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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】殺生物剤の相乗的組合せ
(51)【国際特許分類】
   A01N 33/12 20060101AFI20220217BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20220217BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220217BHJP
   A01N 47/44 20060101ALI20220217BHJP
   A61K 31/14 20060101ALI20220217BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20220217BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220217BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220217BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220217BHJP
   A61K 8/43 20060101ALI20220217BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 31/02 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20220217BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01P1/00
A01P3/00
A01N47/44
A61K31/14
A61K31/155
A61K47/02
A61K47/18
A61K8/41
A61K8/43
A61Q19/00
A61P43/00 121
A61P31/02
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018567667
(86)(22)【出願日】2017-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 US2017038101
(87)【国際公開番号】W WO2017222965
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】62/354,489
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520061734
【氏名又は名称】アークサーダ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】マクジーチャン,ポーラ
(72)【発明者】
【氏名】プロイス,アンドレア
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-521434(JP,A)
【文献】国際公開第2015/069655(WO,A1)
【文献】特表2003-513992(JP,A)
【文献】特開昭62-292709(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148751(US,A1)
【文献】特開2016-030735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
A61K
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺生物性特性を有する組成物であって、
第4級アンモニウムカチオンの塩を含む第1の殺生物剤であって、第1の殺生物剤が第4級アンモニウムカチオンの炭酸塩および/または重炭酸塩を含む第1の殺生物剤;
第1の殺生物剤と併せて相乗的に働いて真菌を含む微生物を死滅させるまたはその成長を阻害するように選択される第2の殺生物剤であって、第2の殺生物剤が、微生物を死滅させるまたはその成長を阻害する両方の殺生物剤の能力が、両方の殺生物剤が一緒のときと同じ濃度で殺生物剤の一方のみが存在する場合よりも大きくなるように、第1の殺生物剤と関連して存在する、第2の殺生物剤;および
アルカリ度ビルダーまたは錯化剤の少なくとも1つ
を含み、第2の殺生物剤が、クロルヘキシジンまたはその塩を含む、殺生物性特性を有する組成物。
【請求項2】
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、またはその組合せから選択されるアルカリ度ビルダーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、またはその組合せから選択される錯化剤を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
第1の殺生物剤が微生物に対して組成物中で分画阻止濃度を有し、第2の殺生物剤も微生物に対して組成物中で分画阻止濃度を有し、第1の殺生物剤の分画阻止濃度および第2の殺生物剤の分画阻止濃度の和が1未満である、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
微生物が細菌ウイルス、酵母、胞子またはマイコバクテリアをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
微生物が、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Serratia marcescens、Salmonella enteritidis、Neisseria gonorrhoeae、大腸菌、Enterococcus hirae、Acinetobacter baumannii、Listeria monocytogenes、Enterobacter gergoviae、Klebsiella pneumoniae、Burholderia cepacia、Pseudomonas putida、Kocuria rhizophila、Candida albicans、Saccharomyces cerevisiae、Aspergillus brasiliensis、Penicillium funiculosum、Eupenicillium levitum、Bacillus cereus、Bacillus subtilis、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium terrae、Mycobacterium avium、ポリオウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスおよび/またはヒトパピローマウイルスを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
第1の殺生物剤および第2の殺生物剤が約1:5から約5:1の重量比で組成物中に存在する、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
第4級アンモニウムカチオンの炭酸塩および/または重炭酸塩を含む第1の殺生物剤;
第1の殺生物剤と併せて相乗的に働いて真菌を含む微生物を死滅させるまたはその成長を阻害するように選択される第2の殺生物剤であって、第2の殺生物剤が、微生物を死滅させるまたはその成長を阻害する両方の殺生物剤の能力が、両方の殺生物剤が一緒のときと同じ濃度で殺生物剤の一方のみが存在する場合よりも大きくなるように、第1の殺生物剤と関連して存在する、第2の殺生物剤;ならびに
溶媒、界面活性剤、封鎖剤、錯化剤、腐食阻害剤、アルカリ度ビルダー、pH調整剤、保存剤、助剤、酸、起泡剤、香料および着色料を含む群から選択される1種または複数の補助剤
を含み、第2の殺生物剤が、クロルヘキシジンまたはその塩を含む、消毒剤組成物。
【請求項9】
基剤製剤;および
請求項1から8のいずれかに記載の組成物を含む保存剤
を含む化粧製品または衛生製品。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載の殺生物性特性を有する組成物を含む、隣接する物体を消毒するための表面清浄剤。
【請求項11】
該組成物を、一定期の間表面上に残留させ、該期間が3分以下である、請求項10に記載の表面清浄剤。
【請求項12】
該組成物を、一定期の間表面上に残留させ、該期間が90秒以下である、請求項10に記載の表面清浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、2016年6月24日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願番号第62/354,489号に基づき、それの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]消毒剤は、生物、特に微生物を死滅させる、破壊する、またはその成長を阻害することができる任意の化学剤を指す。消毒用製品はとしては、硬質表面清浄剤、手指除菌剤、機器用の消毒前清浄剤、滅菌組成物および高レベル消毒剤組成物などが挙げられる。
【0003】
[0003]理想的には、消毒剤は、様々なpHレベルで微生物の全ての種類に対して広域スペクトル活性を有する。消毒剤は、その上、最小量の抗微生物剤が使用されることで、コストを削減するとともに抗微生物剤によって引き起こされる任意の可能な有害作用を回避または低減することができるように高い効力を有するべきである。その上、消毒剤は、製造中、包装中および発送中、ならび貯蔵中に遭遇する温度の任意の変化に対して安定であることが望ましい。さらに、理想的な消毒剤は、抗微生物剤が様々な製品に適切に取り入れられるように、異なる適用系の成分と物理的および化学的に適合性がある。
【0004】
[0004]過去において、様々な異なる消毒剤が提案されてきた。例えば、過去に使用されてきた消毒剤は、アルコール、例えばイソプロピルアルコールおよびエタノール、銅化合物、銀化合物、アルデヒド、ならびに酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムなどを含む。
【0005】
[0005]上記消毒剤に加えて、第4級化合物も過去に使用されてきた。しかしながら、第4級化合物は、限定された活性スペクトルを有することがある。加えて、ある特定の用途において、第4級化合物は、所望の効力を達成するために相対的に高い濃度で使用する必要がある。しかしながら、相対的に高い濃度の第4級化合物を製品に添加することは、問題であることがある。例えば、第4級化合物は、製造および生成するのに高価であるだけでなく、様々な規制要件を受けることもある。その結果として、第4級化合物の効力スペクトルを増加させるとともに同時に、所望の効果をなお維持しながら該化合物の必要とされる濃度を低減するための方法の必要性が存在する。これに関して、本開示は、第4級化合物を含有する抗微生物組成物の改善、および該組成物を使用するための方法を対象とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]一般に、本開示は、殺生物性特性を有する組成物を対象とする。本開示に従って、第2の殺生物剤と組み合わせて第1の殺生物剤を含有する抗微生物組成物を開示する。第1の殺生物剤は、第4級アンモニウムカチオンの塩を含む。第1の殺生物剤は、第4級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩、ハロゲン化物塩またはプロピオン酸塩を含むことができる。第2の殺生物剤は、他方で、第2の殺生物剤が、第1の殺生物剤と併せて相乗的に働いて微生物または複数の異なる微生物を死滅させるかまたはその成長を阻害するために、所望される特定の殺生物剤特性に応じて選択される。本明細書で使用される場合、相乗的相互作用は、一緒に組み合わされる2種の殺生物剤が、単独で作用する殺生物剤の一方のみの殺生物剤特性よりも大きい総合効果を有することを指す。言い換えると、本開示の第1および第2の殺生物剤が、一緒に相乗的に働いて、ある特定の微生物に対して各々の存在下で同じ濃度で、第1の殺生物剤単独での抗微生物活性または第2の殺生物剤単独での抗微生物活性と比較してより大きな抗微生物活性を有することである。相乗効果により、該組成物中に存在する第1の殺生物剤の量は、所望の効力をなお生成しながら低減することができる。
【0007】
[0007]一実施形態において、本開示は、殺生物性特性を有する組成物であって、第4級アンモニウムカチオンの塩を含む第1の殺生物剤、および第1の殺生物剤と相乗的に働いて微生物を死滅させる、破壊するまたはその成長を阻害するように選択される第2の殺生物剤を含む、組成物を対象とする。第2の殺生物剤はビグアニドを含むことができる。第2の殺生物剤は、微生物を死滅させるまたはその成長を阻害する両方の殺生物剤の能力は、両方の殺生物剤が一緒のときと同じ濃度で殺生物剤の一方のみが存在する場合よりも大きくなるように、第1の殺生物剤と関連して該組成物中に存在する。
【0008】
[0008]様々な異なる微生物は、本開示に従って死滅させることができる。例えば、本開示の抗微生物組成物は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、酵母、胞子およびウイルスなどを防除することができる。本開示に従って防除することができる特定の微生物の例としては、大腸菌、Staphylococcus aureus、Aspergillus brasiliensis、またはその混合物が挙げられる。
【0009】
[0009]一実施形態において、例えば、第2の殺生物剤はビグアニドおよびその誘導体を含むことができる。例えば、第2の殺生物剤はポリヘキサメチレンビグアニドまたはグルコン酸クロルヘキシジンを含むことができる。
【0010】
[0010]一般に、第1の殺生物剤および第2の殺生物剤は、約1:5から約5:1など約1:20から約20:1の重量比で該組成物中に存在することができる。
[0011]本開示の抗微生物組成物は、多数のおよび異なる製品において使用することができる。例えば、抗微生物組成物は、硬質表面清浄剤、手指除菌剤、医療機器などの機器用の消毒溶液へ、または任意の他の適切な消毒用製品に取り入れることができる。消毒剤に加えて、本開示の抗微生物組成物は、保存剤組成物としても使用することができ、例えば、化粧製品または衛生製品に含有させることができる。化粧製品または衛生製品は、基本組成物および保存剤を含むことができ、ここで、保存剤は、上に記載されている通りの殺生物剤の組合せを含む。
【0011】
[0012]本開示は、消毒剤組成物を生成するための方法も対象とする。該方法は、第4級アンモニウムカチオンの塩を含む第1の殺生物剤を、第1の殺生物剤と相乗的に働いて微生物を死滅させるまたはその成長を阻害するように選択される第2の殺生物剤と組み合わせることを含む。第2の殺生物剤は、ビグアニドまたはその任意の塩、類似体もしくは誘導体であってよい。
【0012】
[0013]本開示他の特色および態様は、より詳細に下記で考察されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0014]本考察は、単なる例証的な実施形態の記載であり、本開示のより広い態様を限定すると意図されないことが当業者によって理解されるものとする。
[0015]一般に、本開示は、殺生物性特性を有する組成物を対象とする。該組成物は多数の使用および用途を有する。一実施形態において、該組成物は消毒剤を含むことができる。消毒剤は、任意の適切な工業または分野において使用することができる。例えば、消毒剤は、食品および飲料の分野で使用することができ、施設用製品、家庭用製品またはヘルスケア製品を構成することができる。消毒剤は、例えば、硬質表面消毒剤、手指除菌剤、滅菌組成物または高レベル消毒剤組成物、および機器用の消毒前清浄剤などを構成することができる。代替実施形態において、該組成物は、パーソナルケア製品または衛生製品などの製品のための保存剤として使用することができる。
【0014】
[0016]本開示の組成物は、第4級アンモニウムカチオンの塩を含む第1の殺生物剤を含有する。第1の殺生物剤は、第4級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩、ハロゲン化物塩、またはプロピオン酸塩を含むことができる。第1の殺生物剤は、第2の殺生物剤と組み合わされることで、1つまたは複数の微生物を死滅させるおよび/または防除する。本開示に従った第1の殺生物剤および第2の殺生物剤は、一緒に相乗的に働いて微生物を死滅させるまたはその成長を阻害する。より具体的に言えば、本開示に従って一緒に組み合わされた2種の殺生物剤は、殺生物剤の1つが組成物に単独で存在する場合よりも低い濃度でより大きな効力を有する。2種の異なる殺生物剤の使用は、複数の微生物に対して該組成物の活性のスペクトルを増強することもできる。したがって、本開示の抗微生物組成物は、より低い濃度で使用することができ、なお、より広い範囲の微生物に対してより有効であり得る。第1の殺生物剤と併せて使用されるべき第2の殺生物剤の選択は、標的微生物に基づくことができ、スクリーニング手順を使用して選択することができる。最終的に、抗微生物組成物は、頑強な保存および/または抗微生物特性をなお提供しながら相対的に低い合計濃度の殺生物剤で生成することができる。
【0015】
[0017]本開示に従って一緒に組み合わされた殺生物剤の相乗的組合せは、少なくとも第1の殺生物剤および第2の殺生物剤を含む。一部の実施形態において、第3の殺生物剤および/または第4の殺生物剤が存在することで、相乗効果をさらに増強することができる。本開示に従って、第1の殺生物剤は一般に第4級アンモニウム塩を含む。その結果として、本開示は、一実施形態において、特に、第4級アンモニウム塩との相乗的相互作用を有する第2の殺生物剤を選択することを対象とする。このようにして、該組成物に含有される第4級アンモニウム塩の量は、最小化することができる。加えて、相乗的相互作用により、第2の殺生物剤の量も最小化することができる。言い換えると、相乗的相互作用を有する2種の殺生物剤を含有する組成物は、本開示に従って作製することができ、ここで、両殺生物剤は、1つまたは複数の標的微生物に対して同じまたはより良好な効力をなお有しながら、1つまたは複数の第4級アンモニウム塩だけが組成物中に存在する場合よりも低い合計濃度で組成物に含有される。
【0016】
[0018]一実施形態において、第1の殺生物剤は第4級アンモニウムカーボネートを含むことができる。第4級アンモニウムカーボネートは、以下の式によって表すことができる:
【0017】
【化1】
【0018】
式中、Rは、C~C20アルキルまたはアリール置換アルキル基であり、RはC~C20アルキル基であり、好ましくは式中、RはRと同じであり、RはC~C12アルキル基であり、同様に、組成物は、対応する第4級アンモニウムビカーボネートをさらに含み、
【0019】
【化2】
【0020】
式中、Rは、上記と同じもしくは異なるC~C20アルキルまたはアリール置換アルキル基であり、Rは、上記と同じまたは異なるC~C20アルキル基であるが、好ましくは式中、RはRと同じであり、RはC~C12アルキル基である。
【0021】
[0019]一実施形態において、該組成物に含有される第1の殺生物剤は、ジC~C12アルキルアンモニウムカーボネート/ビカーボネートを含む。例えば、特定の一実施形態において、抗微生物組成物または保存剤組成物は、ジデシルジメチルアンモニウムカーボネートおよびジデシルジメチルアンモニウムビカーボネートを含有する。
【0022】
[0020]しかしながら、他の実施形態において、第4級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩は、ジオクチルジメチルアンモニウムカーボネート、デシルオクチルジメチルアンモニウムカーボネート、ベンザルコニウムカーボネート、ベンゼトニウムカーボネート、ステアラルコニウムカーボネート、セトリモニウムカーボネート、ベヘントリモニウムカーボネート、ジオクチルジメチルアンモニウムビカーボネート、デシルオクチルジメチルアンモニウムビカーボネート、ベンザルコニウムビカーボネート、ベンゼトニウムビカーボネート、ステアラルコニウムビカーボネート、セトリモニウムビカーボネート、ベヘントリモニウムビカーボネート、および1つまたは複数のこうした炭酸塩の混合物から選択することができる。
【0023】
[0021]別の実施形態において、第1の殺生物剤は第4級アンモニウムハロゲン化物を含むことができる。第4級アンモニウムハロゲン化物は、例えば、アルキル第4級アンモニウムハロゲン化物またはベンジルアンモニウムハロゲン化物を含むことができる。
【0024】
[0022]「クワット」としても知られている第4級アンモニウム化合物は、典型的に、適切なアニオンを有する少なくとも1つの第4級アンモニウムカチオンを含む。クワットは一般に一般式(1)を有する。
【0025】
【化3】
【0026】
[0023]R基、R基、R基およびR基は、広い限度内で変動することができ、抗微生物特性を有する第4級アンモニウム化合物の例は、当業者によく知られている。典型的に、R、R、RおよびRの2つは低級アルキルであり、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基など、1個から4個の炭素原子を有することを意味する。加えて、R、R、RおよびRの2つは、6個から24個の炭素原子のより長鎖のアルキル基、またはベンジル基である。Aは、無機酸または有機酸の一価アニオンまたは1当量の多価アニオンである。Aのための適切なアニオンは、原則として、全ての無機アニオンもしくは有機アニオン、特にハロゲン化物、例えば塩化物もしくは臭化物、カルボキシレート、スルホネート、ホスフェート、またはその混合物である。
【0027】
[0024]一実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、以下のR基を有することができ:RはベンジルまたはC6~18-アルキルであり、RはC1~18-アルキルまたは-[(CH-O]であり、ここでn=1~20であり、RおよびRは互いに独立してC1~4-アルキルであり、Rは水素または非置換もしくは置換フェニルであり、Aは、無機酸または有機酸の一価アニオンまたは1当量の多価アニオンである。
【0028】
[0025]一実施形態において、第4級アンモニウム化合物は、ジメチルジアルキルアンモニウム化合物などのジアルキルアンモニウム化合物を含むことができる。一実施形態において、ジメチルジアルキルアンモニウム化合物は、アルキル基の各々において約8個から約10個の炭素原子など約8個から約12個の間の炭素原子を有することができる。
【0029】
[0026]第1の殺生物剤として使用することができるジメチルジアルキルアンモニウム化合物の例としては、ジメチルジオクチルアンモニウムクロリドなどのジメチルジオクチルアンモニウム化合物、およびジメチルジデシルアンモニウムクロリドなどのジメチルジデシルアンモニウム化合物などが挙げられる。ジメチルジアルキルアンモニウム化合物の混合物も使用することができ、上に記載されているものなど他のアニオンも使用することができる。市販されているジメチルジアルキルアンモニウム化合物としては、例えば、Lonza America、IncによってBARDAC(商標)の商標で市販されている組成物が挙げられる。
【0030】
[0027]代替実施形態において、第1の殺生物剤は、アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物などのベンジルアンモニウム化合物を含むことができる。一般に、アルキル基は、約12個から約16個の炭素原子など約10個から約18個の炭素原子を含有する。
【0031】
[0028]第1の殺生物剤として使用可能なアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物の例としては、C12アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、C14アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびC16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドが挙げられる。加えて、これらのアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物の混合物が使用され得る。市販されているアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物としては、例えば、Lonza America、IncによってBARQUAT(登録商標)の商標で市販されている組成物が挙げられる。これらの市販されているアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物は、C12、C14およびC16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドのブレンドである。一般に、アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物は、ブレンドの場合、C16アルキル構成要素よりもより高い濃度のC12アルキルおよびC14アルキル構成要素を含有することが好ましい。上に記述されているものを含めた他のアニオンも使用することができることに留意されたい。
【0032】
[0029]また別の実施形態において、第1の殺生物剤は第4級アンモニウムプロピオネートを含むことができる。第4級アンモニウムプロピオネートは、例えば、ポリ(オキシアルキル)アンモニウムプロピオネートを含むことができる。特定の一実施形態において、例えば、第1の殺生物剤はN,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネートを含むことができる。
【0033】
[0030]上に記載されている通りの第1の殺生物剤は、本開示に従って少なくとも第2の殺生物剤と組み合わされる。第1の殺生物剤と相乗的に働いて標的微生物または複数の標的微生物の成長を破壊および/または阻害する第2の殺生物剤が選択される。一実施形態において、微生物に対する第1の殺生物剤の効力を増加できる第2の殺生物剤が選択されることで、組成物における殺生物剤の全体的濃度は、殺生物剤の1つを含有するだけの組成物と比較して低減することができる。下記の実施例において説明される通り、第2の殺生物剤は、相乗的相互作用を決定するためのスクリーニングプロセスを介して選択することができる。第2の殺生物剤は、特定の適用および防除されるべき微生物に応じて様々な異なる化合物を含むことができる。
【0034】
[0031]一実施形態において、第2の殺生物剤は、標的微生物に対して試験される場合、第1の殺生物剤および第2の殺生物剤の分画阻止濃度(fractional inhibitory concentration)の和が1未満であるように選択される。殺生物剤の分画阻止濃度は、単独で使用される場合に成長を防除するのに必要とされる殺生物剤の量で割った、混合物中の成長を防除した殺生物剤の濃度として算出される。殺生物剤の分画阻止濃度は、標的微生物に対して試験される場合の殺生物剤の最小阻害濃度で、第1の殺生物剤および第2の殺生物剤の混合物中の抗微生物活性に起因しうる殺生物剤の濃度を割ることによって算出することができる。本開示に従って、特定の微生物を標的化する場合、第1の殺生物剤および第2の殺生物剤の分画阻止濃度の和は、約0.9未満、例えば約0.8未満、例えば約0.7未満であってよい。1未満の任意の値は相乗的相互作用を示す。
【0035】
[0032]一実施形態において、第2の殺生物剤は、グアニジン、特にビグアニドおよび/もしくはそれの置換生成物、塩、類似体、誘導体、ならびに/またはその組合せを含むことができる。ビグアニドは、以下の式によって一般的に表されるが、他の形態で存在することが知られている。
【0036】
【化4】
【0037】
式中、R、R、RおよびRは各々独立して、水素、任意選択により置換されているアルキル、任意選択により置換されているフェニル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコールおよびテトラエチレングリコールから選択されるか、またはR、R、RおよびRの1つは、
【0038】
【化5】
【0039】
であってよく、式中、R、RおよびRは各々独立して、水素、任意選択により置換されているアルキル、任意選択により置換されているフェニル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコールおよびテトラエチレングリコールから選択される。アルキル基およびフェニル基のための置換基としては、以下に限定されないが、ハロ、例えばクロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード、ヒドロキシおよびアミノが挙げられる。アルキル基は、1個から6個の炭素を有することができ、飽和または不飽和の直鎖または分岐であってよい。
【0040】
[0033]一実施形態において、第2の殺生物剤は、別名としてポリビグアニドとしても知られているポリマー性ビグアニド、またはその塩、類似体もしくは誘導体を含むことができる。一実施形態において、ポリビグアニドはコポリマーまたはヘテロポリマーであってよい。ポリビグアニドは、線状、分岐、円形および/または樹枝状であってよい。ポリマー反復単位の数は、2個から1,000個、例えば5個から750個、例えば10個から500個、例えば25個から250個、例えば50個から100個の反復単位で変動することができる。特定の一実施形態において、ポリビグアニドは、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリヘキサメチレンモノグアニド(PHMG)、ポリエチレンビグアニド(PEB)、ポリテトラメチレンビグアニド(PTMB)、ポリエチレンヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリメチレンビグアニド(PMB)、ポリ(アリルビグアニド-co-アリルアミン(allylbiguanidnio-co-allyamine)、ポリ(N-ビニル-ビグアニド)、ポリアリルビグアニドなどを含むことができる。
【0041】
[0034]例えば、特定の一実施形態において、第2の殺生物剤は、ポリヘキサメチレンビグアニドなどのポリアルキレンビグアニドを含むことができる。一実施形態において、第2の殺生物剤は、ポリアミノプロピルビグアニド(PABP)としても知られているポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩(PHMB)を含むことができる。
【0042】
[0035]PHMBは、以下の式によって一般的に表されるが、グアニジンを含めて、様々な末端基を有するポリマー性ビグアニドの複合混合物として存在することが知られている(示されていない)。
【0043】
【化6】
【0044】
n値は、ビグアニドポリマーの反復単位の数を表す。
[0036]さらに特に、PHMBは、末端基、例えば、アミン、シアノグアニジノおよびグアニジンの異なる組合せを含むことができる様々なビグアニドポリマーの混合物であってよい。これらの3つの末端基だけに基づき、少なくとも6つの可能なビグアニドポリマーが存在し得る。PHMB-AAと称される、2つの末端アミン基を有する1つのビグアニドポリマー、PHMB-CGCGと称される、2つの末端シアノグアニジノ基を有するもの、およびPHMB-GGと称される、2つの末端グアニジン基を有するものがあり得る(下記を参照されたい)。2つの異なる末端基の組合せを有する3つの可能なビグアニドポリマーもあり得る。再び、上記末端基に基づき、それらとしては、アミン-シアノグアニジノ(PHMB-ACG)、アミン-グアニジノ(PHMB-AG)およびグアニジン-シアノグアニジノ(GCG)が挙げられる。したがって、PHMBの試料は、3つの記述されている末端基を有するポリマー性ビグアニドの混合物を含むことができる。さらに、該組成物の一部は、鎖内ポリマー性グアニドを含むことができる(示されていない)。「n」という添字は、反復基の平均数を表し、ポリマー長さの分布は、下記に示されるポリマーの各々について存在する。
【0045】
【化7】
【0046】
式中、nは、約1から約20など約1から約50であってよい。
[0037]ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩などのポリヘキサメチレンビグアニドは、広い抗微生物範囲を有し、速効性である。さらに、該抗微生物剤は、広いpH範囲にわたって安定である。
【0047】
[0038]一実施形態において、第2の殺生物剤はビスビグアニドを含むことができる。ビスビグアニドは以下の式によって一般的に表されるが、他の形態で存在することが知られている。
【0048】
【化8】
【0049】
[0039]式中、AおよびAは各々、(1)1個から約4個の炭素原子を含有するアルキル基もしくはアルコキシ基、ニトロ基、またはハロゲン原子によって任意選択により置換されているフェニル基;(2)1個から約12個の炭素原子を含有するアルキル基;あるいは(3)4個から約12個の炭素原子を含有する脂環式基のいずれかを表し;式中、XおよびXは各々、1個から3個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し;式中、ZおよびZは各々、0または1のいずれかであってよく;式中、RおよびRは各々、水素、または1個から約12個の炭素原子を含有するアルキル基、または7個から約12個の炭素原子を含有するアラルキル基のいずれかを表し;式中、nは、包含的な2から12の整数であり;式中、(CH鎖は、酸素原子もしくは硫黄原子、芳香族核などによって任意選択により中断されていてよいか、またはハロゲン化物、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル(alkynl)基もしくはアセチル基、芳香族核などで置換されていてよい。一実施形態において、(CH鎖は、二価の架橋基によって任意選択により置き換えられていてよく、ここで、二価の架橋基は、以下に限定されないが、アルキレン、脂環式基、環式核、芳香族核などから選択することができ、酸素原子または硫黄原子、芳香族核などで置換されていてよいまたはそれによって中断されていてよい。例証的なビスビグアニド化合物はとしては、以下に限定されないが、クロルヘキシジン、アレキシジン、トリフルオロメチルフェニルビスビグアニド、その類似体、誘導体および/または塩が挙げられる。
【0050】
[0040]特定の一実施形態において、第2の殺生物剤は、クロルヘキシジンまたはその誘導体もしくは塩を含むことができる。クロルヘキシジンは、以下の式によって一般的に表される。
【0051】
【化9】
【0052】
[0041]一実施形態において、第2の殺生物剤はクロルヘキシジン塩を含むことができる。例えば、第2の殺生物剤は、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンまたは酢酸クロルヘキシジンを含むことができる。
【0053】
[0042]一実施形態において、第2の殺生物剤はビグアニド塩を含むことができる。例えば、一実施形態において、第2の殺生物剤は、ビグアニド、ポリビグアニド、ビスビグアニド、その誘導体および/または類似体の無機塩または有機塩を含むことができる。特定の一実施形態において、第2の殺生物剤は、ビグアニド、ポリビグアニドおよび/またはビスビグアニドハロゲン化物;塩化物、臭化物およびヨウ化物など;塩酸塩;硫酸塩;グルコン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;コハク酸塩;酒石酸塩;亜リン酸塩;リン酸塩;ホスホン酸塩;亜硝酸塩;硝酸塩;炭酸塩;硫酸塩;スルホン酸塩;スルホン酸アルキル;スルホン酸フェニル;カルボン酸アミノ;カルボン酸塩;ヒドロキシカルボキシレート;有機ホスフェート;有機ホスホン酸塩;有機スルホン酸塩;有機硫酸塩など、およびその組合せを含むことができる。
【0054】
[0043]別の実施形態において、第2の殺生物剤は、ビグアニドの金属錯体を含むことができる。一実施形態において、例えば、第2の殺生物剤は、以下に限定されないが、鉄、亜鉛、ニッケル、クロミウム、カドミウム、ルテニウム、イリジウム、メンデレビウム、銀、オスミウム、シリコーン、白金、マンガン、コバルト、銅、ホウ素、テクネチウム、レニウム、パラジウム、バナジルなど、およびその組合せと錯体化されたビグアニド、その誘導体および/または類似体を含む群から選択することができる。
【0055】
[0044]一実施形態において、第2の殺生物剤は、ジメトキシフェニルビグアニド、アリールビグアニド、N-アリール化ビグアニド、N-アルキル化ビグアニド、N,N-二置換ビグアニド、ジメチル-ビグアニド(メトホルミン)、N-(4-クロロフェニル)-N’-(イソプロピル)-イミドジカルボンイミド酸ジアミド(プログアニル)、1-[アミノ-(3,4-ジクロロアニリノ)メチリデン]-2-プロパン-2-イルグアニジン(クロル-プログアニル)、1-ブチルビグアニド(ブホルミン)、フェネチルビグアニド(フェンホルミン)、ピリメタミン、フェナントリジンビグアニド、アリールメチルビグアニドおよびクロロフェニルビグアニドなどを含む群から選択されるビグアニドを含むことができる。
【0056】
[0045]特定の一実施形態において、本開示の組成物は、ポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩などのビグアニドと組み合わせてジデシルジメチルアンモニウムカーボネートおよびジデシルジメチルアンモニウムビカーボネートを含むことができる。該組成物は、アルカリ度ビルダー、界面活性剤および/または錯化剤をさらに任意選択により含むことができる。非限定的な実施形態において、任意選択のアルカリ度ビルダーは、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、およびその混合物から選択することができる。任意選択の界面活性剤は、以下に限定されないが、脂肪アルコールポリグリコール、線状アルコールエトキシレート、およびその組合せを含めた群から選択することができる。任意選択の錯化剤は、以下に限定されないが、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、およびその混合物から選択することができる。
【0057】
[0046]上記実施形態において、本開示の組成物は、3重量%から8重量%など2重量%から12重量%の量で第1の殺生物剤を含有することができる。該組成物は、3重量%から8重量%など2重量%から12重量%の量で第2の殺生物剤を含有することができる。
【0058】
[0047]一実施形態において、該組成物は、5重量%から15重量%など3重量%から20重量%の量でアルカリ度ビルダーを含有することができる。アルカリ度ビルダーは、2重量%から10重量%など1重量%から15重量%の量で組成物中に存在することができる。
【0059】
[0048]一実施形態において、該組成物は、2重量%から10重量%など1重量%から18重量%の量で少なくとも1種の界面活性剤を含有することができる。
[0049]一実施形態において、該組成物は、3重量%から10重量%など2重量%から20重量%の量で錯化剤を含有することができる。
【0060】
[0050]一実施形態において、本開示の組成物は、ジデシルジメチルアンモニウムカーボネートおよびジデシルジメチルアンモニウムビカーボネート、ポリヘキサメチレンビグアニド、アルカリ度ビルダー、界面活性剤および錯化剤を含む第1の殺生物剤を含むことができる。ジデシルジメチルアンモニウムカーボネートおよびジデシルジメチルアンモニウムビカーボネートは、約2重量%から約12重量%の量で組成物中に存在することができる。ポリヘキサメチレンビグアニドは、約2重量%から約12重量%の量で組成物中に存在することができる。アルカリ度ビルダーは、約3重量%から約20重量%の量で組成物中に存在することができる。界面活性剤は、約1重量%から約18重量%の量で組成物中に存在することができる。錯化剤は、約2重量%から約20重量%の量で組成物中に存在することができる。
【0061】
[0051]本開示の組成物は、最初に濃縮物に配合することができ、これは次いで希釈され、最終生成物に添加することができる。異なる構成要素の相対量は、多くの因子に基づいて著しく変動する場合がある。因子としては、使用される殺生物剤の種類、最終の使用用途、および防除が求められる微生物が挙げられる。一実施形態において、第1の殺生物剤は、第2の殺生物剤に対して、約1:5から約5:1など約20:1から約1:20の重量比で存在することができる。
【0062】
[0052]上に記載されている通り、第1および第2の殺生物剤は、濃縮物中に一緒に含有し、後に、使用される時に希釈することができる。消毒用製品を生成する場合、例えば、第1および第2の殺生物剤は、約5重量%より多い量で、例えば約10重量%より多い量で、例えば約15重量%より多い量で、例えば約20重量%より多い量で濃縮物中に存在することができる。濃縮物は、約50重量%未満の量で、例えば約30重量%未満の量で第1および第2の殺生物剤を含有することができる。使用中、該濃縮物は、最終生成物が、約0.01重量%より多い量で、例えば約0.1重量%より多い量で、例えば約0.5重量%より多い量で、例えば約0.75重量%より多い量で、例えば約1重量%より多い量で、例えば約1.25重量%より多い量で、例えば約1.5重量%より多い量で第1および第2の殺生物剤を含有するように希釈することができる。最終生成物は一般に、約5重量%未満の量で、例えば約3重量%未満の量で、例えば約2重量%未満の量で第1および第2の殺生物剤を含有する。
【0063】
[0053]第1および第2の殺生物剤が保存剤として使用される場合、濃縮形態における保存剤は、約15重量%より多い量で、例えば約20重量%より多い量で、例えば約25重量%より多い量で、例えば約30重量%より多い量で、例えば約35重量%より多い量で第1および第2の殺生物剤を含有することができる。濃縮保存剤組成物は一般に、約50重量%未満の量で、例えば約45重量%未満の量で、例えば約40重量%未満の量で第1および第2の殺生物剤を含有する。保存剤として製品に添加する場合、濃縮物は次いで、保存剤が約0.01重量%より多い量で、例えば約0.05重量%より多い量で、例えば約0.1重量%より多い量で、例えば約0.2重量%より多い量で、例えば約0.3重量%より多い量で、例えば約0.4重量%より多い量で、例えば約0.5重量%より多い量で第1および第2の殺生物剤を含有するように希釈される。第1および第2の殺生物剤は、製品に添加される場合、約2重量%未満の量で、例えば約1.5重量%未満の量で、例えば約1重量%未満の量で保存剤に含有され得る。しかしながら、上記範囲は単に例証的であることが理解されるものとする。
【0064】
[0054]様々な異なる微生物は、本開示に従って死滅または防除することができる。例えば、本開示の抗微生物組成物は、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌などを防除することができる。細菌に加えて、本開示の抗微生物組成物は、様々な他の微生物、例えば真菌、ウイルス、胞子、酵母およびマイコバクテリアなどを死滅させるおよびその成長を防除することもできる。本開示に従って死滅または防除することができる特定の微生物の例としては、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Serratia marcescens、Salmonella enteritidis、Neisseria gonorrhoeae、大腸菌、Enterococcus hirae、Acinetobacter baumannii、Listeria monocytogenes、Enterobacter gergoviae、Klebsiella pneumoniae、Burholderia cepacia、Pseudomonas putida、Kocuria rhizophila、Candida albicans、Saccharomyces cerevisiae、Aspergillus brasiliensis、Penicillium funiculosum、Eupenicillium levitum、Bacillus cereus、Bacillus subtilis、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium terrae、Mycobacterium avium、ポリオウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、またはその混合物が挙げられる。
【0065】
[0055]第1の殺生物剤および第2の殺生物剤および任意選択により第3の殺生物剤に加えて、該組成物は、様々な他の構成要素および成分を含有することができる。例えば、第1および第2の殺生物剤は、殺生物剤が消毒用製品に配合されているかまたは保存剤として使用されているかによって、様々な異なる構成要素と組み合わせることができる。
消毒用途
[0056]様々な異なる消毒剤組成物は、本開示に従って作製することができる。消毒用製品は、例えば、硬質表面を清浄するために、機器を前清浄滅菌または高レベル消毒するために、および/または手指除菌剤として使用することができる。一般に、第1および第2の殺生物剤は、任意の適切な消毒用製品に取り入れることができる。
【0066】
[0057]硬質表面清浄剤として使用される場合、抗微生物組成物は、表面上に組成物を注ぐこと;スプレー;これは、以下に限定されないが、ポンプスプレーアプリケーターおよび加圧スプレーアプリケーターなどを含めたスプレー手段を介して表面に適用される;飽和ワイプ;布片およびバケツ;モップおよびバケツ;スポンジおよびバケツ;または自動化清浄装置、ならびに表面を除菌または消毒する目的で表面に抗微生物組成物を適用するための他の同様のおよび従来の方法を介するなど、従来の手段によって、清浄、除菌または消毒されるべき表面に送達することができる。
【0067】
[0058]本開示の抗微生物組成物を使用するため、表面は、表面に抗微生物組成物をスプレーすること、注ぐこと、拭き取ること、またはそれ以外の方法で適用することによって基材で処理される。表面に一旦適用されると、抗微生物組成物は、所定期間にわたり表面上に残留したままになる。抗微生物組成物は、表面に適用してそのまま乾燥させてもよいし、または代替として、乾燥ワイプまたは拭き取り器具で表面を拭き取ることによって乾燥させてもよい。
【0068】
[0059]該組成物で消毒することができる表面としては、以下に限定されないが、酪農、家、ヘルスケア設備、スイミングプール、缶詰工場、食品加工工場、レストラン、病院、施設、および二次油回収を含めた工業に設置されたものが挙げられる。ガラスおよび研磨アルミニウムなどの硬質表面は、適用に特に適切である。適用のために標的化される特定の領域としては、家における硬質表面、例えばキッチン調理台、キャビネット、電化製品、空き缶、洗濯用領域、ごみ箱、浴室備品、トイレ、水タンク、蛇口、鏡、洗面台、バスタブおよびシャワーが挙げられる。該組成物は、床、壁、家具、鏡、トイレ備品、窓、および木材表面、例えば柵手すり、玄関の手すり、デッキ、屋根ふき材、羽目板、窓枠およびドア枠を除菌するために使用することもできる。該組成物、塩化第4級アンモニウム化合物、および消毒活性(disinfecting active)は、間接的な食品接触表面、例えばまな板、用具、容器、皿、洗面器、電化製品および調理台上の適用に特によく適切である。該組成物または塩化第4級アンモニウム化合物は、酪農工場装置、搾乳器、乳桶およびタンクローリーなどを除菌するために使用することができる。病院における領域としては、ベッド、担架、テーブル、キャニスター、トイレ、空き缶、台、キャビネット、シャワー室、床、壁または任意の他の非多孔質表面が挙げられる。
【0069】
[0060]硬質表面清浄剤に加えて、上に記載されている通り、抗微生物組成物は、手指除菌剤、消毒前清浄剤または高レベルの消毒剤もしくは滅菌剤溶液に取り入れることもできる。
消毒剤
[0061]消毒用製品に含有される場合、該殺生物剤は、様々な異なる構成要素と組み合わせることができる。例えば、一実施形態において、溶媒は、該生成物中に存在することができる。一般に、溶媒は、水などの極性溶媒、またはアルコールおよび/もしくはグリコールエーテルなどの水混和性溶媒である。水に加えて、抗微生物組成物は、水混和性有機溶媒をさらに含むことができる。水混和性溶媒の例としては、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテルおよびその組合せが挙げられる。
【0070】
[0062]溶媒に加えて、該消毒用製品は、界面活性剤を含有することができる。典型的に、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤である。界面活性剤は、消毒剤濃縮物の約1重量%から約20重量%の間の量で存在する。典型的に、界面活性剤は、濃縮物の2重量%から15重量%の間である。
【0071】
[0063]特に適切な界面活性剤は、約2モルから約8モルの間のアルコキシ化を一般に有するアルコキシ化アルコール界面活性剤である。典型的に、3モルから6モルの間のアルコキシ化がある。1つの特定の例は、約4.5モルのアルコキシ化である。該アルコキシ化度を有することに加えて、アルコキシル化されるアルコールは、Ce~C12アルキルアルコールである。一実施形態において、アルキルアルコールは、Cs~C10アルキルアルコールである。アルコキシ化はエトキシ化であってよい。一般に、8~14の範囲、より一般には10から12の間、例えば約11であるHLB(親水性-親油性バランス)を有することが望ましい。
【0072】
[0064]本発明において使用することができる非イオン性界面活性剤としては、以下に限定されないが、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、グリセロールアルキルエステル、ポリグリセロールエステル、グリセリルラウレート、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ポロキサマーならびにポリエトキシ化獣脂アミン(POEA)、ならびにその混合物が挙げられる。濃縮物における非イオン性界面活性剤の量は、該配合物の約1w/w%から約8w/w%である。典型的に、該濃縮物は、2w/w%から5w/w%の非イオン性界面活性剤を含有する。使用準備済の製品における非イオン性界面活性剤の量は、該溶液の約0.05w/w%から約3w/w%である。別の実施形態において、該製品における非イオン性界面活性剤は、該溶液の約0.05w/w%から約1.5w/w%である。典型的に、該消毒用製品は、0.06から1w/w%の非イオン性界面活性剤を含有する。
【0073】
[0065]さらに、該消毒用製品は、任意選択の封鎖剤を含有することができる。封鎖剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、四ナトリウムEDTAからなる群から選択される酢酸誘導体が挙げられる。金属イオンを除去するNTAおよびEDTAの能力は、硬質の(カルシウム)沈殿を防ぐことによって溶解を容易にする。封鎖剤は、該組成物における消毒構成要素の有効性に不利に影響し得る他の金属イオンとの結合に役立つこともある。加えて、封鎖剤は、使用中に土除去および/または消毒用組成物中への土再堆積を防止することを補助することもできる。封鎖剤は、該濃縮物中に存在する場合、一般に最大約20重量%までの量で存在し、典型的には約2重量%から約8重量%の量で存在する。
【0074】
[0066]該消毒用製品は、pH調整剤も含有することができる。適切なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよび他の同様の化合物が挙げられる。本発明において、該濃縮物および最終の消毒剤組成物は、約6から約13の範囲のpHを有する。一般に、該消毒剤組成物は、pHが約6から約8の範囲であるならば中性の消毒用組成物と考えられる。該消毒剤組成物は、pHが8超から約12の範囲である場合にアルカリ性の消毒剤組成物と考えられる。
【0075】
[0067]該消毒用製品は、任意選択により、腐食阻害剤、錯化剤、助剤、保存剤、芳香および着色料などをさらに含有することができる。例証的な腐食阻害剤としては、例えば、有機リン化合物、および有機リン化合物とポリマー性構成要素とのブレンドが挙げられる。例証的な助剤としては、例えば、ポリエチレングリコールまたは他の同様の化合物が挙げられる。着色料および芳香は、該組成物の機能に干渉することがないとともに組成物を識別するのに役立つことができるという条件で添加することができる。一般に、任意選択のさらなる成分は、該組成物の約20重量%未満を構成する。
【0076】
[0068]抗微生物組成物は、少なくとも1つの酸またはその塩を含むこともできる。酸は無機酸または有機酸であってよい。好ましい実施形態において、酸はC1~C8カルボン酸である。より好ましい実施形態において、酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、またはその混合物である。追加の実施形態において、酸は、ヒドロキシ酸、芳香族酸、またはその混合物である。別の追加の実施形態において、酸は、メタンスルホン酸、リン酸、エチドロン酸、フィチン酸、ホスホノ酢酸(phosphoacetic acid)、N-(ホスホノメチル)イミノジ酢酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸(methylphosphonoic acid))、S,S-エチレンジアミン-N’N’-二コハク酸、それらのアルカリ塩、またはその任意の混合物である。
【0077】
[0069]一部の実施形態において、酸は、クエン酸、リン酸、コハク酸、乳酸、S,S-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸、1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸(HEDP)、ジピコリン酸(DPA)、メタンスルホン酸(MSA)、それらのアルカリ塩、またはその任意の混合物である。
【0078】
[0070]好ましい実施形態において、酸は酸の混合物である。一部の実施形態において、酸は以下の有機酸の1種または複数を含む:クエン酸、コハク酸、リン酸および乳酸。別の実施形態において、酸は、以下の酸の1種または複数を含む:別の酸と組み合わせて、クエン酸、コハク酸、リン酸および乳酸。例えば、クエン酸は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそれのアルカリ塩、HEDPおよび/またはMSAと組み合わせて使用することができる。別の例として、コハク酸は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそれのアルカリ塩、HEDPおよび/またはMSAと組み合わせて使用することができる。別の例として、リン酸は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそれのアルカリ塩、HEDPおよび/またはMSAと組み合わせて使用することができる。別の例として、乳酸は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸またはそれのアルカリ塩、HEDPおよび/またはMSAと組み合わせて使用することができる。
【0079】
[0071]該組成物は、約1重量%から約5重量%の有機酸、例えばクエン酸、コハク酸、リン酸、乳酸、またはその任意の混合物を、別の酸と組み合わせて含むことができる。別の態様において、該組成物は、約1重量%から約5重量%の有機酸、例えばクエン酸、コハク酸、リン酸、乳酸、またはその任意の混合物を、約0.05重量%から約5重量%の別の酸と組み合わせて含むことができる。別の実施形態において、該組成物は、約2重量%から約4重量%の有機酸、例えばクエン酸、コハク酸、リン酸、乳酸、またはその任意の混合物を、約0.1重量%から約4重量%の別の酸、例えばエチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそれのアルカリ塩、HEDPおよび/またはMSAと組み合わせて含むことができる。
【0080】
[0072]1つの特に有用な適用方法は、消毒剤組成物をワイプ基材に含浸させることである。この実施形態において、ワイプは、消毒用組成物を含浸させた単回使用ワイプであり、ワイプを使用者に分配する容器中に貯蔵される。ワイプ付の容器は、単一のワイプを含有していてもよいし、または複数のワイプを含有していてもよい。適切な容器は、使用者によって引裂き開封される湿ったタオレットなどの単一のワイプを含有するパウチを含むか、または積み重ね様式、ロール様式、もしくは1回で単一のワイプが開口部から取り出せるようになっている他の適切な構成で複数のワイプを含有する再密封可能な開口を有するパウチであってよい。パウチは一般に、流体不浸透性材料、例えばフィルム、コーティングされたペーパーもしくはホイル、または他の同様の流体不浸透性材料から調製される。本発明のワイプを分配するための別の方法は、容器中のワイプを取り出すための開口部を有する流体不浸透性容器にワイプを入れることである。容器は、流体不浸透性である蓋を有する成形プラスチック容器であってよい。一般に、蓋は、容器中のワイプを取り出すための開口部を有する。容器中のワイプは、ワイプが容器から取り出されると、使用者が次のワイプを取り出す準備が整っている容器の開口部に次のワイプが配置されるように交互に(interleaved)積み重ねられた状態であってよい。代替として、ワイプは、連続した材料であり、連続した材料の個々のワイプ間にミシン目があるものであってよい。ミシン目を有する連続したワイプ材料は、折り畳まれた形態であってもよいし、またはロール形態であってもよい。一般に、ロール形態において、ワイプ材料はロール材料の中心から送給される。交互の積み重ねと同様に、ワイプが容器から取り出されると、必要な時に次のワイプが取り出せるような使用のために次のワイプが開口部に配置される。
【0081】
[0073]使い捨てワイプは、他の用途媒体、例えば再利用可能なスポンジまたは布片などを超える利点を提供する。反復して使用されるスポンジおよび布片などと異なり、含浸ワイプは単回で使用され、使い捨てにされる。上に記述されている通り、再使用されるスポンジまたは布片は、スポンジまたは布片が、消毒用組成物によって容易には死滅しない微生物を保持するため問題がある。さらに、消毒用組成物は、スポンジまたは布片中に存在する多孔質軟質表面ではなく硬質表面を処理するように配合される。
【0082】
[0074]ワイプが予め湿っており、ワイプが処理されるべき表面に沿って走行するときに、表面上で消毒用組成物が絞り出されたりまたは放出されたりするように、消毒用組成物をワイプに含浸させることができる。一般に、消毒用組成物は、ワイプが拭き取り動作を介して表面に消毒用組成物を放出するようにワイプ中に飽和される。ワイプ基材に応じて、飽和は一般に、飽和されるべきワイプ基材1wt部当たり約3wt部の消毒用組成物を使用して達成された。一般に、消毒用組成物は、ワイパー基材1重量部当たり約4重量部から6重量部で使用される。これらの範囲において、基材の完全飽和が達成され得る。消毒溶液の量は、具体的なワイプ基材に応じて、ワイプ基材の完全飽和を達成するために上下してよいことが留意される。
【0083】
[0075]適切なワイプ基材としては、織材料および不織材料が挙げられる。基本的に任意の不織ウェブ材料が使用され得る。例証的な不織材料としては、以下に限定されないがメルトブローン、コフォーム、スパンボンド、エアレイド、水流交絡不織物、スパンレース、ボンデッドカードウェブ、およびその積層物を挙げることができる。任意選択により、不織物は、同様にフィルム材料を用いて積層することができる。ワイプ基材を調製するために使用される繊維は、セルロース系繊維、熱可塑性繊維、およびその混合物であってよい。繊維は、連続繊維、不連続繊維、短繊維、およびその混合物であってもよい。不織ウェブの基本重量は、1平方メートル当たり約12グラムから1平方メートル当たり200グラム、またはそれ以上に変動することができる。
【0084】
[0076]一実施形態において、ワイプは、許容可能な耐性レベル内で活性成分および不活性成分の両方を含有する液体構成要素が含浸され、ワイプから絞り出される消毒用組成物は、許容可能な耐性レベル内で活性成分を含有する。一旦表面に適用されると、該抗微生物消毒用組成物は、一時期の間表面上に残留させておかれる。抗微生物組成物は、表面に適用され、乾燥させておくことができるか、または代替として、好ましくは使用されない乾燥ワイプまたは拭き取り器具で表面を拭き取ることによって乾燥させることができる。
【0085】
[0077]本発明のワイプまたは消毒用組成物が表面を拭くために使用される場合、消毒は、4分未満、一般には3分以下、および具体的には90秒以下で達成される。抗微生物消毒用組成物は、消毒を発生させるのに十分な時間の間、消毒を必要とする表面と接触したままであることが当業者によって理解される。本発明の組成物は、限定されないが多くの異なる微生物に対して有効であることが発見された。
【0086】
[0078]なお別の実施形態において、消毒剤組成物は手指除菌剤として使用することができる。手指除菌剤として使用される場合、本開示の殺生物剤は、上に記載されている成分のいずれかと組み合わせることができる。一実施形態において、例えば、殺生物剤は、水および/またはアルコールなどの溶媒と組み合わせることができる。1つの特定の適用において、ディスペンサーからポンピングされた時に組成物を起泡させる起泡剤が添加され得る。起泡剤は、該殺生物剤と適合性のある任意の適切な起泡剤を含むことができる。一実施形態において、例えば、起泡剤はジメチコンを含むことができる。
【0087】
[0079]一実施形態において、本開示の組成物は、第1の殺生物剤と組み合わされる第2の殺生物剤および第3の殺生物剤を含むことができる。例えば、一実施形態において、第2の殺生物剤は、上に記載されている通りのビグアニドを含むことができ、第3の殺生物剤は芳香族ジアルデヒドを含むことができる。芳香族ジアルデヒドは、オルトフタルアルデヒド(OPA)、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、またはその組合せから選択することができる。フタルアルデヒド異性体の構造は下記に示される:
【0088】
【化10】
【0089】
一実施形態において、好ましい芳香族ジアルデヒドはOPAである。
[0080]一実施形態において、消毒剤組成物は、機器の消毒のため、例えば器具、医療機器または内視鏡機器の前清浄および消毒または末端の高レベル消毒のために使用することができる。一実施形態において、機器が手動プロセスにおいて処理される場合、消毒剤組成物は、適切な濃度の消毒剤組成物に機器を浸漬することによって適用することができる。例えば、プラスチック容器もしくは金属容器、ステンレス鋼シンク、または任意の他の適切な容器は、消毒剤組成物を保持する槽として使用することができる。一実施形態において、空隙、内腔および中空のセクションを含めて、機器または器具または内視鏡機器の完全な浸漬が必要であり得る。内視鏡機器などの機器の消毒のために使用される場合、内視鏡機器および他の機器のチャネルはフラッシングされる必要があり得る。一般に、消毒後、機器は、水で、好ましくは著しい分量の水で徹底的に濯がれ、フラッシングされなければならない。
【0090】
機器を伴う用途において、消毒剤組成物の適切な濃度は、約500mg/Lから約25,000mg/L、例えば約1,000mg/Lから約23,000mg/Lであってよい。前洗浄するため、該消毒剤組成物の好ましい濃度は、約500mg/Lから約10,000mg/L、例えば約1,000mg/Lから約9,000mg/L、例えば約2,000mg/Lから約8,000mg/L、例えば約3,000mg/Lから約7,000mg/L、例えば約4,000mg/Lから約6,000mg/Lであってよい。高レベル消毒のため、好ましい消毒剤組成物濃度は、約5,000mg/Lから約25,000mg/L、例えば約8,000mgから約23,000mg/L、例えば約10,000mgから約20,000mg/Lであってよい。機器が消毒剤組成物中に浸漬される実施形態において、必要な接触時間は、約10分から約60分、好ましくは約15分から約30分の範囲であってよい。必要な接触時間は、標的化消毒レベルに基づいて調整することができる。なお別の実施形態において、消毒剤組成物は、自動化洗浄消毒器における機器の消毒のために使用することができる。
保存剤
[0081]消毒剤組成物に加えて、本開示の殺生物剤は、保存剤として使用することもできる。保存剤として使用される場合、該殺生物剤は、任意の適切な製品、例えば塗料、ラテックスエマルジョン、ポリマーエマルジョン、接着剤、シーラント、コーク、鉱物スラリーまたは顔料スラリー、印刷インク、殺有害生物製剤、家庭用製品、パーソナルケア製品、衛生製品および金属加工流体などに取り入れることができる。加えて、保存剤は建材に取り入れることができる。保存剤を含有することができるパーソナルケア製品としては、化粧品製剤、例えばフェイスクリーム、メイクアップリムーバーまたはマスカラが挙げられる。パーソナルケア製品は、シャンプー、コンディショナーまたはスキンローションを含むこともできる。
【0091】
[0082]保存剤として使用される場合、該殺生物剤は、任意の適切な界面活性剤と組み合わせることができる。界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤を含むことができる。
【0092】
[0083]サルフェート部分を有する適切なアニオン性界面活性剤は、式RSOMによって表されるサルフェートを含み、ここで、Rは、鎖の骨格に約10個から約18個の原子を含有する鎖であり、Mは、カチオン、例えばアンモニウム;アルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン;一価の金属、例えばナトリウムおよびカリウム;ならびに多価金属、例えばマグネシウムおよびカルシウムである。一実施形態において、サルフェート部分を有するアニオン性界面活性剤は、Rが、10個から18個の炭素原子、好ましくは10個から16個の炭素原子、より好ましくは10個から14個の炭素原子を有するアルキルである硫酸アルキルである。Rは直鎖または分岐鎖であってよい。有利には、Rは直鎖である。一実施形態において、Rはオクチル基である。
【0093】
[0084]例証的な硫酸アルキルとしては、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、トリエチルアミンドデシルサルフェート、トリエタノールアミンドデシルサルフェート、モノエタノールアミンドデシルサルフェート、ジエタノールアミンドデシルサルフェートおよびアンモニウムドデシルサルフェートが挙げられる。
【0094】
[0085]スルホネート部分を有する適切なアニオン性界面活性剤は、式RSOMを有するスルホネートを含み、ここで、Rは、鎖の骨格に10個から18個の原子を含有する直鎖または分枝鎖であり、Mは、カチオン、例えばアンモニウム;アルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン;一価の金属、例えばナトリウムおよびカリウム;ならびに多価金属、例えばマグネシウムおよびカルシウムである。一実施形態において、Rは骨格にスクシネート基を含有する。別の実施形態において、Rは、約10個から約18個の炭素原子、好ましくは約10個から約16個の炭素原子、より好ましくは約10個から約14個の炭素原子を含有するアルキル基である。
【0095】
[0086]本発明の組成物に適切な例証的なスルホネートとしては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ならびに第1級および第2級アルキルスルホネートが挙げられる。
[0087]適切なアニオン性界面活性剤(ii)は、アルキルアリールスルホン酸またはその塩であり、ここで、アルキル部分は約10個から約18個の炭素原子を含有し、アリール部分はベンジルまたは置換ベンジル基を含有する。一実施形態において、アルキルアリールスルホン酸は、式
【0096】
【化11】
【0097】
によって表され、式中、Rは、約10個から約18個、好ましくは10個から16個、より好ましくは10個から14個の炭素原子を有するアルキルである。一実施形態において、RはC12アルキル基である。
【0098】
[0088]界面活性剤が存在するかどうかは、該組成物の最終使用用途に依存し得る。これに関して、該組成物(濃縮物または最終生成物)は、乳化剤、稠度因子剤、軟化剤、増粘剤、充填剤、潤滑剤および芳香などを含有することができる。
【0099】
[0089]パーソナルケア製品に取り入れる場合、製品は、乳化剤、稠度因子剤、軟化剤および/または活性成分を含有することができる。
[0090]適切な乳化剤は、例えば、脂肪酸の塩のようなアニオン性、例えばステアリン酸ナトリウムまたはパルミチン酸ナトリウム、有機石鹸、例えばモノ、ジまたはトリエタノールアミネート(triethanolaminoeate)、硫酸化またはスルホン化化合物、例えばラウリル硫酸ナトリウムまたはセチルスルホン酸ナトリウム、サポニン、ラメポン;第4級アンモニウム塩のようなカチオン性;脂肪アルコールのような非イオン性、飽和または不飽和脂肪酸との脂肪酸エステル、脂肪酸のポリオキシエチレンエステルまたはポリオキシエチレンエステル、酸化エチレンおよび酸化プロピレンまたはプロピレングリコールからのポリマー、ホスファチドのような両性物(amphotherics)、ゼラチンのようなタンパク質、カゼインアルキルアミドベタイン、アルキルベタインおよびアンホグリシネート、アルキルホスフェート、アルキルポリオキシエチレンホスフェート(phoaphates)または対応する酸、シリコーン誘導体、例えばアルキルジメチコーンコポリオール(dimethiconecoplyol)である。
【0100】
[0091]適切な稠度因子剤は、例えば脂肪アルコールまたは脂肪酸エステルとのそれらの混合物、例えばアセチル化ラノリンアルコール、ステアリン酸アルミニウム、カルボマー、セチルアルコール、オレイン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル(および)PEG100ステアレート、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、蜜ワックスおよびその合成等価物、ならびにカルボマーなどである。適切な調節剤は、例えばアルキルアミドアンモニウムラクテート、塩化セトリモニウムおよびジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートおよびセテアリルアルコール、セチルジメチコン、リシノール酸セチル、ジメチコン、ラウレス-23、ラウレス-4、ポリデセン、パルミチン酸レチニル、四級化タンパク質加水分解物、四級化セルロースおよびデンプン誘導体、アクリル酸もしくはメタクリル酸または塩の四級化コポリマー、四級化シリコーン誘導体である。
【0101】
[0092]適切な軟化剤は、例えばイソノナン酸セテアリル、オクタン酸セテアリル、オレイン酸デシル、ステアリン酸イソオクチル、ココカプリレート/カプレート、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、イソノナン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸ヘキシル、鉱物油、PEG-75ラノリン、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ワセリン、オゾケライトシクロメチコン、ジメチコン、ジメチコンコポリオール、ジカプリリルエーテル、ブチロスパーマム・パーキー、バクサス・チネンシス、キャノーラ、カルナウバろう(carnauba cera)、カルナウバヤシ(copernicia cerifera)、メマツヨイグサ(oenothera biennis)、アブラヤシ(Elaeis guineensis)、アーモンド(prunus dulcis)、スクアラン、トウモロコシ、ツルマメ(glycine soja)、ヒマワリ(helianthus annuus)、ラノリン、水添ヒマシ油、水素化ヤシ油、水素化ポリイソブテン、ヤシ脂肪酸スクロース、ステアロキシジメチコン、ラノリンアルコール、イソヘキサデカンである。
【0102】
[0093]該組成物は、活性成分、例えば抗微生物薬、抗炎症薬、植物抽出物、ビサボロール、パンテノール、トコフェロール、ヒリヒリ感防止、刺激防止もしくはフケ防止用途のための活性物、またはアンチエージング剤、例えばレチノールおよびメリビオースなどをさらに含有する。他の適切な活性物は、例えば、Medicago officinalis、Actinidia chinensis、アラントイン、Aloe barbadensis、Anona cherimolia、Anthemis nobilis、Arachis hypogaea、Arnica Montana、Avena sativa、ベータ-カロチン、ビサボロール、Borago officinalis、ブチレングリコール、Calendula officinalis、Camellia sinensis、樟脳、Candida bombicola、カプリロイルグリシン、Carica papaya、Centaurea cyanus、塩化セチルピリジニウム、Chamomilla recutita、Chenopodium quinoa、Chinchona succirubra、Chondrus crispus、Citrus aurantium dulcis、Citrus grandis、Citrus limonum、Cocos nucifera、Coffea Arabica、Crataegus monogina、Cucumis melo、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン、Enteromorpha compressa、Equisetum arvense、エトキシジグリコール、エチルパンテノール、ファルネソール、フェルラ酸、Fragaria chiloensis、Gentiana lutea、Ginkgo biloba、グリセリン、ラウリン酸グリセリル、Glycyrrhiza glabra、Hamamelis virginiana、ヘリオトロピン、水素化パームグリセリド、シトレート、加水分解ヒマシ油、加水分解小麦タンパク質、Hypericum perforatum、Iris florentina、Juniperus communis、Lactis proteinum、ラクトース、Lawsonia inermis、リナロオール、Linum usitatissimum、リジン、アスパラギン酸マグネシウム、Magnifera indica、Malva sylvestris、マンニトール、ハチミツ、Melaleuca alternifolia、Mentha piperita、メンソール、乳酸メンチル、Mimosa tenuiflora、Nymphaea alba、オラフルル、Oryza sativa、パンテノール、鉱物油、PEG-20M、PEG-26ホホバ酸、PEG-26ホホバアルコール、PEG-35ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-8カプリル酸/カプリン酸、Persea gratissima、ワセリン、アスパラギン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピレングリコール、Prunus amygdalus dulcis、Prunus armeniaca、Prunus persica、パルミチン酸レチニル、Ricinus communis、Rosa canina、Rosmarinus officinalis、Rubus idaeus、サリチル酸、Sambucus nigra、サルコシン、Serenoa serrulata、Simmondsia chinensis、カルボキシメチルベータグルカンナトリウム、ココイルアミノ酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ナトリウムパルミトイルプロリン、ステアロキシトリメチルシラン、ステアリルアルコール、硫化TEA-リシノリエート、タルク、Thymus vulgaris、Tilia cordata、トコフェロール、酢酸トコフェリル、トリデセス-9、トリチカム・バルガレ、チロシン、ウンデシレノイルグリシン、尿素、Vaccinium myrtillus、バリン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛である。
【0103】
[0094]本開示は、以下の実施例を参照して、より良く理解される。
【実施例
【0104】
[0095]様々な微生物に対する最小阻害濃度について、様々な異なる殺生物剤を試験した。より具体的に言えば、第4級アンモニウムカーボネート/ビカーボネートおよび様々な他の殺生物剤に対して、MIC試験を行った。第4級アンモニウムカーボネート/ビカーボネートを次いで他の殺生物剤の1つと組み合わせ、様々な微生物に対する相乗的相互作用について試験した。以下の結果は、第4級アンモニウムカーボネート/ビカーボネートと他の殺生物剤との相乗作用を実証する。
材料
[0096]滅菌96ウェルマイクロ滴定プレートをFisher scientificから得た。
Titretek自己接着性プレートシーラーをFisher scientificから得た。
50mlリザーバーをFisher scientificから得た。
麦芽寒天、麦芽ブロス、栄養寒天および栄養ブロスをE&Oから得た。
使用された微生物株
[0097]細菌性 大腸菌 ATCC 1576
Staphylococcus aureus ATCC 799
真菌 Aspergillus brasiliensis ATCC 16404
ストック培養物の維持
[0098] 細菌を栄養寒天上で、および真菌を麦芽寒天上で、または胞子懸濁液を生理的食塩水(0.85%(w/v)NaCl)中で維持した。
最小阻害濃度の算出
[0099]細菌を栄養ブロス(1ml当たりおよそ10個の生物)中で定常期(18時間)に成長させた。0.1%(v/v)の種菌を使用して新鮮な培地に播種し、これの100μlを、200μlを含有した第1のウェルを除いたマイクロ滴定プレートの各ウェルに添加した。二倍希釈を使用し、各抗微生物の濃度を縦軸に沿って各ウェルで変動させた。37℃でインキュベーションの24時間後に視覚検査によって、成長の有無を決定した。
【0105】
[00100]真菌を麦芽寒天上にて7日間25℃で成長させて、菌糸体マットを形成し、10mlの生理的食塩水(0.85%(w/v)NaCl)を使用して胞子懸濁液を収集した。これを上記の通り種菌として使用した。成長の有無を、25℃でインキュベーションの48時間後に視覚検査によって決定した。
マイクロ滴定プレートを使用する相乗作用の算出
[00101]8×8アレイにおいて2×MIC(最小阻害濃度)からゼロ濃度までの調査下の2種の化合物の変動濃度を用いて、単純マトリックスを構築した。脱イオン化水中の試験下の材料を前希釈した後に、必要とされる最終濃度の2倍でブロス中にて、溶液を構成した。
【0106】
[00102]各ウェル中の各混合物の合計体積が200μlになるように、各溶液(100μl)をプレートに添加した。栄養ブロスを大腸菌およびS.aureusに、ならびに麦芽ブロスをC.albicansおよびA.brasiliensisに使用した。細菌について37℃で16~24時間の間、酵母について48時間の間、および真菌について25℃で40~72時間の間、プレートをインキュベートした。成長の有無を視覚検査によって記録した。
結果
[00103]最小阻害濃度(MIC)は、単独で使用された場合に成長阻害を示した殺生物剤の最低濃度である。表1に結果を示す。
【0107】
【表1】
【0108】
[00104]混合物における各殺生物剤によって与えられた微生物阻害への寄与、すなわち分画阻止濃度(FIC:Fractional Inhibitory Concentration)は、単独で使用される場合に成長を防除するのに必要な殺生物剤の量で割った、混合物中の成長を防除した殺生物剤の濃度として算出される。第4級アンモニウムカーボネート/ビカーボネートと組み合わせた調査下の全ての化合物について、FIC値を算出した。
【0109】
FIC=混合物中の抗微生物活性に起因しうる殺生物剤Aの濃度/殺生物剤AのMIC
[00105]これらの数字の和から、2種の殺生物剤の作用の指標が得られる。1未満の値は相乗効果を示す。合計が1に等しいならば、作用は相加的であるかまたは可もなく不可もなくであり、値が1よりも大きいならば、殺生物剤は拮抗的である。
【0110】
[00106]下記に結果を示す。
大腸菌に対するジデシルジメチルアンモニウムカーボネート/ビカーボネートの相乗的混合物
【0111】
【表2】
【0112】
Staphylococcus aureusに対するジデシルジメチルアンモニウムカーボネート/ビカーボネートの相乗的混合物
【0113】
【表3】
【0114】
Aspergillus brasiliensisに対するジデシルジメチルアンモニウムカーボネート/ビカーボネートの相乗的混合物
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
[00107]相乗的相互作用は、個々のそれらの効果よりも大きい2つの化学物質の総合効果である。消毒に関して、これは、1対の相乗的殺生物剤が、一方のみの殺生物剤が存在する場合と比較して、ある特定の微生物に対して互いの存在下で、より大きい抗微生物活性を有することを意味する。
【0118】
[00108]上記に示されている通り、試験されたビグアニドと併せた第4級アンモニウムカーボネート/ビカーボネート殺生物剤の間で、劇的なおよび予想外の相乗作用が実証された。実際に、上記に示されている通り、多くの例における両殺生物剤の分画阻止濃度の和は、約0.9未満、例えば約0.8未満、例えば約0.7未満であった。2種の殺生物剤の分画阻止濃度の和は、一般に約0.4よりも大きかった。
【0119】
本発明は、下記の態様も包含する。
態様1
殺生物性特性を有する組成物であって、
第4級アンモニウムカチオンの塩を含む第1の殺生物剤;
第1の殺生物剤と併せて相乗的に働いて微生物を死滅させるまたはその成長を阻害するように選択される第2の殺生物剤であって、第2の殺生物剤が、ビグアニドまたはその塩を含み、第2の殺生物剤が、微生物を死滅させるまたはその成長を阻害する両方の殺生物剤の能力が、両方の殺生物剤が一緒のときと同じ濃度で殺生物剤の一方のみが存在する場合よりも大きくなるように、第1の殺生物剤と関連して存在する、第2の殺生物剤;および
アルカリ度ビルダーまたは錯化剤の少なくとも1つ
を含む、殺生物性特性を有する組成物。
態様2
第1の殺生物剤が第4級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩を含む、態様1に記載の組成物。
態様3
第2の殺生物剤がポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩を含む、態様1または2に記載の組成物。
態様4
第2の殺生物剤がクロルヘキシジンまたはその塩を含む、態様1または2に記載の組成物。
態様5
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、またはその組合せから選択されるアルカリ度ビルダーを含む、態様1から4のいずれかに記載の組成物。
態様6
メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、またはその組合せから選択される錯化剤を含む、態様1から5のいずれかに記載の組成物。
態様7
第1の殺生物剤が微生物に対して組成物中で分画阻止濃度を有し、第2の殺生物剤も微生物に対して組成物中で分画阻止濃度を有し、第1の殺生物剤の分画阻止濃度および第2の殺生物剤の分画阻止濃度の和が1未満である、態様1から6のいずれかに記載の組成物。
態様8
第1の殺生物剤が微生物に対して組成物中で分画阻止濃度を有し、第2の殺生物剤も微生物に対して組成物中で分画阻止濃度を有し、第1の殺生物剤の分画阻止濃度および第2の殺生物剤の分画阻止濃度の和が、約0.9未満、例えば約0.8未満、例えば約0.7未満である、態様1から7のいずれかに記載の組成物。
態様9
微生物が細菌、真菌、ウイルス、酵母、胞子またはマイコバクテリアを含む、態様1から8のいずれかに記載の組成物。
態様10
微生物が、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Serratia marcescens、Salmonella enteritidis、Neisseria gonorrhoeae、大腸菌、Enterococcus hirae、Acinetobacter baumannii、Listeria monocytogenes、Enterobacter gergoviae、Klebsiella pneumoniae、Burholderia cepacia、Pseudomonas putida、Kocuria rhizophila、Candida albicans、Saccharomyces cerevisiae、Aspergillus brasiliensis、Penicillium funiculosum、Eupenicillium levitum、Bacillus cereus、Bacillus subtilis、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium terrae、Mycobacterium avium、ポリオウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスおよび/またはヒトパピローマウイルスを含む、態様8に記載の組成物。
態様11
第1の殺生物剤および第2の殺生物剤が約1:5から約5:1の重量比で組成物中に存在する、態様1から10のいずれかに記載の組成物。
態様12
第4級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩を含む第1の殺生物剤;
第1の殺生物剤と併せて相乗的に働いて微生物を死滅させるまたはその成長を阻害するように選択される第2の殺生物剤であって、第2の殺生物剤がビグアニドを含み、第2の殺生物剤が、微生物を死滅させるまたはその成長を阻害する両方の殺生物剤の能力が、両方の殺生物剤が一緒のときと同じ濃度で殺生物剤の一方のみが存在する場合よりも大きくなるように、第1の殺生物剤と関連して存在する、第2の殺生物剤;ならびに
溶媒、界面活性剤、封鎖剤、錯化剤、腐食阻害剤、アルカリ度ビルダー、pH調整剤、保存剤、助剤、酸、起泡剤、香料および着色料を含む群から選択される1種または複数の補助剤
を含む消毒剤組成物。
態様13
ジデシルジメチルアンモニウムカーボネートおよびジデシルジメチルアンモニウムビカーボネートを含み、約2重量%から約12重量%の量で組成物中に存在する、第1の殺生物剤;
ビグアニドまたはその塩を含み、約2重量%から約12重量%の量で組成物中に存在する、第2の殺生物剤;
約3重量%から約20重量%の量で組成物中に存在するアルカリ度ビルダー;
約1重量%から約18重量%の量で組成物中に存在する界面活性剤;ならびに
約2重量%から約20重量%の量で組成物中に存在する錯化剤
を含む、態様11に記載の組成物。
態様14
基剤製剤;および
態様1から13のいずれかに記載の組成物を含む保存剤
を含む化粧製品または衛生製品。
態様15
隣接する物体を消毒するための方法であって、
抗微生物組成物を1種または複数の補助剤とブレンドするステップであって、抗微生物組成物が、第2の殺生物剤と組み合わされた第1の殺生物剤を含み、第1の殺生物剤が、第4級アンモニウムカチオンの塩を含み、第2の殺生物剤が、第1の殺生物剤と相乗的に働いて微生物を死滅させるまたはその成長を阻害するように選択され、第2の殺生物剤がビグアニドを含み、第2の殺生物剤が、微生物を死滅させるまたはその成長を阻害する両方の殺生物剤の能力が、両方の殺生物剤が一緒のときと同じ濃度で殺生物剤の一方のみが存在する場合よりも大きくなるように、第1の殺生物剤と関連して存在する、ステップ
を含み、
1種または複数の補助剤が、溶媒、界面活性剤、封鎖剤、錯化剤、腐食阻害剤、アルカリ度ビルダー、pH調整剤、保存剤、助剤、酸、起泡剤、香料および着色料を含む群から選択される、方法。
態様16
第1の殺生物剤が微生物に対して組成物中に分画阻止濃度を有し、第2の殺生物剤も微生物に対して組成物中に分画阻止濃度を有し、第1の殺生物剤の分画阻止濃度および第2の殺生物剤の分画阻止濃度の和が1未満である、態様15に記載の方法。
態様17
第1の殺生物剤が微生物に対して組成物中に分画阻止濃度を有し、第2の殺生物剤も微生物に対して組成物中に分画阻止濃度を有し、第1の殺生物剤の分画阻止濃度および第2の殺生物剤の分画阻止濃度の和が約0.9未満、例えば約0.8未満、例えば約0.7未満である、態様15に記載の方法。
態様18
第2の殺生物剤がポリヘキサメチレンビグアニドまたはその塩を含む、態様15に記載されている方法。
態様19
第2の殺生物剤がクロルヘキシジンまたはその塩を含む、態様15に記載されている方法。
態様20
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、またはその組合せから選択されるアルカリ度ビルダーを含む、態様15に記載されている方法。
態様21
メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、またはその組合せから選択される錯化剤を含む、態様15に記載されている方法。
[00109]本発明のこれらのおよび他の修飾および変動は、添付の請求項においてさらに具体的に説明される本発明の趣旨および範疇から逸脱することなく当業者によって実践され得る。加えて、各種実施形態の態様は、全体的または部分的の両方で交換することができると理解されるものとする。さらに、当業者は、前述の説明が一例に過ぎず、当該の添付の請求項でまたさらに記載されている本発明を限定すると意図されないことを理解されよう。