(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/24 20060101AFI20220216BHJP
G11C 7/12 20060101ALI20220216BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220216BHJP
G11C 16/26 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
G11C16/24 110
G11C7/12
G11C16/04 170
G11C16/26 110
(21)【出願番号】P 2020074503
(22)【出願日】2020-04-20
【審査請求日】2020-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】岡部 翔
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 真言
【審査官】堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-96369(JP,A)
【文献】特開2014-78301(JP,A)
【文献】特開2013-235642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0297987(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/24
G11C 16/26
G11C 16/04
G11C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
センスノードを介してビット線および当該ビット線に接続されたNANDストリングをプリチャージするステップと、
プリチャージ後に、ラッチ回路のノードを前記センスノードを介して基準電位に電気的に接続し、当該ラッチ回路をリセットするステップと、
リセット後に、NANDストリングをディスチャージするステップとを有し、
上記各ステップは、ページの連続読出しにおいて実施され、
前記ページの連続読出しは、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持し、前記ラッチ回路に保持したデータを別のラッチ回路に転送した後、次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持すること、
前記別のラッチ回路に保持したデータを外部クロック信号に同期して連続的に外部に出力すること、
前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを誤り検出・訂正(ECC処理)する間に第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に前記第2の部分のデータをECC処理することを含み、
前記連続読出しは、tARRAY+tECC<tDOUTで表される制約を有する第1の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間)、読出し方法。
【請求項2】
NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
センスノードを介してビット線および当該ビット線に接続されたNANDストリングをプリチャージするステップと、
NANDストリングのディスチャージ期間中に、ラッチ回路のノードを前記センスノードを介して基準電位に電気的に接続し、当該ラッチ回路をリセットするステップと
を含み、
上記各ステップは、ページの連続読出しにおいて実施され、
前記ページの連続読出しは、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持し、前記ラッチ回路に保持したデータを別のラッチ回路に転送した後、次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持すること、
前記別のラッチ回路に保持したデータを外部クロック信号に同期して連続的に外部に出力すること、
前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを誤り検出・訂正(ECC処理)する間に第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に前記第2の部分のデータをECC処理することを含み、
前記連続読出しは、tARRAY+tECC<tDOUTで表される制約を有する第1の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間)、読出し方法。
【請求項3】
前記プリチャージするステップは、電圧供給ノードにプリチャージ電圧を生成すること、前記電圧供給ノードを第1の選択トランジスタを介して前記センスノードに電気的に接続すること、前記センスノードを第2の選択トランジスタを介してビット線に電気的に接続することを含み、
前記リセットするステップは、前記電圧供給ノードに前記基準
電位を生成すること、前記電圧供給ノードを前記第1の選択トランジスタを介して前記ラッチ回路に電気的に接続すること、前記センスノードを前記第2の
選択トランジスタを介して電気的に隔離することを含む、請求項1または2に記載の読出し方法。
【請求項4】
前記別のラッチ回路の第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力後に、前記ラッチ回路の第1の部分の次の選択ページのデータを前記別のラッチ回路の第1の部分に転送すること、
前記別のラッチ回路の第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力後に、前記ラッチ回路の第2の部分の次の選択ページのデータを前記別のラッチ回路の第2の部分に転送すること、
を含む請求項
1または2に記載の読出し方法。
【請求項5】
NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
センスノードを介してビット線および当該ビット線に接続されたNANDストリングをプリチャージするステップと、
プリチャージ後に、ラッチ回路のノードを前記センスノードを介して基準電位に電気的に接続し、当該ラッチ回路をリセットするステップと、
リセット後に、NANDストリングをディスチャージするステップとを有し、
上記各ステップは、ページの連続読出しにおいて実施され、
前記ページの連続読出しは、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持し、前記ラッチ回路に保持したデータを別のラッチ回路に転送した後、次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持すること、
前記別のラッチ回路に保持したデータを外部クロック信号に同期して連続的に外部に出力すること、
前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを誤り検出・訂正(ECC処理)する間に第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に前記第2の部分のデータをECC処理することを含み、
前記連続読出しは、tARRAY<tDOUT、tECC<tDOUT(1/2ページ)で表される制約を有する第2の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間、tDOUT(1/2ページ)は1/2ページのデータを出力するのに必要な時間)、読出し方法。
【請求項6】
NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
センスノードを介してビット線および当該ビット線に接続されたNANDストリングをプリチャージするステップと、
NANDストリングのディスチャージ期間中に、ラッチ回路のノードを前記センスノードを介して基準電位に電気的に接続し、当該ラッチ回路をリセットするステップとを含み、
上記各ステップは、ページの連続読出しにおいて実施され、
前記ページの連続読出しは、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持し、前記ラッチ回路に保持したデータを別のラッチ回路に転送した後、次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持すること、
前記別のラッチ回路に保持したデータを外部クロック信号に同期して連続的に外部に出力すること、
前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを誤り検出・訂正(ECC処理)する間に第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に前記第2の部分のデータをECC処理することを含み、
前記連続読出しは、tARRAY<tDOUT、tECC<tDOUT(1/2ページ)で表される制約を有する第2の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間、tDOUT(1/2ページ)は1/2ページのデータを出力するのに必要な時間)、読出し方法。
【請求項7】
前記第2の連続読出しは、
tARRAY+tECC<tDOUTで表される制約を有する第1の連続読出しと比較して、メモリセルアレイの選択ページの読出しタイミングが速い、請求項5または6に記載の読出し方法。
【請求項8】
NAND型のメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段
と、
データの誤り検出・訂正を行うECC回路とを含み、
前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、
当該ページバッファ/センス回路は、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを保持するラッチ回路と、当該ラッチ回路から転送されたデータを保持する別のラッチ回路とを含み、
前記読出し手段は、ページの連続読出しを行うとき、ページバッファ/センス回路に含まれるラッチ回路のリセットを、ビット線のプリチャージ期間とNANDストリングのディスチャージ期間との間で実施
し、前記出力手段が外部クロック信号に同期して前記別のラッチ回路に保持したデータを連続的に出力し、
前記読出し手段はさらに、ページの連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路のデータが出力される間にメモリセルアレイの次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持させ、前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを前記ECC回路がECC処理する間に第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に前記第2の部分のデータを前記ECC回路によりECC処理させ、
前記連続読出しは、tARRAY+tECC<tDOUTで表される制約を有する第1の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間)、半導体装置。
【請求項9】
NAND型のメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段と、
データの誤り検出・訂正を行うECC回路とを含み、
前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、当該ページバッファ/センス回路は、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを保持するラッチ回路と、当該ラッチ回路から転送されたデータを保持する別のラッチ回路とを含み、
前記読出し手段は、ページの連続読出しを行うとき、ページバッファ/センス回路に含まれるラッチ回路のリセットを、ビット線のプリチャージ期間とNANDストリングのディスチャージ期間との間で実施
し、前記出力手段が外部クロック信号に同期して前記別のラッチ回路に保持したデータを連続的に出力し、
前記読出し手段はさらに、ページの連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路のデータが出力される間にメモリセルアレイの次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持させ、前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを前記ECC回路がECC処理する間に第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に前記第2の部分のデータを前記ECC回路によりECC処理させ、
前記連続読出しは、tARRAY<tDOUT、tECC<tDOUT(1/2ページ)で表される制約を有する第2の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間、tDOUT(1/2ページ)は1/2ページのデータを出力するのに必要な時間)、半導体装置。
【請求項10】
NAND型のメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段
と、
データの誤り検出・訂正を行うECC回路とを含み、
前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、
当該ページバッファ/センス回路は、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを保持するラッチ回路と、当該ラッチ回路から転送されたデータを保持する別のラッチ回路とを含み、
前記読出し手段は、ページの連続読出しを行うとき、ページバッファ/センス回路に含まれるラッチ回路のリセットを、ビット線をプリチャージした後のNANDストリングのディスチャージ期間中に実施
し、前記出力手段が外部クロック信号に同期して前記別のラッチ回路に保持したデータを連続的に出力し、
前記読出し手段はさらに、ページの連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路のデータが出力される間にメモリセルアレイの次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持させ、前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを前記ECC回路がECC処理する間に第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に前記第2の部分のデータを前記ECC回路によりECC処理させ、
前記連続読出しは、tARRAY+tECC<tDOUTで表される制約を有する第1の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間)、半導体装置。
【請求項11】
NAND型のメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段と、
データの誤り検出・訂正を行うECC回路とを含み、
前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、当該ページバッファ/センス回路は、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを保持するラッチ回路と、当該ラッチ回路から転送されたデータを保持する別のラッチ回路とを含み、
前記読出し手段は、ページの連続読出しを行うとき、ページバッファ/センス回路に含まれるラッチ回路のリセットを、ビット線をプリチャージした後のNANDストリングのディスチャージ期間中に実施し、前記出力手段が外部クロック信号に同期して前記別のラッチ回路に保持したデータを連続的に出力し、
前記読出し手段はさらに、ページの連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路のデータが出力される間にメモリセルアレイの次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持させ、前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを前記ECC回路がECC処理する間に第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に前記第2の部分のデータを前記ECC回路によりECC処理させ、
前記連続読出しは、tARRAY<tDOUT、tECC<tDOUT(1/2ページ)で表される制約を有する第2の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間、tDOUT(1/2ページ)は1/2ページのデータを出力するのに必要な時間)、半導体装置。
【請求項12】
前記ページバッファ/センス回路は、電圧供給ノード、センスノード、ラッチ回路、前記電圧供給ノードと前記センスノードとの間に接続された第1の選択トランジスタ、前記センスノードとビット線との間に接続された第2の選択トランジスタ、前記センスノードと前記ラッチ回路との間に接続された第3の選択トランジスタとを含み、
前記第1および第3の選択トランジスタを導通させ、前記第2の選択トランジスタを非導通にし、前記ラッチ回路を前記電圧供給ノードの基準電位に電気的に接続して前記ラッチ回路をリセットする、請求項
8ないし11いずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記読出し手段は、前記第1および第2の選択トランジスタを導通させ、前記第3の選択トランジスタを非導通にし、前記電圧供給ノードの電圧
でビット線
をプリチャージする、請求項
12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュメモリ等を含む半導体装置に関し、特にページの連続読出し動作に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型のフラッシュメモリには、外部からのコマンドに応答して複数のページを連続で読み出す連続読出し機能(バースト読出し機能)が搭載されている。ページバッファ/センス回路は、例えば2つのラッチを含み、連続読出し動作が行われるとき、一方のラッチにアレイから読み出されたデータを保持する間に、他方のラッチに保持されたデータの出力を可能にしている(例えば、特許文献1、2、3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5323170号公報
【文献】特許5667143号公報
【文献】米国特許出願US2014/0104947A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に、オンチップECC機能を搭載したNAND型フラッシュメモリの概略構成を示す。フラッシュメモリは、NANDストリングを含むメモリセルアレイ10と、ページバッファ/センス回路20と、データ転送回路30、32と、誤り検出訂正回路(以下、ECC回路)40と、入出力回路50とを含む。ページバッファ/センス回路20は、読出しデータやプログラムすべき入力データを保持する2つのラッチL1、L2(1つのラッチは、例えば4KB)を含み、ラッチL1、L2は、それぞれ第1のキャッシュC0と第2のキャッシュC1(1つのキャッシュは、例えば2KB)とを含む。
【0005】
図2に、複数ページの連続読出しを行うときのタイミングチャートを示す。
図2はページP0をスタートアドレスとする例を示す。スタートアドレスは任意で選択できる。最初に、ページP0のアレイ読出しが行われ、ページP0のデータがラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に保持される(P0C0、P0C1)。次に、ラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1のデータがラッチL2の第1および第2のキャッシュC0、C1に転送され、第1および第2のキャッシュC0、C1のデータがECC回路40において、ECCデコードの演算が行われ、誤りが検出された場合には、ラッチL2の第1、第2のキャッシュC0、C1のデータが訂正される。
【0006】
連続読出しでは、行アドレスカウンタが自動的にインクリメントされ、次のページP1の読出しが行われ、読み出されたデータがラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に転送される。この間、ラッチL2の第1のキャッシュC0のデータが入出力回路50へ転送され、入出力回路50に保持されたデータは、外部から供給される外部クロック信号ExCLKに同期して出力される。次に、ラッチL2の第2のキャッシュC1のデータが入出力回路50から外部クロック信号ExCLKに同期して出力され、この間、ラッチL1の第1のキャッシュC0のデータがラッチL2に転送され、かつECC回路40によりECC処理が行われる。
【0007】
ラッチL1の第2のキャッシュC1のデータがラッチL2に転送され、ラッチL2の第1のキャッシュC0のデータが入出力回路50から出力される間に、第2のラッチL2の第2のキャッシュC1のデータがECC処理され、次いで、ラッチL2の第2のキャッシュC1のデータが入出力回路50から出力される間に、次のページP2がアレイから読み出され、ラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に転送され、かつ第1のキャッシュC0のデータがラッチL2に転送され、ECC処理される。
【0008】
こうして、ラッチL2からデータを出力しながらメモリセルアレイのページの連続読出しが行われ、その間、第1のキャッシュC0のデータを出力する間に第2のキャッシュC1のECC処理が行われ、第2のキャッシュC1のデータを出力する間に第1のキャッシュC0のECC処理が行われる。
【0009】
ここで、アレイの読出しは、決められたタイミングにより内部クロック信号を用いて動作され、他方、データ出力は、内部クロック信号とは非同期の外部クロック信号ExCLKにより動作される。それ故、連続読出し動作には、以下の数式(1)で示される制約がある。
tARRAY+tECC<tDOUT …(1)
ここで、tARRAYは、メモリセルアレイから選択ページを読み出すために必要な時間、tECCは、1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは、1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間である。tARRAYおよび最大tECC(ECCデコードの演算およびデータの訂正に要する最大時間)は、一定の時間であり、tDOUTは、外部クロック信号ExCLKの周波数によって計算される。
【0010】
大量のデータを短時間で読み出すためには、外部クロック信号ExCLKの周波数を高くする必要がある。その場合、数式(1)に示すように、tARRAY+tECCの時間を短くしなければならない。他方、読出し動作では、ラッチL1は、センスノードからの電荷をより正確に受け取るためにリセットを必要とし、そのリセットは、ビット線のプリチャージ期間の前に実施される。連続読出し動作では、ラッチL1のリセットは、ラッチL1のデータがラッチL2へ転送された後でなければならない。つまり、ラッチL1のリセットは、ラッチL1のデータをラッチL2に転送後から、次のページを読み出すためのビット線のプリチャージ期間の前に行われなければならない。このため、tARRAYの開始タイミングを早めようとすると、ラッチL1をリセットする時間を十分に確保できないおそれがある。
図2で例示すると、ラッチL1のページP2のキャッシュC1のデータがラッチL2に転送される時間がts、ページP3のアレイの読出しの開始タイミングからビット線のプリチャージが完了するまでの期間がtpであれば、期間tx内にラッチL1をリセットしなければならない。もし、次ページの読出し開始タイミングを早めた場合には、期間txがさらに短くなり、ラッチL1のリセットが補償できなくなってしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決し、データ出力の高速化を図りつつラッチ回路のリセットを補償する半導体装置および読出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るNAND型フラッシュメモリの読出し方法は、センスノードを介してビット線および当該ビット線に接続されたNANDストリングをプリチャージするステップと、プリチャージ後に、ラッチ回路のノードを前記センスノードを介して基準電位に電気的に接続し、当該ラッチ回路をリセットするステップと、リセット後に、NANDストリングをディスチャージするステップとを含む。さらに本発明に係るNAND型フラッシュメモリの読出し方法は、センスノードを介してビット線および当該ビット線に接続されたNANDストリングをプリチャージするステップと、NANDストリングのディスチャージ期間中に、ラッチ回路のノードを前記センスノードを介して基準電位に電気的に接続し、当該ラッチ回路をリセットするステップとを含む。
【0013】
ある実施態様では、前記プリチャージするステップは、電圧供給ノードにプリチャージ電圧を生成すること、前記電圧供給ノードを第1の選択トランジスタを介して前記センスノードに電気的に接続すること、前記センスノードを第2の選択トランジスタを介してビット線に電気的に接続することを含み、前記リセットするステップは、前記電圧供給ノードに前記基準電圧を生成すること、前記電圧供給ノードを前記第1の選択トランジスタを介して前記ラッチ回路に電気的に接続すること、前記センスノードを前記第2のトランジスタを介して電気的に隔離することを含む。
【0014】
ある実施態様では、上記各ステップは、ページの連続読出しにおいて実施される。ある実施態様では前記ページの連続読出しは、メモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持し、前記ラッチ回路に保持したデータを別のラッチ回路に転送した後、次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持すること、前記別のラッチ回路に保持したデータを、外部クロック信号に同期して連続的に外部に出力することを含む。ある実施態様では、前記ページの連続読出しはさらに、前記別のラッチ回路の第1の部分のデータを誤り検出・訂正(ECC処理)する間に、第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力し、前記第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力する間に、前記第2の部分のデータをECC処理することを含む。ある実施態様では前記別のラッチ回路の第1の部分のECC処理されたデータを外部に出力後に、前記ラッチ回路の第1の部分の次の選択ページのデータを前記別のラッチ回路の第1の部分に転送すること、前記別のラッチ回路の第2の部分のECC処理されたデータを外部に出力後に、前記ラッチ回路の第2の部分の次の選択ページのデータを前記別のラッチ回路の第2の部分に転送することを含む。ある実施態様では、前記連続読出しは、tARRAY+tECC<tDOUTで表される制約を有する第1の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間)。ある実施態様では、前記連続読出しは、tARRAY<tDOUT、tECC<tDOUT(1/2ページ)で表される制約を有する第2の連続読出しである(第1の部分および第2の部分のデータはそれぞれ1/2ページのデータ、tARRAYは選択ページを読み出すのに必要な時間、tECCは1/2ページをECC処理するのに必要な時間、tDOUTは1ページの全てのデータを出力するのに必要な時間tDOUT(1/2ページ)は1/2ページのデータを出力するのに必要な時間)。ある実施態様では、前記第2の連続読出しは、前記第1の連続読出しと比較して、メモリセルアレイの選択ページの読出しタイミングが速い。
【0015】
本発明に係る半導体装置は、NAND型のメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段とを含み、前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、前記読出し手段は、ページの連続読出しを行うとき、ページバッファ/センス回路に含まれるラッチ回路のリセットを、ビット線のプリチャージ期間とNANDストリングのディスチャージ期間との間で実施する。さらに本発明に係る半導体装置は、NAND型のメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの選択ページからデータを読み出す読出し手段と、前記読出し手段によって読み出されたデータを外部に出力する出力手段とを含み、前記読出し手段は、ビット線を介してメモリセルアレイに接続されたページバッファ/センス回路を含み、前記読出し手段は、ページの連続読出しを行うとき、ページバッファ/センス回路に含まれるラッチ回路のリセットを、ビット線をプリチャージした後のNANDストリングのディスチャージ期間中に実施する。
【0016】
ある実施態様では、前記ページバッファ/センス回路は、電圧供給ノード、センスノード、ラッチ回路、前記電圧供給ノードと前記センスノードとの間に接続された第1の選択トランジスタ、前記センスノードとビット線との間に接続された第2の選択トランジスタ、前記センスノードと前記ラッチ回路との間に接続された第3の選択トランジスタとを含み、前記第1および第3の選択トランジスタを導通させ、前記第2の選択トランジスタを非導通にし、前記ラッチ回路を前記電圧供給ノードの基準電位に電気的に接続して前記ラッチ回路をリセットする。ある実施態様では、前記読出し手段は、前記第1および第2の選択トランジスタを導通させ、前記第3の選択トランジスタを非導通にし、前記電圧供給ノードの電圧をビット線にプリチャージする。ある実施態様では、前記読出し手段がページの連続読出しを行うとき、前記出力手段は、外部クロック信号に同期して読み出したデータを連続的に出力する。ある実施態様では、前記ページバッファ/センス回路さらに、前記ラッチ回路に保持されたデータを受け取る別のラッチ回路を含み、前記読出し手段は、連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路のデータが出力される間にメモリセルアレイの次の選択ページから読み出されたデータを前記ラッチ回路に保持させる。ある実施態様では、半導体装置はさらに、データの誤り検出・訂正を行うECC回路を含み、前記読出し手段は、連続読出しを行うとき、前記別のラッチ回路の第1の部分に保持されたデータが前記ECC回路によりECC処理されている間に、前記別のラッチ回路の第2の部分に保持されたECC処理されたデータを出力させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ページバッファ/センス回路に含まれるラッチ回路のリセットを、ビット線のプリチャージ期間とNANDストリングのディスチャージ期間との間に行うようにしたので、データ出力の高速化を図りつつラッチ回路のリセットを補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来のNAND型フラッシュメモリの概略構成を示す図である。
【
図2】従来のNAND型フラッシュメモリにおいてページの連続読出しを行うときのタイミングチャートである。
【
図3】本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係るフラッシュメモリのNANDストリングの構成例を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係るフラッシュメモリのビット線選択回路の構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係るフラッシュメモリのページバッファ/センス回路の構成を示す図である。
【
図7】本発明の実施例に係るフラッシュメモリにおけるラッチ回路のリセット動作を示すタイミングチャートである。
【
図8】本発明の実施例に係るページの連続読出し動作を行うときのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る半導体装置は、例えば、NAND型フラッシュメモリ、あるいはこのようなフラッシュメモリを埋め込むマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ロジック、ASIC、画像や音声を処理するプロセッサ、無線信号等の信号を処理するプロセッサなどである。以下の説明では、NAND型フラッシュメモリを例示する。1つの実施態様では、NAND型フラッシュメモリは、NOR型フラッシュメモリとの互換性を図るため、SPI(Serial Peripheral Interface)を搭載し、外部クロック信号に同期した複数のページの連続読出しを可能にする。
【実施例】
【0020】
図3は、本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示す図である。本実施例に係るフラッシュメモリ100は、複数のメモリセルが行列状に配列されたメモリアレイ110と、外部入出力端子に接続され、かつ外部クロック信号ExCLKに応答して読出しデータを外部に出力したり、外部から入力されるデータを取り込む入出力回路120と、プログラムすべきデータの符号生成や読み出されたデータの誤り検出・訂正を行うECC回路130と、入出力回路120を介してアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ140と、入出力回路120を介して受け取ったコマンドデータや端子に印加された制御信号に基づき各部を制御するコントローラ150と、アドレスレジスタ140から行アドレス情報Axを受け取り、行アドレス情報Axをデコードし、デコード結果に基づきブロックの選択やワード線の選択等を行うワード線選択回路160と、ワード線選択回路160によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページへプログラムするデータを保持するページバッファ/センス回路170と、アドレスレジスタ140から列アドレス情報Ayを受け取り、列アドレス情報Ayをデコードし、当該デコード結果に基づきページバッファ/センス回路170内の列の選択等を行う列選択回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0021】
メモリアレイ110は、例えば、列方向に配置されたm個のメモリブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m-1)を有する。1つのメモリブロックには、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングが複数形成される。1つのNANDストリングNUは、
図4に示すように、直列に接続された複数のメモリセルMCi(i=0、1、・・・、31)と、ビット線側選択トランジスタTDと、ソース線側選択トランジスタTSとを含む。ビット線側選択トランジスタTDのドレインは、対応する1つのビット線GBLに接続され、ソース線側選択トランジスタTSのソースは、共通のソース線SLに接続される。メモリセルMCiのコントロールゲートは、ワード線WLiに接続され、ビット線側選択トランジスタTDおよびソース線側選択トランジスタTSの各ゲートは、選択ゲート線SGD、SGSにそれぞれ接続される。ワード線選択回路160は、行アドレスAxに基づき選択ゲート線SGD、SGSを介してビット線側選択トランジスタTD、ソース線側選択トランジスタTSを駆動し、ブロックやワードを選択する。
【0022】
NANDストリングは、基板表面上に2次元的に形成されてもよいし、基板表面上に3次元的に形成されてもよい。また、メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するMLCタイプであってもよい。
【0023】
図5に、ビット線選択回路の構成を示す。同図は、1つの偶数ビット線GBLeと1つの奇数ビット線GBLoによって共有される1つのページバッファ/センス回路170と、これに接続されたビット線選択回路200とを例示している。
【0024】
ビット線選択回路200は、偶数ビット線GBLeを選択するためのトランジスタBLSe、奇数ビット線GBLoを選択するためのトランジスタBLSo、仮想電源VIRPWRを偶数ビット線GBLeに接続するためのトランジスタYBLe、仮想電源VIRPWRを奇数ビット線GBLoに接続するためのトランジスタYBLoを含み、偶数ビット線GBLeとソース線SLとの間にNANDストリングが接続され、奇数ビット線GBLoとソース線SLとの間にNANDストリングが接続される。例えば、読出し動作では、シールド読出しが行われ、偶数ビット線GBLeが選択されるとき、奇数ビット線GBLoが非選択され、奇数ビット線GBLoが選択されるとき、偶数ビット線GBLeが非選択される。非選択されたビット線は、仮想電源VIRPWRを介してGNDレベルに接続される。
【0025】
図6(A)に、ページバッファ/センス回路170の構成を示す。同図は、1つのページバッファ/センス回路を示している。便宜上、トランジスタのゲートに印加される信号がそのトランジスタを表すものとする。ページバッファ/センス回路170は、2つのラッチL1、L2を含み、ラッチL1とラッチL2との間には、転送ゲート(トランジスタCACHE)が接続され、転送ゲートをオンすることでラッチL1からラッチL2、あるいはラッチL2からラッチL1への双方向のデータ転送が可能になる。
【0026】
ラッチL1は、一対のクロスカップリングされたインバータを含み、ラッチL1のノードSLR1がトランジスタBLCD1およびトランジスタDTGの共通S/Dに接続され、ノードSLS1が判定回路210に接続される。判定回路210は、例えば、プログラムベリファイや消去ベリファイの合否を判定する。トランジスタDTGは、プログラムベリファイ等において、電圧供給ノードV2からノードSLR1をVddに選択的に充電し、あるいはノードSLR1を選択的にGNDに放電するときに導通される。さらに、ラッチL1は、トランジスタEQによってノードSLR1、SLS1の短絡が可能である。
【0027】
ラッチL1のノードSLR1、SLS1は、それぞれトランジスタCACHEを介してラッチL2のノードSLS2、SLR2に接続される。ラッチL2のノードSLR2がトランジスタBLCD2を介してセンスノードSNSに接続され、ノードSLS2がトランジスタRESET2に接続される。トランジスタRESET2は、ラッチL2をリセットするときに導通される。また、ノードSLS2、SLR2は、データラインDL、/DLを介して差動センスアンプSAに接続され、センスアンプSAの出力が入出力回路120に接続される。
【0028】
電圧供給ノードV2とセンスノードSNSとの間には、トランジスタVGおよびトランジスタREGが直列に接続され、トランジスタVGのゲートは、トランジスタDTGのS/Dに接続される。電圧供給ノードV1は、トランジスタBLPREを介してセンスノードSNSに接続される。電圧供給ノードV1は、後述するように、ビット線をプリチャージするとき内部供給電圧Vddを供給し、ラッチL1をリセットするときGND電位を供給する。センスノードSNSとビット線選択回路200のノードBLSとの間には、トランジスタBLCNおよびトランジスタBLCLAMPが直列に接続される。
【0029】
図6(B)にラッチL1を構成する1つのインバータの回路構成を示す。当該インバータは、直列に接続された4つのトランジスタ、即ち、P型のトランジスタPT1、PT2、N型のトランジスタNT1、NT2を含み、トランジスタPT1、NT2の各ゲートには、ラッチイネーブル信号/LAT1、LAT1がそれぞれ入力され、トランジスタPT2、NT1の共通ゲートにはノードSLS1/SLR1の電圧が入力される。ラッチイネーブル信号LAT1がHレベルであるとき、インバータは動作可能であり、ラッチイネーブル信号LAT1がLレベルであるとき、トランジスタPT2、NT1が内部供給電圧VddおよびGNDから切り離されたトライステート状態になり、インバータのリセットが可能になる。ラッチL1のリセットは、センスノードSNSを通る電流パスを利用して行われるため、センスノードSNSがフリーのときつまりセンスノードSNSに悪影響を与えないときにリセットが行われる。
【0030】
ワード線選択回路160および列選択回路180(
図3参照)は、行アドレスAxおよび列アドレスAyに従いページ内のデータの読出し開始位置を選択したり、あるいは行アドレスおよび列アドレスを用いることなくページの先頭位置からデータを自動的に読み出す。さらにワード線選択回路160および列選択回路180は、クロック信号に応答して行アドレスおよび列アドレスをインクリメントする行アドレスカウンタおよび列アドレスカウンタを含むことができる。
【0031】
フラッシュメモリの読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択ワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、選択ゲート線SGD、SGSに正の電圧(例えば4.5V)を印加し、ビット線側選択トランジスタTD、ソース線側選択トランジスタTSをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15~20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタTDをオンさせ、ソース線側選択トランジスタTSをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択ワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0032】
次に、本実施例によるフラッシュメモリの複数ページの連続読出し動作について説明する。コントローラ150は、入出力回路120を介してページの連続読出し動作のコマンドを受け取ると、開始アドレスから複数のページの連続読出しを制御し、連続読出し終了のコマンドを受け取ると、終了アドレスでページの連続読出しを終了する。ページの連続読出し動作では、
図1、
図2で説明したように、ラッチL2からデータが出力されている間にラッチL1にメモリセルアレイの選択ページから読み出されたデータが転送される。ラッチL1からラッチL2へのデータ転送は1ページ単位ではなく、1/2ページ(第1または第2のキャッシュ)に分割して行なわれ、ラッチL2の一方のキャッシュのデータが入出力回路120に転送される間に他方のキャッシュのデータがECC回路130で処理される。入出力回路120に転送されたデータは、外部クロック信号ExCLK(例えば、立ち上がりエッジおよび立下りエッジ)に同期して外部入出力端子から外部に出力される。メモリセルアレイからのデータの読出しおよびラッチL1からラッチL2へのデータ転送は内部クロック信号に基づき行われ、ラッチL2と入出力回路120との間のデータ転送、入出力回路120からのデータ出力は、外部クロック信号ExCLKに基づき行われ、ラッチL2とECC回路130との間のデータ転送およびECC回路の動作は、別の内部クロック信号もしくは外部クロック信号ExCLKを分周したクロックに基づき行われる。
【0033】
メモリセルアレイの選択ページの読出しが行われるとき、センスノードSNSは、選択ビット線の電位をセンスし、次いで、センスノードSNSの電荷がトランジスタBLCD1を介してラッチL1のノードSLR1に転送される。ラッチL1は、転送された電荷が閾値以上であればデータ「1」、閾値未満であればデータ「0」と判定し、そのデータを保持する。ラッチL1は、センスノードSNSから転送された電荷が正確に反映されるようにするため、ノードSLR1の電位をGNDレベルにリセットする。ラッチL1をリセットする場合には、電圧供給ノードV1をGNDに遷移させ、トランジスタBLCD1、トランジスタBLPREを導通させ、ノードSLR1を電圧供給ノードV1に電気的に接続する。
【0034】
従来のフラッシュメモリの連続読出しでは、ラッチL1のリセットは、次のページを読み出すときのビット線のプリチャージ前に実施される。しかし、ラッチL1のリセットは、ラッチL1のデータをラッチL2に転送された後でなければならず、データ出力の高速化が進むと、ラッチL1のリセットを行う時間を十分に確保することができないおそれがある。これを回避するため、本実施例のページの連続読出し動作では、ラッチL1のリセットは、ビット線のプリチャージ終了後であり、かつNANDストリングセルのディスチャージの開始前に行われる。
【0035】
図7は、ラッチL1のリセットを行うときのタイミングチャートを示している。ビット線のプリチャージは、従来と同様に行われるためここには詳細を示さないが、次のように行われる。先ず、電圧供給ノードV1を供給電圧Vddに遷移させ、トランジスタBLPREを導通し、センスノードSNSがVddレベルに充電する。また、トランジスタBLCLAMP、トランジスタBLCNを導通し、ノードBLSをVCLMP1に充電する。Vdd≧VCLMP1の関係にある。このとき、トランジスタBLCD1、BLCD2、トランジスタREGを非導通にする。さらに、トランジスタBLSeを導通し(ここでは、偶数ビット線GBLeが選択されるものとする)、ノードBLSが偶数ビット線GBLeに電気的に接続される。偶数ビット線GBLeに接続されたNANDストリングのビット線側選択トランジスタTDを導通させ、ソース線側選択トランジスタTSを非導通にし、選択ページおよび非選択ページにパス電圧を印加する。これにより、偶数ビット線GBLeにはクランプ電圧VCLMP1がプリチャージされる。他方、非選択の奇数ビット線GBLoは、トランジスタYBLoを介して仮想電源VIRPWRのGNDに電気的に接続される。
【0036】
ビット線のプリチャージが終了すると、ラッチL1のリセットが行われる。リセット期間中、トランジスタBLPRE、トランジスタBLCN、トランジスタBLCLAMPは導通状態である。
図7に示すように、時刻t1で、トランジスタBLSeを非導通にし、偶数ビット線GBLeがページバッファ/センス回路170から電気的に切り離される。次に、時刻t2で、電圧供給ノードV1がGNDに遷移される。これにより、センスノードSNSが供給電圧VddからGNDレベルに降下し、ノードTOBLおよびノードBLSがクランプ電圧VCLMP1からGNDレベルに降下する。
【0037】
次に、時刻t3で、ラッチL1をリセットするためのラッチイネーブル信号LAT1がHレベルからLレベルに遷移され、ラッチL1がリセット可能な状態に置かれる。次に、時刻t4で、トランジスタEQを一定期間導通させ、ノードSLR1、SLS1を同電位に短絡した後、時刻t5で、トランジスタBLCD1を一定期間導通する。これにより、ノードSLR1の電荷がセンスノードSNSを介して電圧供給ノードV1のGNDに放電され、ラッチL1のリセットが完了する。
【0038】
ラッチL1のリセット後、センスノードSNS等のリカバリーが行われる。すなわち、センスノードSNS、ノードTOBL、ノードBLSを再充電し、これらのノードの電圧をラッチL1のリセット前のプリチャージ状態に回復させる。時刻t6で、電圧供給ノードV1がGNDから供給電圧Vddに遷移され、これによりセンスノードSNSがVddに再充電され、ノードTOBLおよびノードBLSがクランプ電圧VCLMP1に再充電される。次に、時刻t7で、トランジスタBLSeを導通し、偶数ビット線GBLeがページバッファ/センス回路170に電気的に接続される。
【0039】
ラッチL1のリセット後に行われるNANDストリングのディスチャージおよびセンシングは、従来と同様に行われる(図示省略)。すなわち、NANDストリングのディスチャージでは、トランジスタBLSeを非導通にし、NANDストリングのソース線側選択トランジスタTSを導通し、NANDストリングをソース線SLに電気的に接続する。さらに、トランジスタBLCLAMPにはノードTOBLにクランプ電圧VCLMP2を生成するためのゲート電圧を印加する。VCLMP1>VCLMP2である。その後、トランジスタBLSeを一定期間導通することで、センスノードSNSには、選択メモリセルのデータ「0」、「1」に応じた電位が表れる。選択メモリセルがデータ「0」を保持していればビット線の電位はソース線SLに放電されず、それ故、センスノードSNSの電位は殆ど変化しないが、これに対し、選択メモリセルがデータ「1」を保持していればビット線の電位がソース線SLに放電され、センスノードSNSの電位が低下する。こうして、センスノードSNSは、選択メモリセルのデータ「0」、「1」に応じた電荷を感知する。その後、センスノードSNSで感知された電荷がトランジスタBLCD1を介してラッチL1のノードSLR1に転送される。
【0040】
本実施例では、ラッチL1のリセットをビット線のプリチャージ期間とNANDストリングのディスチャージ期間との間に行われるようにしたので、ラッチL1のリセットを保証することができ、ラッチL1のデータ保持の信頼性を改善することができる。さらに、ラッチL1のデータをラッチL2に転送するや否やアレイ読出しを即座に開始することができる。
【0041】
次に、本実施例によるラッチL1のリセットを適用した改善されたページの連続読出しについて説明する。
図8は、改善されたページの連続読出しを行うときのタイミングチャートである。
図8はページP0をスタートアドレスとする例を示す。このスタートアドレスは任意で選択できる。tpはアレイの読出しの開始タイミングからビット線のプリチャージが完了するまでの期間、txは、ラッチL1のリセットに要する期間である。同図に示すように、ラッチL1、L2を利用した実質的な連続読出しは、ページP2の読出しから開始され、ページP2のアレイ読出しの開始タイミングは、
図2に示す従来のときよりも早く行われる。
図2に示す連続読出しでは、ページP2のアレイ読出しの開始タイミングは、ラッチL1からラッチL2にページP1のデータ(P1C1)の転送が終了した時点である。つまり、ラッチL2がページP1のデータを保持してから、次のページP2のデータがラッチL1に転送される。
【0042】
これに対し、改善された連続読出しでは、ページP2のアレイ読出しの開始タイミングは、ラッチL1の第1のキャッシュC0のページP1のデータ(P1C0)をラッチL2に転送するタイミングに等しい。このようにページP2のアレイ読出しのタイミングを早めたとしても、実際にはアレイ読出しのためには一定の時間を必要とし、連続読出し時間の高速化のために高速周波数の外部クロック信号ExCLKを用いるのであれば、アレイから読み出されたページP2のデータをラッチL1に転送する時点でラッチL1からラッチL2へのページP1のデータ(P1C1)の転送は既に完了されていることになる。また、ラッチL1のリセットは、アレイ読出し期間中に行われるため、アレイの読出しの開始タイミングが早くなったとしても、ラッチL1のリセットには何ら影響はない。
【0043】
改善された連続読出しでは、アレイ読出し時間tARRAYは、アレイ読出しの開始タイミングとアレイ読出しの終了タイミングにより規定される。ページP2のアレイ読出しの終了タイミングは、次のページP3のアレイ読出しの開始タイミングであり、ページP2、P3、P4…のページが連続して読み出されるとき、アレイ読出し時間tARRAYも同様に連続する。
【0044】
改善された連続読出し動作においてメモリセルアレイの読出しの開始タイミングを早めることで、従来の連続読出し動作の数式(1)の制約は、数式(2)のように緩和され、高速周波数の外部クロック信号ExCLKを使用したデータ出力が可能になる。
tARRAY<tDOUT(1ページ)、
tECC<tDOUT(1/2ページ) …(2)
【0045】
つまり、1ページのデータを出力する時間tDOUTがアレイ読出し時間tARRAYよりも大きいこと、1/2ページのデータを出力する時間tDOUTがECC処理の時間tECCよりも大きいことの制約を満足すれば、従来のときよりも連続読出しの高速化を図ることができる。
図8には、ページP1の第1のキャッシュC0のデータをラッチL1からラッチL2に転送を開始する時点から次のページP2の第1のキャッシュC0のデータをラッチL1からラッチL2に転送を開始する時点までのページP2のアレイ読出し時間tARRAYよりも、ページP0の第2のキャッシュのデータを出力する時間とページP1の第1のキャッシュのデータを出力する時間の合計である出力時間tDOUTが大きいこと、ラッチL2の第1のキャッシュC0のデータをECC処理する時間tECCよりも、ラッチL2の第2のキャッシュC1のデータを出力する時間tDOUTが大きいことが例示されている。
【0046】
改善された連続読出し動作において、ラッチL1のリセットが開始されるタイミングは、ビット線のプリチャージが完了した後なので、アレイ読出しの開始タイミングからラッチL1のリセットが開始される直前までの期間をtpとすると、数式(2)に加えて、数式(3)の制約が追加される。つまり、ラッチL1のデータがラッチL2に転送されている必要がある。
tDOUT(1/2ページ)<tp …(3)
【0047】
但し、ビット線のプリチャージ期間は十分長いので、数式(2)および(3)を満たす限り、
図8に示す改善された連続読出しの高速化を図ることができる。
【0048】
このように、改善された連続読出し動作においても、ラッチL1のリセットを保証しつつ読出しデータの高速化を図ることができる。
【0049】
次に、本発明の他の実施例について説明する。上記実施例では、ラッチL1のリセットを、ビット線のプリチャージ動作とNANDストリングのディスチャージ動作の間に行うようにしたが、当該他の実施例では、ラッチL1のリセットをNANDストリングのディスチャージ動作中に行うものである。
【0050】
ラッチL1のリセットは、上記したようにセンスノードが他からの影響を受けずにフリーな状態であれば実施可能である。NANDストリングのディスチャージ動作期間中、トランジスタBLSeは非導通であり、センスノードSNSは、ビット線から電気的に隔離された状態にある。そのため、
図7に示す時刻t2~t6に示すラッチL1のリセット動作を、NANDストリングのディスチャージ動作と時間的に並行して行うことが可能である。
【0051】
本実施例によれば、NANDストリングのディスチャージ期間中に並行してラッチL1のリセットを行うことで、ビット線のプリチャージ動作とNANDストリングのディスチャージ動作の間にラッチL1のリセットを行うときと比較して、事実上、アレイ読出し時間tARRAYを短くし、連続読出しよるデータ出力の高速化を図ることができる。
【0052】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
100:フラッシュメモリ
110:メモリセルアレイ
120:入出力回路
130:ECC回路
140:アドレスレジスタ
150:コントローラ
160:ワード線選択回路
170:ページバッファ/センス回路
180:列選択回路
190:内部電圧発生回路
200:ビット線選択回路