IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図1
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図2
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図3
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図4
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図5
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図6
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図7
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図8
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図9
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図10
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図11
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図12
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図13
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図14
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図15
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図16
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図17
  • 特許-便座ユニット及び便器装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】便座ユニット及び便器装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/24 20060101AFI20220217BHJP
   A47K 13/30 20060101ALI20220217BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
A47K13/24
A47K13/30 B
E03D9/08 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018068534
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019177005
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】古閑 一樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 綱基
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-299062(JP,A)
【文献】特開2013-60766(JP,A)
【文献】特開2005-213877(JP,A)
【文献】特表平10-508670(JP,A)
【文献】特開2010-116730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 9/00- 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に取り付けられ、裏面に開閉口が形成される便座と、
前記開閉口を開閉可能に前記便座に取り付けられるシャッターと、を備え、
前記シャッターの前後方向の全範囲のうちの前端から後端側にかけての大部分の範囲は、前記便器本体上に倒伏した倒伏位置にある前記便座を前方から見たとき、前記便座の中央開口部の内周面の後方でその内周面と重なる位置に設けられる便座ユニット。
【請求項2】
前記シャッターは、前記シャッターの外面の大部分を構成する第1平坦面を有する請求項1に記載の便座ユニット。
【請求項3】
前記便座は、前記便座の裏面を構成するとともに前記開閉口が形成される第2平坦面を有し、
前記第1平坦面は、前記シャッターが前記開閉口を閉じる閉位置にあるとき、前記第2平坦面と面一をなすように設けられる請求項2に記載の便座ユニット。
【請求項4】
前記シャッターの外面と前記第2平坦面を含む面領域は、前記便座の中央開口部の周りで連続する環状を呈するように設けられる請求項3に記載の便座ユニット。
【請求項5】
前記シャッターは、前記倒伏位置にある前記便座を前方から見たとき、前記便座の中央開口部の内周面により隠れる位置に設けられる請求項1から4のいずれかに記載の便座ユニット。
【請求項6】
前記便座内に収容される脱臭装置を備え、
前記脱臭装置は、前記シャッターが前記開閉口を開く開位置にあるとき、前記開閉口を通る空気に含まれる臭気を脱臭可能である請求項1から5のいずれかに記載の便座ユニット。
【請求項7】
便器本体と、
前記便器本体に取り付けられる請求項1から6のいずれかに記載の便座ユニットと、を備える便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器装置に用いられる便座ユニット及び便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、便器本体に回動可能に取り付けられる便座内に局部洗浄装置等の機能部品を組み込むことがある。このように便座内に機能部品を組み込むうえでは、通常、便座に形成される開閉口を開閉可能なシャッターが便座に取り付けられる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-213877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、特許文献1の開示技術を検討したところ、便座にシャッターを取り付けるうえで、良好な意匠性を得る観点から、改良の余地があるとの認識を得た。
【0005】
本発明のある態様は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の1つは、便座にシャッターを取り付けるうえで良好な意匠性を得られる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための本発明の第1態様は、便器本体に回動可能に取り付けられ、裏面に開閉口が形成される便座と、前記開閉口を開閉可能に前記便座に取り付けられるシャッターと、を備え、前記シャッターの前後方向の全範囲のうちの前端から後端側にかけての大部分の範囲は、前記便器本体上に倒伏した倒伏位置にある前記便座を前方から見たとき、前記便座の中央開口部の内周面の後方でその内周面と重なる位置に設けられる。
【0007】
第1態様によれば、便座が倒伏位置にあるときにシャッターが外観に現われにくくなり、すっきりとした印象を与えることで良好な意匠性を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の便器装置を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の便器装置の一部の側面断面図である。
図3】第1実施形態の便座の一部の内部構造を示す上面図である。
図4】第1実施形態の便座の裏面を示す下面図である。
図5】第1実施形態の便座の裏面を示す他の下面図である。
図6図2の一部の拡大図である。
図7】第1実施形態のシャッターの動作を示す図である。
図8図2のA-A線断面図である。
図9】第2実施形態の便座の裏面を示す下面図である。
図10】第2実施形態の便器装置の一部の機能を示す構成図である。
図11】第2実施形態の吐出部から吐き出される洗浄液が便座の裏面で伝わる範囲を模式的に示す図である。
図12】第2実施形態の便器装置の正面断面図である。
図13】第2実施形態の便座の裏面の部分断面図である。
図14図14(a)、図14(b)は、便座の裏面での洗浄液の伝い方を模式的に示す図であり、図14(a)は、第1変形例の図であり、図14(b)は、第2実施形態の図である。
図15図15(a)は、第2実施形態の吐出部を示し、図15(b)は、図15(a)のB-B線断面図を示す図である。
図16】第3実施形態の便器装置の上面図である。
図17】第3実施形態の便器本体の上面図である。
図18図16のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態の便器装置10を示す斜視図である。図2は、便器装置10の一部の側面断面図である。便器装置10は、前部に便鉢部12を有する便器本体14と、便器本体14に取り付けられる便座ユニット16とを備える。便器本体14は、便鉢部12の他に、便鉢部12の上端開口の周縁部を形成するリム部18を有する。便座ユニット16は、主に、ケーシング20と、便座22と、シャッター(不図示)と、を備える。以下、互いに直交する三つの方向を用いて説明する。これらの方向とは、便器本体14の前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zである。前後方向X、左右方向Yは水平方向であり、便座22に通常の姿勢で座る人の前後左右と対応する。上下方向Zは鉛直方向である。
【0011】
ケーシング20は、便器本体14の後部に設置される。ケーシング20には、不図示の複数の第1機能部品が収容される。ケーシング20には、ヒンジ機構を介して回動可能に便蓋24が取り付けられる。ケーシング20は、便器本体14の便鉢部12と上下方向Zに重なる位置を避けて配置される。
【0012】
便座22は、ケーシング20に不図示のヒンジ機構を介して回動可能に取り付けられる。便座22は、便器本体14のリム部18上に倒伏した倒伏位置(図2参照)と、便器本体14に対して起立した起立位置(不図示)の間を回動可能である。便座22は、全体として環状をなす中空構造である。
【0013】
図3は、便座22の一部の内部構造を示す上面図である。便座22の内部には周方向に連続する空洞部が設けられ、その後部の内部には複数の第2機能部品が収容される。複数の第2機能部品は、便座22の中央開口部32(後述する)と前後方向Xに重なる位置で中央開口部32より後側にて便座22の内部に収容される。
【0014】
ここでの機能部品とは、便器装置10に付随する所定の機能を発揮するためのものである。機能部品には、たとえば、便座22に着座する着座者の局部を洗浄するための局部洗浄装置26、着座者に乾燥風を吹き付けて乾燥させるための乾燥装置28、便鉢部12内で発生する臭気を吸引して脱臭するための脱臭装置30が含まれる。また、この他にも、図示はしないが、便座22や便蓋24を回動するための駆動装置、局部洗浄装置26等に洗浄水を供給するための給水装置、各機能部品に電力を供給したり各機能部品を制御するための回路基板が含まれる。ケーシング20には、前述の駆動装置、給水装置、回路基板が第1機能部品として収容される。便座22には、局部洗浄装置26と、乾燥装置28と、脱臭装置30とが第2機能部品として収容される。
【0015】
図4は、便座22の裏面を示す下面図である。便座22は、便座22の中央部に設けられるとともに、着座者が排泄した汚物を通すための中央開口部32を有する。本明細書では、倒伏位置にある便座22を上下方向から見て、中央開口部32の中心位置32aを中心とする円の円周方向を便座22の「周方向」とし、半径方向を便座22の「径方向」とする。
【0016】
図5は、便座22の裏面を示す他の下面図である。図2図5に示すように、便座22の外面となる裏面は、便座22が倒伏位置にあるとき、便器本体14の便鉢部12と上下方向Zに対向する位置に設けられる便鉢対向領域34を有する。図5で便鉢対向領域34はハッチングを付した領域である。便鉢対向領域34は、便座22の中央開口部32の周りで連続する環状を呈するように設けられる。本実施形態の便鉢対向領域34は、継ぎ目無く連なる同じ部材の一部として構成される。
【0017】
図6は、図2の一部の拡大図である。図5図6に示すように、便座22の裏面には開閉口36が形成される。本実施形態の開閉口36は、便座22の中央開口部32と前後方向Xに重なる位置で中央開口部32より後側に形成される。本実施形態の開閉口36は、便座22の中央開口部32を形成する内周壁より後側に形成される。本実施形態の開閉口36は便鉢対向領域34に形成される。
【0018】
シャッター38は、便座22の開閉口36を開閉可能に便座22に取り付けられる。本実施形態のシャッター38は、左右方向Yに長い長尺状をなし、その前辺部が直線状をなすとともに後辺部が後側に凸となる曲線状をなす。本実施形態のシャッター38は、開閉口36と同様に便鉢対向領域34に設けられる。本実施形態のシャッター38は、その全体が便座22の中央開口部32と前後方向Xに重なる位置で中央開口部32より後側に設けられる。
【0019】
図7は、シャッター38の動作を示す図である。図6は、シャッター38が開閉口36を閉じる閉位置にある状態を示し、図7は、シャッター38が開閉口36を開く開位置にある状態を示す。本実施形態のシャッター38は、便座22に回動軸(不図示)を介して回動可能に取り付けられる。本実施形態の回動軸は水平方向に沿って延びている。シャッター38は、回動軸周りの一方向Paに回動することによって開閉口36を開き、それとは反対方向Pbに回動することによって開閉口36を閉じる。本実施形態のシャッター38は、閉位置にあるとき、開閉口36を塞ぐように開閉口36に嵌め込まれる。
【0020】
図5図6に示すように、シャッター38は、シャッター38の外面の大部分を構成する第1平坦面38aを有する。この「外面」とは、シャッター38の外部に露出する面をいう。この「大部分」とは、シャッター38の外面を第1平坦面38aの法線に沿った法線方向から見たとき、シャッター38の外面全体に対して70%以上の領域をいう。シャッター38の第1平坦面38aは、同様の視点から見たとき、シャッター38の外面全体に対して90%以上の領域を構成していると好ましい。本実施形態のシャッター38の外面は、シャッター38の第1平坦面38aから突き出る箇所がなく、全体として滑らかに連なるように設けられる。
【0021】
この利点を説明する。特許文献1のシャッターの外面は、起伏の大きい三次元的な構造であるため、拭き掃除する場合に、その起伏に合わせて手先を大きく動かす必要がある。これに対して、本実施形態によれば、シャッター38の外面の大部分が起伏の小さい二次元的な構造の第1平坦面38aである。よって、シャッターの外面を拭き掃除する場合の手先の動きを小さくでき、良好な清掃性を得られる。
【0022】
便座22は、その裏面を構成する第2平坦面40を有する。第2平坦面40には開閉口36が形成されており、第2平坦面40は開閉口36の周縁面を構成する。第2平坦面40は、便座22の便鉢対向領域34のなかで便座22の中央開口部32と前後方向Xに重なる領域を含むように設けられる。シャッター38の第1平坦面38aは、シャッター38が閉位置にあるとき、便座22の第2平坦面40と面一をなすように設けられる。この「面一」とは、第1平坦面38aと第2平坦面40の間での第1平坦面38aの法線方向での位置ずれがない場合の他に、位置ずれが0~3.0mm以内でほとんどない場合も含まれる。これにより、シャッター38の第1平坦面38aと便座22の第2平坦面40の間でつっかえることなくこれらを拭き掃除でき、より良好な清掃性を得られる。
【0023】
シャッター38の外面と便座22の第2平坦面40を含む面領域43は、便座22の中央開口部32の周りで連続する環状を呈するように設けられる。この面領域43は、図5でダブルハッチングを付して示す。(A)これにより、便座22にシャッター38を取り付ける場合でも、便座22の中央開口部32の周りを全周に亘りつっかえることなく拭き掃除し易くなる。
【0024】
シャッター38は、便座22の中央開口部32の近傍に設けられる。ここでの「近傍」とは、便座22の裏面視において、便座22の中央開口部32の内周面から3.0cm以内の範囲をいう。ここでの裏面視とは、便座22が倒伏位置にあるときに便座22を上下方向の下側から見ることをいう。これにより、便座22の中央開口部32に手を入れた場合に、手の届き易い箇所にシャッター38が配置されるため、便座22を倒伏位置に配置した状態のまま、シャッター38の外面を容易に拭き掃除できる。なお、同様の効果を得るうえでは、便座22の中央開口部32にシャッター38が設けられていてもよい。
【0025】
図6に示すように、シャッター38の前後方向Xの全範囲のうち前端38bから後端38c側にかけての大部分の範囲をS1という。本実施形態での範囲S1とはシャッター38の前後方向の全範囲をいう。ここでの「大部分」とは、シャッター38の前後方向Xの全範囲に対して70%以上の範囲をいう。この範囲S1は、シャッター38の前後方向Xの全範囲に対して90%以上であると好ましく、本実施形態のようにシャッター38の全範囲であるとより好ましい。
【0026】
図8は、図2のA-A線断面図である。図6図8に示すように、シャッター38の前述の範囲S1は、倒伏位置にある便座22を前後方向Xの前方から見たとき、便座22の中央開口部32の内周面32dの後方で、その内周面32dと重なる位置に設けられる。ここでの「便座22の中央開口部32の内周面32d」とは、シャッター38とは別体の便座22が構成する部分をいう。この条件は、便座22の中央開口部32を通るとともに前後方向Xに直交する切断面で便座22を前方から見たときに満たされる。本実施形態のシャッター38の前述の範囲S1は、便座22を前方から見たとき、便座22の内周面32dの下端部により覆われているとも捉えられる。
【0027】
(B)これにより、便座22が倒伏位置にある場合に、便座22の中央開口部32を上側から覗き込んだとき、その内周面32dにより広範囲でシャッター38が隠れるレイアウトを実現できる。よって、便座22が倒伏位置にあるときにシャッター38が外観に現われにくくなり、すっきりとした印象を与えることで良好な意匠性を得られる。
【0028】
シャッター38は、倒伏位置にある便座22を前方から見たとき、便座22の中央開口部32の内周面32dにより隠れる位置に設けられる。換言すると、シャッター38は、便座22の中央開口部32を通るとともに前後方向Xに直交する切断面で便座22を前方から見たとき、視認不能な位置に設けられるともいえる。また、シャッター38は、その全体が便座22の中央開口部32の内周面32dの後方で、その内周面32dと前後方向Xに重なる位置に設けられるともいえる。これにより、倒伏位置にある便座22を上側から覗き込んだとき、便座22の中央開口部32を通してシャッター38が見え難い位置に設けられることになる。このため、便座22にシャッター38を取り付ける場合でも、便座22が倒伏位置にあるときにシャッター38が外観に現われにくく、すっきりとした印象を与えることでより良好な意匠性を得られる。
【0029】
便座ユニット16の他の特徴を説明する。図3図6図7に示すように、局部洗浄装置26は、一対の洗浄ノズル26aを有する。一対の洗浄ノズル26aは横並びに配置される。洗浄ノズル26aは、前方に向かって下方に傾斜するように設けられる。洗浄ノズル26aの下方に位置する先端部には洗浄水を吐き出すノズル孔26bが設けられる。
【0030】
洗浄ノズル26aの先端部は、ラックアンドピニオン機構等の駆動機構により進退可能に駆動される。洗浄ノズル26aの先端部は、駆動機構により進退方向の一方側に進行させられたとき、シャッター38に当たることで、シャッター38に押圧力を付与し、シャッター38の回動を伴いシャッター38を開く方向Paに移動させる。このとき、洗浄ノズル26aは、便座22の開閉口36から外部かつ前方に突出するように設けられる。シャッター38には不図示の付勢部材により、便座22の開閉口36を閉じる位置に向かう付勢力が付与されている。洗浄ノズル26aが駆動機構により進退方向の他方側に退避させられ、洗浄ノズル26aの押圧力が弱まると、付勢部材の付勢力によりシャッター38の回動を伴いシャッター38を閉じる方向Pbに移動させる。
【0031】
乾燥装置28は、局部洗浄装置26に対して左右方向Yの一方側に配置される。乾燥装置28は、先端部に吹出口28bが設けられた吹出ダクト28aを備える。乾燥装置28は、不図示のファンの駆動により導入された外気を不図示のヒータにより温めたうえで、その温めた外気を乾燥風として吹出ダクト28aの吹出口28bから前方に吹き出し可能である。
【0032】
脱臭装置30は、局部洗浄装置26に対して左右方向Yの他方側に配置される。脱臭装置30は、先端部に吸込口30bが設けられた脱臭ダクト30aを備える。脱臭装置30は、不図示のファンの駆動により、臭気を含む空気を吸込口30bから吸い込み、その吸い込んだ空気の臭気を脱臭剤により除去することで、臭気を除去可能である。脱臭装置30は、シャッター38が開位置にあるとき、開閉口36を通る空気を吸込口30bから吸い込み、その空気に含まれる臭気を脱臭可能である。
【0033】
第2機能部品として機能する局部洗浄装置26は、便座22の開閉口36を通る洗浄ノズル26aを用いて、自らが発揮すべき所定の機能を発揮可能である。この機能とは、着座者の局部の洗浄である。第2機能部品として機能する乾燥装置28や脱臭装置30は、便座22の開閉口36を通る空気を用いて、自らが発揮すべき所定の機能を発揮可能である。この機能とは、乾燥装置28でいえば着座者の臀部や便座22の裏面の乾燥であり、脱臭装置30でいえば空気に含まれる臭気の脱臭である。
【0034】
これにより、ケーシング20に各種機能部品を組み込む場合より、便鉢部12の前後方向Xでの中央位置に近い箇所で機能部品の機能を発揮し易くなる。よって、局部洗浄装置26であれば、着座者の局部を洗浄するにあたり、洗浄ノズル26aが位置すべき箇所まで洗浄ノズル26aを伸ばすのに要する前後方向Xでの距離を小さくできる。これに伴い、ケーシング20に局部洗浄装置26を組み込む場合より、洗浄ノズル26aの高さを抑えられる。また、乾燥装置28や脱臭装置30であれば、便鉢部12の前後方向Xでの中央位置に近い箇所で乾燥機能や脱臭機能を効果的に発揮できる。
【0035】
(第2の実施の形態)
図9は、第2実施形態の便座22の裏面を示す下面図である。本実施形態の便器装置10は、便座22の裏面を洗浄するため、次の構成を採用している。便座22の裏面は、便座22の裏面視において、便座22の中央開口部32と前後方向Xに重なる位置で中央開口部32より後側に設けられる後側裏面領域42を有する。前述の便座22の開閉口36は後側裏面領域42に形成され、前述のシャッター38は後側裏面領域42に設けられる。
【0036】
便座22の裏面は、第1実施形態と同様に、便鉢対向領域34を有する。便鉢対向領域34は、便鉢部12で受けた汚物の飛沫や、洗浄ノズル26aから吐き出した洗浄液の飛沫が付着することで汚れが付き得る領域である。この便鉢対向領域34のなかで後側裏面領域42と重なる領域は、液状の汚物の飛沫により特に汚れが付き易い領域となる。
【0037】
図10は、便器装置10の一部の機能を示す構成図である。本実施形態の便器装置10は、洗浄液を供給する給液装置44と、便座22の裏面を伝うように洗浄液を吐き出し可能な複数の吐出部46と、を備える。本実施形態の洗浄液は、主成分が水の洗浄水であるが、水以外のアルコール等を主成分としてもよい。
【0038】
本実施形態の給液装置44はケーシング20内に収容されている。給液装置44は、複数の吐出部46に洗浄液を供給するための給液路48の途中に設けられるとともに給液路48を開閉可能な開閉弁50を有する。給液路48は、ケーシング20や便座22の内部に配置されるホース等が構成する。給液路48は、ケーシング20及び便座22の内部を通るように配置される共通液路48aと、便座22内で共通液路48aから分岐して個別の吐出部46に繋がる複数の分岐液路48bとを有する。
【0039】
図11は、吐出部46から吐き出される洗浄液が便座22の裏面で伝わる範囲を模式的に示す図である。本実施形態の吐出部46は便座22の裏面から下向きに突き出るように設けられる。吐出部46の内部には分岐液路48bの一部が設けられ、その下流端部には吐出口52が設けられる。吐出部46は、便座22の周方向に間を置いて複数設けられる。
【0040】
本実施形態の吐出部46は、吐出口52から吐出方向Pcに向かって広がる伝液範囲54に少なくとも伝わるように洗浄液を吐き出す。本図では、仮想的な平面上に吐出口52から吐き出した洗浄液が直線的に伝わり得る範囲Saを実線で示す。本実施形態では、この実線の範囲Saのうち、便座22の裏面の便鉢対向領域34と重なる領域(ハッチングを付した領域)が伝液範囲54となる。吐出方向Pcとは、吐出口52の中心軸線に沿った方向をいう。
【0041】
複数の吐出部46それぞれの伝液範囲54を合わせた全範囲は、便座22の便鉢対向領域34(図9参照)の全体又は大部分を占めるように設定される。ここでの大部分とは、便座22の裏面視において、便鉢対向領域34の全体に対して90%以上の領域をいう。これら伝液範囲54を合わせた全範囲は、便座22の中央開口部32の周りで連続する環状を呈するように設定されるとも捉えられる。本実施形態において、これら伝液範囲54を合わせた全範囲は、便座22の後側裏面領域42と便鉢対向領域34とが重なる範囲(図9のダブルハッチングの範囲)を含むように設定されるとも捉えられる。複数の吐出部46のうちの一部の吐出部46は、便座22の後側裏面領域42を伝うように洗浄液を吐き出すことになる。この後側裏面領域42にはシャッター38の外面が含まれている。一部の吐出部46は、シャッター38の外面を伝うように洗浄水を吐き出すとも捉えられる。
【0042】
以上の伝液範囲54に関する条件を満たすようにするうえで、吐出部46の数、位置、洗浄液の吐出方向Pc、吐出範囲等が調整される。また、この条件を満たすようにするうえで、吐出部46から吐き出された洗浄液を導く部位を設けてもよい。いずれにしても、便座ユニット16や、便座ユニット16を有する便器装置10は、これらの調整を通じて、前述の伝液範囲54に関する条件を満たすように構成されると捉えられる。
【0043】
一の吐出部46の伝液範囲54は、一の吐出部46の吐出方向Pcに隣り合う他の吐出部46と重なるように設けられるとともに、その他の吐出部46の伝液範囲54と重なるように設けられる。また、本実施形態の全ての吐出部46それぞれの吐出方向Pcは周方向の一方側に向かうように設けられる。
【0044】
以上の便器装置10の動作を説明する。給液装置44は、所定の洗浄開始条件を満たすと、予め定められた給液時間に亘り開閉弁50により給液路48を開き、その給液時間の経過後に給液路48を閉じる。洗浄開始条件には、便座22が倒伏位置にあることが第一の条件に含まれる。便器装置10には、たとえば、便座22が倒伏位置にあるか否かを検知するためのセンサが設けられ、そのセンサの検知結果に基づき第一の条件の正否が判定される。洗浄開始条件には、たとえば、レバー等の操作部材、又は、リモートコントローラ、スマートフォン等の電気機器に対する操作を通じて洗浄開始指令を受けたことが第二の条件に含まれる。
【0045】
開閉弁50が給液路48を開くと、給液装置44から給液路48を通して吐出部46に洗浄液が供給され、吐出部46から洗浄液が吐き出される。開閉弁50が給液路48を閉じると、給液装置44からの洗浄液の供給が停止する。吐出部46は、洗浄液の供給を受けると、便座22の裏面を伝うように洗浄液を吐き出す。
【0046】
(C)ここで、前述のように、複数の吐出部46のうちの一部の吐出部46は、便座22の後側裏面領域42を伝うように洗浄液を吐き出す。これにより、特に汚れ易い便座22の後側裏面領域42を洗浄液により洗浄できるため、便座22の裏面の清潔性をより高められる。
【0047】
便器装置10は、便座22の後側裏面領域42に形成される開閉口36を開閉可能なシャッター38を備える。よって、便座22の後側裏面領域42の洗浄動作によりシャッター38の外面も洗浄できる。特に、便座22の後側裏面領域42のような汚れ易い箇所にあるシャッター38に関して良好な清潔性を得られる点で利点がある。
【0048】
(D)また、複数の吐出部46の伝液範囲54を合わせた全範囲は、便座22の中央開口部32の周りで連続する環状を呈するように設定される。よって、汚れが付き得る箇所を広範囲に亘り洗浄でき、便座22の裏面の清潔性をより高められる。特に、このような全範囲は、便鉢対向領域34の全体又は大部分を占めるように設定されるため、便座22の裏面の清潔性をより一層高められる。
【0049】
この他にも、シャッター38は、シャッター38の外面の大部分を構成する第1平坦面38aを有する。よって、シャッター38の外面の大部分が三次元的な構造となるより、シャッター38の外面の広い範囲に洗浄液が行き届き易くなる。
【0050】
また、シャッター38の第1平坦面38aは、シャッター38が閉位置にあるとき、便座22の第2平坦面40と面一をなすように設けられる。よって、シャッター38の第1平坦面38aと便座22の第2平坦面40の間でつっかえることなくスムーズに洗浄液を流すことができ、シャッター38の外面の全体に洗浄液が行き届き易くなる。
【0051】
便器装置10の他の特徴を説明する。図12は、第2実施形態の便器装置10の正面断面図である。図9図12に示すように、便座22は、便座22が倒伏位置にあるときを基準として、便座22の裏面の内周縁部から下向きに突き出る内周側凸部56を有する。本実施形態の内周側凸部56は、便座22の裏面の他の箇所と同じ部材の一部として構成される。
【0052】
内周側凸部56は、便座22の裏面の内周縁部において周方向に連続するように設けられる。詳しくは、内周側凸部56は、便座22の中央開口部32の前端部32bを含む範囲で周方向に連続するように設けられる。より詳しくは、内周側凸部56は、便座22の中央開口部32の前半周部分32cを含む範囲で周方向に連続するように設けられる。ここでの前半周部分32cとは、便座22の裏面視において、便座22の中央開口部32の中心位置32aの周りの範囲のうち、中央開口部32の前端部32bに対して周方向両側に90°の範囲で連続する部分をいう。なお、内周側凸部56は、便座22の中央開口部32の全周部分で連続するように設けられてもよい。
【0053】
内周側凸部56の外周面は、便座22の裏面に洗浄液を伝わせたときに、その洗浄液の伝う方向が下向きとなるように洗浄液を誘導可能である。本実施形態の内周側凸部56の外周面は、径方向内側に向かうにつれて下向きに延びる滑らかな曲面状をなす。これにより、便座22の裏面を伝う洗浄液を内周側凸部56の先端部で液切りすることができ、便座22の裏面から表面まで洗浄液が伝わるのを防止できる。
【0054】
内周側凸部56は、便器本体14のリム部18の上面より上下方向Zで下側に位置するように設けられる。内周側凸部56は、便器本体14のリム部18と便座22の間の隙間を径方向内側から覆うように設けられる。これにより、便鉢部12で受けた汚物の飛沫を内周側凸部56により捕捉でき、便器本体14と便座22の間に汚物が溜まるのを防止できる。
【0055】
便器装置10は、便座22の裏面を伝おうとする洗浄液の径方向外側に向かおうとする流れを規制するための流れ規制構造58を備える。詳しくは、流れ規制構造58は、便器本体14のリム部18と便座22の間を通して径方向外側に向かおうとする洗浄液の流れを規制する。本実施形態の流れ規制構造58は、便器本体14のリム部18と便座22の間に配置されるシール部材60である。シール部材60はゴム等の弾性体である。シール部材60は、便器本体14のリム部18と便座22の間に挟み込まれ、両者の間をシールすることで、前述のように洗浄液の流れを規制する。
【0056】
シール部材60は、便座22の中央開口部32の周りで連続する環状を呈するように設けられる。便座22の裏面視において、便座22の裏面に設けられる全ての吐出部46は、シール部材60の径方向内側に位置するように設けられる。これにより、複数の吐出部46のそれぞれから吐き出されて便座22の裏面を伝う洗浄液は、環状の流れ規制構造58より外側に流れず、その内側にとどめられることになる。環状の流れ規制構造58は、複数の吐出部46のそれぞれから吐き出された洗浄液を流れ規制構造58の内側にとどめるように設けられることになる。
【0057】
図13は、便座22の裏面の部分断面図である。便座22は、吐出部46から吐き出される洗浄液が伝わる範囲で便座22の裏面に被覆される撥液層62を有する。撥液層62は、便座22の裏面の最外表面を構成し、その表面に付着した洗浄液をはじく撥液性を持つ。本実施形態では、便座22の裏面のうち、便鉢対向領域34に撥液層62が被覆される。この便鉢対向領域34は、便座22の裏面のうち、環状のシール部材60により囲まれた領域でもある。
【0058】
本実施形態の撥液層62は、フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤等を主成分に含有しており、水を主成分とする洗浄水をはじく性質を持つ。これにより、洗浄液による便座22の裏面の洗浄動作後、便座22の裏面から洗浄液が早期に離れ易くなり、便座22の裏面を早期に乾燥させることができる。なお、シール部材60の外面にも洗浄液が伝わる範囲に撥液層62が被覆されていてもよい。
【0059】
図14(a)、(b)は、便座22の裏面での洗浄液64の伝い方を模式的に示す図である。図14(a)は、第1変形例の吐出部46を示し、図14(b)は、第2実施形態の吐出部46を示す。
【0060】
便座22の裏面視において、吐出部46の吐出方向Pcと直交する水平方向を広がり方向Pdとする。本発明者は、便座22の裏面を伝うように洗浄液64を吐き出す場合、吐出部46から吐き出された直後は流れが乱れ易く、洗浄液64が広がり方向Pdに容易に広がってしまう傾向があるとの知見を得た。このように洗浄液64が広がり方向Pdに大きく広がってしまうと、便座22の裏面を伝う洗浄液64の広がり方向Pdでの両側部64aが中央部64bより大流量になり、広がり方向Pdの位置によって洗浄液64の流量の偏りが大きくなる傾向があった。
【0061】
この対策を説明する。図15(a)は、第2実施形態の吐出部46を示し、図15(b)は、図15(a)のB-B線断面図を示す。本実施形態の便座22は、吐出部46から吐出方向Pcに吐き出された洗浄液の広がり方向Pd両側への広がりを規制しつつ、洗浄液を吐出方向Pcに誘導可能な一対の誘導部66を有する。
【0062】
一対の誘導部66は、複数の吐出部46のそれぞれに対応して個別に設けられる。一対の誘導部66は、吐出部46の近傍に設けられる。本実施形態の一対の誘導部66は、倒伏位置にある便座22の裏面から下側に突き出る段差面である。本実施形態の便座22の裏面には、便座22の裏面の一部となる周縁面68より上側に窪む凹部70が形成される。一対の誘導部66は、便座22の裏面に形成される凹部70の凹側面が構成する。凹部70の凹底面70aは、吐出部46の吐出口52から吐出方向Pcに向かって下り勾配となる斜面である。凹底面70aの吐出方向Pcの端辺部70bは便座22の裏面の周縁面68と段差なく連なるように設けられる。一対の誘導部66は、吐出部46から吐出方向Pcに離れるにつれて広がり方向Pdに広がるように形成される。なお、吐出口52に連なる便座22の裏面である凹部70の凹底面70aと、吐出部46内の給液路48の内上面とは段差なく連続するように設けられる。
【0063】
図14(b)に示すように、吐出部46から吐き出される洗浄液64は、便座22の裏面を伝わるとき、一対の誘導部66に沿って流れることで、広がり方向Pd両側への広がりが規制される。洗浄液64は、一対の誘導部66に沿って流れる過程で流れが整えられ、一対の誘導部66から離れた後は広がり方向Pdの両側に大きく広がり難くなる。これにより、洗浄液64の広がり方向Pdでの大きな広がりを防止でき、便座22の裏面を伝う洗浄液64の広がり方向Pdの位置による流量の大きな偏りを抑えられる。この結果、洗浄液64の広がり方向Pdでの流量の偏りに起因する洗浄むらの発生を抑えられる。
【0064】
(第3の実施の形態)
図16は、第3実施形態の便器装置10の上面図である。図17は、便器本体14の上面図である。図18は、図16のC-C線断面図である。本実施形態の便器装置10は、前述の実施形態と比べて、吐出部46が便座22ではなく便器本体14に設けられている点で異なる。また、本実施形態の便座22はシャッター38を備えていない。
【0065】
便器本体14は、便鉢部12の上部に形成される複数の吐出部46を有する。吐出部46は、洗浄液としての洗浄水を方向Peに吐き出すことにより、便鉢部12の内面を洗浄するための水流Faを形成する。本実施形態の吐出部46は、便鉢部12内を洗浄するための水流Faとして、便鉢部12内を周方向の一方側に旋回する旋回流を形成する。吐出部46には、便器本体14に形成される通水路72を通して洗浄水供給装置から洗浄水が方向Pfに供給される。
【0066】
便鉢部12は汚物を受けるための鉢状の受け面部12aを有し、便鉢部12の上端部には導水路74が形成される。導水路74は、洗浄水を受けるための棚部74aを有する。棚部74aは、棚部74aの下方に連なる受け面部12aの内周面部分より緩やかな勾配となるように形成される。導水路74は、複数の吐出部46のそれぞれに対応して設けられ、その対応する吐出部46から周方向の一方側に延びるように形成される。導水路74は、洗浄水の旋回を伴い洗浄水を周方向の一方側に導くためのものである。本実施形態の導水路74は周方向の一方側に隣り合う導水路74と連続するように形成される。複数の導水路74は全体として環状に連続するように形成されることになる。
【0067】
便座22の裏面は、導水路74の内上面を形成する導水路形成面22aを有する。図16でダブルハッチングを付した箇所は導水路形成面22aである。導水路形成面22aは前述した便鉢対向領域34の一部を構成する。図16でハッチングを付した箇所は便鉢対向領域34である。吐出部46から吐き出される洗浄水は、便座22の裏面の一部となる導水路形成面22aを伝いつつ導水路74により導かれる。洗浄水は、このように導水路形成面22aを伝う過程で径方向内側に導かれ、導水路形成面22aより径方向内側に位置する便鉢対向領域34の他の箇所22bも伝うように流れる。この結果、複数の吐出部46それぞれの伝液範囲54を合わせた全範囲は、便座22の便鉢対向領域34の全体を占めることになる。
【0068】
このように複数の吐出部46それぞれの伝液範囲54を合わせた全範囲は、便座22の便鉢対向領域34の全体を占めるように設定される。これら伝液範囲54を合わせた全範囲は、便座22の中央開口部32の周りで連続する環状を呈するように設定されるとも捉えられる。複数の吐出部46は、便座22の後側裏面領域42を伝うように洗浄液を吐き出すことになる。本実施形態の便器装置10によっても、前述した効果(C)、(D)を得られる。
【0069】
なお、本実施形態の流れ規制構造58は、便座22の裏面を径方向外側に向けて伝おうとする洗浄水の流れを規制する便鉢部12の上端部である。
【0070】
以上、実施形態をもとに本発明を説明した。次に、各構成要素の変形例を説明する。
【0071】
便座22は、便器本体14にケーシング20を介して回動可能に取り付けられる例を説明したが、便器本体14に直接に回動可能に取り付けられてもよい。また、便座22は、便器本体14に回動不能に取り付けられていてもよい。この場合、便座22は、便器本体14に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0072】
便座22の開閉口36の開閉にあたり、シャッター38の動き方は特に限定されない。たとえば、シャッター38は、スライドを伴い開閉口36を開閉可能でもよい。シャッター38の第1平坦面38aと便座22の第2平坦面40は面一ではない位置に設けられていてもよい。シャッター38の外面と便座22の第2平坦面40を含む面領域43は、便座22の中央開口部32の周りで環状を呈さずに部分的に設けられていてもよい。前述の効果(A)を得るうえで、便座22の第2平坦面40は環状に連続してさえいればよく、その一部に脚部等の凸部が設けられていてもよい。シャッター38は、便座22の中央開口部32の内周面32dを構成していてもよい。
【0073】
前述の効果(B)を得るうえで、シャッター38の大部分の範囲S1は、便座22を前方から見たとき、便座22の内周面32dの後方で、その内周面32dと重なる位置にあればよい。たとえば、シャッター38の大部分の範囲S1は、便座22の内周面32dの下端部から一部が下方にはみ出ていてもよい。
【0074】
便座22内に収容される機能部品の種類は特に限定されない。便座22内には局部洗浄装置26、脱臭装置30、乾燥装置28のいずれか一つのみが収容されてもよいし、他の機能部品が収容されてもよい。
【0075】
吐出部46は、少なくとも便座22の後側裏面領域42の一部を伝うように洗浄液を吐き出し可能であればよい。たとえば、吐出部46は、便座22の便鉢対向領域34と後側裏面領域42の重なる範囲のみ伝うように洗浄液を吐き出し可能でもよい。
【0076】
前述の(D)の効果を得るうえで、複数の吐出部46ではなく、単数の吐出部46から吐き出される洗浄液が便座22の裏面を伝わる伝液範囲54が、便座22の中央開口部32の周りで連続する環状を呈するように設定されてもよい。
【0077】
内周側凸部56は、便座22が倒伏位置にあるときを基準として、便座22の裏面の内周縁部から下向きに突き出ていればよく、その形状は特に限定されない。たとえば、内周側凸部56の内周面は曲面状をなさずに、単に下向きに延びる平面状をなしてもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0079】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
【0080】
第2態様の便座ユニットは、第1態様において、前記シャッターは、前記シャッターの外面の大部分を構成する第1平坦面を有していてもよい。
この態様によれば、シャッターの外面の大部分が起伏の小さい二次元的な構造の第1平坦面である。よって、シャッターの外面を拭き掃除する場合の手先の動きを小さくでき、良好な清掃性を得られる。
【0081】
第3態様の便座ユニットは、第2態様において、前記便座は、前記便座の裏面を構成するとともに前記開閉口が形成される第2平坦面を有し、前記第1平坦面は、前記シャッターが前記開閉口を閉じる閉位置にあるとき、前記第2平坦面と面一をなすように設けられてもよい。
この態様によれば、シャッターの第1平坦面と便座の第2平坦面の間でつっかえることなくこれらを拭き掃除でき、より良好な清掃性を得られる。
【0082】
第4態様の便座ユニットは、第3態様において、前記シャッターの外面と前記第2平坦面を含む面領域は、前記便座の中央開口部の周りで連続する環状を呈するように設けられてもよい。
この態様によれば、便座にシャッターを取り付ける場合でも、便座の中央開口部の周りを全周に亘りつっかえることなく拭き掃除し易くなる。
【0083】
第5態様の便座ユニットは、第1から第4態様のいずれかにおいて、前記シャッターは、倒伏位置にある前記便座を前方から見たとき、前記便座の中央開口部の内周面により隠れる位置に設けられてもよい。
この態様によれば、便座にシャッターを取り付ける場合でも、便座が倒伏位置にあるときにシャッターが外観に現われにくくなり、すっきりとした印象を与えることでより良好な意匠性を得られる。
【0084】
第6態様の便座ユニットは、第1から第5態様のいずれかにおいて、前記便座内に収容される脱臭装置を備え、前記脱臭装置は、前記シャッターが前記開閉口を開く開位置にあるとき、前記開閉口を通る空気に含まれる臭気を脱臭可能であってもよい。
この態様によれば、便器本体の後部に設置される機能装置に脱臭装置を組み込む場合より、便鉢部の中央位置に近い箇所で脱臭機能を効果的に発揮できる。
【0085】
第7態様は便器装置であり、便器本体と、前記便器本体に取り付けられる第1から第6態様のいずれかに記載の便座ユニットと、を備える。
【符号の説明】
【0086】
10…便器装置、14…便器本体、16…便座ユニット、22…便座、30…脱臭装置、32…中央開口部、32d…内周面、36…開閉口、38…シャッター、38a…第1平坦面、40…第2平坦面、43…面領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18