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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】送信機
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20220217BHJP
   H04L 69/14 20220101ALI20220217BHJP
   B60C 23/04 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
H04L69/14
B60C23/04 150G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020559637
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2018045868
(87)【国際公開番号】W WO2020121476
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】辻田 泰久
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/011954(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0038440(US,A1)
【文献】特表2010-533612(JP,A)
【文献】特開2012-071755(JP,A)
【文献】特開2004-145474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0140876(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0059647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-13/18
H04L 41/00-49/9057
B60C 23/00-99/00
B60R 16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の車輪のそれぞれに装着され、受信機に送信データを送信する送信機であって、
前記送信機は、
複数種類のプロトコルが記憶された不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに記憶された前記複数種類のプロトコルから選択されたプロトコルであって、前記受信機に対応したプロトコルを示す情報である選択情報が記憶された揮発性メモリと、
プロトコルに従った送信データを送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、
前記揮発性メモリに前記選択情報が記憶されている場合、当該選択情報で示されるプロトコルに従った前記送信データを送信し、
前記揮発性メモリに前記選択情報が記憶されていない場合、前記不揮発性メモリに記憶された全てのプロトコルに従った前記送信データを送信し、
前記送信部は、前記不揮発性メモリに記憶された全てのプロトコルに従った前記送信データを送信する場合、前記揮発性メモリに選択情報が記憶されていないことを示す情報を含んだ前記送信データを送信する送信機。
【請求項2】
前記複数種類のプロトコルのそれぞれに対応して符号が付与されており、
前記選択情報は、前記複数種類のプロトコルから選択されたプロトコルに対応する符号である請求項1に記載の送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のタイヤ状態監視装置は、車輪に装着された送信機と、受信機とを備える。送信機は、タイヤの圧力を検出する圧力センサと、送信部と、送信機を制御する制御部とを備える。送信部は、圧力センサによって検出された検出結果を含んだ送信データを送信する。受信機によってプロトコルが異なるため、車輪には、受信機のプロトコルに対応する機種の送信機が選ばれて、装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-91344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、送信機として、複数種類のプロトコルの中からいずれかのプロトコルを選択可能に構成されているものがある。この種の送信機では、不揮発性メモリに複数種類のプロトコルが記憶され、揮発性メモリに選択情報が記憶される。選択情報とは、複数種類のプロトコルから選択した1つのプロトコルを示す情報である。制御部は、選択情報で示されるプロトコルに従った送信データを送信する。受信機に対応するプロトコルを選択することで、送信機を複数種類の受信機に対応させることができる。
【0005】
しかしながら、この種の送信機では、複数種類のプロトコルから任意のプロトコルを選択するために、選択情報を揮発性メモリに記憶し、選択情報を書き換え可能にしている。揮発性メモリに記憶された選択情報が意図せず消去された場合、受信機に対応するプロトコルで送信データの送信を行うことができず、受信機に送信データを受信させることができないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、揮発性メモリに記憶された選択情報が消去された場合であっても、受信機に送信データを受信させることができる送信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第一の態様によれば、車両に設けられた複数の車輪のそれぞれに装着され、受信機に送信データを送信する送信機が提供される。前記送信機は、複数種類のプロトコルが記憶された不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリに記憶された前記複数種類のプロトコルから選択されたプロトコルであって、前記受信機に対応したプロトコルを示す情報である選択情報が記憶された揮発性メモリと、プロトコルに従った送信データを送信する送信部と、を備える。前記送信部は、前記揮発性メモリに前記選択情報が記憶されている場合、当該選択情報で示されるプロトコルに従った前記送信データを送信し、前記揮発性メモリに前記選択情報が記憶されていない場合、前記不揮発性メモリに記憶された全てのプロトコルに従った前記送信データを送信する。
【0008】
揮発性メモリに記憶された選択情報が消去され、揮発性メモリに選択情報が記憶されていない状態になると、不揮発性メモリに記憶された全てのプロトコルに従った送信データが送信される。全てのプロトコルのうちいずれかのプロトコルは、受信機に対応したプロトコルである。従って、揮発性メモリに記憶された選択情報が消去された場合であっても、受信機に送信データを受信させることができる。
【0009】
上記送信機について、前記複数種類のプロトコルのそれぞれに対応して符号が付与されており、前記選択情報は、前記複数種類のプロトコルから選択されたプロトコルに対応する符号であってもよい。
【0010】
これによれば、選択情報として、プロトコル自体を記憶する場合に比べて、選択情報を記憶するのに要する記憶容量を少なくすることができる。
上記送信機について、前記送信部は、前記不揮発性メモリに記憶された全てのプロトコルに従った前記送信データを送信する場合、前記揮発性メモリに選択情報が記憶されていないことを示す情報を含んだ前記送信データを送信してもよい。
【0011】
これによれば、揮発性メモリに選択情報が記憶されていないことを受信機に認識させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、揮発性メモリに記憶された選択情報が消去された場合であっても、受信機に送信データを受信させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】タイヤ状態監視装置の概略構成図。
図2】送信機の概略構成図。
図3】不揮発性メモリに記憶されたプロトコルと揮発性メモリに記憶された選択情報を示す図。
図4】フレームフォーマットの一例を示す図。
図5】制御部が行う処理を示すフローチャート。
図6】1回の送信タイミングで全てのプロトコルに従った送信データを送信する場合のタイムチャート。
図7】送信タイミング毎に別々のプロトコルに従った送信データを送信する場合のタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、送信機の一実施形態について説明する。
図1に示すように、タイヤ状態監視装置20は、車両10の4つの車輪11にそれぞれ装着される送信機21と、車両10に設置される受信機40とを備える。各車輪11は、ホイール12と、ホイール12に装着されたタイヤ13とを備える。送信機21としては、タイヤバルブに固定された送信機や、ホイール12やタイヤ13に固定された送信機が用いられる。
【0015】
送信機21は、タイヤ13の内部空間に配置されるように、車輪11に取り付けられている。送信機21は、対応するタイヤ13の状態、例えば、タイヤ13の空気圧やタイヤ13内の温度を検出して、検出結果を含む送信データを受信機40に無線送信する。タイヤ状態監視装置20は、送信機21から送信される送信データを受信機40で受信して、タイヤ13の状態を監視する。
【0016】
図2に示すように、送信機21は、圧力センサ22、温度センサ23、制御部25、送信回路26、送信アンテナ28、受信回路27、受信アンテナ29及びバッテリ30を備える。バッテリ30は、送信機21の電力源となる。
【0017】
圧力センサ22は、対応するタイヤ13の圧力(空気圧)を検出する。圧力センサ22は、検出結果を制御部25に出力する。温度センサ23は、対応するタイヤ13内の温度を検出する。温度センサ23は、検出結果を制御部25に出力する。
【0018】
制御部25は、CPU25a及び記憶部24を含むマイクロコンピュータ等よりなる。記憶部24は、不揮発性メモリ25bと、揮発性メモリ25cと、を備える。不揮発性メモリ25bには、各送信機21の固有の識別情報であるIDコードや、送信機21を制御するための種々のプログラムが記憶されている。
【0019】
制御部25は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部25は、1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、2)ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは3)それらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0020】
図3に示すように、不揮発性メモリ25bの所定の記憶エリアには、複数種類のプロトコルが記憶されている。即ち、不揮発性メモリ25bには、複数のプロコトルに対応したフレームフォーマット及びプロシージャに関する情報が記憶されている。図3では、一例として、プロトコルA、プロトコルB、プロトコルCの3つのプロトコルが記憶されている例を示しているが、不揮発性メモリ25bに記憶されるプロトコルの数は、送信機21が使用され得る車両の種類などによって異なる。
【0021】
図4には、プロトコルAによって規定されたフレームフォーマットの一例を示す。フレームフォーマットとは、受信機40に送る送信データのフォーマットであり、送信データを構成する各ビットがどのような情報を示しているかの形式といえる。
【0022】
フレームフォーマットには、同期ビット、識別情報、ステータス、フラグ、圧力データ、温度データ、及び、誤り訂正符号が含まれる。同期ビットは、送受信の同期を図るためのデータである。識別情報は、IDコードを示すデータである。ステータスは、送信機21の状態を示すデータである。圧力データは、圧力センサ22から取得した検出結果(=圧力値)を示すデータである。温度データは、温度センサ23から取得した検出結果(=温度)を示すデータである。誤り訂正符号は、誤り訂正符号や、誤り検出符号を示すデータである。フラグは、送信機21に異常が生じているか否かを示すデータである。例えば、フラグは、送信機21に異常が生じていない場合には0、送信機21に異常が生じている場合には1になる1ビットのデータである。
【0023】
本実施形態において、プロトコルB,Cで規定されたフレームフォーマットは、プロトコルAと同様に、同期ビット、識別情報、ステータス、フラグ、圧力データ、温度データ、及び、誤り訂正符号を含むとする。プロトコルA,B,Cのフレームフォーマットでは、例えば、フラグ、圧力データ、温度データの順序が異なる。即ち、送信データのうちのいずれのビットがフラグ、圧力データ、温度データを示しているかが異なる。
【0024】
図3に示すように、揮発性メモリ25cの所定の記憶エリアには、複数種類のプロトコルから選択されたプロトコルを示す情報である選択情報が記憶されている。本実施形態では、プロトコルA,B,Cのそれぞれに2進数のデータ列で表現された符号を付与し、選択されたプロトコルに対応する符号が揮発性メモリ25cに記憶されている。図3に示す例では、プロトコルAに01、プロトコルBに10、プロトコルCに11が対応付けられている。図3に示す例では、揮発性メモリ25cには、プロトコルBに対応する10が記憶されている。従って、プロトコルA,B,CのうちプロトコルBが選択されていることがわかる。なお、本実施形態では、選択情報が記憶されていない場合の所定の記憶エリアの値は00である。
【0025】
揮発性メモリ25cに記憶されたプロトコル、即ち、複数種類のプロトコルから選択された1つのプロトコルは、受信機40のプロトコルに対応して設定されている。プロトコルが異なると、フレームフォーマットやプロシージャが異なり、受信機40のプロトコルに対応する送信データでなければ、送信データを受信機40に受信させることができない。なお、受信機40は、車種によって異なっており、車種によってフレームフォーマットが異なっているともいえる。選択情報は、トリガ装置などの外部機器によって揮発性メモリ25cに書き込まれる。
【0026】
制御部25は、プロトコルに従って送信データを生成し、送信回路26に出力する。送信部としての送信回路26は、制御部25からの送信データを変調して無線信号(RF信号)を生成し、送信アンテナ28から送信する。例えば、制御部25は、圧力センサ22の検出結果及び温度センサ23の検出結果であるタイヤ状態(タイヤ空気圧やタイヤ内温度)やIDコードを含む送信データを生成し、この送信データを含む信号である無線信号を送信する。
【0027】
制御部25は、圧力センサ22や温度センサ23の故障などを診断する診断機能を備える。診断機能によって圧力センサ22や温度センサ23が故障していると判断されると、制御部25は、フラグを立てる=フラグを1にした送信データを生成する。これにより、送信データには、圧力センサ22や温度センサ23の異常を受信機40に認識させるためのデータが含まれることになる。圧力センサ22や温度センサ23の故障診断は、例えば、圧力センサ22や温度センサ23の検出結果を用いて行われる。圧力センサ22や温度センサ23の検出結果は、制御部25に設けられたADコンバータを用いてアナログ信号をデジタル信号に変換することで得られる。この際、ADコンバータでオーバーフローやアンダーフローが生じた場合、制御部25は圧力センサ22や温度センサ23が故障していると判断する。また、制御部25は、圧力センサ22や温度センサ23の断線や、短絡を検出することもできる。
【0028】
受信回路27は、受信アンテナ29を介してトリガ装置などの外部機器から送信される信号を受信する。この信号には、送信機21に対する指令が含まれており、制御部25は指令に応じた処理を実行する。これにより、揮発性メモリ25cへの選択情報の書き込み等を行うことができる。
【0029】
次に、制御部25が送信データを送信する際に行う処理について説明する。制御部25は、受信機40に向けて定期的に送信データを送信する。
図5に示すように、ステップS1において、制御部25は、圧力センサ22及び温度センサ23から検出結果を取得する。
【0030】
次に、ステップS2において、制御部25は、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されているか否かを判定する。揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない場合、制御部25のリセット、強電界などの外来ノイズ、あるいは、ソフトウェアの不具合により揮発性メモリ25cに記憶された選択情報が消去されたと考えられる。制御部25のリセットは、例えば、ウォッチドッグタイマによる不具合の検出時、制御部25の温度が過剰に上昇した場合、揮発性メモリ25cに記憶されたデータに誤りが生じた場合、バッテリ30の電圧が著しく低下した場合に行われる。揮発性メモリ25cの選択情報が消去された場合、選択情報が記憶される記憶エリアは初期化され、プロトコルが未選択の状態になる。従って、制御部25は、リセットが行われたことを検出したり、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されているか否かを確認することで揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されているか否かの判定を行うことができる。
【0031】
ステップS2の処理が肯定の場合、制御部25はステップS3の処理を行う。ステップS2の処理が否定の場合、制御部25はステップS4の処理を行う。
制御部25は、ステップS3において、揮発性メモリ25cに記憶された選択情報によって示されるプロトコルに従ったフレームフォーマットで送信データの生成を行い、送信データの送信を行う。即ち、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されている場合、当該選択情報に基づき選択されたプロトコルに従った送信データが送信されることになる。本実施形態では、選択情報として、プロトコルに対応した符号を記憶しているため、制御部25は、揮発性メモリ25cに記憶された符号に対応するプロトコルを不揮発性メモリ25bから読み取り、送信データの生成を行う。選択情報に基づき選択されたプロトコルは、受信機40に対応したものであるため、受信機40に送信データを受信させることができる。
【0032】
制御部25は、ステップS4において、不揮発性メモリ25bに記憶された全てのプロトコルに従ったフレームフォーマットで送信データの生成を行い、送信データの送信を行う。即ち、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない場合、不揮発性メモリ25bに記憶された全てのプロトコルに従った送信データが送信されることになる。制御部25は、データを生成する際に、フラグを立てた即ちフラグを1にした送信データを生成する。フラグが1であることは、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていないことを示す情報といえる。
【0033】
図6に示すように、全てのプロトコルに従った送信データの送信が行われる場合、1回の送信タイミングで全てのプロトコルに従って送信データの送信を行ってもよい。この場合、各プロトコルに従った個別の送信データを生成し、定期的に各プロトコルに従った送信データの送信が行われるため、不揮発性メモリ25bに記憶されたプロトコルの数と同数の送信データが1回の送信タイミングで送信されることになる。
【0034】
図7に示すように、全てのプロトコルに従った送信データの送信が行われる場合、送信タイミング毎に、別々のプロトコルに従った送信データの送信を行うようにしてもよい。この場合、定期的に送信データを送信する毎に、別々のプロトコルに従った送信データを生成し、送信データの送信が行われる。これにより、各プロトコルに従った送信データが順番に送信されていくことになる。本実施形態の場合、例えば、プロトコルAに従った送信データの送信→プロトコルBに従った送信データの送信→プロトコルCに従った送信データの送信の順に、定期的に送信データの送信を行えばよい。
【0035】
図1に示すように、受信機40は、受信機用制御部41と、受信機用受信回路42と、受信アンテナ43とを備える。受信機用制御部41には、警報器44が接続されている。受信機用制御部41は、受信機用CPU41a及び受信機用記憶部41b(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなる。受信機用受信回路42は、各送信機21から受信アンテナ43を介して受信された送信データを復調して、受信機用制御部41に出力する。
【0036】
受信機用記憶部41bには、各車輪11に装着された送信機21のIDコードが記憶されている。これにより、送信機21と受信機40とが対応付けられている。受信機用制御部41は、受信機用受信回路42によって受信された送信データに含まれるIDコードと、受信機用記憶部41bに記憶されたIDコードとを照合する。照合の結果、送信データに含まれるIDコードと登録されたIDコードとが一致すると、受信機用制御部41は、送信データに含まれるデータを採用する。受信機用制御部41は、受信機40に対応付けられた送信機21より送信された送信データに含まれるデータから、タイヤ13の状態を把握する。受信機用制御部41は、タイヤ13の圧力が閾値を下回っている場合や、受信した送信データに含まれるフラグにより送信機21に異常が生じていると認識した場合には警報器(報知器)44にて報知を行う。警報器44としては、例えば、光の点灯や点滅によって報知を行う装置や、音によって報知を行う装置が用いられる。また、受信機用制御部41は、車両10の搭乗者が視認可能な表示器に、タイヤ13の状態を表示してもよい。なお、警報器44としては、タイヤ13に異常が生じた場合に報知を行うものと、送信機21に異常が生じた場合に報知を行うものを別々に設けてもよい。また、1つの警報器44でタイヤ13に異常が生じた場合の報知と、送信機21に異常が生じた場合の報知とを行ってもよい。
【0037】
本実施形態の作用について説明する。
揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されている場合、送信機21は受信機40に対応するプロトコルに従って送信データの送信を行う。これにより、受信機40に送信データを受信させることができる。
【0038】
揮発性メモリ25cに記憶された選択情報が消去されると、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない状態になる。すると、送信機21は不揮発性メモリ25bに記憶された全てのプロトコルに従って送信データの送信を行う。送信機21としては、不揮発性メモリ25bに記憶された複数種類のプロトコルのいずれかが受信機40に対応するものが選定されて車輪11に装着されている。全てのプロトコルのうちいずれかのプロトコルは、受信機40に対応したプロトコルといえる。従って、全てのプロトコルに従って送信データの送信を行うと、いずれかの送信データは受信機40に受信可能な送信データとなる。
【0039】
仮に、揮発性メモリ25cから選択情報が消去された場合に、受信機40で送信データを受信できなくなると、タイヤ13の圧力が過剰に低下した場合など、タイヤ13に異常が生じた場合であっても、その旨の報知を行うことができない。これに対し、本実施形態の送信機21では、揮発性メモリ25cから選択情報が消去された場合でも受信機40に送信データを受信させることができるため、揮発性メモリ25cから選択情報が消去された後にタイヤ13に異常が生じた場合であっても、その旨の報知を行うことができる。
【0040】
揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない場合、送信データのフラグにより受信機40に送信機21の異常を認識させることができる。受信機40は、フラグが1である送信データを受信すると、警報器44による警報を行う。
【0041】
本実施形態の効果について説明する。
(1)揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない場合、制御部25は、不揮発性メモリ25bに記憶された全てのプロトコルに従って送信データを送信する。揮発性メモリ25cに記憶された選択情報が消去された場合であっても、受信機40に送信データを受信させることができる。
【0042】
(2)選択情報として、選択されたプロトコルに対応する符号を揮発性メモリ25cに記憶している。プロトコル自体を揮発性メモリ25cに記憶する場合に比べて、選択情報を記憶するのに要する記憶容量を少なくすることができる。
【0043】
(3)選択情報が揮発性メモリ25cに記憶されていない場合、制御部25は、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていないことを示す情報を含んだ送信データを生成する。従って、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていないことを受信機40に認識させることができる。本実施形態では、受信機40は、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない場合、警報器44による報知を行う。このため、搭乗者に対して送信機21に異常が生じたことの報知を行える。
【0044】
(4)圧力センサ22や温度センサ23などの異常時に用いられるフラグを選択情報が記憶されていないことを示すフラグとして兼用している。従って、既存のフレームフォーマットに、圧力センサ22や温度センサ23などの異常時に用いられるフラグが存在している場合、フレームフォーマットを変更することなく、選択情報が記憶されていないことの報知を行うことができる。
【0045】
(5)受信機40で送信データを受信できなくなることを抑止するため、不揮発性メモリ25bに記憶された全てのプロトコルに従った送信データを常時送信することも考えられる。この場合、消費電力が大きく、バッテリ30の寿命が短くなる。これに対し、本実施形態の送信機21のように、揮発性メモリ25cから選択情報が消去された場合にのみ全てのプロトコルに従った送信データを送信することで、消費電力を小さくすることができる。従って、全てのプロトコルに従った送信データを常時送信する場合に比べて、バッテリ30の寿命が短くなることを抑制できる。
【0046】
(6)EEPROMやフラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリに選択情報を記憶する場合、送信機21の製造後に選択情報の書き込みをするのが困難である。これに対して、揮発性メモリ25cを用いることで、トリガ装置などの外部機器による選択情報の書き込みが容易である。
【0047】
また、一般に、複数種類のプロトコルから1つのプロトコルを選択する送信機21では、選択情報が揮発性メモリ25cに記憶される場合が多い。従って、EEPROMやフラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリに選択情報を記憶する場合に比べて、ハードウェアの変更を行わなくてもよく、製造コストの増加を抑制できる。
【0048】
なお、実施形態は、以下のように変更してもよい。
・制御部25は、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない場合に、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていないことを示す情報を含んだ送信データを送信しなくてもよい。
【0049】
・選択情報としては、複数種類のプロトコルに対応付けられた符号に代えて、プロトコル自体のデータを揮発性メモリ25cに格納するようにしてもよい。この場合、制御部25は、揮発性メモリ25cに記憶されているプロトコルを読み込み、送信データの生成を行う。
【0050】
・全てのプロトコルに従った送信データの送信が行われる場合、制御部25は、複数回に分けて送信データの送信を行ってもよい。例えば、プロトコルとして、8種類のプロトコルA,B,C,D,E,F,G,Hが不揮発性メモリ25bに記憶されているとする。
【0051】
揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない場合、1回の送信タイミングで4つのプロトコルに従った送信データの送信を行い、次に残りの4つのプロトコルに従った送信データの送信を行ってもよい。制御部25は、これを繰り返し行うことで全てのプロトコルに従った送信データの送信を行ってもよい。
【0052】
複数のプロトコルで、送信データが送信される頻度を異ならせてもよい。例えば、1回の送信タイミングで4つのプロトコルに従った送信データを送信する場合、4つのプロトコルのうち2つのプロトコルについては固定のプロトコルとし、残りの2つのプロトコルを送信タイミング毎に変更してもよい。例えば、プロトコルA,B,C,D→プロトコルA,B,E,F→プロトコルA,B,G,Hの順で送信データを送信してもよい。プロトコルA,Bとしては、流通数の多い受信機40に合わせたプロトコルを選択する。
【0053】
複数回に分けて送信データの送信を行う場合、送信タイミング毎に、プロトコルの種類や、プロトコルの数を変更してもよい。例えば、3つのプロトコルに従った送信データの送信を行った次の送信タイミングで、4つのプロトコルに従った送信データの送信を行ってもよい。
【0054】
1回の送信タイミングで複数種類のプロトコルに従った送信データを送信する場合、プロトコルがランダムに選択されるようにしてもよい。
また、全てのプロトコルを複数回に分けて送信しない場合であっても、プロトコルの頻度、1回の送信タイミングで送信されるプロトコルの種類などを適宜変更してもよい。
【0055】
・送信データが送信される送信タイミング同士の間隔は、一定でなくてもよい。この場合、送信タイミング同士の間隔は、ランダムに定められてもよい。
・選択情報が記憶されていない場合の揮発性メモリ25cの値は、00以外であってもよい。即ち、選択情報が記憶されていない場合の揮発性メモリ25cの値は、制御部25のリセットが生じたときに記憶されている値であればどのような値であってもよい。
【0056】
・揮発性メモリ25cに記憶されているデータは、複数の記憶エリアに同じデータが記憶されていてもよい。そのように構成すると、該当する複数の記憶エリアのデータを参照し、データが異なっていた場合に、意図せずにデータ化けが発生したものとして、ただちにリセットを行う、あるいは、多数決により正しいデータを判定することが可能になる。
【0057】
・制御部25は、選択情報が記憶されている場合には選択情報で指定されたプロトコル、選択情報が記憶されていない場合には全てのプロトコルに従った送信データを送信することができれば、どのような手順で処理を行ってもよい。
【0058】
・送信機21は、タイヤ13の状態のうちの1つを検出できるものであればよい。例えば、タイヤ13の圧力及びタイヤ13の温度のうちいずれかを検出できるものであればよい。また、送信機21によって検出が行われるタイヤ13の状態としては、圧力や温度以外であってもよい。この場合、検出を行いたい状態に合わせたセンサを送信機21に設ければよい。
【0059】
・送信データは、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない旨を受信機40に認識させるための専用のフラグを含んでいてもよい。即ち、圧力センサ22や温度センサ23の異常を受信機40に認識させるためのデータと、揮発性メモリ25cに選択情報が記憶されていない旨を受信機40に認識させるためのデータは異なっていてもよい。
【0060】
・各プロトコルで、送信データの送信間隔、圧力データや温度データの分解能、フレームフォーマットに含まれるデータの種類などが異なっていてもよい。
・車両は、二輪車や、5つ以上の車輪11を備える車両であってもよい。
【0061】
・受信機40は、車両10の搭乗者が所持する携帯端末であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…車両、11…車輪、13…タイヤ、21…送信機、25b…不揮発性メモリ、25c…揮発性メモリ、26…送信回路(送信部)、40…受信機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7