(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】燃焼装置の炎孔部構造
(51)【国際特許分類】
F23C 99/00 20060101AFI20220217BHJP
F23D 14/08 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
F23C99/00 329
F23D14/08 H ZAB
(21)【出願番号】P 2020516410
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2018010852
(87)【国際公開番号】W WO2019059592
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2017-0120538
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506278727
【氏名又は名称】キュンドン ナビエン シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パク・ジュンキュ
(72)【発明者】
【氏名】イム・ヒョンムク
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-191037(JP,A)
【文献】特開2010-261615(JP,A)
【文献】特開2015-166660(JP,A)
【文献】特開2003-269705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/08
F23C 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造であって、
リーン(lean)ガスの噴出方向に垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置される複数個のリーンプレートと、前記複数個のリーンプレートの間の離隔された空間に形成され、前記リーンガスが噴出されるための炎孔であって、前記噴出方向と前記幅方向に垂直した方向である長手方向に沿って延長された少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、
前記噴出方向に垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置される複数個のリッチプレートと、前記複数個のリッチプレートの間の離隔された空間に形成され、リッチ(rich)ガスが噴出されるための炎孔であって、前記幅方向を基準に前記リーン炎孔部の両側に設けられ、前記長手方向に平行な方向に沿って延長された一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、
前記複数個のリーンプレートのうち、前記幅方向を基準に最外側に位置する第1リーンプレートと、前記複数個のリッチプレートのうち、前記幅方向を基準に最内側に位置する第1リッチプレートの間に形成され、前記リーンガス及び前記リッチガスが噴出されない区画部とを含み、
前記リッチ炎孔を横切る任意の仮想の線である第1及び第2ラインと、前記幅方向に沿って離隔され、前記第1及び第2ラインの間で前記リッチ炎孔の一部分を形成する一対のリッチ炎孔壁とにより、前記リッチ炎孔の上端で画成される領域を基準領域とするとき、前記リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、前記リッチガスによる火炎が生成されるとき、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁に伝えられる熱量の和が実質的に同一であるように設計された領域を含み、
前記第1リーンプレートは、前記幅方向による前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた少なくとも一つの第1リーンプレート折曲部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1リーンプレート折曲部の両側から前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1リーンプレート水平部とを含み、
前記第1リッチプレートは、前記第1リーンプレート折曲部に対応されるよう、前記第1リーンプレート折曲部に向かって突き出された少なくとも一つの第1リッチプレート突出部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1リッチプレート突出部の両側から前記第1リーンプレート水平部に対応されるよう、前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1リッチプレート水平部とを含み、
均等な保炎効果を発生させるように、前記第1リーンプレート折曲部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート突出部に向かって引いた垂線の長さは、隣接する第1リーンプレート水平部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート水平部に向かって引いた垂線の長さと実質的に同一であるように設計され、
前記複数個のリーンプレートのうち、前記第1リーンプレートと隣接した第2リーンプレートは、前記幅方向に沿った前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられる第2リーンプレート折曲部を含む、炎孔部構造。
【請求項2】
前記リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁の上端の長さの和が実質的に同一であるように設計された領域を含む、請求項1に記載の炎孔部構造。
【請求項3】
前記リーン炎孔は、前記幅方向による前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた少なくとも一つのリーン炎孔折曲部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記リーン炎孔折曲部の両側に設けられ、前記長手方向に平行な方向に沿って延長されたリーン炎孔水平部とを備え、
前記リッチ炎孔は、前記リーン炎孔折曲部に対応されるよう、前記リーン炎孔折曲部に向かって突き出された少なくとも一つのリッチ炎孔突出部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記リッチ炎孔突出部の両側に設けられ、前記リーン炎孔水平部に対応されるよう、前記長手方向に平行な方向に沿って延長されたリッチ炎孔水平部とを備える、請求項1に記載の炎孔部構造。
【請求項4】
前記リッチ炎孔は、いずれか一つのリッチ炎孔水平部から、隣接するリッチ炎孔突出部を経て、他のリッチ炎孔水平部まで連通するように形成された領域である連通領域を含み、
少なくとも一つの前記連通領域は、領域全体で、大きさが同一である任意の基準領域の間に、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁に伝えられる熱量の和が実質的に同一であるように設計されている、請求項3に記載の炎孔部構造。
【請求項5】
火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造であって、
リーン(lean)ガスが噴出されるための炎孔であって、前記リーンガスの噴出方向に垂直した方向である長手方向に沿って延長された少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、
リッチ(rich)ガスが噴出されるための炎孔であって、前記噴出方向及び長手方向に垂直した方向である幅方向を基準に前記リーン炎孔部の両側に設けられ、前記長手方向に平行な方向に沿って延長された一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部を含み、
前記リーン炎孔は、前記幅方向による前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた少なくとも一つのリーン炎孔折曲部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記リーン炎孔折曲部の両側に設けられ、前記長手方向に平行な方向に沿って延長されたリーン炎孔水平部とを備え、
前記リッチ炎孔は、前記リーン炎孔折曲部に対応されるよう、前記リーン炎孔折曲部に向かって突き出された少なくとも一つのリッチ炎孔突出部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記リッチ炎孔突出部の両側に設けられ、前記リーン炎孔水平部に対応されるよう、前記長手方向に平行な方向に沿って延長されたリッチ炎孔水平部とを備え、
前記リッチ炎孔部は、
均等な保炎効果を発生させるように、少なくともいずれか一つのリッチ炎孔水平部から、隣接するリッチ炎孔突出部を経て、他のリッチ炎孔水平部に至る領域において、前記リーン炎孔部と実質的に同一の間隔ほど離隔されるように設けられ、
前記リーン炎孔部の末端は、前記リーン炎孔水平部より前記幅方向を基準に内側に配置された、炎孔部構造。
【請求項6】
前記幅方向に沿って前記リッチ炎孔部及び前記リーン炎孔部を貫き、前記リーン炎孔部及びリッチ炎孔部を互いに結束する結束部材をさらに含む、請求項1に記載の炎孔部構造。
【請求項7】
前記結束部材は、前記噴出方向に平行な方向を基準に前記リーン炎孔部及び前記リッチ炎孔部の上端から下側に所定の間隔が離隔された位置に備えられる、請求項6に記載の炎孔部構造。
【請求項8】
火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造であって、
リーン(lean)ガスの噴出方向に垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置される複数個のリーンプレートと、前記複数個のリーンプレートの間の離隔された空間に形成され、前記噴出方向と前記幅方向に沿って垂直した方向である長手方向に沿って延長され、前記リーンガスを噴出するための少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、
前記噴出方向に垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置される複数個のリッチプレートと、前記複数個のリッチプレートの間の離隔された空間に形成され、前記幅方向を基準に前記リーン炎孔部の両側に設けられ、前記長手方向に平行な方向に沿って延長され、リッチガスを噴出するための一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、
前記複数個のリーンプレートのうち、前記幅方向を基準に最外側に位置する第1リーンプレートと、前記複数個のリッチプレートのうち、前記幅方向を基準に最内側に位置する第1リッチプレートの間に形成され、前記リーンガス及び前記リッチガスが噴出されない区画部とを含み、
前記リッチ炎孔を横切る任意の仮想の線である第1及び第2ラインと、前記幅方向に沿って離隔され、前記第1及び第2ラインの間で前記リッチ炎孔の一部分を形成する一対のリッチ炎孔壁とにより、前記リッチ炎孔の上端で画成される領域を基準領域とするとき、前記リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、前記リッチガスによる火炎が生成されるとき、それぞれの基準領域を画成する物理的境界に伝えられる熱量の和が実質的に同一であるように設計され、
前記第1リーンプレートは、前記幅方向による前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた少なくとも一つの第1リーンプレート折曲部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1リーンプレート折曲部の両側から前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1リーンプレート水平部とを含み、
前記第1リッチプレートは、前記第1リーンプレート折曲部に対応されるよう、前記第1リーンプレート折曲部に向かって突き出された少なくとも一つの第1リッチプレート突出部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1リッチプレート突出部の両側から前記第1リーンプレート水平部に対応されるよう、前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1リッチプレート水平部とを含み、
均等な保炎効果を発生させるように、前記第1リーンプレート折曲部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート突出部に向かって引いた垂線の長さは、隣接する第1リーンプレート水平部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート水平部に向かって引いた垂線の長さと実質的に同一であるように設計され、
前記複数個のリーンプレートのうち、前記第1リーンプレートと隣接した第2リーンプレートは、前記幅方向に沿った前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられる第2リーンプレート折曲部とを含む、炎孔部構造。
【請求項9】
火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造であって、
リーン(lean)ガスの噴出方向に垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置される複数個のリーンプレートと、前記複数個のリーンプレートの間の離隔された空間に形成され、前記噴出方向と前記幅方向に沿って垂直した方向である長手方向に沿って延長され、前記リーンガスを噴出するための少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、
前記噴出方向に垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置される複数個のリッチプレートと、前記複数個のリッチプレートの間の離隔された空間に形成され、前記幅方向を基準に前記リーン炎孔部の両側に設けられ、前記長手方向に平行な方向に沿って延長され、リッチガスを噴出するための一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、
前記複数個のリーンプレートのうち、前記幅方向を基準に最外側に位置する第1リーンプレートと、前記複数個のリッチプレートのうち、前記幅方向を基準に最内側に位置する第1リッチプレートの間に形成され、前記リーンガス及び前記リッチガスが噴出されない区画部とを含み、
前記リッチ炎孔を横切る任意の仮想の線である第1及び第2ラインと、前記幅方向に沿って離隔され、前記第1及び第2ラインの間で前記リッチ炎孔の一部分を形成する一対のリッチ炎孔壁とにより、前記リッチ炎孔の上端で画成される領域を基準領域とするとき、前記リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁の上端の長さの和が実質的に同一であるように設計され、
前記第1リーンプレートは、前記幅方向による前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた少なくとも一つの第1リーンプレート折曲部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1リーンプレート折曲部の両側から前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1リーンプレート水平部とを含み、
前記第1リッチプレートは、前記第1リーンプレート折曲部に対応されるよう、前記第1リーンプレート折曲部に向かって突き出された少なくとも一つの第1リッチプレート突出部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1リッチプレート突出部の両側から前記第1リーンプレート水平部に対応されるよう、前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1リッチプレート水平部とを含み、
均等な保炎効果を発生させるように、前記第1リーンプレート折曲部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート突出部に向かって引いた垂線の長さは、隣接する第1リーンプレート水平部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート水平部に向かって引いた垂線の長さと実質的に同一であるように設計され、
前記複数個のリーンプレートのうち、前記第1リーンプレートと隣接した第2リーンプレートは、前記幅方向に沿った前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられる第2リーンプレート折曲部とを含む、炎孔部構造。
【請求項10】
火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造であって、
リーン(lean)ガスの噴出方向に垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置される複数個のリーンプレートと、前記複数個のリーンプレートの間の離隔された空間に形成され、前記噴出方向と前記幅方向に沿って垂直した方向である長手方向に沿って延長され、前記リーンガスを噴出するための少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、
前記噴出方向に垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置される複数個のリッチプレートと、前記複数個のリッチプレートの間の離隔された空間に形成され、前記幅方向を基準に前記リーン炎孔部の両側に設けられ、前記長手方向に平行な方向に沿って延長され、リッチガスを噴出するための一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、
前記複数個のリーンプレートのうち、前記幅方向を基準に最外側に位置する第1リーンプレートと、前記複数個のリッチプレートのうち、前記幅方向を基準に最内側に位置する第1リッチプレートの間に形成され、前記リーンガス及び前記リッチガスが噴出されない区画部とを含み、
前記リッチ炎孔を横切る任意の仮想の線である第1及び第2ラインと、前記幅方向に沿って離隔され、前記第1及び第2ラインの間で前記リッチ炎孔の一部分を形成する一対のリッチ炎孔壁とにより、前記リッチ炎孔の上端で画成される領域を基準領域とするとき、前記リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、前記リッチガスによる火炎が生成されるとき、それぞれの基準領域で前記リッチガスの燃焼の速度が実質的に同一であるように設計され、
前記第1リーンプレートは、前記幅方向による前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた少なくとも一つの第1リーンプレート折曲部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1リーンプレート折曲部の両側から前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1リーンプレート水平部とを含み、
前記第1リッチプレートは、前記第1リーンプレート折曲部に対応されるよう、前記第1リーンプレート折曲部に向かって突き出された少なくとも一つの第1リッチプレート突出部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1リッチプレート突出部の両側から前記第1リーンプレート水平部に対応されるよう、前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1リッチプレート水平部とを含み、
均等な保炎効果を発生させるように、前記第1リーンプレート折曲部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート突出部に向かって引いた垂線の長さは、隣接する第1リーンプレート水平部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート水平部に向かって引いた垂線の長さと実質的に同一であるように設計され、
前記複数個のリーンプレートのうち、前記第1リーンプレートと隣接した第2リーンプレートは、前記幅方向に沿った前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられる第2リーンプレート折曲部とを含む、炎孔部構造。
【請求項11】
火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造であって、
リーンガスが噴出されるための炎孔であって、前記リーンガスの噴出方向に垂直し、かつ、前記噴出方向に垂直した方向である長手方向にも垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置された複数個のリーンプレートの間の離隔された空間に形成されるリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、
リッチガスが噴出されるための炎孔であって、前記幅方向を基準に前記リーン炎孔部の両側に設けられ、前記幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置された第1及び第2リッチプレートの間の離隔された空間に形成されているリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部とを含み、
前記複数個のリーンプレートは、前記幅方向による前記リーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた第1及び第2リーンプレート折曲部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1及び第2リーンプレート折曲部の両側から前記長手方向に平行な方向に沿ってそれぞれ延長された第1及び第2リーンプレート水平部とを含み、
前記第1及び第2リッチプレートは、前記リーンプレート折曲部に対応されるよう、前記リーンプレート折曲部に向かって突き出された少なくとも一つの第1及び第2リッチプレート突出部と、前記長手方向に平行な方向を基準に前記第1及び第2リッチプレート突出部の両側から前記リーンプレート水平部に対応されるよう、前記長手方向に平行な方向に沿って延長された第1及び第2リッチプレート水平部とを含み、
均等な保炎効果を発生させるように、前記第1リーンプレート折曲部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート突出部に向かって引いた垂線の長さは、隣接する第1リーンプレート水平部の任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート水平部に向かって引いた垂線の長さと実質的に同一であるように設計され、
少なくとも一つの第1リッチプレート水平部の任意の地点から第2リッチプレート水平部に向かって引いた垂線の長さは、隣接する第1リッチプレート突出部の任意の地点から第2リッチプレート突出部に向かって引いた垂線の長さと実質的に同一であるように設計されている、炎孔部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置の炎孔部構造に関する。より具体的に、火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス燃焼装置は、供給された燃料ガスを燃焼させて熱を発生させる装置をいう。ところが、燃焼装置で燃料ガスを燃焼させる時にNOx(窒素酸化物)が発生し、NOxは、酸性雨の原因になるだけでなく、目と呼吸器を刺激して植物を枯死させるなど、主な大気汚染物質として規制されている。燃焼装置で燃料の割合が相対的に低い燃料ガス(以下、リーン(lean)ガス)を用いればNOxの排出が低減できるが、リーンガスを用いる場合、燃焼の速度が落ちて燃焼安定性が弱化し、一酸化炭素(CO)の排出が増加する問題がある。
【0003】
よって、NOxの排出を低減させ、かつ、燃焼安定性も強化させるためのリーンリッチバーナーが開発されている。リーンリッチバーナーとは、リーン火炎の周りの適した位置にリッチ火炎が位置する構成を有するバーナーをいう。リッチ火炎とは、燃料の割合が相対的に高い燃料ガス(以下、リッチ(rich)ガス)を燃焼させる時に発生する火炎をいう。リーンリッチバーナーでは、リッチ火炎の未燃の燃料がリーン火炎の過剰な空気と反応しながら3次火炎が形成されるので、リーン火炎の燃焼安定性が強化できる。このような効果を保炎効果(flame stabilizing effect)と称する。
【0004】
しかし、最近、NOx規制の基準がさらに厳しくなるにつれ、リーンリッチバーナーによってもNOx規制の基準を満たしがたくなっている。よって、リーンリッチバーナーでリッチガスの燃料の割合を減少させればNOxの排出を低減させることができるが、このような場合、リッチ火炎の燃焼安定性が弱化する問題がある。
【0005】
したがって、最近は、リーンリッチバーナーでリッチガスの燃料の割合を低減させることにより、NOxの排出は低減させながらも、強力な保炎効果ももたらすために、リーンガス及びリッチガスが排出される火炎孔(炎孔)の構造を変更した燃焼装置が開発されている。
【0006】
図1は、従来のリーンリッチバーナーの炎孔部構造を概略的に示した平面図である。
図1で斜線表示は火炎を表す。従来の炎孔部構造は、
図1の(a)に示されているように、リーンガスが噴出されるためのリーン炎孔1の周りに、リッチガスが噴出されるためのリッチ炎孔2を備えた。また、リーン炎孔1とリッチ炎孔2の上端には、リーン炎孔1とリッチ炎孔2を結束させるための結束プレート3が置かれている。または、
図1の(b)に示されているように、リーンガスが噴出されるためのリーン炎孔4と、リーン炎孔4の周りを取り囲むように配置されたリッチ炎孔5、6と、を備えた。
【0007】
しかし、
図1の(a)、(b)に示されているところのような炎孔部構造によれば、A、B領域で発生する火炎にリフティング現象が発生して火炎が不安定となり、これによって保炎効果が低減する問題がある。ここでリフティング現象とは、燃料ガスの噴出の速度が燃料ガスの燃焼の速度より速いため、火炎が炎孔から上側に浮び上がる現象をいう。リフティングが発生した火炎は不安定なので、消え易いか、多量の一酸化炭素が発生する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題を解決するためのものであって、実質的に炎孔の全ての領域で火炎が均一に発生するようにすることにより、NOxの排出は低減させながらも、保炎効果は強化させることができる燃焼装置の炎孔部構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一例で、火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造は、リーン(lean)ガスが噴出されるための炎孔であって、リーンガスの噴出方向に垂直した方向である長手方向に沿って延長された少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、リッチ(rich)ガスが噴出されるための炎孔であって、噴出方向及び長手方向に垂直した方向である幅方向を基準にリーン炎孔部の両側に設けられ、長手方向に平行な方向に沿って延長された一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、を含み、リッチ炎孔を横切る任意の仮想の線である第1及び第2ラインと、幅方向に沿って離隔され、第1及び第2ラインの間でリッチ炎孔の一部分を形成する一対のリッチ炎孔壁とにより、リッチ炎孔の上端で画成される領域を基準領域とするとき、リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、リッチガスによる火炎が生成されるとき、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁に伝えられる熱量の和が実質的に同一であるように設計された領域を含む。
【0010】
他の例で、火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造は、リーン(lean)ガスが噴出されるための炎孔であって、リーンガスの噴出方向に垂直した方向である長手方向に沿って延長された少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、リッチ(rich)ガスが噴出されるための炎孔であって、噴出方向及び長手方向に垂直した方向である幅方向を基準にリーン炎孔部の両側に設けられ、長手方向に平行な方向に沿って延長された一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、を含み、リーン炎孔は、幅方向によるリーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた少なくとも一つのリーン炎孔折曲部と、長手方向に平行な方向を基準にリーン炎孔折曲部の両側に設けられ、長手方向に平行な方向に沿って延長されたリーン炎孔水平部と、を備え、リッチ炎孔は、リーン炎孔折曲部に対応されるよう、リーン炎孔折曲部に向かって突き出された少なくとも一つのリッチ炎孔突出部と、長手方向に平行な方向を基準にリッチ炎孔突出部の両側に設けられ、リーン炎孔水平部に対応されるよう、長手方向に平行な方向に沿って延長されたリッチ炎孔水平部と、を備え、リッチ炎孔部は、少なくともいずれか一つのリッチ炎孔水平部から、隣接するリッチ炎孔突出部を経て、他のリッチ炎孔水平部に至る領域において、リーン炎孔部と実質的に同一の間隔ほど離隔されるように設けられる。
【0011】
また他の例で、火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造は、長手方向に沿って延長され、リーンガスを噴出するための少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、長手方向に対する幅方向を基準にリーン炎孔部の両側に設けられ、長手方向に平行な方向に沿って延長され、リッチガスを噴出するための一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、を含み、リッチ炎孔を横切る任意の仮想の線である第1及び第2ラインと、幅方向に沿って離隔され、第1及び第2ラインの間でリッチ炎孔の一部分を形成する一対のリッチ炎孔壁とにより、リッチ炎孔の上端で画成される領域を基準領域とするとき、リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、リッチガスによる火炎が生成されるとき、それぞれの基準領域を画成する物理的境界に伝えられる熱量の和が実質的に同一であるように設計される。
【0012】
また他の例で、火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造は、長手方向に沿って延長され、リーンガスを噴出するための少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、長手方向に対する幅方向を基準にリーン炎孔部の両側に設けられ、長手方向に平行な方向に沿って延長され、リッチガスを噴出するための一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、を含み、リッチ炎孔を横切る任意の仮想の線である第1及び第2ラインと、幅方向に沿って離隔され、第1及び第2ラインの間でリッチ炎孔の一部分を形成する一対のリッチ炎孔壁とにより、リッチ炎孔の上端で画成される領域を基準領域とするとき、リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁の上端の長さの和が実質的に同一であるように設計される。
【0013】
また他の例で、火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造は、長手方向に沿って延長され、リーンガスを噴出するための少なくとも一つのリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、長手方向に対する幅方向を基準にリーン炎孔部の両側に設けられ、長手方向に平行な方向に沿って延長され、リッチガスを噴出するための一対のリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、を含み、リッチ炎孔を横切る任意の仮想の線である第1及び第2ラインと、幅方向に沿って離隔され、第1及び第2ラインの間でリッチ炎孔の一部分を形成する一対のリッチ炎孔壁とにより、リッチ炎孔の上端で画成される領域を基準領域とするとき、リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、リッチガスによる火炎が生成されるとき、それぞれの基準領域でリッチガスの燃焼の速度が実質的に同一であるように設計される。
【0014】
また他の例で、火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造は、リーンガスが噴出されるための炎孔であって、リーンガスの噴出方向に垂直し、かつ、噴出方向に垂直した方向である長手方向にも垂直した方向である幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置された複数個のリーンプレートの間の離隔された空間に形成されるリーン炎孔を備えるリーン炎孔部と、リッチガスが噴出されるための炎孔であって、幅方向を基準にリーン炎孔部の両側に設けられ、幅方向に沿って互いに対向し、所定の間隔が離隔するように配置された第1及び第2リッチプレートの間の離隔された空間に形成されているリッチ炎孔を備えるリッチ炎孔部と、を含み、リーンプレートは、幅方向によるリーン炎孔部の中心に向かって折り曲げられた少なくとも一つのリーンプレート折曲部と、長手方向に平行な方向を基準にリーンプレート折曲部の両側から長手方向に平行な方向に沿って延長されたリーンプレート水平部と、を含み、第1及び第2リッチプレートは、リーンプレート折曲部に対応されるよう、リーンプレート折曲部に向かって突き出された少なくとも一つの第1及び第2リッチプレート突出部と、長手方向に平行な方向を基準に第1及び第2リッチプレート突出部の両側からリーンプレート水平部に対応されるよう、長手方向に平行な方向に沿って延長された第1及び第2リッチプレート水平部と、を含み、少なくとも一つの第1リッチプレート水平部の任意の地点から第2リッチプレート水平部に向かって引いた垂線の長さは、隣接する第1リッチプレート突出部の任意の地点から第2リッチプレート突出部に向かって引いた垂線の長さと実質的に同一であるように設計される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る炎孔部構造を含む燃焼装置を用いれば、各炎孔の実質的な全ての領域で安定的な火炎を維持することから、NOxを低減させながらも、保炎効果が均一に現われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来のリーンリッチバーナーの炎孔部構造を概略的に示した平面図である。
【
図2】リフティング現象を説明するために炎孔部構造の断面を示した概念図である。
【
図3】本発明の実施例1による炎孔部構造を示す平面図である。
【
図4】
図3に示したリッチ炎孔において、T1領域を拡大して示した図である。
【
図5】本発明の実施例1による炎孔部構造を他の側面で説明するための平面図である。
【
図7】本発明の実施例2による炎孔部構造を示す平面図である。
【
図9】本発明の実施例3による炎孔部構造を示す平面図である。
【
図10】本発明の実施例3による炎孔部構造を示す平面図である。
【
図11】
図9において、C-C線に沿って切断した断面を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図を介して詳細に説明する。各図の構成要素に参照符号を付け加えるに際し、同一の構成要素に対しては、たとえ別の図上に表示されるとしても、できるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施形態の説明において、関連する公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を妨げると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0018】
本発明の発明者達は、前述した問題を解決するために実験と研究を繰り返えした結果、
図1のA、B領域でリフティング現象が発生する原因を見出した。その原因は色々あり得るが、燃料ガスを燃焼させる時に発生する熱量中の一部が外部へ伝えられながら燃焼の速度が遅くなることを一つの原因としてみることができる。
図2を参照しつつ、さらに具体的に説明する。
【0019】
図2は、リフティング現象を説明するために炎孔部構造の断面を示した概念図である。
図2に示されているように、例えば、リッチガスがリッチ炎孔7を通じて噴出されるとき、リッチ火炎(f)は、リッチ炎孔7を形成する炎孔壁8の周りで発生する。このとき、炎孔壁8に伝えられる熱量(q)が増加すると、燃焼の速度が遅くなるにつれ、リッチガスの噴出の速度がリッチガスの燃焼の速度より速くなる。したがって、リッチ火炎(f)がリッチ炎孔7から浮び上がり、直ちに消えてしまう問題が発生し得る。
【0020】
よって、
図1の(a)でA領域の場合、炎孔を形成する炎孔壁だけでなく、上端に置かれた結束プレート3にも熱が伝えられ得るので、他の領域に比べてリフティング現象が発生しやすいものとみることができる。そのため、同一の条件で燃料ガスを噴出させるとき、A領域でばかり火炎が発生しないことがあり、A領域では保炎効果が弱化する問題があり得る。
【0021】
また、
図1の(b)でB領域の場合も、リッチ炎孔5とリッチ炎孔6が互いに断絶された部分では、リッチガスの単位発熱量当たりに炎孔壁に伝えられる熱量が他の領域に比べて相対的に大きいため、B領域でリフティング現象が発生しやすい問題があり得る。
【0022】
よって、本発明の発明者達は、このような問題を解決するため、次のような燃焼装置の炎孔部構造を導き出した。
実施例1
【0023】
図3は、本発明の実施例1による炎孔部構造を示す平面図である。
図4は、
図3に示したリッチ炎孔において、T1領域を拡大して示した図である。
図5は、本発明の実施例1による炎孔部構造を他の側面で説明するための平面図である。
図6は、
図5のT2領域を拡大して示した図である。以下では、
図3から
図6を参照しつつ、本発明の実施例1による火炎を形成するための複数個の炎孔が備えられている燃焼装置の炎孔部構造について説明する。
【0024】
本発明の実施例1による炎孔部構造は、リーン炎孔部10とリッチ炎孔部20を含む。
【0025】
リーン炎孔部10は、リーンガスが噴出されるための少なくとも一つのリーン炎孔11を備える。リーン炎孔11は、リーンガスの噴出方向(z)に垂直した方向である長手方向(x)に沿って延長される。
【0026】
リッチ炎孔部20は、リッチガスが噴出されるための一対のリッチ炎孔21を備える。リッチ炎孔21は、長手方向(x)に平行な方向に沿って延長される。このとき、一対のリッチ炎孔21は、噴出方向(z)及び長手方向(x)に垂直した方向である幅方向(y)を基準にリーン炎孔部10の両側に設けられる。
【0027】
リーン炎孔11から噴出されるリーンガスが燃焼されてリーン火炎が形成され、リッチ炎孔21から噴出されるリッチガスが燃焼されてリッチ火炎が形成される。また、リーン火炎とリッチ火炎は、互いに熱交換しながら保炎効果が発生し得る。
【0028】
このとき、リッチ炎孔21は、リーン火炎とリッチ火炎の間の保炎効果が効果的に発生するように設計される。
【0029】
例えば、リッチ炎孔21は、リッチ炎孔21でリッチガスによるリッチ火炎が生成されるとき、大きさが同一である任意の基準領域の間に、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁に伝えられる熱量の和が実質的に同一であるように設計された領域を含む。もしくは、リッチ炎孔21は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、前記リッチガスによる火炎が生成されるとき、それぞれの基準領域で前記リッチガスの燃焼の速度が実質的に同一であるように設計されてよい。
【0030】
図4を参照してさらに具体的に説明する。先ず、基準領域(S)とは、第1ライン(I)及び第2ライン(II)と一対のリッチ炎孔壁(b)により、リッチ炎孔21の上端で画成される領域を意味する。第1及び第2ライン(I、II)は、リッチ炎孔21を横切る任意の仮想の線であり、リッチ炎孔壁(b)は、幅方向(y)に沿って離隔され、第1及び第2ライン(I、II)の間でリッチ炎孔21の一部分を形成する壁をいう。
【0031】
図4に示されているように、リッチ炎孔21で任意の基準領域を画成することができる。例えば、任意の第1ライン(I)及び第2ライン(II)と一対の炎孔壁(b)によって画成される基準領域(S)と、任意の第1ライン(I’)及び第2ライン(II’)と一対の炎孔壁(b’)によって画成される基準領域(S’)とを画成することができる。
【0032】
リッチ炎孔21は、基準領域(S)と基準領域(S’)の大きさが同一である場合、それぞれの基準領域の間に、一対のリッチ炎孔壁(bまたはb’)に伝えられる熱量の和、すなわち、それぞれの基準領域でリッチガスの燃焼の速度が実質的に同一であるように設計された領域を含む。言い換えれば、リッチ炎孔21は、任意の基準領域(S)と基準領域(S’)の大きさが同一である場合、リッチガスによる火炎が生成されるとき、基準領域(S)で一対のリッチ炎孔壁(b)に伝えられる熱量の和(Q)と、基準領域(S’)で一対のリッチ炎孔壁(b’)に伝えられる熱量の和(Q’)とが実質的に同一であるように設計された領域を含む。
【0033】
大きさが同一である基準領域(S、S’)では実質的に同一の噴出速度で同一量のリッチガスが噴出されるはずであり、リッチガスが燃焼される時に実質的に同一の発熱量が発生するはずである。さらに、各基準領域(S、S’)から各炎孔壁(b、b’)に伝えられる熱量が実質的に同一であれば、各基準領域(S、S’)でリッチガスの燃焼の速度もまた実質的に同一であるはずなので、各基準領域(S、S’)ではリフティングが発生する限界条件が同一であるはずである。したがって、各基準領域(S、S’)にNOxの排出を低減させることができる最適の条件でリッチガスを供給すれば、各基準領域(S、S’)では実質的に同一の性質のリッチ火炎が生成されるはずである。
【0034】
そのため、
図1のA、B領域と異なり、このように設計された領域全体では実質的に同一の保炎効果をもたらすことができる。よって、本発明の実施例1による炎孔部構造は、NOxの排出を低減させる一方、燃焼の安定性は強化されるため、保炎効果が均一に発生するようにすることができる。また、リッチ炎孔の全ての領域がこのように設計されることがさらに好ましい。
【0035】
一方、実質的に同一であるというのは、数値的に厳密に同一であるということを意味するのではなく、数値上多少差異があっても、本技術分野で実質的に同一の作用をもたらす程度の同一性を意味する。
【0036】
このとき、それぞれの基準領域を形成する炎孔壁に伝えられる熱量を調節する手段は色々あり得る。
【0037】
例えば、一対のリッチ炎孔壁の材質及び厚さなどが一定する場合、大きさが同一である任意の基準領域の間に、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁の上端の長さの和が実質的に同一であるように設計されてよい。すなわち、
図4で、基準領域(S)を形成する一対の炎孔壁(b)の長さの和と、基準領域(S’)を形成する一対の炎孔壁(b’)の長さの和とが実質的に同一であるように設計されてよい。このように長さの和が同一であれば、熱が伝えられる炎孔壁の面積が同一であると見做すことができる。
【0038】
このとき、基準領域(S)を形成する一対の炎孔壁(b)の上端の長さの和と、基準領域(S’)を形成する一対の炎孔壁(b’)の上端の長さの和との差異が15%水準の誤差範囲内である場合、それぞれ基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁の上端の長さの和は実質的に同一であるとみることができる。実際に作製されたリッチ炎孔壁の長さは設計上の長さと公差を有することがあり、各基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁の上端の長さの和に差異が発生するとしても、作製時に発生する公差の範囲内では、各基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁の上端の長さの和が実質的に同一であるとみることができる。
【0039】
したがって、各基準領域ではリフティングが発生する限界条件が実質的に同一であり、均等な保炎効果を奏すると見做すことができる。一方、15%という数値は、そのものが特別な意味を有するのではなく、作製時に発生する公差水準の範囲を示すための一例である。
【0040】
他の例として、それぞれの基準領域を形成する一対の炎孔壁間の距離が互いに異なるか、それぞれの炎孔壁の他の物性値に差異があっても、それぞれの炎孔壁に伝えられる熱量が同一であるように炎孔壁の厚さ、材質などを調節することもできる。
【0041】
また他の例として、
図1の(a)に示されているように、リッチ炎孔の周りに結束プレートなどの、熱の伝達を受けることができる物理的な個体が存在する場合であれば、リッチ炎孔は、大きさが同一である任意の基準領域の間に、一対の炎孔壁を含め、それぞれの基準領域を画成する物理的境界に伝えられる熱量の和が実質的に同一であるように設計されてもよい。
【0042】
再び
図3を参照すれば、リーン炎孔11は、少なくとも一つのリーン炎孔折曲部113とリーン炎孔水平部111を備えてよい。リーン炎孔折曲部113は、幅方向(y)によるリーン炎孔部10の中心に向かって折り曲げられた部分を意味する。リーン炎孔水平部111は、長手方向(x)に平行な方向を基準にリーン炎孔折曲部113の両側に設けられ、長手方向(x)に平行な方向に沿って延長された部分を意味する。
【0043】
さらに、リッチ炎孔21は、少なくとも一つのリッチ炎孔突出部213とリッチ炎孔水平部211を備えてよい。リッチ炎孔突出部213は、リーン炎孔折曲部113に対応されるよう、リーン炎孔折曲部113に向かって突き出された部分を意味する。また、リッチ炎孔水平部211は、長手方向(x)に平行な方向を基準にリッチ炎孔突出部213の両側に設けられ、リーン炎孔水平部111に対応されるよう、長手方向(x)に平行な方向に沿って延長された部分を意味する。
【0044】
このように、リッチ炎孔21がリーン炎孔折曲部113に対応するリッチ炎孔突出部213を含むことにより、リッチ火炎がリーン火炎の周りを取り囲む形態に形成されるようにすることができ、保炎効果が発生する面積が増加するという効果が発生し得る。
【0045】
このとき、リッチ炎孔21は、いずれか一つのリッチ炎孔水平部211から、隣接するリッチ炎孔突出部213を経て、他のリッチ炎孔水平部211まで連通するように形成された領域である連通領域を含んでよい。このとき、連通領域全体では、大きさが同一である任意の基準領域の間に、それぞれの基準領域を形成する一対のリッチ炎孔壁に伝えられる熱量の和が実質的に同一であるように設計されてよい。
【0046】
図1の(b)に示されているように、リッチ炎孔部5、6が断絶される部分ではリフティング現象が発生しやすい反面、本発明の連通領域全体ではリフティング現象が発生する限界が実質的に同一であることがあり、そのため、保炎効果が広い領域で均一に現われるようにすることができる。また、リッチ炎孔21は、リーン炎孔折曲部113及びリッチ炎孔突出部213が備えられる全ての領域において、連通領域を有するように設計されることがさらに好ましい。
【0047】
一方、本発明の実施例1による炎孔部構造は、区画部30をさらに含んでよい。区画部30とは、リーン炎孔部10とリッチ炎孔部20の間に設けられ、リーンガス及びリッチガスが噴出されない部分を意味する。区画部30は、リーン火炎とリッチ火炎が適した間隔を挟んで形成されるようにして、保炎効果が最も効果的に現われるように設計されてよい。
【0048】
このとき、
図5、
図6に示されているように、リーン炎孔部10は、リーン炎孔11を形成するための複数個のリーンプレート13をさらに含んでよく、リッチ炎孔部20は、リッチ炎孔21を形成するための複数個のリッチプレート23をさらに含んでよい。
【0049】
複数個のリーン/リッチプレート13、23は、幅方向(y)に沿って互いに対向して所定の間隔が離隔するように配置されてよい。また、リーン/リッチ炎孔11、21は、リーン/リッチプレート13、23の間の離隔された空間に形成されてよい。さらに、区画部30は、複数個のリーンプレート13のうち、幅方向(y)を基準に最外側に位置する第1リーンプレート13aと、複数個のリッチプレート23のうち、幅方向(y)を基準に最内側に位置する第1リッチプレート23aとの間に形成されてよい。
【0050】
このとき、複数個のリーンプレート13は、互いに異なる角度で折り曲げられることでリーン炎孔折曲部113を形成することができる。さらに、複数個のリッチプレート23もまたリッチ炎孔突出部213を形成することができる。
【0051】
このとき、第1リーンプレート13aは、少なくとも一つの第1リーンプレート折曲部133aと、第1リーンプレート折曲部133aの両側に設けられる第1リーンプレート水平部131aとを含んでよい。第1リーンプレート折曲部133aは、幅方向(y)によるリーン炎孔部10の中心に向かって折り曲げられた部分をいい、第1リーンプレート水平部131aは、長手方向(x)に平行な方向を基準に第1リーンプレート折曲部133aの両側から、長手方向(x)に平行な方向に沿って延長された部分をいう。
【0052】
また、第1リッチプレート23aは、第1リーンプレート折曲部133aに対応される第1リッチプレート突出部233aと、第1リーンプレート水平部131aに対応される第1リッチプレート水平部231aとを含んでよい。第1リッチプレート突出部233aは、第1リーンプレート折曲部133aに向かって突き出され、第1リッチプレート水平部231aは、第1リッチプレート突出部233aの両側から長手方向(x)に平行な方向に沿って延長される。また、第2リッチプレート23bは、第2リッチプレート突出部233bと第1リッチプレート水平部231bを含んでよい。
【0053】
このとき、本発明の実施例1による炎孔部構造は、
図6に示されているように、少なくとも一つの第1リーンプレート折曲部133aの任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート突出部233aに向かって引いた垂線(l
2)の長さと、隣接する第1リーンプレート水平部131aの任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート水平部231aに向かって引いた垂線(l
1、l
3)の長さとが実質的に同一であるように設計されてよい。
【0054】
すなわち、リッチ炎孔部20は、少なくともいずれか一つのリッチ炎孔水平部211から、隣接するリッチ炎孔突出部213を経て、他のリッチ炎孔水平部211へ至る領域において、リーン炎孔部10と実質的に同一の間隔ほど離隔するように設けられてよい(
図3参照)。
【0055】
このとき、同一の間隔というのは、数値的に厳密な同一性を意味することではない。例えば、リッチ炎孔部20とリーン炎孔部10が距離Lだけ離隔するように設計されたとしても、実際の間隔が距離Lの±30%水準の誤差範囲内である場合、リッチ炎孔部20とリーン炎孔部10が実質的に同一の間隔ほど離隔されているとみることができる。
【0056】
実際のバーナーの構造上、リッチ炎孔部とリーン炎孔部の間の距離は1mm単位の水準で非常に小さいため、作製時に発生する公差を考慮すれば、±30%水準の誤差範囲内では、リフティングが発生する限界条件が実質的に同一であり、均等な保炎効果を奏すると見做すことができる。
【0057】
例えば、実際のリッチ炎孔部とリーン炎孔部の間の距離が0.9mm~1.35mm程度の範囲にある場合、その距離が実質的に同一であるとみることができる。このとき、±30%または0.9mm~1.35mmという数値は、そのものが特別な意味を有するのではなく、作製時の公差を考慮するとき、実質的に同一の水準の範囲を示すための一例として記載されているだけである。
【0058】
これにより、リーン炎孔折曲部113及びリッチ炎孔突出部213で生成されるリーン火炎とリッチ火炎の間の間隔と、リーン炎孔水平部111及びリッチ炎孔水平部211で生成されるリーン火炎とリッチ火炎の間の間隔とが実質的に同一であるように設計されてよい。このように設計された領域では、リーン火炎とリッチ火炎が領域全体で互いに同一の間隔ほど離れているので、領域全体で均等な保炎効果を奏することができる。
【0059】
したがって、全てのリーン炎孔折曲部113及びリッチ炎孔突出部213に対し、第1リーンプレート折曲部133aの任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート突出部233aに向かって引いた垂線の長さと、隣接する第1リーンプレート水平部131aの任意の地点から、これに対応される第1リッチプレート水平部231aに向かって引いた垂線の長さとが実質的に同一であるように設計されることがさらに好ましい。ここで垂線の長さまたは火炎間の間隔が実質的に同一であるということもまた、数値的に厳密な同一性を求めることではない。
実施例2
【0060】
図7は、本発明の実施例2による炎孔部構造を示す平面図である。
図8は、
図7のT3領域を拡大して示した図である。以下では、
図7及び
図8を参照しつつ、本発明の実施例2による炎孔部構造に対して説明する。実施例2による炎孔部構造において、実施例1と同一の構成に対しては同一の図面符号を用いて説明する。
【0061】
本発明の実施例2による炎孔部構造は、実施例1による炎孔部構造と同様にリーン炎孔部10、リッチ炎孔部20を含む。リーン炎孔部10は、複数個のリーンプレート13によって形成されたリーン炎孔11と、第1及び第2リッチプレート23a、23bによって形成されたリッチ炎孔21とを含む。
【0062】
さらに、複数個のリーンプレート13は、リーンプレート折曲部133とリーンプレート水平部131を含み、第1及び第2リッチプレート23a、23bもまた、リーンプレート折曲部133に対応される第1及び第2リッチプレート突出部233a、233bと、リーンプレート水平部131に対応される第1及び第2リッチプレート水平部231a、231bとを含む。
【0063】
しかし、実施例2による炎孔部構造は、実施例1による炎孔部構造とはリッチ炎孔21の設計構造において差異がある。より具体的に、
図8に示されているように、本発明の実施例2による炎孔部構造は、少なくとも一つの第1リッチプレート水平部231aの任意の地点から第2リッチプレート水平部231bに向かって引いた垂線(m
1、m
3)の長さと、隣接する第1リッチプレート突出部233aの任意の地点から第2リッチプレート突出部233bに向かって引いた垂線(m
2)の長さとが実質的に同一に設計される。
【0064】
リッチ炎孔21がこのように設計されれば、
図8で、各垂線(m
1、m
2、m
3)の長さが同一に延長される領域では、本発明の実施例1と同様に、大きさが同一である任意の基準領域の間に、それぞれの炎孔壁に伝えられる熱量が実質的に同一であると見做すことができる。言い換えれば、リッチ炎孔21で直線状に延長される全ての領域、すなわち、リッチプレート水平部231a、231bからリッチプレート突出部233a、233bにつながる部分のように折り曲げられた領域を除いた全ての領域では、任意の基準領域の間にそれぞれの炎孔壁に伝えられる熱量が実質的に同一であると見做すことができる。
【0065】
また、直線状に延長される領域で画成された任意の基準領域と、折り曲げられた領域で画成された任意の基準領域との間では、その基準領域の大きさが同一であるとき、それぞれの炎孔壁に伝えられる熱量が実質的に同一でないこともある。しかし、本発明の実施例2のように設計されれば、その熱量の差異は僅かなはずであり、本発明の実施例2のように設計されたリッチ領域21の全領域で保炎効果が実質的に同一に発生すると見做すことができる。
実施例3
【0066】
図9は、本発明の実施例3による炎孔部構造を示す平面図である。
図10は、本発明の実施例3による炎孔部構造を示す平面図である。
図11は、
図9において、C-C線に沿って切断した断面を示した概念図である。以下では、
図9から
図11を参照しつつ、本発明の実施例3による炎孔部構造に対して説明する。実施例3による炎孔部構造において、実施例1、2と同一の構成に対しては同一の図面符号を用いて説明し、不要な説明を省略する。
【0067】
本発明の実施例3による炎孔部構造は、実施例1、2による炎孔部構造で結束部材40をさらに含んでよい。結束部材40は、幅方向(y)に沿ってリッチ炎孔部20及びリーン炎孔部10を貫き、リーン炎孔部10及びリッチ炎孔部20を互いに結束する部材をいう。結束部材40が備えられることで、リーン炎孔11及びリッチ炎孔21で火炎が発生するとき、リーン炎孔11及びリッチ炎孔21の大きさが変動されること(広くなること)を防止することができる。
【0068】
このとき、結束部材40は、リーン炎孔部10及びリッチ炎孔部20の上端から下側に所定の間隔が離隔された位置に備えられてよい(
図11参照)。
図1の(a)に示されているように、従来には炎孔の上端に結束プレートなどが設けられていたが、プレートが設けられた部分では火炎が発生できないため、保炎効果を奏することができない問題があった。しかし、本発明の実施例3による結束部材40は、噴出方向(z)に平行な方向を基準に、炎孔部の上端から下側に所定の間隔が離隔された位置に備えられるため、火炎の生成を妨げないことが可能である。
【0069】
このとき、結束部材40が上端から離隔される間隔には特に限定がなく、火炎の生成は妨げず、かつ、リーン炎孔11とリッチ炎孔21の大きさが変動されることを最も効果的に防止することができる位置まで離隔されることが好ましい。
【0070】
また、結束部材40の種類及び結束の方法も特に限定されず、
図9に示されているように、幅方向(y)による一側で結束棒40を挿入した後、他側は溶接または焼成変形を利用して結束させる方法を用いることができる。もしくは、
図10に示されているように、結束針金40’を貫通させた後、その両側末端(点線円の部分)を溶接、結び、焼成変形などを介して結束する方法を用いることもできる。
【0071】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示されている実施形態は、本発明の技術思想を限定するためではなく説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されることではない。本発明の保護の範囲は特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならないはずである。