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  • 特許-車両用回転シートのインターロック装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】車両用回転シートのインターロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20220217BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B60N2/14
B60N2/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020212006
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000128544
【氏名又は名称】株式会社オーテックジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】特許業務法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一洋
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-312363(JP,A)
【文献】特開2003-327022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06
B60N 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に固定され車幅方向に離間して平行に設置された2本の車体側スライドレールと、
車両用シート側に固定され前記車体側スライドレール上をスライドする2本のシート側スライドレールと、
前記車体側に固定された第1当接部と、
前記車体側に固定された第2当接部と、
前記車両用シート側に固定され、前記車両用シートが前記車体側スライドレール上を所定位置までスライドしたときに前記第1当接部に当接するストッパと、
前記車両用シート側に弾性体を介して取り付けられ、前記車両用シートが前記車体側スライドレール上を前記所定位置までスライドする前に前記第2当接部に当接し、前記車両用シートがスライドして前記第1当接部と前記ストッパとが当接するまでの間に、前記車両用シートの第1位置から第2位置まで移動する規制部材と、
前記シート側スライドレールと前記車両用シートとの間に設置され、前記車両用シートを前記2本の車体側スライドレールを含む平面に対して略鉛直方向の回転軸に沿って回転可能な回転機構と、
前記車両用シート側に設けられ、前記規制部材が前記第1位置のときは前記車両用シートが前記回転軸に沿って回転すると前記規制部材と当接して回転を規制し、前記規制部材が前記第2位置のときは前記規制部材と前記車両用シートが前記回転軸に沿って回転しても前記規制部材と当接することなく回転を許容する邪魔板と、
を備えたことを特徴とする車両用回転シートのインターロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用回転シートのインターロック装置において、
前記回転機構の回転軸は、前記2本の車体側スライドレールの車幅方向内側かつ車幅方向の中心から車両外側に位置する車体側スライドレール側にオフセットした位置に設けられ、
前記規制部材及び前記邪魔板は、車両内側に位置する前記車体側スライドレール側にオフセットした位置に設けられている
ことを特徴とする車両用回転シートのインターロック装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用回転シートのインターロック装置において、
前記第1当接部と前記第2当接部は、前記車体側スライドレールの前端に設けられた車体側スライドレール固定ブラケットであることを特徴とする車両用回転シートのインターロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用回転シートを所定条件において回転禁止状態とする車両用回転シートのインターロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用回転シートのインターロック装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。この公報には、シート下部に設けられた回転機構の略中央付近にロック機構を設け、シート外側に延在された係合インターロックプレートを介してロックを行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-312363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗員がシートに座った状態では、回転機構の回転軸よりも離れた座面位置から荷重が作用するため、モーメントが大きくなりやすくロック機構に大きな荷重が作用し、ロック機構の大型化を招くというおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、部品点数の増大を抑制しつつ、インターロック機構の大型化を回避可能な車両用回転シートのインターロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の車両用回転シートのインターロック装置では、車体側に固定され車幅方向に離間して平行に設置された2本の車体側スライドレールと、車両用シート側に固定され前記車体側スライドレール上をスライドする2本のシート側スライドレールと、前記車体側に固定された第1当接部と、前記車体側に固定された第2当接部と、前記車両用シート側に固定され、前記車両用シートが前記車体側スライドレール上を所定位置までスライドしたときに前記第1当接部に当接するストッパと、前記車両用シート側に弾性体を介して取り付けられ、前記車両用シートが前記車体側スライドレール上を前記所定位置までスライドする前に前記第2当接部に当接し、前記車両用シートがスライドして前記第1当接部と前記ストッパとが当接するまでの間に、前記車両用シートの第1位置から第2位置まで移動する規制部材と、前記シート側スライドレールと前記車両用シートとの間に設置され、前記車両用シートを前記2本の車体側スライドレールを含む平面に対して略鉛直方向の回転軸に沿って回転可能な回転機構と、前記車両用シート側に設けられ、前記規制部材が前記第1位置のときは前記車両用シートが前記回転軸に沿って回転すると前記規制部材と当接して回転を規制し、前記規制部材が前記第2位置のときは前記規制部材と前記車両用シートが前記回転軸に沿って回転しても前記規制部材と当接することなく回転を許容する邪魔板と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、上記構成により、車両用シートのスライドに応じて作動する邪魔板によってロック機構を作動させることが可能となり、回転機構をロック操作するための複雑な機構が不要となり、回転機構やインターロック機構の大型化を回避した車両用回転シートのインターロック装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置を採用した車両を表す概略説明図である。
図2】実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置の作動状態を表す概略図である。
図3】実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置を採用した車両の車室内概略図である。
図4】実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置の積層状態におけるガイド部の部分断面図である。
図5】実施形態2の車両用回転シートのインターロック装置の積層状態におけるガイド部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
図1は、実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置を採用した車両用シートを表す概略説明図、図2は、実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置を表す分解斜視図、図3は、実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置を採用したシート及びシートレール付近の概略側面図である。
実施形態1の車両用シート1は、車体側に固定され車幅方向に離間して平行に設置された2本の車体側スライドレール22上をスライド可能に設置されている。車体側スライドレール22は、車両進行方向の前端に設けられた車体側スライドレール固定ブラケット21により取り付けられている。車体側スライドレール固定ブラケット21は、車体フロアに対してボルト固定するためのボルト穴21bと、車体側スライドレール22よりも車幅方向に拡大された当接部21a(第1当接部及び第2当接部に相当)を有する。これら車体側スライドレール22及び車体側スライドレール固定ブラケット21を総称して車体側スライド機構部2ともいう。
【0010】
車両用シート1の下方には、車両用シート1側に固定され車体側スライドレール2上をスライドする2本のシート側スライドレール31を有する。シート側スライドレール31には、車両用シート1を含むその他の機構を設置するためのレールアタッチ30が取り付けられ、シート側スライドレール31と一体に移動する。
【0011】
レールアタッチ30には、車両用シート1側に固定され、車両用シート1が車体側スライドレール22上を所定位置(具体的には、スライド位置前端)までスライドしたときに当接部21aに当接するストッパ32を有する。ストッパ32は、弾性体であるコイルスプリング334の一端が取り付けられる固定部322と、当接部21aと当接するストッパ側当接部321を有する。
【0012】
ストッパ32の上方には、ストッパ32に対して相対移動可能に取り付けられた規制部材33を有する。規制部材33は、当接部21aと当接する規制部材側当接部333と、ストッパ32に対してスライド方向に相対移動可能とするための複数の長穴331と、規制部材33とストッパ32とをスライド可能に固定するボルト336及びカラー337と、コイルスプリング334の他端が取り付けられる固定部332と、車両上方に延在され、後述する邪魔板11と当接可能な規制部335と、を有する。
【0013】
規制部材33は、2つのコイルスプリング334によってストッパ32に相対移動可能であって、車両用シート1が前端に位置していない通常時は、ストッパ32のストッパ側当接部321よりも車両前方側に規制部材側当接部333が位置する第1位置に付勢されている。この状態で、車両用シート1がスライドして前端付近に到達すると、ストッパ側当接部321よりも先に規制部材側当接部333が当接部21aと当接する。そして、ストッパ32を基準として見たとき、付勢力に抗して規制部材33を車両後方側に押し下げ、ストッパ32に対する規制部335の位置を、第1位置から移動させる。尚、車体側スライド機構部2側から見ると、規制部材33は移動しない。
【0014】
そして、ストッパ32のストッパ側当接部321が当接部21aと当接して車両用シート1のスライドが停止するときには、ストッパ32を基準として見たとき、規制部材33の規制部材側当接部333がストッパ32に対する規制部335の位置を第2位置に移動させる。
【0015】
シート側スライドレール31及びレールアタッチ30と車両用シート1との間には回転機構10が設置されている。回転機構10は、車両用シート1を2本の車体側スライドレール22を含む平面に対して略鉛直方向の回転軸に沿って回転可能な回転機構である。この回転機構11の回転軸は、2本の車体側スライドレール22の車幅方向内側かつ車幅方向の中心から車両外側に位置する車体側スライドレール22側にオフセットした位置に設けられ、車両用シート1が回転した際に、車両用シート1が車室外に送り出されるため、乗員が乗降しやすくしている。
【0016】
車両用シート1の下方には、邪魔板11が取り付けられている。邪魔板11は、規制部材33が第1位置のときは車両用シート1が回転機構10の回転軸に沿って回転すると規制部材33と当接して回転を規制する。一方、規制部材33が第2位置のときは、規制部材33と車両用シート1が回転機構10の回転軸に沿って回転しても規制部材33と当接することなく回転を許容する。
【0017】
規制部材33及び邪魔板11は、車両内側に位置する車体側スライドレール22側にオフセットした位置に設けられている。言い換えると、規制部材33及び邪魔板11が当接する位置は、回転軸から遠い位置に設定されている。よって、車両用シート1の乗員が回転軸に沿った動きを行い、車両用シート1の座面の端部から荷重が入力されたとしても、荷重の作用するポイントと規制するポイントとを近接配置できるため、回転機構10の回転軸付近に規制機構を設ける場合に比べて規制機構への入力荷重が小さくなり、インターロック装置の小型化が図れる。
【0018】
図4は、実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置の動きを示す模式図である。図4は、車両用シート1がスライド位置の前端まで到達していない場合である。このとき、邪魔板11は規制部材33の規制部335と干渉する位置にあるため、邪魔板11が車両用シート1の回転を阻害する。図中の(before)とは、回転動作を加える前を表し、(after)とは回転動作を加えても規制された状態を表す。
【0019】
図5は、実施形態1の車両用回転シートのインターロック装置の動きを示す模式図である。図5は、車両用シート1がスライド位置の前端まで到達した場合である。このとき、邪魔板11は規制部材33の規制部335と干渉しない位置にあるため、邪魔板11が車両用シート1の回転を阻害することがなく、自由に回転可能となる。図中の(before)とは、回転動作を加える前を表し、(after)とは、規制が解除され、回転動作を加えて回転した状態を表す。
【0020】
以上説明したように、実施形態1では、下記に列挙する作用効果が得られる。
(1)車体側に固定され車幅方向に離間して平行に設置された2本の車体側スライドレール22と、
車両用シート1側に固定され車体側スライドレール22上をスライドする2本のシート側スライドレール31と、
車体側に固定された当接部21a(第1及び第2当接部)と、
車両用シート1側に固定され、車両用シート1が車体側スライドレール22上を所定位置までスライドしたときに当接部21aに当接するストッパ32と、
車両用シート1側に弾性体を介して取り付けられ、車両用シート1が車体側スライドレール22上を所定位置までスライドする前に当接部21aに当接し、車両用シート1がスライドして当接部21aとストッパ32とが当接するまでの間に、車両用シート1の第1位置から第2位置まで移動する規制部材33と、
シート側スライドレール31と車両用シート1との間に設置され、1車両用シートを2本の車体側スライドレール22を含む平面に対して略鉛直方向の回転軸に沿って回転可能な回転機構10と、
車両用シート1側に取り付けられ、規制部材33が第1位置のときは車両用シート1が回転軸に沿って回転すると規制部材33と当接して回転を規制し、規制部材33が第2位置のときは規制部材33と車両用シート1が回転軸に沿って回転しても規制部材33と当接することなく回転を許容する邪魔板11と、
を備えた。
よって、車両用シート1のスライドに応じて作動する邪魔板11によってロック機構を作動させることが可能となり、回転機構10をロック操作するための複雑な機構が不要となり、回転機構10やインターロック機構の大型化を回避した車両用回転シートのインターロック装置を提供できる。
【0021】
(2)
回転機構10の回転軸は、2本の車体側スライドレール22の車幅方向内側かつ車幅方向の中心から車両外側に位置する車体側スライドレール側にオフセットした位置に設けられ、
規制部材33及び邪魔板11は、車両内側に位置する車体側スライドレール22側にオフセットした位置に設けられている。
よって、車両用シート1の乗員が回転軸に沿った動きを行い、車両用シート1の座面の端部から荷重が入力されたとしても、荷重の作用するポイントと規制するポイントとを近接配置できるため、回転機構10の回転軸付近に規制機構を設ける場合に比べて規制機構への入力荷重が小さくなり、インターロック装置の小型化が図れる。
【0022】
(3)当接部21a(第1当接部と第2当接部)は、車体側スライドレール22の前端に設けられた車体側スライドレール固定ブラケット21である。
よって、既存の部品を活用してストッパ機構を構成することが可能となり、部品点数を抑制できる。
【0023】
[他の実施形態]
以上、本発明を実施形態1に基づいて説明したが、本発明を逸脱しない範囲で他の実施形態に本発明を適用してもよい。例えば、実施形態1では、ストッパ32の上方に規制部材33を設けたが、異なる位置に設けてもよい。また、ストッパ32と規制部材33の当接部21aを共用したが、別々の当接部を設けてもよい。
実施形態1では、ストッパ32と規制部材33とを別体で構成したが、規制部材33の移動量は、長穴331の長さで規定され、ストッパとして機能させることも可能なため、ストッパ32と規制部材33とを一つの部品で構成してもよい。
また、実施形態1では、邪魔板11と車両用シート1とを別体で構成したが、車両用シート1と一体に構成してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 車両用シート
2 車体側スライド機構部
21 車体側スライドレール固定ブラケット
21a 当接部
22 車体側スライドレール
31 シート側スライドレール
32 ストッパ
33 規制部材
10 回転機構
11 邪魔板
333 規制部材側当接部
【要約】
【課題】 部品点数の増大を抑制しつつ、インターロック機構の大型化を回避可能な車両用回転シートのインターロック装置を提供する。
【解決手段】 本発明の車両用回転シートのインターロック装置では、2本の車体側スライドレールと、2本のシート側スライドレールと、車体側に固定された当接部と、車両用シート側に固定され、車両用シートが所定位置までスライドしたときに当接部に当接するストッパと、車両用シート側に弾性体を介して取り付けられ、所定位置までスライドする前に当接部に当接し、当接部とストッパとが当接するまでの間に、第1位置から第2位置まで移動する規制部材と、車両用シートを回転可能な回転機構と、規制部材が第1位置のときは規制部材と当接して回転を規制し、規制部材が第2位置のときは規制部材と当接することなく回転を許容する邪魔板と、を備えた
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5