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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】製品分配用計量弁
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/54 20060101AFI20220216BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20220216BHJP
   B65D 83/52 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B65D83/54
B05B9/04
B65D83/52
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020541584
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2018051948
(87)【国際公開番号】W WO2019125566
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】62/607,741
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520274770
【氏名又は名称】プリシジョン バルブ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PRECISION VALVE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】プラシュケ, ラーン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー, カイ, テオ
(72)【発明者】
【氏名】ヒートフェルト, レイナー
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-305882(JP,A)
【文献】実開平03-070759(JP,U)
【文献】特開2012-240742(JP,A)
【文献】特表2013-530897(JP,A)
【文献】米国特許第03326469(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/54
B05B 9/04
B65D 83/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動時に製品の所定の一定量を容器から分配するための弁組立体で使用するための計量弁であって、
開放上端を有する中空円筒体、平坦な基部、外面、および前記平坦な基部を通じる開口部を有する筐体と、
開放底端を有する下部円筒体および開放上端を有する上部円筒体を有する中空用量チャンバであって、前記上部円筒体は前記下部円筒体から垂直軸に沿って突出し、前記上部および下部円筒体は前記垂直軸を通る開口を介して流体連通し、前記上部円筒体はその半径方向に突出する環状の円盤部材を含む、前記中空用量チャンバと、
前記上部円筒体の前記開放上端に着座した環状ガスケットと、
弁軸であって、上部通路を画定する頂部の穿孔、下部通路を画定する底部の穿孔、前記上部通路と連通する前記弁軸を通じる第1の水平口、および前記下部通路と連通する前記弁軸を通じる第2の水平口を備え、前記弁軸は前記垂直軸に沿って軸方向に変位可能であり、前記弁軸の一部が前記環状ガスケットを通って突出するように前記上部円筒体内のばねによって支持された、前記弁軸と、
前記第2の水平口の下の前記下部通路の外周の周りに配置された密閉部品と、
前記下部円筒体内に配置され、ばねおよび前記下部円筒体の上部端によって前記平坦な基部に対して付勢されているピストンと、
を備え、
前記用量チャンバは、水平配置の開口部を含み、前記水平配置の開口部は、前記筐体との流体連通を提供するために前記円盤部材の下にあり、
前記用量チャンバは、前記円盤部材が前記開放上端を密閉するように前記筐体に配置され、
前記弁軸は、計量された用量の前記製品を分配するための第1の距離および連続する用量の前記製品を分配するための第1の距離よりも大きい第2の距離を変位可能である、計量弁。
【請求項2】
さらに、スペーサを含む、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記スペーサは、計量される製品の前記用量に影響を与えるように、所望のサイズにすることができる、請求項2に記載の弁。
【請求項4】
前記スペーサは、前記ピストンの完全なストローク完了を干渉して妨げることによって前記用量に影響を与える、請求項2に記載の弁。
【請求項5】
前記用量チャンバは、複数の脚および複数のリブによって前記筐体内に支持される、請求項1に記載の弁。
【請求項6】
前記複数の脚およびリブは、前記用量チャンバおよび前記筐体の内面間の製品の流れのためのクリアランスおよびチャネルを生成する、請求項5に記載の弁。
【請求項7】
さらに、前記筐体の内径から半径方向に突出し間隔を置いて配置された複数の垂直に配置されたリブを含む、請求項1に記載の弁。
【請求項8】
前記垂直に配置されたリブが、それらの間の流体の流れのためのチャネルを形成する、請求項7に記載の弁。
【請求項9】
さらに、前記筐体の底面から上方に突出する複数の脚を備える、請求項1に記載の弁。
【請求項10】
前記複数の脚が前記底面の円周の周りに配置される、請求項9に記載の弁。
【請求項11】
前記弁は、前記リブおよび脚の間に形成されたチャネルを通じて前記ピストンを取り囲み、高粘度製品の分配を可能にする、請求項5に記載の弁。
【請求項12】
前記環状ガスケットは、前記容器を満たすときに一方向弁として機能する、請求項1に記載の弁。
【請求項13】
前記筐体が、前記平坦な基部を通じる前記開口部と流体連通する通路を備えたテールピースを備え、前記筐体の内容積との流体連通を提供する、請求項1に記載の弁。
【請求項14】
前記テールピースは、前記製品を含むバッグに直接接続される、請求項13に記載の弁。
【請求項15】
前記上部円筒体は、前記垂直軸に沿って、前記下部円筒体内に突出する、請求項1に記載の弁。
【請求項16】
前記用量チャンバは、駆動装置の解除時に自動的に再充填される、請求項1に記載の弁。
【請求項17】
さらに、高粘度製品の計量状態または非計量状態のいずれかの分配を可能にするセレクタガスケットを含む、請求項1に記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加圧された容器から製品を分配するための装置に関し、特に、作動時に、所定の一定量の製品を分配する計量弁を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エーロゾル分配器は、分配する液体、粉末状ゲル、発泡体、油又は他の製品を保持する加圧容器である。バッグ・オン・バルブ(「BOV」)システムは、一般的に、障壁、隔膜、またはバッグと結合して製品を噴射剤から分離するエーロゾル弁を含む。他のシステムでは障壁は採用されない。これらの他のシステムでは、分配される製品は、直立容器の下部に含まれ、及び収集する加圧ガスは、製品上部の空間に収容される。弁機構が作動すると弁から容器の底まで伸びるディップチューブが製品を引き込み放出口に向け、推進剤が当該製品を容器から放出する力を提供する。
【0003】
精度や経済性が必要な場合、所定の又は計量された量の製品を分配することが望ましいであろう。しかしながら、既知の計量装置は、非常に複雑であり、多数の別個の部品または要素、および大きな製造コストを必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ユーザが初回およびその後の各連続作動から製品の等しい用量を得ることを可能にする、固定用量用又は計量弁を提供する。
【0005】
本開示は、また、各作動による固定用量だけ、繰り返し、容器から製品を分配する計量弁を提供する。
【0006】
本開示は、さらに、計量された用量を迅速に連続して分配する計量弁を提供する。
【0007】
本開示は、さらに、ユーザが駆動装置を押下すると、用量チャンバに蓄積した量だけの製品が分配され、駆動装置を解放すると、用量チャンバは製品で再充填される計量弁を提供する。
【0008】
本開示は、また、非作動状態では、計量し、自動的に分配用量チャンバを充填し、作動状態では、ばね負荷ピストンおよび分配用量チャンバを含む分配機構によってそれから内容物を分配するよう製品を導く弁を提供する。
【0009】
本開示は、さらに、計量し、ワンショットまたは1動作で加圧容器に充填するように弁軸を通じて製品を充填することを可能にする一方向充填機能を有する弁を提供する。この一方向充填機能により、分配前の製品の逆流や計量のバイパスが防止される。
【0010】
本開示は、さらに、充填時、用量チャンバをバイパスする弁を提供する。
【0011】
本開示は、さらに、バッグ無し、または製品が推進剤と完全にバッグにより分離されるBOVシステムで動作可能な弁を提供する。
【0012】
したがって、本開示は、BOVシステムにおいて、100%まで製品を空にし、貯蔵寿命を拡張し、噴霧パターンを等しく制御し、および任意の角度で分配することを達成することができる弁を提供する。
【0013】
本開示は、さらに、計量及び非計量の両製品を分配するように構成された弁を提供する。
【0014】
本開示は、さらに、スペーサにより、可変計量の製品を分配するように構成可能な弁を提供する。
【0015】
したがって、本開示は、本開示のBOVシステムにおいて、製品の分配は、バッグの圧力によって行われ、それゆえこれらのシステムは、高粘度の製品に適する弁を提供する。
【0016】
本発明に係る計量弁は、著しく、缶の外側、缶の内側、または缶内にあるバッグの内側に適合するように構成することができる。
【0017】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、図面、及び添付の特許請求の範囲から当業者によって明らかとなり、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示による、計量された用量の製品を分配する計量弁組立体を有する装置の斜視部分切り取り図である。
図2図2は、図1の装置の計量弁の要素分解図付き斜視図である。
図3A図3Aは、図1の計量弁の筐体の斜視断面図である。
図3B図3Bは、図1の計量弁の用量構造体の斜視断面図である。
図3C図3Cは、図1の計量弁の弁軸の斜視断面図である。
図4図4は、図1の装置の断面図である。
図5A図5Aは、充填途上にある図1の装置の断面図を示す。
図5B図5Bは、初期充填後の充填状態にある図1の装置の断面図を示す。
図5C図5Cは、第1の分配状態にある図1の装置の断面図を示す。
図5D図5Dは、第2の分配状態にある図1の装置の断面図を示す。
図5E図5Eは、自己再充填途上にある図1の装置の断面図を示す。
図5F図5Fは、自己再充填後の充填状態にある図1の装置の断面図を示す。
図6図6は、本開示に係る装置に使用する弁軸の第1の別の実施形態の斜視断面図である。
図7図7は、本開示に係る用量構造体の第1の別の実施形態の断面図である。
図8図8は、本開示に係る装置に使用する弁軸の第2の別の実施形態の斜視断面図である。
図9図9は、図8の弁軸を有する図1の装置の断面図である。
図10図10は、本開示に係る装置に使用するピストンの第1の別の実施形態である。
図11図11は、図10のピストンを有する図1の装置の斜視断面図である。
図12図12は、別の実施形態の用量構造体を有する図1の装置の断面図を示す。
図13図13は、本開示に係る、弁筐体の無い、計量弁組立体の斜視図である。
図14図14は、図13の計量弁組立体の断面図である。
図15図15は、容器の外側に配置された本開示に係る計量弁組立体の斜視図である。
図16図16は、図15の計量弁組立体の断面図である。
図17図17は、本開示に係る計量弁組立体の別の実施形態の斜視図である。
図18図18は、容器に挿入された、図17の計量弁組立体の断面図である。
図19図19は、真空引き途上の図17の計量弁組立体の断面図である。
図20図20は、真空引きをした後の図17の計量弁組立体の断面図である。
図21図21は、空気圧で満たされている図17の計量弁組立体の断面図である。
図22図22は、容器に締め付けられている図17の計量弁組立体の断面図である。
図23図23は、容器に製品を移している図17の計量弁組立体の断面図である。
図24図24は、本開示に係る計量弁組立体のさらに別の実施形態の非作動状態を示す。
図25図25は、計量する第1の分配状態にある図24の計量弁組立体の断面図を示す。
図26図26は、容器から分配される製品を計量しない第2の分配状態にある図24の計量弁組立体の断面図を示す。
図27図27は、充填過程で容器の真空引きをする第2の分配状態にある図24の計量弁組立体の断面図を示す。
図28図28は、容器を充填する第2の分配状態にある図24の計量弁組立体の断面図を示す。
図29図29は、スペーサを含む計量弁組立体のさらに別の実施形態の断面図である。
図30図30は、前述のスペーサまたはスペーサ要素の斜視図である。
図31図31は、計量弁要素の分解図付きの図29の計量弁の斜視図である。
図32図32は、前述のスペーサが無い場合の計量状態の端部にある弁を示す。
図33図33は、図32に類似する、前述のスペーサが有る場合の計量状態の端部にある弁を示す。
【0019】
添付図面は、計量弁に向けられた本開示の現在好ましい実施形態を示し、上記の一般的な説明および以下の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明する。図面全体に示されるように、同様の参照番号は、同様のまたは対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面、特に図1を参照すると、一般に参照番号10によって表す装置が提供される。装置10は、容器12、スプレーキャップ又は駆動装置16、および計量した用量の製品を分配するための本開示に係る弁組立体を有し、当該弁組立体または計量弁は、一般に参照番号100によって表す。
【0021】
容器12は、これらに限定されないが、缶、キャニスタ、又は任意の分配する製品を保持するための適切な容器であり得る。容器12は内容積14を有する。
【0022】
スプレーキャップ又は駆動装置16は、分配される製品の噴霧速度を制御するように装置10に作動する。バッグ・オン・バルブ(BOV)の実施形態では、装置10は、更に、分配される製品をその中に有するバッグ18を有する。
【0023】
図2を参照すると、計量弁100自体の要素をより明確に示す。これらの要素には、上から順に、カップ102、弁軸ガスケット104、弁軸180、セレクタガスケット106、弁軸ばね108、用量構造または用量構造体150、ガスケットリング134、ピストンばね132、ピストン130および弁筐体110が含まれる。弁筐体110は、計量した用量の製品を提供するのに役立つ用量チャンバ構造又は用量チャンバ構造体150の外郭である。
【0024】
図3Aを参照すると、弁筐体110は、略円筒形の外郭を有し、その円周の周りに内面114を有する。しかしながら、弁筐体110は、例えば、楕円形、六角形、長方形などの他の形状を有することができる。弁筐体110は、用量チャンバ構造体150を受け入れ、その結果、用量チャンバ構造体150は弁筐体110の下部113に配置される。図示するように、弁筐体110の上部111は、下部113より大きな直径を有する。弁筐体110は、基部116を有する。テールピース118は、基部116の底部から垂下する。ディップチューブ(図示せず)は、テールピース118に取り付けられ、容器12内に延在する。基部116およびテールピース118は、それを通じて弁筐体110の内容積との流体連通を提供する穿孔120を有する。BOVの実施形態では、テールピース118は、その周りにバッグが結合される表面領域122を提供する。
【0025】
本開示の好ましい実施形態において、3つ以上の実質的に、好ましくは完全に、垂直配置されたリブ124が、内面114から半径方向にその深さだけ突出する。リブ124は、基部116から垂直方向に上部111および下部113を分かつ環状棚部128まで延在する。環状棚部により、上部111および下部113は異なる内周が提供される。
【0026】
リブ124は、図3Bに示す、弁筐体110内で用量構造体150の実質的な垂直または軸合わせを維持するのに役立つ。別の言い方をすれば、リブ124は、本体150を弁筐体110と同心に保つ。リブ124は、さらに、用量チャンバ構造体150外面および内面114の間にリブの深さの距離だけ分離を維持し、それにより、製品がその間を流れる垂直方向のチャネルをもたらす。
【0027】
3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上のリブ124を設けることができる。リブ124は、弁筐体110の内面114の周りに等間隔で配置されるのが好ましい。
【0028】
図3Aを参照すると、リブ124は、また、用量チャンバ構造体150を弁筐体110への挿入する間先導する形状125を有することができる。形状125は、例えば、図示されるように、上端が内側に傾斜した表面であり得る。
【0029】
リブ124は、その基部116から突出する脚126を含むのが好ましい。この構成により、脚126が平坦な表面、例えば図2の用量構造体または本体150の基部を支持する結果、当該平坦な表面は、弁筐体基部116から垂直方向に脚の深さだけ変位する。この構造により、用量チャンバ構造体150の下に製品が流れることができる複数のチャネルが作成される。ある実施形態では、脚の深さとリブの深さは同じである。他の実施形態では、脚の深さはリブの深さよりも大きい。さらに他の実施形態では、脚の深さはリブの深さよりも小さい。リブ124および脚126は、計量弁100内に自由に流れるためのチャネルを維持するように機能する。
【0030】
図2および図3Bを参照すると、用量チャンバ構造体150は、弁筐体110内に配置される。用量チャンバ構造体150は、下部又は用量チャンバ152および上部又は弁軸トンネル154を有する。用量チャンバ構造体150は、用量チャンバ152の内容積および弁軸トンネル154の間を連通する穿孔170を備えた中心軸を有する。
【0031】
図3Bを参照すると、用量チャンバ152は、開放底端158および閉鎖上端159を有する中空円筒体である。閉鎖上端159は、その円筒体内部上端に上面178を有する。円筒体の内側環状表面は、内面176である。用量チャンバ152の環状外面は表面179である。上端159に隣接して、用量チャンバ152はその外周の周りに環状溝172を有する。環状溝172は、図2のガスケットリング134を受け入れるようなサイズである。図示の実施形態では、環状溝172は、表面179よりも大きい外径を有する二つの円盤部材の間に形成される。少なくとも一つの開口部174が環状溝172内に用量チャンバ152の本体を通じて配置される。二つ以上の開口を有する実施形態では、開口部174の隣接する各ペアを等しく離間するのが好ましい。あるいは、開口部174は同一サイズである、または同一サイズかつ円周の周りに等しく離間する。
【0032】
図3Bを参照すると、弁軸トンネル154は、上端159から垂直に突出する。弁軸トンネル154は、開放上端160を有する中空の円筒体である。用量チャンバ152および弁軸トンネル154と間の流体連通は、本体150の中心軸を通る穿孔170による。弁軸トンネル154は、弁軸180を受け入れるようなサイズである。さらに、弁軸トンネルは、用量チャンバ152よりも小さい外径を有する。弁軸トンネル154は、外周の周りに水平配置される円盤部材156を有する。円盤部材156の下には、弁軸トンネル154の円筒体を通る少なくとも1つの開口157がある。円盤部材156は、弁筐体110の上部を提供する。
【0033】
円盤部材156は、上面166、下面162、及び円周面164を有する。円周面164はまた、弁筐体110を密閉するための密閉面としても機能する。複数の三角リブ168は、弁軸トンネル154の外面から、上面166に沿って円周面164まで延びる。これらの三角リブ168は、強度を提供し、かつ円盤部材を計量弁100の中心軸に対して好ましくは垂直、または少なくとも実質的に垂直に維持する。
【0034】
再び図2を参照すると、ピストン130およびピストンばね132は、用量チャンバ152内の軸方向に挿入され、ピストンばねは、上面178およびピストン130の間に支持される。
【0035】
ピストン130は、用量チャンバ152の内面176に対して液密又は実質的に液密の摩擦シールをなす環状の外面136を有する。このように、ピストン130は、用量チャンバ152を密閉する。ピストン130は台131によって支持され、軸方向に変位可能にされるので、ピストンが上下動するとき、この動作の結果、用量チャンバ152の容積がそれぞれ増減する。台131の底面を通る溝は、チャネル133および135を形成し、ピストン130が基部116上にあるときに製品が流れることができる。
【0036】
ピストンばね132は、ピストン130に対して上面178から離れるように付勢するコイルばねであることが好ましい。
【0037】
ガスケットリング134は、環状溝172に設置され、開口部174を覆う大きさである。このような構成により、ガスケットリング134は、環状溝172および開口部174の間の流体/液体密閉シールを提供する。以下に述べるように、ガスケットリング134は、また、容器12を充填するときに一方向弁として機能する。
【0038】
上面178から垂下している突出部177は、ピストンばね132を軸方向に整列して保持するための着座を提供する。突出部177は円筒形が好ましい。ばね132が突出部よりも大きい直径を有し、突出部の周囲を囲むことが好ましい。また、ピストンばね132は、突出部の周りに圧入されることが好ましい。
【0039】
上述のように、用量チャンバ152を含む用量チャンバ構造体150は、脚126及びリブ124によって弁筐体110内に支持される。図5Aに示すように、脚126およびリブ124の形状は、用量チャンバ構造体150の下部と同様、詳細図Dに示すように、用量チャンバ構造体150の外部側面179および弁筐体110の内面114の間を製品が流れるためのクリアランスおよびチャネルを作り出す。
【0040】
図2を再び参照すると、弁軸ばね108は圧縮コイルばねである。弁軸ばね108は、本体150の弁軸トンネル154内に軸方向に配置され、弁軸180を支持する。弁軸ばね108は、作動後に弁軸180を閉位置に戻すのに必要な内力を提供する。弁軸トンネル154の底部に脚163を複数配置しているのが好ましい。脚163は、弁軸ガスケット104を支持する着座となるため、中心軸の周りに配置される。
【0041】
図3Cを参照すると、弁軸180は、中空の上部チャンバおよび中空の下部チャンバを有する円筒体である。上部チャンバ182は、半径方向に本体を通じて配置された少なくとも一つの開口部186を有する。開口部186は、弁軸ガスケット104を受ける弁軸180の首部187において凹んでいることが好ましい。開口部186は、弁軸180の直径に対して反対側に少なくとも2つの開口部を有する、または等しく離間された3つ以上の開口部を有すると、さらに好ましい。高粘度製品の場合、より大きな断面積の開口部186は、当該製品の充填および分配を容易にする。複数の開口部186は、同一サイズのガスケットを同時に使用しながら、単一の開口部よりも大きな断面積の流れを可能にする。下部チャンバ184はまた、弁軸180の本体を軸方向に通じて配置された少なくとも1つの開口部188を有し、反対側に少なくとも2つの開口部を有すると好ましい。特定の実施形態では、少なくとも2つの開口部(開口部186または開口部188のいずれか)は、3つ、4つ、またはそれ以上の開口部である。弁軸180は、弁軸トンネル内を軸方向に移動し、弁軸ばね108に対して付勢されている。弁軸180は、外周の周りに外周溝190を有する。外周溝190は、セレクタガスケット106を受ける。弁軸180の軸方向の運動により、セレクタガスケット106は、開口部157を開封する第1の位置または非作動位置および開口部157を密封する第2の位置または作動位置の間を動く。
【0042】
図4を参照して、カップ102は、計量弁を容器12上に装置し、配向し、及び密封する。必要に応じて、カップ102はガスケット(図示せず)を有することができる。カップ102はまた、弁筐体110の上端を囲んでいる。カップ102は、弁軸180の一部が突出する開口を有する。カップ102は、弁軸ガスケット104と重なる内面を有する。さらに、カップ102は、弁軸180、弁軸ガスケット104、および用量チャンバ構造体150を一緒に締め付けると同時に、容器12に気密シールを提供する役割を果たす。また、オーバーキャップやスプレードームを含む駆動装置16などの取り付けプラットフォームとしても機能する。弁軸ガスケット104は、気密シールを維持し、製品と接触することもできる。弁軸ガスケット104の材料選択は、弁軸ガスケットが接触する溶媒の種類を考慮する必要がある。
【0043】
計量弁100を、充填過程の間、エアゾール缶に接続または固定し、認められた標準の充填方法に従って充填することができる。
【0044】
ここで、計量弁100の動作について、図5A図5Fを参照して説明する。図5Aおよび図5Bは、容器12の充填を示す。図5Cおよび図5Dは、分配を示す。図5Eおよび図5Fは、自己再充填を示す。図5Fは、充填された容器12を示す。
【0045】
図5Aを参照すると、計量弁100を有する装置の充填過程の間、弁軸180はユーザによって下方に押され、弁軸ばね108が図示するように圧縮される。製品は、圧力下で、上部チャンバ182、開口部186を通って、そして以下の順に通って流れる。すなわち、弁軸トンネル154、開口部188、下部チャンバ184および用量チャンバ152である。再び、ガスケットリング134は、充填過程の間一方向弁として機能する。ガスケットリング134は、開口部174から離れるように偏向され、製品が内面114および外部側面179の間を、リブ124および脚126の間に形成されたチャネルに沿って、そして最終的にバッグ18内に流れることを可能にする。ピストン130は、充填過程に影響を与えない。この位置では、セレクタガスケット106が開口部157を密閉する。
【0046】
計量弁100は、リブ124および脚126の間ならびに開口部174によって形成されたチャネルを通じてピストン130を取り囲む。このような構成により、製品をより流れ易くする、より幅広なまたはより大きな断面積によって、高粘度製品の分配が可能になる。
【0047】
充填された缶を、図5Bに示す。弁軸ばね108が弁軸180に上向きの力を及ぼし、弁軸180を用量チャンバ構造体150の弁軸トンネル154内の上方に押している。このように、弁軸ガスケット104は、開口部186を密閉し、それにより、この状態では、計量されたか否かにかかわらず、製品108の分配を無効にする。
【0048】
計量弁100から用量分配をする状態を図5Cおよび図5Dに示す。
【0049】
駆動装置16が押下されると、弁軸180も押下されるので、開口部186および弁軸ガスケット104の位置合わせが変位する。用量チャンバ構造体150における圧力差、すなわち、雰囲気圧力により、バッグ18からの製品がピストン130を上方に付勢し、付勢されたピストン130が用量チャンバ152内に蓄積された製品を全て分配する。この位置では、開口部157および174は、それぞれのガスケットによって密閉され、その結果、製品は、用量チャンバ構造体150の用量チャンバ152から穿孔170を通って弁軸トンネル154にのみ流れることができる。
【0050】
製品は、弁軸トンネル154から、次いで下部弁軸チャンバ184に流入し、開口部188から流出し、開口部186に流入し、上部弁軸チャンバ182に至り、駆動装置16の導管を通って、外部に出る。製品の分配が停止するのは、図5Dに示すように、ピストン130が下部弁軸チャンバ184の上面に達してそれ以上上方への動きが排除されるときである。このようにして、計量弁100は、固定用量の製品を分配し、それ以上は分配しない。
【0051】
図5Eおよび図5Fは、計量弁100の用量チャンバ152が、駆動装置16の開放時、自動的に再充填される方法を示す。弁軸ばね108は、弁軸180を上方に押し、その結果、開口部186は、弁軸ガスケット104によって密閉され、開口部157は、密閉されなくなる。この状態では、用量チャンバおよびバッグ内の製品の間に雰囲気による気圧差が存在する。この圧力差が原因で、製品が開口部157から、弁軸トンネル154及び穿孔170を通じて、用量チャンバ構造体150の用量チャンバ152に流れる。加圧製品およびピストンばね132が一緒の力でピストン130を下方に基部116に達するまで押し下げる。
【0052】
このとき、計量弁100の用量チャンバ152が再充填されたので、当該計量弁から別の固定用量の製品分配をできる準備が整っている。図5Fを参照されたい。
【0053】
本システムの構成要素を、垂直方向に、順次組み立てることができ、その結果、特定の角度方向の必要性が無いので製造が単純化されることを想定している。
【0054】
別の実施形態も想定される。
【0055】
例えば、図6に示す実施形態では、弁軸180およびセレクタガスケット106の代わりに弁軸280を使用する。弁軸280は、2つの異なる材料282および284から単一部品として製造される。この製造には、二成分射出成形およびオーバーモールディングのような既知の方法を利用できる。弁軸280は、それが単一の要素であることを除いて、弁軸180およびセレクタガスケット106の組み合わせと実質的に同一の機能を果たす。
【0056】
図7は実施形態の一例を提供し、用量チャンバ構造体150は、2つの慎重な要素として用量チャンバ152および弁軸トンネル154を有する。さらに、開口部174を、用量チャンバ152の代わりに、弁軸トンネル154を通じて設ける。本実施形態では、ガスケットリング134を、本開示に係る開口部174を密閉し、および密閉しないように弁軸トンネルの周囲に配置する。したがって、ガスケットリング134は、弁軸トンネルの周りに適合するようなサイズでなければならない。この実施形態は、組み立てがより簡単であり、複雑でない点が有利である。ガスケットリング134は、弁軸トンネル上を伸びるだけでよい。
【0057】
弁軸の別の実施形態についての詳細を図8に、弁における位置を図9に示す。本実施の形態では、弁軸380が、弁軸180または280の代わりに使用される。弁軸380は、弁軸280と同様に、単一部品として製造される、または、弁軸180と同様に、ガスケットを個別に含むことができる。しかし、弁軸380は、単一のガスケットよりはむしろ、2つのシールリング382および384を有する。
【0058】
さらに別の実施形態において、ピストン230の詳細を図10に、計量弁における位置を図11に示す。ピストン230が、ピストン130の代わりに使用される。ピストン230は、Oリング234が着座するに環状溝232を有する。本実施形態では、ピストンの環状の外面ではなく、Oリング234が流体密シールを形成する。
【0059】
弁のさらに別の実施形態を示す図12では、用量チャンバ構造体又は本体250が、用量チャンバ構造体または本体150の代わりに、使用される。用量チャンバ構造体250は、用量チャンバ構造体150と異なり、用量チャンバ152の内面176に開口部を有さない。代わりに、用量チャンバ構造体250は、図示のように弁軸トンネル154を通じて配置される開口部270を有する。
【0060】
本発明は、筐体の無い実施形態を想定する。そのような実施形態を図13および図14に示す。このような実施形態において、バッグ18は、用量チャンバ152の全てを囲むように弁軸トンネル154の周囲に配置される。バッグ18は、取り付けに最適な指定領域でそれに結合される。
【0061】
図15及び16に示すように、組立体100は、また、缶または容器12上または外側で嵌合可能である。組立体100を、また、用量の製品を分配する別個のユニットとして使用するための鐘形のおおいによって囲むこともできる。
【0062】
本開示に係る計量弁の別の実施形態では、計量弁400を、製品充填過程において当該弁およびバッグを真空引きするために動作可能である。次に、計量弁400について、図17から図23を参照して説明する。
【0063】
計量弁400は、実質的に定量弁100と同様であるが、弁筐体110の代わりに筐体410を有する。筐体410は、弁筐体110とは異なり、外面414に画定された溝412を有する。溝412の中に、筐体410の内容積と連通する少なくとも1つの貫通孔416がある。貫通孔416は、円形の開口であることが好ましいが、スリット、または他の任意の適切な幾何形状であり得る。貫通孔416は、複数あることが好ましく、複数の貫通孔が、溝412の円周に沿って均等に離間してあることがさらに好ましい。筐体ガスケット418を、溝412の下に配置する。後述するように、筐体ガスケット418を充填過程の間、溝412に摺動可能であると有利である。
【0064】
容器12に挿入した計量弁400を図18に示す。充填装置の充填ヘッド600が容器12に取り付けられている。充填装置は、伊トレント州カルチェラーニカ・アル・ラーゴのコスターテクノロジスペシャリSpA製AB175 BOV の例であるが、当技術分野で知られている他のそのような装置にも適合する。図18に示す状態では、容器12、計量弁400、及びバッグ18を同時に真空引きできるように、計量弁400の内側カラーを上に持ち上げている。図19に示すように、貫通孔416が弁筐体410および弁機構の内部を充填ヘッド600によって加えられる負圧に曝すので、真空引きが計量弁400により実行できる。図示の矢印は、真空引きの流れの一例を示す。
【0065】
図20は、真空過程後の計量弁400を示す。充填ヘッド600のコレットは、計量弁400を容器12内に降下させる。計量弁400は容器12内を下降し、弁筐体ガスケット418は容器12の縁と係合し溝412に摺動することによって貫通孔416を密閉する。弁筐体ガスケット418が、図21に示すように、溝412に入り込んだ、または摺動した状態で、次に、容器12は、キャップ充填手順の下で標準の一部として空気圧で充填される。
【0066】
図22に示すように、計量弁400は、容器12に締められ、図23に示すように、製品は、既知のBOV充填手順に従って矢印によって示すように、容器12内に移送される。
【0067】
より好ましい弁の実施形態について、図24から図28を参照して説明する。本実施形態では、計量弁500は、非計量の分配も可能にするバイパス機能を有する。
【0068】
計量弁500は、以下の要素を有する。カップ102、弁軸ガスケット104、弁軸580、セレクタガスケット106、弁軸ばね508、本体又は用量チャンバ構造体550、ピストンばね132、ピストン130および弁筐体110である。
【0069】
用量チャンバ構造体550は、用量チャンバ構造体150と同様であるが、用量チャンバ構造体550は、用量チャンバ構造体150の環状溝172および開口部174の形状を有さない。本実施の形態では、環状溝および開口部が存在しないので、ガスケットリング134のための設置場所もない。したがって、この実施形態は、また、用量チャンバ構造体の周りにガスケットリングを有さない。
【0070】
用量チャンバ構造体550は、弁軸トンネル554を有する。弁軸トンネル554は、弁軸トンネル154より長く、用量チャンバ552内に下方に延在する。重要なことに、用量チャンバ552は、開口部174のような、水平に配置された開口部を有さない点を除き、実質的に、用量チャンバ152と同一である。したがって、本実施形態では、他に記載した実施形態より長い弁軸ばねを使用し、より長いストロークが可能になる。
【0071】
計量弁500は、2つの異なる状態において動作する。すなわち、第一の分配状態、又は計量状態では、弁軸180が第1のストローク距離だけ変位して開口部157を密閉し、及び第2の分配状態、又は非計量状態では、弁軸がさらに第2ストローク距離だけ押し込まれ変位して開口部157を開く。第2の分配状態又は非計量状態では、容器内の製品がバッグから自由に流れるようにし、用量分配チャンバをバイパスできる。そのような計量弁500は、複数のストロークを有するか、または少なくとも2つの弁軸状態を可能にする駆動装置で動作可能であることが想定されている。
【0072】
計量弁500が非計量又は第2の分配状態にある、すなわち、計量が無効状態にあるとき、計量弁500は、また、真空引きも充填も両方ができるので有利である。すなわち、開口部188および開口部186が密閉されていない場合、計量弁500は、計量構造を迂回して動作する。
【0073】
図24に示すように、計量弁500は、組み立てられ、しかし非作動状態にある。図25では、第1の分配状態が示されており、それにより、計量弁100および400に関して上述したのと同一原理に従って、計量された用量で製品を分配する。図26から図28を参照すると、第2の分配状態が示されており、図26は、計量されていない製品を分配している状態を示し、図27は、缶の真空引きの状態を示し、図28は、矢印で示すように、弁軸を通る充填を示す。
【0074】
このより好ましい実施形態では、弁軸180は、計量効果に対して約3.50~約0.85mmを変位し、および非計量効果に対して約4.00から約5.50mm変位する。より長い弁軸ストロークにより、弁軸180が弁軸トンネル554内をさらに下方に移動し、それにより、セレクタガスケット106を無効にするので、弁を順応的に真空引きすることができる。
【0075】
セレクタガスケット106により、缶の真空引きおよび充填過程を有効にするのと、計量又は非計量のいずれかの状態での高粘度製品の分配を可能になる。繰り返すと、弁軸を押す深さの違いを利用して計量及び非計量の選択を達成する。さらに、セレクタガスケット106を使用することにより、高粘度の製品を、弁100の1回の作動で射出または投与することができる。
【0076】
弁軸のこの同一拡張ストローク、すなわち第2の分配状態は、また、弁を通る製品の充填、および非計量分配を可能にする。したがって、計量弁500は、弁軸180の第1のストローク距離と一致する第1の状態で計量し、弁軸の第2のより長いストローク距離と一致する第2の状態では計量しない。
【0077】
さらに別のより好ましい実施形態は、図29を参照して、計量弁または弁組立体600は、計量弁500のように、弁筐体610、内容積614を有する容器612、及びスプレーキャップ又は駆動装置616を有する。図1の実施形態のように、容器612は、缶、キャニスタ、又は分配する製品を保持するための任意の適切な容器が可能であるが、これらに限定されず、およびスプレーキャップ616は、装置600に作用して分配する製品のスプレー速度を制御する。バッグ・オン・バルブ(BOV)の実施形態では、装置600はまた、分配する製品を内蔵するバッグ618を有する。計量弁600は、また、計量弁500のバイパス機能を有し、非計量分配が可能である。
【0078】
図29に示すように、計量弁または弁組立体600は、スペーサ700を有する。図30に示すように、スペーサ700は、管状又は中空構造710を有する。図30を参照すると、スペーサ700は、高さ740、内径730、外面720、上面780および底面790(図31にも示されている)を有する。
【0079】
重要なことに、スペーサ700は、さらに後述するように、分配される製品の量を変化させることができる。弁筐体610および弁軸680の寸法またはサイズの一セットの計量弁600を製造し、一方、スペーサ700のサイズによって分配容量を変化および制御することができるので、有利である。例えば、スペーサ700による高さと同程度の量だけ用量チャンバ内の移動体積を減少させることにより、当該体積を用量から減少させることができる。スペーサ700は、スペーサの体積だけ用量チャンバの体積を減少させる。
【0080】
このように、計量弁600では、個々の部品の汎用性を向上させながら製造と組立の簡素化ができる。計量弁600の他のすべての部品の寸法を同一にしながら、スペーサ700の高さの調整によって、用量、または分配量を最終用途の所望値に調整することができる。
【0081】
図31を参照すると、計量弁600は図2の計量弁100に類似し、計量弁600は、順に上から下に示すように、カップ602、弁軸ガスケット604、弁軸680、セレクタガスケット606、弁軸ばね608、本体または用量チャンバまたは用量チャンバ構造体650、スペーサ700、ピストンばね632、ピストン630、および弁筐体610を含む。弁筐体610は、計量された用量の製品を提供するのに役立つ用量チャンバ構造体または本体650の外郭である。スペーサ700は、用量チャンバ650内で軸方向に整列する。特定の実施形態では、スペーサ700の内径は、弁軸トンネル554の外径よりも大きいので、弁軸トンネル554は、スペーサ700内に少なくとも部分的に延在する。
【0082】
スペーサ700の外面720は、実質的に用量チャンバ650の内径と一致するのが好ましい。スペーサ700の上面780は、用量チャンバ650の底面を縁取る。本実施形態では、菅継ぎ手により、スペーサ700のサイズおよび位置を保持する。スペーサは、計量分配の間に移動するピストンと干渉し、それにより、ピストン630が完全なストロークを完了するのを妨げる。したがって、作動すると、用量チャンバ650の利用可能な体積からスペーサ700の体積を差し引いたものに等しい用量が分配される。他の実施形態では、上述したスペーサのようなものが無いので、ピストン630は自由に移動でき、完全なストロークが可能である。また、製品分配の増加または用量増について、スペーサの体積に等しい量で行うことができる。
【0083】
スペーサ700は、用量チャンバ650及びピストン630の上面の間の干渉を作成し用量チャンバ650を完全に空にするのを防止する。作動すると、ピストン630は、底面790と係合するまで内部圧力によって上方に付勢される。
【0084】
用量チャンバ650は、用量チャンバ550と類似するが、さらにその中にスペーサ700を含む。したがって、スペーサ700の高さおよび容積により、用量チャンバ650の使用可能な容積は、比例的に減少する。
【0085】
計量弁500と同様に、計量弁600は、2つの異なる状態において動作する。すなわち、第1の分配状態、または計量状態では、弁軸680が第1のストローク距離だけ変位して開口部157を密閉する(図3Bにより良く示されている)、および第2の分配状態、または非計量状態では、当該弁軸は、第2のストローク距離だけさらに押し出されて開口部157を開く。
【0086】
再び、第1の分配状態で分配される製品の量は、スペーサ700の大きさおよび寸法によって変化させることができる。
【0087】
第2の分配状態又は非計量状態では、容器612内の製品がバッグから自由に流れるようにし、用量チャンバ650をバイパスできる。そのような計量弁600は、複数のストロークを有するか、または少なくとも2つの弁軸状態を可能にする駆動装置で動作可能であることが想定されている。
【0088】
計量弁600が非計量又は第2の分配状態にある、すなわち、計量が無効状態にあるとき、計量弁600は、また、真空引きも充填も両方ができるので有利である。すなわち、開口部188および開口部186(図3Cに示す)が密閉されていない場合、計量弁600は、計量構造を迂回して動作する。
【0089】
図32および図33を参照すると、図32は、計量状態であるがスペーサを備えない場合の計量弁600を示す。図33は、計量状態でありかつスペーサ700を備えた場合の計量弁600を示す。図32及び図33は、計量状態の終端にある場合を示す。
【0090】
スペーサ700により、ユーザのニーズに合わせた計量弁600の製造及び/又は適応が可能になる。具体的には、スペーサ700は、ピストン630の動きを制限して、計量される量に影響を与える。スペーサ700を使用することにより、顧客は計量される製品の量を制御することができる。したがって、用量チャンバ650内および弁軸680の周りに収まることを条件として、スペーサ700を必要に応じて構成することができる。
【0091】
本明細書ではBOVシステムに関して記載したけれども、本開示は、また、バッグを使用しない分配システムに適用することを想定している。ただし、BOVとして機能する能力は、パーソナルケアだけでなく、医療および食品業界にも適合する。
【0092】
また、本開示の弁は、前述の容器の外部、内部またはバッグ(バッグ・オン・バルブ)の内部に配置されることができることを理解すべきである。
【0093】
特定の構造要素が第2の構造要素に「に接続されている」、「に結合されている」、または「接触している」と記述されている場合、第2の構造要素は、別の構造要素に「接続されている」、「結合されている」、または「接触している」こと、ならびに前述の特定の構造要素がさらに別の構造要素に直接接続されているか、または直接接触していることがあり得る。
【0094】
特に他に明記しない限り、本明細書で使用する場合、「約」という用語は「およそ」を意味し、数字と組み合わせて使用する場合、「約」は、記載した数字の10%、好ましくは5%、より好ましくは2%以内の任意の数字を意味する。さらに、数値範囲を提供する場合、範囲は、範囲の端点を含む数値範囲内の任意かつ全ての数値を含むことを意図している。
【0095】
特に他に断らない限り、本明細書で使用した「a」および「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0096】
本明細書において、「実質的に」は、作用、特性、性質、状態、構造、項目、または結果の完全な又はほぼ完全な範囲又は程度を意味する。たとえば、「実質的に」囲まれている対象は、当該対象が完全に囲まれているか、ほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対的な完全性からのずれの正確な許容度は、特定の状況に依存し得る。しかし、一般的に、当該完了の近さは、あたかも絶対で完全な完了が得られたかのように、全体的に同一の結果を生ずることである。
【0097】
また、「第1」、「第2」、「第3」、「上」、「下」などの用語を、本明細書では様々な要素を修正するために使用する可能性があることに留意すべきである。これらの修飾子は、特に明記していない限り、変更された要素に対して空間的、連続的、または階層的な順序を意味するものではない。
【0098】
本開示は、1つまたは複数の実施形態の例を参照して説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うこと、等価物をその要素の代わりに使用することができることを当業者は理解できよう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本開示は、考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、当該範囲内に入る全ての実施形態が含まれるであろうことを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33