(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】空気調和機を制御するための方法、装置、及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/86 20180101AFI20220217BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20220217BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20220217BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20220217BHJP
【FI】
F24F11/86
F24F11/74
F24F110:10
F24F110:20
(21)【出願番号】P 2020512047
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(86)【国際出願番号】 CN2017109297
(87)【国際公開番号】W WO2019041540
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】201710787690.3
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710787684.8
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598080853
【氏名又は名称】海尓集団公司
(73)【特許権者】
【識別番号】517372472
【氏名又は名称】青島海尓空調器有限総公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER AIR CONDITIONER GENERAL CORP.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park,No.1 Haier Road,Laoshan District Qingdao,Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王 飛
(72)【発明者】
【氏名】付 裕
(72)【発明者】
【氏名】張 立智
(72)【発明者】
【氏名】許 文明
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-083119(JP,A)
【文献】特開2006-329471(JP,A)
【文献】特開2014-153008(JP,A)
【文献】特開2015-001310(JP,A)
【文献】特開2015-078796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0153037(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106610089(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24F 110/10
F24F 110/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機を制御するための方法であって、
空気調和機冷房モードにおいて、室内温度tおよび室内湿度RHを収集するステップと、
前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、室内パイプコイルの温度Tpn
に基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整するステップと、を
1回のプロセスで行い、
前記室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御することは、室内パイプコイルの温度Tpnを得て、前記室内パイプコイルの温度Tpnと室内パイプコイルの目標温度Tpmとの間の温度差PT、および、前記室内パイプコイルの温度Tpnと前回のプロセスで得た室内パイプコイルの温度Tpn1との室内パイプコイルの温度変化DTに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出して調整する
ことを特徴とする空気調和機を制御するための方法。
【請求項2】
空気調和機を制御するための方法であって、
空気調和機冷房モードにおいて、室内温度tおよび室内湿度RHを収集するステップと、
前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、
前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整するステップと、を
1回のプロセスで行い、
前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御することは、前記室内湿度RHと目標湿度RH_Targetとの間の湿度差ΔRH、および、前記室内湿度RHと前回のプロセスで収集した室内湿度RH1との室内湿度の変化ΔRH’に基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出して調整する
ことを特徴とする空気調和機を制御するための方法。
【請求項3】
空気調和機を制御するための方法であって、
空気調和機冷房モードにおいて、室内温度tおよび室内湿度RHを収集するステップと、
前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、室内パイプコイルの温度Tpn
に基づいて圧縮機の作業周波数Fを算出し、および、前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを
算出し、
前記算出した圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整するステップと、を
1回のプロセスで行い、
前記室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて圧縮機の作業周波数Fを算出することは、室内パイプコイルの温度Tpnを得て、前記室内パイプコイルの温度Tpnと室内パイプコイルの目標温度Tpmとの間の温度差PT、および、前記室内パイプコイルの温度Tpnと前回のプロセスで得た室内パイプコイルの温度Tpn1との室内パイプコイルの温度変化DTに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出し、
前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを算出することは、前記室内湿度RHと目標湿度RH_Targetとの間の湿度差ΔRH、および、前記室内湿度RHと前回のプロセスで収集した室内湿度RH1との室内湿度の変化ΔRH’に基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出する
ことを特徴とする空気調和機を制御するための方法。
【請求項4】
前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たし、ここで、前記第2の設定温度差ΔT2は0よりも大きい
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機を制御するための方法。
【請求項5】
前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項4記載の空気調和機を制御するための方法。
【請求項6】
前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項5に記載の空気調和機を制御するための方法。
【請求項7】
前記温度差Δtが第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数F及び/又は前記室内ファンの回転速度Rを増加させることで、室内温度を下げるステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項5または6に記載の空気調和機を制御するための方法。
【請求項8】
室内温度tを収集するための第1の温度センサと、室内湿度RHを収集するための湿度センサと、マイクロコントローラユニットMCUと、を備える空気調和機を制御するための装置であって、
前記MCUは、
1回のプロセスで、冷房モードにおいて、前記第1の温度センサによって収集された室内温度tおよび前記湿度センサによって収集された室内湿度RHに基づいて、条件を満たすか否かを判断するための判断ユニットと、
1回のプロセスで、判断ユニットによって条件を満たすとして判断されると、室内パイプコイルの温度Tpn
に基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整するための調節ユニットと、を備え
、
前記MCUは、
室内パイプコイルの温度Tpnを得て、前記室内パイプコイルの温度Tpnと室内パイプコイルの目標温度Tpmとの間の温度差PT、および、前記室内パイプコイルの温度Tpnと前回のプロセスで得た室内パイプコイルの温度Tpn1との室内パイプコイルの温度変化DTに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出するための第1の算出ユニットをさらに備え、
前記調節ユニットは、前記第1の算出ユニットの算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数Fを調節する
ことを特徴とする空気調和機を制御するための装置。
【請求項9】
室内温度tを収集するための第1の温度センサと、室内湿度RHを収集するための湿度センサと、マイクロコントローラユニットMCUと、を備える空気調和機を制御するための装置であって、
前記MCUは、
1回のプロセスで、冷房モードにおいて、前記第1の温度センサによって収集された室内温度tおよび前記湿度センサによって収集された室内湿度RHに基づいて、条件を満たすか否かを判断するための判断ユニットと、
1回のプロセスで、判断ユニットによって条件を満たすとして判断されると、
前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整するための調節ユニットと、を備え
、
前記MCUは、
室内湿度RHと目標湿度RH_Targetとの間の湿度差ΔRH、および、前記室内湿度RHと前回のプロセスで収集した室内湿度RH1との室内湿度の変化ΔRH’に基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出するための第2の算出ユニットをさらに備え、
前記調節ユニットは、前記第2の算出ユニットの算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数Fを調節する
ことを特徴とする空気調和機を制御するための装置。
【請求項10】
室内温度tを収集するための第1の温度センサと、室内湿度RHを収集するための湿度センサと、マイクロコントローラユニットMCUと、を備える空気調和機を制御するための装置であって、
前記MCUは、
1回のプロセスで、冷房モードにおいて、前記第1の温度センサによって収集された室内温度tおよび前記湿度センサによって収集された室内湿度RHに基づいて、条件を満たすか否かを判断するための判断ユニットと、
1回のプロセスで、判断ユニットによって条件を満たすとして判断されると、室内パイプコイルの温度Tpn
に基づいて圧縮機の作業周波数Fを算出し、および、前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを
算出し、
前記算出した圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整するための調節ユニットと、を備え
、
前記MCUは、
室内パイプコイルの温度Tpnを得て、前記室内パイプコイルの温度Tpnと室内パイプコイルの目標温度Tpmとの間の温度差PT、および、前記室内パイプコイルの温度Tpnと前回のプロセスで得た室内パイプコイルの温度Tpn1との室内パイプコイルの温度変化DTに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出するための第1の算出ユニットと、
室内湿度RHと目標湿度RH_Targetとの間の湿度差ΔRH、および、前記室内湿度RHと前回のプロセスで収集した室内湿度RH1との室内湿度の変化ΔRH’に基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出するための第2の算出ユニットをさらに備え、
前記調節ユニットは、前記第1の算出ユニットと前記第2の算出ユニットの算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数Fを調節する
ことを特徴とする空気調和機を制御するための装置。
【請求項11】
前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たし、ここで、前記第2の設定温度差ΔT2は0よりも大きい
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の空気調和機を制御するための装置。
【請求項12】
前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持する
ことを特徴とする請求項11に記載の空気調和機を制御するための装置。
【請求項13】
前記調節ユニットは、さらに、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整する
ことを特徴とする請求項12に記載の空気調和機を制御するための装置。
【請求項14】
前記調節ユニットは、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数F及び/又は前記室内ファンの回転速度Rを増加させることで、室内温度を下げる
ことを特徴とする請求項12または13に記載の空気調和機を制御するための装置。
【請求項15】
圧縮機と室内ファンとを備える空気調和機であって、
請求項8乃至14のいずれかに記載の空気調和機を制御するための装置をさらに備える
ことを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号がCN201710787690.3であって、出願日が2017年09月04日である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての内容を援用して参考とする。
【0002】
本願は、出願番号がCN201710787684.8であって、出願日が2017年09月04日である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての内容を援用して参考とする。
本発明は、空気調和機の技術分野に関し、特に、空気調和機を制御するための方法、装置、及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0003】
空気調和機の冷房能力は、顕熱と潜熱に分けられ、顕熱は主に室内温度に影響し、潜熱は主に室内湿度に影響するため、顕熱と潜熱はいずれも人間の快適性に影響する。室内の温度と湿度をどのように制御してユーザにより良い体験を与えるかは、現在、大きな注目を集めている。
【0004】
従来の技術は、空気調和機用の時分割温湿制御方法を公開し、当該方法は、室内湿度が空気調和機の設定湿度よりも高いか否かを判断するステップと、空気調和機の設定湿度よりも高いと、空気調和機が除湿を行うように駆動するステップと、空気調和機の設定湿度以下であると、空気調和機が冷房を行うように駆動するステップと、を含み、空気調和機の設定湿度よりも高いと、空気調和機が除湿を実行するように駆動するステップは、具体的に、空気調和機の設定湿度よりも高いと、室内温度が空気調和機の設定温度よりも高いか否かを判断するステップと、空気調和機の設定温度以下であると、空気調和機が除湿のみを行うように駆動するステップと、空気調和機の設定温度よりも高いと、室内温度が空気調和機の設定温度よりt1(1.5≦t1≦3)度高いか否かを判断するステップと、t1度高いと、空気調和機の圧縮機の周波数を増加するステップと、t1度高くないと、まず空気調和機のファンの回転速度を低下させた後に、空気調和機の圧縮機の周波数を増加するステップと、を含む。当該従来の技術は、時分割温湿制御方法によって室内の温度と湿度を維持できることを開示したが、当該方法は、空気調和機の設定温度よりも高いと、空気調和機の圧縮機の周波数を増加し、高くないと、まず、空気調和機のファンの回転速度を低下させた後に、空気調和機の圧縮機の周波数を増加することのみを開示した。当業者は、当該従来の技術の開示に従って、より具体的かつ詳細な圧縮機の周波数を調整するための解決策とファンの回転速度を調整するための解決策とを考えることができない。
【0005】
従来の技術は、温度と湿度を制御するためのもう一つの方法を開示し、当該方法は以下の内容を開示した。Bにおいて、空気調和機の冷房モードにおいての動作時間を算出し、動作時間が所定の閾値に達すると、以下の条件によって現在圧縮機の作業周波数に対して周波数制限を行う必要があるか否か、室内ファンの回転速度に対して調整を行う必要があるか否かを、判断する。b1において、現在の室内温度と所定の温度との差分値≧2℃であると、圧縮機の作業周波数に対して周波数制限を行わないし、室内ファンの現在の回転速度を調整しないし、b2において、1℃≦現在の室内温度と所定の温度との差分値<2℃であると、圧縮機の作業周波数に対して周波数制限を行わないが、室内ファンの回転速度を現在の室内ファンの回転速度よりも一つ低いレベルまで低下させ、且つ、最低は低レベル動作であり、b3において、現在の室内温度と所定の温度との差分値<1℃であり、且つ、現在の室内相対的湿度≧70%であると、圧縮機の作業周波数に対して周波数制限を行わないが、室内ファンの回転速度を現在の室内ファンの回転速度よりも最大で二つ低いレベルまで低下させ、且つ、最低は低速レベル動作であり、b4において、現在の室内温度と所定の温度との差分値<1℃であり、且つ、現在の室内の相対的湿度<70%であると、圧縮機の作業周波数に対して周波数制限を行うと同時に、室内ファンの回転速度を現在の室内ファンの回転速度よりも最大で二つ低いレベルまで低下させ、且つ、最低は低速レベル動作である。当該従来の技術は、相対的に具体的な圧縮機周波数調整の解決策とファン回転速度調整の解決策とを開示したが、すなわち、特定の条件において作業周波数に対して周波数制限を行うか、または、風速のレベルを調節する解決策を開示したが、周波数制限は圧縮機の作業周波数を固定値に限定し、且つ、風速も簡単に四つのレベルのみに分けられている。したがって、当該解決策の圧縮機の作業周波数および風速に対する調整過程は洗練されていないことが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施例は、空気調和機を制御するための方法、装置、及び空気調和機を提供し、より洗練された空気調和機の圧縮機の周波数および空気調和機のファンの回転速度の制御方法を提供することによって、温度および湿度の両方に対する制御効果を向上させて、ユーザーエクスペリエンスを向上させる。開示する実施例のいくつかの態様に対する基本的な理解のために、簡単な概要を以下に示す。当該概要の部分は、簡単な評述でもなく、鍵となる構成要素/重要な構成要素を特定しようとするものでもなく、これら実施例の保護範囲を説明するものでもない。その唯一の目的は、後述するより詳細な説明の前置きとして、簡略化された形式でいくつかの概念を提示することである。
【0007】
本発明の実施例の第1の態様によると、空気調和機を制御するための方法を提供し、当該方法は、
空気調和機冷房モードにおいて、室内温度tおよび室内湿度RHを収集するステップと、
前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、室内パイプコイルの温度Tpnまたは前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整するステップと、を含む。
【0008】
オプションとして、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御するステップは、室内パイプコイルの温度Tpnと室内パイプコイルの目標温度Tpmとの間の温度差PT、および、室内パイプコイルの温度変化DTに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出して調整するステップを含む。
【0009】
オプションとして、F=T_Kp×PT+T_Ki×DTであり、ここで、PT=Tpn-Tpmであり、DT=Tpn-Tpn1であり、Tpn1は前回収集した室内パイプコイルの温度であり、T_Kp、T_Kiはそれぞれ重み係数である。
【0010】
オプションとして、T_Kiの選択は、システム構成および外部環境温度に関連しており、T_Kpの選択は、システム構成および外部環境温度に関連している。T_Kiの値範囲は1~10であり、T_Kpの値範囲は1~8である。好ましくは、T_Ki=3、4、5、6、または、7であり、T_Kp=3、4、5、6、または、7である。
【0011】
オプションとして、室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御するステップは、室内湿度RHと目標湿度RH_Targetとの間の湿度差ΔRH、および、室内湿度の変化ΔRH’に基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出して調整するステップを含む。
【0012】
オプションとして、目標湿度RH_Targetの好ましい値は、52%である。
【0013】
オプションとして、F=RH_Ki×ΔRH’+RH_Kp×ΔRHであり、ここで、ΔRH=RH-RH_Targetであり、ΔRH’=RH~RH1であり、RH1は前回収集した室内湿度であり、RH_Ki、RH_Kpはそれぞれ設定された重み係数である。
【0014】
オプションとして、RH_Kiの選択は、システム構成および外部環境温度に関連しており、RH_Kpの選択は、システム構成および外部環境温度に関連している。RH_Kiの値範囲は1~10であり、RH_Kpの値範囲は1~8である。好ましくは、RH_Ki=2、3、4、5、6または7であり、RH_Kp=2、3、4、5、6、または、7である。
【0015】
オプションとして、算出した作業周波数Fが設定された上限値よりも大きい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記上限値として設定し、算出された作業周波数Fが設定された下限値よりも小さい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記下限値として設定する。それで、空気調和機の動作効率を確保し、空気調和機の圧縮機の使用寿命を延長させる。
【0016】
オプションとして、圧縮機の作業周波数Fに基づいて、室内ファンの回転速度Rを調整するステップは、圧縮機の周波数が高いほど、室内ファンの回転速度Rを高くするステップを含む。
【0017】
オプションとして、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。ここで、前記第2の設定温度差ΔT2は0よりも大きい。
【0018】
オプションとして、前記目標湿度範囲(RH1、RH2)は、前記設定温度Tと関連する。
【0019】
オプションとして、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持するステップをさらに含む。
【0020】
オプションとして、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整するステップをさらに含む。
【0021】
オプションとして、設定周波数f1は、圧縮機の最高の周波数の70%である。
【0022】
オプションとして、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数F及び/又は前記室内ファンの回転速度Rを増加させることで、室内温度を下げるステップをさらに含む。
【0023】
本発明の実施例の第2の態様によると、室内温度tを収集するための温度センサと、室内湿度RHを収集するための湿度センサと、マイクロコントローラユニット(Microcontroller Unit、MCU)と、を備える空気調和機を制御するための装置を提供し、前記MCUは、冷房モードにおいて、前記温度センサによって収集された室内温度tおよび前記湿度センサによって収集された室内湿度RHに基づいて、条件を満たすか否かを判断するための判断ユニットと、判断ユニットによって条件を満たすとして判断されると、室内パイプコイルの温度Tpnまたは前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整するための調節ユニットと、を備える。
【0024】
オプションとして、前記MCUは、室内パイプコイルの温度Tpnと室内パイプコイルの目標温度Tpmとの間の温度差PT、および、室内パイプコイルの温度変化DTに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出するための第1の算出ユニットをさらに備え、前記調節ユニットは、前記第1の算出ユニットの算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数Fを調節する。
【0025】
オプションとして、PT=Tpn-Tpmであり、DT=Tpn-Tpn1であり、Tpn1は前回収集した室内パイプコイルの温度であり、T_Kp、T_Kiはそれぞれ重み係数である。
【0026】
オプションとして、T_Kiの選択は、システム構成および外部環境温度に関連しており、T_Kpの選択は、システム構成および外部環境温度に関連している。T_Kiの値範囲は1~10であり、T_Kpの値範囲は1~8である。好ましくは、T_Ki=3、4、5、6、または、7であり、T_Kp=3、4、5、6、または、7である。
【0027】
オプションとして、前記MCUは、室内湿度RHと目標湿度RH_Targetとの間の湿度差ΔRH、および、室内湿度の変化ΔRH’に基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出するための第2の算出ユニットをさらに備え、前記調節ユニットは、前記第2の算出ユニットの算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数Fを調節する。
【0028】
オプションとして、目標湿度RH_Targetの好ましい値は、52%である。
【0029】
オプションとして、F=RH_Ki×ΔRH’+RH_Kp×ΔRHであり、ΔRH=RH-RH_Targetであり、ΔRH’=RH~RH1であり、RH1は前回収集した室内湿度であり、RH_Ki、RH_Kpはそれぞれ設定された重み係数である。
【0030】
オプションとして、RH_Kiの選択は、システム構成および外部環境温度に関連しており、RH_Kpの選択は、システム構成および外部環境温度に関連している。RH_Kiの値範囲は1~10であり、RH_Kpの値範囲は1~8である。好ましくは、RH_Ki=2、3、4、5、6または7であり、RH_Kp=2、3、4、5、6、または、7である。
【0031】
オプションとして、算出した作業周波数Fが設定された上限値よりも大きい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記上限値として設定し、算出された作業周波数Fが設定された下限値よりも小さい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記下限値として設定する。
【0032】
オプションとして、圧縮機の作業周波数Fに基づいて、室内ファンの回転速度Rを調整するステップは、圧縮機の作業周波数Fが高いほど、室内ファンの回転速度Rが高いステップを含む。
【0033】
オプションとして、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。ここで、前記第2の設定温度差ΔT2は0よりも大きい。
【0034】
オプションとして、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持するステップをさらに含む。
【0035】
オプションとして、前記調節ユニットは、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整するステップをさらに含む。
【0036】
オプションとして、設定周波数f1は、圧縮機の最高の周波数の70%である。
【0037】
オプションとして、前記調節ユニットは、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数F及び/又は前記室内ファンの回転速度Rを増加させることで、室内温度を下げるステップをさらに含む。
【0038】
本発明の実施例の第3の態様によると、圧縮機と室内ファンとを備える空気調和機を提供し、前述した任意の装置をさらに備える。
【0040】
本発明の実施例によって提供される技術案は、以下の有益な効果を含む。
【0041】
洗練された空気調和機の圧縮機の周波数および空気調和機のファンの回転速度を制御する方法を提供し、当該方法は、冷房モードにおいて、リアルタイムの室内温度と室内湿度を収集し、空気調和機の動作状態を調節する必要があるか否かを判断し、室内パイプコイルの温度に結合して圧縮機の作業周波数に対して調節を行い、さらに、室内ファンの回転速度を調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにして、潜熱/顕熱比を効果的に制御し、温度および湿度の両方に対する制御効果を向上させると同時に、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0042】
本実施例において、上述した一般的に、的な説明及び後述する詳細な説明は、単に例示的及び解釈的なものであり、本発明を限定しないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下の図面は、明細書に組み入れて本明細書の一部分を構成し、本発明に適合する実施例を例示するとともに、明細書とともに本発明の原理を解釈する。
【
図1】一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための方法を示す概略フローチャートである。
【
図2】一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための方法を示す概略フローチャートである。
【
図3】一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための方法を示す概略フローチャートである。
【
図4】一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための方法を示す概略フローチャートである。
【
図5】一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための装置を示す構成ブロック図である。
【
図6】一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための装置を示す構成ブロック図である。
【
図7】一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための装置を示す構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
当業者が本発明の具体的な実施形態を実施できるように、以下の説明及び図面は具体的な実施形態を十分に示している。他の実施形態は、構成、論理、電気、過程及びその他の変更を含んでもよい。実施例は可能な変更のみを代表している。明確な要求がない限り、個別の部品や機能は選択可能であり、操作の順番も変更可能である。一部の実施案の部分及び特徴は他の実施案の部分及び特徴に含まれてもよいし代替されてもよい。本発明の実施案の範囲は、特許請求の範囲の全て、及び特許請求の範囲の全てによって得られる等価物を含む。本明細書において、本発明の各実施案は、単独で又は総括的に「発明」という用語により表されてもよい。これは、便利にするためにすぎない。また、事実上、1つ以上の発明が公開されても、この応用の範囲を任意の単独な発明又は発明構想として自動的に規制するものではない。本明細書において、第1及び第2などの関係技術用語は1つの構成又は操作と他の構成又は操作を区別するためにのみ用いられ、これらの構成又は操作の間にこのような関係又は順序が存在することを要件としたり、示唆したりするものではない。また、「含む」、「含有」という技術用語またはその他の類似用語は、非排他的な含有をカバーし、一連の要素を含む過程、方法、又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、明確に例示していないその他の要素を含むか、このような過程、方法又は装置の特有の要素を含むか、または、このような過程、方法、または、設備の固有の要素を含む。さらに制限することなく、「~を含む」という文で定義された要素は、要素を含むプロセス、方法、または機器内の他の同一要素の存在を排除するものではない。本明細書の各実施形態は、段階様式で説明される。また、各実施形態についての重要な説明部分は、他の実施形態と異なる点であり、各実施形態の同一又は類似部分は相互に参照されてもよい。実施形態で開示されている方法や製品などは、実施形態で開示されている方法部分に対応するため、簡単に説明するが、関連部分については方法部分の説明を参照すればよい。
【0045】
空気調和機の冷房能力は、顕熱と潜熱に分けられ、顕熱は主に室内温度に影響し、潜熱は主に室内湿度に影響するため、顕熱と潜熱はいずれも人間の快適性に影響する。部屋の温度差が大きい時、我々は部屋の温度をできるだけ早く低下させようとし、このとき空気調和機の顕熱比が大きいほど良い。部屋の温度が設定温度に接近したかまたは達した後、湿度が大きい場合、除湿する必要があり、このとき空気調和機の潜熱比が大きいほど良い。本実施例において、室内ファンの回転速度および圧縮機の作業周波数を制御することで、潜熱/顕熱比を効果的に制御することができ、除湿および冷房の効果を達することができる。また、潜熱/顕熱比を合理的に制御することで、温度と湿度の両方に対する制御を実現することができ、室内湿度および室内温度を設定された目標範囲内に制御することができる。
【0046】
図1は、一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための方法を示すフローチャートである。
図1に示されたように、当該方法は、以下のステップを含む。
ステップS101において、空気調和機冷房モードにおいて、室内温度tおよび室内湿度RHを収集する。
【0047】
本実施例において、空気調和機のリモコン、空気調和機の室内機上の制御パネル、または、空気調和機に対してリモコン機能を有するモバイル端末を利用して、空気調和機の動作モードを調節することができ、例えば、リモコン上の冷房モードボタンをクリックすることで空気調和機が冷房モードで動作するように制御することができる。
【0048】
空気調和機は、一般的に、居間、寝室、会議室などの室内の空間に設置されるため、ステップS101で取得されるのは、空気調和機が設置された居間、寝室、会議室などの室内の空間の現在の温度値および湿度値であり、すなわち、今回のプロセスで取得されたリアルタイムの室内温度tおよび室内湿度RHである。
【0049】
空気調和機には、室内環境の現在の温度値を検出するための第1の温度センサが設置されている。第1の温度センサの検知端は、空気調和機の吸気口、または、キャビネットの外壁上に設置されることによって、検出された現在の温度値が室内環境の実際温度と同じかまたは類似した値になるようにして、本実施例において現在の室内温度の温度値に基づいて空気調和機の圧縮機作業周波数および室内ファンの回転速度を調整する精度を向上させることができる。
【0050】
空気調和機には、室内環境の現在の湿度値である今回のプロセスで取得されるリアルタイムの室内湿度RHを検出するための湿度センサが設置されている。湿度センサの検知端は、空気調和機の吸気口、または、キャビネットの外壁上に設置されることによって、検出された現在の湿度値が室内環境の実際湿度と同じかまたは類似した値になるようにして、本実施例において現在の室内湿度値に基づいて空気調和機の圧縮機作業周波数および室内ファンの回転速度を調整する精度を向上させることができる。
【0051】
ステップS102において、前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0052】
本実施例において、空気調和機の室内機のパイプコイルの表面、または、パイプコイルに接近する空気調和機のキャビネットの内壁上には、空気調和機の室内パイプコイルの温度Tpnを検出するための第2の温度センサが設置されている。それで、空気調和機の圧縮機作業周波数および室内ファンの回転速度を調整する。
【0053】
いくつかの実施例において、圧縮機の作業周波数および室内ファンの回転速度に基づいて、空気調和機の室内機のパイプコイル温度が算出し得られる。
【0054】
空気調和機システムには、室内温度tおよび室内湿度RHに対して、判断条件が予め設定されており、ステップS101で収集した室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて、条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。複数のパラメータに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを調節することで、調整の精度を向上させた。
【0055】
本実施例において、洗練された空気調和機の圧縮機の周波数および空気調和機のファンの回転速度を制御する方法を提供し、冷房モードにおいて、リアルタイムの室内温度と室内湿度を収集し、空気調和機の動作状態を調節する必要があるか否かを判断し、室内パイプコイルの温度に結合して圧縮機の作業周波数に対して調節を行い、さらに、室内ファンの回転速度を調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにして、潜熱/顕熱比を効果的に制御し、温度および湿度の両方に対する制御効果を向上させると同時に、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0056】
図2は、一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための方法を示すフローチャートである。
図2に示されたように、当該方法は、以下のステップを含む。
【0057】
ステップS201において、空気調和機冷房モードにおいて、室内温度tおよび室内湿度RHを収集する。
【0058】
本実施例において、空気調和機には、室内環境の現在の温度値を検出するための第1の温度センサが設置されている。第3の温度センサの検知端は、空気調和機の吸気口、または、キャビネットの外壁上に設置されることによって、検出された現在の温度値が室内環境の実際温度と同じかまたは類似した値になるようにして、本実施例において現在の室内温度の温度値に基づいて空気調和機の圧縮機作業周波数および室内ファンの回転速度を調整する精度を向上させることができる。
【0059】
空気調和機には、室内環境の現在の湿度値である今回のプロセスで取得されるリアルタイムの室内湿度RHを検出するための湿度センサが設置されている。湿度センサの検知端は、空気調和機の吸気口、または、キャビネットの外壁上に設置されることによって、検出された現在の湿度値が室内環境の実際湿度と同じかまたは類似した値になるようにして、本実施例において現在の室内湿度値に基づいて空気調和機の圧縮機作業周波数および室内ファンの回転速度を調整する精度を向上させることができる。
【0060】
ステップS202において、前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0061】
空気調和機システムには、室内温度tおよび室内湿度RHに対して判断条件が予め設定されおり、ステップS201で収集した室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて、条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。複数のパラメータに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを調節することで、調整の精度を向上させた。
【0062】
本実施例において、洗練された空気調和機の圧縮機の周波数および空気調和機のファンの回転速度を制御する方法を提供し、冷房モードにおいて、リアルタイムの室内温度と室内湿度を収集し、空気調和機の動作状態を調節する必要があるか否かを判断し、総合室内湿度圧縮機の作業周波数に対して調節を行い、さらに、室内ファンの回転速度を調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにして、潜熱/顕熱比を効果的に制御し、温度および湿度の両方に対する制御効果を向上させると同時に、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0063】
いくつかの実施例において、ステップS202において、前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、室内パイプコイルの温度Tpnおよび前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0064】
前述した任意の実施例において、室内目標温度には目標湿度範囲(RH1、RH2)が対応されており、ここで、空気調和機システム中に室内目標温度値と目標湿度範囲(RH1、RH2)との対応関係を予め格納することができる。すなわち、室内目標温度毎に、複数の人体をテストして、対応される人体が最も快適に感じる湿度を取得し、室内目標温度の設定領域内で複数の人体に対してサンプルを収集した設定体感快適レベルに対応される湿度値を取得し、また、複数の湿度値に基づいて、室内目標温度に対応される目標湿度範囲(RH1、RH2)を確定して、対応関係を格納することができる。たとえば、室内目標温度が25℃である場合、このとき、湿度は相対的な湿度40%~60%の間であり、ほとんどのユーザは最も快適に感じるため、湿度40%~60%を設定温度25℃に対応される目標湿度範囲として確定し、室内目標温度25°と目標湿度範囲40%~60%との間の対応関係内に格納する。
【0065】
したがって、空気調和機システム中に予め格納した室内目標温度と目標湿度範囲の対応関係は、表1に示したようでもよい。
【0066】
【0067】
表1に示された対応関係に基づいて、空気調和機の現在の室内目標温度に対応される現在の目標湿度範囲(RH1、RH2)を確定する。表1に示されたように、現在の設定された温度が28°である場合、取得された現在の目標湿度範囲は30%~60%である。
【0068】
室内温度は、空気調和機の動作過程で絶えず変化し、ユーザの要求を満たすためには、室内温度を特定の範囲内に制御する必要がある。室内温度目標範囲は、ユーザによって設定された室内目標温度に依存し、ユーザによって設定された室内目標温度およびシステムに予め設定された温度変動値に応じて確定される。ここで、室内目標温度は、ユーザによって、空気調和機のリモコン、空気調和機の室内機上の制御パネル、または、空気調和機に対してリモコン機能を有するモバイル端末を介して設置される。たとえば、システムに予め設定された温度変動値が2℃である場合、ユーザによって設定された室内目標温度が28℃である場合、室内温度目標範囲は(26℃、30℃)である。
【0069】
いくつかの実施例において、室内パイプコイルの温度Tpnと室内パイプコイルの目標温度Tpmとの間の温度差PT、および、室内パイプコイルの温度変化DTに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出して調整する。具体的に、以下の式(1)に従って、圧縮機の作業周波数Fを確定する。
F = T_Ki × DT + T_Kp × PT; (1)
【0070】
ここで、PT=Tpn-Tpmであり、DT=Tpn-Tpn1であり、Tpn1は前回収集した室内パイプコイルの温度であり、T_Kp、T_Kiはそれぞれ重み係数である。
【0071】
ここで、T_Kiの選択は、システム構成および外部環境温度に関連しており、T_Kpの選択は、システム構成および外部環境温度に関連している。たとえば、外部環境温度が高いほど、T_KiまたはT_Kpの値が高い。外部環境温度が高いほど、目標温度または湿度に達するために各パラメータを調節する幅が大きいため、重み係数も大きい。外部環境温度は、室内環境温度または室外環境温度を含む。システム構成において、RH_KiおよびRH_Kpの選択は、スロットル装置がキャピラリーまたは膨張弁であるか、圧縮機の押しのけ性能または凝縮器および蒸発器のサイズに関連する。
【0072】
ここで、T_Kiの値範囲は1~10であり、T_Kpの値範囲は1~8である。好ましくは、T_Ki=3、4、5、6、または、7であり、T_Kp=3、4、5、6、または、7である。たとえば、T_Ki=4であり、T_Kp=5であり、PT=10であり、DT=2である場合、式(1)に従って、F=4×2+5×10=58であり、単位はHzである。
【0073】
いくつかの実施例において、室内湿度RHと目標湿度RH_Targetとの間の湿度差ΔRH、および、室内湿度の変化ΔRH’に基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出して調整する。具体的に、以下の式(2)に従って、圧縮機の作業周波数Fを確定する。
F = RH_Ki×ΔRH’ + RH_Kp×ΔRH (2)
【0074】
ここで、ΔRH=RH-RH_Targetであり、ΔRH’=RH~RH1であり、RH1は前回収集した室内湿度であり、RH_Ki、RH_Kpはそれぞれ設定された重み係数である。
【0075】
ここで、RH_Kiの選択は、システム構成および外部環境温度に関連しており、RH_Kpの選択は、システム構成および外部環境温度に関連している。たとえば、外部環境温度が高いほど、RH_KiまたはRH_Kpの値が大きい。外部環境温度が高いほど、目標温度または湿度に達するために各パラメータを調節する幅が大きいため、重み係数も大きい。外部環境温度は、室内環境の温度または室外環境温度を含む。システム構成において、RH_KiおよびRH_Kpの選択は、スロットル装置がキャピラリーまたは膨張弁であるか、圧縮機の押しのけ性能または凝縮器および蒸発器のサイズに関連する。
【0076】
ここで、RH_Kiの値範囲は1~10であり、RH_Kpの値範囲は1~8である。好ましくは、RH_Ki=2、3、4、5、6または7であり、RH_Kp=2、3、4、5、6、または、7である。好ましくは、目標湿度RH_Targetの好ましい値は、52%である。たとえば、RH_Ki=2であり、RH_Kp=4であり、ΔRH=15であり、ΔRH’=4である場合、式(1)に従って、F=2×4+4×15=68であり、単位はHzである。
【0077】
いくつかの実施例において、まず、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて、式(1)にしたがって、圧縮機の第1の候補作業周波数を算出し、次に、室内湿度RHに基づいて、式(2)に従って、圧縮機の第2の候補作業周波数を算出し、最後に、圧縮機の作業周波数Fとして、前記第1の候補作業周波数および第2の候補作業周波数の中の小さい値を取る。異なるパラメータに結合して圧縮機の作業周波数を算出することによって、空気調和機を調節する精度をもう一層向上させた。
【0078】
いくつかの実施例において、空気調和機システムには、圧縮機の作業周波数範囲が設置されている。算出した作業周波数Fが設定された上限値よりも大きい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記上限値として設定し、算出された作業周波数Fが設定された下限値よりも小さい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記下限値として設定する。それで、空気調和機の動作効率を確保し、空気調和機の圧縮機の使用寿命を延長させる。好ましくは、圧縮機の作業周波数範囲は、(30Hz、70Hz)である。たとえば、所定の圧縮機の作業周波数範囲が(30Hz、70Hz)である場合、式(1)または(2)に従って得られた圧縮機の作業周波数Fが25Hzである場合、圧縮機の作業周波数を設定された下限値30Hzに調整し、式(1)または(2)に従って得られた圧縮機の作業周波数Fが75Hzである場合、圧縮機の作業周波数を設定された上限値70Hzに調整する。
【0079】
前述した任意の実施例において、圧縮機の作業周波数Fを確定した後、圧縮機の作業周波数Fに基づいて、室内ファンの回転速度Rを調整するステップは、圧縮機の周波数が高いほど、室内ファンの回転速度Rを高くするステップを含む。
【0080】
具体的な調節方法は、以下のとおりである。オプションの方法において、所定の圧縮機の作業周波数Fと室内ファンの回転速度Rとの対応関係によって、表を検索して、ファンの回転速度を取得し、具体的には、対応関係は表2のとおりである。
【0081】
【0082】
室内ファンが高速に動作する場合、パイプコイルの温度が高く、顕熱比が高く、除湿量が少ない。室内ファンが低速に動作する場合、パイプコイルの温度が低く、潜熱比が高く、除湿量が大きい。
【0083】
圧縮機の異なる作業周波数帯域に対応される室内ファンの回転速度が異なり、低周波数帯域に対応される室内ファンの回転速度が低く、高周波数帯域に対応される室内ファンの回転速度が高い。特定の周波数では風速が低いほど、除湿量が大きいが、高周波数帯域の風速が低すぎるため、室内機のパイプコイルが凍結するリスクがある。
【0084】
他のオプションの方法において、計算する方法によって、具体的には、以下の式(3)に従って、圧縮機の作業周波数Fから室内ファンの回転速度Rを算出し得る。
R=15 × F+50 (3)
【0085】
図3に示されたように、一実施例によって提供される空気調和機を制御する方法は、ステップS101を含み、当該ステップS101において、空気調和機冷房モードにおいて、室内温度tおよび室内湿度RHを収集し、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置する場合、ステップS301を実行し、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、ステップS302を実行し、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、ステップS303を実行し、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、ステップS304を実行する。
【0086】
空気調和機には、第1の設定温度差ΔT1および第2の設定温度差ΔT2が予め設定されている。ここで、第1の設定温度差ΔT1および第2の設定温度差ΔT2は、0よりも大きい。第1の設定温度差ΔT1は、第2の設定温度差ΔT2よりも大きい。
【0087】
ステップS301において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。すなわち、t-T<ΔT2であり、且つ、
であるとき、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0088】
ステップS302において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置すると、条件を満たさない。すなわち、t-T<ΔT2であり、且つ、RH∈[RH1、RH2]であるとき、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持する。
【0089】
ステップS303において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、すなわち、ΔT2≦t-T<ΔT1である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整する。
【0090】
いくつかの実施例において、設定周波数f1は、圧縮機の最高の周波数の70%である。
【0091】
前述した実施例において、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、すなわち、t-T≧ΔT1である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加し、室内温度を下げる。
【0092】
他のいくつかの実施例において、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、すなわち、t-T≧ΔT1である場合、前記室内ファンの回転速度Rを増加し、室内温度を下げる。
【0093】
他のいくつかの実施例において、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、すなわち、t-T≧ΔT1である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加すると同時に、前記室内ファンの回転速度Rを増加することで、室内温度を低下させる速度を加速する。
【0094】
図4に示されたように、一実施例によって提供される空気調和機を制御する方法は、ステップS201を含み、当該ステップS201において、空気調和機冷房モードにおいて、室内温度tおよび室内湿度RHを収集し、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置する場合、ステップS401を実行し、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、ステップS402を実行し、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、ステップS403を実行し、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、ステップS404を実行する。
【0095】
空気調和機には、第1の設定温度差ΔT1および第2の設定温度差ΔT2が予め設定されている。ここで、第1の設定温度差ΔT1および第2の設定温度差ΔT2は、0よりも大きい。第1の設定温度差ΔT1は、第2の設定温度差ΔT2よりも大きい。
【0096】
ステップS401において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。すなわち、t-T<ΔT2であり、且つ、
であるとき、前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0097】
いくつかの実施例において、ステップS401において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。すなわち、t-T<ΔT2であり、且つ、
であるとき、前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合、室内パイプコイルの温度Tpnおよび前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0098】
ステップS402において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置すると、条件を満たさない。すなわち、t-T<ΔT2であり、且つ、RH∈[RH1、RH2]であるとき、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持する。
【0099】
ステップS403において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、すなわち、ΔT2≦t-T<ΔT1である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整する。
【0100】
いくつかの実施例において、設定周波数f1は、圧縮機の最高の周波数の70%である。
【0101】
前述した実施例において、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、すなわち、t-T≧ΔT1である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加し、室内温度を下げる。
【0102】
他のいくつかの実施例において、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、すなわち、t-T≧ΔT1である場合、前記室内ファンの回転速度Rを増加し、室内温度を下げる。
【0103】
他のいくつかの実施例において、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、すなわち、t-T≧ΔT1である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加すると同時に、前記室内ファンの回転速度Rを増加することで、室内温度を低下させる速度を加速する。
【0104】
以下は、本発明の装置の実施例であり、本発明の方法の実施例を実行することができる。
【0105】
図5は、一つの例示的な実施例に係る空気調和機を制御するための装置を示す構成ブロック図である。
図5に示されたように、当該装置は、第1の温度センサ501と、湿度センサ502と、MCU503と、を備え、MCU503は、判断ユニット5031と、調節ユニット5032と、を備える。
【0106】
第1の温度センサ501は、室内温度tを収集する。
湿度センサ502は、室内湿度RHを収集する。
【0107】
本実施例において、第1の温度センサの検知端は、空気調和機の吸気口、または、キャビネットの外壁上に設置され、湿度センサの検知端は、空気調和機の吸気口、または、キャビネットの外壁上に設置される。
【0108】
判断ユニット5031は、前記室内温度tおよび室内湿度RHに基づいて条件を満たすか否かを判断する。
【0109】
調節ユニット5032は、判断ユニット5031によって条件を満たすと判断されると、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0110】
本実施例において、空気調和機の室内機のパイプコイルの表面、または、パイプコイルに接近する空気調和機のキャビネットの内壁上には、第2の温度センサが設置されており、当該第2の温度センサは、空気調和機の室内パイプコイルの温度Tpnを検出する。それで、空気調和機の圧縮機作業周波数および室内ファンの回転速度を調整する。
いくつかの実施例において、室内パイプコイルの温度は、圧縮機の作業周波数および室内ファンの回転速度に基づいて算出し得られる。
【0111】
本実施例において、冷房モードにおいて、第1の温度センサはリアルタイムの室内温度を収集し、湿度センサはリアルタイムの室内湿度を収集し、判断ユニットは空気調和機の動作状態を調節する必要があるか否かを判断し、調節ユニットは室内パイプコイルの温度に結合して圧縮機の作業周波数に対して調節を行い、さらに、室内ファンの回転速度を調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにして、潜熱/顕熱比を効果的に制御し、温度および湿度の両方に対する制御効果を向上させると同時に、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0112】
図6に示されたように、いくつかの実施例において、空気調和機を制御するための装置において、MCU503は、第1の算出ユニット601をさらに備える。
【0113】
第1の算出ユニット601は、室内パイプコイルの温度Tpnと室内パイプコイルの目標温度Tpmとの間の温度差PT、および、室内パイプコイルの温度変化DTに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出する。具体的に、式(1)に従って圧縮機の作業周波数Fを算出する。
【0114】
調節ユニット5032は、第1の算出ユニット601の算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数Fを調節する。
【0115】
前述した任意の実施例において、空気調和機システムには、圧縮機の作業周波数範囲が設置されており、第1の算出ユニット601によって算出された作業周波数Fが設定された上限値よりも大きい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記上限値として設定し、算出された作業周波数Fが設定された下限値よりも小さい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記下限値として設定し、それで、空気調和機の動作効率を確保し、空気調和機の圧縮機の使用寿命を延長させる。
【0116】
調節ユニット5032は、圧縮機の作業周波数Fに基づいて、室内ファンの回転速度Rを調整し、圧縮機の作業周波数Fが高いほど、室内ファンの回転速度Rが高い。
オプションの方法において、所定の圧縮機の作業周波数Fと室内ファンの回転速度Rとの対応関係によって、表2に従って、ファンの回転速度を得る。
【0117】
他のオプションの方法において、第1の算出ユニット601により、式(3)に従って、圧縮機の作業周波数Fから室内ファンの回転速度Rを確定する。
【0118】
いくつかの実施例において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。このとき、第1の算出ユニット601は、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて、式(1)にしたがって、圧縮機の作業周波数を算出し、調節ユニット5032は、第1の算出ユニット601の算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数を調節する。
【0119】
いくつかの実施例において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持する。
【0120】
前述した任意の実施例において、空気調和機システムには、圧縮機の作業周波数範囲が設置されており、第1の算出ユニット601によって算出された作業周波数Fが設定された上限値よりも大きい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記上限値として設定し、算出された作業周波数Fが設定された下限値よりも小さい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記下限値として設定し、それで、空気調和機の動作効率を確保し、空気調和機の圧縮機の使用寿命を延長させる。
【0121】
調節ユニット5032は、圧縮機の作業周波数Fに基づいて、室内ファンの回転速度Rを調整し、圧縮機の作業周波数Fが高いほど、室内ファンの回転速度Rが高い。
【0122】
オプションの方法において、所定の圧縮機の作業周波数Fと室内ファンの回転速度Rとの対応関係によって、表2に従って、ファンの回転速度を得る。
【0123】
他のオプションの方法において、第1の算出ユニット601により、式(3)に従って、圧縮機の作業周波数Fから室内ファンの回転速度Rを確定する。
【0124】
いくつかの実施例において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。このとき、第1の算出ユニット601は、室内湿度RHに基づいて、式(2)に従って、圧縮機の作業周波数を算出し、調節ユニット5032は、第1の算出ユニット601の算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数を調節する。
【0125】
いくつかの実施例において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。このとき、第1の算出ユニット601は、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて、式(1)にしたがって、圧縮機の第2の候補作業周波数を算出し、室内湿度RHに基づいて、式(2)に従って、圧縮機の第2の候補作業周波数を算出し、圧縮機の作業周波数Fとして、前記第2の候補作業周波数および第2の候補作業周波数の中の小さい値を取り、調節ユニット5032は、第1の算出ユニット601の算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数を調節する。
【0126】
いくつかの実施例において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持する。
【0127】
いくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整する。
【0128】
いくつかの実施例において、設定周波数f1は、圧縮機の最高の周波数の70%である。
【0129】
いくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加し、室内温度を下げる。
【0130】
他のいくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記室内ファンの回転速度Rを増加し、室内温度を下げる。
【0131】
他のいくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加すると同時に、前記室内ファンの回転速度Rを増加することで、室内温度を低下させる速度を加速する。
【0132】
いくつかの実施例において、空気調和機を制御する装置は、第1の温度センサ501と、湿度センサ502と、MCU503と、を備え、MCU503は、判断ユニット5031と、調節ユニット5032と、を備える。調節ユニット5032は、判断ユニット5031によって条件を満たすと判断されると、室内湿度RHに基づいて、圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0133】
本実施例において、冷房モードにおいて、第1の温度センサはリアルタイムの室内温度を収集し、湿度センサはリアルタイムの室内湿度を収集し、判断ユニットは空気調和機の動作状態を調節する必要があるか否かを判断し、調節ユニットは室内湿度に基づいて圧縮機の作業周波数に対して調節を行い、さらに、室内ファンの回転速度を調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにして、潜熱/顕熱比を効果的に制御し、温度および湿度の両方に対する制御効果を向上させると同時に、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。
【0134】
図7に示されたように、いくつかの実施例において、空気調和機を制御するための装置において、MCU503は、第2の算出ユニット701をさらに備える。
【0135】
第2の算出ユニット701は、室内湿度RHと室内目標湿度RH_Targetとの間の温度差ΔRH、および、室内湿度変化ΔRH’に基づいて、圧縮機の作業周波数Fを算出して調整する。具体的に、式(2)に従って、圧縮機の作業周波数Fを算出する。
【0136】
いくつかの実施例において、調節ユニット5032は、判断ユニット5031によって条件を満たすと判断されると、室内パイプコイルの温度Tpnおよび前記室内湿度RHに基づいて圧縮機の作業周波数Fを制御し、圧縮機の作業周波数Fに基づいて室内ファンの回転速度Rを調整することによって、室内湿度および室内温度がいずれも設定された目標範囲内に位置するようにする。
【0137】
いくつかの実施例において、第2の算出ユニット701は、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて、式(1)にしたがって、圧縮機の第1の候補作業周波数を算出し、室内湿度RHに基づいて、式(2)に従って、圧縮機の第2の候補作業周波数を算出する。最後に、圧縮機の作業周波数Fとして、前記第1の候補作業周波数および第2の候補作業周波数の中の小さい値を取る。
【0138】
前述した任意の実施例において、調節ユニット5032は、第2の算出ユニット701の算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数Fを調節する。
【0139】
前述した任意の実施例において、空気調和機システムには、圧縮機の作業周波数範囲が設置されており、第2の算出ユニット701によって算出された作業周波数Fが設定された上限値よりも大きい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記上限値として設定し、算出された作業周波数Fが設定された下限値よりも小さい場合、圧縮機の作業周波数Fを前記下限値として設定し、それで、空気調和機の動作効率を確保し、空気調和機の圧縮機の使用寿命を延長させる。
【0140】
調節ユニット5032は、圧縮機の作業周波数Fに基づいて、室内ファンの回転速度Rを調整し、圧縮機の作業周波数Fが高いほど、室内ファンの回転速度Rが高い。
【0141】
オプションの方法において、所定の圧縮機の作業周波数Fと室内ファンの回転速度Rとの対応関係によって、表2に従って、ファンの回転速度を得る。
【0142】
他のオプションの方法において、第2の算出ユニット701を利用して、式(3)に従って、圧縮機の作業周波数Fから室内ファンの回転速度Rを確定する。
【0143】
いくつかの実施例において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。このとき、第2の算出ユニット701は、室内湿度RHに基づいて、式(2)に従って、圧縮機の作業周波数を算出し、調節ユニット5032は、第2の算出ユニット701の算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数を調節する。
【0144】
いくつかの実施例において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以外に位置すると、条件を満たす。このとき、第2の算出ユニット701は、室内パイプコイルの温度Tpnに基づいて、式(1)にしたがって、圧縮機の第2の候補作業周波数を算出し、室内湿度RHに基づいて、式(2)に従って、圧縮機の第2の候補作業周波数を算出し、圧縮機の作業周波数Fとして、前記第2の候補作業周波数および第2の候補作業周波数の中の小さい値を取り、調節ユニット5032は、第2の算出ユニット701の算出結果に基づいて圧縮機の作業周波数を調節する。
【0145】
いくつかの実施例において、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが前記第2の設定温度差ΔT2よりも小さく、且つ、前記室内湿度RHが目標湿度範囲(RH1、RH2)以内に位置する場合、前記室内ファンの回転速度Rおよび前記圧縮機の作業周波数Fをそのまま維持する。
【0146】
いくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整する。
【0147】
いくつかの実施例において、設定周波数f1は、圧縮機の最高の周波数の70%である。
【0148】
いくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加し、室内温度を下げる。
【0149】
他のいくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記室内ファンの回転速度Rを増加し、室内温度を下げる。
【0150】
他のいくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加すると同時に、前記室内ファンの回転速度Rを増加することで、室内温度を低下させる速度を加速する。
【0151】
いくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記室内温度tと設定温度Tとの間の温度差Δtが、第2の設定温度差ΔT2以上であり、且つ、第1の設定温度差ΔT1よりも小さい場合、前記圧縮機の作業周波数Fを設定周波数f1まで調整する。
【0152】
いくつかの実施例において、設定周波数f1は、圧縮機の最高の周波数の70%である。
【0153】
いくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加し、室内温度を下げる。
【0154】
他のいくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記室内ファンの回転速度Rを増加し、室内温度を下げる。
【0155】
他のいくつかの実施例において、調節ユニット5032は、さらに、前記温度差Δtが前記第1の設定温度差ΔT1以上である場合、前記圧縮機の作業周波数Fを増加すると同時に、前記室内ファンの回転速度Rを増加することで、室内温度を低下させる速度を加速する。
【0156】
本発明は、圧縮機と室内ファンとを備える空気調和機をさらに含み、前述した任意の実施例に記載の装置をさらに備える。
【0157】
本発明は、上述した説明及び図面に示される流れや構成に限らず、その範囲から逸脱しない範囲で各種の補正及び変更を行うことができると理解すべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲のみに限定される。