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特許7025431要素を構成要素に接合するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】要素を構成要素に接合するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/20 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
B23K9/20 A
B23K9/20 Z
B23K9/20 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019533494
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017081272
(87)【国際公開番号】W WO2018114293
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】17178341.8
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】102016125599.8
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504075577
【氏名又は名称】ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】エイッサラ バー
(72)【発明者】
【氏名】メシュット ゲルソン
(72)【発明者】
【氏名】ライス クリスティアン
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-523218(JP,A)
【文献】特開昭51-098641(JP,A)
【文献】特開昭63-002563(JP,A)
【文献】特開2004-337974(JP,A)
【文献】特開2009-018346(JP,A)
【文献】特開2006-142382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にスタッド溶接又はスタッド接着のための、接合要素(24)を構成要素(28)に接合するための方法であって、
第1の接合面(26)を含む接合要素(24)を準備し、第2の接合面(30)を含む構成要素(28)を準備するステップと、
前記第1及び第2の接合面(26;30)を調製するステップと、
前記接合要素(24)が前記構成要素(28)に接合される接合プロセスを実行するステップと、
を含み、
前記調製するステップが、前記第1及び第2の接合面(26;30)を洗浄するための、TIGアーク洗浄法、プラズマガス洗浄法、及びスノージェット洗浄法のうち少なくとも1つの洗浄法を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記プラズマガス洗浄法は、タングステン電極(40)と前記タングステン電極(40)を囲むアノード(42)との間に非移送アーク(48)を発生させることを含み、前記非移送アーク(48)は、プラズマガス(45)を用いたときにプラズマ(49)を発生させ、前記プラズマ(49)は、前記第1の接合面(26)上に向けられることを特徴とする、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記プラズマガス(45)は、圧力下で前記タングステン電極(40)と前記アノード(42)との間の中間空間(44)の中へ送られ、前記プラズマ(49)は、前記中間空間(44)から前記第1の接合面(26)に向かって放出されることを特徴とする、請求項2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記アノード(42)は、前記プラズマガスの放出方向の向きで下流側に配置されたプラズマガスノズル(46)に接続され、前記ノズルは、前記中間空間(44)から出る前記プラズマガス(49)を集束することを特徴とする、請求項3に記載の接合方法。
【請求項5】
前記洗浄ステップ中に前記プラズマガスノズル(46)と前記第1及び第2の接合面(26;30)との間で2mmから25mmの範囲の距離が調整され、及び/又は、前記プラズマガスノズル(46)のノズル直径(DD)と、前記洗浄ステップ中の前記プラズマガスノズル(46)と前記接合面(26;30)との間の距離(A)との比は、1:4から1:1の範囲であり、及び/又は、前記アノード(42)及び/又は前記アノード(42)に接続された前記プラズマガスノズル(46)は、冷却装置によって冷却されることを特徴とする、請求項4に記載の接合方法。
【請求項6】
5ボルトから400ボルトの範囲の電圧(U)を前記タングステン電極(40)と前記アノード(42)との間に印加して前記プラズマ(49)を発生させ、及び/又は、10キロアンペアから300キロアンペアの範囲の電流(I)が前記タングステン電極(40)と前記アノード(42)との間に流れて前記プラズマ(49)を発生させることを特徴とする、請求項2~請求項5のいずれかに記載の接合方法。
【請求項7】
前記接合面(26;30)上に点火先端(56)を生成するステップをさらに含み、前記プラズマ(49)を用いて前記点火先端を生成する、請求項2~請求項6のいずれかに記載の接合方法。
【請求項8】
前記プラズマ(49)を用いて前記第1及び第2の接合面(26;30)を局所的に溶融し、前記点火先端を形成することを特徴とする、請求項7に記載の接合方法。
【請求項9】
前記点火先端(56)が前記第2の接合面(30)上に設けられることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の接合方法。
【請求項10】
前記接合要素(24)はドローンアーク点火によるアーク溶接を通じて前記構成要素(28)に接合され、前記接合プロセスは、
前記第1の接合面(26)を前記第2の接合面の前記点火先端に隣接して配置し、パイロット電流をオンにし、
前記接合要素(24)を前記構成要素(28)から持ち上げて遠ざけ、
前記第1の接合面(26)及び第2の接合面(30)が溶融し始めるように、前記アークを通して溶接電流を流し、
前記接合要素(24)を前記構成要素(28)上に下ろし、ここで前記第1及び第2の接合面(26、30)の溶融部が混和し、
前記溶接電流をオフにして、前記溶融部全体が固化して、前記接合要素(24)と前記構成要素(28)とを接合させる
ことを含むことを特徴とする、請求項7~請求項9のいずれかに記載の接合方法。
【請求項11】
前記スノージェット洗浄法は、ガス(60)を圧縮し、圧縮されたガス(60)をスノージェットノズル(64)を通して解放して、前記接合面(26;30)上に向けられる雪又は氷晶(66)を生成させることを含むことを特徴とする、請求項1~請求項10のいずれかに記載の接合方法。
【請求項12】
前記雪又は氷晶(66)は、圧縮空気(62)によって加速され、前記接合面(26;30)上に向けられることを特徴とする、請求項11に記載の接合方法。
【請求項13】
前記洗浄ステップ中に前記スノージェットノズル(64)と前記接合面(26;30)との間で3mmから150mmの範囲の距離(A)が調整され、及び/又は、前記スノージェットノズル(64)は、洗浄ステップ中に前記接合面(26;30)に対して30°から85°の範囲の角度(α)に方向付けられ、及び/又は、前記スノージェットノズル(64)のノズル直径(DD’)と、前記スノージェットノズル(64)と前記接合面(26;30)との間の距離(A)との間の比は、1:2から1:50の範囲であり、及び/又は、前記スノージェット洗浄ステップ後に圧縮空気(62)を前記接合面(26;30)上に吹き付けて前記接合面(26;30)上の凝結を低減することを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の接合方法。
【請求項14】
特に請求項1~請求項13のいずれかによる方法を実行するための、接合要素(24)を構成要素(28)に接合するための接合装置であって、
前記接合要素(24)を接合軸(20)に沿って構成要素(28)に対して移動させることができる、接合要素(24)のための保持装置(22)を含む接合ヘッド(12)と、
前記構成要素(28)の接合面(30)上、及び/又は前記接合要素(24)の接合面(26)上で洗浄プロセスを実行する洗浄装置(34)と、
を含み、
前記洗浄装置(34)が、TIGアーク洗浄装置(34-3)、プラズマガス洗浄装置(34-1)、及び/又はスノージェット洗浄装置(34-2)を含むことを特徴とする、接合装置。
【請求項15】
前記洗浄装置は、プラズマガス洗浄装置(34-1)を含み、前記洗浄装置は、前記接合面(26、30)上に点火先端(56)を生成するために、前記洗浄プロセスの後又はプロセス中に前記接合面(26;30)の領域を溶融するようになっていることを特徴とする、請求項14に記載の接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にスタッド溶接、ボルト締め、又は接着のための、接合要素を構成要素に接合するための方法であって、第1の接合面を含む接合要素を準備し、第2の接合面を有する構成要素を準備するステップと、第1及び/又は第2の接合面を調製するステップと、接合要素を構成要素に接合する接合プロセスを実行するステップとを含み、調製するステップが洗浄法を含む、方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、特に上述の方法を実行するための、接合要素を構成要素に接合するための接合装置であって、接合要素を接合軸に沿って構成要素に対して移動させることができる、接合要素のための保持装置を含む接合ヘッドと、構成要素の接合面上及び/又は接合要素の接合面上で洗浄プロセスを実行する洗浄装置とを含む、接合装置に関する。
【背景技術】
【0003】
上述の種類の接合方法及び接合装置は、特にいわゆるスタッド溶接又はスタッド接着の分野で広く知られている。
【0004】
これらの方法において、スタッドのような接合要素が、プレートのような構成要素に、スタッドが構成要素の表面に対して垂直に突出するように接合される。このような接合構成を用いて、例えばプラスチック材料で作られたクリップをスタッドに取り付けことができる。クリップを用いて、例えばパイプ又はケーブルを、例えば燃料パイプ、プレーキパイプ、又は電気ケーブルのような構成要素に対して固定することができる。したがって、この一般的な接合方法は、特に自動車の車体製造の分野で用いられている。
【0005】
スタッド溶接では、電流の流れが接合要素と構成要素との間に確立され、接合要素を構成要素の上方に持ち上げてこれらの構成要素間にアークを発生させる。アークは、構成要素と接合要素との対向する接合面を溶融させる。次いで接合要素を構成要素上に下して接合電流を短絡させる。溶融された塊全体が固化して、接合プロセスが完了する。
【0006】
スタッド接着では、通常、活性化させることができる接着剤を接合要素の1つの接合表面に前もって塗布する。次いで接着剤を活性化させることによってスタッド接着が行われる。次いで接合要素と構成要素とを互いに押し付け、最終的に接着剤を硬化させる。これは、例えば加熱などの様々な要因により達成することができる。
【0007】
こうした接合部の品質を担う要因は、接合プロセス自体だけではない。構成要素の、また場合によっては接合要素の、材料特性及び表面品質がこのプロセスにおいて果たす役割も少なからず重要である。このことは、構成要素及び接合要素が鋼材料で製造されている場合に当てはまる。加えて、この問題は、構成要素及び接合要素の各々がアルミニウム合金で製造されている場合にも当てはまる。
【0008】
構成要素の固有特性の変更は、アルミニウム合金に基づく接合部において特に重要である。こうした特性は、そのアルミニウム合金がリサイクル材料であるかどうかということを含み得る。さらに、特に押出材料を用いる場合には、1mmの深さにまで及ぶことがある、上層での不規則な粒度に関する問題もある。
【0009】
不規則な粒度は、異なる伝導率(導電率)の値をもたらし得る。結果としてこのことがアークを通る電流の流れに影響を及ぼし得る。
【0010】
多くの構成要素はまた、鋳造プロセスを用いて製造される。このような場合、表面は離型剤でコーティングされており、離型剤は、ワックス、油、ポリシロキサン、炭化水素、ポリマー等を含み得る。こうした離型剤を含むコーティング又はコートが表面上に不均一に分布している場合には、接合パラメータを適切に適応させることは特に困難である。炭素でコーティングされている場合、溶接接合部に孔又は空洞を生じさせることがあり、つまり溶接接合部全体の空隙率がより高くなることがあり、そのことが強度に対する悪影響を及ぼし得る。
【0011】
さらに、合金成分も溶接性に影響を与えることがある。
【0012】
原則として、定められた表面仕様を有する構成要素が要求されるが、後で接合プロセスを接合パラメータに関連して具体的に適応させることになるこれらの表面仕様は、実際には必ずしも常に準拠されているとは限らないことが示唆される。
【0013】
スタッド溶接において、実際のスタッド溶接プロセスの前にアーク洗浄(「クリーンフラッシュ」)プロセスを用いることは、当該分野で既知である。この場合、溶接プロセスの前に交番極性で接合要素と構成要素との間にアークを発生させて、それにより不純物をイオン化して構成要素の表面から脱離させる。このプロセスに伴う問題は、このような不純物がスタッド上の接合面上に蓄積し得ることであり、結果として、この場合でも接合部のむらのなさに関する問題が依然として生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のことに鑑み、本発明の1つの目的は、接合要素を構成要素に接合するための改善された方法、並びにこの目的のための改善された接合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的は、一方で、特にスタッド溶接又はスタッド接着のための、接合要素を構成要素に接合するための方法であって、第1の接合面を含む接合要素を準備し、第2の接合面を含む構成要素を準備するステップと、第1及び第2の接合面を調製するステップと、接合要素が構成要素に接合される接合プロセスを実行するステップとを含み、調製するステップが、接合面を洗浄するための、TIGアーク洗浄法、プラズマガス洗浄法、及びスノージェット洗浄法のうち少なくとも1つの洗浄法を含む方法によって達成される。
【0016】
この目的はまた、特に本発明による方法を実行するための、接合要素を構成要素に接合するための接合装置であって、接合要素を接合軸に沿って構成要素に対して移動させることができる、接合要素のための保持装置を含む接合ヘッドと、構成要素の接合面上及び/又は接合要素の接合面上で洗浄プロセスを実行する洗浄装置とを含み、洗浄装置が、TIGアーク洗浄装置、プラズマガス洗浄装置、及び/又はスノージェット洗浄装置を含む、接合装置によって達成される。
【0017】
本発明による洗浄法の各々は、冒頭で述べたスタッド溶接機器を用いて接合面間に交番極性のアークを発生させて少なくとも構成要素の接合面が洗浄されるようにするクリーンフラッシュ洗浄法とは異なる。
【0018】
このようなクリーンフラッシュ法とは異なる本発明による洗浄法は、接合面の一方のみ又は両方の接合面を次々に、狙いを定めたやり方で洗浄することを可能にする。
【0019】
洗浄ステップは、接合要素と構成要素との間に生じるアークとは異なる、物理的な洗浄媒体を用いた接合面の洗浄を伴うことが好ましい。
【0020】
換言すれば、洗浄ステップは、接合プロセスとは独立して実行される洗浄プロセスを伴う。
【0021】
洗浄ステップは、接合要素が既に接合ヘッドの保持装置内にあって構成要素上の特定の位置(接合位置)に割り当てられている、1つの段階において実行されることが好ましい。このことは、洗浄プロセスを実行する洗浄装置が接合ヘッド上に配置されている場合に特に有利である。
【0022】
あるいは、例えば複数の接合要素が固定されることになる構成要素上の接合位置の各々において連続的な洗浄プロセスを実行することが、場合によっては、適用可能であれば接合要素が接合ヘッドの保持装置内に配置される前であっても、可能である。1つ又は複数の洗浄プロセスをこのように1つの構成要素上で又は一緒に行うことができるので、すべての接合要素をその後、接合プロセス間にさらなる洗浄プロセスを要することなく構成要素に取り付けることができる。
【0023】
上述のように、洗浄プロセスは、洗浄媒体を用いて実行することが好ましい。
【0024】
洗浄媒体は、気体、液体又は固体とすることができる。洗浄媒体は、洗浄媒体を接合面上、特に構成要素上の接合位置上に向ける別個の洗浄装置によって構成要素に適用されることが好ましい。洗浄媒体を適用するのに用いられる洗浄装置は、例えば、接合プロセスを実行するのに用いられる技術とは別個の独立したものとなるように設計される。
【0025】
本発明による接合方法及び接合装置は、構成要素及び/又は接合要素の少なくとも1つの固有変数が記録され、続いて評価されるステップと組み合わせることができることが好ましい。評価は、場合によっては、接合位置が否定的に評価された場合に本発明による事前の洗浄プロセスを実行することが必要であるという事実を考慮することができる。接合位置が良好な事前評価を受けたその他の場合には、接合プロセスを実行する前にそうした洗浄プロセスを実行することは必ずしも必要ない。
【0026】
この場合の固有変数は、材料、表面品質、表面処理、表面の炭素コーティング、清浄度に関連するものとすることができ、鋳造ワークピースの場合には離型剤に関連するものとすることができるが、例えば接合要素材料に対する構成要素材料といった相対的変数を含むことができる。
【0027】
一実施形態によれば、必要であれば、構成要素の少なくとも1つの固有変数のみが記録され、構成要素の1つの接合面のみが洗浄される。しかしながら、特段の明示的な指定がない限り、この後の構成要素の変数の記録及び評価並びに構成要素の接合面の洗浄についてのすべて言及は、接合要素の変数の記録又は評価並びに接合要素の接合面の洗浄についても等しく関連するものとする。
【0028】
このような固有変数は、自動的に記録されることが好ましく、適切な記録装置によって記録されることが特に好ましい。この記録装置又はこれらの記録装置は、適切なセンサを含むことができ、このセンサは純粋に受動的に動作するか、又は、ワークピースが能動的に物理的プロセスを受け、このプロセスに対するその後の反応がセンサによって記録される。
【0029】
このような能動的な記録プロセスは、例えば、渦電流測定法を用いた伝導率測定を伴うものであってもよく、又は蛍光励起を用いた表面コーティング測定、又は接触抵抗測定であってもよい。
【0030】
蛍光励起測定の場合、可視範囲又はUV範囲の光を接合面に当てることができ、次いで結果として生じる励起蛍光放射(通常は異なる周波数範囲にある)が記録される。個々の光子を詳細に「カウント」することができ、記録された光子又は光量子の数は、一般に構成要素の接合面上のコーティングの厚さ又は密度と相関する。
【0031】
電気伝導率測定の場合、例えば、構成要素表面に交番磁場を誘起することができる。構成要素は好ましくはアルミニウム合金のような非磁性材料なので、これにより構成要素に渦電流が生じ、この過電流が磁場を発生させる。そのときこの反応場を記録することができる。反応場の大きさ及び強度は、このような構成要素の硬度、熱伝導率、均質性又はそれに類した特性といった特定の材料特性の指標となり得る。具体的には、反応場は伝導率(導電率)と相関する。
【0032】
接触抵抗測定の場合、接合面上に接点が置かれ、接点と構成要素との間の電圧を増大させ、及び/又は接点の先端を構成要素上に押し付ける力を増大させる。この作用の結果生じる交番電気抵抗の結果として、表面のコーティングの厚さ及び/又は密度を推定することができる。
【0033】
本発明の目的は、このようにしてその全体が達成される。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、プラズマガス洗浄法は、タングステン電極とタングステン電極を囲むアノードとの間に非伝達(非移送)アークを発生させることを伴い、このアークは、プラズマガスを用いたときにプラズマを発生させ、このプラズマが接合面上に向けられる。この場合、タングステン電極は、非常に高融点の金属で製造された電極、つまり具体的にはアークが発生したときに溶融しないタングステンのような材料で作られた電極を意味するものと理解される。
【0035】
この場合、アークは、タングステン電極とタングステン電極を囲む導電性材料で作られたアノードとの間に発生する。換言すれば、電気アークは、このステップにおいて、タングステン電極と構成要素又はその接合面との間には発生しない。結果として、これは非伝達(非移送)アークである。プラズマ又は「プラズマアーク」は、この手法の結果として導電性にはなり得ないので、したがって好ましくは磁気的手段によって偏向させることができない。したがって、プラズマアークは、十分に合焦させることができ、結果として、好ましくは洗浄軸(接合軸)から偏向しないか又はわずかに偏向するのみである。
【0036】
接合面上に向けられたプラズマ又はプラズマアークは、接合面上の表面コーティングを気化させ、これらの材料は、その後、接合要素の接合面上に蓄積することはない。
【0037】
油膜、グリース等のような一般的な不純物は、特に良好に除去することができる。
【0038】
このプロセスにおいて、プラズマガスは、圧力下でタングステン電極とアノードとの間の中間空間の中に送られることが特に好ましく、プラズマは、中間空間から接合面に向かって放出される。
【0039】
ガス圧は、接合面上のこの種のコーティングがガス圧の結果としてもまた除去されること、つまり油膜をリングの形態で外方に駆動させることができることも保証する。
【0040】
別の好ましい実施形態によれば、アノードは、プラズマガスの放出方向の向きで下流側に配置された端部でプラズマガスノズルに接続され、このノズルが中間空間から出るプラズマ又はプラズマアークをまとめ合わせる。
【0041】
結果として、非常に細いプラズマアークを生成することができ、このアークは、プラズマガスノズルから出るときに<15°、特に<10°の円錐角を有する円錐形状を備えることが好ましい。
【0042】
接合面上に出てくるプラズマアークとも呼ばれるプラズマは、したがって方向性が非常に安定している。したがって、プログラムされた位置と、ブローイング効果によるアーク偏向との間の位置偏差が非常に小さい。プラズマアークは、プラズマガスノズルと構成要素との間の距離が変動する場合であっても安定であり得る。このようなプラズマアークは、低電流であっても安定した状態で機能し続けることができる。
【0043】
接合面は、接合面の領域においてプラズマアークによって溶融されないので、つまり洗浄領域における酸素類の存在は一般に問題にならないので、不活性ガス類は、好ましくはプラズマアークの周りで発生されない。
【0044】
好ましい実施形態によれば、洗浄ステップ中にプラズマガスノズルと接合面との間で2mmから25mmの範囲の距離が調整される。この距離は、好ましくは2mmから50mm、特に3mmから10mmの範囲である。
【0045】
プラズマガスノズルのノズル直径と、洗浄ステップ中にプラズマガスノズルと接合面との間で調整される距離との間の比が1:4から1:1までの範囲であることもまた有利である。
【0046】
この場合、プラズマガスノズルのノズル直径は、好ましくはプラズマガスノズルの内径であり、つまりプラズマがプラズマガスノズルから出てくるところの有効直径である。
【0047】
具体的には、この比は1:3から1:1.5までの範囲とすることができる。
【0048】
アノード及び/又はアノードに接続されたプラズマガスノズルは、冷却装置によって冷却されることもまた有利である。
【0049】
結果として、タングステン電極とアノードとによって形成されるプラズマジェットを熱的に安定になるように生成することができる。冷却装置は、好ましくは水冷とすることができる。
【0050】
5Vから400Vの範囲の電圧をタングステン電極とアノードとの間に印加してプラズマを発生させることも好ましい。電圧は、具体的には5Vから300Vの範囲、特に5Vから100Vの範囲とすることができる。
【0051】
10kAから300kAの範囲の電流がタングステン電極とアノードとの間に流れてプラズマを発生させることも好ましい。
【0052】
接合面を洗浄するためにプラズマを発生させるときに、安定したアークを比較的低電圧及び比較的高電流で生じさせることができる。
【0053】
プラズマガスノズルの直径は、好ましくは1mmから10mmの範囲である。
【0054】
一実施形態において、接合方法は、接合面上に点火先端を生成するステップをさらに含む。
【0055】
一実施形態において、洗浄プロセスで用いられるプラズマが点火先端を生成するのにも用いられる。したがって、同じプラズマを洗浄のため及び点火先端を設けるために用いることができる。点火先端は、洗浄プロセス後又は洗浄プロセス中に生成することができる。したがって、同じ装置で表面を洗浄し、かつ点火先端を生成することができる。
【0056】
一実施形態において、プラズマを用いて接合面を局所的に溶融し、点火先端を形成する。
【0057】
一実施形態において、点火先端は、円形断面を含む。より具体的には、プラズマ(プラズマジェット)は、接合面の略平面から突出する円形突出部を作り出す。この突出部が点火先端を形成する。
【0058】
一実施形態において、点火先端は、第2の接合面上に設けられる。
【0059】
一実施形態において、接合要素は、ドローンアーク点火によるアーク溶接を通じて構成要素に接合され、この接合プロセスは、
第1の接合面を第2の接合面の点火先端に隣接して配置し、パイロット電流をオンにし、
接合要素を構成要素から持ち上げて遠ざけ、
第1の接合面及び第2の接合面が溶融し始めるように、アークを通して溶接電流を流し、
接合要素を構成要素上に下ろし、ここで第1及び第2の接合面の溶融部が混和し、
溶接電流をオフにして、溶融部全体が固化して接合要素と構成要素とを接合させる
ことを含む。
【0060】
別の好ましい実施形態によれば、スノージェット法は、ガスを圧縮し、圧縮されたガスをスノージェットノズルを通して膨張させて、接合面上に向けられる雪又は氷晶を生成させることを伴うことが有利である。
【0061】
スノージェット方法を用いる洗浄法は、好ましくは3つの効果に基づく。第1には熱的効果であり、接合面又は接合面上のコーティングがスノージェットの衝撃で急激に冷却される。スノージェットの温度は、-20℃から-150℃、特に-50℃から-100℃の範囲とすることができる。
【0062】
急激な冷却は、好ましくは、接合面上のコーティングの脆化及びクラック形成をもたらす。構成要素と不純物とが異なる熱膨張係数を有し、そのことがこの機構にとって好都合である。
【0063】
第2の洗浄効果は、機械的効果であり、ちり粒子がスノージェットの空気力学的又は動力学的な力によって脱離され及び/又は運び去られる。
【0064】
第3の洗浄効果は、いわゆる昇華効果である。この効果は、ガスが固体から気体状態に変化するときに生じる体積の増大に起因する圧力波によって、熱的効果及び機械的効果をサポートする。
【0065】
スノージェットを生成するのに用いられるガスは、好ましくはCO2である。
【0066】
この場合、雪又は氷晶は、圧縮空気により加速されて接合面上に向けられることが特に好ましい。
【0067】
この場合、圧縮空気は、好ましくは、0から16バール、具体的には0.5バールから15バール、特に5バールから12バールの範囲の圧力で供給することができる。
【0068】
別の好ましい実施形態によれば、洗浄ステップ中にスノージェットノズルと接合面との間で、3mmから150mm、具体的には40mmから120mmの範囲の距離が確立される。
【0069】
別の好ましい実施形態によれば、スノージェットノズルは、洗浄ステップ中に接合面に対して30°から85°の範囲の角度に方向付けられる。
【0070】
スノージェットを接合面に対して傾斜させることによって不純物の脱離を促進することが可能である。具体的には、ジェット角度を30°と85°との間の範囲で調整することによって、高粘度の不純物を除去することがより容易になる。
【0071】
このバリエーションにおいて、スノージェットは、長手方向軸(90°軸)に対してタンブリング方式で適用されることが特に好ましい。
【0072】
別の好ましい実施形態によれば、スノージェットノズルのノズル直径と、スノージェットノズルと接合面との間の距離との間の比は、1:2から1:50、具体的には1:5から1:20、特に1:8から1:15の範囲である。
【0073】
別の好ましい実施形態によれば、スノージェット洗浄ステップ後に圧縮空気を接合面上に吹き付けて、接合面上の凝結を低減する。
【0074】
圧縮空気は、室温であることが好ましいが、いずれにしても0℃より温かいことが好ましい。
【0075】
結果として、構成要素を洗浄ステップ後に再度加温して、凝結を低減する又は防止することができる。
【0076】
換言すれば、スノージェットを発生させるガスをオフにした後、圧縮空気が後で吹き込まれることが好ましい。
【0077】
別の好ましい実施形態によれば、TIGアーク法は、タングステン電極と接合面との間にアークを発生させることを伴う。
【0078】
換言すれば、TIGアークを、接合要素と構成要素との間ではなく、この目的のために設けられた別個のタングステン電極と構成要素の接合面との間で発生させる。
【0079】
良好な洗浄作用は、この手段によっても達成することができる。この種のTIGアークは場合によっては電位フリーではないという事実は、このTIGアークを偏向させることを容易にする。
【0080】
TIGアークを用いた洗浄は通常数秒かかるが、プラズマガス洗浄法及びスノージェット法では、3秒未満(<3s)、特に2秒以下(≦2s)のサイクル時間を達成することができる。
【0081】
上述の特徴及び以下でさらに説明される特徴は、それぞれ指定した組み合わせで用いることができるのみならず、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせでも又は単独でも用いることができることが想定される。
【0082】
本発明の実施形態は、図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】本発明の実施形態による接合装置の略図である。
図2】プラズマガス洗浄装置の略図である。
図3】スノージェット洗浄装置の略図である。
図4】TIGアーク洗浄装置の略図である。
図5】接合面の略平面図である。
図6】本発明による接合装置の別の実施形態の側面から見た略図である。
図7図6の接合装置を正面から示す。
図8a】プラズマ洗浄法と接合面上の点火点の生成とを伴う接合方法のステップを示す。
図8b】プラズマ洗浄法と接合面上の点火点の生成とを伴う接合方法のステップを示す。
図8c】プラズマ洗浄法と接合面上の点火点の生成とを伴う接合方法のステップを示す。
図8d】プラズマ洗浄法と接合面上の点火点の生成とを伴う接合方法のステップを示す。
図8e】プラズマ洗浄法と接合面上の点火点の生成とを伴う接合方法のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、全体が10で示される、接合要素を構成要素に接合するための接合装置の略図である。
【0085】
接合装置10は、ロボット14によって空間内を自在に移動させることができる接合ヘッド12を含み、接合ヘッド12は、この場合、ロボット14の1つのアーム16上に装着されることが好ましい。
【0086】
キャリッジ18は、接合ヘッド12上で接合軸20に沿って移動できることが好ましい。キャリッジ18の最大ストロークは、最大接合ストロークより大きいことが好ましい。
【0087】
接合要素24を保持するための保持装置22がキャリッジ18上に配置される。接合要素24は、例えばスタッドとして設計することができ、スタッドは、詳細には図示されていないシャフト部分と、詳細には図示されていないフランジ部分と、シャフト部分とは反対側のフランジ部分に形成された第1の接合面26とを有する。接合要素24は、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0088】
接合要素24は、接合装置10によって、プレートなどの構成要素28に接合することができ、構成要素28もアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0089】
接合要素24のフランジ部分の直径にほぼ対応する直径DFBを有する第2の接合面30が、構成要素28上に形成される。
【0090】
離型剤又はワックス、油、ポリシロキサン、炭化水素、ポリマー等で形成されるコーティング32を接合面30上に形成することができる。
【0091】
接合装置10は、具体的にはスタッド溶接装置として設計されるが、スタッドボンディング/スタッド接着装置の形態とすることもできる。
【0092】
接合装置10は、洗浄装置34を含み、この洗浄装置34によって、接合プロセスを実行する前に第2の接合面30を洗浄することができる。洗浄装置34は、洗浄媒体を第2の接合面30上に向けるように、具体的には第2の接合面30に対してある角度に方向付けられた長手方向軸36に沿って向けるように設計されることが好ましい。角度αは、例えば30°から90°の範囲、特に30°から85°の範囲とすることができる。
【0093】
一実施形態(図示せず)において、第1の接合面を、接合装置10によって接合プロセスを実行する前に洗浄することができる。別の実施形態において、第1及び第2の接合面を同時に洗浄することができ、及び/又は、両方の面を洗浄装置34によって洗浄することができる。
【0094】
図示するように、洗浄装置34は、接合ヘッド12に取り付けられるが、接合ヘッド12とは独立して設計することもできる。
【0095】
さらに、接合装置10は、第2の接合面30及び/又は第2の接合面30上の表面コーティングの状態を記録することができる記録装置38を含むことができる。具体的には、記録装置38は、構成要素28の固有変数を記録するように設計される。
【0096】
この場合、記録装置38は、接合ヘッド12に取り付けられるが、接合ヘッド12とは独立して設計することもできる。
【0097】
高品質な接合部を設けるため、そして特にむらのない接合部を設けるために、各接合面30を該面上で接合プロセスが実行される前に記録装置38によってまず処理し、その後このようにして記録された固有変数を評価することが好ましい。この変数を基にして、その後すぐに接合プロセスを行うことができるか、又は、事前に洗浄装置34を用いて洗浄プロセスを行うことが望ましい若しくは必要であるかの決定を下すことができる。
【0098】
図2は、プラズマガス洗浄装置の形態の洗浄装置34-1を示す。
【0099】
プラズマガス洗浄装置34-1は、細長いタングステン電極40を含み、これは接合軸20又は洗浄軸20に対して同軸に延びることが好ましい。
【0100】
洗浄装置34-1は、アノードスリーブ42も含み、タングステン電極40とアノードスリーブ42との間に環状中間空間44が形成される。
【0101】
プラズマガス45は、中間空間44に入る。タングステン電極40とアノードスリーブ42との間にアーク電圧Uが印加され、それによって対応する電流Iが流れる。
【0102】
このアーク電圧U及び電流Iの結果として、タングステン電極40とアノードスリーブ42との間でプラズマガス45からプラズマ49が発生し、このプラズマは、アノードスリーブ42の下流側の一端に配置されたプラズマガスノズル46から出てくる。
【0103】
結果として、ある種のプラズマアーク(又はプラズマジェット)がプラズマガスノズル46から第2の接合面30に向かって発生し、このアークは非伝達(又は非移送アーク)であり、好ましくは、地面効果に起因するいかなる磁気偏向も受けない。
【0104】
プラズマガスノズル46と第2の接合面30との間の間隔Aは、例えば2mmから25mmの範囲とすることができる。プラズマガスノズルの内径DDは、例えば2mmから15mmの範囲とすることができる。
【0105】
図2はまた、タングステン電極40とアノードスリーブ42との構成を、冷却装置50によって、例えば水冷によって冷却することができることを示す。結果として、この構成をより熱的に安定にすることができる。
【0106】
原則として、例えばTIG溶接で知られるようにプラズマアーク48の周りに不活性ガスを供給することは、必要ない。特定の理由でこのことが依然として必要である場合には、不活性ガススリーブ52をアノードスリーブ42の外側の周りに配置して、不活性ガススリーブ52とアノードスリーブ42との間に不活性ガス54を供給できるようにすることができる。
【0107】
図3は、スノージェット洗浄装置34-2を示し、CO2などのガス60及び圧縮空気が圧縮空気発生装置62からスノージェットノズル64の中に通される。このプロセスにおいて、ガス60は、最初に圧縮され、次いでスノージェットノズル内で膨張し、スノージェットノズル64内で雪又は氷晶66が生成されるようになっている。
【0108】
スノージェットノズルの内径DD’は、例えば1mmから5mmの範囲とすることができる。
【0109】
圧縮空気流によって運ばれる雪結晶66は、図3に概略的に示されるように、コーティング32に衝撃を与えてこれを破断する。
【0110】
スノージェット洗浄装置34-2において、接合軸又は洗浄軸20は、接合面30に対してある角度に方向付けられていることが好ましい場合があり、その角度は30°から85°の範囲である。
【0111】
図4は、TIGアーク洗浄装置34-3を示す。この場合、アーク電圧は、タングステン電極40’と構成要素28との間に印加され、TIGアーク70がタングステン電極40’と接合面30の領域内の構成要素28との間に発生するようになっている。適用可能な場合、不活性ガススリーブ52’をタングステン電極40’の周りに設け、TIGアーク70が不活性ガス54で囲まれるようにすることができる。
【0112】
図5は、構成要素28の接合面30の平面図を示し、この接合面は、直径DFBを有する。
【0113】
接合面30の半径は、rとして示される。
【0114】
接合面30上に向けられたプラズマアーク48(又はスノージェット)上の様々な位置が、48として示される。
【0115】
このプラズマアーク48(又はスノージェット)の直径DRは、直径DFBより大きいか又はこれと等しいことが明らかであるが、これより小さくてもよい。有効な全洗浄面は、プラズマアーク48(又はスノージェット)を第2の接合面30に対して、例えば円を描く経路74上で移動させることによって達成することができる。また、プラズマアーク48(又はスノージェット)を接合面30に対して角度を成すように配置して、全体としてタンブリング運動を生じさせるようにすることも可能である。
【0116】
図6及び図7は、構造及び動作モード関して図1に示す接合装置10に概ね対応する接合装置10’の別の実施形態を示す。したがって、同じ構成要素は同じ参照符号によって示される。
【0117】
接合装置10’は、接合ヘッド12に固定されたモータ80を含み、洗浄装置34は、接合軸20を横切る向きの回転軸の周りを回転することができる。この場合、モータ80は、インタフェース82を介して洗浄装置34に接続される。回転軸の周りの回転方向84が図7に示される。変位測定装置86を洗浄装置34に割り当て、これを用いて回転角度を記録することが好ましい。
【0118】
洗浄媒体が構成要素28の接合面30上に向けられる角度は、結果としてモータ80によって調整することができる。
【0119】
図8aから図8eは、本発明による接合方法の様々なステップを示す。洗浄装置34は、例えばプラズマガス洗浄装置の形態の洗浄装置34-1である。最終的には、洗浄装置34はTIGアーク洗浄装置34-3である。
【0120】
図8a及び図8bに示されるように、プラズマ49又はプラズマジェットを用いて、接合面26、30、特に上述のように第2の接合面30を洗浄する。プラズマ49又はプラズマジェットは、まず接合面(特に第2の接合面30)を洗浄する。接合面上に付着した潤滑剤又は汚染物があればこれがプラズマ49又はプラズマジェットにより除去される。プラズマジェットは、具体的には動力源によって発生される。プラズマの熱的効果により、コーティング32(前述のように、油、ポリマー、汚染等であり得る)は、気化、燃焼、及び/又は除去される。
【0121】
図8cに示されるように、接合面の局所的な溶融部を作成するために、プラズマ49又はプラズマジェットをさらに当てる。洗浄ステップ中にプラズマを発生させるのに用いたパラメータを変更して、溶融領域を設けることができる。溶融領域上にプラズマによって印加される圧力が、突出部又は点火先端56を生成する。突出部又は点火先端56は、円形形状又は円形断面を有する。例えば、突出部又は点火先端56は、クレーター様の形状を有する。
【0122】
点火先端56は、従来技術で既に知られているように、構成要素上に接合要素をより良好に溶接することを可能にする。接合先端56を接合要素24ではなく構成要素28上に生成することで、接合要素24の事前成形を避けることができる。そのため接合要素24の形状を無作為に選択することができ、必ずしもその端面(又は接合面)を調製する必要はない。
【0123】
より具体的には、点火先端56を形成した後、接合要素24は、ドローンアーク点火によるアーク溶接を通じて構成要素28に接合することができる。第1のステップにおいて、第1の接合面26が第2の接合面30の点火先端に隣接して配置される。パイロット電流がオンにされる。次いで接合要素24が、保持装置22によって構成要素28から持ち上げられて遠ざけられる。第1の接合面26及び第2の接合面30が溶融し始めるように、アークを通して溶接電流が流れる。より具体的には、第2の接合面は、点火先端から溶融し始め、このことが溶融のより良い再配分を可能にする。点火先端56は、アークが正確な位置に留まることを可能にする。
【0124】
次いで接合要素24が構成要素28上に下ろされ、第1及び第2の接合面26、30の溶融部が混和する。溶接電流がオフにされ、溶融部全体が固化して、図8eで見られるように接合要素24と構成要素28とを接合する。次いで保持装置22を、例えば図8eに示される矢印の方向に従って、組立体から遠ざけることができる。
【符号の説明】
【0125】
10、10’:接合装置
12:接合ヘッド
14:ロボット
16:アーム
18:キャリッジ
20:接合軸
22:保持装置
24:接合要素
26:第1の接合面
28:構成要素
30:第2の接合面
32:コーティング
34:洗浄装置
34-1:プラズマガス洗浄装置
34-2:スノージェット洗浄装置
34-3:TIGアーク洗浄装置
36:長手方向軸
38:記録装置
40、40’:タングステン電極
42:アノード
44:中間空間
45:プラズマガス
46:プラズマガスノズル
48:プラズマアーク
49:プラズマ
50:冷却装置
52、52’:不活性ガススリーブ
54:不活性ガス
56:点火先端
60:ガス
62:圧縮空気
64:スノージェットノズル
66:雪又は氷晶
70:TIGアーク
74:円を描く経路
80:モータ
82:インタフェース
84:回転方向
86:変位測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e