(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】流量計を動作させるための方法、および、プロセス流体を受け取るように構成された流量計の計器エレクトロニクス
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
G01F1/84
(21)【出願番号】P 2020506996
(86)(22)【出願日】2017-08-08
(86)【国際出願番号】 US2017045943
(87)【国際公開番号】W WO2019032098
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワインスタイン, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ショーレンベルガー, フレデリック スコット
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特表平04-505506(JP,A)
【文献】特表2016-540976(JP,A)
【文献】特開2011-102716(JP,A)
【文献】特表2009-509163(JP,A)
【文献】特開2002-062167(JP,A)
【文献】特表2014-518391(JP,A)
【文献】特表2012-533084(JP,A)
【文献】特表2007-521465(JP,A)
【文献】特表2011-529669(JP,A)
【文献】実開平01-104522(JP,U)
【文献】米国特許第07219560(US,B1)
【文献】特表2010-521001(JP,A)
【文献】特表2014-515489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計を動作させるための方法であって、
前記流量計にプロセス流体を流すステップと、
前記プロセス流体の質量流量を測定するステップと、
前記流量計を流れる前記プロセス流体を合計するステップと、
第1の流量計パラメータを測定するステップと、
前記第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、前記測定された質量流量をゼロに設定するステップと、
前記第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止するステップと、を含み、
前記第1の流量計パラメータを測定するステップが、第1のピックオフセンサーの測定値の大きさと第2のピックオフセンサーの測定値の大きさとの間における非対称性の大きさを測定することを含む、方法。
【請求項2】
第2の流量計パラメータを測定するステップを含み、
前記第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、前記測定された質量流量をゼロに設定する前記ステップが、前記第1の流量計パラメータおよび前記第2の流量計パラメータが各々、それぞれの所定の閾値とそれぞれの所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定するステップを含み、
前記第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止する前記ステップが、前記第1の流量計パラメータおよび前記第2の流量計パラメータが各々、それぞれの所定の閾値とそれぞれの所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の流量計パラメータまたは前記第2の流量計パラメータが、前記第1のピックオフセンサーと前記第2のピックオフセンサーとの間の電圧差を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の流量計パラメータまたは前記第2の流量計パラメータが、前記第1のピックオフセンサーと前記第2のピックオフセンサーとの間で測定され計算された流管質量差を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の流量計パラメータまたは前記第2の流量計パラメータが、前記第1のピックオフセンサーと前記第2のピックオフセンサーとの間で測定され計算された管剛性差を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の流量計パラメータまたは前記第2の流量計パラメータが密度を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
プロセス流体を受け取るように構成された流量計(5)の計器エレクトロニクス(20)であって、前記流量計(5)の流量計アセンブリと通信し、振動応答を受信するように構成されたインターフェース(201)と、前記インターフェース(201)に結合された処理システム(203)と、を含み、
前記処理システム(203)が、偽合計ルーチン(217)を含み、
前記偽合計ルーチン(217)が、
前記流量計(5)内の前記プロセス流体の測定された質量流量(221)を決定し、
前記プロセス流体を合計するよう構成されており、かつ、
前記偽合計ルーチン(217)が、
第1の流量計パラメータを測定し、
前記第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量(221)をゼロに設定し、
前記第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止するように構成されており、かつ、
前記第1の流量計パラメータを測定することが、第1のピックオフセンサー(105)の測定値の大きさと第2のピックオフセンサー(105’)の測定値の大きさとの間における非対称性の大きさを測定することを含むことを特徴とする、計器エレクトロニクス(20)。
【請求項8】
前記偽合計ルーチン(217)が、
第2の流量計パラメータを測定するようにさらに構成され、
前記第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定することが、前記第1の流量計パラメータおよび前記第2の流量計パラメータが各々、それぞれの所定の閾値とそれぞれの所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定することを含み、
前記第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止することが、前記第1の流量計パラメータおよび前記第2の流量計パラメータが各々、それぞれの所定の閾値とそれぞれの所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定することを含む、請求項
7に記載の計器エレクトロニクス(20)。
【請求項9】
前記第1の流量計パラメータまたは前記第2の流量計パラメータが、前記第1のピックオフセンサー(105)と前記第2のピックオフセンサー(105’)との間の電圧差を含む、請求項
8に記載の計器エレクトロニクス(20)。
【請求項10】
前記第1の流量計パラメータまたは前記第2の流量計パラメータが、前記第1のピックオフセンサー(105)と前記第2のピックオフセンサー(105’)との間で測定され計算された流管質量差を含む、請求項
8に記載の計器エレクトロニクス(20)。
【請求項11】
前記第1の流量計パラメータまたは前記第2の流量計パラメータが、前記第1のピックオフセンサー(105)と前記第2のピックオフセンサー(105’)との間で測定され計算された管剛性差を含む、請求項
8に記載の計器エレクトロニクス(20)。
【請求項12】
前記第1の流量計パラメータまたは前記第2の流量計パラメータが密度を含む、請求項
8に記載の計器エレクトロニクス(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計装置および方法に関し、より具体的には、偽合計を低減および/または除去するための流量計装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ質量流量計や振動密度計などの振動導管センサーは、通常、流れる原料(material)を含む振動導管の動きを検出することで動作する。例えば、質量流量、密度など、導管内の原料に関連する特性は、導管に付随する動き変換器から受信した測定信号を処理することで決定できる。振動原料が充填されたシステムの振動モードは、一般に、収容導管とその中に収容された原料の結合質量、剛性および減衰特性の影響を受ける。
【0003】
通常のコリオリ質量流量計には、パイプラインまたは他の輸送システムにインラインにて接続され、システム内で例えば流体、スラリー、エマルジョンなどの原料を運ぶ1つ以上の導管(流管とも呼ばれる)が含まれる。各導管は、例えば単純曲げモード、ねじれモード、放射状モード、結合モードなどの一連の固有振動モードを有していると見なすことができる。通常のコリオリ質量流量測定用途では、原料が導管を流れるときに導管が1つ以上の振動モードで励起され、導管の動きが導管に沿って間隔を空けた点で測定される。励起は、通常、導管を周期的に摂動させるボイスコイル型アクチュエータなどの電気機械装置などのドライバにより提供される。質量流量は、変換器の位置での動き間の時間遅延または位相差を測定することで決定できる。2つ以上のこのような変換器(またはピックオフセンサー)は、通常、流導管の振動応答を測定するために使用され、通常、ドライバの上流および下流の位置に配置される。計装は、ピックオフセンサーから信号を受信し、信号を処理して質量流量測定値を導き出す。
【0004】
流量計を使用して、多種の流体流れに対して質量流量測定を実行できる。コリオリ流量計を使用できる可能性のある分野の1つには、オイルおよび/またはガスに限らず、例えば水と空気、および/または固体などの他の成分も含む多相流れを含むプロセスがある。もちろん、このような多相流れであっても、結果として生じる計量が、できる限り正確であることが非常に望ましい。コリオリ流量計は、単相流れに対して高精度を提供する。ただし、コリオリ流量計を使用して、通気された流体または混入ガスを含む流体を測定すると、計器の精度が著しく低下する可能性がある。これは、炭化水素流体に水が含まれる場合などのように、固体が混入した流れ及び混相流体の流れに同様に当てはまる。
【0005】
流量ゼロ時の偽合計は、コリオリ流量計に影響することが知られている別の問題である。これは、流量計を通って流体流れが停止するが、気泡または固体粒子が依然として流管内に残っている場合、または流管が部分的に満たされている場合(通常、バッチの開始時または終了時)に発生することがある。この状態では、実際に流体流れが停止しても、流量計は流れを記録し続けることがある。これは、気泡または粒子の分布が発生して十分な非対称質量またはセンサーアセンブリの減衰が発生し、デルタtが所定の低流量閾値を超えて上昇して実際には流量合計が発生しない場合に特に発生する。この偽流れが継続し、流れが再開するまで合計が行われるであろう。したがって、偽流量値が小さくても、バッチ間の時間が長いと、大きな合計が発生するであろう。
【0006】
記載のように、非対称質量または減衰により、所定の低流量閾値を超えるデルタtが発生すると、偽流れが発生する。これらの場合に合計を停止するためのいくつかの方法が既に存在する。例えば、低流量閾値を上げると助けになり得るが、多くの場合、偽流れが大きすぎて効果的ではない。さらに、低流量閾値を高くすると、実際の流れの合計を妨げる可能性がる。別の解決策は、密度が特定の範囲から外れると合計を停止する密度カットオフを実行することである。ただし、混入ガスが存在する場合、密度が常に期待通りに機能するとは限らない。駆動ゲインを使用して混入ガスを検出することもできるが、駆動ゲインは、偽合計が有害なレベルで発生している場合でも、少ししか増加しないことがある。これは、大きな偽流れを引き起こすのに少しの非対称減衰しか必要としないが、高い駆動ゲインを引き起こすには全体的な減衰の大きなレベルが必要だからである。
【0007】
偽流れを検出できるコリオリ流量計と追加の装置をペアにすることが提案されている。液体検出スイッチなどの装置は、コリオリ流量計への入力を提供して、合計器を無効にして制御する。液体検出器が空の状態を検出すると、装置は、ゼロ信号をコリオリ流量計に送信し、流量合計が停止する。ただし、この解決策には複雑なシステムと追加の装置が必要であり、これは、ほとんどの用途では望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、外部装置を使用せずに偽合計を検出および防止する振動流量計に対する当該技術分野の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書の実施形態は、偽合計を検出および防止するために使用される方法および装置を提供し、当該技術分野における進歩が達成される。いくつかの実施形態は、左右のピックオフ電圧および/または左右の計器検証結果を比較する。
【0010】
[概要]
一実施形態によれば、流量計を動作させるための方法が提供される。本方法は、流量計にプロセス流体を流すステップと、プロセス流体の質量流量を測定するステップとを含む。流量計を流れるプロセス流体が合計される。第1の流量計パラメータが測定され、第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量はゼロに設定される。第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計は停止される。
【0011】
一実施形態によれば、プロセス流体を受け取るように構成された流量計の計器エレクトロニクスが提供される。計器エレクトロニクスは、流量計の流量計アセンブリと通信し、振動応答を受信するように構成されたインターフェース、およびインターフェースに結合された処理システムを備える。計器エレクトロニクスは、流量計内のプロセス流体の測定された質量流量を決定し、プロセス流体を合計し、第1の流量計パラメータを測定し、第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定し、第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止するように構成された偽合計ルーチンを含む。
【0012】
[発明の態様]
一態様によれば、流量計を動作させるための方法は、プロセス流体を流量計に流すステップと、プロセス流体の質量流量を測定するステップと、流量計を流れるプロセス流体を合計するステップと、第1の流量計パラメータを測定するステップと、第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定するステップと、第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止するステップとを含む。
【0013】
好ましくは、本方法は、第2の流量計パラメータを測定するステップを含み、第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定するステップは、第1の流量計パラメータおよび第2の流量計パラメータが各々、それぞれの所定の閾値とそれぞれの所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定するステップを含む。第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止するステップは、第1の流量計パラメータおよび第2の流量計パラメータが各々、それぞれの所定の閾値とそれぞれの所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定するステップを含む。
【0014】
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは駆動電流を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータはデルタtを含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは、第1のピックオフセンサーと第2のピックオフセンサーとの間の電圧差を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは、第1のピックオフセンサーと第2のピックオフセンサーとの間で測定され計算された流管質量差を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは、第1のピックオフセンサーと第2のピックオフセンサーとの間で測定され計算された管剛性差を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは密度を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは駆動ゲインを含む。
【0015】
一態様によれば、流量計用の計器エレクトロニクスは、プロセス流体を受け取るように構成され、計器エレクトロニクスは、流量計の流量計アセンブリと通信し、振動応答を受信するように構成されたインターフェースと、流量計内のプロセス流体の測定された質量流量を決定し、プロセス流体を合計し、第1の流量計パラメータを測定し、第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定し、第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止するように構成された偽合計ルーチンを含む、インターフェースに結合された処理システムと、を含む。
【0016】
好ましくは、偽合計ルーチンは、第2の流量計パラメータを測定するようにさらに構成される。第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定することは、第1の流量計パラメータおよび第2の流量計パラメータが各々、それぞれの所定の閾値とそれぞれの所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定することを含む。第1の流量計パラメータが所定の閾値と所定値だけ異なる場合に、合計を停止することは、第1の流量計パラメータおよび第2の流量計パラメータが各々、それぞれの所定の閾値とそれぞれの所定値だけ異なる場合に、測定された質量流量をゼロに設定することを含む。
【0017】
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは駆動電流を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータはデルタtを含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは、第1のピックオフセンサーと第2のピックオフセンサーとの間の電圧差を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは、第1のピックオフセンサーと第2のピックオフセンサーとの間で測定され計算された流管質量差を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは、第1のピックオフセンサーと第2のピックオフセンサーとの間で測定され計算された管剛性差を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは密度を含む。
好ましくは、第1または第2の流量計パラメータは駆動ゲインを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】センサーアセンブリと計器エレクトロニクスとを含む流量計を示す図である。
【
図2】一実施形態による計器エレクトロニクスのブロック図である。
【
図3】注入空気の関数として流量計駆動電流を示すグラフである。
【
図4】注入空気の関数として流量計デルタtを示すグラフである。
【
図5】注入空気の関数として流量計のピックオフ電圧を示すグラフである。
【
図6】注入空気の関数として流量計で測定された流管質量を示すグラフである。
【
図7】注入空気の関数として流量計で測定された流管剛性を示すグラフである。
【
図8】一実施形態による偽合計軽減の方法を示すフローチャートである。
【
図9】代替の実施形態による偽合計軽減の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から9および以下の説明は、本発明の最良の形態を作成および使用する方法を当業者に教示するための具体例を示す。発明の原理を教示する目的で、いくつかの従来の態様は簡略化または省略されている。当業者は、本発明の範囲内に入るこれらの例からの変形を理解するであろう。当業者は、以下に説明する特徴を種々の方法で組み合わせて本発明の複数の変形を形成できることを理解するであろう。その結果、本発明は、以下に説明された具体例に限定されず、特許請求の範囲およびそれらの均等物によりのみ限定される。
【0020】
図1は、一実施形態による流量計5を示す。流量計5は、センサーアセンブリ10および計器エレクトロニクス20を備える。計器エレクトロニクス20は、リード線100を介してセンサーアセンブリ10に接続され、密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度の1つ以上の測定値あるいは他の測定値または情報を通信経路26によって提供するように構成される。流量計5は、コリオリ質量流量計または他の振動流量計を含むことができる。流量計5は、ドライバ、ピックオフセンサー、流導管または振動の動作モードの数にかかわらず、任意の方法の流量計5を含むことができることは当業者には明らかとなるはずである。
【0021】
センサーアセンブリ10は、一対のフランジ101および101’、マニホールド102および102’、ドライバ104、ピックオフセンサー105および105’ならびに流導管103Aおよび103Bを含む。ドライバ104ならびにピックオフセンサー105および105’は、流導管103Aおよび103Bに接続される。
【0022】
フランジ101および101’は、マニホールド102および102’に固定される。いくつかの実施形態では、マニホールド102および102’は、スペーサ106の両端に固定できる。スペーサ106は、マニホールド102と102’との間の間隔を維持する。センサーアセンブリ10が測定中のプロセス流体を運ぶパイプライン(図示せず)に挿入されると、プロセス流体はフランジ101を通ってセンサーアセンブリ10に入り、入口マニホールド102を通過する。入口マニホールド102では、プロセス流体の全量が、流導管103Aおよび103Bに入るように導かれ、流導管103Aおよび103Bを通って流れ、出口マニホールド102’内に戻り、そこでフランジ101’を通ってセンサーアセンブリ10を出る。
【0023】
プロセス流体は液体を含むことができる。プロセス流体はガスを含むことができる。プロセス流体は、例えば、限定なく、混入ガスおよび/または混入固体を含む液体などの多相流体を含むことができる。流導管103Aおよび103Bは、それぞれ曲げ軸W-WおよびW’-W’の周りに実質的に同じ質量分布、慣性モーメントおよび弾性率を有するように選択され、入口マニホールド102および出口マニホールド102’に適切に取り付けられる。流導管103Aおよび103Bは、マニホールド102および102’から外向きに本質的に平行に延びている。
【0024】
流導管103Aおよび103Bは、流量計5の第1の位相外れ曲げモードと呼ばれる所で、それぞれ曲げ軸WおよびW’の周りに反対方向にドライバ104により駆動される。ドライバ104は、流導管103Aに取り付けられた磁石および流導管103Bに取り付けられた対向コイルなどの多くの周知の構成のうちの1つを含むことができる。対向コイルに交流を流して、両方の導管を振動させる。適切な駆動信号は、計器エレクトロニクス20により、リード線110を介してドライバ104に印加される。他のドライバ装置が考えられ、本説明および特許請求の範囲内にある。
【0025】
計器エレクトロニクス20は、それぞれリード線111および111’でセンサー信号を受信する。計器エレクトロニクス20は、リード線110上に駆動信号を生成し、リード線110は、ドライバ104に流導管103Aおよび103Bを振動させる。他のセンサー装置が考えられ、本説明および特許請求の範囲内にある。
【0026】
計器エレクトロニクス20は、とりわけ流量を計算するために、ピックオフセンサー105および105’からの左右の速度信号を処理する。通信経路26は、計器エレクトロニクス20がオペレータまたは他の電子システムとインターフェースで接続することを可能にする入力手段および出力手段を提供する。
図1の説明は、単に流量計の動作の一例として提供されており、本発明の教示を限定することを意図するものではない。実施形態では、1つ以上のドライバおよびピックオフを有する単管流量計および多管流量計が考えられる。
【0027】
一実施形態の計器エレクトロニクス20は、流導管103Aおよび103Bを振動させるように構成される。振動は、ドライバ104により実行される。計器エレクトロニクス20は、さらに結果として生じる振動信号をピックオフセンサー105および105’から受信する。振動信号は、流導管103Aおよび103Bの振動応答を含む。計器エレクトロニクス20は、振動応答を処理し、応答周波数および/または位相差を決定する。計器エレクトロニクス20は、振動応答を処理し、プロセス流体の質量流量および/または密度を含む1つ以上の流量測定値を決定する。他の振動応答特性および/または流量測定値が考えられ、本説明および特許請求の範囲内にある。
【0028】
一実施形態では、流導管103Aおよび103Bは、図のように、実質的にオメガ形(Ω形)の流導管を含む。あるいは、他の実施形態では、流量計は、実質的に真っ直ぐな流導管、U字形の導管、デルタ形の導管などを含むことができる。追加の流量計の形状および/または構成が使用でき、本説明および特許請求の範囲内である。
【0029】
図2は、一実施形態による流量計5の計器エレクトロニクス20のブロック図である。動作中、流量計5は、質量流量、体積流量、個々の流れ成分の質量流量および体積流量ならびに例えば体積流量も質量流量も含む全流量の測定値または平均値の1つ以上を含む出力できる種々の測定値を提供する。
【0030】
流量計5は振動応答を生成する。振動応答は、計器エレクトロニクス20により受信および処理されて、1つ以上の流体測定値を生成する。値は、監視、記録、保存、合計および/または出力できる。
【0031】
計器エレクトロニクス20は、インターフェース201、インターフェース201と通信する処理システム203、および処理システム203と通信する記憶システム204を含む。これらの構成要素は別個のブロックとして示されているが、計器エレクトロニクス20は、統合され、および/または別個の構成要素の種々の組合せで構成され得ることを理解されたい。
【0032】
インターフェース201は、流量計5のセンサーアセンブリ10と通信するように構成される。インターフェース201は、リード線100(
図1参照)に結合し、例えばドライバ104、ピックオフセンサー105および105’ならびに温度センサー(図示せず)と信号を交換するように構成されてもよい。インターフェース201は、外部装置などと通信経路26によって通信するようにさらに構成されてもよい。
【0033】
処理システム203は、任意の方法の処理システムを含むことができる。処理システム203は、流量計5を動作させるために、記憶されたルーチンを取り出して実行するように構成される。記憶システム204は、流量計ルーチン205、質量加重密度/粘度ルーチン209、質量加重温度ルーチン211、ガス混入検出ルーチン213、測定信頼ルーチン215および偽合計ルーチン217などのルーチンを記憶できる。測定信頼ルーチン215および/または偽合計ルーチン217は、左右のピックオフセンサー105、105’間の例えば駆動ゲイン306、振動周波数、振動振幅、電力、温度224などの任意の信号を比較できる。他の測定/処理ルーチンが考えられ、本説明および特許請求の範囲内にある。記憶システム204は、測定値、受信値、作業値および他の情報を記憶できる。いくつかの実施形態では、記憶システムは、質量流量(m)221、密度(ρ)225、粘度(μ)223、温度(T)224、駆動ゲイン306、駆動ゲイン閾値303、ガス混入閾値244、ガス混入率248および当該技術分野で知られている他の変数を記憶する。
【0034】
流量計ルーチン205は、流体定量および流量測定値を生成および記憶できる。これらの値は、実質的に瞬間的な測定値を含むか、合計値または累積値を含むことができる。例えば、流量計ルーチン205は、質量流量測定値を生成し、それらを例えば記憶システム204の質量流量221記憶装置に記憶できる。流量計ルーチン205は、例えば密度225の測定値を生成し、それらを密度225記憶装置に記憶できる。質量流量221および密度225の値は、前記のように、また当該技術分野で知られているように、振動応答から決定される。質量流量および他の測定値は、実質的に瞬間的な値を含むことができ、サンプルを含むことができ、時間間隔にわたる平均値を含むことができ、または時間間隔にわたる累積値を含むことができる。時間間隔は、特定の流体状態、例えば液体のみの流体状態、あるいは液体および混入気体を含む流体状態が検出される時間のブロックに対応するように選択できる。さらに、他の質量流量および関連する定量が考えられ、本説明および特許請求の範囲内にある。
【0035】
記載のように、駆動ゲインは、流れなし/偽合計状態を示す信号として利用できる。駆動ゲインの閾値を使用して、流れの期間と流れなしの期間とを区別できる。本明細書で提供される実施形態の目的のために、駆動ゲインという用語は、いくつかの実施形態では、駆動電流、ピックオフ電圧または流導管103A、103Bを特定の振幅で駆動するのに必要な電力量を示す測定または導出された任意の信号を指し得ることに留意されたい。関連する実施形態では、ノイズレベル、信号の標準偏差、減衰関連測定値、および流れがない状態を検出するための当該技術分野で知られているあらゆる他の手段など、多相流れを検出するために利用されるあらゆる計量(metric)を含むように駆動ゲインという用語を拡張できる。これらの計量のいずれかをピックオフセンサー105および105’にわたって比較して、流れがない状態を検出できる。
【0036】
一般に、偽合計の原因は非対称性であり、したがって、本明細書で提供される実施形態は、非対称性の大きさを報告して偽流れ状態を検出する診断アプローチを利用する。一実施形態では、診断は、ピックオフセンサー105と105’との間の電圧の差に関係し、これは基本的にセンサーアセンブリ10の入口と出口との間の振動の相対振幅の測定である。
【0037】
センサーアセンブリ10の入口側と出口側で測定できるピックオフ電圧のように、計器検証は、センサーアセンブリ10の入口側と出口側で剛性および/または質量の測定値を提供する。非対称の流導管のコーティングの肉盛などの非対称性は、左右の計器検証測定で検出できることが示されており、この原理に基づいて、剛性と質量の相対測定を利用して偽流れを検出できる。
【0038】
図3から7を参照すると、グラフ300、400、500、600および700は、偽流量合計を特徴付けるために実施された実験を示す。提供された値は、テスト中の特定の流量計の単なる例であり、サイズ、構成、形状、テスト流体などに基づいて異なる流量計が異なる値を提供する可能性が高いことに留意されたい。流量計5を垂直に取り付け、気泡が存在しないように水で完全に満たした。既知の量の空気が、1つのピックオフセンサー105の近くに注入されたが、他のピックオフセンサー105’の近くには注入されなかった。流量計5の形状および取り付け方向により、注入されたガスは、ピックオフセンサー105の近くに存在し、したがって、通常、非常に再現不可能な問題を研究するための再現可能な実験セットアップを作成した。
【0039】
可能性のある非対称性を研究するために、増加する量のガス注入量302(x軸)で測定が行われた。
図3では、駆動電流がグラフ300の304(y軸)で測定され、デルタt404が
図4のグラフ400で測定された。予想通り、駆動電流304もデルタt404も、空気注入により引き起こされる減衰の増加とともに増加する。注入された約6立方センチメートルの空気では、気泡の空隙が流導管全体の断面を占めているため、減衰のさらなる増加はなく、さらなる分離はないという結果になる。大きな流量計または異なる気泡分布シナリオでは、気泡の分離が空隙率とともに増加し続けるため、駆動電流とデルタtは増加し続けるであろう。
【0040】
駆動電流304は、4mAから13mAまでわずかにしか増加しないことに留意されたい。これは、粘度や温度などの変化により引き起こされる可能性がある、わずかな増加である。ガスの正常な検出は、例えば、ちょうど75mAまでなど、駆動電流が大幅に増加すると見られる。駆動電流はほとんど増加しないが、デルタt404は大幅に増加する。
【0041】
テスト中の流量計の低流量閾値406は、デルタtに関して、
図4のグラフに示されている。この低流量閾値406は0.5ポンド/分の流量に相当する。参考として、1.6×10
-6秒は10ポンド/分の流量に相当する。偽合計を検出する方法として駆動ゲインまたは駆動電流を使用することが可能であることは明らかである。しかし、それだけでは特に正確ではない可能性がある。流れは対称性に非常に敏感であるが、駆動ゲインはこのような感度を示さないため、非対称減衰がほとんどないことが、大きな偽流れを生じさせるからである。
【0042】
図5は、ピックオフセンサー105とピックオフセンサー105’との間でピックオフ電圧504(左のy軸)を比較するグラフ500を示す。空気を注入しなくても、約0.005mV(1.5%)の電圧オフセットがあることが明かであろう。これは予想されることであり、製造中の磁石の強さやコイルの巻線数のわずかな違いによるものである。このシフトは、非対称性と偽流れを検出する目的で、校正中または流量計を現場に設置した後に基準化することができる。さらに、電圧は互いに追跡している(track))ように見える。一方が上昇すると、もう一方も上昇する。温度や他の状態のわずかな変化が、周波数、磁石の強度、およびピックオフセンサー105とピックオフセンサー105’に等しく影響する他のパラメータの変化につながるため、これは予想される。
【0043】
空気が注入されると、ピックオフセンサー105とピックオフセンサー105’との間の広がりが大きくなる。トレース506は、ピックオフセンサー105とピックオフセンサー105’との間の計算されたパーセンテージ差508(右のy軸)を表す。ピックオフセンサー105からピックオフセンサー105’へのピックオフ電圧の3%シフト(1.5%から4.5%)が観察される。これはノイズを介して簡単に測定可能であり、明らかに非対称性と偽合計を予測できる診断である。一実施形態では、センサーアセンブリ10は、ピックオフ電圧ではなく一定の電圧/周波数に駆動され得るため、ピックオフ電圧だけでなくmV/Hzの比が利用される。このmV/Hz値は、ピックオフ電圧を測定された駆動周波数で割ることにより求められる。これには、時間とともに予想される温度および密度による周波数変動を基準化することができるという利点がある。図示のテスト中に温度と密度は変化しないため、mV/Hzの結果は図示のピックオフ結果と同じである。
【0044】
計器検証診断(流管質量および流管剛性測定値を含む)も、偽合計の検出および防止に使用することが考えられる。ピックオフ電圧のように、計器検証診断には、ピックオフセンサー105とピックオフセンサー105’との間で独立した測定値を提供するという利点があり、したがって、非対称性の検出が可能である。
【0045】
図6で示すように、流管105、105’の質量測定値604(左のy軸)を示すグラフ600は、流量計5の非対称性を明らかに示す。トレース606は、質量シフトのパーセント(右のy軸)を示す。剛性測定値704(y軸)は、
図7のグラフ700で示すように、同様に挙動する。トレース706は、剛性シフトのパーセントを示す(右のy軸)。ピックオフセンサー105とピックオフセンサー105’との間で管質量も管剛性も顕著なシフトが明らかであり、したがって、偽合計を検出するためのさらに別の適切な手段である。
【0046】
したがって、偽合計の検出可能性は、入口ピックオフ105と出口ピックオフ105’との間のピックオフ電圧差を使用するか、または入口ピックオフ105から出口ピックオフ105’までの計算された質量差および/または剛性差により実現される。これらの診断は、簡単に測定され、駆動ゲインよりも非対称性に敏感である。これは、混入ガス検出のための通常の先行技術のアプローチである。
【0047】
図8を参照すると、一実施形態によれば、偽合計を識別するための方法が提供される。ステップ800では、入口ピックオフ105と出口ピックオフ105’との間の電圧差が決定される。ステップ802では、この差が所定の閾値と比較される。入口ピックオフ105と出口ピックオフ105’との間の差が所定の閾値未満の場合、ステップ800を繰り返してもよい。ただし、入口ピックオフ105と出口ピックオフ105’との差が所定の閾値よりも大きいと、ステップ804に示すように、測定された質量流量をゼロに設定し合計を停止する必要がある。一実施形態では、その後、ステップ800を繰り返す必要がある。閾値は、計器ごとに異なり、さらに用途ごとに異なる場合があることに留意されたい。
【0048】
上記のように、一実施形態では、上記のピックオフ測定値の代わりに、またはそれに加えて、計器検証診断(質量または剛性)を使用してもよい。一実施形態では、非対称性の原因が解析される。混入ガスは駆動ゲインの増加と密度の低下につながるため、これらのパラメータの組合せを使用して、導管コーティングベースの非対称性と比較して、より具体的に偽合計を識別できる。
【0049】
図9を参照すると、一実施形態によれば、偽合計を識別するための別の方法が提供される。ステップ900では、入口ピックオフ105と出口ピックオフ105’との間の電圧差が決定される。ステップ902では、この差が所定の閾値と比較される。入口ピックオフ105と出口ピックオフ105’との差が所定の閾値未満の場合、ステップ900を繰り返してもよい。ただし、入口ピックオフ105と出口ピックオフ105’との差が所定の閾値よりも大きいと、ステップ904のように、プロセス流体密度が所定の閾値未満かどうかを判断する必要がある。プロセス流体密度が所定の閾値未満であると、ステップ906のように、駆動ゲインが所定の閾値よりも大きいかどうかを判断する必要がある。駆動ゲインが所定の閾値よりも大きいと、ステップ908に示すように、測定された質量流量をゼロに設定し合計を停止する必要がある。
【0050】
これらの実施形態では、駆動ゲインがその公称値を超えて増加したが、密度がその公称値から減少した状況を検出できる。これは、流管の非対称性が検出されない期間に見られる場合がある。これらの条件が満たされ、ピックオフまたは計器検証の非対称性が検出された場合のみ、合計器の停止が開始される。偽合計は非常に一般的であるが、コーティングと腐食は比較的まれであるため、一実施形態では、非対称はコーティングまたは腐食でなく偽合計に由来すると仮定するのが適切である。
【0051】
一実施形態では、ステップ904を省略できることに留意されたい。一実施形態では、ステップ906を省略できることに留意されたい。一実施形態では、ステップ904および906を省略し、管質量比較に置き換えることができることに留意されたい。一実施形態では、ステップ904および906を省略し、管剛性比較に置き換えることができることに留意されたい。一実施形態では、ステップ902では、電圧のみでなくピックオフ振幅値(例えば、mV/Hz)を使用できることに留意されたい。一実施形態では、ステップ802および902は、デルタtを所定のデルタt値と比較するステップに追加することができることに留意されたい。一実施形態では、ステップ802および902は、デルタtを所定のデルタt値と比較するステップの代わりになることができることに留意されたい。これらのステップのうち、任意の組合せが考えられる。一実施形態では、ステップ908に示すように、測定された質量流量がゼロに設定され、合計が停止されると、その後ステップ800が繰り返される。
【0052】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明の範囲内にあると発明者により考えられたすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際に、当業者は、上記の実施形態の特定の要素を種々組み合わせて、または排除して、さらなる実施形態を作成でき、このようなさらなる実施形態は、本発明の範囲および教示内に入ることを認識するであろう。上記の実施形態を全体的または部分的に組み合わせて、本発明の範囲および教示内で追加の実施形態を作成できることも当業者には明らかであろう。
【0053】
したがって、本発明の特定の実施形態および実施例は、例示目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で種々の同等の修正が可能である。本明細書で提供される教示は、上で説明され、添付の図面に示されたもの以外の実施形態に適用され得る。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定される。