IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日新電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-アンテナ及びプラズマ処理装置 図1
  • 特許-アンテナ及びプラズマ処理装置 図2
  • 特許-アンテナ及びプラズマ処理装置 図3
  • 特許-アンテナ及びプラズマ処理装置 図4
  • 特許-アンテナ及びプラズマ処理装置 図5
  • 特許-アンテナ及びプラズマ処理装置 図6
  • 特許-アンテナ及びプラズマ処理装置 図7
  • 特許-アンテナ及びプラズマ処理装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】アンテナ及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20220217BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220217BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20220217BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220217BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01L21/302 101C
H01L21/205
H01L21/31 C
C23C16/509
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018046324
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019160593
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】茨木 満雄
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-138598(JP,A)
【文献】国際公開第2011/041087(WO,A2)
【文献】特表2015-508565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
C23C 16/509
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電流が流されてプラズマを発生させるためのアンテナであって、一対の導体要素がこれらの間に介在する絶縁要素にねじ締結されてなり、
前記導体要素又は前記絶縁要素の一方は、ねじ部とは異なる位置に設けられた外向き面を有し、
前記導体要素又は前記絶縁要素の他方は、前記外向き面と接触する内向き面を有し
前記外向き面及び前記内向き面とは異なる面であって、前記導体要素及び前記絶縁要素における互いに対向する対向面の間にシール部材が介在しているアンテナ。
【請求項2】
前記外向き面は、前記導体要素又は前記絶縁要素の一方の外周面全周に亘って設けられており、
前記内向き面は、前記導体要素又は前記絶縁要素の他方の内周面全周に亘って設けられている、請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
前記導体要素又は前記絶縁要素の一方は、その外周面に雄ねじ部が形成されており、前記雄ねじ部よりも軸方向中央側に前記雄ねじ部よりも外径が大きい大径部が設けられたものであり、
前記導体要素又は前記絶縁要素の他方は、その内周面に雌ねじ部が形成されており、前記雌ねじ部よりも軸方向外側に前記雌ねじ部よりも内径が大きく、前記大径部に嵌合する座繰り部が設けられたものであり、
前記大径部の外周面が前記外向き面であり、
前記座繰り部の内周面が前記内向き面である、請求項1又は2記載のアンテナ。
【請求項4】
前記導体要素又は前記絶縁要素の一方の端部に軸方向中央側に切り欠かれた凹部又は軸方向外側に突出した凸部が形成されており、
前記導体要素又は前記絶縁要素の他方の外周面に、前記凹部又は前記凸部に係合する凸部又は凹部が形成された環状止め具が設けられている、請求項1乃至のうち何れか一項に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記環状止め具が、前記導体要素の外周面に設けられており、その外周面における環状止め具よりも軸方向中央側に螺合されたナットにより軸方向外側に押圧されている、請求項記載のアンテナ。
【請求項6】
前記一対の導体要素と電気的に直列に接続された容量素子をさらに備え、
前記容量素子が、
前記一対の導体要素の一方と電気的に接続されるとともに、前記絶縁要素の内部を通って前記一対の導体要素の他方側に延びる第1の電極と、
前記一対の導体要素の他方と電気的に接続されるとともに、前記絶縁要素の内部を通って前記一対の導体要素の一方側に延び、前記第1の電極と対向する第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極の間の空間を満たす誘電体とからなり、
前記誘電体が液体である、請求項1乃至のうち何れか一項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記一対の導体要素は、内部に冷却液が流れる流路を有しており、
前記冷却液が前記誘電体である、請求項記載のアンテナ。
【請求項8】
請求項1乃至のうち何か一項に記載のアンテナと、
前記アンテナが内部又は外部に配置された真空容器と、
前記アンテナに高周波電流を印加する高周波電源とを具備する、プラズマ処理装置。
【請求項9】
高周波電流が流されてプラズマを発生させるためのアンテナであって、一対の導体要素がこれらの間に介在する絶縁要素にねじ締結されてなり、
前記導体要素又は前記絶縁要素の一方は、ねじ部とは異なる位置に設けられた外向き面を有し、
前記導体要素又は前記絶縁要素の他方は、前記外向き面と接触する内向き面を有し、
前記導体要素又は前記絶縁要素の一方の端部に軸方向中央側に切り欠かれた凹部又は軸方向外側に突出した凸部が形成されており、
前記導体要素又は前記絶縁要素の他方の外周面に、前記凹部又は前記凸部に係合する凸部又は凹部が形成された環状止め具が設けられているアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電流が流されて誘導結合型のプラズマを発生されるためのアンテナ、及び、このアンテナを備えたプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンテナに高周波電流を流し、それによって生じる誘導電界により誘導結合型のプラズマ(略称ICP)を発生させ、この誘導結合型のプラズマを用いて基板に処理を施すプラズマ処理装置が従来から提案されている。
【0003】
この種のプラズマ処理装置においては、大型の基板に対応する等のためにアンテナを長くすると、当該アンテナのインピーダンスが大きくなり、それによってアンテナの両端間に大きな電位差が発生する。その結果、この大きな電位差の影響を受けてプラズマの密度分布、電位分布、電子温度分布等のプラズマの均一性が悪くなり、ひいては基板処理の均一性が悪くなるという問題がある。また、アンテナのインピーダンスが大きくなると、アンテナに高周波電流を流しにくくなるという問題もある。
【0004】
このような問題を解決する等のために、特許文献1に示すように、複数の金属パイプを、隣り合う金属パイプ間に中空絶縁体を介在させて接続するとともに、中空絶縁体の外周部に容量素子であるコンデンサを配置したものが考えられている。具体的には、金属パイプの外周面に形成された雄ねじ部を、中空絶縁体の内周面に形成された雌ねじ部に螺合させてこれらをねじ締結している。そして、中空絶縁体の両側にねじ締結された金属パイプを、上述した容量素子と電気的に直列接続することで、アンテナの合成リアクタンスは、簡単に言えば、誘導性リアクタンスから容量性リアクタンスを差し引いたものとなる。その結果、アンテナのインピーダンスを低減させることができ、アンテナを長くする場合でもそのインピーダンスの増大が抑制され、アンテナに高周波電流が流れやすくなり、均一性の良いプラズマを効率良く発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-138598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したアンテナは、ねじ締結された金属パイプと中空絶縁体とのシール性を確保すべく、金属パイプの外周面と中空絶縁体の内周面との間にOリングを介在させているので、これらの間には僅かな隙間が存在しており、この隙間を介して金属パイプと中空絶縁体とが相対的に動いてしまう。これにより、アンテナを長くすると撓む可能性があり、そうするとアンテナと基板との距離がアンテナの長手方向に沿って変わってしまう。その結果、基板とアンテナとの間に発生するプラズマの密度がアンテナの長手方向に沿って不均一になり、基板に形成される膜の厚み等も不均一になるという問題が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、アンテナを長くする場合でもアンテナの撓みを抑制し、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることで、信頼性の向上を図ることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係るアンテナは、高周波電流が流されてプラズマを発生させるためのアンテナであって、一対の導体要素がこれらの間に介在する絶縁要素にねじ締結されてなり、前記導体要素又は前記絶縁要素の一方は、ねじ部とは異なる位置に設けられた外向き面を有し、前記導体要素又は前記絶縁要素の他方は、前記外向き面と接触する内向き面を有していることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成されたアンテナであれば、導体要素又は絶縁要素の一方に設けられた外向き面と、導体要素又は絶縁要素の他方に設けられた内向き面とが互いに接触しているので、これらの面が導体要素や絶縁要素の相対的な動きを規制して、アンテナを長くする場合でも撓みを抑制することができる。これにより、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることができるので、膜の厚み等の品質を担保することができ、信頼性の向上を図れる。
【0010】
アンテナをより撓みにくくすべく、外向き面と内向き面との接触面積を大きくするためには、前記外向き面は、前記導体要素又は前記絶縁要素の一方の外周面全周に亘って設けられており、前記内向き面は、前記導体要素又は前記絶縁要素の他方の内周面全周に亘って設けられていることが好ましい。
【0011】
外向き面と内向き面との接触面積を大きくするための別の実施態様としては、前記導体要素又は前記絶縁要素の一方は、その外周面に雄ねじ部が形成されており、前記雄ねじ部よりも軸方向中央側に前記雄ねじ部よりも外径が大きい大径部が設けられたものであり、前記導体要素又は前記絶縁要素の他方は、その内周面に雌ねじ部が形成されており、前記雌ねじ部よりも軸方向外側に前記雌ねじ部よりも内径が大きく、前記大径部が嵌合する座繰り部が設けられたものであり、前記大径部の外周面が前記外向き面であり、前記座繰り部の内周面が前記内向き面である態様が挙げられる。
このような構成であれば、大径部の外周面を外向き面とするとともに、大径部が嵌合する座繰り部の内周面を内向き面としているので、外向き面や内向き面の接触面積を大きくすることができる。
【0012】
導体要素と絶縁要素との間のシール性を確保すべく、これらの間にシール部材を介在させる場合、外向き面と内向き面との間にシール部材を介在させてしまうと、外向き面と内向き面との間に隙間が生じてアンテナの撓みが生じてしまう。そこで、アンテナの撓みを抑制しつつ、導体要素と絶縁要素との間のシール性を確保するためには、前記外向き面及び前記内向き面とは異なる面であって、前記導体要素及び前記絶縁要素における互いに対向する対向面の間にシール部材が介在していることが好ましい。
【0013】
前記導体要素又は前記絶縁要素の一方の端部に軸方向中央側に切り欠かれた凹部又は軸方向外側に突出した凸部が形成されており、前記導体要素又は前記絶縁要素の他方の外周面に、前記凹部又は前記凸部に係合する凸部又は凹部が形成された環状止め具が設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、例えば環状止め具が設けられている導体要素又は絶縁要素に当該環状止め具をポンチング等によって固定することで、導体要素と絶縁要素とのねじ締結を緩みにくくすることができる。
【0014】
前記環状止め具が、前記導体要素の外周面に設けられており、その外周面における環状止め具よりも軸方向中央側に螺合されたナットにより軸方向外側に押圧されていることが好ましい。
このような構成であれば、環状止め具が軸方向外側に押圧されているので、導体要素や絶縁要素が回転しようとするときに生じる環状止め具と絶縁要素との間の摩擦力を大きくすることができ、絶縁要素と導体要素とのねじ締結を緩みにくくすることができる。
【0015】
ところで、プラズマ処理装置において、プラズマ中の荷電粒子がアンテナを構成する導体要素に入射するのを抑制する目的などにより、アンテナを絶縁カバーにより覆う場合がある。この場合、仮にアンテナが撓んでしまうと、絶縁要素がプラズマにより高温となっている絶縁カバーに接触して、絶縁要素が樹脂製の場合には特に熱損傷の問題が生じる。
かかる問題に対して、上述したように導体要素の外周面にナットを螺合させていれば、仮にアンテナが撓んだとしてもナットが絶縁カバーに接触することによって、絶縁要素が絶縁カバーに接触しないようにすることができ、絶縁要素の熱損傷を防止することができる。
【0016】
前記一対の導体要素と電気的に直列に接続された容量素子をさらに備え、前記容量素子が、前記一対の導体要素の一方と電気的に接続されるとともに、前記絶縁要素の内部を通って前記一対の導体要素の他方側に延びる第1の電極と、前記一対の導体要素の他方と電気的に接続されるとともに、前記絶縁要素の内部を通って前記一対の導体要素の一方側に延び、前記第1の電極と対向する第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間の空間を満たす誘電体とからなり、前記誘電体が液体であることが好ましい。
このような構成であれば、容量素子が一対の導体要素と電気的に直列接続されているので、上述したように、アンテナの合成リアクタンスを、誘導性リアクタンスから容量性リアクタンスを引いた形にすることができる。その結果、アンテナのインピーダンスを低減させることができ、アンテナを長くする場合でもそのインピーダンスの増大が抑制され、アンテナに高周波電流が流れやすくなり、均一性の良いプラズマを効率良く発生させることができる。
しかも、第1の電極及び第2の電極の間の空間を液体の誘電体で満たしているので、容量素子を構成する電極及び誘電体の間に生じる隙間を無くすことができる。その結果、電極及び誘電体の間の隙間に発生しうるアーク放電を無くし、アーク放電に起因する容量素子の破損を無くすことができる。また、隙間を考慮することなく、第1の電極及び第2の電極の距離、対向面積及び液体の誘電体の比誘電率からキャパシタンス値を精度良く設定することができる。さらに、隙間を埋めるための電極及び誘電体を押圧する構造も不要にすることができ、当該押圧構造によるアンテナ周辺の構造の複雑化及びそれにより生じるプラズマの均一性の悪化を防ぐことができる。
【0017】
前記一対の導体要素は、内部に冷却液が流れる流路を有しており、前記冷却液が前記誘電体であることが好ましい。
このような構成であれば、プラズマ生成時に生じる熱によって高温になりがちなアンテナ導体を冷却液によって冷却することができるので、アンテナ自体の破損又はその周辺構造の破損などを防ぐことができ、安定してプラズマを発生させることが可能となる。
しかも、その冷却液を容量素子の誘電体として用いているので、容量素子を冷却しつつその静電容量の不意の変動を抑えることができる。
さらに、冷却液を温調機構により一定温度に調整しながら誘電体として用いることで、温度変化による比誘電率の変化を抑えることができ、それに伴って生じる静電容量の変化を抑えることができる。
【0018】
また、本発明に係るプラズマ処理装置は、上述したアンテナと、前記アンテナが内部又は外部に配置された真空容器と、前記アンテナに高周波電流を印加する高周波電源とを具備することを特徴とするものである。
このように構成されたプラズマ処理装置であれば、上述したようにアンテナの撓みが抑制されるので、膜の厚み等の品質を担保することができ、信頼性の向上を図れる。
【発明の効果】
【0019】
このように構成した本発明によれば、アンテナを長くする場合でもアンテナの撓みを抑制することができ、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることで、膜の厚み等の品質を担保することができ、信頼性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
図2】同実施形態のアンテナの周辺構成を模式的に示す拡大断面図である。
図3】同実施形態の緩み抑制機構の構成を示す模式図である。
図4】変形実施形態のアンテナの周辺構成を模式的に示す拡大断面図である。
図5】変形実施形態のアンテナの周辺構成を模式的に示す拡大断面図である。
図6】変形実施形態のアンテナの周辺構成を模式的に示す拡大断面図である。
図7】変形実施形態の緩み抑制機構の構成を示す模式図である。
図8】変形実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係るプラズマ処理装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
<装置構成>
本実施形態のプラズマ処理装置100は、誘導結合型のプラズマPを用いて基板Wに処理を施すものである。ここで、基板Wは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板、フレキシブルディスプレイ用のフレキシブル基板等である。また、基板Wに施す処理は、例えば、プラズマCVD法による膜形成、エッチング、アッシング、スパッタリング等である。
【0023】
なお、このプラズマ処理装置100は、プラズマCVD法によって膜形成を行う場合はプラズマCVD装置、エッチングを行う場合はプラズマエッチング装置、アッシングを行う場合はプラズマアッシング装置、スパッタリングを行う場合はプラズマスパッタリング装置とも呼ばれる。
【0024】
具体的にプラズマ処理装置100は、図1に示すように、真空排気され且つガス7が導入される真空容器2と、真空容器2内に配置された直線状のアンテナ3と、真空容器2内に誘導結合型のプラズマPを生成するための高周波をアンテナ3に印加する高周波電源4とを備えている。なお、アンテナ3に高周波電源4から高周波を印加することによりアンテナ3には高周波電流IRが流れて、真空容器2内に誘導電界が発生して誘導結合型のプラズマPが生成される。
【0025】
真空容器2は、例えば金属製の容器であり、その内部は真空排気装置6によって真空排気される。真空容器2はこの例では電気的に接地されている。
【0026】
真空容器2内に、例えば流量調整器(図示省略)及び真空容器2の側壁に形成された複数のガス導入口21を経由して、ガス7が導入される。ガス7は、基板Wに施す処理内容に応じたものにすれば良い。例えば、プラズマCVD法によって基板Wに膜形成を行う場合には、ガス7は、原料ガス又はそれを希釈ガス(例えばH)で希釈したガスである。より具体例を挙げると、原料ガスがSiHの場合はSi膜を、SiH+NHの場合はSiN膜を、SiH+Oの場合はSiO膜を、SiF+Nの場合はSiN:F膜(フッ素化シリコン窒化膜)を、それぞれ基板W上に形成することができる。
【0027】
また、真空容器2内には、基板Wを保持する基板ホルダ8が設けられている。この例のように、基板ホルダ8にバイアス電源9からバイアス電圧を印加するようにしても良い。バイアス電圧は、例えば負の直流電圧、負のパルス電圧等であるが、これに限られるものではない。このようなバイアス電圧によって、例えば、プラズマP中の正イオンが基板Wに入射する時のエネルギーを制御して、基板Wの表面に形成される膜の結晶化度の制御等を行うことができる。基板ホルダ8内に、基板Wを加熱するヒータ81を設けておいても良い。
【0028】
アンテナ3は、真空容器2内における基板Wの上方に、基板Wの表面に沿うように(例えば、基板Wの表面と実質的に平行に)配置されている。真空容器2内に配置するアンテナ3は、1つでも良いし、複数でも良い。
【0029】
アンテナ3の両端部付近は、真空容器2の相対向する側壁をそれぞれ貫通している。アンテナ3の両端部を真空容器2外へ貫通させる部分には、絶縁部材11がそれぞれ設けられている。この各絶縁部材11を、アンテナ3の両端部が貫通しており、その貫通部は例えばパッキン12によって真空シールされている。各絶縁部材11と真空容器2との間も、例えばパッキン13によって真空シールされている。なお、絶縁部材11の材質は、例えば、アルミナ等のセラミックス、石英、又はポリフェニンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチック等である。
【0030】
さらに、アンテナ3において、真空容器2内に位置する部分は、直管状の絶縁カバー10により覆われている。この絶縁カバー10の両端部は絶縁部材11によって支持されている。なお、絶縁カバー10の両端部と絶縁部材11間はシールしなくても良い。絶縁カバー10内の空間にガス7が入っても、当該空間は小さくて電子の移動距離が短いので、通常は空間にプラズマPは発生しないからである。なお、絶縁カバー10の材質は、例えば、石英、アルミナ、フッ素樹脂、窒化シリコン、炭化シリコン、シリコン等である。
【0031】
絶縁カバー10を設けることによって、プラズマP中の荷電粒子がアンテナ3を構成する金属パイプ31に入射するのを抑制することができるので、金属パイプ31に荷電粒子(主として電子)が入射することによるプラズマ電位の上昇を抑制することができると共に、金属パイプ31が荷電粒子(主としてイオン)によってスパッタされてプラズマPおよび基板Wに対して金属汚染(メタルコンタミネーション)が生じるのを抑制することができる。
【0032】
アンテナ3の一端部である給電端部3aには、整合回路41を介して高周波電源4が接続されており、他端部である終端部3bは直接接地されている。なお、給電端部3aは、コンデンサ又はコイル等を介して高周波電源4に接続しても良いし、終端部3bは、コンデンサ又はコイル等を介して接地しても良い。
【0033】
上記構成によって、高周波電源4から、整合回路41を介して、アンテナ3に高周波電流IRを流すことができる。高周波電流IRの周波数は、例えば、一般的な13.56MHzであるが、これに限られるものではない。
【0034】
アンテナ3は、内部に冷却液CLが流通する流路を有する中空構造のものである。なお、冷却液CLは、真空容器2の外部に設けられた循環流路14によりアンテナ3を流通するものであり、前記循環流路14には、冷却液CLを一定温度に調整するための熱交換器などの温調機構141と、循環流路14において冷却液CLを循環させるためのポンプなどの循環機構142とが設けられている。冷却液CLとしては、電気絶縁の観点から、高抵抗の水が好ましく、例えば純水またはそれに近い水が好ましい。その他、例えばフッ素系不活性液体などの水以外の液冷媒を用いても良い。
【0035】
具体的にアンテナ3は、図2に示すように、少なくとも2つの管状をなす金属製の導体要素31(以下、「金属パイプ31」という。)と、互いに隣り合う金属パイプ31の間に設けられて、それら金属パイプ31を絶縁する管状の絶縁要素32(以下、「絶縁パイプ32」という。)と、互いに隣り合う金属パイプ31と電気的に直列接続された容量素子であるコンデンサ33とを備えている。
【0036】
本実施形態では金属パイプ31の数は2つであり、絶縁パイプ32及びコンデンサ33の数は各1つである。以下の説明において、一方の金属パイプ31を「第1の金属パイプ31A」、他方の金属パイプを「第2の金属パイプ31B」ともいう。なお、アンテナ3は、3つ以上の金属パイプ31を有する構成であってもしても良く、この場合、絶縁パイプ32及びコンデンサ33の数はいずれも金属パイプ31の数よりも1つ少ないものになる。
【0037】
金属パイプ31は、内部に冷却液CLが流れる直線状の流路31xが形成された直管状をなすものである。そして、金属パイプ31の少なくとも長手方向一端部の外周部には、雄ねじ部31aが形成されている。なお、複数の金属パイプ31を接続する構成との部品の共通化を図るべく、金属パイプ31の長手方向両端部に雄ねじ部31aを形成して互換性を持たせておくことが望ましい。金属パイプ31の材質は、例えば、銅、アルミニウム、これらの合金、ステンレス等である。
【0038】
絶縁パイプ32は、内部に冷却液CLが流れる直線状の流路32xが形成された直管状をなすものである。そして、絶縁パイプ32の内周面には、金属パイプ31の雄ねじ部31aと螺合して接続される雌ねじ部32aが形成されている。また、絶縁パイプ32の内壁には、それぞれの雌ねじ部32aよりも軸方向中央側に、コンデンサ33を構成する一対の電極33A、33Bを嵌合させるための凹部32bが周方向全体に亘って形成されている。本実施形態の絶縁パイプ32は、単一の部材から形成しているが、複数の部材を接合して形成しても良い。なお、絶縁パイプ32の材質は、例えば、アルミナ、フッ素樹脂、ポリエチレン(PE)、エンジニアリングプラスチック(例えばポリフェニンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)など)等である。
【0039】
コンデンサ33は、絶縁パイプ32の内部に設けられており、具体的には、絶縁パイプ32の冷却液CLが流れる流路32xの内部に設けられている。
【0040】
具体的にコンデンサ33は、互いに隣り合う金属パイプ31の一方(第1の金属パイプ31A)と電気的に接続された第1の電極33Aと、互いに隣り合う金属パイプ31の他方(第2の金属パイプ31B)と電気的に接続されるとともに、第1の電極33Aに対向して配置された第2の電極33Bとを備えており、第1の電極33A及び第2の電極33Bの間の空間を冷却液CLが満たすように構成されている。つまり、この第1の電極33A及び第2の電極33Bの間の空間を流れる冷却液CLが、コンデンサ33を構成する誘電体となる。
【0041】
各電極33A、33Bは、概略回転体形状をなすとともに、その中心軸に沿って中央部に主流路33xが形成されている。具体的に各電極33A、33Bは、金属パイプ31における絶縁パイプ32側の端部に電気的に接触するフランジ部331と、当該フランジ部331から絶縁パイプ32側に延出した延出部332とを有している。各電極33A、33Bは、フランジ部331及び延出部332を単一の部材から形成しても良いし、別部品により形成してそれらを接合しても良い。電極33A、33Bの材質は、例えば、アルミニウム、銅、これらの合金等である。
【0042】
フランジ部331は、金属パイプ31における絶縁パイプ32側の端部に周方向全体に亘って接触している。具体的には、フランジ部331の軸方向端面は、金属パイプ31の端部に形成された円筒状の接触部311の先端面に周方向全体に亘って接触している。
【0043】
延出部332は、円筒形状をなすものであり、その内部に主流路33xが形成されている。第1の電極33Aの延出部332及び第2の電極33Bの延出部332は、互いに同軸上に配置されている。つまり、第1の電極33Aの延出部332の内部に第2の電極33Bの延出部332が挿し込まれた状態で設けられている。これにより、第1の電極33Aの延出部332と第2の電極33Bの延出部332との間に、流路方向に沿った円筒状の空間が形成される。
【0044】
このように構成された各電極33A、33Bは、絶縁パイプ32の内壁に形成された凹部32bに嵌合されている。具体的には、絶縁パイプ32の軸方向一端側に形成された凹部32bに第1の電極33Aが嵌合され、絶縁パイプ32の軸方向他端側に形成された凹部32bに第2の電極33Bが嵌合されている。このように各凹部32bに各電極33A、33Bを嵌合させることによって、第1の電極33Aの延出部332及び第2の電極33Bの延出部332は、互いに同軸上に配置される。また、各凹部32bの軸方向外側を向く面に各電極33A、33Bのフランジ部331の端面が接触することによって、第1の電極33Aの延出部332に対する第2の電極33Bの延出部332の挿入寸法が規定される。
【0045】
また、絶縁パイプ32の各凹部32bに各電極33A、33Bを嵌合させるとともに、当該絶縁パイプ32の雌ねじ部32aに金属パイプ31の雄ねじ部31aを螺合させることによって、金属パイプ31の接触部311の先端面が電極33A、33Bのフランジ部331に接触して各電極33A、33Bが、絶縁パイプ32と金属パイプ31との間に挟まれて固定される。このように本実施形態のアンテナ3は、金属パイプ31、絶縁パイプ32、第1の電極33A及び第2の電極33Bが同軸上に配置された構造となる。
【0046】
この構成において、第1の金属パイプ31Aから冷却液CLが流れてくると、冷却液CLは、第1の電極33Aの主流路33xを通じて第2の電極33B側に流れる。第2の電極33B側に流れた冷却液CLは、第2の電極33Bの主流路33xを通じて第2の金属パイプ31Bに流れる。このとき、第1の電極33Aの延出部332と第2の電極33Bの延出部332との間の円筒状の空間が冷却液CLに満たされて、当該冷却液CLが誘電体となりコンデンサ33が構成される。
【0047】
さらに本実施形態では、金属パイプ31及び絶縁パイプ32の接続部が、真空及び冷却液CLに対するシール構造を有している。このシール構造は、雄ねじ部31aの基端部に設けられたパッキン等のシール部材15により実現されているが、例えば管用テーパねじ構造を用いても良い。
【0048】
上述した構成により、金属パイプ31及び絶縁パイプ32の間のシール構造、金属パイプ31と各電極33A、33Bとの電気的接触が、雄ねじ部31a及び雌ねじ部32aの締結と共に行われるので、組み立て作業が非常に簡便となる。
【0049】
然して、本実施形態のアンテナ3は、金属パイプ31又は絶縁パイプ32の一方に設けられた外向き面34と、金属パイプ31又は絶縁パイプ32の他方に設けられて、外向き面34と接触する内向き面35とを備えており、これらの外向き面34及び内向き面35がアンテナ3の撓みを抑制する撓み抑制機構を構成している。
【0050】
まず、内向き面35について説明すると、本実施形態の内向き面35は、絶縁パイプ32の内周面に設けられており、雌ねじ部32aとは異なる位置に形成されている。より具体的に説明すると、絶縁パイプ32は、雌ねじ部32aよりも軸方向外側において内壁が座繰られた座繰り部321を有しており、この座繰り部321の内周面が内向き面35である。
【0051】
座繰り部321は、絶縁パイプ32の軸方向両端部それぞれに形成されており、具体的には両端開口それぞれから上述したシール部材15の手前まで座繰られている。つまり、座繰り部321は、絶縁パイプ32の内周面において雌ねじ部32aやシール部材15が設けられた部分よりも内径が大きく、ここでは絶縁パイプ32のうち最も内径が大きい部分である。内向き面35は、この座繰り部321の内周面の全周に亘って形成されている。つまり、この内向き面35は、絶縁パイプ32の内周面において、雌ねじ部32aやシール部材15が設けられている面とは異なる面であり、ここでは、絶縁パイプ32の軸方向に沿うように(軸方向と実質的に平行に)延びている。
【0052】
一方、本実施形態の外向き面34は、金属パイプ31の外周面に設けられており、雄ねじ部31aとは異なる位置に形成されている。より具体的に説明すると、金属パイプ31は、雄ねじ部31aよりも軸方向中央側に雄ねじ部31aよりも外径が大きく、上述した座繰り部321に嵌合する大径部312を有しており、この大径部312の外周面が外向き面34である。
【0053】
大径部312は、金属パイプ31のシール部材15よりも軸方向中央側に形成されている。つまり、大径部312は、金属パイプ31の外周面において雄ねじ部31aやシール部材15が設けられた部分よりも外径が大きく、ここでは金属パイプ31のうち最も外径が大きい部分である。具体的に大径部312の外径は座繰り部321の内径と等しく、これにより大径部312及び座繰り部321はインロー構造によりガタなく嵌め合わされている。外向き面34は、この大径部312において座繰り部321に嵌合している部分の外周面、言い換えれば大径部312の外周面において座繰り部321の内周面に対向する部分である。つまり、この外向き面34は、金属パイプ31の外周面において、雄ねじ部31aやシール部材15が設けられている面とは異なる面であり、ここでは、金属パイプ31の軸方向に沿うように(軸方向と実質的に平行に)延びている。
【0054】
さらに本実施形態のアンテナ3は、図2及び図3に示すように、ねじ締結されている金属パイプ31及び絶縁パイプ32が緩むことを抑制する緩み抑制機構5を備えている。ただし、本発明に係るアンテナ3としては、必ずしも緩み抑制機構5を備えている必要はない。
【0055】
緩み抑制機構5は、金属パイプ31に外嵌された環状止め具51を用いて構成されている。この環状止め具51は、金属パイプ31の軸周りに回転自在に且つ軸方向にスライド可能に設けられたものであり、絶縁パイプ32に対向する端面には、絶縁パイプ32に向かって突出する1又は複数の凸部52が設けられている。なお、凸部52の個数、形状、配置などは適宜変更して構わない。
【0056】
一方、絶縁パイプ32における環状止め具51に対向する端面には、軸方向中央側に向かって切り欠かれた凹部53が形成されている。具体的に凹部53は、凸部52と対応する形状であり、凸部52と対応する1又は複数の位置に形成されている。
【0057】
そして、これらの凸部52及び凹部53が、上述した緩み抑制機構5を構成しており、凸部52が凹部53に係合することで、金属パイプ31及び絶縁パイプ32の緩みが抑制される。
【0058】
ここでは、金属パイプ31と絶縁パイプ32とがねじ締結されている状態において、金属パイプ31の外周面における絶縁パイプ32よりも軸方向中央側に第2の雄ねじ部31bが形成されており、上述した緩み抑制機構5は、この第2の雄ねじ部31bに螺合するナット54をさらに備えている。具体的にこのナット54は、絶縁パイプ32より外径が大きいものであり、上述した環状止め具51よりも軸方向中央側に設けられている。そして、上述した凸部52を凹部53に係合させた状態で、ナット54を回して軸方向外側に移動させ、ナット54によって環状止め具51を絶縁パイプ32の端面に押圧することで、金属パイプ31及び絶縁パイプ32の緩みを抑えることができる。
【0059】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態のプラズマ処理装置100によれば、金属パイプ31と絶縁パイプ32をねじ締結すると、金属パイプ31に設けられた外向き面34と、絶縁パイプ32に設けられた内向き面35とが互いに接触するので、アンテナ3を長くする場合でも撓みを抑制することができる。これにより、アンテナ3の長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることができるので、膜の厚み等の品質を担保することができ、信頼性の向上を図れる。
【0060】
また、大径部312の外周面を外向き面34とするとともに、大径部312が嵌合する座繰り部321の内周面を内向き面35としており、しかも大径部312の外周面の全周が外向き面34であり、座繰り部321の内周面の全周が内向き面35であるので、外向き面34と内向き面35との接触面積を大きくすることができ、アンテナ3の撓みをより抑えることができる。
【0061】
さらに、外向き面34及び内向き面35とは異なる面であって、金属パイプ31及び絶縁パイプ32における互いに対向する対向面の間にシール部材15を介在させているので、外向き面34及び内向き面35との間に隙間やガタを生じさせることなく、シール性を担保することができる。
【0062】
加えて、環状止め具51の端面に設けられた凸部52を、絶縁パイプ32の端面に設けられた凹部53に係合させるとともに、環状止め具51をナット54によって絶縁パイプ32に押圧しているので、金属パイプ31と絶縁パイプ32とのねじ締結が緩むことを抑制することができる。
【0063】
さらに加えて、金属パイプ31に外嵌させたナット54の外径が絶縁パイプ32の外径よりも大きいので、仮にアンテナ3が撓んだとしても、ナット54が絶縁カバー10に接触して、絶縁パイプ32が絶縁カバー10に接触しないようにすることができる。これにより、絶縁パイプ32の熱損傷を防止することができる。また、絶縁パイプ32と絶縁カバー10の接触を防ぐことにより、絶縁パイプ32が絶縁カバー10に接触することによるコンデンサ33の誘電体となる冷却液CLの温度上昇を防止でき、その結果、冷却液CLの誘電率の変化を抑制することができる。
【0064】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0065】
例えば、前記実施形態では、金属パイプ31が外向き面34を有し、絶縁パイプ32が内向き面35を有していたが、図4に示すように、金属パイプ31が内向き面35を有し、絶縁パイプ32が外向き面34を有していても良い。
なおこの場合は、図4に示す構成のように、コンデンサ33が絶縁パイプ32の外側に設けられていても良い。
【0066】
また、外向き面34は、前記実施形態では金属パイプ31における雄ねじ部31aよりも外径の大きい大径部312の外周面であったが、図5に示すように、金属パイプ31における雄ねじ部31aよりも軸方向外側に設けられた雄ねじ部31aよりも外径の小さい小径部314の外周面であっても良い。
この場合、絶縁パイプ32の座繰り部321は、雌ねじ部32aよりも軸方向中央側に設けられていれば良く、この座繰り部321の内周面を内向き面35とすれば良い。なお、ここでの座繰り部321には、上述した小径部314とともに電極33A、33Bのフランジ部331がインロー構造によりガタなく嵌め合わされている。
【0067】
さらに、前記実施形態の外向き面34及び内向き面35は、金属パイプ31や絶縁パイプ32の軸方向に沿って延びていたが、図6に示すように、金属パイプ31や絶縁パイプ32の軸方向に対して傾いていても良い。
【0068】
加えて、前記実施形態では、座繰り部321の内周面の全周が内向き面35であったが、例えば座繰り部321の内周面において周方向に沿って間欠的に内向き面35を設けるなど、必ずしも内周面の全周に亘って内向き面35を設ける必要はない。
外向き面34も同様に、例えば大径部312の外周面において周方向に沿って間欠的に設けるなど、必ずしも外周面の全周に亘って外向き面34を設ける必要はない。
【0069】
さらに加えて、外向き面34及び内向き面35は、例えば軸方向に沿ったねじ部31a、32aの両側など、軸方向の複数箇所に設けられていても良い。
【0070】
また、ねじ部31a、32aに関しては、金属パイプ31に雌ねじ部32aが設けられており、絶縁パイプ32に雄ねじ部31aが設けられていても良い。
【0071】
緩み抑制機構5に関しては、図7に示すように、絶縁パイプ32の環状止め具51に対向する端面に環状止め具51に向かって突出する凸部52が設けられており、環状止め具51の絶縁パイプ32に対向する端面に凸部52が係合する凹部53が設けられていても良い。
さらに、環状止め具51は、前記実施形態では金属パイプ31に外嵌されていたが、絶縁パイプ32に外嵌されていても良い。この場合のナット54の配置としては、絶縁パイプ32における環状止め具51よりも軸方向中央側に螺合されている態様が挙げられる。
【0072】
加えて、環状止め具51を金属パイプ31に固定すべく、凹部53に凸部52が係合した状態において、環状止め具51と金属パイプ31とをポンチングにより固定しても良い。
【0073】
前記実施形態のプラズマ処理装置100ではアンテナ3が基板Wの処理室内に配置されたものであったが、図8に示すように、アンテナ3を処理室18外に配置したものであってもよい。この場合、複数のアンテナ3は、真空容器2内において誘電体窓19によって処理室18とは区画されたアンテナ室20に配置されている。なお、アンテナ室20は真空排気装置21によって真空排気される。このプラズマ処理装置100であれば、処理室18の圧力などの条件と、アンテナ室20の圧力などの条件とを個別に制御することができ、プラズマPの発生を効率的にできるとともに、基板Wの処理を効率的にできる。
【0074】
加えて、金属パイプ及び絶縁パイプは、1つの内部流路を有する管状をなすものであったが、2以上の内部流路を有するもの、或いは、分岐した内部流路を有するものであっても良い。また、金属パイプや絶縁パイプは中実のものであっても良い。
【0075】
前記実施形態の電極において延出部は、円筒状であったが、その他の角筒状であっても良いし、平板状又は湾曲又は屈曲した板状であっても良い。
【0076】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
100・・・プラズマ処理装置
W ・・・基板
P ・・・誘導結合プラズマ
2 ・・・真空容器
3 ・・・アンテナ
31 ・・・金属パイプ(導体要素)
32 ・・・絶縁パイプ(絶縁要素)
32b・・・凹部
33 ・・・コンデンサ
33A・・・第1の電極
33B・・・第2の電極
331・・・フランジ部
332・・・延出部
34 ・・・外向き面
35 ・・・内向き面
312・・・大径部
321・・・座繰り部
5 ・・・緩み抑制機構
51 ・・・環状止め具
52 ・・・凸部
53 ・・・凹部
54 ・・・ナット
CL ・・・冷却液(液体の誘電体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8