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特許7025790角度付き貫通内腔を有する歯科補綴物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】角度付き貫通内腔を有する歯科補綴物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/08 20060101AFI20220217BHJP
   A61C 8/00 20060101ALI20220217BHJP
   A61C 13/225 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
A61C13/08 Z
A61C8/00 Z
A61C13/225
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020513889
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 ES2018070574
(87)【国際公開番号】W WO2019048723
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P201731097
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507267023
【氏名又は名称】バイオテクノロジー インスティチュート、アイ エムエーエス ディー、 エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アニトゥア アルデコア、エデュアルド
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/125621(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0178836(US,A1)
【文献】国際公開第2013/004387(WO,A1)
【文献】特表2014-520578(JP,A)
【文献】スペイン国特許出願公開第2585733(ES,A1)
【文献】国際公開第2008/051163(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/08
A61C 8/00
A61C 13/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科インプラントに直接的または間接的に接続されることを意図した歯科補綴物(1)の製造方法であって、前記歯科補綴物は、角度付き貫通内腔(2)を含む、前記歯科補綴物(1)の製造方法において、
a)前記歯科補綴物(1)の本体(3)を得るステップであって、前記本体(3)は、前記歯科インプラントに向けられることを意図した第1の端部(4)と、前記第1の端部(4)と反対側の第2の端部(5)とを備える、ステップと、
b)前記第1の端部(4)に第1の方向(8)に第1の穴(7)を穿孔するステップと、
c)前記第1の穴(7)の中間領域(15)をフライス加工して拡張するステップであって、それにより幅広領域(18)を得る、ステップと、
d)第2の端部(5)に、前記第1の方向(8)とゼロ以外の角度を形成する第2の方向(27)に第2の穴(26)を穿孔するステップであって、前記第2の穴(26)は前記第1の穴(7)まで延在する、ステップと、
e)前記第2の穴(26)から突出する前記第1の穴(7)の内端(16)を横方向にフライス加工して拡張してエルボ(40)を形成するステップと
を含むことを特徴とする歯科補綴物(1)の製造方法。
【請求項2】
前記第1の穴(7)を穿孔するステップは、切削チップ(11)を有するドリルビット(10)によって実行されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記ドリルビット(10)は、全体に非切削側壁(12)を有することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の穴(7)の中間領域(15)をフライス加工して拡張するステップは、切削側壁(21)および非切削遠位端(22)を有するバー(20)によって実行されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記バー(20)は、シャフト(23)およびヘッド(24)を備え、前記ヘッド(24)は、前記シャフト(23)から延在し、前記切削側壁(21)および前記非切削遠位端(22)を有することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記幅広領域(18)は円筒形であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の穴(26)を穿孔するステップは、切削チップ(36)を有する工具(35)によって実行されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記工具(35)は、前記切削チップ(36)に隣接する切削側壁(37)をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の穴(26)を穿孔するステップにおいて、前記第2の穴(26)は、前記第1の穴(7)の前記幅広領域(18)まで延在することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の穴(7)の内端(16)をフライス加工して拡張するステップは、切削チップ(46)を有するバー(45)によって実行されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の穴(7)の前記内端部(16)に存在する1つ以上のエッジ(42)は、前記第1の穴(7)の内端部(16)を横方向にフライス加工して拡張する前記ステップで平滑化されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記切削チップ(46)は、結果として得られる球状または楕円状の外側切断面(47)を有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の骨内の骨結合歯科インプラントに直接的または間接的に固定されることを意図した補綴コンポーネントに関し、より具体的には、角度付き貫通内腔またはチャネルを有する、すなわち、互いにゼロ以外の角度を形成する2つの端部穴またはオリフィスで終端を迎える歯科補綴物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科インプラントは、通常チタン製の金属部品であり、患者の上顎骨(顎骨)内に配置され、1つ以上の患者の歯を模倣して交換することを意図した歯科補綴物を固定するアンカーとして使用される。歯科補綴物は、患者の自然な骨の形状、質、量に合わせて配置された1つ以上の歯科インプラントによって支えられ、保持される。
【0003】
通常、歯科インプラントを内部に配置できる止まり穴または歯槽が、最初に患者の骨に開けられる。歯槽が形成されると、通常は歯科インプラントを歯槽に通すことにより、歯科インプラントが挿入される。インプラントは通常、患者の歯肉の下に残る、つまり、「下部構造」を形成する。インプラントが挿入されると、インプラントの骨結合が行われ得るように、すなわちインプラントと骨との密接かつ非常に耐性のある接続の形成を可能にし、それによってインプラントがしっかりと骨に固定されており、噛むことや歯に潜在的に加えられる力に耐えることができるように、ある程度の時間が経過することが許容される。骨結合が終了すると、通常、1つ以上の中間部品がインプラントに接続され、歯肉を横切り、歯茎上コネクタが提供され、次いでこれに歯科補綴物が固定することができる。インプラント、1つ以上の中間部品、そして歯科補綴物間の接続は通常、ねじを使用して行われる。この目的のために、インプラント、1つ以上の中間部品、および歯科補綴物には、ねじを受け入れることを意図した内部穴が設けられている。これらの穴は、特定の各部品の目的に応じて、止まり穴または貫通穴にすることができる。
【0004】
実際には、歯、患者の骨、特に咬合(各要素とその対合物との接触面)の形状および寸法の不規則性を考えると、歯科インプラントの中心長手軸がインプラントに取り付けられた歯科補綴物の長手方向の中心軸と揃えられることは、しばしば不可能である。これは、実際には、歯科補綴物を歯科インプラントに対して傾斜または角度を付けて設置する必要が非常に頻繁にあることを意味する。歯科インプラント、関連する中間部品、および歯科補綴物で構成されるシステムで許容される角度が大きいほど、歯科医(dental surgeon, odontologist)が歯科補綴物を設計および設置する際の自由度と容易さが増す。
【0005】
この角度形成は、いくつかの方法で実現でき、そのうちの1つは、直線状の穴の代わりにある角度で内部貫通穴を有する歯科補綴物を製造することである。より具体的には、歯科インプラントに向けられることを意図した歯科補綴物の第1の端部に、インプラントの長手方向の中心軸と揃えられることを意図した第1の穴が作られる。歯科インプラントから離れた歯科補綴物の第2の端部には、第2の穴が作られる。第2の穴は、歯科インプラントの内側で第1の穴と接続され、第1の穴および歯科インプラントの長手方向中心軸とゼロとは異なる(または180°とは異なる)角度を形成する。これにより、歯科インプラントを患者の骨に斜めに取り付けなければならない場合でも、他の歯と揃うように歯科補綴物を配置できる。
【0006】
角度付き歯科補綴物を設置するために、角度付き歯科補綴物は、歯科インプラントまたは中間部品上に配置され、固定ねじが歯科補綴物の第2の穴に挿入される。ねじは、歯科補綴物の内側で前方に移動され、2つの穴の間の接続領域で回転されて、その後、インプラントまたは中間部品の内側の所定の位置に配置されるまで第1の穴を通してねじを移動させる。次に、歯科補綴物の第2の穴に挿入され、特定の角度でねじを締めることができるボールエンドキーレンチを使用して、つまり、レンチをねじに揃えることなく、ねじが締められる。ねじが締められると、第2の穴は、セメントまたは別の同様の物質で閉じられる。
【0007】
歯科補綴物は、各患者および各症例に対してカスタマイズされるように製造される。これには、歯科補綴物の外形のみならず、(歯科補綴物が歯科インプラントに対して角度を付けなければならない場合は)歯科補綴物の第1の穴および第2の穴の形状および角度も含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、歯科補綴物へのねじの容易で迅速かつ効率的な挿入、ならびに必要に応じてねじの除去を同様に改善することを可能にする角度付き歯科補綴物の新しい設計を提案することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、実行するのが簡単で、合理的なコストを有し、非常に多様な角度を達成することができ、したがって多数の実際の場合を解決する角度付き歯科補綴物の製造方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の対象は、歯科インプラントによって支持されることを意図した歯科補綴物である。歯科補綴物は、0°~180°の角度で形成された角度付き接続領域によって接続された第1の穴および第2の穴によって形成された内腔を含む。角度付き接続領域は、内腔の内部に向けられた突出するエッジの無いエルボ(40)を形成する外側領域および側部領域を含む。このエルボは、歯科インプラント上の歯科補綴物の組み立てまたは分解中に、内腔を通るねじの挿入および取り外しを容易にする。
【0011】
本発明の第2の態様は、内部にねじを受け入れることを意図した歯科補綴物を製造または機械加工する方法にあり、これによって歯科補綴物を歯科インプラントまたは次に歯科インプラントに接続される中間部品に固定する。この方法では、出発点は歯科補綴物の本体である。本体は、歯科インプラントに向けられることを意図した第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部とを備える。その後、第1の穴が、第1の端部に第1の方向に穿孔される。次に、第1の穴の中間領域をフライス加工して拡張し、幅広領域を得る。ねじの頭部は、この幅広領域のベース上に支持される。次に、第2の穴が、第2の端部に、第1の方向とゼロ以外の角度を形成する第2の方向に穿孔される。第2の穴は、第1の穴まで延在する。その後、第2の穴から突出する第1の穴の内端が拡張されてエルボを形成する。
【0012】
このようにして、第1の穴と第2の穴の機械加工から生じる不規則な表面の内部領域の、ドリル加工、フライス加工、平滑化、および形状加工の組み合わせにより、歯科補綴物内に角度付き貫通腔を作成することにある機械加工方法が提案される。このようにして、ねじの入口部分の断面(つまり、第1の穴と第2の穴の外端)は最小寸法に保たれるが、内部では、両方の穴の交点で、より大きな体積または幅が達成され、これにより、ねじの回転、特にエルボ領域内で頭部の回転が可能になる。ネジの経路には、ネジが引っ掛かり、ネジの正しい配置を困難にする可能性のあるエッジや表面は無い。
【0013】
本発明の詳細は、本発明の範囲を制限しようとするものではない添付図面に見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る製造方法の一例の実行の開始時における歯科補綴物の正面断面図を示す。
図2】本方法の第1のステップを示す正面断面図を示す。
図3】前の図のステップが実行された後の歯科補綴物の正面断面図を示す。
図4】本方法の第2のステップを示す正面断面図を示す。
図5】前の図のステップが実行された後の歯科補綴物の正面断面図を示す。
図6】本方法の第3のステップを示す正面断面図を示す。
図7】前の図のステップが実行された後の歯科補綴物の正面断面図を示す。
図8】本方法の第4ステップを示す正面断面図を示す。
図9】前の図のステップが実行された後の歯科補綴物の正面断面図を示す。
図10】切断面A-Aに係る、図7の歯科補綴物の断面図を示す。
図11】切断面B-Bに係る、図9の歯科補綴物の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、歯科補綴物を歯科インプラントまたは次いで歯科インプラントに接続される中間部分に固定するために、ねじを受け入れることを意図した角度付きチャネルまたは内腔を有する歯科補綴物を提案する。歯科補綴物を製造する方法も提案されている。
【0016】
本発明に従って得られた歯科補綴物(1)の一例を図9に示す。図示されるように、歯科補綴物(1)は、角度付き貫通内腔(2)、すなわち、非直線形状を有し、歯科補綴物(1)を貫通して延在する内腔を含む。次に、図1図8は、本発明に係る歯科補綴物(1)を製造する方法の一連のステップを示している。
【0017】
最初に図1を参照すると、本方法は本体(3)から始まり、そこから最終補綴物(1)が以下に説明するように形成される。初めの本体(3)は、図に示すように中実部品とすることができ、第1の端部(4)と、第1の端部(4)の反対側またはほぼ反対側の第2の端部(5)とを備える。第1の端部(4)は、図には示されていない歯科インプラントに向けられるように意図されている。本実施形態では、一例として、本体(3)の第1の端部(4)は、歯科インプラントまたは次いで歯科インプラントによって支持される中間部品の空間または凹部内に収容されることを意図したより狭い終端部または首部(6)を有する。次いで、第2の端部(5)は、自然の歯を模した外側のプロファイルまたは輪郭を有する。
【0018】
図2に示されるように、次いで、第1の穴(7)が第1の端部(4)から本体(3)の内部に向かって穿孔される。歯科補綴物(1)が患者の口の中の歯科インプラント上に配置されると、第1の穴(7)は、最終歯科補綴物(1)を支持する歯科インプラントの長手方向中心軸と一致する(または平行になる)ことを意図した第1の方向(8)に配置される。
【0019】
見ることができるように、第1の穴(7)は円筒形である。穿孔は、好ましくは、穿孔ビット(10)の全長に沿って切削チップ(11)および非切削側壁(12)を有する穿孔ビット(10)で実施される。これは、穿孔ビット(10)の先端(11)のみが鋭利であることが好ましいことを意味する。このようにして、円筒形であり(すなわち、円筒形の側壁を有し)所望の方向に配置された第1の穴(7)の穿孔が完全な精度で達成される。穴(7)は、図3に穿孔ビット(10)無しで図示されている。
【0020】
次に、図4に示されるように、第1の穴(7)の内端(16)と外端(17)との間にある第1の穴(7)の中間領域(15)がフライス加工され、横方向に拡張される。このようにして、図4のフライス加工の結果を示す図5に見られるように、中間領域(15)は、第1の穴(7)の内端(16)および外端(17)よりも広くなり、すなわち、第1の穴(7)には、中間幅広領域(18)が設けられている。図5に示すように、第1の穴(7)の外端(17)は、首部(6)に沿って、本体(3)の内部に向かって、首部(6)をわずかに超えて延在している。次に、幅広領域(18)は、首部(6)を越えて、すなわち、首部(6)よりも広い本体(3)の残りの部分に配置される。環状で横方向の着座面(19)は、第1の穴(7)の外端(17)を取り囲む幅広領域(18)の下部領域内に形成される。それは、歯科補綴物(1)を歯科補綴物(1)が固定される中間部分または歯科インプラント(図示せず)に対して締め付けて固定することを意図した、ねじの頭部(図示せず)が支持される幅広領域(18)の着座面(19)上にある。
【0021】
好ましくは、図4に示されるように、第1の穴(7)の中間領域(15)をフライス加工して拡張するこのステップは、切削側壁(21)および非切削遠位端(22)を有するミルビットまたはバー(ミリング工具)(20)で実行される。これにより、バー(20)の先端が第1の穴(7)を、幅広領域(18)のフライス加工が望まれる中間領域(15)を超えて長手方向にフライス加工するリスクを排除しながら、円筒状の幅広領域(18)を形成することができる。より具体的には、図4に示すように、バー(20)は、細長い本体またはシャフト(23)と、頭部(24)とを含み、頭部(24)はシャフト(23)から延在し、シャフト(23)よりも幅が広く、前述の切削側壁(21)と非切削遠位端(22)を有する。
【0022】
次に、図6に示すように、本体(3)の第2の端部(5)から第1の穴(7)に向かって円筒形の第2の穴(26)が穿孔される。第2の穴(26)は、第1の方向(8)に対して傾斜した第2の方向(27)に延在し、すなわち、第1の方向(8)とゼロより大きく180°未満の角度(28)を形成する。第2の穴(26)が穿孔された本体(3)を示す図7に観察できるように、第2の穴(26)は第1の穴(7)と接続され、穴(7、26)は、本体(3)の第1の端部(4)から第2の端部(5)まで延在する貫通内部チャネルを共に形成する。これらの連通穴(7、26)は、角度付き接続領域(29)に収束する。角度付き接続領域(29)は、角度(28)が形成される内側領域(30)と、角度(28)の反対側の外側領域(31)と、図10および図11に見える側部領域(32)を有する。
【0023】
一方、第2の穴(26)の穿孔は、好ましくは、第2の穴(26)が第1の穴(7)の幅広領域(18)まで延在するように実施される。これにより、第2の穴(26)の入口、すなわち本体(3)の第2の端部(5)に位置する第2の穴(26)の外側への開口部が比較的狭いままでありながら、角度付き接続領域(29)の容積を増加できる。
【0024】
好ましくは、図6に示すように、第2の穴(26)を穿孔するステップは、切削チップ(36)を有し、切削チップ(36)に隣接する切削側壁(37)も有することができるツール(35)で実行される。切削チップ(36)は、前方方向、すなわち、第2の方向(27)で本体(3)の内部に向かって、第2の穴(26)を貫通して形成する。図に示すように、ツールに切削側壁(37)がある場合、ツール(35)が本体(3)の内部を進むにつれて前方にドリル加工するだけでなく、ツール(35)の直径よりも大きい直径を有する第2の穴(26)を得るように、第2の穴(26)の壁部を広げるようにヘリカル穿孔を実行できる。
【0025】
図10は、図7に示される状況における本体(3)の断面図を示す。の図では、第1の穴(7)と第2の穴(26)との交点、および第1の穴(7)の内端(16)と拡張領域(18)との交点にそれぞれ形成されるエッジ(42、43)が見られる。エッジ(42、43)は、内腔(2)の内部に向かって突出している。
【0026】
次に、図8に示されるように、穴(7、26)間の角度付き接続領域(29)は、その外側領域(31)および横方向の両方でフライス加工されて拡張される。図11に示すように、外側領域(31)のフライス加工では、第1の穴の内端(16)のエッジ(42)が除去される。横方向のフライス加工では、第1の穴(7)と第2の穴(26)との間の横方向エッジ(43)は、図11に示すように、例えば、第1の穴(7)および第2の穴(26)に接する側面(44)が得られるまでエッジ(43)を下げることにより除去される。このように、角度付き接続領域(29)にエルボ(40)または図9でより明確に見ることができる外側および横方向の拡張が形成される。エルボ(40)は、角度付き接続領域(29)の外側領域(31)および側部領域(32)内において内腔(2)の内側に向かって突出するエッジがない。このようにして、本発明に係る貫通内腔(2)が得られる。エルボ(40)は、第2の穴(26)に挿入され、角度付き接続領域(29)内で回転して第1の穴(7)に向かって移動するか、または第1の穴(7)から第2の穴(26)に向かって引き抜かれるねじ(図示せず)の頭部を遮るものなく回転させるための追加スペースを提供する。
【0027】
好ましくは、第1の穴(7)の内端(16)をフライス加工して拡張すると、第1の穴(7)の内端(16)に存在するエッジ(42)が平滑化される。これにより、特にねじの引き抜き中に、角度付き接続領域(29)を通るねじの滑らかな動きが促進される。
【0028】
図8に示されるように、第1の穴(7)の内端をフライス加工して拡張するこのステップは、切削チップ(46)を有するミルビットまたはバー(45)を用いて実行される。切削チップ(46)は、例えば、球形または楕円形とすることができ、それにより、連続した滑らかなフライス加工された表面を得ることを可能にする。
【0029】
本発明に係る歯科補綴物(1)を得るために、上記したものに対する代替実施形態が考えられる。例えば、付加製造プロセスまたは三次元(3D)印刷プロセスによる歯科補綴物(1)の製造が考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11