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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】触媒系およびその使用のための重合方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/6192 20060101AFI20220216BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20220216BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20220216BHJP
   C08F 4/02 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
C08F4/6192
C08F4/6592
C08F10/00 510
C08F4/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019564060
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018027071
(87)【国際公開番号】W WO2018212852
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-01-16
(31)【優先権主張番号】62/508,679
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ハーラン チャールズ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ランベルティ ウィリアム エイ
(72)【発明者】
【氏名】クオ チー-イ
(72)【発明者】
【氏名】イェ シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ ルビン
(72)【発明者】
【氏名】パネル リチャード ビー
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-051981(JP,A)
【文献】特表2007-533824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0267408(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0355618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/00- 4/82
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する1種または複数種の触媒と、少なくとも1種の活性剤と、1種または複数種の担体材料組成物との組み合わせの生成物を含むオレフィン重合用の触媒系であって、前記1種または複数種の担体材料組成物が、(i)10体積%~55体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストロームである細孔の体積百分率、(ii)40体積%~55体積%の、細孔サイズが300オングストローム以上である細孔の体積百分率、(iii)700m2/g未満のBET表面積、及び(iv)36μm以上の粒子サイズ分布D50、を有する、オレフィン重合用の触媒系。
【請求項2】
前記1種または複数種の担体材料組成物の平均真球度が、少なくとも0.970である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
前記1種または複数種の触媒が、少なくとも1種のメタロセン触媒である、請求項1又は2に記載の触媒系。
【請求項4】
前記1種または複数種の担体材料組成物が、Al23、ZrO2、SiO2、SiO2/Al23、SiO2/TiO2、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、またはこれらの混合物を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項5】
前記少なくとも1種の活性剤が、1:1~200:1のアルミニウム対触媒金属のモル比で存在するメチルアルモキサンである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項6】
前記1種または複数種の担体材料組成物がSiO2を含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の触媒系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2017年5月19日に出願された米国特許出願第62/508,679号の利益を主張するものであり、その開示は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、触媒系、およびオレフィンを重合させるための重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンポリマーは、強靭な物理的特性のため、商業的に広く用いられている。例えば、高密度、低密度、および直鎖状低密度ポリエチレンを含む、種々のタイプのポリエチレンポリマーは商業的に最も有用なものの一部である。ポリオレフィンポリマーは、典型的には、気相反応器などの反応器において、オレフィンモノマーを重合させる触媒を用いて調製する。
長年の間、商業的な気相ポリオレフィン生成反応器において、「シート化」および/または「チャンキング」が発生している。シート化およびチャンキングは、シートまたはチャンクの形態で、反応器の壁にポリマーの固体塊が形成することによって特徴づけられる。小さな顆粒(「微粒子」としても知られる)は、典型的には、約125μm未満の直径を有する。高レベルの微粒子はシート化をもたらしうる。これらの固体チャンクまたはシートは、主に凝集したポリマー顆粒からなり、最終的に器壁から外れて反応セクションに落下し、そこで流動化を妨げ、生成物放出ポートを閉塞する場合があり、洗浄のための反応器の停止を余儀なくする場合がある。これらの事象はいずれも、重合反応器の連続動作を中断させるため、「不連続事象」として記載されうる。
気相反応器において発生する少なくとも2つの形態のシート化があり、反応器内の形成される場所に応じて、ウォールシートまたはドームシートとして知られる。ウォールシートは、反応セクションの壁(一般に直立セクション)に形成される。ドームシートは、反応器の遥かに高いところ、膨らんだセクションの円錐形セクション、または反応器の頂部の半球形ヘッドに形成される。
【0003】
チーグラー-ナッタ触媒によってシート化が発生する場合、典型的には反応器のより低いセクションにおいて発生し、ウォールシート化と呼ばれる。チーグラー-ナッタ触媒は、ドームシートを形成することもあるが、発生は稀である。しかし、メタロセン触媒によって、いずれかの場所または両方の場所においてシート化が発生することがあり、すなわち、ウォールシート化とドームシート化の両方が、典型的に発生しうる。
典型的なメタロセン化合物は、一般に、元素の周期表の4、5、もしくは6族、またはランタニドおよびアクチニド系列から選択された遷移金属と組み合わせた、遷移金属原子に結合することができる1つまたは複数の配位子を含有するもの、通常は、シクロペンタジエニル由来の配位子または部分を含有するものとして記載される。例えば、米国特許第6,855,783号を参照されたい。
メタロセン触媒によるシート化の制御を困難にする1つの特徴は、反応器における静電的増大が促進する傾向を予測できないことである。例えば、不規則な静電荷の挙動が、長期的な安定挙動の後に現れることがあるが、場合により、生成しているポリマーの特性の変化に相関がある。メタロセン触媒を用いることに関連する反応器の不連続の結果、例えば、反応器に不活性な炭化水素を添加すること、音波を用いてシート化を低減すること、および帯電防止剤などの添加剤を反応器に直接添加することによる、運用性の改善を試みる種々の技法が開発されてきた。添加剤の使用は、触媒効率および生産性の低下を伴いうる。それでもなお、シート化の問題はなくならない。
シート化を制御することが困難である別の理由は、メタロセン触媒系が担体材料組成物、典型的にはシリカを含み、これが微細粒子を含有することである。微細粒子は、シート化およびチャンキングの原因となる場合があり、これはさらに、やはりシート化およびチャンキングの原因となる、微細なポリマー顆粒(例えば125μm未満)の生成をもたらしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、動作中のオレフィン重合反応器において、シート化および/またはチャンキングの低減または排除をもたらす、オレフィンを重合させるための触媒系が必要である。シート化および/またはチャンキングが低減し、したがって、反応器の不連続事象が低減または排除された、オレフィンを重合させるための方法も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態において、本開示は、3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する1種または複数種の触媒と、少なくとも1種の活性剤と、1種または複数種の担体材料組成物との組み合わせの生成物を含む触媒系であって、1種または複数種の担体材料組成物は、10体積%~80体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500である細孔の体積百分率、および700m2/g未満のBET表面積を有する、触媒系を提供する。
他の実施形態において、本開示は、ポリオレフィン組成物を生成するための方法であって、1種または複数種のオレフィンを、3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する1種または複数種の触媒または触媒化合物と、1種または複数種の活性剤と、1種または複数種の担体材料組成物との組み合わせの生成物を含む触媒系に接触させることを含み、1種または複数種の担体材料組成物が、10体積%~80体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下である細孔の体積百分率、および700m2/g未満のBET表面積を有する、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】種々の比較用シリカ担体材料の、粒子サイズ分布を示すグラフである。
図1B】本開示の種々のシリカ担体材料の、粒子サイズ分布を示すグラフである。
図2A】比較用シリカ担体材料の、細孔体積を示すグラフである。
図2B】本開示の種々のシリカ担体材料の、細孔体積を示すグラフである。
図3A】種々の比較用シリカ担体材料の、細孔サイズ分布を示すグラフである。
図3B】本開示の種々のシリカ担体材料の、細孔サイズ分布を示すグラフである。
図4】種々のシリカ担体材料を含有する触媒系によって生成したポリマー材料の、顆粒サイズ分布を示すグラフである。
図5A】選択した触媒系についての、運転条件を示す表である。
図5B】種々の触媒系を用いて生成したポリマーの、粒子サイズ分布を示すグラフである。
図5C】顆粒のゲル浸透クロマトグラフィー分析を示すグラフである。
図6A】選択した触媒系によって実施した重合についての、反応速度プロファイルを示すグラフである。
図6B】選択した触媒系によって実施した重合についての、反応速度プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本化合物、成分、組成物、および/または方法を開示および記載する前に、別段の指示がない限り、この発明は特定の化合物、成分、組成物、反応物質、反応条件、配位子、触媒構造、メタロセン構造等に限定されず、別段の指定がない限り、これらは変化しうることを理解されたい。本明細書で用いられる用語は、具体的な実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0008】
多くの従来の担体材料は、担体材料全体に渡って均一に触媒を分布させるのに十分に大きな細孔を、所望の量だけ有せず、それによって触媒系は、担体材料の表面の触媒の量、および/または担体材料の端部(「辺縁」として知られる条件)における触媒の濃度が均衡しないものとなることが発見されている。本開示の実施形態は、3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する1種または複数種の触媒または触媒化合物と、1種または複数種の活性剤と、1種または複数種の担体材料組成物との組み合わせの生成物を含む触媒系であって、1種または複数種の担体材料組成物は、10体積%~80体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下である細孔の体積百分率、および/または700m2/g未満のBET表面積を有する、触媒系を含む。10体積%~80体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下である細孔の体積百分率を有する担体材料組成物を有する触媒系は、担体材料の粒子全体に渡って、より均一に分布した触媒含有量を有する触媒系をもたらすことが発見されている。担体材料全体に渡ってより均一に分布した触媒含有量が増加することは、1)良好に制御された成長型重合速度プロファイルを呈し(例えば図6Aおよび図6B)、2)生産性の向上を有し(例えば図6)、3)不良な中空ポリマー顆粒の形成が低減もしくは排除され、4)反応器における微粒子形成が低減もしくは排除され(例えば表8)、ならびに/または5)ポリマー顆粒のバルク密度が増加した(例えば表7)、触媒系をもたらす。
【0009】
3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する触媒は、メタロセン触媒であってもよい。少なくとも1つの実施形態において、担体材料は、Al23、ZrO2、SiO2、SiO2/Al23、SiO2/TiO2、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、またはこれらの混合物を含む。
触媒系は、少なくとも1種の活性剤を含みうる。活性剤は、アルキルアルモキサン、例えばメチルアルモキサンであってもよい。アルキルアルモキサンは、約1:1~約200:1、例えば50:1~約200:1、または約50:1以下のアルミニウム対触媒化合物金属のモル比で、触媒系に存在してもよい。本開示の触媒系は、担体材料、例えばシリカ1g当たり、約4mmol~約15mmol、例えば5mmol~12mmol Alの(アルキルアルモキサンの)アルミニウム含有量を有しうる。
10体積%~80体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下である細孔の体積百分率を有する担体材料組成物を有する触媒系は、活性触媒サイトが担体粒子全体に渡って、粒子間および粒子内型でより均一に分布した触媒系をもたらすことが発見されている。細孔の体積百分率は、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストロームの細孔の累計体積を測定し、細孔のその体積を、細孔サイズが20オングストローム~1500オングストロームの細孔の総累計体積で除算することによって決定する。
【0010】
少なくとも1つの実施形態において、担体材料組成物は、10体積%~80体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率を有する。他の部類の実施形態において、担体材料組成物は、10体積%~75体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率、10体積%~65体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率、35体積%~75体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率、40体積%~65体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率、40体積%~63体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率、40体積%~60体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率、または40体積%~55体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率を有する。
本明細書の解釈上、粒子サイズ(PS)または直径、およびその分布は、Retsch Technology GmbH、Haan、Germanyから入手可能なCamsizer P4(30μm~30mmの範囲)、またはRetsch Technology GmbH、Haan、Germanyから入手可能な、湿式モジュールを備えるCamsizer XT(0.4~2000μmの範囲)を用いた動画像分析によって決定する。平均PSは、粒子サイズに関する粒子体積の分布を指す。明白なまたは文脈による別段の指示がない限り、「粒子」は、凝集体中の一次粒子、または凝結体中の要素粒子のような、粒子体のサブユニットまたは部分よりむしろ、凝結体、凝集体、またはカプセル化凝集体のような、全体としての粒子体または集合体を指す。
【0011】
本明細書の解釈上、触媒担体材料の表面積(SA、比表面積またはBET表面積とも呼ばれる)、細孔体積(PV)、および細孔直径(PD)は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)法、および/またはBarrett-Joyner-Halenda(BJH)法によって、MICROMERITICS TRISTAR II 3020機器またはMICROMERITICS ASAP 2420機器により、未焼結/焼結シリカについては粉末を100℃~300℃において4~8時間、シリカ担持アルモキサンについては40℃~100℃において4時間~終夜脱ガスした後、窒素(液体窒素の温度:77K)の吸着-脱着を用いて、決定する。方法に関するより多くの情報は、例えば“Characterization of Porous Solids and Powders: Surface Area, Pore Size and Density,” S. Lowell et al., Springer, 2004に見出すことができる。PVは、内部および外部PVの両方を含む総PVを指す。
【0012】
ある部類の実施形態において、1種または複数種の担体材料組成物は、700m2/g未満、690m2/g未満、650m2/g未満、600m2/g未満、575m2/g未満、550m2/g未満、500m2/g未満、475m2/g未満、450m2/g未満、400m2/g未満、375m2/g未満、350m2/g未満、330m2/g、または325m2/g未満のBET表面積を有する。例えば、AGC株式会社から供給されるシリカは、約300~360m2/gのBET表面積を有し、H-202-Fと称され、対して、約700m2/gのBET表面積を有する同社のシリカは、H-202、H-122、およびH-52と称される。例えば、米国特許第6,855,783号、カラム9、60~64行を参照されたい。
【0013】
担体材料組成物の細孔内の触媒含有量を決定する1つの方法は、未粉砕担持触媒金属/担体の、粉砕担持触媒金属/担体に対する比を決定することである。例えば、担体材料組成物がSiO2である場合、触媒系は、X線光電子分光法によって決定される、約1~約4、例えば約1~約3、例えば約1~約2の未粉砕(Al/Si)/粉砕(Al/Si)値を有しうる。本明細書において用いるとき、「粉砕」という用語は、乳鉢および乳棒によって微細粒子に磨砕した材料として定義する。本明細書において用いるとき、「未粉砕」という用語は、乳鉢および乳棒によって微細粒子に磨砕していない材料として定義する。未粉砕(Al/Si)/粉砕(Al/Si)値を測定するため、触媒系についてのX線光電子スペクトルを得る。触媒系の外表面の金属含有量を、スペクトルを用いて、外表面の質量%として決定する。次いで、乳鉢および乳棒を用いて、触媒系を微細粒子に磨砕する。微細粒子についてのその後のX線光電子スペクトルを得て、微粒子表面の金属含有量を、その後のX線光電子スペクトルを用いて、質量%として決定する。未粉砕触媒系について決定した質量%値を、粉砕触媒系(すなわち、微細粒子)についての質量%で除算し、未粉砕/粉砕値をもたらす。1という値は、触媒系の外表面および空隙空間内の表面における、均一な金属の分布を指す。1より大きい値は、担体材料組成物の空隙より、担体材料組成物の外表面において、金属の量が多いことを指す。1未満の値は、担体材料組成物の外表面における金属より、担体材料組成物の空隙内の表面における金属の量が多いことを指す。
【0014】
本開示の担体材料組成物は、複数種の粒子を有してよく、複数種の粒子の1つまたは複数は、約270m2/g~700m2/g未満の表面積、および約0.5cc/g~約3cc/gの細孔体積を有しうる。少なくとも1つの実施形態において、担体材料組成物は、複数種の粒子を含み、複数種の粒子の1つまたは複数は、約700m2/g未満の表面積、および約0.6cc/g~約2.5cc/gの細孔体積を有する。
複数種の粒子の1つまたは複数は、約1μm~約5μmの粒子サイズ直径D50値を有しうる。さらに、担体材料組成物は、約20μm~約60μmの粒子サイズD50値を有しうる。少なくとも1つの実施形態において、担体材料組成物は、約40μmの粒子サイズ直径D50値を有する。
この開示の解釈上、周期表の族についての番号付けスキームは、CHEMICAL and ENGINEERING News, 63(5), pg. 27 (1985)に記載されているものを用いる。そのため、「4族金属」は、周期表の4族の元素、例えばHf、Ti、またはZrである。
【0015】
「触媒生産性」は、Wgの触媒(cat)を含む重合触媒を用いて、T時間の時間に渡って、何グラムのポリマー(P)が生成したかの測定値であり、次の式:P/(T×W)によって表すことができ、gPgcat-1時間-1の単位で表すことができる。変換は、ポリマー生成物に変換されたモノマーの量であり、mol%として報告するが、ポリマー収量(質量)および反応器に供給したモノマーの量を基準として計算する。触媒活性は、触媒の活性のレベルの測定値であり、担持触媒(cat)の質量当たりに生成した生成ポリマー(P)の質量(gP/g担持触媒)として報告する。少なくとも1つの実施形態において、触媒の活性は、少なくとも800gポリマー/g担持触媒/時間、例えば約1,000gポリマー/g担持触媒/時間以上、例えば約2,000gポリマー/g担持触媒/時間以上、例えば約3,000gポリマー/g担持触媒/時間以上、例えば約4,000gポリマー/g担持触媒/時間以上、例えば約5,000gポリマー/g担持触媒/時間以上である。
【0016】
あるいは「アルケン」とも呼ばれる「オレフィン」は、少なくとも1つの二重結合を有する、炭素と水素との、直鎖状、分岐状、または環式化合物である。ポリマーまたはコポリマーがオレフィンを含むものとして呼ばれる場合、このようなポリマーまたはコポリマー中に存在するオレフィンは、重合された形態のオレフィンである。例えば、コポリマーの質量を基準として、コポリマーが35質量%~55質量%のエチレン含有率を有するという場合、コポリマー中のモノマー(「マー」)単位は重合反応においてエチレンに由来し、該由来単位が35質量%~55質量%存在する、と理解されたい。「ポリマー」は、2つ以上の同じまたは異なるマー単位を有する。「ホモポリマー」は、同じマー単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2種以上のマー単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに異なる3種のマー単位を有するポリマーである。マー単位に関して用いられる「異なる」は、マー単位が、少なくとも1つの原子によって互いに異なること、または異性体的に異なることを示す。したがって、本明細書において用いるとき、「コポリマー」の定義は、ターポリマー等を含む。オリゴマーは、典型的には、25,000g/mol未満、もしくは2,500g/mol未満のMnのような低分子量、または75マー単位以下、もしくは50マー単位以下のような少数のマー単位を有するポリマーである。「エチレンポリマー」または「エチレンコポリマー」は、少なくとも50mol%のエチレン由来単位を含むポリマーまたはコポリマーであり、「プロピレンポリマー」または「プロピレンコポリマー」は、少なくとも50mol%のプロピレン由来単位を含むポリマーまたはコポリマーであり、他も同様である。
「触媒系」は、少なくとも1種の触媒化合物と、担体材料との組み合わせである。触媒系は、少なくとも1種の活性剤、および/または少なくとも1種の共活性剤を有してもよい。触媒系を中性で安定な形態の成分を含むものとして記載する場合、成分のイオン形態が、モノマーと反応してポリマーを生成する形態であることをよく理解されたい。本開示の解釈上、「触媒系」は、触媒系の成分の中性形態とイオン形態との両方を含む。
本開示において、触媒は、触媒前駆体、プレ触媒化合物、触媒化合物、または遷移金属化合物として記載されうるが、これらの用語は交換可能に用いられる。「アニオン性配位子」は、1つまたは複数の電子対を金属イオンに供与する、負に帯電した配位子である。「中性供与配位子」は、1つまたは複数の電子対を金属イオンに供与する、中性に帯電した配位子である。重合触媒系は、モノマーを重合させてポリマーにすることができる触媒系である。
【0017】
触媒化合物に関する本開示の解釈上、「置換」という用語は、水素基が、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基によって置き換えられていることを意味する。例えば、メチルシクロペンタジエン(MeCp)はメチル基によって置換されたCp基であり、エチルアルコールは-OH基によって置換されたエチル基である。
本開示の解釈上、「アルコキシド」は、アルキル基がC1-C10ヒドロカルビルであるものを含む。アルキル基は、直鎖状、分岐状、または環式でありうる。アルキル基は、飽和または不飽和でありうる。少なくとも1つの実施形態において、アルキル基は、少なくとも1つの芳香族基を含みうる。「アルコキシ」または「アルコキシド」という用語は、好ましくは、アルキルエーテルまたはアリールエーテル基を意味し、アルキルという用語は、C1-C10アルキルである。好適なアルキルエーテル基の例としては、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ等が挙げられる。
【0018】
本開示は、遷移金属錯体を記載する。錯体という用語は、補助配位子が、中心遷移金属原子に配位した分子を記載するのに用いる。配位子は、重合中のような、触媒の使用中の影響力を維持するため、遷移金属に安定に結合している。配位子は、共有結合、および/もしくは電子供与配位、または中間的な結合によって、遷移金属に配位しうる。遷移金属錯体は一般に、活性剤を用いて活性化に供すると重合作用を果たすが、これは、しばしば脱離基と呼ばれるアニオン基が遷移金属から除去された結果、カチオンを生み出すと考えられる。
本開示において用いる場合、以下の省略形は、次のものを意味する。dmeは1,2-ジメトキシエタンであり、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Etはエチルであり、Prはプロピルであり、iPrはイソプロピルであり、n-Prはノルマルプロピルであり、cPrはシクロプロピルであり、Buはブチルであり、iBuはイソブチルであり、tBuは第三級ブチルであり、p-tBuはパラ-第三級ブチルであり、nBuはノルマルブチルであり、sBuはsec-ブチルであり、TMSはトリメチルシリルであり、TIBALはトリイソブチルアルミニウムであり、TNOALはトリ(n-オクチル)アルミニウムであり、MAOはメチルアルモキサンであり、sMAOは担持メチルアルモキサンであり、p-Meはパラ-メチルであり、Bnはベンジル(すなわち、CH2Ph)であり、THF(thfとも呼ばれる)はテトラヒドロフランであり、RTは室温(別段の指示がない限り、23℃)であり、tolはトルエンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、Cyはシクロヘキシルである。
【0019】
「ヒドロカルビル基(radical)」、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基(group)、「アルキル基」、および「アルキル」という用語は、この開示全体を通じて、交換可能に用いられる。同様に、「基(group)」、「基(radical)」、および「置換基」という用語も、この開示において交換可能に用いられる。この開示の解釈上、「ヒドロカルビル基」は、C1-C100基であると定義し、直鎖状、分岐状、または環式でありえ、環式である場合、芳香族または非芳香族でありうる。このような基の例としては、限定するものではないが、置換類似体を含めて、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等が挙げられる。置換ヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基の少なくとも1つの水素原子が、少なくとも非水素基、例えばハロゲン(Br、Cl、F、もしくはIなど)、もしくはNR* 2、OR*、SeR*、TeR*、PR* 2、AsR* 2、SbR* 2、SR*、BR* 2、SiR* 3、GeR* 3、SnR* 3、PbR* 3等のような少なくとも1つの官能基によって置換されている基、または少なくとも1つのヘテロ原子が、ヒドロカルビル環内に挿入されている基である。
【0020】
「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を有する、直鎖状、分岐鎖状、または環式の炭化水素基を意味する。これらのアルケニル基は、置換されてもよい。好適なアルケニル基の例としては、限定するものではないが、置換類似体を含めた、エテニル、プロペニル、アリル、1,4-ブタジエニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル(cycloctenyl)等が挙げられる。
「アリール」または「アリール基」という用語は、炭素含有芳香環、およびその置換変形体を意味し、限定するものではないが、フェニル、2-メチル-フェニル、キシリル、4-ブロモ-キシリルが挙げられる。同様に、ヘテロアリールは、1つの環炭素原子(または2つもしくは3つの環炭素原子)が、ヘテロ原子によって、好ましくはN、O、またはSによって置き換えられている、アリール基を意味する。本明細書において用いるとき、「芳香族」という用語は、芳香族という定義によるものではないが、芳香族ヘテロ環式配位子と同様の特性および構造(おおよそ平面状)を有するヘテロ環式置換基である、疑似芳香族ヘテロ環も指し、同様に、芳香族という用語は置換芳香族も指す。
【0021】
名前を出したアルキル、アルケニル、アルコキシド、またはアリール基の異性体が存在する場合(例えば、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチル)、群(例えばn-ブチル)の1つのメンバーへの言及は、ファミリーの残りの異性体(例えば、iso-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチル)を明白に開示しているものとする。同様に、特定の異性体(例えばブチル)を指定しない、アルキル、アルケニル、アルコキシド、またはアリール基への言及は、すべての異性体(例えば、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチル)を明白に開示している。
【0022】
「環原子」という用語は、環構造の一部である原子を意味する。この定義によれば、ベンジル基は6個の環原子を有し、テトラヒドロフランは5個の環原子を有する。ヘテロ環式環は、環構造にヘテロ原子を有する環であり、環原子上の水素がヘテロ原子によって置き換えられたヘテロ原子置換環に対立するものである。例えば、テトラヒドロフランはヘテロ環式環であり、4-N,N-ジメチルアミノ-フェニルはヘテロ原子置換環である。
本明細書において用いるとき、「錯体」はしばしば、触媒前駆体、プレ触媒、触媒、触媒化合物、遷移金属化合物、または遷移金属錯体とも呼ばれる。これらの用語は、交換可能に用いられる。活性剤および共触媒も、交換可能に用いられる。
捕捉剤は、不純物を補足することによって重合を促進するために、触媒系に添加されうる化合物である。いくつかの捕捉剤は、活性剤としても作用する場合があり、共活性剤と呼ばれうる。捕捉剤ではない共活性剤は、活性触媒系を形成するため、活性剤と併せても用いられうる。少なくとも1つの実施形態において、共活性剤は、アルキル化遷移金属化合物を形成するため、遷移金属化合物と予備混合することができる。
「連続」という用語は、ある期間の間、中断または停止することなく動作する系を意味する。例えば、ポリマーを生成するための連続方法は、1つまたは複数の反応器に反応物質が連続的に導入され、ポリマー生成物が連続的に引き出されるものであろう。
本明細書において用いるとき、Mnは数平均分子量であり、Mwは質量平均分子量であり、Mzはz平均分子量であり、質量%は質量百分率であり、mol%はモル百分率である。分子量分布(MWD)は、多分散指数(PDI)とも呼ばれ、MwをMnで除算したものと定義する。別段の注記がない限り、すべての分子量の単位(例えば、Mw、Mn、Mz)はg/molである。
【0023】
担体材料組成物
本開示の実施形態は、少なくとも1種の担体材料組成物と、3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する少なくとも1種の触媒と、少なくとも1種の活性剤との組み合わせの生成物を含む触媒系を含む。本開示の担体材料組成物は、10体積%~60体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下の細孔の体積百分率を有し、例えばAGC株式会社、またはAGCケミカルズ・アメリカ株式会社から商業的に得ることができる。
10体積%~80体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストローム以下である細孔の体積百分率を有する担体材料組成物を有する触媒系は、担体材料粒子全体に渡って均一に分布した触媒含有量の増加を有する触媒系をもたらし、高生産性、高バルク密度ポリマー、ならびに重合中の反応器内のシート化およびチャンキングの低減のうちの、1つまたは複数をもたらすことが発見されている。
【0024】
担体材料組成物は、複数種の粒子からなりうる。複数種の粒子の1つまたは複数は、約10m2/g~約900m2/gの表面積、約0.1~約4.0cc/gの細孔体積(メソ多孔性)、および約5μm~約500μmの平均粒子サイズを有しうる。少なくとも1つの実施形態において、複数種の粒子の1つまたは複数の表面積は約100m2/g~約700m2/g未満であり、細孔体積は約0.5cc/g~約3.5cc/gであり、平均粒子サイズは約10μm~約200μmである。複数種の粒子の1つまたは複数の表面積は約300~約600m2/gであり、細孔体積は約1.0~約2.5cc/gであり、平均粒子サイズは約5~約100μmでありうる。
複数種の粒子の1つまたは複数の平均細孔サイズ(直径)は、約15~約1500オングストローム、例えば約50~約1250オングストローム、例えば約75~約1000オングストロームでありうる。少なくとも1つの実施形態において、複数種の粒子の1つまたは複数は、高表面積のアモルファスシリカである(表面積=328m2/gm、2.2cm3/gmの細孔体積)。非限定例のシリカは、AGC DM-L-403およびH-202-Fの商標で市販されており、AGCケミカルズ・アメリカ株式会社から入手可能である。
【0025】
少なくとも1つの実施形態において、複数種の粒子の1つまたは複数は、約270m2/g~350m2/gの表面積、および約1.2cc/g~約2.3cc/gの細孔体積を有する。少なくとも1つの実施形態において、複数種の粒子の1つまたは複数は、約300m2/g~約680m2/gの表面積、および約1.2cc/g~約2.5cc/gの細孔体積を有する。
複数種の粒子の1つまたは複数は、約1~約300μmの体積サイズ直径を有する。直径という用語は、光散乱によって測定される粒子サイズを指すために用いられるが、粒子が必ず形状において球形であることを示唆することを意味しない。体積サイズ直径は、粒子の体積モーメント平均とも呼ばれ、すなわち全粒子iに渡って合計したD[4,3]=Σnii 4/Σnii 3である。
体積サイズ直径は、Malvern(商標) Mastersizerのような装置を用いた、光散乱による粒子サイズ分析によって、測定されうる。Malvern Instruments、Malvern、Worcestershireによって作製されたこの機器は、ミー理論を利用して粒子サイズ分布を計算する。ミー理論は、球形粒子によってどのように光が散乱するかを予測し、粒子の屈折率を考慮する。シリカの屈折率について用いた実数は1.45であり、粒子の虚数屈折率について0.1を用い(光の吸収に相当する)、水分散剤は1.33の屈折率である。
【0026】
平均粒子サイズに対するものとして、粒子サイズ分布を考える場合、複数種の粒子は、好適には、約5000μm以下のD90、例えば約400以下のD90を有する。これらは、約50μm以下のD50を有しうる。複数種の粒子は、約10μm以下のD10、例えば約1μm以下のD10を有しうる。(明瞭性のため、D90は、複数種の粒子の90体積%が、D90未満の直径を有する直径である。D50は、複数種の粒子の50体積%が、D50未満の直径を有する直径である。D10は、複数種の粒子の10体積%が、D10未満の直径を有する直径である。)さらに、担体材料組成物は、約10μm~約400μm、例えば約30μm~約100μm、例えば約30μm~約60μmの粒子サイズD50値を有しうる。少なくとも1つの実施形態において、担体材料組成物は、約40μmの粒子サイズ直径D50値を有する。
【0027】
少なくとも1つの実施形態において、担体材料粒子は、少なくとも0.970の真球度を有する。一般に、担体材料粒子の真球度が高いほど、得られるポリマーのバルク密度が高い。真球度(SPHT)はSPHT=4πA/U2(式中、Aはポリマー粒子の断面積であり、Uはポリマー粒子の断面円周である)と定義される。平均真球度は、体積平均真球度である。平均真球度は、例えば、Camsizer(登録商標)画像分析システム(Retsch Technology GmbH、Haan、Germany)によって決定することができる。測定のため、生成物を、漏斗を通じて導入し、計測チャネルによって落下シャフトへ移送する。粒子が照明壁を通過して落下する間に、粒子をカメラによって選択的に記録する。記録した画像を、選択したパラメータに応じて、ソフトウェアによって評価する。真円度を特性評価するためには、プログラムにおいて真球度として称されるパラメータを使用する。報告するパラメータは、真球度加重平均体積、すなわち、相当直径xcminによって決定した粒子の体積である。相当直径xcminを決定するため、合計32の異なる空間方向についての最長弦直径を、それぞれの場合において測定する。相当直径xcminは、これらの32の弦直径の最短のものである。粒子を記録するためには、いわゆるCCD-ズームカメラ(CAM-Z)を用いる。計測チャネルを制御するため、カメラの検出窓における表面被覆率(透過率)を0.5%と事前に定めた。
少なくとも1つの実施形態において、担体材料粒子は、不活性な担体材料である。担体材料粒子は、多孔質担体材料、例えばタルクまたは無機酸化物であってもよい。他の担体材料としては、ゼオライト、粘土、有機粘土、もしくは任意の他の有機もしくは無機担体材料等、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
少なくとも1つの実施形態において、担体材料粒子は、微細化された形態の無機酸化物である。本明細書において担体材料粒子として用いるための好適な無機酸化物材料としては、2族、4族、13族、および14族金属酸化物、例えばシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、およびこれらの混合物が挙げられる。単独で、またはシリカもしくはアルミナとの組み合わせのいずれかで使用されうる他の無機酸化物は、マグネシア、チタニア、ジルコニア等である。しかし、他の好適な担体材料粒子、例えば、微細化されたポリエチレンなどの、微細化された官能化ポリオレフィンを使用することもできる。特に有用な担体材料粒子としては、マグネシア、チアニア、ジルコニア、モンモリロナイト、フィロシリケート、ゼオライト、タルク、粘土等が挙げられる。これらの担体材料粒子の組み合わせ、例えば、シリカ-クロム、シリカ-アルミナ、シリカ-チアニア等も用いられうる。少なくとも1つの実施形態において、担体材料粒子は、Al23、ZrO2、SiO2、SiO2/Al22、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、またはこれらの混合物から選択される。
担体材料粒子はフッ素を含んでもよく、例えば担体材料がフッ素化されてもよい。本明細書において用いるとき、「フッ素化担体材料粒子」、「フッ素化担体」、および「フッ素化担体材料組成物」という語句は、少なくとも1種の無機フッ素含有化合物によって処理された、望ましくは微粒子および多孔質である担体を意味する。例えば、フッ素化担体組成物粒子は、シリカヒドロキシル基の一部が、フッ素またはフッ素含有化合物によって置き換えられている、二酸化ケイ素担体粒子であってもよい。好適なフッ素含有化合物としては、限定するものではないが、無機フッ素含有化合物、および/または有機フッ素含有化合物が挙げられる。
【0029】
担体にフッ素を供給するのに好適なフッ素化合物は、有機または無機フッ素化合物であってもよく、望ましくは、無機フッ素含有化合物である。このような無機フッ素含有化合物は、炭素原子を含有しない限り、フッ素原子を含有する任意の化合物であってもよい。NH4BF4、(NH42SiF6、NH4PF6、NH4F、(NH42TaF7、NH4NbF4、(NH42GeF6、(NH42SmF6、(NH42TiF6、(NH42ZrF6、MoF6、ReF6、GaF3、SO2ClF、F2、SiF4、SF6、ClF3、ClF5、BrF5、IF7、NF3、HF、BF3、NHF2、NH4HF2、およびこれらの組み合わせから選択される無機フッ素含有化合物が、特に望ましい。少なくとも1つの実施形態において、アンモニウムヘキサフルオロシリケート、およびアンモニウムテトラフルオロボレートを用いる。
複数種の粒子は、カップリング、付着、または互いに好適にそれ以外の相互作用をし、担体材料組成物を形成することができる。担体材料組成物は、これらの担体材料粒子の凝集体であってもよい。
【0030】
担体材料組成物は、乾燥しているべきである、すなわち、吸収した水を含むべきではない、または実質的に含むべきではない。担体材料組成物を乾燥させることは、約100℃~約1000℃、例えば少なくとも約600℃において加熱または焼結することによって、達成することができる。担体材料組成物がシリカである場合、少なくとも200℃、例えば約200℃~約850℃、例えば約600℃において、約1分~約100時間、約12時間~約72時間、または約24時間~約60時間の時間、加熱する。焼結担体材料組成物は、少なくともいくつかの反応性ヒドロキシル(OH)基を有してもよい。
担体材料組成物を、次いで、少なくとも1種の重合触媒および活性剤と接触させる。反応性表面基、典型的にはヒドロキシル基を有する担体材料組成物を、非極性溶媒中でスラリー化し、得られたスラリーを、少なくとも1種の触媒化合物および活性剤の溶液と接触させる。少なくとも1つの実施形態において、担体材料組成物のスラリーを、まず、約0.5時間~約24時間、例えば約2時間~約16時間、または約4時間~約8時間の時間、活性剤と接触させる。触媒化合物の溶液を、次いで、分離した担体材料組成物/活性剤と接触させる。少なくとも1つの実施形態において、担持触媒系はin situで生じる。少なくとも1つの実施形態において、担体材料組成物のスラリーを、まず、約0.5時間~約24時間、例えば約2時間~約16時間、または約4時間~約8時間の時間、触媒化合物と接触させる。担持触媒化合物のスラリーを、次いで、活性剤溶液と接触させる。
【0031】
触媒と、活性剤と、担体材料組成物との混合物を、約0℃~約110℃、例えば約23℃~約60℃、例えば室温に加熱してもよい。接触時間は、約0.5時間~約24時間、例えば約2時間~約16時間、または約4時間~約8時間でありうる。
好適な非極性溶媒は、本明細書において用いる反応物質のすべて、例えば活性剤および触媒化合物が、少なくとも部分的に可溶な物質であり、かつ反応温度において液体である物質である。非限定例の非極性溶媒は、イソペンタン、ヘキサン、n-ヘプタン、オクタン、ノナン、およびデカンなどのアルカン、シクロヘキサンなどのシクロアルカン、ベンゼン、トルエン、およびエチルベンゼンなどの芳香族である。
触媒化合物
少なくとも1つの実施形態において、本開示は、触媒、金属原子を含む触媒系を提供する。触媒化合物は、メタロセン触媒であってもよい。金属は、3族~12族金属原子、例えば3族~10族金属原子、またはランタニド族原子であってもよい。3族~12族金属原子を有する触媒化合物は、単座または多座、例えば二座、三座、または四座であってもよく、ここで、触媒のヘテロ原子、例えばリン、酸素、窒素、または硫黄が、触媒の金属原子にキレート結合する。非限定例としては、ビス(フェノレート)が挙げられる。少なくとも1つの実施形態において、3族~12族金属原子は、4族、5族、6族、8族、または10族金属原子から選択される。少なくとも1つの実施形態において、3族~10族金属原子は、Cr、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、およびNiから選択される。少なくとも1つの実施形態において、金属原子は、4族、5族、および6族金属原子から選択される。少なくとも1つの実施形態において、金属原子は、Ti、Zr、またはHfから選択される4族金属原子である。金属原子の酸化状態は、0~+7、例えば+1、+2、+3、+4、または+5、例えば+2、+3、または+4の範囲でありうる。
【0032】
本明細書において用いるメタロセン触媒としては、3族~12族金属錯体、好ましくは4族~6族金属錯体、例えば4族金属錯体を含むメタロセンが挙げられる。本開示の触媒系のメタロセン触媒化合物は、式:CpACpBM’X’n(式中、各CpAおよびCpBは独立に、シクロペンタジエニル配位子、およびシクロペンタジエニルにアイソローバルな配位子から選択され、CpAおよびCpBの一方または両方がヘテロ原子を含有してもよく、CpAおよびCpBの一方または両方が、1つまたは複数のR”基によって置換されてもよい)によって表される非架橋メタロセン触媒化合物であってもよい。M’は、3族~12族原子、およびランタニド族原子から選択される。X’はアニオン性脱離基である。nは、0または1~4の整数である。R”は、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、低級アルケニル、置換アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、低級アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、低級アルキルチオ、アリールチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルキレン、アルカリール、アルカリーレン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロ原子含有基、ヒドロカルビル、低級ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、シリル、ボリル、ホスフィノ、ホスフィン、アミノ、アミン、ゲルマニウム、エーテル、およびチオエーテルから選択される。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、各CpAおよびCpBは独立に、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、シクロペンタフェナントレニル、ベンズインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントリンデニル、3,4-ベンゾフルオレニル、9-フェニルフルオレニル、8-H-シクロペンタ[a]アセナフチレニル、7-H-ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2-9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、およびこれらの水素化バージョンから選択される。
【0034】
メタロセン触媒化合物は、式:CpA(A)CpBM’X’nに(式中、各CpAおよびCpBは独立に、シクロペンタジエニル配位子、およびシクロペンタジエニルにアイソローバルな配位子から選択される)よって表される架橋メタロセン触媒化合物であってもよい。CpAおよびCpBの一方または両方が、ヘテロ原子を含有してもよく、CpAおよびCpBの一方または両方が、1つまたは複数のR”基によって置換されてもよい)。M’は、3族~12族原子、およびランタニド族原子から選択される。X’はアニオン性脱離基である。nは、0または1~4の整数である。(A)は、二価アルキル、二価低級アルキル、二価置換アルキル、二価ヘテロアルキル、二価アルケニル、二価低級アルケニル、二価置換アルケニル、二価ヘテロアルケニル、二価アルキニル、二価低級アルキニル、二価置換アルキニル、二価ヘテロアルキニル、二価アルコキシ、二価低級アルコキシ、二価アリールオキシ、二価アルキルチオ、二価低級アルキルチオ、二価アリールチオ、二価アリール、二価置換アリール、二価ヘテロアリール、二価アラルキル、二価アラルキレン、二価アルカリール、二価アルカリーレン、二価ハロアルキル、二価ハロアルケニル、二価ハロアルキニル、二価ヘテロアルキル、二価ヘテロ環、二価ヘテロアリール、二価ヘテロ原子含有基、二価ヒドロカルビル、二価低級ヒドロカルビル、二価置換ヒドロカルビル、二価ヘテロヒドロカルビル、二価シリル、二価ボリル、二価ホスフィノ、二価ホスフィン、二価アミノ、二価アミン、二価エーテル、二価チオエーテルから選択される。R”は、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、低級アルケニル、置換アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、低級アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、低級アルキルチオ、アリールチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルキレン、アルカリール、アルカリーレン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロ原子含有基、ヒドロカルビル、低級ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、シリル、ボリル、ホスフィノ、ホスフィン、アミノ、アミン、ゲルマニウム、エーテル、およびチオエーテルから選択される。
【0035】
少なくとも1つの実施形態において、CpAおよびCpBのそれぞれは独立に、シクロペンタジエニル、n-プロピルシクロペンタジエニル、インデニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、およびn-ブチルシクロペンタジエニルから選択される。
(A)は、O、S、NR’、またはSiR’2(式中、各R’は独立に、水素またはC1-C20ヒドロカルビルである)であってもよい。
【0036】
別の実施形態において、メタロセン触媒化合物は、式:
yCpmMGnq
によって表され、式中、Cpは独立に、置換もしくは未置換シクロペンタジエニル配位子、またはシクロペンタジエニルにアイソローバルな置換もしくは未置換配位子である。Mは4族遷移金属である。Gは、式JR* zによって表されるヘテロ原子基であり、式中、JはN、P、O、またはSであり、R*は直鎖状、分岐状、または環式C1-C20ヒドロカルビルである。zは1または2である。Tは架橋基である。yは0または1である。Xは、脱離基である。m=1であり;n=1、2、または3であり;q=0、1、2、または3であり;m+n+qの合計は遷移金属の酸化状態に等しい。
少なくとも1つの実施形態において、JはNであり、R*はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、シクロオクチル、シクロドデシル、デシル、ウンデシル、ドデシル、アダマンチル、またはこれらの異性体である。
【0037】
メタロセン触媒化合物は、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)M(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)M(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)M(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)M(R)2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)M(R)2
ビス(1-ブチル,3-メチルシクロペンタジエニル)M(R)2
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)M(R)2
エチレンビス(インデニル)M(R)2
rac-ジメチルシリルビス(トリメチルシリルメチレンシクロペンタジエニル)M(R)2
μ-(CH32Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R)2
μ-(CH32Si(3-tertブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R)2
μ-(CH32(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R)2
μ-(CH32C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-tertブチルアミド)M(R)2
μ-(CH32Si(フルオレニル)(1-tertブチルアミド)M(R)2
μ-(CH32Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)M(R)2
μ-(C652C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)M(R)2
μ-(CH32Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(tertブチルアミド)M(R)2
(式中、MはTi、Zr、およびHfから選択され;RはハロゲンまたはC1-C5アルキルから選択される)
から選択されうる。好ましい触媒としては、ビス(1-ブチル,3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、およびrac-ジメチルシリルビス(トリメチルシリルメチレンシクロペンタジエニド)ハフニウムジメチルが挙げられる。
【0038】
少なくとも1つの実施形態において、3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する触媒化合物は、式
【化1】
によって表されるビス(フェノレート)触媒化合物である。Mは4族金属である。X1およびX2は独立に、一価C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、またはX1およびX2が互いにつながって、C4-C62環式もしくは多環式環構造を形成する。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10は独立に、水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、またはR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、もしくはR10の2つ以上が互いにつながって、C4-C62環式もしくは多環式環構造を形成し、またはこれらの組み合わせである。Qは中性供与性基である。Jはヘテロ環、置換または未置換C7-C60縮合多環基であり、少なくとも1つの環は芳香族であり、芳香族であってもなくてもよい少なくとも1つの環は、少なくとも5つの環原子を有する。GはJについて定義した通りであり、または水素、C2-C60ヒドロカルビル、C1-C60置換ヒドロカルビルであってもよく、または独立に、R6、R7、もしくはR8と共にC4-C60環式もしくは多環式環構造を形成してもよく、またはこれらの組み合わせである。Yは、二価C1-C20ヒドロカルビル、もしくは二価C1-C20置換ヒドロカルビルであり、または(-Q*-Y-)は共にヘテロ環を形成する。ヘテロ環は芳香族であってもよく、および/または縮合多環を有してもよい。
【0039】
少なくとも1つの実施形態において、式(I)によって表される第1の触媒化合物は、
【化2】
である。MはHf、Zr、またはTiである。X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、およびYは、式(I)について定義した通りである。R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28は独立に、水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、13族~17族の元素を含む官能基であり、またはR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、およびR28の2つ以上が独立に、互いにつながって、C4-C62環式もしくは多環式環構造を形成し、またはこれらの組み合わせであってもよい。R11およびR12が互いにつながって、5~8員ヘテロ環を形成してもよい。Q*は15族または16族原子である。zは0または1である。J*はCR”またはNであり、G*はCR”またはNであり、ここでR”はC1-C20ヒドロカルビルまたはカルボニル含有C1-C20ヒドロカルビルである。Q*が16族原子である場合、z=0であり、Q*が15族原子である場合、z=1である。
【0040】
少なくとも1つの実施形態において、式(I)によって表される第1の触媒化合物は、
【化3】
である。
Yは二価C1-C3ヒドロカルビルである。Q*はNR2、OR、SR、PR2であり、ここでRは、式(I)によって表されるR1について定義した通りである。MはZr、Hf、またはTiである。X1およびX2は独立に、式(I)について定義した通りである。R29およびR30は独立に、C1-C40ヒドロカルビルである。R31およびR32は独立に、直鎖状C1-C20ヒドロカルビル、ベンジル、またはトリルである。
【0041】
本開示の触媒系は、触媒系の第1の触媒化合物とは異なる化学構造を有する第2の触媒化合物、例えば、2種の異なるメタロセン触媒を含んでもよい。本開示の解釈上、ある触媒化合物は、少なくとも1つの原子によって異なる場合、別の触媒化合物とは異なるものと考える。例えば、「ビスインデニルジルコニウムジクロリド」は「(インデニル)(2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド」とは異なり、これは「(インデニル)(2-メチルインデニル)ハフニウムジクロリド」とは異なる。この開示の解釈上、異性体によってのみ異なる触媒化合物は同じと考え、例えば、rac-ジメチルシリルビス(2-メチル4-フェニル)ハフニウムジメチルは、メソ-ジメチルシリルビス(2-メチル4-フェニル)ハフニウムジメチルと同じと考える。
【0042】
少なくとも1つの実施形態において、2種以上の異なる触媒化合物が、本明細書において用いる触媒系に存在する。少なくとも1つの実施形態において、2種以上の異なる触媒化合物は、本明細書に記載する方法が行われる反応ゾーンに存在する。混合触媒系として2種の遷移金属触媒を、1つの反応器に用いる場合、2種の遷移金属化合物は、好ましくは、2種が適合性であるように選択する。1Hまたは13C NMRなどによる、任意の好適なスクリーニング法を用いて、どの遷移金属化合物が適合性であるか決定することができる。各遷移金属化合物について同じ活性剤を用いるのが好ましいが、非配位性アニオン活性剤とアルモキサンとのような、2種の異なる活性剤を組み合わせて用いることもできる。1種または複数種の遷移金属化合物が、ヒドリド、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルでないX1またはX2配位子を含有する場合、非配位性アニオン活性剤を添加する前に、アルモキサンは遷移金属化合物に接触するべきである。
第1の触媒化合物と第2の触媒化合物とは、任意の比(A:B)において用いてもよい。第2の触媒化合物が(B)である場合、第1の触媒化合物は(A)でありうる。あるいは、第2の触媒化合物が(A)である場合、第1の触媒化合物は(B)でありうる。(A)遷移金属化合物の、(B)遷移金属化合物に対する好ましいモル比は、(A:B)が約1:1000~約1000:1、例えば約1:100~約500:1、例えば約1:10~約200:1、例えば約1:1~約100:1、あるいは1:1~75:1、あるいは5:1~50:1の範囲である。選択する具体的なモル比は、正確な選択する触媒、活性化の方法、および所望の最終生成物に依存するであろう。特定の実施形態において、2種の触媒化合物を用い、両方が同じ活性剤によって活性化される場合、有用なモル百分率は、触媒化合物のモル質量を基準として、約10~約99.9%の(A)対約0.1~約90%の(B)、例えば約25~約99%の(A)対約0.5~約50%の(B)、例えば約50~約99%の(A)対約1~約25%の(B)、例えば約75~約99%の(A)対約1~約10%の(B)である。
【0043】
活性剤
本開示の触媒系は、少なくとも1種の活性剤を含んでもよい。活性剤は、アルキルアルモキサン、例えばメチルアルモキサンであってもよい。
従来の触媒系は、100:1より大きい、金属対触媒化合物金属のモル比を含有することが多い。約0.15cc/g~約0.5cc/gのマクロ多孔性を有する担体材料組成物を有する触媒系は、従来の触媒系と比較して、減少した活性剤含有量を有する触媒系組成物をもたらすことが発見されている。例えば、アルキルアルモキサンなどの活性剤は、本開示の触媒系に、約100:1以下、例えば約50:1以下の金属(アルミニウムなど)対触媒化合物金属のモル比で、存在することができる。あるいは、金属(アルミニウムなど)対触媒化合物金属のモル比は、約50:1~約200:1、例えば約100:1である。
【0044】
触媒系は、上の触媒を活性剤と任意の好適な方法によって組み合わせることによって、例えば、スラリー相または気相重合において用いるためにそれらを担持させることによって、形成することができる。活性剤は、中性の金属化合物を、触媒活性な金属化合物カチオンに変換することによって、上に記載した触媒化合物の任意の1つを活性化することができる、任意の化合物であると定義する。非限定的な活性剤としては、例えば、中性またはイオン性であってもよく、従来型共触媒であってもよい、アルモキサン、アルミニウムアルキル、イオン化活性剤が挙げられる。好ましい活性剤としては、典型的には、アルモキサン化合物、改質アルモキサン化合物、およびイオン化アニオン前駆体化合物が挙げられ、これらは反応性でσ結合した金属配位子を引き抜き、金属化合物をカチオン性にし、電荷均衡非配位性アニオンまたは弱配位性アニオンを供給する。
【0045】
アルモキサン活性剤
アルモキサン活性剤は、本明細書に記載する触媒系において、活性剤として利用される。アルモキサンは一般に、-Al(R1)-O-サブユニット(式中、R1はアルキル基である)を含有するオリゴマー化合物である。アルモキサンの例としては、メチルアルモキサン(MAO)、改質メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサン、およびイソブチルアルモキサンが挙げられる。アルキルアルモキサンおよび改質アルキルアルモキサンは、触媒活性剤として好適であり、特に、引き抜き配位子がアルキル、ハライド、アルコキシド、またはアミドである場合に好適である。異なるアルモキサンおよび改質アルモキサンの混合物も用いられうる。視覚的に透明なメチルアルモキサンが、好ましく用いられうる。濁った、もしくはゲル化したアルモキサンを濾過して、透明溶液を生成することができ、または透明なアルモキサンを、濁った溶液からデカンテーションすることができる。有用なアルモキサンは、改質メチルアルモキサン(MMAO)共触媒タイプ3Aである(Modified Methylalumoxane type 3Aの商品名のもと、Akzo Nobel Chemicals, Inc.から商業的に入手可能、米国特許第5,041,584号の範囲)。
活性剤がアルモキサン(改質または未改質)である場合、一部の実施形態において、典型的には、触媒化合物の最大5000倍モル過剰Al/M(金属触媒サイト当たり)である、活性剤の最大量を選択する。最小の活性剤対触媒化合物は、1:1モル比である。代替的な範囲としては、1:1~500:1、代替的には1:1~200:1、代替的には1:1~100:1、または代替的には1:1~50:1が挙げられる。
【0046】
イオン化/非配位性アニオン活性剤
「非配位性アニオン」(NCA)という用語は、カチオンに配位しないこと、またはカチオンに弱くのみ配位することによって、中性ルイス塩基によって移動するのに十分に不安定なままであるアニオンを意味する。「適合性」非配位性アニオンは、当初形成された錯体が分解した場合に、中性に低下しないものである。さらに、このアニオンは、中性遷移金属化合物および中性副生成物を形成させるような、アニオンからカチオンへの、アニオン性の置換基または断片の遷移をさせないであろう。本開示による有用な非配位性アニオンは適合性であり、+1のイオン性電荷を均衡化するという意味で、遷移金属カチオンを安定化させるが、重合中の移動が可能な不安定性を十分に保持するアニオンである。本明細書において有用なイオン化活性剤は、典型的には、NCA、特に適合性NCAを含む。
中性またはイオン性の、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスペルフルオロフェニルボロンメタロイド前駆体、またはトリスペルフルオロナフチルボロンメタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(WO98/43983号)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)、またはこれらの組み合わせなどのイオン化活性剤を用いることは、本開示の範囲内である。中性またはイオン性の活性剤を、単独で、またはアルモキサンもしくは改質アルモキサン活性剤と組み合わせて用いることも、本開示の範囲内である。有用な活性剤の記載については、米国特許第8,658,556号、および同第6,211,105号を参照されたい。
【0047】
好ましい活性剤としては、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、[Me3NH+][B(C654 -];1-(4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ピロリジニウム;およびテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)-2,3,5,6-テトラフルオロピリジンが挙げられる。
【0048】
好ましい実施形態において、活性剤は、トリアリールカルボニウム(トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートなど)を含む。
別の実施形態において、活性剤は、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N-ジアルキル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ジ-(i-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのうちの1つまたは複数を含む(ここで、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、またはt-ブチルである)。
【0049】
任意選択の捕捉剤または共活性剤
これらの活性剤化合物に加えて、本開示の触媒系は、捕捉剤または共活性剤を含んでもよい。捕捉剤または共活性剤としては、アルミニウムアルキル、またはオルガノアルミニウム化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、およびジエチル亜鉛が挙げられる。
重合方法
約0.15cc/g~約0.5cc/gのマクロ多孔性を有する担体材料組成物を有する触媒系は、重合中の反応器内の、シート化およびチャンキングの低減をもたらすことも発見されている。
【0050】
重合中のシート化およびチャンキングは、反応器内の壁の温度(反応器壁上またはちょうど貫通しているか、いずれかの熱電対によって測定され、「スキンTC」として知られる)によって、モニタリングすることができる。ポリマー顆粒が反応器壁付近で移動性を失うとき、反応器はシート化またはチャンキングの危機に瀕している。反応器の壁にポリマーの固体断熱層が形成されるため、スキン温度が低下する場合があり、反応器上または器内の熱電対によってモニタリングされる。このスキンの温度の低下は、典型的には、「コールドバンド」と呼ばれる。理論に束縛されるものではないが、非反応性顆粒が、危険なレベルの正電荷によって壁付近に浮遊しているとき、コールドバンドが形成される。反応器の壁にシートが形成された場合、反応器は典型的には停止および洗浄され、これによってポリマー形成の時間および金銭的コストが増加する。
反応器のスキン温度が上昇することもありうる。反応器のスキン温度の上昇は、正のスキン熱電対偏差として知られる。これらの偏差は、典型的には、同じくこれらの正電荷が反応性顆粒を固定化することの結果であり、発熱性重合反応のため、顆粒が融点を超えて加熱され、互いにくっついてシートまたはチャンクを形成する。最終的に、「シート」と呼ばれる、ポリマーの固体ストリップが形成され、反応器の本体へ外れ、運用性が低下する。多くの場合、重合プロセスを再始動する前にシートを除去するためには、数時間~数日の反応器の停止を要する。
【0051】
本開示の実施形態は、ポリオレフィン重合中のコールドバンドおよび/または正のスキン熱電対偏差を低減または排除し、それによって反応器内でのシート化および/またはチャンキングの発生を、低減または排除する。
本開示の少なくとも1つの実施形態において、方法は、少なくとも1種のオレフィンを、本開示の触媒系と接触させることによって、オレフィンを重合させてポリオレフィン組成物を生成し、ポリオレフィン組成物を得ることを含む。重合は、約0℃~約300℃の温度、約0.35MPa~約10MPaの範囲の圧力、および/または約300分以下の時間において実施されうる。
本開示の実施形態は、上に記載したように、少なくとも1種の触媒化合物と活性剤とを含む触媒系と、モノマー(エチレンまたはプロピレンなど)を接触させ、コモノマーも接触させてもよい、重合方法を含む。少なくとも1種の触媒化合物と活性剤とを、任意の順序で組み合わせてよく、典型的には、モノマーと接触させる前に組み合わせる。
【0052】
本明細書において有用なモノマーとしては、置換または未置換C2-C40アルファオレフィン、好ましくはC2-C20アルファオレフィン、好ましくはC2-C12アルファオレフィン、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、およびこれらの異性体が挙げられる。好ましい実施形態において、オレフィンは、プロピレンであるモノマーと、1種以上のエチレンまたはC4-C40オレフィン、好ましくはC4-C20オレフィン、または好ましくはC6-C12オレフィンを含む1種以上の任意選択のモノマーとを含む。C4-C40オレフィンモノマーは、直鎖状、分岐状、または環式であってもよい。C4-C40環式オレフィンは、歪みがあってもまたは歪みがなくても、単環式または多環式であってもよく、1つもしくは複数のヘテロ原子、および/または1つもしくは複数の官能基を含んでもよい。別の好ましい実施形態において、オレフィンは、エチレンであるモノマーと、C3-C40オレフィンの1種または複数種、好ましくはC4-C20オレフィン、または好ましくはC6-C12オレフィンを含む任意選択のコモノマーとを含む。C3-C40オレフィンモノマーは、直鎖状、分岐状、または環式であってもよい。C3-C40環式オレフィンは、歪みがあってもまたは歪みがなくても、単環式または多環式であってもよく、ヘテロ原子および/または1つもしくは複数の官能基を含んでもよい。
【0053】
例示的なC2-C40オレフィンモノマーおよび任意選択のコモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7-オキサノルボルネン、7-オキサノルボルナジエン、これらの置換誘導体、およびこれらの異性体、好ましくは、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1,5-シクロオクタジエン、1-ヒドロキシ-4-シクロオクテン、1-アセトキシ-4-シクロオクテン、5-メチルシクロペンテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、およびこれらの置換誘導体、好ましくはノルボルネン、ノルボルナジエン、およびジシクロペンタジエンが挙げられる。
少なくとも1つの実施形態において、本明細書において生成するポリマー中に、組成物の総質量を基準として、約10質量%以下、例えば約0.00001~約1.0質量%、例えば約0.002~約0.5質量%、例えば約0.003~約0.2質量%の、1種または複数種のジエンが存在する。少なくとも1つの実施形態において、約500ppm以下、例えば約400ppm以下、例えば約300ppm以下のジエンを、重合に添加する。少なくとも1つの実施形態において、少なくとも約50ppm、または約100ppm以上、または約150ppm以上のジエンを、重合に添加する。
【0054】
ジオレフィンモノマーとしては、任意の炭化水素構造、好ましくは少なくとも2つの不飽和結合を有するC4-C30が挙げられ、ここで不飽和結合のうちの少なくとも2つは、立体特異性または非立体特異性触媒のいずれかによって、直ちにポリマーに組み込まれる。ジオレフィンモノマーは、アルファ、オメガ-ジエンモノマー(すなわち、ジビニルモノマー)から選択されることが、さらに好ましい。少なくとも1つの実施形態において、ジオレフィンモノマーは、直鎖状ジビニルモノマー、例えば4~30個の炭素原子を含有するものである。ジエンの非限定例としては、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘンエイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエンが挙げられ、特に好ましいジエンとしては、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、1,13-テトラデカジエン、および低分子量ポリブタジエン(1000g/mol未満のMw)が挙げられる。非限定例の環式ジエンとしては、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、または種々の環上位置に置換基を有するもしくは有しない、高級環含有ジオレフィンが挙げられる。
【0055】
少なくとも1つの実施形態において、ブテンがコモノマーである場合、ブテン源はブテンの種々の異性体を含む混合ブテン流であってもよい。1-ブテンモノマーは、他のブテンモノマーと比較して、重合方法によって優先的に消費されることが予想される。このような混合ブテン流は精製プロセスからの廃棄流、例えばC4ラフィネート流であることが多く、そのため純粋1-ブテンより実質的に高価でない場合があるため、これらの混合流の使用は、経済的な利益をもたらすであろう。
【0056】
本開示の重合方法は、任意の好適な方法によって実行することができる。任意の好適な懸濁液、均一、バルク、溶液、スラリー、および/または気相重合方法を用いることができる。このような方法は、バッチ、セミバッチ、または連続モードにおいて運転することができる。均一重合法およびスラリー法が好ましい。(均一重合法は、生成物の少なくとも約90質量%が反応媒体に可溶である方法と定義する。)バルク均一法が特に好ましい。(バルク法は、反応器への全供給におけるモノマー濃度が、70体積%以上である方法と定義する。)あるいは、溶媒または希釈剤が、反応媒体中に存在しない、または添加されない(触媒系もしくは他の添加剤のためのキャリアとして用いる少量、またはモノマーと共に典型的に見出される量、例えばプロピレン中のプロパンを除く)。別の実施形態において、方法はスラリー法である。本明細書において用いるとき、「スラリー重合法」という用語は、担持触媒を用い、モノマーを担持触媒粒子上で重合させる重合方法を意味する。担持触媒に由来するポリマー生成物の少なくとも95質量%は、固体粒子としての顆粒形態である(希釈剤に溶解していない)。本開示の方法は、触媒系をスラリーとして反応器に導入することを含んでもよい。
【0057】
重合に好適な希釈剤/溶媒としては、非配位性、不活性液体が挙げられる。非限定例としては、直鎖状および分岐鎖状炭化水素、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、およびこれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびこれらの混合物、例えば商業的に見出せるもの(Isopar(商標));ペルハロゲン化炭化水素、例えばペルフッ素化C4-C10アルカン、クロロベンゼン、ならびに芳香族およびアルキル置換芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、メシチレン、およびキシレンが挙げられる。好適な溶媒としては、モノマーまたはコモノマーとして作用しうる液体オレフィンも挙げられ、限定するものではないが、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい実施形態において、脂肪族炭化水素溶媒、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、またはこれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、またはこれらの混合物を、溶媒として用いる。別の実施形態において、溶媒は芳香族ではなく、芳香族は、溶媒の質量を基準として、約1質量%未満、例えば約0.5質量%未満、例えば約0質量%未満、溶媒中に存在する。
少なくとも1つの実施形態において、重合のためのモノマーおよびコモノマーの供給濃度は、供給流の総体積を基準として、約60体積%溶媒以下、好ましくは約40体積%以下、または約20体積%以下である。好ましくは、重合はバルク法で運転する。
好ましい重合は、所望のポリオレフィンを得るのに好適な、任意の温度および/または圧力において運転することができる。典型的な温度および/または圧力としては、約0℃~約300℃、例えば約20℃~約200℃、例えば約35℃~約150℃、例えば約40℃~約120℃、例えば約65℃~約95℃の温度、および約0.35MPa~約10MPa、例えば約0.45MPa~約6MPa、または好ましくは約0.5MPa~約4MPaの圧力が挙げられる。
【0058】
典型的な重合では、反応の運転時間は、約500分以下、例えば約5~約300分、例えば約30~約250分である。
水素は、ポリオレフィンの分子量制御のために、反応器に添加されうる。少なくとも1つの実施形態において、水素は、重合反応器に、約0.001~50psig(0.007~345kPa)、例えば約0.01~約25psig(0.07~172kPa)、例えば約0.1~10psig(0.7~70kPa)の分圧において存在する。1つの実施形態において、1500ppm以下の水素を添加し、または1000ppm以下の水素を添加し、または400ppm以下もしくは300ppm以下の水素を添加する。他の実施形態において、少なくとも50ppm、または100ppm以上、または150ppm以上の水素を添加する。
【0059】
代替的な実施形態において、触媒の活性は、少なくとも約50g/mmol/時間、例えば約500g/mmol/時間以上、例えば約5,000g/mmol/時間以上、例えば約50,000g/mmol/時間以上である。代替的な実施形態において、オレフィンモノマーの変換率は、ポリマー収量(質量)および反応ゾーンに入るモノマーの質量を基準として、少なくとも約10%、例えば約20%以上、例えば約30%以上、例えば約50%以上、例えば約80%以上である。
空時収量(STY)は、1時間の反応当たり、反応器の単位体積当たりに生成したポリマーの質量である。少なくとも1つの実施形態において、空時収量は、約10lb/時間/ft3以上、例えば約12lb/時間/ft3以上、例えば約14lb/時間/ft3以上である。
少なくとも1つの実施形態において、ポリマーを生成する方法において、わずかなアルモキサンを用いる、または用いない。好ましくは、アルモキサンはゼロmol%存在する。あるいは、アルモキサンは、約500:1未満、例えば約300:1未満、例えば約100:1未満、例えば約1:1未満の、アルミニウム対触媒化合物の遷移金属のモル比で存在する。
【0060】
好ましい実施形態において、ポリオレフィン組成物を生成する方法において、わずかな捕捉剤を用いる、または用いない。捕捉剤(例えばトリアルキルアルミニウム)は、ゼロmol%存在しうる。あるいは、捕捉剤は、約100:1未満、例えば約50:1未満、例えば約15:1未満、例えば約10:1未満の、捕捉剤金属対触媒の遷移金属のモル比で存在する。
少なくとも1つの実施形態において、重合は、1)0~300℃(好ましくは25~150℃、好ましくは40~120℃、好ましくは65~95℃)の温度において実施する;2)大気圧~10MPa(好ましくは0.35~10MPa、好ましくは0.45~6MPa、好ましくは0.5~4MPa)の圧力において実施する;3)脂肪族炭化水素溶媒(例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、およびこれらの混合物;環式または脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、またはこれらの混合物;好ましくは溶媒中に、溶媒の質量を基準として、1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、好ましくは0質量%、芳香族が存在する)において実施する;4)重合に用いる触媒系は、0.5mol%未満のアルモキサン、好ましくは0mol%のアルモキサンを含む。あるいは、アルモキサンは、500:1未満、好ましくは300:1未満、好ましくは100:1未満、好ましくは1:1未満のアルミニウム対触媒化合物の遷移金属のモル比で存在する;5)重合は、好ましくは1つの反応ゾーンにおいて行う;6)触媒化合物の生産性は、少なくとも80,000g/mmol/時間(好ましくは少なくとも150,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも200,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも250,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも300,000g/mmol/時間)である;7)捕捉剤(トリアルキルアルミニウム化合物など)が存在しなくてもよい(例えば、ゼロmol%存在する)。あるいは、捕捉剤は、100:1未満、好ましくは50:1未満、好ましくは15:1未満、好ましくは10:1未満の捕捉剤金属対遷移金属のモル比で存在する;8)水素は、重合反応器に、0.001~50psig(0.007~345kPa)、(好ましくは0.01~25psig(0.07~172kPa)、より好ましくは0.1~10psig(0.7~70kPa))の分圧において存在してもよい。好ましい実施形態において、重合に用いる触媒系は、1種以下の触媒化合物を含む。「重合ゾーン」とも呼ばれる「反応ゾーン」は、重合が起こる容器、例えばバッチ反応器である。直列または並列配置のいずれかで複数の反応器を用いる場合、各反応器は、別々の重合ゾーンとして考える。多段階重合については、バッチ反応器および連続反応器の両方において、各重合段階は、別々の重合ゾーンとして考える。好ましい実施形態において、重合は、1つの反応ゾーンにおいて行う。
【0061】
所望により、1種または複数種の捕捉剤、促進剤、改質剤、連鎖移動剤(ジエチル亜鉛など)、還元剤、酸化剤、水素、アルミニウムアルキル、またはシランなどの、他の添加剤も重合に用いてもよい。
連鎖移動剤は、アルキルアルモキサン、式AlR3、ZnR2(式中、各Rは独立に、C1-C8脂肪族基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはこれらの異性体である)によって表される化合物、またはこれらの組み合わせ、例えばジエチル亜鉛、メチルアルモキサン、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0062】
ポリオレフィン生成物
本開示は、本開示の触媒系および/または方法によって生成する、樹脂などのポリオレフィン組成物にも関する。
少なくとも1つの実施形態において、方法は、本開示の触媒系を利用して、約1より大きい、例えば約2より大きい、例えば約3より大きい、例えば約4より大きいMw/Mnを有する、プロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマー、例えばプロピレン-エチレンおよび/またはプロピレン-アルファオレフィン(好ましくはC3-C20)コポリマー(例えば、プロピレン-ヘキセンコポリマー、またはプロピレン-オクテンコポリマー)を生成することを含む。
【0063】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、本開示の触媒系を利用して、オレフィンポリマー、好ましくはポリエチレンおよびポリプロピレンのホモポリマーおよびコポリマーを生成することを含む。少なくとも1つの実施形態において、本明細書において生成するポリマーは、エチレンのホモポリマー、または好ましくは約0~25mol%の1種または複数種のC3-C20オレフィンコモノマー(例えば約0.5~20mol%、例えば約1~約15mol%、例えば約3~約10mol%)を有するエチレンのコポリマーである。オレフィンコモノマーは、C3-C12アルファ-オレフィン、例えばプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、またはドデセン、好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、またはオクテンのうちの1種または複数種であってもよい。オレフィンモノマーは、エチレンまたはC4-C12アルファ-オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、またはドデセン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、またはオクテンのうちの1種または複数種であってもよい。
【0064】
本明細書において生成するポリマーは、約5,000~約1,000,000g/mol(例えば約25,000~約750,000g/mol、例えば約50,000~約500,000g/mol)のMw、および/または約1~約40(例えば約1.2~約20、例えば約1.3~約10、例えば約1.4~約5、例えば約1.5~約4、例えば約1.5~約3)のMw/Mnを有しうる。本明細書において生成するポリマーは、0.05~約1、例えば約0.5以下、例えば約0.4以下、例えば約0.3以下、例えば0.28以下のメルトインデックス(MI)を有しうる。I2とも呼ばれるMIは、dg/分において報告し、ASTM D1238に準拠して、190℃、2.16kg荷重において、決定することができる。本明細書において生成するポリマーは、約0.90g/cm3~約0.96g/cm3、例えば約0.93g/cm3~約0.95g/cm3、例えば約0.94g/cm3、例えば0.937g/cm3以上の密度を有することができる。
【0065】
好ましい実施形態において、本明細書において生成するポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、多峰性分子量分布を有する。「単峰性」は、GPCトレースが、1つのピークまたは変曲点を有することを意味する。「多峰性」は、GPCトレースが、少なくとも2つのピークまたは変曲点を有することを意味する。変曲点は、曲線の二次導関数の符号が変化する(例えば、負から正、またはその逆も同様)点である。
好ましい実施形態において、本明細書において生成するポリマーは、50%以上、好ましくは60%以上、好ましくは70%以上の組成分布幅指数(CDBI)を有する。CDBIは、ポリマー鎖内のモノマーの組成分布の程度であり、1993年2月18日に公開されたPCT公開WO93/03093号の、特にカラム7および8、ならびにWild et al., J. Poly. Sci., Poly. Phys. Ed., Vol. 20, p. 441 (1982)、ならびに米国特許第5,008,204号に記載されている手順によって測定され、CDBIを決定するとき、15,000未満の質量平均分子量(Mw)を有する断片は無視する。
【0066】
別の実施形態において、本明細書において生成するポリマーは、TREF測定において、2つのピークを有する。本明細書において用いるとき、TREF測定における2つのピークは、下のTREF法を用いた、正規化ELS応答(縦軸またはy軸)対溶出温度(横軸またはx軸であり、温度は左から右に上昇する)のグラフにおける、2つの別個の正規化ELS(蒸発質量光散乱)応答ピークの存在を意味する。この文脈における「ピーク」は、温度上昇に伴って、グラフの大まかな傾きが正から負へ変化するところを意味する。温度上昇に伴って、グラフの大まかな傾きが負から正へ変化する局所的な最小値は、2つのピークの間にある。グラフの「大まかな傾向」は、2℃以下の間隔において発生しうる、複数の局所的な最小値および最大値を除外することを意図している。好ましくは、2つの別個のピークは、少なくとも3℃離れており、より好ましくは少なくとも4℃離れており、さらにより好ましくは少なくとも5℃離れている。加えて、別個のピークの両方は、グラフ上で、20℃より高く120℃より低い温度において発生し、溶出温度は0℃以下に向かって運転する。この制限によって、最低溶出温度において可溶なままである材料がもたらす、低温におけるグラフ上の見掛けのピークによる混乱が回避される。このようなグラフ上の2つのピークは、二峰性の組成分布(CD)を指す。TREF分析は、Polymer Char, S.A.、Valencia、Spainの、CRYSTAF-TREF 200+機器を用いて行う。TREF分析の原理、および用いる具体的な装置の一般的な記載は、Monrabal, B.; del Hierro, P. Anal. Bioanal. Chem. 2011, 399, 1557の記事において与えられる。上の方法が2つのピークを示さない場合、TREF測定についての代替法を用いることができ、すなわちB. Monrabal, “Crystallization Analysis Fractionation: A New Technique for the Analysis of Branching Distribution in Polyolefins,” Journal of Applied Polymer Science, Vol. 52, 491-499 (1994)を参照されたい。
【0067】
ブレンド
少なくとも1つの実施形態において、本明細書において生成するポリマー(ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)を、フィルム、成形部品、または他の物品に形成する前に、1種または複数種の追加のポリマーと組み合わせる。他の有用なポリマーとしては、ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、高アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、および/もしくはブテン、および/もしくはヘキセンとのランダムコポリマー、ポリブテン、エチレン酢酸ビニル、LDPE、LLDPE、HDPE、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸メチル、アクリル酸、ポリメチルメタクリレート、もしくは高圧フリーラジカル法によって重合可能な任意の他のポリマーのコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリブテン-1、アイソタクチックポリブテン、ABS樹脂、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、加硫EPR、EPDM、ブロックコポリマー、スチレン性ブロックコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコールとのコポリマー(EVOH)、芳香族モノマーのポリマー、例えばポリスチレン、ポリ-1エステル、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレングリコール、ならびに/またはポリイソブチレンが挙げられる。
【0068】
少なくとも1つの実施形態において、ポリマー(ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)は、上のブレンド中に、ブレンド中の全部のポリマーの質量を基準として、約10~約99質量%、例えば約20~約95質量%、例えば約30~約90質量%、例えば約40~約90質量%、例えば約50~約90質量%、例えば約60~約90質量%、例えば約70~約90質量%存在する。
本開示のブレンドは、本開示のポリマーを1種もしくは複数種のポリマー(上に記載した通り)と混合することによって、反応器を互いに直列に連結して反応器ブレンドを作製することによって、または同じ反応器に2種以上の触媒を用いて複数種のポリマーを生成することによって、生成しうる。ポリマーは、押出機に投入する前に互いに混合することができ、または押出機内で混合してもよい。
【0069】
本開示のブレンドは、ポリマーなどの個々の成分をドライブレンディングした後、例えばBanburyミキサー、Haakeミキサー、Bradender密閉式ミキサー、または重合プロセスの下流で直接用いる配合押出機およびサイドアーム押出機を含みうる、一軸もしくは二軸押出機などのミキサーで溶融混合することによる方法、またはミキサーで各成分を一緒に直接混合することによる方法など、従来の設備および方法を用いて形成することができ、フィルム押出機のホッパーにおいて、樹脂の粉末またはペレットをブレンドすることを含んでもよい。加えて、所望により、ブレンド中に、ブレンドの1つまたは複数の成分中に、および/またはブレンドから形成されるフィルムなどの生成物中に、添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、例えば、充填剤;抗酸化剤(例えばCiba-Geigyから入手可能な、IRGANOX(商標) 1010またはIRGANOX(商標) 1076などのヒンダードフェノール);亜リン酸塩(例えばCiba-Geigyから入手可能な、IRGAFOS(商標) 168);抗クリング添加剤;粘着付与剤、例えばポリブテン、テルペン樹脂、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、ステアリン酸アルカリ金属塩およびステアリン酸グリセロール、ならびに水素化ロジン;UV安定剤;熱安定剤;抗ブロッキング剤;離型剤;帯電防止剤;顔料;着色剤;染料;ワックス;シリカ;充填剤;タルク;これらの混合物等を挙げることができる。
少なくとも1つの実施形態において、多峰性ポリオレフィン組成物である樹脂などのポリオレフィン組成物は、低分子量断片および/または高分子量断片を含む。少なくとも1つの実施形態において、高分子量断片は、式(I)によって表される触媒化合物によって生成する。低分子量断片は、上に記載したように、架橋または未架橋メタロセン触媒化合物である、第2の触媒化合物によって生成しうる。高分子量断片は、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびこれらのコポリマーでありうる。低分子量断片は、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびこれらのコポリマーでありうる。
【0070】
少なくとも1つの実施形態において、本開示の触媒系によって生成するポリオレフィン組成物は、約3質量%~約15質量%、例えば約4質量%~約10質量%、例えば約5質量%~約8質量%のコモノマー含有率を有する。少なくとも1つの実施形態において、本開示の触媒系によって生成するポリオレフィン組成物は、約2~約6、例えば約2~約5の多分散指数を有する。少なくとも1つの実施形態において、本開示の触媒によって生成するポリオレフィン組成物は、少なくとも0.970の真球度を有する。
【0071】
フィルム
前述のポリエチレンまたはそのブレンドなどの、前述のポリマーの任意のものは、多様な最終使用用途において用いられうる。このような用途としては、例えば、単層もしくは多層のインフレーション、押出、および/またはシュリンクフィルムが挙げられる。これらのフィルムは、インフレーションバブルフィルム加工技法などの、任意の好適な押出または共押出技法によって形成されうるが、組成物を、溶融状態において環状ダイを通じて押出し、次いで冷却する前に膨張させて単軸または二軸延伸溶融物を形成し、管状のインフレーションフィルムを形成することができ、これらを次いで、同軸状に切り開き、フラットフィルムを形成することができる。フィルムはその後、延伸しなくても、単軸延伸しても、同じもしくは異なる程度に二軸延伸してもよい。フィルムの層の1つまたは複数を、横および/または長軸方向に、同じまたは異なる程度に、延伸してもよい。単軸延伸は、典型的な冷延伸または熱延伸法を用いて達成することができる。二軸延伸は、テンターフレーム設備または二重バブル法を用いて達成することができ、個々の層を一緒にする前または後に行われうる。例えば、ポリエチレン層を、延伸ポリプロピレン層上に押出コーティングもしくは積層することができ、またはポリエチレンとポリプロピレンとを、一緒にフィルムに共押出し、次いで延伸することもできる。同様に、延伸ポリプロピレンを延伸ポリエチレンに積層することができ、または延伸ポリエチレンをポリエチレンにコーティングすることができ、次いで組み合わせをさらに延伸してもよい。典型的には、フィルムを、縦方向(MD)に15以下、好ましくは5と7の間の比、横方向(TD)に15以下、好ましくは7~9の比で延伸する。しかし、別の実施形態において、フィルムを、MDおよびTDの両方向において、同程度に延伸する。
【0072】
フィルムは、意図する用途次第で厚さが変動しうるが、1μm~50μmの厚さのフィルムが好適でありうる。包装を意図するフィルムは、通常、厚さ10μm~50μmである。シーリング層の厚さは、典型的には、0.2μm~50μmである。フィルムの内側表面と外側表面との両方にシーリング層があってもよく、シーリング層は内側表面または外側表面のみに存在してもよい。
別の実施形態において、1つまたは複数の層を、コロナ処理、電子ビーム照射、ガンマ線照射、火炎処理、またはマイクロ波によって改質してもよい。好ましい実施形態において、表面層の一方または両方を、コロナ処理によって改質する。
試験方法
以下の省略形が、本明細書において用いられうる(eq.は当量を意味する)。
2とも呼ばれ、dg/分において報告するメルトインデックス(MI)(I2)は、ASTM D1238に準拠して、190℃、2.16kg荷重において決定する。
dg/分において報告する、高負荷メルトインデックス(HLMI)(I21)は、ASTM D1238に準拠して、190℃、21.6kg荷重において決定する。
メルトインデックス比(MIR)は、(I21/I2)である。
未焼結シリカの焼結:未焼結シリカを、以下の手順によって、EUROTHERM 3216P1温度制御装置を用いて、CARBOLITE Model VST 12/600チューブ炉において焼結した。制御装置は、所望の温度プロファイルにプログラムした。石英チューブに100gのシリカを充填し、バルブを開き、窒素がチューブを流れ、シリカが完全に流動化するように調整した。石英チューブを、次いで、炉の加熱ゾーンに置いた。所望の温度までシリカをゆっくりと加熱し、少なくとも8時間の間この温度を保持し、完全に焼結させて水または水分を除去した。脱水が完了した後、石英チューブを周囲温度まで冷却した。焼結シリカをシリカキャッチャーに回収し、ドライボックス内のガラス容器に収集した。品質管理チェックとして、拡散反射赤外フーリエ変換分光法(DRIFTS)を用いた。以下の例のいくつかにおいて用いた様々なシリカ、およびその焼結条件を表1に列挙する。
【0073】
粒子サイズ分布測定:担体材料組成物およびポリマー顆粒の粒子サイズ(PS)または直径、およびその分布は、Retsch Technology GmbH、Haan、Germanyから入手可能なCamsizer P4(30μm~30mmの範囲)、またはRetsch Technology GmbH、Haan、Germanyから入手可能な、湿式モジュールを備えるCamsizer XT(0.4~2000μmの範囲)を用いた動画像分析によって決定する。平均PSは、粒子サイズに関する粒子体積の分布を指す。明白なまたは文脈による別段の指示がない限り、「粒子」は、凝集体中の一次粒子、または凝結体中の要素粒子のような、粒子体のサブユニットまたは部分ではなく、凝結体、凝集体、またはカプセル化凝集体のような、全体としての粒子体または粒子集合体を指す。
【0074】
累計細孔体積の決定:BETおよびBJH分析:触媒担体材料の表面積(SA、比表面積またはBET表面積とも呼ばれる)、細孔体積(PV)、および細孔直径(PD)は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)法、ならびに/またはBarrett-Joyner-Halenda(BJH)細孔サイズおよび体積分析によって、MICROMERITICS TRISTAR II 3020機器またはMICROMERITICS ASAP 2420機器により、未焼結/焼結シリカについては粉末を100~300℃において4~8時間、シリカ担持アルモキサンについては40℃~100℃において4時間~終夜脱ガスした後、窒素(液体窒素の温度:77K)の吸着-脱着を用いて、決定する。より多くの情報は、“Characterization of Porous Solids and Powders: Surface Area, Pore Size and Density,” S. Lowell et al., Springer, 2004に見出すことができる。PVは、内部および外部PVの両方を含む総PVを指す。
【0075】
別段の記述がない限り、すべての試薬はSigma Aldrich(St. Louis、MO)から入手し、入手したまま用いた。すべての溶媒は無水である。別段の記述がない限り、すべての反応は、不活性窒素雰囲気下で実行した。すべての重水素化溶媒は、Cambridge Isotopes(Cambridge、MA)から入手し、用いる前に3オングストロームのモレキュラーシーブで乾燥させた。
別段の注記がない限り、すべての分子量は質量平均である。別段の注記がない限り、すべての分子量はg/molにおいて報告する。
ゲル浸透クロマトグラフィー
本明細書において用いるとき、Mnは数平均分子量であり、Mwは質量平均分子量であり、Mzはz平均分子量であり、質量%は質量百分率であり、mol%はモル百分率である。分子量分布(MWD)は、多分散指数(PDI)とも呼ばれ、MwをMnで除算したものと定義する。別段の注記がない限り、すべての分子量の単位(例えば、Mw、Mn、Mz)はg/molである。分子量分布(「MWD」)は、Mw/Mnという表現に相当する。Mw/Mnという表現は、質量平均分子量(Mw)の、数平均分子量(Mn)に対する比である。
【0076】
分子量の分布およびモーメント(Mw、Mn、Mw/Mn等)、コモノマー含有量(C2、C3、C6等)、ならびに長鎖分岐(g’)は、マルチプルチャネルバンドフィルタベースの赤外検出器IR5、18角度光散乱検出器、および粘度計を装備した高温ゲル浸透クロマトグラフィー(Polymer Char GPC-IR)を用いて決定する。ポリマー分離をもたらすため、3つのAgilent PLgel 10μm Mixed-B LSカラムを用いる。移動相として、300ppmの抗酸化剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含むアルドリッチ試薬グレード1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を用いる。TCB混合物は、GPC機器に入れる前に、0.1μmテフロンフィルタを用いて濾過し、オンライン脱ガス装置によって脱ガスする。公称流速は、1.0mL/分であり、公称注入体積は200μLである。搬送ライン、カラム、検出器を含むシステム全体は、145℃に維持したオーブンに収容される。所定の量のポリマーサンプルを量り、80μLのフローマーカー(ヘプタン)を加えた標準バイアルに封入する。バイアルをオートサンプラーに搭載した後、ポリマーは8mLの添加されたTCB溶媒に、機器の中で自動的に溶解する。ポリマーは、大部分のPEサンプルについては約1時間、PPサンプルについては2時間の連続振とうによって、160℃において溶解する。濃度計算において用いるTCB密度は、約23℃においては1.463g/ml、145℃においては1.284g/mlである。サンプル溶液濃度は0.2~2.0mg/mlであり、高分子量サンプルについては低濃度を用いる。
【0077】
クロマトグラムの各点における濃度(c)を、次の式:
c=βI
(式中、βはPEまたはPP標準によって決定した質量定数である)
を用いて、ベースライン差分IR5ブロードバンド信号強度(I)から計算する。質量回収率は、溶出体積についての、濃度クロマトグラフィーの積分面積と注入質量の比から計算するが、注入質量は注入ループ体積で乗じた規定の濃度に等しい。
従来の分子量(IR MW)は、汎用較正の関係を、700~10Mの範囲の一連の単分散ポリスチレン(PS)標準によって実行したカラムの較正と、組み合わせることによって決定する。各溶出体積におけるMWは、次の式
【数1】
(式中、添字「SP」が付いた変数はポリスチレンを表し、一方、添字が付かない変数は試験サンプルについてのものである)
によって計算する。この方法において、aPS=0.67、KPS=0.000175であるが、aおよびKはエクソンモービルによって確立された一連の実験式から計算され、文献(T. Sun, P. Brant, R. R. Chance, and W. W. Graessley, Macromolecules, Vol. 34, No. 19, pp. 6812-6820, (2001))に発表されている。具体的には、PEについてはa/K=0.695/0.000579であり、PPについては0.705/0.0002288である。
【0078】
コモノマー組成は、一連のPEおよびPPホモ/コポリマー標準によって較正した、CH2およびCH3チャネルに対応するIR5検出器強度の比によって決定し、標準の公称値は、LLDPEについてのEMCC商用グレードのように、NMRまたはFTIRによってあらかじめ決められる。
LS検出器は、18角度Wyatt Technology高温DAWN HELEOSIIである。クロマトグラムの各点におけるLS分子量(M)は、Zimmモデルを用いて、静的光散乱についてLS出力を分析することによって決定する(M.B. Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS, Academic Press, 1971)。
【数2】
【0079】
ここで、ΔR(θ)は、散乱角度θにおいて測定された過剰レイリー散乱強度であり、cはIR5分析から決定したポリマー濃度であり、A2は第2ビリアル係数である。P(θ)は単分散ランダムコイルについての形成因子であり、K0は系についての光学定数
【数3】
(式中、NAはアボガドロ数であり、(dn/dc)は系についての屈折率増分である)
である。TCBについて、145℃、およびλ=665nmにおいて、屈折率n=1.500である。
【0080】
2つの圧力変換器と共にホイートストンブリッジ構成に配置された4つのキャピラリを有する、高温Agilent(またはViscotek Corporation)粘度計を用い、比粘度を決定する。一方の変換器は検出器の両端の全圧降下を測定し、他方は、ブリッジの2つの辺の間に配置され、差圧を測定する。粘度計を通って流れる溶液についての比粘度ηsは、これらの出力から計算する。クロマトグラムの各点における固有粘度[η]は、次の等式
[η]=ηs/c
(式中、cは濃度であり、IR5ブロードバンドチャネル出力から決定したものである)
から計算する。各点における粘度MWは、下の等式から計算する。
【数4】
【0081】
枝分かれ指標(g’vis)は、以下のように、GPC-DRI-LS-VIS法の出力を用いて計算する。サンプルの平均固有粘度[η]avgは、
【数5】
によって計算し、ここで、総和は、積分限界の間の、クロマトグラフィーのスライスiによるものである。
枝分かれ指標g’visは、
【数6】
として定義し、Mvは、LS分析によって決定した分子量に基づく粘度平均分子量である。Z平均枝分かれ指標(g’Zave)は、Ci=ポリマーピークのスライスiにおけるポリマー濃度×そのスライスの質量の2乗Mi2を用いて計算する。
別段の注記がない限り、すべての分子量は質量平均である。別段の注記がない限り、すべての分子量はg/molにおいて報告する。
【実施例
【0082】
本発明は、その具体的な実施形態と共に記載したが、前述の記載は例示することを意図しており、本発明の範囲を限定しないことを理解されたい。他の態様、利点、および変更形態は、本発明が属する分野の当業者には明らかであろう。
そのため、以下の例は、当業者に完全な開示および説明を提供するために述べられ、発明者が本発明として考えるものの範囲を限定することを意図するものではない。
シリカは、AGC株式会社またはAGCケミカルズ・アメリカ株式会社、PQ Corporation、およびW.R. Grace and CompanyのDavison Chemical Divisionから入手した。MAOは、Albemarleから、トルエン溶液中30質量%MAOとして入手した(13.5質量%Al、または5.0mmol/g)。
下の例において、シリカはSS(シリカ担体)1~4と名付け、比較用シリカはCS(比較用シリカ)1~6と名付ける。CS1~3は、一次シリカ粒子をコロイダルシリカと共に噴霧乾燥させることによって製造され、コロイダルシリカは、一次シリカ粒子を結合させて最終粒子を形成する結合剤の役割を果たす。
【0083】
シリカの特性:
表1は、各種シリカ担体の粒子サイズ、細孔幅、および細孔体積を示す。図1Aおよび図1Bは、粒子サイズ分布を図示するグラフである。図2Aおよび図2Bは、細孔サイズ分布を図示するグラフである。図3Aおよび図3Bは、累計細孔体積を図示するグラフである。示されるように、シリカ材料SS1~4およびCS6は、CS1~5より大きな細孔サイズ分布を有する。細孔直径および細孔分布は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)細孔サイズおよび体積分析を利用して決定した。BJH分析を使用して、吸着および脱着技法を用いて、細孔面積および比細孔体積を決定した。この技法は、サンプルの粒子サイズによる外面積に依存しない、細孔サイズ分布を特性評価する。これらの実験の意図は、粒子間および粒子内型で、担体粒子全体に渡る活性化触媒サイトの均一分布のために最も有用な、細孔サイズが300オングストローム~1500オングストロームの細孔の、体積百分率を特定することであった。MICROMERITICSによって設計された一般的な実験プロトコルを用いて、各直径範囲についての細孔体積および細孔直径を決定し、結果を下の表2に示す。各シリカについて、細孔直径が300~1500オングストロームである細孔の累計細孔体積を、細孔直径が20~1500オングストロームである細孔の総累計細孔体積で除算し、300~1500オングストロームの細孔直径を有する累計細孔体積の百分率を得る。
【0084】
【表1】
【表2】
【0085】
シリカ担体SS1~4およびC6は、300オングストロームを超える細孔の体積が遥かに大きいことによって、活性剤および触媒が、シリカ粒子全体に渡ってより均一に分布することを可能にする。
選択したシリカ材料について、真球度の決定も行った。2つのCCDカメラを備える光源の光を遮る粒子を記録することによって、CAMSIZER(Retsch Technologyから入手可能)におけるデジタル画像処理を行う。これらの画像を、測定後に、個々の画像を見られるだけでなく、粒子形状パラメータを実際の数値として表示し、それ故比較できる方法で加工する。これらの値を規定パラメータと呼ぶが、様々な粒子形状の特徴を表す。
【0086】
真円度の計算(真球度=4πA/P2):真円度は、粒子画像の面積と周囲長との間の比を表す。そのため、球状粒子は1に近い真円度を有するであろうが、一方不規則に尖った粒子はより低い真円度値を有する。例えば、Retsch Technologyのテクニカルレポート「Particle shape analysis-dynamic digital image processing with Camsizer」を参照されたい。結果は、CS1=0.972;CS2=0.928;SS1:0.979;CS6:0.985である。
【0087】
担持MAO
代表的なsMAO調製A(MAO添加の前の冷却なし):3.0グラムのCS3シリカおよび20mLのトルエンを、約23℃のセルスター中で合わせた。MAO溶液(Albemarle、トルエン中30質量%)を、400rpmの撹拌速度において、ピペットで滴加した。添加には8分かけ、いくらかの気泡の形成が観察された。約23℃において、溶液をさらに10分撹拌した。セルスターを砂浴に置き、120分間、100℃に加熱した。スラリーを冷却し、次いで60mLプラスチックフリットを通じて濾過し、まずトルエン(2×25mL)、次いでペンタン(3×25mL)ですすいだ。最終的に収集した固体を250mL丸底フラスコに移し、減圧下、3時間乾燥させた。
代表的なsMAO調製B(MAO添加の前に冷却):25mLセルスター中で、2.97グラムのCS6-200℃シリカおよび30グラムのトルエンを合わせた。セルスターを冷凍庫(-35℃)において、80分間冷蔵した。ピペットによって、MAO溶液をスラリーに滴加した。撹拌速度は400rpmであった。MAOの添加は、次の方法で実行した。10滴の溶液を一度に添加した後、短い中断。添加全体に40分かかった。次いで、スラリーをさらに30分撹拌した。急速に気泡が形成されたが、急速に消失した。過度の気泡(の層)が一度に発生するのを回避することができた。室温において400rpmで30分撹拌した後、スラリーを沈殿させたとき、2相のみが観察された。微粒子は見られなかった。セルスターを砂浴に置き、3時間、100℃に加熱した。撹拌速度は400rpmであった。次いで、スラリーを冷却し、沈殿させ、2相のみが観察された。微粒子は見られなかった。スラリーを、プラスチックフリットを通じて濾過し、まず30gのトルエンで3回、次いで24gのペンタンで3回すすいだ。最終的に収集した固体を、減圧下、2.5時間乾燥させた。
【0088】
各種シリカ担体から調製したsMAO材料の概要、および対応するXPS分析の結果を、次の表3に示す。
【表3】
1より大きいAl/Si比(未粉砕/粉砕)は、担体材料組成物の空隙より、担体材料組成物の外表面において、金属の量が多いことを指す。そのため、比較重合実験については、1.84のAl/Si比を有するSS1材料を選択した。
【0089】
担持触媒
ビス(1-ブチル,3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを有する担持単一触媒系を、表4に列挙する次の実験において利用した。
触媒系調製手順:20mLガラスバイアル中で、0.5グラムのsMAOおよび1.5グラムのトルエンを合わせた。トルエン中のビス(1-ブチル,3-メチルシクロペンタジジエニル)ジルコニウムジクロリドのストック溶液を、ピペットによって滴加した。密封したバイアルを、次いでボルテキサーに置き、混合物を約23℃において、60分間ボルテックスした。スラリーを沈殿させ、上澄みをピペットで除去した。残留物をspeedvacで乾燥させた(45℃で45分、真空設定0.1、総乾燥時間2時間)。
【0090】
【表4】
【0091】
重合方法
2Lオートクレーブ反応器を、窒素下、110℃超において1時間乾燥させた。350グラムの塩および5グラムのsMAOを、反応器に投入した。反応器を次いで、105℃において30分間撹拌した。次いで、2.5mLの1-ヘキセンおよび120mLの水素ガスを反応器に予備投入し、反応器温度を85℃で安定させた。10mgの担持触媒をエチレンガスによって注入し、重合を開始した。運転中、反応器内のエチレンの圧力は、220psiに維持した。水素フロー(窒素によって10%に希釈)を、0.5の水素対エチレン比率(mg/g)に制御し、1-ヘキセンフローを、0.1の1-ヘキセン対エチレン比(g/g)に制御した。重合反応は、1時間の反応時間を有した。他の条件は、各運転について表6に列挙する。図6Aおよび図6Bは、表6に示した触媒系のそれぞれについて、反応速度プロファイルを示すグラフである。
【0092】
【表5-1】
【表5-2】
【0093】
ポリマー特性
表6は、ポリエチレン反応器顆粒のバルク密度特性を図示する(サンプル毎に3回測定)。
【表6-1】
【表6-2】
【0094】
選択したポリマー顆粒について、以下のように、真球度値も決定した。
CS2=0.875(標準偏差(st.dev.):0.0035);
SS1=0.901(st.dev.:0.0021);および
CS6=0.888(st.dev.;0.0007)
【0095】
各種sMAO上の担持触媒によって作製したポリマー顆粒についての顆粒サイズ分布を、表7ならびに図4図5A図5B、および図5Cに示す。
【表7】
【0096】
表5~7に見られるように、SS1担持触媒の生産性(すなわち表5)は、CS3およびCS6のものを除いて、比較用シリカ材料に担持された触媒より、遥かに高い。しかし、CS6は、反応器汚損を防止するためには大規模な水素制御を必要とし、ポリマー顆粒の90%近く(表7)が、0.71mm未満の直径を有する原因となった。CS3は、ポリマー顆粒の40%近くが0.71mm未満の直径、およびわずか0.375g/mlの平均バルク密度(表6)を有する原因となった。
全体として、本発明の触媒系は、担体材料全体および触媒担体組成物の空隙内の表面に、より均一に分布した金属含有量の増加をもたらし、したがって、触媒担体組成物の外表面の金属含有量または端部における集中の低下をもたらす。より高い生産性によって証明されるように、担体材料全体に渡ってより均一に分布した触媒含有量の増加は、実質的に、本発明の触媒系の触媒活性に影響を与えない。本開示の触媒系および方法は、反応器の内壁(スキン)および反応器のドームにおける反応汚損、シート化および/またはチャンキングの低減または排除をもたらす。本発明の触媒系の使用による反応器汚損、シート化、および/またはチャンキングの低減または排除は、反応器の動作について、反応器の不連続事象の低減または排除をもたらす。さらに、本発明の触媒系は、より高いバルク密度を有するポリマー生成物をもたらし、それによって輸送コストが減少する。
【0097】
別段の定めがない限り、「から本質的になる(consists essentially of)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、この明細書に具体的に言及されているか否かによらず、他のステップ、要素、または材料の存在を、このようなステップ、要素、または材料が本発明の基本的な、および新規な特徴に影響しない限り除外せず、加えて、使用する要素および材料に通常付随する不純物および相違を除外しない。
簡潔さのため、一定の範囲のみを明示的に本明細書に開示する。しかし、任意の下限からの範囲を、明示的に挙げられていない範囲を挙げて任意の上限と組み合わせてもよいばかりではなく、任意の下限からの範囲を、明示的に挙げられていない範囲を挙げて任意の他の下限と組み合わせてもよく、同様に、任意の上限からの範囲を、明示的に挙げられていない範囲を挙げて任意の他の上限と組み合わせてもよい。加えて、範囲内は、たとえ明示的に列挙されていなくとも、すべての点、または両終点の間の個々の値を含む。したがって、すべての点または個々の値はそれ自体、明示的に挙げられていない範囲を挙げて、任意の他の点もしくは個々の値、または任意の他の下限もしくは上限と組み合わせた、下限または上限としての役割を果たしうる。
【0098】
すべての優先権書類は、参照によって完全に、このような組み込みが認められる全法域について、このような開示が本発明の記載に一致する範囲で、本明細書に組み込まれる。さらに、試験手順、刊行物、特許、学術誌記事等を含む本明細書に引用したすべての文書および参照は、参照によって完全に、このような組み込みが認められる全法域について、このような開示が本発明の記載に一致する範囲で、本明細書に組み込まれる。
本発明は複数の実施形態および例に対して記載されているが、当業者は、この開示の恩恵を受ければ、本明細書が開示する発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、他の実施形態を考案することができることを理解するであろう。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する1種または複数種の触媒と、少なくとも1種の活性剤と、1種または複数種の担体材料組成物との組み合わせの生成物を含む触媒系であって、前記1種または複数種の担体材料組成物が、10体積%~80体積%の、細孔サイズが300オングストローム~1500である細孔の体積百分率、および700m 2 /g未満のBET表面積を有する、触媒系。
〔2〕細孔サイズが300オングストローム以上である細孔の体積百分率が、35体積%~65体積%である、前記〔1〕に記載の触媒系。
〔3〕細孔サイズが300オングストローム以上である細孔の体積百分率が、40体積%~63体積%である、前記〔2〕に記載の触媒系。
〔4〕細孔サイズが300オングストローム以上である細孔の体積百分率が、40体積%~55体積%である、前記〔3〕に記載の触媒系。
〔5〕前記1種または複数種の担体材料組成物が、36μm以上の粒子サイズ分布D50を有する、前記〔1〕から〔4〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔6〕前記1種または複数種の担体材料組成物の平均真球度が、少なくとも0.970である、前記〔1〕から〔5〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔7〕前記1種または複数種の触媒が、少なくとも1種のメタロセン触媒である、前記〔1〕から〔6〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔8〕前記1種または複数種の担体材料組成物が、Al 2 3 、ZrO 2 、SiO 2 、SiO 2 /Al 2 3 、SiO 2 /TiO 2 、シリカ粘土、酸化ケイ素/粘土、またはこれらの混合物を含む、前記〔1〕から〔7〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔9〕前記少なくとも1種の活性剤が、200:1以下のアルミニウム対触媒金属のモル比で存在するメチルアルモキサンである、前記〔1〕から〔8〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔10〕前記1種または複数種の担体材料組成物がSiO 2 を含む、前記〔1〕から〔9〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔11〕前記1種または複数種の担体材料組成物がSiO 2 であり、前記触媒系が、X線光電子分光法によって決定される、1~4の未粉砕(Al/Si)/粉砕(Al/Si)値を有する、前記〔1〕から〔10〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔12〕前記1種または複数種の触媒が、式:
y Cp m MG n q
によって表されるメタロセン触媒であり、Cpが独立に、シクロペンタジエニル配位子またはシクロペンタジエニルに構造的に類似した配位子であり、Mが4族遷移金属であり、Gが式JR * z(式中、JはN、P、O、またはSであり、R * は直鎖状、分岐状、または環式C 1 -C 20 ヒドロカルビルであり、zは1または2である)によって表されるヘテロ原子基であり、Tが架橋基であり、yが0または1であり、Xがアニオン性配位子であり、m=1であり、n=1、2、または3であり、q=0、1、2、または3であり、m+n+qの合計が遷移金属の酸化状態に等しい、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔13〕前記1種または複数種の触媒が、式:Cp A Cp B M’X’nによって表される非架橋メタロセン触媒化合物であり、Cp A およびCp B のそれぞれが独立に、シクロペンタジエニル配位子およびシクロペンタジエニルにアイソローバルな配位子からなる群から選択され、Cp A およびCp B の一方または両方が、ヘテロ原子を含有してもよく、Cp A およびCp B の一方または両方が、1つまたは複数のR”基によって置換されてもよく、M’が3族~12族およびランタニド族からなる群から選択される元素であり、X’がアニオン性配位子であり、nが0または1~4の整数であり、R”がアルキル、低級アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、低級アルケニル、置換アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、低級アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、低級アルキルチオ、アリールチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルキレン、アルカリール、アルカリーレン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロ原子含有基、ヒドロカルビル、低級ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、シリル、ボリル、ホスフィノ、ホスフィン、アミノ、アミン、エーテル、ゲルマニウム、およびチオエーテルからなる群から選択される、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔14〕前記1種または複数種の触媒が、式:Cp A (A)Cp B M’X’nによって表される架橋メタロセン触媒化合物であり、Cp A およびCp B のそれぞれが独立に、シクロペンタジエニル配位子およびシクロペンタジエニルに構造的に類似した配位子からなる群から選択され、Cp A およびCp B の一方または両方が、ヘテロ原子を含有してもよく、Cp A およびCp B の一方または両方が、1つまたは複数のR”基によって置換されてもよく、M’が3族~12族およびランタニド族からなる群から選択される元素であり、X’がアニオン性配位子であり、nが0または1~4の整数であり、(A)が二価アルキル、二価低級アルキル、二価置換アルキル、二価ヘテロアルキル、二価アルケニル、二価低級アルケニル、二価置換アルケニル、二価ヘテロアルケニル、二価アルキニル、二価低級アルキニル、二価置換アルキニル、二価ヘテロアルキニル、二価アルコキシ、二価低級アルコキシ、二価アリールオキシ、二価アルキルチオ、二価低級アルキルチオ、二価アリールチオ、二価アリール、二価置換アリール、二価ヘテロアリール、二価アラルキル、二価アラルキレン、二価アルカリール、二価アルカリーレン、二価ハロアルキル、二価ハロアルケニル、二価ハロアルキニル、二価ヘテロアルキル、二価ヘテロ環、二価ヘテロアリール、二価ヘテロ原子含有基、二価ヒドロカルビル、二価低級ヒドロカルビル、二価置換ヒドロカルビル、二価ヘテロヒドロカルビル、二価シリル、二価ボリル、二価ホスフィノ、二価ホスフィン、二価アミノ、二価アミン、二価エーテル、二価チオエーテルからなる群から選択され、R”がアルキル、低級アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、低級アルケニル、置換アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、低級アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、低級アルキルチオ、アリールチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルキレン、アルカリール、アルカリーレン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロ原子含有基、ヒドロカルビル、低級ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、シリル、ボリル、ホスフィノ、ホスフィン、アミノ、アミン、ゲルマニウム、エーテル、およびチオエーテルからなる群から選択される、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔15〕前記1種または複数種の触媒が、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)M(R) 2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)M(R) 2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)M(R) 2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)M(R) 2
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)M(R) 2
エチレンビス(インデニル)M(R) 2
ビス(1-ブチル,3-メチルシクロペンタジエニル)M(R) 2
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)M(R) 2
rac-ジメチルシリルビス(トリメチルシリルメチレンシクロペンタジエニド)M(R) 2
ビス(1-メチル,3-n-ブチルシクロペンタジエニル)M(R) 2
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)M(R) 2
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)M(R) 2
μ-(CH 3 2 Si(シクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R) 2
μ-(CH 3 2 Si(3-tertブチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R) 2
μ-(CH 3 2 (テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R) 2
μ-(CH 3 2 Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R) 2
μ-(CH 3 2 C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-アダマンチルアミド)M(R) 2
μ-(CH 3 2 Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-tertブチルアミド)M(R) 2
μ-(CH 3 2 Si(フルオレニル)(1-tertブチルアミド)M(R) 2
μ-(CH 3 2 Si(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)M(R) 2
μ-(C 6 5 2 C(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1-シクロドデシルアミド)M(R) 2
μ-(CH 3 2 Si(η5-2,6,6-トリメチル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル)(tertブチルアミド)M(R) 2
およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、MがTi、Zr、およびHfからなる群から選択され、Rがハロゲン、またはC 1 -C 5 アルキルから選択される、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔16〕前記1種または複数種の触媒が、ビス(1-ブチル,3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル;rac-ジメチルシリルビス(トリメチルシリルメチレンシクロペンタジエニド)ハフニウムジメチル;およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記〔15〕に記載の触媒系。
〔17〕前記触媒系が、それぞれ異なる化学構造を有する第1の触媒と第2の触媒との組み合わせの生成物を含み、前記第2の触媒が、3族~12族金属原子またはランタニド金属原子を有する、前記〔1〕から〔16〕までのいずれか1項に記載の触媒系。
〔18〕オレフィンを重合させてポリオレフィン組成物を生成するための方法であって、少なくとも1種のオレフィンを、前記〔1〕から〔17〕までのいずれか1項に記載の触媒系と反応器中で接触させ、ポリオレフィン組成物を得ることを含む、方法。
〔19〕0℃~300℃の温度、0.35MPa~10MPaの範囲の圧力、および500分以下の時間において気相反応器中で実施する、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕前記少なくとも1種のオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、またはこれらの混合物を含む、前記〔18〕または〔19〕に記載の方法。
〔21〕前記ポリオレフィン組成物が0.900g/cm 3 以上のポリマー密度を有する、前記〔18〕から〔20〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔22〕前記ポリオレフィン組成物が、0.9以上の平均真球度を有するポリエチレンコポリマー顆粒を含む、前記〔18〕から〔21〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔23〕前記ポリオレフィン組成物が、少なくとも0.425g/mlの平均バルク密度を有する、前記〔18〕から〔22〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔24〕0.9以上の平均真球度を有するポリエチレンコポリマー顆粒を含む、組成物。
〔25〕少なくとも0.425g/mlの平均バルク密度を有する、前記〔24〕に記載の組成物。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B-5C】
図6A
図6B