IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボルボトラックコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許-ロボット及び人間が使用可能な装置 図1
  • 特許-ロボット及び人間が使用可能な装置 図2
  • 特許-ロボット及び人間が使用可能な装置 図3
  • 特許-ロボット及び人間が使用可能な装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】ロボット及び人間が使用可能な装置
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20220217BHJP
   B25J 13/02 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 H
B25J13/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019555218
(86)(22)【出願日】2018-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2018025114
(87)【国際公開番号】W WO2018188817
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/058939
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】イェトヴァル,ペール-ラーゲ
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5903462(US,A)
【文献】特開2009-12239(JP,A)
【文献】特開2001-232583(JP,A)
【文献】特開2015-80815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25J 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット(12)及び人間(14)が互換的に使用可能な装置(10)であって、
前記ロボット(12)に結合するためのロボットコネクタ(22)、前記人間によって把持可能な表面及び前記人間によって把持可能なグリップ(24)の少なくとも一方、制御ステーション(28)と無線通信するための通信ユニット(26)、前記通信ユニット(26)に接続されたプロセッサ(30)、少なくとも前記通信ユニット(26)及び前記プロセッサ(30)に電力供給するための蓄電装置(32)、並びに前記装置が前記ロボット(12)に結合されたか、又は前記人間(14)によって直接使用されたかを検知するように構成された手段(34)を含んだベースユニット(16)と、
前記ベースユニット(16)に結合され、車両(20)又は車両関連物に関連した作業を実行するためのツール(18)と、
を備え、
前記装置が前記ロボット(12)に結合されたことを前記手段(34)が検知すると、前記装置が、前記制御ステーション(28)によって制御され、車両又は車両関連物に関連した作業の少なくとも一部を実行するように構成された、装置(10)。
【請求項2】
前記装置が前記人間(14)によって直接使用されたことを前記手段(34)が検知すると、前記装置が、前記制御ステーション(28)によって制御され、車両又は車両関連物に関連した作業の少なくとも一部を実行するように構成された、
請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記手段(34)が、前記ロボットコネクタ(22)が前記ロボット(12)に結合されたか否かを検知することによって、前記装置が前記ロボット(12)に結合されたか、又は前記人間(14)によって直接使用されたかを検知するように構成された、
請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記装置が装置ホルダー(42)から取り外されたときに、前記プロセッサ(30)が起動するように構成された、
請求項1~3のいずれか1つに記載の装置(10)。
【請求項5】
前記装置が、当該装置が前記ロボット(12)に連結されたか、又は前記人間(14)によって直接使用されたかを、前記制御ステーション(28)に通知するように構成された、
請求項1~4のいずれか1つに記載の装置(10)。
【請求項6】
前記ツール(18)が、前記ベースユニット(16)に着脱可能に結合された、
請求項1~5のいずれか1つに記載の装置(10)。
【請求項7】
前記ベースユニット(16)が、前記ツール(18)を動かすように構成された少なくとも1つのアクチュエータを更に含み、
前記少なくとも1つのアクチュエータが、前記蓄電装置(32)からの電気エネルギーによって電力供給され、前記プロセッサ(30)によって制御される、
請求項1~6のいずれか1つに記載の装置(10)。
【請求項8】
前記ベースユニット(16)が、前記装置の内部データ又は外部データを検出するように構成された少なくとも1つのセンサー(38)を更に含み、
前記プロセッサ(30)が、前記検出されたデータを読み込んで解析するように構成された、
請求項1~7のいずれか1つに記載の装置(10)。
【請求項9】
前記ベースユニット(16)が、前記人間(14)に対して前記作業に関連した情報を表示するように構成されたユーザーインターフェース(40)を更に含んだ、
請求項1~8のいずれか1つに記載の装置(10)。
【請求項11】
前記装置(10)が第1の装置であり、
第1のグループ(48)の1つ以上の異なるツール(18)が、前記第1の装置の前記ベースユニット(16)に結合され、
前記システムが、請求項1~9のいずれか1つに記載の第2の装置(10’)を更に備え、
前記第1のグループとは異なる、第2のグループ(48’)の1つ以上の異なるツール(18’)が、前記第2の装置の前記ベースユニット(16’)に結合された、
請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記第1の装置(10)の前記ベースユニット(16)、及び前記第2の装置(10’)の前記ベースユニットが、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記ツールに応じた、異なる特性及び/又は特徴を有する、
請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
車両サービスセンター(44)に配置された、
請求項10~12のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記装置(10)の前記ツール(18)によって実行される、車両(20)又は車両関連物に関連した複数の異なる作業に対するプロトコル及び/又は指示を有するデータベースを更に備えた、
請求項10~13のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1つに記載の装置(10)を動作させる方法であって、
前記装置が前記ロボット(12)に結合されたか、又は前記人間(14)によって直接使用されたかを前記装置が検知するステップと、
前記装置が前記ロボット(12)に結合されたことを前記装置が検知すると、前記制御ステーション(28)が、前記ロボット(12)及び前記装置(10)の両方を制御して車両(20)又は車両関連物に関連した作業を実行するステップと、
前記装置が前記人間(14)によって直接使用されたことを前記装置が検知すると、前記人間(14)が、前記装置(10)を制御して車両又は車両関連物に関連した作業の少なくとも一部を実行するステップと、
を備えた方法。
【請求項16】
前記装置(10)が前記ロボット(12)に結合されたことを前記装置が検知すると、前記ロボット(12)が、前記制御ステーション(28)によって制御され、前記装置(10)の位置決めだけを行う、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記装置が前記人間(14)によって直接使用されたことを前記装置が検知すると、前記人間(14)が、前記装置(10)を制御して車両(20)又は車両関連物に関連した作業の一部を実行し、前記制御ステーション(28)が、前記装置(10)を制御して車両(20)又は車両関連物に関連した作業の他の部分を実行する、
請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか1つに記載の前記装置(10)の前記ツール(18)によって実行され、車両(20)又は車両関連物に関連した複数の異なる作業に対するプロトコル及び/又は指示を含んだ、コンピュータ可読媒体(46)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット及び人間が使用することができる装置、そのような装置を備えたシステム、そのような装置を動作させる方法、及びコンピュータ可読媒体に関する。本発明は、例えば、トラック、バス、及び建設機械などの大型車両の整備(servicing)に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
作業タスク(work-tasks)は、通常、ロボット又は人間のいずれかによって行われる。大型車両の整備において、オイル交換や車輪交換などの整備タスク(service-tasks)は、一般的に、ロボットの自動化及びロボットの関与が望まれるが、人間によって直接行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に(大型)車両の整備において、ロボットの関与を有利に可能及び/又は促進することができる、装置、システム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、請求項1に記載の装置によって達成される。本発明の第2の態様によれば、この目的は、請求項10に記載のシステムによって達成される。本発明の第3の態様によれば、この目的は、請求項15に記載の方法によって達成される。本発明の第4の態様によれば、この目的は、請求項18に記載のコンピュータ可読媒体によって達成される。
【0005】
第1の態様によれば、ロボット及び人間が互換的に使用可能な装置が提供される。この装置は、ロボットに結合するためのロボットコネクタ、人間が把持可能な表面及び人間が把持可能なグリップの少なくとも一方、制御ステーションと無線通信するための通信ユニット、通信ユニットに接続されたプロセッサ、少なくとも通信ユニット及びプロセッサに電力を供給するための蓄電装置(energy storage)、並びに装置がロボットに結合されたか、又は人間によって直接使用されたかを検出するように構成された手段を含んだベースユニットと、ベースユニットに結合されて、車両又は車両関連物(vehicle related object)に関連した作業(operation)を実行するためのツールと、を備えている。この装置は、制御ステーションによって制御され、装置がロボットに結合されたことを前記手段が検知すると、車両又は車両関連物に関連した作業の少なくとも一部を実行するように構成されている。
【0006】
本装置は、ロボット及び人間が互換的に使用可能である。従って、装置は、ロボットに結合されるか、又は人間によって直接使用することができる。換言すると、装置は、一般的に同時ではないが、ロボット及び人間の両方が使用することができる。例えば、最初に人間が装置を直接使用して車両の1つの作業を実行し、そして、ことによるとベースユニットに結合された異なるツールで、同じ装置が人間に代わってロボットに結合されて使用され、車両又は他の車両の他の作業を実行することができる。その後、装置は、ロボット又は他のロボットなどに再び結合されて使用することができる。「人間によって直接使用」という表現は、本明細書では、人間が、例えば、その手で装置を保持及び把持して車両又は車両関連物の作業を実行することを意味している。
【0007】
本発明は、ロボット及び人間が互換的に使用することができる装置、即ち、ロボットに結合又は人間が直接使用する装置を提供することによって、人間専用に設計された1つのツール、及びロボット専用に設計された1つのツールを提供する必要性をなくし、コストを削減することができるという理解に基づいている。また、プロセッサ及び蓄電装置を内蔵することによって、装置は独自の知能(intelligence)及び動力源を有し、装置に「スマート(smart)」及び汎用性を付与することができる。全体として、本装置は柔軟性の向上を可能にし、特に、大型車両の整備における自動化レベルの向上を促進することができる。さらに、装置がロボットに結合されたか、又は人間によって直接使用されたかを検知する手段を備えることによって、安全性を向上させることができる。これは、車両サービスセンターや車両製造施設など、人間が存在する環境では特に重要である可能性がある。例えば、制御ステーションは、装置がロボットにしっかりと結合されたことを認識するまで、ツール作業を開始しなくてもよい。また、制御ステーションは、人間がツールを把持しているとき、ロボットに適合したツール作業を開始しなくてもよい。さらに、制御ステーションは、人間が装置を直接使用している間、ロボットの動作を開始しなくてもよい。従って、人身傷害を回避することができる。
【0008】
本装置の他の利点は、1つの車両関連作業中、ロボットの使用と人間の直接使用とを切り替えることができるという点で、柔軟性及び堅牢性が向上することである。従って、何らかの理由でロボットが作業を完了できない場合、人間がロボットから装置を切り離すことで作業を引き継ぎ、その後作業を終了させることができる。この状況では、装置がロボットに結合されたか、又は人間によって直接使用されたかを検知するように構成された手段は、装置がロボットの使用と人間の使用とを切り替えた後又はその逆の後、作業をどのように継続するかに適合した入力として使用できるために有益である。
【0009】
米国特許出願公開第2009/259412号明細書は、ロボットに結合するためのロボットコネクタ部を備えたツールであって、プログラミング中の結合によって、ハンドルがツール本体に取り付けられることを開示することに留意されたい。しかしながら、米国特許出願公開第2009/259412号明細書のツールは、本装置のように、車両又は車両関連装置に関連した作業に関し、ロボット及び人間が互換的に使用可能でない。その代わりに、米国特許出願公開第2009/259412号明細書のシステムは、ロボットのリードスループログラミングに関連して、産業ロボットによって操作されるツール又は作業対象物(work object)を制御するのに役立つ。
【0010】
本装置は、制御ステーションによって制御され、装置が人間によって直接使用されたことを前記手段が検知した場合、車両又は車両関連物に関連した作業の一部を実行するように構成されていてもよい。即ち、たとえ装置が人間によって使用されていても、要するに、たとえ人間が装置を保持していても、制御ステーションは、装置を制御して作業の一部を実行できる一方、人間は、残りの作業を実行してもよい。これによって、さまざまな程度の自動化が可能になる。例えば、ベースユニットに現在結合されているツールがドライバーである場合、人間は、装置のドライバーをねじに対して正確に位置させることができる一方、ドライバーの回転が制御ステーションによって無線で制御される。その代わりに、装置が人間によって直接使用されていることを前記手段が検知したならば、人間は、装置を制御して完全な作業を実行することができる。
【0011】
前記手段は、ロボットコネクタがロボットに結合されているかを検知することによって、装置がロボットに結合されているか、又は人間によって直接使用されているかを検知するように構成されていてもよい。ロボットコネクタがロボットに結合されていることを前記手段が検知した場合、装置は、ロボットに結合されて使用されている。そして、ロボットコネクタがロボットに結合されていないことを前記手段が検知した場合、装置は、人間によって直接使用されている。その代わりに、前記手段は、人間によって起動可能なスイッチを含み、スイッチが起動されると装置が人間によって直接使用され、スイッチが起動されていないと装置がロボットに結合されていると、前記手段が検知する。これに加えて、前記手段はまた、装置が動いているかを検知してもよい。装置が動いており、かつ装置がロボットに結合されていないことを前記手段が検知すると、装置が人間によって直接使用されていることを示している。適切な一例として、ジャイロスコープ(例えば、MEMSジャイロ)などの動き検出センサーをこの目的のために使用することができる。
【0012】
プロセッサは、装置が装置ホルダーから取り外されたときに起動するように構成されていてもよい。これによって、装置が使用されていないときのエネルギーが節約される。装置は、プロセッサが起動した後、制御ステーションに自分を提示するように更に構成されていてもよい。
【0013】
装置は、装置がロボットに結合されているか、又は人間によって直接使用されているかを制御ステーションに通知するように構成されていてもよく、これによって、制御ステーションは、その通知に応じて装置を制御することができる。
【0014】
ツールは、ベースユニットに着脱可能に結合されていてもよい。これによって、同じベースユニットを多様な異なるツールで使用することが可能となり、汎用性を向上させることができる。ツールは、例えば、ドライバー、ソケットレンチ、ホットエアガン(乾燥作業用)、グルーガン、塗装ノズル、カメラ、及び車両若しくは車両の一部を計測するLIDARデバイスを含んだグループから選択することができるが、これらに限定されない。
【0015】
ベースユニットは、ツールを動かすように構成された少なくとも1つのアクチュエータを更に含んでいてもよく、少なくとも1つのアクチュエータは、蓄電装置からの電気エネルギーによって電力供給され、プロセッサを介して制御される。少なくとも1つのアクチュエータは、例えば、ツールを回転させるように構成されたモータ、ツールを直線で動かすように構成されたリニアアクチュエータであってもよい。ベースユニットに蓄電装置及び少なくとも1つのアクチュエータを含ませることによって、装置は、例えば、ロボットのツールからの外部駆動に依存しない。その代わりに、例えば、商用電源、空気圧システム、又は油圧システムなど、外部動力源によってツールを駆動することができる。
【0016】
ベースユニットは、装置の内部データ又は外部データを検出するように構成された少なくとも1つのセンサーを更に含んでいてもよく、プロセッサは、検出されたデータを読み込んで解析するように構成されている。従って、装置は、生のセンサーデータではなく、通信ユニットを介して、例えば、制御ステーションに既に解析済みのデータを提供することができる。これによって、装置は、分析のためのバックオフィスツール(例えば、制御ステーション)に依存しなくなる。また、制御ステーションとの無線通信で要求又は消費される帯域幅を少なくすることができる。検出されたデータは、例えば、プロセッサが分析する画像であってもよく、例えば、ステアリングコラムのキングピンの摩耗レベルを提供する。他の例では、検出されたデータは、ツールのx,y,z位置、ヨー、ピッチ及びロールである。これらのデータをプロセッサが分析して、ツール(例えば、ナットランナー)がナットに正しく位置合わせされているか否かを判定する。少なくとも1つのセンサーは、例えば、上述した少なくとも1つのアクチュエータの位置を検出するように構成されたセンサー、上述した少なくとも1つのアクチュエータの電力消費量を検出するように構成されたセンサー、例えば、装置と上述した車両若しくは車両関連物との間の距離を検出するように構成された距離センサー、装置の位置を検出するように構成された位置センサー、装置の外部温度を検出するように構成された温度センサー、ビデオカメラ、及びタッチセンサーの1つ又は複数とすることができる。適切な一例として、画像データが画像認識のために使用され、車両又は車両関連物の異なる態様を検出するために画像データを使用することができる。一例では、画像認識は、Convolutional Neural Network(CNN又はConvNet)によって実行することができる。これは、例えば、整備に関して異なる要求を有する、異なる対象物を識別するために使用することができる。例えば、エンジンの異なるねじは、異なる締め付けトルクで締め付ける必要があるかもしれない。このため、どのねじが締め付けられるかを認識することによって、ツールを制御して、そのねじに応じたトルクレベルを適合させることができる。
【0017】
ベースユニットは、人間に対して作業に関連した情報を表示するように構成されたユーザーインターフェースを更に含んでいてもよい。このように、装置が人間によって使用される場合、作業をより効率的に実行することができる。情報は、例えば、(プロセッサを介して)前述した少なくとも1つのセンサーから、又は(通信ユニットを介して)制御ステーションから取得することができ、情報は、例えば、どのように作業を実行するか、作業の進捗状況、人間の入力要求などに関する、人間に対する指令を含んでいてもよい。ユーザーインターフェースは、例えば、少なくとも1つのLED(light emitting diode)、振動モータ、1つ以上のプッシュボタン、1つ以上のスイッチ(例えば、人間によって起動される前述したスイッチ)、及び(タッチ)ディスプレイの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0018】
ベースユニットは、ロボットに結合するための少なくとも1つの追加ロボットコネクタを更に含んでいてもよい。追加ロボットコネクタを提供することで、装置の柔軟性を更に向上させることができる。例えば、90°など、互いにオフセットした2つのロボットコネクタを提供すると、装置がロボットに結合されたとき、ツールによってより多くの作業を実行することができる。より具体的には、車両の特定のコンポーネントに到達するのが困難な場合があり、ツールがこれらのコンポーネントに到達する能力を高めることによって、人間の関与なしで、ロボットによってより多くの作業を実行することができる。
【0019】
ロボットはさらに、自律ロボットであってもよい。従って、ロボットが動作しているとき、人間が関与することがない。
【0020】
装置は、どの人間が装置を直接使用しているかを検知する手段を更に備えていてもよい。従って、装置は、誰が装置を使用しているかに応じて、どのように動作するかを適合させることができる。例えば、人間は、異なる身体能力、即ち、異なる長さ、強さ、特定の能力/障害などを持っているかもしれない。また、人間は、異なるスキルレベルを持っているかもしれない。このため、どの人間が装置を使用しているかを検知することによって、装置の制御が、その特定の人間に適合させて個別対応させることができる。これによって、装置の汎用性が更に向上する。前記手段はさらに、装置がどのロボットに結合されているかを検知可能であってもよい。同様に、ロボットが異なってもよく、これによって、装置がどのロボットに結合されているかを認識することも有利である。適切な一例として、この検知は、装置/人間、及び装置/ロボットのRFIDリーダ/タグ、又は任意の他の適切な検知手段/識別手段によって実行されてもよい。
【0021】
第2の態様によれば、第1の態様に記載の装置と、装置を保持及び充電するように構成された装置ホルダーと、制御ステーションと、を備えたシステムが提供される。この制御ステーションは、少なくとも装置がロボットに結合されたとき、装置を制御するように構成されている。この態様は、第1の態様と同じ又は同様な特徴と技術的効果を呈することができ、逆もまた同様である。
【0022】
上述した装置は、第1の装置であってもよく、第1のグループの1つ以上の異なるツールが、第1の装置のベースユニットに結合され、システムが、第1の態様に記載の第2の装置を更に備え、第1のグループとは異なる第2のグループの1つ以上の異なるツールが、第2の装置のベースユニットに結合されている。第1の装置のベースユニット、及び第2の装置のベースユニットは、第1のグループ及び第2のグループのツールに応じて、異なる特性及び/又は特徴を持っていてもよい。第1の装置のベースユニットは、例えば、上述した少なくとも1つのアクチュエータを備えていてもよく、第1のグループは、ドライバー及びソケットレンチ(両方ともアクチュエータで回転される)を備えていてもよい一方、第2の装置は、そのようなアクチュエータを有しておらず、第2のグループは、カメラ及びLIDERデバイス(両方とも蓄電装置からの電気エネルギーによって電力供給される)を備えている。その代わりに、第2の装置のベースユニットはまた、少なくとも1つのアクチュエータを有していてもよいが、第1の装置のベースユニットのアクチュエータより大きい出力(power)を有し、それによって、第2のグループは、第1のグループより大きい寸法のドライバー及び/又はソケットレンチを備えていてもよい。システムは、ツールの第3のグループのための異なるベースユニットを備えた第3の装置などを更に備えていてもよい。
【0023】
システムは、車両サービスセンターに配置されていてもよい。その代わりに、システムは、例えば、車両製造施設に配置されていてもよい。
【0024】
システムは、装置のツールによって実行される、車両又は車両関連物に関連した複数の異なる作業のためのプロトコル及び/又は指令を有するデータベースを更に備えていてもよい。
【0025】
第3の態様によれば、第1の態様に記載の装置を動作させる方法が提供される。この方法は、装置がロボットに結合されたか、又は人間によって直接使用されたかを装置が検知するステップと、装置がロボットに結合されたことを装置が検知すると、制御ステーションがロボット及び装置の両方を制御して車両又は車両関連物に関連した作業を実行するステップと、装置が人間によって直接使用されたことを装置が検知すると、人間が装置を制御して車両又は車両関連物に関連した作業の少なくとも一部を実行させるステップと、を備えている。この態様は、第1の態様及び/又は第2の態様と同じ又は同様な特徴及び技術的効果を呈することができ、その逆もまた同様である。
【0026】
1つ以上の実施形態において、装置がロボットに結合されたことを装置が検知すると、ロボットは、制御ステーションによって制御された位置に装置を配置するだけである。従って、ロボットはその他の点で装置を制御しない。これは、多様な装置及びツールに合わせてロボットをカスタマイズする必要がなくなるか、少なくともカスタマイズする必要を軽減することを意味している。従って、制御ステーションは、ロボットから分離していることが好ましく、ロボットは独自の制御ユニットを有していてもよい。
【0027】
1つ以上の実施形態において、装置が人間によって直接使用されたことを装置が検知すると、上記で例示したように、人間が装置を制御して車両又は車両関連物に関連した作業の一部を実行し、制御ステーションが装置を制御して車両又は車両関連物に関連した作業の他の一部を実行する。
【0028】
本発明のさらなる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属請求項に開示されている。
【0029】
第4の態様によれば、第1の態様に記載の装置のツールによって実行される、車両又は車両関連物に関連した複数の異なる作業のためのプロトコル及び/又は指令を備えた、コンピュータ可読媒体が提供される。この態様は、第1の態様~第3の態様のいずれか1つと同じ又は同様な特徴及び技術的効果を呈することができ、その逆もまた可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付の図面を参照し、以下に、例として挙げられる本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【0031】
図1】本発明の1つ以上の実施形態に係る装置を備えたシステムの概略的な側面図である。
図2図1の装置の概略的な側面図である。
図3図1の拡張システムを示している。
図4】本発明の1つ以上の実施形態に係る方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の1つ以上の実施形態に係る装置10を備えたシステム100の概略的な側面図である。装置10は、図2においてより詳細に示されている。
【0033】
装置10は、ロボット12及び人間14によって互換的に使用可能である。従って、装置10は、ロボットに結合されるか、又は人間によって直接使用することができる。換言すると、装置10は、一般的に同時ではないが、ロボット12及び人間14の両方が使用することができる。
【0034】
装置10は、ベースユニット16と、車両20又は車両関連物に関連した作業を実行するためのツール18と、を備えている。
【0035】
図示のベースユニット16は、ロボット12に結合するためのロボットコネクタ22と、人間14が把持可能なグリップ24と、装置10の外部にある制御ステーション28と無線通信するための通信ユニット26と、プロセッサ30と、蓄電装置32と、装置10がロボット12に結合されたか、又は人間14によって直接使用されたかを検知するように構成された手段34と、ツールを動かすように構成された少なくとも1つのアクチュエータ36と、装置10の内部データ又は外部データを検出するように構成された少なくとも1つのセンサー38と、ユーザーインターフェース40と、を含んでいる。
【0036】
ロボットコネクタ22によって、装置10をロボット12に少なくとも機械的に結合することが可能になる。ロボットコネクタ22は、ベースユニット16の背面に配置されていてもよい。ロボットコネクタ22は、例えば、RSP(Robot System Products)から提供されるツールチェンジャーTC5-4Eであってもよい。
【0037】
グリップ24は、人間14が装置10を保持、即ち、装置10を直接使用することを可能にする。グリップ24は、例えば、ピストルグリップであってもよい。その代わりに、グリップ24は二重ハンドルであってもよい。グリップ24は、三次元印刷されて、人間にうまくフィットされていてもよい。また、グリップ24は、着脱可能であってもよい。グリップ24に加えて、又はグリップ24の代わりに、ベースユニット16は、人間14によって把持可能な単なる表面(図示せず)を含んでいてもよい。把持可能な表面は、グリップ24を必要としない用途(applications)/ツール18に使用されてもよく、その場合、グリップ24は、ベースユニット16から省略又は取り外されてもよい。
【0038】
通信ユニット26によって、装置10と制御ステーション28との間の無線通信が可能になる。通信は、一般的に、双方向である。通信ユニット26は、例えば、チップ及びアンテナ(図示せず)を備えていてもよい。通信ユニット26は、例えば、WiFi、Bluetooth、ZigBee、4G、5Gなどに基づいていてもよい。
【0039】
プロセッサ30は、少なくとも、通信ユニット26、アクチュエータ36及びセンサー38に接続されている。プロセッサ30は、ベースユニット16に内蔵されたコンピュータ(図示せず)の一部を形成してもよい。コンピュータは、シングルボードコンピュータであってもよい。
【0040】
蓄電装置32は、少なくとも、通信ユニット26、プロセッサ30、アクチュエータ36、場合によってはセンサー38、及びユーザーインターフェース40に電力を供給するために使用されている。蓄電装置32は、例えば、リチウムイオンバッテリなどのバッテリであってもよい。蓄電装置32の容量は、例えば、装置10に含まれたプロセッサ30及びアクチュエータ36に依存してもよい。蓄電装置32は、再充電可能であってもよい。ベースユニット16は、蓄電装置32を充電するための手段(図示せず)、特に、蓄電装置32を無線充電する手段を備えていてもよい。
【0041】
手段34は、本明細書では、ロボットコネクタ22がロボット12に結合されたか否かを検知するように構成されている。ロボットコネクタ22がロボット12に結合されたことを手段34が検知した場合、装置10はロボット12によって使用されている。そして、ロボットコネクタ22がロボット12に結合されていないことを手段34が検知した場合、装置10が人間14によって使用されていると推定される。手段34は、ロボットコネクタ22に少なくとも部分的に組み込むことができる。手段34は、例えば、ロボット12(のコネクタ)がベースユニット16のロボットコネクタ22に結合されたとき、ロボット12のコネクタによって短絡又は閉鎖される電気回路を備えていてもよい。電気回路を短絡又は閉鎖すると、電気回路に電流が流れ、電気回路の抵抗を介して測定可能な電圧降下が起こり得る。この電圧降下が特定レベルを超えた場合、ロボット12が装置10に結合されたことを示している。
【0042】
少なくとも1つのアクチュエータ36は、蓄電装置32からの電気エネルギーによって電力供給され、プロセッサ30によって制御される。少なくとも1つのアクチュエータ36は、本明細書では、ツール18を回転させるように構成された電動モータであるが、その代わりに、例えば、リニアアクチュエータであってもよい。
【0043】
少なくとも1つのセンサー38は、アクチュエータ36の位置及び電力消費量などの内部データ、及び/又は車両20までの距離、装置10の位置、外気温度、画像、装置10と車両20との間の接触(touch/contact)などの外部データを検出するように構成されていてもよい。センサー38によって検出されたデータは、プロセッサ30が読み込んで分析することができる。
【0044】
ユーザーインターフェース40は、人間14に対して上述した作業に関する情報を表示するように構成されている。情報は、例えば、上述したセンサー38又は制御ステーション28から取得してもよく、情報は、例えば、どのように作業を実行するか、作業の進捗状況などに関する、人間14に対する指令を含んでいてもよい。ユーザーインターフェース40はまた、人間14からの入力を受け取るように構成されていてもよい。ユーザーインターフェース40は、例えば、タッチディスプレイであってもよいが、代替的又は補完的に、LED、振動モータ、ボタン、スイッチなどを含んでいてもよい。
【0045】
ツール18は、ベースユニット16に結合されている。ツール18は、ベースユニット16の前面に結合されていてもよい。ツール18は、ベースユニット16に機械的に結合されていてもよい。また、ツール18は、ベースユニット16に着脱可能に結合されていてもよく、これによって、異なるツール18をベースユニット16に結合することができる。即ち、ベースユニット16は、異なるツール18がベースユニット16に結合することができるという点で汎用的(generic)であり得る。ベースユニット16のアクチュエータ36が上述した電動モータである場合、ツール18は、例えば、ドライバー又はソケットレンチであってもよい。ベースユニット16が如何なるアクチュエータも有さない場合、ツール18は、例えば、ホットエアガン、カメラ、又はLIDARデバイスであってもよい。この場合、ツール18はまた、ベースユニット16に電気的に結合されて、蓄電装置32からの電気エネルギーによって電力供給できるようになっていてもよい。
【0046】
ツール18は、情報を格納するように構成されたメモリデバイス41を有していてもよく、ベースユニット16は、メモリデバイス41から情報を読み込み、及び/又はメモリデバイス41に情報を書き込むように構成された(対応)手段43を有していてもよい。メモリデバイス41は、電子メモリデバイス41(例えば、UICC(Universal Integrated Circuit Card)などの読み書き可能な不揮発性メモリ)であってもよく、手段43は、処理部及びコネクタを備えていてもよい。コネクタは、メモリデバイス41の接点に結合可能である。処理部は、別体のユニットであってもよく、又は上述したプロセッサ30に組み込まれていてもよい。他の例では、メモリデバイス41は、RFID(radio frequency identification)タグであってもよく、手段43はRFIDリーダである。メモリデバイス41に格納される情報は、ツール18の識別子(ID)、ツール能力、校正パラメータなどを含んでいてもよい。ツール18のメモリデバイス41は、ツール18がベースユニット16に正しく結合されたとき、ベースユニット18の手段43によって読み取ることができるように取り付けられている。手段43のコネクタは、例えば、ベースユニット16の前面に配置してもよい一方、メモリデバイス41の接点は、図2に示すように、ツール18の背面に配置され、ツール18がベースユニット16に正しく結合されたとき、接点及びコネクタが埃や泥から保護されることが好ましい。代替的又は補完的に、装置10の他の外部機器(図示せず)は、例えば、ツール18の校正後に調整がなされたとき、ツール18のメモリデバイス41から情報を読み込み、及び/又はツール18のメモリデバイス41に情報を書き込む前記手段43を有していてもよい。
【0047】
装置10がロボット12に結合されたことを上述した手段34が検知すると、装置10は、(外部の)制御ステーション28によって制御されて、車両20に関連した作業の少なくとも一部を実行するように構成されている。装置10は、例えば、通信ユニット26によって制御ステーション28から機械可読指令を受信するように構成されている。この指令は、プロセッサ30によって使用され、ツール18を動かすアクチュエータ36を制御、又はアクチュエータがない場合にはツール18を直接制御する。また、以下に例示するように、装置10は、制御ステーション28によって制御されて、装置10が人間によって直接使用されたことを手段34が検知した場合にも、車両20に関連した作業の一部を実行するように構成されていてもよい。
【0048】
装置10は、システム100の一部であり、システム100はまた、ロボット12、制御ステーション28及び装置ホルダー42を備えていてもよい。システム100は、車両サービスセンター44に配置されていてもよく、上述した作業は整備作業である。その代わりに、上記で既に説明したように、装置10及びシステム100は、車両製造施設で同様に使用されてもよい。従って、車両若しくは車両関連物の製造及び/又は整備は、本発明によって促進することができる。
【0049】
装置ホルダー42は、装置10が未使用である場合、装置10を保持及び充電するように構成されている。この目的のため、装置ホルダー42は、充電器45を備えている。充電器45は、装置10の蓄電装置32を無線充電、即ち、物理的なコネクタ及びケーブルなしで無線充電するように構成されていてもよい。
【0050】
制御ステーション28は、装置10を多様に制御するように構成されている。この目的のために、制御ステーション28は、装置10と無線通信するように構成されている。制御ステーション28は、装置10がロボット12に結合されたとき、例えば、装置10を制御してすべての作業(装置10の位置決めを除く)を実行する。制御ステーション28はまた、装置10が人間14によって直接使用されたとき、装置10を制御して作業の一部を実行してもよい。制御ステーション28はまた、装置10がロボット12に結合されたとき、ロボット12を制御して装置10を正しく位置決めするようにしてもよい。この目的のために、制御ステーション28はまた、ロボット12と通信するように構成されていてもよい。
【0051】
また、制御ステーション28は、ロボット12に連結されるか、又は人間14によって直接使用されたとき、装置10のツール18によって実行される、車両20又は車両関連物に関連した異なる複数の作業に対するプロトコル及び又は指令を有するデータベース46を備えていてもよい。
【0052】
システム100は、制御ステーション28が通信することができる、少なくとも1つの追加制御ステーション(図示せず)を備えていてもよく、例えば、命令を受けたり、ステータスレポートを送信したりしてもよい。
【0053】
システム100は、(第1の)装置10に加えて、追加装置、例えば、第2の装置10’及び第3の装置10”を備えていてもよい(図3参照)。第1のグループ48の異なるツール18は、第1の装置10のベースユニット16に結合され、第2のグループ48’の異なるツール18’は、第2の装置10’のベースユニット16’に結合され、第3のグループ48”の異なるツール18”は、第3の装置10”のベースユニット16”に結合されている。また、第1~第3の装置10,10’,10”のベースユニット16,16’,16”は、第1~第3のグループ48,48’,48”のツール18,18’,18”に応じた、異なる特性及び/又は特徴を有している。
【0054】
例えば、第1の装置10のベースユニット16は、上述した電動モータの形態をとるアクチュエータ36を備え、第1のグループ48のツール18は、上述したドライバー及びソケットレンチであってもよい。第2の装置10’のベースユニット16’は、アクチュエータを有しておらず、第2のグループ48’のツール18’は、上述したカメラ及びLIDARデバイスであってもよい。第3の装置10”のベースユニット16”は、第1の装置10より高出力の電動モータの形態をとるアクチュエータ36”、並びに第1の装置10より高容量の蓄電装置32を備え、第3のグループ48”のツール18”は、第1のグループ48より寸法が大きいドライバー及びソケットレンチであってもよい。
【0055】
図4を更に参照する。使用中には、装置10は、最初、装置ホルダー42に入っており(ステップS1)、プロセッサ30は、シャットダウンされているか、又はアイドルモードになっている。図示の車両20は、トラックであるが、その代わりに、トラクタ、バス、建設機械などであってもよい。車両に関連する代わりに、作業は、エンジン、変速装置などの車両関連物(図示せず)に関連していてもよい。
【0056】
ステップS2において、装置10は、ロボット12又は人間14によって装置ホルダー42から取り外され、これによってプロセッサ30が起動する。
【0057】
次に、ステップS3において、装置10は、例えば、そのID、ソフトウェアバージョン、能力(蓄電装置32の現在の充電レベル、及びアクチュエータ36のタイプなど)、ベースユニット16に結合された現在のツール18(手段43によって読み取られた、メモリデバイス41に格納された情報に基づく)などを、通信ユニット26によって制御ステーション28に送信することで、制御ステーション28に自分自身を提示してもよい。
【0058】
装置10はまた、ステップS4において、手段34を使用して、装置10がロボット12に結合されたか、又は人間14によって直接使用されたかを検知し、装置10がロボット12に結合されたか、又は人間14によって直接使用されたかに関する情報を、制御ステーション28に送信する。
【0059】
ステップS2の前に、例えば、車両サービスセンター44におけるロボット及び人間の現在の可用性に応じて、作業がロボット12によって実行されるべきか、又は人間14によって直接実行されるべきかを制御ステーション28が決定する、中間ステップがあってもよい。この場合、装置10から送信された、装置10がロボット12に結合されているか、又は人間14によって直接使用されているかに関する情報は、装置10が正しいエンティティによって使用されているという、制御ステーション28の確認として役立つことができる。その決定後、制御ステーション28は、装置10を使用すべきエンティティに応じて、人間に指令して装置ホルダー44から装置10を取り外させるか、又はロボット12を制御し、ロボット12がロボットコネクタ22に自分自身を結合して、装置ホルダー44から装置10を取り外させてもよい。
【0060】
装置10がロボット12に結合されたことを手段34が検知すると、制御ステーション28は、ロボット12及び装置10の両方を制御して作業を実行する(ステップS5)。一方、装置10が人間14によって直接使用されていることを手段34が検知すると、人間14は、装置10を制御して作業の少なくとも一部を実行する(ステップS6又はS7)。
【0061】
ステップS5において、ロボット12は、制御ステーション28によって制御されて、装置10を位置決めする。ロボット12は、例えば、装置10を位置決めして、そのツール18が車両20のねじにアクセスできるようにする一方、ツール18(即ち、ねじ)の回転は、制御ステーション28によって無線で制御される。即ち、制御ステーション28は、装置10に上述した機械可読指令を送信する。この指令は、通信ユニット26によって受信され、例えば、プロセッサ30によって使用されて、ツール18を動かすアクチュエータ36を制御する。
【0062】
ステップS6において、人間14は、装置10を制御して作業の一部を実行し、制御ステーション28は、装置10を制御して作業の他の一部を実行させる。例えば、ベースユニット16に結合されたツール18がソケットレンチである場合、人間14は、当該のナット又はボルトに対してソケットレンチを正確に位置決めしてもよい一方、ソケットレンチの回転(速度及び/又はトルク)が制御ステーション28によって無線で制御される。
【0063】
ステップS7において、人間14は、装置10を制御して完全な作業を実行する。作業は、例えば、複数のねじ、ナット又はボルトを所定トルクで回転することであってもよい。そのような作業について、制御ステーション28の関与を不要とすることができる。
【0064】
上記のことを考慮すると、ステップS5は自動と見做され、ステップS6は半自動と見做され、ステップS7は手動と見做すことができる。ステップS6又はS7は、例えば、作業のタイプに応じて実行される。
【0065】
少なくともステップS6及びS7において、ユーザーインターフェース40は、人間14に対して作業に関する情報を表示してもよい。情報は、例えば、上述したセンサー38、又は制御ステーション28から取得してもよい。情報は、例えば、どのように作業を実行するか、作業の進捗状況、人間14からのいくつかの入力要求などに関する、人間14に対する指令を含んでいてもよい。ユーザーインターフェース40は、例えば、センサー38からの位置データ又は画像に基づいて人間14を案内して、ステップS6においてソケットレンチを正確に位置決めさせるようにする、3つのLED(左-中央-右)を含んでいてもよい。他の例では、制御ステーション28は、ステップS7において、ユーザーインターフェース40を介して、多様なねじ、ナット又はボルトに対する正確なトルクを人間14に通知するようにしてもよい。他の例では、新しいツール18がベースユニット16に結合され、メモリデバイス41及び手段43を使用して識別されたとき、新しいツール18が制御ステーション28からの指令と一致しなければ(例えば、指令が、新しいツール18が取り扱えない高トルクを規定している場合など)、エラー表示がユーザーインターフェース40に表示されてもよい。エラー表示はまた、通信ユニット26を介して、制御ステーション28に送信されてもよい。ユーザーインターフェース40はまた、人間14からの入力を受け取ってもよい。入力は、例えば、制御ステーション28によってソケットレンチの回転が始まる前に、ステップS6において装置10が正確に位置決めされたという人間14からの確認、又はすべてのねじ、ナット又はボルトがステップS7において正確に締め付けられたという人間14からの指標であってもよい。
【0066】
また、作業前又は作業中の任意の時点で、制御ステーション28は、装置10、ロボット12、人間14及び車両20の少なくとも1つから情報を受信し、この情報に応じて、作業の選択及び/又は作業制御の適合/調整をするようにしてもよい。例えば、作業前に、車両20は、車両ID、車両データ(モデル、製造年、故障コードなどのECUデータなど)を制御ステーション28に送信してもよい。他の例は、上述したステップS3において、装置10から制御ステーション28に送信された情報である。他の例では、ステップS5又はS6の間、装置10は、通信ユニット26を介して、センサー38によって検出されたデータに由来する情報を制御ステーション28に送信してもよい。それによって、制御ステーション28は、ロボット12及び装置10の少なくとも一方の制御を適合又は調整することができる。ロボット12は、その位置、任意の故障コードなどについて、制御ステーション28に通知してもよい。人間14は、制御ステーション28に情報を直接入力、即ち、装置10のユーザーインターフェース40を介さずに入力してもよい。
【0067】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で多くの変更及び修正がなされ得ることを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4