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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】安定化部材付きのクリップアプライヤ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
A61B17/128
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019552081
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2018023649
(87)【国際公開番号】W WO2018175651
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2019-11-08
(31)【優先権主張番号】62/474,544
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】シェレンバーガー カーソン ジェイ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0083803(US,A1)
【文献】特開平05-200039(JP,A)
【文献】特表2004-535236(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106037947(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0274262(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/03 - 17/138
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用クリップを組織に留めるよう構成されたクリップアプライヤであって、前記クリップアプライヤは、
前記外科用クリップの第1のレッグ部材の遠位部分に係合するよう構成された第1のジョー部材と、
前記外科用クリップの第2のレッグ部材の遠位部分に係合するよう構成された第2のジョー部材と、
前記第1のジョー部材から延びる第1の安定化部材と、
前記第2のジョー部材から延びる第2の安定化部材と、を有し、前記第1および前記第2の安定化部材は、前記外科用クリップの近位部分を受け入れるとともに前記外科用クリップの側方運動を減少させるよう構成された空所またはスペースを前記第1および前記第2の安定化部材の間に形成し、
前記第1および前記第2のジョー部材が閉じ形態にあるときに、前記第2の安定化部材を受け入れるよう構成された、前記第1のジョー部材の内面上に設けられた第1のチャネルと、
前記第1および前記前第2のジョー部材が閉じ形態にあるときに、前記第1の安定化部材を受け入れるよう構成された、前記第2のジョー部材の内面上に設けられた第2のチャネルと、を有する、クリップアプライヤ。
【請求項2】
前記クリップアプライヤは、前記第1および前記第2のジョー部材が開き形態にあるとき、前記外科用クリップに近位側で当接しない、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項3】
前記第1の安定化部材は、第1の長手方向壁を有し、前記第2の安定化部材は、第2の長手方向壁を有し、前記第2の長手方向壁は、前記第1および前記第2のジョー部材が開き形態にあるとき、前記外科用クリップの前記近位部分を受け入れるよう構成されている、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項4】
前記第1および前記第2の長手方向壁は、実質的に平坦な内面を有する、請求項3記載のクリップアプライヤ。
【請求項5】
前記空所の近位端部は、開いている、請求項3記載のクリップアプライヤ。
【請求項6】
前記第1および前記第2の安定化部材は、前記クリップアプライヤが閉じるときに前記近位部分上を摺動するよう構成されている、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項7】
前記第1のジョー部材の前記遠位部分に設けられた少なくとも1つの第1の凹部をさらに有し、前記少なくとも1つの第1の凹部は、前記第1のレッグ部材の前記遠位部分に設けられたボス部材を受け入れるよう構成され、
前記第2のジョー部材の前記遠位部分に設けられた少なくとも1つの第2の凹部をさらに有し、前記少なくとも1つの第2の凹部は、前記第2のレッグ部材の前記遠位部分に設けられたボス部材を受け入れるよう構成されている、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項8】
前記第1の安定化部材は、前記第1のジョー部材に取り外し可能に固定されており、前記第2の安定化装置は、前記第2のジョー部材に取り外し可能に固定されている、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項9】
前記第1のチャネルは、前記第1のジョー部材に沿って長手方向に延びており、前記第1のレッグ部材の一部分を受け入れるよう構成されており、前記第2のチャネルは、前記第2のジョー部材に沿って長手方向に延びており、前記第2のレッグ部材の一部分を受け入れるよう構成されている、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項10】
クリップアプライヤに外科用クリップを装填する方法であって、前記外科用クリップは、第1および第2のレッグ部材を有し、前記方法は、
前記第1のレッグ部材の遠位部分を前記クリップアプライヤの第1のジョー部材に係合させるステップと、
前記第2のレッグ部材の遠位部分を前記クリップアプライヤの第2のジョー部材に係合させるステップと、
前記外科用クリップの近位部分を第1の安定化部材第2の安定化部材との間に受け入れさせて前記外科用クリップの側方運動を減少させるステップと、
前記第1のジョー部材および前記第2のジョー部材の少なくとも1つを回動させて閉じ形態にするステップと、
閉じ形態にある前記第1のジョー部材の第1の内側面上に設けられた第2のチャネルに前記第1の安定化部材を受け入れるステップと、
閉じ形態にある前記第2のジョー部材の内側面上に設けられた第1のチャネルに前記第2の安定化部材を受け入れるステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記外科用クリップの前記近位部分を受け入れさせる前記ステップは、前記近位部分を、前記第1のジョー部材の第1の長手方向壁と前記第2のジョー部材の第2の長手方向壁との間に受け入れさせるステップを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記外科用クリップの前記近位部分を受け入れさせることにより、前記第1および前記第2のジョー部材が開き形態にあるときに前記近位部分の近位側にスペースを提供し、それにより前記第1および前記第2のレッグ部材のうちの少なくとも一方が前記外科用クリップの閉じ中に真っ直ぐになることができるようにする、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記第1および前記第2のジョー部材を回動させて閉じ形態にするステップと、
前記第1の安定化部材を前記外科用クリップの前記近位部分上で摺動させるステップと、
前記第2の安定化部材を前記外科用クリップの前記近位部分上で摺動させるステップと、をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記第1のレッグ部材の前記遠位部分を係合させる前記ステップは、ボス部材を前記第1のジョー部材の前記遠位部分に設けられた少なくとも1つの凹部中に受け入れさせるステップを含み、
前記第2のレッグ部材の前記遠位部分を係合させる前記ステップは、ボス部材を前記第2のジョー部材の前記遠位部分に設けられた少なくとも1つの凹部中に受け入れさせるステップを含む、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記第1のレッグ部材の一部分を前記第1のジョー部材の前記第1のチャネル内に受け入れさせ、前記第2のレッグ部材の一部分を前記第2のジョー部材の前記第2のチャネル内に受け入れさせるステップをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記第1および前記第2の安定化部材を前記外科用クリップから取り外すステップをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項17】
外科用クリップ組立体であって、
遠位部分のところに第1のボス部材を備えた第1のレッグ部材および遠位部分のところに第2のボス部材を備えた第2のレッグ部材を有する外科用クリップと、
クリップアプライヤと、を含み、前記クリップアプライヤは、
遠位部分に設けられていて前記第1のボス部材を受け入れる凹部を備えた第1のジョー部材を有し、
遠位部分に設けられていて前記第2のボス部材を受け入れる凹部を備えた第2のジョー部材を有し、
前記第1のジョー部材の内側面および前記第2のジョー部材の内側面の少なくとも1つと一体の、或いは、に固定された少なくとも1つの安定化部材を有し、前記少なくとも1つの安定化部材は、前記外科用クリップの近位部分を受け入れて前記外科用クリップの側方運動を減少させる空所またはスペースを備えた第1および第2の長手方向壁を有し、前記クリップアプライヤは、
前記少なくとも1つの安定科部材の反対側に位置する前記第1のジョー部材および前記第2のジョー部材の少なくとも1つ上に設けられた長手方向チャネルを有し、
前記第1および前記第2のジョー部材が開き形態にあるとき、前記外科用クリップに近位側で当接せず、前記第1のジョー部材および前記第2のジョー部材の少なくとも1つ上に設けられた前記長手方向チャネルは、前記第1および前記第2のジョー部材が閉じ形態にあるときに前記少なくとも1つの安定化部材を受け入れる、外科用クリップ組立体。
【請求項18】
前記外科用クリップの前記近位部分は、ヒンジ部分を含む、請求項10記載の方法。
【請求項19】
前記外科用クリップの前記近位部分は、ヒンジ部分を含む、請求項17記載の外科用クリップ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容、すなわち本発明は、一般に、クリップアプライヤ、特に安定化部材を有するクリップアプライヤに関する。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本国際出願は、2017年3月21日に出願された米国特許仮出願第62/474,544号の優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
組織(例えば、血管、リンパ節、神経、ファロピウス管、および心組織)の結紮は、多くの外科的手技にとってありふれたやり方である。これは、血管を外科用クリップで閉じることによりまたは血管を外科用糸で縫合することによって実施可能である。外科用糸の使用にあたっては、血管を固定するのに必要な結び目を作るのに針および外科用糸の複雑な操作が必要となる。かかる複雑な操作は、特にスペースおよび/または視認性が制限されているという特徴を有する内視鏡外科的手技において時間がかかりかつ実施するのが困難である。これとは対照的に、外科用クリップは、留めるのが比較的迅速かつ容易である。したがって、内視鏡および開放外科的手技における外科用クリップの使用が劇的に増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、クリップアプライヤおよび/または外科的クリップの1つまたは2つ以上の特徴、例えばクリップアプライヤ内における外科的クリップの安定性を向上させる必要があることを認識している。外科用クリップは、1対の対向したジョー部材を備えているクリップアプライヤによって留められる場合が多い。現在利用できるクリップアプライヤは、2つの接触箇所が対向したジョー部材と外科用クリップのレッグ部材との間にあるクリップを固定する場合が多い。2つの接触箇所は、外科用クリップに十分な安定性を与えることはなく、外科用クリップは、望ましくないことには、外科的手技中にクリップアプライヤに対して動く場合がありまたはそれどころかジョー部材から抜け落ちる場合がある。開示する方法およびシステムは、上述の問題および/または先行技術における問題のうちの1つまたは2つ以上を軽減しまたは解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点は、外科用クリップを組織に留めるよう構成されたクリップアプライヤに関する。クリップアプライヤは、外科用クリップの第1のレッグ部材の遠位部分に係合するよう構成された第1のジョー部材と、外科用クリップの第2のレッグ部材の遠位部分に係合するよう構成された第2のジョー部材とをさらに有するのが良い。クリップアプライヤは、第1のジョー部材に設けられた安定化部材をさらに有するのが良い。安定化部材は、外科用クリップの近位部分を受け入れるとともに外科用クリップの側方運動を減少させるよう構成された空所を有するのが良い。
【0006】
幾つかの実施形態では、クリップアプライヤは、第1および第2のジョー部材が開き形態にあるとき、外科用クリップに近位側で当接しない。幾つかの実施形態では、第2のジョー部材は、第1および第2のジョー部材が閉じ形態にあるとき、安定化部材を受け入れるよう構成された長手方向チャネルを有するのが良い。幾つかの実施形態では、安定化部材は、第1および第2のジョー部材が開き形態にあるとき、外科用クリップの近位部分を受け入れるよう構成された第1および第2の長手方向壁を有するのが良い。幾つかの実施形態では、第1および第2の長手方向壁は、実質的に平坦な内側面を有する。幾つかの実施形態では、空所の近位端部は、閉じられている。幾つかの実施形態では、空所の近位端部は、開いている。幾つかの実施形態では、安定化部材は、クリップアプライヤが閉じるときに近位部分上を摺動するよう構成されている。幾つかの実施形態では、クリップアプライヤは、第1のジョー部材の遠位部分に設けられた少なくとも1つの第1の凹部をさらに有するのが良く、少なくとも1つの第1の凹部は、第1のレッグ部材の遠位部分に設けられたボス部材を受け入れるよう構成され、クリップアプライヤは、第2のジョー部材の遠位部分に設けられた少なくとも1つの第2の凹部をさらに有するのが良く、少なくとも1つの第2の凹部は、第2のレッグ部材の遠位部分に設けられたボス部材を受け入れるよう構成されている。幾つかの実施形態では、安定化部材は、第1のジョー部材の内面中に一体化されている。幾つかの実施形態では、安定化部材は、第1のジョー部材に取り外し可能に固定されるのが良い。幾つかの実施形態では、第1のジョー部材は、第1のレッグ部材の一部分を受け入れるよう構成された長手方向チャネルを有するのが良い。
【0007】
本発明の第2の観点は、クリップアプライヤに外科用クリップを装填する方法に関し、外科用クリップは、第1および第2のレッグ部材を有する。本方法は、第1のレッグ部材の遠位部分をクリップアプライヤの第1のジョー部材に係合させるステップと、第2のレッグ部材の遠位部分をクリップアプライヤの第2のジョー部材に係合させるステップと、外科用クリップの近位部分を安定化部材の空所内に受け入れさせて外科用クリップの側方運動を減少させるステップとを含むのが良い。幾つかの実施形態では、外科用クリップの近位部分を受け入れさせるステップは、近位部分を安定化部材の第1の長手方向壁と第2の長手方向壁との間に受け入れさせるステップを含むのが良い。幾つかの実施形態では、外科用クリップの近位部分を受け入れさせることにより、第1および第2のジョー部材が開き形態にあるときに近位部分の近位側にスペースを提供し、それにより第1および第2のレッグ部材のうちの少なくとも一方が外科用クリップの閉じ中に長くなることができるようにする。幾つかの実施形態では、本方法は、第1および第2のジョー部材を回動させて閉じ形態にするステップと、安定化部材を近位部分上で摺動させるステップと、安定化部材を閉じ形態にある第2のジョー部材の長手方向チャネル内に受け入れさせるステップとをさらに含むのが良い。幾つかの実施形態では、第1のレッグ部材の遠位部分を係合させるステップは、ボス部材を第1のジョー部材の遠位部分に設けられた少なくとも1つの凹部中に受け入れさせるステップを含むのが良く、第2のレッグ部材の遠位部分を係合させるステップは、ボス部材を第2のジョー部材の遠位部分に設けられた少なくとも1つの凹部中に受け入れさせるステップを含むのが良い。幾つかの実施形態では、本方法は、第1のレッグ部材の一部分を第1のレッグ部材の長手方向チャネル内に受け入れさせるステップをさらに含むのが良い。幾つかの実施形態では、本方法は、安定化部材を第1のジョー部材から取り外すステップをさらに含むのが良い。
【0008】
本発明の第3の観点は、外科用クリップを含む外科用クリップ組立体に関する。外科用クリップは、遠位部分のところに第1のボス部材を備えた第1のレッグ部材および遠位部分のところに第2のボス部材を備えた第2のレッグ部材を有するのが良い。クリップアプライヤは、遠位部分に設けられていて第1のボス部材を受け入れる凹部を備えた第1のジョー部材と、遠位部分に設けられていて第2のボス部材を受け入れる凹部および長手方向チャネルを備えた第2のジョー部材と、第1のジョー部材に設けられた安定化部材とを有するのが良い。安定化部材は、外科用クリップの近位部分を受け入れて外科用クリップの側方運動を減少させる空所を備えた第1および第2の長手方向壁を有するのが良い。クリップアプライヤは、第1および第2のジョー部材が開き形態にあるとき、外科用クリップに近位側で当接せず、長手方向チャネルは、第1および第2のジョー部材が閉じ形態にあるときに安定化部材を受け入れるのが良い。
【0009】
本発明を容易に理解することができるようにするため、本発明の諸観点が添付の図面に例示として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】例示の安定化部材を有するとともに本発明の例示の外科用クリップが装填されたクリップアプライヤの第1の例示の実施形態の側面図である。
図1B図1Aの第1の例示の実施形態の第1の斜視図である。
図2図1Aおよび図1Bの第1の例示の実施形態の例示のクリップアプライヤの第2の斜視図である。
図3A】閉じ形態にある図1A図2の第1の例示の実施形態の側面図である。
図3B】閉じ形態にある図1A図3Aの第1の例示の実施形態の斜視図である。
図4】本発明の例示の安定化部材を有するクリップアプライヤの第2の例示の実施形態の斜視図である。
図5A】本発明の例示のクリップアプライヤ中に装填された例示の外科用クリップの例示の実施形態の側面図である。
図5B】本発明の例示のクリップアプライヤ中に装填された例示の外科用クリップの例示の実施形態の側面図である。
図6】本発明の例示の安定化部材を有するクリップアプライヤの第3の例示の実施形態の斜視図である。
図7図6の第3の例示の実施形態の例示の安定化部材の斜視図である。
図8】例示の安定化部材を有するとともに本発明の例示の外科用クリップが装填されたクリップアプライの第4の例示の実施形態の斜視図である。
図9】例示の安定化部材を有するとともに本発明の例示の外科用クリップが装填されたクリップアプライヤの第5の例示の実施形態の斜視図である。
図10】例示の安定化部材を有するとともに本発明の例示の外科用クリップが装填されたクリップアプライヤの第6の例示の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面および以下の詳細な説明中に同一または類似の部分を示すために同一または類似の参照符号が用いられている。
【0012】
次に、図を参照して本発明について説明するが、図中、同一の参照符号は、全体にわたって同一の部分を示していると言える。従来のやり方にしたがって、本明細書で用いられており、しかも本明細書において別段の指定がなければ、「近位部分」は、一般に、器具が用いられるようになっている場合に器具を取り扱いまたは操作する医療従事者の近くに位置する器具またはそのコンポーネントの特定の部分を指し、「遠位部分」は、近位部分と反対側に位置する器具またはそのコンポーネントの特定の部分を示すものとする。
【0013】
本発明は、一般に、医療手技中における外科用クリップの安定性を高めるよう構成されたクリップアプライヤに関する。クリップアプライヤは、第1および第2のジョー部材を備えたクリップアプライヤを含むのが良く、安定化部材がジョー部材のうちの少なくとも一方に設けられている。安定化部材および対をなすジョー部材は、手技中におけるクリップアプライヤに対する外科用クリップの運動を減少させるよう外科用クリップと少なくとも3つの接触箇所を提供することができる。安定化部材は、第1および第2の長手方向壁を有するのが良く、これら長手方向壁は、これらの間に外科用クリップの近位部分を受け入れるとともに外科用クリップの側方運動を減少させる。第1および第2の長手方向壁のコーナー部は、側方運動を減少させるよう近位部分と(例えば、ヒンジ部材のところまたはその近くのところにおいて)オーバーラップするのが良い。しかしながら、安定化部材は、外科用クリップがジョー部材相互間に受け入れられると、近位部分に近位側で当接しないのが良い。換言すると、安定化部材は、開き形態にあるときに外科用クリップの近位部分の上面、下面、および/または側面に係合することができるが、クリップアプライヤおよび安定化部材は、手技中における外科用クリップのレッグ部材の回動および/または伸長を可能にするスペースを外科用クリップの近位側に提供する。幾つかの実施形態では、安定化部材は、第1のジョー部材に設けられかつ閉じ形態において第2のジョー部材の長手方向チャネル内に受け入れられるのが良い。したがって、第2のジョー部材の長手方向チャネルは、幅の狭い遠位部分および閉じ形態において安定化部材を受け入れる幅の広い近位部分を有するのが良い。これにより、安定化部材は、クリップアプライヤが開き形態にあるときに外科用クリップを安定化するのに十分な長さを有するが、クリップアプライヤの閉じを妨害することがないようにすることができる。安定化部材は、第1および第2の長手方向壁を有するのが良く、これら長手方向壁相互間には長手方向スペースまたは空所が形成される。安定化部材は、第1および第2のジョー部材のうちの少なくとも一方に一体化されても良くまたは取り外し可能にこれに固定されても良い。安定化部材を第1および第2のジョー部材のうちの少なくとも一方に一体化することは、これが製造プロセスを容易にするので、ある用途においては特に好ましい場合がある。しかしながら、幾つかの用途では、例えば互いに異なるサイズの外科用クリップに対応するとともに安定化部材が損傷を受けたときに容易に交換できるよう安定化部材をジョー部材に取り外し可能に固定することが好ましい場合がある。
【0014】
図1Aおよび図1Bは、開き形態で外科用クリップ200が装填されたクリップアプライヤ100を示し、図2は、外科用クリップ200なしのクリップアプライヤ100を示し、図3Aおよび図3Bは、閉じ形態で外科用クリップ200が装填されたクリップアプライヤ100を示している。図示のように、クリップアプライヤ100は、ヒンジ部材106のところで回動可能に結合された第1のジョー部材102および第2のジョー部材104を有するのが良い。第1および第2のジョー部材102,104は、例えば血管を結紮するために外科用クリップ200を組織上に押しつけるよう構成されているのが良い。
【0015】
外科用クリップ200は、ヒンジ部材206のところで回動可能に接合された第1のレッグ部材202および第2のレッグ部材204を有するのが良い。第1のレッグ部材202は、全体として凹状の内面、全体として凸状の外面、および遠位端部に設けられたフック部材208を有するのが良い。第2のレッグ部材204は、全体として凸状の内面、全体として凹状の外面、および遠位端部に設けられたチップ(先端)部材210を有するのが良い。フック部材208は、チップ部材210に係合してその周りに撓むことができ、他方、第1および第2のレッグ部材202,204のうちの一方またはこれら両方は、回動し、真っ直ぐになり、かつ/あるいは長くなる。この場合、チップ部材210は、外科用クリップ200をラッチ留め形態に固定するようフック部材208内に受け入れられるのが良い。第1および第2のレッグ部材202,204の各々は、遠位部分に設けられた1つまたは2つ以上のボス部材212を有するのが良い。外科用クリップ200の例示の実施形態が米国特許第4,834,096号明細書にさらに説明されており、この米国特許を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。しかしながら、クリップアプライヤ100は、外科用クリップ200の任意の数の実施形態に適用するよう構成されるのが良いことが想定される。
【0016】
さらに図示のように、第1および第2のジョー部材102,104は、遠位部分のところに位置する少なくとも1つの凹部108および少なくとも1つの凹部108の近位側に位置する安定化部材110を有するのが良い。少なくとも1つの凹部108は、第1および第2のジョー部材102,104を横切って貫通して延びるのが良く、かつ外科用クリップ200の第1および第2のレッグ部材202,204上のボス部材212を締り嵌めまたはスナップ嵌め状態で受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル120が第1のジョー部材102の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第1のジョー部材102を1対の第1の延長部122に分離している。第2の長手方向チャネル124が第2のジョー部材204の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第2のジョー部材104を1対の第2の延長部126に分離している。延長部122,126の各々は、対向したボス部材212を受け入れるよう構成された凹部108を有するのが良く、第1および第2の長手方向チャネル120,124の各々は、外科用クリップ200の一部分を受け入れるよう構成されているのが良い。第2の長手方向チャネル124は、第1および第2のジョー部材102,104が閉じ形態にあるとき(図3Aおよび図3Bに示されているように)、安定化部材110を受け入れるよう構成された幅の広い近位部分128(図1Bに示されている)を有するのが良い。
【0017】
安定化部材110は、近位部分の側方運動を減少させることによって外科用クリップ200を整列させるよう構成されているのが良い。安定化部材110は、第1のジョー部材と一体であるのが良く、この安定化部材は、第2のジョー部材104に向かって内方に延びるのが良い。安定化部材110は、実質的に平坦な内側および/または外側の側面を備えた第1および第2の長手方向壁112を有するのが良く、これら長手方向壁は、クリップアプライヤ100および/または外科用クリップ200の閉じを阻止しない。長手方向壁112は、これらの間に空所114を形成するのが良く、長手方向壁112は、近位端部のところで空所114を閉じるよう安定化部材110の近位部分116のところで互いに接合されるのが良い。安定化部材110は、第1および第2のジョー部材102,104が開き形態にあるときから閉じ状態に至るまでの全体にわたり、外科用クリップ200の近位部分の近位側にスペースを提供することによって、外科用クリップ200の近位部分に近位側で当接しないのが良い。近位スペースにより、湾曲レッグ部材202,204は、外科用クリップ200が閉じるとともにフック部材208が先端部材210周りで撓んでいるときに回動し、真っ直ぐになるとともに/あるいは長くなることができるのが良い。安定化部材110は、第1および第2のジョー部材102,104が開き形態にあるときに外科用クリップ200とオーバーラップする内側部分118(例えば、長手方向壁112のコーナー部)を有するのが良い。したがって、開き形態では、安定化部材110は、外科用クリップを空所114内に受け入れることができ、第1および第2の長手方向壁112は、外科用クリップ200の近位部分とオーバーラップすることができる。第1および第2のジョー部材102,104が閉じているとき、安定化部材110は、外科用クリップ200の近位部分上を摺動することができ、第2の長手方向チャネル124は、外科用クリップ200が空所114内に受け入れられている間、安定化部材110を受け入れることができる。内側部分118は、停止部(図3Aに示されている)を提供するよう閉じ形態において第2の長手方向チャネル124の実質的に平べったい内壁130に当接する実質的に平坦な内面をさらに有するのが良い。安定化部材110は、第1のジョー部材102から実質的に垂直に延びる遠位表面および第1のジョー部材102から鋭角をなして遠位側に延びる近位表面をさらに有するのが良い。
【0018】
図4は、クリップアプライヤ300を開き形態で示している。図示のように、クリップアプライヤ300は、ヒンジ部材306のところで回動可能に結合された第1のジョー部材302および第2のジョー部材304を有するのが良い。第1および第2のジョー部材302,304は、外科用クリップ200が装填されて外科用クリップ200を上述したのと同様に組織に押しつけるよう構成されているのが良い。
【0019】
さらに図示のように、第1および第2のジョー部材302,304は、遠位部分のところに位置する少なくとも1つの凹部308および少なくとも1つの凹部308の近位側に位置する安定化部材310を有するのが良い。少なくとも1つの凹部308は、第1および第2のジョー部材302,304を横切って貫通して延びるのが良く、かつ外科用クリップ200の第1および第2のレッグ部材202,204上のボス部材212を締り嵌めまたはスナップ嵌め状態で受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル320が第1のジョー部材304の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第1のジョー部材302を1対の第1の延長部322に分離している。第2の長手方向チャネル324が第2のジョー部材204の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第2のジョー部材304を1対の第2の延長部326に分離している。延長部322,326の各々は、対向したボス部材212を受け入れるよう構成された凹部308を有するのが良く、第1および第2の長手方向チャネル320,324の各々は、外科用クリップ200の一部分を受け入れるよう構成されているのが良い。第2の長手方向チャネル324は、第1および第2のジョー部材302,304が閉じ形態にあるとき(図3Aおよび図3Bに同様に示されているように)、安定化部材310を受け入れるよう構成された幅の広い近位部分328を有するのが良い。
【0020】
安定化部材310は、近位部分の側方運動を減少させることによって外科用クリップ200を整列させるよう構成されているのが良い。安定化部材310は、第1のジョー部材と一体であるのが良く、この安定化部材は、第2のジョー部材304に向かって内方に延びるのが良い。安定化部材310は、実質的に平坦な内側および/または外側の側面を備えた第1および第2の長手方向壁312を有するのが良く、これら長手方向壁は、クリップアプライヤ300および/または外科用クリップ200の閉じを阻止しない。長手方向壁312は、これらの間に空所314を形成するのが良く、長手方向壁312は、空所314の開口近位端部を提供するよう近位部分のところで互いに間隔を置いて配置されるのが良い。安定化部材310は、第1および第2のジョー部材302,304が開き形態にあるときから閉じ状態に至るまでの全体にわたり、外科用クリップ200の近位部分の近位側にスペースを提供することによって、外科用クリップ200の近位部分に近位側で当接しないのが良い。近位スペースにより、湾曲レッグ部材202,204は、外科用クリップ200が閉じるとともにフック部材208が先端部材210周りで撓んでいるときに回動し、真っ直ぐになるとともに/あるいは長くなることができるのが良い。安定化部材310は、第1および第2のジョー部材302,304が開き形態にあるときに外科用クリップ200とオーバーラップする内側部分318(例えば、長手方向壁312のコーナー部)を有するのが良い。したがって、開き形態では、安定化部材310は、外科用クリップを空所314内に受け入れることができ、第1および第2の長手方向壁312は、外科用クリップ200の近位部分とオーバーラップすることができる。第1および第2のジョー部材302,304が閉じているとき、安定化部材310は、外科用クリップ200の近位部分上を摺動することができ、第2の長手方向チャネル324は、外科用クリップ200が空所314内に受け入れられている間、安定化部材310を受け入れることができる。内側部分318は、停止部を提供するよう閉じ形態において第2の長手方向チャネル324の実質的に平べったい内壁330に当接する実質的に平坦な内面をさらに有するのが良い。安定化部材310は、第1のジョー部材302から鋭角をなして遠位側に延びる遠位表面および第1のジョー部材302から鋭角をなして遠位側に延びる近位表面をさらに有するのが良い。
【0021】
図5Aおよび図5Bは、クリップアプライヤ100中に装填された外科用クリップ200の第2の実施形態を示している。図示のように、外科用クリップ200は、安定化部材110内に受け入れられるよう構成された外科用クリップ200の近位部分から延びるテールまたは延長部材220を有するのが良い。延長部材220は、近位部分(例えば、ヒンジ部分206)から近位側に延びるのが良く、この延長部材は、垂直に湾曲したフック部分を有するのが良い。延長部材220は、ヒンジ部分206および/またはレッグ部材202,204の幅よりも小さい幅を有するのが良い。延長部材220は、外科用クリップ200が図5Aおよび図5Bに示されているいずれかの向きにあるとき、第1および第2のジョー部材102,104および空所114中への外科用クリップ200の装填を容易にすることができる。図5Aおよび図5Bは、クリップアプライヤ100中に装填されている外科用クリップ200の第2の実施形態を示しており、外科用クリップ200の第2の実施形態は、本発明の他の実施形態を含む任意の数の他のクリップアプライヤ中に装填可能である。
【0022】
図6は、開き形態で外科用クリップ200が装填されたクリップアプライヤ400を示している。図示のように、クリップアプライヤ400は、ヒンジ部材(図示せず)で回動可能に結合された第1のジョー部材402および第2のジョー部材404を有するのが良い。第1および第2のジョー部材402,404は、上述したのと同様に、外科用クリップ200を押すよう構成されているのが良い。
【0023】
さらに図示のように、第1および第2のジョー部材402,404は、遠位部分のところに位置する少なくとも1つの凹部408および少なくとも1つの凹部408の近位側に位置する安定化部材410を有するのが良い。少なくとも1つの凹部408は、第1および第2のジョー部材402,404を横切って貫通して延びるのが良く、かつ外科用クリップ200の第1および第2のレッグ部材202,204上のボス部材212を締り嵌めまたはスナップ嵌め状態で受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル420が第1のジョー部材402の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第1のジョー部材402を1対の第1の延長部422に分離している。第2の長手方向チャネル424が第2のジョー部材404の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第2のジョー部材404を1対の第2の延長部426に分離している。延長部422,426の各々は、対向したボス部材212を受け入れるよう構成された凹部408を有するのが良く、第1および第2の長手方向チャネル420,424の各々は、外科用クリップ200の一部分を受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル420は、安定化部材410の第1の端部分を受け入れるよう構成されているのが良く(図6に示されているように)、第2の長手方向チャネル424は、第1および第2のジョー部材402,404が閉じ形態にあるとき(図3Aおよび図3Bに同様に示されているように)、安定化部材410を受け入れるよう構成された幅の広い近位部分(図示せず)を有するのが良い。
【0024】
安定化部材410は、近位部分の側方運動を減少させることによって外科用クリップ200を整列させるよう構成されているのが良い。安定化部材410は、第1のジョー部材402に取り外し可能に固定されるとともに第1のジョー部材402から第2のジョー部材404に向かって内方に延びるのが良い。第1のジョー部材と一体であるのが良く、この安定化部材は、第2のジョー部材404に向かって内方に延びるのが良い。安定化部材410は、実質的に内側および/または外側の側面を備えた第1および第2の長手方向壁412を有するのが良く、これら長手方向壁は、クリップアプライヤ400および/または外科用クリップ200の閉じを阻止しない。長手方向壁412は、これらの間に空所414を形成するのが良く、長手方向壁412は、近位端部のところで空所414を閉じるよう互いに接合されるのが良い。安定化部材410は、第1および第2のジョー部材402,404が開き形態にあるときから閉じ状態に至るまでの全体にわたり、外科用クリップ200の近位部分の近位側にスペースを提供することによって、外科用クリップ200の近位部分に近位側で当接しないのが良い。近位スペースにより、湾曲レッグ部材202,204は、外科用クリップ200が閉じるとともにフック部材208が先端部材210周りで撓んでいるときに回動し、真っ直ぐになるとともに/あるいは長くなることができるのが良い。安定化部材410は、第1および第2のジョー部材402,404が開き形態にあるときに外科用クリップ200とオーバーラップする内側部分418(例えば、長手方向壁412のコーナー部)を有するのが良い。したがって、開き形態では、安定化部材410は、外科用クリップを空所414内に受け入れることができ、第1および第2の長手方向壁412は、外科用クリップ200の近位部分とオーバーラップすることができる。第1および第2のジョー部材402,404が閉じているとき、安定化部材410は、外科用クリップ200の近位部分上を摺動することができ、第2の長手方向チャネル424は、外科用クリップ200が空所414内に受け入れられている間、安定化部材410を受け入れることができる。
【0025】
さらに図7に示されているように、安定化部材410は、ジョー部材402,404の内面に沿って延びるよう定められていて、実質的に高さおよび幅よりも大きい長さを有するブロックを有するのが良い。安定化部材410の内側部分418は、停止部を提供するよう閉じ形態において第2の長手方向チャネル424の実質的に平べったい内壁(図示せず)に当接するテーパ付きの平坦な内面を有するのが良い。図6に示されているように、安定化部材410は、第1のジョー部材402の長手方向チャネル420内に固定されるのが良く、この安定化部材は、第1のジョー部材402に設けられた固定部材(例えば、スロット)442に解除可能に係合するとともに/あるいはインターロックするよう構成された固定部材(例えば、突出部)440をさらに有するのが良い。安定化部材410を第1のジョー部材402に解除可能に固定するために突出部440とスロット442との間には締り嵌めおよび/あるいはスナップ嵌めが形成されるのが良い。したがって、安定化部材410は、例えば、外科的手技後に取り外されるとともに/あるいは処分されるのが良い1回使用コンポーネントであるのが良い。その意味において、安定化部材410は、組織を結紮するために1つまたは2つ以上の外科用クリップ200を留めるよう使用でき、安定化部材410は、次に、クリップアプライヤ400から取り外されて処分されるのが良い。したがって、安定化部材410は、損傷を受けた場合に容易に交換できる安価なプラスチックで構成されるのが良い。
【0026】
図8は、開き形態で外科用クリップ200が装填されたクリップアプライヤ500を示している。図示のように、クリップアプライヤ500は、ヒンジ部材506のところで回動可能に結合された第1のジョー部材502および第2のジョー部材504を有するのが良い。第1および第2のジョー部材502,504は、上述したのと同様に、外科用クリップ200を押すよう構成されているのが良い。
【0027】
さらに図示のように、第1および第2のジョー部材502,504は、遠位部分のところに位置する少なくとも1つの凹部508および少なくとも1つの凹部508の近位側に位置する安定化部材510を有するのが良い。少なくとも1つの凹部508は、第1および第2のジョー部材502,504を横切って貫通して延びるのが良く、かつ外科用クリップ200の第1および第2のレッグ部材202,204上のボス部材212を締り嵌めまたはスナップ嵌め状態で受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル520が第1のジョー部材502の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第1のジョー部材502を1対の第1の延長部522に分離している。第2の長手方向チャネル524が第2のジョー部材504の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第2のジョー部材504を1対の第2の延長部526に分離している。延長部522,526の各々は、対向したボス部材212を受け入れるよう構成された凹部508を有するのが良く、第1および第2の長手方向チャネル520,524の各々は、外科用クリップ200の一部分を受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル520は、安定化部材510の第1の端部分を受け入れるように構成されているのが良く(図8に示されているように)、第2の長手方向チャネル524は、第1および第2のジョー部材502,504が閉じ形態にあるとき(図3Aおよび図3Bに同様に示されているように)、安定化部材510を受け入れるよう構成された幅の広い近位部分(図示せず)を有するのが良い。
【0028】
安定化部材510は、近位部分の側方運動を減少させることによって外科用クリップ200を整列させるよう構成されているのが良い。安定化部材510は、第1のジョー部材502に一体的に固定された第1の近位部分552および第1の部分552に取り外し可能に固定された第2の遠位部分554を有するのが良い。第2の部分554は、実質的に平坦な内側および/または外側の側面を備えた第1および第2の長手方向壁512を有するのが良く、これら長手方向壁は、クリップアプライヤ500および/または外科用クリップ200の閉じを阻止しない。長手方向壁512は、これらの間に空所514を形成するのが良く、長手方向壁512は、近位端部のところで空所514を閉じるよう互いに接合されるのが良い。安定化部材510は、第1および第2のジョー部材502,504が開き形態にあるときから閉じ状態に至るまでの全体にわたり、外科用クリップ200の近位部分の近位側にスペースを提供することによって、外科用クリップ200の近位部分に近位側で当接しないのが良い。近位スペースにより、湾曲レッグ部材202,204は、外科用クリップ200が閉じるとともにフック部材208が先端部材210周りで撓んでいるときに回動し、真っ直ぐになるとともに/あるいは長くなることができるのが良い。安定化部材510は、第1および第2のジョー部材502,504が開き形態にあるときに外科用クリップ200とオーバーラップする内側部分518(例えば、長手方向壁512のコーナー部)を有するのが良い。したがって、開き形態では、安定化部材510は、外科用クリップを空所514内に受け入れることができ、第1および第2の長手方向壁512は、外科用クリップ200の近位部分とオーバーラップすることができる。第1および第2のジョー部材502,504が閉じているとき、安定化部材510は、外科用クリップ200の近位部分上を摺動することができ、第2の長手方向チャネル524は、外科用クリップ200が空所514内に受け入れられている間、安定化部材510を受け入れることができる。
【0029】
さらに図8に示されているように、第2の部分554は、第1の部分552に解除可能に固定されたブロックであるのが良い。第2の部分554は、多くの互いに異なる仕方により第1の部分552に解除可能に固定されるのが良い。例えば、図8に示されているように、第1の部分552は、第1および第2の雄型部材556,558を有するのが良く、これら雄型部材は、拡大遠位端部を有する。第1の雄型部材556は、第2の部材554の垂直スロット557を垂直に貫通して延びるのが良く、第2の雄型部材558は、第2の部材554の側方スロット559を貫通して側方に延びるのが良い。このように、雄型部材556,558と、スロット557,559の相互作用により、第2の部分554を垂直および側方の方向に第1のジョー部材502上に固定することができる。拡大遠位端部により、第2の部分554は、取り付けおよび取り外しを容易にするよう締り嵌め関係をなして第1の部分552上にスナップ装着できるのが良い。別の実施形態では、第1の部分552は、第2の部分554を第1のジョー部材502に固定するよう第2の部分554に設けられた孔内に受け入れられるよう構成された複数の枝部を有するのが良い。安定化部材510は、例えば、外科的手技後に取り外されるとともに/あるいは処分されるのが良い1回使用コンポーネントであるのが良い。その意味において、安定化部材510は、組織を結紮するために1つまたは2つ以上の外科用クリップ200を留めるよう使用でき、安定化部材510は、次に、クリップアプライヤ400から取り外されて処分されるのが良い。したがって、安定化部材510は、損傷を受けた場合に容易に交換できる安価なプラスチックで構成されるのが良い。
【0030】
図9は、開き形態で外科用クリップ200が装填されたクリップアプライヤ600を示している。図示のように、クリップアプライヤ600は、ヒンジ部材606のところで回動可能に結合された第1のジョー部材602および第2のジョー部材604を有するのが良い。第1および第2のジョー部材602,604は、上述したのと同様に、外科用クリップ200を押すよう構成されているのが良い。
【0031】
さらに図示のように、第1および第2のジョー部材602,604は、遠位部分のところに位置する少なくとも1つの凹部608および少なくとも1つの凹部608の近位側に位置する安定化部材610を有するのが良い。少なくとも1つの凹部608は、第1および第2のジョー部材602,604を横切って貫通して延びるのが良く、かつ外科用クリップ200の第1および第2のレッグ部材202,204上のボス部材212を締り嵌めまたはスナップ嵌め状態で受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル620が第1のジョー部材602の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第1のジョー部材602を1対の第1の延長部622に分離している。第2の長手方向チャネル624が第2のジョー部材204の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第2のジョー部材604を1対の第2の延長部626に分離している。延長部622,626の各々は、対向したボス部材212を受け入れるよう構成された凹部608を有するのが良く、第1および第2の長手方向チャネル620,624の各々は、外科用クリップ200の一部分を受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル620は、開き形態にある安定化部材610の第1の端部分を受け入れるように構成されているのが良く(図9に示されているように)、第2の長手方向チャネル624は、第1および第2のジョー部材602,604が閉じ形態にあるとき(図3Aおよび図3Bに同様に示されているように)、安定化部材610の第2の端部分を受け入れるよう構成された幅の広い近位部分628を有するのが良い。
【0032】
安定化部材610は、側方に互いに間隔を置いて配置された第1のおよび第2の長手方向プレートまたは壁662,664を有するとともに近位部分の側方運動を減少させることによって外科用クリップ200を整列させるよう構成されているのが良い。長手方向壁662,664は、第1のジョー部材602から内方に延びるのが良い。長手方向壁662,664は、第1のジョー部材602に取り外し可能に固定されるとともに第2のジョー部材604に向かって内方に延びるのが良い。長手方向壁662,664は、クリップアプライヤ600および/または外科用クリップ200の閉じを妨害しない実質的に平坦な内側および/または外側の側面を有する。長手方向壁662,664は、これら長手方向壁相互間に空所614を形成するのが良く、これら長手方向壁は、互いに平行に延びるのが良く、そしてこれら長手方向壁は、互いに間隔を置いた近位端部と遠位端部を有する。安定化部材610は、安定化部材610は、第1および第2のジョー部材602,604が開き形態にあるときから閉じ状態に至るまでの全体にわたり、外科用クリップ200の近位部分の近位側にスペースを提供することによって、外科用クリップ200の近位部分に近位側で当接しないのが良い。近位スペースにより、湾曲レッグ部材202,204は、外科用クリップ200が閉じるとともにフック部材208が先端部材210周りで撓んでいるときに回動し、真っ直ぐになるとともに/あるいは長くなることができるのが良い。安定化部材610は、第1および第2のジョー部材602,604が開き形態にあるときに外科用クリップ200とオーバーラップする内側部分618(例えば、長手方向壁662,664のコーナー部)を有するのが良い。したがって、開き形態では、安定化部材610は、外科用クリップを空所614内に受け入れることができ、第1および第2の長手方向壁662,664は、外科用クリップ200の近位部分とオーバーラップすることができる。第1および第2のジョー部材602,604が閉じているとき、安定化部材610は、外科用クリップ200の近位部分上を摺動することができ、第2の長手方向チャネル624は、外科用クリップ200が空所614内に受け入れられている間、安定化部材610を受け入れることができる。
【0033】
さらに図示のように、第1および第2の長手方向プレートまたは壁662,664は、各々が第1のジョー部材602に解除可能に取り付けられる別々のコンポーネントであって良い。第1および第2の長手方向壁662,664は、第1のジョー部材602の長手方向チャネル620内に固定されるのが良く、各長手方向壁は、第1のジョー部材602に設けられた固定部材(例えば、スロット)642に解除可能に係合するとともに/あるいはインターロックするよう構成された固定部材(例えば、突出部)640を有する。安定化部材610を第1のジョー部材602に解除可能に固定するために突出部640とスロット642との間には締り嵌めおよび/あるいはスナップ嵌めが形成されるのが良い。したがって、安定化部材610は、例えば、外科的手技後に取り外されるとともに/あるいは処分されるのが良い1回使用コンポーネントであるのが良い。その意味において、安定化部材610は、組織を結紮するために1つまたは2つ以上の外科用クリップ200を留めるよう使用でき、安定化部材610は、次に、クリップアプライヤ600から取り外されて処分されるのが良い。したがって、安定化部材610は、損傷を受けた場合に容易に交換できる安価なプラスチックで構成されるのが良い。
【0034】
図10は、開き形態で外科用クリップ200が装填されたクリップアプライヤ700を示している。図示のように、クリップアプライヤ700は、ヒンジ部材706のところで回動可能に結合された第1のジョー部材702および第2のジョー部材704を有するのが良い。第1および第2のジョー部材702,704は、上述したのと同様に、外科用クリップ200を押すよう構成されているのが良い。
【0035】
さらに図示のように、第1および第2のジョー部材702,704は、遠位部分のところに位置する少なくとも1つの凹部708および少なくとも1つの凹部708の近位側に位置する安定化部材710を有するのが良い。少なくとも1つの凹部708は、第1および第2のジョー部材702,704を横切って貫通して延びるのが良く、かつ外科用クリップ200の第1および第2のレッグ部材202,204上のボス部材212を締り嵌めまたはスナップ嵌め状態で受け入れるよう構成されているのが良い。第1の長手方向チャネル720が第1のジョー部材702の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第1のジョー部材702を1対の第1の延長部722に分離している。第2の長手方向チャネル724が第2のジョー部材704の内側部分を貫通して延びるのが良く、それにより第2のジョー部材704を1対の第2の延長部726に分離している。延長部722,726の各々は、対向したボス部材212を受け入れるよう構成された凹部708を有するのが良く、第1および第2の長手方向チャネル720,724の各々は、外科用クリップ200の一部分を受け入れるよう構成されているのが良い。開き形態では、第1および第2の長手方向チャネル720,724の各々は、図10に示されているように、長手方向壁762,764のうちの一方の第1の端部分を受け入れる幅の広い近位部分728を有するのが良い。閉じ形態では、互いに反対側の第1および第2の長手方向チャネル720,724の幅の広い近位部分728は、他方の長手方向壁762,764の第2の端部分を受け入れるのが良い。したがって、幅の広い近位部分728の各々は、閉じ形態において両方の長手方向壁762,764を受け入れるよう構成されているのが良い。
【0036】
安定化部材710は、近位部分の側方運動を減少させることによって外科用クリップ200を整列させるよう構成されているのが良い。安定化部材710は、第1のジョー部材702から内方に延びる第1の長手方向プレートまたは壁762および第2のジョー部材704から内方に延びる第2の長手方向プレートまたは壁764を有するのが良い。長手方向壁762,764は、それぞれのジョー部材702,704に取り外し可能に固定されるのが良くかつクリップアプライヤ700および/または外科用クリップ200の閉じを妨害しない実質的に平坦な内側および/または外側の側面を有するのが良い。長手方向壁712は、これらの間にスペースを形成するのが良くかつ互いに間隔を置いた近位端部と遠位端部を有するのが良い。安定化部材710は、第1および第2のジョー部材702,704が開き形態にあるときから閉じ状態に至るまでの全体にわたり、外科用クリップ200の近位部分の近位側にスペースを提供することによって、外科用クリップ200の近位部分に近位側で当接しないのが良い。近位スペースにより、湾曲レッグ部材202,204は、外科用クリップ200が閉じるとともにフック部材208が先端部材210周りで撓んでいるときに回動し、真っ直ぐになるとともに/あるいは長くなることができるのが良い。安定化部材710は、第1および第2のジョー部材702,704が開き形態にあるときに外科用クリップ200とオーバーラップする内側部分718(例えば、長手方向壁762,764のコーナー部)を有するのが良い。したがって、開き形態では、安定化部材710は、外科用クリップをスペース内に受け入れることができ、第1および第2の長手方向壁762,764は、外科用クリップ200の近位部分とオーバーラップすることができる。第1および第2のジョー部材702,704が閉じているとき、安定化部材710は、外科用クリップ200の近位部分上を摺動することができ、第2の長手方向チャネル724は、外科用クリップ200がスペース内に受け入れられている間、安定化部材710を受け入れることができる。
【0037】
さらに図示のように、第1および第2の長手方向プレートまたは壁762,764は、各々がそれぞれのジョー部材702,704に解除可能に取り付けられる別々のコンポーネントであって良い。第1および第2の長手方向壁762,764は、それぞれのジョー部材702,704の長手方向チャネル720,724内に固定されるのが良く、各長手方向壁は、ジョー部材702,704に設けられた固定部材(例えば、スロット)742に解除可能に係合するとともに/あるいはインターロックするよう構成された固定部材(例えば、突出部)740を有する。長手方向壁762,764をジョー部材702,704に解除可能に固定するために突出部740とスロット742との間には締り嵌めおよび/あるいはスナップ嵌めが形成されるのが良い。したがって、安定化部材710は、例えば、外科的手技後に取り外されるとともに/あるいは処分されるのが良い1回使用コンポーネントであるのが良い。その意味において、安定化部材710は、組織を結紮するために1つまたは2つ以上の外科用クリップ200を留めるよう使用でき、安定化部材710は、次に、クリップアプライヤ700から取り外されて処分されるのが良い。したがって、安定化部材710は、損傷を受けた場合に容易に交換できる安価なプラスチックで構成されるのが良い。
【0038】
したがって、クリップアプライヤの種々の実施形態は、外科用クリップとの少なくとも3つの接触箇所を提供することができる。クリップアプライヤは、凹部とボス部材の係合により外科用クリップの遠位部分に係合することができ、クリップアプライヤは、外科用クリップの近位部分を安定化部材の空所内に受け入れることによって外科用クリップを側方に整列させることができる。長手方向壁は、近位部分の側方運動を減少させるとともに外科用クリップがフィッシュテイリング(fish-tailing:魚が泳いでいるときにその尾部分が左右にふれるような状態)するのを阻止することができる。
【0039】
本発明の外科用クリップの種々の実施形態は、任意適当な寸法で構成でき、かかる外科用クリップを任意の数の組織、例えば血管、リンパ腺、神経、ファロピウス管、または心組織に留めることができる。外科用クリップ200は、任意適当な生態適合性材料、例えばある特定の金属およびポリマーで構成できる。しかしながら、本発明は、ポリマークリップとともに使用するのが特に適している。かくして、外科用クリップ200は、好ましくは、適当な強固な生体適合性エンジニアリングプラスチック、例えば外科用インプラント用に通常用いられている形式のエンジニアリングプラスチックで作られたワンピース一体型ポリマー本体を有する。例示の材料としては、ホモポリマーまたはコポリマーポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン、または射出成形でき、押し出し成形でき、または違ったやり方で同一物品の状態に加工可能なほぼ同じ特性を備える他の熱可塑性材料が挙げられる。
【0040】
本発明の多くの特徴および多くの利点は、詳細な説明から明らかであり、かくして、本発明の真の精神および範囲に属する本発明のかかる全ての特徴および利点を含むことが特許請求の範囲の記載によって意図されている。さらに、多くの改造例および変形例が当業者には容易に想到されるので、本発明を図示するとともに説明した構成および作用そのものに限定することは望まれてはおらず、したがって、全ての適当な改造例および均等例は、本発明の範囲に含めることができる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10