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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】車両用表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20220217BHJP
   B60Q 1/56 20060101ALI20220217BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/56
G08G1/00 X
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017254186
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019119289
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 佳典
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/073632(WO,A1)
【文献】特開2003-285686(JP,A)
【文献】特開2017-178078(JP,A)
【文献】特開平10-181469(JP,A)
【文献】特開平07-069130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
B60Q 1/56
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転モードで車両を制御可能な車両制御部とともに用いられる車両用表示システムであって、
前記車両を後方から見て、ライセンスプレートの外部であって、前記ライセンスプレートの左方と右方の一方に設けられた第一表示部と、
前記車両を後方から見て、前記ライセンスプレートの外部であって、前記ライセンスプレートの左方と右方の他方に設けられた第二表示部と、
自動運転モードのレベルに応じて異なる態様で前記第一表示部を点灯させて、前記自動運転モードのレベルが変化しなくても異なる態様で前記第二表示部を点灯させるように構成された表示制御部とを有する、車両用表示システム。
【請求項2】
前記車両を後方から見て、前記第一表示部および前記第二表示部前記ライセンスプレートの上端より下方かつ前記ライセンスプレートの下端より上方に設けられている、請求項1に記載の車両用表示システム。
【請求項3】
前記車両を後方から見て、前記第一表示部および前記第二表示部は、右リアコンビネーションランプと左リアコンビネーションランプの間で、前記右リアコンビネーションランプの上端および前記左リアコンビネーションランプの上端より下方、かつ、前記右リアコンビネーションランプの下端および前記左リアコンビネーションランプの下端より上方に設けられている、請求項1に記載の車両用表示システム。
【請求項4】
前記表示部を発光させる光源を有し、
前記光源は、前記車両を後方から見て、前記表示部と重なる位置に設けられている、請求項1に記載の車両用表示システム。
【請求項5】
前記表示部を発光させる光源を有し、
前記光源は、前記車両を後方から見て、前記表示部と重ならない位置に設けられている、請求項1に記載の車両用表示システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記車両制御部がステアリング制御、アクセル制御およびブレーキ制御を自動的に行うレベルの自動運転モードを実行中に、前記第一表示部を点灯させる、請求項1に記載の車両用表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の自動運転技術の研究が各国で盛んに行われており、車両が自動運転モードで公道を走行可能とするための法整備が各国で検討されている。ここで、自動運転モードとは、車両の走行が自動制御されるモードをいう。一方、手動運転モードとは、車両の走行が運転者により制御されるモードをいう。自動運転車ではコンピュータにより自動的に車両の走行が制御される。
【0003】
特許文献1には、先行車に後続車が自動追従走行した自動追従走行システムが開示されている。当該自動追従走行システムでは、先行車と後続車の各々が表示装置を備えており、先行車と後続車との間に他車が割り込むことを防止するための文字情報が先行車の表示装置に表示されると共に、自動追従走行である旨を示す文字情報が後続車の表示装置に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-277887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、各車両が自動運転モードで走行していることを示す情報を外部に向けて表示するシステムについては検討されていない。
本発明は、自車両の後方に向けて自車両が自動運転モードで走行していることを示す情報を表示可能な車両用表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の車両用表示システムは、
自動運転モードで車両を制御可能な車両制御部とともに用いられる車両用表示システムであって、
ライセンスプレートの周囲または内部に設けられた表示部と、
前記車両制御部が自動運転モードを実行中に、前記表示部を点灯するように構成された表示制御部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一側面によれば、自車両の後方に向けて自車両が自動運転モードで走行していることを示す情報を表示可能な車両用表示システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る車両用表示システムが搭載された車両を示す図である。
図2】車両に搭載された車両システムおよび車両用表示システムのブロック図を示す。
図3】車両用表示システムの第一表示部、第二表示部とライセンスプレートを示す、車両を後方から見た図である。
図4図3に示した第二表示部の異なる表示例を示す図である。
図5】変形例1に係る第一表示部とライセンスプレートを示す、車両を後方から見た図である。
図6】変形例2に係る第一表示部とライセンスプレートを示す、車両を後方から見た図である。
図7】変形例3に係る第一表示部とライセンスプレートを示す、車両を後方から見た図である。
図8】変形例4に係る第一表示部とライセンスプレートを示す、車両を後方から見た図である。
図9】変形例5に係る第一表示部とライセンスプレートを示す、車両を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。
【0010】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る車両用表示システムが搭載された車両1を示す。図1は、車両を右斜め後方から見た斜視図である。車両1は、自動運転モードで走行可能な自動車である。図1に示すように、車両1の後部には、ライセンスプレートと、第一表示部と、第二表示部が取り付けられている。
【0012】
図2は、車両1に搭載された車両システム2および車両用表示システム20のブロック図を示す。図2を参照して、先ず、車両システム2について説明する。図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。
【0013】
車両制御部3は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、各種車両制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。車両制御部3は、車両1の外部情報に基づいて、車両1の走行を制御する。
【0014】
センサ5は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサ等を備えている。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ及び車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。さらに、センサ5は、車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサを備えていてもよい。
【0015】
カメラ6は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラ6は、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外線カメラである。レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。カメラ6とレーダ7は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を検出し、周辺環境情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0016】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0017】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車の走行情報を他車から受信すると共に、車両1の走行情報を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0018】
車両1の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、完全手動運転モードとからなる。車両1が完全自動運転モードや高度運転支援モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等の外部情報に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、これらのモードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0019】
車両1が運転支援モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等の外部情報に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号の少なくとも一つを自動的に生成する。
車両1が完全手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、運転支援モードおよび完全手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち、少なくとも一つが自動的に生成され、残りが運転者の手動操作によって生成される。運転者が車両1の走行を制御する。
【0020】
続いて、車両1の運転モードについて説明する。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。
一方、運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。完全手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
以降の説明では、自動運転モードを完全自動運転モードと高度運転支援モードを含む概念とし、手動運転モードを運転支援モードと完全手動運転モードを含む概念を手動運転モードとする。
【0021】
車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、完全手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車両が走行可能である走行可能区間や自動運転車両の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの外部情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0022】
車両制御部3は、センサ5、カメラ6、GPS9、無線通信部10、地図情報記憶部11等から得られる外部情報に基づいて、例えば、周囲にいる他車の「自動運転レベル」を判別する。本実施形態における自動運転レベルは、「自動運転モード」レベルと、「手動運転モード」レベルとの2つに分類される。「自動運転モード」レベルとは、完全自動運転モードと高度運転支援モードとを含む概念である。「手動運転モード」レベルとは、運転支援モードと完全手動運転モードとを含む概念である。自動運転モードと手動運転モードとは、車両の運転の主権が運転者にあるか否かで区別している。完全自動運転モードと高度運転支援モードにおいては、運転者に運転の主権がなく運転者は車両を運転しない。運転支援モードと完全手動運転モードにおいては、運転者に運転の主権があり運転者が車両を運転し、車両制御部3は運転者による運転を支援する。
【0023】
図2に示すように、車両用表示システム20は、表示制御部4と、第一表示部30と、第二表示部40を有している。第一表示部30と第二表示部40はそれぞれ発光機能を有している。表示制御部4は、車両制御部3に接続されている。表示制御部4は、第一表示部30と第二表示部40に接続されている。表示制御部4は、第一表示部30と第二表示部40の点灯を制御する。
【0024】
次に、車両用表示システム20の表示部について、図3および図4を用いて説明する。図3は、第一表示部30とライセンスプレート50を示す車両1を後方から見た図である。図4は、図3に示した第二表示部の異なる表示例を示す図である。
【0025】
図3に示すように、車両1を後方から見て、第一表示部30はライセンスプレート50の左方に設けられている。第一表示部30は略矩形状のレンズ面で構成されている。レンズ面の奥側に第一光源31が配置されている。第一光源31は、車両1を後方から見た時に、第一表示部30と重なる位置に設けられている。第一光源31から出射した光がレンズ面の第一表示部30を経て外部へ出射される。これにより、第一表示部30が点灯しているように表示させることができる。第一光源31は、緑色の光と、白色の光とを出射可能とされている。表示制御部4は、第一光源31を制御することにより、第一表示部30の表示を制御する。
【0026】
表示制御部4は、車両制御部3がステアリング制御、アクセル制御およびブレーキ制御を自動的に行うレベルの自動運転モードを実行中に、第一表示部30を点灯させる。つまり、表示制御部4は、車両制御部3が完全自動運転モードまたは高度運転支援モードを実行中に、第一表示部30を点灯させるように構成されている。表示制御部4は、例えば車両制御部3が完全自動運転モードを実行中に、第一表示部30を緑色に点灯させる。表示制御部4は、例えば車両制御部3が高度運転支援モードを実行中に、第一表示部30を白色に点灯させる。車両制御部3は、車両制御部3が運転支援モードおよび完全手動運転モードを実行中に、第一表示部30を消灯させる。
【0027】
本実施形態に係る車両用表示システム20によれば、後方から視認されやすい位置に設けられたライセンスプレート50の近傍に第一表示部30(表示部)が設けられている。このため、第一表示部30も後方から視認しやすい。視認しやすい位置に第一表示部30が設けられているため、自車両1が自動運転モードで走行中であることを、自車両1より後方に位置する車両や歩行者などに知らせやすい。
【0028】
また、本実施形態に係る車両用表示システム20によれば、表示制御部4は、車両制御部3が完全自動運転モードを実行中に第一表示部30を緑色に点灯させ、車両制御部3が高度運転支援モードを実行中に第一表示部30を白色に点灯させる。つまり、表示制御部4は、自動運転モードのレベルに応じて異なる態様で第一表示部30を点灯させる。このため、自車両1の周囲の車両や歩行者に自動運転モードのレベルを知らせることができる。なお、表示制御部4は、自動運転のレベルに応じて、点灯色、点滅周期、発光範囲、明るさ、照射する形状の少なくとも一つ以上が異なる態様で第一表示部30を点灯させるように構成されていればよい。
【0029】
本実施形態の車両用表示システム20において、車両1を後方から見て、第一表示部30は、ライセンスプレート50の外部であって、ライセンスプレート50の左方または右方、ライセンスプレート50の上端より下方かつライセンスプレート50の下端より上方に設けられている。
つまり、ライセンスプレート50は上下方向について、周囲の車両や歩行者から視認されやすい位置に設けられている。ライセンスプレート50より下方の領域は、後方車両のドライバーの視線より下方になりやすい。また、ライセンスプレート50より上方の領域はトランクリッドなどが配置されており、第一表示部30を配置しにくい。このため、上下方向についてライセンスプレート50と同程度の位置で、ライセンスプレート50の左方または右方に第一表示部30を設けると、第一表示部30が視認されやすい。
【0030】
本実施形態においては、上下方向について、第一表示部30および第二表示部40の上端および下端の位置がそれぞれ、ライセンスプレート50の上端および下端と等しい。これにより、第一表示部30、第二表示部40、ライセンスプレート50を含む車両1の後部が統一感のあるデザインを呈している。
【0031】
なお、ライセンスプレート50の左方に配置された第一表示部30の左端部は、ライセンスプレート50の左端部からライセンスプレート50の左右方向の寸法だけ左方へ離れた位置よりも右方に位置させることが好ましい。ライセンスプレート50と第一表示部30とを近接させて配置することにより、第一表示部30の視認性を高め、車両1の意匠性を高めやすい。同様に、第一表示部30をライセンスプレート50の右方に配置した場合には、第一表示部30の右端部は、ライセンスプレート50の右端部からライセンスプレート50の左右方向の寸法だけ右方へ離れた位置よりも左方に位置させることが好ましい。
【0032】
本実施形態の車両用表示システム20は、図1に示したように、車両1を後方から見て、第一表示部30は、右リアコンビネーションランプ60Rと左リアコンビネーションランプ60Lの間で、右リアコンビネーションランプ60Rの上端および左リアコンビネーションランプ60Lの上端より下方、かつ、右リアコンビネーションランプ60Rの下端および左リアコンビネーションランプ60Lの下端より上方に設けられている。
【0033】
左右方向について左右のリアコンビネーションランプ60R,60Lの間に設けることにより、第一表示部30が周囲の車両や歩行者から視認されやすくなる。また、左右のリアコンビネーションランプ60R,60Lも、上下方向において周囲の車両や歩行者から視認されやすい位置に設けられている。このため、第一表示部30も左右のリアコンビネーションランプ60R,60Lと同程度の高さに配置することにより、第一表示部30が周囲から視認されやすくなる。
【0034】
本実施形態の車両用表示システム20は、第一表示部30を発光させる第一光源31が、車両1を後方から見て、第一表示部30と重なる位置に設けられている。表示部を発光させる光源を、表示部と重ならない位置に設けた場合に比べて、後方から見たときの車両1の意匠をシンプルにすることができる。また、他の車両用部品を車両1に搭載する際に、邪魔になりにくい。
【0035】
本実施形態において、図3に示すように、第二表示部40がライセンスプレート50の右方に設けられている。第二表示部40は、複数の液晶素子が配列された略矩形状の液晶パネルで構成されている。第二表示部40の内部に面光源が設けられている。表示制御部4は、第二表示部40中の液晶素子を変化させることにより、第二表示部40の表示を変化させることができる。
【0036】
表示制御部4は、車両制御部3が完全自動運転モードまたは高度運転支援モードを実行中に、車両制御部3からの信号に応じて第二表示部40の表示を変化させる。図3においては、表示制御部4は、後方の車両1に停止することを促す図形41を第二表示部40に表示させている。あるいは、表示制御部4は、図4に示したように、後方の車両に自車両1に追従して走行することを勧める図形42を第二表示部40に表示させたりする。
【0037】
このように、本実施形態の車両用表示システム20は、自動運転モードのレベルが変化しない限り表示態様を変更させない第一表示部30と、自動運転モードのレベルが変化しなくても表示態様を変更させる第二表示部40とを有している。これにより、ライセンスプレート50周囲の視認しやすい位置に、自動運転モードのレベルを表示しつつ、自動運転モードを実行中に自車両1の意図を他車両へ伝える表示を行うことができる。これにより、自車両1の後方の車両や歩行者などへ、自車両1が自動運転モードを実行中であること、および、自車両1の意図を伝えやすくされている。
【0038】
なお、第二表示部40は液晶装置に限らない。例えば、第二表示部40を反射部材で構成し、この第二表示部40へ第二光源から所望の映像を投影する構成としてもよい。表示制御部4は、第二光源を制御して自車両1の意図に応じた映像を第二表示部40へ投影させるように構成してもよい。
【0039】
<変形例1>
図5は、本発明の変形例1に係る第一表示部30Aとライセンスプレート50を示す、車両1を後方から見た図である。図5に示すように、本変形例の車両用表示システム20において、車両1を後方から見て、第一表示部30Aは、ライセンスプレート50の外部であって、ライセンスプレート50の下方、ライセンスプレート50の左端より右方かつライセンスプレート50の右端より左方に設けられている。
【0040】
ライセンスプレート50の下方に配置された第一表示部30Aの下端部は、ライセンスプレート50の下端部からライセンスプレート50の上下方向の寸法だけ下方へ離れた位置よりも上方に位置させることが好ましい。ライセンスプレート50と第一表示部30Aとを近接させて配置することにより、第一表示部30Aの視認性を高め、車両1の意匠性を高めやすい。同様に、第一表示部30Aをライセンスプレート50の上方に配置した場合には、第一表示部30Aの上端部は、ライセンスプレート50の上端部からライセンスプレート50の上下方向の寸法だけ上方へ離れた位置よりも下方に位置させることが好ましい。
【0041】
また、本変形例においては、第一表示部30Aは、ライセンスプレート50の上方に設けられた第一光源31Aから出射された光を反射させる反射板である。第一光源31Aは、車両1を後方から見て、第一表示部30Aと重ならない位置に設けられている。第一表示部30Aと第一光源31とのレイアウトの自由度が高められているため、他の部材と干渉しにくく、また、車両1の意匠性を高めやすい。
【0042】
なお、本変形例とは異なり、第一表示部はライセンスプレート50の上方に設けられていてもよい。また、第一表示部は、ライセンスプレート50の下方や上方から左方や右方などにかけて屈曲するように設けてもよい。
【0043】
<変形例2>
図6は、変形例2に係る第一表示部30Bとライセンスプレート50を示す、車両1を後方から見た図である。図6に示すように、本変形例の車両用表示システム20において、車両1を後方から見て、第一表示部30Bは、ライセンスプレート50の内部であって、ライセンスプレート50の文字列51より下方に設けられている。第一表示部30Bがライセンスプレート50の内部に設けられているため、第一表示部30Bが設けられている位置がより後方の車両1のドライバーにとって視認しやすい位置となっている。
例えば、ライセンスプレート50に孔部を設け、この孔部から第一表示部30Bが外部に露出するように、第一表示部30Bを配置することができる。
なお、図示の例とは異なり、第一表示部は、ライセンスプレート50の内部であって、ライセンスプレート50の文字列51より上方に設けてもよい。
【0044】
<変形例3>
図7は、本発明の変形例3に係る第一表示部30Cとライセンスプレート50を示す、車両1を後方から見た図である。図7に示すように、本変形例の車両用表示システム20において、車両1を後方から見て、第一表示部30Cは、ライセンスプレート50の内部であって、ライセンスプレート50の文字列51より右方に設けられている。第一表示部30Cが設けられている位置がより後方の車両1のドライバーにとって視認しやすい位置となっている。例えば、ライセンスプレート50に孔部を設け、この孔部から第一表示部30Cが外部に露出するように、第一表示部30Cを配置することができる。
なお、図示の例とは異なり、第一表示部は、ライセンスプレート50の内部であって、ライセンスプレート50の文字列51より左方に設けてもよい。
【0045】
<変形例4>
図8は、本発明の変形例4に係る第一表示部30Dとライセンスプレート50を示す、車両1を後方から見た図である。ライセンスプレート50はボルトなどの締結具52を介して車体へ取り付けられている。図8に示すように、本変形例の車両用表示システム20において、車両1を後方から見て、第一表示部30Dは、ライセンスプレート50の内部であって、ライセンスプレート50を車体へ取り付ける締結具52と重なる位置に設けられている。締結具52を第一表示部30Dで覆うことにより、ライセンスプレート50周囲をシンプルな意匠に構成することができ、車両1の意匠性を高めることができる。
【0046】
また、上述した実施形態や変形例1~3においては第一表示部を矩形状の部材として説明したが、本変形例4のように円状の部材として構成してもよい。また、第一表示部は、楕円や多角形状、あるいは円柱、円錐、多角柱、多角錐形状に構成してもよい。
【0047】
<変形例5>
図9は、本発明の変形例5に係る第一表示部30Eとライセンスプレート50を示す、車両1を後方から見た図である。図9に示すように、本変形例の車両用表示システム20において、車両1を後方から見て、第一表示部30Eは、ライセンスプレート50を縁取るように設けられている。
例えば、複数の第一光源をライセンスプレート50の外縁に沿って配列することにより、ライセンスプレート50を縁取る第一表示部30Eを構成することができる。あるいは、ライセンスプレート50の外周に沿って配置したライトガイドを単一または複数個の光源から出射された光で発光させることにより、ライセンスプレート50を縁取る第一表示部30Eを構成することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0049】
第一表示部および第二表示部は、上述したようにレンズ、液晶素子、反射板、光源自体、ライトガイドなどで構成することができる。
【0050】
なお、上述した変形例1~5においては、第二表示部を持たない車両用表示システムを例示したが、変形例1~5の構成に第二表示部を追加してもよい。第二表示部は、ライセンスプレートの中心に対して第一表示部と対象となるように配置すると好ましい。
【0051】
また、上述の説明においては、表示制御部4を含む車両用表示システム20が車両システム2とは別の独立したシステムとして構成される例を想定しているが、この構成に限定されない。例えば、車両用表示システムは、車両制御部3を含むシステムとして構成されていてもよい。あるいは、車両用表示システムは、車両システム2に接続されている例えばカメラ、センサ、レーダ等を含むシステムとして構成されていてもよい。また、表示制御部4は、車両制御部3を構成するECUの一部として構成してもよい。この場合、表示制御部4はランプユニット100ではなく、車両1に搭載される。
【0052】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、完全手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。
【0053】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1:車両
2:車両システム
3:車両制御部
4:表示制御部
20:車両用表示システム
30:第一表示部
31:第一光源
40:第二表示部
50:ライセンスプレート
51:文字列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9