Rαに結合すると決定される。
【0026】
同一条件下において、基準抗体の発現レベルに対する、本発明が提供する抗体の発現レベルの比は、0.1~3:1、好ましくは0.3~3:1、より好ましくは0.4~3:1、更に好ましくは0.5~3:1、また更に好ましくは0.6~3:1、一層好ましくは0.7~3:1、より一層好ましくは1~3:1である。
【0027】
抗体のタイプについて、本発明が提供する抗体は、モノクローナル抗体、完全若しくは部分ヒト化抗体、又はキメラ抗体とすることができる。
【0028】
あるいは好ましくは、上記抗体はイムノグロブリン、好ましくはIgA、IgD、IgE、IgG又はIgM、より好ましくはIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4サブタイプ、更に好ましくはIgG2又はIgG4サブタイプである。
【0029】
更に別の態様では、本発明は、本発明の抗体を含む融合タンパク質又はコンジュゲートを提供する。上記融合タンパク質又はコンジュゲートは更に、化学的又は物理的手段によって本発明の抗体に結合された、細胞表面受容体、活性タンパク質又は活性ポリペプチド、アミノ酸及び糖類といった小分子化合物、上記抗体を化学的に修飾する少分子ポリマー又はその他の部分を含んでよい。
【0030】
また別の態様では、本発明は、本発明が提供する抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードできる核酸配列を提供する。
【0031】
好ましくは、上記核酸配列は、本発明が提供する抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードできる。
【0032】
更に別の態様では、本発明は、本発明が提供する上記核酸配列を含むベクターも提供する。上記ベクターは、真核細胞発現ベクター、原核細胞発現ベクター、人工染色体、ファージベクター等であってよい。
【0033】
上述のベクター又は核酸配列を用いて、保存又は抗体発現等を目的として宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトできる。従って本発明は、上記核酸配列又は上記ベクターを用いて形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞も提供する。上記宿主細胞は、細菌若しくは昆虫、真菌、植物又は動物細胞といった、原核又は真核細胞とすることができる。
【0034】
本発明が提供する抗体は、当該技術分野において公知のいずれの方法で得ることができる。例えば上記抗体の重鎖可変領域及び/若しくは軽鎖可変領域、又は上記抗体の重鎖及び/若しくは軽鎖を、まず本発明が提供する核酸配列から得ることができ、その後これらを、抗体の他のいずれのドメインを用いて抗体に組み込むことができ;あるいは本発明が提供する宿主細胞を、上記宿主細胞が上記抗体への組み込みのために上記抗体の重鎖可変領域及び/若しくは軽鎖可変領域又は上記抗体の重鎖及び/若しくは軽鎖を発現できる条件下で、培養する。
【0035】
任意に、上記方法は、産生された抗体を回収するステップを更に含む。
【0036】
本発明が提供する抗体、融合タンパク質若しくはコンジュゲート、核酸配列、ベクター又は宿主細胞、あるいは上述の方法によって産生される抗体は、医薬組成物中、より詳細には実際の需要に応じた様々な目的のための医薬製剤に含有させてよい。従って更なる態様では、本発明は、本発明の抗体、融合タンパク質若しくはコンジュゲート、核酸配列、ベクター、宿主細胞、及び/又は上述の方法によって産生される抗体を含む、医薬組成物も提供する。
【0037】
任意に、上記医薬組成物は、医薬製剤とすることができる。上記医薬製剤は例えば注射液である。
【0038】
上記医薬組成物又は医薬製剤は、その特定の剤形に応じて、薬学的に許容可能なキャリア又は賦形剤を更に含んでよい。
【0039】
上記医薬組成物又は医薬製剤中には、以下の薬剤:アルブテロール等の抗喘息薬;ロラタジン等の抗ヒスタミン剤;タクロリムス及びピメクロリムス等の免疫抑制剤;臭化イパラトロピウム等のM受容体ブロッカー;モンテルカスト等のロイコトリエン受容体ブロッカー、テオフィリン等のホスホジエステラーゼ阻害剤;5‐アミノサリチル酸等の非ステロイド性抗炎症薬;ベクロメタゾン及びブデソニド等のホルモンのうちの少なくとも1つも含有されていてよく、即ち本発明が提供する抗体、融合タンパク質若しくはコンジュゲート、核酸配列、ベクター、宿主細胞、又は上述の方法によって産生される抗体は、必要に応じて他の薬剤と組み合わせて使用してよい。
【0040】
また更に別の態様では、本発明は、炎症又はアレルギー性疾患の予防、治療又は寛解のための薬剤のための、抗体、融合タンパク質若しくはコンジュゲート、核酸配列、ベクター、宿主細胞、又は上述の方法で産生される抗体の使用も提供する。
【0041】
好ましくは、上記炎症又はアレルギー性疾患としては、アレルギー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、湿疹、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、リウマチ性関節炎等といった、自己免疫疾患が挙げられる。
【0042】
また更に別の態様では、本発明は、炎症又はアレルギー性疾患の防止、治療又は寛解のための方法を提供し、上記方法は、上記方法を必要とする被験者に、本発明が提供する抗体、融合タンパク質若しくはコンジュゲート、核酸配列、ベクター、宿主細胞、及び/又は本発明の方法で産生される抗体を投与するステップを含む。
【0043】
好ましくは、上記被験者は哺乳類であり、更に好ましくは、上記被験者はヒトである。
【0044】
好ましくは、上記炎症又はアレルギー性疾患としては、アレルギー性皮膚炎、喘息、好酸球性食道炎、湿疹、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、リウマチ性関節炎等といった自己免疫疾患が挙げられる。
【0045】
炎症又はアレルギー性疾患の防止、治療又は寛解のために、他の薬剤を併用でき、例えば上記方法は、上記方法を必要とする被験者に:アルブテロール等の抗喘息薬;ロラタジン等の抗ヒスタミン剤;タクロリムス及びピメクロリムス等の免疫抑制剤;臭化イパラトロピウム等のM受容体ブロッカー;モンテルカスト等のロイコトリエン受容体ブロッカー、テオフィリン等のホスホジエステラーゼ阻害剤;5‐アミノサリチル酸等の非ステロイド性抗炎症薬;ベクロメタゾン及びブデソニド等のホルモンからなる群から選択された少なくとも1つの薬剤を投与するステップを更に含む。
【0046】
好ましくは、上記薬剤は、本発明が提供する抗体、融合タンパク質若しくはコンジュゲート、核酸配列、ベクター、宿主細胞、及び/又は本発明の方法で産生される抗体と、同時に又は順次投与される。
【0047】
また更に別の態様では、本発明はキットも提供し、上記キットは、本発明が提供する抗体、融合タンパク質若しくはコンジュゲート、核酸配列、ベクター、宿主細胞、及び/又は本発明の方法で産生される抗体を含む。
【0048】
本発明の非限定的な実施形態及び付随する図面と組み合わせることにより、本発明を更に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、マウスにおける、本発明の抗体の薬物動態曲線を示す。
【
図2】
図2は、カニクイザルにおける、本発明の抗体の薬物動態曲線を示す。
【
図3】
図3は、FACSによって決定されるような、本発明の抗体の、IL‐4Rαを発現するTF‐1細胞との特異的結合を示す、パネル3A~3Cを含み、パネル3Aは、本発明の抗体L1012H1031を添加しない場合の蛍光信号を示し;パネル3Bは、本発明の抗体L1012H1031を添加した場合の蛍光信号を示し;パネル3Cは、比較のためのパネル3Aとパネル3Bとの信号の重畳を示す。
【
図4】
図4は、FACSによって決定されるように、本発明の抗体の、IL‐4Rαを発現するTF‐1細胞との特異的結合が、系内に存在するsIL‐4Rαによってブロックされることを示す、パネル4A~4Dを含み、パネル4Aは、本発明の抗体L1012H1031を添加しない場合の蛍光信号を示し;パネル4Bは、本発明の抗体L1012H1031を添加した場合の蛍光信号を示し;パネル4Cは、本発明の抗体L1012H1031とsIL‐4Rαとを添加した場合の蛍光信号を示し;パネル4Dは、比較のためのパネル4A~4Cの信号の重畳を示す。
【
図5】
図5は、ELISAによって決定されるような、TARC及びMDC放出の阻害に対する本発明の抗体の効果を示す、パネル5A~5Bを含み、パネル5Aは、本発明の抗体L1020H1031がTARC放出を阻害するという結果を示し、パネル5Bは、本発明の抗体L1020H1031がMDC放出を阻害するという結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
これより、特定の実施形態と組み合わせて、本発明を更に詳述する。提供される実施形態は本発明を説明するために使用されるだけのものであり、本発明の範囲をいずれの点でも制限しないことは、当業者には理解されるであろう。
【0051】
以下の実施例における実験方法は、特段の言明がない限り全て従来の方法である。以下の実施例で使用した原材料は、特段の言明がない限り、従来の生化学試薬販売元から市販されているものである。
【0052】
以下の実施例では、表1に示す抗体及びその効果を例示的に提供し、実証する。
【0053】
【実施例】
【0054】
実施例1:本発明の抗体の調製、及び非還元SDS‐PAGEゲル電気泳動による発現レベルの決定
抗体の軽鎖可変領域のコード配列を、EcoRI及びBsiWI制限部位を用いてベクターpFUSE2ss‐CLIg‐hK(InvivoGen、カタログ番号:pfuse2ss‐hclk)に挿入し、軽鎖発現ベクターを構築した。抗体の重鎖可変領域のコード配列を、EcoRI及びNheI制限部位を用いてベクターpFUSEss‐CHIg‐hG2(InvivoGen、カタログ番号:pfusess‐hchg2)又はベクターpFUSEss‐CHIg‐hG4(InvivoGen、カタログ番号:pfusess‐hchg4)に挿入し、重鎖発現ベクターを構築した。
【0055】
Expi293細胞の培養及びトランスフェクションを、Invitrogen製のExpi293(商標)発現系キット(カタログ番号:A14635)のハンドブックに従って実施した。細胞の密度を、トランスフェクションのために2×106細胞/mlに調整し0.6μgの上述の軽鎖発現ベクターと、0.4μgの上述の重鎖発現ベクターとを、細胞培養物1ml毎に添加し、培養物の上清を4日後に回収した。
【0056】
培養物の上清を、添付文書8、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」第3版に記載のプロトコルに従って非還元SDS‐PAGEゲル電気泳動に供した。
【0057】
BEIJING JUNYI Electrophoresis Co., LTD製のゲル走査撮像システムを用いて写真を撮影し、Gel‐PRO ANALYZERソフトウェアを用いてゲル内定量を実施して、一過性トランスフェクション後の抗体の発現レベルを決定した。結果は、対照抗体1の発現レベルに対して表現した(対照抗体1は米国特許第7,186,809号に従って構築され、米国特許第7,186,809号の配列番号10に記載の軽鎖可変領域と、米国特許第7,186,809号の配列番号12に記載の重鎖可変領域とを含み、以下でも同様である)(対照抗体2は米国特許第7,638,606号に従って構築され、米国特許第7,638,606号の配列番号6に記載の軽鎖可変領域と、米国特許第7,638,606号の配列番号42に記載の重鎖可変領域とを含み、以下でも同様である)。結果に関しては、以下の表2a~2cを参照されたい。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
実施例2:hIL‐4又はhIL‐13によるTF‐1細胞の増殖に対する本発明の抗体の阻害効果の検出
1.試薬の調製
hIL‐4(InvivoGen、カタログ番号:rhIL‐4)溶液:hIL‐4を、0.1%のBSAを含有した100μlのPBS(Beyotime、カタログ番号:ST023)中に溶解させて、濃度100μg/mlの溶液を得、溶解させたhIL‐4を、1.5ml(Nunc)遠心分離チューブに、チューブ1個あたり5μlの体積で分注して、これらのチューブを-20℃の冷凍庫内で保管した。
【0062】
WST‐1(Beyotime、カタログ番号:C0036)溶液:5mlの電子結合剤(C0036‐2)をWST‐1粉体(C0036‐1)に添加し、WST‐1粉体を完全に溶解させてWST‐1溶液を得た後、1.5ml(Nunc)遠心分離チューブに、チューブ1個あたり620μlの体積で分注して、これらのチューブを-20℃の冷凍庫内で保管した。
【0063】
2.TF‐1細胞の培養
液体窒素中で冷凍させたTF‐1細胞(ATCC:CRL‐2003(商標))を取り出し、37℃の水浴中で振盪して迅速に溶解させた。溶解後の細胞懸濁液を15ml遠心分離チューブに移した後、1640培地をこれに添加して10mlとした。チューブを800rpmで5分間遠心分離し、チューブ中の上清を吸引し、細胞ペレットを保持して再び洗浄した。10%のFBS及び2ng/mlのGM‐CSF(Sino Biological、カタログ番号:10015‐H01H)を含有する、10mlの1640培地を、上記チューブに添加し、1×105~1×106細胞/mlの細胞密度を得た。懸濁液をT75細胞培養フラスコ(Nunc)に移し、細胞を、37℃、5%CO2のインキュベータ(Thermo)内で静置培養した。2~3日毎に細胞懸濁液を取り出し、800rpmで5分間遠心分離し、細胞を10mlの培地中に再懸濁した。その後、1×106個の細胞を計数し、新たなT75細胞培養フラスコに移し、このフラスコに培地を加えて10mlとした。細胞を2~3回連続的に継代させて、増殖ブロッキング実験のために良好な状態に到達させた(細胞は明色であり、個々に懸濁させた場合にわずかに不規則な形状を有していた)。
【0064】
3.抗体の調製及び精製
a)本発明の抗体の細胞培養物上清試料
Expi293細胞を、抗体の遺伝子の異なる群を担持したプラスミドでトランスフェクトし、200μlの細胞培養物上清をトランスフェクションの4日後に取り出し、800rpmで5分間遠心分離した。この上清を、細孔サイズ0.22μmのフィルタでろ過し、増殖ブロッキング実験に使用した。
【0065】
b)本発明の精製済み抗体試料:本発明の各抗体に関して、上記抗体を発現する細胞の培養物上清を、0.22μmフィルタに通した後、精製システムGE AKTA精製器10内のGE MabSelect Sure(カタログ番号:11003494)タンパク質Aアフィニティクロマトグラフィカラムで精製した。精製された抗体を回収し、Amicon限外ろ過濃縮器(カタログ番号:UFC903096)を用いて濃縮した後定量した。増殖ブロッキング実験のために、上記抗体をPBSで0~1μg/mlまで希釈した。
【0066】
4.増殖ブロッキング実験
T75細胞培養フラスコ内の十分に成長した細胞を取り出し、15ml遠心分離チューブに移し、これを800rpmで5分間遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットを10mlのPBSで再懸濁し、800rpmで5分間遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットを、10%のFBSを含有する10mlの1640培地(GM‐CSFを含まない)で再懸濁し、800rpmで5分間遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットを、10%のFBSを含有する5mlの1640培地(GM‐CSFを含まない)で再懸濁した。細胞を計数し、培地を補充することによって、5×105細胞/mlの細胞密度に調整した。この細胞懸濁液を、96ウェルプレートに、1ウェルあたり80μlの体積で添加した(揮発を防止するために、外側リング内のウェルは細胞を含まないままとした)。本発明の各抗体に関して、様々な濃度の10μlの精製済み抗体、又は10μlの対応する細胞培養物上清を、96ウェルプレート内の細胞に添加した(同一のウェルを3個複製した)。次にhIL‐4を、10%のFBSを含有する1640培地で50ng/mlに希釈し、96ウェルプレート内の対応するウェルに、1ウェルあたり10μlの体積で添加し、これにより最終細胞濃度が4×105細胞/mlとなり、hIL‐4の濃度が5ng/mlとなり、96ウェルプレート内の各ウェル内の体積が100μlとなった。hIL‐4又は抗体が添加されず、同一数の細胞及び同一体積の培養培地のみが添加された、陰性対照群(同一のウェルを3個複製)を設定した。その一方で、同一濃度のhIL‐4及び同一体積の培地が添加された陽性対照群(同一のウェルを3個複製)を設定し、この群には抗体は添加されなかった。200μlのPBSを、96ウェル細胞プレートの外側リング内の各ウェルに添加することにより、内側リングにおける液体の揮発を防止した。静置培養のために、96ウェル細胞プレートを、37℃の5%CO2インキュベータ内に入れた。
【0067】
上述の実験を、500ng/mlのhIL‐13(細胞への添加後、その最終濃度は50ng/mlとなる)を用いて、同一の手順で繰り返した。
【0068】
5.データ統計
96ウェル細胞プレートを、5%CO2インキュベータ内で72時間静置培養した後、10μlのWST‐1溶液を、各ウェル中の細胞に添加した。更なる静置培養のために、96ウェル細胞プレートを、37℃の5%CO2インキュベータ内に入れた。24時間後、96ウェルプレートをflexstation 3(Molecular Devices)に入れ、OD450-OD650の値を読み取った。
【0069】
本発明の抗体の培養物上清に関して、これらの並びに陽性対照群及び陰性対照群のOD450-OD650の値(OD値)を用いて、阻害率を以下のように算出した:阻害率=(トランスフェクト済み細胞の上清のOD値-陽性対照群のOD値)/(陰性対照群のOD値-陽性対照群のOD値)×100%。hIL‐4又はhIL‐13によるTF‐1細胞の増殖に対する、本発明の抗体のブロッキング効果の結果を、以下の表3a~3bに示す。
【0070】
様々な濃度の本発明の精製済み抗体に関して、測定したOD450-OD650データをprism5ソフトウェアに入力し、陰性対照群の値を最低値に設定し、陽性対照群の値を最高値に設定して、抗体濃度の対数を取得した。OD450-OD650値に対する抗体濃度の対数の曲線を、prism5ソフトウェアでフィッティングした。算出されたIC50を以下の表4に示す。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
実施例3:ELISAによる、sIL‐4Rに対する本発明の抗体の結合能力の検出
1.試薬の調製
sIL‐4Rα(PEPRO TECH、カタログ番号:200‐04R)溶液:sIL‐4Rαを取り、これに1mlのddH2Oを添加し、上下に振って混合して、100μg/mlの溶液を得た。この溶液を分包した後、-20℃の冷凍庫内で保管した。
【0075】
試験用試料:本発明の各抗体に関して、一過性トランスフェクション後に上記抗体を発現するExpi293細胞の培養物上清(培地はExpi293発現培地、Invitrogen、カタログ番号:A1435102であり;懸濁培養を8%CO2インキュベータ中において100rpmで4日間実施した)を、10μl及び2μl、それぞれ990μl及び998μlのPBSに添加して、1:100及び1:500希釈の試験用抗体試料を調製した。
【0076】
対照試料:陰性対照試料として、正常な細胞の培養物上清(未トランスフェクトExpi293細胞;培地はExpi293発現培地、Invitrogen、カタログ番号:A1435102であり;懸濁培養を8%CO2インキュベータ中において100rpmで4日間実施した)も、1:100及び1:500で希釈した。
【0077】
2.ELISAによる検出
100μlの100μg/ml sIL‐4Rα溶液を、9.90mlのPBSに添加し、上下に振って混合して、1.0μg/mlの抗原コーティング緩衝液を得た。調製した抗原コーティング緩衝液を、96ウェルELISAプレート(Corning)に、1ウェルあたり100μlの体積で添加した。96ウェルELISAプレートを、4℃の冷蔵庫内で一晩インキュベートした。翌日、上記プレート内の溶液を廃棄し、2%のBSAを含有するPBSを、96ウェルELISAプレートに、1ウェルあたり300μlの体積で、1列ずつ添加した。96ウェルELISAプレートを、4℃の冷蔵庫内で2時間インキュベートした。次に、2%のBSAを含有するPBSを廃棄し、プレートをPBSTで3回洗浄した。希釈された試験用抗体を対応するウェルに順次添加し、その一方で、陰性対照試料としての正常細胞培養物上清も同様に添加した。各試料に関して、同一のウェルを3個複製し、1ウェルあたりの体積は100μlとした。ELISAプレートに保存用フィルムを巻き付け(保存用フィルムで被覆し)、定温インキュベータ内において10℃で1時間インキュベートした。続いて96ウェルELISAプレートを取り出し、中の溶液を廃棄した。PBSTで3回洗浄した後、TMB溶液(Solarbio、カタログ番号:PR1200)を96ウェルELISAプレートに、1ウェルあたり100μlの体積で、1列ずつ添加した。96ウェルELISAプレートを室温に5分間置き、2M H2SO4溶液を即座に添加して反応を終了させた。96ウェルELISAプレートをflexstation 3(Molecular Devices)に入れ、OD450の値を読み取り、データを収集、算出及び分析した。結果を、対照抗体1の親和性に対して表した。結果に関しては、以下の表5a~5cを参照されたい。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
実施例4:マウスにおける本発明の抗体の薬物動態
抗体を更にスクリーニングするために、一連の薬物動態実験をマウスにおいて実施した。
【0082】
6~8週齢のSPF Balb/cマウスを選択し、抗体(本発明の抗体又は対照抗体2)を、5mg/kg(マウスの体重)の用量で皮下注射した。血液試料を、投与前(0時間)、及び投与後2、8、24、48、72、120、168、216、264、336時間の時点で回収した。血液試料採取のために、イソフルランの吸入によって動物を麻酔し、血液試料を眼窩静脈叢から採取し、各動物に関する試料採取体積は約0.1mlであり;投与の336時間後には、イソフルランの吸入によって動物を麻酔し、下大静脈から血液を採取した後、安楽死させた。
【0083】
血液試料には抗凝血剤を添加せず、血液試料採取後2時間以内に、室温における1500gで10分間の遠心分離によって、各試料から血清を分離した。回収した上清を、新たに標識された遠心分離チューブに即座に移し、一時的保管のために-70℃で保管した。マウスにおける抗体の濃度を、ELISAで決定した。
【0084】
1.試薬の調製
sIL‐4Rα(PEPRO TECH、カタログ番号:200‐04R)溶液:sIL‐4Rαを取り、これに1mlのddH2Oを添加し、上下に振って混合して、100μg/mlの溶液を得た。この溶液を分包した後、-20℃の冷凍庫内で保管した。
【0085】
試験用試料:異なる時点で回収した1μlの血清を、1%のBSAを含有する999μlのPBSに添加して、1:1000希釈の試験用試料を調製した。
【0086】
標準試料:試験用抗体を、1%のBSA及び0.1%の正常な動物の血清を含有するPBS(Beyotime、カタログ番号:ST023)で、0.1μg/mlに希釈した。その後、1%のBSA及び0.1%の正常な動物の血清を含有する、200、400、600、800、900、950、990、1000μlのPBSを、それぞれ800、600、400、200、100、50、10、0μlの、0.1μg/mlの試験用抗体に添加することにより、最終濃度がそれぞれ80、60、40、20、10、5、1又は0ng/mlの、本発明の抗体の標準試料を調製した。
【0087】
2.ELISAによる検出
250μlの100μg/ml sIL‐4Rα溶液を、9.75mlのPBSに添加し、上下に振って混合して、2.5μg/mlの抗原コーティング緩衝液を得た。調製した抗原コーティング緩衝液を、96ウェルELISAプレート(Corning)に、1ウェルあたり100μlの体積で添加した。96ウェルELISAプレートを、保存用フィルムを巻き付けた(保存用フィルムで被覆した)後に、4℃の冷蔵庫内で一晩インキュベートした。翌日、上記プレート内の溶液を廃棄し、2%のBSAを含有するPBSを1ウェルあたり300μlの体積で添加した。96ウェルELISAプレートを、保存用フィルムを巻き付けた(保存用フィルムで被覆した)後に、4℃の冷蔵庫内で2時間インキュベートした。次に、96ウェルELISAプレートを取り出し、上記プレート内の溶液を廃棄し、プレートをPBSTで3回洗浄した。希釈された標準抗体及び検出用血清を、対応するウェルに順次添加し、各試料に関して、同一のウェルを3個複製し、1ウェルあたりの体積は100μlとした。ELISAプレートに保存用フィルムを巻き付け(保存用フィルムで被覆し)、室温で1時間インキュベートした。続いて96ウェルELISAプレート内の溶液を廃棄し、プレートをPBSTで3回洗浄した。その後、TMB溶液(Solarbio、カタログ番号:PR1200)を96ウェルELISAプレートに、1ウェルあたり100μlの体積で、1列ずつ添加した。96ウェルELISAプレート室温に5分間置き、2M H
2SO
4溶液を即座に添加して反応を終了させた。96ウェルELISAプレートをflexstation 3(Molecular Devices)に入れ、OD450の値を読み取り、データを収集し、結果をWinnonlinソフトウェアで算出した。薬物動態の結果を
図1及び以下の表6に示した。
【0088】
【0089】
実施例5:カニクイザルにおける本発明の抗体の薬物動態
抗体を更にスクリーニングするために、一連の薬物動態実験をカニクイザルにおいて実施した。
【0090】
体重がそれぞれ2~5kgの3~5歳のカニクイザルを選択し、抗体(本発明の抗体又は対照抗体2)を、5mg/kg(カニクイザルの体重)の用量で皮下注射した。投与されることになる抗体又は対照抗体2を、使い捨て無菌注射器を用いて正確に抽出し、動物の大腿の内側に多点皮下注射を行い、1地点あたりの注射体積は2ml以下とした。全血試料を、投与前(0時間)、及び投与後0.5、2、4、8、24、48、72、120、168、240、336、432、504、600、672時間の時点で、動物の後肢の皮下静脈から回収した。各動物から回収した血液の体積は、各時点において約0.1mlであった。
【0091】
血液試料には抗凝血剤を添加せず、血液試料採取後2時間以内に、室温における1500gで10分間の遠心分離によって、各試料から血清を分離した。回収した上清を、新たに標識された遠心分離チューブに即座に移し、一時的保管のために-70℃で保管した。カニクイザルにおける抗体の濃度を、実施例4に記載の方法に従って決定した。薬物動態の結果を、
図2及び以下の表7に示す。
【0092】
【0093】
実施例6:FACSによる、TF‐1細胞への本発明の抗体の結合の検出
1.細胞培養
液体窒素中で冷凍させたTF‐1細胞(ATCC:CRL‐2003(商標))を取り出し、37℃の水浴中で穏やかに振盪して迅速に溶解させた。溶解後の細胞懸濁液を15ml遠心分離チューブに移した後、1640培地(Hyclone、カタログ番号:SH30809.01B)をこれに添加して10mlとした。チューブを800rpmで5分間遠心分離し、チューブ中の上清を吸引して除去し、細胞ペレットを保持して再び洗浄した。10%のFBS(Hyclone、カタログ番号:SV30184.02)及び2ng/mlのGM‐CSF(Sino Biological、カタログ番号:10015‐H01H)を含有する、10mlの1640培地を用いて、細胞密度を1×105~1×106細胞/mlに調整した。懸濁液をT75細胞培養フラスコ(Nunc)に移し、細胞を、37℃、5%CO2のインキュベータ(Thermo)内で静置培養した。2~3日毎に細胞懸濁液を取り出し、800rpmで5分間遠心分離し、細胞を10mlの培地中に再懸濁した。その後、1×106個の細胞を計数し、新たなT75細胞培養フラスコに移し、このフラスコに培地を加えて10mlとした。細胞を2~3回連続的に継代させて、実験のために良好な状態に到達させた(細胞は明色であり、個々に懸濁させた場合にわずかに不規則な形状を有していた)。
【0094】
2.細胞処理
TF‐1細胞を取り、顕微鏡下で計数した。細胞を3つの群に分け、3つの1.5ml遠心分離チューブにそれぞれ入れた。各群の細胞の数は、1×106であった。細胞を800rpmで5分間遠心分離した後、再度の洗浄のために、1%のBSAを含有する1mlの低温のPBS中に再懸濁した。続いて細胞を800rpmで5分間遠心分離し、各遠心分離チューブに1%のBSAを含有する45μlの低温PBSを添加して細胞を再懸濁し、5μl(500μg/ml)の本発明の抗体L1021H1031、L1020H1031又はL1012H1031を第1の遠心分離チューブに添加し、また5μlのPBSを、陰性対照としての第2の遠心分離チューブに添加した。細胞を氷上で45分間放置した後、800rpmで5分間遠心分離した。その後細胞を、再度の洗浄のために、1%のBSAを含有する1mlの低温のPBS中に再懸濁し、800rpmで5分間遠心分離した。1%のBSAを含有する499μlの低温のPBSを各遠心分離チューブに添加して細胞を再懸濁した後、これに、1μlのFITC標識ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Beyotime、カタログ番号:A0556)を添加した。氷上で45分間放置した後、細胞を800rpmで5分間遠心分離し、再度の洗浄のために、1%のBSAを含有する1mlの低温のPBS中に再懸濁した。このようにして、検出用の細胞を得た。
【0095】
3.FACSによる検出
FACS機器及びそのオペレーティングシステムを、正確なプロトコルに従って動作させた。性格なパラメータの設定後、細胞を検出チューブに添加して、FL1チャネルの蛍光信号を検出した。結果をFlowJo7.6ソフトウェアで分析し、結果を
図3のパネル3A~3Cに示す。本発明の抗体が、IL‐4Rαを発現するTF‐1細胞に特異的に結合できることを確認できる。
【0096】
実施例7:FACSによる、TF‐1細胞への抗体の結合に対する可溶性hIL‐4Rα(sIL‐4Rα)のブロッキング効果の検出
1.試薬の調製
hIL‐4(InvivoGen、カタログ番号:rhIL‐4)溶液を、実施例2に記載されているとおりに調製した。
【0097】
2.細胞培養
TF‐1細胞(ATCC:CRL‐2003(商標))を、実施例6に記載されているとおりに培養した。
【0098】
3.sIL‐4Rαと本発明の抗体との混合
10μl(100μg/ml)のsIL‐4Rαと、5μl(500μg/ml)の本発明の抗体L1021H1031、L1020H1031又はL1012H1031とを、モル比2:1で、1.5ml遠心分離チューブ内で均一に混合した。10μlのPBSと5μlの本発明の抗体L1021H1031、L1020H1031又はL1012H1031との混合物を陽性対照として利用し、15μlのPBSを陰性対照として利用した。遠心分離チューブを37℃のインキュベータ内に1時間入れた。
【0099】
4.細胞処理
TF‐1細胞を取り、顕微鏡下で計数した。細胞を4つの群に分け、4つの1.5ml遠心分離チューブにそれぞれ入れた。各群の細胞の数は、1×106であった。細胞を800rpmで5分間遠心分離した後、再度の洗浄のために、1%のBSAを含有する1mlの低温のPBS中に再懸濁した。続いて細胞を800rpmで5分間遠心分離し、各遠心分離チューブに1%のBSAを含有する35μlの低温PBSを添加して細胞を再懸濁し、15μlのの、ステップ3で調製した異なる複数の抗体混合物及び対照を、それぞれチューブに添加した。氷上で45分間放置した後、細胞を800rpmで5分間遠心分離し、再度の洗浄のために、1%のBSAを含有する1mlの低温のPBS中に再懸濁し、800rpmで5分間遠心分離した。1%のBSAを含有する499μlの低温のPBSを各遠心分離チューブに添加して細胞を再懸濁した後、これに、1μlのFITC標識ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Beyotime、カタログ番号:A0556)を添加した。氷上で45分間放置した後、細胞を800rpmで5分間遠心分離し、再度の洗浄のために、1%のBSAを含有する1mlの低温のPBS中に再懸濁した。このようにして、検出用の細胞を得た。
【0100】
5.FACSによる検出
FACS機器及びそのオペレーティングシステムを、正確なプロトコルに従って動作させた。性格なパラメータの設定後、細胞を検出チューブに添加して、FL1チャネルの蛍光信号を検出した。結果をFlowJo7.6ソフトウェアで分析し、結果を
図4のパネル4A~4Dに示す。sIL‐4Rαが、TF‐1細胞への本発明の抗体の特異的結合を、特異的かつ効果的にブロックできることを確認できる。
【0101】
実施例8:Biacoreによる抗体親和性の決定
抗ヒトFc(AHC)抗体(GE Healthcare)をCM5チップに結合させ、本発明の抗体をそれぞれAHCでキャプチャした。続いて、様々な濃度のヒトsIL‐4Rαを、本発明の抗体をキャプチャしたチップの表面を通して流した。キャプチャ及び結合のために、本発明の抗体を2μg/mlに希釈し、抗原sIL‐4Rαを0.39、0.78、1.56、3.13、6.25、12.5、25.0、50.0、100.0nMに希釈した。そして、実験方法をBiacore T200制御ソフトウェアにおいて確立した後、検出のために実験プログラムを実行した。結果を以下の表8に示す。
【0102】
【0103】
実施例9:ELISAによる、TARC及びMDC放出に対する本発明の抗体の阻害効果の調査
ヘパリンを用いて抗凝血化された、(寄付された)10mlの新鮮な血液を、PBSと、室温で1:1の比で混合し、混合物を、事前に調製した20mlのヒトリンパ球分離溶液(Solarbio、カタログ番号:P8610)に、注意深く添加した。室温において1500rpmで30分間遠心分離した後、PBMC層を注意深く吸引し、PBSで2回洗浄した。最後に細胞を、10%のFBS及び200IU/mlのIL‐2を含有する1640培地で希釈してから、24ウェルプレートに、1ウェル当たり1×106細胞で添加した。その後、最終濃度1000、300、100、30又は10ng/mlの抗体L1020H1031を各ウェルに添加し、続いてこれに、最終濃度10ng/mlのIL‐4(又は最終濃度100ng/mlのIL‐13)を添加した。培養の72時間後に、ヒトTARC ELISAキット(Abcam、カタログ番号:ab183366)又はヒトMDC ELISAキット(Abcam、カタログ番号:ab179885)によって提供される方法に従って、検出を実施した。
【0104】
結果は
図5のパネル5A~5Bに示されており、これらは、本発明の抗体がTARC及びMDC放出を効果的に阻害できること、並びに放出に対する阻害効果が、抗体濃度の上昇と共に増大することを示している。
【0105】
実施例10:本発明の抗体の薬物動態及び発現レベルに対する、特定のアミノ酸の影響
この実施例では、本発明の抗体のインビボ薬物動態を更に検出及び比較することにより、動物中の抗体の薬物動態に対する、特定の位置の特定のアミノ酸の、可能性のある影響を調査する。具体的な実験方法は実施例4に記載されているものと同一であり、結果を以下の表9に示す。
【0106】
【0107】
具体的な配列から、抗体の重鎖H1031(配列番号91)の配列中の103位(CDR3中)のアミノ酸はAsp(103Asp)であり、104位のアミノ酸はTyr(104Tyr)であることが分かる。103Asp及び104Tyrを重鎖中に有しない抗体に比べて、103Asp及び104Tyrを有する本発明の抗体は、薬物‐時間曲線の下側の面積が2~4倍大きく、また排除速度が約70%低減されている。
【0108】
また、本発明の抗体の発現レベルを検出及び比較することにより、抗体の発現に対する、特定の位置の特定のアミノ酸の、可能性のある影響を調査する。Expi293細胞の培養及びトランスフェクションを実施例1に従って実施し、回収した培養物上清を0.22μmフィルタに通し、精製システムGE AKTA精製器10内のGE MabSelect Sure(カタログ番号:11003494)タンパク質Aアフィニティクロマトグラフィカラムで精製した。精製された抗体を回収し、Amicon限外ろ過濃縮器(カタログ番号:UFC903096)を用いて濃縮した。定量結果を以下の表10に示す。
【0109】
【0110】
具体的な配列から、抗体の軽鎖L1012(配列番号44)、L1020(配列番号55)又はL1023(配列番号51)の配列中の31位(CDR1中)は、Ser(31Ser)であることが分かる。31Serを軽鎖中に有しない抗体に比べて、31Serを有する本発明の抗体は、発現レベルが2~5倍高い。
【0111】
本発明の実施形態に関する上述の説明は、本発明を限定することを意図したものではなく、当業者は本発明に従って様々な変更及び変形を実施でき、上記変更及び変形は、本発明の請求項の精神から逸脱することなく、本発明の請求項の保護範囲内となる。
【配列表】