(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】微粒子分類装置と遅延時間決定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
G01N15/14 K
(21)【出願番号】P 2019567517
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(86)【国際出願番号】 US2018025919
(87)【国際公開番号】W WO2018191069
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2019-08-28
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504257564
【氏名又は名称】ソニー コーポレイション オブ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】オオツカ フミタカ
(72)【発明者】
【氏名】ゾルダン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ツジ アキコ
(72)【発明者】
【氏名】スズキ ユウヤ
(72)【発明者】
【氏名】キモト マサシ
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-190680(JP,A)
【文献】特開2016-191715(JP,A)
【文献】特開昭48-074292(JP,A)
【文献】特開2013-210264(JP,A)
【文献】特開2016-145834(JP,A)
【文献】特開2015-152439(JP,A)
【文献】特開2005-315799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0337575(US,A1)
【文献】国際公開第2015/122071(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子分類装置であって、
流路を流れる微粒子を検出するように構成された検出器と、
前記微粒子を少なくとも1つ含む液滴の画像を取得し、前記液滴は、液滴流れを生成する流路に設けたオリフィスから排出されるように構成された撮像装置と、
制御装置と、を備え、前記制御装置は、
第1の複数のサブエリアを有する第1の画像領域、第2の複数のサブエリアを有する第2の画像領域、および第3の複数のサブエリアを有する第3の画像領域を含む前記画像を取得するために前記撮像装置を制御し、
ここで、前記第1の画像領域は、最後に付着した液滴の下縁と最初に付着した液滴の下縁との間の第1の距離によって、又は、2つの連続する液滴の間の上縁の間の第2の距離によって決定され、前記第2及び第3の画像領域は、前記第1の画像領域の上で前記第1の距離又は第2の距離と同じ距離によって順に決定され、
複数の異なる時間において前記画像を取得し、
滴下クロックサイクルに基づく時間間隔の前記複数の異なる時間の各々について、前記第1の複数のサブエリアの各々、前記第2の複数のサブエリアの各々および前記第3の複数のサブエリアの各々について、輝度の強度を決定し、
第1の画像領域の強度合計を取得するための前記第1の複数のサブエリアの各々の輝度の強度、前記第2の画像領域の強度合計を取得するための前記第2の複数のサブエリアの各々に関する輝度の強度、および前記第3の画像領域強度を取得するための前記第3の複数のサブエリアの各々の輝度の強度を加算し、それによって複数の異なる時間の各々における第1の画像領域の強度合計、第2の画像領域の強度合計および第3の画像領域の強度合計を取得し、
前記検出器が前記流路を流れる微粒子を検出してから、強度特性の最大合計を決定することによって前記第1の画像領域の強度合計が最大になるまでの遅延時間を決定し、
ここで、前記滴下クロックサイクルは360度からなり、前記複数の異なる時間は、3つの滴下クロックサイクルにわたる20度間隔又は40度の間隔で生じ、前記強度特性の最大合計は、前記第1の画像領域の強度合計、前記第2の画像領域の強度合計、前記第3の画像領域の強度合計を含む、強度比の第1の画像領域合計を使用して決定され、
前記遅延時間に基づいて、前記液滴に電荷を付与するタイミングを設定するように構成されている微粒子分類装置。
【請求項2】
前記第1の画像領域は、前記液滴流れの最後に付着した液滴に関連付ける、請求項1に記載の微粒子分類装置。
【請求項3】
前記第1の画像領域は、前記液滴流れの最後に付着した液滴に続く液滴に関連付ける、請求項1に記載の微粒子分類装置。
【請求項4】
前記遅延時間は滴下クロックサイクルに基づき、
前記電荷は最後に付着した液滴に付与され
前記最後に付着した液滴の遅延時間を取得するために、前記遅延時間に+1滴下クロックサイクルが加えられる、請求項3に記載の微粒子分類装置。
【請求項5】
微粒子分類装置であって、
流路を流れる微粒子を検出するように構成された検出器と、
前記微粒子の少なくとも1つを含み、前記流路に設けたオリフィスから排出される、液滴の画像を取得するように構成された撮像装置と、
コンピュータ読み取り可能な命令を記憶する非一時的な記憶媒体とを含み、
前記命令は、処理回路によって実行されたときに、
前記画像を
、第1の画像領域、第2の画像領域、第3の画像領域からなる3つの画像領域に分割し、
ここで前記第1の画像領域は、最後に付着した液滴の下縁と最初に付着した液滴の下縁との間の第1の距離によって、又は、2つの連続する液滴の間の上縁の間の第2の距離によって決定され、前記第2及び第3の画像領域は、前記第1の画像領域の上で前記第1の距離又は第2の距離と同じ距離によって順に決定され、
前記第1の画像領域の強度合計、前記第2の画像領域の強度合計、前記第3の画像領域の強度合計に少なくとも一部は基づくものである強度特性の最大合計に基づいて、遅延時間を決定
し、
前記強度特性の最大合計は、前記第1の画像領域の強度合計、前記第2の画像領域の強度合計、前記第3の画像領域の強度合計を含む、強度比の第1の画像領域合計を使用して決定される、
微粒子分類装置。
【請求項6】
各画像領域は、少なくとも1つの微粒子を含む、請求項5に記載の微粒子分類装置。
【請求項7】
前記画像は、複数の異なる時間において取得された複数の画像を含んでいる請求項5に記載の微粒子分類装置。
【請求項8】
前記複数の異なる時間は、滴下クロックサイクルに基づき、3つの滴下クロックサイクルにわたる、請求項7に記載の微粒子分類装置。
【請求項9】
各滴下クロックサイクルは360度から成り、複数の異なる時間は20度間隔で生じる、請求項8に記載の微粒子分類装置。
【請求項10】
各滴下クロックサイクルは360度から成り、複数の異なる時間は40度間隔で生じる、請求項8に記載の微粒子分類装置。
【請求項11】
各滴下クロックサイクルは360度から成り、複数の異なる時間は60度間隔で生じる、請求項8に記載の微粒子分類装置。
【請求項12】
前記遅延時間は、第2画像領域の強度合計又は第3の画像領域の強度合計の少なくとも一方を最小化することによって決定される、請求項5に記載の微粒子分類装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連発明への相互参照〕
[0001] 本出願は、2017年4月11日に出願された米国仮出願第62/484,153号の優先権を主張する非仮特許出願であり、この出願の本文および図面は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
[0002] 本技術は、微粒子分類装置および微粒子分類装置における遅延時間決定方法に関する。より具体的には、本技術は、遅延時間を自動的に決定する微粒子分類装置などに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 関連技術には、細胞などの微粒子の特性を光学的、電気的または磁気的に検出し、次に所定の特性を有する微粒子のみを分離して回収する微粒子分類装置(例えば、フローサイトメーター)がある。
【0004】
[0004] フローサイトメーターにおける細胞分離では、まず、フローセルに形成されたオリフィスから液滴流れ(細胞およびシース液を含むサンプル液の層流)を生成され、流体流れはオリフィスに振動を加えることによって液滴にされ、液滴に電荷が付与される。さらに、オリフィスから排出された細胞を含む液滴の移動方向が電気的に制御され、所望の特性を有する目標細胞および他の非目標細胞が別々の回収容器に回収される。
【0005】
[0005] 例えば、日本国特開2010-190680号公報には、マイクロチップ型のフローサイトメーターとして微粒子分類装置が開示され、それは、微粒子を含む流体が流れる流路、および流路を流れる流体をチップ外の空間に排出するオリフィスが配置されたマイクロチップと、オリフィスにおいて流体を液滴化して排出するための振動素子と、排出される液滴に電荷を付与するための帯電手段と、流路を流れる微粒子の光学特性を検出する光学検出手段と、排出された液滴の移動方向に沿って移動する液滴を挟んで対向して設置された対電極と、対電極間を通過した液滴を回収する2つ以上の容器と、を備えている。
【0006】
[0006] また、日本国特開2007-532874号公報には、液滴が目的の流路に分類さられたか否かを確認できるフローサイトメーターの動作を制御する方法が開示され、分類の確認は、補助照明および検出ユニットを、液滴が流体から分離する位置(以下、ブレークオフ点と呼ぶ)に配置することによって行う。このようにブレークオフ点を確認することによって、細胞などである微粒子が検出されてから細胞などを含む液滴がブレークオフ点に到達するまでの遅延時間を確認することができ、検出される微粒子を含む液滴に遅延時間に基づいて電荷を付与することが可能である。
【発明の概要】
【0007】
[0007] しかしながら、ブレークオフ点は、液滴の排出条件などに応じて変動するため、遅延時間も変動する。さらに、ブレークオフ点を確認するだけでは、微粒子を含む液滴に電荷を付与する正確なタイミングを十分に確認することは困難である。したがって、微粒子を含む液滴に正しい電荷が付与されるが、最終的に主に採用されている方法は、準備時に電荷が付与される液滴が所望の回収容器に割り当てられているかどうかを、ユーザーが液滴を観察することによって視覚的に識別する方法である。このような方法では、ユーザーが技術を習得する必要があり、信頼性および安定性に問題がある。
【0008】
[0008] したがって、液滴に電荷を自動的に、簡単に、正確に付与することができる微粒子分類装置を提供することが望ましい。
【0009】
[0009] 一実施形態では、微粒子分類装置が開示されている。微粒子分類装置は、流路を流れる微粒子を検出するように構成された検出器と、微粒子の少なくとも1つを含み、流路に設けたオリフィスから排出される、液滴の画像を取得するように構成された撮像装置と、を含む。微粒子分類装置は制御装置をさらに含む。制御装置は、画像を取得するために撮像装置を制御するように構成され、画像は第1および第2の画像領域を有し、第1および第2の画像領域は各々複数のサブエリアを有する。制御装置はさらに、サブエリアの各々に関する画像輝度の強度を決定し、第1の画像領域および第2の画像領域の各々に関する強度の合計を得るために、第1および第2の画像領域の各々内にあるサブエリアの各々に関する画像輝度の強度を加算するように構成されている。制御装置は、第1および第2の画像領域の強度の合計を調べ強度特性の最大合計を特定することによって遅延時間を決定し、そして遅延時間に基づいて液滴に電荷を付与するタイミングを設定するようにさらに構成されている。
【0010】
[0010] 別の実施形態では、第1および第2の画像領域の各々の強度の合計は、複数の異なる時間で決定される。さらに別の実施形態では、複数の異なる時間は、液滴クロックサイクルに基づき、3つの液滴クロックサイクルにわたっている。さらに別の実施形態では、各液滴クロックサイクルは360度から成り、複数の異なる時間は20度間隔で生じる。さらに別の実施形態では、複数の異なる時間は40度間隔で生じる。さらに別の実施形態では、複数の異なる時間は60度間隔で生じる。
【0011】
[0011] 別の実施形態では、画像は複数のサブエリアを有する第3の画像領域をさらに含み、制御装置はさらに、第3の画像領域内のサブエリアの各々に関する画像輝度の強度を決定するように構成されている。制御装置はまた、第3の画像領域の強度の合計を取得するために、第3の画像領域内にあるサブエリアの各々に関する画像輝度の強度を加算するように構成され、遅延時間は、第3の画像領域の強度の合計を調べることによって決定される。
【0012】
[0012] 別の実施形態では、強度特性の最大合計は、第1の画像領域比を計算することによって決定される。
【0013】
【0014】
[0014] 別の実施形態では、第1の画像領域は、最後に付着した液滴に関連付けている。さらに別の実施形態では、第1の画像領域は、液滴流れ内の最後に付着した液滴に続く液滴に関連付けている。さらに別の実施形態では、第2の画像領域は第1の画像領域に隣接し、第3の画像領域は第2の画像領域または第1の画像領域の何れかに隣接している。
【0015】
[0015] 別の実施形態では、強度特性の最大合計は、第2の画像領域の強度の合計、第3の画像領域の強度の合計またはその両方の何れかを最小化することによって決定される。さらに別の実施形態では、強度特性の最大合計は、第1の画像領域の強度の合計を最大化することによって決定される。
【0016】
[0016] 一実施形態では、微粒子分類装置が開示され、それは、流路を流れる微粒子を検出するように構成された検出器と、微粒子を少なくとも1つ含む液滴の画像を取得し、液滴は液滴流れを生成する流路に設けたオリフィスから排出されるように構成された撮像装置と、制御装置と、を備えている。制御装置は、第1の複数のサブエリアを有する第1の画像領域、第2の複数のサブエリアを有する第2の画像領域、および第3の複数のサブエリアを有する第3の画像領域を含む画像を取得するために撮像装置を制御するように構成されている。制御装置はまた、複数の異なる時間において複数の異なる時間の各々について画像を取得し、第1の複数のサブエリアの各々、第2の複数のサブエリアの各々および第3の複数のサブエリアの各々について輝度の強度を決定するように構成されている。制御装置は、第1の画像領域の強度合計を取得するための第1の複数のサブエリアの各々の輝度の強度、第2の画像領域の強度合計を取得するための第2の複数のサブエリアの各々の輝度の強度、および第3の画像領域強度を取得するための第3の複数のサブエリアの各々の輝度の強度を加算し、それによって複数の異なる時間の各々における第1の画像領域の強度合計、第2の画像領域の強度合計、および第3の画像領域の強度合計を取得するように構成されている。制御装置は、検出器が流路を流れる微粒子を検出してから、強度特性の最大合計を決定することによって第1の画像領域の強度合計が最大に達するまでの時間である遅延時間を決定し、そして遅延時間に基づいて液滴に電荷を付与するタイミングを設定するようにさらに構成されている。
【0017】
[0017] 別の実施形態において、遅延時間は液滴クロックサイクルに基づき、このサイクルにおいて電荷は最後に付着した液滴に付与され、最後に付着した液滴の遅延時間を得るために遅延時間に+1液滴クロックサイクルが加えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】マイクロチップ型フローサイトメーターとして構成された、本技術の一実施形態による微粒子分類装置(フローサイトメーター)を成す分類システムの構成を説明する模式図である。
【
図2A】フローサイトメーターに設置可能なマイクロチップの例を示す模式図である。
【
図2B】フローサイトメーターに設置可能なマイクロチップの例を示す模式図である。
【
図3A】マイクロチップのオリフィスの構成を説明する模式図である。
【
図3B】マイクロチップのオリフィスの構成を説明する模式図である。
【
図3C】マイクロチップのオリフィスの構成を説明する模式図である。
【
図4】フローサイトメーターにおける遅延時間を決定する方法を説明するフロー図である。
【
図5A】フローサイトメーターの液滴カメラによって撮像された液滴の画像の例であり、粗い遅延時間決定ステップを例示する説明図である。
【
図5B】フローサイトメーターの液滴カメラによって撮像された液滴の画像の例であり、粗い遅延時間決定ステップを例示する説明図である。
【
図5C】フローサイトメーターの液滴カメラによって撮像された液滴の画像の例であり、粗い遅延時間決定ステップを例示する説明図である。
【
図5D】フローサイトメーターの液滴カメラによって撮像された液滴の画像の例であり、粗い遅延時間決定ステップを例示する説明図である。
【
図6C】説明図であり、液滴クロックに関するLEDストロボおよび較正ストロボの例示的な表現である。
【
図7A】複数の画像領域を決定する第1の方法を説明する例示的な画像であり、液滴の画像を表わす。
【
図7B】複数の画像領域を決定する第1の方法を説明する例示的な画像であり、液滴の画像を表わす。
【
図7C】複数の画像領域を決定する第1の方法を説明する例示的な画像であり、較正画像を表わす。
【
図7D】複数の画像領域を決定する第1の方法を説明する例示的な画像であり、液滴クロックに関するLEDストロボおよび較正ストロボを表わす。
【
図8A】複数の画像領域を決定する第2の方法を説明する例示的な画像であり、液滴画像を表わす。
【
図8B】複数の画像領域を決定する第2の方法を説明する例示的な画像であり、液滴画像を表わす。
【
図8C】複数の画像領域を決定する第2の方法を説明する例示的な画像であり、較正画像を表わす。
【
図8D】複数の画像領域を決定する第2の方法を説明する例示的な画像であり、液滴クロックに関するLEDストロボおよび較正ストロボを表わす。
【
図9】説明図であり、横軸に遅延時間をとり、左側の縦軸にフローサイトメーターの液滴カメラで撮像した液滴の画像の強度の合計をとり、右側の縦軸に遅延時間決定ステップ(第1の遅延時間決定方法)の例を説明するS1比をとったグラフである。
【
図10】説明図であり、例を説明するために横軸に遅延時間をとり、縦軸にフローサイトメーターの液滴カメラで撮像した液滴の画像の強度の合計をとった、遅延時間決定ステップ(第2の遅延時間決定方法)の例を説明するためのグラフである説明図である。
【
図11】説明図であり、例を説明するために横軸に遅延時間をとり、縦軸にフローサイトメーターの液滴カメラによって撮像された液滴の画像の強度の合計をとった、遅延時間決定ステップ(第3の遅延時間決定方法)の例を説明するためのグラフである。
【
図12】フローサイトメーターで微粒子を分類する方法(微粒子分類ステップ)を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0030] 以下、本技術を実現するための好適な実施形態について図面を参照して説明する。さらに、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示すものであり、本技術の範囲は、この例に従って狭く解釈されるべきではない。説明は次の順序で行う。
【0020】
[0031] 1.本技術による微粒子分類装置の装置構成
1-1 帯電ユニット
1-2 マイクロチップ
1-3 検出ユニット
1-4 液滴カメラ
1-5 そらせ板
1-6 回収容器
1-7 制御ユニットまたは類似物
2.本技術による微粒子分類装置における遅延時間決定方法
2-1 微粒子検出ステップS1
2-2 液滴排出ステップS2
2-3 液滴撮像ステップS3
2-4 排出周波数決定ステップS4
2-5 粗い遅延時間決定ステップS5
2-6 画像領域決定ステップS6
2-7 細かい遅延時間決定ステップS7
2-7-1 第1の細かい遅延時間決定方法
2-7-2 第2の細かい遅延時間決定方法
2-7-3 第3の細かい遅延時間決定方法
2-8 微粒子分類ステップS8
2-8-1 微粒子検出ステップ
2-8-2 液滴排出および電荷付与のステップ
【0021】
[0053] 1.本技術による微粒子分類装置の装置構成
【0022】
[0054]
図1は、マイクロチップ型フローサイトメーターとして構成された、本技術の一実施形態による微粒子分類装置1(以下、「フローサイトメーター1」とも呼ぶ)を成す分類システムの構成を説明する模式図である。
【0023】
[0055] 1-1 帯電ユニット
【0024】
[0056] フローサイトメーター1には、マイクロチップ2上に形成されたオリフィス21から排出された液滴に電荷を付与する帯電ユニット11が設けられている。液滴の帯電は、帯電ユニット11に電気的に接続された電極または励起レーザー(図示しない)などの帯電装置12によって行なわれる。帯電装置12は、マイクロチップ2に設けた入口(図示しない)を介して液滴にアクセスすることができる。さらに、電極は、マイクロチップ2上の位置に挿入されて、流路を下流に送液するサンプル流体またはシース流体と電気的に接触するようにすれば十分である。同様に、励起レーザーをマイクロチップ2上に位置させて、レーザーが、流路を下流に送液するサンプル流体またはシース流体にアクセスできるようにすれば十分である。
【0025】
[0057] フローサイトメーター1では、サンプル液に含まれる微粒子が後述する検出ユニット3によって検出されてから遅延時間が経過すると、帯電ユニット11は、微粒子を含む液滴を帯電させることが可能である。ここで、「遅延時間」は、微粒子が検出ユニット3によって検出されてから、微粒子を含む流体から液滴が形成されるまでの遅延時間を指す。すなわち、「遅延時間」は、微粒子が検出ユニット3によって検出されてから、微粒子を含む液滴が帯電ユニット11によって電荷を付与されるまでの所要時間を指す。本技術において、「遅延時間」という用語は、微粒子が検出ユニット3によって検出された時点から、以下に説明する液滴カメラ4によって撮像される画像情報において自動的に設定される、画像領域内の強度が最大に達する時点までの持続時間を指す。
【0026】
[0058] 1-2 マイクロチップ
【0027】
[0059]
図2Aおよび
図2Bならびに
図3Aから
図3Cは、フローサイトメーター1に設置可能なマイクロチップ2の例を示す。
【0028】
[0060]
図2Aは上面の模式図を示し、
図2Bは、
図2Aの線IIB-IIBに対応する断面模式図を示す。また、
図3Aから
図3Cは、マイクロチップ2のオリフィス21の構成を概略的に示し、
図3Aは上面の模式図を示し、
図3Bは断面の模式図を示し、
図3Cは前面の模式図を示す。
図3Bは、
図2Aの線IIIB-IIIBに沿った断面に対応する。
【0029】
[0061] マイクロチップ2は、互いに接着されてサンプル流路22を形成する基板層2aおよび2bから形成されている。金型を用いて熱可塑性樹脂を射出成形することにより、基板層2a、2bからサンプル流路22が形成できる。熱可塑性樹脂として、関連技術においてマイクロチップ材料として一般的に使用されているプラスチックが採用でき、それらは、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルジシラザン(PDMS)などである。
【0030】
[0062] サンプル流体は、流体送出し接続部からサンプル入口23に導入され、流体送出し接続部からシース入口24に導入されるシース流体と合流し、サンプル流路22を通って送り出される。シース入口24から導入されたシース流体は、二方向に分割されて送り出された後、シース液がサンプル入口23から導入されたサンプル液と合流する合流部において、シース液は、サンプル液と合流し、2つの方向からのサンプル流体を仲介する。したがって、合流部では、シース液層流の中心に、サンプル層流が内部に位置決めされた三次元層流が形成される。
【0031】
[0063] サンプル流路22に詰まりまたは気泡が発生したとき、サンプル流路22に負圧を付与する吸引流路25は、一時的に流れを逆流させて詰まりまたは気泡を解消する。吸引流路25の一端には、送液接続部を介して真空ポンプなどの負圧源に接続された吸引出口251が形成され、他端は、連通穴252においてサンプル流路22に接続されている。
【0032】
[0064] 三次元層流において、層流幅は、制限部261(
図2Aおよび
図2B)ならびに制限部262(
図3Aから
図3C)で制限されており、制限部は、流体送出し方向に対するその垂直断面の表面積が、流体送出し方向の上流から下流に向かって段階的にまたは徐々に小さくなるように形成されている。その後、三次元層流は、流路の片側に設けたオリフィス21から流体流れ(
図1参照)となり、排出される。
図1では、オリフィス21からの流体流れの排出方向は、Y軸正方向で表されている。
【0033】
[0065] オリフィス21に対するサンプル流路22の接続部は、直線状に形成された直線部27である。直線部27は、オリフィス21からの流体流れがY軸正方向に直線状に排出されるように機能する。
【0034】
[0066] オリフィス21から排出された流体流れは、チップ励起ユニットによってオリフィス21に付与される振動により液滴に変換される。オリフィス21は、基板層2a、2bの端面方向に開口しており、その開口位置と基板層端面との間にノッチ部211が設けられている。ノッチ部211は、オリフィス21の開口部と基板端面との間で基板層2a、2bを、ノッチ部211の直径Lがオリフィス部21の開口径lよりも大きくなるように切り欠いて形成されている(
図3C参照)。ノッチ部211の直径Lは、オリフィス21から排出された液滴の移動を妨げないように、オリフィス21の開口径lの2倍以上に形成することが望ましい。
【0035】
[0067] 1-3 検出ユニット
【0036】
[0068]
図1には検出ユニット3が設けられ、これは、細胞などの微粒子から放出される測定対象光を光源31から放出されるレーザーL1の照射によって検出する。検出ユニット3は、サンプル流路22の制限部261(
図2Aおよび
図2B参照)と制限部262(
図3Aから
図3C参照)との間で細胞の特徴的な検出を行う。特性検出は特に限定されないが、例えば、光学的検出を用いる場合、3次元層流の中心にあるサンプル流路22内の単一の列に流体が送り出されるように配置された細胞に関するレーザーL1の照射により(
図1参照)、細胞から放出される散乱光および蛍光は、検出ユニット3によって検出される。
【0037】
[0069] 光の照射および検出のために、レーザー光源に加えて、集光レンズ、ダイクロイックミラーまたはバンドパスフィルターなどの、レーザーを細胞に集光して照射する照射システムも構成することができる。検出システムは、例えば、PMT(光電子増倍管)、あるいはCCDまたはCMOSデバイスなどのエリア撮像素子によって構成されている。
【0038】
[0070] 検出ユニット3の検出系によって検出される測定対象光は、測定光の照射によって細胞から放射される光であり、例えば、前方散乱光、側方散乱光、レイリー散乱またはミー散乱のような散乱光、蛍光などにすることができる。これらの測定対象光は、電気信号に変換されて制御ユニット7に出力され、細胞の光学特性判別に利用される。
【0039】
[0071] さらに、検出ユニット3は、細胞の特徴を磁気的または電気的に検出することができる。この場合、マイクロチップ2のサンプル流路22に、微小電極が互いに対向して配置され、抵抗値、容量値、インダクタンス値、インピーダンス、電極間の電界の変化値、または磁化、磁場の変化などが測定される。
【0040】
[0072] 1-4 液滴カメラ
【0041】
[0073]
図1には本技術の撮像装置4の一例が設けられ、撮像装置4は、マイクロチップ2のオリフィス21から排出される液滴Dを撮像する、CCDカメラ、CMOSセンサーなどの液滴カメラである。液滴カメラ4は、撮像される液滴Dの画像の焦点を調整することができるように設計されている。フローサイトメーター1では、ブレークオフ点付近の液滴は、光源41から放射されるストロボL2によって撮像される。ストロボL2は、複数の光源41から出る複数の異なるタイプのストロボを含むことができる。例えば、1つのストロボL2はLEDストロボを含み、それは、ブレークオフ点およびその近くで液滴の液滴画像を得るのに十分な光を提供することができる。加えて、別のストロボL2は、液滴内の微粒子を励起する較正ストロボを含むことができる。較正ストロボによって提供される微粒子の励起により、液滴カメラは較正画像を取得でき、較正画像は、以下に説明するように、微粒子の位置を示し、微粒子の強度の合計を決定するために使用される。一般に、LEDストロボは較正ストロボよりもはるかに短く、その理由は、較正ストロボによる微粒子からの放射が弱いためであり、したがって、高品質の較正画像を得るには、より長い較正ストロボが必要である。例えば、LEDストロボの長さは、液滴クロックサイクルの約2%にできる一方、較正ストロボは、液滴クロックサイクルの約50%にできる。
【0042】
[0074] また、フローサイトメーター1では、マイクロチップが新しいマイクロチップに交換され、または外部環境(温度など)が変化するせいで、場合によっては、液滴形成パラメーター(シース圧力、液滴周波数、ピエゾ駆動圧力など)を変更することが必要となる。この場合、微粒子が検出ユニット3によって検出された後、微粒子を含む液滴に電荷が付与されるまでの時間(以下、この時間は遅延時間とも呼ばれる)を調整する必要がある。液滴カメラ4は、液滴Dを撮像するために、また後述する制御ユニット7が遅延時間を決定可能にするために機能する。
【0043】
[0075] より具体的には、液滴カメラ4は、液滴Dの複数の画像を複数の異なる時間に撮像でき、結果として後述する制御ユニット7が遅延時間を決定できるように設計されている。さらに、「遅延時間」という用語は、微粒子が検出ユニット3によって検出される時点から、画像領域内の強度が最大に達する時点までの期間を指し、強度は、液滴カメラ4によって撮像された液滴の画像情報の複数の項目を比較することによって計算される。さらに、「複数の異なる時間」という用語は、例えば各時間を指し、その間の間隔は、振動素子13がオリフィス21に加える振動の周波数の逆数の時間(言い換えれば、液滴Dの各々の排出間隔時間)である。
【0044】
[0076] また、制御ユニット7が遅延時間を決定できるようにするため、液滴カメラ4は、微粒子が検出ユニット3によって検出される時間から遅延時間が過ぎた後所定時間内に、液滴Dの複数の画像を撮像できるようになっている。さらに、「所定時間」という用語は、液滴Dの各々の排出間隔時間よりも短い時間を指す。
【0045】
[0077] また、液滴カメラ4は、制御ユニット7が後述する液滴Dの最適な排出周波数を決定できるように、Y軸に沿って正方向または負方向に移動可能に設計されている。
【0046】
[0078] また、液滴カメラ4で撮像された画像は、ディスプレイなどの表示部に表示されるとともに、ユーザーがオリフィス21内にある液滴Dの形成状態(サイズ、形状、間隔など)を確認するために使用される。
【0047】
[0079] 1-5そらせ板
【0048】
[0080]
図1には一対のそらせ板51および52が設けられ、両そらせ板は、オリフィス21から排出され液滴カメラ4によって撮像される液滴Dを挟むように、互いに対向して配置されている。
【0049】
[0081] そらせ板51および52は電極を含み、電極は、オリフィス21から排出される液滴の移動方向を、液滴に付与される電荷に加わる電気力を用いて制御するように構成されている。さらに、そらせ板51および52はまた、オリフィス21から排出される液滴Dの軌道を、液滴Dに付与される電荷に加わる電気力を用いて制御する。
図1では、そらせ板51および52の対向方向はX軸方向で表される。
【0050】
[0082] 1-6 回収容器
【0051】
[0083] フローサイトメーター1では、液滴Dは、そらせ板51、52の対向方向(X軸方向)に一列に配置された、複数の回収容器611、612、62または63のいずれかに収容される。回収容器611、612、62または63は、通常、実験に使用されるプラスチック管またはガラス管にすることができる。回収容器611、612、62または63の数は特に限定されないが、ここでは4つ配置された場合を示す。オリフィス21から排出された液滴Dは、そらせ板51とそらせ板52との間の電気力の有無または大きさに応じて、4つの回収容器611、612、62または63の1つに案内されて回収される。
【0052】
[0084] 回収容器611、612、62および63は、回収容器として用いる容器(図示しない)に交換可能なやり方で配置される。回収容器として用いる容器(図示しない)は、オリフィス21からの液滴の排出方向(Y軸方向)と直交しかつそらせ板51および52の対向方向(X軸方向)と直交する方向(Z軸方向)に移動可能に構成されたZ軸ステージ(図示しない)上に配置されている。
【0053】
[0085] 1-7 制御ユニットまたは類似物
【0054】
[0086] フローサイトメーター1は、上述した構成に加えて、検出ユニット3によって検出された細胞などの特徴的な判別のためのデータ分析部、サンプル液およびシース液を保持するためのタンク部、通常のフローサイトメーターに備わって上記構成の各々を制御するための制御ユニット7などを備えている。
【0055】
[0087] 制御ユニット7は、CPU、メモリ、ハードディスクなどを備えた通常のコンピュータにより構成され、ハードディスク上には、OS、次に説明する遅延時間決定方法に関する各ステップを実行するプログラムなどが記憶されている。
【0056】
[0088] 2.本技術による微粒子分類装置における遅延時間決定方法
【0057】
[0089] 2-1 微粒子検出ステップS1
【0058】
[0090]
図4は、フローサイトメーター1における遅延時間決定ステップを説明するフローチャートである。遅延時間決定ステップは、「微粒子検出ステップS1」、「液滴排出ステップS2」、「液滴撮像ステップS3」、「排出周波数決定ステップS4」、「画像領域決定ステップS5」、および「遅延時間決定ステップS6」のプロセスを含む。また、上記の遅延時間決定ステップの後に、「微粒子分類ステップS7」のプロセスを実行することができる。以下、各プロセスについて説明する。
【0059】
[0091] まず、微粒子検出ステップS1では、制御ユニット7は、流体送出し接続部に信号を出力し、サンプル流体およびシース流体の流体送出しを開始する。さらに、検出ユニット3は、例えば、レーザーLIの照射によって、サンプル流路22にあるサンプルに含まれる微粒子を検出する。また、本ステップS1および後述するステップS2からステップS6は、検出ユニット3が目標細胞などを検出してから帯電ユニット11が細胞などを含む液滴に電荷を付与するまでの、遅延時間を決定するための較正処理である。そのため、微粒子としては、形状などが予め明らかな工業用微粒子などの較正用ビーズを使用することが好ましい。
【0060】
[0092] 2-2 液滴排出ステップS2
【0061】
[0093] 液滴排出ステップS2では、振動素子13がオリフィス21に振動を付与し、液滴Dがオリフィス21から排出され、液滴Dは廃液入口に集められ、流体を処理することができる(
図4参照)。
【0062】
[0094] 2-3 液滴撮像ステップS3
【0063】
[0095] 液滴撮像S3において、制御ユニット7は液滴カメラ4に信号を出力し、信号を受信した液滴カメラ4は、排出されストロボL2(
図4参照)によってストロボされた液滴Dを撮像する。液滴カメラ4は、後述する液滴クロックの間隔と同じまたはそれよりも短い間隔で画像を撮像することができる。
【0064】
[0096]
図5A~
図5Cを参照して、液滴カメラ4は、液滴画像501および較正画像511を撮像することができる。
図5Aに示す液滴画像501を取得するために、LEDストロボ503がストロボL2として放射される。
図5Bに示す較正画像511を取得するために、微粒子を励起する較正ストロボ513がストロボL2から放射される。上述したように、LEDストロボ503は、一般に較正ストロボ513よりも短い。
図5Cは、液滴クロック500に関して、LEDストロボ503と較正ストロボ513との間のタイミング差の例示的な実施形態を示す。
【0065】
[0097] このとき、例えば、制御ユニット7は、液滴カメラ4に信号を出力し、信号を受信した液滴カメラ4をX軸方向またはY軸方向に移動させることができる。さらに、制御ユニットは、液滴カメラ4による液滴Dの画像の撮像において、Z軸方向の焦点調整を行うことができる。例えば、制御ユニット7は、液滴カメラ4によって撮像された画像のコントラスト比が所定の範囲内に入るまで、焦点を調整することができる。
【0066】
[0098] 2-4 排出周波数決定ステップS4
【0067】
[0099] 排出周波数決定ステップS4では、制御ユニット7は、液滴カメラ4を所定位置に移動させ、液滴Dの排出周波数を、液滴カメラ4によって撮像された画像情報に基づいて調整する(
図4参照)。上述した所定位置は、特に限定されないが、オリフィス径および駆動圧力などの排出条件に応じて予め設定された位置にすることができる。
【0068】
[0100] さらに、制御ユニット7は、液滴Dの最適な排出周波数を、液滴DがY軸方向において形成され始める位置(以下、ブレークオフ点と呼ぶ)がオリフィス21に最も近い、所定位置における排出周波数に決定する。さらに、本ステップS4は、後述するステップS5の後に行うこともできる。
【0069】
[0101] このように、フローサイトメーター1では、最適な排出周波数は、ブレークオフポイントに基づいて制御ユニット7によって決定されるため、ユーザーが手動で液滴周波数を設定する煩わしさを解消することができる。
【0070】
[0102] 2-5 粗い遅延時間決定ステップ
【0071】
[0103] 粗い遅延時間決定ステップS5において、制御ユニット7は、微粒子が検出ユニット3(
図4参照)によって検出された時点から液滴カメラ4によって撮像された、画像情報の液滴Dの複数の項目を比較することによって液滴Dの粗い遅延時間を決定する。
【0072】
[0104] 本明細書において、「粗い遅延時間」は、本ステップS5によって暫定的に遅延時間として扱われる時間を指し、これは、後述する遅延時間ステップS7によって細かい遅延時間が決定されるまでの時間である。より具体的には、「粗い遅延時間」という用語は、微粒子が検出ユニット3によって検出された時間から、液滴Dの複数の時間に取得された較正画像の強度の合計が所定領域(以下に説明する)において最大に達する時間までの持続期間を指す。代わりに、これは、所定領域内における輝点の数が最大に達したときに決定することができ、輝度の数は、複数の異なる時間に液滴カメラ4によって撮像された液滴Dの複数の較正画像を比較することによって算出される。さらに、「複数の異なる時間」という用語は、特に限定されないが、例えば各時間を指し、その間の間隔は、振動素子13がオリフィスに付与する振動の周波数の逆数の時間である(言い換えれば、液滴Dの各々の排出間隔時間を指し、以下「液滴クロック」と呼ばれる)。
【0073】
[0105]
図5Aから
図5Dは、フローサイトメーター1の液滴カメラ4によって撮像された液滴の画像の一例を示す写真であり、異なる時間に撮像された画像を表わす(
図5Aから
図5D参照)。より具体的には、
図5Aから
図5Dは、微粒子が検出ユニット3によって検出された撮像された時間(TO)において、液滴カメラ4によって撮影された液滴Dが第1の液滴として設定されたとき、検出された微粒子がどの液滴に含まれるかを示す写真図である。さらに、各写真表示はまた、複数の撮像化された画像が一緒に統合された表示にすることができる。
【0074】
[0106]
図5Aから
図5Dにおいて、「区間1」という用語は、画像Pに予め設定された所定領域を指す。
【0075】
[0107] 制御ユニット7は、液滴カメラ4によって撮像された液滴Dの複数の画像を、液滴クロックの間隔で比較し、TOから「セクション1」内の強度の合計数(または輝点の数)が粗い遅延時間として最大に達するまでの時間を事前に決定する。さらに、「強度の合計」という用語については、以下でさらに詳しく説明する。加えて、「輝点」は、液滴カメラ4によって撮像された液滴Dの画像において、輝度が所定の閾値よりも高い画素を指し、レーザーL2によって照射される励起された液滴Dに含まれる微粒子の画像情報の項目である。
【0076】
[0108]
図5Aから
図5Dにおいて、本技術の一例として、「輝点」という用語は、TOにてオリフィス21から排出されて液滴カメラ4によって撮像される液滴Dを第1の液滴として設定するとき、第30番目から第33番目の液滴の排出時に、液滴カメラ4によって撮像される画像を指す。例えば、第30番目の液滴は、N=30で表される写真表示である(
図5Aを参照)。
【0077】
[0109]
図5Aから
図5Dに示す例では、制御ユニット7は、N=32の画像情報(
図5C参照)に基づいて、「セクション1」内の輝点Bの数が最大に達する微粒子は、第32番目の液滴に含まれていると判別できる。すなわち、制御ユニット7は、液滴カメラ4によって撮像された液滴Dの複数の画像を液滴クロックの間隔で比較し、微粒子が検出されてから第32番目の液滴が排出される時間までの粗い遅延時間を、粗い遅延時間として事前に決定することができる。
【0078】
[0110] このように、フローサイトメーター1では、「区分1」内の画像情報における強度の合計(または輝点の数)を複数の異なる時間に関して比較することによって、粗い遅延時間を遅延時間として事前に決定することができる。
【0079】
[0111] 2-6 画像領域決定ステップS6
【0080】
[0112] 画像領域決定ステップS6では、制御ユニット7は、液滴カメラ4によって撮像された液滴Dの画像情報を分析することによって、複数の画像領域を決定する。一実施形態では、制御ユニット7は、液滴カメラ4によって撮像された液滴画像601を分析することによって、複数の画像領域を決定する。
【0081】
[0113] ここで、「複数の画像領域」という用語は液滴画像601の領域を指し、その強度が測定されしかも滴下遅延が決定され、滴下遅延は、後述するように複数の画像項目を比較することによって計算され、計算では液滴カメラ4によって複数の異なる時間に撮像された液滴Dの強度情報は最大に達する。さらに、「複数の異なる時間」という用語は、特に限定されないが、例えば各時間を指し、その間の間隔は、振動素子13がオリフィスに加える振動の周波数の逆数の時間である(言い換えれば、各液滴Dの排出間隔時間を指し、以下「液滴クロック」と呼ばれる)。
【0082】
[0114] 複数の画像領域を決定するには2つの方法がある。第1の方法は液滴Dの下縁を検出することを含み、第2の方法は液滴Dの上縁を検出することを含む。特に、第1の方法では、最後に付着した液滴の下縁および最初に分離した液滴の下縁が検出される。
図7Aから
図7Cは、所定時間における液滴画像701、702(
図7Aおよび
図7B)ならびに較正画像711(
図7C)の例を示す写真であり、第1の方法に従って複数の画像領域を決定するプロセスを表わす。より具体的には、
図7Aに、最後に付着した液滴720の下縁、および最初に付着した液滴722の下縁が示される。最後に付着した液滴720の下縁と最初に分離した液滴722の下縁との間の距離によって定まる領域は、複数の画像領域の1つである最下画像領域S2である。最後に付着した液滴720の下縁と最初に分離した液滴722の下縁との間のこの距離は、一般に画像領域高さと呼ばれ、または特定の場合にはS2画像領域高さ740と呼ばれることがある。一実施形態では、他の画像領域は以下のように決定される。S2画像領域高さ740が測定され、同じ距離が適用されて、最下の画像領域S2の上にさらに2つの画像領域S1およびS0が生成される。好ましくは、中央の画像領域はS1(S1画像領域高さ742である)と名付け、最上の画像領域はS0(S0画像領域高さ744である)と名付けている。したがって、各画像領域S0、S1、S2は、画像領域高さ740、742、744が同じである。
図7Bは、3つの画像領域S0、S1、S2が描かれた液滴画像702を示し、
図7Cは、
図7Bの較正画像611を示し、この場合も3つの画像領域S0、S1、S2を有する。別の実施形態では、S2画像領域高さを決定した後(上述したように)、S1画像領域高さおよびS2画像領域高さは、最後に付着した液滴720上の2つの付着液滴の各々の下縁を決定することによって各々個別に決定される。したがって、この実施形態では、S2、S1およびS0画像領域高さ740、742および744は、必ずしも同じ距離を占めるわけではない。画像領域高さを決定するための2つ実施形態が別個に説明されているが、それらは結合して使用することができる。例えば、S2およびS1画像領域高さ740、742は、各々、第2の実施形態で説明した方法によって個別に決定することができ、一方S0画像領域は、S2およびS1画像領域高さ740、742の何れかの画像領域高さを複製することによって決定される。複数の画像領域を決定するこの第1の方法は、液滴流れが速いサテライトを含むとき優先的に使用する。速いサテライトは、サテライト730がその前の液滴(すなわち、
図7Aおよび
図7Bのサテライトの下の液滴)と最終的に結合するとき含まれる。この方法を用いて複数の画像領域を決定することは、サテライトが最終的に結合する液滴を有する画像領域内のサテライト730を含む。また、
図7Dは、第1の方法用の液滴クロック600に関するLEDストロボ603および較正ストロボ613の一実施形態を示す。
図7Dに示すように、この例示的な実施形態における較正ストロボ613およびLEDストロボ603は、同時に終了し、LED603ストロボは較正ストロボ613よりも短い。
【0083】
[0115]
図8Aから
図8Cは、複数の画像領域を決定する第2の方法を示す。特に、複数の画像領域を決定する第2の方法では、第1の分離液滴820および第2の分離液滴822の上縁が検出される。
図8Aでは、第1および第2の分離された液滴820、822の上縁が示される。第2の分離液滴822の上縁と第1の分離液滴822の上縁との間の距離によって定まる領域は、複数の画像領域のうちの1つである最下画像領域S2である。第2の分離された液滴822の上縁と第1の分離された液滴820の上縁との間のこの距離は、一般に画像領域高さと呼ばれ、または特定の場合には、S2画像領域高さ840と呼ばれる。一実施形態では、他の画像領域は以下のように決定される。S2画像領域高さ840を測定し、同じ距離が適用されて、最下の画像領域S2の真上にさらに2つの画像領域S1およびS0が生成される。好ましくは、中央の画像領域はS1(S1画像領域高さ842である)と名付け、最上の画像領域はS0(S0画像領域高さ844である)と名付けている。したがって、各画像領域S0、S1、S2は、画像領域高さ840、842、844が同じである。
図8Bは、3つの画像領域S0、S1、S2が描かれた液滴画像802を示し、
図8Cは、
図8Bの較正画像811を示し、この場合も3つの画像領域S0、S1、S2を有する。別の実施形態では、S2画像領域高さ840を決定した後(上述したように)、S1画像領域高さ842およびS2画像領域高さ844は、最後に付着した液滴の上縁および最後に付着した液滴の上にある液滴の上縁によって各々それぞれ決定される。したがって、この実施形態では、S2、S1およびS0画像領域高さ840、842および844は、必ずしも同じ距離であるとは限らない。画像領域高さを決定するための2つの実施形態が別個に説明されているが、それらは結合して使用することができる。例えば、S2およびS1画像領域高さ840、842は、各々第2の実施形態で説明した方法によって個別に決定することができ、一方S0画像領域は、S2およびS1画像領域高さ840、842の何れかの画像領域高さを第1の実施形態で説明した方法によって複製することにより決定される。複数の画像領域を決定する第2の方法は、液滴流れが遅いサテライトを含むとき優先的に使用する。遅いサテライトは、サテライトがその後の液滴(すなわち、
図8Aおよび
図8においてサテライトの上の液滴)と最終的に結合するとき含まれる。この方法を使用して複数の画像領域を決定することは、サテライトが最終的に結合する液滴を有する画像領域内のサテライト830を含む。また、
図8Dは、第2の方法用の液滴クロック600に関するLEDストロボ603および較正ストロボ613の一実施形態を示す。
図8Dに示すように、この例示的な実施形態における較正ストロボ613およびLEDストロボ603は同時に始まり、LEDストロボ603は較正ストロボ613よりも短い。
【0084】
[0116] 2-7 細かい遅延時間決定ステップ
【0085】
[0117]
図4に示す遅延時間決定ステップS7では、まず、制御ユニット7は、液滴カメラ4によって撮像された液滴Dの複数の画像領域に基づいて、上述した隣接情報を参照する。この方法は、
図8から
図10を参照して以下に説明する。さらに、隣接情報は、複数の画像領域の強度の合計に関する情報である。
【0086】
[0118] 2-7-0 一般的な細かい遅延時間決定ステップ
【0087】
[0119] 最初に、LEDストロボも較正レーザーも励起されていない画像を取得することによって較正画像の背景強度が決定される。本質的に、背景強度は、光源がないが背景光が存在し得る画像である。
【0088】
[0120] 次に、液滴の較正画像が撮られ、予め設定された遅延時間内に蓄積される。複数の較正画像をカメラによって撮る。液滴内の蛍光のビーズが弱いとき、複数の液滴画像を集約して最終的な較正画像を取得することができる。最終的な較正画像を取得するために、任意の数の較正画像が集約できる。較正画像の集約により、測定すべくより明るいスポットを持つ較正画像を取得するのが支援される。
【0089】
[0121] 第3に、背景強度が較正画像(それが単一の較正画像であっても、複数の較正画像の集約であっても)から差し引かれる。単一の背景強度の合計を差し引き、または背景強度の合計に集約された較正画像の数を掛けたものを差し引くことができる。
【0090】
[0122] 第4に、較正画像(それが単一の較正であっても、複数の較正画像の集合であっても)を取得した後、画像領域の各々の強度の合計が決定される。このプロセスでは、各画像領域が複数の画像領域サブエリアに分割される。たとえば、画像領域は、較正画像の各ピクセルによって定まるサブエリアを含むことができる。好ましくは、サブエリアは、長方形状(例えば、正方形)であるが、3つ以上の辺を有する他の幾何学的形状が適切である。同様に、サブエリアは全ての面積が同じでもよいが、本方法は、サブエリアの全ての面積が同じである方法に限定されない。各サブエリアが設定されると、各個々のサブエリアの強度が決定される。たとえば、ピクセルあたり8ビットのデータを備えるカメラが使用されているとき、サブエリアは、強度範囲が0から255であることができる。代わりに、ピクセルあたり10ビットのデータを備えるカメラの強度範囲は0から1024である。強度は較正画像に基づいて測定する。各個々のサブエリアの強度が決定されると、画像領域内の全てのサブエリアの強度の合計は、個々のサブエリアの強度を合計することによって決定される。このプロセスは、各画像領域について、各画像領域が強度値の独自の合計を持つように繰り返される。各画像領域(S0、S1、およびS2)に関するこの強度値の合計がグラフにプロットされる。
【0091】
[0123] 第5に、新しい遅延時間が選択され、以前の段落の第2番目から第4番目のステップが繰り返される。このステップ自体は、次いで2つ以上の遅延時間について画像領域の各々の強度値に関する合計が決まるまで繰り返される。一実施形態では、強度の合計が決定される2つ以上の遅延時間は、複数の遅延時間値にわたる。たとえば、2つ以上の遅延時間は、合計3つまたは5つの完全な遅延期間にわたる。別の実施形態では、強度の合計が決定される2つ以上の遅延時間は同等な間隔にある。たとえば、遅延時間が360度であるとき、強度の合計が決定される各遅延時間は20度だけ離れている。この場合、強度の合計が決定される55個の合計遅延時間は、3つの完全な遅延時間(たとえば、遅延時間:30、30+20°、30+40°、・・・、33)の期間について、そのようになされたとき、生じる。代わりの実施形態では、強度の合計が決定される遅延時間は、40度、60度、または90度だけ離れている。強度の合計が決定される各遅延時間において、S0、S1、およびS2に関する強度の合計がグラフにプロットされる。そのようなグラフの例は、
図8から
図10に描かれている(以下で詳しく説明する)。3つの完全な遅延時間をプロットする方法の場合、強度の合計が決定される最初の遅延時間は、以上で決定された粗い遅延時間よりも短い1つの完全な遅延時間にすることができる。たとえば、粗い遅延時間が30の場合、この反復プロセスは遅延時間29から始まり、連続する各間隔で画像領域の強度の合計を測定し続ける(すなわち、20度間隔が選択されているとき:遅延時間29、29+20°、29+40°、・・・、32)。しかしながら、粗い遅延時間よりも短い2つの遅延時間から開始して、3つの遅延期間の間(すなわち、粗い遅延時間よりも長い1つの遅延時間に)進むこともできる。粗い遅延時間の周りの任意の範囲が、粗い遅延時間がその範囲内に含まれている限り、許容される。
【0092】
[0124] 最後に、各画像領域に関する強度の合計の各々が決定され、グラフ上にプロットされ(上述した通り)、以下の方法の何れか使用して、細かい遅延時間が決定される。
【0093】
[0125] 2-7-1 最初の細かい遅延時間決定方法
【0094】
[0126] まず、
図9を参照して、3つの画像領域S0、S1、S2全ての強度の合計を参照して遅延時間を決定する、第1の遅延時間決定方法について説明する。
【0095】
[0127]
図9は、各画像領域S0、S1、S2についての、3つの滴下遅延時間のスパンにわたる、強度測定値の合計のグラフ表示である。x軸は滴下遅延時間910を表わし、左側のy軸は強度の合計911を表わし、右側のy軸はS1比912(後述する)を表わす。
図9において、線900は、領域S0について様々な滴下遅延時間における強度の合計を表わし、線901は、領域S1について様々な滴下遅延時間における強度の合計を表わし、線902は、領域S2について様々な滴下遅延時間における強度の合計を表わし、線905はS1比(後述する)を表わす。
【0096】
[0128] 次いでS1比を決定する。S1比は次の式を用いて決定される。
【0097】
【0098】
[0130] S1比の式では、S1は、所定の滴下遅延時間における画像領域S1の強度の合計を表わし、S2は、所定の滴下遅延時間における画像領域S2の強度の合計を表わし、S0は、所定の滴下遅延時間における画像領域S0の強度の合計を表わす。上記のステップで強度の合計が測定される各滴下遅延時間についてS1比が測定され、結果が
図9のグラフに線905としてプロットされている。
【0099】
[0131] これから、S1比が最大になる滴下遅延時間を決定することによって、最適な滴下遅延時間の概算値を決定することができる。これは、
図9のグラフを表示することによって実現できる。代わりに、線905によって表されるS1比の値のプロットは、多項式近似を用いて近似することができる。一実施形態では、6次多項式近似を用いて、線905によって示されるS1比値のセットに最も適合する方程式が決定される。近似から、S1比に関する最大値を数学的に決定することができ、その場合S1比の最大値は最適な遅延時間を表わす。
【0100】
[0132] 以上により、フローサイトメーター1では、制御ユニット7は、液滴の各画像領域S0、S1、S2の強度の合計に関する隣接情報を参照することによって遅延時間を算出する。このように、フローサイトメーター1において、最適な滴下遅延時間は、最後に付着した液滴が最大数のビーズを含むととともに、前および後の液滴が最小数のビーズを含むポイントにおける滴下遅延を表わす。したがって、液滴に電荷を正確かつ自動的に付与することが可能である。
【0101】
[0133] さらに、本ステップS7の一例である第1の遅延時間決定方法は、サンプルに含まれる微粒子の検出をマイクロチップ2で行い、液滴Dに対する電荷の付与を空中で行う場合に、好適に用いられる。言い換えれば、サンプルの速度はマイクロチップ2の内部と空中との間で変化するため、サンプルに電荷を付与するタイミングを調整する必要がある場合、最初の遅延時間決定方法を用いて決めるのが特に有効である。
【0102】
[0134] 2-7-2 細かい遅延時間の決定方法
【0103】
[0135] 次に、画像領域S0およびS2の強度の合計の最小値を求めることによって遅延時間を決定する、第2の遅延時間決定方法について
図10を参照して説明する。この方法では、全てのステップは最初の方法(ステップ2-7-1)と同じように実行されるが、ここでは、最適な滴下遅延値は、画像領域S0とS2との結合時、強度値の合計の最小値を見つけることによって決定される。
図10において、線1000は、領域S0の強度の測定された合計を表わし、線1002は、領域S2の強度の測定された合計を表わす。
【0104】
[0136] 2-7-3 第3の細かい遅延時間決定方法
【0105】
[0137] 次に、画像領域S1の強度の合計の最大値を見つけることによって遅延時間を決定する、第3の遅延時間決定方法について
図11を参照して説明する。この方法では、全てのステップを最初の方法(ステップ2-7-1)と同じように行うが、ここでは、最適な滴下遅延値は、画像領域S1の強度値の合計の最大値を見つけることによって決定される。
図11において、線1101は、領域S1の強度の測定された合計を表わす。
【0106】
[0138] 2-7-4 代替機能
【0107】
[0139] 上記ステップは、検出された微粒子の最大数が最後に付着した液滴(すなわち、画像領域S1)にある時期を判断する方法について説明している。これらの実施形態では、微粒子分類ステップ(以下にS8で詳細に説明する)は、微粒子が最後に付着した液滴に位置し、次いで帯電微粒子がこの電荷に基づいて分類されるとき、液滴中の微粒子に電荷を付与する。しかしながら、背景ノイズまたはその他の問題に起因して、より鮮明でより高品質の較正画像が液滴流れ内の別の場所で得られる場合がある。そのような場合、最後の付着液滴にない微粒子のセットによって決定される場合、最後に付着した液滴に微粒子がある時期を決定するのに必要な細かい遅延時間は、取得した細かい遅延時間に対して遅延時間を単に追加しまたはこれを単に減算することによって決定される。たとえば、最後に付着した液滴よりも2滴だけ上流にある液滴内の微粒子の数を最大化することによって細かい遅延時間が決定される場合、細かい遅延時間を算出するには、微粒子が最後に付着した液滴にあるときの代わりに、単にそれに2つの遅延時間を追加して細かい遅延時間を決定するだけでよい。一実施形態では、最高品質の較正画像が得られ、最後に付着した液滴は画像領域S2として定まり、上の液滴は画像領域S1であり、その上の液滴は画像領域S0であり、この場合細かい遅延時間は、画像領域S1の強度の合計を最大化することによって決定される。この実施形態では、画像領域S1における強度の合計(液滴内の所望の微粒子の数に対応する)を最大化する細かい遅延時間が決定されると、単にそれに1つの遅延時間を追加して、最後に付着した液滴中の所望の微粒子の数を最大化するための遅延時間が得られる。
【0108】
[0140] 2-8 微粒子分類ステップS8
【0109】
[0141]
図12は、フローサイトメーター1で細胞などの微粒子を分類するステップS8を説明するフローチャートである。微粒子分類ステップS8では、フローサイトメーター1は、上記ステップS1からS7で決定された遅延時間に基づいて、細胞などの微粒子を含む液滴の分類を行う。軌道方向判別ステップは、「微粒子検出ステップS-8-1」および「液滴排出および電荷付与ステップS-8-2」のプロセスを含む。以下、各プロセスについて説明する。
【0110】
[0142] 2-8-1 微粒子検出ステップ
【0111】
[0143] まず、本ステップS-8-1では、検出ユニット3が微粒子を検出する。検出方法は、上述したステップS1における処理と同様に行うことができる。
【0112】
[0144] 2-8-2 液滴排出および電荷付与ステップS-8-2
【0113】
[0145] 次に、本ステップS-8-2において、細胞などの微粒子が検出ユニット3によって検出された後から所定の遅延時間が経過すると、制御ユニット7は、帯電ユニット11に信号を出力し、微粒子を含む液滴に電荷を付与する(
図11を参照)。さらに、帯電ユニット11は液滴に電荷を付与する。
【0114】
[0146] 当業者であれば、さまざまな修正、結合、副結合および変更が、それらが添付の特許請求の範囲またはその均等物の範囲内である限り、デザイン要件および他の要因に応じて生じ得ることを理解する。
【符号の説明】
【0115】
1 フローサイトメーター
4 撮像装置
3 検出ユニット
7 制御ユニット
11 帯電ユニット