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特許7025417無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220216BHJP
   G01R 33/32 20060101ALI20220216BHJP
   G01R 33/3415 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A61B5/055 355
A61B5/055 390
G01R33/32
G01R33/3415
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019516686
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2017074629
(87)【国際公開番号】W WO2018060332
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】62/401,326
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】オーティス ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ガンティ アースリス
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-050507(JP,A)
【文献】特開平05-042123(JP,A)
【文献】国際公開第2016/001180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴伝送を検出する無線電力検出センサと、
前記無線電力検出センサによる前記磁気共鳴伝送の検出に基づいて、前記磁気共鳴伝送からエネルギーを収集する無線エネルギー収集回路と
前記無線電力検出センサ及び前記無線エネルギー収集回路と別に設けられる少なくとも1つの無線周波数コイル素子を、前記無線エネルギー収集回路からの収集されたエネルギーを利用して離調する離調回路と
を備える、磁気共鳴システム。
【請求項2】
前記無線電力検出センサは、前記磁気共鳴伝送が閾値を超えるときを検出し、前記無線電力検出センサは、前記磁気共鳴伝送が前記閾値に達したことの検出に基づく信号を生成し、前記無線エネルギー収集回路に送信する、請求項1に記載の磁気共鳴システム。
【請求項3】
前記閾値は、前記磁気共鳴システムからの動作パルスと相関があり、前記無線エネルギー収集回路は、前記磁気共鳴システムが、送信段階で前記動作パルスを生成するときに、前記磁気共鳴伝送からエネルギーを収集する、請求項2に記載の磁気共鳴システム。
【請求項4】
前記閾値は、前記磁気共鳴システムの動作パルスと相関があり、前記無線エネルギー収集回路は、前記磁気共鳴システムが、受信段階で前記動作パルスを生成しないときには、前記磁気共鳴伝送からエネルギーを収集しない、請求項2に記載の磁気共鳴システム。
【請求項5】
前記磁気共鳴伝送用の磁気共鳴電力を発生させる磁気コイル素子を更に備える、請求項1に記載の磁気共鳴システム。
【請求項6】
前記収集されたエネルギーを蓄電する蓄電体を更に備える、請求項5に記載の磁気共鳴システム。
【請求項7】
前記磁気共鳴システムが、前記無線電力検出センサによって検出される動作パルスを生成するとき、前記磁気共鳴システムは、前記収集されたエネルギーからのエネルギーを前記蓄電体に蓄電する、請求項6に記載の磁気共鳴システム。
【請求項8】
前記磁気共鳴システムが前記動作パルスを生成しないとき、前記離調回路及び前記無線エネルギー収集回路の両方がオフにされる、請求項7に記載の磁気共鳴システム。
【請求項9】
収集された前記エネルギーからのエネルギーは、前記磁気共鳴電力が生成されている間の単一の連続する期間に、前記少なくとも1つの無線周波数コイル素子を離調するために、前記離調回路によって使用される、請求項5に記載の磁気共鳴システム。
【請求項10】
前記磁気共鳴システムは、前記無線電力検出センサで検出した磁気共鳴伝送の電力レベルを所定の閾値と比較し、
前記磁気共鳴システムは、検出された前記磁気共鳴伝送の電力レベルが前記所定の閾値を超えると、前記磁気共鳴伝送を停止する、請求項1に記載の磁気共鳴システム。
【請求項11】
前記離調回路はスイッチを備え、
前記磁気共鳴システムは、前記離調回路内の前記スイッチが短絡回路及び開回路のうちの一方を示すときを検出し、
前記磁気共鳴システムは、短絡回路又は開回路の検出に基づいて、前記磁気共鳴伝送を停止する、請求項5に記載の磁気共鳴システム。
【請求項12】
無線電力検出センサが磁気共鳴伝送を検出するステップと、
無線エネルギー収集回路が、前記無線電力検出センサによる前記磁気共鳴伝送の検出に基づいて、前記磁気共鳴伝送からエネルギーを収集するステップと
離調回路が、前記無線電力検出センサ及び前記無線エネルギー収集回路と別に設けられる少なくとも1つの無線周波数コイル素子を、前記無線エネルギー収集回路からの収集されたエネルギーを利用して離調するステップと
を有する、磁気共鳴システムの作動方法。
【請求項13】
前記磁気共鳴伝送中に、前記無線周波数コイル素子を離調するかどうかを判断するステップを更に有し
前記離調するステップは、前記判断するステップにおいて、前記無線周波数コイル素子を離調すると判断された場合に実行される、請求項12に記載の磁気共鳴システムの作動方法。
【請求項14】
前記磁気共鳴伝送が開始したことを確認するステップを更に有し、
前記判断するステップは、前記磁気共鳴伝送が開始したことを確認するステップの後実行される、請求項13に記載の磁気共鳴システムの作動方法。
【請求項15】
前記磁気共鳴システムに対する、所定の安全性検査を実行するステップを更に有し、
前記所定の安全性検査へ合格するステップに基づいて、前記収集するステップが実行される、請求項12に記載の磁気共鳴システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 磁気共鳴撮像システムは、撮像される対象者(たとえば、ヒト)中の水分子中の水素原子核(プロトン)を整列及び再整列させるために磁石を使用する、複雑なシステムである。プロトンの「スピン」を整列させるために、強い第1の磁場が印加され、次いで第2の磁場を印加することによって、体系的に再整列され得る。磁気共鳴撮像システムは、送信段階において、次いでB1磁場を選択的に送達するために、無線周波数(RF:radio frequency)コイルを備えることができる。受信段階では、水素原子は元の位置(すなわち、B1磁場を選択的に送達する前の位置)に戻り、画像を生成するために採取され使用され得る、弱い無線周波数信号を発する。
【背景技術】
【0002】
[002] 受信段階では、弱い無線周波数信号を採取するために、無線周波数表面コイルを、患者及び関心のある身体の一部の近くに配置することができる。送信段階では、かかる無線周波数表面コイルは、水素原子核が再整列されている間に、無線周波数表面コイルを離調するための離調回路を備える。現在、無線周波数表面コイル内の離調回路に電力を供給するために、ガルバニ式直流(DC)ケーブルが使用されている。各無線周波数表面コイル又はコイル素子は、直流ケーブルに接続された離調回路を備えることができる。離調回路用の直流ケーブルは、システム電源を介して供給される。
【発明の概要】
【0003】
[003] 磁気共鳴撮像システムでは、離調回路用の直流ケーブルは、撮像される対象者に近すぎるところに置かれるとき、組織をやけどさせる可能性がある、無線周波数表面電流の影響を受けやすい。更に、高レベルの直流は、結果として得られる対象者の画像に、B0アーチファクトを引き起こす可能性がある。
【0004】
[004] 例示的な実施形態は、添付の図面と共に読まれるとき、以下の詳細な説明から最もよく理解される。様々な機能は、必ずしも原寸に比例して描かれているわけではないことを強調しておく。実際、説明を明確にするために、寸法は任意に拡大又は縮小される。適用可能且つ実用的である限り、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、磁気共鳴撮像システムの横断面図である。
図2】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、複数の要素の配置構成図である。
図3】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、磁気共鳴撮像システムの横断面図である。
図4】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、磁気共鳴撮像システムの正面断面図である。
図5】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の、作動方法を示す流れ図である。
図6】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の回路図である。
図7】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のタイミング図である。
図8】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の別の回路図である。
図9】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の別の回路図である。
図10】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の別の回路図である。
図11】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、1組の命令を有する典型的な汎用コンピュータシステムを示す構成図である。
図12】本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[005] 以下の詳細な説明では、限定ではなく説明を目的として、本教示による実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細を開示する代表的な実施形態を示す。よく知られたシステム、デバイス、材料、操作方法及び製造方法の説明は省略して、代表的な実施形態の説明を曖昧にすることを避ける。それにもかかわらず、当業者の範囲内であるシステム、デバイス、材料及び方法は本教示の範囲内であり、代表的な実施形態に従って使用される。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことを理解されたい。定義された用語は、本教示の技術分野において一般に理解され受け入れられている定義された用語の、技術的及び科学的意味に追加するものである。
【0007】
[006] 第1、第2、第3等の用語は、本明細書では様々な要素又は構成要素を説明するために使用されるが、これらの要素又は構成要素は、こうした用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。こうした用語は、1つの要素又は構成要素を、別の要素又は構成要素から区別するためにのみ使用されている。したがって、以下で論じる第1の要素又は構成要素は、本発明の概念の教示から逸脱することなく、第2の要素又は構成要素と名付けられ得る。
【0008】
[007] 本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形の用語「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに規定していない限り、単数形及び複数形の両方を含むことを意図する。更に、本明細書で使用されるときの用語「備える(現在形)」、「備える(現在進行形)」、及び/又は同様の用語は、述べられた特徴、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、他の1つ又は複数の特徴、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の、存在又は追加を排除しない。本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組合せを含む。
【0009】
[008] 別段の記載がない限り、要素又は構成要素が別の要素又は構成要素に「接続される」、「結合される」、又は「隣接する」と言われるとき、その要素又は構成要素は、他の要素又は構成要素に直接接続又は結合されてもよく、或いは介在する要素又は構成要素が存在してもよいことが理解されよう。すなわち、これら及び同様の用語は、1つ又は複数の中間の要素又は構成要素が、2つの要素又は構成要素を接続するために使用される場合を包含する。ただし、要素又は構成要素が別の要素又は構成要素に「直接接続されている」と言われるとき、これは、2つの要素又は構成要素が、中間の又は介在する如何なる要素又は構成要素もなしに、互いに接続される場合のみを包含する。
【0010】
[009] また、「実質的な」又は「実質的に」という用語は、それらの通常の意味に加えて、当業者にとって許容可能な限度内又は程度内にあることを意味することが理解されよう。たとえば、「実質的にキャンセルされた」とは、当業者がそのキャンセルを許容できると見なすであろうことを意味する。同様に、「ほぼ」という用語は、その通常の意味に加えて、当業者にとって許容できる限度内又は許容できる量の範囲内であることを意味する。たとえば、「ほぼ同じ」とは、当業者が、比較される項目が同じであると見なすであろうことを意味する。
【0011】
[010] 上記に鑑みて、本開示は、その様々な態様、実施形態、及び/又は特定の特徴若しくは2次的構成要素のうちの1つ又は複数を通じて、それによって以下に具体的に述べる1つ又は複数の利点を引き出すことを意図している。限定ではなく説明を目的として、本教示による実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細を開示する例示的な実施形態を示す。ただし、本明細書に開示された特定の詳細から逸脱する本開示と一致する他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に収まる。更に、例示的な実施形態の説明を不明瞭にしないように、よく知られた装置及び方法の説明は省略される。かかる方法及び装置は、本開示の範囲内である。
【0012】
[011] 本明細書に記載されているように、磁気共鳴(MR)送信段階中に送信されたエネルギーは、検出され、収集され、そして磁気共鳴撮像システムで使用される1つ又は複数の回路に電力を供給するために再利用される。再利用されるエネルギーで電力を供給される回路は、たとえば、磁気共鳴送信段階における電力レベルを検出する電力検出回路、及び磁気共鳴送信段階中にコイルを離調する離調回路を含み得る。コイルは、撮像されている対象者の上又は近くに配置された無線周波数表面コイルを含む、無線周波数コイルである。無線周波数表面コイルは、アレイ内でただ1つの要素であり、磁気共鳴撮像システムを用いて作業するために、複数のかかる無線周波数表面コイルを、対象者の上又は近くに配置することができる。
【0013】
[012] 検出、収集、及び再利用は、磁気共鳴撮像システムからの制御信号なしで実行することができる。更に、本明細書に記載の検出、収集、及び再利用は、送信段階において、磁気共鳴撮像システムによって供給されるエネルギーに対して、無線で実行することができる。すなわち、電力検出センサ又は離調回路に電力を供給するために、たとえばガルバニ式DC電力ケーブルを使用することなしに、本明細書に記載の検出、収集、及び再利用を実行することができる。
【0014】
[013] 電力検出は、無線電力検出センサを使用して、送信段階中に実行することができる。電力検出は、収集回路及び離調回路をオンにするために供給される信号と同期することができ、それによってエネルギーが収集されて離調回路に供給される。収集されるエネルギーは、送信段階中に、磁気共鳴撮像システムの無線周波数コイルから収集される。収集されるエネルギーは、たとえば、磁気共鳴撮像システムで使用される、電力検出センサ及び離調回路に電力を供給するために使用される。電力検出センサは、磁気共鳴送信段階の間に、高レベルのエネルギーを検出し、また磁気共鳴シーケンスの受信段階の間に、低レベルのエネルギーを検出し、それによって検出、収集、及び再利用を同期させることができる。
【0015】
[014] 図1は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、磁気共鳴撮像システムの横断面図である。図1における磁気共鳴撮像システム100は、ボアを有する円筒形磁石105を備える。磁石105は、磁気共鳴撮像システム100の外面として機能する筐体内に収容されるが、その他の点では、図1の実施形態に関して説明する最も外側の機能要素である。磁気共鳴撮像システム100の他の要素は、磁石105のボアの中に設けられている。更に、撮像されている対象者(図示せず)は、磁石105のボアの中に置かれる。上記の円筒形磁石は単なる一例であり、分割円筒形磁石又は開放型磁石を含む、他の種類の磁石を磁気共鳴撮像システムに使用することができる。
【0016】
[015] 図1の磁気共鳴撮像システム100はまた、磁石105のすぐ内側に、円筒形のボディコイル106を備える。ボディコイル106は、水素原子を励起して整列させる、主たる均一な静磁場を提供する。ボディコイル105によって提供される均一磁場の例は、1.5テスラ、3.0テスラ、又は7.0テスラである。本開示は主に水素原子を使用することを説明しているが、本開示の教示はまた、複数の相異なる種類の核/分光撮像技術及びシステムを使用及び適用され得る。無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調を使用することができる核/分光撮像技術及びシステムは、リン、ナトリウム及び炭素を含むがこれらに限定されない種類の原子を使用することができる。
【0017】
[016] 図1の磁気共鳴撮像システム100はまた、磁場勾配コイル110を含む。磁場勾配コイル110は、ボディコイル106のすぐ内側にある。磁場勾配コイルは、X、Y及びZ軸に対して関心のある平面を選択するために使用される、比較的低周波のコイルである。磁場勾配コイル110は、磁場勾配を使用することによって、磁石の筐体105のボア内で、対象者を横切って磁場を発生させるために使用される。これにより、ボア内の相異なる3次元の部分又はスライスが、周波数エンコード座標系及び位相エンコード座標系と関連付けられるようになるという結果をもたらす。
【0018】
[017] 図1の磁気共鳴撮像システム100はまた、無線周波数コイル107を備える。無線周波数コイル107は、磁場勾配コイル110のすぐ内側にある。無線周波数コイル107は、B1磁場を、撮像領域108の選択されたスライスに送達するために使用される。選択されたスライスは、ボア内の1つ又は複数の相異なる3次元の部分と、対称的に対応し得る。B1磁場を送達した結果として、磁気共鳴撮像システム100の撮像領域108内で、水素原子核の磁気スピンの向きを操作する。無線周波数コイル107は、送信段階で使用され、また受信段階に向けたいくつかのシステムで使用される。すなわち、送信サイクルが完了すると、水素原子は元の位置に戻り、弱い無線周波数信号を発する。その元の位置に戻った水素原子からの、こうした弱い無線周波数信号は、磁気共鳴撮像サイクルの受信段階で採取されるものである。
【0019】
[018] 図1で、撮像領域108において、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109が提供される。無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109は、以下を含む複数の異なった、そして多様な特徴的機能を提供する。
1.)無線周波数コイル107からの磁気共鳴伝送を検出する
2.)送信段階において、磁気共鳴撮像システムの検出された磁気共鳴伝送から、エネルギーを収集する
3.)検出された磁気共鳴伝送を、閾値と比較する
4.)動作パルスが検出されないときには、磁気共鳴撮像システムからエネルギーを収集しない
5.)検出された磁気共鳴伝送から収集されたエネルギーを使って、無線周波数表面コイル素子を離調する
【0020】
[019] すなわち、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109は、受信段階の弱い無線周波数信号を採取するために、患者及び関心のある身体の一部の近くに配置される、無線周波数表面コイル102を備える。無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109は、送信段階において、水素原子核が再び整列されている間に、かかる無線周波数表面コイルを離調するための離調回路として機能するようになる。そして、無線磁気共鳴エネルギー収集及び離調回路109は、分析及び表示のために、対象者の水素原子からの弱い無線周波数信号のデータを、プロセッサに送信するためのトランシーバを備える。しかし、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109はまた、磁気共鳴撮像システム100からのエネルギーを検出及び選択的に収集して、再利用されるエネルギーで、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109に自己電力供給する能力を備える。
【0021】
[020] すなわち上記で説明したように、水素原子核(スピン)等の原子は、最初にボディコイル106からの主磁場によって整列され、次いで関心のある撮像面が、磁場勾配コイル110のために設定される。無線周波数コイル107は、B1磁場を、撮像領域108内の特定のスライスに供給する。無線周波数表面コイル102は、再び整列された核(スピン)がその前の位置に戻るときに、結果として生じる比較的弱い無線周波数共鳴信号を採取する。無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109は、関心のある特定の周波数に同調して、B1磁場からの共鳴信号を採取することができる。B0及びB1の組み合わされた磁場からのこうした共鳴信号は、画像表示をスクリーン(モニタ)上に表示させるために、再構成することができるように、処理のためにプロセッサに渡される。
【0022】
[021] 無線周波数コイル107、磁場勾配コイル110、及び/又はボディコイル105からのエネルギーは、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109によって収集され得る。無線周波数コイル107、磁場勾配コイル110、及びボディコイル105からのエネルギーは、ヒトの身体からの共鳴信号より数桁大きい。無線周波数表面コイル102は、ビオ・サバールの法則の原理に基づいて動作する。この共鳴信号を受信するために使用される無線周波数表面コイル102は、大きな電流に対応することができる。したがって、患者の安全、及び影響を受け易い受信装置の保護を含む複数の理由のために、送信段階中で、無線周波数コイル107、磁場勾配コイル110、及び/又はボディコイル105から強いエネルギーが放射されるとき、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109は、離調する。
【0023】
[022] 図2は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、複数の要素の配置構成図である。図2において、コイルセグメント201~220は、図1の無線周波数コイル107によって再び整列された核(スピン)から運ばれる、変化する無線周波数エネルギーを受け取るために使用される。コイルセグメント201~220は、たとえば、撮像されている対象者の上又は近くに配置された無線周波数表面コイルである。図2には20個のコイルセグメント201~220を示しているが、磁気共鳴撮像システム100は、本教示の範囲から逸脱することなく、より少ない又はより多い、かかるコイルセグメント201~220を含む。一例として、最近のある磁気共鳴撮像システムは、本明細書に記載の1つ又は複数の種類のコイル内に、48個もの相異なるコイルセグメントを有している。
【0024】
[023] それぞれのコイルセグメント201~220は、対応する離調回路221~240に接続される。既に説明したように、離調回路221~240は、具体的には、磁気共鳴撮像システム100の送信段階中に、無線周波数コイル107によって送信されるエネルギーから、コイルセグメント201~220を減結合するために使用される。すなわち離調回路221~240は、コイルセグメント201~220が、送信段階のエネルギーを、無線周波数コイル107からコイルセグメント201~220へ実質的に伝達しないことを確実にするために使用される。離調回路221~240は、コイルセグメント201~220に物理的に接続されている。具体的には、特定の離調回路221~240が、特定のコイルセグメント201~220専用であり、物理的に接続されているか、そうでなければ物理的に一体化されているなどのように、離調回路221~240は、コイルセグメント201~220の構成要素とすら考えられる。
【0025】
[024] 図2において、エネルギー収集回路241~260は、本明細書で説明したように、無線でエネルギーを収集するために使用される。エネルギー収集回路241~260は、収集されたエネルギーをバッテリ(図示せず)等のエネルギー蓄電体に蓄電することができ、又はたとえば離調回路221~240で使用するために、収集されたエネルギーを直接供給する。図2ではまた、電力検出回路261~280が設けられている。電力検出回路261~280は、送信段階で、無線周波数コイル107からの電力が送信されるときを検出する。無線周波数コイル107からの電力の検出は、エネルギー収集回路241~260に信号を送り、きっかけとなり、起動してエネルギー収集を開始し、離調回路221~240に、無線周波数コイルの対応するコイルセグメント201~220を離調させるためのベースとして使用される。
【0026】
[025] 図1の無線周波数コイル107は勿論、送信段階における送信及び受信段階における受信の両方に使用される。このような場合、離調回路221~240は、本明細書に記載されているのと同じやり方で、無線周波数コイル107を離調させることができるが、かかる実施形態では、かかる無線周波数コイル107によって引き起こされる危険は少ない。しかし、円筒形無線周波数コイル107が送信段階での送信及び受信段階での受信の両方に使用されるとき、対象者内の水素原子核からのデータの多くが、さもなければ表面コイルセグメント201~220によって取り込まれ得るはずのデータと比較して失われる。したがって、送信段階及び受信段階の両方に同じ無線周波数コイル107を使用することは、通常好ましくない。
【0027】
[026] 図2において、エネルギー収集回路241~260と離調回路221~240との間の接続は、離調回路221~240に電力を伝達するために使用される、物理的な接続である。更に図示していないが、電力検出回路261~280は、信号線を介して接続され、エネルギーを収集するとき(及び/又は具体的にはエネルギーを収穫しないとき)に、エネルギー収集回路241~260に信号を送り、コイルセグメント201~220を離調するときに離調回路221~240に信号を送る。
【0028】
[027] 図2は、電力検出回路261~280、エネルギー収集回路241~260、離調回路221~240、及びコイルセグメント201~220についての1対1の対応関係を示す。しかしたとえば、より大きなサイズのループが存在するとき、複数の離調回路221~240及びエネルギー収集回路241~260を、単一の検出回路261~280又は複数の検出回路261~280と共に使用することができる。すなわち、あらゆる構成において、電力検出回路261~280、エネルギー収集回路241~260、離調回路221~240、及びコイルセグメント201~220について、厳密には1対1の対応関係は必要ではない。
【0029】
[028] 図3は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、別の磁気共鳴撮像システムの横断面図である。図3において、磁気共鳴撮像システム300は、外側磁石305、ボディコイル306、磁場勾配コイル310、及び無線周波数コイル307を備え、そのそれぞれが、図1の実施形態における対応する要素と同一、又は類似である。しかし、図1の実施形態における無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路109の代わりに、複数の様々な回路が撮像領域308内に設けられている。撮像領域308内の回路は、無線周波数(RF)表面コイル320、離調回路330、エネルギー収集回路350、及び電力検出センサ370を含む。
【0030】
[029] 無線周波数表面コイル320は、撮像されている対象者内の水素原子から発生する無線周波数信号を採取するために設けられている。このため、無線周波数表面コイル320は、撮像領域308内の最も下にある要素として示されているが、無線周波数表面コイル320は、撮像される対象者の上又は近くに置かれるようになることを理解されたい。離調回路330は、無線周波数表面コイルに取り付けられており、送信段階中に無線周波数表面コイル320を離調するために使用される。離調回路330は、無線周波数コイル307から放射され送信されたパルスから、無線周波数表面コイル320を減結合する機能を有する。磁気共鳴撮像システムのための基本的な離調の説明は、Vartiovaaraによる米国特許第8,013,609号(2011年9月6日)によって提供されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0031】
[030] 電力検出センサ370は、撮像領域308内のどこに配置されてもよい。電力検出センサ370はまた、送信段階において、無線周波数コイル307から発するパルスを検出する位置にある限り、撮像領域308の外側に配置することもできる。図3において、電力検出センサ370及びエネルギー収集回路350は、無線周波数コイル307からのエネルギーを検出及び収集するために設けられ、離調回路330に電力を供給し、また離調回路330と協調して、送信段階中に無線周波数表面コイル320を減結合する。
【0032】
[031] 図3におけるエネルギー収集回路350は、離調回路330から分離されているが、収集されたエネルギーを離調回路330に供給するために、電気的接続部を備える。電力検出センサ370は、無線周波数コイル307からのパルスを検出する。このパルスは、無線周波数表面コイル320が送信段階にあることを、このパルスが示しているかどうかを判定するために使用される、(第1の)予め設定された閾値と相関がある動作パルスである。電力検出センサ370は、受信した電力を閾値と比較し、動作パルスが無線周波数コイル307から送信され、その結果電力が閾値を超えるときを識別する。電力検出センサ370はまた、電力が閾値を下回るときを識別し、パルスが生成されなかったこと、又はパルスの送信が終了したことのいずれかを示す。パルスを確認するための閾値は、パルスがないことを確認するための閾値と同じ閾値であってもよいが、こうした2つの異なる目的に対する閾値はまた異なっていてもよい。電力検出センサ370は、信号伝達線によって、収集するエネルギーを調整するためにエネルギー収集回路350に接続され、無線周波数表面コイル320の離調を調整するために離調回路330に接続される。
【0033】
[032] エネルギー収集回路350は、たとえば無線周波数コイル307から出力されるエネルギーの一部をエネルギー収集回路150へ伝達するために、狭い周波数範囲でインピーダンス整合するための整合回路を備えることができる。トランス及びLネットワークを含む様々な種類の回路を、インピーダンス整合用に使用することができる。使用可能な要素の一例として、インダクタを使用してエネルギーを取り込むことができ、またキャパシタを使用してエネルギー収集回路350でエネルギーを蓄電することができる。無線エネルギー収集の具体的な回路例は、図9に関連して以下に説明される。
【0034】
[033] 図4において、磁石の筐体405は、磁気共鳴撮像システム400の外部構造体として、ハッチングパターンで示されている。ボディコイルの筐体406は、磁石の筐体405のすぐ内側にある。磁場勾配コイルの筐体410は、ボディコイルの筐体406のすぐ内側にある。無線周波数(RF)コイルの筐体407は、磁場勾配コイルの筐体410のすぐ内側にある。制御部の筐体420は、磁石の筐体405の上に設けられ、たとえばトランシーバなどの外部の回路を収容する。
【0035】
[034] 図4において、2つの電力検出センサ470が、無線周波数コイルの筐体407内の無線周波数コイルがパルスを送信するときを検出するために、無線周波数表面コイル内に設けられる。電力検出センサ470の数は2つに限定されず、本教示の範囲から逸脱することなく、その代わりに1つ、無線周波数コイルの筐体407内の無線周波数コイルと同じ数、又は別の数であってもよい。エネルギー収集回路450は、無線周波数コイルの筐体407内の無線周波数コイル、磁場勾配コイルの筐体410内の磁場勾配コイル、及び/又はボディコイルの筐体406内のボディコイルから、エネルギーを収集するために設けられている。
【0036】
[035] 更に、離調回路430は、無線周波数表面コイル420を備えている。エネルギー収集回路450によって収集されるエネルギーは、離調回路430に供給される。本明細書に記載の通り、エネルギーは、エネルギーが収集されたときにリアルタイムで、又はほぼリアルタイムで離調回路430に供給され得る、或いはバッテリ等のエネルギー蓄電体から供給され得る。離調回路430は、送信段階中に、電力検出センサ470による検出に基づいて、エネルギー収集回路450によって収集されたエネルギーを使用して、無線周波数コイル420を離調する。
【0037】
[036] 図5は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の、作動方法を示す流れ図である。図5において、ブロックS502で、磁気共鳴伝送が放射される。ブロックS502で放射される磁気共鳴伝送は、典型的には、図1のように、無線周波数コイル107からの無線周波数磁気共鳴伝送である。しかし、本明細書を通じてずっと説明しているように、無線周波数コイル107からの無線周波数磁気共鳴伝送は、撮像されている対象者内の水素原子核を整列させ、そして選択的に再び整列させるために、ボディコイル106及び磁場勾配コイル110からの磁気共鳴伝送が開始された後に放射される。ブロックS502で、放射された磁気共鳴伝送は、無線周波数コイル107からの伝送である。
【0038】
[037] ブロックS504で、放射された磁気共鳴伝送は、たとえば図3における電力検出センサ370によって検出される。ブロックS510で、放射された磁気共鳴伝送は、閾値と比較される。検出された磁気共鳴伝送が閾値の限度内でなかった(ブロックS510がノーであった)場合、ブロックS516で、電力を収集することなしに処理を終了する。検出された磁気共鳴伝送が閾値の限度内であった(ブロックS510がイエスであった)場合、ブロックS511で、安全性検査が課される。
【0039】
[038] ブロックS511での安全性検査は、たとえば、離調回路330における接続の短絡又は開放検査である。ブロックS511での安全性検査はまた、検出された磁気共鳴伝送電力の変動が大きすぎるかどうかの検査であり、したがって第2の閾値は、ブロックS510で使用される(第1の)閾値よりも大きい。安全性検査はまた、すべての無線周波数表面デバイスが無線周波数電力伝送を維持できることを確認し、無線周波数電力が撮像される対象者に集束されていること、及び/又はその他の点では、正常に働いていない無線周波数デバイスがないことを確認するため等、概ね磁気共鳴撮像システム100、300に対して実行される。
【0040】
[039] 閾値限度内にない磁気共鳴伝送電力レベルが検出されると、たとえば、安全ではないと見なされる。ブロックS511で安全性検査に合格しなかった(ブロックS511がノーであった)場合、ブロックS516で、エネルギーを収集することなく処理が終了する。ブロックS511での安全性検査の結果、1つ又は複数のボディコイル306、無線周波数コイル307、及び磁場勾配コイル310に供給されるエネルギーについて、磁気共鳴撮像システム100全体が遮断される可能性がある。
【0041】
[040] ブロックS511で安全性検査に合格した(ブロックS511がイエスであった)場合、S512で、無線周波数表面コイル320を離調するかどうかが判定される。ブロックS512における判定は、たとえば、エネルギーが以前の磁気共鳴伝送から蓄電デバイスに既に蓄電されているかどうかに基づいて、無線周波数表面コイル320を離調するか否かの、肯定判定である。ブロックS512における蓄電デバイス検査は、蓄電デバイスが一杯、又はほぼ一杯かどうかの検査である。一杯の蓄電デバイスは、電力が離調回路330で既に利用可能であり、新しい磁気共鳴伝送から更にエネルギーを収集することは不要であることを反映している。ブロックS512で離調しないと決定された(ブロックS512がノーであった)場合、ブロックS516で、エネルギーを収集することなく処理が終了する。
【0042】
[041] ブロックS512で無線周波数表面コイル320を離調することが決定された(ブロックS512がイエスであった)場合、ブロックS515で、磁気共鳴エネルギーが現在の磁気共鳴伝送から収集される。ブロックS520において、収集されたエネルギーを蓄電するか、又は(すぐに)使用するかの決定がなされる。ブロックS520で、すぐに収集されたエネルギーを使用することが決定された場合、ブロックS522で、収集されたエネルギーを、バッテリ又は他の中期若しくは長期エネルギー蓄電体に蓄電することなく、収集されたエネルギーを使用して無線周波数表面コイル320が離調される。ブロックS520で、収集されたエネルギーを蓄電することが決定された場合、ブロックS526で、その後にブロックS530で離調信号が受信されるまで、エネルギーはエネルギー蓄電体に蓄電される。ブロックS530で離調信号が受信されると、ブロックS522で、バッテリからのエネルギーを使用して無線周波数表面コイル320を離調する。
【0043】
[042] 図6は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の回路図である。図6において、磁気共鳴撮像システムは、受信段階中に、たとえば水分子の水素原子核から無線周波数信号を受信する、無線周波数表面コイル610を備える。無線周波数表面コイル610は、インダクタ696及びキャパシタ698を具備する、離調回路の要素を備える。無線電力センサ650は、無線周波数コイル107又は307(図示せず)がパルスを送信しているときに、無線周波数コイル107又は307からのエネルギーを検出し、無線周波数コイル107又は307からのエネルギーを収集するために、無線エネルギー収集回路660と同期させる。
【0044】
[043] 図6において、収集されたエネルギーを使用して、磁気共鳴撮像システム100に関連する回路に直接電力を供給することができる、又は収集されたエネルギーは、バッテリ等のエネルギー蓄電体670に蓄電される。収集されたエネルギーを使用して蓄電するか、又は直接回路に電力供給するかの選択肢を示すために、信号源(直接)又はエネルギー蓄電体670が図6に示される。キャパシタ698及びインダクタ696は、無線周波数コイル610のための離調回路として使用される。
【0045】
[044] 図6において、無線電力センサ650及び無線エネルギー収集回路660は、無線周波数表面コイル610のすべてのチャネル要素に対する離調回路の近くに配置される。無線電力センサ650及び無線エネルギー収集回路660は、エネルギー収集とオフとの間をトグルで切り換えるように、エネルギー蓄電体670に接続され得る。エネルギー蓄電体670は、たとえばバッテリであり、バックアップを意味する。磁気共鳴撮像システムが送信モードにある間、エネルギーが検出され、収集され、そしてエネルギー蓄電体670を充電するか又は離調回路に電力を供給してオンにするために再利用されることになる。受信モードでは、離調回路、無線電力センサ650、及び無線エネルギー収集回路660はすべてオフにされる。
【0046】
[045] 図7は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のタイミング図である。図7において、送信、検出、決定、収集、及び離調動作の、6つのタイミングのシーケンスを示す。図7から得られる最も重要な情報は、任意のシーケンスにおけるそれぞれの動作間の相対的なタイミングである。しかし、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調は、図7におけるタイミング又はシーケンスに限定されるものではない。
【0047】
[046] 送信動作中に、無線周波数コイル107からの動作パルスは、送信段階で放射される。図7に示す他の4つの動作はすべて、動作パルスが放射されている時間の中で、完全に又は実質的に完全に行われる。動作パルスは、送信動作のまさに開始時に、又はほぼ開始時に、検出動作において検出される。安全性検査(ブロックS511)及び/又は離調判断(ブロックS512)等の判断は、検出動作の直後に始まる決定動作において行われる。検出動作及び決定動作は、完全に送信動作中に行われる。
【0048】
[047] 収集動作は、収集作業が許可されたとき等、決定動作が完了した後に開始する。収集動作は、離調動作と完全に又はほぼ完全に一致し、ここでエネルギーは収集され、無線周波数表面コイル320を離調させるために使用される。たとえば、収集されたエネルギーがバッテリ等のエネルギー蓄電体に蓄電されることになる一方で、バッテリからのエネルギーが離調操作のために使用されるとき、離調動作のタイミングは収集動作のタイミングから外れる。
【0049】
[048] 図8は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の、別の回路図である。図8の回路図は、電力検出回路261~280、電力検出センサ370若しくは470、及び/又は無線電力センサ650等の電力検出回路に関するものである。検出器D1 881は、たとえば非常に低いV1を有するショットキーダイオード、又は同様の検出器素子であり得る。検出器D1 881の出力は、無線周波数コイル107又は307からの動作パルスが検出されるときに、検出信号を生成するために、N段演算増幅器890によって増幅される。N段演算増幅器890は、検出器D1 881の出力を増幅して、N段演算増幅器890から出力される検出信号を生成するための、一連の演算増幅器891、892、893~89Nを備える。
【0050】
[049] 図9は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の、別の回路図である。図9の回路構成は、インダクタ981、キャパシタ982、並びに2つのダイオードD1 983及びD2 984を具備する、離調回路980を備える。2つのダイオードD1 983及び984は、キャパシタ982用スイッチとして使用される逆並列のダイオードである。インダクタL2によって収集されるエネルギーは、離調回路980を備える無線周波数表面コイルを離調するために使用されるが、離調回路980以外は図9に示していない。離調回路980は無線で、整合回路932から、インダクタ935及びインダクタ982を介して、収集されたエネルギーを受け取る。図9では2つのインダクタによる設計を示しているが、誘導結合に基づく他の種類の結合デバイスもまた、使用することができる。
【0051】
[050] 図9において、逆並列のダイオードD1 983及びD2 984を切り換えるために、論理信号が離調回路980によって受信される。図9にはダイオードD1 983及びD3 984が示されているが、ダイオードの使用は代表的なものにすぎず、他の電気部品及び/又は回路を、並列ダイオードD1 983及びD2 984の代わりに使用することができる。論理信号は、無線周波数電力検出回路950から、電力管理回路910を介して受信され、電力検出回路950の、無線周波数コイル107又は307からの動作パルス検出に基づいて受信される。図9のエネルギー収集回路は、エネルギー蓄電デバイス911から、整流器回路912及びインダクタ935、981を介して出力されるエネルギーの一部を伝達するために、ある周波数範囲内でインピーダンス整合を取るための整合回路932を備える。
【0052】
[051] 図10は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の、別の回路図である。図10において、離調回路980は、表面コイルに関しては示されているが、図9の電力管理回路910及び無線周波数電力検出回路950は示されていない。
【0053】
[052] 図10に示すように、表面コイルは、キャパシタC1 1082、C2 1088、C3 1089、及びC3 1091を含む。離調回路1080は、インダクタL2 1081、キャパシタC1 1082、並びに2つの逆並列のダイオードD1 1083及びD2 1084を備える、減結合器回路である。図10の離調回路1080は、図9における離調回路980と類似、又は同一であり、したがって繰り返しになる説明は省略する。
【0054】
[053] 図10において、逆並列のダイオードD1 1083及びD2 1084はやはり、たとえば無線電力検出器から受信した命令信号に基づいて、離調回路1080をオン及びオフにするためのスイッチとして作動する。図10の表面コイルは、整合回路1095に、そして最終的には低雑音増幅器(LNA:low noise amplifier)1099にデータを出力する。低雑音増幅器1099は、同軸線を介して出力を供給する。低雑音増幅器1099からの出力は、図10の表面コイルによって受信された、受信無線周波数信号の増幅された出力である。受信された無線周波数信号は、撮像されている対象者内の水分子の水素原子核からのものであり、サイクルの受信段階中に受信される。
【0055】
[054] 本明細書で説明したように、離調回路1080は図10の表面コイルと一体化されており、コンデンサC1 1082を共有している。離調回路1080は、たとえば無線電力検出器からの外部信号によって、選択的にオンにされる。離調回路1080は、インダクタL2 1081を介してバッテリから、又は無線エネルギー収集回路から直接、電力を受け取る。
【0056】
[055] 図11は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のための、1組の命令を有する例示的な汎用コンピュータシステムを示す。図11の実施形態における、例示的な汎用コンピュータシステム1100は、本明細書に記載の、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のために、プロセッサを使用して論理動作を実行するデバイスの典型となるものである。汎用コンピュータシステム1100は、たとえば、図10の同軸出力からの増幅されたデータを受信するために使用され、画像又はビデオ表示を生成するためのプログラムを実行する。或いは、汎用コンピュータシステム1100は、たとえば図1図4及び図6図10に示す無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調回路によって提供される、物理的安全機能に対して論理的に冗長な安全機能を含む、磁気共鳴撮像システム100又は300のための送信シーケンスを制御するために使用される。
【0057】
[056] コンピュータシステム1100は、本明細書で開示される1つ又は複数の任意の方法或いはコンピュータベースの機能を、コンピュータシステム1100に実施させることが可能な、1組の命令を有することができる。コンピュータシステム1100は、独立型のデバイスとして動作してもよく、又はたとえばネットワーク1101を使用して、他のコンピュータシステム若しくは周辺デバイスに接続されてもよい。コンピュータシステム1100は、たとえば図10の同軸出力を介して、又は図4の制御部の筐体420を介して接続される。
【0058】
[057] ネットワーク展開において、コンピュータシステム1100は、サーバ-クライアントユーザネットワーク環境では、サーバの容量で、又はクライアントユーザコンピュータとして、或いはピアツーピア(又は分散型)ネットワーク環境では、ピアコンピュータシステムとして動作する。コンピュータシステム1100はまた、据置型コンピュータ、携帯型コンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、又はマシンが行う動作を指定する1組の命令(順次、又はその他)を実行することができる他の任意のマシン等、様々なデバイスとして実施されてもよく、或いは様々なデバイスに組み込まれ得る。コンピュータシステム1100は、更に、追加のデバイスを備える統合システム内にある特定のデバイスとして、又は特定のデバイスの中に、組み込まれ得る。特定の実施形態では、コンピュータシステム1100は、オーディオ、ビデオ、又はデータ通信を提供する電子機器を使用して、実施され得る。更に、ただ1つのコンピュータシステム1100が示されているが、「システム」という用語は、1つ又は複数のコンピュータの機能を実行するために、1組又は複数組の命令を、個別に又は共同で実行するシステム又は部分的なシステムの、任意の集まりも含むと見なされるものとする。
【0059】
[058] 図11に示すように、コンピュータシステム1100は、プロセッサ1110を備える。コンピュータシステム1100用のプロセッサ1110は、有形で非一時的な、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読み出し専用メモリ(ROM)等の専用メモリを備える。本明細書で使用されるとき、用語「非一時的」は、状態が永遠に続く特性としてではなく、ある期間にわたって状態が続くことになる特性として解釈されるべきである。「非一時的」という用語は、具体的には、特定の搬送波又は信号の特性等の束の間の特性、或いはいつでもどこかに一時的にしか存在しない他の形態を否認する。プロセッサは、製品であり、且つ/又は機械部品である。コンピュータシステム1100用のプロセッサは、本明細書の様々な実施形態において説明されるような機能を実行するために、ソフトウェア命令を実行するように構成される。コンピュータシステム1100用のプロセッサは、汎用プロセッサであってもよく、又は特定用途向け集積回路(ASIC)の一部であってもよい。コンピュータシステム1100用のプロセッサはまた、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサチップ、コントローラ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ステートマシン、又はプログラム可能な論理デバイスであってもよい。コンピュータシステム1100用のプロセッサはまた、現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)等のプログラム可能なゲートアレイ(PGA)を含む論理回路、又はディスクリートゲート及び/又はトランジスタ論理を含む別の種類の回路であってもよい。コンピュータシステム1100用のプロセッサは、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、又はその両方であってもよい。更に、本明細書に記載の任意のプロセッサは、複数のプロセッサ、並列プロセッサ、又はその両方を含む。複数のプロセッサが、単一のデバイス又は複数のデバイスに含まれるか又はそれらに結合されてもよい。
【0060】
[059] 更にコンピュータシステム1100は、バス1108を介して互いに通信することが可能な、メインメモリ1120及びスタティックメモリ1130を備える。本明細書に記載のメモリは、データ及び実行可能な命令を格納することが可能で、命令がその中に格納されている間は非一時的な、有形の記憶媒体である。本明細書で使用されるとき、用語「非一時的」は、状態が永遠に続く特性としてではなく、ある期間にわたって状態が続くことになる特性として解釈されるべきである。「非一時的」という用語は、具体的には、特定の搬送波又は信号の特性等の束の間の特性、或いはいつでもどこかに一時的にしか存在しない他の形態を否認する。本明細書に記載のメモリは、製品であり、且つ/又は機械部品である。本明細書に記載のメモリは、データ及び実行可能な命令が、そこからコンピュータによって読み出され得る、コンピュータ可読媒体である。本明細書に記載のメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去及びプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、又は当技術分野でよく知られた記憶媒体の他の任意の形態であってもよい。メモリは、揮発性又は不揮発性、安全且つ/又は暗号化された、安全でなく且つ/又は暗号化されていないものでもよい。
【0061】
[060] 図示のように、コンピュータシステム1100は更に、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、平面パネルディスプレイ、固体ディスプレイ、又は陰極線管(CRT)等のビデオディスプレイ装置1150を備える。更にコンピュータシステム1100は、キーボード/仮想キーボード、接触感知入力スクリーン、又は音声認識を用いた音声入力等の入力デバイス1160、及びマウス、又は接触感知入力スクリーン若しくはパッド等のカーソル制御デバイス1170を備える。コンピュータシステム1100はまた、スピーカ又はリモコン等の信号発生デバイス1190、及びネットワークインタフェースデバイス1140を備えることができる。
【0062】
[061] 代替の実施形態では、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能な論理アレイ、及び他のハードウェア構成部品等の、専用ハードウェア実施態様が、本明細書に記載の方法のうちの1つ又は複数を実施するように構築され得る。本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態は、2つ以上の特定の相互接続されたハードウェアモジュール又はデバイスを使用し、モジュール間で、及びモジュールを通じて通信され得る、関連する制御信号及びデータ信号を用いて、機能を実施する。したがって、本開示は、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアの実施態様を包含する。本出願におけるいかなるものも、有形の非一時的プロセッサ及び/又はメモリ等のハードウェアではなく、ソフトウェアのみで実施される、又は実施可能であると解釈されるべきではない。
【0063】
[062] 本開示の様々な実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、ソフトウェアプログラムを実行するハードウェアコンピュータシステムを使用して実施される。更に、例示的で非限定的な実施形態では、実施態様は、分散処理、コンポーネント/オブジェクト分散処理、及び並列処理を含むことができる。仮想コンピュータシステム処理を、本明細書に記載の方法又は機能のうちの1つ又は複数を実施するように構成することができ、本明細書に記載のプロセッサは、仮想処理環境をサポートするために使用される。
【0064】
[063] 図12は、本開示の典型的な実施形態による、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調のシーケンス図である。図12において、送信/受信サイクルを示す。図12の送信/受信サイクルは、図11に示すコンピュータシステム1100によって制御される。図12において、送信期間T2、T6、T10、T14は、送信段階における無線周波数コイル107又は307からの、最大約20マイクロテスラの送信に対応する。受信期間T4、T8、T12、T16は、受信段階における水分子の水素原子核からの、最大約10ピコテスラまでの受信に対応する。
【0065】
[064] 図12において、受信後期間T1、T5、T9、T13は、最小約100マイクロ秒である。送信後期間T3、T7、T11、T15は、最小約10マイクロ秒である。明らかなはずであるが、送信後期間は受信後期間よりも著しく短い。これは、撮像されている対象者内の水分子の刺激された水素原子核からの無線周波数信号が最初から比較的弱いので、送信後すぐに受信動作を開始する必要があるためである。
【0066】
[065] したがって、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調は、磁気共鳴撮像システム100、300の主電源に接続された直流ケーブルを使用することなしに、無線周波数表面コイル320等のコイルの離調を可能にする。無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調は、送信段階において、コイル伝送からのエネルギーを再利用することを可能にする。本明細書では網羅的に説明されていないが、エネルギーの収集は、無線周波数コイル107、307からのエネルギーの伝送を妨げるには、実質的に不十分である。エネルギーの収集では、たとえば、送信段階において、無線周波数コイル107、307によって放射されたエネルギーの5%未満、又は1%未満となることさえあるエネルギーを取り込む必要がある。
【0067】
[066] 無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調を、いくつかの典型的な実施形態を参照して説明してきたが、使用されてきた言葉は限定する言葉ではなく、説明及び例示する言葉であることを理解されたい。その態様における無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調の範囲及び精神から逸脱することなく、現在述べられ補正されるように、添付の特許請求の範囲内で変更が加えられてもよい。特定の手段、材料、及び実施形態を参照して、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調を説明してきたが、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調は、開示された詳細に限定されることを意図せず、むしろ無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調は、添付の特許請求の範囲内にあるもの等、機能的に同等のすべての構造体、方法、及び使用法にまで広がる。
【0068】
[067] たとえば、本開示は主に、電力検出回路を、無線磁気共鳴エネルギー収集及びコイル離調システムの他の回路と一緒に、撮像領域108、308内に配置することを説明している。しかし、電力検出回路261~280、又は電力センサ370は、本教示の範囲から逸脱することなく、ボアの頂部の方の無線周波数コイル107、307の近く等、撮像領域の外側に配置することができる。更に、電力検出回路261~280は、エネルギー収集が無線で実行されるときでも、電力検出自体が無線で実行される必要がないように、無線周波数コイル107、307と一体化されてもよい。
【0069】
[068] 更に、本開示は主に、エネルギー収集又は離調が実行される前に行われる、安全性検査について説明している。しかし、エネルギーが収集されている間、及び/又は離調が実行されている間でさえも、安全性検査は実行される。たとえば、安全性検査は、エネルギーが多く収集され過ぎているとき、磁気共鳴撮像システムが遮断されるべきであると判断するように、収集されるエネルギーをリアルタイムで、又はほぼリアルタイムで監視することを含む。
【0070】
[069] 更に本開示は主に、バッテリに関して、エネルギー蓄電体を説明した。しかし短期的でさえも、他の形態のエネルギー蓄電体を使用することができる。本出願の教示から逸脱することなく、たとえば超伝導体又は他の形態のエネルギー蓄電体を使用して、収集されたエネルギーを蓄電することができる。
【0071】
[070] 本明細書に記載の実施形態の図は、様々な実施形態の構造の一般的な理解をもたらすことを意図している。この図は、本明細書に記載された開示のすべての要素及び特徴の、完全な説明として機能することを意図したものではない。本開示を検討すれば、他の多くの実施形態が当業者には明らかである。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的な置換及び変更が行われるように、他の実施形態が使用され本開示から導き出される。更に、この図は単に典型的なものであり、原寸に比例して描かれてはいない。図中の特定の比率は誇張され、一方他の比率は最小にされている。したがって、本開示及び図は、限定的ではなく例示的と見なされるべきである。
【0072】
[071] 本開示の1つ又は複数の実施形態は、単に便宜上、そして本出願の範囲を、任意の特定の発明、発明の概念、又はその実施形態に自発的に限定することを意図せず、本明細書では、個別に及び/又はまとめて、用語「発明」によって参照される。更に、本明細書では特定の実施形態を例示し説明してきたが、同じ又は類似の目的を達成するように設計された後続の任意の構成が、示された特定の実施形態と置換され得ることを理解されたい。本開示は、様々な実施形態の、ありとあらゆる後続の適合又は変形を網羅することを意図している。上記の実施形態と、本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態との組合せは、この説明を検討すれば、当業者には明らかであろう。
【0073】
[072] 本開示の態様に従って、磁気共鳴システムは、無線電力検出センサ及び無線エネルギー収集回路を備える。無線電力検出センサは、磁気共鳴伝送を検出する。無線エネルギー収集回路は、無線電力検出センサによる磁気共鳴伝送の検出に基づいて、磁気共鳴伝送からエネルギーを収集する。
【0074】
[073] 本開示の別の態様に従って、無線電力検出センサが、磁気共鳴伝送が閾値を超えるときを検出する。無線電力検出センサは、磁気共鳴伝送が閾値に達したことの検出に基づいて信号を生成し、無線エネルギー収集回路に送信する。
【0075】
[074] 本開示の更に別の態様に従って、閾値は磁気共鳴システムからの動作パルスと相関がある。無線エネルギー収集回路は、磁気共鳴システムが送信段階で動作パルスを生成するときに、磁気共鳴伝送からエネルギーを収集する。
【0076】
[075] 本開示の更に別の態様に従って、閾値は磁気共鳴システムの動作パルスと相関がある。無線エネルギー収集回路は、磁気共鳴システムが受信段階で動作パルスを生成しないときには、磁気共鳴伝送からエネルギーを収集しない。
【0077】
[076] 本開示の別の態様に従って、磁気共鳴システムはまた、磁気コイル素子及び離調回路を備える。磁気コイル素子は、磁気共鳴伝送用の磁気共鳴電力を発生させるために使用される。離調回路は、無線エネルギー収集回路からの収集されたエネルギーを使用して、磁気共鳴システムの少なくとも1つの無線周波数コイル要素を離調する。
【0078】
[077] 本開示の更に別の態様に従って、磁気共鳴システムはまた、収集されたエネルギーから、エネルギーを蓄電する蓄電体を備える。
【0079】
[078] 本開示の更に別の態様に従って、磁気共鳴システムが無線電力検出センサによって検出される動作パルスを生成するとき、磁気共鳴システムは、収集されたエネルギーから、エネルギーを蓄電体に蓄電する。
【0080】
[079] 本開示の更に別の態様に従って、磁気共鳴システムが動作パルスを生成しないとき、離調回路及び無線エネルギー収集回路の両方がオフにされる。
【0081】
[080] 本開示の別の態様に従って、磁気共鳴システムは、磁気コイル素子内の対象者の画像を生成するために使用される、磁気共鳴撮像システムを備える。
【0082】
[081] 本開示の更に別の態様に従って、収集されたエネルギーからのエネルギーは、磁気共鳴電力が生成されている間の単一の連続する期間に、磁気コイル素子を離調するために、離調回路によって使用される。
【0083】
[082] 本開示の更に別の態様に従って、磁気共鳴システムは、無線エネルギー収集回路がエネルギーを収集する速度を検出し、検出された速度を所定の閾値と比較する。磁気共鳴システムは、検出された速度が所定の閾値を超えると、磁気共鳴伝送を停止する。
【0084】
[083] 本開示の別の態様に従って、離調回路はスイッチを備える。磁気共鳴システムは、離調回路内のスイッチが短絡回路及び開回路のうちの一方を示すときを検出する。磁気共鳴システムは、短絡回路又は開回路の検出に基づいて、磁気共鳴伝送を停止する。
【0085】
[084] 本開示の態様に従って、磁気共鳴システムの作動方法は、無線電力検出センサによって磁気共鳴伝送を検出するステップを有する。無線エネルギー収集回路は、無線電力検出センサによる磁気共鳴伝送の検出に基づいて、磁気共鳴伝送からエネルギーを収集する。
【0086】
[085] 本開示の別の態様に従って、この方法は、磁気共鳴伝送中に、磁気共鳴伝送用の磁気共鳴電力を生成するために使用される磁気コイル素子を離調するかどうかを判断するステップを有する。この方法はまた、無線エネルギー収集回路からの収集されたエネルギーを使用し、離調するかどうかを判断するステップに基づいて磁気コイル素子を選択的に離調するステップを有する。
【0087】
[086] 本開示の更に別の態様に従って、この方法はまた、磁気共鳴伝送が停止したことを確認するステップを有する。選択的に離調するステップは、磁気共鳴伝送が停止したことを確認するステップの後でのみ実行される。
【0088】
[087] 本開示の更に別の態様に従って、この方法はまた、磁気共鳴システムに対して、所定の安全性検査を実行するステップを有する。収集するステップは、所定の安全性検査へ合格するステップに基づいて実行される。
【0089】
[088] 本明細書に記載の通り、エネルギーは、磁気共鳴シーケンスの送信パルスの間に、無線で収集される。エネルギーは、たとえば、無線周波数コイルを離調する離調回路及び/又は送信パルスを検出する電力検出センサを含む、他の回路に電力を供給するために使用される。エネルギー収集回路は、電力検出センサ及び離調回路に動作電圧を供給する。エネルギー収集回路及び電力検出センサは、磁気共鳴撮像システムの磁場勾配コイル上の各チャネルに対して、個々に設けられる。結果として、電力収集は自動化され、磁気共鳴撮像システムにおける回路及びセンサの電力及び制御管理と統合され得る。
【0090】
[089] 本開示の要約は、米国特許法施行規則第1.72条第(b)項に準拠するために提供し、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないであろうという理解をもって提出する。更に、前述の発明を実施するための形態では、開示を簡素化するために、様々な特徴を1つにまとめられ、又は単一の実施形態で説明されている。この開示は、請求された実施形態が、各請求項に明示的に列挙されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、開示された実施形態のうちのいずれかの、特徴のすべてより少ない特徴に向けられる。したがって、以下の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、別々に特許請求される主題を定義するものとしてそれ自体で成り立つ。
【0091】
[090] 開示された実施形態の以上の説明は、任意の当業者が、本開示に記載された概念を、実施することを可能にするために提供されている。このように、上記開示された主題は、例示的であって限定的ではないと考えられるべきであり、そして添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神及び範囲内に入る、すべてのかかる変更、改良及び他の実施形態を網羅することを意図する。したがって、法律によって許容される最大限の範囲で、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な説明によって限定又は制限されないものとする。
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