(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】眼球保湿器
(51)【国際特許分類】
A61H 33/12 20060101AFI20220217BHJP
A61H 35/02 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
A61H33/12 Z
A61H35/02
(21)【出願番号】P 2019571351
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(86)【国際出願番号】 KR2019010652
(87)【国際公開番号】W WO2020256214
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2019-12-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0074377
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515126112
【氏名又は名称】朴 敏奎
【氏名又は名称原語表記】PARK, Min Gyu
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】朴 敏奎
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-160834(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0066730(KR,A)
【文献】特開2002-28217(JP,A)
【文献】中国実用新案第2810549(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/12,35/02
A61F 7/00,9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球保湿器であって、
水蒸気が生成される温水を溜める一対の温水容器であって、該温水容器を垂直に見ている目および目の周りの皮膚に水蒸気が供給される一対の温水容器と、
前記一対の温水容
器に結合され該一対の温水容
器を互いに離間させる接続パネ
ルと、
前記一対の温水容
器の間に配置され該一対の温水容
器と目との間の上下の距離を維持する眉間支持
部と、
前記一対の温水容
器または接続パネ
ルの上部に形成され前記一対の温水容
器に目が接触しないようにしつつ水蒸気を排出する水蒸気排出
部とを備えることを特徴とする眼球保湿器。
【請求項2】
当該眼球保湿器はさらに、前記一対の温水容
器の底面に形成され瞳孔の動きを誘導して眼球運動が実行されるようにする焦点誘導
器を備えることを特徴とする請求項1に記載の眼球保湿器。
【請求項3】
当該眼球保湿器はさらに、距離調整手
段を備え、該距離調整手
段は、前記一対の温水容
器および前記接続パネ
ルに形成されていて、該一対の温水容
器および該接続パネ
ルを互いに着脱可能にスライドさせて、前記一対の温水容
器の間の距離を調整することを特徴とする請求項1に記載の眼球保湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球保湿器に関し、特に眼球運動を可能にしつつ、乾燥した目および目の周りの皮膚に効率的に水を供給することができる眼球保湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
目の涙液膜が乾燥しすぎると、目の表面で潤滑がうまく行われない。このため、目の表面でさえも乾燥し、目に不快感を与え疲れやすくなり、視野がぼやける。このようなドライアイ症候群は、本を読んだり、コンピュータの操作をしたり、コンタクトレンズを着用したり、エアコンやヒーターの周りにいたりすると、目に多くの不快感を与える。目が乾燥すると、目の周りの皮膚が自然に乾燥し、肌の老化を引き起こす。したがって、目が乾燥することを防止するために、目に水を直接供給することができる新技術を開発する必要がある。
【0003】
上記の問題を解決する従来技術の一例として、韓国実用新案登録第0430299号(2006年11月13日発行)は、目だけの保温パックを提案している。この保温パックは、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する圧電材料(13)を有する加熱部(10)と、圧電材料(13)が作動し、液体から固体に還元されたときに熱エネルギーを生成すると、固体から液体に変化する加熱材料(12)と、加熱材料(12)を収容するビニールパック(11)と、マッサージ水を含んでいて、加熱部(10)から発生する熱エネルギーによって温められて水蒸気を発生するマッサージシート(20)とを備える。
【0004】
しかし、従来の保温パックは目に密着しているため、チオ硫酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムのいずれかからなる加熱材料を有する加熱部から化学物質が漏れて、目に悪影響を与える可能性がある。さらに、従来の保温パックは使い捨て製品であるため、マッサージシートに含まれるマッサージ水が乾燥すると、保温パックは使用できなくなり、これにより、再使用ができないため、好ましくない環境汚染を引き起こす。
【0005】
さらに、従来技術の他の例として、韓国実用新案登録第0421224号(2006年7月10日発行)は、目のためのヨモギ蒸散器を提案している。ヨモギ蒸散器は、使用者の顔に装着され、燻蒸を生成してこれを目に供給することにより、ヨモギに含まれる良質の成分が目と目の周りの経穴に供給され、これにより、血液循環が改善され、目の疲労が軽減される。目のためのヨモギ蒸散器は、燻蒸発生器(52)と燻蒸供給器(53)とを備える。燻蒸発生器(52)は、燻蒸を生成する電力を受け取るように適合され、さらに、その中に収容されたヨモギパッド(51)を有する。燻蒸供給器(53)は、燻蒸発生器(52)から発生した燻蒸を目に供給するように適合されている。
【0006】
しかし、上述の従来技術では、比較的複雑な結合プロセスを実行する必要がある。すなわち、まず燻蒸供給器(53)は、燻蒸発生器(52)から分離されていて、水が噴霧されるヨモギパッド(51)は燻蒸ベース(60)上に設置されている。つぎに、燻蒸供給器(53)と燻蒸発生器(52)が再び互いに結合される。そしてさらに、燻蒸を生成するために、燻蒸発生器(52)に外部から電力を供給しなければならないという不便さがある。さらに、アイパッド(70)が目と接触すると、目および目の周りの皮膚に熱を自然に供給できず、目の周りの境界が不自然に形成される可能性がある。また、排出穴(74)が小さすぎて、さらに目のためのヨモギ蒸散器は帯状であるため、着用時に着用者の頭が圧迫されてしまう。したがって、仮に熱い燻蒸が突然発生すると、着用者は火傷を負う可能性がある。さらにヨモギ蒸散器の全重量がその複合構造によって増加するため、着用者の頭、首および肩が疲労する可能性がある。
【0007】
さらに、ヨモギ蒸散器は、構造全体が複雑であるため、分解および洗浄が容易ではない。このため、ヨモギ蒸散器の安全な衛生状態を維持することが困難である。
【0008】
したがって、上記の従来技術の問題を解決しつつ、目および目の周りの皮膚の乾燥を防止できる新技術を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、目および目の周囲の皮膚に水蒸気を供給しやすいように構成されていて、水蒸気に含まれる熱により血液循環を改善して、皮膚の老化を防止し、さらに焦点誘導器を介して眼球運動を可能にする眼球保湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明によれば、眼球保湿器が提供される。この眼球保湿器は、水蒸気が生成される温水を溜める一対の温水容器であって、この温水容器を垂直に見ている目および目の周りの皮膚に水蒸気を供給する一対の温水器と、一対の温水容器に結合され一対の温水容器を互いに離間させる接続パネルと、一対の温水容器の間に配置され、一対の温水容器と目との間の上下の距離を維持する眉間支持部と、一対の温水容器または接続パネルの上部に形成され、一対の温水容器が目に接触しないようにしつつ、水蒸気を排出する水蒸気排出部とを備える。
【0011】
好ましくは、本発明によれば、眼球保湿器はさらに、温水容器の底面に形成され、瞳孔の動きを誘導して眼球運動が実行されるようにする焦点誘導器を備える。
【0012】
好ましくは、本発明によれば、眼球保湿器はさらに、距離調整手段を備え、距離調整手段は、一対の温水容器および接続パネルに形成されていて、一対の温水容器および接続パネルを互いに着脱可能にスライドさせて、一対の温水容器間の距離を調整する。
【発明の効果】
【0013】
上述のように、本発明による眼球保湿器は、目および目の周りの皮膚に水を供給するように構成されていて、これにより、ドライアイ症候群を回避する。このため、眼が乾燥する前に眼球保湿器を常に使用すると、ドライアイ症候群を防止できる。
【0014】
また、本発明による眼球保湿器は、目および皮膚を温かくして、目の周りの血流が緩やかに流れるように構成されていて、これにより、血液循環が良くなり、目の周りの皮膚が老化することを防止し、それによって皮膚のしわを改善する。
【0015】
さらに、本発明による眼球保湿器は、焦点誘導器を介して追加的に眼球運動が実行されるように構成されていて、これにより、目への水の供給を強化しつつ、目の筋肉を強化できる。また本発明による眼球保湿器は、構成が簡素であるため、軽量で持ち運びが容易である。
【0016】
さらに、本発明による眼球保湿器は、水蒸気排出手段を有するように構成されていて、水蒸気排出手段は、過剰な水蒸気によって目および目の周りの皮膚が火傷することを防止する。
【0017】
さらに、本発明による眼球保湿器は、眉間支持部を有するように構成されていて、眉間支持部は、温水および蒸気からの距離を保って、熱水蒸気によって目が損傷することを防止する。
【0018】
また、本発明による眼球保湿器は、開放された構成を有し、これにより、製造コストが低減され、製造工程が容易であり、大量生産と高生産性が容易であり、さらに洗浄が容易であるため、眼球保湿器を衛生的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による眼球保湿器を示す正面斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による眼球保湿器を示す背面斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による眼球保湿器を示す平面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態による眼球保湿器を示す正面断面図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施形態による眼球保湿器を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明による眼球保湿器の動作を示す正面断面図である。
【
図7】本発明による眼球保湿器の動作を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0021】
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態による眼球保湿器100は、一対の温水容器1を有するように構成されている。一対の温水容器1は、互いに離間していて、人の目に対して垂直な位置に配置される。
【0022】
また、眼球保湿器100は、接続パネル2を有する。接続パネル2は、一対の温水容器1の片側に配置されていて、これにより、一対の温水容器1が互いに接続される。
【0023】
さらに、眼球保湿器100は、眉間支持部3を有する。眉間支持部3は、温水容器1の上端周辺の間に配置され、眼球保湿器100の使用時に眉間および鼻を支持する。
【0024】
また、眼球保湿器100は、底部支持部4を有する。底部支持部4は、温水容器1に結合された接続パネル2の表面とは反対方向に、接続パネル2の底部周辺から突出している。
【0025】
さらに、温水容器1の内面には、適切な量の温水の基準を示す水位計11が配置されている。また、温水容器の内側の底面には焦点誘導器12が形成されている。焦点誘導器12は、眼球保湿器100が使用されている間、目の焦点を誘導して眼球運動が実行されるようにする。
【0026】
さらに、接続パネル2の上端または温水容器1の上端周辺から、ハンドル5が外側に突出している。これにより、使用者の手で温水容器を保持する必要がなく、これにより、細菌汚染の発生を事前に防止できる。
【0027】
上記の各部品は合成樹脂製であり、また、互いに一体に形成されている。
【0028】
本発明の他の実施形態によれば、
図4に示すように、眼球保湿器100は、温水容器1の下部に配置された排出手段13をさらに備える。
【0029】
各排出手段13は、対応する温水容器1の底面に形成されていて温水容器1内の水を一方向に誘導する傾斜面13aと、温水容器1の片側に形成されていて誘導水を排出する排出孔13bと、温水容器1に水を溜めるときに排出孔13bを塞ぐ嵌合式のストッパ13cとを含む。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態によれば、
図5に示すように、眼球保湿器は、温水容器1が左右にスライドできるように構成されていて、これにより、温水容器1が接続パネル2から着脱可能であり、さらにまた、温水容器1間の距離を調整できる。
【0031】
より詳細には、一対の距離調整手段6は、温水容器1と接続パネル2に沿って対応してスライドし、接続パネル2から温水容器1を着脱したり、距離を調整したりすることができ、これにより、温水容器1を個々に分離することができる。
【0032】
例えば、各距離調整手段6は、温水容器1および接続パネル2の一方に長手方向に形成された結合突起61と、温水容器1および接続パネル2の他方に形成され、結合突起61に対応して固定される結合溝62とを含む。
【0033】
眉間支持部3は、接続パネル2の上端の中央から突出している。ハンドル5は、接続パネル2の側面から突出している。底部支持部4は、接続パネル1の下端から突出している。
【0034】
眉間支持部3は、その両側から突出する係止片63を有する。係止片63は、その下面に形成された突起を有し、これにより温水容器1の上端周辺に係止される。このため、温水容器1を所定の位置に固定することができ、眉間支持部3が垂れ下がって破損することを防止できる。
【0035】
さらに、眉間支持部の下側には、垂直補強リブを配置してもよい。
【0036】
つぎに、本発明による眼球保湿器100の動作について説明する。
【0037】
図6に示すように、眼球保湿器100を机のような揺れのない所定の位置に置いて、つぎに、水位計11が示す高さまで温水容器1に温水を注ぐ。これにより、眼球保湿器100を使用する準備が完了する。
【0038】
温水は、適切な温度を有していて、これにより、室温で蒸発できて火傷を引き起こさない水蒸気を生成できる。
【0039】
使用者は、首または腰を曲げて目が温水容器1を垂直に見ることができるようにして、さらに、目の高さは温水容器1の近くにして、眉間支持部3に眉間の頂点または鼻がある程度接触するようにする。
【0040】
水蒸気の一部は、目および皮膚に接触して、乾燥した目および皮膚の表面に凝縮され、潤いを与えて付着する。
【0041】
したがって、目および皮膚の表面に水が吸収され、これにより、水が自然にそれらに供給される。また、水蒸気は、室温よりも暖かいため、さらに、皮膚の毛穴が開いて、水が皮膚により吸収され易くなる。
【0042】
水蒸気は、温水から絶えず出てくる。このため、目および皮膚に凝縮しない残りの水蒸気は、適切に排出される必要がある。このようにすれば、目および皮膚の温度が過度に上昇することを防止して、目および皮膚を火傷から保護する。残りの水蒸気を適切に排出するために、
図7に示すように、水蒸気排出部Sは、目および皮膚から間隔を空けて残りの水蒸気を外部に排出する。
【0043】
また、本発明による眼球保湿器は、図示のように、深層水蒸気排出部Sを有するように構成されていて、これにより、水蒸気が目に直接流入することを防止し、より安全な状態で眼球保湿器を使用できる。
【0044】
水蒸気に晒されている間に目が動かずに止まると、球状の目のごく一部にのみ水が供給される。そこで、水が供給される部分を拡大し、さらにまた目の筋肉を強化するために、
図3に示す所定の順序で瞳孔が焦点誘導器12を見る。これにより、水が供給される領域を自然に拡大できるように目が向けられる。
【0045】
例えば、
図3に示すアルファベットAからFの順に瞳孔が複数の焦点誘導器12を見ると、適切な時間で瞳孔が繰り返し動きながら、眼球運動が自然に実行され、これにより、目のすべての領域に水を供給することができる。
【0046】
眼球保湿器100の他の動作では、温水容器1内の温水を排出したり、室温まで下がった水を温水容器1から排出したりする場合、眼球保湿器100をひっくり返して、流し台または洗面台に水を排出する。ただし、この場合、眉間支持部3は、水と接触することにより湿って、使用者に不快感を与える。そこで、眉間支持部3から水を取り除く必要がある。
【0047】
この場合、
図4に示す排出手段13を温水容器1の下部に配置すると、温水容器1の下面にカップが配置され、これにより、温水容器1から排出手段13を介して排出される水をカップが受ける。
【0048】
ストッパ13cを取り外すことによって排出孔13bが開かれると、傾斜面13aに沿って流れる温水容器1内の水が排出孔13bから排出される。水の排出が終了すると、ストッパ13cは、排出孔13bに再び結合して密封される。
【0049】
眼球保湿器100は、
図5に示すように接続パネル2に沿って温水容器1を着脱可能にスライドさせるように構成すると、温水容器1を個別に洗浄して保管することができ、さらにまた、長期間使用して汚れた温水容器のみを、新しいものと交換することができる。
【0050】
温水容器1および接続パネル2は、距離調整手段6によって互いに着脱可能に取り付けられていて、温水容器1間の距離を、左右にスライドする程度に応じて調整することができる。
【0051】
温水容器1間の距離が調整されると、眼球保湿器100は、性別や年齢に関係なく、狭いあるいは広い眉間を持つすべての人が使用することができる。
【0052】
接続パネル2の上端に結合された眉間支持部3の支持力を強化するために、眉間支持部3の下側に補強リブが配置されたり、その他の場合では、眉間支持部3の両側から係止片63が突出して、温水容器1の上端周辺に係止されたりする。
【0053】
また、係止片63の下面には、多段の係止突起が形成されていて、これにより、温水容器1がスライドするとき、温水容器1の上端周辺がそこに堅固に係止される。
【0054】
本発明を特定の例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は、実施形態によって制限されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるものである。当業者は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、実施形態を変更または修正できることを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、目の周りの目および皮膚の乾燥を防止できる眼球保湿器として産業上利用可能である。