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特許7026083個人用健康装置、及び、個人用健康装置と演算装置とのペアリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】個人用健康装置、及び、個人用健康装置と演算装置とのペアリング方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/08 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
H04L9/08 C
H04L9/08 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019133549
(22)【出願日】2019-07-19
(62)【分割の表示】P 2016501593の分割
【原出願日】2014-03-12
(65)【公開番号】P2019195222
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2019-08-19
(31)【優先権主張番号】61/777,467
(32)【優先日】2013-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/206,077
(32)【優先日】2014-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504144529
【氏名又は名称】トリビディア ヘルス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】モゼレフスキ,ブレント イー.
(72)【発明者】
【氏名】レオネ,スティーヴン ブイ.
【審査官】岸野 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-224677(JP,A)
【文献】特開2009-218845(JP,A)
【文献】特開2010-147749(JP,A)
【文献】特開2012-010039(JP,A)
【文献】特開2012-239162(JP,A)
【文献】特表2007-523526(JP,A)
【文献】特開2007-166568(JP,A)
【文献】特開2012-060242(JP,A)
【文献】特開2005-167946(JP,A)
【文献】特表2009-532706(JP,A)
【文献】国際公開第2006/018952(WO,A1)
【文献】特開2005-244345(JP,A)
【文献】吉田 尚史,携帯電話による健康管理サービスとそのユーザビリティ評価,情報処理学会論文誌 論文誌トランザクション 2011(平成23)年度▲2▼ [CD-ROM],日本,一般社団法人情報処理学会,2012年04月15日,第2巻,pp.28-37
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアプロセッサと、
音を含む音声信号で通信するように構成される第1の通信媒体を介して演算装置に、前記音声信号を含む秘密鍵を通信するために前記ハードウェアプロセッサにより実行される送信論理と、
前記第1の通信媒体とは異なる、無線通信チャネルを含む第2の通信媒体を介して、前記演算装置から、前記秘密鍵を用いて暗号化されたペアリング情報を受信するために前記ハードウェアプロセッサにより実行される受信論理と、
前記ペアリング情報を受信すると、前記演算装置に対してペアリングするために前記ハードウェアプロセッサにより実行されるペアリング論理と、
を含む、個人用健康装置。
【請求項2】
前記ペアリング論理は、前記秘密鍵を変更するために前記ハードウェアプロセッサにより実行される鍵変更論理をさらに含む、請求項1に記載の個人用健康装置。
【請求項3】
前記秘密鍵を生成するために、前記ハードウェアプロセッサにより実行される生成論理をさらに含む、請求項1に記載の個人用健康装置。
【請求項4】
前記演算装置とのペアリングを開始するモードに設定するために前記ハードウェアプロセッサにより実行されるペアリングの開始論理をさらに含む、請求項1に記載の個人用健康装置。
【請求項5】
近接通信(NFC)チップが不要である、請求項1に記載の個人用健康装置。
【請求項6】
個人用健康装置により、音を含む音声信号で通信するように構成される第1の通信媒体を介して演算装置に、前記音声信号を含む秘密鍵を送信することと、
前記個人用健康装置により、前記第1の通信媒体とは異なる、無線通信チャネルを含む第2の通信媒体を介して、前記秘密鍵を用いて暗号化されたペアリング情報を前記演算装置から受信することと、
前記個人用健康装置により、前記ペアリング情報を受信すると、前記個人用健康装置を前記演算装置にペアリングすることと、
を含む、個人用健康装置と演算装置とのペアリング方法。
【請求項7】
前記個人用健康装置により前記演算装置に前記第1の通信媒体を介して前記秘密鍵を送信することは、前記個人用健康装置により有線通信リンクを介して前記演算装置に前記秘密鍵を送信することをさらに含む、請求項に記載の個人用健康装置と演算装置とのペアリング方法。
【請求項8】
前記個人用健康装置を前記演算装置にペアリングすることは、前記秘密鍵を変更することをさらに含む、請求項に記載の個人用健康装置と演算装置とのペアリング方法。
【請求項9】
前記個人用健康装置により前記秘密鍵を生成することをさらに含む、請求項に記載の個人用健康装置と演算装置とのペアリング方法。
【請求項10】
前記個人用健康装置を、該個人用健康装置と前記演算装置とのペアリングを開始するモードに設定することをさらに含む、請求項に記載の個人用健康装置と演算装置とのペアリング方法。
【請求項11】
演算装置により個人用健康装置から、音を含む音声信号で通信するように構成される第1の通信媒体を介して、前記音声信号を含む秘密鍵を受信することと、
前記演算装置により前記個人用健康装置に、前記第1の通信媒体とは異なる、無線通信チャネルを含む第2の通信媒体を介して、前記秘密鍵を用いて暗号化されたペアリング情報を送信することと、
前記演算装置と前記個人用健康装置とにより前記第2の通信媒体を介して前記個人用健康装置と前記演算装置との間のペアリングを確立することと、
を含む、個人用健康装置と演算装置とのペアリング方法。
【請求項12】
前記秘密鍵は、前記音声信号から得られることを特徴とする請求項1に記載の個人用健康装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この特許出願は、「個人用健康装置と演算装置との無線ペアリング」と題され、2013年3月12日に出願された米国仮特許出願第61/777,467号、並びに「個人用健康装置と演算装置との無線ペアリング」と題され、2014年3月12日に出願された米国出願第14/206,077号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示された実施形態は、個人用健康装置に係り、より詳細には、個人用健康装置と演算装置との無線ペアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
血糖モニタ(BGM:Blood Glucose Monitor)等の個人用健康装置(PHD:Personal Health Device)のユーザは、PHDに記憶されたデータを演算装置と通信してデータを分析したり、又は、データを医師等の医療専門家に通信したりすることを欲するかもしれない。PHDと演算装置との間に通信を確立するための1つの既存の技術は、ケーブルを介してPHDを演算装置に接続することを伴う。
しかしながら、無線でPHDを演算装置に接続するためには、しばしば、PHDを演算装置に同期させ又はペアリング(pairing)しなければならない。このペアリングは、通常、予め設定された秘密鍵を一方又は両方の装置に入力することにより行われる。BGMその他のPHD等、限られたユーザインタフェースを有する装置にキー入力することは、一般的に面倒である。このために、秘密鍵は、0000又は1234等のような分かりきった数に設定されることが多い。これは、何者かが秘密鍵を推測する危険性を増大させる。また、限られたユーザインタフェースを有する装置に秘密鍵を打ち込むことは、1つ以上の入力誤りの発生の危険性を増大させる。他の既存のペアリング技術には、無線周波数(RF)を介してクリアテキスト(暗号化されていない文字列)で鍵を送信するというものがあるが、それによると傍受者がペアリング情報を容易に得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存のPHDには、スマートフォンのような演算装置と通信するものがある。しかしながら、従来の通信技術はセキュリティの問題に悩まされている。例えば、既存のPHDで用いられる一般的な通信方法は、無線周波数(RF)を介して通信することを含む。この種の通信は、通常安全でなく(例えば交換されるソフトウェアキーがない)、傍受者が容易に傍受し得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に説明するいくつかの態様によれば、PHDは、第1の通信媒体を介して秘密鍵を演算装置(スマートフォン又はタブレット等)に送信する。PHDは、演算装置から無線による第2の通信媒体を介して(第1の通信媒体上で送信された秘密鍵を用いて)新たな秘密鍵を含み得るペアリング情報を受信する。すると、PHDは、演算装置と安全にペアリング可能である。
【0005】
第1の通信媒体の例は、光、音、ディスプレイ画面、バーコード、及び/又はケーブル等の有線接続を含む。第2の通信媒体は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、WiFi、又はZigbee(登録商標)といった無線通信チャネルであってもよい。
【0006】
第1の通信媒体が光(可視又は非可視スペクトル)である一実施形態に関しては、PHDのLEDが演算装置に対する光学信号を表示する。この光学信号は、秘密鍵の表示である。演算装置は、(例えばカメラ又はフォトダイオードといった演算装置の光学センサを介して)光学信号を受信するときに秘密鍵を取得する。すると、第2の通信媒体上で秘密鍵を用いてペアリングが行われ得る。
【0007】
第1の通信媒体が音(聴覚周波数又は超音波)である一実施形態に関しては、PHDのスピーカ又はオーディオ部品が秘密鍵を表す音声信号を鳴らす。演算装置は(例えば演算装置のマイクロホンを介して)音声信号を受信するときに秘密鍵を取得する。すると、第2の通信媒体上で秘密鍵を用いて、ペアリングが行われ得る。
【0008】
第1の通信媒体がディスプレイ画面である一実施形態に関しては、PHDは、ディスプレイ画面上にパターンを表示することができる。このパターンは秘密鍵の表示である。演算装置は、(例えば自身のカメラを介して)このパターンをキャプチャし復号化して秘密鍵を取得することができる。すると、第2の通信媒体上で秘密鍵を用いてペアリングが行われ得る。
【0009】
第1の通信媒体がバーコードである一実施形態に関しては、PHDがバーコードラベルを有し得る。このバーコードは、秘密鍵の表示又は秘密鍵である。演算装置は(例えば自身のカメラ又はレーザスキャナを介して)このバーコードをキャプチャして秘密鍵を取得することができる。すると、第2の通信媒体上で秘密鍵を用いてペアリングが行われ得る。
【0010】
第1の通信媒体が有線接続である一実施形態に関しては、PHDは、秘密鍵を演算装置へ、有線接続を介して通信することができる。すると、第2の通信媒体上で秘密鍵を用いてペアリングが行われ得る。
【0011】
一実施形態においては、NFC(Near Field Communication)を用いて、演算装置がPHDに埋め込まれたRFID(Radio Frequency Identification)タグを読み取り、秘密鍵を取得することができる。
【0012】
また、PHDは、(例えば擬似ランダム鍵生成器を介して)秘密鍵を生成してもよい。一実施形態において、PHDと演算装置とのペアリングは、一旦、両装置が第1の秘密鍵を持つと、セキュリティを追加するために、秘密鍵を変更することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、PHDは、ペアリングを開始するモードに移される。このモードへの移行は、(例えばユーザによる)PHD上のボタンの押下を介してもよいし、又は自動的に行われてもよく、又は演算装置からのメッセージに応答して行われてもよい。また、一実施形態において、演算装置は、2つの装置が最初に通信を開始するとき、ペアリングを待機するモードにしてもよい。
【0014】
これら及び他の態様及び実施形態は、いわゆる当業者にとって、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書に開示される実施形態を、添付の図面を参照してさらに説明する。図面において、いくつかの図を通じて同一の構造は、同一の符号により参照される。示される図面は、必ずしも縮尺通りではなく、むしろ概して本明細書に開示される実施形態の原理の説明に重きが置かれている。
【0016】
図1】本開示による演算装置と通信する血糖モニタ(BGM)を含むシステムの一実施形態の構成図を示す。
図2】本開示によるBGMによって実行される方法ステップの一実施形態を示す。
図3】本開示による秘密鍵の送信をペアリングするための光を放出する、図1のBGMの一実施形態の構成図を示す。
図4】本開示による秘密鍵を送信するために音声信号を共鳴させる、図1のBGMの一実施形態の構成図を示す。
図5】本開示による有線接続を介して演算装置と通信する、図1のBGMの一実施形態の構成図を示す。
図6A】本開示によるパターンを用いて演算装置と通信する、図1のBGMの一実施形態の構成図を示す。
図6B】本開示によるNFCを用いてBGMと通信する、図1の演算装置の一実施形態の構成図を示す。
図7】本開示による個人用健康装置(PHD)が実行する方法ステップの一実施形態を示す。
図8】本開示による演算装置が実行する方法ステップの一実施形態を示す。
図9】本開示による演算装置の一実施形態のブロック図を示す。
【0017】
上記の図面は、本明細書に開示される実施形態を示すものであるが、説明において述べるように、他の実施形態も検討される。本開示は、実例的な実施形態を代表として示すものであって限定するものではない。本明細書に開示される実施形態の原理の精神の範囲内にある多数の他の変更及び実施形態が当業者により工夫され得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書には、様々な実施形態が開示されているが、開示される実施形態は、様々な形で具現可能な開示を説明しているに過ぎないことを理解されるべきである。
また、様々な実施形態に関連して提示される例の各々は、説明的であることを意図されたものであり、限定的であることを意図されたものではない。
さらに、図は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴は強調され得る(また、図に示されるいかなる大きさ、材料及び類似の詳細も、説明的であることを意図されたものであって、限定的であることを意図されたものではない)。
したがって、本明細書に開示される具体的な構造上及び機能上の詳細は、制限的なものとしてではなく、単に、開示される実施形態を様々に用いることを当業者に教示するための代表的な根拠としてのみ解釈されるべきである。
【0019】
以下では、添付の図面を参照して主題をさらに十分に説明する。図面は、本明細書の一部を形成するものであり、実例として、具体的な実施形態の例を示す。もっとも、主題は、多様な異なる形で具現化されてもよく、したがって、取り扱われる主題又は特許を請求される主題は、本明細書に記載の何れかの例示的な実施形態にも限定されるものとして解釈されることを意図されておらず、例示的な実施形態は、説明のためにのみ提供される。
とりわけ、主題は、例えば、方法、装置、構成要素、又はシステムとして具現化され得る。よって、実施形態は、例えば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの任意の組み合わせの形をとってもよい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されることを意図されていない。
【0020】
本開示は、特定の話題に関連した手段を、選択及び提示する方法及び装置の構成図及び動作説明図を参照して説明する。構成図又は動作説明図の各構成、並びに、構成図又は動作説明図中の構成の組み合わせは、アナログ又はデジタルのハードウェアと、コンピュータプログラムの命令によって実施可能であることが理解される。これらのコンピュータプログラムの命令は、その命令がコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行し、構成図若しくは1つ以上の動作ブロックに規定されている機能や動作を実施するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ASIC、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよい。
【0021】
いくつかの代替的な実施形態において、ブロック内に記載されている機能や動作は、動作説明図に記載されている順序を外れて行われ得る。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際にはほぼ同時に行われることが可能であり、あるいは、これらのブロックは、関係する機能や動作に応じて、時には逆の順序で実行され得る。
また、本開示においてフローチャートとして示され説明されている方法の実施形態は、技術のより完全な理解を提供するために、一例として提示されるものである。開示される方法は、本明細書に示される動作及び論理フローに限定されない。様々な動作の順序が変更されたり、大きな動作の一部として説明されているサブの動作が独立して実行されたりする、代替的な実施形態が考えられる。
【0022】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、用語は、明確に記述された意味を越え、文脈において示唆又は暗示される微妙な意味を持ち得る。同様に、本明細書において用いられる「一実施形態において」という言い回しは、必ずしも同一の実施形態を参照するものではなく、本明細書において用いられる「別の一実施形態において」という言い回しは必ずしも異なる実施形態を参照するものではない。例えば、特許を請求する主題は、例示的な実施形態の全体又は一部の組み合わせを含むことが意図されている。
【0023】
概して、専門用語は、少なくとも部分的には文脈における用法から理解されてもよい。例えば、本明細書において用いられる「及び」、「又は」、「及び/又は」といった用語は、少なくとも部分的にはそのような用語が用いられる文脈によって決まり得る様々な意味を含んでもよい。
典型的には、「又は」が、A,B,又はCのような羅列を関連付けるために用いられる場合、包含的な意味でA,B,及びCを意味することが意図されると共に、排他的な意味でA,B,又はCを意味することが意図される。
加えて、本明細書において用いられる「1つ以上の」という用語は、少なくとも部分的には文脈に応じて、単数形の意味での任意の特徴、構造、又は特性を説明するために用いられてもよいし、あるいは複数形の意味での特徴、構造、又は特性の組み合わせを説明するために用いられてもよい。
同様に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、又は「その(the)」といった用語も、やはり、少なくとも部分的には、文脈に応じて単数形の用法を伝達するか、又は複数形の用法を伝達するものと理解され得る。
さらに、「基づいて」という用語は、必ずしも排他的な一連の要因を伝達することを意図されているのではなく、やはり少なくとも部分的に文脈に応じて、必ずしも明確に記載されていない追加的な要因の存在を容認し得るものとして理解されてもよい。
【0024】
本明細書に開示されている実施形態は、個人用健康装置(小型で手軽な健康装置)(PHD)を演算装置に安全にペアリングすることに関する。PHDの非限定的な例は、血糖モニタ(BGM)、薬物注入ポンプ(例えば、インシュリンポンプ、高性能なインシュリンペン、又は類似の装置)、血圧カフ、パルスオキシメータ、最大呼気流量装置、HbA1c装置、アルコール呼気分析計、コレステロールモニタ、血球容量モニタ、超音波心臓診断図用センサ、呼吸モニタ、連続血糖モニタ、デジタル温度計、電子ピルボックス、又は類似の装置、歩数計、心拍数モニタ、ベビーモニタ(遠隔カメラ又はマイクロホン)、電子財布、車両用キーフォブ、活動モニタ、緊急用信号灯(緊急用ビーコン)、又は類似の装置を含むが、これらに限られない。
演算装置の非限定的な例は、コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット、スマートフォン、デジタルカメラ、テレビ、情報端末、車両用計器盤、高性能なA/V装置(例えば、DVD/ブルーレイプレーヤ)、電子ガラス、車両用ヘッドアップディスプレイ、ビデオプロジェクタ、又は類似の装置を含むが、これらに限られない。
本明細書においては、BGMに関して記載するが、本明細書における説明は、どんなPHDにも適用することができる。PHDと演算装置との安全なペアリングは、ペアリングのプロセスの際の傍受を事実上排除すると共に、2つの装置の間での通信の信頼性を大いに高める。
【0025】
図1は、スマートフォン等の演算装置110と通信するBGM105(又は任意の他のPHD)を含むシステム100の一実施形態を示す。図2は、BGM105により実行されるステップの一実施形態を示す。
BGM105は、演算装置110との通信において使用する秘密鍵を取得する(ステップ205)。BGM105は、例えば、秘密鍵を(例えばランダム又は擬似ランダム鍵生成器を介して)生成すること、秘密鍵をユーザからの入力として受信すること、及び/又は秘密鍵を(例えば走査機構又はデジタルカメラを介して)読み取ることによって、秘密鍵を取得することができる。
以下により詳細に説明するように、BGM105は、第1の通信媒体115を介して演算装置110に秘密鍵を送信する(ステップ210)。一実施形態において、BGM105は、演算装置110から無線による第2の通信媒体120を介してペアリング情報を受信する(ステップ215)。
無線通信チャネルの例としては、WiFi、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Smart(登録商標)、ANT/ANT+(登録商標)、ZigBee(登録商標)、セルラ、近接通信(NFC)等の無線周波数(RF)、光(例えばバーコード、IRDA、OCR、又は類似の装置)、音(例えば超音波、亜音速/振動、又は類似の音)、磁気、熱、電気(例えば抵抗、インピーダンス、電圧、電流)、又は類似のチャネルを含むが、これらに限られない。
次に、BGM105は、演算装置110とのペアリングを完成させる(ステップ220)。したがって、BGM105、演算装置110間で秘密鍵及びペアリング情報を通信するために異なる通信チャネル又は媒体が用いられるため、システム100は、BGM105と演算装置110との間での「混合モード」のペアリング方法を可能にする。
【0026】
Bluetooth(登録商標)についての簡単な背景として、Bluetooth(登録商標)を介して提供されるサービスの多くは、個人データを公開したり、接続相手がBluetooth(登録商標)装置を制御できるようにしたりすることができる。
安全上の理由から、特定の装置を認識できること、ひいては装置が所定のBluetooth(登録商標)装置に接続できるようにする制御を可能にすることが必要である。同時に、Bluetooth(登録商標)装置は、ユーザの介在なしに(例えば範囲内に入るとすぐに)接続を確立することができるので有用である。
この競合を解決するために、Bluetooth(登録商標)は、ボンディングと呼ばれるプロセスを用い、ボンドは、ペアリングと呼ばれるプロセスを通じて生成される。ペアリングのプロセスは、ユーザからのボンド生成の具体的な要求(例えば、ユーザが「Bluetooth(登録商標)装置を追加」することを明確に要求する)によってトリガされるか、又は、セキュリティの目的で装置の識別が(初めて)必要とされるサービスに接続するときに自動的にトリガされる。
【0027】
ペアリングは、ある程度のユーザとの対話処理を必要とすることが多い。このユーザとの対話処理は、装置の識別を確認するための基礎と成り得る。一旦、ペアリングが正常に完成すると、2つの装置の間には、ボンドが形成されており、これらの2つの装置は、以後、装置の識別を確認するためのペアリングのプロセスを必要とすることなく、互いに接続できるようになる。必要に応じて、ボンディング関係は、後でユーザによって解除されてもよい。
【0028】
ペアリングのプロセスにあたって、関係する2つの装置は、「リンクキー」又は「秘密鍵」として知られる「共有秘密」を生成することにより関係を確立する。秘密鍵が両方の装置によって記憶されている場合、それらの装置は、ペアリング又はボンディングされていると言われる。ボンディングされた装置に対してのみ通信を希望する装置は、他方の装置の識別を暗号で認証することができるので、それが以前ペアリングされたものと同一の装置であることを確認できる。一旦、秘密鍵が生成され共有されると、装置間の認証された非同期コネクションレス(ACL:Asynchronous Connection-Less)リンクが暗号化され得るため、それらの装置が放送電波を介して交換するデータは、傍受から保護される。Bluetooth(登録商標)サービスは、一般に暗号化又は認証の何れかを必要とするため、遠隔装置に所定のサービスの利用を許可する前にペアリングを要する。
【0029】
図3は、秘密鍵の送信をペアリングするための光を放出するBGM105の構成図を示す。演算装置110は、ペアリングのために待機しており、BGM105は、ペアリングを開始するモードの状態にある。
一実施形態において、BGM105のユーザが(ボタンを押下する等の)動作を開始して、BGM105に対してペアリングを開始するモードにする。あるいは、BGM105がペアリングを開始するモードに自動的に遷移する。同様に、演算装置110のユーザは、演算装置110をペアリングの待機モードにする動作を行うことができ、又は演算装置110は、待機モードに自動的に遷移することができる。
【0030】
一実施形態において、BGM105は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)305を含む。LED305は、BGM105上のイジェクトボタンの指示灯(eject button indicator)であっても、他の二重の機能を有するLEDであっても、あるいはこの機能に特化したLEDであってもよい。
上述のように、BGM105は、秘密鍵を生成又は取得する(例えば、BGM105は予め設定された秘密鍵を用いる)。BGM105は、秘密鍵に対応した光信号310を送信する(例えば点滅させる)。光信号310は、可視スペクトルに限定されない。光信号310(以下では光学信号310とも称される)は単一波長でも多波長でもあり得る。多波長の光信号310は、信号を基数Nで暗号化することができ、ここでN-1は、利用可能な波長の数である。一実施形態において、信号310は、振幅変調(AM)又は周波数変調(FM)といった他の暗号化方法と組み合わせ可能である。
【0031】
演算装置110は、演算装置110上に存在する自身のカメラ315又は他の光検知素子(例えば、ディスプレイ320の明るさを調整するために用いられる演算装置110上のフォトダイオード又は光センサ)を介する等して光信号310を受信する。すると、演算装置110は、光信号310から秘密鍵を確定することができる。
一実施形態において、演算装置110は、受信した秘密鍵を利用して、暗号化されたペアリング情報330をBluetooth(登録商標)(又は第1の通信媒体(光学)とは異なる何らかの第2の通信媒体)を介して送信する。BGM105は、秘密鍵を知っている唯一の他の装置であり、したがって、Bluetooth(登録商標)メッセージを復号化することのできる唯一の装置である。BGM105は、Bluetooth(登録商標)メッセージを復号化し、Bluetooth(登録商標)セキュアリンクを介したペアリングを完成させる。
【0032】
一実施形態において、演算装置110は、光信号310の受信後、秘密鍵を変更する。この実施形態において、演算装置110は、BGM105により送信された当初の秘密鍵によって新たな鍵データを暗号化することにより、新たな秘密鍵を(例えばBluetooth(登録商標)を介して)BGM105に送信する。すると、BGM105と演算装置110とは新たに確定された秘密鍵に切り替えることができる。
【0033】
光学信号310を介して秘密鍵を送信することによって、秘密鍵を成功裏に取得するためには、傍受者は、BGM105に物理的に(信頼できるBluetooth(登録商標)/RFペアリングよりも近くに)接近しなければならないであろうし、傍受者の装置は、光学信号310を受信する能力を有すると共にBGM105の見通せる範囲内になければならないであろう(Bluetooth(登録商標)/RFペアリングは、見通せる範囲内である必要がない)。また、Bluetooth(登録商標)を用いる場合には、傍受者は、典型的な近接通信(NFC)とは異なる混合モード方法のペアリングを予期する必要があるであろう。
【0034】
図4は、音声信号405を共鳴させて秘密鍵を送信するBGM105の構成図を示す。上述のように、演算装置110は、ペアリングのために待機しており、BGM105は、ペアリングを開始するモードにある。一実施形態において、音声信号405は、スピーカ又は他の音響装置410(例えばBGM105の内部に位置するスピーカ410又はBGM105と通信する外部スピーカ)から発せられる。音声信号405は、可聴範囲にあってもよいし、あるいは非可聴範囲(例えば超音波範囲)にあってもよい。
【0035】
上述のように、BGM105は、秘密鍵を生成又は取得する。BGM105は、既存のポケベル等の信号発信器(beeper)と、スピーカ410と、圧電体との何れかをデジタル方式で共鳴させて、秘密鍵を音声信号405で送信する。演算装置110は、演算装置110上に存在するマイクロホン415又は他の振動検知素子を介して、この音声信号405を受信する。
演算装置110は、音声信号405を秘密鍵に変換し、受信した秘密鍵を用いて、暗号化されたペアリング情報420をBluetooth(登録商標)(又は第1の通信媒体(音声)とは異なる何らかの第2の通信媒体)を介して送信する。BGM105は、Bluetooth(登録商標)メッセージを復号化し、Bluetooth(登録商標)のセキュアリンクを介したペアリングを完成させることのできる唯一の他の装置である。
【0036】
上述のように、演算装置110は、音声信号405の受信後に、暗号化された秘密鍵を変更することができる。秘密鍵を音声信号を介して送信することによって、傍受者は、BGM105に物理的に(信頼できるBluetooth(登録商標)/RFペアリングよりも近くに)接近すると共に、音声信号405を受信する能力を要する装置を利用する必要があるであろう。また、Bluetooth(登録商標)を用いる場合には、傍受者は、典型的なNFCとは異なる混合モード方法のペアリングを予期する必要があるであろう。
【0037】
図5は、有線接続505を介して演算装置110と通信するBGM105の構成図を示す。上述のように、演算装置110は、ペアリングのために待機しており、BGM105は、ペアリングを開始するモードにある。BGM105は、秘密鍵を生成又は取得する。BGM105は、有線接続505を介して秘密鍵をデジタル送信する。
有線接続505の例としては、USBケーブル、シリアルケーブル、RS-232ケーブル、光ファイバケーブル、又はBGM105と演算装置110とを物理的に接続することのできる任意の他の物理的通信リンクを含むが、これらに限られない。
一実施形態においては、有線接続505にて接続し、演算装置110及びBGM105のオーディオジャックを介してデータを送信する。
一実施形態において、BGM105は、BGM105と演算装置110とをペアリングするために必要とされる追加的なペアリング情報を、Bluetooth(登録商標)330を介して(あるいは、別の一実施形態においては、有線接続505を介して)演算装置110に送信する。
【0038】
BGM105と演算装置110との間の有線接続505が解除され、現状においてBluetooth(登録商標)のリンク(又は第2の通信媒体)は、安全である。上述のように、演算装置110は、現状において暗号化された秘密鍵を変更して、この秘密鍵をBGM105へ送信することができる。秘密鍵が、物理リンク505を介して送信されることにより、傍受されることは完全に排除される。全てのBluetooth(登録商標)通信が安全になり暗号化される。
【0039】
図6Aは、パターンを用いて演算装置110と通信するBGM105の構成図を示す。BGM105は、ペアリングを開始するモードにある。BGM105は、秘密鍵を生成又は取得する。BGM105は、秘密鍵をパターン605の形でディスプレイ画面610(例えば液晶ディスプレイ、ドットマトリクスディスプレイ、又は類似の装置)上に表示する。
パターン605は、ディスプレイ画面610上で見ることのできる1つ以上の単語、文字、記号、図形、映像、アニメーション、デザイン、及び/又は、これらの何れか1つ以上の配置であってもよい。演算装置110は、自身のカメラ315を用いてパターンの写真615を撮影する。演算装置110は、この写真615から、復号化されたパターン620を確定する。
一実施形態において、図6では、パターン「12BEF4」として示されている復号化されたパターン620が秘密鍵である。演算装置110は、秘密鍵を用いて、暗号化されたペアリング情報625をBluetooth(登録商標)(又は何らかの他の第2の通信媒体)を介して送信する。BGM105は、秘密鍵を知っている唯一の他の装置である。
したがって、Bluetooth(登録商標)のメッセージを復号化し、Bluetooth(登録商標)のセキュアリンクを介したペアリングを完成させることのできる唯一の装置である。
【0040】
上述のように、一実施形態において、演算装置110は、暗号化された秘密鍵を変更し、BGM105により送信された当初の秘密鍵によって新たな鍵データを暗号化する。これにより、演算装置110は、新たな秘密鍵をBluetooth(登録商標)を介してBGM105に送信することができる。そのとき、BGM105及び演算装置110の両方は、新たに確定された秘密鍵に切り替えることが可能である。
【0041】
BGM105の表示画面610にて秘密鍵を暗号化し、その秘密鍵を送信することにより、傍受者が秘密鍵を傍受できるためには、BGM105に物理的に接近し、ディスプレイ画面610の見通せる範囲内にいて、且つ暗号化の方法を知っている必要があるであろう。
また、Bluetooth(登録商標)を用いる場合には、傍受者は、典型的なNFCとは異なる混合モード方法のペアリングを予期する必要があるであろう。
【0042】
一実施形態において、予め設定された秘密鍵は、バーコードとしてBGM105(例えばBGM105の背部)に刷り込まれ固定される。一実施形態において、演算装置110は、自身のカメラ315を用いてバーコードを読み取り、秘密鍵を確定する。すると、演算装置110は、その秘密鍵を用いて、暗号化されたペアリング情報をBluetooth(登録商標)(又は何らかの他の第2の通信媒体)を介して送信する。
上述のように、演算装置110は、暗号化された秘密鍵を変更することを選択でき、BGM105により送信された当初の秘密鍵を用いて新たな鍵データを暗号化することにより、新たな秘密鍵をBluetooth(登録商標)を介してBGM105に送信する。そのとき、BGM105及び演算装置110の両方が新たに確定された秘密鍵に切り替えることが可能である。
【0043】
BGM105に刷り込まれたバーコードを用いることによって秘密鍵を読み取ることで、傍受者は、秘密鍵を傍受するためには、BGM105に物理的に接近する必要があるであろうし、バーコードの見通せる範囲内にいる必要があるであろう。また、Bluetooth(登録商標)を用いる場合には、傍受者は、典型的なNFCとは異なる混合モード方法のペアリングを予期する必要があるであろう。
【0044】
図6Bを参照すると、一実施形態において、NFC605を用いて、演算装置110は、BGM105に埋め込まれたRFIDタグを読み取って秘密鍵を取得することができる。NFC装置を用いて別のNFC装置に接続する従来のアプローチとは異なり、この実施形態は、NFC装置をRFID装置に接続する。
【0045】
本明細書に記載されるように、スマートフォン及びPHDの既存の構成要素は、安全な混合モードペアリングを容易にするために利用される。換言すれば、従来のPHD及び演算装置内に現存しない電子部品は、この安全な混合モードのペアリングを利用するためには必要でない。
二人の装置所有者が各装置を一緒にタップしてペアリングするタップツーペア(tap-to-pair)式の構成は、追加的な電子部品を有し、したがってより費用がかかるが、上述のペアリングはこれとは異なり、専用のハードウェアを必要としないので、より費用効率の高いソリューションとなっている。
【0046】
上述の異なる実施形態は、例えばBGM105及び演算装置110にダウンロードされたファームウェア又はソフトウェアを介して実施され得る。一実施形態において、演算装置110(及び/又はBGM105)は、ソフトウェアアプリケーション(「アップ」とも称される)を、例えばオンラインのアップストアからダウンロードする。
一実施形態においては、BGM105の製造者が、先に述べた実施形態のうち1つ以上の能力を有するBGM105を製造するであろう。
【0047】
上述のように、PHDは、ユーザがPHDからのデータを分析及び/又はグラフ化したい場合、及び/又は、ユーザがデータを医師等の医療専門家に通信したい場合には、PHDに記憶されたデータを演算装置と通信することができる。
一実施形態において、ユーザがPHDを用いて別のPHDを制御するが、これは前者のPHDを後者のPHDとペアリングすることにより行われる。
例えば、糖尿病のユーザは、ユーザの所有するBGMをユーザのインシュリンポンプとペアリングすることができる。すると、ユーザは、自身の血糖を、自身のBGMを用いて検査することができると共に、記載されたペアリング技術のうち1つ以上を介して、ユーザのインシュリンポンプによりユーザに投与されるインシュリンの量を調整することができる。
一実施形態において、PHD(例えばBGM105)は、ユーザが多くの装置のうちどの装置をPHDとペアリングしたいかを選択することのできるオプション又はディスプレイ画面を有する。
【0048】
図7は、本開示によるPHD(例えばBGM105)により実行される方法ステップの一実施形態を示す。PHD105は、ペアリングモードに入るよう構成されている(ステップ705)。一実施形態においては、ユーザがPHD105をペアリングモードに設定して演算装置110とペアリングする。例えば、ユーザは、PHD105上のボタンを押下してPHD105をペアリングモードにしてもよい。
【0049】
PHD105が、バーコードのペアリング用に設計されている場合には(ステップ710)、PHD105は、送信及び受信のための第2の通信媒体に移行する(ステップ725)。
そうでない場合には、PHD105は、PHD105のプロファイルに応じて、1つ以上のLED、ポケベル等の信号発信器、スピーカ若しくは圧電体、有線ケーブル、又はLCDパターンといった第1の通信媒体の送信装置を使用可能(イネーブル)にする(ステップ715)。
次に、PHD105は、第1の通信媒体上で秘密鍵を送信する(ステップ720)。PHD105は、第2の通信媒体に切り替え(ステップ725)、第2の通信媒体上で演算装置110とのペアリングを完成させる(ステップ730)。
上述のように、第2の通信媒体は、例えばRF(WiFi、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Smart(登録商標)、ANT/ANT+(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC(登録商標)、又は類似の媒体)であってもよい。すると、PHD105は、第2の通信媒体を介してデータを受信又は送信することができる(ステップ735)。
PHD105は、データが送信及び/又は受信されたとき等、後の時点で通信(接続)セッションを終了させる(ステップ740~745)。
【0050】
図8は、本開示による演算装置により実行される方法ステップの一実施形態を示す。演算装置110のユーザは、個人用健康アップを開くことができる(ステップ805)。
一実施形態において、ユーザは、ペアリングする装置を選択する(ステップ810)。最初にどちらの装置(PHD105又は演算装置110)がペアリングモードにされるかの順序は重要でないかもしれない。演算装置110がバーコードを指示するPHD105のプロファイルを有する場合には、演算装置110は、カメラ又はバーコードスキャナを用いてPHD105上のバーコード化されたラベルを読み取る。PHD105のプロファイルがバーコードとは異なる媒体を含む場合には、演算装置110は、第1の媒体の受信装置をイネーブルする(ステップ815)。
第1の媒体の受信装置は、フォトセンサ、カメラ、マイクロホン、又は有線ケーブルであってもよい。演算装置110は、ある期間、その受信機でPHD105の信号を探す(ステップ820~825)。PHD105が見つからなければ、演算装置110は、ユーザに、PHD105が見つからなかった旨を警告することができる(ステップ830)。
ステップ820において、PHD105が見つかった場合には、演算装置110は、第1の通信媒体を介して秘密鍵を受信する(ステップ835)。
【0051】
次に、演算装置110は、送信及び/又は受信のための第2の通信媒体に切り替える(ステップ840)。一実施形態において、演算装置110は、第2の通信媒体上でペアリングを完成させる(ステップ845)。演算装置110は、ユーザ又はアップの接続を終了する(ステップ855)までデータを受信/送信する(ステップ850)。
【0052】
ペアリングが可能な装置には、いくつかの種類がある。上述のように、1つの例は、スマートフォン又はタブレットとペアリングされたBGMを含むが、これに限られない。BGMは、例えばインシュリンポンプ又はインシュリンペンともペアリング可能であるが、これに限られない。上述のように、血圧カフは、例えばスマートフォン又はタブレットとペアリング可能であるが、これに限られない。
ペアリングの別の一例は、スマートフォン又はタブレットとペアリングされたパルスオキシメータ、血圧カフ、インシュリンポンプ、心拍数モニタを含むが、これに限られない。
【0053】
装置のペアリングは、例えば糖尿病の人々、高血圧の人々、及び/又はヘモグロビンが飽和状態の人々の助けとなり得るが、それに限られない。
【0054】
演算装置110は、有線又は無線ネットワークを介する等して信号を送信又は受信することができてもよく、あるいは、例えばメモリにおいて物理メモリ状態として信号を処理又は記憶することができてもよい。演算装置110は、1つ以上の中央処理装置とメモリとを含んでいてもよい。
また、演算装置110は、1つ以上の大容量記憶装置、1つ以上の電源、1つ以上の有線又は無線ネットワークインタフェース、1つ以上の入力/出力インタフェース、又は、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、Windows(登録商標)XP(登録商標)、Windows(登録商標)7、Windows(登録商標)8、Mac(登録商標)OS X(登録商標)、Unix(登録商標)、Linux(登録商標)、FreeBSD(登録商標)等といった1つ以上のオペレーティングシステムも含んでいてもよい。
一実施形態において、演算装置110は、データベースをホストするか又はデータベースと通信する。データベースは、演算装置110から局所的に又は遠隔的に格納されてもよい。
【0055】
ネットワークは、演算装置110とPHDとの間等で通信が交換され得るように装置を連結してもよい。また、ネットワークは、例えばネットワーク接続ストレージ(NAS)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、又は他の形のコンピュータ又は機械可読媒体といった大容量記憶も含んでいてもよい。ネットワークは、インターネット、1つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)、1つ以上の広域ネットワーク(WAN)、有線型の接続、無線型の接続、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
同様に、異なるアーキテクチャを採用し得る、あるいは異なるプロトコルに準拠し又は互換性を有し得るサブネットワークが、大きなネットワーク内で相互運用してもよい。様々な種類の装置が利用可能にされて、例えば異なるアーキテクチャ又はプロトコルの相互運用能力を提供してもよい。1つの例示的な例としては、ルータが、さもなければ分離して独立しているLANの間に、リンクを提供してもよい。
【0056】
通信リンク又はチャネルは、例えば、撚り線や同軸ケーブル等のアナログ電話回線、T1,T2,T3,又はT4タイプを含む完全な又は部分的なデジタル回線、サービス総合デジタル網(ISDN:Integrated Services Digital Networks)、デジタル加入者線(DSL:Digital Subscriber Lines)、衛星リンクを含む無線リンク、又は当業者には既知であり得るような他の通信リンク又はチャネルを含んでいてもよい。さらに、演算装置又は他の関連する電子装置は、例えば電話回線又はリンクを介する等して、ネットワークに遠隔的に連結されてもよい。
【0057】
無線ネットワークがクライアント装置をネットワークと連結してもよい。無線ネットワークは、スタンドアロンのアドホックネットワーク、メッシュネットワーク、無線LAN(WLAN)ネットワーク、セルラネットワーク等を採用してもよい。
さらに、無線ネットワークは、無線リンク等により連結された端末、ゲートウェイ、ルータ等のシステムをさらに含んでいてもよく、これは、ネットワークトポロジが時には速くさえ変化し得るように、自由に又はランダムに移動してもよく、あるいは任意に編成されてもよい。
さらに、無線ネットワークは、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)、WLAN、無線ルータ(WR:Wireless Router)メッシュ、又は第2、第3、又は第4世代(2G,3G,又は4G)セルラ技術、又は類似のネットワークを含む複数のネットワークアクセス技術を採用してもよい。ネットワークアクセス技術が、例えば移動度の異なるクライアント装置等の装置の広いエリアカバレッジを可能にしてもよい。
【0058】
例えば、ネットワークは、移動通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile communication)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)、汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Services)、拡張データGSM環境(EDGE:Enhanced Data GSM Environment)、3GPPロングタームエボリューション(LTE)(登録商標)、LTE Advanced(登録商標)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA:Wideband Code Division Multiple Access)、Bluetooth(登録商標)、802.11b/g/n、又は類似のネットワークアクセス技術等、1つ以上のネットワークアクセス技術を介してRF又は無線方式の通信を可能にしてもよい。無線ネットワークは、事実上、クライアント装置又は演算装置といった装置間、ネットワーク間又はネットワーク内等で信号を通信し得る、どんな種類の無線通信機構を含んでいてもよい。
【0059】
一実施形態において、上述のように、演算装置110は、スマートフォンである。一実施形態において、演算装置110は、タブレットである。演算装置110は、コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、セットトップボックス、又は類似の装置であってもよい。
図9に示すように、演算装置910(及び/又はPHD105)は、1つ以上の処理装置(本明細書においてはコンピュータ処理装置(CPU)とも称される)922を含んでいてもよく、これは少なくとも1つのコンピュータバス925と接続する。
メモリ930は、永続性記憶装置であってもよく、コンピュータバス925と接続する。メモリ930は、RAM932及びROM934を含む。
ROM934は、BIOS940を含む。メモリ930は、コンピュータバス925とインタフェースして、オペレーティングシステム941、アプリケーションプログラム942、デバイスドライバ、並びに、プログラムコード及び/又は本明細書に記載の機能性、例えば本明細書に記載のプロセスフローのうち1つ以上を組み込んだコンピュータ実行可能なプロセスのステップを備えたソフトウェアプログラムとして、例えばソフトウェアモジュールのメッセンジャ943、ブラウザ945の実行時に、メモリ930に記憶された情報をCPU922に提供する。
CPU922は、先ず、例えばメモリ930、データ記憶媒体944、取り外し可能なメディアドライブ、及び/又は他の記憶デバイス等の記憶装置から、コンピュータ実行可能なプロセスのステップをロードする。すると、CPU922は、ロードされたコンピュータ実行可能なプロセスのステップを実行するために、記憶されたプロセスのステップを実行することができる。記憶されたデータ、例えば記憶デバイスにより記憶されたデータは、コンピュータ実行可能なプロセスのステップの実行中、CPU922によりアクセスされ得る。
【0060】
永続性記憶媒体944は、例えばオペレーティングシステム及び1つ以上のアプリケーションプログラム等、ソフトウェア及びデータを記憶するために用いられ得るコンピュータ可読記憶媒体である。永続性記憶媒体944は、デジタルカメラドライバ、モニタドライバ、プリンタドライバ、スキャナドライバ、又は他のデバイスドライバのうち1つ以上等のデバイスドライバ、ウェブページ、コンテンツファイル、プレイリスト及び他のファイルを記憶するためにも用いられ得る。永続性記憶媒体944はさらに、本開示の1つ以上の実施形態を実施するために用いられるプログラムモジュール及びデータファイルを含み得る。
【0061】
本開示のためには、コンピュータ可読媒体は、コンピュータデータを記憶し、このデータは、コンピュータによって実行可能なコンピュータプログラムコードを機械可読な形で含み得る。
一例として、コンピュータ可読媒体は、データの有形又は固定記憶のためのコンピュータ可読記憶媒体、又はコードを含む信号の一時的な解釈のための通信媒体を備えていてもよいが、これらに限られるものではない。
本明細書において用いられるコンピュータ可読記憶媒体は、(信号とは対照的に)物理的な記憶装置又は有形の記憶装置を指し、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータといった情報を有形に記憶するための任意の方法又は技術で実施された、揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不可能な媒体を無制限に含む。
コンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他の固体メモリ技術、CD-ROM、DVD、又は他の光学式記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、若しくは任意の他の物理的又は物質的な媒体であって所望の情報又はデータ又は命令を有形に記憶するために使用可能でありコンピュータ又はプロセッサによりアクセス可能なものを含むが、これらに限られない。
【0062】
演算装置910は、電源926、ネットワークインタフェース950、オーディオインタフェース952、ディスプレイ954(例えばモニタ又はスクリーン)、キーパッド956、照明器958、入力/出力(I/O)インタフェース960、触覚インタフェース962、GPS964、マイクロホン967、ビデオカメラ、TV/ラジオチューナ、音声/映像キャプチャカード、サウンドカード、A/D変換器を備えたアナログ音声入力、モデム、デジタルメディア入力(HDMI、光リンク)、デジタルI/Oポート(RS232,USB,FireWire,Thunderbolt)、拡張スロット(PCMCIA,ExpressCard,PCI,PCIe)のうち1つ以上も含み得る。
【0063】
本開示のために、モジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェア(若しくはこれらの組み合わせ)のシステム、プロセス又は機能性、又はその構成要素であって、本明細書に記載のプロセス、特徴、及び/又は機能(人間による相互作用又は増強を伴ってもよいし、又は伴わなくてもよい)を実行し、又は容易にする。
モジュールは、サブのモジュールを含み得る。モジュールのソフトウェアコンポーネントは、コンピュータ可読媒体上に記憶されてもよい。モジュールは、1つ以上の演算装置に一体化されてもよく、あるいは1つ以上の演算装置によりロード及び実行されてもよい。1つ以上のモジュールは、1つのエンジン又はアプリケーションにグループ化されてもよい。
【0064】
したがって、一実施形態において、PHDは、プロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムの論理を有形に記憶する記憶媒体とを含む。プログラムの論理は、第1の通信媒体を介して演算装置に秘密鍵を通信するためにプロセッサにより実行される送信論理を含む。また、プログラムの論理は、演算装置から無線による第2の通信媒体を介して秘密鍵を備えたペアリング情報を受信するためにプロセッサにより実行される受信論理も含む。プログラムの論理は、演算装置に個人用健康装置をペアリングするためにプロセッサにより実行されるペアリング論理も含み得る。
【0065】
一実施形態においては、ペアリング方法は、個人用健康装置により演算装置へ第1の通信媒体を介して秘密鍵を送信することと、個人用健康装置により演算装置から無線による第2の通信媒体を介して秘密鍵を備えたペアリング情報を受信することと、個人用健康装置により個人用健康装置を演算装置にペアリングすることと、を含む。
【0066】
一実施形態においては、ペアリング方法は、演算装置により個人用健康装置から第1の通信媒体を介して秘密鍵を受信することと、演算装置により個人用健康装置へ無線による第2の通信媒体を介して秘密鍵を備えたペアリング情報を送信することと、演算装置と個人用健康装置とにより、第2の通信媒体を介して個人用健康装置と演算装置との間のペアリングを確立することと、を含む。
【0067】
当業者は、本開示の方法及びシステムが多くの手法により実施され得ること、また、したがって、前述の例示的な実施形態及び例により限定されるべきでないことを認識するであろう。換言すれば、単一又は複数の構成要素によってハードウェアとソフトウェア又はファームウェアとを様々に組み合わせて行われる機能的要素、並びに個々の機能は、演算装置又はサーバの何れか又は両方においてソフトウェアアプリケーション間で分散されてもよい。
この点に関し、本明細書に記載の異なる実施形態の任意の数の特徴が単一又は複数の実施形態にまとめられてもよく、本明細書に記載された全ての特徴よりも少なく又は多くの特徴を有する代替的な実施形態が可能である。また、機能性は、全部又は一部が、現在知られている又は知られるようになる手法で、複数の構成要素の間で分散されてもよい。
したがって、本明細書に記載の機能、特徴、インタフェース及び好みの設定を実現するにあたっては、無数のソフトウェア/ハードウェア/ファームウェアの組み合わせが可能である。
さらに、現在及び今後当業者により理解され得る通り、本開示の範囲は、記載の特徴及び機能及びインタフェースを実行するための従来知られている手法、並びに本明細書に記載のハードウェア、ソフトウェア又はファームウェア構成要素に対してなされ得る変更及び修正をカバーする。
【0068】
システム及び方法を1つ以上の実施形態に関して説明したが、本開示は開示されている実施形態に限定されることを要さないことが理解されるべきである。特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれる様々な変形及び類似の配列をカバーすることが意図されており、その範囲は、全てのそのような変形及び類似の構造を包含するよう、最も広範な解釈を与えられるべきである。本開示は以下の特許請求の範囲の一切の実施形態を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9