(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用のプライミングシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/00 20060101AFI20220216BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20220216BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20220216BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A61M5/00 500
A61M5/142 520
A61M5/20 550
A61M5/24
(21)【出願番号】P 2020536844
(86)(22)【出願日】2019-01-02
(86)【国際出願番号】 US2019012057
(87)【国際公開番号】W WO2019136071
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-07-01
(32)【優先日】2018-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ ラボッリ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/118410(WO,A1)
【文献】特開2011-245050(JP,A)
【文献】特開2015-195849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
A61M 5/142
A61M 5/20
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス用のプライミング組立体であって、
ハブと、
前記ハブに連結され、第1の位置と第2の位置との間で前記ハブに対して移動可能であるベースであって、通路を画定する、ベースと、
内部チャンバ、および前記内部チャンバと流体連通する通路を画定するキャップと、
前記ハブに連結され、前記キャップの前記内部チャンバ内に位置決めされる針と
を備え、
前記ベースが前記第1の位置にあるとき、前記ベースの前記通路は前記キャップの前記通路と流体連通し、前記ベースが前記第2の位置にあるとき、前記ベースの前記通路は前記キャップの前記通路から分離され
、
前記ハブおよび前記ベースの一方は、スロットを画定し、前記ハブおよび前記ベースの他方は、前記スロット内に受け入れられる突出部を備え、前記スロットは、第1の端部および第2の端部を有し、前記突出部が前記スロットの前記第1の端部にあるとき、前記ベースは前記第1の位置にあり、前記突出部が前記スロットの前記第2の端部にあるとき、前記ベースは前記第2の位置にあるプライミング組立体。
【請求項2】
前記キャップおよび前記ベースは、前記キャップと前記ベースとの間にシールされた界接面を形成する請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記キャップは、閉鎖された第1の端部と、開放した第2の端部であって、前記ハブに固定される、開放した第2の端部とを含む請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記キャップは、エラストマー材料を含む請求項3に記載の組立体。
【請求項5】
前記キャップは、前記針の端部が前記キャップ内に位置決めされる第1の位置、および前記針の前記端部が前記キャップの外側に位置決めされる第2の位置から変形するように構成される請求項3に記載の組立体。
【請求項6】
前記ベースの前記通路と流体連通するプライミング流体チューブをさらに備える請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記ハブに連結され、前記針と流体連通する送達チューブをさらに備える請求項
6に記載の組立体。
【請求項8】
薬物送達デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に受け入れられるカートリッジであって、薬剤を受け入れるように構成される、カートリッジと、
前記ハウジングで受け入れられ、また、前記カートリッジと係合し、前記カートリッジから薬剤を投薬するように構成された駆動組立体と、
前記ハウジング内に受け入れられる針アクチュエータ組立体であって、ユーザの皮膚を穿孔するように構成された患者針を備える、針アクチュエータ組立体と、
プライミングシステムであって、
カートリッジプライミング組立体であって、ハブと、前記ハブに連結され、第1の位置と第2の位置との間で前記ハブに対して移動可能であるベースと、内部チャンバ、および前記内部チャンバと流体連通する通路を画定するキャップと、前記ハブに連結され、前記キャップの前記内部チャンバ内に位置決めされる針とを備え、前記ベースは通路を画定する、カートリッジプライミング組立体と、
針アクチュエータプライミング組立体であって、ハブと、前記ハブに連結され、第1の位置と第2の位置との間で前記ハブに対して移動可能であるベースと、内部チャンバ、および前記内部チャンバと流体連通する通路を画定するキャップと、前記ハブに連結され、前記キャップの前記内部チャンバ内に位置決めされる針とを備え、前記ベースは通路を画定する、針アクチュエータプライミング組立体と、
前記カートリッジプライミング組立体の前記ハブおよび前記針アクチュエータプライミング組立体の前記ハブと流体連通する送達チューブと
を備え、
前記カートリッジプライミング組立体の前記ベースの前記通路は、前記ベースが前記第1の位置にあるとき、前記カートリッジプライミング組立体の前記キャップの前記通路と流体連通し、前記カートリッジプライミング組立体の前記ベースの前記通路は、前記ベースが前記第2の位置にあるとき、前記キャップの前記通路から分離される、
プライミングシステムと
を備える薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記針アクチュエータプライミング組立体の前記ベースの前記通路は、前記ベースが前記第1の位置にあるとき、前記針アクチュエータプライミング組立体の前記キャップの前記通路と流体連通し、前記針アクチュエータプライミング組立体の前記ベー
スの前記通路は、前記ベースが前記第2の位置にあるとき、前記キャップの前記通路から分離される請求項
8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記カートリッジプライミング組立体の前記ベースの前記通路と流体連通する流入チューブをさらに備える請求項
8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記針アクチュエータプライミング組立体の前記ベースの前記通路と流体連通する流出チューブをさらに備える請求項
10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記カートリッジプライミング組立体および前記針アクチュエータプライミング組立体それぞれの前記キャップおよび前記ベースは、前記キャップと前記ベースとの間にシールされた界接面を形成する請求項
8に記載のデバイス。
【請求項13】
前記カートリッジプライミング組立体および前記針アクチュエータプライミング組立体の前記キャップはそれぞれ、閉鎖された第1の端部と、開放した第2の端部であって、前記それぞれのハブに固定される、開放した第2の端部とを含む請求項
8に記載のデバイス。
【請求項14】
前記カートリッジプライミング組立体および前記針アクチュエータプライミング組立体の前記キャップはそれぞれ、エラストマー材料を含む請求項
13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記カートリッジプライミング組立体および前記針アクチュエータプライミング組立体の前記キャップはそれぞれ、前記針の端部が前記キャップ内に位置決めされる第1の位置、および前記針の前記端部が前記キャップの外側に位置決めされる第2の位置から変形するように構成される請求項
13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記カートリッジプライミング組立体の前記ハブおよび前記ベースの一方は、スロットを画定し、前記ハブおよび前記ベースの他方は、前記スロット内に受け入れられる突出部を備え、前記スロットは、第1の端部および第2の端部を有し、前記突出部が前記スロットの前記第1の端部にあるとき、前記ベースは前記第1の位置にあり、前記突出部が前記スロットの前記第2の端部にあるとき、前記ベースは前記第2の位置にある請求項
8に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、薬物送達デバイスに関し、詳細には薬物送達デバイス用のプライミング組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2018年1月2日出願の「Priming System for Drug Delivery Device」と題する米国特許仮出願第62/612,842号明細書に対する優先権を主張するものである。
【0003】
薬物溶液および他の液体治療調剤薬を未訓練者によって投与するか、または自己注射することを可能にするために、さまざまなタイプの自動注射または薬物送達デバイスが開発されている。一般に、これらのデバイスは、液体治療調剤薬によって事前充填されるリザーバと、ユーザによってトリガすることができる何らかのタイプの自動針注射機構とを含む。投与される流体または薬物の量が、一般に、1mLなどの特定の量を下回るとき、通常約10秒から15秒の注射時間を有する自動注射器が、通常使用される。投与される流体または薬物の量が1mLを上回るとき、注射時間は一般により長くなり、その結果、患者がデバイスと患者の皮膚の標的領域との間の接触を維持することが困難になる。さらに、投与される薬物の量が多くなるにつれ、注射の時間間隔を長くすることが望ましくなる。薬物をゆっくりと患者に注射するための従来の方法は、IVを開始し、薬物を患者の体にゆっくりと注射することである。そのような手順は、通常、病院または外来診療所において実施される。
【0004】
特定のデバイスは、家庭における自己注射を可能にし、液体治療調剤薬を患者の皮膚に徐々に注射することができる。場合によっては、これらのデバイスは、液体治療調剤薬が患者に注入されている間、これらのデバイスを患者が「着用」することを可能にするのに(高さおよび全体サイズの両方において)十分な小ささのものである。これらのデバイスは、通常、液体治療調剤薬をリザーバから強制的に流出させ、注射針に入れるポンプまたは他のタイプの排出機構を含む。そのようなデバイスはまた、通常、液体治療調剤薬が適切な時間に流れ始めるようにする弁または流れ制御機構と、注射を開始するトリガ機構とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2013/155153号
【文献】国際公開第2014/179774号
【文献】国際公開第2015/081337号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、薬物送達デバイス用のプライミング組立体は、ハブと、ハブに連結され、第1の位置と第2の位置との間でハブに対して移動可能であるベースであって、通路を画定する、ベースと、内部チャンバ、および内部チャンバと流体連通する通路を画定するキャップと、ハブに連結され、キャップの内部チャンバ内に位置決めされる針とを含む。ベースが第1の位置にあるとき、ベースの通路はキャップの通路と流体連通し、ベースが第2の位置にあるとき、ベースの通路はキャップの通路から分離される。
【0007】
キャップおよびベースは、キャップとベースとの間にシールされた界接面を形成することができる。キャップは、閉鎖された第1の端部と、開放した第2の端部であって、ハブに固定される、開放した第2の端部とを含むことができる。キャップは、エラストマー材料から製造され得る。キャップは、針の端部がキャップ内に位置決めされる第1の位置、および針の端部がキャップの外側に位置決めされる第2の位置から変形するように構成される。ハブおよびベースの一方は、スロットを画定することができ、ハブおよびベースの他方は、スロット内に受け入れられる突出部を含むことができ、このときスロットは、第1の端部および第2の端部を有し、そしてこの場合、突出部がスロットの第1の端部にあるとき、ベースは第1の位置にあり、突出部がスロットの第2の端部にあるとき、ベースは第2の位置にある。組立体は、ベースの通路と流体連通するプライミング流体チューブをさらに含むことができる。組立体は、ハブに連結され、針と流体連通する送達チューブをさらに含むことができる。
【0008】
別の態様では、薬物送達デバイスは、ハウジングと、ハウジング内に受け入れられるカートリッジであって、薬剤を受け入れるように構成される、カートリッジと、ハウジングで受け入れられ、また、カートリッジと係合し、カートリッジから薬剤を投薬するように構成された駆動組立体と、ハウジング内に受け入れられる針アクチュエータ組立体であって、ユーザの皮膚を穿孔するように構成された患者針を含む、針アクチュエータ組立体と、プライミングシステムとを含む。プライミングシステムは、カートリッジプライミング組立体であって、ハブと、ハブに連結され、第1の位置と第2の位置との間でハブに対して移動可能であるベースと、内部チャンバ、および内部チャンバと流体連通する通路を画定するキャップと、ハブに連結され、キャップの内部チャンバ内に位置決めされる針とを含む、カートリッジプライミング組立体を含む。ベースは、通路を画定する。プライミングシステムは、針アクチュエータプライミング組立体であって、ハブと、ハブに連結され、第1の位置と第2の位置との間でハブに対して移動可能であるベースと、内部チャンバ、および内部チャンバと流体連通する通路を画定するキャップと、ハブに連結され、キャップの内部チャンバ内に位置決めされる針とを含み、ベースは通路を画定する、針アクチュエータプライミング組立体をさらに含む。プライミングシステムはまた、カートリッジプライミング組立体のハブおよび針アクチュエータプライミング組立体のハブと流体連通する送達チューブも含む。カートリッジプライミング組立体のベースの通路は、ベースが第1の位置にあるとき、カートリッジプライミング組立体のキャップの通路と流体連通し、カートリッジプライミング組立体のベースの通路は、ベースが第2の位置にあるとき、キャップの通路から分離される。
【0009】
針アクチュエータプライミング組立体のベースの通路は、ベースが第1の位置にあるとき、針アクチュエータプライミング組立体のキャップの通路と流体連通することができ、針アクチュエータプライミング組立体のベースカートリッジの通路は、ベースが第2の位置にあるとき、キャップの通路から分離され得る。デバイスは、カートリッジプライミング組立体のベースの通路と流体連通する流入チューブをさらに含むことができる。デバイスは、針アクチュエータプライミング組立体のベースの通路と流体連通する流出チューブをさらに含むことができる。カートリッジプライミング組立体および針アクチュエータプライミング組立体それぞれのキャップおよびベースは、キャップとベースとの間にシールされた界接面を形成することができる。カートリッジプライミング組立体および針アクチュエータプライミング組立体のキャップはそれぞれ、閉鎖された第1の端部と、開放した第2の端部であって、それぞれのハブに固定される、開放した第2の端部とを含むことができる。カートリッジプライミング組立体および針アクチュエータプライミング組立体のキャップはそれぞれ、エラストマー材料を含むことができる。カートリッジプライミング組立体および針アクチュエータプライミング組立体のキャップはそれぞれ、針の端部がキャップ内に位置決めされる第1の位置、および針の端部がキャップの外側に位置決めされる第2の位置から変形するように構成され得る。カートリッジプライミング組立体のハブおよびベースの一方は、スロットを画定することができ、ハブおよびベースの他方は、スロット内に受け入れられる突出部を含むことができ、このときスロットは、第1の端部および第2の端部を有し、そしてこの場合、突出部がスロットの第1の端部にあるとき、ベースは第1の位置にあり、突出部がスロットの第2の端部にあるとき、ベースは第2の位置にある。
【0010】
添付の図を併用して本開示の実施形態の以下の説明を参照することにより、本開示の上述した、および他の特徴と利点、ならびにこれらを達成する方法は、より明らかになり、本開示自体は、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の1つの態様による薬物送達システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの断面斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図である。
【
図4】
図4は、ハウジングの上部分が取り外され、使用前位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの上面図である。
【
図5】
図5は、使用前位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの上部断面図である。
【
図6】
図6は、使用前位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図である。
【
図7】
図7は、ハウジングの上部分が取り外され、初期作動位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの上面図である。
【
図8】
図8は、初期作動位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの上部断面図である。
【
図9】
図9は、初期作動位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図である。
【
図10】
図10は、ハウジングの上部分が取り外され、使用位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの上面図である。
【
図11】
図11は、使用位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの上部断面図である。
【
図12】
図12は、使用位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図である。
【
図13】
図13は、ハウジングの上部分が取り外され、使用後位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの上面図である。
【
図14】
図14は、使用後位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの上部断面図である。
【
図15】
図15は、使用後位置にある薬物送達システムを示す、本発明の1つの態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図である。
【
図16】
図16は、開位置にある組立体を示し、キャップが明確にするために透明として示される、本発明の1つの態様によるプライミング組立体の斜視図である。
【
図17】
図17は、開位置にある組立体を示す、本発明の1つの態様による
図16のプライミング組立体の正面図である。
【
図18】
図18は、開位置にある組立体を示す、本発明の1つの態様による
図16のプライミング組立体の上面図である。
【
図19】
図19は、閉位置にある組立体を示す、本発明の1つの態様による
図16のプライミング組立体の上面図である。
【
図20】
図20は、閉位置にある組立体を示す、本発明の1つの態様による
図16のプライミング組立体の斜視図である。
【
図21】
図21は、使用位置にある組立体を示す、本発明の1つの態様による
図16のプライミング組立体の上面図である。
【
図22】
図22は、使用位置にある組立体を示す、本発明の1つの態様による
図16のプライミング組立体の斜視図である。
【
図23】
図23は、システムの開位置を示す、本発明の1つの態様によるプライミングシステムの正面図である。
【
図24A】
図24Aは、流体が流路を充填している間のシステムの開位置を示す、本発明の1つの態様による、
図23のプライミングシステムの正面図である。
【
図24B】
図24Bは、流路が流体で充填されたシステムの開位置を示す、本発明の1つの態様による、
図23のプライミングシステムの正面図である。
【
図25】
図25は、システムの閉位置を示す、本発明の1つの態様による
図23のプライミングシステムの正面図である。
【
図26】
図26は、薬物送達デバイスの界接面を示す、本発明の1つの態様による
図23のプライミングシステムの正面図である。
【
図27】
図27は、デバイスの使用前位置を示す、本発明の1つの態様による薬物送達デバイスの上面図である。
【
図28】
図28は、デバイスの使用位置を示す、本発明の1つの態様による
図27の薬物送達デバイスの上面図である。
【
図29】
図29は、デバイスの別の使用位置を示す、本発明の1つの態様による
図27の薬物送達デバイスの上面図である。
【
図30】
図30は、デバイスの使用前位置を示す、本発明の1つの態様による薬物送達デバイスの上面図である。
【
図31】
図31は、デバイスの使用位置を示す、本発明の1つの態様による薬物送達デバイスの上面図である。
【
図32】
図32は、システムの開位置を示す、本発明の1つの態様によるプライミングシステムの正面図である。
【
図33】
図33は、流体が流路を充填している間のシステムの開位置を示す、本発明の1つの態様による
図32のプライミングシステムの正面図である。
【
図34】
図34は、流路が流体で充填されたシステムの閉位置を示す、本発明の1つの態様による
図32のプライミングシステムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、本発明を実施するように企図された説明する実施形態を、当業者が作製し、使用することを可能にするために提供される。しかし、さまざまな改変形態、等価物、変形形態、および代替策は、依然として当業者に容易に明らかになるであろう。あらゆるすべてのそのような改変形態、変形形態、等価物、および代替策は、本発明の趣旨および範囲内に含まれるように意図される。
【0013】
これ以後の説明のために、用語「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」、およびそれらの派生語は、図面に配向されるように本発明に関連付けるものとする。しかし、明示的にそうではないと明記されない限り、本発明は、さまざまな代替の変形形態をとり得ることを理解されたい。また、添付の図に示し、以下の明細書において説明する特有のデバイスは、本発明の例示的な実施形態にすぎないことも理解されたい。故に、本明細書に開示する実施形態に関連する特有の寸法および他の物理的特性は、限定的として考えられるものではない。
【0014】
図1~15を参照すれば、本開示の1つの態様による薬物送達デバイス10は、駆動組立体12と、容器14と、弁組立体16と、針アクチュエータ組立体18とを含む。駆動組立体12、容器14、弁組立体16、および針アクチュエータ組立体18は、ハウジング20によって画定される空洞内に少なくとも部分的に位置決めされる。ハウジング20は、上部分22と、底部分24とを含むが、ハウジング20のための他の適切な配置が利用されてもよい。1つの態様では、薬物送達デバイス10は、着用されるか、またはユーザに固定されるように構成され、容器14内に提供された薬剤の所定用量を注射を介してユーザに送達するように構成された注射器デバイスである。デバイス10は、薬剤が設定時間期間内に送達される「ボーラス注射」を送達するために利用され得る。薬剤は、最大45分の時間期間にわたって送達され得るが、他の適切な注射量および持続時間が利用されてもよい。ボーラス投与または送達は、速度制御を伴って実施することができ、または特有の速度制御を有さない。デバイス10は、薬剤を、固定された圧力でユーザに送達することができ、このとき速度は可変である。デバイス10の全体的な作動は、
図1~15を参照して以下に説明される。
【0015】
図1~15を再度参照すれば、デバイス10は、針アクチュエータ組立体18の針28がユーザの皮膚を穿孔する結果となる、ユーザによる作動ボタン26の係合、針28を容器14と流体連通させ、流体または薬剤を容器14から放出する駆動組立体12の作動、および薬剤の注射が完了した後の針28の引き込みによって作動するように構成される。薬剤送達システムの全体的な作動は、参照により全体的に本明細書に組み込まれている、特許文献1および特許文献2に示され、説明される。デバイス10のハウジング20は、デバイス10の状態に関する表示をユーザに提供するように構成されたインジケータ配置32を見るためのインジケータ窓30と、容器14を見るための容器窓31とを含む。インジケータ窓30は、インジケータ配置32の明確な視野を提供するための拡大鏡であってもよい。インジケータ配置32は、デバイス10の使用中、針アクチュエータ組立体18と共に移動して、デバイス10の使用前状態、使用状態、および使用後状態を表示する。インジケータ配置32は、状態に関する視覚的しるしを提供するが、可聴式または触覚式などの他の適切なしるしが代替的または追加的なしるしとして提供されてもよい。
【0016】
図4~6を参照すれば、デバイス10の使用前位置中、容器14は、駆動組立体12および弁組立体16から離間され、針28は後退位置にある。
図7~9に示すように、デバイス10の初期作動中、駆動組立体12は、容器14と係合して、容器14を弁組立体16に向かって移動させ、弁組立体16は、容器14の閉鎖部36を穿孔し、容器14内の薬剤をチューブ(図示せず)または他の適切な配置を介して針28と流体連通させるように構成される。駆動組立体12は、容器14のストッパ34と係合するように構成され、それによって、最初は、容器14内の流体または薬剤の非圧縮性により、容器14全体を移動させて弁組立体16と係合させることになる。デバイス10の初期作動は、ユーザによる作動ボタン26の係合によって引き起こされ、それによって針アクチュエータ組立体18および駆動組立体12を解放し、これは以下でより詳細に論じる。初期作動中、針28は、依然として後退位置にあり、デバイス10のユーザに注射するための延長位置まで移動しようとしている。
【0017】
図10~12に示すように、デバイス10の使用位置中、針28は、ハウジング20の少なくとも部分的に外側で延長位置にあり、このとき駆動組立体12は、ストッパ34を容器14内で移動させて薬剤を容器14から、針28を通してユーザに送達している。使用位置では、弁組立体16は、容器14を針28と流体連通させるためにすでに容器14の閉鎖部36を穿孔しており、それによって、流体を容器14から投薬することができるために駆動組立体12がストッパ34を容器14に対して移動させることも可能になる。
図13~15に示すデバイス10の使用後位置において、針28は、後退位置にあり、パッド38と係合されて針28をシールし、容器14からの流体または薬剤のいかなる残留流も防止する。容器14および弁組立体16は、参照により全体的に本明細書に組み込まれている、特許文献3に示し説明する容器14および弁組立体16であってもよい。
【0018】
図16~25を参照すれば、薬物送達デバイス10に関連して使用するためのプライミングシステム50が、示される。プライミングシステム50は送達デバイス10に関連して示されているが、プライミングシステム50はまた、薬剤を患者に送達するための任意の他の適切なデバイスまたはシステムに組み込まれてもよい。プライミングシステム50は、カートリッジプライミング組立体52と、針アクチュエータプライミング組立体54と、カートリッジプライミング組立体52と針アクチュエータプライミング組立体54との間を延びる送達チューブ56とを含む。
【0019】
図16~22を参照すれば、プライミング組立体52、54のそれぞれは、ハブ60、80と、ハブ60、80に連結され、通路64、84を画定するベース62、82と、内部チャンバ68、88、および内部チャンバ68、88と流体連通する通路70、90を画定するキャップ66、86と、ハブ60、80に連結され、キャップ66、86の内部チャンバ68、88内に位置決めされる針72、92とを含む。ベース62、82は、第1の位置と第2の位置との間でハブ60、80に対して移動可能である。特に、ベース62、82は、第1の位置と第2の位置との間でキャップ66、86およびハブ60、80に対して回転可能である。送達チューブ56は、カートリッジプライミング組立体52のハブ60および針アクチュエータプライミング組立体54のハブ80と流体連通する。各組立体52、54に関して、ベース62、82が第1の位置にあるとき、ベース62、82の通路64、84は、キャップ66、86の通路70、90と流体連通し、ベース62、82が第2の位置にあるとき、ベース62、82の通路64、84は、キャップ66、86の通路70、90から分離される。プライミング組立体52、54それぞれのキャップ66、86およびベース62、82は、キャップ66、86とベース62、82との間にシールされた界接面を形成する。シールされた界接面は、第1の位置と第2の位置との間のベース62、82の移動中、キャップ66、86の通路70、90からのいかなる漏出も防止する。シールされた界接面は、キャップ66、86とベース62、82との間の係合によって提供され得る。特に、キャップ66、86は、ベース62、82およびハブ60、80と共にシールを形成するエラストマー材料から製造され得る。キャップ66、86は、閉鎖された第1の端部74、94と、開放した第2の端部76、96であって、ハブ60、80上に位置決めされ、固定される、開放した第2の端部76、96とを含む。開放した第2の端部76、96は、ベース62、82に係合される。
【0020】
図16~22を再度参照すれば、針72、92は、ハブ60、80に固定され、流体連通する第1の端部102、112と、キャップ66、86の内部チャンバ68、88内に位置決めされる第2の端部104、114とを含む。針72、92の第2の端部104、114は、鋭利にされ、キャップ66、86およびカートリッジ14の閉鎖部36を穿孔するように構成され得る。プライミング組立体52、54のそれぞれに関して、キャップ66、86は、針72、92の第2の端部104、114がキャップ66、86内に位置決めされる第1の使用前位置、および針72、92の第2の端部104、114がキャップ66、86の外側に位置決めされる第2の使用位置から変形するように構成される。
【0021】
図16~25を再度参照すれば、カートリッジプライミング組立体52は、カートリッジプライミング組立体52のベース62の通路64と流体連通する流入チューブ120を含む。針アクチュエータプライミング組立体54は、針アクチュエータプライミング組立体54のベース82の通路84と流体連通する流出チューブ122を含む。
【0022】
図23~25を参照すれば、プライミングシステム50の使用前、プライミング組立体52、54および送達チューブ56は、空気によって充填され、充填準備されている。プライミングシステム50は、プライミング流体を、流体が流入チューブ120を流れ抜けるような第1の位置にベース62がある状態でカートリッジプライミング組立体52の流入チューブ120を通り、ベース62の通路64を通り、キャップ66の通路70を通って、キャップ66の内部チャンバ68内に送達することによってプライミングされる。キャップ66の内部チャンバ68から、流体は、針72を通り、ハブを通って送達チューブ56内に流れ続ける。針アクチュエータプライミング組立体54のベース82が第1の位置にある状態で、流体は、針アクチュエータプライミング組立体54のハブ80を通り、針92を通って針アクチュエータプライミング組立体54のキャップ86の内部チャンバ88内および針アクチュエータプライミング組立体54の流出チューブ122内に流れる。プライミングシステム50が完全にプライミングされ、すべての空気がシステム50から除去されると、カートリッジプライミング組立体52および針アクチュエータプライミング組立体54のベース62、82はそれぞれ、第1の位置から第2の位置に回転されてプライミングされた流体をプライミングシステム50でシールする。ベース62、82が第2の位置にあるとき、ベース62、82の通路64、84は、キャップの通路70、90から分離され、シールされる。プライミング流体は、緩衝食塩水、ヘパリン、または任意の他の適切なプライミング流体であってもよい。
【0023】
図26~31を参照すれば、プライミングシステム50は、薬物送達デバイス10内にプライミングされ、組み立てられるように構成される。1つの態様では、弁組立体16および針28と同じように機能しながら、カートリッジプライミング組立体52は弁組立体16と置き換わり、針アクチュエータプライミング組立体54は針28と置き換わる。
図26に示すように、カートリッジプライミング組立体52および針アクチュエータプライミング組立体54は、弁組立体16および針28と同じやり方でデバイス10と共働するための界接面124、125を含む。
図27に示すように、使用前状態では、プライミングシステム50は、プライミング流体でプライミングされ、充填される。
図28に示すように、注射中、カートリッジ14は、カートリッジプライミング組立体52のキャップ66と係合し、針72をカートリッジ14内の薬剤と流体連通させて第2の位置にキャップ66を変形させる。プライミング流体は、カートリッジ14からの薬剤によって押し出され、薬剤は、カートリッジ14からカートリッジプライミング組立体52を通り、送達チューブ56を通り、針アクチュエータプライミング組立体54を通って流れて患者に入る。
図29に示すように、注射中、プライミング流体のすべては注射されてしまっており、カートリッジ14からの薬剤が注射されている。
【0024】
図32~34を参照すれば、1つの態様では、プライミング組立体52、54のハブ60、80は、スロット126、136を画定し、ベース62、82は、スロット126、136内に受け入れられる突出部128、138を含む。スロット126、136は、第1の端部130、140と、第2の端部132、142とを有する。突出部128、138が、
図32に示すようにスロット126、136の第1の端部130、140にあるとき、ベース62、82は、第1の位置にあり、突出部128、138が、
図33に示すようにスロット126、136の第2の端部にあるとき、ベース62、82は、第2の位置にある。したがって、ベース62、82は、第1の位置と第2の位置との間で回転可能であり、ベース62、82の移動は、第1の位置と第2の位置との間の移動に制限され得る。スロット126、136は、突出部128、138をスロット126、136の第1の端部および第2の端部130、132、140、142内に保持する隆起部または他の構造体を含むことができる。さらに、スロット126、136および突出部128、138は、ベース62、82が第1の位置にあるか、または第2の位置にあるかに関する視覚的および/または触覚的フィードバックを提供することができる。スロット126、136はハブ60、80上に提供され、突出部128、138はベース62、82上に提供されるが、スロット126、136および突出部128、138の位置は反転されてもよく、このときベース62、82はスロット126、136を画定しており、ハブ60、80は突出部128、138を含んでいる。
図34に示すように、流入チューブおよび流出チューブ120、122は、プライミングシステム50がプライミングされ、シールされた後、除去され得る。
【0025】
1つの開示される態様の要素は、1つまたは複数の他の開示される態様の要素と組み合わせられて、さまざまな組み合わせを形成することができ、そのすべては、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0026】
本開示を例示的な設計を有するものとして説明してきたが、本開示をその趣旨および範囲内でさらに改変することもできる。したがって、本出願は、本開示の、その全般的な原理を使用する任意の変形形態、用途、または適用を対象とするように意図される。さらに、本出願は、本開示が関係する当技術分野内で知られているか、または慣習的な実践内に入り、付属の特許請求の範囲の制限内に含まれるような本開示からの逸脱を対象とするように意図される。