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特許7025894アクティブフィルタ、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】アクティブフィルタ、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/12 20060101AFI20220217BHJP
   H02J 3/01 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
H02M1/12
H02J3/01
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017216286
(22)【出願日】2017-11-09
(65)【公開番号】P2019087125
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】角谷 敦之
(72)【発明者】
【氏名】相場 謙一
(72)【発明者】
【氏名】清水 健志
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-147234(JP,A)
【文献】特開昭50-36049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-1/44
H02M 7/00-7/98
G05F 1/70
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、
前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定する条件判定部と、
前記条件判定部が前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいと判定した場合、リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償する電流制御部と、
を備え、
前記条件判定部は、
前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定し、
前記電流制御部は、
前記条件判定部が前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合に、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償し、
前記三相交流電源と前記コンバータとの間のコンバータ電流が流れる経路に接続されているアクティブフィルタ。
【請求項2】
コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、
前記三相交流電源の3相のうちの1相の電圧のゼロクロス点を示す時刻に対応する位相を基準に電圧の1周期を6つの範囲に分ける切替部と、
前記基準と前記6つの範囲とに基づいて、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定する条件判定部と、
リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償する電流制御部と、
を備え、
前記条件判定部は、
前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定し、
前記電流制御部は、
前記条件判定部が前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合に、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償し、
前記三相交流電源と前記コンバータとの間のコンバータ電流が流れる経路に接続されているアクティブフィルタ。
【請求項3】
コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、
前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定することと、
前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定することと、
前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償することと、
を含む、前記三相交流電源と前記コンバータとの間のコンバータ電流が流れる経路に接続されているアクティブフィルタによる制御方法。
【請求項4】
コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、
前記三相交流電源の3相のうちの1相の電圧のゼロクロス点を示す時刻に対応する位相を基準に電圧の1周期を6つの範囲に分けることと、
前記基準と前記6つの範囲とに基づいて、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定することと、
前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定することと、
前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合に、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償することと、
を含む、前記三相交流電源と前記コンバータとの間のコンバータ電流が流れる経路に接続されているアクティブフィルタによる制御方法。
【請求項5】
コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、
コンピュータに、
フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定することと、
前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定することと、
前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償することと、
を実行させるプログラム。
【請求項6】
コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、
コンピュータに、
前記三相交流電源の3相のうちの1相の電圧のゼロクロス点を示す時刻に対応する位相を基準に電圧の1周期を6つの範囲に分けることと、
前記基準と前記6つの範囲とに基づいて、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定することと、
前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定することと、
前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合に、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブフィルタ、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
三相交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータでは、高調波を含む電流が流れることが知られている。この高調波を含むリップル電流は、電力を供給する三相交流電源側の系統電力を変動させる可能性がある。そのため、系統電力が変動しないように、コンバータに流れる電流の高調波を打ち消す電流を生成するアクティブフィルタと呼ばれる装置が用いられる場合がある。
特許文献1には、関連する技術として、直流電力を、所定周波数、所定交流電圧を有する交流電力に変換するスイッチング回路から出力される出力電流のリップルを抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-299388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アクティブフィルタには、三相交流電源からコンバータへ流れる電流(以下、「コンバータ電流」と記載)の高調波を打ち消すために生成する電流(以下、「フィルタ電流」と記載)が大きい場合に、アクティブフィルタが破損するなどの不具合が発生する場合がある。
そのため、アクティブフィルタにおいて、過電流が流れることを抑制することのできる技術が求められていた。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決することのできるアクティブフィルタ、制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、前記三相交流電源と前記コンバータとの間のコンバータ電流が流れる経路に接続されているアクティブフィルタは、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定する条件判定部と、前記条件判定部が前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいと判定した場合、リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償する電流制御部と、を備え、前記条件判定部は、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定し、前記電流制御部は、前記条件判定部が前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合に、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償する。
本発明の第2の態様によれば、コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、前記三相交流電源と前記コンバータとの間のコンバータ電流が流れる経路に接続されているアクティブフィルタは、前記三相交流電源の3相のうちの1相の電圧のゼロクロス点を示す時刻に対応する位相を基準に電圧の1周期を6つの範囲に分ける切替部と、前記基準と前記6つの範囲とに基づいて、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定する条件判定部と、リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償する電流制御部と、を備え、前記条件判定部は、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定し、前記電流制御部は、前記条件判定部が前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合に、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償する。
【0009】
本発明の第の態様によれば、コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、前記三相交流電源と前記コンバータとの間のコンバータ電流が流れる経路に接続されているアクティブフィルタによる制御方法は、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定することと、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定することと、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償することと、を含む。
本発明の第の態様によれば、コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、前記三相交流電源と前記コンバータとの間のコンバータ電流が流れる経路に接続されているアクティブフィルタによる制御方法は、前記三相交流電源の3相のうちの1相の電圧のゼロクロス点を示す時刻に対応する位相を基準に電圧の1周期を6つの範囲に分けることと、前記基準と前記6つの範囲とに基づいて、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定することと、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定することと、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合に、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償することと、を含む。
【0010】
本発明の第の態様によれば、コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、プログラムは、コンピュータに、フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定することと、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定することと、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償することと、を実行させる。
本発明の第の態様によれば、コンバータ電流は、交流電力を直流電力に変換するコンバータと三相交流電源との間を流れる電流であり、フィルタ電流は、アクティブフィルタの出力電流であり、前記コンバータ電流の歪みを補償するために、前記コンバータと前記三相交流電源との間に供給される電流であって、プログラムは、コンピュータに、前記三相交流電源の3相のうちの1相の電圧のゼロクロス点を示す時刻に対応する位相を基準に電圧の1周期を6つの範囲に分けることと、前記基準と前記6つの範囲とに基づいて、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすいか否かを判定することと、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であるか否かを判定することと、前記フィルタ電流に過電流が発生しやすく、かつ、前記三相交流電源の位相が前記フィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相であると判定した場合に、前記リップルのピークで検出した前記フィルタ電流に基づいて、前記コンバータ電流の歪みを補償することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によるアクティブフィルタによれば、自アクティブフィルタにおいて、過電流が流れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態によるモータ駆動装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態によるアクティブフィルタの構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態による条件判定部を説明するための図である。
図4】本発明の第1の実施形態による電流制御部を説明するための第1の図である。
図5】本発明の第1の実施形態による電流制御部を説明するための第2の図である。
図6】本発明の第1の実施形態によるモータ駆動装置の処理フローを示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態によるモータ駆動装置の処理フローを示す図である。
図8】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態によるモータ駆動装置の構成について説明する。
本発明の第1の実施形態によるモータ駆動装置1は、図1に示すように、三相交流電源10と、系統電圧検出部20と、コンバータ電流検出部30と、ノイズフィルタ40と、ダイオードモジュール50と、平滑コンデンサ60と、インテリジェントパワーモジュール70と、コンプレッサモータ80と、アクティブフィルタ90と、電流補正部100と、平滑リアクトル110と、を備える。モータ駆動装置1は、三相交流電源10からダイオードモジュール50へ流れるコンバータ電流が過電流となるタイミングのフィルタ電流を低減することができる装置である。
【0014】
三相交流電源10は、ダイオードモジュール50へ電力を供給する電源である。三相交流電源10は、位相が120度ずつ異なる3つの交流電圧(R相、S相、T相)を出力する。三相交流電源10は、例えば、商用電源である。
【0015】
系統電圧検出部20は、三相交流電源10が出力するR相の電圧をノイズフィルタ40に供給する配線、S相の電圧をノイズフィルタ40に供給する配線、T相の電圧をノイズフィルタ40に供給する配線のそれぞれにおいて、電圧を検出する。
【0016】
コンバータ電流検出部30は、カレントトランス301aと、カレントトランス301bと、を備える。コンバータ電流検出部30は、コンバータ電流を検出するための検出部である。
カレントトランス301aは、三相交流電源10からノイズフィルタ40に供給されるR相の電流の大きさと向きを検出する。
カレントトランス301bは、三相交流電源10からノイズフィルタ40に供給されるT相の電流の大きさと向きを検出する。なお、R相の電流の位相は、R相の電圧の位相と同位相である。また、T相の電流の位相は、T相の電圧と同位相である。また、R相の電流、S相の電流、T相の電流の総和は、常にゼロである。そのため、S相の電流の大きさと向きは、R相の電流とT相の電流の検出結果から算出することができる。S相の位相は、S相の電圧の位相と同位相である。
【0017】
ノイズフィルタ40は、三相交流電源10の3つの配線に於いてノイズ成分のような数十[kHz]以上の高周波成分を除去する。
【0018】
ダイオードモジュール50は、R相の電流、S相の電流、T相の電流のそれぞれを整流し、直流電圧を生成する。ダイオードモジュール50は、例えば、三相ブリッジ回路である。
【0019】
平滑コンデンサ60は、ダイオードモジュール50が生成した直流電圧における高周波成分を除去する。
なお、上記のノイズフィルタ40、ダイオードモジュール50、及び、平滑コンデンサ60により三相交流電源10が出力する交流電圧を直流電圧に変換している。すなわち、ノイズフィルタ40、ダイオードモジュール50、及び、平滑コンデンサ60によりコンバータが構成されている。
【0020】
インテリジェントパワーモジュール70は、ダイオードモジュール50が生成した直流電圧からコンプレッサモータ80を駆動するための三相交流電圧を生成する。インテリジェントパワーモジュール70は、例えば、インバータである。
【0021】
アクティブフィルタ90は、系統電圧検出部20が検出した電圧とコンバータ電流検出部30が検出した電流とに基づいて、R相の電圧、S相の電圧、T相の電圧のそれぞれを正弦波になるように補正するための補正電流を特定し、特定した補正電流の大きさを示す指令電流値を電流補正部100に送信する機能部である。
具体的には、電流補正部100が端子である場合、アクティブフィルタ90は、補正信号としてR相の配線、S相の配線、T相の配線における高調波電流を打ち消す電流そのものを生成し、その補正信号を電流補正部100に供給する。
また、具体的には、電流補正部100が補正信号に応じた電流を新たに生成する場合、アクティブフィルタ90は、補正信号として例えばR相の配線、S相の配線、T相の配線における電圧と電流に基づいて、R相の配線、S相の配線、T相の配線における高調波電流を打ち消す電流を示す数ビットのデジタル信号を生成し、その補正信号を電流補正部100に送信する。R相の配線、S相の配線、T相の配線におけるインピーダンスは予めわかるため、アクティブフィルタ90は、R相の配線、S相の配線、T相の配線における高調波電流を打ち消す電流がわかれば、その電流を示す数ビットのデジタル信号を生成することも可能である。
【0022】
電流補正部100は、アクティブフィルタ90からの指令電流値に基づいて、R相の配線、S相の配線、T相の配線に電流を流す。
具体的には、電流補正部100が端子である場合、電流補正部100は、アクティブフィルタ90からR相の配線、S相の配線、T相の配線における高調波電流を打ち消す電流そのものを受け、その受けた電流をR相の配線、S相の配線、T相の配線に流すことで、R相の配線、S相の配線、T相の配線における高調波電流を打ち消す。
また、具体的には、電流補正部100が補正信号に応じた電流を新たに生成する場合、アクティブフィルタ90からR相の配線、S相の配線、T相の配線における高調波電流を打ち消す電流を示す数ビットのデジタル信号を受信する。そして、電流補正部100は、受信したデジタル信号が示すR相の配線、S相の配線、T相の配線における高調波電流を打ち消す電流を生成し、生成した電流をR相の配線、S相の配線、T相の配線に供給する。
これにより、三相交流電源10の出力、すなわち、モータ駆動装置1の最上流部において、歪みの少ない正弦波波形の電流が実現される。
なお、図1では、電流補正部100と系統電圧検出部20は、R相の配線、S相の配線、T相の配線において同一箇所に一部共通の構成を有している。
【0023】
平滑リアクトル110は、平滑コンデンサ60とダイオードモジュール50の間に設けられる。平滑リアクトル110は、コンバータに入力されるコンバータ電流の通電期間の電流を一定に保つ。
なお、コンバータ電流の通電期間の電流が許容範囲内で一定に保たれれば、平滑リアクトル110は無くてもよい。
【0024】
アクティブフィルタ90は、所定の時間間隔ごとにR相、S相、T相のうちの1つに対応するコンバータ電流のみの高調波信号を打ち消す機能を有する。具体的には、アクティブフィルタ90は、図2に示すように、切替部901と、条件判定部902と、電流制御部903と、記憶部904と、を備える。
【0025】
切替部901は、電源系統における三相交流電源10に接続されるR相、S相、T相の3つの配線における3つの異なる電圧の位相に基づいて、電圧の位相の所定の範囲ごとに、制御対象とする相を切り替える。
【0026】
条件判定部902は、フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足しているか否かを判定する。フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件とは、例えば、三相交流電源10が出力する電圧が所定以上歪んでおり、コンバータ電流に過電流が発生しやすいこと、または、過去にコンバータ電流に過電流が発生し、過電流保護機能が動作したことがあることなどである。なお、コンバータ電流の歪みをフィルタ電流で補償するため、コンバータ電流の増減は、フィルタ電流の増減と連動する。
また、条件判定部902は、三相交流電源10の位相が、フィルタ電流が急激に変化するタイミングを示す位相であるか否かを判定する。例えば、図3に示すように、R相、S相、T相の切り替わりが三相交流電源10の電圧の位相が120度変化するごと、フィルタ電流のリップルが大きくなることが予めわかっている。そのため、条件判定部902は、三相交流電源10の位相が所定の位相であるか否かを判定することによって、フィルタ電流のリップルが大きくなるか否かを判定することができる。
【0027】
電流制御部903は、切替部901が切り替えた制御対象の相について、フィルタ電流に過電流が発生しやすい場合に、フィルタ電流をリップルのピークで検出し、検出したフィルタ電流に基づいてコンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。例えば、電流制御部903は、切替部901が切り替えた制御対象の相について、電流制御部903がフィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足し、三相交流電源10の位相がフィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相である場合に、フィルタ電流をリップルのピークで検出し、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。具体的には、電流制御部903は、図4に示すように、インテリジェントパワーモジュール70のパワーデバイスをスイッチングするPWM(Pulse Width Modulation)信号(図4、5では「出力パターン」と記載)の立ち下がりのタイミングにフィルタ電流(図4、5では「出力電流」と記載)を取得し、そのフィルタ電流でコンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。
また、電流制御部903は、切替部901が切り替えた制御対象の相について、フィルタ電流に過電流が発生しづらい場合に、フィルタ電流をリップルの中央で検出し、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。例えば、電流制御部903は、切替部901が切り替えた制御対象の相について、電流制御部903がフィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足しない、または、三相交流電源10の位相がフィルタ電流のリップルが大きくなる所定の位相ではない場合に、フィルタ電流をリップルの中央で検出し、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。具体的には、電流制御部903は、図5に示すように、インテリジェントパワーモジュール70のパワーデバイスをスイッチングするPWM信号を生成するための三角波(図4、5では「比較キャリア」と記載)がリプル電流の中央となるタイミングでフィルタ電流を取得し、そのフィルタ電流でコンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。
記憶部904は、アクティブフィルタ90が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。
【0028】
三相交流電源10は、第1端子、第2端子、第3端子を備える。
系統電圧検出部20は、第1端子、第2端子、第3端子を備える。
コンバータ電流検出部30のカレントトランス301a、カレントトランス301bのそれぞれは、第1端子、第2端子を備える。
ノイズフィルタ40は、第1入力端子、第2入力端子、第3入力端子、第1出力端子、第2出力端子を備える。
ダイオードモジュール50は、第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子、第2出力端子を備える。
平滑コンデンサ60は、第1端子、第2端子を備える。
インテリジェントパワーモジュール70は、第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子、第2出力端子、第3出力端子を備える。
コンプレッサモータ80は、第1端子、第2端子、第3端子を備える。
アクティブフィルタ90は、第1端子a1、第2端子a2、第3端子a3、第4端子b1、第5端子b2を備える。
平滑リアクトル110は、第1端子、第2端子を備える。
【0029】
三相交流電源10の第1端子は、系統電圧検出部20の第1端子、コンバータ電流検出部30のカレントトランス301aの第1端子、アクティブフィルタ90の第1端子a1のそれぞれに接続される。三相交流電源10の第2端子は、系統電圧検出部20の第2端子、ノイズフィルタ40の第2入力端子、アクティブフィルタ90の第2端子a2のそれぞれに接続される。三相交流電源10の第3端子は、系統電圧検出部20の第3端子、コンバータ電流検出部30のカレントトランス301bの第1端子、アクティブフィルタ90の第3端子a3のそれぞれに接続される。
【0030】
コンバータ電流検出部30のカレントトランス301aの第2端子は、ノイズフィルタ40の第1入力端子に接続される。コンバータ電流検出部30のカレントトランス301bの第2端子は、ノイズフィルタ40の第3入力端子に接続される。コンバータ電流検出部30のカレントトランス301aが検出する電流値は、アクティブフィルタ90の第4端子b1に伝えられる。コンバータ電流検出部30のカレントトランス301bが検出する電流値は、アクティブフィルタ90の第5端子b2に伝えられる。
【0031】
ノイズフィルタ40の第1出力端子は、ダイオードモジュール50の第1入力端子に接続される。ノイズフィルタ40の第2出力端子は、ダイオードモジュール50の第2入力端子に接続される。
【0032】
ダイオードモジュール50の第1出力端子は、平滑リアクトル110の第1端子に接続される。ダイオードモジュール50の第2出力端子は、平滑コンデンサ60の第2端子、インテリジェントパワーモジュール70の第2入力端子のそれぞれに接続される。
【0033】
平滑コンデンサ60の第1端子は、インテリジェントパワーモジュール70の第1入力端子、平滑リアクトル110の第1端子のそれぞれに接続される。
インテリジェントパワーモジュール70の第1出力端子は、コンプレッサモータ80の第1端子に接続される。インテリジェントパワーモジュール70の第2出力端子は、コンプレッサモータ80の第2端子に接続される。インテリジェントパワーモジュール70の第3出力端子は、コンプレッサモータ80の第3端子に接続される。
【0034】
次に、アクティブフィルタ90を備えるモータ駆動装置1の処理について説明する。
ここでは、図6に示すモータ駆動装置1の処理フローについて説明する。
【0035】
系統電圧検出部20は、三相交流電源10が出力するR相の電圧をノイズフィルタ40に供給する配線、S相の電圧をノイズフィルタ40に供給する配線、T相の電圧をノイズフィルタ40に供給する配線のそれぞれにおいて、電圧を検出する。
系統電圧検出部20は、検出した電圧を示す電圧信号を切替部901に送信する。
【0036】
切替部901は、系統電圧検出部20から電圧信号を受信する。
切替部901は、受信した電圧信号が示す電圧値から電圧の位相を特定する(ステップS1)。例えば、切替部901は、R相の電圧のゼロクロス点を示す時刻を位相の基準である0度とする。なお、切替部901は、R相ではなくS相またはT相の電圧のゼロクロス点を示す時刻を位相の基準としてもよい。
【0037】
切替部901は、電圧の1周期を6つの範囲に分けて、制御対象とする相を切り替える。
切替部901は、位相の基準と、6つのそれぞれの位相の範囲と、その位相の範囲における制御対象とする相とを含む制御対象情報を電流制御部903と条件判定部902とに送信する。
【0038】
条件判定部902は、切替部901から制御対象情報を受信する。条件判定部902は、制御対象情報に含まれる位相の基準を示す時刻と同期をとる。条件判定部902は、受信した制御対象情報に基づいて切替部901の切り替えによるコンバータ電流を補正する電流フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足しているか否かを判定する(ステップS2)。
【0039】
条件判定部902が電流フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足していないと判定した場合(ステップS2においてNO)、電流制御部903は、制御対象の相について、フィルタ電流をリップルの中央で検出する(ステップS4)。電流制御部903は、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う(ステップS5)。電流制御部903は、ステップS1の処理に戻す。
【0040】
条件判定部902は、電流フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足していると判定した場合(ステップS2においてYES)、三相交流電源10の位相が、フィルタ電流が急激に変化するタイミングを示す位相であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0041】
条件判定部902は、三相交流電源10の位相が、フィルタ電流が急激に変化するタイミングを示す位相ではないと判定した場合(ステップS3においてNO)、ステップS4の処理に進める。
条件判定部902が、三相交流電源10の位相がフィルタ電流が急激に変化するタイミングを示す位相であると判定した場合(ステップS3においてYES)、電流制御部903は、制御対象の相について、フィルタ電流をリップルのピークで検出する(ステップS6)。電流制御部903は、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う(ステップS7)。
【0042】
なお、電流補正部100が端子である場合には、アクティブフィルタ90のみをアクティブフィルタと呼ぶものであってもよい。また、電流補正部100がアクティブフィルタ90からの制御信号に応じて電流を流す場合には、電流補正部100とアクティブフィルタ90との両方を含むものをアクティブフィルタと呼ぶものであってもよい。
【0043】
以上、本発明の第1の実施形態によるアクティブフィルタ90を備えるモータ駆動装置1について説明した。
本発明の第1の実施形態によるアクティブフィルタ90において、条件判定部902は、電流フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足しているか否かを判定する。電流制御部903は、フィルタ電流に過電流が発生しやすい場合に、フィルタ電流をリップルのピークで検出し、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。
こうすることで、コンバータ電流が過電流となるタイミングのフィルタ電流を低減することができる。その結果、アクティブフィルタ90において、過電流が流れることを抑制することができる。
【0044】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態によるモータ駆動装置について説明する。
本発明の第2の実施形態によるモータ駆動装置1は、本発明の第1の実施形態によるモータ駆動装置1と同様に、三相交流電源10と、系統電圧検出部20と、コンバータ電流検出部30と、ノイズフィルタ40と、ダイオードモジュール50と、平滑コンデンサ60と、インテリジェントパワーモジュール70と、コンプレッサモータ80と、アクティブフィルタ90と、電流補正部100と、平滑リアクトル110と、を備える。本発明の第2の実施形態によるモータ駆動装置1は、三相交流電源10からダイオードモジュール50へ流れるコンバータ電流が過電流となるタイミングのフィルタ電流を低減することができる装置である。
【0045】
本発明の第2の実施形態による条件判定部902は、フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足しているか否かを判定する。
また、本発明の第2の実施形態による条件判定部902は、フィルタ電流の絶対値が所定の電流値よりも大きいか否かを判定する。
【0046】
電流制御部903は、切替部901が切り替えた制御対象の相について、フィルタ電流に過電流が発生しやすい場合に、フィルタ電流をリップルのピークで検出し、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。例えば、電流制御部903は、切替部901が切り替えた制御対象の相について、電流制御部903がフィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足し、フィルタ電流の絶対値が所定の電流値よりも大きい場合に、フィルタ電流をリップルのピークで検出し、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。
また、電流制御部903は、切替部901が切り替えた制御対象の相について、フィルタ電流に過電流が発生しづらい場合に、フィルタ電流をリップルの中央で検出し、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。例えば、電流制御部903は、切替部901が切り替えた制御対象の相について、電流制御部903がフィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足しない、または、フィルタ電流の絶対値が所定の電流値よりも大きい場合に、フィルタ電流をリップルの中央で検出し、検出したフィルタ電流に基づいてコンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。
【0047】
次に、アクティブフィルタ90を備えるモータ駆動装置1の処理について説明する。
ここでは、図7に示すモータ駆動装置1の処理フローについて説明する。なお、図7に示す処理フローは、図6で示した処理フローにおけるステップS3の処理がステップS8に置き替わったものである。
【0048】
条件判定部902は、電流フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足していると判定した場合(ステップS2においてYES)、フィルタ電流の絶対値が所定の電流値よりも大きいか否かを判定する(ステップS8)。
【0049】
条件判定部902は、フィルタ電流の絶対値が所定の電流値以下であると判定した場合(ステップS8においてNO)、ステップS4の処理に進める。
条件判定部902がフィルタ電流の絶対値が所定の電流値よりも大きいと判定した場合(ステップS8においてYES)、電流制御部903は、制御対象の相について、フィルタ電流をリップルのピークで検出する(ステップS6)。
【0050】
以上、本発明の第2の実施形態によるアクティブフィルタ90を備えるモータ駆動装置1について説明した。
本発明の第2の実施形態によるアクティブフィルタ90において、条件判定部902は、電流フィルタ電流に過電流が発生しやすい条件を満足しているか否かを判定する。電流制御部903は、フィルタ電流に過電流が発生しやすい場合に、フィルタ電流をリップルのピークで検出し、検出したフィルタ電流に基づいて電流補正部100に指令電流値を送信し、コンバータ電流の歪みを補償する制御を行う。
こうすることで、コンバータ電流が過電流となるタイミングのフィルタ電流を低減することができる。その結果、アクティブフィルタ90において、過電流が流れることを抑制することができる。
【0051】
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0052】
本発明の実施形態について説明したが、上述のモータ駆動装置1、アクティブフィルタ90、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図8は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、図8に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述のモータ駆動装置1、アクティブフィルタ90、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0053】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0054】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0056】
1・・・モータ駆動装置
10・・・三相交流電源
20・・・系統電圧検出部
30・・・コンバータ電流検出部
40・・・ノイズフィルタ
50・・・ダイオードモジュール
60・・・平滑コンデンサ
70・・・インテリジェントパワーモジュール
80・・・コンプレッサモータ
90・・・アクティブフィルタ
100・・・電流補正部
110・・・平滑リアクトル
301a、301b・・・カレントトランス
901・・・切替部
902・・・条件判定部
903・・・電流制御部
904・・・記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8