(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】リモコン及びトイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20220217BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
E03D9/08 Z
E03D9/08 A
E03D9/08 B
H04Q9/00 301D
(21)【出願番号】P 2017172008
(22)【出願日】2017-09-07
【審査請求日】2020-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2016189832
(32)【優先日】2016-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】前野 孝司
(72)【発明者】
【氏名】濱福 俊成
(72)【発明者】
【氏名】岡松 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-181857(JP,A)
【文献】特開2004-092054(JP,A)
【文献】特開2002-106031(JP,A)
【文献】特開2004-087995(JP,A)
【文献】特開2006-104753(JP,A)
【文献】特開2001-348933(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0021829(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレブースに設置され使用者の局部を洗浄するノズルおよび使用者が着座する暖房便座の少なくともいずれかを有するトイレ装置本体を遠隔操作可能なトイレ装置用のリモコンであって、
前記トイレブースに設置され前記トイレ装置本体を遠隔操作可能な本体リモコンに備えられていない操作スイッチを備え
、
前記本体リモコンよりも少ない操作回数による前記トイレ装置本体の操作が可能であることを特徴とするトイレ装置用のリモコン。
【請求項2】
前記リモコンは、複数の前記トイレ装置本体を操作可能であることを特徴とする請求項
1に記載のリモコン。
【請求項3】
前記リモコンは、前記本体リモコンと通信可能であることを特徴とする請求項
1に記載のリモコン。
【請求項4】
前記リモコンは、複数の前記本体リモコンと通信可能であることを特徴とする請求項
2に記載のリモコン。
【請求項5】
前記リモコンは、前記リモコンと前記トイレ装置本体との間で通信が行われたことを報知することを特徴とする請求項
2または
4に記載のリモコン。
【請求項6】
前記リモコンは、前記トイレ装置本体の電源スイッチを備えたことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1つに記載のリモコン。
【請求項7】
前記リモコンは、水に浮くことを特徴とする請求項1~
6のいずれか1つに記載のリモコン。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1つに記載のリモコンと、
前記
本体リモコ
ンと、
前記トイレ装置本体と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項9】
前記トイレ装置本体は、前記リモコンによって電源オフの状態とされてから、一定時間経過後に電源オンの状態となることを特徴とする請求項
8に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、リモコン及びトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パブリック現場のトイレブースに設置されたトイレ装置は、使用者の局部に向けて洗浄水を噴射したり、使用者が着座する便座を温めたりするトイレ装置本体を有する。また、トイレ装置は、トイレ装置本体の設定や動作を操作するための本体リモコンを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パブリック現場に設置されたトイレ装置では、管理者は、季節毎に洗浄水の温度や便座の温度などの各種設定を、トイレブースに設置された本体リモコンの特殊操作によって行う。このような特殊操作は、管理者にとって大きな手間となる。特に、パブリック現場のように複数のトイレブースが連設されている場合には、複数のトイレブースの1つ1つにおいて、特殊操作による設定が行われるため、管理者の作業負担が大きい。
【0005】
また、管理者(清掃者)は、トイレ装置本体を掃除するときに、トイレ装置本体の電源プラグを抜いて、電源をオフにする。複数のトイレブースが連接されたパブリック現場では、複数のトイレブースの1つ1つにおいて管理者が電源プラグを抜くことになるため、作業負担が大きい。また、パブリック現場によっては、トイレ装置本体の盗難防止等の観点から、電源プラグを簡単に抜くことが出来ない場合もある。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、管理者の作業負担を軽減することができるリモコン及びトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、トイレブースに設置され使用者の局部を洗浄するノズルおよび使用者が着座する暖房便座の少なくともいずれかを有するトイレ装置本体を遠隔操作可能なトイレ装置用のリモコンであって、前記トイレブースに設置され前記トイレ装置本体を遠隔操作可能な本体リモコンに備えられていない操作スイッチを備えたことを特徴とするトイレ装置用のリモコンである。
【0008】
このリモコンによれば、パブリック現場において、管理者は、本体リモコンを操作せずにリモコンを用いて、トイレ装置本体の設定変更などを簡単に行うことができる。そのため、管理者の作業負担を軽減することができる。
【0009】
第2の発明は、トイレブースに設置され使用者の局部を洗浄するノズルおよび使用者が着座する暖房便座の少なくともいずれかを有するトイレ装置を遠隔操作可能なトイレ装置用のリモコンであって、前記トイレブースに設置され前記トイレ装置本体を遠隔操作可能な本体リモコンが行うことができない前記トイレ装置本体の操作、および、前記本体リモコンよりも少ない操作回数による前記トイレ装置本体の操作、の少なくともいずれかが可能であることを特徴とするトイレ装置用のリモコンである。
【0010】
このリモコンによれば、パブリック現場において、管理者は、本体リモコンを操作せずにリモコンを用いて、トイレ装置本体の設定変更などを簡単に行うことができる。そのため、管理者の作業負担を軽減することができる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記リモコンは、複数の前記トイレ装置本体を操作可能であることを特徴とするリモコンである。
【0012】
このリモコンによれば、1つのリモコンで、複数のトイレ装置本体の設定変更などを簡単に行うことができる。そのため、管理者の作業負担を軽減することができる。
【0013】
第4の発明は、第1または第2の発明において、前記リモコンは、前記本体リモコンと通信可能であることを特徴とするリモコンである。
【0014】
このリモコンによれば、リモコンによるトイレ装置本体の設定変更の内容が、本体リモコンにも反映される。これにより、本体リモコンが認識するトイレ装置本体の設定が、実際のトイレ装置本体の設定から、ずれることを抑えられる。
【0015】
第5の発明は、第3の発明において、前記リモコンは、複数の前記本体リモコンと通信可能であることを特徴とするリモコンである。
【0016】
このリモコンによれば、リモコンによって行われた複数のトイレ装置本体の設定変更の内容が、複数の本体リモコンにも反映される。これにより、本体リモコンが認識するトイレ装置本体の設定が、実際のトイレ装置本体の設定から、ずれることを抑えられる。
【0017】
第6の発明は、第3または第5の発明において、前記リモコンは、前記リモコンと前記トイレ装置本体との間で通信が行われたことを報知することを特徴とするリモコンである。
【0018】
このリモコンによれば、使用者は、複数のトイレ装置本体の設定変更を行った際に、全てのトイレ装置本体の設定変更が完了したことを、リモコンにより知ることができるので、各トイレ装置本体の設定状態を確認する手間を省くことができる。そのため、管理者の作業負担を軽減することができる。
【0019】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記リモコンは、前記トイレ装置本体の電源スイッチを備えたことを特徴とするリモコンである。
【0020】
このリモコンによれば、トイレ装置本体の掃除の際に、管理者は、トイレ装置本体の電源を簡単にオフにすることができるので、トイレ装置本体の掃除が簡単になる。そのため、管理者の作業負担が軽減することができる。
【0021】
第8の発明は、第1~第7のいずれか1つの発明において、前記リモコンは、水に浮くことを特徴とするリモコンである。
【0022】
このリモコンによれば、管理者が誤って便器内にリモコンを落としたとしても、便器内でのリモコンの紛失を防ぐことができる。
【0023】
第9の発明は、第1~第8のいずれか1つに発明に係るリモコンと、前記リモコン本体と、前記トイレ装置本体と、を備えたことを特徴とするトイレ装置である。
【0024】
このトイレ装置によれば、管理者の作業負担が軽減されたリモコンを備えたトイレ装置を提供できる。
【0025】
第10の発明は、第9の発明において、前記トイレ装置本体は、前記リモコンによって電源オフの状態とされてから、一定時間経過後に電源オンの状態となることを特徴とするトイレ装置である。
【0026】
このトイレ装置によれば、管理者がトイレ装置本体を電源オンの状態とする操作を忘れても、トイレ装置本体は電源オンの状態に復帰することができるため、使用者がトイレ装置本体の機能を使えない事態を抑制できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の態様によれば、管理者の作業負担を軽減することができるリモコン及びトイレ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係るリモコンを有するトイレ装置を例示する斜視図である。
【
図2】実施形態に係るトイレ装置の本体リモコンを例示する平面図である。
【
図3】実施形態に係るトイレ装置のリモコンを例示する平面図である。
【
図4】実施形態に係るトイレ装置を有するトイレルームを例示する平面図である。
【
図5】実施形態に係るトイレ装置の別のリモコンを例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るリモコンを有するトイレ装置を例示する斜視図である。
実施形態に係るトイレ装置100は、トイレ装置本体120と、本体リモコン10と、リモコン20と、を有する。トイレ装置本体120及び本体リモコン10は、トイレブース200に設置されている。トイレブース200は、例えば、公共施設、駅、空港、パーキングエリア、店舗などのパブリック現場に設置されている。
【0030】
トイレブース200の床面上には、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」と称する))110が設置されている。便器110は、トイレブース200の壁面に直接的又は間接的に支持されていてもよい。
【0031】
トイレ装置本体120は、便器110の上に設けられる。トイレ装置本体120は、便座(暖房便座)124と、ノズル128と、を有する。
【0032】
また、トイレ装置本体120は、衛生洗浄機能と、便座暖房機能と、を有する。衛生洗浄機能は、便座124に座った使用者の局部(「おしり」など)をノズル128により洗浄する洗浄動作を行う機能である。便座暖房機能は、便座124の着座面を適温に温める便座加熱動作を行う機能である。
【0033】
衛生洗浄機能では、使用者の操作に応じて、ノズル128を便器110のボウル部内に進出させる。そして、ノズル128の先端付近に設けられた吐水口から洗浄水を噴射する。これにより、使用者の局部を洗浄することができる。ノズル128は、衛生洗浄機能を実行していない状態では、トイレ装置本体120の内部に収納される。
【0034】
衛生洗浄機能は、使用者の「おしり」に向けて洗浄水を噴射するおしり洗浄機能と、女性局部に向けて洗浄水を噴射するビデ洗浄機能と、を含む。衛生洗浄機能では、冷水のみならず、ヒータによって加熱した温水を洗浄水として吐水口から噴射することもできる。
【0035】
トイレ装置本体120は、さらに、音発生機能と、ノズル洗浄機能(「ノズルきれい」機能)と、を有していてもよい。音発生機能は、例えば水洗音などを擬似的に発する機能である。ノズル洗浄機能は、ノズル128の外側および内側に洗浄水(除菌水)を流すことで、ノズル128を洗浄する機能である。
【0036】
また、トイレ装置本体120は、人体検知センサ403と着座検知センサ404とのいずれか、またはその両方を有する。
人体検知センサ403には、例えば、焦電センサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、または測距センサ(赤外線投光式センサ)などを用いることができる。この例では、人体検知センサ403は、測距センサである。人体検知センサ403は、便座124の近くの人体の存在を検知することができる。
着座検知センサ404には、例えば、マイクロ波センサ、測距センサ(赤外線投光式センサ)、超音波センサ、タクトスイッチ、マイクロスイッチ、静電容量スイッチ(タッチセンサ)、または歪みセンサなどを用いることができる。この例では、着座検知センサ404は、測距センサである。着座検知センサ404は、使用者の着座の有無を検知することができる。
【0037】
本体リモコン10は、トイレブース200の壁面に設置されており、トイレ装置本体120を遠隔操作可能である。本体リモコン10は、便器110を使用する使用者が、トイレ装置本体120の機能を操作するために用いられる。トイレ装置本体120は、本体リモコン10から送信された無線信号に基づいて、衛生洗浄機能、便座暖房機能、音発生機能およびノズル洗浄機能のいずれかの動作を実行する。例えば、本体リモコン10とトイレ装置本体120とは、相互通信(双方向通信)可能である。本体リモコン10とトイレ装置本体120との間の通信には、電波又は赤外線が用いられる。
【0038】
リモコン20は、トイレ装置本体120を遠隔操作可能である。リモコン20は、例えば、トイレ装置100の管理者がトイレ装置本体120の機能の設定などを行うための管理者用リモコンである。リモコン20は、トイレ装置100の管理者によって携帯可能である。なお、管理者という範囲には、トイレ装置100の清掃者なども含むものとする。
【0039】
例えば、リモコン20とトイレ装置本体120は相互通信可能である。また、リモコン20と本体リモコン10とは、相互通信可能である。これらの通信には、電波又は赤外線が用いられる。通信に用いられる電波の周波数は、GHz(ギガヘルツ)帯域であり、例えば、2.4GHz程度である。
【0040】
図2は、実施形態に係るトイレ装置の本体リモコンを例示する平面図である。
図2に示したように、本体リモコン10は、複数の操作スイッチ12を有する。複数の操作スイッチ12は、操作スイッチ12a~12gを含む。操作スイッチ12が操作(この例では押下)されると、本体リモコン10は、操作されたスイッチに応じた制御信号を送信する。トイレ装置本体120が制御信号を受信すると、トイレ装置本体120は、その制御信号に基づいて動作する、または、機能の設定を変更する。
【0041】
本体リモコン10は、便器110の使用者がトイレ装置本体120の機能を操作するための通常モードと、トイレ装置100の管理者がトイレ装置本体120の機能の設定などを行うための設定モードと、を有する。
【0042】
通常モードでは、本体リモコン10は、各操作スイッチ12に表示された、トイレ装置本体120の設定や動作を操作する。すなわち、通常モードにおいて、トイレ装置本体120は、操作スイッチ12aが押下されると衛生洗浄機能や音発生機能を停止し、操作スイッチ12bが押下されるとおしり洗浄を開始し、操作スイッチ12cが押下されるとビデ洗浄を開始し、操作スイッチ12dが押下されると音発生を開始し、操作スイッチ12eが押下されると「ノズルきれい」機能を実施し、操作スイッチ12fが押下されると音発声機能の音量を変更し、操作スイッチ12gが押下されると衛生洗浄機能の水勢を変更する。
【0043】
本体リモコン10は、特殊操作によって、通常モードから設定モードに入る。特殊操作とは、複数の操作スイッチ12を組合わせて押下する操作や、操作スイッチ12を複数回、押下する操作である。特殊操作には、操作スイッチの同時押しや長押しが含まれてもよい。
【0044】
設定モードにおいて、各操作スイッチ12には、通常モードとは異なる機能が割り当てられる。すなわち、本体リモコン10は、設定モードにおいて、操作スイッチ12の押下に基づき、通常モード中とは異なるトイレ装置本体120の動作制御や機能の設定変更を行う。例えば、設定モードでは、ノズル128から噴射される洗浄水の温度や、便座124の温度の設定を行うことができる。
【0045】
また、トイレ装置本体120は、設定モード中の本体リモコン10の特殊操作によって、「ノズルそうじ」を行うことができる。「ノズルそうじ」は、ノズル128を一定時間、洗浄水を噴射せずに便器110のボウル部内へ進出した状態とする動作である。これにより、管理者は、ノズル128の外側を布などで拭いたり、ノズル128の吐水口を掃除したりできる。
【0046】
この「ノズルそうじ」を行う場合の特殊操作の例について説明する。例えば、操作スイッチ12a(止スイッチ)が5回押下されると、本体リモコン10は、設定モードとなる。本体リモコン10は、設定モードとなってから約20秒間、いずれの操作スイッチ12も押下されなかった場合、通常モードに戻る。設定モード中に、操作スイッチ12b(おしりスイッチ)、操作スイッチ12f(音量スイッチ)、操作スイッチ12c(ビデスイッチ)が、この順で押下されることにより、トイレ装置本体120は「ノズルそうじ」を行う。その後、操作スイッチ12aが押下されると、ノズル128は、トイレ装置本体120内に収納される。または、ノズル128は、約5分後に自動でトイレ装置本体120内に収納される。
【0047】
図3は、実施形態に係るトイレ装置のリモコンを例示する平面図である。
図3に示すように、リモコン20は、複数の操作スイッチ22を有する。複数の操作スイッチ22は、操作スイッチ22a~22dを含む。操作スイッチ22が操作(この例では押下)されると、リモコン20は、操作されたスイッチに応じた制御信号を送信する。トイレ装置本体120が制御信号を受信すると、トイレ装置本体120は、その制御信号に基づいて動作する、または、機能の設定を変更する。
【0048】
各操作スイッチ22(操作スイッチ22a~22dのそれぞれ)は、
図2に示した本体リモコン10に備えられていない操作スイッチである。すなわち、各操作スイッチ22は、本体リモコン10の各操作スイッチ12が通常モード中に単独で有する機能とは異なる機能を有する。各操作スイッチ22が押下されたときにリモコン20は、通常モード中の本体リモコン10が各操作スイッチ12の押下に基づいて行うトイレ装置本体120の制御とは、異なる制御を行う。
【0049】
リモコン20が本体リモコン10に備えられていない操作スイッチを備えることにより、管理者は、本体リモコン10を操作せずにリモコン20を用いて、トイレ装置本体120の設定変更などを簡単に行うことができる。これにより、管理者の作業負担を軽減することができる。
【0050】
具体的には、操作スイッチ22aは電源スイッチである。リモコン20は、電源スイッチが押下されると、電源の切り替えを指示する制御信号を送信する。トイレ装置本体120は、この制御信号を受信することで、電源オンの状態から電源オフの状態となる。
【0051】
ここで、トイレ装置本体120の電源オフの状態とは、例えば、電源をオンにする操作以外の操作をトイレ装置本体120が受け付けない状態をいう。トイレ装置本体120の電源オフの状態は、いわゆるスリープ状態であり、トイレ装置本体120は、本体リモコン10及びリモコン20の操作スイッチが押されてもスリープ状態からの復帰操作以外の操作を受け付けない。
なお、電源オフの状態としては、管理者がノズルそうじを行う際に、最低限、機能して欲しくない機能(例えば、おしり洗浄機能)を、トイレ装置本体120が受け付けない状態でもいい。例えば、電源オフの状態において、トイレ装置本体120は、衛生洗浄機能や「ノズルそうじ」などの動作の指示を受け付けず、温度等の設定の変更を受け付けてもよい。
【0052】
電源スイッチが再び押下されると、リモコン20は、電源の切り替えを指示する制御信号(スリープ状態からの復帰指示に関する信号)を送信する。トイレ装置本体120は、この制御信号を受信することで、電源オンの状態となり、スリープ状態からの復帰指示に関する制御信号以外の制御信号による操作を受け付ける。
【0053】
本体リモコン10に設けられた操作スイッチ12では、通常モードにおいても設定モードにおいても、上述のトイレ装置本体120の電源オン/オフの操作を行うことができない。このため、管理者は、トイレ装置本体120の外郭の拭き掃除などに際して、トイレ装置本体120の電源プラグをコンセントから抜く作業を行っていた。また、パブリック現場によって電源プラグを簡単に抜けない場合には、ブレーカを操作していた。
【0054】
これに対して、リモコン20は、本体リモコン10が行うことができない電源オン/オフの操作を、電源スイッチによって行うことができる。これにより、管理者は、トイレ装置本体120の電源を簡単にオフにすることができるので、トイレ装置本体120の掃除が簡単になる。したがって、管理者の作業負担を軽減することができる。
【0055】
操作スイッチ22bは、「ノズルそうじ」スイッチである。トイレ装置本体120は、「ノズルそうじ」スイッチが押下されることで、前述の「ノズルそうじ」を行う。
【0056】
また、操作スイッチ22c、22dは、それぞれ、便座温度設定スイッチ、洗浄水温度設定スイッチである。リモコン20は、便座温度設定スイッチの+側が押下されると、便座124の設定温度を一段階高くするように制御信号を送信する。また、リモコン20は、便座温度設定スイッチの-側が押下されると、便座124の設定温度を一段階低くするように制御信号を送信する。トイレ装置本体120が、これらの制御信号を受信することで、便座温度の設定が変更される。
【0057】
同様に、リモコン20は、洗浄水温度設定スイッチの+側が押下されると、ノズル128から噴射される洗浄水の温度を一段階高くするように制御信号を送信する。また、リモコン20は、洗浄水温度設定スイッチの-側が押下されると、ノズル128から噴射される洗浄水の温度を一段階低くするように制御信号を送信する。トイレ装置本体120が、これらの制御信号を受信することで、洗浄水温度の設定が変更される。
【0058】
なお、リモコン20は、便座124や洗浄水の温度を特定の段階に設定する制御信号を送信してもよい。
【0059】
管理者は、リモコン20を用いることで、本体リモコン10に関して説明した特殊操作を行わずに、「ノズルそうじ」の指示や、便座温度の設定変更、洗浄水温度の設定変更を行うことができる。すなわち、リモコン20は、本体リモコン10よりも少ない操作回数でトイレ装置本体120の操作が可能である。したがって、管理者の作業負担を軽減することができる。
【0060】
また、リモコン20は、トイレ装置本体120に制御信号を送信するにあたり、本体リモコン10にも信号を送信する。本体リモコン10は、この信号を受信することにより、リモコン20によってトイレ装置本体120がどのように操作されたか、に関する情報を得ることができる。例えば、トイレ装置本体120の洗浄水温度の設定がリモコン20により変更された場合、本体リモコン10は、変更された洗浄水温度の設定を認識することができる。
【0061】
このように、リモコン20が本体リモコン10と通信可能であることにより、リモコン20によって行われたトイレ装置本体120の設定変更の内容が、本体リモコン10にも反映される。これにより、本体リモコン10が認識するトイレ装置本体120の設定が、実際のトイレ装置本体120の設定から、ずれることを抑えられる。
【0062】
また、リモコン20は、水に浮くことができる。例えば、リモコン20には、内部に溜まった空気により浮力が作用する。管理者が誤って便器110内にリモコンを落としたとしても、リモコン20は、便器110内の水に浮くため、便器110内でのリモコンの紛失を防ぐことができる。
また、リモコン20の大きさは、本体リモコン10の大きさより小さく、携帯性を考慮して、管理者がポケットに入れて持ち運べる程度の大きさである。
【0063】
図4は、実施形態に係るトイレ装置を有するトイレルームを例示する平面図である。
図4は、パブリック現場のトイレルーム300を例示している。トイレルーム300内には、複数のトイレブース200が設けられる。各トイレブース200内には、前述したトイレ装置本体120及び本体リモコン10が設けられる。例えば、1つのトイレブース200内に設けられたトイレ装置本体120と本体リモコン10とは、ペアリングされている。つまり、本体リモコン10は、当該本体リモコン10が設けられたトイレブース200内のトイレ装置本体120とは通信可能であるが、隣接するトイレブース200内のトイレ装置本体120とは通信しないように設定されている。
【0064】
従来、このようなパブリック現場の管理者は、1つ1つのトイレブース200において、本体リモコン10の特殊操作により、トイレ装置本体120の設定変更等を行っていた。これに対して、リモコン20は、複数のトイレ装置本体120を操作可能である。例えば、リモコン20は、複数のトイレ装置本体120に、同時に制御信号を送信する。これにより、1つのリモコン20で、複数のトイレ装置本体120の設定変更を一括で行うことができ、管理者の作業負担をより軽減することができる。
【0065】
また、リモコン20は、複数の本体リモコン10と通信可能である。例えば、リモコン20は、複数のトイレ装置本体120に制御信号を送信するにあたり、複数の本体リモコン10にも一括で信号を送信する。これにより、リモコン20によって行われた複数のトイレ装置本体120の設定変更の内容が、複数の本体リモコン10にも反映される。
【0066】
また、リモコン20は、トイレ装置本体120と相互通信可能であるため、リモコン20とトイレ装置本体120との間で通信が行われたことを認識可能である。実施形態において、リモコン20は、リモコン20とトイレ装置本体120との間で通信が行われたことを報知する。例えば、リモコン20は、スピーカを有し、音による報知を行う。または、リモコン20にLEDやディスプレイ等を設けて、光による報知を行ってもよい。
【0067】
図4の例のように、リモコン20が複数のトイレ装置本体120の設定変更を行う場合、リモコン20は、複数のトイレ装置本体120のそれぞれとリモコン20との間で通信が行われたことを報知できる。これにより、管理者は、複数のトイレ装置本体120の設定変更を行った際に、全てのトイレ装置本体120の設定変更が完了したことを、リモコン20により知ることができるので、各トイレ装置本体120の設定状態を確認する手間を省くことができる。そのため、管理者の作業負担を軽減することができる。
【0068】
また、トイレ装置本体120は、リモコン20の操作スイッチ22aの操作によって電源オフの状態となってから、一定時間経過後に電源オンの状態となる。すなわち、トイレ装置本体120は、リモコン20から電源の切り替えを指示する制御信号を受信しなくても、自動的に電源オフの状態から電源オンの状態となる。これにより、管理者がトイレ装置本体120を電源オンの状態とする操作を忘れても、トイレ装置本体120は電源オンの状態に復帰することができるため、使用者がトイレ装置本体120の機能を使えない事態を抑制できる。なお、この場合の一定時間は、任意であるが、掃除の所要時間等を考慮して、例えば10~30分程度とすることができる。
【0069】
あるいは、トイレ装置本体120は、電源オフの状態において着座検知センサ404が使用者の着座を検知してから一定時間(例えば数十秒程度)経過すると電源オンの状態となってもよい。または、トイレ装置本体120は、電源オフの状態において人体検知センサ403が人体を検知しなくなってから一定時間(例えば数分程度)経過したときや、リモコン20との相互通信が途絶えてから一定時間(例えば数分程度)経過したときや、リモコン20がトイレ装置本体120から予め定めておいた距離だけ離れたときに、電源オンの状態となってもよい。
【0070】
また、トイレ装置本体120が自動で電源オンの状態に復帰する代わりに、スピーカ、LEDなどの報知手段によって、電源がオフであることを報知してもよい。その後、一定時間経過後に、トイレ装置120が自動で電源オンの状態に復帰してもよい。この報知手段は、リモコン20に設けられてもよいし、トイレ装置本体120に設けられてもよい。
【0071】
トイレ装置本体120の電源オフの状態からの復帰は、上記に限らず、本体リモコン10の特定のスイッチの操作、トイレ装置本体120のコンセントの挿抜、トイレ装置本体120に別途設けられたスイッチなどによるものでもよい。または、リモコン20が、電源オフを指示する信号を送信してから一定時間経過後に、自動的に電源オンを指示する信号を送信してもよい。
【0072】
図5(a)~
図5(e)は、実施形態に係るトイレ装置の別のリモコンを例示する平面図である。
リモコンの外観は、
図3の例に限られず、例えば
図5(a)~
図5(e)に示す例のようであってもよい。
図5(a)~
図5(e)は、それぞれ、リモコン20aを上方、正面、下方、側方、背面から見た図である。操作スイッチ22a1及び22a2が、
図3の操作スイッチ22aに相当し、操作スイッチ22b1及び22b2が、
図3の操作スイッチ22bに相当する。また、操作スイッチ22c1~22c4が、
図3の操作スイッチ22cに相当し、操作スイッチ22d1~22d4が、
図3の操作スイッチ22dに相当する。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、リモコン20、本体リモコン10、トイレ装置本体120などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0074】
10 本体リモコン、 12、12a~12g 操作スイッチ、 20 リモコン、 22、22a~22d 操作スイッチ、 100 トイレ装置、 110 便器、 120 トイレ装置本体、 124 便座、 128 ノズル、 200 トイレブース、 300 トイレルーム