(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】車両ナンバー特定装置、車両ナンバー特定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/04 20060101AFI20220216BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220216BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220216BHJP
【FI】
G08G1/04 C
G08G1/09 F
G06T7/00 350B
(21)【出願番号】P 2020528595
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2018025343
(87)【国際公開番号】W WO2020008556
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 健太
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106485801(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105243695(CN,A)
【文献】特開2007-207220(JP,A)
【文献】特開2017-111806(JP,A)
【文献】特開2017-130174(JP,A)
【文献】特開2010-198305(JP,A)
【文献】特開2010-170207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/04
G08G 1/09
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された識別媒体に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する登録ナンバー情報取得部と、
前記車両のナンバープレート画像を取得するナンバープレート画像取得部と、
前記ナンバープレート画像に対する光学的文字認識処理の結果を示すOCR結果情報を取得するOCR処理部と、
前記ナンバープレート画像を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルが出力する推定結果情報を取得する推定処理部と、
前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを前記車両の車両ナンバーとして特定する一致判定部と、
を備える車両ナンバー特定装置。
【請求項2】
前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと前記一致判定部が判定した場合、その車両ナンバーと前記ナンバープレート画像とが関連付けられた機械学習用データを生成する機械学習用データ生成部
をさらに備える、請求項1に記載の車両ナンバー特定装置。
【請求項3】
前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち何れの2つの組み合わせも同一の車両ナンバーを示さないと前記一致判定部が判定した場合、前記ナンバープレート画像を提示する画像提示部をさらに備え、
前記機械学習用データ生成部は、入力される車両ナンバーと前記ナンバープレート画像とが関連付けられた機械学習用データを生成する、
請求項2に記載の車両ナンバー特定装置。
【請求項4】
前記OCR結果情報と前記推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示し、かつ、その車両ナンバーを示す前記登録ナンバー情報を得られないと前記一致判定部が判定した場合、その車両ナンバーが示す車両が不正車両である可能性があると判定する不正判定部
をさらに備える、請求項1から3の何れか一項に記載の車両ナンバー特定装置。
【請求項5】
コンピュータが、
車両に搭載された識別媒体に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する工程と、
前記車両のナンバープレート画像を取得する工程と、
前記ナンバープレート画像に対する光学的文字認識処理の結果を示すOCR結果情報を取得する工程と、
前記ナンバープレート画像を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルが出力する推定結果情報を取得する工程と、
前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを前記車両の車両ナンバーとして特定する工程と、
を含む車両ナンバー特定方法。
【請求項6】
コンピュータに、
車両に搭載された識別媒体に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する工程と、
前記車両のナンバープレート画像を取得する工程と、
前記ナンバープレート画像に対する光学的文字認識処理の結果を示すOCR結果情報を取得する工程と、
前記ナンバープレート画像を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルが出力する推定結果情報を取得する工程と、
前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを前記車両の車両ナンバーとして特定する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ナンバー特定装置、車両ナンバー特定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を特定する方法の1つに、車両のナンバープレートを読み取る方法がある。例えば、特許文献1に記載の駐車場管理システムは、車両のナンバープレートの画像に対して、OCR処理による文字の読み取りと、メモリー上に保存された画像圧縮データとのパターンマッチング処理との両方を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を特定する方法として、車両のナンバープレートを読み取る方法以外に、車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を取得する方法がある。例えば、有料道路の課金システムが、有料道路を走行する車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を取得して車両を特定し、特定した車両に対して課金することが考えられる。
【0005】
車両を特定する装置が、車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を取得する方法と、それ以外の方法とを併用すれば、車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を取得する方法による結果を補強または補完することができる。例えば、有料道路の課金システムが、車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を受信する方法で車両の特定に失敗しても、他の方法で車両を特定できれば、特定した車両に対して課金できる。
【0006】
車両を特定する装置が、車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を取得する方法と、それ以外の方法とを併用する場合、この装置を運用するための人的負担が比較的小さいことが好ましい。例えば、この装置が車両を特定するために必要なデータを用意する人的負担が比較的小さいことが好ましい。
【0007】
本発明は、車両を特定する装置が、車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を取得する方法と、それ以外の方法とを併用する場合に、この装置を運用するための人的負担を比較的小さくすることができる車両ナンバー特定装置、車両ナンバー特定方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、車両ナンバー特定装置(200)は、車両(900)に搭載された識別媒体(910)に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する登録ナンバー情報取得部(281)と、前記車両のナンバープレート画像を取得するナンバープレート画像取得部(282)と、前記ナンバープレート画像に対する光学的文字認識処理の結果を示すOCR結果情報を取得するOCR処理部(283)と、前記ナンバープレート画像を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルが出力する推定結果情報を取得する推定処理部(284)と、前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを前記車両の車両ナンバーとして特定する一致判定部(285)と、を備える。
このような構成によれば、車両ナンバー特定装置では、車両の特定に用いられたデータを機械学習用に用いることができる。この車両ナンバー特定装置によれば、機械学習のためのデータを別途用意する必要なしに機械学習を行って車両の特定の精度向上を図ることができる。この車両ナンバー特定装置では、この点で、装置を運用するための人的負担を比較的小さくすることができる。
【0009】
車両ナンバー特定装置が、前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと前記一致判定部が判定した場合、その車両ナンバーと前記ナンバープレート画像とが関連付けられた機械学習用データを生成する機械学習用データ生成部(286)をさらに備えるようにしてもよい。
このような構成によれば、車両ナンバー特定装置では、機械学習用データを自動生成することができる。
【0010】
車両ナンバー特定装置が、前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち何れの2つの組み合わせも同一の車両ナンバーを示さないと前記一致判定部が判定した場合、前記ナンバープレート画像を提示する画像提示部(220)をさらに備え、前記機械学習用データ生成部は、入力される車両ナンバーと前記ナンバープレート画像とが関連付けられた機械学習用データを生成するようにしてもよい。
このような構成によれば、ナンバープレート画像を参照して車両ナンバーを入力する作業者は、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち何れの2つの組み合わせも同一の車両ナンバーを示さないと一致判定部が判定した場合のみ車両ナンバーを入力すればよい。通常は、登録ナンバー情報とOCR結果情報とが同一の車両ナンバーを示すことが期待され、ナンバープレート画像を参照して車両ナンバーを入力する作業者が車両ナンバーを入力する頻度が小さくて済む。
【0011】
車両ナンバー特定装置が、前記OCR結果情報と前記推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示し、かつ、その車両ナンバーを示す前記登録ナンバー情報を得られないと前記一致判定部が判定した場合、その車両ナンバーが示す車両が不正車両である可能性があると判定する不正判定部(288)をさらに備えるようにしてもよい。
このような構成によれば、車両ナンバー特定装置では、車両を特定できるだけでなく、不正が行われる可能性を判定することができる。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、車両ナンバー特定方法は、コンピュータが、車両に搭載された識別媒体に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する工程と、前記車両のナンバープレート画像を取得する工程と、前記ナンバープレート画像に対する光学的文字認識処理の結果を示すOCR結果情報を取得する工程と、前記ナンバープレート画像を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルが出力する推定結果情報を取得する工程と、前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを前記車両の車両ナンバーとして特定する工程と、を含む。
この車両ナンバー特定方法では、車両の特定に用いられたデータを機械学習用に用いることができる。この車両ナンバー特定方法によれば、機械学習のためのデータを別途用意する必要なしに機械学習を行って車両の特定の精度向上を図ることができる。この車両ナンバー特定方法では、この点で、装置を運用するための人的負担を比較的小さくすることができる。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、車両に搭載された識別媒体に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する工程と、前記車両のナンバープレート画像を取得する工程と、前記ナンバープレート画像に対する光学的文字認識処理の結果を示すOCR結果情報を取得する工程と、前記ナンバープレート画像を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルが出力する推定結果情報を取得する工程と、前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを前記車両の車両ナンバーとして特定する工程と、を実行させるためのプログラムである。
このプログラムでは、車両の特定に用いられたデータを機械学習用に用いることができる。この車両ナンバー特定方法によれば、機械学習のためのデータを別途用意する必要なしに機械学習を行って車両の特定の精度向上を図ることができる。この車両ナンバー特定方法では、この点で、装置を運用するための人的負担を比較的小さくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
上記した車両ナンバー特定装置、車両ナンバー特定方法およびプログラムによれば、車両を特定する装置が、車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を取得する方法と、それ以外の方法とを併用する場合に、この装置を運用するための人的負担を比較的小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る車両ナンバー特定システムの装置構成の例を示す概略構成図である。
【
図2】実施形態に係る車両ナンバー特定システムの構成をブロック図で示す概略ブロック図である。
【
図3】実施形態に係る車両ナンバー特定装置の機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図4】実施形態に係る路側処理装置が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係る車両ナンバー特定装置が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る不正判定部が、識別媒体の不正が行われた可能性を判定する処理手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る車両ナンバー特定システムの装置構成の例を示す概略構成図である。
図2は、
図1に示す車両ナンバー特定システムの構成をブロック図で示す概略ブロック図である。
図1および
図2に示す構成で、車両ナンバー特定システム1は、路側器100と、車両ナンバー特定装置200とを備える。路側器100は、アンテナ110と、カメラ120と、路側処理装置130とを備える。
【0017】
車両ナンバー特定システム1は、車両ナンバー(Registration Number、License Number)を特定することで車両を特定する。ここでいう車両は、例えば自動車または自動二輪車(Motorcycle)など、公道を自力走行可能な車両である。車両ナンバーは、車両別に付与されて車両を識別する識別情報である。車両ナンバーは、ナンバープレート(Number Plate)に記載され、ナンバープレートが車両に取り付けられている。ナンバープレートは、ライセンスプレート(License Plate)またはヴィークルレジストレーションプレート(Vehicle Registration Plate)とも称される。
【0018】
車両ナンバー特定システム1が車両ナンバーを特定する対象の車両を、車両900と表記する。車両900の数は、2つ以上であればよい。
図1および
図2に示すように、正当な車両900には、識別媒体910が搭載されている。また、車両900には、ナンバープレート920が取り付けられている。
【0019】
識別媒体910には、識別媒体910自らを識別する媒体識別情報が予め記録されている。識別媒体910は、自らの媒体識別情報を車両ナンバー特定システム1へ送信する。
媒体識別情報は、識別媒体910を識別する情報であると共に、識別媒体910を搭載している車両900を識別する情報としても用いられる。車両ナンバー特定システム1は、媒体識別情報を用いて車両900を特定する。
【0020】
識別媒体910は、媒体識別情報が記録されており、かつ、媒体識別情報をアンテナ110へ送信可能なものであればよい。例えば、識別媒体910が、RFID(Radio Frequency Identifier)のタグとして構成されていてもよい。あるいは、識別媒体910が、課金用の車載器など、車載器として構成されていてもよい。
【0021】
以下では、車両ナンバー特定システム1が、高速道路等の有料道路の課金システムに用いられている場合を例に説明する。車両ナンバー特定システム1は、有料道路に設けられた所定の課金エリアを走行する車両900を検出し、検出した車両900の車両ナンバーを特定することで、車両900を特定する。車両ナンバー特定システム1が車両900を特定することで、課金システムは、特定された車両900に対して有料道路の通行料金を自動的に課金することができる。
【0022】
ただし、車両ナンバー特定システム1の適用対象は、有料道路の課金システムに限定されない。車両900の特定が必要ないろいろな用途に車両ナンバー特定システム1を用いることができる。例えば車両ナンバー特定システム1が、駐車場の課金システムに用いられて、駐車場に入場する車両900を特定するようにしてもよい。車両ナンバー特定システム1が車両900を特定することで、課金システムは、特定された車両900に対して駐車料金を自動的に課金することができる。
【0023】
あるいは、利用可能な車両が決まっている場所での車両の監視または管理に車両ナンバー特定システム1を用いるようにしてもよい。例えば、工事現場に入場する工事車両の管理、タクシー乗り場に入場する車両の監視、または、マンションの駐車場での駐車車両の監視などに、車両ナンバー特定システム1を用いるようにしてもよい。
【0024】
路側器100は、車両900を特定するための情報を取得する。車両ナンバー特定システム1が備える路側器100の数は、1つ以上であればよい。車両ナンバー特定システム1が複数の路側器100を備える場合、車両ナンバー特定装置200が、これら複数の路側器100に共通して設けられていてもよい。車両ナンバー特定装置200は、複数の路側器100それぞれから車両900に関する情報を取得して、車両ナンバーを特定する。
【0025】
アンテナ110は、有料道路の課金エリアに設置され、課金エリアを通過する車両900の識別媒体910から媒体識別情報を受信する。識別媒体910が、連続的に、あるいは、定期的に媒体識別情報を送信し、アンテナ110が、その媒体識別情報を受信するようにしてもよい。あるいは、アンテナ110から識別媒体910へ、媒体識別情報を要求する要求信号を送信するようにしてもよい。識別媒体910が、この要求信号への応答にて媒体識別情報をアンテナ110へ送信し、アンテナ110が、この媒体識別情報を受信するようにしてもよい。
【0026】
カメラ120は、車両900のナンバープレート920の画像を撮影する。例えば、カメラ120は、ナンバープレート920を含む車両900の前面全体の画像を撮影する。そして、路側処理装置130が、車両900の前面全体の画像からナンバープレート920の画像を切り出す。
カメラ120が、連続的にあるいは定期的に画像を撮影して路側処理装置130へ送信し、路側処理装置130が、カメラ120からの画像のうち車両900が映っている画像を抽出するようにしてもよい。あるいは路側器100が、カメラ120撮影位置に設置された車両検出器をさらに備えるようにしてもよい。この車両検出器が車両を検出したタイミングで、カメラ120が画像を撮影するようにしてもよい。
【0027】
路側処理装置130は、アンテナ110から媒体識別情報を取得し、媒体識別情報に関連付けられた車両ナンバーを取得する。
例えば、有料道路を走行する車両900の所有者に、車両900への識別媒体910の取り付けと、事前の利用登録とが義務付けられている。この事前登録で、媒体識別情報と車両ナンバーとが登録され、路側処理装置130は、媒体識別情報と車両ナンバーとが関連付けられた利用登録情報を予め記憶しておく。路側処理装置130は、アンテナ110から媒体識別情報を取得すると、取得した媒体識別情報を検索キーとして利用登録情報を検索し、媒体識別情報に関連付けられた車両ナンバーを取得する。路側処理装置130が取得した車両ナンバーを示す情報を、登録ナンバー情報と称する。
【0028】
一方、路側処理装置130が、媒体識別情報の取得に失敗する場合がある。例えば、課金逃れ等の目的で車両900から識別媒体910が不正に取り外されている場合、路側処理装置130は、媒体識別情報を取得できない。また、車両900に識別媒体910が搭載されているが、識別媒体910とアンテナ110との通信がたまたま失敗となった場合も、路側処理装置130は、媒体識別情報を取得できない。
媒体識別情報の取得に失敗した場合、路側処理装置130は、登録ナンバー情報の値を、例えば空文字列(Null String)など、媒体識別情報の取得に失敗したことを示す値として定められている値に設定する。
【0029】
また、路側処理装置130は、車両900のナンバープレート920の画像を取得する。例えば、上記のようにカメラ120がナンバープレート920を含む車両900の前面全体の画像を撮影する。そして、路側処理装置130が、車両900の前面全体の画像からナンバープレート920の画像を切り出す。
【0030】
一方、路側処理装置130が、ナンバープレート920の画像の取得に失敗する場合がある。例えば、車両900の前をトラック等の大型車両が走行しており、ナンバープレート920の部分が大型車両に隠されて撮影できなかった場合、路側処理装置130は、ナンバープレート920の画像を得られない。また、カメラ120が撮影した画像にナンバープレート920が映っている場合でも、路側処理装置130がナンバープレート920の画像の切り出しに失敗してナンバープレート920以外の部分を切り出した場合、路側処理装置130は、ナンバープレート920の画像を得られない。
【0031】
ナンバープレート920の画像の取得に失敗した場合、路側処理装置130が、ナンバープレート920の画像データの画素値を全てゼロにするなど、ナンバープレート920の画像データの値を、画像の取得に失敗したことを示す値として定められている値に設定する。あるいは、路側処理装置130が何らかの画像データをそのまま車両ナンバー特定装置200へ送信し、車両ナンバー特定装置200が、ナンバープレート920の画像データの取得に成功したか否かを判定するようしてもよい。
【0032】
路側処理装置130は、登録ナンバー情報とナンバープレート920の画像とを車両ナンバー特定装置200へ送信する。路側処理装置130が、ナンバープレート920の画像に代えて車両900全体の画像を車両ナンバー特定装置200へ送信し、車両ナンバー特定装置200が、車両900全体の画像からナンバープレート920の画像を切り出すようにしてもよい。
路側処理装置130は、例えばワークステーション(Workstation)またはパソコン(Personal Computer;PC)等のコンピュータを用いて構成される。
【0033】
車両ナンバー特定装置200は、路側処理装置130から取得する情報を用いて、車両900の特定を試みる。車両ナンバー特定装置200は、例えばワークステーションまたはパソコン等のコンピュータを用いて構成される。
【0034】
図3は、車両ナンバー特定装置200の機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図3に示す構成で、車両ナンバー特定装置200は、通信部210と、表示部220と、操作入力部230と、記憶部270と、制御部280とを備える。記憶部270は、機械学習モデル記憶部271と、機械学習用データ記憶部272とを備える。制御部280は、登録ナンバー情報取得部281と、ナンバープレート画像取得部282と、OCR処理部283と、推定処理部284と、一致判定部285と、機械学習用データ生成部286と、機械学習処理部287と、不正判定部288とを備える。
【0035】
通信部210は、他の装置と通信を行う。特に、通信部210は、路側処理装置130と通信を行って、登録ナンバー情報とナンバープレート920の画像とを路側処理装置130から受信する。
表示部220は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネル等の表示デバイスを備え、各種画像を表示する。特に、表示部220は、画像提示部の例に該当し、制御部280の制御に従ってナンバープレート920の画像を表示する。この表示によって表示部220は、ナンバープレート920の画像をオペレータに提示する。ここでいうオペレータは、ナンバープレート920の画像から車両ナンバーを読み取って車両ナンバー特定装置200に入力する作業者である。
【0036】
操作入力部230は、例えばキーボードおよびマウス、あるいは、表示部220の表示デバイスに設けられてタッチパネルを構成するタッチセンサ等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。特に、操作入力部230は、オペレータがナンバープレート920の画像から車両ナンバーを読み取って入力するユーザ操作を受け付ける。
【0037】
記憶部270は、各種情報を記憶する。記憶部270は、車両ナンバー特定装置200が備える記憶デバイスを用いて構成される。
機械学習モデル記憶部271は、機械学習モデルを記憶する。ここでいう機械学習モデルは、ナンバープレート920の画像の入力を受けて車両ナンバーを出力するモデルであり、機械学習処理部287が行う機械学習によって得られる。機械学習モデル記憶部271が記憶する機械学習モデルを生成または更新するための機械学習アルゴリズムとして、いろいろな機械学習アルゴリズムを用いることができる。例えば、機械学習モデルが、サポートベクタマシン、ニューラルネットワーク、決定木、または、ランダムフォレストの何れかとして構成されていてもよい。
【0038】
機械学習用データ記憶部272は、機械学習用データを記憶する。ここでいう機械学習用データは、機械学習モデル記憶部271が記憶する機械学習モデルを生成または更新するためのデータである。機械学習用データ記憶部272は、ナンバープレート920の画像と、そのナンバープレート920の画像の入力に対する正解データとなる車両ナンバーとが関連付けられた情報を、機械学習用データとして記憶する。
【0039】
制御部280は、車両ナンバー特定装置200の各部を制御して各種処理を実行する。制御部280は、車両ナンバー特定装置200が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部270からプログラムを読み出して実行することで構成される。
登録ナンバー情報取得部281は、登録ナンバー情報を取得する。具体的には、登録ナンバー情報取得部281は、通信部210が路側処理装置130から受信した受信データから、登録ナンバー情報を抽出する。上述したように、登録ナンバー情報は、車両900に搭載された識別媒体910に記録された媒体識別情報に関連付けられた情報である。
【0040】
ナンバープレート画像取得部282は、車両900のナンバープレート画像を取得する。ここでいうナンバープレート画像は、ナンバープレート920の画像である。ナンバープレート画像取得部282は、ナンバープレート画像を画像データにて取得する。具体的には、ナンバープレート画像取得部282は、通信部210が路側処理装置130から受信した受信データから、ナンバープレート920の画像データを抽出する。
【0041】
OCR処理部283は、ナンバープレート画像取得部282が取得するナンバープレート画像に対して光学的文字認識処理(Optical Character Recognition;OCR)を行う。OCR処理部283による光学的文字認識の結果を示す情報をOCR結果情報と称する。
ナンバープレート画像取得部282が取得するナンバープレート920の画像データが、ナンバープレート920の画像を適切に示しており、かつ、OCR処理部283が光学的文字認識処理に成功した場合、OCR結果情報は、ナンバープレート920に記載されている車両ナンバーを示す。
【0042】
一方、路側処理装置130がナンバープレート920の画像の取得に失敗した場合など、ナンバープレート画像取得部282が取得する画像データが実際にはナンバープレート920の画像を示していない場合、OCR結果情報は、車両ナンバーを示す情報にはならない。ナンバープレート画像取得部282が取得する画像データがナンバープレート920の画像を示しているが、OCR処理部283が何らかの理由で文字認識に失敗した場合も、OCR結果情報は、車両ナンバーを示す情報にはならない。
【0043】
推定処理部284は、ナンバープレート画像取得部282が取得するナンバープレート画像を、機械学習モデル記憶部271が記憶する機械学習モデルに入力する。ナンバープレート画像の入力に対する機械学習モデルの出力を推定結果情報と称する。
ナンバープレート画像取得部282が取得するナンバープレート920の画像データが、ナンバープレート920の画像を適切に示しており、かつ、このナンバープレート920の画像が機械学習モデルで車両情報に関連づけられる場合、推定結果情報は、車両ナンバーを示す。
【0044】
一方、路側処理装置130がナンバープレート920の画像の取得に失敗した場合など、ナンバープレート画像取得部282が取得する画像データが実際にはナンバープレート920の画像を示していない場合、推定処理部284が、推定結果情報の値を、車両ナンバーの推定に失敗したことを示す値として定められている値に設定するようにしてもよい。
【0045】
一致判定部285は、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを特定対象の車両900の車両ナンバーとして特定する。
すなわち、一致判定部285は、車両ナンバー特定システム1が3つの方法で取得する車両ナンバーのうちの過半数である2つ以上が同一の車両ナンバーとなっているか否かを判定する。3つの車両ナンバーのうち過半数が同一の車両ナンバーとなっている場合、一致判定部285は、この車両ナンバーが正しいものとして処理を行う。
【0046】
一致判定部285が、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち何れの2つの組み合わせも同一の車両ナンバーを示さないと判定した場合、上記のように、表示部220が、ナンバープレート画像をオペレータに提示する。
【0047】
機械学習用データ生成部286は、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと一致判定部285が判定した場合、その車両ナンバーとその車両ナンバーの検出の元となったナンバープレート画像とが関連付けられた機械学習用データを生成する。
これにより、機械学習用データ生成部286は、ナンバープレート画像と、一致判定部285が正しいと評価した車両ナンバーとが関連付けられた学習用データを自動生成することができる。
【0048】
また、機械学習用データ生成部286は、表示部220が表示しているナンバープレート画像と、そのナンバープレートの表示に対してオペレータが入力する車両ナンバーとが関連付けられた機械学習用データを生成する。
オペレータが、ナンバープレート画像を参照して車両ナンバーを正しく入力することが期待される。この点で、機械学習用データ生成部286が正しい学習用データを生成することが期待される。
【0049】
機械学習処理部287は、機械学習用データ記憶部272が記憶している機械学習用データを用いて機械学習を行う。この機械学習により、機械学習モデル記憶部271が記憶する機械学習モデルを生成または更新する。機械学習処理部287によって機械学習が進むことで、推定処理部284が機械学習モデルを用いて行う車両ナンバーの推定の精度が向上すると期待される。
【0050】
不正判定部288は、OCR結果情報と推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示し、かつ、その車両ナンバーを示す登録ナンバー情報を得られないと一致判定部285が判定した場合、その車両ナンバーが示す車両が不正車両である可能性があると判定する。例えば、不正判定部288が、警報メッセージを表示部220に表示させるようにしてもよい。
【0051】
OCR結果情報と推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示し、かつ、その車両ナンバーを示す登録ナンバー情報を得られない場合の1つとして、登録ナンバー情報として車両ナンバーを得られていない場合が挙げられる。
登録ナンバー情報として車両ナンバーを得られない場合の1つとして、車両900から識別媒体910が不正に取り外された場合が挙げられる。この場合の車両900は、不正車両に該当する。
【0052】
登録ナンバー情報として車両ナンバーを得られない場合のもう1つとして、車両900に識別媒体910が正しく取り付けられているが、何らかの理由で識別媒体910とアンテナ110との通信が失敗となっている場合が挙げられる。この場合の車両900は、不正車両には該当しない。
【0053】
車両900から識別媒体910が不正に取り外された場合、および、識別媒体910とアンテナ110との通信が失敗となっている場合の何れも、一致判定部285は、登録ナンバー情報を得ることができない。
OCR結果情報と推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示しており、かつ、登録ナンバー情報を得られない場合、一致判定部285は、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報の比較にて、OCR結果情報と推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示し、かつ、その車両ナンバーを示す登録ナンバー情報を得られないと判定する。
【0054】
OCR結果情報と推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示し、かつ、その車両ナンバーを示す登録ナンバー情報を得られない場合のもう1つとして、登録ナンバー情報が車両ナンバーを示しているが、OCR結果情報および推定結果情報が示す車両ナンバーと異なる場合がある。
登録ナンバー情報が車両ナンバーを示しているが、OCR結果情報および推定結果情報が示す車両ナンバーと異なる場合の1つとして、識別媒体910が、他の車両900の識別媒体910と不正に交換された場合が挙げられる。この場合の車両900は、不正車両に該当する。
【0055】
登録ナンバー情報が車両ナンバーを示しているが、OCR結果情報および推定結果情報が示す車両ナンバーと異なる場合のもう1つとして、ナンバープレート920が他の車両のナンバープレート920と不正に交換された場合が挙げられる。この場合の車両900は、不正車両に該当する。
【0056】
識別媒体910が、他の車両900の識別媒体910と不正に交換された場合、および、ナンバープレート920が他の車両のナンバープレート920と不正に交換された場合のいずれも、一致判定部285は、登録ナンバー情報を取得するが、その登録ナンバー情報は、OCR結果情報および推定結果情報が示す車両ナンバーとは異なるものとなる。
OCR結果情報と推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示しており、かつ、OCR結果情報および推定結果情報が示す車両ナンバーと登録ナンバー情報とが異なる場合、一致判定部285は、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報の比較にて、OCR結果情報と推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示し、かつ、その車両ナンバーを示す登録ナンバー情報を得られないと判定する。
【0057】
次に、
図4から
図6までを参照して車両ナンバー特定システム1の動作について説明する。
図4は、路側処理装置130が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図4の処理で、路側処理装置130は、車両900を検知したか否かを判定する(ステップS101)。例えば、路側処理装置130は、アンテナ110が識別媒体910からの信号を受信したと判定した場合、および、カメラ120が車両900の画像を撮影していると判定した場合に、車両900を検知したと判定する。
【0058】
ステップS101で車両900を検知していないと路側処理装置130が判定した場合(ステップS101:NO)、処理がステップS101へ戻る。この場合、路側処理装置130は、車両900を待ち受ける。
一方、ステップS101で車両900を検知していると路側処理装置130が判定した場合(ステップS101:YES)、路側処理装置130は、アンテナ110を介して識別媒体910との通信を試みる(ステップS111)。特に、路側処理装置130は、識別媒体910から媒体識別情報を受信するよう試みる。
【0059】
そして、路側処理装置130は、媒体識別情報の取得に成功したか否かを判定する(ステップS112)。媒体識別情報の取得に成功したと判定した場合(ステップS112:YES)、路側処理装置130は、媒体識別情報に対応付けられている車両ナンバーを取得する(ステップS121)。路側処理装置130は、得られた車両ナンバーを登録ナンバー情報とする。
【0060】
また、路側処理装置130は、カメラ120が撮影する画像からナンバープレート920の画像の取得を試みる(ステップS141)。例えば、上述したように、カメラ120が車両900の前面全体の画像を撮影する。そして、路側処理装置130は、カメラ120が撮影した画像からナンバープレート920の画像を切り出す。
路側処理装置130は、登録ナンバー情報とナンバープレート920の画像とを車両ナンバー特定装置200へ送信する(ステップS142)。
ステップS142の後、処理がステップS101へ進む。
【0061】
一方、ステップS112で、媒体識別情報の取得に失敗したと判定した場合(ステップS112:NO)、路側処理装置130は、登録ナンバー情報の値を、車両ナンバーの取得に失敗したことを示す値として予め定められている値に設定する(ステップS131)。
ステップS131の後、処理がステップS141へ進む。
【0062】
図5は、車両ナンバー特定装置200が行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図5の処理で、制御部280は、通信部210が路側器100からデータを受信しているか否かを判定する(ステップS201)。
路側器100からデータを受信していないと制御部280が判定した場合(ステップS201:NO)、処理がステップS201へ戻る。この場合、車両ナンバー特定装置200は、路側器100からのデータの受信を待ち受ける。
【0063】
一方、路側器100からデータを受信していると判定した場合(ステップS201:YES)、制御部280は、路側器100からのデータの受信でナンバープレート920の画像の取得に成功したか否かを判定する(ステップS211)。
ナンバープレート920の画像の取得に成功したと制御部280が判定した場合(ステップS211:YES)、OCR処理部283は、ナンバープレート920の画像に対して光学的文字認識処理を行う(ステップS221)。また、推定処理部284は、ナンバープレート920の画像を機械学習モデルに入力して推定結果情報を取得する(ステップS222)。
【0064】
次に、一致判定部285は、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すか否かを判定する(ステップS241)。
登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合(ステップS241:YES)、一致判定部285は、車両ナンバーを特定する(ステップS251)。具体的には、一致判定部285は、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが示す車両ナンバーを、特定対象の車両900の車両ナンバーとして特定する。課金システム等の上位装置がある場合、車両ナンバー特定装置200は、特定した車両ナンバーを上位装置に通知する。
【0065】
また、機械学習用データ生成部286は、路側処理装置130から取得したナンバープレート920の画像と、一致判定部285が特定した車両ナンバーとを関連づけた機械学習用データを生成する(ステップS252)。この場合、オペレータの操作を必要としない点で、機械学習用データ生成部286は機械学習用データを自動生成する。機械学習用データ生成部286は、生成した機械学習用データを機械学習用データ記憶部272に記憶させる。
次に、不正判定部288は、識別媒体の不正が行われた可能性を判定する(ステップS271)。
ステップS271の後、処理がステップS201へ戻る。
【0066】
一方、ステップS211で、ナンバープレート920の画像の取得に失敗したと制御部280が判定した場合(ステップS211:NO)、OCR処理部283は、OCR結果情報の値を、ナンバープレート920の画像データの取得に失敗したときの値として予め定められている値に設定する(ステップS231)。
また、推定処理部284は、推定結果情報の値を、ナンバープレート920の画像データの取得に失敗したときの値として予め定められている値に設定する(ステップS232)。
ステップS232の後、処理がステップS241へ進む。
【0067】
一方、ステップS241で、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち同一の車両ナンバーを示すものが無いと判定した場合(ステップS241:NO)、表示部220が、制御部280の制御に従ってナンバープレート920の画像を表示する(ステップS261)。
そして、一致判定部285は、オペレータの入力を取得する(ステップS262)。オペレータは、ナンバープレート920の画像に示される車両ナンバーを、操作入力部230へのユーザ操作で入力する。一致判定部285は、入力された車両ナンバーを取得する。
【0068】
また、機械学習用データ生成部286は、路側処理装置130から取得したナンバープレート920の画像と、オペレータの入力で得られた車両ナンバーとを関連づけた機械学習用データを生成する(ステップS263)。機械学習用データ生成部286は、生成した機械学習用データを機械学習用データ記憶部272に記憶させる。
ステップS263の後、処理がステップS271へ進む。
【0069】
図6は、不正判定部288が、識別媒体の不正が行われた可能性を判定する処理手順の例を示すフローチャートである。不正判定部288は、
図5のステップS271で
図6の処理を行う。
図6の処理で、不正判定部288は、登録ナンバー情報として車両ナンバーを路側処理装置130から得られたか否かを判定する(ステップS301)。
【0070】
車両ナンバーを得られたと判定した場合(ステップS301:YES)、不正判定部288は、登録ナンバー情報と、OCR結果情報および推定結果情報のうち少なくとも何れか一方とが、同一の車両ナンバーを示すか否かを判定する(ステップS311)。
登録ナンバー情報と、OCR結果情報および推定結果情報のうち少なくとも何れか一方とが、同一の車両ナンバーを示すと判定した場合(ステップS311:YES)、不正判定部288は、識別媒体910が正常であると判定する(ステップS321)。すなわち、不正判定部288は、識別媒体910の不正を検出していないと判定する。この場合、不正判定部288は、車両900は不正車両には該当しないと判定する。
ステップS321の後、車両ナンバー特定装置200は、
図6の処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS301で、車両ナンバーを得られていないと判定した場合(ステップS301:NO)、不正判定部288は、識別媒体910の不正が行われた可能性があると判定する(ステップS331)。この場合、不正判定部288は、車両900は不正車両に該当する可能性があると判定する。
ステップS331の後、車両ナンバー特定装置200は、
図6の処理を終了する。
一方、ステップS311で、登録ナンバー情報と、OCR結果情報および推定結果情報のうち少なくとも何れとも、同一の車両ナンバーを示していないと判定した場合(ステップS311:NO)、処理がステップS331へ進む。
【0072】
以上のように、登録ナンバー情報取得部281は、車両900に搭載された識別媒体910に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する。ナンバープレート画像取得部282は、車両900のナンバープレート画像を取得する。OCR処理部283は、ナンバープレート画像に対する光学的文字認識処理の結果を示すOCR結果情報を取得する。推定処理部284は、ナンバープレート画像を機械学習モデルに入力し、機械学習モデルが出力する推定結果情報を取得する。一致判定部285は、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを特定対象の車両の車両ナンバーとして特定する。
【0073】
車両ナンバー特定装置200では、車両900の特定に用いたナンバープレート情報と、特定の結果得られた車両ナンバーとを関連付けた情報を機械学習用データとして用いることができる。従って、車両ナンバー特定装置200では、機械学習用データを生成するためにデータを別途収集する必要なしに機械学習を行って車両900の特定の精度を高めることができる。車両ナンバー特定装置200によれば、この点で、装置を運用するための人的負担を比較的小さくすることができる
【0074】
登録ナンバー情報取得部281が登録ナンバー情報を取得する方法は、上述した媒体識別情報に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する方法に限定されない。
例えば、登録ナンバー情報が暗号化されて識別媒体に記録されるなど、識別媒体910のユーザによる改ざんが困難な形態で記録されていてもよい。そして、登録ナンバー情報取得部281が、識別媒体910に記録されている登録ナンバー情報を取得するようにしてもよい。
【0075】
また、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと一致判定部285が判定した場合、機械学習用データ生成部286は、その車両ナンバーと前記ナンバープレート画像とが関連付けられた機械学習用データを生成する。
これにより、機械学習用データ生成部286は、機械学習用データを自動生成することができる。
【0076】
また、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち何れの2つの組み合わせも同一の車両ナンバーを示さないと一致判定部285が判定した場合、表示部220は、ナンバープレート画像を提示する。機械学習用データ生成部286は、入力される車両ナンバーとナンバープレート画像とが関連付けられた機械学習用データを生成する。
【0077】
車両ナンバー特定装置200では、オペレータは、登録ナンバー情報、OCR結果情報、および、推定結果情報のうち何れの2つの組み合わせも同一の車両ナンバーを示さないと一致判定部285が判定した場合のみ車両ナンバーを入力すればよい。通常は、登録ナンバー情報とOCR結果情報とが同一の車両ナンバーを示すことが期待され、オペレータが車両ナンバーを入力する頻度が小さくて済む。
また、オペレータは、表示部220が表示するナンバープレート920の画像から車両ナンバーを読み取って入力すればよく、比較的簡単な操作で学習用データを生成することができる。
【0078】
また、OCR結果情報と推定結果情報とが同一の車両ナンバーを示し、かつ、その車両ナンバーを示す登録ナンバー情報を得られないと一致判定部285が判定した場合、不正判定部288は、その車両ナンバーが示す車両が不正車両である可能性があると判定する。
このように、車両ナンバー特定装置200によれば、車両900を特定できるだけでなく、不正が行われた可能性を判定することができる。
【0079】
なお、制御部280の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含む。
「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0080】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の実施形態は、車両に搭載された識別媒体に記録された媒体識別情報に関連付けられた登録ナンバー情報を取得する登録ナンバー情報取得部と、前記車両のナンバープレート画像を取得するナンバープレート画像取得部と、前記ナンバープレート画像に対する光学的文字認識処理の結果を示すOCR結果情報を取得するOCR処理部と、前記ナンバープレート画像を機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルが出力する推定結果情報を取得する推定処理部と、前記登録ナンバー情報、前記OCR結果情報、および、前記推定結果情報のうち少なくとも何れか2つが同一の車両ナンバーを示すと判定した場合、その車両ナンバーを前記車両の車両ナンバーとして特定する一致判定部と、を備える車両ナンバー特定装置に関する。
この実施形態によれば、車両を特定する装置が、車両に搭載されたタグまたは車載器等から識別情報を取得する方法と、それ以外の方法とを併用する場合に、この装置を運用するための人的負担を比較的小さくすることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 車両ナンバー特定システム
100 路側器
110 アンテナ
120 カメラ
130 路側処理装置
200 車両ナンバー特定装置
210 通信部
220 表示部
230 操作入力部
270 記憶部
271 機械学習モデル記憶部
272 機械学習用データ記憶部
280 制御部
281 登録ナンバー情報取得部
282 ナンバープレート画像取得部
283 OCR処理部
284 推定処理部
285 一致判定部
286 機械学習用データ生成部
287 機械学習処理部
288 不正判定部
900 車両
910 識別媒体
920 ナンバープレート