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特許7025448ジシリルアミン化合物、その製造方法、およびそれを含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物
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  • 特許-ジシリルアミン化合物、その製造方法、およびそれを含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物 図1
  • 特許-ジシリルアミン化合物、その製造方法、およびそれを含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物 図2
  • 特許-ジシリルアミン化合物、その製造方法、およびそれを含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】ジシリルアミン化合物、その製造方法、およびそれを含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/10 20060101AFI20220216BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20220216BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C07F7/10 F CSP
C23C16/42
H01L21/316 X
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019556985
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2018004553
(87)【国際公開番号】W WO2018194391
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2019-10-29
(31)【優先権主張番号】10-2017-0050960
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0045055
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514145604
【氏名又は名称】ディーエヌエフ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DNF Co. Ltd.
【住所又は居所原語表記】142 Daehwa-ro 132beon-gil, Daedeok-gu, Daejeon 306-802 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ギ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン セ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ビョン-イル
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ サン-ド
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ サム ドン
(72)【発明者】
【氏名】パク グン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ サン イク
(72)【発明者】
【氏名】キム ミョン ウン
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-526399(JP,A)
【文献】特表2017-507909(JP,A)
【文献】特開2016-149537(JP,A)
【文献】特表2020-517825(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0051975(US,A1)
【文献】国際公開第2013/133942(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0087908(KR,A)
【文献】Stuger, Harald; Lassacher, Paul; Hengge, Edwin,Aminochlorodisilanes: precursors to multifunctionalized disilane derivatives,Journal of Organometallic Chemistry,1997年,547(2),227-233
【文献】INORGANIC SYNTHESES,1966年,8,19-22
【文献】Vishnevskiy, Yuri V.; Abaev, Maxim A.; Ivanov, Arkadii A.; Vilkov, Lev V.; Dakkouri, Marwan,Molecular structure of tris(cyclopropylsilyl)amine as determined by gas electron diffraction and quantum-chemical calculations,Journal of Molecular Structure,2008年,889(1-3),316-327
【文献】Bacque, Eric; Pillot, Jean-Paul; Birot, M.; Dunogues, J.; Bourgeois, G.; Petraud, M.,Synthesis and chemical properties of 1,3-dichloro-1,3-dihydridodisilazanes,Journal of Organometallic Chemistry,1994年,481(2),167-172
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C23C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式2で表される、ジシリルアミン化合物。
[化学式2]
【化1】
(前記化学式2中、R11~R14は、互いに独立して、C1-C7アルキル、またはC2-C7アルケニルである。)
【請求項2】
前記化学式2のジシリルアミン化合物は、下記化合物から選択されるものである、請求項1に記載のジシリルアミン化合物。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項3】
塩基の存在下で、下記化学式3の化合物と、下記化学式4の化合物とを反応させることで、化学式5の化合物を製造するステップと、
還元剤の存在下で、下記化学式5の化合物を還元させることで、下記化学式2のジシリルアミン化合物を製造するステップと、を含む、ジシリルアミン化合物の製造方法。
[化学式2]
【化7】
[化学式3]
【化8】
[化学式4]
【化9】
[化学式5]
【化10】
(前記化学式2および化学式3~5中、R11~R14は、互いに独立して、C1-C7アルキル、またはC2-C7アルケニルであり;
~Xは、互いに独立して、ハロゲンである。)
【請求項4】
前記塩基は、トリC1-C5アルキルアミンまたはピリジンであり、
前記還元剤は、LiAlH、NaBH、MHであって、前記Mはアルカリ金属である、請求項3に記載のジシリルアミン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記塩基と前記化学式4の化合物は1:1~1:2のモル比で用いられ、前記還元剤と前記化学式5の化合物は1:1.25~1:6.0のモル比で用いられる、請求項に記載のジシリルアミン化合物の製造方法。
【請求項6】
前記化学式4の化合物は、前記化学式3の化合物1モルに対して、1モル~2モルで用いられる、請求項3に記載のジシリルアミン化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載のジシリルアミン化合物を含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物。
【請求項8】
請求項7に記載のシリコン含有薄膜蒸着用組成物を用いたシリコン含有薄膜の製造方法。
【請求項9】
原子層蒸着法、気相蒸着法、有機金属化学気相蒸着法、低圧気相蒸着法、プラズマ強化気相蒸着法、またはプラズマ強化原子層蒸着法により行われる、請求項8に記載のシリコン含有薄膜の製造方法。
【請求項10】
a)チャンバー内に取り付けられた基板の温度を30~400℃に維持するステップと、
b)キャリヤガスと、請求項7に記載のシリコン含有薄膜蒸着用組成物を注入するステップと、
c)反応ガスを注入して前記基板上にシリコン含有薄膜を蒸着させるステップと、を含む、請求項8に記載のシリコン含有薄膜の製造方法。
【請求項11】
前記反応ガスは、酸素、オゾン、蒸留水、過酸化水素、一酸化窒素、亜酸化窒素、二酸化窒素、アンモニア、窒素、ヒドラジン、アミン、ジアミン、一酸化炭素、二酸化炭素、C~C12の飽和または不飽和炭化水素、水素、アルゴン、およびヘリウムから選択される何れか1つまたは2つ以上である、請求項10に記載のシリコン含有薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なジシリルアミン化合物、その製造方法、およびそれを含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物に関し、詳細には、種々の薄膜の前駆体として使用可能な新規なジシリルアミン化合物、その製造方法、およびそれを含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物、並びに前記シリコン含有薄膜蒸着用組成物を用いたシリコン含有薄膜の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
シリコン含有薄膜は、半導体分野において、種々の蒸着工程によりシリコン膜(silicon)、シリコン酸化膜(silicon oxide)、シリコン窒化膜(silicon nitride)、シリコン炭窒化膜(Silicon carbonitride)、およびシリコンオキシ窒化膜(Silicon oxynitride)などの様々な形態で製造されており、その応用分野が広範囲である。特に、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜は、非常に優れた遮断特性および耐酸化性のため、装置の製作において、絶縁膜、拡散防止膜、ハードマスク、エッチング停止層、シード層、スペーサー、トレンチアイソレーション、金属間誘電物質、および保護膜層に用いられている。近年、多結晶シリコン薄膜が薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)、太陽電池などに用いられており、その応用分野が多様化しつつある。
【0003】
シリコンが含有されている薄膜を製造するための公知の代表的な技術としては、混合されたガス形態のシリコン前駆体と反応ガスを反応させて基板の表面に膜を形成したり、基板の表面上と直接反応させて膜を形成したりする化学気相蒸着(MOCVD)法や、ガス形態のシリコン前駆体を基板の表面に物理的または化学的に吸着させた後、反応ガスを順に投入することにより膜を形成する原子層蒸着(ALD)法が挙げられ、これを応用した低圧化学気相蒸着(LPCVD)法、および低温で蒸着が可能なプラズマを利用した化学気相蒸着(PECVD)法と原子層蒸着(PEALD)法などの種々の薄膜製造技術が次世代半導体およびディスプレイ素子の製造工程に適用され、超微細パターンの形成や、ナノ単位の厚さで均一で且つ優れた特性を有する極薄膜の蒸着に用いられている。
【0004】
シリコン含有薄膜を形成するために用いられる前駆体は、シラン、シラン塩化物、アミノシラン、およびアルコキシシラン形態の化合物が代表的であり、一般に求められる前駆体の特徴は、次のとおりである。
○1 常温および常圧で液体形態の化合物と優れた揮発性を有する化合物
○2 化合物自体の高い熱安定性と低い活性化エネルギーを有し、反応性に優れた化合物
○3 薄膜の形成過程で不揮発性の副生物を生成しない化合物
○4 取り扱いおよび運送と保管が容易な化合物
【0005】
現在、ジクロロシラン(dichlorosilane:SiHCl)およびヘキサクロロジシラン(hexachlorodisilane:ClSiSiCl)などのシラン塩化物形態の化合物と、トリシリルアミン(trisilylamine:N(SiH)、ビスジエチルアミノシラン(bis-diethylaminosilane:HSi(N(CHCH)、およびジイソプロピルアミノシラン(di-isopropylaminosilane:HSiN(i-C)などのアミノシラン化合物などを用いたシリコン含有薄膜の蒸着に関する研究が種々の文献で報告されており、半導体の製造およびディスプレイの製造における量産工程で用いられている。しかしながら、素子の超高集積化による素子の微細化とアスペクト比の増加、および素子材料の多様化により、所望の低い温度で、均一で且つ薄い厚さを有し、優れた電気的特性を有する超微細薄膜を形成する技術が求められており、従来のシリコン前駆体を用いた600℃以上の高温工程、ステップカバレッジ、エッチング特性、薄膜の物理的および電気的特性が問題となっている。
【0006】
一方、素子で求められている、低い温度で、均一で且つ薄い厚さを有し、優れた電気的特性を有する超微細薄膜を形成しても、低い薄膜形成速度による生産性の問題が発生しており、向上した性能を有する新規なシリコン前駆体の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2016-0365244号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低い温度で優れた凝集力、高い蒸着率、優れたステップカバレッジなどの優れた物理的および電気的特性を有するシリコン含有薄膜の形成を制御できる、シリコン含有薄膜の前駆体としての新規なジシリルアミン化合物、およびその製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、本発明の新規なジシリルアミン化合物を含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物、およびそれを用いたシリコン含有薄膜の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、低い活性化エネルギーを有して反応性に優れ、熱的に安定しており、揮発性に優れるため、薄膜蒸着用前駆体として非常に有用な、新規なジシリルアミン化合物を提供するものであって、本発明のジシリルアミン化合物は、下記化学式1で表される。
【0011】
[化学式1]
【化1】
(前記化学式1中、R~Rは、互いに独立して、水素、(C1-C7)アルキル、または(C2-C7)アルケニルである。)
【0012】
好ましくは、本発明の一実施形態に係る前記化学式1において、R~Rは、互いに独立して、水素、(C1-C5)アルキル、または(C2-C5)アルケニルであってもよい。
【0013】
好ましくは、本発明の前記化学式1で表されるジシリルアミン化合物は、下記化学式2で表されてもよい。
【0014】
[化学式2]
【化2】
(前記化学式2中、R11~R14は、互いに独立して、水素、(C1-C7)アルキル、または(C2-C7)アルケニルである。)
【0015】
具体的に、本発明の前記化学式1のジシリルアミン化合物は、下記化合物から選択されるものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0016】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0017】
また、本発明は、本発明の前記化学式1の化合物の製造方法を提供するものであって、本発明の化学式1で表されるジシリルアミン化合物は、
塩基の存在下で、下記化学式3の化合物と、下記化学式4の化合物とを反応させることで、化学式5の化合物を製造するステップと、
還元剤の存在下で、下記化学式5の化合物を還元させることで、下記化学式1のジシリルアミン化合物を製造するステップと、を含んで製造される。
【0018】
[化学式3]
【化8】
【0019】
[化学式4]
【化9】
【0020】
[化学式5]
【化10】
(前記化学式3~5中、R~Rは、互いに独立して、水素、(C1-C7)アルキル、または(C2-C7)アルケニルであり;
~Xは、互いに独立して、ハロゲンである。)
【0021】
本発明のジシリルアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記塩基は、トリ(C1-C5)アルキルアミンであり、前記還元剤は、LiAlH、NaBH、MH(ここで、Mはアルカリ金属である。)であってもよい。
【0022】
本発明のジシリルアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記塩基と化学式4の化合物とのモル比は、1:1~1:2の範囲であり、反応を迅速に完了するために、1:1~1:1.5のモル比で用いられ、より好ましくは、1:1.125のモル比で用いられてもよい。還元剤は、前記化学式5の化合物とのモル比が1:1.25~1:6の範囲であり、好ましくは、1:1.25~1:5.5のモル比で用いられてもよい。前記化学式3の化合物は、前記化学式2の化合物1モルに対して、1~2モルで用いられてもよい。
【0023】
また、本発明は、本発明の一実施形態に係るジシリルアミン化合物を含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物を提供する。
【0024】
また、本発明は、本発明の一実施形態に係るシリコン含有薄膜蒸着用組成物を用いたシリコン含有薄膜の製造方法を提供する。
【0025】
本発明のシリコン含有薄膜の製造方法は、原子層蒸着(ALD)法、気相蒸着(CVD)法、有機金属化学気相蒸着(MOCVD)法、低圧気相蒸着(LPCVD)法、プラズマ強化気相蒸着(PECVD)法、またはプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)法により行われることができる。
【0026】
本発明のシリコン含有薄膜の製造方法は、具体的に、
a)チャンバー内に取り付けられた基板の温度を30~400℃に維持するステップと、
b)キャリヤガスと、請求項1に記載のシリコン含有薄膜蒸着用組成物を注入するステップと、
c)反応ガスを注入して前記基板上にシリコン含有薄膜を蒸着させるステップと、を含んでもよい。
【0027】
本発明のシリコン含有薄膜の製造方法の一実施形態において、反応ガスは、酸素(O)、オゾン(O)、蒸留水(HO)、過酸化水素(H)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)、窒素(N)、ヒドラジン(N)、アミン、ジアミン、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、C~C12の飽和または不飽和炭化水素、水素、アルゴン、およびヘリウムから選択される何れか1つまたは2つ以上であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の新規なジシリルアミン化合物は、低い活性化エネルギーを有することで、優れた反応性および熱安定性を有し、揮発性が高いため、シリコン含有薄膜蒸着用前駆体として非常に有用である。
【0029】
また、本発明の新規なジシリルアミン化合物は、室温および取り扱い可能な圧力下で液体状態で存在するため、取り扱いが容易である。
【0030】
本発明のシリコン含有薄膜蒸着用組成物は、本発明のジシリルアミン化合物を含むことで、優れたステップカバレッジなどの優れた物理的、電気的特性を有し、純度および耐久性が高い薄膜を高い蒸着率で製造することができる。
【0031】
本発明のシリコン含有薄膜の製造方法も、本発明のジシリルアミン化合物を含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物を用いてシリコン含有薄膜を製造することで、シリコンの含量が高く、熱安定性および耐久性に優れた高品質のシリコン含有薄膜の製造を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例1で製造されたビスジメチルシリルジシリルアミンの熱重量分析結果を示した図である。
図2】実施例1で製造されたビスジメチルシリルジシリルアミンの蒸気圧測定結果を示した図である。
図3】実施例2および実施例3で製造された、シリコンが含有されている薄膜を赤外分光計分析により分析した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明のジシリルアミン化合物、その製造方法、およびそれを含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物について詳述する。
【0034】
本発明に記載の「アルキル」は、直鎖状、分岐状、および環状の飽和、不飽和炭化水素を意味し、1~7個の炭素原子、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個の炭素原子を有し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ネオブチル、ペンチルなどを含む。
【0035】
本明細書に記載の「ハロゲン」は、ハロゲン族元素を意味し、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0036】
本発明に記載の、単独、または他の基の一部としての用語「アルケニル」は、2~7個の炭素原子、および1個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状、分岐状、または環状の炭化水素ラジカルを意味する。より好ましいアルケニルラジカルは、2~5個の炭素原子を有する低級アルケニルラジカルである。最も好ましい低級アルケニルラジカルは、約2~3個の炭素原子を有するラジカルである。また、アルケニル基は、任意の利用可能な付着点で置換されてもよい。アルケニルラジカルの例としては、エテニル、プロペニル、アリル、ブテニル、および4-メチルブテニルを含む。用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は、シス(cis)およびトランス(trans)配向、または代案的に、EおよびZ配向を有するラジカルを含む。
【0037】
本発明は、シリコン含有薄膜の製造における前駆体として非常に有用な新規なジシリルアミン化合物を提供するものであって、本発明のジシリルアミン化合物は、下記化学式1で表される。
【0038】
[化学式1]
【化11】
(前記化学式1中、R~Rは、互いに独立して、水素、(C1-C7)アルキル、または(C2-C7)アルケニルである。)
【0039】
本発明の新規なジシリルアミン化合物は、窒素原子の非共有電子対が分子中のシリコン原子にさらに提供されることで、シリコンと窒素原子の結合エネルギーが増加し、窒素原子に3個のシリコン原子が結合されている平面三角形のSiN分子構造を有して、低い活性化エネルギーを有するため、反応性に優れるとともに、優れた熱安定性を有する。
【0040】
また、本発明の新規なジシリルアミン化合物は、常温および常圧で液体形態の化合物であって、優れた揮発性を有しており、分子中のシリコン原子の含量が高いため、優れた蒸着率を示すことができる。
【0041】
好ましくは、本発明の前記化学式1において、R~Rは、互いに独立して、水素、(C1-C5)アルキル、または(C2-C5)アルケニルであってもよい。
【0042】
より好ましくは、本発明の前記化学式1で表されるジシリルアミン化合物は、下記化学式2で表されてもよい。
【0043】
[化学式2]
【化12】
(前記化学式2中、R11~R14は、互いに独立して、水素、(C1-C7)アルキル、または(C2-C7)アルケニルである。)
【0044】
本発明の前記化学式2で表される新規なジシリルアミン化合物は、窒素原子の非共有電子対が分子中のシリコン原子にさらに提供されることで、シリコンと窒素原子の結合エネルギーが増加し、窒素原子に3個のシリコン原子が結合されている平面三角形のSiN分子構造を有するだけでなく、陽電荷の特性を有する1個以上の水素を含んでいる2個のシリコン原子が結合され、電子的に敏感なSi分子構造の形態を有する。これにより、さらに低い活性化エネルギーを有するため、より優れた反応性を有し、高い蒸着率で容易にシリコン含有薄膜が蒸着可能である。
【0045】
さらに、熱安定性にも優れるため、耐久性が高く、且つ純度の高い薄膜を製造することができる。
【0046】
薄膜蒸着用前駆体としてさらに有用に用いるという点から、好ましくは、前記化学式2において、R11~R14は、互いに独立して、水素、(C1-C5)アルキル、または(C2-C5)アルケニルであってもよく、より好ましくは、水素、(C1-C3)アルキル、または(C2-C3)アルケニルであってもよい。
【0047】
本発明の一実施形態に係る化学式2のジシリルアミン化合物は、下記化学式2-1で表されてもよい。
【0048】
[化学式2-1]
【化13】
(前記化学式2-1中、R21およびR22は、互いに独立して、水素、(C1-C7)アルキル、または(C2-C7)アルケニルである。)
【0049】
具体的に、本発明の前記化学式1のジシリルアミン化合物は、下記化合物から選択されるものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0050】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【0051】
また、本発明は、本発明の一実施形態に係る化学式1の化合物の製造方法を提供するものであって、本発明の一実施形態に係る化学式1で表されるジシリルアミン化合物は、
塩基の存在下で、下記化学式3の化合物と、下記化学式4の化合物とを反応させることで、化学式5の化合物を製造するステップと、
還元剤の存在下で、下記化学式5の化合物を還元させることで、下記化学式1のジシリルアミン化合物を製造するステップと、を含んで製造される。
【0052】
[化学式3]
【化19】
【0053】
[化学式4]
【化20】
【0054】
[化学式5]
【化21】
(前記化学式3~5中、R~Rは、互いに独立して、水素、(C1-C7)アルキル、または(C2-C7)アルケニルであり;
~Xは、互いに独立して、ハロゲンである。)
【0055】
本発明のジシリルアミン化合物の製造方法の一実施形態において、塩基は、本技術分野における当業者が認識できる範囲内であれば何れも可能であるが、好ましくは、トリ(C1-C5)アルキルアミンまたはピリジンであってもよく、具体的に、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどが挙げられる。塩基と化学式4の化合物とのモル比は、1:1~1:2の範囲であり、反応を迅速に完了するために、1:1~1:1.5のモル比で用いられ、より好ましくは、1:1.25のモル比で用いられてもよい。
【0056】
本発明のジシリルアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記還元剤は、これに制限されるものではないが、好ましくは、LiAlH、NaBH、またはMH(ここで、Mはアルカリ金属である。)であってもよく、前記アルカリ金属は、Li、Na、またはKであってもよい。
【0057】
本発明の還元剤は、前記化学式5の化合物とのモル比が1:1.25~1:6の範囲であり、好ましくは、1:1.25~1:5.5のモル比で用いられてもよい。前記化学式3の化合物は、前記化学式2の化合物1モルに対して1~2のモル比、好ましくは1~1.5のモル比で用いられてもよい。
【0058】
本発明の製造方法で用いられる溶媒としては、通常の有機溶媒であれば何れも可能であるが、ヘキサン、ペンタン、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン(Toluene)、アセトニトリル(MeCN)、ニトロメタン(Nitromethane)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラエチレングリコールジメチルエタン、およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、ポリエーテル(Diglyme、Triglyme、および/またはTetraglyme)からなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。
【0059】
反応温度は、通常の有機合成で用いられる温度であれば可能であるが、反応物質および出発物質の量によって変わり得て、NMRなどにより、出発物質が完全に消耗されたことを確認してから反応を完結させる。反応が完結されると、抽出過程の後に、減圧下で溶媒を蒸留させた後、カラムクロマトグラフィーなどの通常の方法により目的物を分離精製してもよい。
【0060】
また、本発明は、本発明の一実施形態に係るジシリルアミン化合物を含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物を提供する。
【0061】
本発明のシリコン含有薄膜蒸着用組成物は、前記化学式1で表されるジシリルアミン化合物を前駆体として必ず含み、ジシリルアミン化合物を1つ以上含んでもよい。シリコン含有薄膜蒸着用組成物中のジシリルアミン化合物の含量は、薄膜の成膜条件または薄膜の厚さ、特性などを考慮して、当業者が認識できる範囲内で含まれてもよいということは言うまでもない。
【0062】
また、本発明は、本発明の一実施形態に係るシリコン含有薄膜蒸着用組成物を用いたシリコン含有薄膜の製造方法を提供する。
【0063】
本発明のシリコン含有薄膜の製造方法は、常温で液体であって、揮発性が高く、熱安定性に優れた、本発明の一実施形態に係る化学式1で表されるジシリルアミン化合物を前駆体として含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物を用いることで、取り扱いが容易であり、種々の薄膜が製造可能であるとともに、シリコンの含量が高く、高い蒸着率および優れたステップカバレッジを有する高純度の薄膜を製造することができる。
【0064】
本発明のシリコン含有薄膜の製造方法は、本技術分野における当業者が認識できる範囲内で可能な方法であれば何れも可能であるが、好ましくは、原子層蒸着(ALD)法、気相蒸着(CVD)法、有機金属化学気相蒸着(MOCVD)法、低圧気相蒸着(LPCVD)法、プラズマ強化気相蒸着(PECVD)法、またはプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)法により行われてもよく、より好ましくは、プラズマ強化原子層蒸着(PEALD)法またはプラズマ強化気相蒸着(PECVD)法であってもよい。
【0065】
本発明の一実施形態に係るシリコン含有薄膜の製造方法は、具体的に、
a)チャンバー内に取り付けられた基板の温度を30~400℃に維持するステップと、
b)キャリヤガスと、本発明の一実施形態に係るシリコン含有薄膜蒸着用組成物を注入するステップと、
c)反応ガスを注入して前記基板上にシリコン含有薄膜を蒸着させるステップと、を含んでもよい。
【0066】
好ましくは、本発明の一実施形態に係るシリコン含有薄膜の製造を、プラズマ強化原子層蒸着(PEALD)法またはプラズマ強化気相蒸着(PECVD)法により行う際に、a)ステップの後に、プラズマを発生させるステップをさらに含んでもよい。
【0067】
本発明の一実施形態に係るシリコン含有薄膜の製造方法は、目的とする薄膜の構造または熱的特性に応じて蒸着条件が調節可能であり、本発明の一実施形態に係る蒸着条件としては、ジシリルアミン化合物を含有するシリコン含有薄膜蒸着用組成物の投入流量、反応ガス、キャリヤガスの投入流量、圧力、RFパワー、基板温度などが挙げられる。かかる蒸着条件の非限定的な例として、シリコン含有薄膜蒸着用組成物の投入流量は10~1000cc/min、キャリヤガスは10~1000cc/min、反応ガスの流量は1~1000cc/min、圧力は0.5~10torr、RFパワーは200~1000W、および基板温度は30~400℃の範囲で調節可能であるが、これに限定されるものではない。
【0068】
本発明のシリコン含有薄膜の蒸着方法は、本発明の一実施形態に係るジシリルアミン化合物を前駆体として含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物を用いることで、低い基板温度である30~200℃、より低い温度である30~100℃でも薄膜を形成することができるため、非常に経済的であり、商業的な適用において非常に有利である。
【0069】
本発明のシリコン含有薄膜の製造方法で用いられる反応ガスは、これに限定されるものではないが、酸素(O)、オゾン(O)、蒸留水(HO)、過酸化水素(H)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)、窒素(N)、ヒドラジン(N)、アミン、ジアミン、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、C~C12の飽和または不飽和炭化水素、水素、アルゴン、およびヘリウムから選択される何れか1つまたは2つ以上であり、キャリヤガスは、アルゴン、ヘリウム、および窒素から選択される1つまたは2つ以上であってもよい。
【0070】
本発明の一実施形態に係るシリコン含有薄膜の製造方法で用いられる基板は、Si、Ge、SiGe、GaP、GaAs、SiC、SiGeC、InAs、およびInPのうち1つ以上の半導体材料を含む基板;SOI(Silicon On Insulator)基板;石英基板;またはディスプレイ用ガラス基板;ポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PolyEthylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN、PolyEthylene Naphthalate)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、Poly Methyl MethAcrylate)、ポリカーボネート(PC、PolyCarbonate)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエステル(Polyester)などの可撓性プラスチック基板;であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0071】
また、前記シリコン含有薄膜は、前記基板に直ちに薄膜を形成することの他に、前記基板と前記シリコン含有薄膜との間に、多数の導電層、誘電層、または絶縁層などが形成されてもよい。
【0072】
以下、本発明を下記実施例によってさらに具体的に説明する。それに先たち、本明細書および特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって、本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【0073】
したがって、本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想の全部を代弁しているわけではないため、本出願時点においてこれらに代替可能な多様な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【0074】
また、以下の全ての実施例は、常用化されたシャワーヘッド方式の200mm枚葉式(single wafer type)ALD装備(CN1、Atomic Premium)を用いて、公知のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)法により行った。また、常用化されたシャワーヘッド方式の200mm枚葉式(single wafer type)CVD(PECVD)装備(CN1、Atomic Premium)を用いて、公知のプラズマ気相化学蒸着法により行うことができる。
【0075】
蒸着されたシリコン含有薄膜の厚さは、エリプソメータ(Ellipsometer、M2000D、Woollam)および透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)により測定し、赤外分光器(Infrared Spectroscopy、IFS66V/S & Hyperion 3000、Bruker Optiks)、X-線光電子分光分析器(X-ray photoelectron spectroscopy)、および二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometer、SIMS)を用いて、その組成を分析した。
【0076】
[実施例1]ビスジメチルシリルジシリルアミンの製造
1ステップ:ビスジメチルシリルペンタクロロジシリルアミンの製造
【化22】
無水雰囲気および不活性雰囲気下で、乾燥された5LのSus反応器に、ヘキサクロロジシラン(SiCl)2000g(7.44mol)と有機溶媒のノルマルペンタン2500mLを入れて撹拌しながら、トリエチルアミン((CHCHN)752.7g(7.44mol)を-20℃に維持しながらゆっくりと添加した。添加が完了された後、さらにテトラメチルジシラザン(((CH)SiH)NH)991.8g(7.44mol)を-20℃に維持しながらゆっくりと添加した。添加が完了された反応溶液を徐々に常温に昇温し、25℃に維持しながら6時間撹拌した。反応が終わった反応混合物を濾過し、生成された白色の固体を除去した後、濾液を得た。この濾液から減圧下で溶媒を除去し、ビスジメチルシリルペンタクロロジシリルアミン(((CH)SiH)NSi(Cl)SiCl)を2448.9g(6.70mol)得た(収率90%)。
【0077】
H NMR(in C): δ0.2 (d, 12H, (((CH3)2)SiH)2NSi(Cl)2Si(Cl)3)), δ4.68(m, 2H, (((CH3)2)SiH)2NSi(Cl)Si(Cl)))
【0078】
2ステップ:ビスジメチルシリルジシリルアミンの製造
【化23】
無水雰囲気および不活性雰囲気下で、乾燥された20LのSus反応器に、有機溶媒のテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)4300mlを入れて撹拌しながら、リチウムアルミニウムヒドリド(LiAlH)350.7g(9.24mol)を-10℃に維持しながらゆっくりと添加した。添加が完了された後、さらにビスジメチルシリルペンタクロロジシリルアミン(((CH)SiH)NSi(Cl)SiCl)2448.9g(6.70mol)を-10℃に維持しながらゆっくりと添加した。添加が完了された反応溶液を-10℃に維持しながら20時間撹拌した。反応が終わった反応混合物を濾過し、生成された白色の固体を除去した後、濾液を得た。この濾液から減圧下で溶媒を除去し、減圧蒸留により、ビスジメチルシリルジシリルアミン(((CH)SiH)NSi(H)22SiH)を712.8g(3.68mol)得た(収率55%)。
【0079】
H NMR(in C): δ0.16 (d, 12H, (((CH3)2)SiH)2NSi(H)2SiH3), δ4.81 (m, 2H, (((CH3)2)SiH)2NSi(H)2SiH3), δ4.62 (m, 2H, (((CH3)2)SiH)2NSi(H)2SiH3), δ3.26 (m, 3H, (((CH3)2)SiH)2NSi(H)2SiH3)
【0080】
図1に、製造されたビスジメチルシリルジシリルアミンの熱重量分析結果を示し、図2に蒸気圧測定結果を示した。図1および図2に示されたように、本発明の実施例1で製造されたビスジメチルシリルジシリルアミンは、熱安定性に優れるとともに、低い蒸気圧を有して、揮発性が高いことが分かる。
【0081】
[実施例2]ビスジメチルシリルジシリルアミンを用いた、プラズマ強化原子層蒸着(PEALD)法によるシリコン酸化薄膜の製造
公知のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)法を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置にて、シリコン酸化膜を製造するために、本発明の実施例1で製造されたビスジメチルシリルジシリルアミンを使用した。反応ガスとしては、プラズマとともに亜酸化窒素を使用し、不活性気体である窒素はパージのために使用した。反応ガスおよびプラズマ時間0.5秒で成膜を行った。下記表1に、具体的なシリコン酸化薄膜の蒸着方法を示した。
【0082】
蒸着した薄膜の厚さはエリプソメータ(Ellipsometer)を用いて測定し、赤外分光光度計を用いてシリコン酸化薄膜の形成を分析し、X-線光電子分光器を用いてシリコン酸化薄膜の組成を分析した。以下の表3に、具体的なシリコン酸化薄膜の分析結果を示し、図に、蒸着された膜を赤外分光計により分析した結果を示した。
【0083】
[実施例3]ビスジメチルシリルジシリルアミンを用いた、プラズマ化学蒸着(PECVD)法によるシリコン酸化薄膜の製造
公知のプラズマ化学蒸着(PECVD)法を用いる通常のプラズマ強化原子層蒸着(PEALD)装置にて、シリコン酸化膜を製造するために、本発明の実施例1で製造されたビスジメチルシリルジシリルアミンを用いて成膜した。反応ガスとしては、プラズマとともに亜酸化窒素を使用した。表2に、具体的なシリコン酸化薄膜の蒸着方法を示した。
【0084】
蒸着した薄膜の厚さはエリプソメータ(Ellipsometer)を用いて測定し、赤外分光光度計を用いてシリコン酸化薄膜の形成を分析し、X-線光電子分光器を用いてシリコン酸化薄膜の組成を分析した。以下の表3に、具体的なシリコン酸化薄膜の分析結果を示し、図に、蒸着された膜を赤外分光計により分析した結果を示した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
表3に示されたように、実施例2および実施例3の結果から、本発明のビスジメチルシリルジシリルアミンを前駆体として含むシリコン含有薄膜蒸着用組成物を用いて製造されたシリコン酸化膜が、優れた蒸着速度を有し、高品質のシリコン酸化膜として製造されることを確認することができる。
図1
図2
図3