(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】掘削バケットおよび場所打ち杭の構築方法
(51)【国際特許分類】
E21B 11/00 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
E21B11/00 A
(21)【出願番号】P 2018086439
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000157289
【氏名又は名称】丸五基礎工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】上村 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】根上 茂之
(72)【発明者】
【氏名】田川 佳典
(72)【発明者】
【氏名】金城 智博
(72)【発明者】
【氏名】中田 康雄
(72)【発明者】
【氏名】松田 久嗣
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-125587(JP,U)
【文献】特開2014-034763(JP,A)
【文献】特開2004-324272(JP,A)
【文献】特開2000-337069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤を削孔して杭孔を形成する掘削機に取り付けられる掘削バケットであって、
前記掘削機の回転軸下端に装着可能な円筒形状の胴部と、
当該胴部の底面の開口を閉塞しかつ掘削ビットが設けられた底盤と、を備え、
前記胴部の外周面には、複数のブレードが螺旋状に設けられて
おり、
前記複数のブレードの角度は、前記底盤に向かうに従って、回転方向側が大きく下がるように傾斜していることを特徴とする掘削バケット。
【請求項2】
場所打ち杭の構築方法であって、
請求項
1に記載の掘削バケットを掘削機に取り付けて、当該掘削機により掘削バケットを回転させて地盤に杭孔を削孔する工程と、
前記杭孔内に鋼管または鉄筋籠を建て込む工程と、
前記杭孔内にコンクリートを打設する工程と、を備えることを特徴とする場所打ち杭の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を削孔して杭孔を形成する掘削機に取り付けられる掘削バケット、およびこの掘削バケットを用いた場所打ち杭の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、場所打ち杭を構築するため、掘削機により掘削バケットを回転させて地盤に杭孔を形成することが行われる。この掘削バケットの構造としては、以下の特許文献1~3のような構成がある。
特許文献1には、掘削ヘッドと、この掘削ヘッドが挿入される掘削用ケーシングと、を備える掘削装置が示されている。掘削ヘッドには、周方向の所定間隔で放射状に突出する係合ピンが設けられており、掘削用ケーシングの内周段部には、係合ピンが係合可能な係嵌溝が形成されている。
【0003】
特許文献2には、ケリーバに着脱可能に取り付けられた拡幅装置本体と、この拡幅装置本体に設けられた拡幅フレームと、拡幅フレームに回転自在に取り付けられた拡幅ローラと、拡幅フレームを開閉する開閉手段と、からなる場所打ちコンクリート杭の杭坑拡幅装置が示されている。
特許文献3には、円筒状の胴部およびこの胴部の底部を閉塞する底盤から成る筐体を有し、底盤に掘削刃およびサイドカッタが設けられたアースドリルバケットが示されている。胴部の外側には、掘削時に筐体上方に充満する安定液を筐体下部に導く通水路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-311968号公報
【文献】特開2001-193376号公報
【文献】特開2003-74284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、掘削バケットを回転させて地盤中に杭孔を形成する際、コンクリート塊、岩盤、転石などの硬い部分があると、地盤の軟らかい方に掘削バケットが逃げてしまい、杭孔が曲がってしまう場合があった。この場合、杭孔の曲がりを修正するために、杭孔に再度バケットを挿入して掘削する修正掘削を行うことになり、この修正掘削にかなりの時間を要していた。
本発明は、地中に硬い部分があって、杭孔の鉛直性を確保できない場合に、この硬い部分を削って杭孔の鉛直性を確保できる、掘削バケットおよびこの掘削バケットを用いた場所打ち杭の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の掘削バケット(例えば、後述の掘削バケット1)は、地盤(例えば、後述の)を削孔して杭孔(例えば、後述の杭孔3)を形成する掘削機(例えば、後述のアースドリル掘削機10)に取り付けられる掘削バケットであって、前記掘削機の回転軸(例えば、後述のケリーバ14)下端に装着可能な円筒形状の胴部(例えば、後述の胴部20)と、当該胴部の底面の開口を閉塞しかつ掘削ビット(例えば、後述の掘削ビット32)が設けられた底盤(例えば、後述の底盤30)と、を備え、前記胴部の外周面には、複数のブレード(例えば、後述のブレード40A~40I)が螺旋状に設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ブレードを掘削バケットの胴部の外周面に螺旋状に設けたので、掘削機で掘削バケットを回転させて削孔することで、地中の硬い部分を複数のブレードで削りながら削孔できるので、掘削バケットが地盤の軟らかい方に逃げるのを防いで、杭孔の鉛直性を容易に確保できる。
また、掘削バケットの胴部の外周面に複数のブレードを螺旋状に設けたことによって、掘削バケットを回転させて削孔する際、地中にコンクリート塊、岩盤、転石などの硬い部分があっても、この硬い部分をブレードで削りながら削孔できるので、短時間に精度よく杭孔の鉛直性を修正できる。よって、杭孔の鉛直度を確保でき、杭孔に鋼管や鉄筋籠を確実に建て込むことができ、鉛直性の高い場所打ち杭を容易に構築できる。
【0008】
第2の発明の掘削バケットは、前記複数のブレードの角度は、前記底盤に向かうに従って、回転方向側(例えば、後述の回転方向側の辺縁41)が大きく下がるように傾斜していることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、螺旋状に配置した複数のブレードについて、回転方向側が大きく下がるようにした。よって、掘削機で掘削バケットを回転させて削孔する際、地中に岩石や礫層などの硬い部分があっても、ブレードがこの硬い部分に食い込んで削り取るので、杭孔の鉛直性を容易に確保できる。
また、螺旋状に配置した複数のブレードについて、底盤に向かうに従って回転方向側が大きく下がるようにした。よって、下端側(底盤側)のブレードは、下方に向かう推進力が高く、側壁土に対する食い込みが大きくなって削り取る土量が大きい。しかし、上方に向かうに従って、下方に向かう推進力が低くなり、ブレードの側壁土に対する食い込みが小さくなって削り取る土量が小さくなる。よって、ブレード全体としての回転負荷を低く抑えつつ、地中の岩石や礫層などの硬い部分をブレードで削り取ることができる。
【0010】
第3の発明の場所打ち杭の構築方法は、場所打ち杭の構築方法であって、上述の掘削バケットを掘削機に取り付けて、当該掘削機により掘削バケットを回転させて地盤に杭孔を削孔する工程(例えば、後述のステップS1)と、前記杭孔内に鋼管または鉄筋籠(例えば、後述の鉄筋籠6)を建て込む工程(例えば、後述のステップS2)と、前記杭孔内にコンクリートを打設する工程(例えば、後述のステップS3)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、地盤内にコンクリート塊、岩盤、転石などの硬い部分があっても、掘削機で掘削バケットを回転させて削孔することで、地中の硬い部分を複数のブレードで削りながら削孔できるので、短時間に精度よく杭孔の鉛直性を修正できる。よって、杭孔の鉛直度を確保でき、杭孔に鋼管や鉄筋籠を確実に建て込むことができ、鉛直性の高い場所打ち杭を容易に構築できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地中に硬い部分があって、杭孔の鉛直性を確保できない場合に、この硬い部分を削って杭孔の鉛直性を確保できる、掘削バケットおよびこの掘削バケットを用いた場所打ち杭の構築方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る掘削バケットの側面図である。
【
図2】
図1に示す掘削バケットの底面の見上げ図である。
【
図3】
図1に示す掘削バケットの胴部の外周面の略半周分を展開した図および上方から視た図である。
【
図4】
図1に示すブレードに生じる推進力の説明図である。
【
図5】
図1に示すブレードの変形例を示す側面図である。
【
図6】掘削時における掘削バケットの杭孔側壁に対する動作を示す模式図である。
【
図7】
図1に示す掘削バケットを用いて場所打ち杭を構築する手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、地盤内にコンクリート造の障害物、岩盤、転石などを多く含む建設敷地であっても、従来に比べて、構造が簡単でかつ短時間にて精度よく修正掘削が可能な掘削バケット(
図1~
図3)、およびその杭孔掘削バケットを使用した場所打ち杭の構築方法(
図6、
図7)である。本発明は、掘削バケットの円筒形状の胴部の外周面に、螺旋状に複数のブレードが設けられており、当該掘削バケットの底盤側に設置されるブレードの角度は、回転方向側が下がるように傾斜している点を特徴とする。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る掘削バケット1の側面図である。
図2は、掘削バケット1の底面の見上げ図である。
掘削バケット1は、地盤を削孔して杭孔を形成するアースドリル掘削機10に取り付けられる。掘削バケット1は、アースドリル掘削機10により
図1および
図2中白抜き矢印方向に回転することにより、地盤2を掘削して杭孔3を形成するものである(
図5参照)。
【0015】
掘削バケット1は、アースドリル掘削機10の回転軸であるケリーバ14の下端に装着可能な円筒形状の胴部20と、胴部20の底面の開口を閉塞する開閉可能な円盤状の底盤30と、を備える。
底盤30は、蝶番を介して胴部20に開閉可能に取り付けられており、底盤30を開くことにより、掘削バケット1の内部に溜まった掘削土砂を排出させることができる。
底盤30の中心を挟んで両側には、掘削バケット1の下方の土砂を内部に取り込むための下面土砂取込口31が設けられている。各下面土砂取込口31の回転方向と反対側の辺縁には、回転方向に向かって突出する複数の掘削ビット32が並んで設けられている。
【0016】
胴部20の上端には、ジョイント部21が設けられており、このジョイント部21にピンを挿し込むことにより、掘削バケット1はケリーバ14に着脱可能に連結される。
胴部20の外周面の下端の2箇所には、下面土砂取込口31に連続して設けられた側面土砂取込口22と、この側面土砂取込口22を覆うサイドカッタ23と、が設けられている。これら側面土砂取込口22およびサイドカッタ23は、掘削バケット1の側方の土砂を内部に取り込むためのものである。
【0017】
また、胴部20の外周面には、18枚のブレード40A~40Iが設けられている。具体的には、平面視では、9枚のブレード40A~40Iを一組として、二組のブレード40A~40Iが、円筒形状の胴部20の中心を挟んで180°反対側に設けられている。また、一組の9枚のブレード40A~40Iは、上端から下端(つまり側面土砂取込口22)に向かって螺旋状に、胴部20の外周面に突出して設けられている。このように、胴部20の外周面にブレード40A~40Iが突出しているため、胴部20の直径は、掘削する杭孔3の直径Wよりも一回り小さくなっている。具体的には、ブレード40A~40Iは、
図1~
図3に示すように、略三角形状の鋼材プレートであり、ブレード40A~40Iの代表的な寸法としては、厚さが15mm程度、胴部20に接合される辺の長さが200mm程度、胴部20の交差方向に延出する辺の長さが150mm程度である。
【0018】
図3(a)は、胴部20の外周面(側面)の略半周分を展開した図である。
図3(b)は、
図3(a)を上方から視た図である。
図3中の白抜き矢印は、掘削バケット1の回転方向である。
平面視で、18枚のブレード40A~40Iは、互いに重ならないように胴部20の外周面の全周に亘って配置されている。また、平面視で、各ブレード40A~40Iは、略三角形状であり、回転方向側の辺縁41は、回転方向と反対側の辺縁42よりも幅広となっている。
側面視では、ブレード40A~40Iは、その回転方向と反対側の辺縁42が上下方向に所定間隔dとなるように配置されている。また、側面視では、最上段のブレード40Aおよび中間高さに位置するブレード40Eは略水平であるが、残りの7枚のブレード40B~40D、40F~40Iの角度は、水平面に対して傾斜したθ
B~θ
D、θ
F~θ
Iとなっている。具体的には、ブレード40F~40Iは、下方(つまり側面土砂取込口22)に向かうに従って、回転方向側の辺縁41が回転方向と反対側の辺縁42に対して大きく下がっている。また、ブレード40B~40Dは、上方に向かうに従って、回転方向側の辺縁41が回転方向と反対側の辺縁42に対して大きく上がっている。
【0019】
図4に示すように、ブレードの角度をθ、掘削バケットの回転力をFとすると、下方に向かう推進力fは、以下の式で表わされる。
f=F・tanθ
各ブレード40A~40Iに作用する回転力Fは同一であるので、推進力fは、角度θが大きい最下端のブレード40Iが最も高く、上方に向かうに従って低くなる。
なお、本実施形態では、ブレード40Iを板状としたが、これに限らず、
図5に示すように、底盤30に最も近いブレード40Iを略L型形状とし、掘削バケット1の推進力を高めるようにしてもよい。
【0020】
図6は、掘削時における掘削バケットの杭孔側壁に対する動作を示す模式図である。
図6(a)は、全てのブレードを略水平に設けた場合であり、
図6(b)は、全てのブレードの傾斜角度を一定とした場合である。
図6(c)は、胴部の中間高さでは、ブレードを略水平とし、胴部の中間高さから上方に向かって、水平面に対する傾斜角度を徐々に大きくし、胴部の中間高さから下方に向かって、水平面に対するブレードの傾斜角度を逆向きに徐々に大きくした場合である。この場合、胴部の中間高さよりも下側のブレードは、胴部の中間高さよりも上側のブレードよりも急勾配となっている。
図6(a)の場合、掘削バケットに
図6(a)中白抜き矢印方向に回転力を加えて、杭孔側壁の凸部を削り取ろうとしても、ブレードが略水平に設けられているので、この杭孔側壁の凸部に跳ね返されてしまい、連続的に掘削できない。また、
図6(b)の場合、ブレードの傾斜角度が一定であるので、掘削バケットに
図6(b)中白抜き矢印方向に回転力を加えると、掘削バケットに下向きの推進力が発生し、掘削バケットが自然と下方に移動するので、杭孔側壁の凸部を削ることができない。また、掘削バケットに白抜き矢印とは逆向きの回転力を加えた場合、今度は掘削バケットが自然と上方に移動するので、杭孔側壁の凸部を削ることができない。
これに対し、本発明では、
図6(c)に示すように、掘削バケットの胴部の中間高さよりも上側では、ブレードの傾斜角度を徐々に大きくすることで、掘削バケットに
図6(c)中白抜き矢印方向に回転力を加えた際に、掘削バケットに上向き力を発生させる。逆に、掘削バケットの胴部の中間高さよりも下側では、ブレードの傾斜角度を逆向きに徐々に大きくすることで、掘削バケットに
図6(c)中白抜き矢印方向に回転力を加えた際に、掘削バケットに下向き力を発生させる。よって、掘削バケットに生じる上向きと下向きの力が相殺されるので、掘削バケットが上方または下方に一方的に移動することはなく、掘削バケットに設けたブレードにより杭孔側壁の凸部を削り取ることができる。
【0021】
以下、掘削バケット1を用いて場所打ち杭4を構築する手順について、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、
図8(a)に示すように、アースドリル掘削機10に掘削バケット1を取り付けて、このアースドリル掘削機10により地盤2に杭孔3を削孔する。
具体的には、地盤2に円筒形状の表層ケーシング5を建て込み、アースドリル掘削機10のケリーバ14の下端に掘削バケット1を取り付ける。このアースドリル掘削機10は、旋回体11、ブーム12、ケリーロープ13、ケリーバ14などを備えている。次に、アースドリル掘削機10により掘削バケット1を回転させて、安定液を注入しながら、表層ケーシング5の内側の地盤2に杭孔3を削孔する。
【0022】
ステップS2では、
図8(b)に示すように、杭孔3内に鉄筋籠6を建て込む。
ステップS3では、
図8(c)に示すように、杭孔3内にコンクリートを打設する。具体的には、杭孔3内にトレミー管7を建て込んで、このトレミー管7を通して杭孔3にコンクリートを流し込む。これにより、場所打ち杭4が構築される。
ステップS4では、
図8(d)に示すように、表層ケーシング5を引き抜いて、場所打ち杭4の直上の杭孔3を埋め戻す。
【0023】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)ブレード40A~40Iを掘削バケット1の胴部20の外周面に螺旋状に設けたので、アースドリル掘削機10で掘削バケット1を回転させて削孔することで、地中の硬い部分を複数のブレード40A~40Iで削りながら削孔できるので、掘削バケット1が地盤2の軟らかい方に逃げるのを防いで、杭孔3の鉛直性を容易に確保できる。
また、掘削バケット1の胴部20の外周面に複数のブレード40A~40Iを螺旋状に突出して設けた。よって、掘削バケット1を回転させて削孔する際、地中にコンクリート塊、岩盤、転石などの硬い部分があっても、この硬い部分をブレード40A~40Iで削りながら削孔できるので、一台のアースドリル掘削機10で、掘削バケット1を交換することなく、短時間に精度よく杭孔3の鉛直性を修正できる。よって、杭孔3の鉛直度を確保できるから、杭孔3に鉄筋籠6を確実に建て込むことができ、鉛直性の高い場所打ち杭4を容易に構築できる。
なお、本実施形態の掘削バケット1によれば、胴部20の外周面にブレードを設けない場合に比べて、10倍の掘削スピードを実現できた。
【0024】
(2)螺旋状に配置した複数のブレード40A~40Iについて、底盤30側に向かうに従って、回転方向側の辺縁41が大きく下がるように傾斜させた。よって、アースドリル掘削機10で掘削バケット1を回転させて削孔する際、地中に岩石や礫層などの硬い部分があっても、ブレード40A~40Iがこの硬い部分に食い込んで削り取るので、杭孔3の鉛直性を容易に確保できる。
また、下端側(底盤側)のブレード40Iは、下方に向かう推進力fが高いため、側壁土に対する食い込みが大きくなって、削り取る土量が大きい。これに対し、上側のブレードは、下方に向かう推進力が低く、ブレード40の側壁土に対する食い込みが小さくなって、削り取る土量が小さくなる。よって、ブレード40A~40I全体として回転負荷を低く抑えつつ、地中の岩石や礫層などの硬い部分をブレード40A~40Iで削り取ることができる。
(3)二組のブレード40A~40Iを180°反対側に設けたので、同じ角度のブレード同士は胴部20の中心を挟んで正反対の位置に設けられることになり、掘削バケット1の回転時のバランスがとれて、直進性が発揮される。
【0025】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0026】
1…掘削バケット 2…地盤 3…杭孔 4…場所打ち杭
5…表層ケーシング 6…鉄筋籠 7…トレミー管
10…アースドリル掘削機 11…旋回体 12…ブーム 13…ケリーロープ
14…ケリーバ
20…胴部 21…ジョイント部 22…側面土砂取込口 23…サイドカッタ
30…底盤 31…下面土砂取込口 32…掘削ビット
40A~40I…ブレード 41…ブレードの回転方向側の辺縁
42…ブレードの回転方向と反対側の辺縁