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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】情報処理装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
A61H7/00 323G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018061939
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019170657
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】稲田 二千武
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-190022(JP,A)
【文献】特開2002-238965(JP,A)
【文献】特開2014-122925(JP,A)
【文献】特開2016-167190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00-15/02
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人情報の取扱に関するユーザ意思を確認する処理を実行し、
前記ユーザの身体状態に関する判定処理であって、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の判定処理を実行し、
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、
前記判定処理は、前記ユーザの身体状態に関する判定結果を前記ユーザの個人情報データベースに保存することを含み、
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、
前記判定処理は、前記判定結果を前記個人情報データベースに保存しないことを含
前記判定処理の結果を用いて、前記ユーザが使用するマッサージ装置に行わせる動作を決定する動作決定処理をさらに実行し、
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、
前記動作決定処理は、個人情報データベースに保存された情報をさらに用いて、前記動作を決定する
よう構成された情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、
前記判定処理は、前記個人情報データベースに保存された情報を用いて、前記ユーザの身体状態を判定することをさらに含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、
前記判定処理は、前記個人情報データベースに保存された情報を用いることなく、前記ユーザから取得された情報を用いて、前記ユーザの身体状態を判定することを含む
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記動作決定処理は、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の処理である
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、
前記動作決定処理は、前記個人情報データベースに保存された情報を用いることなく、前記動作を決定する
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、
前記動作は、前記判定処理の結果及び個人情報データベースに保存された情報を用いて生成されたマッサージコースであり、
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、
前記動作は、前記判定処理の結果に基づいて、複数のマッサージコース候補の中から、選択された1又は複数のマッサージコースである
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
個人情報の取扱に関するユーザ意思を確認する処理を実行し、
前記ユーザの身体状態に関する判定処理であって、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の判定処理を実行し、
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、
前記判定処理は、前記ユーザの身体状態に関する判定結果を前記ユーザの個人情報データベースに保存することを含み、
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、
前記判定処理は、前記判定結果を前記個人情報データベースに保存しないことを含み、
前記判定処理の結果を用いて、前記ユーザが使用するマッサージ装置に行わせる動作を決定する動作決定処理をさらに実行し、
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、
前記動作決定処理は、個人情報データベースに保存された情報をさらに用いて、前記動作を決定する
よう構成された情報処理装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの身体状態に関する判定をする情報処理装置及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マッサージ装置が、ユーザに対して問診を行い、ユーザの回答に基づいて体調を判断することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-70318号公報
【発明の概要】
【0004】
ユーザの身体状態に関する判定には、ユーザの個人情報が用いられることがある。ユーザの個人情報の取扱いは、ユーザ意思に応じて適切になされるべきである。
【0005】
したがって、ユーザの個人情報を用いる判定処理において、ユーザの個人情報の取扱に関するユーザ意思を考慮することが望まれる。
【0006】
本開示の情報処理装置は、個人情報の取扱に関するユーザ意思を確認する処理を実行し、前記ユーザの身体状態に関する判定処理であって、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の判定処理を実行するよう構成されている。
【0007】
本開示の情報処理装置の動作方法は、個人情報の取扱に関するユーザ意思を確認する処理を実行し、前記ユーザの身体状態に関する判定処理であって、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の判定処理を実行することを含む。
【0008】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、サーバにおける処理のフローチャートである。
図2図2は、マッサージ装置を含むネットワークシステムの構成図である。
図3図3は、第1判定処理のフローチャートである。
図4図4は、第2判定処理のフローチャートである。
図5図5は、第1動作決定処理の説明図である。
図6図6は、第2動作決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.情報処理装置及びその動作方法の概要>
【0011】
(1)実施形態に係る情報処理装置は、個人情報の取扱に関するユーザ意思を確認する処理を実行するよう構成されている。この処理により、個人情報の取扱いに関するユーザ意思が確認される。ここで、個人情報の取扱いとは、情報処理装置又は情報処理装置を利用したサービス提供者による、ユーザ個人情報の利用のことである。個人情報は、例えば、後述の判定処理に用いられるユーザ情報であってもよいし、後述の判定処理の結果であってもよい。確認される意思は、例えば、個人情報の利用の可否である。個人情報の利用は、例えば、判定処理の結果及び判定処理に用いられるユーザ情報の少なくともいずれか一つの保存であってもよいし、保存された個人情報を利用した判定であってもよい。確認される意思は、個人情報の利用の可否に限らず、個人情報の利用可能な範囲に関する意思であってもよい。
【0012】
ユーザ意思を確認する処理は、例えば、予め設定されたユーザ意思情報を情報処理装置が参照する処理であってもよいし、ユーザ意思をユーザが情報処理装置へ入力するための処理であってもよい。
【0013】
実施形態に係る情報処理装置は、前記ユーザの身体状態に関する判定処理であって、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の判定処理を実行するよう構成されている。この場合、ユーザ意思に応じて適切な判定処理を実行することができる。身体状態は、ユーザの体に関する状態であればよく、例えば、体調・病状などの健康状態であってもよいし、肌の状態などの美容状態であってもよい。
【0014】
異なる内容の判定処理は、例えば、判定の仕方は同じだが、判定結果の保存の有無が異なる判定処理である。異なる内容の判定処理は、判定の仕方自体が異なるとともに、判定結果の保存の有無も異なる判定処理であってもよい。異なる内容の判定処理は、判定に用いられる情報が異なる判定処理であってもよい。
【0015】
(2)前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、前記判定処理は、前記ユーザの身体状態に関する判定結果を前記ユーザの個人情報データベースに保存することを含むのが好ましい。判定結果の保存により、事後的に判定結果を活用することができる。個人情報の利用とは、例えば、個人情報を用いた判定と判定結果の保存とを含む。
【0016】
前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、前記判定処理は、前記判定結果を前記個人情報データベースに保存することを含まないのが好ましい。この場合、ユーザ意思に沿って、判定結果の個人情報データベースへの保存が回避される。なお、ユーザ意思にかかわらず、情報処理装置において判定結果の一時的な保存は許容される。
【0017】
(3)前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、前記判定処理は、前記個人情報データベースに保存された情報を用いて、前記ユーザの身体状態を判定することをさらに含むのが好ましい。この場合、ユーザの個人情報を用いて身体状態をより適切に判定することができる。
【0018】
(4)前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、前記判定処理は、前記個人情報データベースに保存された情報を用いることなく、前記ユーザから取得された情報を用いて、前記ユーザの身体状態を判定することを含むのが好ましい。個人情報データベースに保存された過去のデータを用いないことで個人情報の利用を抑制することができる。一方、ユーザから現在取得可能な情報を用いることで、身体状態をある程度適切に判定することができる。
【0019】
(5)情報処理装置は、前記判定処理の結果を用いて、前記ユーザが使用するマッサージ装置に行わせる動作を決定する動作決定処理をさらに実行するよう構成されているのが好ましい。この場合、マッサージ装置に行わせる動作として、判定処理結果に応じた適切なマッサージ動作を決定することができる。なお、情報処理装置は、マッサージ装置に内蔵されていてもよいし、マッサージ装置と通信ネットワークを介して接続されてもよい。マッサージ動作の決定は、判定結果に基づくマッサージコースの選択であってもよいし、判定結果に基づくマッサージ部位(例えば、経絡)の選択であってもよいし、判定結果に基づくマッサージコースの自動生成であってもよい。
【0020】
動作を決定することは、唯一の動作の決定又は実際にマッサージ動作が実行する動作の決定である必要はなく、ユーザに推奨するための複数の動作候補の決定であってもよい。
【0021】
(6)前記動作決定処理は、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の処理であってもよい。ユーザ意思に応じて異なる内容の判定処理を実行することに応じて、異なる内容の動作決定処理を実行することで、適切な動作決定処理となる。
【0022】
異なる内容の動作決定処理は、例えば、マッサージコースの選択処理とマッサージコースの自動生成処理とを含むことができる。異なる内容の動作決定処理は、第1のマッサージコース候補群からのマッサージコース選択処理と第1のマッサージコース候補群とは異なる第2のマッサージコース候補群からのマッサージコース選択処理とを含むことができる。異なる内容の動作決定処理は、第1標準マッサージコースを修正することによるマッサージコース生成処理と第1標準マッサージコースとは異なる第2標準マッサージコースを修正することによるマッサージコース生成処理とを含むことができる。
【0023】
(7)前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、前記動作決定処理は、前記個人情報データベースに保存された情報をさらに用いて、前記動作を決定することができる。個人情報データベースに保存された情報を用いることで、より適切に動作を決定することができる。
【0024】
(8)前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、前記動作決定処理は、前記個人情報データベースに保存された情報を用いることなく、前記動作を決定することができる。この場合、ユーザ意思に沿って、個人情報の利用が抑制される。
【0025】
(9)前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾するものである場合、前記動作は、前記判定処理の結果及び前記個人情報データベースに保存された情報を用いて生成されたマッサージコースであるのが好ましい。この場合、判定処理の結果だけでなく、個人情報データベースに保存された情報をも用いて、より適切な動作決定処理を行うことができる。
【0026】
(10)前記ユーザ意思が前記個人情報の利用を承諾しないものである場合、前記動作は、前記判定処理の結果に基づいて、複数のマッサージコース候補の中から、選択された1又は複数のマッサージコースである。この場合、個人情報データベースに保存された情報を用いることを回避しつつ、マッサージコースを決定することができる。
【0027】
(11)実施形態に係る情報処理装置の動作方法は、個人情報の取扱に関するユーザ意思を確認する処理を実行し、前記ユーザの身体状態に関する判定処理であって、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の判定処理を実行することを含む。
【0028】
実施形態に係るコンピュータプログラムは、個人情報の取扱 に関するユーザ意思を確認する処理と、前記ユーザの身体状態に関する判定処理であって、前記ユーザ意思に応じて異なる内容の判定処理と、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0029】
<2.情報処理装置の例>
【0030】
図1は、図2に示すサーバ(情報処理装置)40によって実行される処理を示している。サーバ40は、ユーザ20に対するサービス提供用である。ユーザ20に提供されるサービスは、例えば、ユーザ20によるマッサージ装置10の使用のサポートと、ユーザ20の健康状態及び美容状態などの身体状態の管理及びそれに付随したサービスを含む。サーバ40は、ユーザ20に対するサービス提供者によって運営される。サービス提供者は、例えば、マッサージ装置10の販売会社である。
【0031】
図2に示すように、サーバ40は、ネットワーク30を介してマッサージ装置10と通信可能である。ネットワーク30は、例えば、インターネットである。マッサージ装置10は、多数の家庭に設置されている。サーバ40は、複数のマッサージ装置10と通信可能である。
【0032】
サーバ40は、プロセッサ50及び記憶装置60を備えたコンピュータである。プロセッサ50は、サービス提供のための様々な情報処理51,52,52a,53,53a,54,55を実行する。これらの情報処理51,52,52a,53,53a,54,55は、プロセッサ50が、記憶装置60に記憶されたコンピュータプログラム70を実行することにより行われる。これらの情報処理51,52,52a,53,53a,54,55については、後述する。記憶装置60は、情報処理に用いられる各種のデータ61,66,67,68を記憶している。これらのデータ61,66,67,68についても、後述する。
【0033】
マッサージ装置10は、マッサージ装置本体10aを備える。マッサージ装置本体10aは、ユーザ20にマッサージを施すマッサージ部(図示省略)を備える。マッサージ装置本体10aは、例えば、椅子型である。椅子型マッサージ装置本体10aは、例えば、ユーザが着座する座部、座部の後側に設けられた背もたれ部、座部の前側に設けられたフットレスト、座部の左右両側に設けられたアームレストを備える。座部、背もたれ部、フットレスト、アームレストには、それぞれ、マッサージ部が設けられており、ユーザ20の全身をマッサージする。
【0034】
マッサージ装置10は、情報処理装置11を備える。情報処理装置11は、例えば、タブレット型である。情報処理装置11は、プロセッサ12及び記憶装置13を備えたコンピュータである。プロセッサ12は、記憶装置13に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理装置11において行われるべき処理を行う。情報処理装置11は、サーバ40にて行われる処理を実行してもよい。
【0035】
情報処理装置11は、マッサージ装置10に着座したユーザ20が操作できるように、例えば、アームレスト近傍において、マッサージ装置10に搭載されている。情報処理装置11は、無線又は有線で、マッサージ装置本体10aの本体制御部(図示省略)と接続されている。
【0036】
情報処理装置11は、マッサージ装置本体10aの操作器として機能するとともに、ネットワーク30等を介した通信をする通信端末としても機能する。ユーザ20は、操作器としての情報処理装置11を操作することで、マッサージコースの選択・実行、マッサージ部の動作の調整、背もたれ部及びフットレストの位置調整などをすることができる。
【0037】
情報処理装置11は、表示装置15を備える。実施形態の表示装置15は、タッチパネルであり、ユーザ20は、タッチパネル15によって入力操作をすることができる。情報処理装置11は、タッチパネル15が、椅子型マッサージ装置本体10aに着座したユーザ20が操作可能であるように、椅子型マッサージ装置本体10aに配置されている。
【0038】
情報処理装置11は、カメラ(第1カメラ)14を備える。カメラ14は、椅子型マッサージ装置本体10aに着座したユーザ20の顔付近を撮影できるように配置されている。情報処理装置11は、マイク16及びスピーカ17を備えている。マイク16により、情報処理装置11へ音声入力ができる。スピーカ17により、情報処理装置11から音声を出力することができる。
【0039】
なお、カメラ14、タッチパネル15、マイク16、スピーカ17は、ユーザインタフェースとして機能する。
【0040】
情報処理装置11は、通信インタフェース(IF)18を備える。通信IF18は、例えば、近距離無線通信部である。通信IF18は、ユーザ20の通信端末21,22と通信する。通信端末21は、例えば、ユーザ20が持つスマートフォン又はタブレットである。
【0041】
通信端末22は、例えば、ユーザ20のウェアラブル機器である。ウェアラブル機器22は、例えば、時計型、アクセサリー型、衣服型、眼鏡型、コンタクトレンズ型、身体への貼り付け型、身体への内蔵型である。ウェアラブル機器22は、血圧、体温、脈拍などのバイタルデータ(ライフログ)をユーザから取得する。なお、バイタルデータを取得する装置は、マッサージ装置10に設けられていてもよい。
【0042】
通信端末21及び通信端末22は、ユーザインタフェースとして機能する。
【0043】
情報処理装置11は、通信インタフェース(IF)19を備える。通信IF19は、例えば、無線LAN又は有線LAN通信部である。情報処理装置11は、LANを介して、インターネットなどのネットワーク30に接続する。マッサージ装置10のユーザ20は、情報処理装置11を用いて、サーバ40へアクセスし、サーバ40からのサービス提供を受けることができる。
【0044】
ユーザ20は、例えば、マッサージ装置10を利用する際に、マッサージ実行に先立って、サーバ40へアクセスする。図1は、ユーザ20がサーバ40にアクセスして、マッサージ実行がされるまでの間に、サーバ40において行われる処理を示している。なお、図1に示す処理は、マッサージ実行とは無関係に行われてもよい。
【0045】
ステップS11において、ユーザ20がサーバ40へログインする処理が実行される。ステップS11において、ユーザ20の認証は、例えば、顔認証により行われる。顔認証は、情報処理装置11に搭載されたカメラ14によって撮影されたユーザ顔画像に基づいて行われる。
【0046】
ユーザ20がサーバ40にログインすると、ステップS12において、個人情報の取扱に関するユーザ意思を確認する処理51が実行される。実施形態において、ユーザ意思は、記憶装置60に保存された設定情報61に含まれるユーザ意思情報を参照することにより確認される。ユーザ意思情報は、事前に、ユーザにより設定された情報である。ユーザ意思情報は、サーバ40又はマッサージ装置10が取得した個人情報の取扱に関するユーザの意思を示す。ユーザ意思は、例えば、ユーザ20の個人情報の利用の承諾/不承諾である。
【0047】
ユーザ意思の確認が設定情報61の参照により行われることで、ユーザ20は、自らの意思表示のための操作をログイン毎にする必要がない。ただし、ユーザ意思の確認は、ログイン毎におこなわれてもよい。また、設定情報61としてユーザ意思情報が設定されている場合であっても、ユーザは、変更操作をすることで、ユーザ意思情報の内容を変更することができる。
【0048】
ユーザ20がログインすると、ユーザ20の身体状態に関する判定処理が実行される。実施形態においては、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾の有無によって、異なる内容の判定処理が実行される。より具体的には、承諾がある場合には、第1判定処理(ステップS14)が実行され、承諾がない場合には、第2判定処理(ステップS16)が実行される。第1判定処理及び第2判定処理は、例えば、人工知能を用いて行われる。
【0049】
図3は、第1判定処理の手順を示している。ステップS21において、個人情報データベース66に保存されたユーザ20の個人情報が取得される。第1判定処理においては、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾があるため、個人情報を取得しても問題がない。
【0050】
個人情報データベース66は、ユーザ20の性別・年齢のほか、ユーザ20から過去に取得された情報、ユーザ20についての過去の判定処理の結果、ユーザ20のマッサージ履歴(マッサージ装置10によるマッサージ動作の内容と日時)、ユーザ20の食事履歴、ユーザ20の運動履歴、ユーザ20の病歴などを含む。
【0051】
ステップS22において、ユーザから情報の取得が行われる。実施形態において、ユーザから取得される情報は、カメラ14によって撮影された顔画像を含む。顔画像は、第1判定処理のために撮影されたものでもよいが、ステップS11のユーザ認証に用いられた画像を流用するのが好ましい。ユーザ認証に用いられた顔画像を判定処理にも用いることで、撮影回数を少なくでき、ユーザ負担が軽減される。
【0052】
実施形態において、ユーザから取得される情報は、チャットボット52aとユーザとの対話情報を含む。チャットボット52aは、ユーザとの対話において、ユーザの身体状態に関する問診を行い、対話内容から、ユーザの身体状態を示す情報を取得する。身体状態を示す情報は、例えば、対話中の身体状態に関するキーワードである。キーワードは、例えば、「凝っている」「微熱」「食欲」「便秘」「肌あれ」など対話内容から形態素解析により抽出された単語である。身体状態を示す情報は、対話内容を意味解析して得られた情報であってもよい。なお、チャットボット52aは、サーバ40の機能であってもよいし(図2参照)、情報処理装置11の機能であってもよい。
【0053】
実施形態において、ユーザから取得される情報は、ウェアラブル機器22から取得されたバイタルデータ(ライフログ)を含む。バイタルデータは、スマートフォン21又はマッサージ装置10から取得されてもよい。
【0054】
ステップS23において、カメラ14、チャットボット52a、及びウェアラブル機器22から取得された情報は、個人情報データベース66に、新規の個人情報として保存される。第1判定処理においては、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾があるため、個人情報を保存しても問題がない。
【0055】
カメラ14、チャットボット52a、及びウェアラブル機器22から取得された情報が、現在のユーザ20に関するデータ(新規データ)であるのに対して、個人情報データベース66は、過去のユーザ20に関する保存済みデータ(過去データ)である。過去及び現在のデータを判定に用いることで、過去と現在の差を判定に利用することができる。
【0056】
ステップS24において、ユーザの身体状態が判定される。第1判定処理では、身体状態は、個人情報データベース66から取得したユーザ20の個人情報と、カメラ14、チャットボット52a、及びウェアラブル機器22を介してユーザ20から取得された情報と、を用いて判定される。第1判定処理においては、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾があるため、個人情報データベース66から取得した個人情報を利用しても問題がない。実施形態の第1判定処理では、多くの情報を用いて身体状態が判定されるため、より適切な判定が可能である。
【0057】
身体状態の判定には、例えば、判定用ビッグデータ67(図2参照)を機械学習した人工知能が用いられる。機械学習は、例えば、深層学習である。判定用ビッグデータ67は、例えば、身体状態の判定に用いられた情報と判定結果との組み合わせからなるデータを多数有して構成される。
【0058】
ステップS21及びステップS22において取得されたユーザ情報を、学習済みの人工知能に与えると、人工知能は、ユーザ20の身体状態を出力する。なお、身体状態の判定は、機械学習済み人工知能で行われる必要はなく、ユーザ情報から身体状態を導くためのルールに基づく処理によって行われてもよい。また、身体状態の判定は、機械学習済み人工知能とルールに基づく処理とを組み合わせてもよい。
【0059】
ルールに基づいて身体状態を判定するには、例えば、顔画像に基づいて、顔色を識別し、顔色に基づいて所定の身体状態を出力してもよい。また、顔画像に対する画像認識処理により、顔における湿疹の発生などを検出し、湿疹の状況によって所定の身体状態を出力してもよい。また、過去データと新規データとの間に差がある場合には、その差に基づいて所定の身体状態を出力してもよい。また、対話情報に含まれるキーワードに基づいて、所定の身体状態を出力してもよい。
【0060】
ステップS25において、身体状態の判定結果は、個人情報データベース66に保存され、将来の判定処理に用いられる。第1判定処理においては、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾があるため、判定結果を保存しても問題ない。
【0061】
図4は、第2判定処理の手順を示している。第2判定処理においては、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾がないため、個人情報データベース66に保存されたユーザ20の個人情報は取得されない。
【0062】
ステップS31において、ユーザから情報の取得が行われる。実施形態において、ユーザから取得される情報は、カメラ14によって撮影された顔画像を含む。顔画像は、第2判定処理のために撮影されたものでもよいが、ステップS11のユーザ認証に用いられた画像を流用するのが好ましい。ユーザ認証に用いられた顔画像を判定処理にも用いることで、撮影回数を少なくでき、ユーザ負担が軽減される。
【0063】
実施形態において、ユーザから取得される情報は、チャットボット53aとユーザとの対話情報を含む。チャットボット53aは、ユーザとの対話において、ユーザの身体状態に関する問診を行い、対話内容から、ユーザの身体状態を示す情報を取得する。取得される対話内容は、第1判定処理と第2判定処理とで共通していてもよいし異なっていてもよい。第1判定処理においては、詳細な内容の対話をする一方、第2判定処理においては、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾がないため、簡単な内容に対話にとどめておいてもよい。なお、チャットボット53aは、サーバ40の機能であってもよいし(図2参照)、情報処理装置11の機能であってもよい。
【0064】
実施形態において、ユーザから取得される情報は、ウェアラブル機器22から取得されたバイタルデータ(ライフログ)を含む。バイタルデータは、スマートフォン21又はマッサージ装置10から取得されてもよい。取得されるバイタルデータ(ライフログ)は、第1判定処理と第2判定処理とで共通していてもよいし異なっていてもよい。
【0065】
また、第1判定処理では、カメラ14、チャットボット52a、及びウェアラブル機器22から情報が取得されるのに対して、第2判定処理では、カメラ14だけから情報が取得される、というように、取得される情報の種類又は数が異なっていてもよい。第1判定処理においては、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾があるため、より多くの情報を取得しても問題がない。一方、第2判定処理では、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾がないため、ログインのために取得が許容されている顔画像だけを利用することで、個人情報の利用を抑制することができる。
【0066】
ステップS32において、ユーザの身体状態が判定される。身体状態の判定には、第1判定処理と同様に、例えば、判定用ビッグデータ67(図2参照)を機械学習した人工知能が用いられる。なお、第1判定処理と同様に、身体状態の判定は、機械学習済み人工知能で行われる必要はなく、ユーザ情報から身体状態を導くためのルールに基づく処理によって行われてもよい。また、身体状態の判定は、機械学習済み人工知能とルールに基づく処理とを組み合わせてもよい。
【0067】
第2判定処理では、カメラ14、チャットボット53a、及びウェアラブル機器22を介してユーザ20から取得された情報を用いて判定される。第2判定処理では、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾がないため、個人情報データベース66に保存された個人情報は、判定には用いられない。個人情報データベース66に保存された個人情報を用いなくても、ユーザ20から取得された情報を用いることで、ある適度適切な判定が可能である。
【0068】
ステップS33において、カメラ14、チャットボット53a、及びウェアラブル機器22を介してユーザから取得された情報は、破棄され、個人情報データベース66には保存されない。ユーザから情報を取得しつつも恒久的には保存をしないことで、ユーザ情報を利用して判定を適切に行いつつも、ユーザ意思に沿うことができる。
【0069】
図1に戻り、第1判定処理52の後には、ステップS15の第1動作決定処理54が実行され、第2判定処理53の後には、ステップS17の第2動作決定処理55が実行される。つまり、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾の有無によって、異なる内容の動作決定処理54,55が実行される。実施形態においては、承諾がある場合には、第1動作決定処理54が実行され、承諾がない場合には、第2動作決定処理55が実行される。
【0070】
ステップS15の第1動作決定処理では、ステップS14の第1判定処理の結果に加えて、個人情報データベース66に保存された個人情報を用いて、マッサージ動作が決定される。第1動作決定処理では、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾があるため、個人情報(過去データ)を用いて、より適切なマッサージ動作を決定することができる。
【0071】
第1動作決定処理に用いられる過去データは、例えば、ユーザ20に対して過去施されたマッサージ動作の内容である。過去のマッサージ動作の内容は、ユーザのマッサージの好みも示している。したがって、ユーザの過去データをも参照してマッサージ動作を決定すると、同じ身体状態であっても、ユーザの好みに応じた異なるマッサージ動作を決定することができる。
【0072】
ステップS17の第2動作決定処理では、ステップS16の第2判定処理の結果を用いて、マッサージ動作が決定される。第2動作決定処理では、個人情報データベース66に保存された個人情報は用いられない。第2動作決定処理では、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾がないため、個人情報(過去データ)を用いないことで、ユーザ意思に沿うことができる。
【0073】
図5は、第1動作決定処理54を示している。第1動作決定処理54に先立つ第1判定処理は、より多い情報に基づいて行われるため、判定の精度が比較的高い。したがって、マッサージ動作の決定も、精緻に行うことができる。第1動作決定処理54では、例えば、ユーザ20の身体状態に応じた新たなマッサージコースを自動生成するのが好適である。
【0074】
マッサージコースの自動生成は、例えば、標準的なマッサージコース201を、第1判定処理の結果が示す身体状態に応じて、適宜改変することによって行える。また、マッサージコースの自動生成は、個人情報データベース66に保存されているユーザ20の好みのマッサージコースを、身体状態に応じて、適宜改変することによって行ってもよい。
【0075】
さらに、マッサージコースの自動生成は、マッサージ部位(経絡の位置)202、マッサージ動作(揉み、叩きなど)203、マッサージ強さ204、マッサージ時間205など、マッサージコースを規定する要素を組み合わせることで行われてもよい。各要素の組み合わせの際には、第1判定処理の結果が考慮される。各要素の組み合わせの際には、個人情報データベース66に保存された過去データを考慮してもよい。
【0076】
第1動作決定処理において決定されたマッサージ動作は、個人情報データベース66に新規データとして保存される。第1動作決定処理では、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾があるため、マッサージ動作を保存しても問題がない。
【0077】
図6は、第2動作決定処理55を示している。第2判定処理は、第1判定処理よりも少ない情報に基づいて行われるため、判定の精度が比較的低い。したがって、マッサージ動作の決定も簡易な処理で行うのが好適である。
【0078】
簡易な処理によるマッサージ動作の決定の仕方は、例えば、既存の複数のマッサージコース候補の中からの選択である。例えば、図6に示すように、身体状態とマッサージコースとが対応付けられたマッサージコーステーブル68を参照することにより、第2判定処理の結果が示す身体状態に応じたマッサージコースを、複数のマッサージコース候補の中から選択することができる(ステップS41)。
【0079】
図1に戻り、ステップS17の第2動作決定処理が終了すると、ステップS18において、第2判定処理の結果であるユーザ身体状態が破棄される。第2判定処理は、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾がない状態で行われるため、身体状態を示す判定結果を破棄するのが好ましい。
【0080】
ステップS15の第1動作決定処理及びステップS17の第2動作決定処理によってマッサージ動作が決定されると、ステップS19において、決定されたマッサージ動作は、サーバ40から情報処理装置11へ送信される。情報処理装置11は、受信したマッサージ動作を、マッサージ装置本体10aに実行させる。本実施形態によれば、身体状態に応じた適切なマッサージが行われる。
【0081】
また、第2動作決定処理によってマッサージ動作が決定された場合、ステップS19の送信の後、決定されたマッサージ動作は破棄され、個人情報データベース66には保存されない。第2動作決定処理では、個人情報の利用についてのユーザ20の承諾がないため、マッサージ動作を破棄するのが好適である。
【0082】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 マッサージ装置
10a マッサージ装置本体
11 情報処理装置(マッサージ装置に搭載された端末)
12 プロセッサ
13 記憶装置
14 第1カメラ(マッサージ装置に搭載された端末)
15 タッチパネル
16 マイク
17 スピーカ
18 通信IF
19 通信IF
20 ユーザ
21 スマートフォン(モバイル機器)
22 ウェアラブル機器
30 ネットワーク
40 サーバ(情報処理装置)
50 プロセッサ
51 ユーザ意思確認処理
52 第1判定処理
52a チャットボット
53 第2判定処理
53a チャットボット
54 第1動作決定処理
55 第2動作決定処理
60 記憶装置
61 設定情報
66 個人情報データベース
67 判定用ビッグデータ
68 マッサージコーステーブル
70 コンピュータプログラム
201 標準マッサージコース
202 マッサージ部位
203 マッサージ動作
204 マッサージ強さ
205 マッサージ時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6