(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】トレイ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/72 20110101AFI20220217BHJP
【FI】
H01R12/72
(21)【出願番号】P 2018098164
(22)【出願日】2018-05-22
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514294393
【氏名又は名称】香港航空電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】JAE Hong Kong,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Suites 1407-11,14/F.,Tower2,The Gateway,25 Canton Road,Tsimshatsui,Kowloon,Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】三川 和弥
(72)【発明者】
【氏名】王 霆
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1823332(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/70-12/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向において前方に向けてカードコネクタのコネクタ本体に挿入されるトレイであって、
前記トレイは、第1カード収容部と、第2カード収容部とを有しており、
前記第1カード収容部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記第2カード収容部と異なる位置に位置しており、
前記第1カード収容部は、第1弾性梁部と、第1対向部と、第1隆起部とを有しており、
前記第1対向部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部と対向しており、
前記第1隆起部は、前記第1弾性梁部から前記第1対向部に向かって隆起しており、
前記第2カード収容部は、第2弾性梁部と、第2対向部と、第2隆起部とを有しており、
前記第2対向部は、前記前後方向において前記第2弾性梁部と対向しており、
前記第2隆起部は、前記第2弾性梁部から前記第2対向部に向かって隆起しており、
前記第1弾性梁部と前記第2弾性梁部とは、前記前後方向において互いに異なる位置に位置しており、
前記第1弾性梁部及び前記第2弾性梁部の夫々は、独立して弾性変形可能であ
り、
前記第1対向部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の前方に位置しており、
前記第2対向部は、前記前後方向において前記第2弾性梁部の前方に位置しており、
前記第2弾性梁部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の後方に位置しており、
前記トレイには、第1逃がし孔と、第2逃がし孔とが設けられており、
前記第1逃がし孔は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の後方に位置しており、前記第1弾性梁部の弾性変形を許容し、
前記第2逃がし孔は、前記前後方向において前記第2弾性梁部の後方に位置しており、前記第2弾性梁部の弾性変形を許容しており、
前記第1逃がし孔は、前記第2カード収容部まで貫通しており、
前記第2カード収容部に収容されるカードには、突部が設けられており、
当該カードが前記第2カード収容部に収容された際に、前記突部は部分的に前記第1逃がし孔内に収容されている
トレイ。
【請求項2】
前後方向において前方に向けてカードコネクタのコネクタ本体に挿入されるトレイであって、
前記トレイは、第1カード収容部と、第2カード収容部とを有しており、
前記第1カード収容部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記第2カード収容部と異なる位置に位置しており、
前記第1カード収容部は、第1弾性梁部と、第1対向部と、第1隆起部とを有しており、
前記第1対向部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部と対向しており、
前記第1隆起部は、前記第1弾性梁部から前記第1対向部に向かって隆起しており、
前記第2カード収容部は、第2弾性梁部と、第2対向部と、第2隆起部とを有しており、
前記第2対向部は、前記前後方向において前記第2弾性梁部と対向しており、
前記第2隆起部は、前記第2弾性梁部から前記第2対向部に向かって隆起しており、
前記第1弾性梁部と前記第2弾性梁部とは、前記前後方向において互いに異なる位置に位置しており、
前記第1弾性梁部及び前記第2弾性梁部の夫々は、独立して弾性変形可能であり、
前記第1対向部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の前方に位置しており、
前記第2対向部は、前記前後方向において前記第2弾性梁部の前方に位置しており、
前記第2弾性梁部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の後方に位置しており、
前記トレイには、第1逃がし孔と、第2逃がし孔とが設けられており、
前記第1逃がし孔は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の後方に位置しており、前記第1弾性梁部の弾性変形を許容し、
前記第2逃がし孔は、前記前後方向において前記第2弾性梁部の後方に位置しており、前記第2弾性梁部の弾性変形を許容しており、
前記前後方向において、前記第2カード収容部に収容されるカードのサイズは、前記第1カード収容部に収容されるカードのサイズより大きく、
前記上下方向において、前記第2弾性梁部のサイズは、前記第1弾性梁部のサイズより大きい
トレイ。
【請求項3】
請求項
2記載のトレイであって、
前記第1逃がし孔は、前記第2カード収容部まで貫通しており、
前記第2カード収容部に収容されるカードには、突部が設けられており、
当該カードが前記第2カード収容部に収容された際に、前記突部は部分的に前記第1逃がし孔内に収容されている
トレイ。
【請求項4】
請求項1
から請求項3までのいずれかに記載のトレイであって、
前記第1弾性梁部及び前記第2弾性梁部の夫々は、前記上下方向及び前記前後方向の双方と交差する交差方向に延びている
トレイ。
【請求項5】
請求項
4記載のトレイであって、
前記第1隆起部は、前記交差方向において前記第1弾性梁部の中央に位置しており、
前記第2隆起部は、前記交差方向において前記第2弾性梁部の中央に位置している
トレイ。
【請求項6】
請求項1から請求項
5までのいずれかに記載のトレイであって、
前記前後方向において、前記第1隆起部と前記第1対向部との間の距離寸法は、前記第1カード収容部に収容されるカードのサイズより小さく、
前記前後方向において、前記第2隆起部と前記第2対向部との間の距離寸法は、前記第2カード収容部に収容されるカードのサイズより小さい
トレイ。
【請求項7】
請求項1から請求項
6までのいずれかに記載のトレイであって、
前記第1弾性梁部及び前記第2弾性梁部の夫々は、両持ち梁である
トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードコネクタ用のトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
図13及び
図14を参照すると、特許文献1には、マイクロSIMカード950を標準SIMカードに変換する変換アダプタ910が開示されている。変換アダプタ910は、マイクロSIMカード950を収容するカード収容部920を有している。カード収容部920は、弾性梁部922と、対向部926と、隆起部924とを有している。弾性梁部922は、弾性変形可能となっている。対向部926は、前後方向(X方向)において弾性梁部922と対向している。隆起部924は、弾性梁部922から
対向部926に向かって隆起している。マイクロSIMカード950を変換アダプタ910のカード収容部920に収容すると、弾性梁部922が弾性変形し、マイクロSIMカード950は、隆起部924及び対向部926に挟持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、トレイを有するカードコネクタを搭載したスマートフォン等において、ナノSIMカードやマイクロSDカードなどの複数のカードを独立して保持可能なトレイが求められている。また、このようなスマートフォン等においては、内部の部品のレイアウト上、カードコネクタの平面サイズの抑制も求められている。ここで、カードコネクタの平面サイズを抑制しつつ、複数のカードをトレイに保持させるためには、カードをトレイの両面に保持する構成が考えられる。
【0005】
よって本発明は、複数のカードを独立してトレイの両面に保持可能な、カードコネクタ用のトレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のトレイとして、
前後方向において前方に向けてカードコネクタのコネクタ本体に挿入されるトレイであって、
前記トレイは、第1カード収容部と、第2カード収容部とを有しており、
前記第1カード収容部は、前記前後方向と直交する上下方向において、前記第2カード収容部と異なる位置に位置しており、
前記第1カード収容部は、第1弾性梁部と、第1対向部と、第1隆起部とを有しており、
前記第1対向部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部と対向しており、
前記第1隆起部は、前記第1弾性梁部から前記第1対向部に向かって隆起しており、
前記第2カード収容部は、第2弾性梁部と、第2対向部と、第2隆起部とを有しており、
前記第2対向部は、前記前後方向において前記第2弾性梁部と対向しており、
前記第2隆起部は、前記第2弾性梁部から前記第2対向部に向かって隆起しており、
前記第1弾性梁部と前記第2弾性梁部とは、前記前後方向において互いに異なる位置に位置しており、
前記第1弾性梁部及び前記第2弾性梁部の夫々は、独立して弾性変形可能である
トレイを提供する。
【0007】
また、本発明は、第2のトレイとして、第1のトレイであって、
前記第1弾性梁部及び前記第2弾性梁部の夫々は、前記上下方向及び前記前後方向の双方と交差する交差方向に延びている
トレイを提供する。
【0008】
また、本発明は、第3のトレイとして、第2のトレイであって、
前記第1隆起部は、前記交差方向において前記第1弾性梁部の中央に位置しており、
前記第2隆起部は、前記交差方向において前記第2弾性梁部の中央に位置している
トレイを提供する。
【0009】
また、本発明は、第4のトレイとして、第1から第3までのいずれかのトレイであって、
前記前後方向において、前記第1隆起部と前記第1対向部との間の距離寸法は、前記第1カード収容部に収容されるカードのサイズより小さく、
前記前後方向において、前記第2隆起部と前記第2対向部との間の距離寸法は、前記第2カード収容部に収容されるカードのサイズより小さい
トレイを提供する。
【0010】
また、本発明は、第5のトレイとして、第1から第4までのいずれかのトレイであって、
前記第1対向部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の前方に位置しており、
前記第2対向部は、前記前後方向において前記第2弾性梁部の前方に位置しており、
前記第2弾性梁部は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の後方に位置しており、
前記トレイには、第1逃がし孔と、第2逃がし孔とが設けられており、
前記第1逃がし孔は、前記前後方向において前記第1弾性梁部の後方に位置しており、前記第1弾性梁部の弾性変形を許容し、
前記第2逃がし孔は、前記前後方向において前記第2弾性梁部の後方に位置しており、前記第2弾性梁部の弾性変形を許容している
トレイを提供する。
【0011】
また、本発明は、第6のトレイとして、第5のトレイであって、
前記前後方向において、前記第2カード収容部に収容されるカードのサイズは、前記第1カード収容部に収容されるカードのサイズより大きく、
前記上下方向において、前記第2弾性梁部のサイズは、前記第1弾性梁部のサイズより大きい
トレイを提供する。
【0012】
また、本発明は、第7のトレイとして、第5又は第6のトレイであって、
前記第1逃がし孔は、前記第2カード収容部まで貫通しており、
前記第2カード収容部に収容されるカードには、突部が設けられており、
当該カードが前記第2カード収容部に収容された際に、前記突部は部分的に前記第1逃がし孔内に収容されている
トレイを提供する。
【0013】
また、本発明は、第8のトレイとして、第1から第7までのいずれかのトレイであって、
前記第1弾性梁部及び前記第2弾性梁部の夫々は、両持ち梁である
トレイを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトレイは、第1カード収容部と、第2カード収容部とを有しており、第1カード収容部は、上下方向において第2カード収容部と異なる位置に位置している。また、第1カード収容部は、第1弾性梁部と、第1対向部と、第1隆起部とを有しており、第2カード収容部は、第2弾性梁部と、第2対向部と、第2隆起部とを有しており、第1弾性梁部及び第2弾性梁部の夫々は、独立して弾性変形可能となっている。これにより、本発明のトレイは、複数のカードを独立してトレイの両面に保持できるよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態によるカードコネクタを示す斜視図である。図示されたカードコネクタは、トレイがコネクタ本体に受容された受容状態にある。
【
図3】
図2のカードコネクタをA-A線に沿って示す断面図である。
【
図4】
図1のカードコネクタを示す別の斜視図である。図示されたカードコネクタは、トレイがコネクタ本体から引き出された引出状態にある。
【
図5】
図4のカードコネクタを示す別の斜視図である。
【
図7】
図6のカードコネクタをB-B線に沿って示す断面図である。
【
図8】
図4のカードコネクタに含まれるトレイ、第1カード及び第2カードを示す斜視図である。
【
図13】特許文献1の変換アダプタを示す斜視図である。
【
図14】
図13の変換アダプタを示す別の斜視図である。ここで、変換アダプタのカード収容部にはマイクロSIMカードが収容されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示されるように、本発明の実施の形態によるカードコネクタ100は、コネクタ本体200と、トレイ300とを備えている。
【0017】
図3に示されるように、本実施の形態のコネクタ本体200は、前後方向に沿ってトレイ300を受容する。より詳しくは、コネクタ本体200は、前後方向に沿って後方からトレイ300を受容する。本実施の形態において、前後方向はX方向である。また、前方は+X方向であり、後方は-X方向である。
【0018】
図7に示されるように、本実施の形態のコネクタ本体200は、ハウジング210と、複数の端子270と、シェル290と、トレイ受容部205とを有している。
【0019】
図7を参照して、本実施の形態のハウジング210は絶縁部材からなり、第1ハウジング215と、第2ハウジング255とを含んでいる。
【0020】
図7に示されるように、本実施の形態の第1ハウジング215は、平板部216と、突出部217とを有している。
【0021】
図7を参照して、本実施の形態の平板部216は、上下方向と直交する略平板形状を有している。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。ここで上方は+Z方向であり、下方は-Z方向である。
【0022】
図7を参照して、本実施の形態の突出部217は、前後方向及び上下方向と直交する幅方向に延びている。本実施の形態において、幅方向はY方向である。突出部217は平板部216から上下方向において下方に突出している。即ち、突出部217の下端は、平板部216の下端よりも下方に位置している。突出部217は、第1ハウジング215の前端を規定している。
【0023】
図7を参照して、本実施の形態の第2ハウジング255は、上下方向と直交する略平板形状を有している。第2ハウジング255は、上下方向において第1ハウジング215の下方に位置している。
【0024】
図7に示されるように、本実施の形態の端子270は、第1端子272と、第2端子275とを含んでいる。
【0025】
図7を参照して、本実施の形態の第1端子272は金属製であり、第1接点部273を有している。第1端子272は、第1ハウジング215の平板部216に保持されている。第1接点部273は、上下方向において第1ハウジング215の平板部216の下端の下方に位置している。
【0026】
図7を参照して、本実施の形態の第2端子275は金属製であり、第2接点部276を有している。第2端子275は、第2ハウジング255に保持されている。第2接点部276は、上下方向において第2ハウジング255の上端の上方に位置している。
【0027】
図7を参照して、本実施の形態のシェル290は金属製であり、前後方向と直交する平面内においてハウジング210を包囲している。
【0028】
図7に示されるように、本実施の形態のトレイ受容部205は、前後方向に延びる空間であり、後端に開口部206を有している。トレイ受容部205は、後端において開口しており、前端は閉じている。トレイ受容部205は、トレイ300を開口部206からコネクタ本体200に挿入した際に、トレイ300を受容する空間である。開口部206は、前後方向においてコネクタ本体200の後端に位置している。
【0029】
図3及び
図7を参照して、本実施の形態のトレイ300は、前後方向において前方に向けてカードコネクタ100のコネクタ本体200に挿入されるものである。より詳しくは、トレイ300は、前後方向において前方に向けてコネクタ本体200のトレイ受容部205に挿入されるものである。
【0030】
図7に示されるように、本実施の形態のトレイ300は、第1カード収容部310と、第1逃がし孔392と、第2カード収容部340と、第2逃がし孔394とを有している。即ち、トレイ300には、第1逃がし孔392と、第2逃がし孔394とが設けられている。
【0031】
図4に示されるように、本実施の形態の第1カード収容部310は、第1カード(カード)500を収容するものである。
【0032】
図8を参照して、本実施の形態の第1カード500は、複数のパッド510を有するナノSIMカード500である。
図3、
図4及び
図7を参照して、第1カード500を収容したトレイ300がコネクタ本体200に受容された受容状態において、第1カード500のパッド510は、コネクタ本体200の端子270の第1端子272の第1接点部273に夫々接続される。
【0033】
図9に示されるように、本実施の形態の第1カード収容部310は、上下方向において上方に開放している。
図7に示されるように、第1カード収容部310は、前後方向と直交する上下方向において、第2カード収容部340と異なる位置に位置している。より詳しくは、第1カード収容部310は、上下方向において第2カード収容部340の上方に位置している。なお、本発明はこれに限定されず、第1カード収容部310は、上下方向において、第2カード収容部340の下方に位置していてもよい。
【0034】
図9に示されるように、本実施の形態の第1カード収容部310は、第1弾性梁部312と、第1隆起部314と、第1対向部316と、第1交差部318とを有している。
【0035】
図10に示されるように、本実施の形態の第1弾性梁部312は、上下方向及び前後方向の双方と交差する交差方向に延びている。より詳しくは、第1弾性梁部312は、上下方向及び前後方向の双方と直交する幅方向に延びている。即ち、本実施の形態の交差方向は、幅方向である。なお本発明はこれに限定されず、交差方向は、上下方向及び前後方向の双方と交差していればよい。第1弾性梁部312は、両持ち梁である。第1弾性梁部312は、独立して弾性変形可能である。第1弾性梁部312は、前後方向において、第1逃がし孔392の前方に位置している。第1弾性梁部312の後端は、第1逃がし孔392の前端である。
【0036】
図10に示されるように、本実施の形態の第1隆起部314は、第1弾性梁部312から第1対向部316に向かって隆起している。第1隆起部314は、第1弾性梁部312から前後方向において前方に隆起している。第1隆起部314は、交差方向において第1弾性梁部312の中央に位置している。より詳しくは、第1隆起部314は、幅方向において第1弾性梁部312の中央に位置している。
【0037】
図10に示されるように、本実施の形態の第1対向部316は、前後方向において第1弾性梁部312と対向している。第1対向部316は、前後方向において第1弾性梁部312の前方に位置している。第1対向部316は、第1カード収容部310の前端を規定している。
【0038】
図8及び
図10を参照して、前後方向において、第1隆起部314と第1対向部316との間の距離寸法D1は、第1カード収容部310に収容される第1カード500のサイズS1より小さい。これにより、第1カード収容部310に第1カード500を収容した際に第1弾性梁部312が撓んで第1カード500を第1カード収容部310に強固に保持することができる。
【0039】
図8に示されるように、本実施の形態の第1交差部318は、前後方向及び幅方向の双方と交差している。第1交差部318は、幅方向において第1対向部316と連結されている。より詳しくは、第1交差部318の前端319は、第1対向部316と連結されている。第1交差部318は、前後方向において第1弾性梁部312の前方に位置している。第1交差部318は、前後方向において第1隆起部314の前方に位置している。
【0040】
図9及び
図10を参照して、本実施の形態の第1逃がし孔392は、前後方向において第1カード収容部310の第1弾性梁部312の後方に位置しており、第1カード収容部310の第1弾性梁部312の弾性変形を許容している。前後方向において、第1逃がし孔392の位置と、第1カード収容部310の位置とは、重複していない。第1逃がし孔392は、第2カード収容部340まで貫通している。より詳しくは、第1逃がし孔392は、上下方向において第2カード収容部340まで貫通している。
【0041】
上述のように、第1対向部316は、前後方向において第1弾性梁部312の前方に位置しており、第1弾性梁部312は、前後方向において第1逃がし孔392の前方に位置している。しかしながら本発明はこれに限定されず、第1対向部316、第1弾性梁部312及び第1逃がし孔392が、前後方向において、本実施の形態と逆に配置されていてもよい。即ち、第1対向部316が第1弾性梁部312の後方に位置しており、且つ、第1弾性梁部312が第1逃がし孔392の後方に位置していてもよい。
【0042】
図3に示されるように、本実施の形態の第1逃がし孔392は、トレイ300がコネクタ本体200に受容された受容状態において、コネクタ本体200の端子270の第1端子272の後方に位置している。より詳しくは、
図3及び
図7を参照して、第1逃がし孔392は、トレイ300がコネクタ本体200に受容された受容状態において、コネクタ本体200の端子270の第1端子272の第1接点部273の後方に位置している。即ち、本実施の形態のカードコネクタ100において、トレイ300をコネクタ本体200のトレイ受容部205に挿入する際に、コネクタ本体200の端子270の第1端子272の第1接点部273がトレイ300の第1逃がし孔392
上を通過することはない。一方、第1対向部316、第1弾性梁部312及び第1逃がし孔392が、前後方向において、本実施の形態と逆に配置されている場合、トレイ300をコネクタ本体200のトレイ受容部205に挿入する際に、コネクタ本体200の端子270の第1端子272の第1接点部273がトレイ300の第1逃がし孔392
上を通過することとなるため、第1端子272が摩耗したり、第1端子272の第1接点部273がトレイ300の第1逃がし孔392に嵌って第1端子272が座屈してしまう可能性がある。従って、本実施の形態のトレイ300の構成は、上述のような欠点が無く、より好ましい。
【0043】
図5に示されるように、本実施の形態の第2カード収容部340は、第2カード(カード)600を収容するものである。
【0044】
図5及び
図8を参照して、本実施の形態の第2カード600は、複数のパッド610と、突部620とを有するマイクロSDカード600である。即ち、第2カード収容部340に収容される第2カード(カード)600には、突部620が設けられている。
図3及び
図5を参照して、第2カード600を収容したトレイ300がコネクタ本体200に受容された受容状態において、第2カード600のパッド610は、コネクタ本体200の端子270の第2端子275の第2接点部276に夫々接続される。
【0045】
図8に示されるように、前後方向において、第2カード収容部340に収容される第2カード(カード)600のサイズS2は、第1カード収容部310に収容される第1カード(カード)500のサイズS1より大きい。
【0046】
図7に示されるように、実施の形態の第2カード収容部340は、上下方向において下方に開放している。第2カード収容部340は、上下方向において第1カード収容部310の下方に位置している。第2カード600が第2カード収容部340に収容された際に、突部620は部分的に第1逃がし孔392内に収容されている。より詳しくは、
図3に示されるように、第2カード600が第2カード収容部340に収容された際に、突部620の上側の部分は、第1逃がし孔392に収容されている。このとき、
図6に示されるように、上下方向と直交する方向において、突部620の上側の部分の外周は、第1逃がし孔392の内壁の内側に位置している。また、上述のように、前後方向において、第1逃がし孔392の位置と、第1カード収容部310の位置とは、重複していない。これらのことから、第2カード600が第2カード収容部340に収容された際に突部620を収容する部分の位置が第1カード収容部310の位置と前後方向において重複している場合と比較して、トレイ300の第1カード500及び第2カード600を収容する部分の上下方向におけるサイズを抑制することができる。
【0047】
図11に示されるように、本実施の形態の第2カード収容部340は、第2弾性梁部342と、第2隆起部344と、第2対向部346と、第2交差部348とを有している。
【0048】
図11に示されるように、本実施の形態の第2弾性梁部342は、上下方向及び前後方向の双方と交差する交差方向に延びている。より詳しくは、第2弾性梁部342は、上下方向及び前後方向の双方と直交する幅方向に延びている。即ち、本実施の形態の交差方向は、幅方向である。なお本発明はこれに限定されず、交差方向は、上下方向及び前後方向の双方と交差していればよい。第2弾性梁部342は、両持ち梁である。第2弾性梁部342は、独立して弾性変形可能である。第2弾性梁部342は、前後方向において第1逃がし孔392と第2逃がし孔394との間に位置している。即ち、第2弾性梁部342は、前後方向において、第1逃がし孔392の後方に位置しており、且つ、第2逃がし孔394の前方に位置している。第2弾性梁部342の前端は、第1逃がし孔392の後端である。第2弾性梁部342の後端は、第2逃がし孔394の前端である。
【0049】
上述のように、本実施の形態の第1弾性梁部312及び第2弾性梁部342の夫々は、独立して弾性変形可能である。これにより、第1弾性梁部312と第2弾性梁部342とが共通部分を有していることにより独立して変形可能となっていない場合と比較して、第1カード収容部310への第1カード500の収容と、第2カード収容部340への第2カード600の収容とを別個独立に行うことができる。また、第1カード500及び第2カード600が形状やサイズにおいてバラつきを有していたとしても、第1カード収容部310及び第2カード収容部340に適切に夫々保持することができる。
【0050】
図10に示されるように、本実施の形態の第1弾性梁部312と第2弾性梁部342とは、前後方向において互いに異なる位置に位置している。より詳しくは、第2弾性梁部342は、前後方向において第1弾性梁部312の後方に位置している。また、第1弾性梁部312と第2弾性梁部342とは、幅方向において同じ位置に位置している。一般的に、スマートフォン等の筐体内に配置されるカードコネクタにおいては、カードコネクタの幅方向のサイズは、スマートフォン等の筐体のサイズに直接影響するため、できるだけ小さくすることが求められている。この点を考慮すると、本実施の形態のトレイ300における第1弾性梁部312と第2弾性梁部342の配置によれば、第1弾性梁部312と第2弾性梁部342とを幅方向において異なる位置に配置した場合と比較して、カードコネクタ100を配置するスマートフォン等の筐体自体の大型化を避けることができるため、好ましい。
【0051】
図9に示されるように、上下方向において、第2弾性梁部342のサイズS4は、第1弾性梁部312のサイズS3より大きい。即ち、第2弾性梁部342は、第1弾性梁部312よりも大きいバネ力を有している。これにより、第2カード収容部340は、第1カード収容部310に収容される第1カード500よりも大型の第2カード600を収容することができるよう構成されている。
【0052】
図11に示されるように、本実施の形態の第2隆起部344は、第2弾性梁部342から第2対向部346に向かって隆起している。即ち、第2隆起部344は、第2弾性梁部342から前後方向において前方に隆起している。第2隆起部344は、交差方向において第2弾性梁部342の中央に位置している。より詳しくは、第2隆起部344は、幅方向において第2弾性梁部342の中央に位置している。第1隆起部314と第2隆起部344とは、幅方向において同じ位置に位置している。
【0053】
図11に示されるように、本実施の形態の第2対向部346は、前後方向において第2弾性梁部342と対向している。第2対向部346は、前後方向において第2弾性梁部342の前方に位置している。第2対向部346は、第2カード収容部340の前端を規定している。
【0054】
図8及び
図11を参照して、前後方向において、第2隆起部344と第2対向部346との間の距離寸法D2は、第2カード収容部340に収容される第2カード600のサイズS2より小さい。これにより、第2カード収容部340に第2カード600を収容した際に第2弾性梁部342が撓んで第2カード600を第2カード収容部340に強固に保持することができる。
【0055】
図11に示されるように、本実施の形態の第2交差部348は、前後方向及び幅方向の双方と交差している。第2交差部348は、前後方向において第2弾性梁部342と第2対向部346との間に位置している。より詳しくは、第2交差部348は、前後方向において、第2弾性梁部342の前方に位置しており、且つ、第2対向部346の後方に位置している。
【0056】
図9及び
図11を参照して、本実施の形態の第2逃がし孔394は、上下方向においてトレイ300を貫通している。第2逃がし孔394は、前後方向において第2弾性梁部342の後方に位置しており、第2弾性梁部342の弾性変形を許容している。
【0057】
上述のように、第2対向部346は、前後方向において第2弾性梁部342の前方に位置しており、第2弾性梁部342は、前後方向において第2逃がし孔394の前方に位置している。しかしながら本発明はこれに限定されず、第2対向部346、第2弾性梁部342及び第2逃がし孔394が、前後方向において、本実施の形態と逆に配置されていてもよい。即ち、第2対向部346が第2弾性梁部342の後方に位置しており、且つ、第2弾性梁部342が第2逃がし孔394の後方に位置していてもよい。
【0058】
図3に示されるように、本実施の形態の第2逃がし孔394は、トレイ300がコネクタ本体200に受容された受容状態において、コネクタ本体200の端子270の第2端子275の後方に位置している。より詳しくは、第2逃がし孔394は、トレイ300がコネクタ本体200に受容された受容状態において、コネクタ本体200の端子270の第2端子275の第2接点部276の後方に位置している。即ち、本実施の形態のカードコネクタ100において、トレイ300をコネクタ本体200のトレイ受容部205に挿入する際に、コネクタ本体200の端子270の第2端子275の第2接点部276がトレイ300の第2逃がし孔394上を通過することはない。一方、第2対向部346、第2弾性梁部342及び第2逃がし孔394が、前後方向において、本実施の形態と逆に配置されている場合、トレイ300をコネクタ本体200のトレイ受容部205に挿入する際に、コネクタ本体200の端子270の第2端子275の第2接点部276がトレイ300の第2逃がし孔394上を通過することとなるため、第2端子275が摩耗したり、第2端子275の第2接点部276がトレイ300の第2逃がし孔394に嵌って第2端子275が座屈してしまう可能性がある。従って、本実施の形態のトレイ300の構成は、上述のような欠点が無く、より好ましい。
【0059】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
100 カードコネクタ
200 コネクタ本体
205 トレイ受容部
206 開口部
210 ハウジング
215 第1ハウジング
216 平板部
217 突出部
255 第2ハウジング
270 端子
272 第1端子
273 第1接点部
275 第2端子
276 第2接点部
290 シェル
300 トレイ
310 第1カード収容部
312 第1弾性梁部
314 第1隆起部
316 第1対向部
318 第1交差部
319 前端
340 第2カード収容部
342 第2弾性梁部
344 第2隆起部
346 第2対向部
348 第2交差部
392 第1逃がし孔
394 第2逃がし孔
500 第1カード(カード)
510 パッド
600 第2カード(カード)
610 パッド
620 突部
D1 距離寸法
S1 サイズ
D2 距離寸法
S2 サイズ
S3 サイズ
S4 サイズ