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特許7025536血管灌流イメージングによる血流の評価のためのデバイス、システム、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】血管灌流イメージングによる血流の評価のためのデバイス、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
A61B6/00 331E
A61B6/00 360B
A61B6/00 350A
A61B6/00 ZDM
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020519102
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2018077124
(87)【国際公開番号】W WO2019068860
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】62/569,030
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アンサー,ジョン
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-012133(JP,A)
【文献】特開2008-136800(JP,A)
【文献】特開2015-217170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
患者の血管を貫通するコントラストの動きに関連する灌流イメージングデータを取得するように構成された灌流イメージングシステムからの灌流画像の第1のセットに対応する灌流イメージングデータの第1のセットを受け取る、
灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて、前記患者の前記血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも2つのパラメータの第1のグループを決定する、ここで、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループは、ピークまでの時間、造影剤流入速度、曲線下面積、又は平均通過時間のうちの少なくとも2つを含む、
前記灌流イメージングシステムからの灌流画像の異なる第2のセットに対応する、灌流イメージングデータの異なる第2のセットを受け取る、
灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて、前記患者の前記血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも2つのパラメータの第2のグループを決定する、ここで、少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループは、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループと同じである、
灌流イメージングデータの前記第1のセット、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループ、灌流イメージングデータの前記第2のセット、及び少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループの同時表示のため単一のグラフ表示を生成する、及び
前記単一のグラフ表示を、ディスプレイのグラフィカルユーザインターフェースに出力する、
ように構成されている医療処理ユニットであって、
ここで、灌流イメージングデータの前記第1のセットは、血管内手術の前に得られた灌流イメージングデータを含み、且つ灌流イメージングデータの前記第2のセットは、前記血管内手術の後に得られた灌流イメージングデータを含み、且つ
ここで、前記単一のグラフ表示は、灌流イメージングデータの前記第1のセット及び少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループの第1のグラフ表示と、灌流イメージングデータの前記第2のセット及び少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループの第2のグラフ表示との組み合わせを含み、
前記単一のグラフ表示は、前記第1のグラフ表示に示されているように、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す第1の曲線と、前記第2のグラフ表示に示されているように、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す第2の曲線とを含み、両者は軸の同じセットにプロットされる、医療処理ユニット。
【請求項2】
少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループに基づいて推奨を生成する、及び
前記推奨を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力する、
ようにさらに構成されている、請求項1に記載の医療処理ユニット。
【請求項3】
前記推奨が、前記血管内手術のための1つ以上の候補部位を識別することを含む、請求項に記載の医療処理ユニット。
【請求項4】
医療システムであって、
請求項1に記載の医療処理ユニットと、
前記グラフィカルユーザインターフェースと、
前記灌流イメージングシステムと、
を含む医療システム。
【請求項5】
請求項に記載の医療システムであって、ここで、前記単一のグラフ表示は、
前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表すグラフ、ここで、前記グラフは、
灌流イメージングデータの前記第1のセットに対応する第1の曲線と、
灌流イメージングデータの前記第2のセットに対応する異なる第2の曲線と、
を含む、グラフ、
少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループの数値表現、及び
少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループの数値表現、
を含む、医療システム。
【請求項6】
方法であって、以下:
医療処理ユニットが、患者の血管を貫通するコントラストの動きに関連する灌流イメージングデータを取得するように構成された灌流イメージングシステムからの灌流画像の第1のセットに対応する灌流イメージングデータの第1のセットを受け取ること、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも2つのパラメータの第1のグループを決定すること、ここで、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループは、ピークまでの時間、造影剤流入速度、曲線下面積、又は平均通過時間のうちの少なくとも2つを含む、
前記医療処理ユニットが、前記灌流イメージングシステムからの灌流画像の異なる第2のセットに対応する、灌流イメージングデータの異なる第2のセットを受け取ること、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも2つのパラメータの第2のグループを決定すること、ここで、少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループは、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループと同じである、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセット、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループ、灌流イメージングデータの前記第2のセット、及び少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループの同時表示のため単一のグラフ表示を生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記単一のグラフ表示を、ディスプレイのグラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含み、
ここで、灌流イメージングデータの前記第1のセットは、血管内手術の前に得られた灌流イメージングデータを含み、且つ灌流イメージングデータの前記第2のセットは、前記血管内手術の後に得られた灌流イメージングデータを含み、
ここで、前記単一のグラフ表示を生成することは、灌流イメージングデータの前記第1のセット及び少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループの第1のグラフ表示と、灌流イメージングデータの前記第2のセット及び少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループの第2のグラフ表示とを組み合わせることを含み、
前記単一のグラフ表示は、前記第1のグラフ表示に示されているように、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す第1の曲線と、前記第2のグラフ表示に示されているように、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す第2の曲線とを含み、両者は軸の同じセットにプロットされる、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、さらに
記医療処理ユニットが、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループと少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループとの間の差異を決定すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記差異を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む、方法。
【請求項8】
ここで、当該医療処理ユニットは、興味関心領域のユーザ選択を受け取るようにさらに構成されている、請求項1に記載の医療処理ユニット。
【請求項9】
ここで、前記単一のグラフ表示は、
前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表すグラフ、ここで、前記グラフは、
灌流イメージングデータの前記第1のセットに対応する第1の曲線と、
灌流イメージングデータの前記第2のセットに対応する異なる第2の曲線と、
を含む、グラフ、
少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループの数値表現、及び
少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループの数値表現、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、さらに
記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて解剖学的構造の第1の灌流画像を生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記第1の灌流画像を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、さらに
記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて前記解剖学的構造の第2の灌流画像を生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記第2の灌流画像を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、さらに
記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて推奨を生成することであって、ここで前記推奨を生成することは、前記血管内手術のための1つ以上の候補部位を識別することを含むこと、及び
前記医療処理ユニットから、前記推奨をディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む方法。
【請求項13】
ここで、前記血管内手術のための1つ以上の候補部位を識別することは、前記第1の灌流画像に示される前記解剖学的構造上の前記1つ以上の候補部位の視覚的インジケータを提供することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ここで、当該医療処理ユニットは、さらに、
ユーザ入力を受け取ることにのみ応答して、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループとは異なる、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す追加のパラメータを決定する
前記追加のパラメータに基づいて、灌流イメージングデータの前記第1のセット、少なくとも2つのパラメータの前記第1のグループ、灌流イメージングデータの前記第2のセット、少なくとも2つのパラメータの前記第2のグループ及び前記追加のパラメータの同時表示のため前記単一のグラフ表示を更新する、及び
前記単一のグラフ表示を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力する、
ように構成されている、請求項1に記載の医療処理ユニット。
【請求項15】
ここで、当該医療処理ユニットは、さらに、
灌流画像の前記第1のセットの画像と、灌流画像の前記第2のセットの画像との間の差異に基づいて、灌流画像を生成する、及び
前記灌流画像を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力する、
ように構成されている、請求項1に記載の医療処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、循環器系内の疾患の評価及び治療に関する。本開示の態様は、血管内治療の完全性を決定するために灌流評価を使用することを包含する。
【背景技術】
【0002】
循環器系の疾患は生命を脅かす可能性があり、且つ世界中の何百万もの人々に影響を及ぼし得る。一般的な問題の1つは、血管内部でのプラークの蓄積である。時間の経過とともに、プラークの蓄積により血管が閉塞する場合がある。血管の閉塞は閉塞の可能性を高め、それにより罹患した個人を心臓発作又は脳卒中の高いリスクにさらす。閉塞はまた血流を減らす。血流の減少は、多くの有害な状態を引き起こす可能性がある。例えば、いくつかのケースでは、閉塞した血管が四肢への血流を減少させる場合があり、それにより末梢動脈疾患(PAD)を引き起こす。四肢、最も一般的には脚が十分な血流を受けられず、けいれん、痛み、しびれ、脱力感、色の変化、及び弱い脈動の1つ以上を含む症状が発生する場合に、PADが発生する。個人の状態の重症度によっては、医学的介入が推奨される場合がある。
【0003】
したがって、循環器疾患を評価及び治療するための改善されたデバイス、システム、及び方法が依然として必要とされている。その点で、本開示のデバイス、システム、及び関連する方法は、従来技術の1つ以上の欠点を克服する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概要
本願は、患者の血管を貫通する血流を評価する医師の能力を改善することに関する。灌流イメージングとして知られている医療用イメージングデバイスは、血流に導入され、且つ血液とともに血管を貫通して移動する造影剤(contrast medium)の動きを追跡する。灌流イメージングデバイスと通信するコンピュータシステムは、血管の健康を評価するために医師に役立つ情報を提供する造影剤の動きに関連する1つ以上のパラメータを決定する。コンピュータシステムは、例えばグラフ又は数値などにより、血管を貫通するコントラストの動きを表す情報をディスプレイに提示することができるので、医師は血流を効率的に評価することができる。いくつかの場合において、評価は血管内療法(例えば、血管内でのステントの位置決めなど)の前後に行われる。グラフィカルな表示は、医師がパラメータを容易に比較するための手順の前後の情報を包含することができる。したがって、医師は治療の有効性を容易に評価することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、医療システムが開示される。当該医療システムは、患者の血管を貫通するコントラストの動きに関連する灌流画像データを取得するように構成された灌流イメージングシステムと、グラフィカルユーザインターフェースと、前記灌流イメージングシステム及び前記グラフィカルユーザインターフェースと通信する医療処理ユニットとを含む。前記医療処理ユニットは、
灌流イメージングシステムからの灌流イメージングデータの第1のセットを受け取る、
灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも1つのパラメータを決定する、
灌流イメージングデータの前記第1のセットの第1のグラフ表示(graphical representation)と、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータとを生成する、及び
前記第1のグラフ表示をディスプレイのグラフィカルユーザインターフェースに出力する、
ように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、当該医療処理ユニットは、興味関心領域のユーザ選択を受け取るようにさらに構成されている。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つのパラメータが、到着時間、ピークまでの時間、造影剤流入速度(wash in rate)、幅、曲線下面積、又は平均通過時間のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のグラフ表示は、前記患者の血管を貫通するコントラストの動きを表すグラフを含む。いくつかの実施形態において、当該医療処理ユニットは、
前記灌流イメージングシステムからの灌流イメージングデータの第2のセットを受け取る、
灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも1つのパラメータを決定する、
灌流イメージングデータの前記第2のセットの第2のグラフ表示と、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータとを生成する、及び
前記第2のグラフ表示を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力する、
ようにさらに構成されている。いくつかの実施形態において、灌流イメージングデータの前記第1のセットは、血管内手術(intravascular procedure)の前に得られた灌流イメージングデータを含み、且つ灌流イメージングデータの前記第2のセットは、前記血管内手術の後に得られた灌流イメージングデータを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のグラフ表示及び前記第2のグラフ表示を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力することは、第3のグラフ表示を形成するため、前記第1のグラフ表示と前記第2のグラフ表示とを組み合わせることを含み、前記第3のグラフ表示は、前記第1のグラフ表示に示されているように、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す第1の曲線と、前記第2のグラフ表示に示されているように、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す第2の曲線とを含み、両者は軸の同じセットにプロットされる。いくつかの実施形態において、当該医療処理ユニットは、
灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータに基づいて推奨を生成する、及び
前記推奨を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力する、
ようにさらに構成されている。いくつかの実施形態において、前記推奨は、血管内手術のための1つ以上の候補部位を識別することを含む。
【0007】
一実施形態において、方法が開示される。当該方法は、
医療処理ユニットが、患者の血管を貫通するコントラストの動きに関連する灌流撮像データを取得するように構成された灌流イメージングシステムからの灌流イメージングデータの第1のセットを受け取ること、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも1つのパラメータを決定すること、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットの第1のグラフ表示と、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータとを生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記第1のグラフ表示を、ディスプレイのグラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つのパラメータは、到着時間、ピークまでの時間、造影剤流入速度(wash in rate)、幅、曲線下面積、又は平均通過時間のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のグラフ表示は、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表すグラフを含む。いくつかの実施形態において、当該方法は、さらに、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて解剖学的構造の第1の灌流画像を生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記第1の灌流画像を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む。いくつかの実施形態において、当該方法は、さらに、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて推奨を生成することであって、ここで前記推奨を生成することは、血管内手術のための1つ以上の候補部位を識別することを含むこと、及び
前記医療処理ユニットから、前記推奨を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む。いくつかの実施形態において、前記血管内手術のための1つ以上の候補部位を識別することは、前記第1の灌流画像に示される前記解剖学的構造上の前記1つ以上の候補部位の視覚的インジケータを提供することを含む。
【0009】
一実施形態において、方法が開示される。当該方法は、
前記医療処理ユニットが、前記灌流イメージングシステムからの灌流イメージングデータの第2のセットを受け取ること、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも1つのパラメータを決定すること、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットの第2のグラフ表示と、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータとを生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記第2のグラフ表示を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、当該方法は、さらに、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータと、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータとの間の差異を決定すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記差異を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む。いくつかの実施形態において、灌流イメージングデータの前記第1のセットは、血管内手術の前に得られた灌流イメージングデータを含み、且つ灌流イメージングデータの前記第2のセットは、前記血管内手術の後に得られた灌流イメージングデータを含む。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて解剖学的構造の第2の灌流画像を生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記第2の灌流画像を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含む。いくつかの実施形態において、前記第1のグラフ表示及び前記第2のグラフ表示を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力することは、第3のグラフ表示を形成するため、前記第1のグラフ表示と前記第2のグラフ表示とを組み合わせることを含み、前記第3のグラフ表示は、前記第1のグラフ表示に示されているように、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す第1の曲線と、前記第2のグラフ表示に示されているように、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す第2の曲線とを含み、両者は軸の同じセットにプロットされる。
【0011】
本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
図面の簡単な説明
開示の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本開示の様々な態様によるシステムの概略図である。
図2図2Aは、本開示の実施形態による視覚ディスプレイである。図2Bは、本開示の別の実施形態による視覚ディスプレイである。
図3図3は、本開示の別の実施形態による視覚ディスプレイである。
図4図4は、本開示の別の実施形態による視覚ディスプレイである。
図5図5は、本開示の別の実施形態による視覚ディスプレイである。
図6図6は、本開示の様々な態様による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本開示の原理の理解を促進する目的で、図面に示される実施形態を参照し、それを説明するために特定の用語を使用する。それにもかかわらず、本開示の範囲に対する限定が意図されていないことが理解される。業界の標準的な慣行に従って、図解されているフィーチャの一部は縮尺どおりに描かれていない場合があることを強調する。実際、さまざまなフィーチャの寸法は、明確にするために任意に増減されている場合がある。説明されたデバイス、システム、及び方法に対するあらゆる変更及びさらなる修正、ならびに本開示の原理のさらなる適用は、本開示が関係する当業者が通常思いつくように、完全に企図され、本開示内に包含される。特に、一実施形態に関して説明されるフィーチャ、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して説明されるフィーチャ、構成要素、及び/又はステップと組み合わせることができることが十分に企図される。しかしながら、簡潔にするために、これらの組み合わせの多数の反復は個別に説明されない。
【0015】
ここで図1を参照すると、システム100が説明される。当該システム100は、医療処理システム102、ディスプレイ104、及び灌流イメージングシステム106を含む。いくつかの状況では、当該システム100は、1つ以上の追加の要素を含むことができる。前記医療処理システム102は、灌流評価モジュール108を含む。前記灌流評価モジュール108は、画像ビルダ110、画像分析モジュール112、及び領域識別モジュール114を含む。前記灌流評価モジュール108、画像ビルダ110、画像分析モジュール112、及び領域識別モジュール114は、ハードウェアで実装されるか、ソフトウェアで実装されるか、又はハードウェアとソフトウェアのいくつかの組み合わせで実装されてもよい。
【0016】
当該システム100は、病院内、例えば、カテーテル検査室又はイメージングスイート内に配備されてもよい。前記医療処理システム102は、前記カテーテル検査室又はイメージングスイートに関連するコントロールルームに配置することができる。任意選択で、前記医療処理システム102は、他の場所に、例えばカテーテル検査室又はイメージングスイート自体などに、配置されてもよい。前記カテーテル検査室及び/又はイメージングスイートとコントロールルームは、任意の数の医療センシング手順、例えば血管造影など、例えば、デジタルサブトラクション血管造影(DSA)又は灌流血管造影、蛍光透視法、IVUS、仮想組織学(VH)、前方観察IVUS(FL-IVUS)、血管内光音響(IVPA)イメージング、フラクショナルフローリザーブ(FFR)決定、冠状動脈血流予備(CFR)決定、光干渉断層法(OCT)、コンピュータ断層撮影、心内心エコー検査(ICE)、前方観察ICE(FLICE)、血管内パルポグラフィー、経食道超音波、その他の医療感知モダリティ、又はそれらの組み合わせ、を実行するために使用できる。
【0017】
前記ディスプレイ104及び/又は前記灌流イメージングシステム106は、直接的又は間接的に前記医療処理システム102に通信可能に結合され得る。これらの要素は、有線接続、例えば標準的な銅リンク、又は、光ファイバーリンク、及び/又はIEEE 802.11 Wi-Fi標準、ウルトラワイドバンド(UWB)標準、ワイヤレスFireWire、ワイヤレスUSB、又は別の高速ワイヤレスネットワーク標準を使用したワイヤレス接続、を介して前記医療処理システム102に通信可能に結合され得る。医療処理システム102は、1つ以上のデータネットワーク、例えば、TCP/IPベースのローカルエリアネットワーク(LAN)に通信可能に結合され得る。他の実施形態において、同期光ネットワーク(SONET)などの異なるプロトコルを利用することができる。場合によっては、医療処理システム102は、広域ネットワーク(WAN)に通信可能に結合されてもよい。医療処理システム102は、様々なリソースにアクセスするのに、ネットワーク接続を利用することができる。例えば、医療処理システム102は、ネットワーク接続を介して、医療におけるデジタルイメージング及び通信(DICOM)システム、画像保管及び通信システム(PACS)、及び/又は病院情報システムと通信することができる。
【0018】
いくつかの場合において、当該システム100は、対象の、例えば、患者の循環、を評価するために使用され得る。特に、当該システム100は、対象の脳、腎臓、四肢、例えば、下肢、四肢、例えば、手足、又はそれらの組み合わせ、における循環を評価するために使用されてもよい。その点で、前記灌流イメージングシステム106は、対象の身体の領域に関する灌流イメージングデータを取得するために使用され得る。前記灌流イメージングデータは、対象の血管系を貫通する血流に関するデータ、例えば、画像化された領域を貫通する血流に関するデータを含み得る。したがって、前記灌流イメージングシステム106は、対象の血管系を貫通する血流に関するデータを取得するように構成された1つ以上のイメージングシステムを含むことができる。例えば、前記灌流イメージングシステム106は、血管造影、例えば、DSA、を実行するように構成された血管システムを備えてもよい。いくつかの場合では、対象の血管系を貫通する血流に関するデータを取得することは、対象の血液の解像度を高めるように構成された溶液を対象に注入することを含み得る。例えば、対象は、放射性同位元素又は造影剤のうちの1つ以上を注射されてもよい。したがって、いくつかの場合では、前記灌流イメージングシステム106は、対象の脈管構造及び/又は個々の血管を貫通するコントラストの動きに関連する灌流イメージングデータを取得するように構成され得る。確かに、コントラストの動きは、血液の動きの代理として扱うことができる。したがって、コントラストの動きへの本明細書での言及は、血液の動きに関係すると想定されてもよい。
【0019】
前記灌流イメージングシステム106は、灌流イメージングデータを前記医療処理システム102に伝達することができる。前記医療処理システム102は、灌流イメージングデータを受信することができ、且つ受信した灌流イメージングデータを前記灌流評価モジュール108に送ることができる。前記灌流評価モジュール108の画像ビルダ110は、前記灌流イメージングシステム106から受信した灌流イメージングデータに基づいて1つ以上の画像を生成することができ、且つ1つ以上の画像をディスプレイ104に出力することができる。前記ディスプレイ104は、複数の画面を含むことができ、且つ異なる画面は、異なる画像及び/又は同一の画像を表示するように構成されている。その点で、複数の画像が各画面に表示される場合がある。いくつかの場合では、前記ディスプレイ104は、ユーザ、例えば医師、に手順についてのフィードバックを提供する、ユーザインターフェース(UI)、例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表すことができる。前記画像ビルダ110から前記ディスプレイ104に出力される画像は、前記灌流イメージングシステム106によってイメージングされた解剖学的構造の灌流画像、灌流イメージングデータのグラフ表示(graphical representations)、灌流イメージングデータに基づいて計算された1つ以上のパラメータの表示を含み得る。前記灌流イメージングデータのグラフ表示は、対象の血管を貫通するコントラストの動きを表す1つ以上のグラフを含み得る。解剖学的構造の灌流画像は、対象の血管系を描写している場合があり、その血管は、流れを示す色分けされている場合がある。
【0020】
いくつかの場合では、前記画像ビルダ110は、灌流イメージングシステム106から複数のセットの灌流イメージングデータを受け取ることができる。例えば、灌流イメージングデータの1セットは、治療又は処置、例えば血管内治療、例えばバルーン血管形成術、ステント留置、再疎通など、の前に取得することができ、且つ前記治療又は処置後に、灌流イメージングデータの第2のセットを取得できる。灌流イメージングデータの両方のセットは、前記灌流イメージングシステム106から前記画像ビルダ110に送信されてもよい。灌流イメージングデータの様々なセットは、それらが取得されるとき、又はすべてのセットが取得された後に集合して、前記画像ビルダ110に送信されてもよい。前記画像ビルダ110は、前記セットが受け取られたとき、又はすべてのセットが受け取られた後に、灌流イメージングデータの前記セットに基づいて生成された画像を出力することができる。
【0021】
前記画像ビルダ110が灌流イメージングデータの複数のセットを受信すると、前記画像ビルダ110は、灌流イメージングデータの各セットについて1つ以上の画像を生成することができ、且つ前記ディスプレイ104に出力することができる。例えば、前記画像ビルダ110は、対象の循環の1つ以上の態様を改善する、血管内手術(intravascular procedure)の前に得られた灌流イメージングデータの第1のセット、及び前記血管内手術後に得られた灌流イメージングデータの第2のセットを受け取ることができ、且つ、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて、解剖学的構造の第1の灌流画像、及び灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて、前記解剖学的構造の第2の灌流画像を生成することができ且つ前記ディスプレイ104に出力することができる。前記画像ビルダ110は、追加又は代替として、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて、第1のグラフ表示、及び灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて、第2のグラフ表示を生成することができ且つ前記ディスプレイ104に出力することができる。いくつかの場合では、前記画像ビルダ110は、前記さまざまなグラフ表示に示されているように血管を貫通する、コントラスト、血液、又は両方の動きを表す複数の曲線を含むグラフ表示(graphical representations)、例えば第3のグラフ表示を形成するため、複数のグラフ表示、例えば前記第1の及び第2のグラフ表示、を組み合わせることができ、それにより、前記複数の曲線が軸の同じセットにプロットされる。
【0022】
前記灌流評価モジュール108の前記画像分析モジュール112は、前記灌流イメージングデータ、前記画像ビルダ110によって生成された画像、又はその両方を分析することができる。簡潔にするために、いくつかの実施形態の説明は、前記画像分析モジュール112の分析が、前記分析がまた前記灌流イメージングデータに基づくことも、又はその逆も可能であることを指定することなく、前記画像ビルダ110によって生成された画像に基づくことを包含する。そのような場合、前記画像分析モジュール112の分析は、追加的又は代替的に、前記画像ビルダ110によって生成された不特定の灌流イメージングデータ又は画像に基づくことができると理解されたい。前記画像分析モジュール112は、灌流イメージングデータを分析することができ、且つ前記灌流イメージングデータに基づいて、対象の血管を貫通するコントラスト、血流、又はその両方の動きに関するグラフィカルデータを生成することができ、且つ、前記グラフィカルデータを、前記グラフィカルデータに基づいて前記灌流イメージングデータのグラフ表示を生成することができる前記画像ビルダ110に伝達することができる。前記画像分析モジュール112は、前記灌流イメージングデータ、前記画像ビルダ110によって生成された画像、又はその両方に基づいて、血管を貫通するコントラストの動き、血液の動き、又はその両方を表す少なくとも1つのパラメータを決定し得る。血管を貫通するコントラスト、血液、又はその両方の動きを表すパラメータは、到着時間、ピークまでの時間、造影剤流入速度(wash in rate)、幅、曲線下面積、及び平均通過時間、を包含する。前記画像分析モジュール112は、前記少なくとも1つのパラメータを前記画像ビルダ110に伝達することができる。次に、前記画像ビルダ110は、前記少なくとも1つのパラメータの表示、例えば、数値、英数字ラベルなど、生成することができ、且つ前記少なくとも1つのパラメータの前記表示を前記ディスプレイ104に出力することができる。
【0023】
場合によっては、前記画像分析モジュール112は、灌流イメージングデータ、前記画像ビルダ110によって生成された画像、又はその両方を分析することができ、且つ、前記灌流イメージングデータ、前記画像ビルダ110によって生成された画像、少前記少なくとも1つのパラメータ、又はそれらの組み合わせに基づいて推奨を生成することができる。前記推奨は、血管内手術のための1つ以上の候補部位を特定すること、実行されるべき特定の手順を特定すること、手順を繰り返すことを推奨すること、計画された手順をキャンセルすることを推奨すること、手順が実行された後のフォローアップ行動を推奨すること、又はそれらの組み合わせ、を含んでもよい。例えば、前記画像分析モジュール112は、解剖学的構造の灌流画像を分析することができ、且つ対象の血管系を貫通するコントラストの動きに基づいて、前記対象の脈管構造内の1つ以上の部位での血管内治療の実施は、前記解剖学的構造の1つ以上の領域への血流を改善することを決定することができ、且つ前記決定に基づいて治療部位の推奨を行うことができる。前記画像分析モジュール112は、血管内手術、実行された過去の手術(procedures)、失敗した初期処置、処置部位、処置及び/もしくは処置部位に基づいて索引付けされた改善統計、又はそれらの組み合わせに関する情報を格納する1つ以上のデータベースにアクセスすることができる。前記推奨を生成することは、灌流イメージングデータ、前記画像ビルダ110によって生成された画像、前記少なくとも1つのパラメータ、又はそれらの組み合わせを、前記1つ以上のデータベースに格納された情報と比較することを含み得る。前記画像分析モジュール112は、前記画像ビルダ110に前記推奨を伝達することができる。前記画像ビルダ110は、前記灌流イメージングデータに基づいて生成された1つ以上の画像に前記推奨を組み込むことができる。例えば、前記画像ビルダ110は、血管内療法の実施のための推奨部位を識別する解剖学的構造の灌流画像上に視覚的インジケータを提供することができる。
【0024】
場合によっては、当該システム100のユーザ、例えば医師は、対象の解剖学的構造の興味関心の特定の領域、例えば対象の足のボール(親指の付け根のふくらみ)を評価したいと思うかもしれない。その点に関して、ユーザは、興味関心の領域を前記医療処理システム102に提供することができる。ユーザは、容量性タッチスクリーン、抵抗性タッチスクリーン、又はそれらの組み合わせを含み得る、ディスプレイ104に表示される解剖学的構造の灌流画像上に自由形式を描くことによって興味関心の前記領域を示すことができる。指示された興味関心領域は、領域識別モジュール114に伝達され得る。ユーザは、形状のリストから形状を選択し、前記形状のサイズを調整し、及び興味関心領域を区切るために前記解剖学的構造の灌流画像上に前記形状を配置することにより、興味関心の領域を示すことができる。ユーザは、興味関心の可能な領域のドロップダウンメニューから興味関心の領域を選択することができる。例えば、ユーザは、解剖学的構造の灌流画像が対象の足の灌流画像を含むことを示すことができる。そうすると、前記領域識別モジュール114は、興味関心の可能な領域のリスト、例えば、つま先、足の指の付け根、足のアーチ、かかと、足首など、を出力することができる。ユーザはそれから選択を行うことができる。その点で、興味関心の異なる領域を包含する異なるリストが、異なる解剖学的構造についてユーザに提示され得る。場合によっては、前記画像分析モジュール112は、画像内の前記解剖学的構造を自動的に識別してもよく、且つ前記解剖学的構造のアイデンティティを前記領域識別モジュール114に伝達することができ、これは、前記解剖学的構造に対応する興味関心領域のリストを自動的に選択することができる。前記領域識別モジュール114は、興味関心の新しい領域がユーザによって識別されると、興味関心の可能な領域のリストを更新することができる。
【0025】
前記領域識別モジュール114は、示された興味関心領域を前記画像分析モジュール112、前記画像ビルダ110、又はその両方に通信することができる。例えば、前記領域識別モジュール114は、興味関心の指示された領域を前記画像分析モジュール112に通信することができる。前記画像分析モジュール112は、興味関心領域に関連する灌流イメージングデータに基づいて、血管を貫通するコントラストの動き、血液の動き、又はその両方を表す少なくとも1つのパラメータを興味関心領域について決定することができる。次に、前記画像分析モジュール112は、興味関心領域について決定された前記少なくとも1つのパラメータを、前記ディスプレイ104への出力のために前記画像ビルダ110に伝達することができる。前記画像ビルダ110は、前記ディスプレイ104に出力された画像上の興味関心領域を示し得る。場合によっては、ユーザが興味関心領域を調整したいことがある。そのような場合、前記領域識別モジュール114から調整された興味関心領域を受け取ると、前記画像分析モジュール112は、興味関心の調整された領域を反映するため、前記少なくとも1つのパラメータの決定を自動的に更新することがある。
【0026】
次に図2を参照すると、画像200の視覚的表示が示されている。当該画像200は、本明細書で説明するように前記画像ビルダ110によって生成され、且つ前記ディスプレイ104に表示され得る。当該画像200は、解剖学的構造の治療前の灌流画像を含む。図2に示される解剖学的構造は対象の足である。当該画像200は、興味関心の指示された領域202、特に、ユーザによって自由形式で描かれた興味関心の領域を含む。当該画像200は、対象の血管系の描写をさらに含み、その血管は、流れを示すように色分けされ得る。カラースペクトルの赤い端に向かって移動するのに対し、ここでは、赤は、フローが良好又は妨げられていないことを示す、カラースペクトルの青い端に向かって移動することは、フローの減少を示してよい、ここでは、青色は流れの不良又は閉塞を示す。一部の実装では、色の意味が逆になる場合がある。図2Aに見られるように、興味関心領域202の周辺部付近にはほとんど血流がない。
【0027】
次に図2Bを参照すると、画像204の視覚的表示が示されている。当該画像204は、本明細書で説明するように前記画像ビルダ110によって生成され、且つ前記ディスプレイ104に表示され得る。この点に関して、当該画像204は、同じ画面上又は別の画面上のいずれかで、前記画像200の横に表示され得る。当該画像204は、図2Aに示される前記解剖学的構造の治療後の灌流画像、前記対象の足、を含む。当該画像204は、興味関心の示された領域202を保持する。代替的又は追加的に、治療前後の灌流の間の差を表す画像は、画像204及び200から導き出され、興味関心の示された領域202を保持し、灌流に対する治療の効果を強調する。図2Bに見られるように、興味対象領域202の周辺付近の血流は、対象の足の他の領域の血流とともに増加している。このような増加は、対象の循環を改善するために行われた血管内手術が成功したことを示している可能性がある。残念ながら、場合によっては、解剖学的構造の灌流イメージングだけでは治療の成功を評価するには不十分な場合がある。治療に失敗すると、循環器系の問題が長引いたり、且つ場合によっては切断をもたらすことがある。したがって、治療評価の精度を向上させるために、灌流イメージングシステム106によって、例えば、灌流イメージングデータに基づいて、血管を貫通するコントラストの動き、血液の動き、又はその両方を表す少なくとも1つのパラメータを決定することにより、取得された灌流イメージングデータに対して追加の分析を実行することが有益であり得る。
【0028】
次に図3を参照すると、図3には、画像300の視覚的表示が示されている。当該画像300は、本明細書で説明するように前記画像ビルダ110によって生成され、且つ前記ディスプレイ104上に表示されてもよい。いくつかの例では、当該画像300は、興味関心領域202の治療前及び治療後の灌流イメージングデータに基づいて生成されてもよい。その点に関して、当該画像300は、前記画像200及び204の一方又は両方とともに、同じ画面上又は異なる画面上のいずれかで、表示されてもよい。当該画像300は、灌流イメージングデータの2セットのグラフ表示を含む。一方のセットは血管内手術の実施前に得られ、且つ他方のセットは前記血管内手術の実施後に得られる。その点に関して、当該画像300は、前記血管内手術の実施前の対象の血管を貫通するコントラストの動きを表す曲線304と、前記血管内手術の実施後の前記対象の血管を貫通するコントラストの動きを表す曲線302とを含む。示されるように、曲線304及び曲線302は、軸の同じセット上にプロットされ得る。図3において、「X」軸は秒単位の時間を表し、且つ「Y」軸はハンスフィールド(Hounsfield)単位(HU)の密度を表す。場合によっては、「Y」軸はグラム/立方センチメートルの代表的な密度である場合がある。以下でより詳細に説明するように、前記曲線304及び前記曲線302は、血管を貫通するコントラストの動き、血液の動き、又はその両方を表す1つ以上のパラメータを決定するために分析されることができる。それは血管内手術の成功の評価を改善するかもしれない。
【0029】
ここで図4を参照すると図4には、画像400の視覚的表示が示されている。当該画像400は、本明細書で説明するように前記画像ビルダによって生成され、且つ前記ディスプレイ104に表示され得る。この点に関して、当該画像400は、前記画像200、前記画像204、前記画像300、又はそれらの組み合わせとともに、同じ画面上又は異なる画面上に表示され得る。場合によっては、当該画像400は、血管を貫通するコントラストの動き、血液の動き、又はその両方を表す各パラメータの値がどのように決定されるかを示すのに役立つ凡例として使用することができる。その点で、各パラメータの値がどのように決定されるかを示すラベルは、灌流イメージングデータに基づいて生成されたグラフ表示に適用され得る。
【0030】
当該画像400は、血管を貫通するコントラストの動き、血液の動き、又はその両方を表す6つのパラメータがどのように決定されるかを示すラベル1~6を含む。ラベル1は到着時刻を示す。到着時間は、測定の開始から血管によるコントラストの取り込みの開始までの時間である。到着時間の知識は、造影剤注入のポイントと興味関心領域の境界との間の血流速度を計算するために使用できる。さらに、治療前後の曲線間の到達時間を比較することで、2つの曲線間の血流速度の変化を計算できる。ラベル2はピークまでの時間を示す。ピークまでの時間は、造影剤の取り込みの開始と血管内のコントラストの最大密度のポイントとの間の時間である。ピークまでの時間は、コントラストの流量を反映している。その点で、ピークまでの時間が短いほど、フローが大きく、血管がより健康であることを示している。ラベル3は、造影剤流入速度(wash in rate)を示す。造影剤流入速度は、曲線の傾きに基づいて決定される。より健康な血管は、より大きな造影剤流入速度、すなわちより急な傾斜を示す。ラベル4は幅を示す。曲線の幅は、コントラストが血管を通過するのにかかる平均時間を表す。幅が大きいほど、通過時間が長くなり、且つ血管が不健康になる。ラベル5は、曲線の下の面積(area)を示す。曲線の下の面積を使用して、血流量を推定できる。血液量が多いほど、血管が健康であることを示している。ラベル6は平均通過時間を示す。平均通過時間は幅パラメータに似ているが、曲線の非対称性が考慮される。
【0031】
前記パラメータは、例えば、本明細書に記載されるように前記画像分析モジュール112によって、例えば灌流イメージングデータのグラフ表示を分析することにより、決定されてもよい。医師及び/又は前記医療処理システム102は、対象の循環を評価するために、前記パラメータのうち1つ以上を使用することができる評価が治療前に行われる場合、評価は血管内手術を行うことの妥当性を判断するために使用できる。その点で、前記画像分析モジュール112は、血管内手術、どの血管内手術を実行するか、血管内手術を実行する1つ以上の部位、又はそれらの組み合わせを行うかどうかの推奨を生成することができる。前記推奨は、前記ディスプレイ104への出力のために前記画像ビルダ110に伝達されてもよい。評価が治療後に行われる場合、評価は、治療の成功を評価するために使用され得る。その点で、前記画像分析モジュール112は、追加の手順が望ましいかどうか、どの追加の手順を実行するか、前記追加の手順を実行する1つ以上の部位、又はそれらの組み合わせが推奨されるかどうかを生成し得る。前記推奨は、前記ディスプレイ104への出力のために前記画像ビルダ110に通信されてもよい。
【0032】
場合によっては、前記パラメータは、異なる重みのパラメータが対象の循環の評価に異なる影響を与えるように重み付けされる場合がある。例えば、重みの大きいパラメータの変更は、重みの低いパラメータの同様の変更よりも、対象の循環の評価に大きな影響を与える可能性がある。各パラメータには、他のすべてのパラメータとは異なるユニークな重みを割り当てることができる。あるいは、2つ、3つ、4つ、又は5つのパラメータが特定の重みを共有してもいが、残りの1つ以上のパラメータがユニークな重みを持つか、異なる重みを共有するか、又はそれらのいくつかの組み合わせを共有する。その点で、前記パラメータは2つ以上の階層に分割されてもよく、ここで、同じ階層内のパラメータには同じ重みが割り当てられる。一実施形態において、到着時間、ピークまでの時間、及び幅に、造影剤流入速度、曲線下面積、及び平均通過時間よりも高い重みを割り当てることができる。あるいは、造影剤流入速度、曲線下面積、平均通過時間に、到着時間、ピークまでの時間、及び幅よりも高い重みを割り当てることができる。一実施形態において、幅及び平均通過時間に同じ重みを割り当てることができる。一実施形態において、到着時間、ピークまでの時間、造影剤流入速度、幅、曲線下面積、又は平均通過時間のうちの1つ以上に、最も高い重みを割り当てることができる。一実施形態において、到着時間、ピークまでの時間、造影剤流入速度、幅、曲線下面積、又は平均通過時間のうちの1つ以上に、最低の重みを割り当てることができる。一実施形態において、加重パラメータのうち少なくとも2つを使用して、複合パラメータを形成することができる。さらなる実施形態において、6つのパラメータすべてが、加重複合パラメータのために使用される。
【0033】
ここで図5を参照すると、そこに示されるのは、画像500の視覚的表示である。当該画像500は、いくつかの例では、グラフィカルユーザインターフェースを含み得る。当該画像500は、本明細書で説明するように前記画像ビルダ110によって生成され、且つ前記ディスプレイ104に表示されてもよい。当該画像500は、灌流イメージングデータの2セット、血管内手術の実行前に得られた1セット及び血管内処置の実施後に得られた他方のセット、のグラフ表示を含む。前記グラフ表示は、興味関心領域、例えば、関心領域202、の治療前及び治療後の灌流イメージングデータに基づいて生成されていてもよい。この点に関して、当該画像500は、前記画像200及び204の一方又は両方とともに、同じ画面上又は異なる画面上のいずれかで表示されてもよい。当該画像500は、血管内手術の実施前の対象の血管を貫通するコントラストの動きを表す曲線504と、前記血管内手術の実施後の前記対象の血管を貫通するコントラストの動きを表す曲線502とを含む。示されるように、曲線504及び曲線502は、軸の同じセット上にプロットされ得る。図5において、「X」軸は秒単位の時間を表し、「Y」軸はハウンスフィールド単位(HU)単位の密度を表す。
【0034】
画像500はさらに、対象の血管を貫通するコントラスト、血流、又はその両方の動きを表す6つのパラメータを表示する。前記6つのパラメータは、到着時間、ピークまでの時間、造影剤流入速度、幅、曲線下面積、及び平均通過時間である。図5には示されていないが、画像500は、パラメータがどのように決定されるかを示す図4を参照して説明された1つ以上のラベル1~6を含み得る。前記6つのパラメータのそれぞれについて、画像500は、前記パラメータの前処理値と後処理値の両方を包含する。いくつかの場合において、前記6つのパラメータのそれぞれに対する前処理値及び後処理値の一方又は両方は、例えば、前記画像分析モジュール112によって自動的に決定され得る。あるいは、前処理値及び後処理値の一方又は両方は、ユーザ入力に応じて決定されてもよい。例えば、図5は、曲線下面積の前処理値も後処理値も計算されていないことを示している。代わりに、画像500は前記値の代わりに「GO」ボタンを示している。したがって、曲線下面積の値は、ユーザが「GO」ボタンをアクティブ化することに応答して計算され得る。状況によっては、ユーザ入力に応答して1つ以上のパラメータを計算すると、処理時間を改善し、且つ同時に実行されるべき計算の数を減らすことにより、前記パラメータの値を決定するタスクが割り当てられた、前記医療処理システム、例えば医療処理システム102、の効率を上げることができる。代替的又は追加的に、治療前後のパラメータ間の差を導出し、且つ治療前及び治療後パラメータの値と一緒に、又は代わりに表すことができ、灌流に対する治療の効果を強調することができる。さらなる代替の実施形態においては、複合パラメータは、治療前及び治療後のパラメータの値とともに、又はその代わりに表示される。
【0035】
次に図6を参照すると、本開示の実施形態による方法600のフローチャートが示されている。当該方法600の一部は、図1図5を参照して上で論じた技法に対応することができ、且つ前記システム100の1つ以上の要素に対して、それとともに、及び/又はそれによって実行することができる。当該方法は、ブロック602で始まり、ここで、灌流イメージングデータの第1のセットが、医療処理ユニットによって、患者の血管を貫通するコントラストの動きに関連する灌流イメージングデータを取得するように構成された灌流イメージングシステムから受信される。ブロック604で、前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて、前記患者の血管を貫通するコントラストの動きを表す少なくとも1つのパラメータを決定する。ブロック606における前記療処理ユニットが、灌流イメージングデータの第1のセットの第1のグラフ表示と、灌流イメージングデータの第1のセットに基づいて決定された少なくとも1つのパラメータとを生成する。ブロック606において、前記医療処理ユニットから、第1のグラフ表現を、ディスプレイのためのグラフィカルユーザインターフェースに出力する。
【0036】
図6には示されていないが、当該方法600は、前述の開示と一致する追加のステップをさらに含み得る。例えば、当該方法600は、前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの第1のセットに基づいて解剖学的構造の第1の灌流画像を生成すること、前記医療処理ユニットから前記第1の灌流画像を、ディスプレイのために前記グラフィカルユーザインターフェースに出力することを含み得る。さらなる例では、当該方法600は、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて推奨を生成することであって、ここで前記推奨を生成することは、血管内手術のための1つ以上の候補部位を識別することを含むこと、及び
前記医療処理ユニットから、前記推奨をディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含み得る。さらなる例では、当該方法600は、
前記医療処理ユニットが、前記灌流イメージングシステムからの灌流イメージングデータの第2のセットを受け取ること、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて、前記患者の血管を貫通する前記コントラストの動きを表す少なくとも1つのパラメータを決定すること、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットの第2のグラフ表示と、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータとを生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記第2のグラフ表示を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含み得る。さらなる例では、当該方法600は、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータと、灌流イメージングデータの前記第1のセットに基づいて決定された前記少なくとも1つのパラメータとの間の差異を決定すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記差異を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含み得る。さらなる例では、当該方法600は、
前記医療処理ユニットが、灌流イメージングデータの前記第2のセットに基づいて解剖学的構造の第2の灌流画像を生成すること、及び
前記医療処理ユニットから、前記第2の灌流画像を、ディスプレイの前記グラフィカルユーザインターフェースに出力すること、
を含み得る。
【0037】
さらに、当該方法600は、図6に示されるステップのいくつかを省略してもよいか、及び/又は本開示の範囲から逸脱することなく、様々な順序でステップを実行してもよい。
【0038】
当業者は、上記の装置、システム、及び方法が様々な方法で修正され得ることを認識するであろう。したがって、当業者は、本開示に含まれる実施形態が、上述の特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解するであろう。その点で、例示的な実施形態が示され、説明されてきたが、前述の開示では、広範囲の修正、変更、及び置換が企図されている。このような変形は、本開示の範囲から逸脱することなく、前述のものに対して行われ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広く、かつ本開示と一致する方法で解釈されることが適切である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6