(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 23/467 20060101AFI20220217BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
H01L23/46 C
H05K7/20 H
H05K7/20 F
H05K7/20 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020207930
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2020-12-16
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502160992
【氏名又は名称】宏達國際電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】郭 智堯
(72)【発明者】
【氏名】孫 金▲カイ▼
(72)【発明者】
【氏名】譚 中樵
(72)【発明者】
【氏名】葉 東欣
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-216610(JP,A)
【文献】特開2020-003973(JP,A)
【文献】特開2017-126639(JP,A)
【文献】特開2018-088629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0341686(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109983621(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/467
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体と共に第1の空間を定義する、マザーボードと、
前記筐体内に配置され、前記マザーボードと共に第2の空間を定義する、バッテリであって、前記マザーボードが前記第1の空間と前記第2の空間とを分離していることと、
前記筐体内に配置され、第1の気流出口と、前記第1の気流出口とは独立した第2の気流出口とを有する、ファンであって、前記第1の気流出口が前記第1の空間と前記第2の空間と連通することと、
前記筐体内に配置され、前記マザーボードから前記第2の気流出口へ熱を伝達する、放熱モジュールと
を含む、
電子デバイス。
【請求項2】
前記筐体が、上部筐体と、前記上部筐体と接続される下部筐体とを含む、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記上部筐体が、上部ベゼルと、前記上部ベゼル上に載置された上部カバーとを含み、前記上部ベゼルが気流入口を有し、前記上部カバーが複数の開口を有し、複数の前記開口が前記気流入口と連通する、
請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記下部筐体が、下部ベゼルと、前記下部ベゼル上に載置された下部カバーとを含む、
請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記放熱モジュールが、
前記筐体内に配置され、前記第2の気流出口と隣接する、放熱要素と、
前記筐体内に配置され、前記マザーボードから前記放熱要素へ熱を伝達するため、前記マザーボードと前記放熱要素とに熱的に接触する、伝熱要素と
を含む、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記伝熱要素の一部が、前記第1の気流出口からの気流を偏向するため、前記第1の空間内で斜めに延伸する、
請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記筐体内に配置され、前記マザーボードから前記放熱要素へ熱を伝達するため、前記マザーボードと前記伝熱要素とに熱的に接触する、金属ベゼルを更に含む、
請求項
5に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記金属ベゼルが、前記筐体と前記マザーボードとにより定義された前記第1の空間内に位置する、
請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記伝熱要素の一部が、前記第1の気流出口からの気流を案内するため、前記金属ベゼル上で斜めに延伸する、
請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記伝熱要素の一部が、前記第1の気流出口からの気流を案内し向きを変えるため、前記金属ベゼル上で傾斜し、前記金属ベゼルから徐々に離れて延伸する、
請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記筐体内に配置され、アンテナ間隙領域を有する、アンテナモジュールを更に含む、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記アンテナモジュールがmmWaveモジュールである、
請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記筐体内に配置され、アンテナ間隙領域を有する、アンテナモジュールと、
前記筐体内に配置され、前記マザーボードから前記放熱要素へ熱を伝達するため、前記マザーボードと前記伝熱要素とに熱的に接触する、金属ベゼル
と、
を更に含み、
前記アンテナモジュールが前記金属ベゼル上に載置されることで前記筐体内に配置され、前記金属ベゼルが前記アンテナ間隙領域の外側に位置する、
請求項
5に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記アンテナモジュールがmmWaveモジュールである、
請求項13に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子デバイスに関するものであり、特に、ファンを有する電子デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
3G、4Gから5Gへの移動網世代の発展に伴い、データ通信速度が徐々に増加している。しかし、(移動網ルータ、スマートフォンといった)4G特化電子製品と比較し、5G特化電子製品の熱発生率もますます高くなっており、放熱を促進するためにファンが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、自身による好ましい放熱性能を提供する電子デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の電子デバイスは、筐体と、マザーボードと、バッテリと、ファンと、放熱モジュールとを含む。マザーボードは筐体内に配置され、筐体と共に第1の空間を定義する。バッテリは筐体内に配置され、マザーボードと共に第2の空間を定義する。マザーボードは第1の空間と第2の空間とを分離している。ファンは筐体内に配置され、第1の気流出口と、第1の気流出口とは独立した第2の気流出口とを有する。第1の気流出口は、第1の空間と第2の空間とに連通する。放熱モジュールは筐体内に配置され、マザーボードから第2の気流出口へ熱を伝達する。
【発明の効果】
【0005】
上記に基づき、本発明において、ファンは、マザーボードと筐体とにより定義された第1の空間と、マザーボードとバッテリとにより定義された第2の気流出口とへ気流を放出し、これによりマザーボード上方の部品の放熱を促進し、マザーボード下方のバッテリの性能に対するマザーボードにより発生した熱の影響を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施形態による電子デバイスの上面斜視図である。
【
図4】
図4は、筐体を取り外した
図1の電子デバイスの上面図である。
【
図5】
図5は、筐体を取り外した
図1の電子デバイスの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1~5を参照されたい。この実施形態において、電子デバイス100は、例えば、ネットワークルータ、スマートフォン等である。電子デバイス100は、筐体110と、マザーボード120と、バッテリ130と、ファン140と、放熱モジュール150とを含む。マザーボード120は筐体110内に設けられ、筐体110と共に第1の空間SP1を定義する。バッテリ130は筐体内に設けられ、マザーボード120と共に第2の空間SP2を定義する。マザーボード120は、第1の空間SP1と第2の空間SP2とを分離している。ファン140は筐体110内に配置され、第1の気流出口AO1と、第1の気流出口AO1とは独立した第2の気流出口AO2とを有する。
図4において、第1の気流出口AO1と第2の気流出口AO2の位置を明確に示すため、ファン140の頂板は取り外されている。第1の気流出口AO1は、第1の空間SP1と第2の空間SP2とに連通する。放熱モジュール150は筐体110内に設けられ、マザーボード120から第2の気流出口AO2へ熱を伝達する。
【0008】
図5を参照し、第1の気流出口AO1が第1の空間SP1と第2の空間SP2とに連通していることから、ファン140は第1の気流出口AO1から第1の空間SP1と第2の空間SP2とへ気流を流すことができる。このため、第1の空間SP1を通って流れる気流は、マザーボード120上方に配置された部品(図示せず)の放熱を促進でき、第2の空間SP2を通って流れる気流は、バッテリ130の性能に対するマザーボード120上に配置された電子部品により発生した熱の影響を低減できる。
【0009】
図1~
図5を参照されたい。この実施形態において、筐体110は、上部筐体112と、上部筐体112に接続される下部筐体114とを含んでよい。具体的には、上部筐体112は、上部ベゼル112aと、上部ベゼル112aに載置された上部カバー112bとを含んでよい。上部ベゼル112aは気流入口AIを有してよく、上部カバー112bは複数の開口を有してよく、開口は気流入口AIと連通する。下部筐体114は、下部ベゼル114aと、下部ベゼル114aに載置された下部カバー114bとを含んでよい。
【0010】
図2~
図5を参照し、本実施形態において、放熱モジュール150は、(フィンヒートシンク等といった)放熱要素152と、(ヒートパイプ、ベイパーチャンバ等といった)伝熱要素154とを含んでよい。放熱要素152は筐体110内に設けられ、第2の気流出口AO2と隣接してよい。伝熱要素154は筐体110内に設けられ、マザーボード120から放熱要素152へ熱を伝達するため、マザーボード120と放熱要素152とに熱的に接触してよい。加えて、伝熱要素154の一部は、第1の気流出口AO1からの気流を偏向させるため、第1の空間SP1において斜めに延伸してよい。第1の気流出口AO1から放出される(
図4において破線で描かれた矢印により示されるような)気流の方向又は傾向は、伝熱要素154の(
図4において点線で描かれた矢印により示されるような)伝熱方向又は傾向と逆であることに注意されたい。
【0011】
図2~
図5を参照し、この実施形態において、電子デバイス100は金属ベゼル160を更に含んでよい。金属ベゼル160は筐体110内に設けられ、マザーボード120から放熱要素152へ熱を伝達するため、マザーボード120と伝熱要素154とに熱的に接触してよい。金属ベゼル160は、筐体110とマザーボード120とにより定義された第1の空間SP1内に位置してよい。加えて、伝熱要素154の一部は、第1の気流出口AO1からの気流を案内するため、金属ベゼル160上で斜めに延伸する。加えて、伝熱要素154の一部は、第1の気流出口AO1からの気流を案内し偏向するため、金属ベゼル160上で傾斜し、金属ベゼル160から徐々に離れて延伸する。
【0012】
図4を参照し、この実施形態において、電子デバイス100は、mmWaveモジュールといった、1以上のアンテナモジュール170を更に含んでよい。アンテナモジュール170は筐体110内に設けられ、アンテナ間隙領域170aを有する。アンテナモジュール170は、金属ベゼル160上に載置されることで筐体110内に配置され、金属ベゼル160はアンテナ間隙領域170aの外側に位置する。このため、アンテナモジュール170により発生した熱エネルギーは、金属ベゼル160と伝熱要素154とを通って放熱要素152に到達できる。
【0013】
より詳細には、第1の気流出口AO1からの気流の一部は、伝熱要素154と金属ベゼル160との間の空隙を通って流れ、(
図4の左上角に示されるように)2つの隣接するアンテナモジュール170が位置する領域へ向かう。第1の気流出口AO1からの気流の一部は、(
図4の左下角に示されるように)伝熱要素154の端部に位置するアンテナモジュール170へ向かって流れるよう、伝熱要素154により案内される。このため、第1の気流出口AO1からの気流は、異なる位置にある3つのアンテナモジュール170の放熱が可能である。
【0014】
まとめると、本発明において、ファンは第1の気流出口を介し、マザーボードと筐体により定義された第1の空間と、マザーボードとバッテリにより定義された第2の空間とへ気流を放出し、これによりマザーボード上方の部品のための放熱を促進し、マザーボード下方のバッテリの性能に対するマザーボード上に配置された電子部品により発生した熱の影響を減少させる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の電子デバイスは、放熱機能を要する製品に応用することができる。
【符号の説明】
【0016】
100:電子デバイス
110:筐体
112:上部筐体
112a:上部筐体
112b:上部カバー
114:下部筐体
114a:下部ベゼル
114b:下部カバー
120:マザーボード
130:バッテリ
140:ファン
150:放熱モジュール
152:放熱要素
154:伝熱要素
160:金属ベゼル
170:アンテナモジュール
170a:アンテナ間隙領域
AO1:第1の気流出口
AO2:第2の気流出口
AI:気流入口
SP1:第1の空間
SP2:第2の空間