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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】汚れ測定システム、及び汚れ測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20220217BHJP
   H02S 40/10 20140101ALI20220217BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
H02S40/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021018506
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2021-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517105272
【氏名又は名称】竹内マネージメント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501180263
【氏名又は名称】サイエンスパーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東條 兼廣
(72)【発明者】
【氏名】西村 英伍
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-018046(JP,A)
【文献】特開2017-175568(JP,A)
【文献】特開2003-329595(JP,A)
【文献】特開2017-211259(JP,A)
【文献】特開2008-014842(JP,A)
【文献】特開2003-168103(JP,A)
【文献】特許第6695581(JP,B1)
【文献】特開2017-215239(JP,A)
【文献】特開2016-128150(JP,A)
【文献】特開2016-046950(JP,A)
【文献】特開昭54-012086(JP,A)
【文献】国際公開第2016/001916(WO,A2)
【文献】特開2014-062763(JP,A)
【文献】実開昭57-135358(JP,U)
【文献】国際公開第2020/218113(WO,A1)
【文献】特開2020-184871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01J 3/46 - G01J 3/52
G01M 11/00
G01B 11/00 - G01B 11/30
A47L 11/00 - A47L 11/40
B64C 39/00 - B64C 39/12
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 3/60
G06T 5/00 - G06T 5/50
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06T 9/00 - G06T 9/40
H01L 21/64 - H01L 21/66
H01L 31/04 - H01L 31/06
H02S 10/00 - H02S 10/40
H02S 30/00 - H02S 99/00
H04N 1/46 - H04N 1/62
H04N 5/222- H04N 5/257
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の被測定面を撮像する撮像部と、
前記被測定面上に載置されて前記被測定面の汚れ度合いを検査する検査装置と、
前記撮像部の撮像データと前記検査装置の検査結果とを用いて前記被測定面の汚れレベルを決定する汚れ測定装置と、
洗浄剤を散布する散布用飛行体と、
を備え、
前記汚れ測定装置は、
前記汚れレベルが閾値以上であるか否かを判定する汚れ判定部と、
前記測定対象が設置された場所を含む地域の天気予報情報を取得する天候予測部と、
を有し、
前記天候予測部は、前記汚れレベルが決定された第1時点よりも後に、前記地域での降雨が開始する第2時点を前記天気予報情報に基づいて特定し、
前記汚れレベルが閾値以上であれば、前記散布用飛行体は、前記第1時点よりも後であり且つ前記第2時点よりも前である第3時点において、前記測定対象の上空を飛行して、前記被測定面に前記洗浄剤を散布する、汚れ測定システム。
【請求項2】
測定対象の被測定面を撮像する撮像部と、
前記被測定面上に載置されて前記被測定面の汚れ度合いを検査する検査装置と、
前記撮像部の撮像データと前記検査装置の検査結果とを用いて前記被測定面の汚れレベルを決定する汚れ測定装置と、
洗浄剤を散布する散布用飛行体と、
を備え、
前記検査装置は、
前記被測定面のうちの少なくとも一部領域を覆うハウジングと、
前記少なくとも一部領域の検査画像を撮像する撮像装置と、
を有し、
前記検査装置及び前記汚れ測定装置のうちの一方は、前記撮像装置により撮像された検査画像の各々の画素の3次元色空間における第1色座標と、前記3次元色空間における基準色座標と基づいて、前記汚れ度合いの検査値を算出する汚れ算出部を有し、
前記汚れ算出部は、
前記3次元色空間において、前記基準色座標を中心とする所定の大きさの基準色範囲内に第2色座標がある基準画像の画素の数が最大となるように、前記基準色座標を決定する、又は、
前記3次元色空間において、基準画像の各々の画素の第2色座標を中心とする所定の大きさの基準色範囲の重なりが最も多い領域を算出し、該領域に基づいて前記基準色座標を決定し、
前記汚れ測定装置は、
前記汚れレベルが閾値以上であるか否かを判定する汚れ判定部と、
前記測定対象が設置された場所を含む地域の天気予報情報を取得する天候予測部と、
を有し、
前記天候予測部は、前記汚れレベルが決定された第1時点よりも後に、前記地域での降雨が開始する第2時点を前記天気予報情報に基づいて特定し、
前記汚れレベルが閾値以上であれば、前記散布用飛行体は、前記第1時点よりも後であり且つ前記第2時点よりも前である第3時点において、前記測定対象の上空を飛行して、前記被測定面に前記洗浄剤を散布する、汚れ測定システム。
【請求項3】
前記検査装置は、
前記被測定面のうちの少なくとも一部領域を覆うハウジングと、
前記少なくとも一部領域の検査画像を撮像する撮像装置と、
を有し、
前記検査装置及び前記汚れ測定装置のうちの一方は、前記検査画像に基づいて前記汚れ度合いの検査値を算出する汚れ算出部を有し、
前記汚れ測定装置は、
前記検査画像に対応する前記被測定面の第1汚れレベルを前記検査値から決定する第1レベル決定部と、
前記撮像データから前記被測定面の第2汚れレベルを推定する分類器を有する第2レベル決定部と、
前記第1汚れレベル及び第1撮像データを用いて前記分類器を機械学習させる学習部と、
検出器を有する画像処理部と、
を有し、
前記第1撮像データは、前記検査装置による前記被測定面の検査と同じ時間帯に前記撮像部により撮像された前記撮像データであり、
第2撮像データは、前記第1撮像データの撮像時以降に撮像された前記撮像部の前記撮像データであり、
前記検出器は、前記撮像部の前記撮像データに含まれる静止画像における前記被測定面の角部の位置を検出し、
前記学習部は、前記被測定面の学習用画像と、前記学習用画像における前記角部の位置データとを用いて前記検出器を機械学習させ、
前記画像処理部は、機械学習された前記検出器が前記静止画像における前記角部を検出した結果に基づいて前記静止画像から前記被測定面の測定画像を抽出するとともに前記測定画像を平行投影像に変換し、
第1測定画像は、機械学習された前記検出器が前記第1撮像データに含まれる第1静止画像における前記角部を検出した結果に基づいて、前記第1静止画像から抽出及び平行投影変換された前記被測定面の前記測定画像であり、
第2測定画像は、機械学習された前記検出器が前記第2撮像データに含まれる第2静止画像における前記角部を検出した結果に基づいて、前記第2静止画像から抽出及び平行投影変換された前記被測定面の前記測定画像であり、
前記学習部は、前記第1測定画像及び前記第1汚れレベルを用いて前記分類器を機械学習させ、
前記第2レベル決定部は、機械学習された前記分類器を用いて、前記第2測定画像から前記被測定面の前記第2汚れレベルを決定する、請求項1に記載の汚れ測定システム。
【請求項4】
前記洗浄剤は、バクテリア又は天然由来の成分を主原料とする洗剤である、請求項1又は請求項2に記載の汚れ測定システム。
【請求項5】
前記測定対象の上空を飛行する撮像用飛行体をさらに備え、
前記撮像部は、前記撮像用飛行体に搭載される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の汚れ測定システム。
【請求項6】
前記撮像部は、前記測定対象から前記被測定面の法線方向に離れた位置に配置される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の汚れ測定システム。
【請求項7】
撮像部によって測定対象の被測定面が撮像されるステップと、
前記被測定面上に載置される検査装置によって前記被測定面の汚れ度合いが検査されるステップと、
前記撮像部の撮像データと前記検査装置の検査結果とを用いて前記被測定面の汚れレベルが汚れ測定装置により決定される汚れ測定ステップと、
前記汚れレベルが閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記測定対象が設置された場所を含む地域の天気予報情報を取得するステップと、
前記汚れレベルが決定された第1時点よりも後に、前記地域での降雨が開始する第2時点を前記天気予報情報に基づいて特定するステップと、
前記汚れレベルが閾値以上であれば、前記測定対象の上空を飛行する散布用飛行体により、前記第1時点よりも後であり且つ前記第2時点よりも前である第3時点において、前記被測定面に洗浄剤が散布される散布ステップと、
を備える、汚れ測定方法。
【請求項8】
撮像部によって測定対象の被測定面が撮像されるステップと、
前記被測定面上に載置される検査装置によって前記被測定面の汚れ度合いが検査されるステップと、
前記撮像部の撮像データと前記検査装置の検査結果とを用いて前記被測定面の汚れレベルが汚れ測定装置により決定される汚れ測定ステップと、
ハウジングにより前記被測定面のうちの少なくとも一部領域を覆って前記少なくとも一部領域の検査画像を撮像する撮像装置を有する前記検査装置と、前記汚れ測定装置とのうちの一方において、前記検査画像の各々の画素の3次元色空間における第1色座標と、前記3次元色空間における基準色座標と基づいて、前記汚れ度合いの検査値を算出する汚れ算出ステップと、
前記汚れレベルが閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記測定対象が設置された場所を含む地域の天気予報情報を取得するステップと、
前記汚れレベルが決定された第1時点よりも後に、前記地域での降雨が開始する第2時点を前記天気予報情報に基づいて特定するステップと、
前記汚れレベルが閾値以上であれば、前記測定対象の上空を飛行する散布用飛行体により、前記第1時点よりも後であり且つ前記第2時点よりも前である第3時点において、前記測定対象の前記被測定面に洗浄剤が散布される散布ステップと、
を備え、
前記汚れ算出ステップは、
前記3次元色空間において、前記基準色座標を中心とする所定の大きさの基準色範囲内に第2色座標がある基準画像の画素の数が最大となるように、前記基準色座標を決定するステップ、又は、
前記3次元色空間において、基準画像の各々の画素の第2色座標を中心とする所定の大きさの基準色範囲の重なりが最も多い領域を算出し、該領域に基づいて前記基準色座標を決定するステップ
を有する、汚れ測定方法。
【請求項9】
ハウジングにより前記被測定面のうちの少なくとも一部領域を覆って前記少なくとも一部領域の検査画像を撮像する撮像装置を有する前記検査装置と、前記汚れ測定装置とのうちの一方において、前記検査画像に基づいて前記汚れ度合いの検査値を算出するステップをさらに備え、
前記汚れ測定ステップは、
前記検査画像に対応する前記被測定面の第1汚れレベルを前記検査値から決定する第1レベル決定ステップと、
前記撮像データから前記被測定面の第2汚れレベルを分類器により推定する第2レベル決定ステップと、
検出器学習ステップ及び分類器学習ステップを有する学習ステップと、
検出ステップ及び抽出ステップを有する画像処理ステップと、
を有し、
第1撮像データは、前記検査装置による前記被測定面の検査と同じ時間帯に前記撮像部により撮像された前記撮像データであり、
第2撮像データは、前記第1撮像データの撮像時以降に撮像された前記撮像部の前記撮像データであり、
前記検出ステップでは、検出器により前記撮像部の前記撮像データに含まれる静止画像における前記被測定面の角部の位置が検出され、
前記検出器学習ステップでは、前記被測定面の学習用画像と、前記学習用画像における前記角部の位置データとを用いて前記検出器が機械学習され、
前記抽出ステップでは、機械学習された前記検出器が前記静止画像における前記角部を検出した結果に基づいて前記静止画像から前記被測定面の測定画像を抽出するとともに前記測定画像が平行投影像に変換され、
1測定画像は、機械学習された前記検出器が前記第1撮像データに含まれる第1静止画像における前記角部を検出した結果に基づいて、前記第1静止画像から抽出及び平行投影変換された前記被測定面の前記測定画像であり、
第2測定画像は、機械学習された前記検出器が前記第2撮像データに含まれる第2静止画像における前記角部を検出した結果に基づいて、前記第2静止画像から抽出及び平行投影変換された前記被測定面の前記測定画像であり、
前記分類器学習ステップでは、前記第1測定画像及び前記第1汚れレベルを用いて前記分類器が機械学習され、
前記第2レベル決定ステップでは、機械学習された前記分類器を用いて、前記第2測定画像から前記被測定面の前記第2汚れレベルが決定される、請求項7に記載の汚れ測定方法。
【請求項10】
前記散布ステップにおいて、前記散布用飛行体により、バクテリア又は天然由来の成分を主原料とする前記洗浄剤が散布される、請求項7又は請求項9に記載の汚れ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚れ測定システム、及び汚れ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電モジュールでは、入射光が受光面で乱反射する又は遮断されることなく太陽電池セルに到達することが重要である。受光面における入射光の乱反射又は遮断の要因としては、塵埃、塩分、油分、大気汚染物質、草木種などの付着による受光面の汚れが考えられる。受光面の汚れにより、太陽電池セルに到達する光量は減少し、太陽光発電モジュールの発電電力は減少する。低下した発電電力の回復には、受光面の洗浄が有効と考えられる。但し、太陽光発電モジュールは洗浄する必要がないといった意見、太陽光発電モジュールは洗浄するものではないとの意見などがある。対して、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、受光面の洗浄により、発電電力の低減が解消又は軽減できることが分かった。
【0003】
現状では、太陽光発電モジュールの所有者の依頼があれば、受光面の洗浄が実施される。或いは、受光面の洗浄時期は、太陽光発電モジュールの管理者の実務経験又は慣例によって決定される。そこで、特許文献1では、測定対象である太陽光発電モジュールの受光面に汚れ検査装置を載置し、被測定面である受光面の汚れ度合いを検査して数値化している。そして、所定期間の前後における汚れ度合いの増加量から受光面の洗浄時期を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6695581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、たとえば1MW以上の大容量電力が出力されるメガソーラー施設が多く設置されている。たとえば、メガソーラー施設のような大規模な太陽光発電所では、広大な土地に多数の太陽光発電モジュールが設置される。従って、これらの太陽光発電モジュールの洗浄時期を決定するためには、太陽光発電モジュールの受光面の汚れをさらに効率良く測定する手法の開発が望まれていた。
【0006】
上記の状況を鑑みて、本発明は、測定対象の被測定面の汚れを効率的に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による汚れ測定システムは、撮像部と、検査装置と、汚れ測定装置と、を備える。前記撮像部は、測定対象の被測定面を撮像する。前記検査装置は、前記被測定面上に載置されて、前記被測定面の汚れ度合いを検査する。前記汚れ測定装置は、前記撮像部の撮像データと前記検査装置の検査結果とを用いて前記被測定面の汚れレベルを決定する。
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による汚れ測定方法は、撮像部によって測定対象の被測定面が撮像されるステップと、前記被測定面上に載置される検査装置によって前記被測定面の汚れ度合いが検査されるステップと、前記撮像部の撮像データと前記検査装置の検査結果とを用いて前記被測定面の汚れレベルが決定されるステップと、を備える。
【0009】
上記の汚れ測定システム、及び汚れ測定方法の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、測定対象の被測定面の汚れを効率的に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】汚れ測定システムの構成例を示す概念図である。
図2】第1飛行体1の飛行経路を示す図である。
図3】第1飛行体の構成例を示すブロック図である。
図4】汚れ検査装置の構成例を示すブロック図である。
図5】第2飛行体の構成例を示すブロック図である。
図6】管理装置の構成例を示すブロック図である。
図7A】抽出されたフレーム画像の一例である。
図7B】受光面の角部の位置の検出例である。
図7C】背景除去されたフレーム画像の一例である。
図7D】投影変換された測定画像の一例である。
図8】受光面の角部の位置を検出する検出器の学習方法を説明するためのフローチャートである。
図9】汚れレベルを決定する分類器の学習方法を説明するためのフローチャートである。
図10】汚れ測定システムにおける受光面の汚れレベル決定方法及び洗浄方法を説明するためのフローチャートである。
図11】汚れ検査装置を用いた汚れ度合いの検査方法の一例を示す模式図である。
図12】汚れ検査装置を用いた汚れ度合いの検査方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図13】実施例における汚れ度合いの数値化の手法を説明するためのフローチャートである。
図14A】実施例における基準画像の色空間の一例である。
図14B】数値化用画像の色空間の一例である。
図15】第1変形例における汚れ度合いの数値化の手法を説明するためのフローチャートである。
図16】第1変形例における基準画像の色空間の一例である。
図17】第2変形例における汚れ度合いの数値化の手法を説明するためのフローチャートである。
図18】第3変形例における汚れ度合いの数値化の手法を説明するためのフローチャートである。
図19】汚れ測定システムの他の構成例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
<1.第1実施形態>
図1は、汚れ測定システム100の構成例を示す概念図である。汚れ測定システム100は、測定対象の被測定面の汚れレベルを測定する。汚れ測定システム100は、本実施形態では、複数の太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルをそれぞれ測定する。つまり、本実施形態では、汚れ測定システム100の測定対象は、たとえばメガソーラー発電所などに設置された太陽光発電モジュール300である。また、汚れ測定システム100により汚れレベルが測定される被測定面は、太陽光発電モジュール300の受光面301である。汚れ測定システム100は、たとえば経時的に、太陽光発電モジュールの受光面301の汚れレベルを測定することにより、受光面301の汚れ度合いを管理できる。
【0014】
また、汚れ測定システム100は、汚れレベルが閾値以上である太陽光発電モジュール300を特定し、雨が降る前に、特定した太陽光発電モジュール300の受光面301に洗浄剤330を散布する。そして、雨が降った時の雨粒により、受光面301の汚れを自然洗浄する。
【0015】
なお、汚れ測定システム100の測定対象は、太陽光発電モジュール300に限定されない。つまり、汚れ測定システム100は、太陽光発電モジュール300の受光面301以外に、汚れが経時的に蓄積される被測定面の汚れレベルを測定してもよい。たとえば、被検査面は、テーブル又は机の天板の表面、車両のガラス表面、建築物の外壁の表面又は床面などであってもよい。
【0016】
図1に示すように、汚れ測定システム100は、撮像部14を搭載する第1飛行体1と、汚れ検査装置2と、第2飛行体3と、管理装置4と、を備える。
【0017】
第1飛行体1は、測定対象の上空を飛行する。第1飛行体1の撮像部14は、測定対象の被測定面を撮像する。たとえば本実施形態では、第1飛行体1は、太陽光発電モジュール300の上空を飛行して、その矩形の受光面301を撮像する。こうすれば、太陽光発電モジュール300が複数あっても、それらの上空を飛行する第1飛行体1に搭載された撮像部14によって、それらの受光面301を撮像できる。そして、その撮像データから受光面301の汚れレベルを決定できる。よって、汚れ測定システム100は、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れをより効率的に測定することができる。なお、第1飛行体1の撮像データは、動画像であってもよいし、静止画像であってもよい。第1飛行体1は、管理装置4からの遠隔操作による飛行指令に基づいて飛行可能である。或いは、第1飛行体1は、予め設定された飛行計画に基づく自動制御により自律的に飛行可能であってもよい。また、第1飛行体1は、ユーザの選択に応じて、手動運転可能である。
【0018】
図2は、第1飛行体1の飛行経路FRを示す図である。本実施形態では、第1飛行体1は、太陽光発電設備に配置された複数の太陽光発電モジュール300の上空を飛行し、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301を撮像する。図2の太陽光発電設備では、3×3で二次元配置された9個の太陽光発電モジュール300が、2×3で二次元配置されている。各々の太陽光発電モジュール300には、識別番号が付けられている。また、各々の太陽光発電モジュール300は、設置地点の位置情報により識別できる。この位置情報は、たとえば太陽光発電モジュール300の所定部分(四隅又は中央部など)のGPS情報(たとえば緯度、経度、及び高度)であり、識別番号と紐づけられる。各々の太陽光発電モジュール300の識別番号及び位置情報は、各々の太陽光発電モジュール300の識別情報に含まれる。また、各々の太陽光発電モジュール300には、個々の太陽光発電モジュール300を識別するための識別用部材(不図示)が設けられてもよい。こうすれば、第1飛行体1が識別用部材とともに受光面301を撮像することにより、各々の太陽光発電モジュール300を識別することができる。
【0019】
なお、好ましくは、第1飛行体1の撮像部14は、一日のうちの早朝及び夕方のうちの少なくとも一方において、受光面301を撮像する。及び/又は、好ましくは、第1飛行体1の撮像部14は、曇天時における受光面301を撮像する。さらに好ましくは、受光面301に入射する太陽光の日射強度が0.12[kw/m2]未満であるとき、第1飛行体1は受光面301を撮像する。こうすれば、受光面301における太陽光の反射をより少なくすることができる。従って、第1飛行体1の撮像データのコントラストを高くでき、第1飛行体1は、汚れ度合いに応じた受光面301の色相、彩度、明度などの変化をより鮮明に撮像できる。よって、第1飛行体1の撮像データから受光面301の汚れをさらに精度良く測定することができる。
【0020】
汚れ検査装置2は、被測定面上に載置されて、被測定面の汚れ度合いを検査する。たとえば本実施形態では、汚れ検査装置2は、太陽光発電モジュール300の受光面301上に載置されて、受光面301の汚れ度合いを検査する。具体的には、汚れ検査装置2は、受光面301の後述する一部領域Apの検査画像を撮像する。さらに、汚れ検査装置2は、検査画像に基づいて受光面301の後述する一部領域Apの汚れ度合いの検査値を算出する。なお、この例示に限定されず、汚れ検査装置2は、各々の太陽光発電モジュール300において受光面301全体の汚れ度合いを検査してもよい。検査画像に基づく汚れ度合いの検査値は、対応する受光面301を有する太陽光発電モジュール300の識別番号と紐付けられて、有線又は無線の通信手段により管理装置4に送信される。或いは、検査値は、上述の識別番号と紐付けられて、手動で管理装置4に入力されてもよい。又は、検査画像が太陽光発電モジュール300の識別番号と紐付けられて管理装置4に送信され、検査画像に基づく汚れ度合いの検査値が管理装置4で算出されてもよい。
【0021】
第2飛行体3は、太陽光発電モジュール300の上空を飛行して、受光面301に洗浄剤330を散布する。本実施形態では後述するように、受光面301の汚れレベルが閾値以上であれば、第2飛行体3は、太陽光発電モジュール300の上空を飛行して、受光面301に洗浄剤330を散布する。なお、第2飛行体3は、本実施形態ではさらに、後述する汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300の受光面301のみに洗浄剤330を散布する。但し、この例示に限定されず、第2飛行体3は、全ての太陽光発電モジュール300の受光面301に洗浄剤330を散布してもよい。第2飛行体3は、管理装置4からの遠隔操作による飛行指令に基づいて飛行可能である。或いは、第2飛行体3は、予め設定された飛行計画に基づく自動制御により自律的に飛行可能であってもよい。また、第2飛行体3は、ユーザの選択に応じて、手動運転可能である。
【0022】
管理装置4は、第1飛行体1及び第2飛行体3を制御し、たとえば、自動運転プログラムに従って、これらを自動運転する。また、管理装置4は、第1飛行体1に搭載される撮像部14の撮像データから被測定面の汚れレベルを決定する。たとえば本実施形態では、管理装置4は、撮像部14が撮像した測定画像に基づく各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルを決定する。
【0023】
詳細には、管理装置4は、撮像部14の撮像データと汚れ検査装置2の検査結果とを用いて、受光面301の汚れレベルを決定する。こうすれば、汚れ検査装置2の検査結果を基準にして、撮像部14の撮像データから受光面301の汚れレベルを決定できる。従って、汚れ検査装置2で受光面301の汚れ度合いを検査しておけば、以降は、撮像部14の撮像データから受光面301の汚れレベルをその都度、決定できる。よって、汚れ測定システム100は、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れを効率的且つ精度良く測定することができる。
【0024】
<1-1.第1飛行体>
次に、図1及び図3を参照して、第1飛行体1の構成例を説明する。図3は、第1飛行体1の構成例を示すブロック図である。
【0025】
第1飛行体1は、図1に示すように、複数のローター10を備えるマルチロータヘリコプターであり、小型無人飛行体(いわゆるドローン)である。本実施形態では、第1飛行体1は、機体(符号省略)の周囲に4つのローター10が周方向において等間隔に配置される。ローター10は、機体に対して回転可能である。ローター10の回転によって、第1飛行体1は、揚力及び推力を得る。
【0026】
また、第1飛行体1は、図3に示すように、駆動部11と、無線通信部12と、位置検出部13と、撮像部14と、メモリ15と、制御部16と、バッテリー17と、をさらに有する。
【0027】
駆動部11は、ローター10の駆動源であり、ローター10を回転させるモーターなどを有する。
【0028】
無線通信部12は、管理装置4と無線で通信可能である。たとえば、無線通信部12は、第1飛行体1の飛行指令及び撮像部14の撮像指令などを管理装置4から受信し、第1飛行体1の位置情報及び撮像部14の撮像データなどを管理装置4に送信する。
【0029】
位置検出部13は、第1飛行体1の現在位置を検出し、現在位置を示す位置情報を作成する。位置検出部13は、たとえばGPS(Global Positioning System)受信器(図示省略)を有し、GPS衛星からの電波を受信して、第1飛行体1の現在位置を検出する。現在位置は、緯度、経度、及び高度からなる空間座標で表される。位置情報は、無線通信部12を介して管理装置4にリアルタイムで出力される。
【0030】
撮像部14は、第1飛行体1の下部に設けられ、管理装置4からの遠隔操作による撮像指令に基づいて第1飛行体1よりも鉛直下方を撮像可能である。或いは、第1飛行体1は、予め設定された撮像プログラムに基づく自動制御により自律的に撮像可能であってもよい。たとえば、撮像部14は、第1飛行体1が太陽光発電モジュール300の鉛直上方を飛行する際、太陽光発電モジュール300の上面(つまり受光面301)を撮像する。撮像部14の撮像データは、本実施形態のように動画像であってもよいし、静止画像であってもよい。撮像データは、第1飛行体1の位置情報及び撮像データの撮像日時などと紐付けられて管理装置4に送信される。なお、撮像データが動画像の場合、動画像の各々のフレーム画像が、そのフレーム画像が撮像された時点での第1飛行体1の位置情報及びフレーム画像の撮像日時などと紐付けられる。
【0031】
本実施形態では、撮像部14の光軸は、固定されている。たとえば、撮像部14は、第1飛行体1の鉛直下方を撮像する。但し、この例示に限定されず、撮像部14の光軸は、鉛直方向と斜めに交差してもよいし、可変であってもよい。たとえば、撮像部14は、光軸のチルト機構を有してもよい。チルト機構は、管理装置4からの撮像指令、撮像プログラムなどに基づいて、光軸の向きを変更できる。
【0032】
メモリ15は、電力供給が停止しても記憶を維持する非一過性の記憶媒体である。メモリ15は、たとえば、第1飛行体1の各々の構成部(特に制御部16)で用いられるプログラム及び制御情報、撮像部14が撮像した撮像データ、管理装置4から受信された情報(たとえば飛行指令、撮像指令)などを記憶する。また、メモリ15は、自律運転時の飛行プログラム、撮像プログラムなどを記憶してもよい。
【0033】
制御部16は、第1飛行体1の各々の構成部を制御する。たとえば、制御部16は、メモリ15に記憶された飛行指令、又は飛行プログラムなどに基づいて駆動部11を制御する。また、制御部16は、メモリ15に記憶された撮像指令、又は撮像プログラムなどに基づいて撮像部14を制御する。
【0034】
バッテリー17は、第1飛行体1の電力源であり、本実施形態ではリチウムイオン電池などの二次電池である。バッテリー17は、第1飛行体1の各々の構成部に電力を供給する。
【0035】
<1-2.汚れ検査装置>
次に、図1及び図4を参照して、汚れ検査装置2の構成例を説明する。図4は、汚れ検査装置2の構成例を示すブロック図である。
【0036】
汚れ検査装置2は、図1に示すように、受光面301上に載置されて、受光面301の汚れを検査する。汚れ検査装置2は、図4に示すように、ハウジング21と、照明部22と、照明駆動部23と、カメラ24と、メモリ25と、制御部26と、表示部271と、入力部272と、通信部28と、バッテリー29と、を備える。
【0037】
ハウジング21は、有蓋筒状であり、照明駆動部23,カメラ24,メモリ25,制御部26,通信部28,及びバッテリー29などを内部に収容する。ハウジング21の蓋部分には、表示部271及び入力部272が配置される。ハウジング21の筒部分には、外部電源端子291が配置される。また、ハウジング21は、受光面301側の端部に開口211を有する。開口211の内縁には、照明部22が配置される。
【0038】
汚れ検査装置2が太陽光発電モジュール300の受光面301上に載置される際、ハウジング21は、受光面301の一部領域Apを覆う。これにより、汚れ検査装置2は、外光に対して一部領域Apを遮光した状態で検査できるので、検査結果のノイズを抑制できる。但し、この例示に限定されず、ハウジング21は、受光面301全体を覆ってもよい。つまり、ハウジング21は、受光面301の少なくとも一部領域Apを覆うことができる。また、ハウジング21は、本実施形態では樹脂製である。そのため、載置の際、ハウジング21が受光面301に当たっても、受光面301を傷つけ難くなっている。
【0039】
照明部22は、受光面301の一部領域Apに光を照射する。照明部22は、リング状の基体221と、LEDアレイ222と、を有する。LEDアレイ122は、基体121の径方向内端部に設けられ、周方向に並ぶ複数の白色LED(符号省略)を有する。各々の白色LEDは、所定の放射角度を有して径方向内方に白色光を出射し、少なくとも一部の白色光を一部領域Apに照射する。一部領域Apは、後述するように、汚れ検査装置2が受光面301の汚れ度合いを測定するための領域であり、本実施形態では直径がφ50[mm]~φ200[mm]の領域である。
【0040】
照明駆動部23は、制御部26から出力される制御信号に基づいて照明部22を駆動し、特にLEDアレイ222の発光を制御する。
【0041】
カメラ24は、受光面301のうちのハウジングで覆われた領域を撮像する。つまり、カメラ24は、受光面301のうちの少なくとも一部領域Apを撮像する撮像装置である。
【0042】
メモリ25は、電力供給が停止しても記憶を維持する非一過性の記憶媒体である。メモリ25は、たとえば、汚れ検査装置2の各々の構成部(特に制御部26)で用いられるプログラム及び制御情報、データなどを記憶する。また、メモリ25は、たとえば、カメラ24が撮像した検査画像なども記憶する。
【0043】
制御部26は、メモリ25に記憶されたプログラム及び制御情報、データなどを用いて汚れ検査装置2の各構成部を制御する。制御部26は、後述する基準画像及び検査画像に基づいて受光面301の一部領域Apの汚れ度合いを数値化する。なお、汚れ度合いを測定する汚れ測定方法、及び、汚れ度合いの数値化の手法は後に説明する。
【0044】
制御部26は、汚れ算出部261を有する。汚れ算出部261は、カメラ24により撮像された検査画像に基づいて、受光面301の汚れ度合いの検査値を算出する。なお、この例示に限定されず、検査値は、管理装置4で算出されてもよい。言い換えると、管理装置4が、汚れ算出部261を有していてもよい。つまり、汚れ検査装置2及び管理装置4のうちの一方が、検査画像に基づいて汚れ度合いの検査値を算出する汚れ算出部261を有していればよい。
【0045】
汚れ算出部261は、たとえば、検査画像の各々の画素の色座標と、後述する基準色座標とに基づいて、検査値を算出する。本実施形態では、汚れ算出部261は、検査値を0~100に数値化して示す。この測定値は、清浄な受光面301では100であり、受光面301が汚れているほど小さくなる。これにより、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れ度合いを検査して精度良く数値化することができる。検査画像は、汚れ検査装置2で汚れ度合いを検査する受光面301(の一部領域Ap)をカメラ24で撮像した画像である。基準色座標は、汚れ度合いを測定する際の基準となる色座標であり、本実施形態では汚れ検査装置2を用いて清浄な受光面301(の一部領域Ap)を撮像した基準画像に基づいて決定される。検査画像及び基準画像は、受光面301の撮像領域がハウジング21により覆われ且つ照明部22から光が照射された状態で撮像される。基準画像及び検査画像の受光面301の撮像領域は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0046】
表示部271は、ハウジング21の上面に設けられたディスプレイ(図示省略)に汚れ度合いの検査値などを表示する。入力部272は、ユーザの操作入力を受け付ける。入力部272は、汚れ検査装置2の起動/停止を操作するための電源ON/OFFボタン(図示省略)、後述するティーチングの実施を入力するためのティーチング開始ボタン(図示省略)、及び、汚れ検査装置2の検査開始を入力するための検査開始ボタン(図示省略)などを含む。これらのボタンは、ハウジング21の上面に設けられる。なお、表示部271及び入力部272は、本実施形態では別々に設けられているが、この例示に限定されず、タッチパネルなどの一体の装置であってもよい。
【0047】
通信部28は、管理装置4などの外部装置と無線又は有線で通信可能である。通信部28は、たとえば、汚れ検査装置2の検査データ(検査画像及びその撮像日時、汚れ度合いの検査値など)を管理装置4に送信できる。
【0048】
バッテリー29は、汚れ検査装置2に内蔵される電源部であり、本実施形態ではリチウムイオン電池などの二次電池である。バッテリー29は、放電して汚れ検査装置2の各構成部に電力を供給できる。また、バッテリー29は、外部電源端子291を介して外部電源(図示省略)から供給される電力により充電できる。なお、外部電源端子291は、外部電源と電気的に接続可能であり、外部電源から出力される電力を汚れ検査装置2の各構成部に電力を供給できる。
【0049】
<1-3.第2飛行体>
次に、図1及び図5を参照して、第2飛行体3の構成例を説明する。図5は、第2飛行体3の構成例を示すブロック図である。
【0050】
第2飛行体3は、図1に示すように、複数のローター30を備えるマルチロータヘリコプターであり、小型無人飛行体(いわゆるドローン)である。本実施形態では、第2飛行体3は、機体(符号省略)の周囲に8つのローター30が周方向において等間隔に配置される。ローター30は、機体に対して回転可能である。ローター30の回転によって、第2飛行体3は、揚力及び推力を得る。
【0051】
また、第2飛行体3は、駆動部31と、無線通信部32と、位置検出部33と、タンク331と、散布器332と、メモリ35と、制御部36と、バッテリー37と、をさらに有する。
【0052】
駆動部31は、ローター30の駆動源であり、ローター30を回転させるモーターなどを有する。
【0053】
無線通信部32は、管理装置4などと無線で通信可能である。たとえば、無線通信部32は、第2飛行体3の飛行指令及び洗浄剤330の散布指令などを管理装置4から受信し、第2飛行体3の位置情報などを管理装置4に送信する。
【0054】
位置検出部33は、第2飛行体3の現在位置を検出し、現在位置を示す位置情報を作成する。位置検出部33は、たとえばGPS受信器(図示省略)を有し、GPS衛星からの電波を受信して、第2飛行体3の現在位置を検出する。現在位置は、緯度、経度、及び高度からなる空間座標で表される。位置情報は、無線通信部32を介して管理装置4にリアルタイムで出力される。
【0055】
タンク331は、洗浄剤330を収容する。洗浄剤330には、好ましくは、環境負荷の低いバイオ洗剤が用いられる。バイオ洗剤は、たとえば、バクテリア又は天然由来の成分を主原料とする洗浄剤である。なお、この例示は、バイオ洗剤以外が洗浄剤330に採用される構成を排除しない。
【0056】
散布器332は、管理装置4からの遠隔操作による散布指令に応じて、第2飛行体3よりも鉛直下方に洗浄剤330を散布する。或いは、散布器332は、予め設定された散布プログラムに基づく自動制御により自律的に洗浄剤330を散布可能であってもよい。
【0057】
本実施形態では、第2飛行体3は8つの散布器332を有し、各々の散布器332はタンク331の周囲において周方向に等間隔に配置される。このように配置することで、洗浄剤330の散布範囲をより広くすることができる。但し、この例示に限定されず、散布器332の数は、単数であってもよいし、8以外の複数であってもよい。
【0058】
メモリ35は、電力供給が停止しても記憶を維持する非一過性の記憶媒体である。メモリ35は、たとえば、第2飛行体3の各々の構成部(特に制御部36)で用いられるプログラム及び制御情報、管理装置4から受信する情報(たとえば飛行指令、撮像指令、散布指令)などを格納する。また、メモリ35は、自律運転時の飛行プログラム、散布プログラムなどを記憶してもよい。
【0059】
制御部36は、第2飛行体3の各々の構成部を制御する。たとえば、制御部36は、メモリ35に記憶された飛行指令、又は飛行プログラムなどに基づいて駆動部31を制御する。また、制御部36は、管理装置4から受信又はメモリ35に記憶された散布指令、若しくは散布プログラムなどに基づいて、散布器332から洗浄剤330を散布する。
【0060】
バッテリー37は、第2飛行体3の電力源であり、本実施形態では英リウムイオン電池などの二次電池である。バッテリー37は、第2飛行体3の各々の構成部に電力を供給する。
【0061】
<1-4.管理装置>
次に、図1及び図6を参照して、管理装置4の構成例を説明する。図6は、管理装置4の構成例を示すブロック図である。
【0062】
管理装置4は、表示部41と、操作部42と、通信部43と、ネットワーク接続部44と、記憶部45と、制御部46と、を有する。
【0063】
表示部41は、たとえば、液晶ディスプレイである。操作部42は、ユーザの操作入力を受け付ける。なお、表示部41及び操作部42は、個別の部材であってもよいし、タッチパネルなどのように一体の部材であってもよい。
【0064】
通信部43は、第1飛行体1及び第2飛行体3と無線で通信可能である。たとえば、通信部43は、飛行指令、撮像指令、及び洗浄剤330の散布指令などを送信し、第1飛行体1及び第2飛行体3の位置情報などを受信する。また、通信部43は、管理装置4と無線又は有線で通信可能である。通信部43は、たとえば、汚れ検査装置2から検査データ(検査画像及びその撮像日時、汚れ度合いの検査値など)を受信できる。
【0065】
ネットワーク接続部44は、インターネットなどの外部の通信ネットワークと通信可能に接続される。
【0066】
記憶部45は、電力供給が停止しても記憶を維持する非一過性の記憶媒体である。記憶部45は、たとえば、管理装置4の各々の構成部(特に制御部46)で用いられるプログラム及び情報などを記憶する。また、記憶部45は、各々の太陽光発電モジュール300の識別情報、及び、第1飛行体1及び第2飛行体3の飛行プログラム及びその飛行制御に関する情報を記憶する。なお、飛行制御に関する情報は、測定対象(つまり複数の太陽光発電モジュール300)が設置されたメガソーラー施設の地図情報を含む。また、記憶部45は、第1飛行体1の撮像部14での撮像を制御するための撮像プログラム及びその撮像に関する情報、第2飛行体3の散布器332による洗浄剤330の散布を制御するための散布プログラム及びその散布に関する情報なども記憶する。
【0067】
また、記憶部45は、通信部43で受信した情報を記憶する。たとえば、記憶部45は、第1飛行体1から送信された撮像データ、汚れ検査装置2から送信された検査画像、検査値などを記憶する。これらは、対応する太陽光発電モジュール300の識別情報などと紐付けられて記憶される。このほか、記憶部45は、管理装置4内で生成した情報を記憶する。たとえば、記憶部45は、撮像データから算出される汚れ度合いの測定値、測定値の算出方法、後述する出力低下レベル情報などを記憶する。
【0068】
制御部36は、管理装置4の各々の構成部を制御する。制御部46は、飛行制御部461と、画像処理部462と、第1レベル決定部463と、学習部464と、第2レベル決定部465と、汚れ判定部466と、天候予測部467と、計時部468と、を有する。言い換えると、管理装置4は、飛行制御部461と、画像処理部462と、第1レベル決定部463と、学習部464と、第2レベル決定部465と、汚れ判定部466と、天候予測部467と、計時部468と、を有する。なお、本実施形態では、これらの構成部461~468は、制御部46の機能的な構成部である。但し、この例示に限定されず、これらの構成部461~468のうちの少なくともいずれかは、電気回路、装置、デバイスなどの物理的な構成部であってもよい。
【0069】
飛行制御部461は、飛行指令の送信により、第1飛行体1及び第2飛行体3の飛行制御を行う。たとえば、飛行制御部461は、測定対象である太陽光発電モジュール300が複数設置された太陽光発電所の地図情報などを用いて、第1飛行体1及び第2飛行体3の飛行経路を設定する。地図情報は、各々の太陽光発電モジュール300の設置位置の緯度、経度、及び高度などの位置情報を含む。或いは、飛行経路は、管理装置4に操作入力された位置情報に基づいて設定されてもよい。飛行制御部461は、飛行指令にて飛行経路の緯度、経度、及び高度を指定することによって、第1飛行体1及び第2飛行体3の飛行経路を設定する。
【0070】
画像処理部462は、画像の抽出、加工などの画像処理を行う。たとえば、画像処理部462は、第1飛行体1の撮像部14が撮像した動画像(つまり撮像データ)から各々の太陽光発電モジュール300の受光面301全体が写るフレーム画像をそれぞれ抽出する。また、画像処理部462は、フレーム画像、又は、第1飛行体1の撮像部14が撮像した静止画像から、受光面301の測定画像を抽出する。たとえば、画像処理部462は、第1撮像データから第1測定画像を抽出する。なお、第1撮像データは、汚れ検査装置2による受光面301の検査と同じ時間帯に撮像部14により撮像された撮像データである。また、画像処理部462は、第2撮像データから第2測定画像を抽出する。なお、第2撮像データは、上述の第1撮像データの撮像時以降に撮像された撮像部14の撮像データである。また、画像処理部462は、第3撮像データから第3測定画像を抽出する。なお、第3撮像データは、天候予測部467で予測された地域での上述の降雨が終了する第4時点以降に第1飛行体1により撮像される撮像データである(後述する図10のステップS308参照)。
【0071】
図7A図7Dは、画像処理部462の画像処理例を示す。図7Aは、抽出されたフレーム画像の一例である。図7Bは、受光面301の角部の位置P1~P4の検出例である。図7Cは、背景除去されたフレーム画像の一例である。図7Dは、投影変換された測定画像の一例である。なお、図7A及び図7Bは、図2の破線で囲まれた部分Xに対応する。
【0072】
たとえば、画像処理部462は、第1飛行体1の撮像部14が撮像した動画像の撮像データから、フレーム画像(図7A)を抽出する。フレーム画像は、所望の太陽光発電モジュール300の受光面301の全体が写る静止画像である。
【0073】
次に、画像処理部462は、フレーム画像から受光面301の4つの角部の位置P1~P4を検出する(図7B)。詳細には、画像処理部462は、検出器4621を用いて、フレーム画像から受光面301の4つの角部の位置P1~P4を検出する。画像処理部462は、検出器4621を有する。検出器4621は、撮像部14の撮像データに含まれる静止画像における受光面301の角部の位置を検出する。たとえば、検出器4621は、受光面301の縁部の形状を認識し、異なる縁部の交点を角部の位置P1~P4として検出する。
【0074】
画像処理部462は、機械学習された検出器4621が静止画像における角部を検出した結果に基づいて静止画像から受光面301の測定画像を抽出する。機械学習された検出器4621を用いることにより、検出器4621は、撮像部14,62の撮像データに含まれる静止画像における受光面301の縁部の形状から受光面301の角部の位置P1~P4をより正確に検出できる。よって、画像処理部462は、汚れレベルの決定に用いられる受光面301の測定画像をより正確に撮像部14,62の撮像データから抽出することができる。
【0075】
検出器4621は、受光面301の学習用画像と、学習用画像における角部の正確な位置を示す位置データとを用いて機械学習される。本実施形態では、検出器4621は、記憶部45に格納された学習済みのニューラルネットワークを用いた検出器(detector)であり、フレーム画像から4つの角部の位置P1~P4を検出する。なお、以下では、検出器4621に用いられるニューラルネットワークを「第1のニューラルネットワーク」と呼ぶ。第1のニューラルネットワークは、たとえば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)、ベイズニューラルネットワーク(BNN;Bayesian Neural Network)などである。本実施形態では、検出器4621の学習モデルには、YOLO(You Look Only Once)を採用している。機械学習された第1のニューラルネットワークを用いることにより、検出器4621は、角部の位置P1~P4をより正確に検出できる。また、本実施形態の例示に限定されず、検出器4621は、機械学習された第1のニューラルネットワークを用いることなく、一般的な画像認識手法により角部の位置P1~P4を検出してもよい。
【0076】
画像処理部462は、全ての角部の位置P1~P4を検出した受光面301以外(たとえば地面Hp、全ての角部の位置P1~P4が検出されない受光面301)をフレーム画像から除去して、受光面301の測定画像のみを抽出する(図7C)。なお、フレーム画像から直接に抽出した受光面301は、フレーム画像が透視投影であるため、図7Cのように撮像部14からの遠近に応じて歪んでいる。そのため、画像処理部462は、受光面301の画像を平行投影に変換し、矩形の受光面301の測定画像を得る(図7D参照)。
【0077】
画像処理部462は、各々の太陽光発電モジュール300の識別情報及び撮像日時などと紐付けて受光面301の測定画像を記憶部45に記憶させる。画像処理部462は、少なくとも一部の太陽光発電モジュール300に対して上述の画像処理を実施する。
【0078】
第1レベル決定部463は、汚れ検査装置2の検査画像に基づく汚れ度合いの検査値から、検査画像に対応する受光面301の汚れレベルを決定する。第1レベル決定部463は、検査値に基づいて、各々の検査画像に写る受光面301の汚れ度合いを複数の汚れレベルに分類する。なお、本実施形態では、汚れレベルは、受光面301が清浄であるほど大きくなり、受光面301が汚れているほど大きくなる。また、以下では、検査値から決定される汚れレベルを「第1汚れレベル」と呼ぶことがある。
【0079】
たとえば、本実施形態では、前述の如く、汚れ検査装置2の検査値は、0~100に数値化される。検査値が80以上且つ100以下であれば、第1汚れレベルは、汚れレベル1に決定される。検査値が60以上且つ79以下であれば、第1汚れレベルは、汚れレベル2に決定される。検査値が40以上且つ59以下であれば、第1汚れレベルは、汚れレベル3に決定される。検査値が0以上且つ39以下であれば、第1汚れレベルは、汚れレベル4に決定される。なお、汚れレベルの数は、上述の例示に限定されず、4以外の複数であってもよい。決定された汚れレベルは、対応する検査画像及び検査日時、対応する太陽光発電モジュール300の識別情報などと紐づけられて記憶部45に格納される。
【0080】
第2レベル決定部465は、第1飛行体1の撮像結果及び汚れ検査装置2の検査結果から、第1飛行体1により撮像された受光面301の汚れレベルを決定する。第2レベル決定部465は、第1飛行体1の撮像データから受光面301の汚れレベルを推定する分類器4651を有する。第2レベル決定部465は、機械学習された分類器4651を用いて、第2測定画像から受光面301の汚れレベルを決定する。なお、第2測定画像は、機械学習された検出器4621が第2撮像データに含まれる第2静止画像における角部を検出した結果に基づいて、第2静止画像から抽出された受光面301の測定画像である。また、以下では、第2測定画像から決定される受光面301の汚れレベルを「第2汚れレベル」と呼ぶことがある。
【0081】
分類器4651は、第1汚れレベル及び第1撮像データを用いて機械学習される。本実施形態では、分類器4651は、記憶部45に格納された学習済みのニューラルネットワークを用いた分類器(classifier)であり、第1飛行体1が撮像した受光面301の測定画像からこの受光面301の汚れレベルを決定する。たとえば、分類器4651は、測定画像に写る受光面301上の汚れの形状を認識し、各々の形状の確からしさを分類した結果に基づいて、受光面301の汚れレベルを決定する。汚れの形状は、たとえば、汚れの濃淡に応じて現れる海島構造、波紋構造などである。なお、以下では、分類器4651に用いられるニューラルネットワークを「第2のニューラルネットワーク」と呼ぶ。分類器4651は、たとえば、SVM(Support Vector Machine)などの線形分類器であってもよいし、ニューラルネットワークを用いた分類器、又は多層ニューラルネットワークを用いて深層学習により生成される分類器であってもよい。学習済みの第2のニューラルネットワークは、たとえば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)、ベイズニューラルネットワーク(BNN;Bayesian Neural Network)などである。
【0082】
第2レベル決定部465は、機械学習された分類器4651を用いて、第2撮像データから受光面301の第2汚れレベルを決定する。なお、第2撮像データは、上述の第1撮像データの撮像時以降に撮像された撮像部14の撮像データである。決定された第2汚れレベルは、対応する測定画像及びその撮像日時、対応する太陽光発電モジュール300の識別情報などと紐づけられて記憶部45に格納される。汚れ検査装置2の検査値に基づく第1汚れレベル及び上述の第1撮像データを用いて機械学習された分類器4651を用いることにより、分類器4651が第2撮像データから推定する第2汚れレベルを、受光面301上に載置した汚れ検査装置2の検査値から決定した場合の汚れレベルに近づけることができる。従って、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れをより精度良く測定することができる。
【0083】
学習部464は、管理装置4に入力又は格納された教師データに基づいて、画像処理部462の検出器4621、第2レベル決定部465の分類器4651を機械学習させる。
【0084】
たとえば、学習部464は、受光面301の学習用画像と、学習用画像における受光面301の角部の位置データとを用いて、検出器4621を機械学習させる。検出器4621を機械学習させる場合、学習用画像は、第1飛行体1の撮像データに含まれる静止画像であり、1個の受光面301の全体が写る。位置データは、学習用画像に写る受光面301の4つの角部の位置P1~P4を正確に示すデータであり、たとえばユーザにより手動で作成される。学習部464は、学習用画像とこの学習用画像に対応する位置データとのデータセットを検出器4621用の教師データとして用いて、検出器4621を機械学習させる。好ましくは、このデータセットは、複数である。
【0085】
また、学習部464は、第1撮像データと、汚れ検査装置2の検査値に基づく第1汚れレベルとを用いて、分類器4651を機械学習させる。なお、前述の如く、第1撮像データは、汚れ検査装置2による受光面301の検査と同じ時間帯に撮像部14により撮像された撮像データである。詳細には、学習部464は、第1撮像データから抽出された第1測定画像と、汚れ検査装置2の検査値に基づく第1汚れレベルとを用いて、分類器4651を機械学習させる。なお、第1測定画像は、機械学習された検出器4621が第1撮像データに含まれる第1静止画像における角部を検出した結果に基づいて、第1静止画像から抽出された受光面301の測定画像である。第1汚れレベルは、受光面301を汚れ検査装置2で検査した検査値から決定され、同一の受光面301が写る第1測定画像に紐付けされている。つまり、検査画像から汚れレベルが「1」と決定された受光面301が写る第1測定画像には、第1汚れレベル1が紐付けられる。検査画像から汚れレベルが「2」と決定された受光面301が写る第1測定画像には、第1汚れレベル2が紐付けられる。検査画像から汚れレベルが「3」と決定された受光面301が写る第1測定画像には、第1汚れレベル3が紐付けられる。検査画像から汚れレベルが「4」と決定された受光面301が写る第1測定画像には、第1汚れレベル4が紐付けられる。
【0086】
学習部464は、第1測定画像と、各々の第1測定画像に紐付けられた第1汚れレベルとのデータセットを教師データとして用いて、分類器4651を機械学習させる。たとえば本実施形態では、分類器4651用の教師データは、第1汚れレベル1が紐付けられた第1測定画像と、第1汚れレベル2が紐付けられた第1測定画像と、第1汚れレベル3が紐付けられた第1測定画像と、第1汚れレベル4が紐付けられた第1測定画像と、を含む。各々の汚れレベルの第1測定画像は、好ましくは複数である。
【0087】
学習部464は、教師データをニューラルネットワークの入力層に入力し、ニューラルネットワークの出力層における複数のニューロンの出力値と教師データとを用いてたとえば誤差逆伝播法による演算を実行する。この際、学習部464は、出力層の複数のニューロンのうち、教師データと対応するニューロンの出力値の最大化を図るべく、ニューラルネットワークの重み付け係数を更新する。学習部464は、より多くの教師データに対して誤差逆伝播法による演算を実行することにより、ニューラルネットワークの重み付け係数の最適化を図る。
【0088】
汚れ判定部466は、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルが閾値以上であるか否かを判定する。なお、汚れレベルの閾値は、記憶部45に記憶されている。また、閾値は、管理者等の操作入力に応じて、任意のタイミングで変更可能である。この判定に応じて、第2飛行体3は、汚れレベルが閾値以上であれば、太陽光発電モジュール300の上空を飛行して、その受光面301に洗浄剤330を散布する。こうすれば、受光面301の汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300があれば、その受光面301に洗浄剤330を自動的に散布できる。洗浄剤330を手動で散布しなくてもよいので、受光面301を洗浄する際の作業性が向上する。また、受光面301に洗浄剤330を散布しておくことにより、たとえば太陽光発電モジュール300が設置された地域に雨が降れば、雨粒によって受光面301の汚れを自動的に自然洗浄できる。従って、必ずしも洗浄用の水を必要としないので、水源及び給水設備を確保し難い地域に太陽光発電モジュール300が設置されていても、太陽光発電モジュール300の受光面301を洗浄できる。
【0089】
また、汚れ判定部466は、汚れレベルが閾値以上である受光面301を特定する。この特定に応じて、第2飛行体3は、汚れ判定部により特定された受光面301に洗浄剤330を散布する。こうすれば、汚れレベルが閾値以上である受光面301には、洗浄剤330を自動で散布できる。また、汚れレベルが閾値未満である受光面301には、洗浄剤330を散布しないようにできる。従って、受光面301の洗浄を効率良く実施でき、その作業性を向上できる。
【0090】
天候予測部467は、ネットワークNTを介して、太陽光発電モジュール300が設置された場所を含む地域の天気予報情報を取得する。天候予測部467は、第2レベル決定部465で汚れレベルが決定された第1時点よりも後に、この地域での降雨が開始する第2時点を天気予報情報に基づいて特定する。なお、第2時点は、好ましくは、第1時点よりも後にこの地域での降雨が開始する直近の時点とされる。この特定に応じて、第2飛行体3は、第3時点において洗浄剤330を散布する。なお、第3時点は、第1時点よりも後であり、第2時点よりも前である。こうすれば、天気予報情報に基づいて第3時点を適切に決定できる。たとえば、太陽光発電モジュール300が設置された場所で雨が降り始める前の適切なタイミングで洗浄剤330を散布することができる。従って、雨粒によって、受光面301の汚れを洗浄剤330とともに洗い流すことができる。
【0091】
また、天候予測部467は、この地域での上述の降雨が終了する第4時点を天気予報情報に基づいて特定する。この特定に応じて、第2レベル決定部465は、受光面301の第3撮像データに基づいて、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルをそれぞれ決定する。第3撮像データは、天候予測部467で予測された地域での上述の降雨が終了する第4時点以降に第1飛行体1により撮像される撮像データである。たとえば、本実施形態では、各々の太陽光発電モジュール300について、第2レベル決定部465は、受光面301の第3測定画像から受光面301の汚れレベルを算出する。第3測定画像は、画像処理部462により第3撮像データから抽出された受光面301の測定画像である。決定された汚れレベルは、対応する太陽光発電モジュール300の識別情報及び撮像日時などと紐づけられて、記憶部45に記憶される。こうすれば、雨粒によって自然洗浄された後の受光面301の汚れを再評価できる。従って、たとえば受光面301の汚れレベルが低下しない場合に、管理者にその旨を報知したり、洗浄剤330の散布による自然洗浄を再度実施したりできる。
【0092】
計時部468は、たとえば現在時刻を計る。
【0093】
<2.検出器の学習>
次に、図8を用いて、検出器4621の学習方法を説明する。図8は、受光面301の角部の位置P1~P4を検出する検出器4621の学習方法を説明するためのフローチャートである。なお、検出器4621の学習には、太陽光発電モジュール300の上空を飛行する第1飛行体1により予め撮像された太陽光発電モジュール300の撮像データが用いられる。
【0094】
まず、管理装置4において、画像処理部462は、第1飛行体1の撮像データから、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の全体が写った静止画像をそれぞれ学習用画像として抽出する(ステップS101)。この際、好ましくは、画像処理部462は、第1飛行体1、太陽光発電モジュール300周囲の物体(たとえば樹、構造物)などの影が映った画像は抽出しない。
【0095】
次に、ユーザは、S101で抽出した各々の学習用画像に対し、学習用画像における受光面301の角部の位置P1~P4の位置データを作成する(ステップS102)。たとえば、ユーザは、所定の画像認識アプリケーションを用いて、各々の学習用画像における受光面301の各々の角部をクリック入力で指定する。指定された位置データは、学習用画像と紐づけて記憶部45に格納される。これにより、上述の位置データを作成できる。位置データを作成する学習用画像が残っていれば(ステップS103でYES)、処理はステップS102に戻る。
【0096】
位置データを作成する学習用画像が残っていなければ(ステップS103でNO)、ステップS101で抽出した学習用画像と、ステップS102で作成した位置データとを用いて検出器4621のニューラルネットワークを機械学習して更新する(ステップS104)。そして、図8の処理が終了する。
【0097】
<3.受光面の汚れ測定>
次に、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルを測定する汚れ測定方法を説明する。汚れ測定システム100は、教師データを用いて分類器4651のニューラルネットワークを学習する。次に、汚れ測定システム100は、各々の太陽光発電モジュール300について、学習済みのニューラルネットワークを用いて第1飛行体1の撮像データから受光面301の汚れレベルを決定する。さらに、汚れ測定システム100は、決定した汚れレベルに基づいて受光面301の洗浄が必要であるか否かを判定し、洗浄が必要であれば受光面301を洗浄する。以下では、上述の汚れ測定方法は、分類器4651の学習方法(後述の図9参照)と、受光面301の汚れレベル決定方法及び洗浄方法(後述の図10参照)と、に分けて説明する。
【0098】
<3-1.分類器の学習>
まず、図9を用いて、分類器4651の学習方法を説明する。図9は、汚れレベルを決定する分類器4651の学習方法を説明するためのフローチャートである。
【0099】
まず、太陽光発電モジュール300の上空を飛行する第1飛行体1によって、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301がそれぞれ撮像される(ステップS201)。本実施形態では、第1飛行体1は、受光面301から鉛直上方に5m程度離れた高度を飛行する。第1飛行体1は受光面301に近づき過ぎると、第1飛行体1が太陽光発電モジュール300に接触する虞がある。さらに、撮像データのフレーム画像に、1個の受光面301の全体が撮像され難くなる。また、第1飛行体1は受光面301から離れ過ぎると、撮像データのフレーム画像に写る受光面301がより小さくなる。そのため、第1飛行体1の撮像データに基づく受光面301の汚れレベルを精度良く決定し難くなる。第1飛行体1の撮像データは、撮像時の位置情報及び撮像日時などと紐づけられて、第1撮像データとして管理装置4に送信される。
【0100】
次に、受光面301上に載置される汚れ検査装置2によって各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れ度合いがそれぞれ検査される(ステップS202)。なお、汚れ検査装置2を用いて受光面301の汚れ度合いを測定する方法は後に説明する。汚れ検査装置2を用いた汚れ度合いの検査値は、太陽光発電モジュール300の識別情報とともに管理装置4に入力され、対応する太陽光発電モジュール300の識別情報及び検査日時などと紐付けられて記憶部45に記憶される。
【0101】
次に、上述のステップS202を実施する予定の太陽光発電モジュール300が残っていれば(ステップS203でYES)、処理はステップS202に戻る。なお、受光面301に対する太陽光の入射強度の変化をより少なくするため、好ましくは、ステップS201~S203はなるべく短時間に実施される。好ましくは、上述のステップS202~S203は、一部且つ複数の太陽光発電モジュール300に実施される。ステップS202~S203を実施する太陽光発電モジュール300の数を所定の複数に絞ることにより、ステップS201~S203の所要時間をより短くして、受光面301に対する太陽光の入射強度の変化をより少なくできる。但し、この例示は、上述のステップS202~S203が全ての太陽光発電モジュール300に実施されることを排除しない。
【0102】
一方、上述のステップS202を実施する予定の太陽光発電モジュール300が残っていなければ(ステップS203でNO)、たとえば図7A図7Dに示すように、管理装置4において、画像処理部462は、ステップS201における第1飛行体1の第1撮像データから、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の第1測定画像をそれぞれ抽出する(ステップS204)。この際、画像処理部462は、ステップS202において汚れ度合いを検査した太陽光発電モジュール300のみの第1測定画像を抽出する。
【0103】
第2レベル決定部465は、ステップ204で取得した検査値に基づいて、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルを決定する(ステップS205)。この際、第2レベル決定部465は、ステップS204にて第1測定画像が抽出された太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルを決定する。好ましくは、第1飛行体1、太陽光発電モジュール300の周囲の物体(たとえば樹、構造物)などの影が映った第1測定画像に対応する受光面301の汚れレベルは決定しない。そして、決定した汚れレベルは、対応する第1測定画像と紐付けされる。
【0104】
学習部464は、同一の太陽光発電モジュール300の受光面301における汚れレベル及び第1測定画像を用いて、第2レベル決定部465の分類器4651を機械学習して、分類器4651のニューラルネットワークデータを更新する(ステップS206)。つまり、学習部464は、ステップS204で抽出される第1測定画像と、ステップS205で決定された汚れレベルと、を用いて、分類器4651のニューラルネットワークデータを機械学習する。学習済みのニューラルネットワークデータは、記憶部45に記憶される。そして、図9の処理は、終了される。
【0105】
<3-2.受光面の汚れレベル決定及び洗浄>
次に、図10を用いて、汚れ測定システム100における受光面301の汚れレベルを決定する方法と、洗浄剤330を用いた受光面301の洗浄方法と、を説明する。図10は、汚れ測定システム100における受光面301の汚れレベル決定方法及び洗浄方法を説明するためのフローチャートである。図10の処理は、本実施形態では、定期的に実施され、たとえば6ヶ月ごとに実施される。なお、図10の処理の間隔は、この例示に限定されず、任意の時間単位(日、週、月、或いは、年)で設定できる。また、図10の処理は、所定のタイミングで実施でき、たとえば管理装置4が受け付けた操作入力に応じて実施されてもよい。
【0106】
太陽光発電モジュール300の上空を飛行する第1飛行体1の撮像部14によって、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301がそれぞれ撮像される(ステップS301)。本実施形態では、第1飛行体1は、受光面301から鉛直上方に5m程度離れた高度を飛行する。第1飛行体1の撮像データは、撮像時の位置情報及び撮像日時などと紐づけられて、第2撮像データとして管理装置4に送信される。
【0107】
管理装置4では、画像処理部462は、たとえば図7A図7Dに示すように、ステップS301の第2撮像データから、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の第2測定画像をそれぞれ抽出する(ステップS302)。
【0108】
第1レベル決定部463は、分類器4651の機械学習されたニューラルネットワークを用いて、各々の太陽光発電モジュール300について、第2測定画像から受光面301の汚れレベルをそれぞれ決定する(ステップS303)。つまり、撮像部14の撮像データと汚れ検査装置2の検査結果(図9図10のステップS301参照)とを用いて、受光面301の汚れレベルが決定される。
【0109】
次に、受光面301の汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300があるか否かが判定される(ステップS304)。言い換えると、汚れ判定部466は、各々の太陽光発電モジュール300について、ステップS304で決定された受光面301の汚れレベルが閾値以上であるか否かを判定する。汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300がなければ(ステップS304でNO)、図10の処理は終了する。
【0110】
一方、汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300があれば(ステップS304でYES)、汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300が特定される(ステップS305)。たとえば本実施形態では、汚れレベルが3以上の太陽光発電モジュール300が特定される。そして、管理装置4は、ネットワークNTを介して天気予報情報を取得し、特定された太陽光発電モジュール300が設置された場所を含む地域において雨が降ると予測される直近の日時を特定する(ステップS306)。たとえば、天気予報情報に基づいて予測される直近の降雨の開始時点及び終了時点が特定される。そして、天気予報情報に基づいて予測される直近の降雨が開始する前に、洗浄剤330が第2飛行体3によって散布される(ステップS307)。つまり、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルが閾値以上であれば、太陽光発電モジュール300の上空を飛行する第2飛行体により、太陽光発電モジュール300の受光面301に洗浄剤330が散布される。
【0111】
なお、洗浄剤330が散布される時点は、汚れレベルが決定されたステップS303の時点よりも後であるとともに、ステップS306で特定した降雨の開始時点よりも前である。洗浄剤330を散布する時点は、好ましくは天気予報情報に基づいて予測される直近の降雨の開始時点に近くされ、さらに好ましくは開始時点の直前にされる。たとえば、洗浄剤330は、開始時点の数時間前、又は前日に散布される。また、洗浄剤330は、図10の処理ではステップS305で特定した太陽光発電モジュール300の受光面301のみに散布される。但し、この例示に限定されず、洗浄剤330は、全ての太陽光発電モジュール300の受光面301に散布されてもよい。
【0112】
天気予報情報に基づいて予測される直近の降雨が終了した後、第1飛行体1は、太陽光発電モジュール300の上空を飛行し、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301を撮像する(ステップS308)。なお、撮像の際、第1飛行体1が受光面301から大きく離れていると、受光面301の撮像データの解像度が低下する。そのため、第1飛行体1は、受光面301全体が撮像可能であるとともに第1飛行体1が太陽光発電モジュール300と接触しない程度に、受光面301に近い高度で飛行する。たとえば本実施形態では、第1飛行体1は、受光面301から鉛直上方に5m程度離れた高度を飛行する。
【0113】
第2レベル決定部465は、その撮影データに基づいて、ステップS302~S303と同様にして、各々の太陽光発電モジュール300の受光面301の第3測定画像を抽出し(ステップS309)、その汚れレベルを再び決定する(ステップS310)。この際、汚れレベルの決定は、全ての太陽光発電モジュール300に対して実施されてもよいし、ステップS307で洗浄剤330が散布された太陽光発電モジュール300に対してのみ実施されてもよい。
【0114】
そして、汚れ判定部466は、受光面301の汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300があるか否かを判定する(ステップS311)。なお、ステップS311における閾値は、ステップS304における閾値と同じであってもよいし異なっていてもよい。汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300がなければ(ステップS311でNO)、図10の処理は終了する。
【0115】
汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300があれば(ステップS311でYES)、汚れ判定部466は、汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300を特定し、汚れレベルが閾値以上であると判定された回数をカウントアップする。これらの結果は、記憶部45に記憶される。そして、汚れ判定部466は、ステップS311で特定された太陽光発電モジュール300において、汚れレベルが閾値以上であると判定された回数が所定回数以上であるか否かを判定する(ステップS312)。この回数が所定回数未満であれば(ステップS312でNO)、図10の処理は終了する。
【0116】
この回数が所定回数以上であれば(ステップS312でYES)、管理装置4は、太陽光発電モジュール300の管理者に報知を実施する(ステップS313)。こうすれば、管理者は、たとえば図10の洗浄手段では汚れを洗浄できない太陽光発電モジュール300があることを知ることができる。従って、任意のタイミングで手動での洗浄などを実施することにより、受光面301の汚れを除去して、太陽光発電モジュール300の出力低下を解消することができる。そして、図10の処理は終了する。
【0117】
なお、図10のステップS308~S313は、省略されてもよい。
【0118】
<4.汚れ検査装置を用いた汚れ度合いの検査>
次に、図11及び図12を参照して、汚れ検査装置2を用いた太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れ度合いの検査方法を説明する。
【0119】
図11は、汚れ検査装置2を用いた汚れ度合いの検査方法の一例を示す模式図である。図12は、汚れ検査装置2を用いた汚れ度合いの検査方法の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図11は、汚れ度合いを検査する際の太陽光発電モジュール300と汚れ検査装置2との位置関係を示す。図11において、太陽光発電モジュール300は、屋外に設置され、水平な地面Hpに対して鉛直上方に傾斜角θv傾けて設置されている。また、図11の破線は、太陽光発電モジュール300の受光面301の縦幅aの方向における中央と横幅bの方向における中央とを表している。
【0120】
図11及び図12に示す汚れ検査装置2を用いた汚れ度合いの検査では、受光面301の汚れ度合いを0~100に数値化して示す。この検査値は、清浄な受光面301では100であり、受光面301が汚れているほど小さくなる。
【0121】
図11及び図12に示す汚れ度合いの検査では、最初に、汚れ検査装置2を用いて汚れ度合いを検査する際に、まず、汚れ検査装置2にティーチングを行う。なお、ティーチングは、汚れ検査装置2に汚れ度合いの基準を設定する工程である。まず、受光面301上の基準領域L0及びその近傍が純水又は精製水で洗浄されて清浄にされる(ステップS401)。そして、基準領域L0上に汚れ検査装置2が載置され、入力部262のティーチング開始ボタンが押されることにより清浄な基準領域L0のRGBカラーの基準画像が撮像される(ステップS402)。汚れ算出部261は、基準画像に基づいてティーチングを実施する(ステップS403)。なお、ティーチングの具体的な内容は後に説明する。
【0122】
次に、ティーチングした汚れ検査装置2を用いて受光面301の汚れ度合いを検査する。この工程では、まず、受光面301上の検査領域L1上に汚れ検査装置2が載置されて、入力部262の検査開始ボタンが押されることにより検査領域L1のRGBカラーの検査画像が撮像される(ステップS404)。なお、検査領域L1での撮像は、1回でもよいし、複数回であってもよい。また、撮像された検査画像は、対応する太陽光発電モジュール300の識別情報及び検査日時などと紐づけられて、管理装置4に送信されてもよい。汚れ算出部261は、検査領域L1での検査画像に基づいて検査領域L1における汚れ度合いを数値化してその数値を算出する(ステップS405)。表示部271は、算出された数値をディスプレイに表示する。ユーザは、ディスプレイを見て、検査領域L1での汚れ度合いの数値を読み取ることができる。
【0123】
検査領域L2~L5でも、ステップS404~S406と同じ処理が実施される(ステップS406でNO)。なお、1個の受光面301における検査領域の数は、本実施形態では5箇所であるが、この例示に限定されず、1箇所であってもよいし、5以外の複数箇所であってもよい。
【0124】
全ての検査領域での検査が終了すると(ステップS406でYES)、各検査領域L1~L5での数値に基づいて、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れ度合いの検査値が算出される(ステップS407)。たとえば、全ての検査領域L1~L5での数値の平均値が検査値として算出される。この際、たとえば、予め汚れ検査装置2に検査箇所数を入力しておくことにより、制御部26にて全ての数値の平均値が算出されて表示部271に表示されてもよい。或いは、管理装置4にて全ての数値の平均値が算出されて、外部端末のディスプレイ(図示省略)に表示されてもよい。算出された検査値は、対応する太陽光発電モジュール300の識別情報及び検査日時などと紐づけられて、管理装置4に送信される(ステップS408)。或いは、検査値は、手動で管理装置4に入力されてもよい。
【0125】
なお、図12では、ティーチングは、汚れ度合いを検査する検査対象の太陽光発電モジュール300を使って実施している。但し、この例示に限定されず、ティーチングは、検査対象とは異なる太陽光発電モジュールを使って実施されてもよい。この場合、ティーチングが実施される太陽光発電モジュールは、好ましくは、汚れ度合いを検査する検査対象の太陽光発電モジュール300と同じ又は類似する構成とされる。さらに、ティーチングは、汚れ度合いの検査前に、検査対象の太陽光発電モジュール300が設置場所とは異なる場所で予め実施されていてもよい。或いは、ティーチングは、検査毎に実施されなくてもよく、以前の検査で使用したティーチングの設定がそのまま使用されてもよい。
【0126】
<5.汚れ度合いの数値化>
次に、汚れ度合いの数値化の手法の実施例とその変形例とを説明する。本実施形態では、汚れ検査装置2を用いた汚れ度合いの検査値、及び第1飛行体1の撮像データに基づく汚れ度合いの測定値(第1測定値、第2測定値、第3測定値などを含む)は、同じ手法で数値化される。
【0127】
なお、測定値の数値化には、検査値の数値化に用いられるティーチングの設定を使用できる。或いは、測定値の数値化に用いるティーチングの設定は、汚れ度合いを検査する検査対象の太陽光発電モジュール300と同じ又は類似する構成の太陽光発電モジュール300の清浄な受光面301を用いて実施されてもよい。この際、測定値の数値化に用いるティーチングの設定は、測定値の算出に用いる撮像データと同じ撮像条件で撮像した撮像データに含まれる基準画像を用いて、検査値の数値化に用いられるティーチングの設定と同様に実施される。本実施形態では、検査値の数値化に用いられるティーチングの設定は汚れ検査装置2の汚れ算出部261で実施され、測定値の数値化に用いられるティーチングの設定は管理装置4の第1レベル決定部463で実施される。但し、検査値の数値化が第1レベル決定部463で実施される場合、両者はともに第1レベル決定部463で実施される。
【0128】
また、以下では、検査値及び測定値を「(汚れ度合いの)数値」と呼び、検査画像及び測定画像(第1測定画像、第3測定画像、第3測定画像などを含む)を数値化用画像と呼ぶ。
【0129】
<5-1.実施例>
まず、図13図14Bを挙げて、汚れ度合いの数値化の手法の実施例を説明する。図13は、実施例における汚れ度合いの数値化の手法を説明するためのフローチャートである。図14Aは、実施例における基準画像の色空間の一例である。図14Bは、数値化用画像の色空間の一例である。なお、図14Aにおいて、黒丸印は基準画像の画素Paである。図14Bにおいて、丸印は数値化用画像の画素Pbである。また、図14A及び図14Bでは、図を見易くするため、図示する画素Pa、Pbの数を実際よりも大幅に少なくしている。
【0130】
色空間は、色成分R(Red)の大きさ、色成分G(Green)の大きさ、及び、色成分B(Blue)の大きさで色相を表す3次元の仮想空間である。以下では、色成分R(Red)の大きさをR成分値と呼ぶ。また、色成分G(Green)の大きさをG成分値とよび、色成分B(Blue)の大きさをB成分値と呼ぶ。色空間における色相の色座標(R、G、B)は、R成分値、G成分値、及びB成分値で表される。本実施形態では、演算負荷を考慮して、各色成分値を16階調(つまり0~15)で表している。但し、各色成分値の階調数は、この例示に限定されない。たとえば、階調数は、256であってもよい。
【0131】
まず、ティーチングの設定が実施される。図14Aに示すように、基準画像の各画素PaのR成分値、G成分値、及びB成分値が算出され、各々の色成分値が色座標(R、G、B)とする画素Paを色空間にそれぞれ描画される(ステップS501)。汚れ算出部261は、所定の半径rを有する球状の領域を基準画像の色空間内に描画する(ステップS502)。以下では、基準色範囲である球状の領域を基準球Saと呼ぶ。基準球Saの半径rは、本実施形態では4階調にしている。但し、この例示に限定されず、半径rは4以外であってもよい。
【0132】
そして、最も多くの画素を内部に含む基準球Saの中心となる基準色座標(Ra、Ga、Ba)と、基準球Sa内の基準画素数mとが検出されて記憶される(ステップS503)る。基準画像の色空間において基準球Saは各軸方向に動かされ、基準球Sa内に色座標(R、G、B)がある基準画像の画素Paの数が最大となるように基準球Saの位置が決定される。さらに、基準球Sa内に色座標(R、G、B)がある基準画像の画素Paが検出される。以下では、基準球Sa内にある画素Paを基準画素Pamと呼び、基準画素Pamの数を基準画素数mと呼ぶ。基準画素数mは、正の整数であり、1より大きく且つ基準画像を構成する画素の総数以下である。より具体的には、最も多くの基準画素Pamが基準球Saの内部に含まれる際の基準球Saの中心となる基準色座標(Ra、Ga、Ba)が検出される。つまり、基準色座標(Ra、Ga、Ba)は、基準画像の色空間において、基準色座標(Ra、Ga、Ba)を中心とする所定の大きさの基準球Sa内に色座標(R、G、B)がある基準画素数mが最大となるようにされる。さらに、基準画素数mも検出される。そして、ティーチングの設定が終了する。
【0133】
次に、数値化用画像を用いて、汚れ度合いの数値化が実施される。図14Bに示すように、数値化用画像の各画素PbのR成分値、G成分値、及びB成分値が算出され、各々の色成分値を色座標(R、G、B)とする画素Pbが数値化用画像の色空間にそれぞれ描画される(ステップS504)。さらに、基準色座標(Ra、Ga、Ba)に中心が位置する半径rの基準球Saが、数値化用画像の色空間内に描画され(ステップS505)。基準球Sa内に色座標(R、G、B)がある数値化用画像の画素Pbが検出され、基準球Sa内にある画素Pbの数が検出される(ステップS506)。本実施形態では、基準球Sa内にある各々の画素Pbのカウント値は、1個の画素Pbに対して1である。以下では、基準球Sa内にある画素Pbを範囲内画素Pbnと呼び、範囲内画素Pbnの数を範囲内画素数nと呼ぶ。範囲内画素数nは、正の整数であり、1より大きく且つ数値化用画像を構成する画素の総数以下である。
【0134】
そして、基準画素数m及び範囲内画素数nに基づいて、汚れ度合いが算出される。たとえば、基準画素数mに対する範囲内画素数nの比率が、汚れ度合いの数値として算出される(ステップS507)。本実施形態では、範囲内画素数nを基準画素数mで割った値の百分率が、数値化用画像に基づく汚れ度合いの数値とされる。なお、測定値を0~100の範囲内とするため、範囲内画素数nが基準画素数mよりも大きい場合(つまり百分率が100を越える場合)、数値化用画像に基づく汚れ度合いの数値は100とされる。
【0135】
以上に説明した、汚れ度合いの数値化の手法によれば、基礎画像と数値化用画像とが受光面301の異なる箇所を撮像した画像であっても、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れ度合いを精度良く数値化することができる。
【0136】
<5-2.第1変形例>
上述の実施例ではティーチングの際、たとえば、基準画像の色空間内において基準球Saを各軸方向に1階調ずつ移動させて、その都度、基準球Sa内にある基準画素数mを検出する。但し、この手法では、たとえば各色成分値の階調数の3乗(本実施形態では163)回の検出処理を行うことになるため、演算負荷が高くなり易い。さらに、各色成分値の階調数が多いほど、演算負荷は大幅に増大する。このような演算負荷を軽減するため、第1変形例では、以下に説明する手法で汚れ度合いの数値を算出する。以下では、前述の実施例と異なる構成を説明する。また、前述の実施例と同様の構成要素には同じ符号を付し、さらに、前述の実施例と同様の構成の説明を省略することがある。
【0137】
図15は、第1変形例における汚れ度合いの数値化の手法を説明するためのフローチャートである。図16は、第1変形例における基準画像の色空間の一例である。なお、図16において、黒丸印は基準画像の画素Paである。また、図16では、図を見易くするため、図示する画素Pa及び後述する測定球Sbの数を実際よりも大幅に少なくしている。
【0138】
まず、ティーチングの設定が実施される。第1変形例では、図16に示すように、基準画像の各画素PaのR成分値、G成分値、及びB成分値が算出され、各々の色成分値を色座標(R、G、B)とする画素Paが色空間にそれぞれ描画される(ステップS601)。
【0139】
そして、基準画像の基準球Sa内に色座標(R、G、B)がある基準画素数mが最大となるように基準球Saを決定するため、ステップS602~S603が実施される。まず、基準画像の各々の画素Paの色座標(R、G、B)を中心とする球状の領域(以下、測定球Sbと呼ぶ。)が、基準画像の色空間にそれぞれ描画される(ステップS602)。測定球Sbの半径は、上述する実施例の基準球Saの半径rと同じである。図16の色空間における最多重領域Ar(図16の斜線で示す領域)が算出され、最多重領域Arに基づいて基準色座標(Rb、Bb、Gb)が決定される(ステップS603)。なお、最多重領域Arは、図16の色空間において、基準画像の各々の画素の色座標(R、G、B)を中心とする所定の大きさの測定球Sbの重なりが最も多い領域である。また、基準色座標(Ra、Ga、Ba)は、たとえば、最多重領域Arを含む基準球Saに対応する画素Paの色座標(R、G、B)を平均することで算出できる。また、基準色座標(Ra、Ga、Ba)を算出する際に最多重領域Arが複数ある場合、たとえば、そのうちのいずれかの最多重領域Arの基準色座標が、基準球Saの中心として採用されてもよい。或いは、複数の最多重領域Arの各基準色座標を平均した色座標が、基準球Saの中心として採用されてもよい。
【0140】
次に、基準色座標(Rb、Bb、Gb)を中心とする半径rの基準球Saが、基準画像の色空間に描画される(ステップS604)。そして、基準画像から基準球Sa内にある基準画素Pamがそれぞれ検出され、基準球Saの内部に含まれる基準画素数mが検出される(ステップS606)。
【0141】
以降のステップS606~S609はそれぞれ、実施例(図13)のステップS504~S507と同じであるため、その説明を省略する。
【0142】
第1変形例の手法では、ティーチングの際に基準色座標(Ra、Ga、Ba)を決定する際、基準画像の色空間において基準球Saを各軸方向に動かす必要が無い。そのため、実施例と比べて、演算負荷を大幅に軽減することができる。
【0143】
<5-3.第2変形例>
上述の実施例及び第1変形例では、受光面301を覆う汚れの色相は考慮していない。しかしながら、実際には、汚れの色相は、太陽光発電モジュール300の出力の変動に大きく影響する。たとえば、色相を考慮しない汚れ度合いが同程度であっても、汚れの色が黒に近いほど、出力の低下はより大きくなる。一方、汚れの色が白に近いほど、出力の低下は軽減される。そこで、第2変形例では、実施例又は第1変形例で算出した汚れ度合いの数値を汚れの色相を考慮して補正した補正数値を算出する。以下では、前述の実施例と異なる構成を説明する。また、前述の実施例と同様の構成要素には同じ符号を付し、さらに、前述の実施例と同様の構成の説明を省略することがある。
【0144】
第2変形例では、数値化用画像の各々の画素の色座標(R、G、B)と、基準色座標(Ra、Ga、Ba)と、数値化用画像の各々の画素の色座標(R、G、B)に対応する色成分別の補正値Nr、Ng、Nbとに基づいて、受光面301の汚れ度合いの補正数値が算出される。色成分別の補正値Nr、Ng、Nbはそれぞれ、数値化用画像の各々の画素Pbの色座標(R、G、B)に対応して設定されている。色成分別の補正値Nr、Ng、Nbの設定情報は、たとえばメモリ25、記憶部45に記憶されている。
【0145】
具体的には、色成分別の補正値Nr、Ng、Nbはそれぞれ、数値化用画像の色空間において基準球Sa内にある画素(つまり範囲内画素Pbn)の色座標(R、G、B)に対応する色成分別の補正値Nrn、Ngn、Nbnを含む。各々の範囲内画素Pbnのカウント値は、色成分別の補正値Nrn、Ngn、Nbnによって補正される。補正後のカウント値を用いて、汚れ度合いの補正数値が算出される。なお、以下では、各々の範囲内画素Pbnの補正後のカウント値を補正カウント値naと呼ぶ。
【0146】
たとえば、範囲内画素PbnのR成分値に対応する補正値Nrnは、R成分値が最大の階調値(たとえば15)に近いほどより小さく設定され、R成分値が最大の階調値の場合に最小値(たとえば1より小さい値)に設定される。一方、補正値Nrnは、R成分値が最小の階調値(たとえば0)に近いほどより大きく設定され、R成分値が最小の階調値の場合に最大値(たとえば1より大きい値)に設定される。
【0147】
範囲内画素Pbnの他の色成分別の補正値Ngn、Nbnも同様である。たとえば、範囲内画素PbnのG成分値に対応する補正値Ngnは、G成分値が最大の階調値(たとえば15)に近いほどより小さく設定され、G成分値が最大の階調値の場合に最小値(たとえば1より小さい値)に設定される。一方、補正値Ngnは、G成分値が最小の階調値(たとえば0)に近いほどより大きく設定され、G成分値が最小の階調値の場合に最大値(たとえば1より大きい値)に設定される。
【0148】
また、範囲内画素PbnのB成分値に対応する補正値Nbnは、B成分値が最大の階調値(たとえば15)に近いほどより小さく設定され、B成分値が最大の階調値の場合に最小値(たとえば1より小さい値)に設定される。一方、補正値Nbnは、B成分値が最小の階調値(たとえば0)に近いほどより大きく設定され、B成分値が最小の階調値の場合に最大値(たとえば1より大きい値)に設定される。
【0149】
これらの色成分別の補正値Nrn、Ngn、Nbnは、たとえば、太陽光発電モジュール300の太陽電池セル材料のバンドギャップ、受光面301に入射する光の色相に応じた光反射率などに基づいて設定できる。
【0150】
次に、図17を挙げて、第2変形例における汚れ度合いの数値化の手法の実施例を説明する。図17は、第2変形例における汚れ度合いの数値化の手法を説明するためのフローチャートである。なお、図17のステップS701~S706は、実施例(図13)のステップS501~S506と同様である。そのため、これらの説明は省略する。
【0151】
ステップS706では、基準球Saに含まれるn個の範囲内画素Pbnが検出される。そして、色成分別の補正値Nr、Ng、Nbの設定情報を参照して、各々の範囲内画素Pbnの色成分別の補正値Nrn、Ngn、Nbnがそれぞれ決定される(ステップS707)。そして、ステップS703で検出した基準画素数m、ステップS706で検出した範囲内画素数n、及び、各々の範囲内画素Pbnの色成分別の補正値Nrn、Ngn、Nbnに基づいて、数値化用画像に基づく汚れ度合いの補正数値が算出される(ステップS708)。
【0152】
つまり、S708では、数値化用画像の各々の画素Pbの色座標(R、G、B)と、基準色座標(Ra、Ga、Ba)と、数値化用画像の各々の画素Pbの色座標(R、G、B)に対応する色成分別の補正値Nr、Ng、Nbとに基づいて、受光面301の汚れ度合いの補正数値が算出される。言い換えると、数値化用画像の各々の画素Pbの色座標(R、G、B)と、基準色座標(Ra、Ga、Ba)とに基づく受光面301の汚れ度合いの数値を、さらに数値化用画像の各々の画素Pbの色座標(R、G、B)に対応する色成分別の補正値Nr、Ng、Nbに基づいて補正した補正数値が算出される。
【0153】
たとえば、まず、各々の範囲内画素Pbnの補正カウント値na=(Nrn×Ngn×Nbn)が算出される。補正カウント値naは、前述のごとく、汚れの色相を考慮して、各々の範囲内画素Pbnのカウント値を補正した値である。なお、実施例のように、汚れの色相を考慮しない場合、各々の範囲内画素Pbnのカウント値は1である。
【0154】
さらに、n個の範囲内画素Pbnにおける補正カウント値naの総和Σna={(Nr1×Ng1×Nb1)+(Nr2×Ng2×Nb2)+・・・+(Nrn×Ngn×Nbn)}が算出される。
【0155】
そして、補正カウント値naの総和Σnaの基準画素数mに対する比率{(Σna)/m}により汚れ度合いを算出する。第2実施形態では、百分率{100×(Σna)/m}が、数値化用画像に基づく汚れ度合いの数値とされる。なお、百分率が100を越える場合、数値化用画像に対する汚れ度合いの数値は100とされる。
【0156】
上述のように第2変形例では、色相を考慮しない汚れ度合いの数値を色成分別の補正値Nrn、Ngn、Nbnを用いて補正することにより、太陽光発電モジュール300の発電電力の変動に対する受光面301を覆う汚れの色相の影響を考慮できる。従って、受光面301の汚れ度合いをより正確に検出できる。
【0157】
<5-4.第3変形例>
なお、補正数値を算出する際、ティーチングの際の演算負荷を軽減するため、図15(つまり第1変形例)と同様の手法が採用されてもよい。図18は、第3変形例における汚れ度合いの数値化の手法を説明するためのフローチャートである。図18のステップS801~S808は、第1変形例(図15)のステップS601~S608と同様である。さらに、図18のステップS809~S810は、第2変形例(図17)のステップS707~S708と同様である。そのため、これらの説明は省略する。
【0158】
<5-5.他の変形例>
上述の例示では、色座標を表す色空間として、RBG表色系の色空間を例示した。但し、本発明の適用範囲は、これらの例示に限定されない。色空間は、RGB表色系以外であってもよい。つまり、検査画像、及び第1飛行体1の撮像データは、本実施形態のようにRBG表色系のカラー映像であってもよいし、RBG表色系以外のカラー映像であってもよい。たとえば、色空間は、CIE表色系であってもよい。このようなCIE表色系の色空間としては、たとえば、XYZ表色系、xyY表色系、L*u*v*表色系、又は、L*a*b*表色系などを採用できる。或いは、色空間は、CMY空間、HSV空間、又は、HLS空間などであってもよい。なお、CMY空間では、色座標(C,M,K)は、C成分値、M成分値、及びK成分値で表される。C成分値は、画像の画素の色成分C(シアン;cyan)の大きさを表す。M成分値は、画像の画素の色成分マゼンタ(magenta)の大きさを表す。K成分値は、画像の画素の色成分K(黒;black)の大きさを表す。また、HSV空間では、色座標(H,S,V)は、画像の画素の色相値H、彩度値S、及び、明度Vで表される。また、HLS空間では、色座標(H,L,S)は、画像の画素の色相値H、輝度値L、及び、彩度値Sで表される。
【0159】
<6.第2実施形態>
上述の第1実施形態では、受光面301の汚れレベルは、第1飛行体1の撮像データから決定される。但し、第1実施形態の例示に限定されず、受光面301の汚れレベルは、たとえばモニタ装置6の撮像データから決定されてもよい。以下では、第1実施形態と異なる構成を説明する。また、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、さらに、第1実施形態と同様の構成の説明を省略することがある。
【0160】
図19は、汚れ測定システム100の他の構成例を示す概念図である。図19に示すように、第2実施形態に係る汚れ測定システム100は、汚れ検査装置2と、第2飛行体3と、管理装置4と、モニタ装置6と、を備える。
【0161】
モニタ装置6は、測定対象の近傍に配置され、測定対象の被測定面を撮像する。たとえば、図19では、モニタ装置6は、太陽光発電モジュール300の近傍に配置され、受光面301を撮像する。
【0162】
モニタ装置6は、支柱61と、撮像部62と、を備える。支柱61は、撮像部62を支持する。たとえば、支柱61の基部は、水平方向において太陽光発電モジュール300の近傍に配置され、上方に延びる。支柱61のアームは、基部の先端からの水平方向に延びる。撮像部62は、アームの先端に取り付けられる。
【0163】
撮像部62は、測定対象から被測定面の法線方向に離れた位置に配置され、測定対象の被測定面を撮像する。汚れ測定システム100は、撮像部62を備える。たとえば図19では、モニタ装置6は、太陽光発電モジュール300の上方に配置され、その矩形の受光面301を撮像する。撮像部62の撮像データは、動画像であってもよいし、静止画像であってもよい。また、撮像部62は、複数の太陽光発電モジュール300の受光面301を同じ視野で撮像するが、単数の太陽光発電モジュール300の受光面301を1つの視野で撮像してもよい。ここでの「視野」とは、撮像部62により撮像される範囲を意味する。撮像データは、対応する太陽光発電モジュール300の識別情報及び撮像日時などと紐付けられて管理装置4に送信される。
【0164】
撮像部62の光軸は、固定されていてもよい。たとえば、撮像部62は、定点カメラであってもよく、撮像部62の鉛直下方を撮像してもよい。但し、この例示に限定されず、撮像部62の光軸は、鉛直方向と斜めに交差してもよいし、可変であってもよい。たとえば、撮像部62は、首振り機能を有する監視カメラであってもよく、光軸のチルト機構を有してもよい。チルト機構は、管理装置4からの撮像指令、撮像プログラムなどに基づいて、光軸の向きを変更できる。撮像部62は、常に被測定面を撮像してもよいし、予め設定されたタイミング又は遠隔操作により被測定面を撮像してもよい。
【0165】
測定対象の近傍に配置されたモニタ装置6を用いることにより、撮影用の飛行体を飛ばすことなく、常時又は所望のタイミングで測定対象の被測定面の汚れレベルを簡便に測定できる。
【0166】
なお、図19では、汚れ測定システム100の測定対象は、たとえばメガソーラー発電所などに設置された太陽光発電モジュール300である。但し、汚れ測定システム100の測定対象は、この例示に限定されない。つまり、汚れ測定システム100は、太陽光発電モジュール300の受光面301以外に、汚れが経時的に蓄積される被測定面の汚れレベルを測定してもよい。たとえば、被検査面は、テーブル又は机の天板の表面、車両のガラス表面、建築物の外壁の表面又は床面などであってもよい。
【0167】
<7.まとめ>
<7-1.汚れ測定システム>
以上に説明した汚れ測定システム100は、撮像部14,62と、汚れ検査装置2(検査装置)と、管理装置4(汚れ測定装置)と、を備える。撮像部14,62は、太陽光発電モジュール300(測定対象)の受光面301(被測定面)を撮像する。汚れ検査装置2は、受光面301上に載置されて受光面301の汚れ度合いを検査する。管理装置4は、撮像部14,62の撮像データと汚れ検査装置2の検査結果とを用いて受光面301の汚れレベルを決定する。
【0168】
こうすれば、汚れ検査装置2の検査結果を基準にして、撮像部14,62の撮像データから受光面301の汚れレベルを決定できる。従って、汚れ検査装置2で受光面301の汚れ度合いを検査しておけば、以降は、撮像部14,62の撮像データから受光面301の汚れレベルをその都度、決定できる。よって、汚れ測定システム100は、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れを効率的且つ精度良く測定することができる。
【0169】
汚れ測定システム100は、太陽光発電モジュール300(測定対象)の上空を飛行する第1飛行体1をさらに備えてもよい。撮像部14は、第1飛行体1に搭載されてもよい。こうすれば、太陽光発電モジュール300が複数あっても、それらの上空を飛行する第1飛行体1に搭載された撮像部14によって、それらの受光面301を撮像できる。そして、その撮像データから受光面301の汚れレベルを決定できる。よって、汚れ測定システム100は、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れをより効率的に測定することができる。
【0170】
或いは、撮像部62は、太陽光発電モジュール300(測定対象)から受光面301(被測定面)の法線方向に離れた位置に配置されてもよい。こうすれば、常時又は所望のタイミングで太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れレベルを簡便に測定できる。
【0171】
汚れ検査装置2は、ハウジング21と、カメラ24(撮像装置)と、を有する。ハウジング21は、受光面301のうちの少なくとも一部領域Apを覆う。カメラ24は、少なくとも一部領域Apの検査画像を撮像する。汚れ検査装置2及び管理装置4のうちの一方は、検査画像に基づいて汚れ度合いの検査値を算出する汚れ算出部261を有する。また、管理装置4は、第1レベル決定部463と、第2レベル決定部465と、学習部464と、を有する。第1レベル決定部463と、検査画像に対応する受光面301の第1汚れレベルを検査値から決定する。第2レベル決定部465と、撮像データから受光面301の汚れレベルを推定する分類器4651を有する。学習部464は、第1汚れレベル及び第1撮像データを用いて分類器4651を機械学習させる。第1撮像データは、汚れ検査装置2による受光面301の検査と同じ時間帯に撮像部14,62により撮像された撮像データである。第2撮像データは、第1撮像データの撮像時以降に撮像された撮像部14,62の撮像データである。第2レベル決定部465は、機械学習された分類器4651を用いて、第2撮像データから受光面301の第2汚れレベルを決定する。
【0172】
汚れ検査装置2の検査値に基づく第1汚れレベル及び上述の第1撮像データを用いて機械学習された分類器4651を用いることにより、分類器4651が第2撮像データから推定する第2汚れレベルを、受光面301上に載置した汚れ検査装置2の検査値から決定した場合の汚れレベルに近づけることができる。従って、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れをより精度良く測定することができる。
【0173】
さらに、管理装置4(汚れ測定装置)は、検出器4621を有する画像処理部462をさらに有する。検出器4621は、撮像部14,62の撮像データに含まれるフレーム画像(静止画像)における受光面301(被測定面)の角部の位置P1~P4を検出する。学習部464は、受光面301の学習用画像と、学習用画像における角部の位置データとを用いて検出器4621を機械学習させる。画像処理部462は、機械学習された検出器4621がフレーム画像における角部を検出した結果に基づいてフレーム画像から受光面301の測定画像を抽出する。第1測定画像は、機械学習された検出器4621が上記の第1撮像データに含まれる第1静止画像における角部を検出した結果に基づいて、第1静止画像から抽出された被測定面の測定画像である。第2測定画像は、機械学習された検出器4621が第2撮像データに含まれる第2静止画像における角部を検出した結果に基づいて、第2静止画像から抽出された受光面301の測定画像である。学習部464は、第1測定画像及び第1汚れレベルを用いて分類器4651を機械学習させる。第2レベル決定部465は、機械学習された分類器4651を用いて、第2測定画像から被測定面の第2汚れレベルを決定する。
【0174】
機械学習された検出器4621を用いることにより、画像処理部462は、撮像部14,62の撮像データに含まれる静止画像における受光面301の角部の位置P1~P4をより正確に検出できる。従って、汚れレベルの決定に用いられる受光面301の測定画像をより正確に撮像部14,62の撮像データから抽出することができる。たとえば、第1汚れレベルの決定に用いられる第1測定画像をより正確に第1撮像データから抽出できる。また、第2汚れレベルの決定に用いられる第2測定画像をより正確に第2撮像データから抽出できる。
【0175】
また、汚れ測定システム100は、洗浄剤330を散布する第2飛行体3をさらに備える。管理装置4は、汚れレベルが閾値以上であるか否かを判定する汚れ判定部466を有する。汚れレベルが閾値以上であれば、第2飛行体3は、太陽光発電モジュール300の上空を飛行して、その受光面301に洗浄剤330を散布する。
【0176】
こうすれば、受光面301の汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300があれば、その受光面301に洗浄剤330を自動的に散布できる。洗浄剤330を手動で散布しなくてもよいので、受光面301を洗浄する際の作業性が向上する。また、受光面301に洗浄剤330を散布しておくことにより、たとえば太陽光発電モジュール300が設置された地域に雨が降れば、雨粒によって受光面301の汚れを自動的に自然洗浄できる。従って、必ずしも洗浄用の水を必要としないので、水源及び給水設備を確保し難い地域に太陽光発電モジュール300が設置されていても、太陽光発電モジュール300の受光面301を洗浄できる。
【0177】
さらに、汚れ判定部466は、汚れレベルが閾値以上である受光面301を特定できる。第2飛行体3は、汚れ判定部466により特定された受光面301に洗浄剤330を散布する。
【0178】
こうすれば、汚れレベルが閾値以上である受光面301に、洗浄剤330を自動で散布できる。また、汚れレベルが閾値未満である受光面301には、洗浄剤330を散布しないようにできる。従って、受光面301の洗浄を効率良く実施でき、その作業性を向上できる。
【0179】
管理装置4は、太陽光発電モジュール300が設置された場所を含む地域の天気予報情報を取得する天候予測部467をさらに有する。天候予測部467は、汚れレベルが決定された第1時点よりも後に、この地域での降雨が開始する第2時点を天気予報情報に基づいて特定する。第2飛行体3は、第3時点において洗浄剤330を散布する。なお、第3時点は、第1時点よりも後であるとともに、第2時点よりも前である。
【0180】
こうすれば、天気予報情報に基づいて第3時点を適切に決定できる。たとえば、太陽光発電モジュール300が設置された場所で雨が降り始める前の適切なタイミングで洗浄剤330を散布することができる。従って、雨粒によって、受光面301の汚れを洗浄剤330とともに洗い流すことができる。
【0181】
撮像部14,62は、好ましくは、一日のうちの早朝及び夕方のうちの少なくとも一方において、受光面301を撮像する。及び/又は、撮像部14,62は、好ましくは、曇天時における受光面301を撮像する。
【0182】
こうすれば、受光面301における太陽光の反射を少なくすることができる。従って、撮像部14,62の撮像データのコントラストを高くでき、撮像部14,62は、汚れ度合いに応じた受光面301の色相、彩度、明度などの変化をより鮮明に撮像できる。よって、撮像部14,62の撮像データから受光面301の汚れをさらに精度良く測定することができる。
【0183】
<7-2.汚れ測定方法>
以上に説明した汚れ測定方法は、撮像部14,62によって太陽光発電モジュール300(測定対象)の受光面301(被測定面)が撮像されるステップと、受光面301上に載置される汚れ検査装置2(検査装置)によって受光面301の汚れ度合いが検査されるステップと、撮像部14,62の撮像データから受光面301の汚れレベルが決定されるステップと、を備える。
【0184】
こうすれば、汚れ検査装置2の検査結果を基準にして、受光面301の汚れレベルを決定できる。従って、汚れ検査装置2で受光面301の汚れ度合いを検査しておけば、以降は、撮像部14,62の撮像データから受光面301の汚れレベルをその都度、決定できる。よって、汚れ測定システム100は、太陽光発電モジュール300の受光面301の汚れを効率的且つ精度良く測定することができる。
【0185】
また、汚れ測定方法は、汚れレベルが閾値以上であるか否かが判定されるステップと、洗浄剤330が散布されるステップと、をさらに備える。洗浄剤330が散布されるステップでは、汚れレベルが閾値以上であれば、太陽光発電モジュール300の上空を飛行する第2飛行体3により、太陽光発電モジュール300の受光面301に洗浄剤330が散布される。
【0186】
こうすれば、受光面301の汚れレベルが閾値以上の太陽光発電モジュール300があれば、その受光面301に洗浄剤330を自動的に散布できる。洗浄剤330を手動で散布しなくてもよいので、受光面301の洗浄する際の作業性が向上する。また、受光面301に洗浄剤330を散布しておくことにより、たとえば太陽光発電モジュール300が設置された地域に雨が降れば、雨粒によって受光面301の汚れを自然洗浄できる。従って、必ずしも洗浄用の水を必要としないので、水源及び給水設備を確保し難い地域に太陽光発電モジュール300が設置されていても、太陽光発電モジュール300の受光面301を洗浄できる。
【0187】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0188】
100・・・汚れ測定システム、1・・・第1飛行体、10・・・ローター、11・・・駆動部、12・・・無線通信部、13・・・位置検出部、14・・・撮像部、15・・・メモリ、16・・・制御部、17・・・バッテリー、2・・・汚れ検査装置、21・・・ハウジング、211・・・開口、22・・・照明部、221・・・基体、222・・・LEDアレイ、23・・・照明駆動部、24・・・カメラ、25・・・メモリ、26・・・制御部、261・・・汚れ算出部、271・・・表示部、272・・・入力部、28・・・通信部、29・・・バッテリー、291・・・外部電源端子、3・・第2飛行体、30・・・ローター、31・・・駆動部、32・・・無線通信部、33・・・位置検出部、330・・・洗浄剤、331・・・タンク、332・・・散布器、35・・・メモリ、36・・・制御部、37・・・バッテリー、4・・・管理装置、41・・・表示部、42・・・操作部、43・・・通信部、44・・・ネットワーク接続部、45・・・記憶部、46・・・制御部、461・・・飛行制御部、462・・・画像処理部、621・・・検出器、463・・・第1レベル決定部、464・・・学習部、465・・・第2レベル決定部、4651・・・分類器、466・・・汚れ判定部、467・・・天候予測部、468・・・計時部、6・・・モニタ装置、61・・・撮像部、62・・・支柱、NT・・・ネットワーク、300・・・太陽光発電モジュール、301・・・受光面
【要約】
【課題】測定対象の被測定面の汚れを効率的に測定する。
【解決手段】測定対象の被測定面の汚れレベルを測定する汚れ測定システムは、撮像部と、検査装置と、汚れ測定装置と、を備える。撮像部は、測定対象の被測定面を撮像する。検査装置は、被測定面上に載置されて被測定面の汚れ度合いを検査する。汚れ測定装置は、撮像部の撮像データと前記検査装置の検査結果とを用いて被測定面の汚れレベルを決定する。
【選択図】図1
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図7A
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