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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】圧力容器用ねじ山付きボス
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20220217BHJP
   F17C 1/16 20060101ALI20220217BHJP
   F17C 5/06 20060101ALI20220217BHJP
   F16J 12/00 20060101ALN20220217BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
F17C1/16
F17C5/06
F16J12/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019564907
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018033100
(87)【国際公開番号】W WO2018217529
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-02-13
(31)【優先権主張番号】62/510,328
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ムトレイ ブラッド ジェームズ
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05979692(US,A)
【文献】特表2012-514727(JP,A)
【文献】国際公開第2016/018679(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0144866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
F17C 1/16
F17C 5/06
F16J 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通した孔を有するネックであって、前記孔が長軸を有するネックと、前記ネックから径方向外側に延在するフランジと、を備えるボスであって、
前記フランジは、
外側面と、
内側面と、
前記長軸から最も遠い位置に周囲面と、を備え、
前記周囲面は、前記内側面と前記外側面とを接続し、
前記周囲面は、螺旋形のねじ山を備え、前記ボスのいずれかの半径に沿って、前記螺旋形のねじ山は、第1周縁頂部と第2周縁頂部とを備え、
前記第1周縁頂部は、前記第2周縁頂部よりも前記外側面の近くに位置する、ボス。
【請求項2】
前記周囲面が、前記長軸に対して、略平行である、請求項1に記載のボス。
【請求項3】
断面領域において前記長軸と前記第1周縁頂部との間の第1の距離が、前記長軸と前記第2周縁頂部との間の第2の距離よりも短い、請求項1に記載のボス。
【請求項4】
前記第1周縁頂部が前記第2周縁頂部よりも小さい、請求項1~3のいずれか1項に記載のボス。
【請求項5】
請求項1に記載のボスとライナーとを備えた圧力容器であって、
前記ライナーは、前記ボスの前記周囲面と結合する外周面を備え、
前記外周面は、前記第1周縁頂部と第2周縁頂部と一致する輪郭を有する、圧力容器。
【請求項6】
前記ボスが、前記フランジの外側面に環状タブを備え、前記ライナーが、前記タブを収容するように構成された溝を備える、請求項に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記タブ及び前記溝が、前記タブと前記溝とのインターフェイスにおいて締まり嵌めを行うように構成された、請求項に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記タブと前記溝との間に、ガスケットをさらに備える、請求項6又は7に記載の圧力容器。
【請求項9】
請求項1に記載のボスとライナーとを備えた圧力容器の組み立て方法であって、
前記方法は、
前記フランジが前記開口を通過するように、前記ライナーを曲げることを含み、前記開口が前記周囲面の円周寸法よりも小さい円周寸法を有していて、
前記ボスを、前記ライナーの前記開口に挿入することと、
前記ボスの前記周囲面が前記ライナーの前記外周面と一致するように、前記ボスと前記ライナーとを接続することと、を含む方法。
【請求項10】
前記ボスと前記ライナーとを接続することが、前記ボスの前記周囲面と前記ライナーの前記外周面とをスナップ嵌合することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ボスと前記ライナーとを接続することが、前記ライナーの前記外周面から材料を除去するように、前記ボスの前記周囲面を前記ライナーの前記外周面に対して回転させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記ボスを、前記長軸に沿って前記ライナーに対して前進させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ボスの前記周囲面と前記ライナーの前記外周面との間のインターフェイスにおいて、締まり嵌めを行うことをさらに含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[先行技術]
一般に、圧力容器は種々の流体、例えば、水素、酸素、天然ガス、窒素、プロパン、メタン、及び他の燃料を、圧力下で収容するために用いられる。通常、圧力容器の寸法又は構成はいかなるものでもよい。容器は重くても軽くてもよく、単回使用用(例えば、使い捨て)でも、再利用可能なものでも、高圧力対応なものでも、(例えば、1平方インチあたり(psi)50ポンド(344,738パスカル)を超える圧力)低圧力対応なものでも、(例えば、50psi、又は344,738パスカル未満)、高温度又は極低温度で流体を収容するために使用されるものでもよい。
【0002】
適切な圧力容器シェル材料は、鋼鉄等の金属又は複合材を含み、複合材は、巻回されたグラスファイバーフィラメント又は他の合成繊維フィラメントを熱硬化性又は熱可塑性の樹脂で接着した積層体を含んでもよい。当該繊維は、グラスファイバー、アラミド、炭素、グラファイト、又は、他の一般的に知られた繊維質補強材でもよい。使用される樹脂材は、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、熱可塑性樹脂、又は、繊維同士の接着、繊維層同士の接着、及び、容器が使用される特定の応用において必要とされる分離抵抗性を提供し得る他の適切な樹脂質材料でもよい。容器を複合構造とすることで、軽量性、並びに、腐食、疲労、及び突発故障性に対する耐性等の、多数の利点が得られる。このような特性は、補強繊維又は補強フィラメントが有する高比強度に起因する。
【0003】
重合体の、又は他の非金属性の弾性ライナー又はブラダーは、容器を封止し、内部の流体が複合材料に接触することを防止するために、しばしば複合材シェルの内部に設けられる。ライナーは、圧縮成形、吹込み成形、射出成形、又は他の一般的に知られたあらゆる手法で製造され得る。また、ライナーは、鋼鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、プラチナ、金、銀、ステンレス鋼、及びこれらによる合金を含む、別の材料からも製造され得る。このような材料は、通常、高い弾性係数を有することを特徴とし得る。一実施形態では、ライナーは、高密度ポリエチレン(HDPE)を用いた吹込み成形によって形成される。
【0004】
図1に、「損傷低減システムを有する圧力容器」という名称の米国特許第5,476,189号に開示されているような、細長い圧力容器10を示す。米国特許第5,476,189号は、本出願に参照により援用する。圧力容器10は、本体部12と、ほぼ半球状又はドーム状の端部14とを有する。圧力容器10の内部環境17と外部環境19との間に連絡用のポートを設けるために、圧力容器10の一方又は両方の端部に、通常はアルミニウム製である、ボス16が設けられる。図2に示すとおり、圧力容器10には、シェル18に覆われたライナー20(インナーポリマーライナー等)が形成される。例えば、シェル18は、フィラメントが巻回された複合材シェルであってもよい。ライナー20がガスバリアを提供する一方で、シェル18は圧力容器10にかかる構造負荷を解決する。
【0005】
図2に、図1の線2‐2に沿って切断した、ボス16を含む端部14の部分断面図を示す。端部14は、「フィラメント巻回圧力容器用ボス」という名称の米国特許第5,429,845号に開示されているような端部であり、米国特許第5,429,845号は、本出願に参照により援用する。ボス16は、外側面23とポート26とを有するネック22を備える。ポート26は、ボス16の外側面23を垂直に横切り、圧力容器10の外部環境19と内部環境17との間の流体連通を可能にする。また、ボス16は、ネック22のポート26から径方向外側に延在するフランジ24(環状フランジとして図示)を有する。図面のとおり、図2は、シェル18とライナー20との間のインターフェイス60を示す。また、図2は、ライナー20とボス16との間のインターフェイス62を示す。本開示では、内部環境17を向いた面、方向、及び要素は、名称に「内側」と付して表記し、外部環境19を向いた面、方向、及び要素は、名称に「外側」と付して表記する。こうした表記は限定的なものではなく、むしろ理解の便宜と容易化のために使用されるものであり、また、他の表記が使用されてもよい場合、及び/又は、適切である場合もある。
【0006】
通常、ボス16のフランジ24は、ライナー20の複数部分の間に収容される、及び/又は、ライナー20とシェル18との間に挟まれる。通常、シェル18はネック22に当接する。実施形態によっては、フランジ24は、外側部38と内側部37とを有する。フランジ24は、ライナー20のタブ34(環状タブ等)を収容するように形成された少なくとも1つの溝32(環状溝として図示)を備えてもよい。この構成により、ボス16が圧力容器10に固定され、インターフェイス62にてボス16とライナー20との間が封止される。
【0007】
圧力容器10の成形方法は、マンドレルにボスを設置することと、ライナー20用の液体ポリマー材をフランジ24の周囲及びボス16の溝32の内部に流し込むこととを含む。いくつかの実施形態では、その後ライナー材料が凝固することで、ライナー20のうち、フランジ24の外側部38に隣接する部分35及び、溝32に収容されたタブ34が形成される。このようにして、ライナー20はボス16と機械的に結合する。したがって、極圧条件下であっても、ライナー20がボス16から分離することが防止される。
【0008】
通常、シェル18は巻回された繊維で形成され、ライナー20と、ボス16のフランジ24の少なくとも一部とを包囲する。一方法では、繊維のディスペンサーヘッドは、繊維を所望のパターンでライナー20に巻き付けるように動く。圧力容器10が球状ではなく円筒形である場合、繊維の巻回は通常、ほぼ長手方向(螺旋形)及びほぼ周方向(輪状形)の巻回パターンの両方で行われる。この巻回工程は、樹脂含有量、繊維構成、巻回張力、及びライナー20の軸に対する巻回パターン等の、多数の要因によって定義される。好適な圧力容器の形成に関連する詳細は、「フィラメント巻回工程及び装置」という名称の米国特許第4,838,971に開示されており、米国特許第4,838,971号は、本出願に参照により援用する。
[発明の概要]
一局面では、ボスは、ネックと、当該ネックから径方向外側に延在するフランジとを備える。ネックは、当該ネックを貫通する孔を有し、孔は長軸を有する。フランジは、外側面と、内側面と、長軸から最も遠い位置に周囲面とを備える。周囲面は、内側面と外側面とを接続し、ボスのいずれかの半径に沿って第1周縁頂部と第2周縁頂部とを備え、第1周縁頂部は第2周縁頂部よりも外側面の近くに位置する。
【0009】
別の局面では、圧力容器はボスとライナーとを備える。ボスは、ネックと、当該ネックから径方向外側に延在するフランジとを備える。ネックは、当該ネックを貫通する孔を有し、孔は長軸を有する。フランジは、外側面と、内側面と、長軸から最も遠い位置に周囲面とを備える。周囲面は、内側面と外側面とを接続し、ボスのいずれかの半径に沿って第1周縁頂部と第2周縁頂部とを備え、第1周縁頂部は第2周縁頂部よりも外側面の近くに位置する。ライナーは、ボス周囲面と結合する外周面を備え、外周面は第1周縁頂部及び第2周縁頂部と一致する輪郭を有する。
【0010】
さらに別の局面では、ボスとライナーとを有する圧力容器の組み立て方法を説明する。ボスは、ネックと、当該ネックから径方向外側に延在するフランジとを備える。ネックは、当該ネックを貫通する孔を有し、孔は長軸を有する。フランジは、外側面と、内側面と、長軸から最も遠い位置に周囲面とを備える。周囲面は、内側面と外側面とを接続し、ボスのいずれかの半径に沿って第1周縁頂部と第2周縁頂部とを備え、第1周縁頂部は第2周縁頂部よりも外側面の近くに位置する。ライナーは、外周面を有する開口を有する。当該方法は、ボスをライナーの開口に挿入することと、ボスの周囲面がライナーの外周面と一致するように、ボスとライナーとを接続することとを含む。
【0011】
本開示は、装置又は方法となる種々の組み合わせにおいて、以下に記載する項目を特徴としてもよい。
【0012】
1.貫通した孔を有するネックであって、前記孔が長軸を有するネックと、前記ネックから径方向外側に延在するフランジと、を備えるボスであって、
前記フランジは、外側面と、内側面と、前記長軸から最も遠い位置に周囲面と、を備え、
前記周囲面は、前記内側面と前記外側面とを接続し、
前記周囲面は、前記ボスのいずれかの半径に沿って、第1周縁頂部と第2周縁頂部とを備え、
前記第1周縁頂部は、前記第2周縁頂部よりも前記外側面の近くに位置する、ボス。
【0013】
2.前記周囲面が、螺旋形のねじ山を備える、項目1に記載のボス。
【0014】
3.前記長軸と前記第1周縁頂部との間の第1の距離が、前記長軸と前記第2周縁頂部との間の第2の距離に等しい、項目1及び2のいずれかに記載のボス。
【0015】
4.前記長軸と前記第1周縁頂部との間の第1の距離が、前記長軸と前記第2周縁頂部との間の第2の距離よりも短い、項目1から3のいずれかに記載のボス。
【0016】
5.前記第1周縁頂部が前記第2周縁頂部よりも小さい、項目1から4のいずれかに記載のボス。
【0017】
6.前記第1周縁頂部と前記第2周縁頂部とのうちの少なくとも1つが、ほぼ三角形の断面形状を有し、頂点で接する第1面と第2面とを備える、項目1から5のいずれかに記載のボス。
【0018】
7.前記第1面と前記第2面とのうちの少なくとも1つが、長軸にほぼ垂直である、項目6に記載のボス。
【0019】
8.前記第1周縁頂部と前記第2周縁頂部とのうちの少なくとも1つが、凸状に湾曲した形状を有する、項目1から7のいずれかに記載のボス。
【0020】
9.前記第1周縁頂部と前記第2周縁頂部とが離間している、項目1から8のいずれかに記載のボス。
【0021】
10.ボスとライナーとを備えた圧力容器であって、
前記ボスは、貫通した孔を有するネックであって、前記孔が長軸を有するネックと、前記ネックから径方向外側に延在するフランジと、を備え、
前記フランジは、外側面と、内側面と、前記長軸から最も遠い位置に周囲面と、を備え、
前記周囲面は、前記内側面と前記外側面とを接続し、
前記周囲面は、前記ボスのいずれかの半径に沿って、第1周縁頂部と第2周縁頂部とを備え、前記第1周縁頂部は前記第2周縁頂部よりも前記外側面の近くに位置し、
前記ライナーは、前記ボスの前記周囲面と結合する外周面を備え、前記外周面は、前記第1周縁頂部と第2周縁頂部と一致する輪郭を有する、圧力容器。
【0022】
11.前記ボスが、前記フランジの外側面に環状タブを備え、前記ライナーが、前記タブを収容するように構成された溝を備える、項目10に記載の圧力容器。
【0023】
12.前記タブ及び前記溝が、前記タブと前記溝とのインターフェイスにおいて締まり嵌めを行うように構成された、項目11に記載の圧力容器。
【0024】
13.前記タブと前記溝との間に、ガスケットをさらに備える、項目11及び12のいずれかに記載の圧力容器。
【0025】
14.前記周囲面が、螺旋形のねじ山を備える、項目10から13のいずれかに記載の圧力容器。
【0026】
15.ボスとライナーとを備えた圧力容器の組み立て方法であって、
前記ボスは、貫通した孔を有するネックであって、前記孔が長軸を有するネックと、前記ネックから径方向外側に延在するフランジと、を備え、
前記フランジは、外側面と、内側面と、前記長軸から最も遠い位置に周囲面と、を備え、
前記周囲面は、前記内側面と前記外側面とを接続し、
前記周囲面は、前記ボスのいずれかの半径に沿って、第1周縁頂部と第2周縁頂部とを備え、前記第1周縁頂部は前記第2周縁頂部よりも前記外側面の近くに位置し、
前記ライナーは、外周面を有する開口を備え、
前記方法は、
前記ボスを、前記ライナーの前記開口に挿入することと、
前記ボスの前記周囲面が前記ライナーの前記外周面と一致するように、前記ボスと前記ライナーとを接続することと、を備える、方法。
【0027】
16.前記ボスと前記ライナーとを接続することが、前記ボスの前記周囲面と前記ライナーの前記外周面とをスナップ嵌合することを含む、項目15に記載の方法。
【0028】
17.前記ボスと前記ライナーとを接続することが、前記ライナーの前記外周面から材料を除去するように、前記ボスの前記周囲面を前記ライナーの前記外周面に対して回転させることを含む、項目15及び16のいずれかに記載の方法。
【0029】
18.前記ボスを、前記長軸に沿って前記ライナーに対して前進させることをさらに含む、項目17に記載の方法。
【0030】
19.前記ボスの前記周囲面と前記ライナーの前記外周面との間のインターフェイスにおいて、締まり嵌めを行うことをさらに含む、項目15から18のいずれかに記載の方法。
【0031】
20.前記ボスが前記開口を通過するように、前記ライナーを曲げることをさらに含み、前記開口の円周寸法が前記周囲面の円周寸法よりも小さい、項目15から19のいずれかに記載の方法。
【0032】
本概要は、以下に発明の詳細な説明で詳述する本開示の概念を簡略に紹介するものである。本概要は、開示された主題又は請求項に係る主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また、開示された実施形態のそれぞれについて、又は、開示された主題又は請求項に係る主題の実施の全てについて説明することを意図するものでもない。特に、本明細書に開示された一実施形態に関する特徴は、別の実施形態にも等しく適用可能であってよい。さらに、本概要は、請求項に係る主題の範囲を決定する裏付けとなることを意図するものではない。他の多くの新規の利点、特徴、及び関係が、本明細書を読み進める中で明らかになるであろう。後述する図面及び説明において、具体的な実施形態をより詳細に例示する。
【0033】
添付の図面を参照して、本開示の主題を詳述する。添付の図面においては、同様の構造又はシステム要素は、複数の図面を通して同様の参照符号により参照される。さらに、類似した構造には、百番台の参照符号が付されている場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】典型的な従来型の圧力容器の側面図を示す。
図2図1に示す圧力容器の一端を図1の線2‐2において切断した部分断面図であり、典型的なボス、ライナー、及びシェルを示す。
図3】圧力容器における、ボス及びライナーによる好適なアセンブリの端部の部分断面図を示す。
図4図3の一部分の拡大図を示す。
図5図3に示す好適なボス及びライナーの構成部分の分解図を示す。
図6図5と類似するが、圧力容器のボス及びライナーの第2の好適な実施形態を示す。
図7図5図6と類似するが、図6のボスを図5のライナーと共に使用した図を示す。
図8】ボス及びガスケットによるアセンブリの部分断面図を示す。
図9】中間形成工程における、ライナーの一部分の部分断面図を示す。
図10図10A~10Eは、本開示のボスの周囲面の別の実施形態を示す。
【0035】
上述した図面に、本開示の主題の1つ又はそれ以上の実施形態を示したが、本開示に記載のとおり、これら以外の実施形態も考えられる。いずれの場合にも、本開示は代表的な例を示すことによって本開示の主題を提示するものであり、限定を示すものではない。当業者によって、本開示の原理の範囲内に含まれる、多数のほかの変形例及び実施形態が考案され得ることは理解されるべきである。
【0036】
上述した図面は原寸に比例して描かれていない場合がある。特に、明確化のために、いくつかの特徴をほかの特徴よりも拡大している場合がある。さらに、内側部、外側部、~の上方、~の下方、~を覆って、~の下、~の上部、~の下部、~側、右、左、水平な、垂直な、等の用語が使われる際には、これらの用語が説明の理解を容易にする目的でのみ使用されていることを理解されたい。開示の構造が別の向きで描かれる場合があることも考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図3から図10Eに示す構成要素の向きは、図2の向きとは異なり、ボス116の外側面123が、ぞれぞれの図面の下側で水平な面となるように示されている。さらに、本開示のボス116は、半分しか図示されていない。図2のボス16と同様に、ボス116はそれぞれ、概ね環状で放射相称の部材であると理解される。好適な実施形態では、ボス116は、長軸152を軸として径方向に対称な形状を有する。
【0038】
図3に示すとおり、本開示では圧力容器用のボス116について記載する。ボス116は、ポート又は孔126が貫通したネック122を有する。孔126は長軸152を有する。ボス116は、ネック122から径方向外側に延在するフランジ124を有する。フランジ124は、外部環境19に面した外側部138と、内部環境17に面した内側部137とを有する。フランジ124における、孔126から最も遠い位置に、周囲面128が位置する。周囲面128は、フランジ124の外側部138と内側部137とを接続する。
【0039】
図3から図10Eでは、ボス116及び/又はライナー120の径方向断面図を示す。ボス116のいずれかの半径に沿って切断した断面図を見ると、周囲面128は周縁頂部158を有する。第1周縁頂部158´は、第2周縁頂部158´´よりもフランジ124の外側部138の近くに位置する。
【0040】
図3図4に示す好適な実施例では、周囲面128は螺旋形のねじ山を有する。したがって、ボス116のいずれかの半径に沿って切断した断面図では、第1周縁頂部158´及び第2周縁頂部158´´は離間して見えるが、立体的に見ると、第1周縁頂部158´と第2周縁頂部158´´とが周囲面128を中心とした螺旋状に接続している実施形態があると理解されたい。別の実施形態では、隣り合う周縁頂部158同士は、互いを隔てるねじ溝の谷によって離間された、個別の構造である。
【0041】
アセンブリ150におけるボス116とライナー120との接着を確実にするために、ボス116をライナー120の既製のドーム状のライナー端部114に挿入し、焼き鈍してもよい。このような既製品は、例えば、鋳型加工や機械加工等の既知の手段によって得ることもできる。アセンブリ150の形成後に封止を強化させ、ライナー120に対するボス116の移動を防止するために、ライナー120の溝136に挿入されるボス116のタブ130等の付加的なロック機能をフランジ124の外側部138に備えてもよい。さらに、封止を強化させ、ライナー120に対するボス116の移動を防止するために、ボス116の環状溝140がライナー120の環状タブ142を収容するように構成することもできる。図3から図10Eにはシェル18を記載していないが、典型的な圧力容器では、このようなシェルは、ボス116及びライナー120によるアセンブリ150を覆って形成されることを理解されたい。
【0042】
上述した概念は、結果的にボス116における応力集中を減少させるため、ボス116の潜在寿命が延びる。さらに、ライナー120の成形後にボス116をライナー120に固定することができる。好適な実施形態では、ねじ山として接続することができる頂部等の、周囲面128に設けられる構造は、フランジ124におけるポート126から最も離れた位置に設けられる。好適な実施形態では、ライナー120の開口144(図9に記載)は、フランジ124の周囲面128における外径よりも小さい。したがって、(例えば、図5から図7に示すように)ライナー120の内側17からライナー120と接続可能な、大きなボスのフランジ124を通過させるために、通常、ライナー120は屈曲される。これにより、ボス116の周囲面128とライナー120の開口144とが連携する機械構造だけでなく、ボスのフランジ124に部分的に重なるライナー部135による、ボス116とライナー120との確実な接続を得ることができる。ねじ結合の代わりに、スナップロックによる結合を採用することも可能であると考えられる。
【0043】
図4に、インターフェイス162における、ボス116とライナー120との結合部の拡大図を示す。図面に記載の実施形態では、フランジ124の外側面において、ボス116のタブ130とライナー120の溝136との締まり嵌めが形成される。図面に記載の実施形態では、ライナー120は、ボス116が嵌っていないときに、溝136の圧縮されていない面が点線146まで延在するように形成されている。ボス116とライナー120とが組み立てられると、ライナー120の溝136の当該延在部分がボス116のタブ130によって圧縮される。このようにして、この締まり嵌めは、ボス116のタブ130とライナー120の溝136とのインターフェイスにて、ボス116とライナー120との間を頑強に封止する。
【0044】
図8に、追加又は代替して使用できる別の機構を示す。図8では、フランジ124の外側部138における面、つまりライナー120に隣接する部分135に、封止体148が示されている。一実施形態では、このような封止体148を環状ガスケットとして形成してもよい。別の実施形態では、封止体148は、フランジ124及び/又は部分135に、例えば、コーティング又はコーキング材の層として形成することもできる。
【0045】
図3に示すとおり、ボス116とライナー120とのアセンブリ150は、図2を参照して上述した方法によって形成することができる。つまり、ボス116の複数部分の周囲にライナー溶融材料が流入されることで、溶融材料がフランジ124に密着する。別の製造方法では、ライナー120はボス116とは別に製造された既製品でもよい。このような既製品は、例えば、鋳型加工や機械加工等の既知の手段によって得ることもできる。図5から図7に、連携してアセンブリ150を形成するボス116,116´及びライナー120,120´の実施形態をいくつか示す。好適な方法では、ボス116は、ライナー120の内側17から取り付けられるように、ライナー120の開口144に挿入される。特に、開口144の円周寸法がフランジ124の円周寸法よりも小さい場合(例えば、周囲面128において、軸152から直角に採寸する)開口144へのボス116の挿入に、ライナー120の屈曲を伴う実施形態もある。本開示の記載にあるように、「円周の」、及び「円周」等の用語は、円又は円ではない形状の周囲について言及するものであり、当該形状には多角形、長円形、楕円形、及びこれらに実質的に近い形状を含む。
【0046】
一実施形態では、インターフェイス162におけるボス116及びライナー120の面は、ボス116とライナー120とのスナップ嵌合を可能にする連携構造特性を有して形成されている(例えば、補完要素の通路を共同で提供するために、連携要素同士が屈曲した後屈曲前の姿勢に戻る)。別のアセンブリ方法では、ねじ山付き周囲面128を有するボス116は、開口144に挿入されながらライナー120の開口144にボス116に対応する連携特性を形成するタップとして使用できる。このようなアセンブリ方法では、ボス116は、方向154に向かってライナー120に挿入されながら、自らの長軸152(ポート126の中心を通る)を中心として回転することになる。この回転と軸方向の前進運動の組み合わせにより、ねじ山付き周囲面128は、ライナー120の開口144の外周面160においてライナー材料を部分的に彫り出し、連結したインターフェイス162を形成する。
【0047】
図5に、長軸152とほぼ平行に配置されたねじ山付き周囲面128を有するボス116を示す。さらに、ライナー120の開口144の外周面160も、長軸152とほぼ平行である。図6には、長軸152に対して傾斜したねじ山付き周囲面128´を有するボス116´を含む構成要素を示す。ライナー120´は、補完的に傾斜した外周面160´を有する開口144´を有する。図7には、傾斜したねじ山付き周囲面128´を有する図6のボス116´を、長軸152とほぼ平行な外周面160を有する開口144を有するライナー120とともに示す。したがって、図7のボス116´とライナー120とによるアセンブリでは、周囲面128´と外周面160との間のインターフェイス162において、頑強な封止を得るために、部分的に締まり嵌めが行われる。
【0048】
図3及び図4に示すとおり、アセンブリ150においてボス116とライナー120とが取り付けられて、圧力容器の少なくとも一部を形成するとき、ライナー120の外周面160はインターフェイス162にてボス116の周囲面128と結合する。外周面160は、周囲面128の輪郭(例えば、周縁頂部158)と一致する輪郭を有する。外周面160は、このような輪郭を有して製造されてもよい。別の実施形態では、ボス116とライナー120とが組み立てられるとともに、外周面160に輪郭が形成される。
【0049】
図9に、中間形成工程におけるライナー120を示す。ここでは、ライナー120´´の鋳造部分に、鋳型の空洞に注入したライナー材料で形成した脚156を備える。こうした空洞は、過剰なライナー材料を収容するように設けられている。ライナー120を鋳造する際の過剰なライナー材料が、気泡、隙間、及びその他の鋳造における不規則性を除去するのに役立つため、結果として、開口144における表面の鋳造に高い正確性が確保される。ライナー120´´の鋳造と硬化後、脚156は、所望の形状に形成された完成品のライナー120から、切断又は破壊して取り除かれる。
【0050】
図10Aから図10Eに、本開示のボス116aから116eそれぞれの、頂部が形成された周囲面128aから128eの実施形態を示す。いくつかの変形例は明確に図示されているが、ほかの構成も取り得ることが考えられる。
【0051】
図10Aに、有効径が可変であるねじ山が形成されたねじ山付き周囲面128aを有するボス116aを示す。例えば、第1周縁頂部158a´は、第2周縁頂部158a´´よりも小さい。図5に示すとおり、この形状のねじ山は、ねじ山が形成されていないプラスチック製のライナー120への、ボス116aの取り付けを容易にする。この場合、ボス116aがライナー120の開口144にねじ入れられるときに、ねじ山付き周囲面128aはライナー120に補完的な溝を彫る。導入部となるねじ山158a´は他より小さく、ライナーの開口144へのボス116aの挿入を容易にするため、より大きなねじ山158a´´を誘導する役割を持つ。径方向断面図における第1周縁頂部158a´と第2周縁頂部158a´´との離間状態から分かるように、この実施形態にはピッチの減少も含まれる。このようにピッチが減少又は低減されたねじは、ライナー120の開口144内にボス116aを取り付ける際に、あまり回転を必要としない。結果として、アセンブリ150を形成するのに必要な組立て時間を削減できる。
【0052】
図10Bに、図6及び図7を参照して説明したように、傾斜したねじ山付き周囲面128bを有するボス116bを示す。周囲面128bがこのように傾斜することで、第1周縁頂部158b´は第2周縁頂部158b´´よりも長軸152に近くなる(図7参照)。図7を参照して示したとおり、この種のねじの構成によると、面128bとライナー120の外周面160とが干渉することにより、インターフェイス162において発揮し得る封止能力が向上する。
【0053】
図10Cに示すボス116cは、少数の離間したねじ山、つまり頂部158、が形成されたねじ山付き周囲面128cを有する。したがって、径方向断面図において、第1周縁頂部158c´と第2周縁頂部158c´´とは離間している。このようにピッチが減少又は低減されたねじは、ライナー120の開口144内にボス116eを取り付ける際に、さらに少ない回転しか必要としない。結果として、アセンブリ150を形成するのに必要な組立て時間を削減できる。
【0054】
図10Dに、鋸歯ねじが形成されたねじ山付き周囲面128dを有するボス116dを示す。周縁頂部158dそれぞれの表面が、長軸152にほぼ垂直であるため、図4に示す標準的な構成のねじ山付き周囲面128よりも、インターフェイス162におけるせん断面の接触が大きい。したがって、ひとたびライナー120の開口144内に取り付けられると、このねじ山158dの構造は、挿入方向154とは逆の方向に向かってライナー120からの離脱に抵抗する。この設計により、一方向への軸方向負荷容量が増大する。そのため、シェル18を形成するフィラメント巻回工程中及び圧力容器10の稼動寿命中、ボス116dとライナー120との接続は頑強であり続ける。
【0055】
図10Aから図10Dの実施形態において、周縁頂部158aから周縁頂部158dは、それぞれほぼ三角形の断面形状を有し、頂点で接する第1面と第2面とを備える。しかしながら、頂部のほかの構成もあり得る。
【0056】
例えば、図10Eは、丸ねじ山が形成されたねじ山付き周囲面128eを有するボス116eを示すものであり、周縁頂部158eは、鋭角というよりも凸状に湾曲した縁部を有する。この構成により、ねじ山付き面128eとライナー120の開口144との間のインターフェイス162にかかる圧力を低減することができ、したがって、ライナー120のプラスチック材料に欠陥が形成されることを防ぐことができる。
【0057】
本開示の主題をいくつかの実施形態を参照して説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく形状又は詳細に変更を加えてもよいことは、当業者には明らかであろう。また、一実施形態に関して開示されたあらゆる特徴又は説明は、他の実施形態においても適用でき、また、組み込まれてもよく、その逆も同様である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10