(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】ハンチントン病の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/501 20060101AFI20220216BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220216BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20220216BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A61K31/501
A61K31/502
A61K31/5377
A61K31/551
A61K31/506
A61K31/517
A61P25/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020181114
(22)【出願日】2020-10-29
(62)【分割の表示】P 2018529967の分割
【原出願日】2016-12-11
【審査請求日】2020-11-27
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507166346
【氏名又は名称】ピーティーシー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】バブ スレシュ
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリア アヌラダ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ソンウー
(72)【発明者】
【氏名】ジャニ ミナクシ
(72)【発明者】
【氏名】ムン ヨンチュン
(72)【発明者】
【氏名】シドレンコ ナディヤ
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-517471(JP,A)
【文献】国際公開第2007/130383(WO,A2)
【文献】特表2015-524842(JP,A)
【文献】特表2006-503062(JP,A)
【文献】特表2010-507619(JP,A)
【文献】特表2012-530084(JP,A)
【文献】特表2009-537599(JP,A)
【文献】特表2008-546700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象の
ハンチントン病を治療又は改善するための組成物であって、下記式(Ia):
【化1】
(Ia)
(式中、
Xは、CH
2、O、NR
5、又は結合であり;
Aは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、又はC
9-10シクロアルキルであり、
ここで、アリールは、ヒドロキシルで置換され、それぞれR
1及びヒドロキシルから選択される1、2又は3個の追加的な置換基で置換されていてもよいフェニル及びそれぞれR
1及びヒドロキシルから選択される1、2、3、又は4個の置換基で置換されていてもよいナフチル、から選択され、
ヘテロアリールは、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、チオピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、9H-プリニル、キノキサリニル、イソインドリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、アクリジニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、イミダゾ[1,5-a]ピリジニル、イミダゾ[5,1-a]イソキノリニル、1,4-ジヒドロインデノ[1,2-c]-1H-ピラゾリル、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン、5,6-ジヒドロイミダゾ[5,1-a]イソキノリニル、8H-インデノ[1,2-d]チアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン、キノリン-2(1H)-オン、キナゾリン-4(1H)-オン、キナゾリン-2,4(1H,3H)-ジオン、ベンゾ-[d]オキサゾリル及びピラゾロ[1,5-a]ピリジニルから成る群から選択され、ここでヘテロアリールは、それぞれR
1から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基で置換されていてもよく、
ヘテロシクリルは、オキシラニル、オキセタニル、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、ピロリニル、ピロリジニル、ジヒドロピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジヒドロイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、トリアゾリニル、トリアゾリジニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、テトラゾリニル、テトラゾリジニル、ジヒドロ-2H-ピラニル、ジヒドロ-ピリジニル、テトラヒドロ-ピリジニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、ヘキサヒドロ-ピリジニル、ジヒドロ-ピリミジニル、テトラヒドロ-ピリミジニル、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロ-ピラジニル、テトラヒドロ-ピラジニル、ジヒドロ-ピリダジニル、テトラヒドロ-ピリダジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロ-トリアジニル、テトラヒドロ-トリアジニル、ヘキサヒドロ-トリアジニル、1,4-ジアゼパニル、ジヒドロ-インドリル、インドリニル、テトラヒドロ-インドリル、ジヒドロ-インダゾリル、テトラヒドロ-インダゾリル、ジヒドロ-イソインドリル、ジヒドロ-ベンゾフラニル、テトラヒドロ-ベンゾフラニル、ジヒドロ-ベンゾチエニル、テトラヒドロ-ベンゾチエニル、ジヒドロ-ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロ-ベンゾイミダゾリル、ジヒドロ-ベンゾオキサゾリル、2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾリル、テトラヒドロ-ベンゾオキサゾリル、ジヒドロ-ベンゾオキサジニル、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、テトラヒドロ-ベンゾオキサジニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[1,4] ジオキサニル、ジヒドロ-プリニル、テトラヒドロ-プリニル、ジヒドロ-キノリニル、テトラヒドロ-キノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、ジヒドロ-イソキノリニル、3,4-ジヒドロイソキノリン-(1H)-イル、テトラヒドロ-イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロ-キナゾリニル、テトラヒドロ-キナゾリニル、ジヒドロ-キノキサリニル、テトラヒドロ-キノキサリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリニル、1,3-ジオキソラニル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロリル、4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾリル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-(2H)-イル、(4aR,7aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-(4aH)-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジニル、(cis)-オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-(1H)-イル、(3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-(1H)-イル、(3aR,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-(1H)-イル、5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-(7H)-イル、5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジニル、テトラヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-(2H,7H,7aH)-イル、ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-(2H)-イル、(4aR,7aR)-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-(2H)-イル、オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジニル、2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾリル、1,2,3,4-テトラヒドロピラジノ[1,2-a]インドリル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]インドリル、(3aR,6aR)-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-(1H)-イル、(3aR,4R,6aS)-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-(1H)-イル、(3aR,4S,6aS)-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-(1H)-イル、(3aR,5r,6aS)-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-(1H)-イル、1,3-ジヒドロ-2H-イソインドリル、オクタヒドロ-2H-イソインドリル、(3aS)-1,3,3a,4,5,6-ヘキサヒドロ-2H-イソインドリル、(3aR,4R,7aS)-1H-イソインドール-(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)-イル、(3aR,7aS)-オクタヒドロ-2H-イソインドリル、(3aR,4R,7aS)-オクタヒドロ-2H-イソインドリル、(3aR,4S,7aS)-オクタヒドロ-2H-イソインドリル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1] ヘプタニル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3,6-ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、(1R,5S)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、(1S,5R)-3-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、5-アザスピロ[2.4]ヘプタニル、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタニル、2,5-ジアザスピロ[3.4]オクタニル、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタニル、2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナニル、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナニル、2-アザスピロ[4.5]デカニル、2,8-ジアザスピロ[4.5]デカニル、3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクチル、1,4-ジヒドロインデノ[1,2-c]ピラゾリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロキノリニル、8H-インデノ[1,2-d]チアゾリル、テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ピリジン-2(1H)-オン、(1R,5S)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル、及び8-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エニルからなる群から選択され、ここでヘテロシクリルは、それぞれR
2から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基で置換されていてもよく、かつ
C
9-10シクロアルキルは、それぞれR
2から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基で置換されていてもよい飽和又は一部不飽和二環式環系であり;
Bは、単環式ヘテロシクリルであり、
ここで、ヘテロシクリルは、独立にN、O、又はSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和環系であり、それぞれR
4から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基でそれぞれ置換されていてもよく;
R
1は、ハロゲン、シアノ、C
1-4アルキル、ハロ-C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ、アミノ-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヒドロキシル-C
1-
4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル、C
1-4アルコキシ、ハロ-C
1-4アルコキシ、アミノ-C
1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルコキシ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-カルボニル、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
2-4アルケニル、C
2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C
1-4アルキル、ヘテロシクリル-C
1-
4アルコキシ、フェニル、又はフェニル
-C
1-4アルコキシであり、
ここで、ヘテロアリールは、O、S及びNから選択される1以上のヘテロ原子を有する単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基であり、
ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、
ここで、どの場合のフェニル、ヘテロアリール又はヘテロシクリルもそれぞれR
3から選択される1、又は2個の置換基で任意に置換されていてもよく;
R
2は、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C
1-4アルキル、ハロ-C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ、アミノ-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルキル、アミノ-カルボニル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-カルボニル、C
2-4アルケニル、C
3-7シクロアルキル、又はヘテロシクリル-C
1-4アルキルであり、
ここで、ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、かつ
どの場合のヘテロシクリルもそれぞれR
3から選択される1、又は2個の置換基で置換されていてもよく;
R
3は、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ、アミノ-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル、C
1-4アルコキシ、ハロ-C
1-4アルコキシ、アミノ-C
1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルコキシ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-カルボニル、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
2-4アルケニル、C
2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C
1-4アルキル、フェニル、又はフェニル
-C
1-4アルコキシであり;
R
4は、独立にハロゲン、C
1-4アルキル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ又はヒドロキシル-C
1-4アルキル-アミノから選択され;かつ
R
5は、水素、C
1-4アルキル、又はヒドロキシル-C
1-4アルキルである)
の化合物、
又はその形態
(ここで、前記化合物の形態は、前記化合物の塩、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、及び互変異性体形態から成る群より選択される)を含む組成物。
【請求項2】
式中、
R
1は、ハロゲン、シアノ、C
1-4アルキル、ハロ-C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ、アミノ-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル、C
1-4アルコキシ、ハロ-C
1-4アルコキシ、アミノ-C
1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルコキシ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-カルボニル、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C
1-
4アルコキシ、C
2-4アルケニル、C
2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C
1-4アルキル、ヘテロシクリル-C
1-
4アルコキシ、フェニル、又はフェニル
-C
1-4アルコキシであり、
ここで、ヘテロアリールは、独立にN、O、及びSから選択される1以上のヘテロ原子を有する単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基であり、
ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、
どの場合のフェニル、ヘテロアリール又はヘテロシクリルもそれぞれR
3から選択される1、又は2個の置換基で置換されていてもよく;
R
2は、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C
1-4アルキル、ハロ-C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ、アミノ-C
1-4アルキル、アミノ-カルボニル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-カルボニル、C
2-4アルケニル、C
3-7シクロアルキル、又はヘテロシクリル-C
1-4アルキルであり;かつ
R
3は、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ、アミノ-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル、C
1-4アルコキシ、ハロ-C
1-4アルコキシ、アミノ-C
1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-
4アルコキシ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-カルボニル、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
2-4アルケニル、C
2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C
1-4アルキル、フェニル、又はフェニル-C
1-4アルコキシである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式中、
Xが、O、NH、N(CH
3)又は結合であり;
Aが、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり、
ここで、アリールは、下記:
【化3】
から成る群より選択され;
ヘテロアリールは、下記:
【化4】
から成る群より選択され;かつ
ヘテロシクリルは、下記:
【化5】
から成る群より選択され;
Bは、下記:
【化6】
から成る群より選択される単環式ヘテロシクリルであり;
R
1a、R
1b及びR
1cは、それぞれ、有効原子価が許す場合、それぞれハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C
1-4アルキル、ハロ-C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ、アミノ-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-カルボニル、C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-カルボニル、C
1-4アルコキシ、ハロ-C
1-4アルコキシ、アミノ-C
1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルコキシ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-カルボニル、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C
1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C
1-4アルコキシ、C
2-4アルケニル、C
2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C
3-7シクロアルキル、C
3-7シクロアルキル-C
1-4アルコキシ、C
3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール
-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C
1-4アルキル、ヘテロアリール-C
1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C
1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C
1-4アルキル、ヘテロシクリル-C
1-
4アルコキシ、フェニル、又はフェニル-C
1-4アルコキシから選択される1つ以上の置換基であり、ただしAがヘテロアリールの場合、R
1a及びR
1bはヒドロキシルではなく、
ここで、ヘテロアリールは、独立にN、O、及びSから選択される1以上のヘテロ原子を有する単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基であり、
ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、かつ
どの場合のフェニル、ヘテロアリール又はヘテロシクリルもそれぞれR
3から選択される1、又は2個の置換基で置換されていてもよく;
R
2a、R
2b及びR
2cは、それぞれ、有効原子価が許す場合、それぞれハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C
1-4アルキル、ハロ-C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ、アミノ-C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-アミノ-C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)
2-アミノ-C
1-4アルキル、アミノ-カルボニル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシ-カルボニル、C
2-4アルケニル、C
3-7シクロアルキル、又はヘテロシクリル-C
1-4アルキルから選択される1つ以上の置換基であり、
ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、かつ
どの場合のヘテロシクリルもそれぞれR
3から選択される1、又は2個の置換基で置換されていてもよく;かつ
R
4a、R
4b、R
4c、R
4d、R
4e、R
4f及びR
4gは、独立にハロゲン、C
1-4アルキル、ヒドロキシル-C
1-4アルキル、アミノ、C
1-4アルキル-アミノ、(C
1-4アルキル)
2-アミノ又はヒドロキシル-C
1-
4アルキル-アミノから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
化合物が下記:
から成る群より選択され、化合物の形態は、化合物の塩、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、及び互変異性体形態から成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、化合物が下記:
から成る群より選択される化合物塩である(ここで、化合物塩の形態は、化合物塩のクラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、及び互変異性体形態から成る群より選択される)、組成物。
【請求項6】
前記化合物の有効量が0.001mg/kg/日~500mg/kg/日の範囲内である、請求項1
から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物が、1種以上の医薬的に許容される賦形剤との混合物の状態で含まれる、請求項1
から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
それを必要とする対象の
ハンチントン病を治療又は改善するため組成物であって、下記:
から成る群より選択される化合物又はその形態を含む組成物(ここで、化合物の形態は、化合物の塩、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、及び互変異性体形態から成る群より選択される)。
【請求項9】
化合物が下記:
から成る群より選択される化合物塩である、請求項8に記載の組成物。
(ここで、化合物塩の形態は、化合物塩のラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、及び互変異性体形態から成る群より選択される)。
【請求項10】
前記化合物の有効量が、0.001mg/kg/日~500mg/kg/日の範囲内である、請求項8又は9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記化合物が、1種以上の医薬的に許容される賦形剤との混合物の状態で含まれる、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項12】
化合物の形態が、化合物の塩、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体及び互変異性体形態から成る群より選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
化合物が、5-(1H-ピラゾール-4-イル)-2-(6-((2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)オキシ)ピリダジン-3-イル)フェノール又はその形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
化合物の形態が、化合物の塩、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体及び互変異性体形態から成る群より選択される、請求項13に記載の組成物
【請求項15】
前記化合物又はその形態の有効量が、0.001mg/kg/日~500mg/kg/日の範囲内である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
化合物又はその形態が1種以上の医薬的に許容される賦形剤との混合物の状態で含まれる、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
Aがヘテロアリールの場合、ヘテロアリールは、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、チオピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、9H-プリニル、キノキサリニル、イソインドリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、アクリジニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、イミダゾ[1,5-a]ピリジニル、イミダゾ[5,1-a]イソキノリニル、1,4-ジヒドロインデノ[1,2-c]-1H-ピラゾリル、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン、5,6-ジヒドロイミダゾ[5,1-a]イソキノリニル、8H-インデノ[1,2-d]チアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン、キノリン-2(1H)-オン、キナゾリン-4(1H)-オン、キナゾリン-2,4(1H,3H)-ジオン、ベンゾ-[d]オキサゾリル及びピラゾロ[1,5-a]ピリジニルから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
Aがヘテロアリールの場合、ヘテロアリールは、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、チオピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、9H-プリニル、キノキサリニル、イソインドリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、アクリジニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、イミダゾ[1,5-a]ピリジニル、イミダゾ[5,1-a]イソキノリニル、1,4-ジヒドロインデノ[1,2-c]-1H-ピラゾリル、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン、5,6-ジヒドロイミダゾ[5,1-a]イソキノリニル、8H-インデノ[1,2-d]チアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン、キノリン-2(1H)-オン、キナゾリン-4(1H)-オン、キナゾリン-2,4(1H,3H)-ジオン、ベンゾ-[d]オキサゾリル及びピラゾロ[1,5-a]ピリジニルから成る群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
前記化合物の形態が、前記化合物の塩、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、及び互変異性体形態から成る群より選択される、請求項17又は18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記化合物又はその形態の有効量が0.001mg/kg/日~500mg/kg/日の範囲内である、請求項17又は18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記化合物又はその形態が、1種以上の医薬的に許容される賦形剤との混合物の状態で含まれる、請求項17又は18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記化合物の形態が、前記化合物の塩、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、及び互変異性体形態から成る群より選択される、請求項8又は9のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記述は、ハンチントン病を治療又は改善するための化合物、その形態、及び医薬組成物並びに該化合物、その形態、又は組成物の使用方法に関する。特に、本記述は、ハンチントン病を治療又は改善するための置換単環式ヘテロアリール化合物、その形態及び医薬組成物並びに該化合物、その形態、又は組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ハンチントン病(HD)は、脳の進行性常染色体優性神経変性障害であり、不随意運動、認知障害、及び精神機能低下を特徴とする症状を有する。症状の発生後通常は13~15年で典型的には肺炎又は冠動脈疾患に起因して死に至る。HDの有病率は、西欧人家系の人口100,000人当たり3~7個体である。北米では、推定30,000人がHDを有し、さらに200,000人には罹患親からこの病気を受け継ぐリスクがある。この病気は、「CAGリピート」配列としても知られる伸長したポリグルタミン(polyQ)ストレッチを有するHTT(Httタンパク質)の産生につながる、「変異」ハンチンチン(Htt)遺伝子中の中断されていないトリヌクレオチドCAGリピートの伸長によって引き起こされる。この病気の根本原因を標的とする小分子療法は現在はなく、HDを治療又は改善するために使用できる薬物に対する満たされていない高い要求を残している。結果として、HDを治療又は改善するための小分子化合物を同定及び提供する必要がある。
本明細書で言及する全ての他の文書は、本明細書に完全に明記したかのごとく、参照によって本出願に組み込まれる。
【発明の概要】
【0003】
概要
本記述は、それを必要とする対象のHDを治療又は改善する方法であって、有効量の下記式(I):
【0004】
【0005】
(式中、W、X、A及びBは、本明細書の定義どおりである)
の化合物、又はその形態及び組成物を対象に投与することを含む方法に関する。
特に、本記述は、それを必要とする対象のHDの治療又は改善方法における式(I)の化合物若しくはその形態又は組成物の使用であって、有効量の化合物若しくはその形態又は組成物を対象に投与することを含む使用に関する。
本記述はさらに、式(I)の化合物又はその形態の相加的若しくは相乗的活性を有する薬剤と組み合わせた使用に関し、結果としてHDの治療用の組み合わせ製品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な記述
本記述は、それを必要とする対象のHDを治療若しくは改善する方法又はそのための化合物の使用であって、有効量の下記式(I):
【0007】
【0008】
(式中
WはCH=CH又はSであり;
Xは、CH2、CH(C1-4アルキル)、C(C1-4アルキル)2、CH=CH、O、NR5、又は結合であり;
Aは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、又はC9-10シクロアルキルであり、
ここで、アリールは、それぞれR1から選択される1、2、3、又は4個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよいフェニル及びナフチルから選択され、
ヘテロアリールは、O、S又はN原子等の1個以上のヘテロ原子を有する単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基であり、それぞれR1から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよく、
ヘテロシクリルは、独立にN、O、又はSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式、二環式又は三環式環系であり、それぞれR2から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよく、
C9-10シクロアルキルは、それぞれR2から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基で任意に置換されていてもよい飽和又は一部不飽和二環式環系であり、
Bは、ヘテロシクリルであり、
ここで、ヘテロシクリルは、独立に N、O、又はSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式、二環式又は多環式環系であり、それぞれR4から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよく、
R1は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルコキシ、アミノ-C1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルコキシ、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4アルコキシ、C3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1-4アルキル、ヘテロシクリル-C1-4アルコキシ、フェニル、又はフェニル-C1-4アルコキシであり、
ここで、ヘテロアリールは、単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基において、構造上の安定性が許す場合に1個以上の炭素原子環員がO、S又はN原子等の1個以上のヘテロ原子と置き換わっている基を指し、
ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、かつ
どの場合のフェニル、ヘテロアリール又はヘテロシクリルもそれぞれR3から選択される1、又は2個の置換基で任意に置換されていてもよく、
R2は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C2-4アルケニル、C3-7シクロアルキル、又はヘテロシクリル-C1-4アルキルであり、
ここで、ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、かつ
どの場合のヘテロシクリルもそれぞれR3から選択される1、又は2個の置換基で任意に置換されていてもよく、
R3は、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルコキシ、アミノ-C1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルコキシ、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4アルコキシ、C3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1-4アルキル、フェニル、又はフェニル-C1-4アルコキシであり;
R4は、独立にハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ又はヒドロキシル-C1-4アルキル-アミノから選択され;かつ
R5は、水素、C1-4アルキル、又はヒドロキシル-C1-4アルキルである)
の化合物、
又はその形態
(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)
を対象に投与することを含む方法又は使用に関する。
【0009】
本記述の実施形態はさらに、それを必要とする対象のHDを治療若しくは改善する方法又はそのための化合物の使用であって、下記式(Ia)及び式(Ib):
【0010】
【0011】
(式中
Xは、CH2、CH(C1-4アルキル)、C(C1-4アルキル)2、CH=CH、O、NR5、又は結合であり;
Aは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、又はC9-10シクロアルキルであり、
ここで、アリールは、それぞれR1から選択される1、2、3、又は4個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよいフェニル及びナフチルから選択され、
ヘテロアリールは、O、S又はN原子等の1個以上のヘテロ原子を有する単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基であり、それぞれR1から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよく、
ヘテロシクリルは、独立にN、O、又はSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式、二環式又は三環式環系であり、それぞれR2から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよく、かつ
C9-10シクロアルキルは、それぞれR2から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基で任意に置換されていてもよい飽和若しくは一部不飽和二環式環系であり;
Bは、ヘテロシクリルであり、
ここで、ヘテロシクリルは、独立にN、O、又はSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式、二環式又は多環式環系であり、それぞれR4から選択される1、2、3、4、又は5個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよく;
R1は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルコキシ、アミノ-C1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルコキシ、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4アルコキシ、C3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1-4アルキル、ヘテロシクリル-C1-4アルコキシ、フェニル、又はフェニル-C1-4アルコキシであり、
ここで、ヘテロアリールは、単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基において、構造上の安定性が許す場合に1個以上の炭素原子環員がO、S又はN原子等の1個以上のヘテロ原子と置き換わっている基を指し、
ここで、ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、かつ
どの場合のフェニル、ヘテロアリール又はヘテロシクリルもそれぞれR3から選択される1、又は2個の置換基で任意に置換されていてもよく;
R2は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C2-4アルケニル、C3-7シクロアルキル、又はヘテロシクリル-C1-4アルキルであり;
R3は、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルコキシ、アミノ-C1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルコキシ、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4アルコキシ、C3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1-4アルキル、フェニル、又はフェニル-C1-4アルコキシであり;
R4は、独立にハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ又はヒドロキシル-C1-4アルキル-アミノから選択され;かつ
R5は、水素、C1-4アルキル、又はヒドロキシル-C1-4アルキルである)
の化合物から選択される有効量の式(I)の化合物
又はその形態
(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)
を対象に投与することを含む方法又は使用に関する。
【0012】
本記述の別の実施形態はさらに、それを必要とする対象のHDを治療又は改善する方法であって、下記式(Ia)及び式(Ib):
【0013】
【0014】
(式中
Xは、O、NH、N(CH3)又は結合であり;
Aは、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり、
ここで、アリールは、下記:
【0015】
【0016】
から成る群より選択され、
ヘテロアリールは、下記
【0017】
【0018】
から成る群より選択され、
ヘテロシクリルは、下記
【0019】
【0020】
から成る群より選択され;
Bは、下記
【0021】
【0022】
から成る群より選択され;
R1a、R1b及びR1cは、それぞれ、有効原子価が許す場合、それぞれハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルコキシ、アミノ-C1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルコキシ、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4アルコキシ、C3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1-4アルキル、ヘテロシクリル-C1-4アルコキシ、フェニル、又はフェニル-C1-4アルコキシから選択される1個以上の置換基であり、
ここで、ヘテロアリールは、単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基において、構造上の安定性が許す場合に1個以上の炭素原子環員がO、S又はN原子等の1個以上のヘテロ原子と置き換わっている基を指し、
ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽和若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、かつ
どの場合のフェニル、ヘテロアリール又はヘテロシクリルもそれぞれR3から選択される 1、又は2個の置換基で任意に置換されていてもよく;
R2a、R2b及びR2cは、それぞれ、有効原子価が許す場合、それぞれハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C2-4アルケニル、C3-7シクロアルキル、又はヘテロシクリル-C1-4アルキルから選択される1個以上の置換基であり、
ヘテロシクリルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子環員を有する飽若しくは一部不飽和単環式又は二環式環系であり、かつ
どの場合のヘテロシクリルもそれぞれR3から選択される1、又は2個の置換基で任意に置換されていてもよく;
R3は、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、ヒドロキシル-イミノ、C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ、アミノ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル、アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル、C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、C1-4アルキル-カルボニル、C1-4アルコキシ、ハロ-C1-4アルコキシ、アミノ-C1-4アルコキシ、ヒドロキシル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルコキシ、(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシ-カルボニル、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ、C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルケニル-アミノ-カルボニル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4アルコキシ、C3-7シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ、ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1-4アルキル、フェニル、又はフェニル-C1-4アルコキシであり;かつ
R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4f及びR4gは、独立にハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシル-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルキル-アミノ、(C1-4アルキル)2-アミノ又はヒドロキシル-C1-4アルキル-アミノから選択される)
の化合物から選択される有効量の式(I)の化合物
又はその形態
(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)
を対象に投与することを含む方法又は使用に関する。
【0023】
本記述の別の態様は、下記式(Ia11)、式(Ia15)、式(Ia18)又は式(Ib1):
【0024】
【0025】
(式中(存在するとき)、
Xは、O、NR5、又は結合から選択され;
Aは、フェニル、チオフェニル、インダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル又はフェノキシから選択され、
ここで、フェニル及びフェノキシは、それぞれR1aから選択される1、2又は3個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよく、
チオフェニル、インダゾリル、ピリジニル、ピリミジニルは、それぞれR1aから選択される1又は2個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよく、
Bは、それぞれR4aから選択される1又は2個の置換基でそれぞれ任意に置換されていてもよい1H-ピラゾリル、ピペリジニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、(1R,5S)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エニル、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクチル又は2,7-ジアザスピロ[3.5]ノニルから選択され;
R1aは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-4アルキル、ハロ-C1-4アルキル、アミノ、C1-4アルコキシ、又はヘテロアリールから選択され、
ここで、ヘテロアリールは、単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基において、構造上の安定性が許す場合に1個以上の炭素原子環員がO、S又はN原子等の1個以上のヘテロ原子と置き換わっている基を指し、それぞれR3aから選択される1又は2個の置換基で任意に置換されていてもよく;
R3aは、ニトロ又はC1-4アルキルから選択され;かつ
R4aはC1-4アルキルであり;
R5aは、水素、C1-4アルキル、又はヒドロキシル-C1-4アルキルである)
の化合物から選択される式(I)の化合物
又はその形態
(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)
に関する。
【0026】
本記述の別の態様は、式(Ia11)、式(Ia15)、式(Ia18)又は式(Ib1):
(式中(存在するとき)、
R1aは、フルオロ、クロロ、ヒドロキシル、メチル、ジフルオロメチル、アミノ、メトキシ又は1H-ピラゾリル又は1H-イミダゾール-1-イルから選択され、
1H-ピラゾリルは、それぞれR3aから選択される1又は2個の置換基で任意に置換されていてもよく;
R3aは、ニトロ又はメチル又はアミノから選択され;、
R4aは、メチル又はエチルであり;
R5aは、水素又はメチルである)
の化合物から選択される式(I)の化合物
又はその形態
(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)
に関する。
【0027】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia1)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a、R1b、及びXが存在するときには下表に示され、複数の置換基はカンマで区切られ;「--」は、1個以上のR1a、R1b、及びX置換基が存在しないことを表す。
【0028】
【0029】
【0030】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia2)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a、R1b、及びR4aが存在するときには下表に示され、複数の置換基はカンマで区切られ;「--」は、1個以上のR1a、R1b、及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0031】
【0032】
【0033】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia3)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a、R1b、及びXが存在するときには下表に示され、複数の置換基はカンマで区切られ;「--」は、1個以上のR1a、R1b、及びX置換基が存在しないことを表す。
【0034】
【0035】
【0036】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia4)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基X、R1a、R1b及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX、R1a、R1b及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0037】
【0038】
【0039】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia5)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a及びR1bが存在するときには下表に示され、複数の置換基はカンマで区切られ;「--」は、1個以上のR1a及びR1b置換基が存在しないことを表す。
【0040】
【0041】
【0042】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia6)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a置換基が存在しないことを表す。
【0043】
【0044】
【0045】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia7)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a置換基が存在しないことを表す。
【0046】
【0047】
【0048】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia8)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a及びBが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a及びB置換基が存在しないことを表す。
【0049】
【0050】
【0051】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia9)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a及びBが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a及びB置換基が存在しないことを表す。
【0052】
【0053】
【0054】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia10)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a及びBが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a及びB置換基が存在しないことを表す。
【0055】
【0056】
【0057】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia11)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基A、X及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のA、X及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0058】
【0059】
【0060】
本記述の別の実施形態は、式(Ia11)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態を含む。式中、置換基A、X及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のA、X及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0061】
【0062】
【0063】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia11)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基A、X及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のA、X及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0064】
【0065】
【0066】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia12)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基X、R1a及びBが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX、R1a及びB置換基が存在しないことを表す。
【0067】
【0068】
【0069】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia13)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基X、R1a及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX、R1a及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0070】
【0071】
【0072】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia14)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基X及びBが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX及びB置換基が存在しないことを表す。
【0073】
【0074】
【0075】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia15)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基X、R1a及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX、R1a及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0076】
【0077】
【0078】
本記述の別の実施形態は、式(Ia15)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態を含む。式中、置換基X、R1a及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX、R1a及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0079】
【0080】
【0081】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia15)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基X、R1a及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX、R1a及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0082】
【0083】
【0084】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia16)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0085】
【0086】
【0087】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia17)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a置換基が存在しないことを表す。
【0088】
【0089】
【0090】
本記述の別の実施形態は、式(Ia18)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態を含む。式中、置換基X及びBが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX及びB置換基が存在しないことを表す。
【0091】
【0092】
【0093】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ia18)の化合物又はその形態から選択される式(Ia)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基X、R1a及びBが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のX、R1a及びB置換基が存在しないことを表す。
【0094】
【0095】
【0096】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ib1)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基Aは、下表に示される。
【0097】
【0098】
【0099】
本記述の別の実施形態は、式(Ib1)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態を含む。式中、置換基Aは、下表に示される:c
【0100】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ib1)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基Aは、下表に示される。
【0101】
【0102】
【0103】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ib2)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基Aは、下表に示される。
【0104】
【0105】
【0106】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ib3)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a、R1b及びBが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a、R1b及びB置換基が存在しないことを表す。
【0107】
【0108】
【0109】
本記述の別の実施形態は、式(Ib4)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a、R1b、R1c、R1d(R1の範囲の各代表)及びXが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a、R1b、R1c、R1d及びX置換基が存在しないことを表す。
【0110】
【0111】
【0112】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ib5)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a、R1b、R1c、R1d(R1の範囲の各代表)及びR4aが存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a、R1b、R1c、R1d及びR4a置換基が存在しないことを表す。
【0113】
【0114】
【0115】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ib6)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1a、R1b、R1c及びR1d(R1の範囲の各代表)が存在するときには下表に示され;「--」は、1個以上のR1a、R1b、R1c及びR1d置換基が存在しないことを表す。
【0116】
【0117】
【0118】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ib7)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1bが存在するときには下表に示される。
【0119】
【0120】
【0121】
本記述の方法の別の実施形態は、式(Ib8)の化合物又はその形態から選択される式(Ib)の化合物又はその形態の使用を含む。式中、置換基R1bが存在するときには下表に示される。
【0122】
【0123】
【0124】
式(I)の化合物又はその形態の使用の実施形態としては、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用方法であって、下記:
【0125】
【0126】
から成る群より選択される有効量の式(I)の化合物又はその形態
(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)
を対象に投与することを含む方法がある。
別の態様では、式(I)の化合物又はその形態には、下記:
【0127】
【化43】
から成る群より選択される化合物
(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)
が含まれる。
式(I)の化合物又はその形態の使用の別の実施形態としては、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用方法であって、下記:
【0128】
【0129】
から成る群より選択される有効量の式(I)の化合物又はその形態(ここで、化合物番号(#1)は、塩形態が単離されたことを表す)を対象に投与することを含む方法(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)がある。
一態様では、式(I)の化合物又はその形態には、下記:
【0130】
【0131】
から成る群より選択される化合物(ここで、化合物の形態は、化合物のプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)が含まれる。
式(I)の化合物の塩又はその形態の使用の別の実施形態としては、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物の塩又はその形態の使用方法であって、下記:
【0132】
【0133】
から成る群より選択される有効量の式(I)の化合物の塩又はその形態(ここで、化合物の塩の形態は、化合物の塩のプロドラッグ、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)を対象に投与することを含む方法がある。
一態様では、式(I)の化合物の塩又はその形態には、下記:
【0134】
【0135】
から成る群より選択される化合物の塩(ここで、化合物の塩の形態は、化合物の塩のプロドラッグ、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される)が含まれる。
本記述の別の実施形態としては、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用方法であって、有効量の式(I)の化合物又はその形態を対象に投与することを含む方法がある。
本記述の別の実施形態としては、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用方法であって、有効量の式(I)の化合物の塩又はその形態を対象に投与することを含む方法がある。
本記述の別の実施形態としては、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用であって、有効量の式(I)の化合物又はその形態を対象に投与することを含む使用がある。
本記述の別の実施形態としては、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物の塩又はその形態の使用であって、有効量の式(I)の化合物の塩又はその形態を対象に投与することを含む使用がある。
【0136】
化学的定義
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル」は、一般的に直鎖又は分岐鎖配置で1~4個の炭素原子を有する飽和炭化水素基を指し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等を含むがこれに限定されない。一部の実施形態では、C1-4アルキルにはC1-3アルキル、C1-2アルキル等が含まれる。
C1-4アルキル基は、有効原子価が許す場合、任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、用語「C2-6アルケニル」は、一般的に直鎖又は分岐鎖配置で2~5個の炭素原子を有し、その中に1個以上の炭素-炭素二重結合を有する一部不飽和炭化水素基を指し、エテニル、アリル、プロペニル等を含むがこれに限定されない。一部の実施形態では、C2-6アルケニルには、C2-4アルケニル、C2-3アルケニル等が含まれる。C2-6アルケニル基は、有効原子価が許す場合、任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルコキシ」は、一般的に式:-O-C1-4アルキルの直鎖又は分岐鎖配置で1~4個の炭素原子を有する飽和炭化水素基を指し、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等を含むがこれに限定されない。一部の実施形態では、C1-4アルコキシには、C1-3アルコキシ、C1-2アルコキシ等が含まれる。C1-4アルコキシ基は、有効原子価が許す場合、任意に置換されていてもよい。
【0137】
本明細書で使用する場合、用語「C3-14シクロアルキル」は、一般的に飽和単環式、二環式又は多環式炭化水素基を指し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、1H-インダニル、インデニル、テトラヒドロ-ナフタレニル等を含むがこれに限定されない。一部の実施形態では、C3-14シクロアルキルには、C3-10シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、C3-7シクロアルキル、C5-8シクロアルキル、C9-10シクロアルキル等が含まれる。C3-14シクロアルキル基は、有効原子価が許す場合、任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、用語「C3-14シクロアルケニル」は、一般的に中に1つ以上の化学的に安定な炭素-炭素二重結合を有する一部不飽和の単環式、二環式又は多環式炭化水素基を指し、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル等を含むがこれに限定されない。一部の実施形態では、C3-14シクロアルケニルには、C3-7シクロアルケニル、C3-8シクロアルケニル、C5-8シクロアルケニル、C3-10シクロアルケニル等が含まれる。C3-14シクロアルケニル基は、有効原子価が許す場合、任意に置換されていてもよい。
【0138】
本明細書で使用する場合、用語「アリール」は、一般的に単環式、二環式又は多環式 芳香族炭素原子環構造基を指し、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、アズレニル、フェナントレニル等を含むがこれに限定されない。アリール基は、有効原子価が許す場合、任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール」は、一般的に単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造基において、構造上の安定性が許す場合に1個以上の炭素原子環員がO、S又はN原子等の1個以上のヘテロ原子と置き換わっている基を指し、フラニル、チエニル (チオフェニルとも呼ばれる)、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、チオピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、9H-プリニル、キノキサリニル、イソインドリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、アクリジニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、イミダゾ[1,5-a]ピリジニル、イミダゾ[5,1-a]イソキノリニル、1,4-ジヒドロインデノ[1,2-c]-1H-ピラゾリル、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン、5,6-ジヒドロイミダゾ[5,1-a]イソキノリニル、8H-インデノ[1,2-d] チアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン、キノリン-2(1H)-オン、キナゾリン-4(1H)-オン、キナゾリン-2,4(1H,3H)-ジオン、ベンゾ-[d]オキサゾリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル等を含むがこれに限定されない。ヘテロアリール基は、有効原子価が許す場合、炭素又は窒素原子環員上で任意に置換されていてもよい。
【0139】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロシクリル」は、一般的に飽和又は一部不飽和の単環式、二環式又は多環式炭素原子環構造基において、構造上の安定性が許す場合に1個以上の炭素原子環員がO、S又はN原子等のヘテロ原子と置き換わっている基を指し、オキシラニル、オキセタニル、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、ピロリニル、ピロリジニル、ジヒドロピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジヒドロイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、トリアゾリニル、トリアゾリジニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、テトラゾリニル、テトラゾリジニル、ジヒドロ-2H-ピラニル、ジヒドロ-ピリジニル、テトラヒドロ-ピリジニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、ヘキサヒドロ-ピリジニル、ジヒドロ-ピリミジニル、テトラヒドロ-ピリミジニル、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロ-ピラジニル、テトラヒドロ-ピラジニル、ジヒドロ-ピリダジニル、テトラヒドロ-ピリダジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロ-トリアジニル、テトラヒドロ-トリアジニル、ヘキサヒドロ-トリアジニル、1,4-ジアゼパニル、ジヒドロ-インドリル、インドリニル、テトラヒドロ-インドリル、ジヒドロ-インダゾリル、テトラヒドロ-インダゾリル、ジヒドロ-イソインドリル、ジヒドロ-ベンゾフラニル、テトラヒドロ-ベンゾフラニル、ジヒドロ-ベンゾチエニル、テトラヒドロ-ベンゾチエニル、ジヒドロ-ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロ-ベンゾイミダゾリル、ジヒドロ-ベンゾオキサゾリル、2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾリル、テトラヒドロ-ベンゾオキサゾリル、ジヒドロ-ベンゾオキサジニル、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、テトラヒドロ-ベンゾオキサジニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[1,4] ジオキサニル、ジヒドロ-プリニル、テトラヒドロ-プリニル、ジヒドロ-キノリニル、テトラヒドロ-キノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、ジヒドロ-イソキノリニル、3,4-ジヒドロイソキノリン-(1H)-イル、テトラヒドロ-イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロ-キナゾリニル、テトラヒドロ-キナゾリニル、ジヒドロ-キノキサリニル、テトラヒドロ-キノキサリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリニル、1,3-ジオキソラニル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロリル、4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾリル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-(2H)-イル、(4aR,7aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-(4aH)-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジニル、(cis)-オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-(1H)-イル、(3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-(1H)-イル、(3aR,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-(1H)-イル、5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-(7H)-イル、5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジニル、テトラヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-(2H,7H,7aH)-イル、ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-(2H)-イル、(4aR,7aR)-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-(2H)-イル、オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジニル、2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾリル、1,2,3,4-テトラヒドロピラジノ[1,2-a]インドリル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]インドリル、(3aR,6aR)-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-(1H)-イル、(3aR,4R,6aS)-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-(1H)-イル、(3aR,4S,6aS)-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-(1H)-イル、(3aR,5r,6aS)-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-(1H)-イル、1,3-ジヒドロ-2H-イソインドリル、オクタヒドロ-2H-イソインドリル、(3aS)-1,3,3a,4,5,6-ヘキサヒドロ-2H-イソインドリル、(3aR,4R,7aS)-1H-イソインドール-(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)-イル、(3aR,7aS)-オクタヒドロ-2H-イソインドリル、(3aR,4R,7aS)-オクタヒドロ-2H-イソインドリル、(3aR,4S,7aS)-オクタヒドロ-2H-イソインドリル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1] ヘプタニル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3,6-ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、(1R,5S)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、(1S,5R)-3-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、5-アザスピロ[2.4]ヘプタニル、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタニル、2,5-ジアザスピロ[3.4]オクタニル、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタニル、2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナニル、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナニル、2-アザスピロ[4.5]デカニル、2,8-ジアザスピロ[4.5]デカニル、3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクチル、1,4-ジヒドロインデノ[1,2-c]ピラゾリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロキノリニル、8H-インデノ[1,2-d]チアゾリル、テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ピリジン-2(1H)-オン、(1R,5S)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エニル等を含むがこれに限定されない。ヘテロシクリル基は、有効原子価が許す場合、炭素又は窒素原子環員上で任意に置換されていてもよい。
【0140】
本明細書で使用する場合、用語「C2-4アルケニル-アミノ-カルボニル」は式:-C(=O)-NH-C2-4アルケニルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルコキシ-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-O-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルコキシ-カルボニル」は式:-C(=O)-O-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ」は式:-NH-C(=O)-O-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルコキシ-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-NH-C(=O)-O-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-C1-4アルキルの基を指す。
【0141】
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-アミノ」は式:-NH-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「(C1-4アルキル)2-アミノ」は式:-N(C1-4アルキル)2の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-NH-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-N(C1-4アルキル)2の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-アミノ-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-NH-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「(C1-4アルキル)2-アミノ-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-N(C1-4アルキル)2の基を指す。
【0142】
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-アミノ-カルボニル」は式:-C(=O)-NH-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル」は式:-C(=O)-N(C1-4アルキル)2の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-C(=O)-NH-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「(C1-4アルキル)2-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-C(=O)-N(C1-4アルキル)2の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-カルボニル」は式:-C(=O)-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-カルボニル-アミノ」は式:-NH-C(=O)-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-NH-C(=O)-C1-4アルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-NH-C(=O)-C1-4アルキルの基を指す。
【0143】
本明細書で使用する場合、用語「アミノ」は、式:-NH2の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「アミノ-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-NH2の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「アミノ-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-NH2の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「アミノ-カルボニル」は式:-C(=O)-NH2の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「シアノ」は式:-CNの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「C3-7シクロアルキル-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-C3-7シクロアルキルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ハロ-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-ハロ(式中、C1-4アルキルは、有効原子価が許す場合に1個以上のハロゲン原子で部分的又は完全に置換され得る)の基を指す。一部の実施形態では、ハロ-C1-4アルコキシには、ハロ-C1-6アルコキシ、ハロ-C1-4アルコキシ等が含まれる。
本明細書で使用する場合、用語「ハロ-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-ハロ(式中、C1-4アルキルは、有効原子価が許す場合に1個以上のハロゲン原子で部分的又は完全に置換され得る)の基を指す。一部の実施形態では、ハロ-C1-4アルキルには、ハロ-C1-6アルキル、ハロ-C1-4アルキル等が含まれる。
【0144】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-ヘテロアリールの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ」は式:-NH-C1-4アルキル-ヘテロアリールの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル」は式:-C(=O)-NH-C1-4アルキル-ヘテロアリールの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール-C1-4アルキル-アミノ-カルボニル-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-C(=O)-NH-C1-4アルキル-ヘテロアリールの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ」は、式:-NH-C(=O)-C1-4アルキル-ヘテロアリールの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール-C1-4アルキル-カルボニル-アミノ-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-NH-C(=O)-C1-4アルキル-ヘテロアリールの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロシクリル-C1-4アルコキシ」は式:-C1-4アルコキシ-ヘテロシクリルの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロシクリル-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-ヘテロシクリルの基を指す。
【0145】
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシル」は式:-OHの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシル-C1-4アルコキシ」は式:-O-C1-4アルキル-OH(式中、C1-4アルキルは、有効原子価が許す場合に1個以上のヒドロキシ基で部分的又は完全に置換され得る)の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシル-C1-4アルキル」は式:-C1-4アルキル-OH(式中、C1-4アルキルは、有効原子価が許す場合に1個以上のヒドロキシ基で部分的又は完全に置換され得る)の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシル-C1-4アルキル-アミノ」は式:-NH-C1-4アルキル-OH(式中、C1-4アルキルは、有効原子価が許す場合に1個以上のヒドロキシル基で部分的又は完全に置換され得る)の基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシル-イミノ」は式:C(=NOH)の=NOHの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「オキソ」は式:C=Oの基を指す。
本明細書で使用する場合、用語「フェニル-C1-4アルコキシ」は式:-C1-4アルコキシ-フェニルの基を指す。
【0146】
本明細書で使用する場合、用語「置換基」は、指定原子位置で置換され、指定原子上の1個以上の水素に取って代わる、コア分子の原子上の位置可変要素を意味する。但し、指定原子の通常の原子価を超えず、かつ該置換が安定化合物をもたらすことを条件とする。
置換基及び/又は可変要素の組み合わせは、該組み合わせが安定化合物をもたらす場合にのみ許容される。当業者は、本明細書の記載又は表示によれば満たされないように見える原子価を有するいずれの炭素原子のみならずヘテロ原子も、記載又は表示される原子価を満たすのに十分な数の水素原子を有すると想定されることに気づくはずである。場合によっては、付着点として二重結合(例えば、「オキソ」又は「=O」)を有する1つ以上の置換基が本明細書で置換基群中に記載、表示又はリストされることがあり、この場合に該構造は、式(I)のコア構造への付着点として単結合を示すのみであり得る。当業者は、単結合のみが示されているが、当該置換基には二重結合が意図されているものと理解するであろう。
本明細書で使用する場合、本明細書で与える化学用語の定義に関する用語「等」は、当業者が予想できる化学構造の異形が含まれることを意味し、異性体(鎖、分岐又は位置構造異性体を含めて)、環系の水和(単環式、二環式又は多環式環構造の飽和又は一部不飽和を含めて)及び有効原子価が許し、安定化合物をもたらす全ての他の異形を含むがこれに限定されない。
【0147】
この記述の目的では、式(I)の化合物又はその形態について1つ以上の置換基可変要素が式(I)の化合物に組み込まれた官能基を包含する場合、開示化合物内の任意の位置に現れる各官能基は独立に選択され、必要に応じて、独立に及び/又は任意に置換され得る。
本明細書で使用する場合、用語「独立に選択され」、又は「それぞれ選択され」とは、置換基リスト中の官能基可変要素が式(I)の構造に1回より多く存在することがあり、各存在での置換パターンがいずれの他の存在でのパターンと無関係であることを意味する。さらに、本明細書に記載の化合物についてのいずれの式又は構造に関しても一般的置換基可変要素を使用するのは、一般的置換基を特定部類内に含まれる化学種の置換基と交換することを含み、例えば、アリールは、フェニル又はナフタレニル等と交換され得るものと、かつ結果として生じる化合物は、本明細書に記載の化合物の範囲内に含まれるものと理解される。
本明細書で使用する場合、「…C3-14シクロアルキル、C3-14シクロアルキル-C1-4アルキル、アリール、アリール-C1-4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-4アルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリル-C1-4アルキル」等のフレーズに先行して使用するときの用語「どの場合の」又は「存在するときにはどの場合も」は、各々が単独で又は置換基とし存在するときにC3-14シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル環系を表す意図である。
本明細書で使用する場合、用語「任意に置換されていてもよい」は、特定した置換基可変要素、基(group)、基(radical)又は部分による任意的な置換を意味する。
【0148】
化合物の形態
本明細書で使用する場合、用語「形態」は、式(I)の化合物の遊離酸、遊離塩基、プロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、アイソトポログ、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体異性体、多形及び互変異性体形態から成る群より選択される形態を有する式(I)の化合物を意味する。
本明細書に記載の特定実施形態では、式(I)の化合物の形態は、式(I)の化合物の遊離酸、遊離塩基又は塩である。
本明細書に記載の特定実施形態では、式(I)の化合物の形態は、式(I)の化合物の塩である。
本明細書に記載の特定実施形態では、式(I)の化合物の形態は、式(I)の化合物のアイソトポログである。
本明細書に記載の特定実施形態では、式(I)の化合物の形態は、式(I)の化合物の立体異性体、ラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
本明細書に記載の特定実施形態では、式(I)の化合物の形態は、式(I)の化合物の互変異性体である。
本明細書に記載の特定実施形態では、式(I)の化合物の形態は、医薬的に許容される形態である。
【0149】
本明細書に記載の特定実施形態では、式(I)の化合物又はその形態は、使用するために単離される。
本明細書で使用する場合、用語「単離された」とは、合成プロセス(例えば、反応混合物から)若しくは天然源又はその組み合わせから本明細書に記載の又は当業者に周知の単離又は精製プロセス(例えば、クロマトグラフィー、再結晶等)に従って単離及び/又は精製された後の、本明細書に記載の又は当業者に周知の標準的分析技術によって特徴づけらるべき十分な純度の式(I)の化合物又はその形態の物理的状態を意味する。
【0150】
本明細書で使用する場合、用語「保護された」とは、式(I)の化合物又はその形態の官能基が、化合物が反応を受けるときに保護部位での望ましくない副反応を排除するように改変された形態にあることを意味する。適切な保護基は、当業者によって並びに例えば、T.W. Greene et al, Protective Groups in organic Synthesis (1991), Wiley, New York等の標準テキストを参照して認識されることになる。該官能基としては、ヒドロキシ、フェノール、アミノ及びカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシ又はフェノールに適した保護基としては、トリアルキルシリル又はジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジル、置換ベンジル、メチル、メトキシメタノール等がある。アミノ、アミジノ及びグアニジノに適した保護基としては、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等がある。カルボン酸に適切な保護基としてはアルキル、アリール又はアリールアルキルエステルがある。場合によっては、保護基はポリマー樹脂、例えばWang樹脂又は2-クロロトリチル-クロリド樹脂であってもよい。保護基は、当業者に周知であり、本明細書に記載の標準的技術に従って添加又は除去可能である。また当業者にとっては当然のことながら、本明細書に記載の化合物の該保護誘導体がそれ自体は薬理学的活性を持たないこともあるが、それらを対象に投与するとその後体内で代謝されて、薬理学的に活性である、本明細書に記載の化合物を形成することがある。従って、このような誘導体を「プロドラッグ」と記載することができる。本明細書に記載の化合物の全てのプロドラッグは、本明細書に記載の使用の範囲に含まれる。
【0151】
本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグ」は、インビボで変換されて式(I)の活性化合物又はその形態をもたらす本化合物の形態(例えば、薬物前駆体)を意味する。変換は、種々のメカニズムによって(例えば、代謝的及び/又は非代謝的化学プロセスによって)、例えば、血液、肝臓並びに/又は他の器官及び組織内での加水分解及び/又は代謝作用によって起こり得る。プロドラッグ使用の考察は、T. Higuchi and W. Stella, “Pro-drugs as Novel Delivery Systems,” Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series、及びBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987により提供されている。
一例では、式(I)の化合物又はその形態がカルボン酸官能基を含有するとき、プロドラッグは、酸基の水素原子のアルキル等の官能基との交換によって形成されるエステルを含むことができる。別の例では、式(I)の化合物又はその形態がヒドロキシル官能基を含有するとき、プロドラッグ形態は、ヒドロキシルの水素原子をアルキル、アルキルカルボニル又はホスホン酸エステル等の別の官能基と交換することによって調製可能である。別の例では、式(I)の化合物又はその形態がアミン官能基を含有するとき、プロドラッグ形態は、1個以上のアミン水素原子をアルキル又は置換カルボニル等の官能基と交換することによって調製可能である。式(I)の化合物又はその形態の医薬的に許容されるプロドラッグとしては、必要に応じて、下記基の1つ以上で置換された当該化合物がある:カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミノ酸エステル、ホスホン酸エステル及び一リン酸、二リン酸若しくは三リン酸エステル又はアルキル置換基。本明細書に記載のように、当業者は、1つ以上の該置換基を用いて、プロドラッグとしての式(I)の化合物又はその形態を提供できると理解している。
【0152】
本明細書に記載の1種以上の化合物は、非溶媒和形態のみならず、水、エタノール等の医薬的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在することができ、本明細書の記述は、溶媒和及び非溶媒和の両形態を包含する意図である。
本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」は、本明細書に記載の化合物と1種以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含めた様々な程度のイオン結合及び共有結合を含む。場合によっては、例えば1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子内に組み込まれているとき、溶媒和物は単離可能である。本明細書で使用する場合、「溶媒和物」は、液相溶媒和物と単離可能溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定例としては、エタノラート、メタノラート等が挙げられる。
本明細書で使用する場合、用語「水和物」は、溶媒分子が水である場合の溶媒和物を意味する。
【0153】
式(I)の化合物は、本記述の範囲に含める意図である塩を形成することができる。本明細書での式(I)の化合物又はその形態への言及は、特に指定のない限り、式(I)の化合物の塩形態への言及を含めるものと理解される。本明細書で使用する用語「塩」は、無機酸及び/又は有機酸と形成される酸塩、並びに無機塩基及び/又は有機塩基と形成される塩基塩を意味する。さらに、式(I)の化合物又はその形態が塩基性部分、例えば、限定するものではないが、アミン部分と、酸性部分、例えば、限定するものではないが、カルボン酸との両部分を含有するときには、双性イオン(「内部塩」)が形成されることがあり、これは、本明細書で使用する用語「塩」の範囲に含まれる。
本明細書で使用する用語「医薬的に許容される塩」は、哺乳動物に使用するのに安全かつ有効であり(すなわち、無毒で生理学的に許容される)、生物活性を有する、本明細書に記載の化合物の当該塩を意味するが、他の塩も有用である。式(I)の化合物の塩は、例えば、式(I)の化合物又はその形態を、媒体、例えばその中で塩が沈殿する媒体又は水性媒体中で、ある量、例えば等量の酸又は塩基と反応させた後の凍結乾燥によって形成可能である。
【0154】
医薬的に許容される塩としては、本明細書に記載の化合物中に存在する酸性基又は塩基性基は1種以上の塩がある。酸付加塩の例としては、限定するものではないが、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、塩化物、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチシン酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、グルタミン酸塩、ヨウ化物、イソニコチン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サッカリン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシラートとしても知られる)、トリフルオロ酢酸塩等が挙げられる。酸付加塩の特定の実施形態としては、塩化物、二塩化物、三塩化物、臭化物、酢酸塩、ギ酸塩又はトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。
【0155】
さらに、基本的な医薬化合物からの医薬的に有用な塩の形成に適していると一般的にみなされる酸は、例えば、P. Stahl et al, Camille G. (eds.) Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties, Selection and Use.(2002) Zurich: Wiley-VCH; S.Berge et al, Journal of Pharmaceutical Sciences (1977) 66(1) 1-19;P. Gould, International J. of Pharmaceutics (1986) 33, 201-217;Anderson et al, The Practice of Medicinal Chemistry (1996), Academic Press, New Yorkによって;及びThe Orange Book(Food & Drug Administration, Washington, D.C.彼らのウェブサイト上)に論じられている。これらの開示内容は、それらへの参照によって本明細書に組み込まれる。
適切な塩基塩としては、限定するものではないが、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛塩が挙げられる。
このような全ての酸塩及び塩基塩は、本明細書に記載の医薬的に許容される塩の範囲内に含まれるよう意図される。さらに、このような全ての酸塩及び塩基塩は、本記述の目的に対応する化合物の遊離形態と等価とみなされる。
【0156】
式(I)の化合物及びその形態は、さらに互変異性形態で存在することがある。このような全ての互変異性形態は、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその形態の範囲に含まれるよう企図かつ意図される。
式(I)の化合物又はその形態は、不斉中心又はキラル中心を含有し、ひいては様々な立体異性形態で存在することがある。本記述は、式(I)の化合物の全ての立体異性形態のみならず、ラセミ混合物を含め、その混合物を含める意図である。
本明細書に記載の化合物は、1つ以上のキラル中心を含むことがあり、そのようなものとしてラセミ混合物(R/S)又は実質的に純粋なエナンチオマー及びジアステレオマーとして存在することがある。化合物は、実質的に純粋な(R)又は(S)エナンチオマー(1つのキラル中心が存在するとき)として存在することもある。一実施形態では、本明細書に記載の化合物は、(S)異性体であり、(S)異性体のみを実質的に含むエナンチオマー的に純粋な組成物として存在することがある。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、(R)異性体であり、実質的に(R)異性体のみを含むエナンチオマー的に純粋な組成物として存在することがある。当業者は認めるように、1つより多くのキラル中心が存在するとき、本明細書に記載の化合物は、IUPAC命名法勧告により定義されるように、(R,R)、(R,S)、(S,R)又は(S,S)異性体として存在し得る。
【0157】
本明細書で使用する場合、用語「実質的に純粋な」は、実質的に90%以上の量、92%以上の量、95%以上の量、98%以上の量、99%以上の量の単一異性体、又は100%に等しい量の単一異性体から成る化合物を指す。
本記述の一態様では、式(I)の化合物又はその形態は、90%以上の量、92%以上の量、95%以上の量、98%以上の量、99%以上の量、又は100%に等しい量で存在する実質的に純粋な(S)エナンチオマー形態である。
本記述の一態様では、式(I)の化合物又はその形態は、90%以上の量、92%以上の量、95%以上の量、98%以上の量、99%以上の量、又は100%に等しい量で存在する実質的に純粋な(R)エナンチオマー形態である。
本明細書で使用する場合、「ラセミ体」は、「エナンチオマー的に純粋」でない異性形態の任意の混合物であり、例えば、約50/50、約60/40、約70/30、又は約80/20の比の混合物を含むがこれに限定されない。
【0158】
さらに、本記述は、全ての幾何異性体及び位置異性体を包含する。例えば、式(I)の化合物又はその形態が二重結合又は縮合環を組み込む場合、シス及びトランスの両形態、並びに混合物が本記述の範囲に包含される。ジアステレオマー混合物は、当業者に周知の方法、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶によって、それらの物理化学的差異に基づいて、それらの個々のジアステレオマーに分離可能である。エナンチオマーは、キラルHPLCカラム又は当業者に周知の他のクロマトグラフ法を用いて分離可能である。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラル補助物質、例えばキラルアルコール又はモッシャー(Mosher)酸塩化物)との反応によってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(例えば、加水分解)することによって分離することもできる。また、式(I)の一部の化合物は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であることもあり、この記述の一部とみなされる。
【0159】
本化合物(化合物の塩、溶媒和物、エステル及びプロドラッグのみならず、プロドラッグの塩、溶媒和物及びエステルをも含めて)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体等)、例えば種々の置換基上の不斉炭素のために存在し得る異性体、例えばエナンチオマー形態(不斉炭素がない場合でさえ存在し得る)、回転異性形態、アトロプ異性体、及びジアステレオマー形態等は、位置異性体(例えば、4-ピリジル及び3-ピリジル)と同様に、本記述の範囲内で企図される。本明細書に記載の化合物の個々の立体異性体は、上述したように、例えば、他の異性体を実質的に含まないか、又はラセミ混合物で存在することもある。
用語「塩」、「溶媒和物」、「エステル」「プロドラッグ」等の使用は、本化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体又はアイソトポログの塩、溶媒和物、エステル及びプロドラッグにも等しく適用されるものとする。
【0160】
用語「アイソトポログ」は、1個以上の原子が、自然界に通常見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子と置き換わっているという事実以外は、本明細書に記載の化合物と同一である、同位体が富化された化合物を指す。本明細書に記載の化合物に組み込める同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素、例えばそれぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、35Cl及び36Clが含まれ、それぞれ本記述の範囲内でもある。
本明細書に記載の特定の同位体が富化された化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイに役立つ。トリチウム標識同位体(すなわち、3H)及び炭素14同位体(すなわち、14C)は、それらの調製しやすさ及び検出性のため特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、2H)等のより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性に起因する特定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の増加又は必要用量の低減)を与えることができ、結果として状況次第では好ましいことがある。
さらに式(I)の化合物及び式(I)の化合物の塩、溶媒和物、水和物、エステル及びプロドラッグの多形の結晶形態及び非晶質形態が本記述に含まれるよう意図される。
【0161】
化合物の使用
本記述は、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用方法であって、有効量の化合物又はその形態を対象に投与することを含む方法に関する。
本記述はさらに、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。
本記述はさらに、HDに対する活性を有する式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。
本記述はさらに、相加的又は相乗的活性を与え、結果としてHDを治療又は改善するための併用製品の開発を可能にする、併用療法における式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。
単剤療法的使用に加えて、本化合物は、1種以上の既知薬剤との相加的又は相乗的活性を有する現行基準の薬剤との併用療法に役立つ。
1種以上の既知薬物と組み合わせて本明細書に記載の化合物を含む併用療法を用いて、HDが既知薬物に応答性であるかどうかに関係なくHDを治療することができる。
本記述の実施形態には、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための併用療法における式(I)の化合物又はその形態の使用であって、有効量の式(I)の化合物又はその形態及び有効量の1種以上の薬剤を投与することを含む使用が含まれる。
本記述の実施形態には、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための併用療法における式(I)の化合物又はその形態の使用であって、有効量の式(I)の化合物又はその形態及び有効量の1種以上の薬剤を投与することを含む使用が含まれる。
【0162】
本明細書で提供する使用又は方法の実施形態では、1種以上の追加薬剤と併用する式(I)の化合物又はその形態を対象に投与するか又は対象若しくは患者の細胞と接触させることができ、その前、それと同時、又はその後に追加薬剤を対象若しくは患者に投与するか又は対象若しくは患者の細胞と接触させることができる。式(I)の化合物又はその形態及び追加薬剤は、単一組成物若しくは異なる組成物で対象に投与するか又は細胞と接触させることが可能である。特有の実施形態では、HTT発現を抑制するための遺伝子療法(例えば、ウイルス送達ベクターを用いて)又は別の小分子HTT阻害薬の投与と組み合わせて式(I)の化合物又はその形態を使用する。別の特有の実施形態では、分化した非変異HTT幹細胞を用いる細胞置換と組み合わせて式(I)の化合物又はその形態を使用する。
一実施形態では、緩和ケアを含めた支持基準のケア療法と組み合わせた式(I)の化合物又はその形態の使用を本明細書で提供する。
【0163】
本記述の実施形態には、式(I)の化合物又はその形態と、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための併用療法で有効量の式(I)の化合物又はその形態及び有効量の1種以上の薬剤を投与するための説明書とを含むキットの調製における式(I)の化合物又はその形態の使用が含まれる。
従って、本記述は、HDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。本記述の使用により、選択的にHDを治療又は改善するのに有用な化合物が特定され、HDを治療又は改善するためのこれらの化合物の使用が提供された。
本記述の使用の一実施形態は、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用であって、有効量の式(I)の化合物又はその形態を対象に投与することを含む使用に関する。
本記述の使用の一実施形態は、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用方法であって、有効量の化合物を対象に投与することを含む方法に関する。
本記述の使用の実施形態は、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための式(I)の化合物又はその形態の使用方法であって、有効量の化合物を対象に投与することを含む方法に関する。
本記述の使用の実施形態は、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための薬物の製造における式(I)の化合物又はその形態の使用であって、有効量の薬物を対象に投与することを含む使用に関する。
本記述の使用の実施形態は、式(I)の化合物又はその形態と、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するために化合物を投与するための説明書とを含むキットの調製における式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。
【0164】
該実施形態のそれぞれについて、ある点において、対象は治療未経験である。該実施形態のそれぞれについて、別の点では、対象は治療未経験でない。
本明細書で使用する場合、「治療する」は、(i)疾患、障害及び/又は状態の素因になり得るが、まだ疾患、障害及び/又は状態を有すると診断されていない対象に疾患、障害又は状態が生じないように予防すること;(ii)疾患、障害又は状態を抑制、すなわち、その進行を抑えること;及び/又は(iii)疾患、障害又は状態を軽減、すなわち、疾患、障害及び/又は状態の退行を引き起こすことを意味する。
本明細書で使用する場合、用語「対象」は、動物又は感覚機能及び随意運動力を有し、かつ酸素及び有機食物を必要とするいずれの生体をも指す。非限定例としては、ヒト、霊長類、ウマ、ブタ、ウシ、マウス、ラット(rattus)、イヌ及びネコ種のメンバーが挙げられる。一部の実施形態では、対象は哺乳動物又は温血脊椎動物である。他の実施形態では、対象はヒトである。本明細書で使用する場合、用語「患者」は、「対象」及び「ヒト」と互換的に使用可能である。
【0165】
本明細書で使用する場合、用語「有効量」又は「治療的に有効な量」は、それを必要とする対象の上記疾患を抑制し、結果として所望の治療効果、改善効果、阻害効果又は予防効果をもたらす、式(I)の化合物又はその形態、組成物又は薬物の量を意味する。
有効な目標血漿濃度を達成するために投与される用量は、また対象又は患者の体重に基づいて投与され得る。体重に基づいて投与される用量は、約0.001mg/kg/日~約3500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約3000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約2500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約2000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約1500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約1000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約250mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約75mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約50mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約40mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約30mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約20mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約10mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約2000mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約1500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約1000mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約600mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約300mg/kg/日、又は約0.015mg/kg/日~約200mg/kg/日、又は約0.02mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.025mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.03mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲内であってよく、前記量は、対象の体重に応じて1日1回(約24時間に1回)、2回(約12時間に1回)又は3回(約8時間に1回)経口投与される。
【0166】
特定の実施形態では、有効量は、約40~約200kgの範囲の体重を有する患者又は対象について単一、分割、又は連続用量で約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.1mg~約500mg/kg/日、又は約1.0mg/日~約500mg/kg/日の範囲内となる(この用量は、特に40kg未満の子供では、患者又は対象に合わせてこの範囲の上下に調整可能である)。典型的な成人対象は、約70kg程度の体重中位数を有すると予想される。
別の実施形態では、1日の用量を対象又は患者の体重に基づいて調整する場合、本明細書に記載の化合物を約0.02、0.025、0.03、0.05、0.06、0.075、0.08、0.09、0.10、0.20、0.25、0.30、0.50、0.60、0.75、0.80、0.90、1.0、1.10、1.20、1.25、1.50、1.75、2.0、3.0、5.0、10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、400又は500mg/kg/日で送達するように処方することができる。対象又は患者の体重に基づいて調整した1日の用量は、単一、分割、又は連続用量として投与可能である。化合物の用量を1日1回より多く与える実施形態では、用量を1日2回、3回、又はそれより多く投与してよい。
【0167】
本記述の範囲内では、薬物の製造に用いるか、或いは医薬品キットの調製又はそれを必要とする対象のHDを治療若しくは改善するための使用方法に用いる式(I)の化合物又はその形態の「有効量」は、約0.001mg/kg/日~約3500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約3000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約2500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約2000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約1500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約1000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約250mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約75mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約50mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約40mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約30mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約20mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約10mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約2000mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約1500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約1000mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約600mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約300mg/kg/日、又は約0.015mg/kg/日~約200mg/kg/日、又は約0.02mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.025mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.03mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲の量を含むように意図され、前記量は、対象の体重に応じて1日1回(約24時間に1回;すなわち、「q.d.」)、2回(約12時間に1回;すなわち、「b.i.d.」又は「q.12h」)、3回(約8時間に1回;すなわち、「t.i.d」又は「q.8h」)、又は4回(約6時間に1回;すなわち、「q.d.s.」、「q.i.d.」又は「q.6h」)投与される。
【0168】
該量にはさらに、毎日投与される約0.001mg~約3500mg;毎日投与される0.001mg~約3000mg;毎日投与される0.001mg~約2500mg;毎日投与される0.001mg~約2000mg;毎日投与される0.001mg~約1500mg;毎日投与される0.001mg~約1000mg;毎日投与される0.001mg~約500mg;毎日投与される0.001mg~約250mg;毎日投与される1.0mg~約3500mg;毎日投与される1.0mg~約1500mg;毎日投与される1.0mg~約1000mg;毎日投与される10.0mg~約600mg;毎日投与される0.5mg~約2000mgの範囲の量、又は、毎日投与される約5.0mg~約300mgの範囲の量が含まれる。
例えば、有効量は、対象、さらに詳細にはヒトのHDの治療に必要な量であり得る。対象に有効な量は、対象の体重、サイズ及び健康を含めた種々の因子によって決まることになる。所与の患者に有効な量は、臨床医のスキル及び判断の範囲内である日常の実験によって決定可能である。
【0169】
いずれの化合物についても、最初に細胞培養アッセイ又は関連性のある動物モデル、例えばマウス、チンパンジー、マーモセット又はタマリン動物モデルで有効量を推定することができる。関連性のある動物モデルを用いて、適切な濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次に該情報を用いてヒトの投与に有用な用量及び経路を決定することができる。細胞培養又は実験動物において標準的な製薬手順によって、治療有効性及び毒性、例えば、ED50(集団の50%において治療的に有効な用量)及びLD50(集団の50%に致死的な用量)を決定することができる。治療効果と毒性効果との間の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。一部の実施形態では、有効量は、大きい治療指数が達成されるような量である。さらなる実施形態では、薬用量は、ほとんど又は全く毒性がないED50を含む血中濃度の範囲内である。薬用量は、利用する剤形、患者の感受性、及び投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。
さらに詳細には、式(I)の化合物又はその形態について観察された濃度と生物学的効果の関連性は、約0.001μg/mL~約50μg/mL、約0.01μg/mL~約20μg/mL、約0.05μg/mL~約10μg/mL、又は約0.1μg/mL~約5μg/mLの範囲の目標血漿濃度を表す。該血漿濃度を達成するためには、例えば、これに限定されないが、投与経路に応じて0.1ngから10,000mgまで変動する用量で、約10~約100kgの体重の患者について単一、分割、又は連続用量で本明細書に記載の化合物を投与してよい(この用量は、この体重範囲内の患者、特に40kg未満の子供に合わせて調整可能である)。
【0170】
正確な薬用量は、対象に関連する因子を考慮して開業医が決定することになる。薬用量及び投与を調整して、十分なレベルの活性薬を与えるか又は所望効果を維持することができる。考慮し得る因子には、病態の重症度、対象の全体的健康、民族性、年齢、体重、性別、食事制限、投与の時刻及び頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、他の治療の経験、及び治療への耐性/応答が含まれる。長時間作用性医薬組成物は、特定製剤の半減期及びクリアランス速度に応じて2、3若しくは4日毎に、1週間に1回、又は2週間に1回の投与が可能である。
本明細書に記載の化合物及び組成物は、技術上周知のいずれの薬物送達経路によっても対象に投与可能である。非限定例としては、経口、点眼、直腸、頬側、局所、経鼻、舌下、経皮、皮下、筋肉内、静脈内(ボーラス及び点滴)、脳内、及び肺投与経路がある。
【0171】
一態様において、本明細書で提供するのは、HTT(ハンチンチンタンパク質)の量の調節方法であって、ヒト細胞を式(I)の化合物又はその形態と接触させることを含む方法である。特有の実施形態において、本明細書で提供するのは、HTTの量の調節方法であって、ヒト細胞を、HTTの発現を調節する式(I)の化合物又はその形態と接触させることを含む方法である。インビトロ、又はインビボで、例えば、非ヒト動物又はヒト内でヒト細胞を式(I)の化合物又はその形態と接触させ得る。特有の実施形態では、ヒト細胞はヒト由来であるか又はヒト内にある。別の特有の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト由来であるか又は該ヒト内にある。別の特有の実施形態では、ヒト細胞は、HTT発現及び/又は機能の損失をもたらす、Htt遺伝子中のCAGリピートによって引き起こされたHDを有するヒト由来であるか又は該ヒト内にある。別の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト由来である。別の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト内にある。一実施形態では、化合物は、式(I)の化合物の形態である。
【0172】
特有の実施形態において、本明細書で提供するのは、Htt遺伝子から転写される変異HTTの抑制を増強する方法であって、ヒト細胞を式(I)の化合物又はその形態と接触させることを含む方法である。インビトロ、又はインビボで、例えば、非ヒト動物又はヒト内でヒト細胞を式(I)の化合物又はその形態と接触させ得る。別の特有の実施形態では、ヒト細胞はヒト由来であるか又はヒト内にある。別の特有の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト由来であるか又は該ヒト内にある。別の特有の実施形態では、ヒト細胞は、野生型「正常」HTT発現及び/又は機能の損失をもたらす、Htt遺伝子中のCAGリピートによって引き起こされたHDを有するヒト由来であるか又は該ヒト内にある。別の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト由来である。別の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト内にある。一実施形態では、化合物は、式(I)の化合物の形態である。
【0173】
別の態様において、本明細書で提供するのは、Htt遺伝子から転写される変異HTTの抑制を調節する方法であって、HD用の非ヒト動物モデルに式(I)の化合物又はその形態を投与することを含む方法である。特有の実施形態において、本明細書で提供するのは、Htt遺伝子から転写される変異HTTの抑制を調節する方法であって、HD用の非ヒト動物モデルに式(I)の化合物又はその形態を投与することを含む方法である。特有の実施形態では、化合物は、式(I)の化合物の形態である。
【0174】
別の態様において、本明細書で提供するのは、変異HTTの量の低減方法であって、ヒト細胞を式(I)の化合物又はその形態と接触させることを含む方法である。特有の実施形態において、本明細書で提供するのは、変異HTTの量の低減方法であって、ヒト細胞を、Htt遺伝子からの変異HTT(ハンチンチンmRNA)の転写を抑制する式(I)の化合物と接触させることを含む方法である。別の特有の実施形態において、本明細書で提供するのは、変異HTTの量の低減方法であって、ヒト細胞を、Htt遺伝子から転写される変異HTTの発現を抑制する式(I)の化合物と接触させることを含む方法である。インビトロ、又はインビボで、例えば、非ヒト動物又はヒト内でヒト細胞を式(I)の化合物又はその形態と接触させ得る。
特有の実施形態では、ヒト細胞はヒト由来であるか又はヒト内にある。別の特有の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト由来であるか又は該ヒト内にある。別の特有の実施形態では、ヒト細胞は、HTT発現及び/又は機能の損失をもたらす、Htt遺伝子中のCAGリピートによって引き起こされたHDを有するヒト由来であるか又は該ヒト内にある。別の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト由来である。別の実施形態では、ヒト細胞は、HDを有するヒト内にある。一実施形態では、化合物は、式(I)の化合物の形態である。
【0175】
特定の実施形態では、式(I)の化合物又はその形態(単独で又は追加薬と組み合わせて)によるHDの治療又は改善は治療効果及び/又は有利な効果を有する。特有の実施形態では、式(I)の化合物又はその形態(単独で又は追加薬と組み合わせて)によるHDの治療は、下記効果の1、2又は3つ以上をもたらす:(i)HDの重症度を低減又は改善する;(ii)HDの発症を遅らせる;(iii)HDの進行を抑制する;(iv)対象の入院加療を減らす;(v)対象の入院期間を短くする;(vi)対象の生存時間を延ばす;(vii)対象の生活の質を向上させる;(viii)HD随伴症状の数を減らす;(ix)HD随伴症状の重症度を低減又は改善する;(x)HD随伴症状の持続期間を短くする;(xi)HD随伴症状の再発を予防する;(xii) HDの症状の発生又は発症を抑制する;及び/又は(xiii)HD随伴症状の進行を抑制する。
【0176】
化合物の代謝物
本明細書に記載の化合物のインビボ代謝産物の使用も本記述の範囲に含まれる。該産物は、例えば、主に酵素プロセスに起因する投与化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化等から生じ得る。従って、本記述は、本明細書に記載の化合物を、その代謝産物をもたらすのに十分な時間哺乳動物組織又は哺乳動物と接触させることを含むプロセスによって産生される化合物の使用を包含する。
該産物は典型的に、本明細書に記載の化合物の放射標識アイソトポログ(例えば、14C又は3H)を調製し、この放射標識化合物を検出可能用量(例えば、約0.5mg/kg超)で哺乳動物、例えばラット、マウス、モルモット、イヌ、サル又はヒトに投与し、代謝作用が起こるのに十分な時間を与え(典型的に約30秒~約30時間)、尿、胆汁、血液又は他の生体サンプルから代謝変換産物を同定することによって同定される。変換産物は、同位体富化により「放射標識」されているので、容易に単離される(他のものは、代謝物中に生存するエピトープと結合できる抗体を用いて単離される)。代謝物の構造は、通常の方法で、例えば、MS又はNMR分析によって決定される。一般に、代謝物の分析は、当業者に周知の通常の薬物代謝研究と同様に行なってよい。変換産物は、それらがインビボで他の形で見られない限り、たとえそれら自体の生物活性を持たないとしても、本明細書に記載の化合物の治療量に関する診断アッセイに役立つ。
【0177】
医薬組成物
本記述の実施形態には、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するための医薬組成物における式(I)の化合物又はその形態の使用であって、1種以上の医薬的に許容される賦形剤との混合物で有効量の式(I)の化合物又はその形態を投与することを含む使用が含まれる。
本記述の実施形態には、式(I)の化合物又はその形態の医薬組成物と、それを必要とする対象のHDを治療又は改善するために化合物を投与するための説明書とを含むキットの調製における式(I)の化合物又はその形態の医薬組成物の使用が含まれる。
本明細書で使用する場合、用語「組成物」は、規定量で規定成分を含む生成物のみならず、規定量の規定成分の組み合わせから、直接又は間接的に生じるいずれの生成物をも意味する。
医薬組成物は、約pH3~約pH11の範囲の生理学的に適合性のpHを達成するように処方され得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、約pH3~約pH7のpHを達成するように処方される。他の実施形態では、医薬組成物は、約pH5~約pH8のpHを達成するように処方される。
用語「医薬的に許容される賦形剤」は、本明細書に記載の化合物等の医薬の投与用の賦形剤を指す。この用語は、過度の毒性なしで投与し得るいずれの医薬賦形剤をも指す。医薬的に許容される賦形剤は、ある程度、投与される特定組成物によって、並びに投与及び/又は剤形の特定モードによって決まり得る。医薬的に許容される賦形剤の非限定例としては、担体、溶媒、安定剤、アジュバント、希釈剤等が挙げられる。従って、本明細書に記載の本化合物に適した種々多様の医薬組成物の製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences参照)。
【0178】
適切な賦形剤は担体分子であってよく、これには大きい緩徐に代謝される巨大分子、例えばタンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、及び不活性抗体が含まれる。他の例示賦形剤としては、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸;キレート剤、例えばEDTA;炭水化物、例えばデキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース(例えば、HPMCとしても知られるヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ステアリン酸;液体、例えば油、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノール;湿潤剤又は乳化剤;pH緩衝物質等が挙げられる。リポソームも医薬的に許容される賦形剤の定義の範囲に含まれる。
本明細書に記載の医薬組成物は、本明細書に記載の使用目的に適したいずれの形態でも処方可能である。経口投与に適した製剤としては、固体、溶液、エマルション及び懸濁液があり、一方で肺投与に適した吸入可能製剤としては、液体及び粉末がある。代替製剤として、シロップ、クリーム、軟膏、錠剤、及び投与前に生理学的に適合性の溶媒で再構成できる凍結乾燥固体が挙げられる。
経口使用を意図するときには、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁液、非水性溶液、分散性粉末又は顆粒(微粒子又はナノ粒子を含めて)、エマルション、硬質若しくは軟質カプセル剤、シロップ又はエリキシル剤を調製し得る。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造分野で知られるいずれの方法によっても調製可能であり、該組成物は、美味な製剤を与えるために、甘味剤、香味剤、着色剤、及び保存剤を含めた1種以上の薬剤を含有することができる。
【0179】
錠剤との併用に適した医薬的に許容される賦形剤としては、例えば、不活性な希釈剤、例えばセルロース、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウム、架橋ポビドン、トウモロコシデンプン、又はアルギン酸;結合剤、例えばポビドン、デンプン、ゼラチン又はアカシア;及び潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクが挙げられる。錠剤は、コーティングしなくてもよく、或いはマイクロカプセル化等の既知技術によってコーティングして、胃腸管内での崩壊及び吸着を遅らせ、それによってより長い期間にわたる持続性作用を与えることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を単独で又はワックスと共に利用することができる。
経口使用の製剤は、活性成分を不活性な固体希釈剤、例えばセルロース、ラクトース、リン酸カルシウム、若しくはカオリン等と混合する硬ゼラチンカプセル剤として、又は活性成分を非水性媒体若しくは油媒体、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピーナッツ油、液体パラフィン、若しくはオリーブ油等と混合する軟ゼラチンカプセル剤として提供することもできる。
【0180】
他の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、懸濁液の製造に適した1種以上の医薬的に許容される賦形剤との混合物中に式(I)の化合物又はその形態を含む懸濁液として処方し得る。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1種以上の賦形剤の添加による懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒として処方し得る。
懸濁液に関連して使用するのに適した賦形剤としては、懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アカシアガム、分散剤若しくは湿潤剤、例えば天然起源のホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアラート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシエタノール)、エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート);及び増粘剤、例えばカルボマー、蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコールが挙げられる。懸濁液は、1種以上の保存剤、例えば酢酸、p-ヒドロキシ安息香酸メチル及び/又はp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル;1種以上の着色剤;1種以上の香味剤;及び1種以上の甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンが挙げられる。
【0181】
本明細書に記載の医薬組成物は、水中油エマルションの形態であってもよい。油相は、オリーブ油若しくはラッカセイ油等の植物油、液体パラフィン等の鉱物油、又はこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤としては、天然起源のガム、例えばアカシアガム及びトラガカントガム;天然起源のホスファチド、例えば大豆レシチン、脂肪酸から誘導されるエステル又は部分エステル;ヘキシトール無水物、例えばソルビタンモノオレアート;及びこれらの部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートが挙げられる。エマルションは、甘味剤及び香味剤を含有してもよい。グリセロール、ソルビトール又はスクロース等の甘味剤とシロップ剤及びエリキシル剤を処方することができる。該製剤は、粘滑剤、保存剤、香味剤又は着色剤を含有してもよい。
【0182】
さらに、本明細書に記載の医薬組成物は、無菌注射用製剤、例えば無菌注射用水性エマルション又は油性懸濁液の形態であってよい。該エマルション又は懸濁液は、上述した適切な分散剤若しくは湿潤剤及び懸濁剤を用いる既知技術により処方可能である。無菌注射用製剤は、無毒の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,2-プロパンジオールであってもよい。無菌注射用製剤は、凍結乾燥粉末として調製してもよい。利用し得る許容性ビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌固定油を溶媒又は懸濁媒体として利用し得る。この目的では、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含め、いずれのブランドの固定油をも利用可能である。さらに、オレイン酸等の脂肪酸も同様に注射用製剤に使用してよい。
【0183】
本明細書に記載の化合物は、実質的に水に溶解せず、ほとんどの医薬的に許容されるプロトン性溶媒及び植物油にわずかに溶けるが、一般的に中鎖脂肪酸(例えば、カプリル酸及びカプリン酸)又はトリグリセリド及び中鎖脂肪酸のプロピレングリコールエステルに溶解する。従って、本記述では、化合物を送達により適したものにする(例えば、溶解度、生物活性、おいしさを高め、副作用を減らす等)化学的又は生化学的部分の置換又は付加、例えばエステル化、グリコシル化、PEG化等によって改変された化合物を企図する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物を低溶解度化合物に適した脂質ベース組成物中での経口投与用に処方する。脂質ベース製剤は、一般的に該化合物の経口バイオアベイラビリティを増強し得る。そのようなものとして、本明細書に記載の医薬組成物は、中鎖脂肪酸又はそのプロピレングリコールエステル(例えば、カプリル及びカプリン脂肪酸等の食用脂肪酸のプロピレングリコールエステル)及び医薬的に許容される界面活性剤、例えばポリソルベート20又は80(それぞれ、Tween(登録商標)20又はTween(登録商標)80とも呼ばれる)又はポリオキシル40水素化ヒマシ油から選択される少なくとも1種の医薬的に許容される賦形剤と共に、有効量の式(I)の化合物又はその形態を含むことができる。
【0184】
他の実施形態では、低溶解度化合物のバイオアベイラビリティは、当業者に周知の技術を用いるナノ粒子又はナノ懸濁液の調製を含めた粒径最適化技術を利用して増強可能である。該製剤中に存在する化合物の形態としては、非晶質、一部非晶質、一部結晶性又は結晶性形態がある。
これとは別の実施形態では、医薬組成物は、さらに1種以上の水性溶解度増強剤、例えばシクロデキストリン等を含むことができる。シクロデキストリンの非限定例としては、α-、β-、及びγ-シクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マルトシル及びマルトトリオシル誘導体、並びにヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBC)が挙げられる。一部の実施形態では、医薬組成物はさらに、約0.1%~約20%、約1%~約15%、又は約2.5%~約10%の範囲のHPBCを含む。利用する溶解度増強剤の量は、組成物中の化合物の量に左右され得る。
【0185】
化合物の調製
本明細書で提供する化合物は、当業者により、例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる2014年2月20日公開の国際出願公開番号WO2014/028459 A1、2014年7月31日公開の国際出願公開番号WO2014/116845 A1、及び2015年2月5日公開の国際出願公開番号WO2015/017589 A1に記載の合成方法によって調製可能である。
【0186】
一般的スキーム
下記反応スキームは、本明細書に記載の化合物の作製方法を説明する。当業者は類似の方法又は当業者に周知の方法でこれらの化合物を作製できることが理解されよう。
一般に、出発成分及び試薬は、商業ベンダー等の種々の供給源から商業的に入手可能であるか、又は当業者に周知の方法論に従って合成可能であるか、又は本明細書に記載のように調製可能である。以下の記述では、描写した式の置換基及び/又は可変要素の組み合わせは、該寄与が安定化合物をもたらす場合にのみ許容できることが理解されよう。
一般に、本明細書に記載の式(I)の化合物は、スキーム1の一般手順に従って合成可能である。
スキーム1
【0187】
【0188】
スキーム1の一般手順
上記反応スキームの出発物質は、商業的に入手可能であるか又は当業者に周知の方法に従って若しくは本明細書に開示の方法により調製可能である。一般に、上記反応スキーム1で以下のように本明細書に記載の化合物を調製する:置換又は金属媒介クロスカップリング反応、例えばバックワルド(Buchwald)反応を用いてハロゲン化化合物1a(Halは、臭素又は塩素から選択されるハロゲンである)を化合物1b(Hは、アミン又はアルコールX官能基中の反応性水素原子であり、式(I)の化合物のX及びBは、本明細書に記載どおりである)と反応させて中間化合物1cを与える。化合物1cを更に反応させ、遷移金属媒介クロスカップリング反応、例えば鈴木反応を用いてボロン酸(boronate acid)又はボロン酸エステル化合物1d(Bは、ホウ素原子を表し、Rは、酸又はエステル官能基を表すか、又はホウ素とともに環系を形成し、式(I)の化合物のAは、本明細書に記載どおりである)と反応させて式(I)の化合物を与える。
補完的様式において、まず最初にボロン酸化合物1dを化合物1aと反応させた後に中間体をアミン化合物1bと反応させる逆の順序で式(I)の化合物を合成してもよい。化合物1aに対してボロン酸化合物1dとアミン化合物1bのどちらか又は両方を置換する様々な組み合わせに相当する他の変形形態が本明細書に記載の合成方法論の範囲に含まれるよう意図される。
【実施例】
【0189】
具体例
本記述の理解の助けになるように、以下に具体例を含める。当然に、本記述に関する実験は、本記述を具体的に限定するものと解釈すべきでなく、当業者の理解範囲内である現在公知であるか又は後に開発される本記述の該変形形態は、本明細書に記載し、かつ後に請求する本記述の範囲に入るものとみなされる。
実施例における以外に、特に反対の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いる材料、試薬、反応条件、実験データ等の量を表す全ての数値は、用語「約」で修飾されているものと理解すべきである。従って、全ての該数値は、反応によって又は可変実験条件の結果として得ようとする所望特性に応じて変動し得る近似値を表す。従って、実験の再現性の予測範囲内で、結果として生じたデータの文脈中の用語「約」は、平均からの標準偏差に応じて変動し得るという条件でデータの範囲を表す。なお、提供する実験結果については、結果として生じたデータを四捨五入して、有効数字を失うことなく、一貫してデータを提示することができる。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてでなく、有効桁数及び通常の丸め手法の観点から各数値パラメーターを解釈すべきである。
本記述の広い範囲を明記する数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、実施例に明記する数値は、できる限り正確に報告している。しかしながら、いずれの数値もそれらのそれぞれの試験測定に見られる標準偏差から必然的に生じる若干の誤差を本質的に含む。
生成物精製に用いたカラムクロマトグラフィーシステムは、ISCO CombiFlash(商標)ブランドのクロマトグラフィーシステム(Teledyne Isco製)であった。
【0190】
合成例
下記非限定を参照して本記述のさらなる詳細を提供する。本記述をさらに完全に説明するためにそれらを提供するが、本記述の範囲を限定するものと解釈すべきでない。これらの例は、本明細書に記載の特定化合物の調製、並びにこれらの化合物のインビトロ及び/又はインビボでの試験について説明する。当業者は、これらの例に記載の技術は、本記述の実施においてよく機能するように発明者らが記載した技術に相当し、そのようなものとして本記述の実施に好ましいモードを構成するものと理解するであろう。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、本記述の精神及び範囲を逸脱することなく、開示した具体的方法に多くの変更を加え、それでも同様又は類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
上記及び本記述全体を通して使用する場合、下記略語は、特に指定のない限り、下記意味を有すると理解すべきである。
【0191】
【0192】
例1(化合物411)
2-{6-[8-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル(メチル)アミノ]ピリダジン-3-イル}-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フェノール塩酸塩
工程1:3,6-ジブロモピリダジン(133.7mg,0.56mmol)、tert-ブチル(1R,5S)-3-(メチルアミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート(85mg,0.28mmol)及びDIPEA(0.15mL,0.84mmol)を1mLのACN中で混合し、LC-MSが出発物質の完全な消費を示すまで100℃に1時間加熱した。反応混合物を濃縮し、グラジエントCH2Cl2/MeOH(0%~30%のMeOH)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製してtert-ブチル (1S,5R)-3-[(6-ブロモピリダジン-3-イル)-メチル-アミノ]-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラートを得た(55mg,収率49.25%)。
【0193】
工程2:tert-ブチル 3-[(6-ブロモピリダジン-3-イル)-メチル-アミノ]-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート(55mg,0.14mmol)、4-[3-(メトキシメトキシ)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1-テトラヒドロピラン-2-イル-ピラゾール(68.82mg,0.17mmol)、Pd(dppf)Cl2(10.34mg,0.01mmol)、K2CO3(57.98mg,0.42mmol)をシュレンク管内で混合した。反応をN2で15分間脱気し、ジオキサン(2mL)と水(0.5mL)を加え、反応を90℃に16時間加熱した。反応を室温に冷まし、EtOAcと水に分配した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮し、グラジエントCH2Cl2/EtOAc(0%~80%)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製してtert-ブチル (1S,5R)-3-[[6-[2-(メトキシメトキシ)-4-(1-テトラヒドロピラン-2-イルピラゾール-4-イル)フェニル]ピリダジン-3-イル]-メチル-アミノ]-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート(52mg,62%)を黄褐色固体として得た。
【0194】
工程3:1mLのCH2Cl2と0.5mLのMeOHの混合物中のtert-ブチル (1S,5R)-3-[[6-[2-(メトキシメトキシ)-4-(1-テトラヒドロピラン-2-イルピラゾール-4-イル)フェニル]ピリダジン-3-イル]-メチル-アミノ]-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボキシラート(52mg,0.086mmol)の溶液に1,4-ジオキサン(0.06mL)中のHCl(4mol/L)を加えた。反応を一晩撹拌した。沈殿物を濾過してから真空下で乾燥させて2-[6-[8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル(メチル)アミノ]ピリダジン-3-イル]-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フェノール;塩酸塩(15mg,収率42.25%)を黄色固体として得た。
LC-MS: 377 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 9.37-9.51 (m, 1H), 8.87-8.96 (m, 1H), 8.31 (d, J=9.8 Hz, 1H), 8.12 (s, 2H), 7.74 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.19-7.27 (m, 2H), 4.80-4.92 (m, 1H), 4.08-4.14 (m, 3H), 3.07 (s, 3H), 2.30 (td, J=12.6, 2.8 Hz, 2H), 1.99-2.15 (m, 4H), 1.74-1.87 (m, 2H)
上記例1に記載の手順を用いて、適切な出発物質試薬、及び反応条件を代用し、例えば下記から選択される化合物を得たように、本明細書に記載の化合物をさらに調製できる。
【0195】
【0196】
例2(化合物416)
5-(5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-{6-[メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]ピリダジン-3-イル}フェノール
工程1:3-メトキシ-4-(6-(メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)フェニルトリフルオロメタンスルホナート(80mg,0.16mmol)、(tert-ブチル 3-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-カルボキシラート(59mg,0.19mmol)、Pd(dppf)Cl2(7mg,0.01mmol)、K2CO3(66mg,0.48mmol)をシュレンク管内で混合した。反応をN2で15分間脱気し、ジオキサン(2mL)と水(0.5mL)を加え、反応を90℃に16時間加熱した。反応を室温に冷まし、EtOAcと水に分配した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮してから、グラジエントCH2Cl2/MeOH(0%~30%のMeOH)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製してtert-ブチル 4-(3-メトキシ-4-(6-(メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-カルボキシラート(46mg,54%)を薄茶色固体として得た。
【0197】
工程2:2mLの乾燥CH2Cl2中のtert-ブチル 4-(3-メトキシ-4-(6-(メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-カルボキシラート(46mg,0.09mmol)の溶液を氷水浴中で冷却した。CH2Cl2中1.0Mの三臭化ホウ素(0.45mL,0.45mmol)を加えて反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応を2mLのMeOHでクエンチし、30分間撹拌してから濃縮し、グラジエントCH2Cl2/MeOH(2.5% NH4OH)(0%~30%のMeOH/NH4OH)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製してtert-ブチル 2-(6-(メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)-5-(3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェノール(20mg,55%)を黄色固体として得た。
LC-MS: 421 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 13.74 (s, 1H), 12.63-12.71 (m, 1H), 8.20 (d, J=9.5Hz, 1H), 8.03-8.04 (m, 1H), 7.86 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.73-7.75 (m, 1H), 7.36 (d, J=9.5Hz, 1H), 7.03-7.06 (m, 2H), 4.90-5.05 (m, 1H), 2.92 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 1.43-1.54 (m, 2H), 1.15-1.43 (m, 2H), 1.14 (s, 6H), 1.09 (s, 6H)
上記例2に記載の手順を用いて、適切な出発物質試薬、及び反応条件を代用し、例えば下記から選択される化合物を得たように、本明細書に記載の化合物をさらに調製できる。
【0198】
【0199】
例3(化合物419)
2-{6-[メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]ピリダジン-3-イル}-5-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)フェノール二塩酸塩
工程1:3-メトキシ-4-(6-(メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)フェニル トリフルオロメタンスルホナート(335mg,0.67mmol)、4-ニトロ-1H-ピラゾール(340mg,4.5mmol)、Pd2(dba)3(67mg,0.07mmol)、Me4tBu-XPhos(35mg,0.07mmol)、K3PO4(368mg,1.73mmol)をシュレンク管内で混合した。反応をN2で15分間脱気し、ジオキサン(8mL)を加え、反応を90℃に16時間加熱した。反応を室温に冷まし、セライトを通して濾過し、濃縮し、グラジエントCH2Cl2/MeOH(0%~30%のMeOH)、カラム:シリカ12gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して6-(2-メトキシ-4-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン(202mg,65%)を得た。
LC-MS: 466 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 9.81-9.85 (m, 1H), 8.61 (d, J=0.6 Hz, 1H), 7.91 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.81 (d, J=9.8 Hz, 1H), 7.73 (d, J=1.9 Hz, 1H), 7.68 (dd, J=8.2, 2.2 Hz, 1H), 7.10-7.21 (m, 1H), 5.08-5.26 (m, 1H), 3.96 (s, 3H), 2.95 (s, 3H), 1.59-1.75 (m, 4H), 1.40 (s, 6H), 1.33, (s, 6H), (観察されないOH又はNHに対応する1個の水素)
【0200】
工程2:6-(2-メトキシ-4-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン(150mg,0.32mmol)、ベンゼンチオール(33μL,0.32mmol)及びK2CO3(44mg,0.32mmol)をマイクロ波管内で混合した。反応をN2で15分間脱気し、乾燥NMP(1.5mL)を加えた。反応をBiotageマイクロ波内で190℃にて20分間加熱してから10mLのEtOAcで希釈し、水及びブラインで洗浄した。生成物をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮してから、グラジエントCH2Cl2/MeOH(0%~30%のMeOH)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して2-(6-(メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)-5-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)フェノール(60mg,42%)を褐色固体として得た。
LC-MS: 452 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 9.77 (s, 1H), 8.68 (d, J=9.8 Hz, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.27 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.87-7.94 (m, 1H), 7.66 (dd, J=8.5, 2.6 Hz, 1H), 7.64 (d, J=2.6 Hz, 1H), 5.03-5.22 (m, 1H), 3.01 (s, 3H), 1.84-1.94 (m, 2H), 1.70-1.77 (m, 2H), 1.53 (s, 6H), 1.43 (s, 6H), (観察されないOH及びNHに対応する2個の水素)
上記例3に記載の手順を用いて、適切な出発物質試薬、及び反応条件を代用し、例えば下記から選択される化合物を得たように、本明細書に記載の化合物をさらに調製できる。
【0201】
【0202】
例4(化合物424)
5-(1H-ピラゾール-4-イル)-2-[6-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル]フェノール三塩酸塩
工程1:3-ブロモ-6-(2-メトキシ-4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)ピリダジン(100mg,0.24mmol)、(1-(tert-ブトキシカルボニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ボロン酸(66mg,0.29mmol)、PddppfCl2(8mg,0.012mmol)、K2CO3(99mg,0.72mmol)をシュレンク管内で混合した。反応をN2で15分間脱気し、ジオキサン(2mL)と水(0.5mL)を加え、反応を90℃に16時間加熱した。反応を室温に冷まし、EtOAcと水に分配した。有機層をNa2SO4上で乾燥させてから真空下で濃縮し、グラジエントCH2Cl2/MeOH(0%~20%のMeOH)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して5-(1H-ピラゾール-4-イル)-2-(6-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)フェノール(102mg,82%)をオフホワイトの固体として得た。
【0203】
工程2:2mLの乾燥CH2Cl2中の5-(1H-ピラゾール-4-イル)-2-(6-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)フェノール(102mg,0.196mmol)の溶液を氷水浴内で冷却した。CH2Cl2中1.0Mの三臭化ホウ素(0.98mL,0.98mmol)を加えて反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応を2mLのMeOHでクエンチし、30分間撹拌してから濃縮し、分取HPLCを用いて精製して5-(1H-ピラゾール-4-イル)-2-(6-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)フェノール(41mg,66%)をオフホワイトの固体として得た。
LC-MS: 320 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 9.19 (br S, 2H), 8.54 (d, J= 9.6Hz, 1H), 8.22, (d, J=9.6Hz, 1H), 8.18 (s, 1H), 8.05 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.25-7.29 (m, 2H), 6.92 (s, 1H), 3.85-3.92 (m, 2H), 3.38-3.41 (m, 2H), 2.88-2.98 (m, 2H), (観察されないOH又はNHに対応する1個の水素)
上記例4に記載の手順を用いて、適切な出発物質試薬、及び反応条件を代用し、例えば下記から選択される化合物を得たように、本明細書に記載の化合物をさらに調製できる。
【0204】
【0205】
例5(化合物427)
2-[6-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピリダジン-3-イル]-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フェノール四塩酸塩
工程1:3,6-ジブロモピリダジン(500mg,2.1mmol)、4-(3-メトキシ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール(970mg,2.52mmol)、Pd(dppf)Cl2(77mg,0.11mmol)、K2CO3(870mg,6.3mmol)をシュレンク管内で混合した。反応をN2で15分間脱気し、ジオキサン(8mL)と水(1mL)を加えて反応を90℃に16時間加熱した。反応を室温に冷まし、EtOAcと水に分配した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮し、グラジエントヘキサン/EtOAc(0%~40%のEtOAc)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して3-ブロモ-6-(2-メトキシ-4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)ピリダジン(690mg,79%)をオフホワイトのふわふわした固体として得た。
【0206】
工程2:3-ブロモ-6-(2-メトキシ-4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)ピリダジン(50mg,0.12mmol)、tert-ブチル 4-アミノピペリジン-1-カルボキシラート(36mg,0.18mmol)、カリウムt-ブトキシド(41mg,0.36mmol)、tBuXPhos-Pd-G3(10mg,0.012mmol)をシュレンク管内で混合した。反応をArで脱気してから乾燥THF(2mL)を加えて反応を80℃に12時間加熱した。反応を室温に冷ましてからEtOAcと水に分配した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮し、グラジエントCH2Cl2/MeOH(0%~15%のMeOH)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製してtert-ブチル 4-((6-(2-メトキシ-4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)ピリダジン-3-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシラート(45mg,70%)を黄褐色固体として得た。
【0207】
工程3:2mLの乾燥CH2Cl2中の4-((6-(2-メトキシ-4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)ピリダジン-3-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシラート(45mg,0.084mmol)の溶液を氷水浴内で冷却した。CH2Cl2中1.0Mの三臭化ホウ素(0.42mL,0.42mmol)を加えて反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応を2mLのMeOHでクエンチし、30分間撹拌してから濃縮し、分取HPLCを用いて精製して2-(6-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピリダジン-3-イル)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フェノール(21mg,73%)を黄色がかった固体として得た。
LC-MS: 377 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 8.95 (s, 2H), 8.25 (d, J=9.6 Hz, 1H), 8.09 (s, 2H), 7.69 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.49-7.41 (m, 1H), 7.21-7.24 (m, 2H), 4.11-4.15 (m, 1H), 3.34-3.39 (m, 4H), 3.01-3.08 (m, 2H), 2.11-2.17 (m, 2H), 1.79 (q, J=9.2 Hz, 2H)
上記例5に記載の手順を用いて、適切な出発物質試薬、及び反応条件を代用し、例えば下記から選択される化合物を得たように、本明細書に記載の化合物をさらに調製できる。
【0208】
【0209】
例6(化合物430)
6-[2,3-ジフルオロ-4-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン塩酸塩
工程1:N2入口を備えたRBFに、6-ブロモ-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピリダジン-3-アミン(90mg,0.28mmol)、4-[2,3-ジフルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1-テトラヒドロピラン-2-イル-ピラゾール(128.8mg,0.33mmol)、Pd(PPh3)4(31.8mg,0.03mmol)、Na2CO3(87.43mg,0.83mmol)を加えた。反応をN2で15分間脱気してからジオキサン(8mL)と水(2mL)を加えた。反応を90℃に16時間加熱してから室温に冷まし、EtOAcと水に分配した。Na2SO4上で有機層を乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、グラジエントCH2Cl2/MeOH(0%~30%)、カラム:シリカ4gで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して6-(2,3-ジフルオロ-4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン(88mg,63%)を灰色固体として得た。
【0210】
工程2:6-[2,3-ジフルオロ-4-(1-テトラヒドロピラン-2-イルピラゾール-4-イル)フェニル]-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピリダジン-3-アミン(88mg,0.17mmol)をMeOH(2mL)に溶かし、ジオキサン中4MのHCl(90μL,0.34mmol)を滴加した。LC-MSが出発物質の完全な消費を示すまで反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して6-(2,3-ジフルオロ-4-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン塩酸塩を得た。
LC-MS: 427 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 9.21-9.33 (m, 1H), 8.27-8.43 (m, 1H), 8.20 (s, 2H), 8.01 (d, J=9.8 Hz, 1H), 7.60-7.79 (m, 3H), 5.01-5.14 (m, 1H), 3.05 (s, 3H), 2.10 (td, J=13.2, 1.6 Hz, 2H), 1.79 (dd, J=12.9, 4.1 Hz, 2H), 1.55 (s, 6H), 1.50 (s, 6H)
上記例6に記載の手順を用いて、適切な出発物質試薬、及び反応条件を代用し、例えば下記から選択される化合物を得たように、本明細書に記載の化合物をさらに調製できる。
【0211】
【0212】
例7(化合物434)
6-[2-メトキシ-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-3-イル]-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン塩酸塩
6-(2-メトキシ-6-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-3-イル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン(6mg)を1mLの4N HCl/ジオキサンに溶かし、結果として生じた混合物をRTで20分間撹拌した。混合物をエバポレートし、エーテルと摩砕して6-(2-メトキシ-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-3-イル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミンを得た(4mg,75%)。
LC-MS: 422 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ: 8.42 - 8.47 (m, 1H), 8.33 - 8.42 (m, 2 H), 8.09 - 8.17 (m, 1H), 7.99 - 8.08 (m, 1H), 7.50 - 7.56 (m, 1H), 5.0 (m, 1H), 4.16 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 1.94 - 2.15 (m, 4H), 1.65 (s, 6H), 1.57 (s, 6H)
【0213】
例8(化合物460)
3-{6-[メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]ピリダジン-3-イル}-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-オール塩酸塩
工程1:6-クロロ-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン(280mg,1.0mmol)を10mLのジオキサンと水の混合物(4:1)に溶かした。この溶液に炭酸ナトリウム(190mg,3当量)、(6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)ボロン酸(190mg,1当量)及びPd(Ph3P)4(70mg,0.1当量)を加えた。反応混合物を90℃で16時間撹拌してからカラムに掛け、DCM/MeOHを用いて精製して6-(6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミンを得た(133mg,55%)。
LC-MS: 390 [M+H]+. 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 8.25 (d, J=7.88 Hz, 1H), 7.83 (d, J=9.77 Hz, 1H), 7.24 (d, J=7.88 Hz, 1H), 7.11 (d, J=9.77 Hz, 1H), 5.00 - 5.24 (m, 1H), 3.93 (s, 3 H), 2.87 - 2.96 (m, 3H), 1.40 - 1.57 (m, 4H), 1.21 - 1.29 (m, 7H), 1.10 (br s, 6H
【0214】
工程2:6-(6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン(90mg)をジオキサンと水の混合物(4:1,5mL)に溶かした。この溶液に炭酸ナトリウム(100mg,3当量)、1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(70mg,1.1当量)及びPd(Ph3P)4(27mg,0.1当量)を加えた。反応混合物を90℃で16時間撹拌してからカラムクロマトグラフィーでDCM/MeOHを用いて精製して80mg(68%)の6-(2-メトキシ-6-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-3-イル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミンを得た。
【0215】
工程3:6-(2-メトキシ-6-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-3-イル)-N-メチル-N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-3-アミン(45mg)を4mLの4N HCl/ジオキサンに溶かし、結果として生じた混合物を2時間60℃Fで加熱した。結果として生じた混合物をエバポレートし、エーテルと摩砕して3-(6-(メチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-オールを得た(24mg,61%)。
LC-MS: 408 [M+H]+; 1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ: 8.62 - 8.69 (m, 1H), 8.55 - 8.61 (m, 1H), 8.39 (s, 2H), 7.95 - 8.06 (m, 1H), 7.04 - 7.14 (m, 1H), 5.02 - 5.24 (m, 1H), 3.18 (s, 3H), 2.03 (s, 4H), 1.67 (s, 6H), 1.57 (s, 6H)
上記例8に記載の手順を用いて、適切な出発物質試薬、及び反応条件を代用し、例えば下記から選択される化合物を得たように、本明細書に記載の化合物をさらに調製できる。
【0216】
【0217】
生物学的例
下記インビトロ生物学的例は、ハンチントン病を治療するための本記述の化合物の有用性を実証する。
さらなる詳細を記載して本記述の理解を助けるため、下記非限定生物学的例を提供して、本記述の範囲をさらに完全に説明するが、それらが本記述の範囲を具体的に限定するものと解釈すべきでない。確かめることにより当業者の理解範囲内となり、現在既知であるか又は後に開発され得る、本記述の該変形形態は、本記述の範囲に入り、後記で請求するものとみなされる。
【0218】
例1
変異ハンチンチンタンパク質(HTT)及び総ハンチンチンタンパク質(HTT)を定量化するためのメソスケールディスカバリー(Meso Scale Discovery)(MSD)アッセイの開発及び検証-内在性HTT検出のための最良ペア分析
HTT低減に有用な経口により生体利用可能な小分子を同定するためには、HD患者及び動物モデルからの細胞及び組織内の総HTT(野生型及び変異体)(tHTT)と変異HTT(mHTT)の両方を検出及び測定するためのハイスループットELISA法が必要である。本明細書に記載の方法は、HD 患者及びHD動物モデルからの細胞及び組織内のtHTT及びmHTTレベルの相対的にハイスループットのタンパク質測定を可能にする。本明細書に記載のELISA法は、HTTレベルを下げる分子の能力についての分子のスクリーニングを可能にし、かつHDの治療に用いる小分子を同定及び最適化することができる。
高感度のハイスループット形式でHTT(野生型及び変異体)を検出する抗体の組み合わせを決定するため、捕獲/検出組み合わせで複数の市販抗体(表1)をスクリーニングした。
【0219】
細胞内の総HTT及び変異HTTを検出する際の抗体比較のための最良ペア分析プロトコル
1. 細胞培養適合性96ウェルプレート内で細胞を培養した。
2. 培地を除去し、1ウェル当たり50~100μLの溶解バッファー(後述する組成)を細胞に添加して「細胞溶解物」を得た。プレートを4℃で30分間振盪機上に置いてから-20℃で貯蔵した。
3. プレートレイアウトに記載どおりに標準プレート用PBSで捕獲抗体を希釈することによって捕獲抗体希釈液を調製し、この捕獲抗体希釈液を1ウェル当たり30μL添加した。プレートを密封し、4℃で一晩インキュベートした。
4. プレートを200μLの洗浄バッファーで3回洗浄した。遮断バッファー(1ウェル当たり150μL)を加えてからプレートを密封してプレート振盪機上で3~4時間室温(RT)でインキュベートした。
5. 遮断バッファーをデカントし、プレートを200μLの洗浄バッファーで3回洗浄した。
次に細胞溶解物(1ウェル当たり25μL)を加えた。プレートを密封して4℃で一晩インキュベートした。
6. ペアリング用の第1の検出抗体をアッセイ抗体希釈液で希釈することによって第1の検出抗体希釈液を調製した。プレートを200μLの洗浄バッファーで3回洗浄してから、1ウェル当たり25μLの第1の検出抗体希釈液を加えた。プレートを密封し、プレート振盪機上で1時間RTでインキュベートした。
7. ペアリング用の第2の検出抗体をアッセイ抗体希釈液で希釈することによって第2の検出抗体希釈液を調製した。プレートを200μLの洗浄バッファーで3回洗浄してから、1ウェル当たり25μLの第2の検出抗体希釈液を加えた。プレートを密封し、プレート振盪機上で1時間RTでインキュベートした。
8. 読み取りバッファーを4倍希釈した。プレートを3回200μLの洗浄バッファーで洗浄してから、1ウェル当たり150μLの読み取りバッファーを加えた。直後にプレートを読み取った。
様々な捕獲/検出組み合わせを提供する最良ペア分析でスクリーニングした種々の市販抗体を表1に示す。評価した捕獲/検出抗体ペアを表2に示す。値の最大幅(より高いシグナル・ノイズ比)を与えた2つの抗体ペアをポリグルタミン伸長HTT(mHTT)検出及び総ヒトHTT検出用に選択した。
【0220】
【0221】
【0222】
最良ペア捕獲/検出抗体ペアの特性は、最小バックグラウンド及び最大シグナルを与える組み合わせである。このような高感度ELISAアッセイは、薬剤(小分子及び大分子並びに遺伝子療法)をスクリーニングするための創薬の状況でHTTを検出するため及び臨床研究でバイオマーカーとしてHTTを検出する際に用いるために役立つであろう。総HTTの定量化用の該捕獲/検出抗体ペアは、MAB2166/MAB2174及びMAB2166/#5656Sから選択される。変異HTTの定量化用の該捕獲/検出抗体ペアは、MAB1574/#5656S、P1874/#5656S及びMW1/#5656Sから選択される。この分析からmHTT用の抗体ペア(MW1/#5656S)及び総HTT用の他の抗体ペア(MAB2166/#5656S)をさらに最適化及び検証して、患者の線維芽細胞及びリンパ球においてHTT検出を可能にするハイスループットアッセイを得た。
表2に特定した最良ペア抗体を用いて、例2に用いる内在性ハンチンチンタンパク質アッセイを開発し、多細胞系におけるポリグルタミン伸長HTT(mHTT)及び総ヒトHTTの高感度ハイスループット検出アッセイを得た。このアッセイに用いるプラットフォームは、ELISAベースメソスケールディスカバリー(MSD)電気化学発光アッセイプラットフォームである。
【0223】
例2
内在性ハンチンチンタンパク質アッセイ
メソスケールディスカバリー(MSD)96ウェル又は384ウェルプレートを一晩4℃でMW1(伸長ポリグルタミン)又はMAB2166モノクロナール抗体(捕獲用)によりPBS中1μg/mLの濃度(1ウェル当たり30μL)で被覆した。次いでプレートを300μLの洗浄バッファー(PBS中0.05%のTween-20)で3回洗浄し、4~5時間室温で回転振盪により遮断してから(100μLの遮断バッファー;PBS中5%のBSA)、洗浄バッファーで3回洗浄した。
【0224】
サンプル(25μL)を抗体被覆MSDプレートに移し、4℃で一晩インキュベートした。溶解物の除去後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、25μLの#5656S(細胞シグナル伝達;ウサギモノクロナール)二次抗体(遮断バッファー中0.05%のTween-20で0.25μg/mLに希釈)を各ウェルに加えて振盪させながら室温で1時間インキュベートした。二次抗体とのインキュベーション後、ウェルを洗浄バッファーですすいだ後に25μLのヤギ抗ウサギSULFO TAG二次検出抗体(MSDシステムの所要態様)(遮断バッファー中0.05%のTween-20で0.25μg/mLに希釈)を各ウェルに加えて振盪させながら室温で1時間インキュベートした。洗浄バッファーで3回すすいだ後、150μLの読み取りバッファーTを界面活性剤(MSD)と共に各ウェルに加え、SI 6000撮像装置(MSD)で、96又は384ウェルプレート用に提供された製造業者の説明書に従ってプレートを撮像した。試験した化合物について結果として得られたIC50値(μM)を表3に示す。
表3に示すように、本明細書に記載の試験化合物は、下記IC50値を有した。IC50値>3μMと≦9μMの間のIC50値を単一星(*)で表し、>1μMと≦3μMとの間のIC50値を2星(**)で表し、>0.5μMと≦1μMとの間のIC50値を3星(***)で表し、>0.1μMと≦0.5μMとの間のIC50値を4星(****)で表し、≦0.1μMのIC50値を5星(*****)で表してある。
【0225】
【0226】
本明細書で引用した文書は、参照によって組み込まれると具体的及び個々に示したかに関係なく、本明細書で参照した全ての文書は、あたかもそれぞれ個々の文献を本明細書に完全に明記したかのごとく同程度にありとあらゆる目的で本出願に参照によって組み込まれる。
以上、特許請求の範囲の主題を完全に記載したが、当業者には、該主題又は本明細書に記載の実施形態の範囲に影響を与えることなく、同じことを広範な等価形態内で行なえることが理解されよう。添付の特許請求の範囲は、このような全ての等価形態を包含するものと解釈するよう意図されている。