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特許7025977学習支援システム、学習支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】学習支援システム、学習支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/14 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
G09B5/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018068177
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179139
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】709006024
【氏名又は名称】株式会社ベネッセコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 安紀子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐美
(72)【発明者】
【氏名】榎本 命
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-37110(JP,A)
【文献】特開2009-300890(JP,A)
【文献】特開2014-235558(JP,A)
【文献】特開2015-176079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00~9/56
G09B 17/00~19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習指導者に使用させる第1の端末と、学習者に使用させる第2の端末とが接続された通信ネットワークを介して使用される学習支援システムであって、
思考力の種類に対応する複数の項目を表す項目データと、前記思考力の種類に応じて規定された発問を表す発問データと、前記思考力の種類に応じて規定された回答形式である話型を表す話型データと、を関連付けて記憶する記憶部と、
前記複数の項目を前記第1の端末に配信して表示させる項目配信部と、
前記第1の端末から送信された信号に基づき、前記複数の項目のうち前記第1の端末において選択された項目を抽出する項目抽出部と、
前記項目抽出部により抽出された項目を表す項目データと関連付けられた発問データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた発問を前記第1の端末に配信して表示させる発問配信部と、
前記項目抽出部により抽出された項目を表す項目データと関連付けられた話型データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた話型を前記第2の端末に配信して表示させる話型配信部と、
を備える学習支援システム。
【請求項2】
前記思考力の種類は教科別に設定され、
前記第1の端末から教科に関する情報が送信された場合、前記項目配信部は、前記教科に関する情報に基づき、前記複数の項目のうち、当該教科に対応する1つ以上の項目を前記第1の端末に配信して表示させる、
請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記第1の端末において、前記複数の項目と前記発問との少なくともいずれかの表示と非表示とが切り替え可能である、請求項1又は2に記載の学習支援システム。
【請求項4】
前記第2の端末において、前記話型の表示と非表示とが切り替え可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の学習支援システム。
【請求項5】
学習指導者に使用させる第1の端末と、学習者に使用させる第2の端末とが接続された通信ネットワークを介して実行される学習支援方法であって、
前記通信ネットワークに、思考力の種類に対応する複数の項目を表す項目データと、前記思考力の種類に応じて規定された発問を表す発問データと、前記思考力の種類に応じて規定された回答形式である話型を表す話型データと、を関連付けて格納する記憶部が接続され、
前記複数の項目を前記第1の端末に配信して表示させるステップ(a)と、
前記第1の端末から送信された信号に基づき、前記複数の項目のうち前記第1の端末において選択された項目を抽出するステップ(b)と、
ステップ(b)において抽出された項目を表す項目データと関連付けられた発問データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた発問を前記第1の端末に配信して表示させるステップ(c)と、
ステップ(b)において抽出された項目を表す項目データと関連付けられた話型データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた話型を前記第2の端末に配信して表示させるステップ(d)と、
を含む学習支援方法。
【請求項6】
学習指導者に使用させる第1の端末及び学習者に使用させる第2の端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバに実行させる学習支援プログラムであって、
前記サーバは、思考力の種類に対応する複数の項目を表す項目データと、前記思考力の種類に応じて規定された発問を表す発問データと、前記思考力の種類に応じて規定された回答形式である話型を表す話型データと、を関連付けて格納する記憶部を備え、
前記複数の項目を前記第1の端末に配信して表示させるステップ(a)と、
前記第1の端末から送信された信号に基づき、前記複数の項目のうち前記第1の端末において選択された項目を抽出するステップ(b)と、
ステップ(b)において抽出された項目を表す項目データと関連付けられた発問データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた発問を前記第1の端末に配信して表示させるステップ(c)と、
ステップ(b)において抽出された項目を表す項目データと関連付けられた話型データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた話型を前記第2の端末に配信して表示させるステップ(d)と、
を実行させる学習支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援システム、学習支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、教育分野では、児童・生徒などの学習者の思考力の育成が課題となっている。そのため、学校等の教育現場や教育研究機関においては、思考力を伸ばす学習方法の開発や、思考力を伸ばす学習指導者の育成に力が注がれている。
【0003】
他方、タッチパネルを有するタブレット型端末を利用した教育システムの開発も行われている。例えば、下記特許文献1には、学校の授業に参加する全ての生徒にタブレット型端末を配布し、各生徒のレベルに応じた問題をタブレット型端末に配信しながら授業を進める学習支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-205795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
教育分野においては、思考力を伸ばすためには、思考を促す問いかけが重要であることは知られている。しかしながら、推論する思考力、分類する思考力、順序立てる思考力など、様々な思考力がある中、どのような場面でどのような問いかけをすれば、意図した思考力を伸ばすことができるのか、熟練した学習指導者であっても判断することは難しい。
【0006】
また、児童・生徒などの学習者にとっても、問いかけをされた際に学習指導者の意図が伝わらなければ、何をどう思考すれば良いのか戸惑ってしまうことがある。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、学習指導者が学習者に適切な問いかけをして学習者の思考を促す支援を行うことができる学習支援システム、学習支援方法及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る学習支援システムは、学習指導者に使用させる第1の端末と、学習者に使用させる第2の端末とが接続された通信ネットワークを介して使用される学習支援システムであって、思考力の種類に対応する複数の項目を表す項目データと、前記思考力の種類に応じて規定された発問を表す発問データと、前記思考力の種類に応じて規定された回答形式である話型を表す話型データと、を関連付けて記憶する記憶部と、前記複数の項目を前記第1の端末に配信して表示させる項目配信部と、前記第1の端末から送信された信号に基づき、前記複数の項目のうち前記第1の端末において選択された項目を抽出する項目抽出部と、前記項目抽出部により抽出された項目を表す項目データと関連付けられた発問データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた発問を前記第1の端末に配信して表示させる発問配信部と、前記項目抽出部により抽出された項目を表す項目データと関連付けられた話型データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた話型を前記第2の端末に配信して表示させる話型配信部と、を備えるものである。
【0009】
ここで、思考力の種類には、学習者に提示された情報(例えば、問題文や課題)から、重要な情報を読み取るための思考力に相当する「抽出する」、学習者がこれまでに学んだことや、経験したことを踏まえて、解決策(法則を見つける)を見通すための思考力に相当する「解決の方針を立てる」、法則を見つけるために、複数のものを場合分けするための思考力に相当する「分類する」、法則を見つけるために、2つのものを比較し、共通点や相違点を見つけるための思考力に相当する「特徴を比較する」、法則を見つけるために、伴って変わるものに着目し、変わり方を捉える思考力に相当する「変化を捉える」、法則を見つけるために、もとにする数のいくつ文かを捉え、数の大小を比較するための思考力に相当する「大小を比較する」などがある。
【0010】
また、発問データとは、思考力の種類に応じて規定された情報であり、その思考力に応じた思考を学習者に促すための、学習指導者から学習者に対して発せられるべき質問の内容を示すデータである。典型的には、質問のうち、その思考力に応じた思考を学習者に促すために本質的な部分のみを含む情報である。学習指導者は、発問データに基づいて表示された発問を見れば、学習者に対して、所定の思考力に応じた思考を学習者に促すための質問を発することができる。
【0011】
また、話型データとは、思考力の種類に応じて規定された情報であり、その思考力に応じた思考を学習者に促すための、学習指導者からの質問に対して、学習者から発せられるべき回答の内容を示すデータである。典型的には、回答のうち、その思考力に応じた思考を学習者に促すために本質的な部分のみを含む情報である。学習者は、話型データに基づいて表示された話型に従った回答を試みることにより、所定の思考力に応じた思考を促される。
【0012】
これら発問データ又は話型データは、汎用性を持たせるために、具体的な問題に相当する部分を空欄で表示するように構成される不完全な文章を発問として表示するための情報であってもよい。
【0013】
例えば、発問として「前に学んだ~のときはどうやりましたか」と表示させるための情報を発問データとして規定することができる。このように、不完全な文章を発問として表示させ、不完全な部分を明示的にわかりやすく示すことにより、学習指導者は、不完全な部分を、事例に応じて補充しながら発問をすることができる。
【0014】
また、例えば、話型として「求めることは~です」と表示させるための情報を話型データとして規定することができる。このように、不完全な文章を話型として表示させ、不完全な部分を明示的にわかりやすく示すことにより、不完全な部分を補充するような思考を学習者に促すことができる。また、これら発問データ又は話型データは、学習指導者など、所定の権限を有する者が編集できるようにしてもよい。
【0015】
一方で、発問データ又は話型データは、特定の問題と関連付けて規定されていてもよい。例えば、特定の問題を示す問題データを話型データとともに第2の端末に送信し、その問題と話型を表示させるように構成してもよい。
【0016】
このとき、単一の問題データに対して、複数の発問データ又は話型データを関連付けて規定してもよい。例えば、問題データとして、算数の問題とし、問題が求めていることを抽出するための「抽出する」思考力を養わせるための発問データ及び話型データを1つ目のデータとして規定し、続いて、問題の解決方針を立てるための「解決の方針を立てる」思考力を養わせるための発問データ及び話型データを2つ目のデータとして規定し、記憶部に記憶させてもよい。このように、単一の問題に対して、複数の発問データ、話型データ又はそれらの組み合わせを、順序付けて規定することにより、正解に到達するためのプロセスを細分化することが可能になる。学習者は、各プロセスを順番に回答することによって、正解に到達するために必要な様々な種類の思考力を養うことができる。
【0017】
上記学習支援システムにおいて、前記思考力の種類は教科別に設定され、前記第1の端末から教科に関する情報が送信された場合、前記項目配信部は、前記教科に関する情報に基づき、前記複数の項目のうち、当該教科に対応する1つ以上の項目を前記第1の端末に配信して表示させても良い。例えば、同一の思考力の種類であっても、科目に応じて発問データ又は話型データは、異なっていてもよい。また、学習者の年齢等に応じて、発問データ又は話型データは、異なっていてもよい。
【0018】
上記学習支援システムでは、前記第1の端末において、前記複数の項目と前記発問との少なくともいずれかの表示と非表示とを切り替え可能であっても良い。また、上記学習支援システムでは、前記第2の端末において、前記話型の表示と非表示とを切り替え可能であっても良い。
【0019】
本発明に係る学習支援方法は、学習指導者に使用させる第1の端末と、学習者に使用させる第2の端末とが接続された通信ネットワークを介して実行される学習支援方法であって、前記通信ネットワークに、思考力の種類に対応する複数の項目を表す項目データと、前記思考力の種類に応じて規定された発問を表す発問データと、前記思考力の種類に応じて規定された回答形式である話型を表す話型データと、を関連付けて格納する記憶部が接続され、前記複数の項目を前記第1の端末に配信して表示させるステップ(a)と、前記第1の端末から送信された信号に基づき、前記複数の項目のうち前記第1の端末において選択された項目を抽出するステップ(b)と、ステップ(b)において抽出された項目を表す項目データと関連付けられた発問データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた発問を前記第1の端末に配信して表示させるステップ(c)と、ステップ(b)において抽出された項目を表す項目データと関連付けられた話型データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた話型を前記第2の端末に配信して表示させるステップ(d)と、を含むものである。
【0020】
本発明に係る学習支援プログラムは、学習指導者に使用させる第1の端末及び学習者に使用させる第2の端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバに実行させる学習支援プログラムであって、前記サーバは、思考力の種類に対応する複数の項目を表す項目データと、前記思考力の種類に応じて規定された発問を表す発問データと、前記思考力の種類に応じて規定された回答形式である話型を表す話型データと、を関連付けて格納する記憶部を備え、前記複数の項目を前記第1の端末に配信して表示させるステップ(a)と、前記第1の端末から送信された信号に基づき、前記複数の項目のうち前記第1の端末において選択された項目を抽出するステップ(b)と、ステップ(b)において抽出された項目を表す項目データと関連付けられた発問データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた発問を前記第1の端末に配信して表示させるステップ(c)と、ステップ(b)において抽出された項目を表す項目データと関連付けられた話型データに基づき、該項目に対応する思考力の種類に応じた話型を前記第2の端末に配信して表示させるステップ(d)と、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、思考力の種類に対応する複数の項目のうち、学習指導者が使用する第1の端末において選択された項目と関連付けられた発問を第1の端末に配信して表示させると共に、選択された項目と関連付けられた話型を、学習者が使用する第2の端末に配信して表示させるので、学習指導者は第1の端末に表示された発問を参照して学習者に適切な問いかけをすることができ、学習者は第2の端末に表示された話型を参照して思考することができる。従って、学習者の思考を促す支援を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による学習支援システムの概略構成図(システム構成図)
図2】本実施形態におけるサーバ装置の好適な一実施形態を示す概略構成図(システムブロック図)
図3図2に示すサーバ装置を機能的な観点から示す概略構成図(機能構成図)
図4】発問-話型データベースに格納された情報を例示する模式図
図5図1に示す端末装置の概略構成図
図6】本実施形態に係る学習支援システム1の処理シーケンス
図7】先生端末に表示される画面を例示する模式図
図8】先生端末に発問が表示された状態を例示する模式図
図9】生徒端末に話型が表示された状態を例示する模式図
図10】生徒端末に話型が表示された状態を例示する模式図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。またさらに、必要に応じて示す上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図示の表示に基づくものとする。さらにまた、図面における各種の寸法比率は、その図示の比率に限定されるものではない。また、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による学習支援システム1の概略構成図(システム構成図)である。同図に示すように、サーバ装置100と、複数の端末装置200とが、ネットワークNを介して相互に通信可能に設定されることにより、学習支援システム1が構成される。
【0025】
サーバ装置100は、ネットワークNに接続されたサーバ用コンピュータであり、そのサーバ用コンピュータにおいて所定のサーバ用プログラムが動作することにより、サーバ機能を実現するものである。本実施形態において、サーバ装置100は、学習支援システム1により学校における協働学習や一斉学習等を支援する事業者等によって提供され得る。
【0026】
端末装置200は、ネットワークNに接続され、サーバ装置100にアクセス可能なコンピュータである。本実施形態では、学習指導者である先生が使用するものを先生端末210といい、学習者である生徒が使用するものを生徒端末220という。先生端末210と生徒端末220は、学習支援システム1におけるアクセス権限や利用可能な機能等が異なるものの、ハードウェア構成を変える必要はない。同じ一台の端末装置200であっても、先生が先生のIDでログインすれば、先生端末210として機能し、生徒が生徒のIDでログインすれば、生徒端末220として機能する。すなわち、ログインするユーザのIDや区分に応じて、端末装置200の役割が決定される。本実施形態において、先生端末210は、先生が授業の準備及び授業中に使用することが想定されている。生徒端末220は、生徒が授業中に使用することが想定されている。
【0027】
本実施形態において、端末装置200は、好適にはタブレットコンピュータ(以下「タブレット端末」という。)が想定される。そこで、以下においては、理解を容易にするべく、端末装置200がタブレット端末である実施の形態を例にとって説明する。しかしながら、本発明において、端末装置200はタブレット端末に限られるものではなく、PC(パーソナルコンピュータ。ノートパソコンを含む。)を採用してもよいことは言うまでもない。また、本実施形態では、学習支援システム1が、学校の授業で利用される場合について説明するが、本学習支援システム1は学校に限らず、塾や予備校、通信講座など、種々の場面における学習に利用することが可能である。その場合には、端末装置200は、タブレット端末やPCの他に、家庭用ゲーム機器(携帯型ゲーム機を含む)、携帯電話機(いわゆるフィーチャーフォン)、スマートフォン(多機能携帯電話機)、携帯情報端末(Personal Digital Assistant;PDA)、携帯音楽プレイヤ、電子書籍リーダ、その他のコンピュータ機器を採用してもよい。
【0028】
ネットワークNは、例えばインターネットや学校内に構築するLAN(local area network)等を含む情報処理に係る通信回線又は通信網(通信ネットワーク)であり、その具体的な構成は、サーバ装置100と端末装置200との間でデータの送受信が可能なように構成されていれば特に制限されず、有線であるか無線であるかも問わない。また、ネットワークNは、複数種の通信回線や通信網及び種々のネットワーク機器を含んで構成され得る。例えば、ネットワークNは、端末装置200に無線接続される基地局や無線LANのアクセスポイント(WiFiルータ等)、基地局に接続された移動体通信網、アクセスポイントからルータやモデムを介して接続された電話回線、ケーブルテレビ回線又は光通信回線などの公衆回線、サーバ装置100に接続されたインターネット、移動体通信網や公衆回線とインターネットを接続するゲートウェイ装置を含む。
【0029】
図2は、本実施形態におけるサーバ装置100の好適な一実施形態を示す概略構成図(システムブロック図)である。同図に示すように、サーバ装置100は、CPUやMPUといった演算処理部(プロセッサ)101、記憶装置としてのROM102及びRAM103、入力部105及び外部メモリ106が接続された外部インターフェース104、ディスプレイモニタ111が接続された画像処理部107、ディスク又はメモリデバイス等が収容又は接続されるスロットドライブ108、スピーカ装置112が接続された音声処理部109、並びに、ネットワークインターフェース110を備え、これらが、例えば、内部バス、外部バス、及び拡張バスを含むシステムバスといった伝送路120を介して互いに接続されて構成される。なお、入力部105、外部メモリ106、ディスプレイモニタ111、スピーカ装置112等の入出力を担うデバイス装置は、必要に応じて適宜省略してもよいし、それらを備える場合であっても、それらは伝送路120に常時接続されていなくてもよい。
【0030】
演算処理部101は、サーバ装置100全体の動作を制御し、上述した他の構成要素との間で制御信号及び情報信号(データ)の送受信を行うとともに、学習支援の実行に必要な各種の演算処理を行う。そのため、演算処理部101は、いわゆるレジスタ等の高速アクセス可能な記憶領域に対して、数値演算ユニット等を用いた加減乗除等の算術演算、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算等、更に必要に応じて、飽和演算、三角関数演算、ベクトル演算等を行うことが可能なように構成されている。
【0031】
また、ROM102には、一般に、電源投入後、最初に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録されており、これが実行されることにより、スロットドライブ108に収容又は接続されるディスクやメモリデバイスに記録されたサーバ用プログラムや学習支援プログラムが、演算処理部101によって一旦RAM103に読み出され、そのプログラムが演算処理部101によって実行される。さらに、ROM102には、サーバ装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムやその他の各種データが記録されている。
【0032】
さらに、RAM103は、サーバ用プログラム、学習支援プログラム、及び、各種データを一時的に記憶するためのものであり、上記の如く、読み出されたサーバ用プログラムや学習支援プログラム、その他、学習の進行や複数の端末装置200間の通信に必要なデータ等がRAM103に保持される。さらに、演算処理部101は、RAM103に変数領域を設定し、その変数領域に格納された値に対しても数値演算ユニットを用いた直接演算を行ったり、或いは、RAM103に格納された値をレジスタに一旦複製又は移設格納してそのレジスタに対しても直接演算を行ったり、さらには、それらの演算結果をRAM103に書き戻したりといった処理を行う。
【0033】
また、外部インターフェース104を介して接続された入力部105は、サーバ装置100を用いて学習用の教材などを提供する事業者側のユーザが行う各種の操作入力を受け付けるものであり、入力部105としては、キーボード、タッチパッド、タッチパネルの他、例えば、音声入力装置を採用することができ、種々の操作入力、決定操作、取消操作、メニュー表示等の指示入力を行うことが可能であれば、デバイスの種類は特に制限されない。
【0034】
さらに、RAM103や、外部インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、サーバ装置100の作動状況、各端末装置200のアクセス状況、各端末装置200における学習の進行状況や過去の成績等を示すデータ、端末装置200間の通信のログ(記録)のデータ等が書き換え可能に記憶される。
【0035】
また、画像処理部107は、スロットドライブ108から読み出された各種データを、演算処理部101により、又は、画像処理部107自体により加工処理した後、その処理後の画像情報をフレームメモリ等に記録する。このフレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され、画像処理部107に接続されるディスプレイモニタ111へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。また、学習支援に関する画像情報は、演算処理部101との協働処理等によって、画像処理部107及び/又は演算処理部101から各端末装置200へ送出される。
【0036】
またさらに、音声処理部109は、スロットドライブ108から読み出された各種データを音声信号に変換し、音声処理部109に接続されたスピーカ装置112から出力する。また、学習支援に関する音声情報(キャラクタの声や効果音など)は、演算処理部101との協働処理等によって、音声処理部109及び/又は演算処理部101から各端末装置200へ送出される。
【0037】
さらにまた、ネットワークインターフェース110は、サーバ装置100をネットワークNへ接続するためのものであり、例えば、LANの構築に使用される諸規格に準拠するもの、アナログモデム、ISDNモデム、ADSLモデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネット等に接続するためのケーブルモデム等、及び、これらを、伝送路120を介して演算処理部101と接続するための通信インターフェース回路とから構成される。
【0038】
なお、サーバ装置100は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成される、いわゆるクラウドコンピューティングの形態のものであってもよい。また、単一のコンピュータが複数のサーバ機能を備えるようなものでもよい。
【0039】
サーバ装置100のハードウェア構成は、上述したとおりであるが、図3は、図1及び図2に示すサーバ装置100を機能的な観点から示す概略構成図(機能構成図)である。サーバ装置100は、端末装置200からの指示等に応じて、学習を支援するためのものであり、そのための機能として、少なくともサーバ通信部131、サーバ記憶部132、及びサーバ処理部133を備える。
【0040】
サーバ通信部131は、サーバ装置100とネットワークNとの間で通信を行うものであり、端末装置200等から受信したデータを、サーバ処理部133に供給するとともに、サーバ処理部133から供給されたデータを、端末装置200へ送信する機能を有する。かかるサーバ通信部131は、具体的には、少なくとも上述した図2に示すネットワークインターフェース110から構成される。
【0041】
また、サーバ記憶部132は、各種プログラムや各種データを記憶するためのものであり、具体的には、上述した、図2に示すROM102、RAM103、外部メモリ106、及びスロットドライブ108の少なくとも何れか1つから構成され得る。ここで、サーバ記憶部132に記憶される学習支援プログラムは、後述する処理手順を実行する学習支援アプリケーションのプログラムであり、サーバ記憶部132には、かかる学習支援に係る表示データや各種演算結果のデータも記録される。
【0042】
また、本実施形態では、サーバ記憶部132に、生徒などの学習者の思考を促す発問と話型を格納した発問-話型データベースが記憶される。ここで、思考力には、推論する思考力、分類する思考力、順序立てる思考力、比較する思考力など様々な種類がある。そして、学習者の思考力を育成するためには、上述したような思考力の種類に応じて、思考を促す発問(問いかけ)をすることが重要である。例えば、推論する思考力を育成したい場合には、単に「予想してみましょう」と漠然と問いかけるのではなく、「~について予想し、理由と共に発表しましょう」というように、思考の道筋や求められているアウトプットなども併せて提示することが効果的である。それにより、生徒は、どのような思考が求められているのかを理解し、提示された思考の道筋に沿って、或いは、求められているアウトプットに向かって、無理なく思考を促進させることができるからである。
【0043】
図4は、発問-話型データベースに格納された情報を例示する模式図である。図4に示すように、発問-話型データベースDB1には、思考力の種類に対応する項目を表す項目データと、思考力の種類に応じて規定された発問を表す発問データと、思考力の種類に応じて規定された話型(回答形式)を表す話型データとが関連付けられて格納されている。発問及び話型は、1種類の思考力の項目に対し、レベル別に複数規定されていても良い。例えば、項目「推論する」思考力のレベル「1」には、「~について予想し、理由と共に発表しましょう。」という発問と、「(1)~だと思います。(2)わけは、~という経験/事実があるからです。」という話型とが関連付けられている。
【0044】
図4においては、思考力の種類を表す複数の項目が、教科別の学習過程に沿って整理されている。本実施形態においては、思考力の種類を表す複数の項目並びに各項目に関連付けられた発問及び話型が、教科ごとに設定されているものとして説明する。思考力の種類を表す複数の項目並びに発問及び話型を教科ごとに設定する趣旨は、同じ種類の思考力であっても、教科によって発問の仕方や回答の仕方(誘導)を変えた方が生徒の思考が促進され易いことがあるからである。
【0045】
しかしながら、思考力の種類を表す複数の項目並びに各項目に関連付けられた発問及び話型を、複数の教科を通して共通に設定しても良い。なお、図4においては、教科として理科及び社会のみを例示しているが、他の教科においても同様に、思考力の種類に応じた発問及び話型を規定できることは言うまでもない。
【0046】
再び図3を参照すると、サーバ処理部133は、図2に示す演算処理部101から構成されており、演算処理部101による制御指令に基づいて後述の各機能モジュールによる処理が実行される。すなわち、演算処理部101が、本実施形態におけるサーバ処理部133として機能する。本実施形態において、サーバ処理部133は、機能モジュールとして、項目配信部134、項目抽出部135、発問配信部136、及び話型配信部137を備える。これらの各部(機能モジュール)は、演算処理部101のプロセッサで実行される上記各種プログラムにより実現され、或いは、ファームウェアとして演算処理部101に実装されていてもよい。なお、これらの各部の動作については、後述する。
【0047】
図5は、図1に示す端末装置200の概略構成図であり、機能的な観点を含む機能構成図でもある。なお、端末装置200の好適なシステム構成(ハードウェア構成)は、図2に示すサーバ装置100のシステム構成と共通する構成を備えることに加え、例えば、デジタルカメラやタッチパネル等を含んでいる。本実施形態において、端末装置200は、上述の如く、例えばタブレット端末であり、図5に示すように、端末通信部231、端末記憶部232、操作部233、表示部234、及び端末処理部235を備えている。
【0048】
端末通信部231は、所定の周波数帯を感受帯域とするアンテナを含む通信インターフェース回路を備え、端末装置200を、無線通信ネットワークを介してネットワークNに接続する。その場合の通信形態としては、特に制限されず、例えば、通信用の基地局やアクセスポイント等により割り当てられるチャネルを介して、その基地局やアクセスポイントとの間でWCDMA(登録商標)(Wideband Code Division Multiple Access)方式やWiFi(Wireless Fidelity)方式等による無線信号回線を確立し、基地局やアクセスポイントとの間で通信を行う。そして、端末通信部231は、端末処理部235から供給されたデータをサーバ装置100に送信するとともに、サーバ装置100から受信したデータを端末処理部235に供給する。
【0049】
端末記憶部232は、例えば、フラッシュメモリ、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも何れか1つを備え、端末処理部235での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。これらのうち、ドライバプログラムとしては、例えば、操作部233を制御するための入力デバイスドライバプログラム、表示部234を制御するための出力デバイスドライバプログラム等が挙げられる。また、アプリケーションプログラムとしては、先生用の教材(教科指導書や解説書)、生徒用の教材及び学習ノート、思考力を育成するための学習支援などに係るデータの取得及び表示を行うためのプログラム等が挙げられる。なお、端末記憶部232は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0050】
操作部233は、例えば、上述したサーバ装置100の入力部105と同等の構成のものを例示することができる。本実施形態においては、操作部233として、例えば、タッチパネルを用いる。しかし、端末装置200の操作が可能であり、ユーザ(先生及び生徒)が文字、数字等を入力することができるものであれば、どのようなデバイスでもよい。例えば、キーボードやマウス、タッチパッド等を用いてもよい。
【0051】
タッチパネルは、表示部234の画面に対応する形状及び大きさの略矩形の検出面を備えており、この検出面上に物体が接触した場合に、当該物体の接触位置を検出する。本実施形態では、タッチパネルは、物体の接触位置を所定の時間間隔で順次検出する。タッチパネルの検出面は、表示部234の画面と重なるよう配置されている。また、タッチパネルは、必ずしも物体が検出面に接触した場合だけ物体の位置を検出するのではなく、検出面上の検出可能範囲まで物体が近接した場合に、当該物体の検出面に対する位置を検出するようにしてもよい。タッチパネルは、例えば、静電容量式や感圧式、光学式など、検出面上における物体の位置を検出可能なデバイスであれば、どのような方式のものであってもよい。
【0052】
ユーザは、自分の指やスタイラス等の物体をタッチパネルに接触させて操作入力を行う。ユーザにより操作部233が操作されると、操作部233は、その操作に対応する信号を発生し、その信号を端末処理部235に供給する。端末装置200は、ユーザによる操作信号を、上記の端末通信部231を介してサーバ装置100へ送信することにより、学習の支援処理に必要な動作を要求する。
【0053】
また、表示部234は、端末処理部235から供給された映像データに応じた映像、画像データに応じた画像等を表示するものであり、後述する端末装置200の画面の主要部を構成する。かかる表示部234としては、テキスト、映像、画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等が挙げられる。
【0054】
さらに、端末処理部235は、CPUやMPUといった一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備え、端末装置200全体の動作を統括制御するものであり、例えば、上述したサーバ装置100の演算処理部101と同等の構成のものを例示することができる。また、端末処理部235は、端末装置200の各種処理が、端末記憶部232に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に沿って、且つ、操作部233の操作等に応じて適切な手順で実行されるように、端末通信部231、表示部234等の動作を制御する。
【0055】
この端末処理部235は、上記の各種プログラムによって実現される、又は、ファームウェアとして端末装置200に実装された機能モジュールとして、少なくとも操作制御部236と表示制御部237とを備えている。操作制御部236は、タッチパネルへの入力を制御する。表示制御部237は、サーバ装置100から受信した情報に基づいて所定の画面情報を生成し、表示部234への表示や音声などの出力を制御する。
【0056】
このように構成された学習支援システム1において実施される学習支援処理の実施形態について、以下に説明する。ここでは、学校の授業で学習支援システム1を利用する実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る学習支援システム1の処理シーケンスを示す図である。
【0057】
授業などで学習支援システム1を利用する場合には、まず授業を開始したときなどに、先生と生徒が各自の端末装置200から自分のログインIDを入力するなどして、学習支援システム1にログインし、各端末装置200とサーバ装置100との間の通信を確立する(S51)。本実施形態のように学習支援システム1を学校の授業で利用する場合、各端末装置200とサーバ装置100との間はリアルタイム通信により接続されることが好ましい。図6は、先生が先生端末210を使用し、生徒Aが生徒端末220Aを使用し、生徒Bが生徒端末220Bを使用する場合を例示している。
【0058】
先生端末210は、ログイン後、授業を行う教科(例えば、理科、社会など)に関する情報(教科情報)をサーバ装置100に送信する(S52)。教科情報が送信されるトリガーは特に限定されず、例えば、先生端末210からサーバ装置100に授業で使用する教材を要求する際に併せて送信されるようにしても良いし、先生端末210に予めインストールされた教材を開くことにより自動送信されるようにしても良い。なお、発問-話型データベースDB1(図4参照)において、思考力の種類を表す複数の項目並びに各項目に関連付けられた発問及び話型が複数の教科を通して共通に設定されている場合には、教科情報の送信ステップ(S52)を省略しても良い。
【0059】
続いて、サーバ装置100において、項目配信部134は、発問-話型データベースDB1に基づき、思考力の種類に対応する複数の項目を先生端末210に配信して表示させる(S53)。この際、サーバ装置100が先生端末210から教科情報を受信している場合には(S52)、項目配信部134は当該教科情報に対応する項目を配信する。
【0060】
図7は、先生端末210に表示される画面を例示する模式図である。図7に示す画面600には、単元のタイトル表示領域601と、指導用の教材表示領域602とを含む教材画面が表示されている。なお、先生端末210において、教材の表示は必須ではない。サーバ装置100から項目が配信されると、この画面600に、付箋状の項目表示領域610が重畳して表示される。項目表示領域610内には、思考力の種類に対応する項目が表記された複数のアイコン611~614が表示される。画面600には、項目表示領域610の表示と非表示とを任意に切り替えるためのアイコン620を設けても良い。また、所定の操作(例えばドラッグ操作)により、先生が項目表示領域610を任意に移動できるようしても良い。
【0061】
なお、思考力の種類に対応する項目の表示形式は、図7に例示するものに限定されない。別の例として、画面内に設けられたメニューバーをタップすることで、複数の項目が表示されたタブが開く形式としても良い。或いは、画面内に、項目が表記された複数のアイコンを含むツールバーを設けても良い。
【0062】
先生端末210は、アイコン611~614に対してなされる操作(タップ操作)に応じて、特定の項目が選択された旨を示す信号をサーバ装置100に送信する(S54)。例えば、先生端末210は、アイコン611がタップされたことを検知すると、「推論する思考力 レベル1」が選択された旨を示す信号をサーバ装置100に送信する。
【0063】
サーバ装置100において、項目抽出部135は、先生端末210から受信した信号に基づき、先生端末210において選択された項目を発問-話型データベースDB1から抽出する。続いて、発問配信部136は、抽出された項目と関連付けられた発問データに基づき、抽出された項目に対応する思考力の種類に応じた発問を、先生端末210に配信して表示させる(S55)。
【0064】
図8は、先生端末210に発問が表示された状態を例示する模式図である。発問は、一例として、画面600に対して重畳表示された付箋状の発問表示領域630に表示される。図8においては、項目表示領域610においてアイコン611が選択されており、このアイコン611が示す「推論する思考力 レベル1」に対応する発問が、発問表示領域630に表示されている。先生は、項目表示領域610に表示された発問を参考にすることにより、授業の中で生徒に適切な問いかけをすることができる。なお、発問表示領域630は、アイコン620に対する操作(タップ操作)により、表示と非表示とを任意に切り替えられるようにしても良い。また、ドラッグ操作等により、先生が発問表示領域630を任意に移動できるようしても良い。
【0065】
また、サーバ装置100において、話型配信部137は、項目抽出部135により抽出された項目と関連付けられた話型データに基づき、抽出された項目に対応する思考力の種類に応じた話型を、生徒端末220A、220Bに配信して表示させる(S56)。
【0066】
図9は、生徒端末220に話型が表示された状態を例示する模式図である。図9に示す画面700には、一例として、生徒が自由に記入できるノートが表示されている。なお、画面700に、学習中の教材が表示されていても良い。この画面700に、付箋状の話型表示領域710が重畳して表示される。また、画面700に、話型表示領域710の表示と非表示とを任意に切り替えるためのアイコン720を設けても良い。また、ドラッグ操作等により、生徒が話型表示領域710を任意に移動できるようしても良い。
【0067】
話型表示領域710における話型の表示形態は特に限定されない。一例として、図9に示すように、生徒に考えさせたい内容(例えば、予想及び根拠)を空欄にした文章の形態であっても良い。生徒は、話型表示領域710に表示された話型を参考にすることにより、或いは、空欄を埋める作業を行うことにより、先生が意図した思考力を促進させることができる。
【0068】
図10は、生徒端末220に話型が表示された状態の別の例を示す模式図である。図10に示す画面730には、生徒用の教材表示領域731と、ノート領域732とが設けられている。この例においては、ノート領域732内の所定の領域(話型表示領域740)に話型が直接表示されている。
【0069】
話型表示領域710、740(図9)に表示された話型の空欄に生徒が回答を書き込んだ場合、ネットワークNを介して、先生端末210や他の生徒端末220との間で、話型表示領域710、740に書き込まれた回答を共有(シェア)しても良い。この場合、他の生徒の回答を生徒が互いに評価し、評価の結果(感想や評価点)を共有できるようにしても良い。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、先生自身が選択した項目に対応する発問が先生端末210に表示されるので、先生は、表示された発問を参照することにより、生徒に対し、育成したい(意図した)思考力の種類に応じた適切な問いかけをすることができる。また、生徒は、生徒端末220に表示された話型を参照することにより、思考の道筋や求められているアウトプットを認識することができる。そのため、生徒は、提示された思考の道筋に沿って、或いは、求められているアウトプットに向かって、無理なく思考を促進させることができる。従って、本実施形態によれば、学習指導者の経験の多少によらず、思考力を育成する学習支援を効率的に行うことができる。
【0071】
なお、上述したとおり、本発明は、上記の実施の形態、及び、既に述べた変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変形が可能である。すなわち、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
1 学習支援システム
100 サーバ装置
101 演算処理部
102 ROM
103 RAM
104 外部インターフェース
105 入力部
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 スロットドライブ
109 音声処理部
110 ネットワークインターフェース
111 ディスプレイモニタ
112 スピーカ装置
120 伝送路
131 サーバ通信部
132 サーバ記憶部
133 サーバ処理部
134 項目配信部
135 項目抽出部
136 発問配信部
137 話型配信部
200 端末装置
210 先生端末
220、220A、220B 生徒端末
231 端末通信部
232 端末記憶部
233 操作部
234 表示部
235 端末処理部
236 操作制御部
237 表示制御部
600、700、730 画面
601 タイトル表示領域
602、731 教材表示領域
610 項目表示領域
611~614、620、720 アイコン
630 発問表示領域
710、740 話型表示領域
732 ノート領域
DB1 発問-話型データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10