(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20220217BHJP
B65D 21/04 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B65D25/20 P
B65D21/04
(21)【出願番号】P 2017193763
(22)【出願日】2017-10-03
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日 一輝
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-225497(JP,A)
【文献】特開平08-048334(JP,A)
【文献】特開2001-163339(JP,A)
【文献】特開2000-229641(JP,A)
【文献】特開2001-031091(JP,A)
【文献】特開2011-001097(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195813(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0208777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と,前記底面部の縁辺から上方側に設けられた側面部とを有し,前記側面部の上端が開口部をなしている容器であって,
容器本体と,前記容器本体に取り付けられる識別部材とを有し,
前記底面部および前記側面部は前記容器本体の一部分であり,
前記容器本体の前記側面部の上端に,前記識別部材を,上方向きおよび
外側方向きに露出させるように取り付ける取付形状部が形成されており,
前記識別部材には,前記取付形状部に取り付けられた状態で上方向きに露出する上方露出部および同状態で
外側方向きに露出する側方露出部とが形成されて
おり,
前記取付形状部は,
前記側面部の上端面から凹んだ上方取付形状部と,
前記側面部の壁面から凹んでおり前記上方取付形状部に繋がる側方取付形状部と,
前記側方取付形状部と前記上方取付形状部との一方に設けられた,前記識別部材と引っ掛かり合って抜け落ちを防ぐ識別部材係止部および前記識別部材に部分的に覆い被さる識別部材保持部とを含んでおり,
前記識別部材は,
前記上方取付形状部に保持され前記上方露出部を有する上方部と,
前記側方取付形状部に保持され前記側方露出部を有する側方部とを有し,
前記上方部と前記側方部とは互いに交差する方向に形成されており,
前記側方部と前記上方部との一方に,前記識別部材係止部に引っ掛かる被係止部および前記識別部材保持部の内面側に潜り込む凹み部が形成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって,
前記識別部材係止部および前記識別部材保持部が前記側方取付形状部に設けられるとともに,前記被係止部および前記凹み部が前記側方部に設けられており,
前記識別部材保持部が前記側方取付形状部の両サイドに設けられるとともに,前記凹み部が前記側方部の両サイドに設けられており,
前記識別部材保持部同士の間隔よりも,前記側方取付形状部における前記識別部材保持部以外の部分および前記上方取付形状部が幅広であり,
前記側方取付形状部および前記上方取付形状部のうち前記幅広の部分が,前記識別部材を,前記識別部材保持部同士の間隔よりも幅広に露出させる拡幅露出部分であることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2に記載の容器であって,前記識別部材を前記容器本体に取り付けた状態にて,
前記識別部材の前記上方露出部および前記側方露出部がいずれも,前記容器本体の前記側面部の上端面または壁面と同一面をなす位置もしくはそこから凹んだ位置にあることを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,収納物を収納する容器に関する。さらに詳細には,収納物の種類その他の用途を識別する識別部材を取り付けることができるようにされている容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の容器として,特許文献1に記載されているものを挙げることができる。特許文献1の「マーカー板係止構造付容器」は,その第1図に示されるように,「マーカー板(B)」を係止できるようになっている。すなわち同図には,「容器(A)」の「側壁(1)」の外面に「マーカー板(B)」が取り付けられている状態が示されている。これにより,ユーザーが「マーカー板(B)」を見ることで,「容器(A)」の内容物等について識別できるようになっている。なお,「マーカー板(B)」は「容器(A)」に対して取り替え可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記した従来の技術には,次のような問題点があった。すなわち,特許文献1の第1図のように取り付けられている「マーカー板(B)」は,「容器(A)」の「側壁(1)」の外面側からでなければ見ることができない。このため「容器(A)」の上方からでは,「マーカー板(B)」による「容器(A)」の識別ができなかった。また,「マーカー板(B)」を「容器(A)」における複数箇所の「側壁(1)」に取り付けることも可能であるが,その場合に複数の「マーカー板(B)」を同時に見ることはできなかった。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,識別部材を取り付けることができるとともに,取り付けられている識別部材を,外面側からのみならず上方からでも見ることができる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様における容器は,底面部と,底面部の縁辺から上方側に設けられた側面部とを有し,側面部の上端が開口部をなしているものであって,容器本体と,容器本体に取り付けられる識別部材とを有し,底面部および側面部は容器本体の一部分であり,容器本体の側面部の上端に,識別部材を,上方向きおよび外側方向きに露出させるように取り付ける取付形状部が形成されており,識別部材には,取付形状部に取り付けられた状態で上方向きに露出する上方露出部および同状態で外側方向きに露出する側方露出部とが形成されているものである。
【0007】
上記態様における容器では,識別部材を容器本体の取付形状部に取り付けた状態とすることができる。その状態では,識別部材の上方露出部が上方向きに露出しており,かつ,側方露出部が外側方向きに露出している。このため,側方からでも上方からでも識別部材を視認することができる。したがって,容器における識別部材を視認しやすい。また,1つの容器に複数の識別部材を取り付ける態様とすることができる。その場合,容器を上方または斜め上方から見れば,複数の識別部材を同時に視認することができる。
【0008】
上記態様における容器ではさらに,取付形状部が,側面部の上端面から凹んだ上方取付形状部と,側面部の壁面から凹んでおり上方取付形状部に繋がる側方取付形状部とを含んでおり,識別部材が,上方取付形状部に保持され上方露出部を有する上方部と,側方取付形状部に保持され側方露出部を有する側方部とを有し,上方部と側方部とは互いに交差する方向に形成されている。つまり識別部材は略逆L字断面のものである。このようになっていれば,識別部材の上方部と側方部とがそれぞれ,容器本体側の所定の取付形状部に取り付けられた状態となり,上方露出部および側方露出部が該当する向きに露出した状態となる。
【0009】
上記態様ではさらに,上方取付形状部と側方取付形状部との少なくとも一方に,識別部材に部分的に覆い被さる識別部材保持部,または識別部材と引っ掛かり合って抜け落ちを防ぐ識別部材係止部が設けられている。このようになっていれば取付状態での識別部材は,識別部材保持部または識別部材係止部により,容易に容器本体から脱落しないように保持される。識別部材には,取付状態で識別部材係止部と引っ掛かり合う被係止部が設けられる。
【0010】
識別部材保持部が形成されている態様ではさらに,上方取付形状部と側方取付形状部との一方に,識別部材保持部が設けられているとともに,上方取付形状部および側方取付形状部のうち識別部材保持部以外の部分が,識別部材を,識別部材保持部よりも幅広に露出させる拡幅露出部分とされていることが望ましい。このようになっていれば,識別部材が,拡幅露出部分により幅広に露出されているので,より視認しやすい。
【0011】
上記のいずれかの態様の容器ではさらに,識別部材を容器本体に取り付けた状態にて,識別部材の上方露出部および側方露出部がいずれも,容器本体の側面部と同一面をなす位置もしくは凹んだ位置にあることが望ましい。より詳細に言えば,識別部材の上方露出部が側面部の上端面と同一面をなす位置もしくはそこから凹んだ位置にあり,かつ側方露出部が側面部の壁面と同一面をなす位置もしくはそこから凹んだ位置にあることが望ましい。このようになっていれば,識別部材が側面部から上方あるいは側方にはみ出ることがない。このため,容器の取り扱い上,識別部材が邪魔になることがない。
【発明の効果】
【0012】
本構成によれば,識別部材を取り付けることができるとともに,取り付けられている識別部材を,外面側からのみならず上方からでも見ることができる容器が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施の形態に係る容器における識別部材の斜視図である。
【
図4】短辺側面部をさらに高い俯角から見た斜視図である。
【
図5】取り付け状態での識別部材およびその周辺部分の断面図(その1)である。
【
図6】取り付け状態での識別部材およびその周辺部分の断面図(その2)である。
【
図7】取り付け状態での識別部材およびその周辺部分の断面図(その3)である。
【
図8】取り付け状態での識別部材およびその周辺部分の断面図(その4)である。
【
図9】取り付け状態での識別部材およびその周辺部分の断面図(その5)である。
【
図10】実施の形態に係る容器を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,
図1に示す容器10として本発明を具体化したものである。
図1の容器10は,長方形状の底面部2と,底面部2の縁辺から上方側に設けられた長辺側面部3および短辺側面部4とを有している。容器10は,底面部2と長辺側面部3と短辺側面部4との全体で,上方が開口した略直方体形状をなしているものである。また,長辺側面部3および短辺側面部4の上端には,略長方形の鍔状の上フランジ5が形成されている。そして,長辺側面部3および短辺側面部4における上フランジ5より下方の位置には,これも鍔状である下フランジ6が形成されている。下フランジ6は,上フランジ5と底面部2との間に位置している。
【0015】
図1に示される容器10では,短辺側面部4の上端における4箇所に,識別部材7が装着されている。容器10に装着される前の単独の状態での識別部材7を,
図2の斜視図に示す。
図2中の左側に示される識別部材7は外面側から見たものであり,右側に示される識別部材7は内面側から見たものである。識別部材7は上方部8と側方部9とを有している。上方部8には,容器10に装着された状態で上方向きに露出する上方露出面11が形成されている。側方部9には,容器10に装着された状態で側方向きに露出する側方露出面12が形成されている。上方部8と側方部9とは互いに交差する方向に形成されている。すなわち上方部8は,上方部8と側方部9との接続箇所から水平方向に形成されている。一方側方部9は,垂直方向に形成されている。これにより,単独状態の識別部材7を側面視すると逆L字形に見えるようになっている。
【0016】
識別部材7ではさらに,側方部9の両サイドに凹み部13が形成されている。凹み部13は,側方露出面12よりも凹んだ位置にある。また,側方露出面12のうち凹み部13に挟まれた部分の幅w1は,側方露出面12のうちそれ以外の部分および上方露出面11の幅w2よりも狭い。そして側方部9の下端には,被係止部14が設けられている。被係止部14は,識別部材7が容器10に装着された状態で,容器10側の識別部材係止部(詳細は後述)と引っ掛かって抜け落ちを防止する部位である。
【0017】
図3に,容器10における短辺側面部4の付近の斜視図を示す。
図3では短辺側面部4を,容器10における外面側斜め上方から見ている。
図3中では,2つの識別部材7の一方を装着済み,もう一方を装着前の状態としている。また
図4に,短辺側面部4をさらに高い俯角から見下ろした斜視図を示す。
図4中では,2つの識別部材7の一方のみを,装着前の状態で示している。なお,容器10のうち識別部材7以外の部分を以下,容器本体15という。前述の底面部2も長辺側面部3も短辺側面部4も,容器本体15の一部分である。
【0018】
図3,
図4に示されるように,短辺側面部4における識別部材7が取り付けられる箇所には,取付形状部16が形成されている。取付形状部16は,識別部材7を,上方向きと外側方向きとに露出させるように取り付ける部位である。取付形状部16には,上方取付形状部17と側方取付形状部18とが含まれている。上方取付形状部17は,上フランジ5の上面から凹んだ部位であり,識別部材7の上方部8を保持する部位である。側方取付形状部18は,短辺側面部4の外壁面19の上面から凹んだ部位であり,識別部材7の側方部9を保持する部位である。側方取付形状部18は,上フランジ5と下フランジ6との間の部位に形成されている。上方取付形状部17と側方取付形状部18とは繋がっている。これにより,
図3中の左の取り付け状態の識別部材7に示されるように,上方露出面11が上向きに,側方露出面12が外側方向きに露出する状態で取り付けられるのである。
【0019】
側方取付形状部18にはさらに,識別部材保持部20が形成されている。識別部材保持部20は,側方取付形状部18の両サイドから迫り出す形状の部位である。取り付け状態の識別部材7の側方部9の一部分に対して識別部材保持部20が覆い被さるようになっている。具体的には,取り付け状態の識別部材7の側方部9のうち凹み部13の部分が,識別部材保持部20の内面側に潜り込む状態となる。
【0020】
側方取付形状部18における識別部材保持部20同士の間隔L1(
図3参照)は,識別部材7における前述の側方露出面12(幅:w1)をほぼ隙間なく収納できるように定められている。また,側方取付形状部18におけるそれ以外の部分および上方取付形状部17は,間隔L1よりも幅広(L2)で,識別部材7における幅がw2の部分をほぼ隙間なく収納できる部分である。この取付形状部16のうち幅がL2の部分が,識別部材7を,間隔L1よりも幅広に露出させる拡幅露出部分である。
【0021】
取り付け状態での識別部材7およびその周辺部分の詳細を,
図5~
図9により説明する。
図5は,識別部材7および容器本体15を,識別部材7の凹み部13の位置での鉛直面で切断して示す正視断面図である。
図5に示される断面位置における側方取付形状部18の下端は,識別部材係止部21となっている。この識別部材係止部21に識別部材7の被係止部14が引っ掛かっている。これにより,識別部材7の容器本体15からの抜け落ちが防止されている。また,識別部材7の上方露出面11は,上フランジ5の上端面22と同一面をなしもしくはそこから凹んでおり,上端面22より上方へはみ出してはいない。同様に識別部材7の側方露出面12は,短辺側面部4の外壁面19と同一面をなしもしくはそこから凹んでおり,外壁面19より外方へはみ出してはいない。
図5に示した断面箇所を外側斜め上方から見た状況を
図6に,同箇所を内側斜め下方から見上げた状況を
図7に,それぞれ示す。
【0022】
図8は,
図5に対して切断位置を少し変えて示す正視断面図である。すなわち
図8は,識別部材7および容器本体15を,識別部材保持部20同士の間の位置での鉛直面で切断して示している。
図8に示される断面位置では,識別部材7の側方部9の下端が,容器本体15の下フランジ6の上面に達している。
図8に示した断面箇所を,
図6と同じ俯角で見た状況を
図9に示す。なお,本形態の容器10の開口部は,
図5および
図8中に矢印Cで示されるレベルの位置である。これは,長辺側面部3および短辺側面部4の上端で囲まれている箇所である。
【0023】
上記のように構成された容器10では,容器本体15の短辺側面部4の上方に,識別部材7を,側方部9を下向きにして配置する(
図3の右側の識別部材7)。そして識別部材7を取付形状部16に押し込む。これにより取付形状部16に識別部材7を取り付けることができる。識別部材7の被係止部14が容器本体15の識別部材係止部21に引っ掛かるまで識別部材7を押し込めば取り付け完了であり,その状態では識別部材7がひとりでに容器本体15から脱落することはない。
【0024】
この取り付け状態の識別部材7は,容器10の真上からでも,また短辺側面部4側の真横からでも見ることができる。識別部材7の上方露出面11と側方露出面12とがいずれも露出しているからである。短辺側面部4側の斜め上方からであれば,上方露出面11および側方露出面12のいずれも見ることができる。つまり,普通に容器10を見る場合にほぼ必ず,識別部材7が視認可能状態にある。また,識別部材7の一部が拡幅露出部分により幅広に露出しているので,より識別部材7が視認しやすくなっている。
【0025】
よって,識別部材7として多種類の色のものを用意しておくことで,識別部材7の色を,容器10の収納物の何らかの属性を示す識別表示として利用することができる。収納物の属性としては,種別,出荷予定先,出荷予定日,受取日,使用期限日等,何でもよい。例えば収納物の種別の識別表示として利用する場合には,種別ごとに色を指定しておく。そして,1つの容器本体15には4つとも同じ色の識別部材7を装着するとともに,容器本体15ごとに識別部材7の色を別々とするのである。こうすることで識別部材7の色により,その容器10に収納されている物の種別を認識することができる。また,物を複数の容器10のいずれかに収納しようとする場合に,どの容器10に収納すべきかを認識することができる。種別以外の他の属性についても同様の利用ができる。
【0026】
ここで前述のように識別部材7は見やすいので,識別部材7を見るために容器10をぐるぐる回転させたり,あるいはユーザーが容器10の回りをぐるぐる回ったりする必要がない。また,1つの容器本体15に異なる色の識別部材7が混じって装着されているような誤装着状況があったとしても,直ちにそのことを認識することができる。普通に容器10を見る場合にほぼ必ず,その容器10の複数の識別部材7を同時に見ることができるからである。なお,1つの容器本体15に異なる色の識別部材7を混装することを,誤装着状態とはみなさないで正しい運用の一態様として利用することを妨げるものではない。また,上方露出面11や側方露出面12に文字や模様を表示しておいて,その表示内容により上記の識別表示として利用することも可能である。この場合に,識別部材7の地色は1種類だけでもよいし,地色も複数種類としてもよい。
【0027】
なお,本形態として上記に示した容器10は,一旦装着した識別部材7を取り外して別の色の識別部材7を装着し直す,ということを頻繁に行うことを想定したものではない。しかし,識別部材7の取り外し自体は可能であるし,取り外した識別部材7も容器本体15も再使用可能である。
【0028】
また,本形態の容器10は,複数個を段積みすることが可能なものである。
図10に,3個の容器10を段積みした状態を示す。
図10に示したものでは,最下段の容器10(101)と中段の容器10(102)とは,互いに180°回転した状態で積み重ねられている。このため,上の容器10(102)が下の容器10(101)の収納空間に入り込んだ状態となっている。下の容器10(101)が空荷の場合にこのような段積みが可能である。その分,積み重ね全体としての高さ方向寸法を小さく抑えることができる。
【0029】
一方,中段の容器10(102)と最上段の容器10(103)とは,同じ向きにした状態で積み重ねられている。このため,上の容器10(103)は下の容器10(102)の収納空間に入り込んでいない。下の容器10(102)に収納物が現に入っている場合にはこのような段積みとする。これにより,下の容器10の収納物が保護される。また,多数の容器10を段積みした状況において,どの段の容器10が空荷であるか,あるいは収納物が入っているか,容易に把握することができる。
【0030】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,容器本体15と,容器本体15に取り付けられる識別部材7とからなる容器10において,取り付け状態では識別部材7が上方向きにも側方向きにも露出するようにしている。これにより,取り付けられている識別部材7を,外面側からのみならず上方からでも見ることができる容器10が実現されている。
【0031】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,容器本体15における識別部材7の個数は任意である。4個より多くてもよいし少なくてもよい。1個だけでもよい。また識別部材7の取り付け箇所も,短辺側面部4には限られない。長辺側面部3に識別部材7を取り付けるようになっていてもよい。長辺側面部3と短辺側面部4との両方に識別部材7を取り付けるようになっていてもよい。
【0032】
また,容器の全体形として,図示したような長方形に限らず,正方形でもよいし,さらにそれ以外の多角形でもよい。また,円形や長円形等,多角形ですらない形状でもよい。
【0033】
また,本形態は,識別部材7を容器本体15の上方から取付形状部16に押し込んで装着する構成のものであるが,このような形に限定されるものではない。識別部材7を容器本体15の側面部(長辺側面部3もしくは短辺側面部4)の上端付近に対して側方から水平に押し込んで装着する構成でもよい。つまり,本形態にて側方取付形状部18の一部として示した識別部材保持部20や識別部材係止部21は,上方取付形状部17の一部として形成されているものであってもよい。その場合には当然に,本形態にて識別部材7の側方部9の一部として示した凹み部13や被係止部14は,上方部8の一部として形成されることとなる。
【0034】
また,本形態では,容器本体15による識別部材7の保持を,識別部材保持部20による覆いと,識別部材係止部21と被係止部14との引っ掛かりとの両方で行うようになっている。しかしこのことも必須ではなく,いずれか一方だけであってもよい。さらには,識別部材7を安定して保持できる構成でさえあればよく,これらの少なくとも一方を必ず備えていなければならない訳ではない。さらには,識別部材7の上方部8と側方部9とが別体になっていてもよい。
【符号の説明】
【0035】
2 底面部
3 長辺側面部(側面部)
4 短辺側面部(側面部)
5 上フランジ
6 下フランジ
7 識別部材
8 上方部
9 側方部
10 容器
11 上方露出面
12 側方露出面
15 容器本体
16 取付形状部
17 上方取付形状部
18 側方取付形状部
19 外壁面(壁面)
20 識別部材保持部
21 識別部材係止部
22 上端面
L2 拡幅露出部分の幅