(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス安全装置及び機械の移動を監視する方法
(51)【国際特許分類】
F16P 3/14 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
F16P3/14
(21)【出願番号】P 2020543989
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2019053957
(87)【国際公開番号】W WO2019162229
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】102018103729.5
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517258925
【氏名又は名称】フラバ ベスローテン ヴェンノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】FRABA B.V.
【住所又は居所原語表記】Jan Campertstraat 11,6416 SG Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リリエンタール, クリステャン
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-100975(JP,A)
【文献】特開2000-018492(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02778333(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第105423112(CN,A)
【文献】独国実用新案第202008009320(DE,U1)
【文献】西独国特許出願公開第03728354(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16P 1/00- 7/02
G01V 1/00-99/00
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の移動を監視するオプトエレクトロニクス安全装置(10)であって、
光信号(26a,26b)を送信する少なくとも1つの送信ユニット(24a,24b)と、前記光信号(26a,26b)を受信する少なくとも1つの受信ユニット(28a,28b)と、を有する検出装置(14)と、
前記受信ユニットで受信された前記光信号(26a,26b)を評価する評価ユニット(38)を有する制御装置(16)と、を備え、
前記制御装置(16)は、受信した信号強度(52a,52b)が許容強度範囲(Ie)内であるときに前記機械の移動を可能とし、前記受信した
前記信号強度(52a,52b)が許容強度範囲(Ie)外であるときに前記機械の移動を停止させるトリガパルス(54)を出力し、
前記光信号(26a,26b)は、複数の信号パルス(36a,36b,36c,37a,37b,37c)の系列(34a,34b)を含み、前記複数の信号パルス(36a,36b,36c,37a,37b,37c)は、互いに異なるパルス強度値(49a,49b,49c,50a,50b,50c)を有し、
前記制御装置(16)は、パルス選択指標(42a,42b)を有し、
前記制御装置(16)は、評価される前記信号パルスの前記パルス強度値(49a,49b,49c,50a,50b,50c)が最適強度範囲外にあるときに、前記パルス選択指標(42a,42b)を変更するように構成されたパルス選択ユニット(40)を有する、ことを特徴とするオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項2】
前記系列(34a,34b)内の前記複数の信号パルス(36a,36b,36c,37a,37b,37c)は、最初の信号パルス(36a,37a)から最後の信号パルス(36c,37c)まで連続的に増加又は連続的に減少するパルス強度値(49a,49b,49c,50a,50b,50c)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項3】
前記制御装置(16)、前記評価ユニット(38)又は前記パルス選択ユニット(40)が前記検出装置(14)に組み込まれている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項4】
前記検出装置(14)は、少なくとも2つの送信ユニット(24a,24b)と、少なくとも2つの受信ユニット(28a,28b)と、を有する、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項5】
前記送信ユニット(24a,24b)は、その各々が前記信号パルス(36a,36b,36c,37a,37b,37c)の前記系列(34a,34b)を有する前記光信号(26a,26b)を送信するように構成され、個々の前記光信号(26a,26b)の前記信号パルスの前記系列(34a,34b)が時間的に重複しない、ことを特徴とする請求項4に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項6】
前記制御装置(16)は、少なくとも2つのパルス選択指標(42a,42b)を含む、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項7】
前記制御装置(16)又は前記評価ユニット(38)は
、前記信号強度(52a,52b)が、前記許容強度範囲Ieの外にあるときの持続時間を検出し、最小持続時間を超えたときに前記機械の移動を停止させる前記トリガパルス(54)を出力するように適合された時間モジュールを備える、ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項8】
前記受信ユニット(28a,28b)又は前記評価ユニット(38)が入力アナログ信号(44a,44b)を出力デジタル信号(48a,48b)に変換するように適合されている、ことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項9】
前記評価ユニット(38)又は前記パルス選択ユニット(40)がマイクロプロセッサ(43)に組み込まれている、ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項10】
前記受信ユニット(28a,28b)が電磁シールド(51a,51b)を含む、ことを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項11】
前記検出装置(14)又は前記制御装置(16)が、ゲート(12)に搭載されている、ことを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載のオプトエレクトロニクス安全装置(10)。
【請求項12】
機械の移動を監視する方法であって、
送信ユニット(24a,24b)から、異なるパルス強度値(49a,49b,49c,50a,50b,50c)を有する複数の信号パルス(36a,36b,36c,37a,37b,37c)からなる系列(34a,34b)を含む光信号(26a,26b)を送信するステップと、
前記光信号(26a,26b)を受信ユニット(28a,28b)で受信するステップと、
受信した前記光信号(26a,26b)の個々の信号のパルス強度値(49a,49b,49c,50a,50b,50c)を決定するステップと、
評価ユニット(38)において、パルス選択指標(42a,42b)によって事前に決定された前記受信信号(26a,26b)の前記信号パルス(36a,36b,36c,37a,37b,37c)の前記パルス強度値(52a,52b)を評価するステップであって、許容強度範囲(Ie)外の前記パルス強度値(52a,52b)が検出されたときに前記機械の移動を停止させるトリガパルス(54)が制御装置(56)に出力され、前記許容強度範囲(Ie)内の前記パルス強度値(52a,52b)が検出されたときにパルス選択ユニット(40)においてパルス強度値(52a,52b)の評価が行われ、当該評価において最適強度範囲(Iopt)外のパルス強度値(52a,52b)が検出されたときに前記パルス選択指標(42a,42b)が変更されるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
許容されない前記パルス強度値(52a,52b)の持続時間は、前記評価ユニット(38)において、前記パルス選択指標(42a,42b)によって事前に決定された前記信号パルス(36a,36b,36c,37a,37b,37c)の前記パルス強度値(52a,52b)の評価中に検出され、事前に決定された最小持続時間を超えたときに、前記機械の移動を停止させる前記トリガパルス(54)が前記制御装置(56)に出力される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記許容強度範囲(Ie)を制限する最小強度値(Imin)又は最大強度値(Imax)が、平均値の分数として算出される、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
複数の光信号(26a,26b)が送受信され、前記パルス選択指標(42a,42b)によって事前に決定された前記信号パルス(36a,36b,36c,37a,37b,37c)の前記パルス強度値(52a,52b)が、前記評価ユニット(38)において、前記複数の光信号(26a,26b)の各々について別々に評価される、ことを特徴とする請求項12から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
最適強度範囲(Iopt)を上回るパルス強度値(52a,52b)が検出されたときには前記パルス選択指標(42a,42b)が減少し、前記最適強度範囲(Iopt)を下回るパルス強度値(52a,52b)が検出されたときには前記パルス選択指標(42a,42b)が増加する、ことを特徴とする請求項12から15までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械の移動を監視するための、特に、ゲートの移動を監視するためのオプトエレクトロニクス安全装置であって、光信号を送信する少なくとも1つの送信ユニットと光信号を受信する少なくとも1つの受信ユニットとを有する検出装置と、受信ユニットで受信された信号を評価する評価ユニットとを有する制御装置と、を備え、この制御装置は、受信した信号強度が許容強度範囲内にあるときに機械の移動を可能とし、受信した信号強度が許容強度範囲外にあるときに機械の移動を停止させるトリガパルスを出力する、オプトエレクトロニクス安全装置に関する。本発明は、更に、機械の移動を監視する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような安全装置は、衝突を回避するための機械又は装置の構造要素の移動区域を監視するためによく使用される。代表的なアプリケ―ションとして、自動開閉ゲートやモータ駆動の産業用ゲートを備えた通路や私道がある。
【0003】
このような安全装置について、様々な従来技術が知られている。例えば、特許文献1によれば、ゲートの可動式機械部品によって生じる危険を回避する検出装置を含むオプトエレクトロニクス安全装置が開示されている。又、特許文献2によれば、送信ユニット、受信ユニット、制御ユニット及び光源を有する検出装置から構成されているゲートシステムのオプトエレクトロニクス安全装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国実用新案公開公報第202008009320号
【文献】独国特許公報第3728354号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オプトエレクトロニクス安全装置は、主に送信ユニットと受信ユニットとを有し、それらの間に光信号、例えば、光線が送信される。このようにして、機械の移動が行われる危険区域を継続的に監視することができる。光信号が危険区域内の障害物によって遮断されると、制御装置はトリガパルスを出力して機械の移動を停止する。
【0006】
このようなオプトエレクトロニクス検出装置において、受信ユニットで受信される光信号強度は、受信ユニットと送信ユニットとの間の距離に依存すると共に、周囲温度にも影響されることが知られている。更に、受信した信号強度の変化は、摩耗によっても引き起こされ得る。安全装置を整然と動作させ、安全装置の頻繁な誤動作を回避するためには、検出装置、特に、送信ユニットは監視される機械の既存の状態に合わせて特別に設計され且つ/又は適合させる必要がある。大きな温度差や機械の著しい摩耗があると、その結果として生じる受信した信号強度の変化により、検出装置の望ましくない誤動作が発生し得る。
【0007】
従って、達成されるべき目的は上記の問題点を克服するところにあり、特に、設置が容易であり、危険区域において高い信頼性で機械の移動を監視し得る、オプトエレクトロニクス安全装置を提供することである。
【0008】
この目的は、主たる請求項1に定義される特徴を有する機械の移動を監視するオプトエレクトロニクス安全装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、光信号は複数の信号パルスの系列を含み、複数の信号パルスは互いに異なるパルス強度を有し、制御装置はパルス選択指標を備え、制御装置は評価される信号パルスのパルス強度が最適強度範囲外にあるときに、パルス選択指標を変更するように適合されたパルス選択ユニットを更に備える。
【0010】
信号系列のパルス強度は、広範囲の強度に対応できるように設計される。これにより、本発明の安全装置は、例えば、大きな温度差によって受信した信号強度に変化が生じたとしても、機械の移動を整然と監視することができる。ここで、パルス選択ユニットは、評価ユニットが評価可能な強度を有する信号が提供されるように、パルス選択指標を適合させる。更に、本発明の安全装置は、適切なパルス強度を有する信号パルスを選択することによって、送信ユニットと受信ユニットとの間の異なる距離にそれ自体を自動的に適合させることに適している。そのため、送信ユニットの特別な設計や、監視される機械への検出装置の複雑な適合は、何ら必要とされない。
【0011】
好ましくは、系列内の信号パルスは、最初の信号パルスから最後の信号パルスまで、連続的に増加又は連続的に減少するパルス強度を有する。これにより、パルス選択ユニットは、適切なパルス強度を有する信号パルスを簡単に選択し得る。仮に、パルス選択指標を介して事前に決定された信号パルスのパルス強度が低すぎるとき、パルス選択ユニットはパルス選択指標を増加/減少して、次の高いパルス強度を有する信号パルスを選択する。又、信号パルス選択指標によって事前に決定された信号パルスのパルス強度が高すぎるとき、パルス選択ユニットはパルス選択指標を減少/増加して、次の低いパルス強度を有する信号パルスを選択する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、制御装置、評価ユニット、又はパルス選択ユニットは、検出装置に組み込まれている。特に、評価ユニット又はパルス選択ユニットは、受信ユニットに組み込まれてもよい。これにより、安全装置の特にコンパクトな構造を可能になる。
【0013】
好ましくは、検出装置は、少なくとも2つの送信ユニット及び少なくとも2つの受信ユニットを有する。複数の送信ユニット又は複数の受信ユニットは、好ましくは、機械の奥行方向に沿って配置され、平行に延伸する光信号を送信/受信する。これにより、奥行寸法が比較的大きい機械の信頼性が高い監視を可能になる。一方、単一の送信ユニット/受信ユニットが使用されているときは、監視が困難であるか、又は全く監視できなくなる。
【0014】
送信ユニットは、各々が信号パルスの系列で光信号を送信するように設計され、個々の信号の信号パルスの系列が時間的に互いに重ならないことが特に好ましい。これにより、複数の送信ユニットの個々の信号間の干渉が最小限に抑えられ、従って、安全装置の信頼性が最大化される。
【0015】
好ましくは、制御装置は、少なくとも2つのパルス選択指標を含み、パルス選択指標の数は、好ましくは、送信ユニット/受信ユニットの数に対応し、すなわち、送信された光信号の数に対応する。これにより、各々の送信される光信号に適したパルス強度を有する信号パルスを個別に選択することができ、機械の奥行き全体に亘って信頼性の高い方法で監視することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、制御装置又は評価ユニットは、許容されない信号強度の持続時間を検出し、最小持続時間を超えたときに、機械の移動を停止させるトリガパルスを出力するように適合された時間モジュールを備える。このようにして、障害物に起因しない信号振幅の低下や信号の遮断によるトリガの誤まった出力を防止することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、受信ユニット又は評価ユニットは、入力アナログ信号を出力デジタル信号に変換するように適合される。これにより、出力デジタル信号を用いて、トリガパルス、すなわち許容強度範囲外の信号強度が存在するか否かを簡単に判断することができる。例えば、デジタル信号に許容されない強度が存在するときには、論理「1」を出力し、許容される強度が存在するときには、論理「0」を出力することができる。この目的のために、受信ユニット又は評価ユニットは、例えばシュミットトリガを含んでもよい。これは、単純で低コストの安全装置を可能にする。
【0018】
評価ユニット又はパルス選択ユニットは、マイクロプロセッサに組み込まれることがより好適である。マイクロプロセッサは、安全装置の制御装置全体を含むことができ、機械駆動装置のモータ電子回路を更に含むこともできる。これにより、機械の移動を中央制御することができる。更に、制御装置を低コストで包括的な制御システムに組み込むことができる。
【0019】
受信ユニットは、電磁干渉放射から保護するための電磁シールドを備えることが好ましい。この干渉は、受信ユニットでの信号検出を妨害し、それによって誤ったトリガの出力を引き起こす可能性がある。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、検出装置は、ゲートに、好ましくはゲートの閉鎖端部に取り付けられる。従って、検出装置は、ゲートに繋がる光障壁として設計されてもよい。ここで、ゲートの第1の側に送信ユニットを配置し、第1の側の反対側のゲートの第2の側に受信ユニットを配置してもよい。代替例として、送信ユニット及び受信ユニットは、反対側に反射器を配置した上で、ゲートの同じ側に配置されてもよい。基本的に、ゲートは、任意のタイプのゲート、特に、セクションゲート、スクリーンゲート、スライドゲート、又はローリングゲートとして理解されるべきである。
【0021】
本発明の機械の移動を監視する方法であって、
送信ユニットから、異なるパルス強度を有する複数の信号パルスの系列を含む光信号を送信するステップと、
光信号を受信ユニットで受信するステップと、
受信した光信号の個々の信号のパルス強度を決定するステップと、
評価ユニットにおいて、パルス選択指標によって事前に決定された受信した光信号の信号パルスのパルス強度を評価するステップであって、許容強度範囲外のパルス強度が検出されたときに機械の移動を停止させるトリガパルスが制御装置に出力され、許容強度範囲内のパルス強度が検出されたときにパルス選択ユニットにおいてパルス強度の評価が行われ、当該評価において最適強度範囲外のパルス強度が検出されたときにパルス選択指標が変更されるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【0022】
このようにして、信号強度が変化するときでも、機械の移動の監視を特に高い信頼性で効率的に行うことができる。
【0023】
許容されないパルス強度の持続時間は、評価ユニットにおいて、パルス選択指標によって事前に決定された信号パルスのパルス強度の評価中に検出され、事前に決定された最小持続時間を超えたときに、機械の移動を停止させるトリガパルスが制御装置に出力されることが好ましい。最小持続時間は、計算されるか、又は事前に決定されてもよい。
【0024】
有利なことに、許容強度範囲を画定する最小強度値又は最大強度値が、平均値に対する比率として算出される。これにより、例えば、許容強度範囲を変化した信号強度に対して動的に適合させることが可能になる。更に、許容強度範囲は、比率を変えることによって、簡単な方法で異なる機械の移動の速度に適合させることができる。
【0025】
好ましくは、複数の光信号が送受信され、ここで、パルス選択指標によって所定の信号パルスのパルス強度が、複数の光信号の各々の評価ユニットで別々に評価される。従って、受信した光信号ごとに別個のパルス選択指標が提供される。これにより、受信した信号ごとに、適切なパルス強度の信号パルスを個別に選択することできる。
【0026】
有利なことに、最適強度範囲を上回るパルス強度が検出されるとパルス選択指標が減少し、最適強度範囲を下回るパルス強度が検出されるとパルス強度が増加する。これにより、パルス選択指標を簡単に適合させることが可能になる。
【0027】
本発明の機械の移動を監視するためのオプトエレクトロニクス安全装置の実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明のオプトエレクトロニクス安全装置を備えたローリングゲートの概略正面図である。
【
図2】
図2は、安全装置の検出装置の概略平面図である。。
【
図3】
図3は、検出装置の光信号の概略的な信号経路を示す図である。
【
図4】
図4は、安全装置の制御装置の概略的な配線を示す図である。
【
図5】
図5は、受信した光信号の許容範囲及び最適強度範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、本発明のオプトエレクトロニクス安全装置10の典型的な用途を示す。ここで、オプトエレクトロニクス安全装置10は、モータにより駆動されて上下動が可能なローリングゲート12の移動を監視する。このローリングゲート12は、複数のゲートセグメント18からなり、それら複数のゲートセグメント18は、横方向をガイドレール20で支持されており、ガイドレール20に沿って移動可能である。閉鎖端部22がローリングゲート12の底部側に設けられており、この端部は閉鎖状態で床上に静止している。
【0030】
検出装置14は、ローリングゲート12の閉鎖端部22の下方に配置されており、光信号26a,26bを送信する2つの送信ユニット24a,24bと、光信号26a,26bを受信する2つの受信ユニット28a,28bと、を備えている。送信ユニット24a,24b及び受信ユニット28a,28bが、閉鎖端部22から下方に突出する棚部又は金属シート上に固定されることで、検出装置14と閉鎖端部22との間の距離を画定する。これにより、検出装置14は、ローリングゲート12を閉じるときや下方に移動するときに、ローリングゲート12を導く検出システムを形成する。検出装置14と閉鎖端部22との距離は、障害物30を検出した後にローリングゲート12を衝突させずに停止させるために必要な遅延時間に応じて設計される。送信ユニット24a,24b及び受信ユニット28a,28bはそれぞれ、ローリングゲート12のガイドレール20により少なくともその一部が取り囲まれるように、ローリングゲート12の横方向最外端部に締結されており、検出装置14はローリングゲート12をその全幅に亘って監視することができる。送信ユニット24a,24b及び受信ユニット28a,28bは、
図2に示すように、閉鎖端部22の奥行き方向に配置されている。閉鎖端部22の手前側では送信ユニット24aと受信ユニット28aとが対向して配置され、閉鎖端部22の奥側では送信ユニット24bと受信ユニット28bとが対向して配置されている。ゲート12が完全に閉じられたときに検出装置14が床に当たることを避けるために、
図1には図示されていないが、床に窪みが設けられており、検出装置14がその中に吊り下げされるか、又はその中に収容されるようになっている。
【0031】
本実施形態では、検出装置14は、2つの光障壁によって形成される。第1光信号26aは送信ユニット24aから出力され受信ユニット28aによって受信され、第2光信号26bは送信ユニット24bから出力され受信ユニット28bによって受信される。理想的な場合には、
図1に示すように、送信ユニット24a,24b及び受信ユニット28a,28bは、それぞれの送信ユニット24a,24bとそれぞれの受信ユニット28a,28bとの間の最短の接続距離に沿って光信号26a,26bが伝搬するように、互いに配置される。
図1に示すように、障害物30がローリングゲート12の移動区域に存在するとき、検出装置14の光信号26a及び/又は光信号26bが遮断されるので、対応する受信ユニット28a,28bによって受信される光信号の信号強度が、少なくとも著しく減衰するか又は理想的な場合には完全に遮断される。
【0032】
光信号26a,26bが妨害されずに送信されるとき、受信ユニット28a,28bによって受信される信号強度は、とりわけ、送信ユニット24a,24bと対応する受信ユニット28a,28bとの間の距離、すなわち、ローリングゲート12の幅に依存する。従って、送信ユニット24a,24bによって送信される光信号26a,26bは、ローリングゲート12の幅に適合した信号強度を有する必要がある。更に、受信ユニット28a,28bによって受信される信号強度の変動は、例えば、ローリングゲート12の温度変化や天候に関連した揺れのような、周囲環境からの影響によっても発生し得る。
【0033】
これらの変動して受信された信号強度を、妨害がなく伝送されたときの受信信号強度に補償するために、光信号26a、26bはそれぞれ、3つの信号パルス36a,36b,36cの系列34a及び3つの信号パルス37a,37b,37cの系列34bを含む。そして、系列34a,34b内の信号パルスは、それぞれ、最初の信号パルス36a,37aから最後の信号パルス36c,37cまで連続的に増加するパルス強度を有する。光信号26a,26bの信号経路32a,32bは、
図3に示されている。ここで、信号経路32aは、光信号26aの送信信号強度の時間経過に対応し、信号経路32bは、光信号26bの送信信号強度の時間経過に対応する。2つの光信号26a,26bの系列34a,34bは、干渉を避けるために時間をずらして送信される。
【0034】
本実施形態では、制御装置16はローリングゲート12に取り付けられている。しかし、他の実施形態では、静止させて配置してもよい。更に、制御装置16は、検出装置14に取り付けることもできる。制御装置16は、評価ユニット38とパルス選択ユニット40と2つのパルス選択指標42a,42bとを備える。制御装置16の配線は、
図4に概略的に示されている。評価ユニット38は、受信ユニット28a,28bによって受信された光信号26a,26bの強度を評価するように機能し、ここで、評価ユニット38は、パルス選択指標42a,42bによって事前に決定された各々の受信された光信号26a,26bの信号パルス36a,36b,36c,37a,37b,37cの1つを評価する。パルス選択ユニット40は、信号パルス36a,36b,36c,37a,37b,37cの受信パルス強度に従って、パルス選択指標42a,42bを適合させるように機能する。評価ユニット38、パルス選択ユニット40及びパルス選択指標42a,42bは、マイクロプロセッサ43に組み込まれている。
【0035】
送信ユニット24a,24bによって送信された光信号26a,26bは、それぞれ受信ユニット28a,28bによって連続的に受信される。受信された光信号26a,26bの信号強度の経時変化を表す信号である電気的なアナログ信号44a,44bが、その出力に供給される。アナログ信号44a,44bは、それぞれ、アナログ/デジタル変換器46a,46bでデジタル信号48a,48bに変換される。デジタル信号48a,48bは、光信号26a,26bの各信号パルス36a,36b,36c,37a,37b,37cについてそれぞれの強度値49a,49b,49c,50a,50b,50cを含み、評価ユニット38に供給される。受信ユニット28a,28b及びアナログ/デジタル変換器46a,46bの電磁干渉放射からの保護のために、電磁シールド51a,51bが設けられている。
【0036】
評価ユニット38は、2つのデジタル信号48a,48bについてそれぞれの評価強度値52a,52bを決定し、ここで、受信された強度値49a,49b,49c,50a,50b,50cのうちのどれが評価されるかは、パルス選択指標42a,42bによって事前に決定されている。評価強度値52a,52bの1つが、
図5に例示されているように、最小強度値Imin及び最大強度値Imaxによって定義される許容強度範囲Ieの外にあるとき、評価ユニット38は、その出力において、トリガパルス54をモータ電子回路56に供給し、駆動するモータMが瞬時に停止される。最小強度値Imin及び最大強度値Imaxは、例えば、信号強度の平均値の割合として計算することができる。又、図示していないが、時間モジュールを設けることができるので、評価ユニット38において、どのモジュールの評価強度値52a,52bが許容強度範囲Ieの外にある持続時間を決定するのに適している。このとき、トリガパルス54は、最小持続時間を超えたときにのみ提供される。
【0037】
評価強度値52a,52bが許容強度範囲Ie内であれば、評価強度値52a,52bは、パルス選択ユニット40に提供され、そこで評価される。評価強度値52a,52bの1つが、下限の強度閾値Iuと上限の強度閾値Ioとによって定義される最適強度範囲Ioptの外側にあるとき、対応するパルス選択指標42a,42bは、パルス選択ユニット40によって変更される。評価強度値52a,52bがIu未満であるとき、対応するパルス選択指標42a,42bを増加させて、より高いパルス強度を有する信号パルス36a,36b,36c,37a,37b,37cを選択する。評価強度値52a,52bがIoを超えるとき、対応するパルス選択指標42a,42bを減少させて、より低いパルス強度を有する信号パルス36a,36b,36c,37a,37b,37cを選択する。このように、障害物30が光信号26a,26bを遮断しなければ、評価ユニット38には、最適強度範囲Ioptにある評価強度値52a,52bが提供される。
【0038】
従って、本発明の安全装置は、受信した信号の変化した強度に自動的に適合させることに適している。これにより、動作中に生じる信号強度の変化を一方で補償することができ、他方で、本発明の安全装置は、安全装置の手動による適合を必要とすることなく、異なる幅を有するローリングゲートの整然とした監視を可能にする。
【符号の説明】
【0039】
10 安全装置
12 ローリングゲート
14 検出装置
16 制御装置
18 ゲートセグメント
20 ガイドレール
22 閉鎖端部
24a,24b 送信ユニット
26a,26b 光信号
28a,28b 受信ユニット
30 障害物
32a,32b 信号経路
34a,34b 信号系列
36a,36b,36c 信号パルス
37a,37b,37c 信号パルス
38 評価ユニット
40 パルス選択ユニット
42a,42b パルス選択指標
43 マイクロプロセッサ
44a,44b アナログ信号
46a,46b アナログ/デジタル変換器
48a,48b デジタル信号
49a,49b,49c 強度
50a,50b,50c 強度
51a,51b 電磁シールド
52a,52b 評価強度値
54 トリガパルス
56 モータ電子回路
M モータ