(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】乾燥粉末吸入器
(51)【国際特許分類】
A61M 15/06 20060101AFI20220216BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A61M15/06 C
A61M15/00 Z
(21)【出願番号】P 2018565679
(86)(22)【出願日】2017-07-11
(86)【国際出願番号】 US2017041445
(87)【国際公開番号】W WO2018017358
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-06
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ステンツラー アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ティバッツ ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】コッカー ロビン クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】キング ベン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッドソン クリストファー イアン
(72)【発明者】
【氏名】ムッティ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハン スティーヴ
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/012102(WO,A1)
【文献】特表2002-501791(JP,A)
【文献】特表2011-504388(JP,A)
【文献】特表2000-515787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/06
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥粉末カートリッジ装置であって、
前部端および後部端を有する細長い本体と、
前記本体の前記前部端に位置付けられた送達用管腔と、
前記本体の前記後部端に位置付けられた粉末貯蔵部と、
前記粉末貯蔵部の前部に位置付けられた粉末計量ドラム組立品と、
前記粉末計量ドラム
組立品に機械的に係合された前記本体の前記前部端に位置付けられた作動キャップとを備え、
前記粉末計量ドラム組立品が、円筒形外側ドラムと、曲がった外部を有する円筒形内側ドラムインサートとを備え、前記円筒形外側ドラムが、前記
円筒形内側ドラムインサートの前記曲がった外部に対して同一面にあり、かつそれに沿って回転可能であり、前記円筒形外側ドラムが、粉末用量開口部と、前記粉末用量開口部から反対側に位置付けられた空気開口部とを備え、
前記粉末貯蔵部内の一分量の粉末が、ピストンによって前記粉末計量ドラム
組立品に向けて進む、装置。
【請求項2】
前記細長い本体が、前記粉末計量ドラム組立品に流体接続された少なくとも一つの空気吸込み口を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記送達用管腔が、渦気流を前記送達用管腔に導入するための側面の空気吸込み口を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記送達用管腔がメッシュを備え、空気流が前記送達用管腔を通して20~40L/分の量で導入され、粉末の凝集および渦気流を細分化する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記
円筒形内側ドラムインサートが、上向きの前記曲がった外部上にある送達用空気吸込み口と、前記送達用空気吸込み口から反対に下向きの前記曲がった外部にある送達用空気出口と、前記送達用空気吸込み口および前記送達用空気出口を接続する前記
円筒形内側ドラムインサートを通過する管腔とを有する、請求項1乃至4のいずれか
1項に記載の装置。
【請求項6】
前記作動キャップが、前記
円筒形内側ドラムインサートの前記曲がった外部の周りで前記
円筒形外側ドラムを回転させる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記
円筒形外側ドラムを回転させて、前記粉末用量開口部を前記粉末貯蔵部の方向を向かせることで、前記粉末貯蔵部からの乾燥粉末の用量を、前記粉末用量開口部および前記
円筒形内側ドラムインサートの前記曲がった外部を境界とする空間に堆積させる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記
円筒形外側ドラムを回転させて、前記粉末用量開口部を前記送達用空気出口と整列させることで同時に、前記空気開口部を前記送達用空気吸込み口と整列させる、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記粉末用量開口部が前記粉末貯蔵部から完全に係合解除されるまでは、前記空気開口部が前記送達用空気吸込み口と重なり始めない、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記送達用空気出口との前記粉末用量開口部の前記整列、および前記送達用空気吸込み口との前記空気開口部の前記整列が、前記細長い本体の前記少なくとも一つの空気吸込み口と、前記
円筒形内側ドラムインサートの前記管腔と、前記送達用管腔との間の流体連通を形成する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
乾燥粉末吸入システムであって、
乾燥粉末吸入器ケーシング装置と、
請求項1の前記乾燥粉末カートリッジ装置と、を備え、
前記乾燥粉末吸入器ケーシング装置
が、
貫通する管腔、開いた前部端、および閉じた後部端を有するケーシングと、
前記ケーシング管腔内にあるプランジャーと、
前記プランジャーと前記ケーシングの前記閉じた後部端との間に位置付けられた前記ケーシング管腔内のプランジャーばねとを備え、
前記ケーシングの前記開いた前部端が前記乾燥粉末カートリッジ装置を受ける、
システム。
【請求項12】
前記粉末貯蔵部が枯渇すると前記ピストンが前方向に進むように、前記プランジャーばねが前記プランジャーを請求項1の前記乾燥粉末カートリッジ装置の前記ピストンに対して押し付ける、請求項11に記載の
システム。
【請求項13】
前記プランジャーの前進および位置を窓越しに決定することができるように、前記ケーシングが、前記プランジャーの一部分が見える前記窓を備える、請求項11に記載の
システム。
【請求項14】
乾燥粉末吸入システムであって、
乾燥粉末吸入器ケーシング装置と、
請求項1の前記乾燥粉末カートリッジ装置と、
少なくとも一分量の粉末とを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本明細書は、仮特許明細書第62/450,327号(2017年1月25日提出)および第62/365,201号(2016年7月21日提出)の優先権を主張するものであり、両方を参照することによってその全文が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
喫煙者および傍観者に対する従来のたばこの健康有害性については十分に文書化されているため、対象者の肺にニコチンを送達するための適切な代替品を見つけるという市場の変化がある。理想的には、副流煙を生成することなしに、また従来のたばこ喫煙に伴う不快な匂いなしに、ニコチンが対象者の肺に送達されるべきである。これを達成する一つの機構は、乾燥粉末製剤としてニコチンを吸入することによる。こうしたシステムにおいて、乾燥粉末吸入器は、粉末が吸収されて血流に入れられるために、肺の内表面に粉末を堆積させるために使用される。ところが残念ながら、大半の乾燥粉末吸入器は数多くの望ましくない特徴を有する。
【0003】
例えば、粉末貯蔵部を利用する数多くの装置は、適切に計量された用量を送達すること、空になるにつれて貯蔵部を通して粉末を進めること、および粉末用量をユーザーに適切に送達することが困難である。Turbuhaler(登録商標)、Twisthaler(登録商標)、およびNEXThalerなどを含む現在の粉末送達装置はまた、使いやすさおよび一般的デザインによる制限がある。上述の装置は、適切な用量送達を確保するためにユーザーが装置を直立して保持する必要があり、また処方薬の明確な特徴を有する必要がある。
【0004】
現在の粉末送達装置はまた、従来のたばこ喫煙に匹敵する流量で適切な粉末用量を送達する能力がない。医療用乾燥粉末吸入器は、一般に60リットル/分(L/分)~100L/分以上の範囲の高い吸気流量を必要とする。流量が低すぎると(例えば、15L/分以下の範囲)、自然に感じられる毎回の用量を引き出すのに時間がかかりすぎることになる。理想的には、流量は従来のたばこ喫煙に匹敵する30L/分の範囲であるべきである。
【0005】
一つの既存の装置が、Bulbrookに対する米国特許番号6,234,169号(「Bulbrook」)に示されており、これには円錐内で渦様の効果を発生させるための乾燥粉末貯蔵部内に突き出した円錐形の装置が記述されている。この装置は渦を使用して貯蔵部内に落下させ、粉末のスラグを拾い上げて、それを個人の気道に送達する。ところが、Bulbrookの設計上の著しい制限は、粉末の凝集を十分に分散して望ましいエアロゾルをユーザーに送達するために、貯蔵部内に適切なエネルギーを提供しないことである。Bulbrookの設計ではまた、偶発的な粉末の放出を防止する信頼できる方法や、貯蔵部を切り替えるための機能が欠如している。
【0006】
そのため当業界において、信頼できる方法で乾燥粉末製剤を向きに関係なく計量し、吸入のために凝集が適切に分散された乾燥粉末を送達し、その一方で個別の設計において使いやすさを維持する、貯蔵部乾燥粉末吸入器のニーズがある。本発明はこのニーズを満足する。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明は、前部端および後部端を有する細長い本体と、本体の前部端に位置付けられた送達用管腔と、本体の後部端に位置付けられた粉末貯蔵部と、粉末貯蔵部の前部に位置付けられた粉末計量ドラム組立品と、粉末計量ドラムに機械的に係合された本体の前部端に位置付けられた作動キャップとを含み、ここで粉末貯蔵部内の一分量の粉末が、ピストンによって粉末計量ドラムに向けて進む、乾燥粉末カートリッジ装置に関連する。
【0008】
一つの実施形態において、細長い本体は、粉末計量ドラム組立品に流体接続された少なくとも一つの空気吸込み口を備える。一つの実施形態において、送達用管腔は、渦気流を送達用管腔に導入する側面空気吸込み口を備える。一つの実施形態において、送達用管腔は、粉末凝集および渦気流を細分化するメッシュを備える。一つの実施形態において、送達用管腔を通して20~40L/分の量で導入される気流は、粉末凝集および渦気流を細分化するのに十分である。
【0009】
一つの実施形態において、粉末計量ドラム組立品は、円筒形外側ドラムと、曲がった外部を有する円筒形内側ドラムインサートとを備え、ここで円筒形外側ドラムは、内側ドラムインサートの曲がった外部に対して同じ高さにあり、かつそれに沿って回転可能であり、またここで円筒形外側ドラムは、粉末用量開口部と、粉末用量開口部とは反対側に位置付けられた空気開口部とを備える。一つの実施形態において、内側ドラムインサートは、上向きの曲がった外部上にある送達用空気吸込み口と、送達用空気吸込み口から反対に下向きの曲がった外部にある送達用空気出口と、送達用空気吸込み口と送達用空気出口を接続する内側ドラムインサートを通過する管腔とを有する。
【0010】
一つの実施形態において、作動キャップは、外側ドラムを内側ドラムインサートの曲がった外部の周りで回転させる。一つの実施形態において、粉末用量開口部を粉末貯蔵部に面するように回転させると、粉末貯蔵部からのある用量の乾燥粉末が、粉末用量開口部および内側ドラムインサートの曲がった外部を境界とする空間に堆積する。一つの実施形態において、外側ドラムを回転させて、粉末用量開口部を送達用空気出口と整列させることで同時に、空気開口部を送達用空気吸込み口と整列させる。一つの実施形態において、空気開口部は、粉末用量開口部が粉末貯蔵部から完全に係合解除されるまでは、送達用空気吸込み口と重なり始めない。一つの実施形態において、送達用空気出口との粉末用量開口部の整列、および送達用空気吸込み口との空気開口部の整列によって、細長い本体の少なくとも一つの空気吸込み口と、内側ドラムインサートの管腔と、送達用管腔との間の流体連通が形成される。
【0011】
別の態様において、本発明は、貫通した管腔、開いた前部端、および閉じた後部端を有するケーシングと、ケーシング管腔内のプランジャーと、プランジャーとケーシングの閉じた後部端との間に位置付けられたケーシング管腔内のプランジャーばねとを備え、ここでケーシングの開いた前部端が、本発明のカートリッジを受けるようなサイズである、乾燥粉末吸入器ケーシング装置に関連する。
【0012】
一つの実施形態において、プランジャーばねは、粉末貯蔵部が枯渇するとピストンが前方向に進むように、プランジャーをカートリッジのピストンに対して押し付ける。一つの実施形態において、ケーシングは、プランジャーの前進および位置を窓越しに決定できるように、プランジャーの一部分が見える窓を備える。
【0013】
別の態様において、本発明は乾燥粉末吸入システムに関連し、乾燥粉末吸入器ケーシング装置と、粉末貯蔵部および粉末計量ドラム組立品を有する少なくとも一つのカートリッジと、少なくとも一分量の粉末とを備える。
【0014】
一つの実施形態において、少なくとも一分量の粉末は、少なくとも一つのカートリッジ粉末貯蔵部内に予め装填されている。一つの実施形態において、少なくとも一分量の粉末は、少なくとも一つのカートリッジ粉末貯蔵部内に手動で装填されている。一つの実施形態において、少なくとも一つの粉末吸入器ケーシングおよび少なくとも一つのカートリッジは互換性がある。一つの実施形態において、少なくとも一つのカートリッジは使い捨てである。
【0015】
以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、付属の図面と併せて読むことでより良く理解される。本発明を例証する目的で、図面では現時点で好ましい実施形態が示されている。ところが、当然のことながら本発明は、図面に示されている実施形態の正確な配置や器具に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、例示的な乾燥粉末吸入器(DPI)カートリッジを、前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図1B】
図1Bは、例示的な乾燥粉末吸入器(DPI)カートリッジを、背面右からの見た斜視図を描写するものである。
【
図2】
図2は、例示的なDPIカートリッジのワイヤフレームを左から見た断面図を描写するものである。
【
図3A】
図3Aは、例示的なDPIカートリッジ本体を、前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図3B】
図3Bは、例示的なDPIカートリッジ本体を、背面右から見た斜視図を描写するものである。
【
図3C】
図3Cは、例示的なDPIカートリッジ本体を、前面左から見た横断面図を描写するものである。
【
図3D】
図3Dは、例示的なDPIカートリッジ本体を、前面左から見た上部断面図を描写するものである。
【
図4A】
図4Aは、例示的なDPIカートリッジドラムを前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図4B】
図4Bは、例示的なDPIカートリッジドラムを背面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図5A】
図5Aは、例示的なDPIカートリッジドラムインサートを前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図5B】
図5Bは、例示的なDPIカートリッジドラムインサートを背面右から見た斜視図を描写するものである。
【
図5C】
図5Cは、例示的なDPIカートリッジドラムインサートを底部から見た斜視図を描写するものである。
【
図6A】
図6Aは、例示的なDPIカートリッジドラム内の例示的なDPIカートリッジドラムインサート(影付き)を前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図6B】
図6Bは、例示的なDPIカートリッジドラム内の例示的なDPIカートリッジドラムインサート(影付き)を背面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図6C】
図6Cは、例示的なDPIカートリッジドラム内の例示的なDPIカートリッジドラムインサート(影付き)を底部から見た斜視図を描写するものである。
【
図7】
図7は、例示的なDPIカートリッジキャップを前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図8A】
図8Aは、例示的なDPIカートリッジ貯蔵部を前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図8B】
図8Bは、例示的なDPIカートリッジ貯蔵部を前面左から見た断面図(ピストン付き)を描写するものである。
【
図9A】
図9Aは、例示的なDPIカートリッジサイクロンインサートの様々な図であり、前面左から見た図を描写するものである。
【
図9B】
図9Bは、例示的なDPIカートリッジサイクロンインサートの様々な図であり、背面右から見た図を描写するものである。
【
図9C】
図9Cは、例示的なDPIカートリッジサイクロンインサートの様々な図であり、後方から見た図を描写するものである。
【
図10A】
図10Aは、作動の各段階の例示的なDPIカートリッジのワイヤフレーム断面図を描写するものである。
図10Aおよび
図10Bは、キャップが閉じている状態と、対応するドラムの向きを描写するものである。
【
図10B】
図10Bは、作動の各段階の例示的なDPIカートリッジのワイヤフレーム断面図を描写するものである。
図10Aおよび
図10Bは、キャップが閉じている状態と、対応するドラムの向きを描写するものである。
【
図10C】
図10Cは、作動の各段階の例示的なDPIカートリッジのワイヤフレーム断面図を描写するものである。
図10Cおよび
図10Dは、キャップが部品的に開いている状態と、対応するドラムの向きを描写するものである。
【
図10D】
図10Dは、作動の各段階の例示的なDPIカートリッジのワイヤフレーム断面図を描写するものである。
図10Cおよび
図10Dは、キャップが部品的に開いている状態と、対応するドラムの向きを描写するものである。
【
図10E】
図10Eは、作動の各段階の例示的なDPIカートリッジのワイヤフレーム断面図を描写するものである。
図10Eおよび
図10Fは、キャップが完全に開いた状態と、対応するドラムの向きを描写するものである。
【
図10F】
図10Fは、作動の各段階の例示的なDPIカートリッジのワイヤフレーム断面図を描写するものである。
図10Eおよび
図10Fは、キャップが完全に開いた状態と、対応するドラムの向きを描写するものである。
【
図11】
図11は、DPIカートリッジが挿入された、例示的な三角形のDPIの斜視図を描写するものである。
【
図12A】
図12Aは、左から見た例示的な三角形のDPIのワイヤフレーム断面図であり、DPIカートリッジのない状態を描写するものである。
【
図12B】
図12Bは、左から見た例示的な三角形のDPIのワイヤフレーム断面図であり、DPIカートリッジのある状態を描写するものである。
【
図13A】
図13Aは、例示的な三角形のDPIシャトル部品を前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図13B】
図13Bは、例示的な三角形のDPIシャトル部品を背面右から見た斜視図を描写するものである。
【
図14A】
図14Aは、例示的な三角形のDPIシャトル部品の様々な図であって、前面左から見た断面図を描写するものである。
【
図14B】
図14Bは、例示的な三角形のDPIシャトル部品の様々な図であって、前面右から見た図を描写するものである。
【
図15】
図15は、例示的な三角形のDPIプランジャー部品を前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図16A】
図16Aは、例示的な三角形のDPIエンフォーサー部品の前面左斜視図であって、分離した状態を描写するものである。
【
図16B】
図16Bは、例示的な三角形のDPIエンフォーサー部品の前面左斜視図であって、プランジャー部品(影付き)と組み合わせた状態を描写するものである。
【
図17A】
図17Aは、例示的な三角形のDPI燃料ゲージ部品の前面左斜視図であって、プランジャー部品およびエンフォーサー部品と組み合わせた状態を描写するものである。
【
図17B】
図17Bは、例示的な三角形のDPI燃料ゲージ部品の前面左斜視図であって、シャトル部品と組み合わせた状態を描写するものである。
【
図18A】
図18Aは、例示的な三角形のDPIスリーブ部品を、前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図18B】
図18Bは、例示的な三角形のDPIスリーブ部品を、前面左から見た断面斜視図を描写するものである。
【
図18C】
図18Cは、例示的な三角形のDPIスリーブ部品を、右から見た斜視図を描写するものである。
【
図18D】
図18Dは、例示的な三角形のDPIスリーブ部品を、底部から見た斜視図を描写するものである。
【
図19】
図19は、シャトル部品と組み合わせた例示的な三角形のDPIスリーブ部品(影付き)の右側面図を描写するものである。
【
図20】
図20は、
図17Aで描写した組立品と組み合わせた例示的な三角形のDPIスリーブ部品の前面左斜視図を描写するものである。
【
図21A】
図21Aは、例示的な三角形のDPIシャトルキャップ部品の前面左斜視図を描写するものである。
【
図22A】
図22Aは、
図20で描写した組立品と組み合わせた例示的な三角形のDPIシャトルキャップ部品の前面左斜視図を描写するものである。
【
図22B】
図22Bは、
図20で描写した組立品と組み合わせた例示的な三角形のDPIシャトルキャップ部品の角度付き前面図を描写するものである。
【
図22C】
図22Cは、
図20で描写した組立品と組み合わせた例示的な三角形のDPIシャトルキャップ部品のシャトル部品と組み合わせた図を描写するものである。
【
図23A】
図23Aは、例示的な三角形のDPIシャーシ部品の様々な図であって、前面左から見た図を描写するものである。
【
図23B】
図23Bは、例示的な三角形のDPIシャーシ部品の様々な図であって、右後ろから見た図を描写するものである。
【
図23C】
図23Cは、例示的な三角形のDPIシャーシ部品の様々な図であって、前面左からの破断図を描写するものである。
【
図24】
図24は、シャトル部品と組み合わせた例示的な三角形のDPIシャーシ部品の前面左図を描写するものである。
【
図25A】
図25Aは、例示的な三角形のDPIロータリーロック部品の様々な図であって、分離した状態を描写するものである。
【
図25B】
図25Bは、例示的な三角形のDPIロータリーロック部品の様々な図であって、シャーシ部品、シャトル部品、および各種ばねと組み合わせた状態(影付き)を描写するものである。
【
図26A】
図26Aは、例示的な三角形のDPIシャーシ部品と、ロータリーロック部品と、シャトル部品との間の作動機構を順に示す破断図を描写するものである。
【
図26B】
図26Bは、例示的な三角形のDPIシャーシ部品と、ロータリーロック部品と、シャトル部品との間の作動機構を順に示す破断図を描写するものである。
【
図26C】
図26Cは、例示的な三角形のDPIシャーシ部品と、ロータリーロック部品と、シャトル部品との間の作動機構を順に示す破断図を描写するものである。
【
図26D】
図26Dは、例示的な三角形のDPIシャーシ部品と、ロータリーロック部品と、シャトル部品との間の作動機構を順に示す破断図を描写するものである。
【
図27A】
図27Aは、例示的な三角形のDPIに装填されている例示的なDPIカートリッジを順に示す断面左側面図を描写するものである。
【
図27B】
図27Bは、例示的な三角形のDPIに装填されている例示的なDPIカートリッジを順に示す断面左側面図を描写するものである。
【
図27C】
図27Cは、例示的な三角形のDPIに装填されている例示的なDPIカートリッジを順に示す断面左側面図を描写するものである。
【
図27D】
図27Dは、例示的な三角形のDPIに装填されている例示的なDPIカートリッジを順に示す断面左側面図を描写するものである。
【
図28A】
図28Aは、乾燥粉末の用量を分配し、かつ例示的な三角形のDPIに装填されている間に乾燥粉末の貯蔵部供給物を前進させる例示的なDPIカートリッジを順に示す断面左側面図を描写するものである。
図28Aおよび
図28Bは、単回の乾燥粉末用量を分配した後での貯蔵部供給物の前進を描写するものである。
【
図28B】
図28Bは、乾燥粉末の用量を分配し、かつ例示的な三角形のDPIに装填されている間に乾燥粉末の貯蔵部供給物を前進させる例示的なDPIカートリッジを順に示す断面左側面図を描写するものである。
図28Aおよび
図28Bは、単回の乾燥粉末用量を分配した後での貯蔵部供給物の前進を描写するものである。
【
図28C】
図28Cは、乾燥粉末の用量を分配し、かつ例示的な三角形のDPIに装填されている間に乾燥粉末の貯蔵部供給物を前進させる例示的なDPIカートリッジを順に示す断面左側面図を描写するものである。
図28Cは、乾燥粉末の複数の用量を分配した後での貯蔵部供給物の前進を描写するものである。
【
図28D】
図28Dは、乾燥粉末の用量を分配し、かつ例示的な三角形のDPIに装填されている間に乾燥粉末の貯蔵部供給物を前進させる例示的なDPIカートリッジを順に示す断面左側面図を描写するものである。
図28Dは、乾燥粉末のすべての用量を分配した後での枯渇した貯蔵部供給物を描写するものである。
【
図29A】
図29Aは、例示的なマイクロDPIの前面左上部から見た斜視図を描写するものである。
【
図29B】
図29Bは、例示的なマイクロDPIの前面右底部から見た斜視図を描写するものである。
【
図30A】
図30Aは、例示的なマイクロDPIの断面左側面図であって、DPIカートリッジのない状態を描写するものである。
【
図30B】
図30Bは、例示的なマイクロDPIの断面左側面図であって、DPIカートリッジのある状態を描写するものである。
【
図31】
図31は、例示的なマイクロDPIケーシングの断面前面左斜視図を描写するものである。
【
図32A】
図32Aは、例示的なマイクロDPIプランジャー部品の前面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図32B】
図32Bは、例示的なマイクロDPIプランジャー部品の背面左から見た斜視図を描写するものである。
【
図33】
図33は、例示的なマイクロDPIの断面前面左斜視図を描写するものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は部品的に、乾燥粉末を分配するための乾燥粉末吸入器(DPI)装置、およびそれを使用するための方法を提供する。DPI装置は、計量された乾燥粉末の用量を準備し、かつユーザーの肺に送達するために乾燥粉末の用量を混入し、その凝集を分散するのに十分な空気を乱流によって仕向けることができるドラム機構を有する、交換可能なカートリッジを備える。DPI装置は、プランジャーによって前進される乾燥粉末の貯蔵部と、プランジャーとともに前進して貯蔵部内に残る乾燥粉末の量を示すゲージとを備える。
【0018】
定義
当然のことながら、本発明の図および説明は、本発明を明確に理解するために関連性のある要素を例証するために簡略化されている一方、明確化の目的で、当技術で典型的に見られる数多くの任意の要素が取り除かれている。通常の技能を有する当業者であれば、本発明の実施においてその他の要素および/または工程が望ましい、および/または要求されることを認識しうる。ところが、こうした要素および工程は当業界で周知であるため、および本発明のより良い理解を促進しないため、こうした要素および工程の考察は本明細書では提供されていない。本明細書の開示は、当業者にとって周知の要素および方法に対するすべての変形および変更を対象とする。
【0019】
他の場所で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および学術用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書に説明されているものと類似または同等の任意の方法および材料が、本発明の実施または試験に使用されうるが、好ましい方法および材料について説明する。
【0020】
本明細書で使用する以下のそれぞれの用語は、本セクションでその用語に関連付けた意味を有する。
【0021】
本明細書で使用する「一つ」という用語は、この用語の被修飾語の一つ、または一つ以上(例えば、少なくとも一つ)を言及するために使用される。一例として、「一つの要素」は、一つのある要素または一つ以上のある要素を意味する。
【0022】
量、時間の長さ、およびこれに類するものなどの測定可能な値に言及する時に本明細書で使用される「約」は、特定の値の±20%、±10%、±5%、±1%、および±0.1%の変動を(そうした変動が適切な場合に)含むことが意図される。
【0023】
本開示全体を通して、本発明の様々な態様は範囲の形式で提示されることがある。当然のことながら、範囲形式での説明は、単に便宜と簡潔さのためであり、本発明の範囲について融通性のない限界として解釈されるべきではない。従って、範囲の説明には、具体的に開示されたすべての可能性のある部分的範囲や、その範囲内の個別の数値が含まれると見なされるべきである。例えば、1~6といった範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示された部分的範囲の他、その範囲内にある個別の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6、および任意の整数およびその間の少数を含むものと見なされるべきである。これは範囲の幅に関係なく適用される。
【0024】
乾燥粉末吸入器カートリッジ
一態様において、本発明は乾燥粉末を貯蔵および送達する機能を備える乾燥粉末吸入器(DPI)カートリッジを提供する。DPIカートリッジは、設計上振動がほとんどまたは全くない互換性のある任意のDPIと併用されてもよい。
【0025】
ここで
図1Aおよび
図1Bを参照すると、例示的なDPIカートリッジ100が描写されている。カートリッジ100は、前部端104および後部端106を有し、カートリッジ本体102、前部端104にあるキャップ110、および後部端106にある貯蔵部108を備える。特定の実施形態において、カートリッジ100はトリム112を備える。トリム112は、ロゴを表示するなどの装飾的なものでもよく、または乾燥粉末製剤を示すためのカラーコードもしくはラベルで情報を与えるものでもよい。
【0026】
ここで
図2を参照すると、例示的なDPIカートリッジ100の構成要素が描写されている。カートリッジ100はドラム114、ドラムインサート116、およびサイクロンインサート118をさらに備える。貯蔵部108はピストン109をさらに備える。
【0027】
ここで
図3A~
図3Dを参照すると、カートリッジ本体102が説明されている。後部端106から始まり、カートリッジ本体102は貯蔵部ポート124、ねじ山120、空気吸込み口122a、空気吸込み口122b、空気吸込み口122c、空気チャネル123、送達用管腔126を備える。貯蔵部スロット121は、本明細書の他の部分で説明されている通り、貯蔵部108を固定するために提供されている。トリムタブ132はトリム112を取り付けるために提供されている。ドラム組立品ポート128は、ドラム114およびドラムインサート116を受けるために提供されている。ドラムインサートタブ130は、本明細書の他の部分で説明されている通り、ドラムインサート116を所定位置に固定する。空気吸込み口122Bおよび122Cは、本明細書の他の部分で説明されている通り、サイクロンインサート118を固定する追加的な機能を実施する。カートリッジ本体102の断面図は、粉末入口ポート133および粉末送達チャンバー134を明らかにする。
【0028】
ここで
図4Aおよび
図4Bを参照すると、ドラム114が説明されている。ドラム114は、開いた端を有する実質的に中空の円筒形状を含み、ここで曲面は粉末用量開口部136および空気開口部138を有する。ドラム114の左側には、本明細書の他の部分で説明されている通り、キャップ110を係合させる作動スロット140が提供されている。
【0029】
ここで
図5A~
図5Cを参照すると、ドラムインサート116が説明されている。ドラムインサート116は、閉じた端を有する実質的に中実の円筒形状を備え、ここで湾曲外表面は送達用空気吸込み口142および送達用空気出口144を有し、ドラムインサート116の幅を通過する管腔の2つの端を形成する。装置10の内側構成要素に対して作用する各種のばね荷重によって、ドラムインサート116は、粉末の閉じ込めおよび一貫した気流のために必要な特定のすきまを維持するために、カートリッジ本体102のドラム組立品ポート128内に正確かつ確実に位置付けられなければならない。よって、ドラムインサート116には、ドラムインサートタブ130と係合してドラムインサート116を確実に位置付けるドラムインサートスロット146など、構造的に安定化させる特徴が提供されており、これがドラムインサート116の周りでのドラム114の滑らかな作動を可能にする。
【0030】
ここで
図6A~
図6Cを参照すると、ドラム114とドラムインサート116の組み合わせが説明されている。ドラム114は、粉末用量開口部136がドラムインサート116の外表面に対して粉末用量ポケット147を形成するように、ドラムインサート116上に同一面でフィットする。ドラム114は、ドラムインサート116の外表面の周りを回転可能であり、ここで粉末用量ポケット147に含まれた一分量の乾燥粉末は、ドラムインサートの外表面の周りで再配置されうる。様々な構成において、本明細書の他の部分で説明されている通り、ドラム114は、粉末用量開口部136を送達用空気出口144と整列させるために、および空気開口部138を送達用空気吸込み口142と整列させるために回転されうる。
【0031】
ここで
図7を参照すると、キャップ110が説明されている。キャップ110は、本明細書の他の部分で説明されている通り、キャップ110が作動してドラム114をドラムインサート116の周りで回転させうるように、作動スロット140を係合させる作動タブ148を備える。キャップ110は、
図1Aおよび
図1Bに描写した通り、カートリッジ本体102上に固定される時に、送達用管腔126を覆うような形状である。
【0032】
ここで
図8Aおよび
図8Bを参照すると、貯蔵部108が説明されている。貯蔵部108は、開いた端を有する実質的に中空の円筒形状を含み、ここで粉末管腔150は、一分量の乾燥粉末を保持するために貯蔵部108内に配置されている。ピストン109は、その分量の乾燥粉末の後部に配置に位置付けられ、貯蔵部108内でその分量の乾燥粉末を集密し前進させる。
図8Bは、前部位置にあるピストン109を描写するものであり、 貯蔵部108が空であることを示す。図示されていないが、完全にまたは部分的に充填された貯蔵部108は、貯蔵部108内に一分量の乾燥粉末を確保するために前部端104にストッパーまたはシールをさらに備えうる。貯蔵部108は、貯蔵部スロット121を係合させて、貯蔵部108をカートリッジ本体102内に固定するための貯蔵部タブ151を備える。
【0033】
ここで
図9A~
図9Cを参照すると、サイクロンインサート118が説明されている。サイクロンインサート118は、サイクロンメッシュ154およびサイクロン空気吸込み口156を備える。サイクロン空気吸込み口156は、空気吸込み口122bから横方向の空気158を導入して、サイクロンインサート118内で渦を発生させる。サイクロンメッシュ154は、乾燥粉末送達中の乾燥粉末の凝集を細分化するために、および渦を分断するために提供される。
【0034】
ここで
図10A~
図10Fを参照すると、カートリッジ100を使用して乾燥粉末の用量を計量して送達する機構が説明されている。
図10Aは閉じた構成にあるキャップ110を描写するものであり、
図10Bは対応するドラム114の向きを描写している。粉末用量開口部136(影付き)は、入ってくる乾燥粉末の用量を受けるために粉末入口ポート133に面する。
図10Cは部分的に開いた構成にあるキャップ110を描写するものであり、
図10Dは対応するドラム114の向きを描写している。粉末用量開口部136(影付き)が乾燥粉末の用量を切り離し、回転して、送達用空気出口144と重なり、粉末送達チャンバー134に面するように、キャップ110の作動はドラム114を回転させている。送達用空気出口144の開いた空間を重ねることで、粉末用量開口部136(影付き)内の乾燥粉末の用量が粉末送達チャンバー134と整列する。
図10Eは完全に開いた構成にあるキャップ110を描写するものであり、
図10Fは対応するドラム114の向きを描写している。粉末用量開口部136(影付き)が送達用空気出口144と整列し、かつ空気開口部138(影付き)が送達用空気吸込み口142と整列するように、キャップ110の完全な作動はドラム114を回転させている。注目すべきことは、空気開口部138が送達用空気吸込み口142と整列せず、そのため、余分な粉末が乾燥粉末用量に不用意に導入されるのを防止するために粉末用量開口部136が粉末入口ポート133から完全に係合解除されるまで、空気の通過が可能にならないことである。送達用管腔126に真空を適用することは、空気が空気吸込み口122A、空気吸込み口122C、および空気チャネル123を通して入り、空気開口部138(影付き)、送達用空気吸込み口142、送達用空気出口144、粉末用量開口部136を通過して、粉末送達チャンバー134に入ることを可能にし、そこで空気に乾燥粉末の用量が混入される。次に、乾燥粉末が混入された空気は、サイクロン空気吸込み口156の後部端に入り、ここで横方向の空気158が、乾燥粉末が混入された空気を通過して渦を形成し、サイクロンメッシュ154を通過し、送達用管腔126を通って出る。カートリッジ100の構成要素の寸法および配置によって、円滑な空気流量(例えば、20~40L/分の範囲)を使用して、十分に凝集が分散された粉末の用量を分配する。
【0035】
乾燥粉末吸入器
一態様において、本発明は本発明のDPIカートリッジと互換性のある乾燥粉末吸入器(DPI)を提供する。DPIは一般に、使用に伴い乾燥粉末の量が減少するにつれて、DPIカートリッジのピストンと係合してDPIカートリッジ内の一分量の乾燥粉末を進めるプランジャーシステムを備える。
【0036】
ここで
図11を参照すると、例示的なDPIケーシング200が描写されている。DPIケーシング200は、前部端202および後部端204を有し、ケーシング206を備える。ケーシング206は
図11において実質的に三角形の断面を有するものとして描写されている一方、当然のことながらケーシング206は任意の適切な形状の断面を備えうる。DPIケーシング200は前部端202でカートリッジ100を受ける。特定の実施形態において、カートリッジ100内に残っている乾燥粉末の量を示すために、燃料ゲージ窓207がケーシング206に提供されている。
【0037】
ここで
図12Aおよび
図12Bを参照すると、例示的なDPIケーシング200の構成要素が描写されている。後部端204から始まり、DPIケーシング200は、カムばね226、シャトルばね210、シャーシ209、プランジャーばね214、シャトル208、プランジャー212、エンフォーサー218、燃料ゲージ216、スリーブ220、およびシャトルキャップ222を備える。
【0038】
ここで
図13A、
図13B、
図14A、および
図14Bを参照すると、シャトル208が説明されている。シャトル208は、開いた前部端および閉じた後部端を有する実質的に中空の円筒形状を備える。前部端付近でシャトル208は、本明細書の他の部分で説明されている通り、シャトルキャップ222を固定するためのシャトルキャップスロット232を備える。後部端付近でシャトル208はシャトルトラック230を備え、これを通してプランジャーばね保持器228が見える。後部端でシャトル208は、本明細書の他の部分で説明されている通り、90度の間隔で配置されたシャトルカムストッパー235と、シャトルカム機構234とを備える。本明細書の他の部分で説明されている通り、スリーブ220を係合させるための歯236が提供されている。特定の実施形態において、ある程度の柔軟性を歯に236に与える余裕空間238が提供されている。
【0039】
ここで
図15を参照すると、プランジャー212が説明されている。プランジャー212は、実質的に中空の円筒形の本体を備え、ここでディスク形状のばね座242が内部に配置されている。プランジャーチップ240は、ばね座242から前方向に延びる。プランジャー212および取り付けられた構成要素が回転することなくシャトル208内を横方向にスライドするように、プランジャー212の外部は、シャトル208のシャトルトラック230を係合させるトラックスライダー246を備える。特定の実施形態において、プランジャー212は、本明細書の他の部分で説明されている通り、燃料ゲージ216を固定するために燃料ゲージスロット244をさらに備える。
【0040】
ここで
図16Aおよび
図16Bを参照すると、エンフォーサー218が説明されている。エンフォーサー218は、プランジャー212と嵌合した時にエンフォーサー218が実質的に連続的な円筒形の表面を形成するような形状である。エンフォーサー218は、エンフォーサー218がDPIケーシング200内で回転しないようにするねじ山248およびスプライン250を備える。
【0041】
ここで
図17Aおよび
図17Bを参照すると、燃料ゲージ216が説明されている。燃料ゲージ窓207を備えるDPIケーシング200の実施形態において、DPIケーシング200内に設置されたカートリッジ100内に残っている乾燥粉末の量を示すために燃料ゲージ216が提供されている。燃料ゲージ216は、プランジャー252の燃料ゲージスロット244内にフィットする燃料ゲージタブ252を備える。
【0042】
ここで
図18A~
図18Dを参照すると、スリーブ220が説明されている。スリーブ220は、本明細書の他の部分で説明されている通り、両端が開き、エンフォーサー218のねじ山248と係合するサイズの内部ねじ山254を有する、実質的に中空の円筒形状を備える。スリーブ220は短いカフ258および長いカフ260を備え、ここで短いカフ258および長いカフ260は、本明細書の他の部分で説明されている通り、カートリッジ100のねじ山120によって作動され、シャトル208内のスリーブ220を回転させる。スリーブ220は、その後部端に、シャトル208の歯236を係合させるための戻り止め256を備える(
図19にも描写)。戻り止め256と歯236の間の係合は、シャトル208内でのスリーブ220の回転に触覚的なロックおよびアンロックの機能を提供し、ねじ山に対するばね荷重の影響下で、機構が自然に回転するのを阻止する。ここで
図20を参照すると、スリーブ220がプランジャー212、エンフォーサー218、および燃料ゲージ216とともに描写されている。
【0043】
ここで
図21Aおよび
図21Bを参照すると、シャトルキャップ222が説明されている。シャトルキャップ222は、カートリッジ100のねじ山120に係合するサイズの内部ねじ山262を有する実質的にリング状の形状を備える。シャトルキャップ222は、シャトル208のシャトルキャップスロット232を係合させるためのシャトルキャップタブ264をさらに備える。ここで
図22Aを参照すると、シャトルキャップ222(影付き)は、プランジャー212、エンフォーサー218、燃料ゲージ216(影付き)、およびスリーブ220と組み合わせて描写されている。ここで
図22Bを参照すると、スリーブ220の短いカフ258および長いカフ260は、内部ねじ山262のすぐ上のシャトルキャップ222の内表面に対して同一面にある。ここで
図22Cを参照すると、
図22Aの組立品はシャトル208と組み合わせて描写されている。
【0044】
ここで
図23A~
図23Cを参照すると、シャーシ209が説明されている。シャーシ209は、開いた前部端および閉じた後部端を有する実質的に中空の円筒形状を備える。シャーシ209は、その外部に沿ってシャトルトラック230と整列するシャーシトラック266(
図24に図示)を備える。シャーシ209は、その内部後部端にシャーシカム機構268をさらに備える。
【0045】
ここで
図25Aおよび25Bを参照すると、ロータリーロック224が説明されている。ロータリーロック224は、その内部に沿って一連の歯を有し、およびその外部に沿って90度間隔で配置されたロータリーロックストッパー270を有する実質的にリング状の形状を備える。
図25Bにおいて、シャーシカム機構268と、ロータリーロック224(影付き)と、シャトルカム機構234の歯との間の相互作用が描写されており、ここでシャーシカム機構268およびシャトルカム機構234は連動して、ロータリーロック224を段階的に回転させ、またここでロータリーロック224の回転は、ロータリーロックストッパー270とシャトルカムストッパー235を係合および係合解除して、シャトル208をロックおよびアンロックする。
【0046】
ここで
図26A~
図26Dを参照すると、ロータリーロック224(影付き)を回転させてシャトル208をロックおよびアンロックする機構が描写されている。この機構は格納式PENカム機構の機能と類似している。明瞭にする目的で、シャーシ209およびロータリーロック224の部分は切り取られている。
図26Aから参照し始めると、シャトル208は、ロータリーロックストッパー270を係合させるシャトルカムストッパー235のため、ロックされた位置にあり、これがシャトル208内での前部移動を防いでいる。カムばね226はシャーシ209とロータリーロック224の間にばね力を提供してロータリーロック224を前部位置に維持し、シャトルばね210はシャーシ209とシャトル208の間にばね力を提供してシャトル208を前部位置(図示せず)に維持する。ロータリーロック224は、シャーシカム機構268の歯の係合によって、回転できない。
図26Bにおいて、シャトル208は後方向に移動し、それに伴いシャトルカム機構234の角度付きの歯はロータリーロック224を後方向に移動させて、ロータリーロック224をシャーシカム機構268の歯からクリアして、ロータリーロック224が自由に回転するようにする。次に、シャトルカム機構234の角度付きの歯は、ロータリーロック224の回転、およびロータリーロックストッパー270の再配置を始める。
図26Cにおいて、シャトル208がシャトルばね210によって前方向に移動すると、ロータリーロック224はカムばね226によって前方向に移動する。ロータリーロック224の回転段階は、ロータリーロック224とシャーシカム機構268の角度付きの歯との係合によって完了し、それに伴いロータリーロックストッパー270はシャトルカムストッパー235から完全に係合解除され、シャトルばね210はシャトル208を前方向に完全に押すことができるようになる。
図26Dにおいて、シャトル208は後方向に移動し、それに伴いシャトルカム機構234の角度付きの歯はロータリーロック224を後方向に移動させて、ロータリーロック224をシャーシカム機構268の歯からクリアして、ロータリーロック224がもう一度自由に回転するようにする。シャトルカム機構234の角度付きの歯は、ロータリーロック224の回転、およびロータリーロックストッパー270の再配置を始める。シャトル208がシャトルばね210によって前方向に移動すると、ロータリーロック224はカムばね226によって前方向にもう一度移動する。ロータリーロック224の回転段階は、ロータリーロック224とシャーシカム機構268の角度付きの歯との係合によって完了し、それに伴いロータリーロックストッパー270はシャトルカムストッパー235と完全に係合し、
図26Aに描写する通り、シャトル208の前方向のさらなる移動をロックする。
【0047】
ここで
図27A~
図27Dを参照すると、例示的なカートリッジ100を例示的なDPIケーシング200に装填する機構が描写されている。
図27Aから参照し始めると、カートリッジが挿入されていない状態で、シャトルばね210(表示せず)はDPIケーシング200の前部端に対してシャトル208にバイアスをかけ、またプランジャーばね214(表示せず)はエンフォーサー218に対してプランジャー212にバイアスをかける。このように、エンフォーサー218は、プランジャー212がDPIケーシング200の前部端から突き出すのを阻止し、ユーザーがプランジャーばね荷重を克服する必要なく、カートリッジ100を挿入することを可能にする。
図27Bにおいて、カートリッジ100のねじ山120をシャトルキャップ222の内部ねじ山262に係合することによって、カートリッジ100はDPIケーシング200に挿入され、これは貯蔵部108のピストン109をプランジャーチップ240と整列させる。
図27Cにおいて、カートリッジ100は、ねじ山120がスリーブ220の長いカフ260を捕らえるまで継続的にねじ込まれ、それに伴いスリーブ220は、カートリッジ100のねじ込み動作によってシャトル208内の所定位置で回転する。スリーブ220が回転すると、スリーブ220の内部ねじ山254は、エンフォーサー218のねじ山248と係合し、エンフォーサー218を前方向に引く。カートリッジ100が完全にねじ込まれた状態で、エンフォーサー218は前部位置にあり、スリーブ220の戻り止め256はシャトル208の歯236に係合しており、プランジャー212はシャトル208内で後部位置に押されている。
図27Dにおいて、カートリッジ100はDPIケーシング200内に完全に押し込まれ、それに伴いシャトルカム機構234はロータリーロック224を係合させて、シャトル208およびカートリッジ100を所定位置に保持する。
【0048】
ここで
図28A~28Dを参照すると、例示的なカートリッジ100において例示的なDPIケーシング200を用いて乾燥粉末の用量を分配し前進させる機構が描写されている。
図27Dから、カートリッジ100およびシャトル208は後方向に移動して、シャトルカム機構234をロータリーロック224から係合解除し、それに伴いシャトルばね210(表示せず)はカートリッジ100およびシャトル208を
図28Aの前部位置に移動させる。それによって、カートリッジ100のキャップ110は、完全に開くように隙間を有し、
図10A~
図10Fに描写する通り、乾燥粉末の用量を送達する。
図28Bにおいて、キャップ110は閉じており、ドラム114を作動させ、空の粉末用量開口部136を回転させて、粉末入口ポート133に面する。次に、プランジャーばね214(表示せず)は、プランジャー212を前方向に進めて、ピストン109を前方向に押し、貯蔵部108内でその量の乾燥粉末に対する圧縮を維持し、粉末用量開口部136の空の空間を充填する。プランジャー212の前部移動に対応して、燃料ゲージ216の前部移動が起こる。カートリッジ100およびシャトル208がDPIケーシング200へと完全に押される時、燃料ゲージ216の位置は燃料ゲージ窓207を通して見ることができ、残っている乾燥粉末の相対的な量を示す。
図28Cは、半分充填されたカートリッジ100を、ピストン109、プランジャー212、および燃料ゲージ216の対応する位置とともに描写するものである。
図28Dは、空のカートリッジ100を、ピストン109、プランジャー212、および燃料ゲージ216の対応する位置とともに描写するものである。その後、カートリッジ100は、
図27A~
図27Dで描写した手順を逆にすることによって取り外しうる。
【0049】
ここで
図29Aおよび
図29Bを参照すると、例示的なマイクロDPIケーシング300が描写されている。DPIケーシング300は、前部端302および後部端304を有し、ケーシング306を備える。ケーシング306は、実質的に円形の断面を有するものとして描写されている一方、当然のことながら、ケーシング306は任意の適切な形状の断面を備えうる。DPIケーシング300は前部端302でカートリッジ100を受ける。特定の実施形態において、カートリッジ100内に残っている乾燥粉末の量を示すために、燃料ゲージ窓307がケーシング306に提供されている。
【0050】
ここで
図30Aおよび
図30Bを参照すると、例示的なDPIケーシング300の構成要素が描写されている。後部端304から始まり、DPIケーシング300は、プランジャーばね310およびプランジャー308を備える。
【0051】
ここで
図31を参照すると、ケーシング306が説明されている。ケーシング306は、開いた前部端および閉じた後部端を有する実質的に中空の円筒形状を備える。ケーシング306は、その前部端に内部ねじ山312をさらに備える。ケーシング306は、内部ねじ山312のすぐ後部に一つ以上のプランジャーストッパー311を備える。
【0052】
ここで
図32Aおよび
図32Bを参照すると、プランジャー308が説明されている。プランジャー308は、開いた前部端および閉じた後部端を有する実質的に中空の円筒形状を備える。プランジャー308は、閉じた後部端から延びるプランジャーチップ314をさらに備える。プランジャー308は、プランジャーばね310の直径を収容するために、その後部端でわずかに細い直径を備える。
【0053】
ここで
図33を参照すると、DPIケーシング300を使用して乾燥粉末を分配する機構が説明されている。
図33ではカートリッジなしで描写されているDPIケーシング300は、プランジャー308を前部位置に位置付ける。プランジャー308は、プランジャーばね310によって前部位置に維持され、かつプランジャーストッパー311によってケーシング306を出ることを阻止されている。カートリッジ100は、プランジャーチップ314をカートリッジ100のピストン109と整列させてから、カートリッジ100のねじ山120をケーシング306(表示せず)の内部ねじ山312にねじ込むことによって、挿入される。カートリッジ100がねじ込まれると、プランジャー308は後部位置に押される。
図10A~
図10Fに描写した通り、DPIケーシング300が乾燥粉末の用量を単に作動キャップ110によって分配しうるように、カートリッジ100は露出された方法でDPIケーシング300に取り付けられる(
図29A)。毎回の用量の送達後にキャップ110が閉じると、ドラム114が作動し、空の粉末用量開口部136が回転して粉末入口ポート133に面する。次に、プランジャーばね310は、プランジャー308を前方向に進めて、ピストン109を前方向に押し、貯蔵部108内でその量の乾燥粉末に対する圧縮を維持し、粉末用量開口部136の空の空間を充填する。カートリッジ100内の乾燥粉末の量が減少すると、プランジャー308が前方向に進み、燃料ゲージ窓307に接近し、それに伴いプランジャー308の色が、燃料ゲージ窓307を通して見えるようになり、乾燥粉末供給量が少ないことを示す。カートリッジ100内の乾燥粉末の完全な枯渇は、燃料ゲージ窓307を完全に塞いでいるプランジャー308によって示される。
【0054】
作製方法
本明細書で開示されている幾つかの構成要素は、プラスチックまたは金属などの任意の適切な材料から構成されうる。特定の実施形態において、特定の構成要素は、追加的な材料を含みうる(言及されている場合)。
【0055】
本発明の装置は、当技術で周知の任意の適切な方法を使用して作製されうる。作製方法は使用する材料に応じて異なる。例えば、金属を実質的に含む装置は、大きい塊の金属から機械加工されてもよく、溶融金属から成形されてもよい。同様に、プラスチックまたはポリマーを実質的に含む装置は、大きい塊から機械加工されてもよく、または射出成形されてもよい。一部の実施形態において、装置は、3D印刷または当技術で一般に使用されているその他の付加的な製造技術を使用して製造してもよい。
【0056】
乾燥粉末吸入システム
本発明はまた、乾燥粉末吸入システムに関連する。本発明のシステムは、乾燥粉末の分配に使用するために本明細書に記載の装置を備える。例えば、特定の実施形態において、システムは少なくとも一つの乾燥粉末吸入器ケーシングを備える。その他の実施形態において、システムは少なくとも一つの乾燥粉末吸入器カートリッジを備える。その他の実施形態において、システムは少なくとも一分量の乾燥粉末を備える。特定の実施形態において、システムの少なくとも一つ乾燥粉末吸入器ケーシング、少なくとも一つの乾燥粉末吸入器カートリッジ、および少なくとも一分量の乾燥粉末は互換性がある。一部の実施形態において、少なくとも一つのカートリッジは一分量の乾燥粉末が予め装填されている。その他の実施形態において、少なくとも一つのカートリッジには空の粉末貯蔵部が提供されており、それに伴い粉末が選択されて装填されうる。
【0057】
一つ一つの特許、特許出願、および本明細書で引用した出版物の開示内容は、ここに参照することによって本明細書にその全文が組み込まれる。本発明は特定の実施形態を参照しながら開示してきたが、本発明の真正なる精神および範囲から逸脱することなく、その他の実施形態および本発明の変形が当業者によって考案されることは明らかである。添付した請求の範囲は、こうしたすべての実施形態および等価の変形を含めて解釈されることが意図される。