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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】電気モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020545303
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 GB2019050447
(87)【国際公開番号】W WO2019166775
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】1803348.0
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】ダイモンド ニゲル ユーアット
(72)【発明者】
【氏名】ジー リン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ケヴィン
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143723(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077585(WO,A1)
【文献】特開2004-210017(JP,A)
【文献】特開2000-023414(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02878827(EP,A1)
【文献】英国特許出願公開第02493974(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0090626(US,A1)
【文献】国際公開第2017/098200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータであって、
フレームと、ロータ組立体と、ステータ組立体と、を有し、
前記ロータ組立体は、磁石と、ベアリング組立体と、インペラと、シャフトを含み、
前記ベアリング組立体は、第1のベアリングと、第2のベアリングと、前記第1のベアリングと前記第2のベアリングの間の付勢部材を含み、前記第1のベアリングは、前記フレームにOリングによって柔軟に取付けられ、前記第2のベアリングは、前記フレームに接着剤によって取付けられ
前記第1のベアリングは、前記第2のベアリングよりも前記インペラの近くに配置される、電気モータ。
【請求項2】
前記フレームは、前記Oリングが収まる環状の溝を含む、請求項に記載の電気モータ。
【請求項3】
前記フレームは、前記ベアリング組立体を覆う連続した面を含む、請求項1又は2に記載の電気モータ。
【請求項4】
前記ベアリング組立体は、前記インペラの下流側に配置される、請求項1~の何れか1項に記載の電気モータ。
【請求項5】
前記フレームは、内壁と、外壁を含み、前記内壁は、前記ベアリング組立体を受入れるための軸線方向に延びる筒状の空間であるボアを内部に区画し、前記磁石は、前記内壁の前記ボアから下流側に露出するように、前記ベアリング組立体の下流側に配置される、請求項1~の何れか1項に記載の電気モータ。
【請求項6】
前記インペラは、前記第1のベアリングの少なくとも一部分と直接接触する、請求項1~の何れか1項に記載の電気モータ。
【請求項7】
前記ステータ組立体は、弾性変形可能な取付け部材を有するステータ取付け部材によって前記フレームに取付けられる、請求項1~の何れか1項に記載の電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレス電気モータ等の電気機械を改良する一般的な要望が、多くの点である。特に、寸法、重量、製造コスト、効率、信頼性、及びノイズに関する改良が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ブラシレス電気モータ等の電気機械を非常に高速で、例えば、100krpm以上で使用することがますます普通になっている。モータは、かかる高速で作動するとき、望ましくない音響特性を有する。したがって、高作動速度でもっと望ましい音響特性を備える改良を見出す要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の側面によれば、電気モータが提供され、かかる電気モータは、フレームと、ロータ組立体と、ステータ組立体と、を有し、ロータ組立体は、磁石と、ベアリング組立体と、インペラと、シャフトを含み、ベアリング組立体は、第1のベアリングと、第2のベアリングと、第1のベアリングと第2のベアリングの間の付勢部材を含み、第1のベアリングは、フレームにOリングによって柔軟に取付けられ、第2のベアリングは、フレームに接着剤によって取付けられる。
【0005】
本発明の第1の側面による電気モータは、主として、第1のベアリングがフレームにOリングによって柔軟に取付けられ、第2のベアリングは、フレームに接着剤によって取付けられるので有利である。特に、これにより、電気モータは、改良された音響特性を有する。Oリングは、第1のベアリングをフレームから少なくとも部分的に音響的に隔絶し、振動、かくして、ノイズが、使用中に第1のベアリングとフレームの間で伝達されることを阻止する。本願の発明者は、電気モータの倍音(harmonic tone)、例えば、第1のベアリングの倍音の少なくとも1つのレベルを、かかる取付けの仕方により減少させ、その結果、電気モータは、減少されたノイズレベルで及び/又はより望ましい音で作動することを見出した。
【0006】
第1のベアリングと第2のベアリングの間に配置された付勢部材は、第1のベアリングと第2のベアリングに予備負荷を付与し、予備負荷は、例えば、第1のベアリング及び第2のベアリングが滑ることを阻止することによって、使用中の第1のベアリング及び第2のベアリングの摩耗を減少させる。付勢部材は、コイルバネ等のバネを含むのがよい。
【0007】
Oリングは、全体的に環状の形態を有する弾性変形可能な部材を意味し、かくして、Oリングは、第1のベアリングの周りを環状に延びる。用語「Oリング」は、円形断面輪郭のものに限られず、他の形状、例えば、多角形等の断面輪郭を含んでいてもよい。Oリングは、第1のベアリング及び/又はフレームの上に成形されてもよいし、例えば、第1のベアリングとフレームの間に挿入される別の構成要素を有していてもよい。
【0008】
第1のベアリングは、第2のベアリングよりもインペラの近くに配置されるのがよい。このことは、半径方向力がインペラによって最も発生しやすく、Oリングを用いてインペラに最も近いベアリングを取付けることによって、Oリングが、使用中に回転しているインペラによって生じる任意の半径方向力を吸収するので有利である。さらに、Oリングを用いてインペラに最も近いベアリングを取付けることによって、Oリングが、インペラの回転によって生じた振動エネルギー、例えば、ノイズを吸収し、かくして、使用中の電気モータによって発生したノイズを減少させる。Oリングを使用してインペラに最も近いベアリングを柔軟に取付けることにより、電気モータの倍音、例えば、第1のベアリングの倍音の少なくとも1つのレベルを減少させ、その結果、電気モータが、減少したノイズレベル及び/又はより望ましい音で作動することが、本願の発明者によって見出された。
【0009】
第1のベアリング及び/又はフレームは、Oリングが収まる環状の溝を含むのがよい。このことは、Oリングを所望の位置に保持し、Oリングによってもたらされる柔軟な取付けの効果を減少させることがあるOリングの移動を阻止するので有利である。環状の溝の使用により、より大きいOリングの使用を可能にし、かくして、Oリングを収容するためにボアの直径や電気モータの直径を増大させることなしに、ノイズの減少を増大させることを可能にする。
【0010】
ベアリングとフレームの相対寸法により、環状の溝を、ベアリングでなく、フレームに形成することが有利である。特に、フレームがベアリングよりも長い長さを有しているので、より大きい環状の溝が、ベアリングではなく、フレームに形成されるのがよい。これにより、より大きいOリングの使用を可能にし、第1のベアリングと接触するOリングの表面積を増大させ、それにより、音響特性のより大きい改良、例えば、モータの倍音のレベルのより大きい減少をもたらす。
【0011】
Oリング及び/又は環状の溝は、第1のベアリングの中心箇所からオフセットされると共に、軸線方向に、例えば、インペラの回転軸線と平行な方向にオフセットされる。これにより、モータの倍音の少なくとも1つのレベルを改良して減少させる。
【0012】
Oリングは、第1のベアリングとの接触表面積を最大にするように形状決めされ及び/又は寸法決めされるのがよい。これにより、音響特性を著しく改良し、例えば、モータの倍音のレベルを大きく減少させる。Oリングは、Oリングが第1のベアリングの外レースの全体に沿う接触面を有するように形状決めされた断面、例えば、実質的に正方形の断面を有するのがよい。Oリングの外面は、テーパを有していてもよい。これにより、製造中、ボア内へのOリングの容易な挿入を可能にする。
【0013】
フレームは、内壁と外壁を有し、内壁は、ロータ組立体を支持するボアを有するのがよい。第1のベアリングは、内壁に柔軟に取付けられるのがよく、例えば、ボア内にOリングによって取付けられ、第2のベアリングは、内壁に取付けられるのがよく、例えば、ボア内に接着剤によって取付けられる。
【0014】
内壁は、ベアリング組立体を覆う実質的に連続した表面、例えば、保護スリーブを有するのがよい。このことは、ベアリング組立体を、使用中の電気モータの中を通ることがあるほこり等から保護するので有利である。
【0015】
ベアリング組立体は、インペラの下流側に配置されるのがよい。これにより、インペラへの空気流の進入時の空気流特性を、ベアリング組立体がインペラの上流側に且つインペラの空気流通路内に配置された構成よりも改善するので有利である。これにより、より効率的な電気モータを提供し、及び/又は、改良された音響特性を有する電気モータを提供する。
【0016】
磁石は、ベアリング組立体の下流側に配置され、例えば、内壁のボアの外側に配置されるのがよい。このことは、磁石を内壁のボアの外側に配置することにより、磁石が、例えば、ステータ組立体を収容する内壁の孔を形成することなしに、ステータ組立体のより近くに配置されることを可能にするので有利である。内壁に孔を形成することは、使用中の電気モータの中を流れるほこりがベアリング組立体に通行するリスクを増大させるので望ましくない。
【0017】
インペラは、第1のベアリングの少なくとも一部分、例えば、第1のベアリングの内レースと直接接触するのがよい。このことは、使用中にインペラからOリングへの振動エネルギーのより効率的な伝達を可能にするので有利である。インペラは、インペラの少なくとも一部分が第1のベアリングの少なくとも一部分と直接接触するように、シャフトに取付けられるのがよい。
【0018】
ステータ組立体は、フレーム、例えば、内壁にステータ取付け部材によって柔軟に取付けられるのがよい。ステータ取付け部材は、例えば、弾性変形可能な取付け部材を有するのがよい。これにより、改良された音響特性を有する電気モータを構成する。特に、柔軟な取付けにより、ステータ組立体をフレームから少なくとも部分的に振動的に隔絶し、これにより、使用中の振動、かくして、ノイズが、ステータ組立体とフレームの間で伝達されることを阻止する。
【0019】
ステータ組立体は、内壁の端部、例えば、内壁の軸線方向下流端部に取付けられるのがよい。ステータ取付け部材は、内壁の端部、例えば、内壁の軸線方向下流端部に一致するように形状決めされ且つ寸法決めされるのがよく、例えばその結果、内壁の端部とステータ組立体の間の直接的な接触が実質的にない。ステータ取付け部材は、実質的に環状の形態をなすのがよい。ステータ取付け部材は、エラストマー材料を含むのがよい。
【0020】
本発明をより良く理解するために、及び、本発明がどのように効果を奏するかを明確に示すために、例示として添付図面を参照して、本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による電気モータの分解斜視図である。
図2図1の電気モータのフレームの断面図である。
図3図1の電気モータのロータ組立体の断面図である。
図4】組立てられた図2のフレーム及び図3のロータ組立体の断面図である。
図5図1の電気モータのステータ組立体を部分的に分解した斜視図である。
図6図1の電気モータの断面図である。
図7図1の電気モータと共に使用されるステータ取付け部材の概略図である。
図8図1の電気モータを使用することによって得られたベアリング音H3.17の減少を示すプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
明瞭のために、用語「軸線方向」は、図1の軸線A-Aによって示されるようなモータの回転軸線に沿って延びる軸線の方向を意味することを意図している。加えて、本明細書で述べられる方向の用語「上流」及び「下流」は、使用しているときにモータの中を通る空気流の方向をのべており、図1の両先端矢印によって更に明瞭にされる。
【0023】
図1は、電気モータ1の分解斜視図である。モータ1は、フレーム10と、ロータ組立体20と、ステータ組立体40を含む。フレーム10の断面を図2に示す。フレーム10は、内壁11と、外壁12を含む。外壁12は、環状のチャネル14が外壁12と内壁11の間に定められるように、内壁11を包囲する。多数のディフューザーベーン13が、環状のチャネル14の中において内壁11と外壁12の間を延びる。内壁11の長さは、外壁12の長さよりも短く、内壁11は、外壁12が内壁11を越えて上流方向及び下流方向の両方の軸線方向に延びるように位置決めされる。変形実施形態では、内壁11は、外壁12が内壁11を越えて上流方向及び下流方向の一方に延びるように、異なる仕方で位置決めされてもよい。
【0024】
フレーム10は、亜鉛で形成され、例えば、機械加工によって形成されてもよいし、ダイキャストによって形成されてもよいし、機械加工とダイキャストの両方を使用する組合せ方法を使用して形成されてもよい。亜鉛は、音響的に鈍い材料であるので、亜鉛フレーム10は、使用中のモータによって発生した音響周波数を吸収することが可能である。したがって、亜鉛フレーム10は、モータが組込まれた製品が発生させたノイズの全体レベルを減少させるように作用する。
【0025】
ディフューザーベーン13は、内壁11と外壁12の間を延び、実質的に内壁11の全体長さに沿って延びる。加えて、ディフューザーベーン13は、内壁11を越えて外壁12まで軸線方向下流側に延びる尾部分18を有する。したがって、ディフューザーベーン13において、環状のチャネル14の半径方向外側部分が、環状のチャネル14の半径方向内側部分よりも長い。このことは、ディフューザーベーン13が空気流に作用する比較的長い有効長さを有すると共に、内壁11の軸線方向長さを減少させることによって、モータの寸法及び重量を最小に保つことを可能にする利点を有する。
【0026】
内壁11は、円筒形であり、ボア15を有する。モータ1を組立てると、内壁11は、ロータ組立体20をボア15内に支持する。加えて、内壁11は、内壁11の一方の端部から軸線方向に延びるラグ16を有する。特に、ラグ16は、軸線方向下流側に延びる。ラグ16は、ステータ組立体40をフレーム10に固着させるためにステータ組立体40を容易に取付ける取付け箇所を構成する。図2は、単一のラグ16を示しているが、ステータに必要とされる取付け箇所の数及びモータ1の他の必要に応じて、多数のラグ16が設けられてもよい。フレーム10のラグ16へのステータ組立体40の取付けは、図5及び図6を参照して後で詳細に説明される。
【0027】
内壁11は、軸線方向に延びる環状の突起17を有し、環状の突起17は、内壁11の端部から、ラグ16と反対方向に延びる。この軸線方向に延びる環状の突起17は、インペラ24に設けられた相補的な凹部29に受入れられ、ラビリンスシールを形成する。このことは、図4を参照して後で詳細に説明される。
【0028】
ロータ組立体20は、シャフト21と、磁石22と、ベアリング組立体23と、インペラ24を含む。ロータ組立体20の断面を図3に示す。磁石22、ベアリング組立体23、及びインペラ24はすべて、圧入及び接着剤の一方又はそれらの組合せによって、シャフト21に直接固定される。
【0029】
磁石22は、永久磁石ブラシレスモータで典型的に使用される種類の結合型永久磁石である。図示の例では、磁石22は、4極永久磁石である。ベアリング組立体23は、1対のベアリング25a、25bと、1対のベアリング25a、25bを分離するバネ26を含む。バネ26は、1対のベアリング25a、25bの外レースの各々に予備負荷を与えるように作用して、使用中の1対のベアリング25a、25bの摩耗を減少させる。ワッシャが、バネ26とベアリング25a、25bの間に設けられてもよい。
【0030】
上述したように、ロータ組立体20は、内壁11によってフレーム10内に支持される。ベアリング組立体23は、フレーム10の内壁11がベアリング組立体23の周りの保護スリーブとして作用するように、内壁11のボア15の内側に固定される。これにより、ベアリング組立体23が別体の保護スリーブを有する必要をなくし、モータ1の寸法及び重量を減少させることを助ける。
【0031】
インペラ24に最も近いベアリング25aの外レースは、内壁11の内周に、即ち、ボア15内に形成された環状の溝102の中に配置されたOリング100によって、内壁11の内周に、即ち、ボア15内に固定される。Oリング100は、ベアリング25aをフレーム10の振動から少なくとも部分的に隔絶するように作用する。これにより、モータ1が改善された音響特性を有することを可能にし、その結果、例えば、モータ1の倍音の少なくとも1つのレベルを減少させる。Oリング100の形状、寸法、及び材料は、選択された倍音のレベルを減少させるように選択されるのがよく、できるだけ大きい減少をもたらすために、Oリング100が第1のベアリング25aとのできるだけ大きい接触面積を有することが、現在好ましい。
【0032】
インペラ24から最も遠いベアリング25bの外レースは、内壁11の内周に、即ち、ボア15内に接着剤104によって固定される。接着剤104は、使用中にインペラ24によって発生した軸線方向力を吸収するように作用する。接着剤104の種類は、モータ1の所望の特性に応じて選択されるのがよい。例えば、モータ1の音響特性を改善するために、柔軟に固まる接着剤が選択される。
【0033】
図示のインペラ24は、中心ハブ28の周りに周方向に間隔をあけた複数の羽根27を有する軸線方向インペラであり、複数の羽根27は、中心ハブ28から半径方向外向きに延びる。現在の好ましい実施形態では、13の羽根27がある。
【0034】
図3は、インペラ24の中心ハブ28が、その下流側に凹部29を有することを示す。凹部29を有することによって、インペラ24の重量を更に減少させ、これにより、フレーム10を形成するのに亜鉛を使用することによって追加された重量よりも多くの重量が減少される。加えて、凹部29は、環状であり、キャビティ又は空洞部を構成し、フレームの内壁のうちの軸線方向に延びる部分がキャビティの中に延びる。これにより、ロータ組立体20を損傷させたりモータ1の寿命を著しく短くしたりすることがある髪の毛やほこり等の異物がベアリング組立体23の中に入ることを阻止するラビリンスシールをインペラ24の中心ハブ28の内側に形成する。ラビリンスシールを、組立てられたフレーム10及びロータ組立体20の断面図である図4に見ることができる。ラビリンスシールは、領域Sのところに強調されている。図4は、フレーム10の内壁11が前に述べたようにどのようにベアリング組立体23の周りの保護スリーブとして作用するのかを示す。
【0035】
図5は、ステータ組立体40を示す。ステータ組立体40は、C字形状の2つのステータコア50と、ボビン組立体44を含む。C字形状のコア50の各々(Cコアとも称する)は、後部52と、後部52から延びる2つの極アーム54を含む。極面56が、極アーム54の各々の端部のところにある。ボビン組立体44は、中心部分42と、中心部分42から外方に延びるアーム部分48を含む。中心部分42は、モータを組立てたときにロータ組立体20の磁石22を包囲するボアを有する。Cコア50内の磁場を誘導するための巻線(図示せず)が、ボビン組立体44のアーム部分48の周りに巻かれる。アーム部分48は、貫通孔49を有し、貫通孔49は、Cコア50の極アーム54がボビン組立体44のアーム部分48を貫通するようにスロットに入ることを可能にし、その結果、巻き部が各極アーム54の周りに位置決めされる。アーム部分48の貫通孔49はまた、ボビン組立体44の中心部分42に貫いて延び、開口が、中心部分42に設けられ、その結果、モータを組立てたときにCコア50の極面56が磁石22に露出される。
【0036】
ボビン組立体44は、ステータ組立体40をフレーム10に固定することができるように、フレーム10のラグ16と整列するように構成された凹部46を含む。ラグ16は、凹部46の中に受入れられることが可能であり、接着剤及び/又は圧入を使用して適所に固定される。図6は、組立てられたモータ1の断面を示す。この図は、ボビン組立体44の凹部46の内側に位置決めされたラグ16を示す。凹部46は、ラグ16並びに接着剤の容積を収容することが可能であるように十分に大きいのがよい。モータ1の組立中、ステータ組立体40及びフレーム10を一緒にする前に、接着剤を凹部46の中、又は、ラグ16の外側、又はその両方に塗布するのがよい。
【0037】
幾つかの実施形態では、図7に概略的に示すステータ取付け部材110が、ステータ組立体40を内壁11に取付けるために設けられるのがよい。ステータ取付け部材110は、シャフト21を受入れる中央ボア114とラグ16が貫通する孔112を有する環状のエラストマー部材である。ステータ取付け部材110の材料は、ステータ取付け部材110がステータ組立体40を内壁11、かくして、フレーム10の振動から少なくとも部分的に隔絶させるように選択され、かくして、改良された音響特性をもたらし、例えば、モータ1の1又は2以上の倍音のレベルを減少させる。ステータ取付け部材110は、40~90のショアA硬度を有するのがよい。
【0038】
本発明によってもたらされる利点の例を図8に見ることができる。モータ1は、典型的には、50-120krpmの範囲内の速度で作動する。第1のベアリング25aを内壁11に取付けるOリング100がない場合、同じ速度範囲内で作動する同じモータは、線グループ200に見られるように、高いベアリング音H3.17を示す。本願発明の発明者は、インペラ24に最も近い第1のベアリング25aをフレーム10の内壁11に柔軟に取付けるためにOリング100を導入することにより、線グルーブ202に見られるように、H3.17のレベルを著しく減少させることができることを見出した。これにより、改良された音響特性を有するモータ1を提供する。
【0039】
Oリング100の材料、並びに、Oリング100の寸法及び第1のベアリング25aの外レースとOリング100との間の接触表面積の選択はまた、モータ1の倍音のレベルに影響を及ぼすことがある。第1のベアリング25aの外レースとOリング100との間の接触表面積をできるだけ大きくすることが有用であることが現在好ましい。
【0040】
40~90の範囲内のショアA硬度を有する材料をOリング100に使用することにより、モータ1の倍音のレベルを改善して、即ち、減少させることも見出された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8