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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20220217BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
F24C15/00 H
F24C3/12 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017208268
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019078518
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 佑香
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-102846(JP,A)
【文献】特開2003-125938(JP,A)
【文献】特開昭56-087724(JP,A)
【文献】実開昭62-147801(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱庫内の調理物を加熱する加熱部と、
ユーザによって前記加熱部に関する操作が行われる操作部と、
前記加熱庫内の状況を検知する検知部と、
前記加熱部が動作する加熱時間を計時する計時部と、
報知動作を実行する報知部と、
記憶部と、
制御部と、を備え、
前記記憶部には、複数の調理負荷と複数の第1の調理時間とが第1の火力に対応付けて記憶されており、かつ、前記複数の調理負荷と前記複数の第1の調理時間とは異なる複数の第2の調理時間とが前記第1の火力とは異なる第2の火力に対応付けて記憶されており、
前記複数の第1の調理時間のそれぞれに、前記調理負荷が対応付けられており、
前記複数の第2の調理時間のそれぞれに、前記調理負荷が対応付けられており、
前記制御部は、
前記ユーザによって前記加熱部を駆動させるための操作が前記操作部に実行される場合に、前記ユーザによって設定された火力である設定火力を特定し、前記計時部に前記加熱時間の計時を開始させ、
前記検知部によって検知される前記加熱庫内の状況に基づいて、前記調理物の調理負荷を特定し、
前記ユーザによって設定された火力が前記第1の火力である場合に、
前記複数の第1の調理時間の中から、特定した前記調理負荷に対応する前記第1の調理時間を特定し、
特定した前記第1の調理時間を利用して、前記調理物の調理が完了する時間である完了時間を特定し、
前記ユーザによって設定された火力が前記第2の火力である場合に、
前記複数の第2の調理時間の中から、特定した前記調理負荷に対応する前記第2の調理時間を特定し、
特定した前記第2の調理時間を利用して、前記完了時間を特定し、
前記加熱時間が前記完了時間を経過する場合に、前記報知部に第1の報知動作を実行させる、加熱調理器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記完了時間よりも第1の所定時間だけ前の時間である仮報知時間を特定し、
前記加熱時間が前記仮報知時間を経過する場合に、前記報知部に第2の報知動作を実行させる、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記完了時間よりも第2の所定時間だけ後の時間である追加報知時間を特定し、
前記加熱時間が前記追加報知時間を経過する場合に、前記報知部に第3の報知動作を実行させる、請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記検知部は、前記加熱庫内の温度である庫内温度を検知する温度検知部であって、
前記制御部は、
前記庫内温度の時間に関する温度勾配に基づいて、前記調理物の前記調理負荷を決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱庫内の調理物を加熱する加熱部と、ユーザによって加熱部に関する操作が行われる操作部と、加熱部が動作する加熱時間を計時する計時部と、報知動作を実行する報知部と、制御部と、を備える加熱調理器が開示されている。制御部は、ユーザによって加熱部を駆動させるための操作が操作部に実行された後において、所定時間が経過する毎に報知部を動作させる。ユーザは、報知部の報知回数を数えることで、加熱時間を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭55-116028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器では、ユーザは、加熱時間を知ることはできるが、調理物の調理が完了したか否かを知ることができない。
【0005】
本明細書では、ユーザに、加熱庫内の調理物の調理が完了したことを知らせることができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する加熱調理器は、加熱庫内の調理物を加熱する加熱部と、ユーザによって前記加熱部に関する操作が行われる操作部と、前記加熱庫内の状況を検知する検知部と、前記加熱部が動作する加熱時間を計時する計時部と、報知動作を実行する報知部と、記憶部と、制御部と、を備える。前記記憶部には、複数の調理負荷と複数の第1の調理時間とが第1の火力に対応付けて記憶されており、かつ、前記複数の調理負荷と前記複数の第1の調理時間とは異なる複数の第2の調理時間とが前記第1の火力とは異なる第2の火力に対応付けて記憶されており、前記複数の第1の調理時間のそれぞれに、前記調理負荷が対応付けられており、前記複数の第2の調理時間のそれぞれに、前記調理負荷が対応付けられている。前記制御部は、前記ユーザによって前記加熱部を駆動させるための操作が前記操作部に実行される場合に、前記ユーザによって設定された火力である設定火力を特定し、前記計時部に前記加熱時間の計時を開始させ、前記検知部によって検知される前記加熱庫内の状況に基づいて、前記調理物の調理負荷を特定し、前記ユーザによって設定された火力が前記第1の火力である場合に、前記複数の第1の調理時間の中から、特定した前記調理負荷に対応する前記第1の調理時間を特定し、特定した前記第1の調理時間を利用して、前記調理物の調理が完了する時間である完了時間を特定し、前記ユーザによって設定された火力が前記第2の火力である場合に、前記複数の第2の調理時間の中から、特定した前記調理負荷に対応する前記第2の調理時間を特定し、特定した前記第2の調理時間を利用して、前記完了時間を特定し、前記加熱時間が前記完了時間を経過する場合に、前記報知部に第1の報知動作を実行させる。
【0007】
加熱庫内の調理物の調理時間は、調理物の調理負荷によって異なる。調理物の調理負荷を特定することができれば、調理物の調理時間を特定することができる。上記の構成によると、制御部は、検知部によって検知される加熱庫内の状況に基づいて、調理物の調理負荷を特定し、特定した調理負荷に基づいて、調理物の調理が完了する時間である完了時間を特定する。そして、制御部は、計時部によって計時される加熱時間が完了時間を経過する場合に、報知部に第1の報知動作を実行させる。ユーザは、報知部による第1の報知動作を認識することで、調理物の調理が完了したことを知ることができる。従って、ユーザは、加熱時間を意識しなくても、調理物を適切に調理することができる。
【0008】
制御部は、完了時間よりも第1の所定時間だけ前の時間である仮報知時間を特定し、加熱時間が仮報知時間を経過する場合に、報知部に第2の報知動作を実行させてもよい。
【0009】
上記の構成によると、制御部は、加熱時間が仮報知時間を経過する場合に、報知部に第2の報知動作を動作させる。ユーザは、報知部による第2の報知動作を認識することで、その時点から第1の所定時間が経過する場合に、第1の報知動作が実行されることを知ることができる。従って、ユーザが、報知部による第1の報知動作を認識できないことを抑制することができる。
【0010】
制御部は、完了時間よりも第2の所定時間だけ後の時間である追加報知時間を特定し、加熱時間が追加報知時間を経過する場合に、報知部に第3の報知動作を実行させてもよい。
【0011】
上記の構成によると、制御部は、加熱時間が追加報知時間を経過する場合に、報知部に第3の報知動作を実行させる。ユーザは、報知部による第1の報知動作を認識できなかった場合でも、報知部による第3の報知動作を認識することで、調理物の調理が完了していることを知ることができる。
【0012】
検知部は、加熱庫内の温度である庫内温度を検知する温度検知部であってもよい。制御部は、庫内温度の時間に関する温度勾配に基づいて、調理物の調理負荷を決定してもよい。
【0013】
加熱部の加熱量が同じ場合、調理物の調理負荷に応じて、庫内温度の時間に関する温度勾配は異なる。従って、制御部は、庫内温度の時間に関する温度勾配を利用することで、調理物の調理負荷を適切に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例に係る加熱調理器を手前側から見た斜視図である。
図2】実施例に係る加熱調理器の制御構成を示す図である。
図3】実施例において、グリルバーナが強火力で動作している場合の排気温度の経時的な変化の実験データの一例である。
図4】実施例に係る調理処理のフローチャートである。
図5】実施例に係る特定処理のフローチャートである。
図6】実施例において、調理負荷「小」の調理物を調理する場合の排気温度の経時的な変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施例)
(加熱調理器2の構成)
図1及び図2を参照して、加熱調理器2について説明する。図1に示すように、加熱調理器2は、キッチンのテーブルに載置して利用されるガステーブルコンロである。加熱調理器2は、キッチンのテーブルに載置される本体4と、本体4の上部に配置されている天板6と、を備えている。天板6には、調理対象物である鍋やフライパン等の調理容器を支持する2つの五徳8a、8bと、それぞれの五徳8a、8bに対応して設けられており、それぞれの五徳8a、8bに支持された調理対象物を加熱する2つのコンロバーナ10a、10bと、それぞれのコンロバーナ10a、10bに対応して設けられている温度センサ12a、12bと、が設けられている。コンロバーナ10aには、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ10aへのガスの供給量を調整するための流量調整弁(図示省略)が設けられている。コンロバーナ10aは、コンロバーナ10aにガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることで、点火する。コンロバーナ10aへのガスの供給量を調整することで、コンロバーナ10aの加熱量(以下では、「火力」と呼ぶ)を調整することができる。そして、コンロバーナ10aへのガスの供給が停止されることで、コンロバーナ10aは消火される。コンロバーナ10bは、コンロバーナ10aと同様の構造を有する。
【0016】
本体4は、本体4の内部に設けられて食材を収容するグリル庫20と、本体4の前面に配置されてグリル庫20を開閉するグリル扉22と、本体4の前面においてグリル扉22の左側に設けられた加熱量操作部30aと、本体4の前面においてグリル扉22の右側に設けられた加熱量操作部30b、40と、を備えている。なお、グリル庫20の内部には、グリル庫20内に収容した調理物(食材)を加熱するグリルバーナ20a(図2参照)が設けられている。
【0017】
加熱量操作部30a、30bは、それぞれ、コンロバーナ10a、10bに対応する。加熱量操作部30aは、コンロバーナ10aの点火及び消火を行うとともに、コンロバーナ10aの火力の調整を行うためのつまみである。ユーザによって加熱量操作部30aを消火位置から点火位置に移動させるための操作(以下では、「点火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10aが点火され、ユーザによって加熱量操作部30aを消火位置に移動させるための操作(以下では、「消火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10aが消火される。消火位置とは、加熱量操作部30aの突起部が垂直に方向づけられている位置であり、点火位置とは、加熱量操作部30aを消火位置から反時計回りに約90°回転させた位置である。また、ユーザは、コンロバーナ10aを点火させた後において、点火位置と消火位置との間で加熱量操作部30aを操作することで、コンロバーナ10aの火力を調整することができる。加熱量操作部30bは、加熱量操作部30aと同じ構造を有する。
【0018】
加熱量操作部40は、グリルバーナ20aの点火及び消火を行うとともに、グリルバーナ20aの火力の調整を行うためのつまみである。加熱量操作部40の構造は、加熱量操作部30aと同様である。
【0019】
続いて、図2を参照して、加熱調理器2の制御構成について説明する。なお、図2では、説明を分かり易くするために、コンロバーナ10b、温度センサ12b、加熱量操作部30bについて図示を省略している。また、以下では、図1で説明した構成については説明を省略する。
【0020】
加熱調理器2は、温度センサ50と、ブザー52と、制御部100と、を備える。温度センサ50は、グリル庫20から排出される排気の排気温度を検知する。排気温度は、グリル庫20内の庫内温度とほぼ同様の温度である。
【0021】
制御部100は、タイマ110と、メモリ120と、を備える。メモリ120は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成される。制御部100は、メモリ120に格納されているプログラム(図示省略)に従って、加熱調理器2の各構成要素の動作を制御する。また、メモリ120には、負荷テーブル122と、時間テーブル124と、が記憶されている。
【0022】
負荷テーブル122は、後述する調理処理(図4)及び特定処理(図5)において、グリル庫20内の調理物の調理負荷を特定するために利用されるテーブルである。負荷テーブル122は、グリルバーナ20aが強火力で動作している場合に利用される負荷テーブル122aと、グリルバーナ20aが弱火力で動作している場合に利用される負荷テーブル122bと、で構成される。
【0023】
負荷テーブル122aでは、排気温度の時間に関する温度勾配tgが「tg≦22[℃/min]」のとき、調理負荷「大」が対応付けられており、温度勾配tgが「22[℃/min]<tg≦26[℃/min]」のとき、調理負荷「中」が対応付けられており、温度勾配tgが「tg>26[℃/min]」のとき、調理負荷「小」が対応付けられている。温度勾配tgは、加熱量操作部40への点火操作が実行されてから第1特定時間(例えば1分)が経過した時点(図3(a))の排気温度と、加熱量操作部40への点火操作が実行されてから第2特定時間(例えば3分)が経過した時点(図3(b))の排気温度から算出することができる。負荷テーブル122a内の各調理負荷に対応する温度勾配の範囲は、図3を含む複数の実験データの結果に基づいて決定されている。図3は、各調理負荷の調理物がグリル庫20内に収容されている状態で、グリルバーナ20aを強火力で動作させた場合の排気温度の一例である。図3に示すように、各調理負荷の調理物の温度勾配は、調理負荷「小」>調理負荷「中」>調理負荷「大」の関係にある。負荷テーブル122b内の各調理負荷に対応する温度勾配の範囲も、複数の実験データ(図示省略)の結果に基づいて予め決定されている。
【0024】
図2に示す時間テーブル124は、後述する調理処理(図4)及び特定処理(図5)において、グリル庫20内の調理物の調理の完了時間を特定するために利用されるテーブルである。時間テーブル124は、グリルバーナ20aが強火力で動作している場合に利用される時間テーブル124aと、グリルバーナ20aが弱火力で動作している場合に利用される時間テーブル124bと、で構成される。各時間テーブル124a、124bでは、調理負荷と、完了時間と、が対応付けられている。完了時間は、複数の実験データ(図示省略)の結果に基づいて予め決定されている。
【0025】
(調理処理;図4図6
続いて、図4図6を参照して、加熱調理器2の制御部100によって実行される調理処理について説明する。制御部100は、グリルバーナ20aを点火するための操作がユーザによって加熱量操作部40に実行される場合に、調理処理を開始する。なお、図6は、調理負荷が「小」である「ほっけ」を、強火力で調理する場合の排気温度を表している。図6の実線は、加熱時間が5分を経過した直後に、ユーザによって消火操作が実行された場合の排気温度の経時的な変化であり、破線は、加熱時間が6分を経過した直後に、ユーザによって消火操作が実行された場合の排気温度の経時的な変化である。
【0026】
S10において、制御部100は、タイマ110を駆動させ、加熱時間の計時を開始する。
【0027】
S12において、制御部100は、加熱時間が第1の特定時間(例えば1分)を経過することを監視する。加熱時間が第1の特定時間を経過する場合に、制御部100はS12でYESと判断し、処理はS14に進む。
【0028】
S14において、制御部100は、温度センサ50によって検知される現在の排気温度を第1の特定温度として特定する。そして、制御部100は、第1の特定温度をメモリ120に一時的に記憶させる。図6の場合、第1の特定温度は、40℃である(図6(a)参照)。
【0029】
S16において、制御部100は、加熱時間が第2の特定時間(例えば3分)を経過することを監視する。加熱時間が第2の特定時間を経過する場合に、制御部100はS16でYESと判断し、処理はS18に進む。
【0030】
S18において、制御部100は、温度センサ50によって検知される現在の排気温度を第2の特定温度として特定する。そして、制御部100は、第2の特定温度をメモリ120に一時的に記憶させる。図6の場合、第2の特定温度は、95℃である(図6(b)参照)。
【0031】
S20において、制御部100は、特定処理を実行する。特定処理は、調理物の調理負荷、調理の完了時間などを特定するための処理である。
【0032】
図5を参照して、S20で実行される特定処理について説明する。
【0033】
S60において、制御部100は、グリルバーナ20aの火力が、強火力又は弱火力のうちのいずれの火力で動作しているのかを特定する。制御部100は、消火位置を基準とした加熱量操作部40の回転量が反時計方向に30°の範囲内である場合、グリルバーナ20aの火力が弱火力であると特定し、加熱量操作部40の回転量が反時計方向に30°を超えている場合、グリルバーナ20aの火力が強火力であると特定する。
【0034】
S62において、制御部100は、温度勾配tgを特定する。制御部100は、第2の特定温度と第1の特定温度の差である温度差を、第2の特定時間と第1の特定時間の差である時間差で除算することで、温度勾配tgを特定する。図6の場合、温度勾配tgは、27.5[℃/min]である。
【0035】
S64において、制御部100は、S60で特定した火力とS62で特定した温度勾配tgとを利用して、調理物の調理負荷を特定する。まず、制御部100は、2個の負荷テーブル122a、122bのうち、S60で特定した火力に対応する負荷テーブルを特定する。そして、制御部100は、特定した負荷テーブルとS62で特定した温度勾配tgとに基づいて、調理物の調理負荷を特定する。図6の場合、制御部100は、強火力に対応する負荷テーブル122aを特定する。そして、制御部100は、温度勾配tg(27.5[℃/min])が26[℃/min]よりも大きいため、調理物の調理負荷を「小」と特定する。
【0036】
S66において、制御部100は、S60で特定した火力とS64で特定した調理負荷とを利用して、完了時間、仮報知時間、及び、追加報知時間を特定する。まず、制御部100は、2個の時間テーブル124a、124bのうち、S60で特定した火力に対応する時間テーブルを特定する。そして、制御部100は、特定した時間テーブルとS64で特定した調理物の調理負荷とに基づいて、完了時間を特定する。また、制御部100は、完了時間よりも第1の所定時間(例えば1分)だけ前の時間を仮報知時間と特定し、完了時間よりも第2の所定時間(例えば1分)だけ後の時間を追加報知時間と特定する。図6の場合、制御部100は、強火力に対応する時間テーブル124aを特定する。そして、制御部100は、時間テーブル124aと調理負荷「小」とに基づいて、完了時間を「5分」と特定する。そして、制御部100は、仮報知時間を「4分」と特定し、追加報知時間を「6分」と特定する。S66が終了すると、処理は図5の処理を終了し、図4のS30に進む。
【0037】
図4のS30において、制御部100は、加熱時間が仮報知時間を経過することを監視する。加熱時間が仮報知時間を経過する場合に、制御部100はS30でYESと判断し、処理はS32に進む。
【0038】
S32において、制御部100は、ブザー52を駆動させ、仮報知動作を実行させる。図6の場合、制御部100は、加熱時間が4分を経過する時点(図6(c))において、ブザー52を駆動させ、仮報知動作を実行させる。
【0039】
S34において、制御部100は、加熱時間が完了時間を経過することを監視する。加熱時間が完了時間を経過する場合に、制御部100はS34でYESと判断し、処理はS36に進む。
【0040】
S36において、制御部100は、ブザー52を駆動させ、本報知動作を実行させる。本報知動作は、ブザー52の鳴動する回数、音色などが、仮報知動作と異なる。図6の場合、制御部100は、加熱時間が5分を経過する時点(図6(d))において、ブザー52を駆動させ、仮報知動作を実行させる。
【0041】
S38において、制御部100は、加熱時間が追加報知時間を経過することを監視する。加熱時間が追加報知時間を経過する場合に、制御部100はS38でYESと判断し、処理はS40に進む。
【0042】
S40において、制御部100は、ブザー52を駆動させ、追加報知動作を実行させる。追加報知動作は、ブザー52の鳴動する回数、音色などが、仮報知動作及び本報知動作と異なる。図6の場合、制御部100は、加熱時間が6分を経過する時点(図6(e))において、ブザー52を駆動させ、追加報知動作を実行させる。S40が終了すると、図4の処理が終了する。
【0043】
上記の構成によると、制御部100は、ユーザによって加熱量操作部40に点火操作が実行されると、タイマ110による加熱時間の計時を開始する(図4のS10)。そして、制御部100は、温度センサ50によって検知される排気温度に基づいて、調理物の調理負荷を特定する(図4のS30、図5のS64)。そして、制御部100は、特定した調理負荷に基づいて、完了時間を特定し(図4のS30、図5のS66)、加熱時間が完了時間を経過する場合(図4のS34でYES)に、ブザー52に本報知動作を実行させる(図4のS36)。ユーザは、ブザー52による本報知動作を認識することで、調理物の調理が完了したことを知ることができる。従って、ユーザは、加熱時間を意識しなくても、調理物を適切に調理することができる。
【0044】
また、制御部100は、完了時間よりも第1の所定時間(1分)だけ前の時間である仮報知時間を特定し(図4のS30、図5のS66)、加熱時間が仮報知時間を経過する場合(図4のS30でYES)に、ブザー52に仮報知動作を動作させる(図4のS32)。ユーザは、ブザー52による仮報知動作を認識することで、その時点から第1の所定時間(1分)が経過する場合に、本報知動作がブザー52によって実行されることを知ることができる。従って、ユーザが、ブザー52による本報知動作を聞き逃すことを抑制することができる。
【0045】
また、制御部100は、完了時間よりも第2の所定時間(1分)だけ後の時間である追加報知時間を特定し(図4のS30、図5のS66)、加熱時間が追加報知時間を経過する場合(図4のS38でYES)に、ブザー52に追加報知を実行させる(図4のS40)。ユーザは、ブザー52による本報知動作を聞き逃した場合でも、追加報知動作を認識することで、調理物の調理が完了していることを知ることができる。
【0046】
また、制御部100は、温度センサ50によって検出される排気温度に基づいて、調理物の調理負荷を特定する(図4のS30、図5のS60~S64)。グリルバーナ20aの火力が同じであっても、調理物の調理負荷が異なると、排気温度の温度勾配は異なる。従って、制御部100は、排気温度の温度勾配を利用することで、調理物の調理負荷を適切に特定することができる。
【0047】
(対応関係)
グリルバーナ20a、加熱量操作部40、温度センサ50、タイマ110、ブザー52が、それぞれ、「加熱部」、「操作部」、「検知部」、「計時部」、「報知部」の一例である。本報知動作、仮報知動作、追加報知動作が、それぞれ、「第1の報知動作」、「第2の報知動作」、「第3の報知動作」の一例である。
【0048】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0049】
(第1変形例)加熱調理器2は、オーブン庫内に収容した食材を加熱するオーブンバーナと、オーブン庫内の湿度を検知する湿度センサと、オーブンバーナを点火又は消火させるための操作部と、を備えるオーブンレンジであってもよい。この場合、メモリ120内の負荷テーブル122には、時間に関する温度勾配に関する情報に代えて、時間に関する湿度勾配に関する情報が格納される。そして、制御部100は、図4のS14、S18、図5のS62において、排気温度に代えて、オーブン庫内の湿度を利用した処理を実行し、図5の64において、調理物の調理負荷を特定する。
【0050】
(第2変形例)制御部100は、ブザー52に仮報知を実行させなくてもよい。この場合、制御部100は、S66において、仮報知時間を特定しなくてもよい。本変形例では、図4のS30、S32が省略されてもよい。
【0051】
(第3変形例)制御部100は、ブザー52に追加報知を実行させなくてもよい。この場合、制御部100は、S66において、追加報知時間を特定しなくてもよい。本変形例では、図4のS38、S40が省略されてもよい。
【0052】
(第4変形例)制御部100は、第1特定温度と第2特定温度の差である温度差に基づいて、調理物の調理負荷を特定してもよい。また、制御部100は、グリルバーナ20aを点火するための操作がユーザによって加熱量操作部40に実行されてから、所定時間が経過した後の排気温度に基づいて、調理物の調理負荷を特定してもよい。
【0053】
(第5変形例)制御部100は、ブザー52に本報知動作を実行させた後において、ユーザによって消火操作が実行されるまでの間、第2の所定時間(例えば1分)が経過する毎に、追加報知動作を実行してもよい。この構成によると、ユーザは、追加報知動作を認識することで、本報知動作を認識してからの加熱時間を知ることができる。このため、例えば、ユーザは、本報知動作を認識した後において、調理物をさらに加熱したい場合に、追加の加熱時間を適切に管理することができる。
【0054】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0055】
2 :加熱調理器
4 :本体
6 :天板
8 :五徳
10 :コンロバーナ
12 :温度センサ
20 :グリル庫
20a :グリルバーナ
22 :グリル扉
30 :加熱量操作部
40 :加熱量操作部
50 :温度センサ
52 :ブザー
100 :制御部
110 :タイマ
120 :メモリ
122 :負荷テーブル
124 :時間テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6