(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】スチーム式美容器
(51)【国際特許分類】
A61H 33/12 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
A61H33/12 R
A61H33/12 B
(21)【出願番号】P 2018015370
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】石井 一也
(72)【発明者】
【氏名】梅津 あきら
(72)【発明者】
【氏名】石谷 光
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-117860(JP,A)
【文献】特開2014-064758(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0025242(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、この本体内に設けられたスチーム発生装置と、前記本体の外部に設けられた支持部と、この支持部に軸支されるノズル体とを有するスチーム式美容器において、
前記ノズル体が筒状であり、このノズル体の軸と交差する方向に開放する噴出口を有すると共に、前記ノズル体に、前記噴出口から前記ノズル体の軸方向に離れた位置に、このノズル体を軸回りに回動させるための操作部が設けられ
、
前記ノズル体に設けた軸本体が前記支持部に回動可能に軸支されると共に、前記軸本体に前記操作部が固定されることを特徴とするスチーム式美容器。
【請求項2】
前記操作部が、前記支持部を挟んで、前記噴出口が設けられた側の反対側に形成されることを特徴とする請求項1記載のスチーム式美容器。
【請求項3】
前記支持部が一対設けられ、これらの支持部によって前記ノズル体が軸支されると共に、前記操作部が前記支持部間の外側に設けられることを特徴とする請求項1又は2記載のスチーム式美容器。
【請求項4】
前記操作部が、前記ノズル体の両側に設けられることを特徴とする請求項3記載のスチーム式美容器。
【請求項5】
前記ノズル体が、前記本体の外面から離間することを特徴とする請求項1記載のスチーム式美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱することで発生させたスチームを肌に向けて噴出するスチーム式美容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスチーム式美容器としては、美容器本体の内部に設けられた沸騰室で発生させたスチームを、スチーム吐出口から吐出させて顔等に当てる美顔器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、この美顔器では、スチームの吐出方向を調節できるよう、スチーム吐出口の向きを調節できるようになっている。また、本体ケースの側面に回動自在に取り付けられた操作ハンドルによって、ノズルを揺動させることができる美顔器も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4211690号公報
【文献】特公昭59-27582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のような美顔器では、スチーム吐出口の向きを調節する際にこのスチーム吐出口を掴んで動かす必要があるため、熱いスチームが手に当たってしまう虞があった。従って、スチームを顔に当てながら、向きを調節し難いという問題があった。一方、後者のような美顔器では、ノズルを揺動させるための操作ハンドルがノズルから離れた位置にあるため、スチームが手に当たり難いという利点がある。しかしながら、本体ケースの内部にリンク棒等の連動機構が必要になるため、全体として大型化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、スチームを顔に当てながら向きを調節し易く、且つ本体の大型化を抑制することができるスチーム式美容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のスチーム式美容器は、本体と、この本体内に設けられたスチーム発生装置と、前記本体の外部に設けられた支持部と、この支持部に軸支されるノズル体とを有するスチーム式美容器において、前記ノズル体が筒状であり、このノズル体の軸と交差する方向に開放する噴出口を有すると共に、前記ノズル体に、前記噴出口から前記ノズル体の軸方向に離れた位置に、このノズル体を軸回りに回動させるための操作部が設けられ、前記ノズル体に設けた軸本体が前記支持部に回動可能に軸支されると共に、前記軸本体に前記操作部が固定されるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載のスチーム式美容器は、請求項1において、前記操作部が、前記支持部を挟んで、前記噴出口が設けられた側の反対側に形成されるものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載のスチーム式美容器は、請求項1又は2において、前記支持部が一対設けられ、これらの支持部によって前記ノズル体が軸支されると共に、前記操作部が前記支持部間の外側に設けられるものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載のスチーム式美容器は、請求項3において、前記操作部が、前記ノズル体の両側に設けられるものである。
【0010】
更に、本発明の請求項5に記載のスチーム式美容器は、請求項1において、前記ノズル体が、前記本体の外面から離間するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載のスチーム式美容器は、以上のように構成することにより、スチームの噴出方向とは異なる方向に設けられた操作部を操作して、スチームの噴出中に前記ノズル体の向きを容易に調節することができる。また、前記ノズル体における前記噴出口から軸方向に離れた位置に設けられる前記操作部によって、前記ノズル体を回動させるので、前記本体内に連動機構が不要となる。これによって、前記本体の大型化を抑制することができる。
【0012】
なお、前記操作部が、前記支持部を挟んで、前記噴出口が設けられた側の反対側に形成されることで、前記操作部を前記噴出口から離れた位置にすることができる。これによって、より容易に前記ノズル体の向きを調節することができる。
【0013】
また、前記支持部が一対設けられ、これらの支持部によって前記ノズル体が軸支されると共に、前記操作部が前記支持部間の外側に設けられることで、前記ノズル体を安定して動かすことができる。
【0014】
また、前記操作部が、前記ノズル体の両側に設けられることで、使用者のどちらの手を用いても前記ノズル体を動かすことができる。
【0015】
更に、前記ノズル体が、前記本体の外面から離間することにより、前記操作部を容易に操作できる。また、前記ノズル体が前記本体と干渉しないので、前記ノズル体の可動域を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1を示すスチーム式美容器の右前側から見た斜視図である。
【
図11】同、分解したノズル体の要部の断面図である。
【
図12】同、スチーム経路の下流側から見た接続部の斜視図である。
【
図13】同、スチーム経路の上流側から見た接続部の斜視図である。
【
図14】本発明の実施例2を示すノズル体の正面図である。
【
図15】本発明の実施例3を示すノズル体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例1について、
図1~
図13に基づいて説明する。同図に示すようにスチーム式美容器1は、略直方体形状の本体2と、前記本体2内に設けられたスチーム発生装置3と、前記本体2の上部に設けられた蓋体4を備える。
【0019】
前記本体2の外殻体10は、合成樹脂からなる。この外殻体10は、前面部11と、後面部12と、左,右側面部13L,13Rとを有する。そして、前記前面部11と後面部12の左右が、前記左,右側面部13L,13Rによって連結される。また、前記外殻体10の上部開口部が、上面部14によって塞がれる。更に、この外殻体10の下方開口部が、底面部15によって塞がれる。なお、前記前面部11と左側面部11Lと後面部11Bと右側面部11Rは、曲面部によって連結される。
【0020】
前記蓋体4は、その後部がヒンジ部16により前記後面部12の上部に枢着される。前記蓋体4は、合成樹脂からなる。この蓋体4は、蓋前面部4A、蓋後面部4B、蓋左,右側面部4L,4R及び蓋天面部4Cを有する。これら蓋前面部4Aと蓋左側面部4Lと蓋後面部4Bと蓋右側面部4Rは、曲面部によって連結される。即ち、前記蓋体4を閉じた状態において、前記蓋前面部4A、蓋後面部4B、及び蓋左,右側面部4L,4Rは、前記前面部11,後面部12,左右側面部13L,13Rを延長するように対応する。そして、蓋前面部4A、蓋後面部4B、蓋左,右側面部4L,4Rの上部が、前記蓋天面部4Cによって塞がれる。
【0021】
前記ヒンジ部16は、図示しない角度調整部を備え、蓋体4を開いた状態で無段階に保持可能なように構成される。また、蓋天面部4Cの内面には、鏡面部17が設けられる。そして、この鏡面部17に使用者などを写すことができる。
【0022】
また、前記本体2には、把持部18が回動可能に設けられる。この把持部18は、左,右腕杆18A,18Aの一端を横方向の把持杆18Bにより連結して、コ字状に形成される。そして、前記左,右腕杆18A,18Aの他端が、枢着部18C,18Cにより前記左,右側面部13L,13Rの上部に回動可能に連結される。
【0023】
前記上面部14の上方には、略円筒状のノズル体21が左右方向に横設される。このノズル体21は、その長さ方向中央に左右一対の噴出口22,22を近接して有する。これらの噴出口22は、噴出筒23内に形成される。なお、前記各噴出口22は、前記ノズル体21の回転中心軸21S(
図4参照)と交差(本例では直交)する方向をなす。また、前記ノズル体21は、前記上面部14に設けられた一対の支持部24,24により回動可能に軸支される。これら一対の支持部24,24は、前記上面部14に突設される。なお、前記ノズル体21は、前記上面部14から離間して設けられる。従って、本体2に対し直接ノズル体が軸支される構造に対し、前記噴出口22,22の向きを水平に近い角度にすることができる。
【0024】
図8、
図10及び
図11等に示すように、前記ノズル体21は、前記噴出筒23が取り付けられる筒取付部材25を備える。この筒取付部材25は、その長さ方向中央に筒装着部26が設けられると共に、その長さ方向両側に、前記支持部24に回動可能に軸支される軸部材27,27が一体に設けられる。なお、筒装着部26と左右の軸部材27,27とは、左右方向の左右の取付部28,28により連結される。これらの取付部28,28は平板状をなす。
【0025】
また、前記左右の支持部24,24の間において、前記ノズル体21は略半円筒状の上ケース29と下ケース30を有する。そして、前記ノズル体21の外周に、前記上,下ケース29,30が表れる。なお、上ケース29が一側ケースであり、下ケース30が他側ケースである。
【0026】
図11に示すように、前記筒装着部26の先端側には、円柱状の装着溝31,31が左右に設けられる。そして、この装着溝31に、前記噴出筒23が挿入状態で固定される。また、前記筒装着部26の基端側に位置する底部26Tには、前記噴出口22と連通する貫通孔32が穿設される。この貫通孔32は、スチーム経路5の一部を構成する。
【0027】
前記筒装着部26の先端側(上端側)外周には、鍔部33が周設される。この鍔部33の上面に、上筒部34が上方に突設される。また、前記鍔部33の下面には、下筒部35が下方に突設される。この下筒部35の左右に、前記左右の取付部28,28が一体に設けられる。
【0028】
そして、前記筒取付部材25の前記取付部28,28には、前記上,下ケース29,30を固定するために透孔28T,28Tが穿設される。そして、この透孔28Tに、固定手段たるビス37が挿通される。
【0029】
前記噴出口22,22の先端側(スチーム経路5の下流側)には、開口筒部41が設けられる。この開口筒部41は、筒本体42を有する。そして、この筒本体42の先端は前記ノズル体21の外周側に開口する。前記筒本体42内は、左右方向に長い長孔状に形成される。そして、この筒本体42の内面42Nは、先端側に向かって略テーパー状に拡大するように形成される。また、前記筒本体42の基端側(スチーム経路5の上流側)には、段差部43によって、前記筒本体42よりも大径な拡大筒部44が形成される。この拡大筒部44は、前記筒装着部26の前記上筒部34に外嵌する。また、前記拡大筒部44の基端の左右には、左右方向の取付部45,45が設けられる。そして、これらの取付部45,45には、前記ビス37を挿通する透孔45Tが穿設される。なお、前記各取付部45,45は、平板状をなす。また、前記筒装着部の下筒部35の外周面と前記拡大筒部44の内周面との間には、止水性を確保するためのパッキン材48が配置される。
【0030】
前記筒装着部26の上面と上筒部34の内周面と前記段差部43の下面と間には、リング形の装着凹部46が形成される。そして、この装着凹部46には、リング形の吸水部材47が配置される。なお、この吸水部材47としては、水(液体)を吸って保持する機能を有するフェルト等が例示される。
【0031】
前記筒装着部26の外周面26G及び底部26Tに沿って、パッキン51が外装される。このパッキン51は、シリコーンゴム等からなる。
図11に示すように、前記パッキン51は、前記筒装着部26の外周面26Gに外嵌する筒状部52と、前記底部26Tに当接する下板部53とを一体に備える。また、前記下板部53には、前記貫通孔32,32と連通する貫通孔54,54が穿設される。これらの貫通孔54は、前記貫通孔32よりも断面積が大きい。なお、これらの貫通孔32は、前記噴出口22よりも断面積が大きい。
【0032】
また、前記噴出筒23には、水滴誘導部材56が挿入される。この水滴誘導部材56は、防錆性を有する針金などの線材からなる。そして、この水滴誘導部材56は、一対の長さ方向線材部57と、一対の交差方向線材部58(
図2参照)と、環状部59とを一体に有する。前記長さ方向線材部57は、前記噴出口22の長さ方向に伸びる。また、前記交差方向線材部58は、前記長さ方向線材部57の先端側を(本例の場合、直角に)折り曲げて形成される。更に、前記環状部59は、前記交差方向線材部58同士を繋ぐと共に、前記上筒部34の内面に沿って長円形に形成される。前記長さ方向線材部57は、前記噴出口22の内周下部で、この噴出口22の先端から基端側に延設される。そして、前記長さ方向線材部57の先端57Aは、やや下方に折り曲げられると共に、接続部61の筒状部62に挿入される。一方、前記交差方向線材部58は、前記噴出口22から噴出筒23の先端面に沿って下向きに垂設される。なお、前記噴出口22は、先端側が高くなるように斜め上向きで使用されることが多い。更に、前記環状部59は、前記筒装着部26の上面と前記吸水部材47とによって挟持される。このように、前記環状部59が前記筒装着部26と吸水部材47とで挟持されることで、前記水滴誘導部材56が前記ノズル体21に保持される。
【0033】
このように前記水滴誘導部材56を配置することにより、前記噴出口22の内周面に発生してその内周面下部に集まった水滴が、前記長さ方向線材部57に沿って前記スチーム経路5の上流側に流れ、可撓性チューブ60を経て、前記本体2の上部空間153に落下する。そして、この上部空間153に集まった水滴は、落下口156から下部空間155内に回収される。また、前記噴出口22に生じた水滴の一部は、前記交差方向線材部58を伝わって流れ落ち、前記吸水部材47に吸水される。
【0034】
前記スチーム発生装置3において発生したスチームは、前記スチーム経路5の一部を構成する単独の前記可撓性チューブ60により前記噴出口22,22に供給される。これら複数の噴出口22,22と前記可撓性チューブ60とは、合成樹脂製の前記接続部61により接続される。
【0035】
図12及び
図13に示すように、前記接続部61は、前記可撓性チューブ60を接続する円筒形の前記筒状部62を有する。この筒状部62は、その下流側に拡大部63を有する。そして、この拡大部63は、その下流側に鍔状の受面部64を有する。この受面部64は、左右方向に長い長円形状をなす。そして、前記受面部64の外周には、前記下筒部35に対応して、左右方向に長い長円形状の上筒部65が設けられる。更に、この上筒部65の周囲には、略長方形形状の板部材66が設けられる。そして、この板部材66の左右部分により、左右方向の取付部67,67が構成される。また、この取付部67には、前記ビス37を挿通する透孔67Tが穿設される。
【0036】
また、前記接続部61内には、平板状の仕切部68が設けられる。この仕切部68は、前記筒状部62の中心軸方向に形成される。そして、前記仕切部68により、前記筒状部62内が左右に二分割される。これにより、左右の分割通路69L,69Rが形成される。これら左右の分割通路69L,69Rは、それぞれ前記左右の噴出口22,22に連通する。更に、前記仕切部68の下流端縁68Aは、前記受面部64の上面と面一である。一方、仕切部68の上流端縁68Bは、前記筒状部62の上流端縁と面一である。
【0037】
次に、前記噴出口22,22と接続部61との接続構造について説明する。前記筒装着部26の底部26Tと前記接続部61の受面部64との間に、前記パッキン51の下板部53を挟むと共に、前記筒取付部材25の取付部28を前記開口筒部41の取付部45と前記接続部61の取付部67とで挟む。この状態で、前記下ケース30の取付筒部117の底面118の透孔118Tから、それぞれの透孔28T,45T,67Tにビス37を挿通し、このビス37を上ケース29のボス部112と螺合させる。これにより、前記上ケース29と開口筒部41と筒取付部材25とパッキン51と接続部61と下ケース30とが一体化される。同時に、前記パッキン51により、前記噴出口22,22と接続部61とが水密及び気密に接続される。また、接続状態で、前記仕切部68の下流端縁68Aが前記下板部53に水密及び気密状態で当接する。
【0038】
前記ノズル体21の軸部材27は、
図11に示すように、前記取付部28に連結された円板部71と、この円板部71から左右外側に突設された軸本体72とを一体に備える。この軸本体72は、円筒状に形成される。また、前記円板部71から左右外側に、前記軸本体72より短い外筒部73が突設される。そして、前記軸本体72と外筒部73との間に、リング状の装着溝74が形成される。更に、この装着溝74内において、前記軸本体72の外周に、リング状の摩擦部材75が装着される。なお、この摩擦部材75は、エラストマー等の弾性摩擦材料からなるOリング等が例示される。そして、前記軸本体72が、前記支持部24の軸受部81に回動可能に軸支される。
【0039】
図8、
図10及び
図11に示すように、前記軸受部81は、前記軸本体72に回動可能に外装される軸受筒部82と、この軸受筒部82の長さ方向外側に周設された鍔状部83と、この鍔状部83の外面に設けられた外筒部84とを一体に有する。そして、前記軸受筒部82の内端82Nが、前記装着溝74に挿入される。
【0040】
そして、左右両側の軸部材27,27を左右の軸受部81,81により軸支した状態で、前記装着溝74における円板部71の外面と前記内端82Nとの間隔Hは、前記摩擦部材75の前記回転中心軸21Sの方向の長さ以下である。なお、この長さは、この例では前記摩擦部材75の太さに略等しい。即ち、前記摩擦部材75は、それぞれ前記装着溝74と内端82Nに対し弾性変形状態で接触する。そして、前記ノズル体21の回動時に前記装着溝74と摩擦部材75と内端82Nとの間に摩擦が生じる。これにより、前記ノズル体21の回動に制動力を付与することができると共に、前記ノズル体21が不用意に回転することを防止できる。従って、前記噴出口22の向きを微調整し、任意の方向に向けることができる。
【0041】
前記支持部24は、
図5、
図8及び
図10に示すように、前記軸受部81を本体2の外部で支持する左右の取付腕部87,87を備える。なお、これら左右の取付腕部87,87は、後述する前覆い部121を間に介在させて一体に形成される。これら取付腕部87,87は、前記本体2の上面部14から突設した状態で、前記本体2に固定される。そして、前記取付腕部87の上部に前記軸受部81が固定される。また、これら軸受部81と取付腕部87は、カバー部材88により覆われる。前記カバー部材88は、前後に間隔を置いて突設された前,後面部89,90の上部が半円状の上面部91により塞がれ、側面に孔部92Hを有する側板部92が設けられる。そして、取付腕部87の上部内に前記軸受部81を挿入した状態で、前記軸受部81が前記取付腕部87に固定される。これにより、前記本体2の外部に前記ノズル体21が左右の支持部24,24により回動自在に軸支される。
【0042】
前記左右の軸部材27,27には、左右の操作部101,101が設けられる。この操作部101は、中心筒部102と、筒底板部103と、連結筒部104と、外周部105と、外面部106とを一体に備える。前記中心筒部102は、前記操作部101の回転中心となる。前記筒底板部103は、前記中心筒部102の内端に設けられると共に、透孔103Tが穿設される。前記連結筒部104は、前記筒底板部103から中央側に突設される。前記外周部105は、前記中心筒部102の外側に間隔を置いて設けられる。前記外面部106は、リング状に形成され、前記中心筒部102の外端と外周部105の外端とを連結する。なお、前記外周部105の外径は、前記ノズル体21の外径と略同径である。また、前記カバー部材88の上面部91の半径も、前記外周部105の半径と略同一である。
【0043】
図10に示すように、前記連結筒部104は、前記軸本体72の先端に外嵌する。そして、固定部材たるビス107を前記透孔103Tに挿通し、そのビス107を前記軸本体72に螺合させることにより、前記操作部101が前記軸部材27に固定される。また、前記中心筒部102の先端及び連結筒部104は、前記カバー部材88の側板部92に穿設された前記孔部92Hに遊挿される。
【0044】
また、前記操作部101の外周部105は、左右方向中央側に向かって僅かに拡大するように形成される。そして、この外周部105の先端外面には、段部105Aを周設して薄肉筒部108が形成される。また、この薄肉筒部108が遊挿するリング状の溝部92Mが、前記カバー部材88の側板部92に形成される。そして、この溝部92M内に、前記薄肉筒部108の先端が隠れる。更に、前記外周部105の外周面には、滑り止め部109が形成される。この例の滑り止め部109は、複数の三角形状の平面が周方向に並んで設けられた幾何学模様の凹凸により形成される。なお、前記滑り止め部109は、複数の凹溝と凸条によって形成しても良い。
【0045】
次に、前記上,下ケース29,30の取付構造について説明する。前記上ケース29は、半円筒部111を有する。この半円筒部111の内面左右には、前記透孔45T等に対応して、前記ボス部112,112が突設される。また、前記半円筒部111の長さ方向中央に、前記開口筒部41が挿入配置される受筒部113が設けられる。そして、この受筒部113の先端が、前記段差部43の外面側に近接又は当接する。
【0046】
また、前記上ケース29の左右端部には、係止孔114(
図10参照)がそれぞれ形成される。そして、これらの係止孔114に、前記ノズル体21の直径方向から係止する係止突起76が、前記円板部71の外面に形成される。
【0047】
前記下ケース30は半円筒部116を有する。この半円筒部116の内面左右には、前記透孔67T等に対応して、前記取付筒部117,117が突設される。そして、この取付筒部117の底面118に、前記透孔118Tが穿設される。
【0048】
また、前記下ケース30の左右端部には、係止孔114がそれぞれ形成される。そして、これらの係止孔114に、前記ノズル体21の直径方向から係止する係止突起76Aが、前記円板部71の外面に形成される。
【0049】
そして、前記ボス部112の先端を、前記開口筒部41の取付部45に当接させると共に、前記取付筒部117の先端を、前記接続部61の取付部67に当接させる。この状態で、前記取付筒部117から、固定手段たる前記ビス37を前記透孔118T,67T,28T,45Tに挿通し、前記ビス37を前記ボス部112に螺合させる。このようにして、前記ノズル体21が組み立てられる。
【0050】
なお、
図12及び
図13に示すように、前記接続部61の取付部67,67には、位置決め孔67Hが穿設される。また、前記開口筒部41の取付部45には、位置決め切欠部(図示せず)が形成される。一方、前記筒取付部材25の取付部28には、前記位置決め孔67Hに対応して位置決めピン(図示せず)が形成される。同様に、前記取付部28には、前記位置決め切欠部に対応して、突起部28Pが形成される。そして、前記位置決め孔67Hに前記位置決めピンを挿入し、前記位置決め切欠部に前記突起部28Pを挿入することで、前記筒取付部材25と開口筒部41と接続部61が位置決めされる。
【0051】
前記本体2の上面部14には、前記支持部24,24の間に、前覆い部121と後覆い部122が設けられる。前記前覆い部121は、前記取付腕部87と一体に形成される。また、前記前覆い部121は、前記上面部14から上方に突設され、この上面部14と前記ノズル体21の円筒面下部との間を覆うように設けられる。そして、前記前覆い部121の上端縁121Fは、前記ノズル体21の中心軸21Sよりやや前側で且つ下側で、前記ノズル体21の円筒面に近接する。一方、前記後覆い部122は、前記上面部14から斜め前方に突設される。そして、前記後覆い部122の上端縁122Fは、前記ノズル体21の中心軸21Sより後側で且つ上側で、前記ノズル体21の円筒面に近接する。そして、前記上面部14には、前記前覆い部121と後覆い部122が取り付けられる開口部123が形成される。また、前記前覆い部121と後覆い部122の間には、挿通孔124が形成される。そして、前記開口部123を通って、前記挿通孔124に前記可撓性チューブ60が挿通される。
【0052】
図8及び
図10に示すように、前記下ケース30には、前記可撓性チューブ60を挿通する挿通孔125(
図10参照)が穿設される。また、前記可撓性チューブ60は、シリコーンゴム等の柔軟性及び耐熱性を有する材質からなる。そして前記可撓性チューブ60は、チューブ本体131の先端(下流端)と基端(上流端)に、先端チューブ接続部132と基端チューブ接続部133を有する。
【0053】
そして、円筒状をなす前記先端チューブ接続部132に前記接続部61の筒状部62を圧入することにより、前記接続部61に可撓性チューブ60が接続される。なお、前記先端チューブ接続部132の外周には、前記挿通孔125の内面側に当接する抜け止め部134が膨出形成される。この例では、環状突起状の前記抜け止め部134が、前記先端チューブ接続部132に一体成形される。また、前記先端チューブ接続部132と基端チューブ接続部133の間のチューブ本体131には、蛇腹部135が形成される。なお、図面では、蛇腹部135の山及び谷の記載を省略した。
【0054】
図7に示すように、前記スチーム発生装置3は、水を貯める貯水タンク141と、水を加熱して気化させるためのヒータ142を備えた沸騰室143と、タンク蓋体148とを備える。そして、このタンク蓋体148の蓋筒部149には、前記沸騰室143で発生したスチームを通す前記可撓性チューブ60の基端チューブ接続部133が接続される。
【0055】
前記貯水タンク141は、合成樹脂等からなり、底面部146と略角筒型の側面部147とを有する。そして、前記貯水タンク141の上部開口は、前記タンク蓋体148により閉塞される。また、前記貯水タンク141と沸騰室143とは、その下端部同士が給水通路151により接続される。前記給水通路151は、スチームを短時間で発生させるべく、断面積が長さに対して小さく設計される。これによって、貯水タンク141から沸騰室143への送水量が規制される。また、前記沸騰室143と貯水タンク141とは、その上端部同士が吐出通路152により接続される。この吐出通路152により、前記沸騰室143で発生したスチームは、この沸騰室143から前記貯水タンク141内の上部空間153に流れる。
【0056】
貯水タンク141の高さ方向中央よりもやや高い位置には、板状の仕切部154が横設される。この仕切部154により、前記貯水タンク141内が、前記上部空間153と前記下部空間155に分けられる。そして、前記仕切部154には、前記上部空間153において結露により発生した水滴を前記下部空間155に戻す前記落下口156が複数形成される。また、前記上部空間153内の前後方向中央には、紫外線ランプ157が左右方向に配置される。そして、この紫外線ランプ157により、スチームの粒が細かくされる。
【0057】
また、
図9等に示すように、前記タンク蓋体148の中央には、前記スチーム経路5の一部を構成する前記蓋筒部149が突設される。また、前記本体2内には、前記上面部14と前記タンク蓋体148との間に、横板状の中仕切部161が設けられる。この中仕切部161は、前記外殻体10の上端開口部よりもやや低い位置において、この外殻体10と一体に形成される。即ち、前記外殻体10は、下方が開口した直方体の箱状に形成される。そして、前記中仕切部161には、前記蓋筒部149の外周と間隔を置いて外嵌する外筒部162が設けられる。また、この外筒部162の下部の嵌合部163が、前記蓋筒部149の嵌合受部149Aに外嵌する。
【0058】
前記可撓性チューブ60の前記基端チューブ接続部133は、略円筒状をなす。この円筒状をなす基端チューブ接続部133に前記蓋筒部149を圧入することにより、前記タンク蓋体148の蓋筒部149に前記可撓性チューブ60が接続される。また、前記基端チューブ接続部133の上部側には、鍔部136が一体に設けられ、この鍔部136の下面から下向きに嵌合筒部137が一体に設けられる。そして、この嵌合筒部137が、前記外筒部162に外嵌する。
【0059】
また、前述したように、前記チューブ本体131には、蛇腹部135が形成される。このように、前記チューブ本体131に蛇腹部135を設けることにより、前記可撓性チューブ60の動きが自由になる。
【0060】
図1及び
図2等に示すように、本体2の右側には、給水用蓋171が設けられる。この給水用蓋171は、その下部の枢着部172が前記本体2に枢着されて開閉可能に設けられる。そして、前記給水用蓋171は、前記本体2に設けたロック解除ボタン173を押すことにより、開くことができる。更に、前記給水用蓋171を開いた状態で、前記本体2内の水供給口(図示せず)が表れ、この水供給口から前記貯水タンク141内に水を供給することができる。
【0061】
図7に示すように、前記貯水タンク141の底面部146の中央側には、円形な水抜き孔175が穿設される。この水抜き孔175の上部には、上方に向かって拡大するテーパー部175Aが形成される。このテーパー部175Aが弁座部である。また、前記テーパー部175Aに当接して前記水抜き孔175を閉塞する弁体176が設けられる。この弁体176の中心に、弁棒177が取り付けられて一体化される。そして、前記底面部146に受筒部178が設けられ、この受筒部178に前記弁棒177が挿通される。即ち、前記弁棒177は、前記受筒部178によって上下に案内される。そして、常態では、前記弁体176は、図示しない付勢手段による付勢力及び前記貯水タンク141内の水圧により、前記水抜き孔175を塞ぐ。
【0062】
図1に示すように、前記本体2の左右方向一側である右側下部には、前記弁体176を操作する操作ボタン181が設けられる。一方、
図2及び
図5に示すように、前記本体2の左右方向他側である左側下部には、排水口182が設けられる。そして、この排水口182を開閉する排水口蓋183が、前記排水口182に着脱自在に設けられる。即ち、前記排水口182は、前記排水口蓋183により開閉することができる。なお、この排水口蓋183は、蓋連結部184により前記本体2に連結される。従って、前記排水口蓋183を紛失することがない。そして、前記排水口182から前記排水口蓋183を取り外した状態で、前記操作ボタン181を押すことにより、図示しない操作機構により弁棒177が押し上げられ、前記水抜き孔175と排水口182が連通する。これによって、前記貯水タンク141内の水を、前記水抜き孔175を通して前記排水口182から排水することができる。
【0063】
また、本体2の上面部14には、前記スチーム発生装置3をオンオフするメインスイッチ186と、オン状態を点灯により表示するLED等の表示部187が設けられる。そして、前記メインスイッチ186をオンにすると、前記ヒータ142及び紫外線ランプ157が駆動する。なお、前記スチーム発生装置3は家庭用電源により駆動される。従って、前記本体2には、家庭用電源に接続される電源コード188が設けられる。
【0064】
前記本体2の前面部11の右側下部には、水位表示部189が設けられる。そして、この水位表示部189に、前記貯水タンク141内の水位が表示される。
【0065】
次に、前記美容器1の使用方法について説明する。前記メインスイッチ186をオンにすると、前記ヒータ142と紫外線ランプ157が駆動する。前記ヒータ142によって加熱されることにより、前記沸騰室143においてスチームが発生し、このスチームが上部空間153に送られる。この上部空間153に送られたスチームは、前記紫外線ランプ157で照射されることにより、粒子が細かくされる。更に、スチームは、前記蓋筒部149から前記スチーム経路5の一部を構成する前記可撓性チューブ60を通って、一対の前記噴出口22,22から噴出される。そして、この噴出口22,22から噴出されたスチームを肌に当てることで、美容効果を得ることができる。
【0066】
前述した通り、前記可撓性チューブ60から左右の前記噴出口22,22に至る前記スチーム経路5は、前記接続部61の筒状部62において、板状の仕切部68により左右の分割通路69L,69Rに分かれる。そして、前記仕切部68の下流端縁68Aが前記受面部64の上面と面一であり、前記仕切部68の上流端縁68Bが前記筒状部62の上流端縁と面一であることから、独立した前記分割通路69L,69Rを長く取ることができる。これによって、前記分割通路69L,69Rにおけるスチーム流を整え、効率的にスチーム流を噴出させることができる。
【0067】
加えて、前記分割通路69L,69Rの下流側においても、前記スチーム経路5は、前記パッキン51の貫通孔54,54と前記筒装着部26の貫通孔32,32に分かれる。このため、スチーム流の乱れが少ない状態で、前記噴出口22,22から噴出することができる。この場合、前記スチーム経路5の断面積が、分割通路69L,69R、貫通孔54,54、貫通孔32,32、噴出口22,22の順で小さくなるように形成されるため、スチーム流が徐々に絞られて前記噴出口22,22から噴出される。
【0068】
そして、使用者は、前記ノズル体21に一体的に取り付けられた前記操作部101を用いて、前記ノズル体21を回動して前記噴出筒23,23の向きを変え、所望の位置にスチームを噴出させることができる。この場合、前記ノズル体21を直接回動させるので、複雑な機構が不要となり、前記本体2の大型化を抑制することができ、且つ操作が容易となる。更に、前記操作部101が、前記噴出口22,22から前記ノズル体21の回転中心軸21S方向に離れた位置に設けられるので、前記噴出口22,22から噴出された熱いスチームが手に当たり難くすることができる。特に、本実施例の場合、前記操作部101が、前記支持部24,24を挟んで前記噴出口22,22の反対側となる前記ノズル体21の左右両端部に位置するので、前記噴出口22,22から噴出された熱いスチームがより手に当たり難くすることができる。従って、スチームの噴出中であっても、前記ノズル体21の向きを安全に且つ容易に調節することができる。
【0069】
また、前記ノズル体21の左右を一対の前記支持部24,24により支持することにより、前記ノズル体21を安定して回動させることができる。更に、一対の前記支持部24,24の左右方向外側に、それぞれ前記操作部101,101が設けられるため、両手で操作ができるだけでなく、一方の手が塞がっているときは、片手だけで前記ノズル体21を回動させることができる。更にまた、前記ノズル体21が前記上面部14から離間して設けられるので、前記噴出口22,22の可動域を特に伏方向側に広げることができる。従って、前記ノズル体21の可動域全体を広げることができる。
【0070】
以上のように、本実施例では、本体2と、この本体2内に設けられたスチーム発生装置3と、前記本体2の外部に設けられた支持部24と、この支持部24に軸支されるノズル体21とを有するスチーム式美容器1において、前記ノズル体21が筒状であり、このノズル体21の軸たる回転中心軸21Sと直交する方向に開放する噴出口22を有すると共に、前記ノズル体21に、前記噴出口22から前記ノズル体21の軸方向に離れた位置に、このノズル体21を軸回りに回動させるための操作部101が設けられ、前記ノズル体21に設けた軸本体72が前記支持部24に回動可能に軸支されると共に、前記軸本体72に前記操作部101が固定されるものであり、スチームの噴出方向とは異なる方向に設けられた操作部101を操作して、スチームの噴出中に前記ノズル体21の向きを容易に且つ安全に調節することができる。また、前記ノズル体21における前記噴出口22から軸方向に離れた位置に設けられる前記操作部101によって、前記ノズル体21を回動させるので、前記本体2内に複雑な連動機構が不要となる。これによって、前記本体2の大型化を抑制することができる。
【0071】
なお、前記操作部101が、前記支持部24を挟んで、前記噴出口22が設けられた側の反対側に形成される(この例では、前記噴出口22が前記ノズル体21の左右方向中央に配置され、左右の前記操作部101,101が、左右の前記支持部24,24を挟んだ反対側である左右方向外側に配置される)ことで、前記操作部101を前記噴出口22から離れた位置にすることができる。これによって、熱いスチームがより手に当たりにくくして、より容易且つ安全に前記ノズル体21の向きを調節することができる。
【0072】
また、前記支持部24が一対設けられ、これらの支持部24,24によって前記ノズル体21が軸支されると共に、前記操作部101が前記支持部24,24間の外側に設けられることで、前記ノズル体21を安定して回動させることができる。
【0073】
また、前記操作部101が、前記ノズル体21の両側に設けられることで、使用者のどちらの手を用いても前記ノズル体21を回動させることができる。
【0074】
更に、前記ノズル体21が、前記本体2の外面たる上面部14から離間することにより、前記操作部101を容易に操作できる。また、前記ノズル体21が前記本体2と干渉しないので、前記ノズル体21の可動域を、特に伏方向側に大きくすることで、可動域全体を広げることができる。
【0075】
以下、実施例上の効果として、前記ノズル体21の中央に、左右方向に並んで噴出口22,22を設けたから、左右方向の広範囲にスチームを噴出することができる。また、左右の前記噴出口22,22から噴出されるスチームが干渉することで、合成されたスチーム流を上下方向にも広げることができる。更に、前記装着凹部46に前記吸水部材47を配置したから、前記筒本体42内で生じた水滴を吸収することができる。また、前記噴出筒23には、水返送手段たる前記水滴誘導部材56が設けられるから、前記噴出口22で生じた水滴を、前記本体2の内部又は前記吸水部材47へと排水することができる。このように、前記噴出口22,22で生じた熱い水滴を、前記水滴誘導部材56及び吸水部材47を用いて前記噴出筒23から排出することで、スチーム流と共に熱い水滴が使用者の肌に当たるのを抑制することができる。
【0076】
また、前記筒装着部26の外周面26G及び底部26Tに沿って外装するパッキン51を備え、接続部61の受面部64を前記底部26Tに当接することにより、接続部61を筒装着部26の貫通孔32,32に水密及び気密に連結することができる。これによって、前記ノズル体21内における水漏れやスチーム漏れを防止することができる。更に、前記仕切部68の下流端縁68Aが前記パッキン51の下板部53に当接することにより、前記分割通路69L,69Rよりも下流側で二つのスチーム流同士が合流せず、スチーム流が乱れないようにすることができる。
【0077】
また、前記ノズル体21は、前記上ケース29,開口筒部41,筒装着部26,接続部61及び下ケース29といった複数の部材を、共通する前記ビス37により簡便に組み立てることができる。更に、前記ノズル体21の回動時に、前記摩擦部材75と摩擦面たる内端82Nとの間に摩擦が生じることにより、前記ノズル体21の回動に制動力を付与し、前記噴出口22,22を任意の向きで保持することができると共に、前記ノズル体21が不用意に回転することを防止できる。
【0078】
また、前記上,下ケース29,30の左右端部には、係止孔114,114がそれぞれ形成され、これら係止孔114,114に係止する係止突起76,76Aが、前記円板部71の外面に形成されるから、前記係止孔114,114と係止突起76,76Aとが係止することにより、前記ビス37により固定する前に、筒取付部材25に上,下ケース29,30を仮固定することができ、組立作業性に優れたものとなる。
【0079】
更に、前記可撓性チューブ60は、先端チューブ接続部132の外周に、前記挿通孔125の内面側に当接する抜け止め手段たる抜け止め部134が膨出形成され、先端チューブ接続部132の抜け止め効果が得られるので、ノズル体21の回動により可撓性チューブ60が揺動しても、前記ノズル体21から前記可撓性チューブ60が外れることを防止できる。
【0080】
以下、前記接続部61と仕切部68等による実施例上の効果として、本実施例では、本体2と、この本体2内に設けられたスチーム発生装置3と、前記本体2に設けられるノズル体21とを有するスチーム式美容器1において、前記ノズル体21が複数の噴出口22,22を有し、前記スチーム発生装置3と複数の前記噴出口22,22とを接続する一つの可撓性チューブ60を有し、この可撓性チューブ60と複数の前記噴出口22,22を接続する接続部61を有し、この接続部61が前記可撓性チューブ60に接続される筒状部62を有すると共に、この筒状部62の内部にスチーム経路5を分岐させる仕切部68を有するものであるから、コンパクトな構成でありながら、スチーム発生装置3から各噴出口22,22までの各スチーム経路となる分割通路69L,69Rを長くすることで、各スチーム経路におけるスチーム流を整え、効率的にスチームを噴出させることができる。
【0081】
なお、前記接続部61の前記筒状部62から複数の前記噴出口22,22までを繋ぐ各スチーム経路たる貫通孔32,54が、前記仕切部68よりも下流側において独立することで、スチーム経路5の途中で経路同士が連通しないので、より乱流を発生させ難くし、効率的にスチームを噴出させることができる。
【0082】
また、前記仕切部68の上流端縁68Bが前記筒状部62の上流端まで延びることで、各スチーム経路たる分割通路69L,69Rを可能な限り長くして、より確実にスチーム流を整えて効率よくスチームを噴出口22から噴出させることができる。
【0083】
更に、前記仕切部68が平板状であることにより、前記接続部61を容易に製造することができると共に、各スチーム経路たる分割通路69L,69Rの流路断面積がスチーム経路の途中で狭くならないようにして、効率的にスチームを前記噴出口22,22から噴出させることができる。
【実施例2】
【0084】
図14は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図に示すように、この例では、前記左右の操作部101,101を挟んで、前記支持部24,24が設けられる。
【0085】
本実施例では、前記左右の支持部24,24が、実施例1に比べて左右に離して配置される。前記操作部101と前記筒本体42との間隔は、好ましくはこの筒本体42の左右幅寸法以上とされる。このようにして、前記噴出口22から前記操作部101を離し、前記上,下ケース29,30の両端と前記支持部24,24の間に、前記操作部101,101が設けられる。そして、これら操作部101,101を用いて前記ノズル体21を回動させることができる。
【0086】
このように、前記噴出口22と操作部101との距離を十分確保できるのであれば、左右の前記支持部24,24の内側に前記操作部101,101を設けても良い。即ち、一の支持部24を基準として、前記噴出口22と前記操作部101とが同じ側に設けられるようにしても良い。
【0087】
以上のように、本実施例では、本体2と、この本体2内に設けられたスチーム発生装置3と、前記本体2の外部に設けられた支持部24と、この支持部24に軸支されるノズル体21とを有するスチーム式美容器1において、前記ノズル体21が筒状であり、このノズル体21の軸たる回転中心軸21Sと交差する方向に開放する噴出口22を有すると共に、前記ノズル体21に、前記噴出口22から前記ノズル体21の軸方向に離れた位置に、このノズル体21を軸回りに回動させるための操作部101が設けられるものであり、スチームの噴出方向とは異なる方向に設けられた操作部101を操作して、スチームの噴出中に前記ノズル体21の向きを容易に且つ安全に調節することができ、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【実施例3】
【0088】
図15は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図に示すように、この例では、上記ノズル体21を左右に分割した左右のノズル体21L,21Rを備える。
【0089】
前記左右の噴出口22,22を離すと共に、開口筒部41の筒本体42を左右に分割し、左右の噴出口22,22の間に中間の支持部24を設け、左のノズル体21Lを左の支持部24と中央の支持部24により回動可能に軸支すると共に、右のノズル体21Rを右の支持部24と中央の支持部24により回動可能に軸支し、左右のノズル体21L,21Rを左右方向外側の操作部101,101により独立して回動することができる。
【0090】
このように、中央にも中間の支持部24を設け、一対のノズル体21L,21Rを回動可能に軸支しても良い。この場合、左右のノズル体21L,21Rを独立して回動させることができる。
【0091】
以上のように、本実施例では、スチームの噴出方向とは異なる方向に設けられた操作部101を操作して、スチームの噴出中に前記ノズル体21の向きを容易に且つ安全に調節することができ、また、前記操作部101が、前記支持部24を挟んで、前記噴出口22が設けられた側の反対側に形成されており、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0092】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変実施が可能である。例えば、上記実施例では、噴出口を2個設けたものを示したが、1個でも3個以上でもよい。また、実施例では円筒形のノズル体を示したが、断面多角形状や楕円形状の筒状のものでもよい。更に、実施例では、操作部は外面が円筒形のものを示したが、多角形のものや凹凸形状の有るものなど、各種の形状のものを用いることができる。また、請求項5以外では、ノズル体の下部の一部が上面部(外面)より下に収納されてもよい。更に、上記各実施例では、2個の操作部を設けたが、操作部は1個でも3個以上でもよい。また、上記各実施例では、2個又は3個の支持部を設けたが、支持部は1個でも3個以上でもよい。更に、支持部が2個以上の場合、請求項2以外では、操作部を噴出口と同じ側に設け、即ち、支持部の間に噴出口と操作部を離して設けてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 スチーム式美容器
2 本体
3 スチーム発生装置
21 ノズル体
21L,21R ノズル体
21S 回転中心軸(軸)
22 噴出口
24 支持部
32 貫通孔
54 貫通孔
72 軸本体
101 操作部