IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒート クリック カンパニー アクティエボラーグの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】熱パネル及び暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 13/02 20060101AFI20220216BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
F24D13/02 A
F24D13/02 B
E04F15/18 X
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020516370
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 SE2018050514
(87)【国際公開番号】W WO2018217153
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】1750632-0
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】519418547
【氏名又は名称】ヒート クリック カンパニー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】タイスト カレビ ニーストレーム
(72)【発明者】
【氏名】ホーカン ヨーアン レーフォルム
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-521110(JP,A)
【文献】国際公開第2004/048854(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0115691(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1884716(EP,A2)
【文献】中国特許出願公開第103075757(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0133464(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 13/02
E04F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル(100)であって、
-ベース層(101)と、
-前記ベース層(101)に装着された熱提供層(102)であって、熱が電気エネルギーによって生成される、熱提供層と、
-前記熱提供層(102)に装着されたカバリング層(103)と、
-前記パネル(100)の互いに反対側の第1長手方向辺(105)及び第2長手方向辺(106)と、
-前記パネル(100)の互いに反対側の第1端部辺(107)及び第2端部辺(108)と、
-前記パネル(100)を、隣接するパネル(201、...、206)に結合するべく構成されたパネル結合手段(115、116、117、118)と、
-前記第1端部辺(107)から前記第2端部辺(108)まで前記ベース層(101)内において配置された、且つ、前記熱提供層(102)と対向している、第1長手方向溝(121)及び第2長手方向溝(122)であって、前記第1長手方向辺(105)及び第2長手方向辺(106)と平行に配置された、且つ、これらに対する少なくとも第1距離(131)及び第2距離(132)を有する、第1長手方向溝(121)及び第2長手方向溝(122)と、
-前記第1端部辺(107)及び前記第2端部辺(108)の少なくとも1つから突出するべく、第1長手方向溝(121)及び第2長手方向溝(122)内において配置された、且つ、前記熱提供層(102)に電気的に接続されるべく、且つ、少なくとも部分的な弾性を有し、これにより、前記パネル(100)が少なくとも1つの隣接するパネル(201、202)に結合された際に、前記第1端部辺(107)及び前記第2端部辺(108)の前記少なくとも1つに垂直である、且つ、前記少なくとも1つの隣接するパネル(201、202)の少なくとも1つの端子コネクタに向かって方向付けされた、接続力Fconを提供するべく、構成された、少なくとも1つの第1電気端子コネクタ(151)及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ(152)と、
を有するパネル。
【請求項2】
前記第1長手方向溝(121)及び第2長手方向溝(122)の端部は、前記第1長手方向溝(121)及び第2長手方向溝(122)の長さの中間における深さDmidよりも小さい、前記第1端部辺(107)及び第2端部辺(108)の少なくとも1つに隣接(123)する端部深さDendを有しており、即ち、Dend<Dmidであり、前記端部深さDendは、少なくとも1つの第1電気端子コネクタ(151)及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ(152)の厚さTconに対応しており、即ち、Dend=Tconである請求項1に記載のパネル(100)。
【請求項3】
-それぞれ、前記第1端部辺(107)から前記第2端部辺(108)まで前記第1長手方向溝(121)及び第2長手方向溝(122)内において配置された第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)を更に有し、これにより、
-前記少なくとも1つの第1電気端子コネクタ(151)及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ(152)は、前記第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)を利用して前記熱提供層(102)に電気的に接続されるべく構成されている請求項1に記載のパネル(100)。
【請求項4】
前記第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)は、
-少なくとも部分的な弾性を有する且つ導電性を有する材料と、
-固体の、且つ、導電性を有する材料と、
の群のうちの少なくとも一つを含む請求項に記載のパネル(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1電気端子コネクタ(151)及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ(152)は、前記導電性を有する第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)を介して前記熱提供層(102)に電気的に接続されている請求項に記載のパネル(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1電気端子コネクタ(151)及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ(152)は、前記熱提供層(102)が、前記カバリング層(103)と前記第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)の間において配置され、且つ、前記第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)に装着されることにより、前記熱提供層(102)に電気的に接続されている請求項乃至のいずれか1項に記載のパネル(100)。
【請求項7】
前記第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)は、前記熱提供層(102)と前記少なくとも1つの第1電気端子コネクタ(141)及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ(142)の間において電気接続を提供するために、前記熱提供層(102)及び前記少なくとも1つの第1電気端子コネクタ(151)及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ(152)を互いに圧接状態において押圧するべく構成されている請求項に記載のパネル(100)。
【請求項8】
前記電気接続は、前記熱提供層(102)が、前記ベース層(101)と前記第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)の間において前記第1長手方向溝(121)及び第2長手方向溝(122)内において配置されることにより、提供され、これにより、前記第1長手方向結合要素(141)及び第2長手方向結合要素(142)は、それぞれ、前記熱提供層(102)及び前記少なくとも1つの第1電気端子コネクタ(151)及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ(152)を互いに圧接状態において押圧するべく、構成されている請求項に記載のパネル。
【請求項9】
暖房システム(800)であって、
-請求項1乃至のいずれか1項に記載の少なくとも1つのパネル(100、201、206)と、
-前記電気エネルギーを前記少なくとも1つのパネル(100)の少なくとも1つの第1電力供給端子コネクタ(161)及び少なくとも1つの第2電力供給端子コネクタ(162)に提供するべく、前記少なくとも1つのパネル(100)の前記第1端部辺(107、107’)及び前記第2端部辺(108、108’)の少なくとも1つに隣接した状態において配置された電気エネルギー提供構成(810)と、
を有する暖房システム。
【請求項10】
前記電気エネルギー提供構成(810)は、
-前記少なくとも1つの第1電力供給端子コネクタ(161)及び少なくとも1つの第2電力供給端子コネクタ(162)が、前記第1端部辺(107、107’)及び前記第2端部辺(108、108’)の少なくとも1つから突出する、取付ベース(820)において、且つ、
-前記少なくとも1つの第1電力供給端子コネクタ(161)及び少なくとも1つの第2電力供給端子コネクタ(162)が、前記第1端部辺(107、107’)及び前記第2端部辺(108、108’)の少なくとも1つのものの周りにおいて折り曲げられ、且つ、前記ベース層(101)と前記電気エネルギー提供構成(810)の間において、且つ、前記電気エネルギー提供構成(810)の少なくとも1つの部分との電気接触状態において、配置される、前記ベース層(101)に対向する状態において、
からなる群のうちの1つに従って配置されている請求項に記載の暖房システム(800)。
【請求項11】
前記電気エネルギーは、パネル(100)の前記第1端部辺(107)の前記第1電力供給端子コネクタ(161)及び第2電力供給端子コネクタ(162)に、或いは、前記パネル(100)の前記第1端部辺(107)に直接又は間接的に結合された隣接パネル(202)の第1端部辺(107’)に供給される第1及び第2極性により、提供されている請求項乃至10のいずれか1項に記載の暖房システム(800)。
【請求項12】
前記電気エネルギーは、
-パネル(100)の前記第1端部辺(107)の前記第1電力供給端子コネクタ(161)又は第2電力供給端子コネクタ(162)に、或いは、前記パネル(100)の前記第1端部辺(107)に直接又は間接的に結合された隣接パネル(202)の第1端部辺(107’)に、供給される第1極性(P1)、並びに、
-前記パネルの前記第2端部辺(108)の前記第1電力供給端子コネクタ(161)又は第2電力供給端子コネクタ(162)に、或いは、前記パネル(100)の前記第2端部辺(108)に直接又は間接的に結合された隣接パネル(201)の第2端部辺(108’)に、供給される第2極性(P2)、
によって提供されている請求項乃至10のいずれか1項に記載の暖房システム(800)。
【請求項13】
請求項乃至12のいずれか1項に記載の前記暖房システム(800)を設置する方法であって、
-前記電気エネルギー提供構成(810)を取付ベース(820)において取り付けるステップと、
-前記第1端部辺(107)及び第2端部辺(108)上の結合手段(117、118)の使用により、第1パネル(100)を少なくとも1つの第2パネル(201、202)と機械的に結合し、これにより、前記第1パネル(100)及び前記少なくとも1つの第2パネル(201、202)の列を生成するステップと、
-前記第1パネル(100)及び前記少なくとも1つの第2パネル(201、202)の第1電気端子コネクタ(151)及び第2電気端子コネクタ(152)の使用により、前記第1パネル及び前記少なくとも1つの第2パネル(201、202)を電気的に接続するステップと、
-前記第1パネル(100)及び前記少なくとも1つの第2パネル(201、202)の1つ又は複数のものの第1電力供給端子コネクタ(161)及び第2電力供給端子コネクタ(162)を前記電気エネルギー提供構成(810)に接続するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
-前記電気エネルギー提供構成(810)を前記取付ベース(820)において取り付けるステップと、
-前記第1端部辺(107)及び第2端部辺(108)上の前記結合手段(117、118)の使用により、第1パネル(100)を少なくとも1つの第2パネル(201、202)と機械的に結合し、これにより、前記第1パネル(100)及び前記少なくとも1つの第2パネル(201、202)の列を生成する、ステップと、
-前記第1パネル(100)及び前記少なくとも1つの第2パネル(201、202)の前記第1電気端子コネクタ(151)及び第2電気端子コネクタ(152)の使用により、前記第1パネル(100)及び前記少なくとも1つの第2パネル(201、202)を電気的に接続するステップと、
-前記第1パネル(100)の前記第1端部辺(107)上の前記第1電力供給端子コネクタ(161)及び第2電力供給端子コネクタ(162)の1つを前記電気エネルギー提供構成(810)に接続し、これにより、前記電気エネルギーの第1極性(P1)が提供される、ステップと、
-前記第1パネル(100)の前記第2端部辺(108)上の前記第1電力供給端子コネクタ(161)及び第2電力供給端子コネクタ(162)の別のものを前記電気エネルギー提供構成(810)に接続し、これにより、前記電気エネルギーの第2極性(P2)が提供される、ステップと、
を含む請求項13に記載の暖房システム(800)を設置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文において定義されているパネルに関する。又、本発明は、請求項13の前文において定義されている暖房システムにも関する。又、本発明は、請求項17において定義されている暖房システムを設置する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
以下の背景情報は、本発明の背景の説明であり、従って、これは、必ずしも、従来技術の説明であるというわけではない。
【0003】
我々の時代の大きな課題の1つが、世界における全体的なエネルギー消費量を低減する、というものである。世界の多くの地域において、住宅、アパート、事務所、店舗、工場、及び/又はその他の公的又は非公的な空間は、これらの空間において時間を過ごす人々のために、受け入れ可能な環境を提供するべく、暖房する必要がある。従って、このような暖房は、エネルギー消費を最小限に維持する必要があると同時に、快適な温度を提供する必要がある。
【0004】
受け入れ可能な温度/環境が提供されると同時に、エネルギー消費を低減するべく、床下暖房を使用することができる。現在、床をカバーするべく石及び/又はセラミックタイルが使用される際には、熱源として温水又は電気を使用する床下暖房を設置するのが一般的である。又、床をカバーするべく、パーケットフローリングなどの木製の床が使用される際にも、床下暖房を使用することができる。
【0005】
これまでのところ、床下暖房を提供するべく使用されている熱は、床板の下方のパイプ/チューブ内を流れる温水により、且つ/又は、床板の下方において配置されたシート材料内の抵抗値を通じて流れる電気により、生成されている。このような既知の解決策については、(特許文献1)において記述されており、この場合には、この特許文献において「暖房装置1と表記されている」マット/シートは、「床カバリング12」の下方において、即ち、実際の床板の下方において配置されている。従って、これらのパイプ/チューブ及び/又はシート材料は、木製の床の下方において、或いは、石及び/又はセラミックタイルの下方において、配置されている。これらの従来の解決策は、熱が実際に必要とされている空間内に、即ち、木製の床の上方の、且つ/又は、石及び/又はセラミックタイルの上方の、空間内に、熱を提供することにおいて、あまり効率的ではない、という欠点を有する。これは、熱が木製の床の下方において、或いは、石及び/又はセラミックタイルの下方において、生成され、且つ、従って、例えば、人々が存在している空間に到達するには、即ち、暖房を要する空間に到達するには、木製の床の全体を通じて、且つ/又は、石及び/又はセラミックタイルの全体を通じて、熱を搬送する必要がある、という事実に起因している。又、生成された熱の大きな部分が、反対方向において、即ち、木製の床又は石及び/又はセラミックタイルから離れるように、搬送されており、これは、暖房を要する空間から離れることをも意味している。従って、このような従来の暖房システムにおいては、生成された熱の多くが失われており、従って、暖房システムは、非効率的であり、且つ、エネルギーを浪費している。
【0006】
(特許文献2)において示されている従来技術の解決策においては、その代わりに、フローリングボードに、板の内部における埋め込み型の暖房フォイルが提供されており、これは、電気エネルギーが供給された際に熱を生成するべく、構成されている。これにより、生成された熱は、熱が必要とされている空間に対して格段に効率的に提供されており、その理由は、熱が、その下方の代わりに、実際の床板内において生成されているからである。
【0007】
但し、(特許文献2)において示されているフローリングボードは、フローリングボードに対する電力供給に関係するいくつかの問題点を有している。フローリングボードは、フローリングボードをその他のフローリングボードと機械的に1つに結合するべく使用される、クイック結合ジョイントの溝及び舌の上部に配置された電気接続手段を有する。電気接続手段が、ジョイントの溝及び舌の上部に配置されていることから、圧力がフローリングボード上において印加された際に、電気接続手段も、小さな運動を経験することになる。ジョイントの一部分、即ち、ジョイントの溝及び舌、は、例えば、人間がフローリングボード上を歩行するたびに、毎回、わずかに運動する。これにより、(特許文献2)における電気接続手段は、ある程度の使用の後に、損耗した状態となる。又、電気接続手段の損耗の結果として、接触の喪失がもたらされる場合もあり、これにより、暖房機能が失われる。又、電気接続手段の損耗により、短絡が発生する場合もあり、これは、例えば、火災のリスクに起因し、危険なものとなりうる。当然のことながら、これらの発生可能な問題点は、特に長い予想寿命を有する床の場合には、非常に不適切なものである。このような床は、誤動作する床の暖房機能に起因し、予想よりもかなり短い時間の後に、交換を要する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2008/0210679号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0289144号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、上述の問題点及び/又は欠点のうちの少なくともいくつかを解決するパネル、暖房システム、及び方法を提供することが、本発明の目的である。この目的は、請求項1の特徴付け部分による上述の言及されたパネルにより、実現される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
パネルは、
-ベース層と、
-ベース層に装着された熱提供層であって、熱が電気エネルギーによって生成される、熱提供層と、
-可視表面を有しうる、熱提供層に装着されたカバリング層と、
-反対側の第1及び第2長手方向辺と、
-反対側の第1及び第2端部辺と、
-パネルを、隣接パネルに結合するべく構成されたパネル結合手段と、
-第1端部辺から第2端部辺までベース層内において配置された、且つ、熱提供層に対向している、少なくとも第1及び第2長手方向溝であって、それぞれ、第1及び第2長手方向辺と平行に配置された、且つ、これらに対する少なくとも第1及び第2距離を有する、少なくとも第1及び第2長手方向溝と、
-第1及び第2端部辺の少なくとも1つから突出するべく、少なくとも第1及び第2長手方向溝内において配置された、且つ、熱提供層に電気的に接続されるべく、且つ、少なくとも1つの隣接するパネルの少なくとも1つの対応する端子コネクタに電気的に接続可能となるべく、且つ、少なくとも部分的な弾性を有し、これにより、パネルが少なくとも1つの対応するパネルに結合された際に、第1及び第2端部辺の少なくとも1つに対して基本的に垂直である接続力Fconを提供するべく、構成された、少なくとも1つの第1及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタであって、接続力Fconは、少なくとも1つの隣接するパネルの少なくとも1つの対応する端子コネクタに向かって方向付けされている、少なくとも1つの第1及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタと、
を含む。
【0011】
パネルが、その端部辺において、2つの隣接するパネルの間において機械的に結合/配置された場合に、2つの接続力Fconは、パネルの2つの端部辺のそれぞれのものにおいて、1つずつ、生成されることに留意されたい。但し、パネルがパネルの列内の最初又は最後において配置されている場合には、即ち、パネルが、その端部辺の1つにおいて、1つの隣接するパネルにのみ、機械的に結合されている場合には、隣接するパネルに対向している端部辺においてのみ、1つの接続力Fconが生成される。従って、それぞれ、第1及び第2端部辺の少なくとも1つに対して基本的に垂直である少なくとも1つの接続力Fconは、パネルが少なくとも1つの隣接するパネルに結合された際に、生成される。
【0012】
又、本発明の一実施形態によれば、パネルは、それぞれ、第1端部辺から第2端部辺まで少なくとも第1及び第2長手方向溝内において配置された少なくとも第1及び第2長手方向結合要素をも含む。これにより、少なくとも第1及び第2長手方向溝内において配置された少なくとも1つの第1及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタは、少なくとも第1及び第2長手方向結合要素を利用して熱提供層に電気的に接続されるべく、構成されている。
【0013】
又、上述の目的は、請求項13の特徴付け部分による上述の暖房システムによっても実現される。
【0014】
暖房システムは、
-本明細書において記述されている少なくとも1つのパネルと、
-例えば、取付ベースにおいて配置された、且つ、電気エネルギーを少なくとも1つの第1及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタに提供するべく、少なくとも1つのパネルの第1及び第2端部辺の少なくとも1つに隣接した状態においてベース層に対向している、電気エネルギー提供構成と、
を含む。
【0015】
又、上述の目的は、請求項17の特徴付け部分による、本発明による暖房システムを設置する上述の方法によっても実現される。
【0016】
方法は、
-取付ベースにおいて、電気エネルギー提供構成を取り付けるステップと、
-第1及び第2端部辺上における結合手段の使用により、第1パネルを少なくとも1つの第2パネルと機械的に結合し、これにより、第1パネル及び少なくとも1つの第2パネルの列を生成するステップと、
-第1パネル及び少なくとも1つの第2パネルの第1及び第2端子コネクタの使用により、第1パネル及び少なくとも1つの第2パネルを電気的に接続するステップと、
-第1パネル及び少なくとも1つの第2パネルの1つ又は複数のものの第1及び第2電力供給端子コネクタを電気エネルギー提供構成に接続するステップと、
を含む。
【0017】
本発明によるパネル及び暖房システムは、基本的に、すべての種類の空間の、エネルギー効率に優れた、且つ、耐久性のある、暖房を提供する。
【0018】
例えば、フローリングパネル、壁パネル、及び/又は天井パネルなどの、構造パネル内に熱提供層を統合することにより、このようなパネルを少なくとも部分的に含む床、壁、及び天井によって境界が定められた空間内の屋内気候/温度を効率的に、正確に、且つ、確実に、調節することができる。
【0019】
熱提供層は、暖房対象の空間の非常に近傍に配置されており、その理由は、これが、カバリング/装飾層の直接下方において配置されているからである。これにより、本発明によるパネルが使用される際には、生成された熱を暖房対象の空間に非常に効率的に搬送することができる。この暖房対象の空間への効率的な熱の搬送により、熱を生成するべく使用される電気エネルギーの消費が極小化される。
【0020】
本発明によるパネルは、切断することが可能であり、且つ、依然として、床の敷き込みに使用されうる、という意味において、切断可能である。これは、第1及び第2長手方向溝の場所が正確に定義されるという事実に起因すると共に、第1及び第2長手方向溝が、パネルの第1端部辺から第2端部辺まで延在しており、この結果、更には、パネルの長さの全体に跨って第1及び第2溝内において配置される第1及び第2電気端子コネクタ及び/又は第1及び第2電力供給端子コネクタの正確に定義された配置が得られる、という事実にも起因している。これにより、切断されたパネルは、別の切断されたパネルに圧接した状態において敷き込まれてもよく、或いは、パネル全体に圧接した状態において敷き込まれてもよく、且つ、依然として、パネル内において熱を生成するための電気エネルギーの確実な供給が提供されることになろう。これが可能である理由は、第1及び第2長手方向溝が、パネルの第1端部辺から第2端部辺まで延在している、即ち、パネルの長さ全体に沿って正確に定義された場所において配置されており、従って、パネルの第1及び第2電気端子コネクタ及び/又は第1及び第2電力供給端子コネクタが、切断されたパネルの場合にも、接続が容易に実施されうるように、フィット/マッチング/遭遇することになるからである。
【0021】
本発明によるパネルの電気端子コネクタ及び/又は電力供給端子コネクタは、機械的なパネルジョイント結合とは、即ち、パネルを1つに機械的に保持するジョイント結合とは、別個である。これにより、電気端子コネクタ及び/又は電力供給端子コネクタは、機械的パネルジョイントの一部分の多くの運動からも、且つ、これらの運動が結果的にもたらしうるコンポーネントの損耗からも、保護されている。これにより、安全且つ確実なパネルに対する電力供給が保証されている。又、本発明による電気端子コネクタの設計は、安定した電気結合が提供されると同時に、1つとしてのパネルの機械的結合をも単純化している。
【0022】
又、本発明によるパネルの第1及び第2端部辺の少なくとも1つのものから突出する少なくとも部分的な弾性を有する端子コネクタは、端子コネクタの弾性及び突出によって生成される垂直の接続力Fconに起因し、隣接するパネルの対応する端子コネクタに対する確実且つ安全な電気接続を提供している。更に詳しく後述するように、電気接触を生成する接続力Fconは、パネルと隣接パネルを1つに結合するパネル結合手段によって生成される結合力Fcouplにより、生成されている。従って、弾性を有する第1及び第2電気端子コネクタは、パネルが、隣接する対応したパネルに結合された際に、それぞれ、第1及び第2端部辺に対して基本的に垂直である接続力Fconを提供する。これにより、熱提供層内において熱を生成するべく使用される電気エネルギーは、結合されたパネルのそれぞれのものまで確実に到達し、且つ、従って、パネルのそれぞれのものの熱提供層にも到達している。
【0023】
本発明によるパネルは、費用効率に優れた方式で製造することができると共に、設置することができる。熱は、例えば、約25ボルト又は約50ボルトなどのように、4~60ボルトなどの低電圧の使用によって生成することができることから、パネルは、場合によっては、素人により、即ち、専門家ではない人により、設置することができる。従って、本発明によるパネルの設置によれば、パネルが設置/使用される場所の法律及び規則によっては、電気技術者が存在するニーズがなくなる場合があり、この結果、例えば、住宅の所有者などの、エンドユーザーにとっての合計費用が劇的に低減される。従来技術の電気床下暖房システムは、しばしば、例えば、230ボルトなどの、格段に大きな電圧によって駆動されており、このようなシステムは、資格を有する電気技術者によって設置しなければならない。
【0024】
いくつかの既知の床下暖房システムは、熱を生成する、相対的に小さな電圧のマット/シートを含んでおり、これらは、木製の床の下方において、或いは、石及び/又はセラミックタイルの下方において、配置されている。このような1つの例が、米国特許出願公開第2008/0210679号明細書における上述の暖房装置1であり、これは、床カバリング12の下方において配置されている。この構成は、上述のように、相当のエネルギー損失を結果的にもたらす。又、この従来技術の相対的に小さな電圧のマット/シートは、しばしば、適切に設置するのが困難であり、従って、多くの場合に、技術を有する人物が、例えば、床によってカバーされる対象のエリアにフィットするように、マット/シートのサイズを適合させなければならない。この結果、床の設置の費用が増大する。
【0025】
但し、本発明によるパネルは、それ自体が既に熱提供層を含んでおり、且つ、従って、なんらかの熱生成マットがその下方において設置されることを必要としてはいない。
【0026】
非限定的な例として、約10~40W/M2又は20~30W/m2の範囲の電力/床面積を熱の生成のために使用することができる。使用される電力/床面積は、床及び/又は暖房の異なる特性の間のバランスとして見なすことができる。相対的に大きな電力は、一般に、相対的に短い熱提供回路を結果的にもたらし、これは、パネルを切断する際には、利点であり、その理由は、切断に起因した加熱を伴わないパネルの部分が小さくなるからである。但し、相対的に小さな電力/床面積の場合には、相対的に大きな電力及び相対的に小さな抵抗値の場合よりも、熱提供回路の抵抗値の重要性は乏しい。
【0027】
以下、いくつかの好適な実施形態を示す添付図面を参照し、本発明によるパネル、暖房システム、及び方法の詳細な例示用の実施形態及び利点について説明する。
【0028】
本発明の実施形態について、本発明の実施形態の例を示す以下の添付図面を参照し、更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明のいくつかの実施形態によるパネルの概略端面図を示す。
図2a-d】本発明のいくつかの実施形態によるパネルのセクションの概略端面図を示す。
図3a-d】本発明のいくつかの実施形態によるパネルのセクションの概略端面図を示す。
図4a-b】本発明のいくつかの実施形態によるパネルの概略図を示す。
図4c-e】本発明のいくつかの実施形態によるパネルの概略図を示す。
図5a-b】本発明のいくつかの実施形態によるパネルの概略図を示す。
図5c】本発明の一実施形態による電気端子コネクタの一例を概略的に示す。
図6】本発明のいくつかの実施形態によるパネルを含む床を示す。
図7】本発明のいくつかの実施形態による暖房システムを概略的に示す。
図8】本発明のいくつかの実施形態による暖房システムを概略的に示す。
図9a】本発明のいくつかの実施形態による完成した暖房システムを概略的に示す。
図9b】本発明のいくつかの実施形態による暖房システムを概略的に示す。
図10a-b】電気端子コネクタのいくつかの実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図2a-d、図3a-d、及び図5a-bは、本発明のいくつかの実施形態によるパネル100の図を概略的に示している。
【0031】
パネル100は、第1長手方向辺105により、且つ、第1長手方向辺105とは反対側の第2長手方向辺106により、境界が定められている。又、パネル100は、第1端部辺107により、且つ、第1端部辺107とは反対側の第2端部辺108により、境界が定められている。
【0032】
第1長手方向辺105、第2長手方向辺106、第1端部辺107、及び第2端部辺108には、それぞれ、例えば、「クリックジョイント」115、116、117、118などのパネル結合手段を提供することができる。パネル結合手段115、116、117、118は、一実施形態によれば、パネル100を少なくとも1つの隣接するパネル201、202、...、206に、即ち、少なくとも1つのその他の対応するパネル201、202、...、206に、(図6に示されているように)機械的に結合するべく、パネルの第1長手方向辺105及び第2長手方向辺106において、且つ、パネルの第1端部辺107及び第2端部辺108において、ベース層101内において配置されており、この場合に、少なくとも1つのその他の対応するパネルには、対応するパネル結合手段が提供されている。
【0033】
パネル100は、ベース/コア層101と、カバリング/視覚層103と、を更に含む。カバリング/視覚層103は、恐らくは、暖房対象の空間から、即ち、パネルが床、壁、及び/又は天井をカバーしている部屋から可視状態にある表面104を有する。カバリング/視覚層は、色及び/又はパターンを含む適切な外観/見た目を有することができる。
【0034】
パネル100は、ベース層101に装着された、即ち、ベース層101とカバリング/視覚層103の間において配置された、熱提供層102を更に含む。又、これは、熱提供層は、暖房対象の空間に非常に近接した状態において、即ち、薄いカバリング/視覚層103の直接下方において、配置されていることをも意味している。熱提供層102は、導電性を有し、且つ、電流が材料を通じて流れた際に熱を生成するのに、即ち、増大した温度に適した電気抵抗値を有する基本的に任意の材料を含むことができる。材料は、熱生成要素として形成されてもよく、これは、多数の形状を有することができる。例えば、熱提供層は、印刷された電子回路、薄膜、1つ又は複数の抵抗器、シート、テープ、ペンキを有していてもよく、或いは、その電気抵抗値を通じて熱を生成するべく、且つ、本発明によるパネル内において含まれるべく、適した基本的に任意のその他の形状又は形態を有していてもよい。従って、例えば、熱提供層102は、電気抵抗値を有する印刷された電子回路、電気抵抗値を有する少なくとも1つの薄膜、及び/又は電気抵抗値を有する1つ又は複数の抵抗器を含む少なくとも1つの熱生成要素を有することができる。
【0035】
非限定的な例として、電気エネルギーが25Vの電圧を有する際には、即ち、電気エネルギー提供構成が、電源として使用される25Vの電圧を供給する際には、一実施形態によれば、23W/m2を熱提供層によって生成することができることに言及しうる。カバリング層における温度増大の時定数は、数分間の範囲における短いものであってもよく、且つ、例えば、3℃の温度増大を迅速に実現することができる。
【0036】
電圧降下は、床の長さの二乗に伴って増大する。例えば、10m未満の長さを有する床などの、相対的に短い床の場合には、電圧降下は、生成される熱に対してほとんど影響を有してはいない。但し、例えば、15mよりも長い床などの、相対的に長い床の場合には、電圧降下は、生成された熱に対して顕著な影響を及ぼしうる。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、熱提供層102は、0.1mm~3mm、0.4mm~1mm、又は0.5mm~0.8mmの範囲における、可視表面104から熱深さDheatにおいて、且つ/又は、0.6mmの深さにおいて、配置されている。この結果、これは、カバリング層が、熱深さDheatに等しい厚さTcovを有している、即ち、Tconv=Dheatである、ことを意味しており、これは、暖房対象の空間内への熱エネルギーの効率的な伝達を結果的にもたらし、その理由は、熱提供層102が、暖房対象の空間に非常に近接しているからである。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、パネル100の層、即ち、ベース層101、熱提供層102、及びカバリング層103、は、例えば、糊などの接着剤の使用により、互いに装着/固定されている。
【0039】
本発明によるパネルは、第1長手方向辺105と平行に構成された、且つ、これに対して少なくとも第1距離131を有する、第1長手方向溝121と、第2長手方向辺106と平行に構成された、且つ、これに対して少なくとも第2距離132を有する、第2長手方向溝122と、を含む。第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122は、パネルのベース層101内において配置されており、且つ、第1端部辺107から第2端部辺108まで延在している。第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122は、熱提供層102と対向しており、即ち、溝の開口部/アパーチャは、熱提供層102に向かって方向付けされている。
【0040】
一実施形態によれば、第1長手方向結合要素141が、第1長手方向溝121内において配置されており、且つ、第2長手方向結合要素142が、第2長手方向溝122内において配置されている。この結果、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142は、それぞれ、第1端部辺107から第2端部辺108まで、即ち、基本的にパネルの長さ全体に沿って、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において、延在している。
【0041】
パネルの第1端部辺107において、第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152を配置することができる。パネルの第2端部辺108において、第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152を配置することができる。第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152は、それぞれ、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において配置することができると共に、第1端部辺107及び第2端部辺108の少なくとも1つから突出することができる。第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152は、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142を利用して熱提供層102に電気的に接続されるべく、構成することができる。この電気結合は、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142を介して、且つ/又は、熱提供層102への直接的な結合により、提供することができる。第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152は、(図6及び図10aに示された)少なくとも1つの隣接するパネル201、201、...、206の少なくとも1つの対応する端子コネクタに電気的に結合可能となるべく、構成されている。第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタは、少なくとも部分的な弾性を有しており、これにより、パネル100が少なくとも1つの隣接するパネル201、202に結合された際に、第1端部辺107及び第2端部辺108の少なくとも1つに対して基本的に垂直である接続力Fconを提供することができる。少なくとも1つの接続力Fconは、例えば、図6及び図10aにおいて示されているように、それぞれ、少なくとも1つの隣接するパネル201、202の少なくとも1つの対応する端子コネクタに向かって方向付けされている。更に詳しく後述するように、接続力Fconは、パネル及び隣接パネルを1つに結合するパネル結合手段によって生成される結合力Fcouplとの組み合わせにおいて、その弾性により、生成されている。
【0042】
パネル100は、本発明のいくつかの実施形態によれば、更なる長手方向溝を含んでいてもよく、即ち、合計で、2つ超の長手方向溝を含んでいてもよい。この結果、パネルは、更なる対応する長手方向結合要素を含んでいてもよく、且つ、更なる対応する電気端子コネクタを含んでいてもよい。
【0043】
図2a-d及び図3a-dは、第1長手方向辺105に対する第1距離131においてパネルのベース層101内において形成された第1長手方向溝121を含むパネル100の一部分の断面図を概略的に示している。熱提供層102がベース層101に装着されており、且つ、カバリング層103が熱提供層102に装着されている。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、熱提供層102に対向する第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142の第1表面143及び第2表面144は、パネル100が組み立てられた際に、ベース層101の表面145の残りの部分とアライメントしている。従って、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の外側のベース層101の表面145及び第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142の第1表面143及び第2表面144は、熱提供層102に対向する基本的にフラットな共通表面143、144、145がベース層101及び第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142によって生成されるように、それぞれ、同一のレベルにおいて位置している。これにより、非常に安定したパネルが実現され、これは、カバリング層103上の基本的にすべての種類の圧力に対処している。
【0045】
図2c-dにおいて概略的に示されている、一実施形態によれば、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142は、例えば、導電性金属などの、少なくとも部分的な弾性を有する且つ導電性を有する材料を有する。この結果、これらの第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142は、この弾性により、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の側部及び/又は底部壁に圧接状態において押圧力を生成し、これにより、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142が堅固に固定される。第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142は、例えば、基本的にU字の形状であってもよく、且つ、U字形状の要素の脚部が1つに押圧されている最中に、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において上下逆に挿入されてもよく、これにより、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の内側壁に向かうスプリング力が生成される。
【0046】
図3a-bにおいて概略的に示されている、本発明の別の実施形態によれば、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142は、例えば、導電性金属などの、固体の、且つ、導電性を有する、材料を有する。
【0047】
この結果、第1電気端子コネクタ151及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ152は、図2c-d及び図3a-bに示されている実施形態の場合に、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において配置することにより、熱提供層102に電気的に接続することができる。電気接続は、導電性を有する少なくとも第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142を介して提供することができる。熱提供層102は、ここでは、図2c-d及び図3a-bにおいて示されているように、カバリング層103と第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142の間に配置することができる。熱提供層102は、例えば、導電性接着剤及び/又は導電性はんだ付けにより、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142に装着することができる。第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152及び/又は第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162は、ここでは、図5a-bにも示されているように、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の底部と第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142の間に配置することができる。従って、第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152は、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142によって第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の底部に圧接状態において押圧されることにより、パネル100内において固定することができる。
【0048】
図3c-dにおいて概略的に示されている、別の実施形態によれば、熱提供層102は、それぞれ、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の外側のベース層101の表面145上において、且つ、ベース層101と第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142の間の第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において、配置されている。第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142は、ここでは、木材又はプラスチック材料などの電気絶縁材料のように、電気絶縁性を有していてもよく、或いは、例えば、金属などのように、導電性を有していてもよい。第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142の主な機能は、ここでは、熱提供層102と第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152の間の電気接触/接続が確保されるように、熱提供層102を第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内に挿入/配置される第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152及び/又は第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162に圧接状態において押圧することにある。
【0049】
又、図2c-dにおいて示されている、U字形状の、且つ、少なくとも部分的な弾性を有する、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142は、熱提供層102が、ベース層101と、それぞれ、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142の間において、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内に配置されるように、構成することができる。従って、熱提供層102は、この結果、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142が、熱提供層102の上部上の溝内において、且つ、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の外側のベース層101の表面145上において、挿入された状態において、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において配置されることになろう。この結果、U字形状の要素の脚部が、溝内への挿入の際に、1つに押圧され、これにより、挿入の後に、少なくとも第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の内側壁に向かうスプリング力が生成される。又、これは、第1長手方向結合要素141及び第2長手方向結合要素142及び熱提供層102が、互いに圧接状態において堅固に押圧されることを結果的にもたらし、この結果、熱提供層102上の損耗が極小化されると同時に、2つの間の確実な電気接触が結果的に得られる。
【0050】
図4a-bは、本発明の一実施形態を示しており、この場合に、パネル100は、ベース層101内において含まれた少なくとも1つの挟持/隔離コア160を含む。少なくとも1つの挟持/隔離コア160は、その生成された熱が、誤った方向において、即ち、暖房対象の空間から離れるように、搬送されることを防止する断熱特性を有することができる。例えば、断熱を伴わないパネルの場合の、例えば、3℃の温度増大は、ベース層101に追加された少なくとも1つの挟持/隔離コア160を有する同一のパネルの場合には、例えば、5~6℃の温度増大を結果的にもたらしうるであろう。又、少なくとも1つの挟持/隔離コア160は、音響吸収特性を有していてもよく、これは、その結果、例えば、ハイヒールが床を横断して歩行するなどの雑音を効率的に低減する。
【0051】
挟持/隔離コア160は、例えば、パネル100の層の組立の際に、且つ/又は、その後に、注入されるポリウレタン発泡体の形態において、例えば、ポリウレタンを含むことができる。
【0052】
図4c-eは、本発明のいくつかの実施形態を示しており、この場合に、パネル100は、ベース層101内において含まれた少なくとも1つの挟持/隔離コア160を含む。少なくとも1つの挟持/隔離コア160は、ここでは、例えば、それらが相対的に重い負荷を担持しうるように、ピラミッド形態の側部表面A、Bにより、パネル100のベース層101の対応するピラミッド形態の部分D上のピラミッド形態の支持要素Eから支持力/圧力を提供しうる、ピラミッド形状の支持要素Eを含むことができる。ピラミッド形態の支持要素Eは、床に向かうそのベース面と、カバリング層103に向かう尖った面と、を有することができる。上述のように、少なくとも1つの挟持/隔離コア160は、熱及び/又は音響絶縁特性を有することができる。従って、ピラミッド形状の支持要素は、パネル100の最適な担持容量との組み合わせにおいて、最適な絶縁を提供している。
【0053】
図4eは、負荷/重量担持要素170が、ベース層101材料内の挟持/隔離コアのピラミッド形態160の間に配置されている、一実施形態を示しており、これは、例えば、木材であるか又は重量を担持するのに適したなんらかのその他の材料であってよい。負荷担持要素170は、例えば、円形形態を有していてもよく、例えば、相対的に幅広の部分がカバリング層103に向かって方向付けされた状態において、相対的に幅広の円形ヘッド部分及び相対的に細い円形の尖った部分を有するように、基本的にねじ/ボルトの形態であってよい。負荷担持要素170は、例えば、金属又はプラスチックなどの、基本的に任意の負荷担持材料から形成することができる。負荷担持要素170の円形ヘッド部分は、ベース層101のピラミッド形態の部分Dの底部領域の強度が、相対的に乏しくなりうるように、即ち、それ自体が担持重量/負荷の全体を引き受けるべく十分強力になる必要がないように、カバリング層103に由来する重量/負荷を担持するべく構成されている。従って、カバリング層に由来する重量/負荷は、ここでは、負荷担持要素170により、少なくとも部分的に担持されている。
【0054】
負荷担持要素170は、パネルの負荷担持能力を改善するべく、即ち、ベース層101材料の負荷/重量担持能力を改善するべく、ベース層101材料と共に鋳造/形成することができる。これにより、相対的に安定性の乏しい、且つ、相対的に多孔性の、材料が、ベース層101材料の残りの部分に使用されてもよく、これにより、製造費用が低減される。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152の1つ又は複数は、少なくとも部分的な弾性を有する。図5a-cには、このような例示用の実施形態が示されている。弾性を有する第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152は、隣接する対応するパネルに結合された際に、それぞれ、第1端部辺107及び第2端部辺108に基本的に垂直の接続力Fconを提供することができる。次いで、接続力Fconは、(図5c-d及び図10aに示されているように)少なくとも1つの隣接する対応するパネル201、202、...、206の対応する少なくとも1つの端子コネクタに向かって方向付けされる。この結果、(図6及び図10aにおいて概略的に示されているように)隣接するパネルを1つに結合するパネル結合手段117、118によって生成される結合力Fcouplにより、電気接触を生成する接続力Fconが生成される。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122は、第1端部辺107及び第2端部辺108の少なくとも1つに隣接123する端部深さDendを有しており、この場合に、この端部深さDendは、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の残りの部分に沿った深さDmidよりも小さく、即ち、Dend<Dmidである。第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122は、例えば、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122の長さの中間において、端部辺107、108に隣接して端部123から離れるように、この深さDmidを有することができる。端部深さDendは、例えば、パネルの第1端部辺107及び第2端部辺108において空隙が存在しないように、第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152の、且つ、可能な長手方向結合要素141、142の、厚さTconに対応したものであってよく、即ち、Dend=Tconである。これにより、非常に安定したパネルが提供される。しばしば、例えば、フローリングパネルの損耗は、第1端部辺107及び第2端部辺108における、且つ/又は、第1長手方向辺105及び第2長手方向辺106における、ジョイントの近傍において最悪であり、安定したパネル端部を提供する本実施形態によれば、これが軽減されている。
【0057】
図5a-b及び図10aにおいて示されているように、第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152は、第1端部辺107及び第2端部辺108からわずかに突出することができる。パネル100の第1端部辺107が、別のパネル202の第2端部辺108’に結合された際に、2つのパネル100、202の第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152は、上述の結合力Fcouplにより、互いに圧接状態において押圧される。その結果、2つのパネル100、202の第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152の接続力Fconが、生成され、且つ、互いに向かって/圧接状態において方向付けされ、これにより、2つのパネル100、202の個々の第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152の間の緊密な接触が提供される。これにより、2つのパネル100、202の間の緊密な電気接続も、提供される。従って、床のすべてのパネルに対する確実な電力供給が実現されている。
【0058】
例えば、図5bにおいて示されているように、第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162は、その端部辺が、パネルの列を開始する端部辺である、即ち、電力がパネルの列に提供される壁、ソケット、又はこれらに類似したものに対向する端部辺である、場合には、パネルの1つの端部辺108上において使用することができる。これらの第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162は、第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162とそれに結合された対応するコネクタの間の接続力を提供する、例えば、図5bにおいて示されているケーブル端子(シュー)などのような、緊密な電気接続を生成する基本的に任意の種類のコネクタ/端子であってよい。このようなケーブル端子(シュー)が使用されている際には、電力供給は、第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162に接続可能なコネクタを有する基本的に任意のケーブル又はこれに類似したものにより、提供することができる。このようなコネクタ/端子のその他の非限定的な例については、後述する。
【0059】
図5cは、第1電気端子コネクタ151又は第2電気端子コネクタ152の非限定的な例の側面図を示している。電気端子コネクタ151、152は、第1端部辺107又は第2端部辺108に隣接123した第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において位置決めされる、基本的にまっすぐな/フラットなセクション153を含んでおり、この場合に、溝の深さは、端部深さDendであってよい。上述のように、端部深さDendは、ここでは、電気端子コネクタの、且つ、恐らくは、更には、長手方向結合要素141、142の、厚さTconに等しいものであってもよく、即ち、Dend=Tconである。
【0060】
又、電気端子コネクタ151、152は、第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において位置決めされる、基本的に波の形態のセクション154を含んでいてもよく、この場合に、溝は、パネルの端部辺107、108から所定の距離において、上述の深さDmidを有する。波形態のセクション154の波形態は、恐らくは、溝の深さに基本的に等しい、長手方向結合要素141、142の厚さを含む、高さTmidを有していてもよく、即ち、Tmid=Dmidである。
【0061】
又、電気端子コネクタ151、152は、上述の接続力Fconを生成する、突出するセクション155をも含む。パネル100内において取り付けられた際に、まっすぐな/フラットなセクション153と突出するセクション153の間において、電気端子コネクタ151、152は、垂直ではない角度で折り曲げられ、これにより、外向きの方向に、突出するセクション155をわずかに傾斜させる。突出するセクション155のこの傾斜した方向/角度α及び電気端子コネクタ151、152の弾性は、パネル100がその他のパネルと結合された際に、接続力Fconを結果的にもたらす。非限定的な例として、傾斜した角度αは、5°~15°の範囲であってよく、且つ、特定の一例によれば、10°であってもよい。
【0062】
第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152、並びに、恐らくは、第1長手方向電気結合要素141及び第2長手方向電気結合要素142、により、熱提供層に搬送される電気エネルギーは、5ボルト~60ボルドの範囲の、或いは、10ボルト~55ボルトの範囲の、或いは、15ボルト~50ボルトの範囲の、或いは、25ボルト~50ボルトの範囲の、電圧を有することができる。本発明によるパネルには、このような低い電圧が供給されてもよく、その理由は、隣接するパネルの間の電気接触と、恐らくは、更には、第1及び第2長手方向電気結合要素の、且つ、従って、パネル自体の、電流/電圧伝導特性と、が非常に良好であるからである。
【0063】
本発明の例示用の一実施形態によれば、熱を生成するべく、熱提供層102に供給される電気エネルギーは、25ボルトの電圧Vを有しており、即ち、V=25ボルトであり、これは、多くの領域及び/又は国においては、素人により、即ち、非電気技術者により、取り扱うことができる。
【0064】
本発明の別の例示用の実施形態によれば、電気エネルギーは、50ボルトの電圧Vを有しており、即ち、V=50ボルトであり、これは、いくつかの領域及び/又は国においては、素人により、取り扱うことができる。
【0065】
本発明の一態様によれば、暖房システム800が提示されている。暖房システム800は、図7において概略的に示されており、且つ、上述のように、少なくとも1つのパネル100、203を含む。暖房システムは、例えば、取付ベース820において配置された、且つ/又は、少なくとも1つのパネル100、203の第1端部辺107及び第2端部辺108の少なくとも1つに隣接したベース層101に対向する、電気エネルギー提供構成810を更に含む。電気エネルギー提供構成810は、電気エネルギーをパネル100の第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162に供給している。図7においては、簡潔性を目的として、2つのパネル100、203のみが示されている。当業者には明らかなように、多くの更なるパネルが暖房システム800内において含まれうる。又、図7のパネル100、203のそれぞれのものは、パネルの列を表していてもよい。本明細書において記述されている電気エネルギー提供構成810は、本明細書において記述されたパネル100に、のみではなく、基本的に任意の電気によって加熱されるパネルに、電気エネルギーを供給するべく、使用されうることに留意されたい。
【0066】
図7に示されている実施形態によれば、電気エネルギーは、パネル100の第1端部辺107の第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162に、或いは、パネル100の第1端部辺107に直接又は間接的に結合される隣接するパネル202の対応する第1端部辺107’に、供給される第1及び第2極性P1、P2により、提供されている。従って、第1及び第2極性P1、P2の両方は、その端部辺107、108において1つに結合されたパネルのそれぞれの列内の第1パネル100、203の第1端部辺107に接続されている。その結果、第1及び第2極性P1、P2は、床/壁/天井全体のすべてのパネルに電気供給されるように、図6に示されているように敷き詰められたパネルのそれぞれの列内の更なるパネルに電気的に接続されている。これにより、パネルによってカバーされたエリア全体が暖房される。図7において使用されている電圧は、例えば、25ボルトなどのように、かなり小さいことから、第1及び第2極性P1、P2の両方は、パネルの同一の端部辺107に供給することができる。これが可能である理由は、基本的に、これらの小さな電圧においては、人物がパネルを設置する際の危険な電気ショックのリスクが存在していないからである。
【0067】
本発明の別の実施形態によれば、電気エネルギーは、50ボルトの電圧を有し、即ち、V=50ボルトであり、これは、いくつかの領域及び/又は国においては、素人により、即ち、非電気技術者により、取り扱うことができる。暖房システム800は、図8には、概略的に示されており、これは、上述のように、少なくとも1つのパネル100、203、207を含む。暖房システムは、例えば、取付ベース820において配置された、且つ/又は、床、壁、又は天井の2つの反対側部において、且つ、少なくとも1つのパネル100、203、207の第1端部辺107及び第2端部辺108の両方に隣接した状態で、ベース層101に対向する、電気エネルギー提供構成810を更に含む。本明細書において記述されている電気エネルギー提供構成810は、本明細書において記述されているパネル100に、のみではなく、基本的に任意の電気によって加熱されるパネルに、電気エネルギーを供給するべく、使用されうることに留意されたい。
【0068】
電気エネルギー提供構成810は、接触手段811、812、813、814、815、816を含んでいてもよく、このそれぞれは、接触突出部817及び/又は第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162の使用により、1つの極性P1、P2をパネル100、203、207に提供するべく、構成されている。又、接触手段811、812、813、814、815、816及び/又はパネル100、203、207は、安定性突出部818を含むこともできる。
【0069】
接触手段811、812、813、814、815、816が、パネル100、203、207と組み立てられた、即ち、この内部に挿入された、際に、電気エネルギーは、接触突出部818により、パネル100、203、207に提供され、且つ、パネル100、203、207は、安定性突出部817により、定位置において保持される。又、電気エネルギー、即ち、パネル100、203、207において熱を生成する電圧、は、接触手段811、812、813、814、815、816により、パネル100、203、207内においてカプセル化されている。従って、電気ショックをうけるリスクは、図8に示されている暖房システム800の場合には、カプセル化された電気エネルギーに部分的に起因して、且つ、部分的には、2つの極性P1、P2が、パネルによってカバーされた床、壁、又は天井の反対側に提供されており、且つ、従って、人物が同時にP1及びP2の両方との接触状態になることが、困難であり、多くの場合には不可能である、ことから、極小化されている。
【0070】
又、熱提供層上における電圧降下も、2つの極性P1、P2が床の反対側に提供されている際には、約50%だけ、低減される。
【0071】
従って、図8に概略的に示されている、本発明の一実施形態によれば、電気エネルギーは、パネル100の第1端部辺107の第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162に供給される第1極性P1により、パネル100に提供されている。次いで、第2極性P2は、パネルの第2端部辺108の第1電気端子コネクタ151又は第2電気端子コネクタ152に供給されている。従って、第1極性P1は、パネル100の1つの端部辺107に供給されており、且つ、第2極性P2は、パネル100の反対側の端部辺108に提供されている。
【0072】
又、第2極性P2は、図6に示されているように、パネル100の第1端部辺107に直接又は間接的に結合された隣接するパネル202の対応する第1端部辺107’の第1電力供給端子コネクタ161又は第2電力供給端子コネクタ162に供給することができる。又、第2極性P2は、パネル100の第2端部辺108に直接又は間接的に結合された隣接するパネル201の対応する第2端部辺108’の第1電力供給端子コネクタ161又は第2電力供給端子コネクタ162に供給することができる。
【0073】
従って、電気エネルギー提供構成810は、少なくとも1つのパネル100、203、207の2つの反対側の端部辺上の第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162に電気エネルギーを供給している。図8においては、わかりやすさを目的として、3つのパネル100、203、207のみが示されている。但し、当業者には明らかなように、多くの更なるパネルが暖房システム800内に含まれうる。又、図8のパネル100、203、207のそれぞれのものは、パネルの列を表すこともできる。
【0074】
図9aは、完成した暖房システムを概略的に示している。
【0075】
図9aにおいて示されているように、且つ、上述のように、第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162は、この端部辺が、パネルの列を開始する端部辺である、即ち、電力がパネルの列に供給される壁、ソケット、又はこれらに類似したものに対向する端部辺である、場合には、パネルの1つ端部辺108上において使用することができる。これらの第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162は、例えば、第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162と、例えば、床、壁、又は天井の少なくとも1つの側部上の少なくとも1つの壁に沿って、且つ、少なくとも1つのパネル100の端部辺に隣接して、配置された、例えば、取付ベース920を含む、電気エネルギー提供構成910の接触手段911の間において接続力を提供する、少なくとも部分的な弾性を有する、且つ、例えば、図9aにおいて示されているように、上向きの方向において、わずかに垂直方向において傾斜した、コネクタなどの、緊密な電気接続を生成する基本的に任意の種類のコネクタ/端子であってよい。
【0076】
少なくとも1つの第1接触手段911は、ここでは、わずかに上向きに傾斜した第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162用の接触表面を提供するように、例えば、電気エネルギー提供構成910内において水平方向において構成された、恐らくは、金属の、導電性接触ストリップとして構成することができる。従って、少なくとも1つのパネル100と、例えば、取付ベースの形態における電気エネルギー提供構成910と、が1つに取り付けられた際に、垂直方向の力Fconが生成される。
【0077】
又、例えば、本明細書において記述されている取付ベース920内において含まれている、電気エネルギー提供構成910は、上述のように、本明細書において記述されているパネル100に、のみではなく、基本的に任意の電気によって加熱されるパネルに、且つ/又は、例えば、壁又は天井暖房パネル、ランプ、又はこれらに類似したものなどの、任意のその他の電気エネルギー消費装置930に、電気エネルギーを供給するべく、使用することができる。これを理由として、電気エネルギー提供構成910は、少なくとも1つの第2接触手段912を含むことができる。
【0078】
一実施形態によれば、少なくとも1つの第1接触手段911には、第1極性P1を提供することができると共に、少なくとも1つの第2接触手段912には、別の第2極性P2を提供することができる。
【0079】
これにより、電気エネルギーは、電気エネルギー提供構成910により、電気エネルギー提供構成910によって提供された電圧によって駆動される基本的に任意の電気装置930に電気エネルギーを供給することができる。例えば、多くの種類のランプは、例えば、25ボルト又は50ボルトなどの、相対的に小さな電圧によって駆動されており、且つ、従って、電気エネルギー提供構成910から、この電圧を直接的に供給することができる。
【0080】
又、例えば、1つに取り付けられた隣接する取付ベース部分の形態における、エネルギー提供構成910の隣接する部分の少なくとも1つの第1接触手段911及び少なくとも1つの第2接触手段912は、本明細書において記述されている第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152に形態及び/又は機能において恐らくは対応しうる、例えば、シート金属の形態における、結合手段951、952を利用して電気的に結合することができる。
【0081】
図9bには、一実施形態による暖房システムが示されている。電気エネルギー提供構成810は、ここでは、パネル100の下方において、即ち、パネルのベース層101に対向するように、配置されている。この結果、少なくとも1つの第1電力供給端子コネクタ161及び少なくとも1つの第2電力供給端子コネクタ162は、パネルの第1端部辺107、107’及び第2端部辺108、108’の少なくとも1つのものの周りにおいて折り曲げられ、且つ、パネル100のベース層101と電気エネルギー提供構成810の間において配置されている。これにより、少なくとも1つの第1電力供給端子コネクタ161及び少なくとも1つの第2電力供給端子コネクタ162は、電気エネルギー提供構成810の少なくとも一部分に圧接状態において押圧され、且つ、従って、これとの電気接触状態にある。電気エネルギー提供構成810は、一実施形態によれば、パネル100のベース層101に対向する導電性要素961を有する、少なくとも1つの接着テープを含むことができる。接着テープは、少なくとも1つの第1電力供給端子コネクタ161及び少なくとも1つの第2電力供給端子コネクタ162との接触を生成するべく、例えば、壁に隣接する床の上部において、且つ、従って、更には、パネル端部辺107に隣接した状態において、貼り付けることができる/配置することができる。床の残りの部分上においては、即ち、パネルの残りの部分の下方においては、例えば、薄い発泡体及び/又は紙の層である、ステッピング層962により、床をカバーすることができる。
【0082】
図10aに概略的に示されている、非限定的な一例によれば、少なくとも1つの第1電気端子コネクタ151及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ152は、第1端部辺107及び第2端部辺108の少なくとも1つから突出するべく、少なくとも第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において配置されており、且つ、熱提供層102に電気的に接続されている。この結果、隣接するパネルを1つに機械的に結合するパネル結合手段117、118によって生成される結合力Fcouplと、第1電気端子コネクタ151及び第2電気端子コネクタ152の弾性と、により、電気接触を生成する接続力Fconが生成される。
【0083】
図10bに概略的に示されている、非限定的な一例によれば、少なくとも1つの第1電気端子コネクタ151及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ152は、第1端部辺107及び第2端部辺108の少なくとも1つから突出するべく、少なくとも第1長手方向溝121及び第2長手方向溝122内において配置され、且つ、熱提供層102に電気的に接続されており、且つ、2つの隣接するパネルの隣接する端部辺の間のセクションにおいて、基本的にU字の形状を有することができる。U字形状のセクションは、パネルの2つの隣接する端部辺107、108の間の距離に対応する長さDuを有することができる。従って、パネルは、ここでは、互いから距離Duにおいて配置されており、これは、例えば、石又はセラミックパネル/プレートなどの、いくつかのタイプのパネルにおいて共通している。少なくとも1つの第1電気端子コネクタ151及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ121のU字形状は、隣接するパネルの間においてジョイント/シーム/充填を提供するべく、結合材料による、パネルの間のギャップの充填を許容している。従って、少なくとも1つの第1電気端子コネクタ151及び少なくとも1つの第2電気端子コネクタ152は、空間をジョイント/シーム/充填のために利用可能とすると同時に、パネルの間の電気接触を提供している。
【0084】
例えば、床になるように、本発明によるパネルを組み立てる/敷き詰める必要がある際には、まず、取付ベース820、920において、且つ/又は、床板を敷く対象の部屋の1つ又は2つの側部においてベース層101に対向する状態において、上述の電気エネルギー提供構成810、910を配置することができる/取り付けることができる。例えば、25ボルトを提供する、例えば、相対的に低い電圧のエネルギー提供構成が、部屋の1つの壁に沿って配置されてもよく/取り付けられてもよく、且つ、次いで、これにより、電圧の両方の極性P1、P2が提供される。この代わりに、例えば、50ボルトを提供する、相対的に高い電圧のエネルギー提供構成が、部屋の2つの反対側の側部に沿って配置されてもよく、且つ、これにより、部屋のそれぞれの反対側の側部から電圧の1つの極性が提供される。従って、この結果、電気エネルギーは、部屋の1つ又は2つの側部において利用可能である。
【0085】
次いで、第1パネル100が、第1端部辺107及び第2端部辺108上の機械的結合手段117、118の使用により、少なくとも1つの第2パネル201、202に機械的に結合される。これにより、2つ以上のパネル100、201、202の列が生成される。このようなパネルの列内の最後の第2パネル202は、列の長さが部屋の長さに対応するように、切断する必要がある場合がある。
【0086】
列のパネルが機械的に結合されるのと同時に、第1パネル100及び少なくとも1つの第2パネル201、202の電気接続が、第1パネル100及び少なくとも1つの第2パネル201、202の第1端子コネクタ151及び第2端子コネクタ152により、実現される。従って、パネル100、201、202が機械的結合手段117、118によって1つに押圧されるのに伴って、列のパネル100、201、202の端子コネクタ151、152も、1つに押圧され、これにより、列内のパネル100、201、202の第1長手方向電気結合要素141及び第2長手方向電気結合要素142の電気接続が生成される。
【0087】
次いで、電気エネルギー提供構成810、910から、電気エネルギーが、第1パネル100及び少なくとも1つの第2パネル201、202の列に供給される。例えば、低電圧の場合に有用である、上述の一実施形態によれば、これは、第1パネル100の第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162の両方を電気エネルギー提供構成810、910に接続することにより、実行されており、この結果、これにより、電圧極性P1、P2の両方が第1パネル100の第1端部辺107に供給される。
【0088】
例えば、相対的に大きな電圧の場合に有用である、上述の別の実施形態によれば、第1パネル100の第1端部辺107上の第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162の1つを電気エネルギー提供構成810、918に接続することにより、電気エネルギー提供構成810、910から、電気エネルギーが第1パネル100及び少なくとも1つの第2パネル201、202の列に供給されている。この結果、電気エネルギー提供構成810、910は、パネルの列の第1パネル100の第1辺107に電気エネルギーの1つの極性P1を提供する。次いで、列の第2端部辺108’上の、即ち、少なくとも1つの第2パネル201、202の第2辺108’上の、第1電力供給端子コネクタ161及び第2電力供給端子コネクタ162の別のものが、電気エネルギー提供構成810、910に接続される。その結果、電気エネルギー提供構成810、910は、列の第2辺108’に電気エネルギーの別の極性P2を提供する。
【0089】
上述のように、列のそれぞれの端部においてパネル100、201、202の列に1つの電圧極性を供給することは、床を敷き詰めている人物が、パネルに提供されている電気エネルギーによって電気ショックをうけるリスクが相当に低減される、という利点を有する。電気ショックを受けるには、即ち、電圧の両方の極性との接触状態となるには、人物は、パネルの列の長さ全体に沿って、部屋全体に跨って延在しなければならなくなり、これは、非常に可能性が小さい。従って、本発明のこの実施形態と共に、相対的に大きな電圧の供給を使用することができる。
【0090】
以下には、本明細書において記述されている実施形態のいくつかによる、床の電気特性及び暖房特性のいくつかの非限定的な例の説明が提示されている。
【0091】
床の電力消費Pは、次式によって与えられ、
P=U*I (式1)
ここで、Uは、熱提供層に印加される電圧であり、且つ、Iは、対応する印加電流である。印加電圧Uは、電源によって提供される電圧Usupplyから電源と熱提供層の間の電圧降下ΔUを減算することにより、与えられ、即ち、次式のとおりである。
U=Usupply-ΔU (式2)
【0092】
熱提供層を通じて流れる電流Iは、オームの法則により、以下のように与えられ、
U=R*I (式3)
即ち、次式のとおりであり、
I=U/R (式4)
ここで、Rは、熱提供層の抵抗値である。熱提供層は、加熱モジュール/セクション内において分割される場合があり、この場合に、複数のモジュール/セクションは、並列に結合することができる。1つの熱モジュール/セクションの場合には、抵抗値は、次式によって与えられ、
R=resistivity*Lc_heat/Ac_heat (式5)
ここで、resistivityは、材料パラメータであり、例えば、純粋なアルミニウムの場合には、約2.82×10-8Ωmであり、Lc_heatは、加熱導体(抵抗器)の長さであり、且つ、Ac_heatは、加熱導体の断面積である。導体の断面積Ac_heatは、例えば、薄膜の場合には、次式として、与えられ、
c_heat=hc_heat*wc_heat (式6)
ここで、hc_heatは、導体(抵抗器)の高さ/厚さであり、且つ、wは、導体(抵抗器)の幅である。
【0093】
例えば、62.5mという加熱導体の長さLc_heat、0.642mmという加熱導体の幅wc_heat、及び9マイクロメートルという加熱導体薄膜の厚さを有する加熱モジュールの場合には、抵抗値Rは、アルミニウムの場合に、約305Ωである。
【0094】
上述の式1及び式4を組み合わせることにより、電力は、次式によって与えられ、
P=U2/R (式7)
即ち、電力は、電圧Uの二乗に伴って増大し、且つ、抵抗値Rの逆数に伴って減少している。
【0095】
電力Pは、次式として記述することができる。
P=(U2*wc_heat*hc_heat)/(Lc_heat×resistivity) (式8)
【0096】
resistivityは、材料パラメータであり、且つ、導電熱薄膜の厚さは、選択を要する物理パラメータであることから、電力は、次式として記述することができる。
P=U2*(wc_heat/Lc_heat)*constant (式9)
【0097】
これは、選択された熱薄膜のタイプにおける、望ましい電力Pは、電圧により、且つ、次いで、加熱導体(抵抗器)の長さLc_heat及び幅wc_heatにより、最も容易に制御されることを意味している。
【0098】
すべての電力Pがジュール熱Qに変換される、即ち、Pheat=dQ/dtである、ことから、Pheatは、Pに等しい。ジュール熱Qの時間微分dQ/dtは、熱エネルギーの流れに対応している。熱流dQ/dtは、温度勾配の負の方向において流れることになる。
【0099】
供給電力Pは、伝導dQ/dtcondにより、下向きに下敷き構造に流れるdq/dtdownことになる、且つ、対流dQ/dtconv及び放射dQ/dtradにより、上向きに流れるdQ/dtupことになる、熱流dQ/dtと、非平衡状態においては、ボード/パネルの温度の上昇dQ/dtboardと、に変換されることになる。
dQ/dt=dQ/dtcond+dQ/dtconv+dQ/dtrad+dQ/dtboard (式10)
【0100】
平衡状態の場合には、次式のとおりである。
dQ/dt=dQ/dtcond+dQ/dtconv+dQ/dtrad (式11)
dQ/dtdown=dQ/dtcond (式12)
dQ/dtup=dQ/dtconv+dQ/dtrad (式13)
【0101】
非平衡状態の場合には、ボードの温度は、dQ/dtboardにより、上昇することになる。
【0102】
時間的な振る舞いに関しては、ボード/パネルの時間に関する温度微分は、次式のとおりであり、
dT/dt=dQ/dtboard/(d*density*c) (式14)
ここで、dT/dtは、従って、dQ/dtboardに比例しており、且つ、明らかに、温度は、dq/dtboradがゼロでない場合には、上昇することになる。
【0103】
ボードが下敷き構造から十分に絶縁されている場合には、dQ/dtcondは、小さく、且つ、従って、ボード/パネル内の温度勾配も、小さくなり、従って、温度は、一階微分方程式にほぼ準拠することになる。次いで、ボード/パネルの温度依存性は、次式のようになり、
board=Tinital+(Tend-Tinital)*(1-e-t/tau) (式15)
ここで、tinitalは、電圧Vが印加される前のボード/パネルの温度であり、Tendは、最後の温度であり、且つ、tauは、特性時定数である。
【0104】
end=P*Rth_tot (式16)
であり、且つ、tau/面積単位については、次式のとおりであり、
tau=cp*density*d (17)
ここで、cpは、比熱容量であり、Rth_totは、総熱抵抗値であり、densityは、ボード/パネルの密度であり、且つ、dは、ボードの厚さである。
【0105】
ボード/パネルの熱流dQ/dt及び温度上昇に関しては、ボード/パネルの表面上の温度上昇は、電力P、周辺温度Tamb、(熱薄膜と周辺床の間の)下向きの熱抵抗値Rth_down、薄膜と周辺空気の間の熱抵抗値Rth_upに依存することになる。ボード/パネルのそれぞれの層は、その独自の熱抵抗値、即ち、ボード/パネルサブ構造Rth_subの場合には、ボードの下方の任意の減衰層Rth_damp、加熱薄膜基材Rth_substrate、カバリング層Rth_top、並びに、カバリング層と周辺空気の間のインターフェイスRth_conv、を有する。下向きの熱抵抗値は、直列において加算され、且つ、上向きの熱抵抗値も、直列において加算される。但し、下向きの総熱抵抗値及び上向きの総熱抵抗値は、総熱抵抗値Rth_totに対して並列の方式により、組み合わせられ、
th_down=Rth_sub+Rth_damp (式18)
th_up=Rth_substrate+Rth_top+Rth_conv+Rrad (式19)、並びに、
1/Rth_tot=1/Rth_down+l/Rth_up (式20)
であり、これは、以下のように記述することができる。
th_tot=(Rth_down*Rth_up)/(Rth_down+Rth_up) (式21)
【0106】
加熱薄膜導体(抵抗値)内の温度増大ΔTfilmは、次式によって与えられる。
ΔTfilm=P*Tth_tot (式22)
【0107】
熱伝導に起因した固体材料の熱抵抗値Rth_condは、次式によって与えられる。
th_cond=Lmaterial/(Lambda*A) (式23)
【0108】
熱抵抗値対流は、次式によって与えられる。
th_conv=A/Uth_conv (式24)
【0109】
材料のいくつかの非限定的な例及び熱抵抗値が、以下の表1によって与えられている。
【0110】
【表1】
【0111】
上述の非限定的な例においては、下敷き構造が周辺床と同一の温度を有すると仮定することにより、上向き及び下向きの両方の方向における等しい熱流dQ/dtが提供されている。
【0112】
放射に起因した熱流dQ/dtheatは、次式によって与えられ、
dQ/dtheat=epsilon*SB*(Tsurface 4-Tambien4) (式25)
ここで、イプシロンは、放射率係数であり、SBは、ステファン-ボルツマン定数である。
【0113】
空洞内の表面の場合に、放射は、形態係数Fを考慮しなければならず、従って、放射に起因した熱流は、次式のとおりとなり、
dQ/dtheat=epsilon*SB*(Tsurface 4-Tambien4)*F(physical dimensions) (式26)
ここで、Fは、0~1の範囲をとり、即ち、0~1の範囲である。
【0114】
従って、パネルの表面温度は、下敷き構造への熱漏洩に依存している。例えば、18mmの発泡ポリスチレン(PS)などの、十分に絶縁された床パネルの場合には、50W/m2の場合に、温度上昇は、約6度となり、且つ、25W/m2の場合には、3度となる。但し、例えば、1mmのPSなどのように、絶縁が乏しい場合には、温度増大は、より乏しくなり、実験によれば、例えば、50W/m2に場合に、3度である。
【0115】
電力Pは、加熱エリア、即ち、熱提供層、に供給しなければならない。2つの平行なパワーレール、即ち、第1及び第2平行長手方向結合要素、を仮定することにより、加熱エリアへの電流は、異なる場所において取り出すことができる。
【0116】
長手方向結合要素(電力供給レール)は、次式による抵抗値を有し、
rail=resistivityrail*Lrail*wrail*hrail (式27)
これは、例えば、1cmの幅wrailと、9マイクロメートルの高さと、45cmの長さと、を有するアルミニウムレールの場合に、0.14Ωの抵抗値を有することになる。
【0117】
一端において電源に接続された、即ち、両方の極性P1及びP2がパネルの1つの端部辺に接続された、パネルの場合には、有効抵抗値は、遠い端部におけるモジュール/セクションを除いて、2*Rrailとなる。但し、電源接続がパネルの反対側の両側部において配置されている場合には、有効抵抗値は、Rrailとなる。
【0118】
1つに結合された隣接するパネルの間には、一定の抵抗値Rcontactを有する電気接続が存在している。非限定的な例として、通常の接触抵抗値は、0.005Ωであってよい。
【0119】
レール抵抗値及び接触抵抗値は、直列において加算されることになり、これにより、電力抵抗値が与えられる。
power=Rrail+Rcontact (式28)
【0120】
これは、レール抵抗値Rrailに起因する、ボードに沿った電圧降下となり、且つ、これは、接触抵抗値Rcontactに起因する、床に沿ったボード/パネルの間の電圧降下となる。電圧降下は、電流Kに比例している。列内の複数のボード/パネルを使用することは、電圧降下が、列の長さの二乗として増大することを意味しており、その理由は、電流は、長さと比例して増大することになり、且つ、電力抵抗値Rpowerは、床/列の長さにも比例して増大することになるからである。従って、熱流dQ/dtheatは、4の累乗により、減少することになる。従って、電力抵抗値は、大きな床の場合に、重要性を有する。
【0121】
電力抵抗値Rpowerは、電源が床/パネル/列の1つの側部において接続されている場合には、電源が床/パネル/列の両側部において接続されている場合との比較において、大きさが2倍である。従って、これは、第1極性P1及び第2極性P2がパネルの両端部に供給されている上述の実施形態の場合には、利点である。
【0122】
非限定的なパネル/ボードの一例として、熱導体(抵抗値)として機能する、長さが62.5mであり、幅が0.64mmである、9マイクロメートルのアルミニウム加熱薄膜の場合には、抵抗値は、約305Ωである。電気供給が、同一の薄膜により、但し、幅が10mmのパワーレール/結合要素により、実行された場合には、パワーレール/結合要素は、約0.14Ωの抵抗値を有することになる。0.005Ωの接触抵抗値に伴い、パワーレール/結合要素抵抗値は、支配的である。3つの加熱モジュール/セクションを有するボード/パネルの場合に、加熱抵抗値は、並列であり、且つ、パワー抵抗値は、直列である。その結果、ボード/パネルは、同一の端部辺電源接続の場合に、102Ωの加熱抵抗値と、0.8Ωの合計電力抵抗値と、を有することになる。対応する方式で、パネル/ボードは、反対側端部辺接続の場合に、0.4Ωの合計電力抵抗値を有することになり、これは、両方のケースにおいて、約1%の電力降下に結び付く。これは、電源が、薄膜のみにより、ボード/パネル内において十分であることを通知している。
【0123】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。その代わりに、本発明は、独立請求項の範囲に含まれるすべての異なる実施形態に関し、且つ、これらを包含している。
図1
図2a-2b】
図2c-2d】
図3a-3b】
図3c-3d】
図4a
図4b
図4c-4d】
図4e
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b