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特許7026283識別コード及びこれを用いた紙媒体文書電子化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-16
(45)【発行日】2022-02-25
(54)【発明の名称】識別コード及びこれを用いた紙媒体文書電子化システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20220217BHJP
   G06K 19/08 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
G06K19/06 056
G06K19/06 131
G06K19/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021173457
(22)【出願日】2021-10-22
【審査請求日】2021-11-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508233032
【氏名又は名称】松本 敏男
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏男
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-61281(JP,A)
【文献】特開平7-254037(JP,A)
【文献】特開2015-125549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0220717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報の担体となる識別コードであって、
コード提示部と、基準位置提示部と、を備え、
前記コード提示部は、第1コード提示部と、第2コード提示部と、を有し、
前記第1コード提示部及び前記第2コード提示部は、複数の二値情報提示部を含み、
前記第1コード提示部は、前記所定の情報の一部又は全部を、複数の前記二値情報提示部が示す各値の組合せに基づいて提示し、
前記第2コード提示部は、前記所定の情報の一部又は全部を、複数の前記二値情報提示部のうち一つだけ1の値を示す前記二値情報提示部の相対位置に基づいて提示することを特徴とする識別コード。
【請求項2】
前記二値情報提示部は、その色彩の明暗によって二値情報を提示することを特徴とする請求項1に記載の識別コード。
【請求項3】
前記二値情報提示部は、二値情報提示線分及び/又は略閉曲線状の二値情報提示セルを複数含むことを特徴とする請求項2に記載の識別コード。
【請求項4】
前記第1コード提示部は、複数の前記二値情報提示セルから構成され、
前記第2コード提示部は、複数の前記二値情報提示線分から構成されていることを特徴とする請求項3に記載の識別コード。
【請求項5】
前記第1コード提示部及び前記第2コード提示部は、複数の前記二値情報提示セルから構成され、
前記第1コード提示部を構成する複数の前記二値情報提示セルと、前記第2コード提示部を構成する複数の前記二値情報提示セルと、はそれぞれ異なる形状に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の識別コード。
【請求項6】
前記基準位置提示部は、コード描画範囲の略中心を提示する中心提示図形と、コード描画範囲の方位を提示する方位提示図形を有することを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の識別コード。
【請求項7】
請求項2~6の何れかに記載の識別コードを描画するための識別コードテンプレート。
【請求項8】
請求項2~7の何れかに記載の識別コード又は識別コードテンプレートを含む印字面と、
接着面と、を備える識別ステッカー。
【請求項9】
請求項2~6の何れかに記載の識別コードを用いる紙媒体文書電子化システムであって、
前記識別コードを含む紙媒体文書の内容を光学的に読み取り、前記紙媒体文書を画像文書データに変換する読取手段と、
前記画像文書データに含まれる前記識別コードの画像情報を認識するコード認識手段と、
前記識別コードの画像情報を格納先指定情報に変換するコード変換手段と、
前記画像文書データを前記格納先指定情報が指定する格納先に格納する格納手段と、を備える、紙媒体文書電子化システム。
【請求項10】
請求項2~6の何れかに記載の識別コードを用いる紙媒体文書電子化プログラムであって、コンピュータを、
前記識別コードを含む紙媒体文書の内容を光学的に読み取り、前記紙媒体文書を画像文書データに変換する読取手段と、
前記画像文書データに含まれる前記識別コードの画像情報を認識するコード認識手段と、
前記識別コードの画像情報を格納先指定情報に変換するコード変換手段と、
前記画像文書データを前記格納先指定情報が指定する格納先に格納する格納手段と、として機能させる、紙媒体文書電子化プログラム。
【請求項11】
請求項2~6の何れかに記載の識別コードを用いる紙媒体文書電子化方法であって、
前記識別コードを含む紙媒体文書の内容を光学的に読み取り、前記紙媒体文書を画像文書データに変換する読取ステップと、
前記画像文書データに含まれる前記識別コードの画像情報を認識するコード認識ステップと、
前記識別コードの画像情報を格納先指定情報に変換するコード変換ステップと、
前記画像文書データを前記格納先指定情報が指定する格納先に格納する格納ステップと、を含むことを特徴とする、紙媒体文書電子化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙媒体文書の管理を容易にするための、識別コード及び文書電子化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙媒体による書類の管理は、体積がかさむ、検索性が劣る、等の不便な面があることに加え、クラウド・ストレージ等の利便性向上や、紙の原料となる森林の保護という観点からも、オフィスにおけるペーパレス化が政府主導で推進されている。
【0003】
しかし、これからペーパレスを目指す際に、既存の紙媒体の書類を一つ一つスキャナで読み込むたびに各書類の名称や収納先等を指定するのは能率が悪く、大変な手間がかかる。
【0004】
これに対し、特許文献1には、登録対象の文書から文書情報とコード情報を読み取って電子文書ファイルを生成すると共に、生成したファイルを、読み取ったコード情報に基づいて定めたファイル名で記憶させることが可能な文書登録システムが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、紙書類が物理的に格納されている箱の場所を特定する場所識別子に対応するコードを読み取った結果である読取結果と、箱に格納されている1以上の紙書類を電子化した1以上の電子書類と、を対応付けて蓄積することが可能な書類処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-134723号公報
【文献】特開2019-200696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように「ペーパレス」の動きは加速しつつあるが、紙媒体への需要も未だ強く、中々、オフィスから紙媒体は消えそうにも無い。
特に、既存の紙媒体の書類には、現物性や緊急性の重視という観点から紙媒体として手元に置いておかざるを得ないものもあり、こういった書類は人の手で管理されることが多い。
【0008】
この点、上記した特許文献に記載の発明で用いられるコードは、バーコードや2次元コード等、機械による認識は容易であっても人の目では判別のつけにくいコードであり、電子化しきれない紙媒体書類を人の手で管理する場合の一助とはならない。
【0009】
これに対し、文字や数字でファイルを分類しようとすると、人の目には認識が容易であっても、機械による認識が難しく、誤認識や、システムの複雑化、高額化につながる。
【0010】
本発明は、上記のような状況を鑑みて考案されたものであり、機械と人の双方にとって認識しやすい識別コードを提供し、更にはこの識別コードを用いた紙媒体文書電子化システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、所定の情報の担体となる識別コードであって、
コード提示部と、基準位置提示部と、を備え、
前記コード提示部は、第1コード提示部と、第2コード提示部と、を有し、
前記第1コード提示部及び前記第2コード提示部は、複数の二値情報提示部を含み、
前記第1コード提示部は、前記所定の情報の一部又は全部を、複数の前記二値情報提示部が示す各値の組合せに基づいて提示し、
前記第2コード提示部は、前記所定の情報の一部又は全部を、複数の前記二値情報提示部のうち一つだけ1の値を示す前記二値情報提示部の相対位置に基づいて提示することを特徴とする。
【0012】
このような構成とすることで、第1コード提示部及び第2コード提示部が、機械読み取りに適した二値情報を提示することに加え、第1コード提示部が、複数の二値情報提示部の各値の組合せに基づいて情報を提示することで、多くの情報を提示できるのに対し、第2コード提示部が、多肢択一的に情報を提示することで、情報の量は少なくなるものの、人にとっても簡便に判読可能になる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記二値情報提示部は、その色彩の明暗によって二値情報を提示することを特徴とする。
【0014】
このような構成とすることで、本発明の識別コードは、光学的な読み取りに特に適した態様となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記二値情報提示部は、二値情報提示線分及び/又は閉曲線状の二値情報提示セルを複数含むことを特徴とする。
【0016】
このような構成とすることで、使用者は、セルを塗りつぶす、線分をなぞって太くすることで簡単に二値情報を編集することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記第1コード提示部は、複数の前記二値情報提示セルから構成され、前記第2コード提示部は、複数の前記二値情報提示線分から構成されていることを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることで、第1コード提示部と、第2コード提示部と、が視覚的に明確に区別されるため、識別コードを人の目で判読しやすくなる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記第1コード提示部及び前記第2コード提示部は、複数の前記二値情報提示セルから構成され、前記第1コード提示部を構成する複数の前記二値情報提示セルと、前記第2コード提示部を構成する複数の前記二値情報提示セルと、はそれぞれ異なる形状に構成されていることを特徴とする。
【0020】
このような構成とすることで、第1コード提示部と、第2コード提示部と、が視覚的に明確に区別されるため、識別コードを人の目で判読しやすくなる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記基準位置提示部は、コード描画範囲の略中心を提示する中心提示図形と、コード描画範囲の方位を提示する方位提示図形を有することを特徴とする。
【0022】
このような構成とすることで、識別コードがいかなる向きで提示された場合でも、正しい向きのコードが認識されるため、コード認識の精度を高めることができる。
【0023】
また、本発明は、上記した何れかの識別コードを描画するための識別コードテンプレートである。
【0024】
本発明によれば、識別コードテンプレートを予め文書の表紙等に印字しておくことで、使用者は、該文書の識別コードを手元で簡単に描画・編集可能になる。
【0025】
また、本発明は、上記した何れかの識別コード又は識別コードテンプレートを含む印字面と、接着面と、を備える識別ステッカーである。
【0026】
本発明によれば、既存の紙媒体文書に貼付するだけで、既存の紙媒体文書を本発明の識別コードによって管理することが可能になる。
【0027】
また、本発明は、上記した何れかに記載の識別コードを用いる紙媒体文書電子化システムであって、
前記識別コードを含む紙媒体文書の内容を光学的に読み取り、前記紙媒体文書を画像文書データに変換する読取手段と、
前記画像文書データに含まれる前記識別コードの画像情報を認識するコード認識手段と、
前記識別コードの画像情報を格納先指定情報に変換するコード変換手段と、
前記画像文書データを前記格納先指定情報が指定する格納先に格納する格納手段と、を備える。
【0028】
本発明によれば、本発明の識別コードを含む紙媒体文書を、スキャナに読み取らせるだけで、読み取り変換後の画像文書データを既定の格納先に自動的に格納することができる。
【0029】
また、本発明は、上記した何れかに記載の識別コードを用いる紙媒体文書電子化プログラムであって、コンピュータを、
前記識別コードを含む紙媒体文書の内容を光学的に読み取り、前記紙媒体文書を画像文書データに変換する読取手段と、
前記画像文書データに含まれる前記識別コードの画像情報を認識するコード認識手段と、
前記識別コードの画像情報を格納先指定情報に変換するコード変換手段と、
前記画像文書データを前記格納先指定情報が指定する格納先に格納する格納手段と、として機能させる。
【0030】
また、本発明は、上記した何れかに記載の識別コードを用いる紙媒体文書電子化方法であって、
前記識別コードを含む紙媒体文書の内容を光学的に読み取り、前記紙媒体文書を画像文書データに変換する読取ステップと、
前記画像文書データに含まれる前記識別コードの画像情報を認識するコード認識ステップと、
前記識別コードの画像情報を格納先指定情報に変換するコード変換ステップと、
前記画像文書データを前記格納先指定情報が指定する格納先に格納する格納ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、機械と人の双方にとって認識しやすい識別コードを提供し、更にはこの識別コードを用いた紙媒体文書電子化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態における識別コードの一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態における識別コードの一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態における識別コードテンプレートの一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態における紙媒体文書電子化システムの概念図である。
図5】本発明の実施形態において、紙媒体文書を電子化する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図1図3を用いて本発明の実施形態に係る識別コード及び識別コードテンプレートについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号Xaは本実施形態に係る識別コード、Xbは識別コードテンプレート、Xcは識別ステッカー、Xdは紙媒体文書電子化システムを示す。
【0034】
本明細書中で、「二値情報」とは、0又は1のような二値のうち、何れかの値に対応する情報及びその組合せのことを指す。
また、「二値情報提示」とは、二値情報を、何らかの手段で提示することであり、色彩の明暗、パンチ穴の有無等の提示手段が想定される。
【0035】
例えば、本実施形態では、白(又は黒よりは白に近い色や点線)を0、黒(又は白よりは黒に近い色や実線)を1、に対応させることで各二値情報を提示するが、この対応関係は逆であってもよいし、機械による読み取りと人の目による判読に差し支えない限りはどのような色、どのような提示手段を使用してもよい。
【0036】
図1に示すように、識別コードXaは、コード提示部1と、基準位置提示部2と、を備える。
【0037】
コード提示部1は、第1コード提示部11と、第2コード提示部12と、を有する。
【0038】
第1コード提示部11は、複数の二値情報提示部として、複数の二値情報提示セル11a、11b、11c、11d,11e、11f(以下、11a~11f)を含む。
二値情報提示セル11a~11fは、その一部又は全部のセルが黒く塗りつぶされていることで、白いセルと黒いセルの組合せに基づく所定の情報を提示する。
例えば、本実施形態において、二値情報提示セル11a~11fは、順に(白,黒,白,黒,白,黒)と塗り分けられており、即ち(0,1,0,1,0,1)という二値情報の組合せを提示している。
【0039】
本実施形態で、第1コード提示部11は、全部で6個の二値情報提示セル11a~11fから構成されており、この6つのセルの白黒の組合せによって、2の6乗、即ち64通りの情報を提示することができる。
なお、セルの数は特に限定されないが、より多くの情報を提示するためには5個以上が好ましく、人の目で判読しやすくするには6個以下が好ましい。
また、本実施形態において、二値情報提示セル11a~11fの形状は、長方形をしているが、円形、楕円形、正方形等、その他略閉曲線状の図形であれば何でもよいし、略閉曲線状の図形が認識できれば、点線、破線等その他の線で構成されてもよい。
【0040】
第2コード提示部12は、複数の二値情報提示部として二値情報提示線分12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h(以下、12a~12h)を含む。
二値情報提示線分12a~12hは、そのうち一つの線分のみが黒く太く塗られており、塗られている線分の相対位置に基づいて、多肢択一的に所定の情報を提示する。
例えば、本実施形態において、二値情報提示線分12bのみが黒く太く塗られており、これは(0,1,0,0,0,0,0,0)という二値情報を提示している。
【0041】
本実施形態で、第2コード提示部12は、全部で8本の二値情報提示線分12a~12hから構成されており、黒く塗られた線分の相対位置によって、8通りの情報を人の目にも判読しやすく提示することができる。
また、先述した第1コード提示部11と、第2コード提示部12と、を組み合わせることで、64と8の積である512通りもの情報を提示することができる。
なお、線分の数は特に限定されないが、線分の数が多くなりすぎると、人の目での判読がしにくくなるため、8本以下が好ましい。
【0042】
また、本実施形態で、二値情報提示線分12a~12hは、点線で描画されているが、黒よりは白に近い灰色の実線、即ち、機械読み取りで白と認識される程度には明るい灰色の実線で描画されていてもよい。
【0043】
また、二値情報提示線分12a~12hは、略放射状、略点対称に配置されていることで、人にとっても、機械にとっても、黒い線分の相対位置をより認識しやすくなる。
【0044】
基準位置提示部2は、中心提示図形21と、方位提示図形22と、を含む。
【0045】
本実施形態で、中心提示図形21は、黒い円である。コード描画領域において、中心提示図形21以外には同様の図形、即ち黒い円がないため、中心提示図形21が黒い円であることを知っていれば、ここが中心であることが容易に認識できる。
なお、中心提示図形21は、コード描画領域において、その他に類似の図形がないものであればどのような図形であってもよい。
【0046】
本実施形態で、方位提示図形22は、逆L字型の黒い図形である。コード描画領域においてその他に類似の図形がないことに加えて、点対称性がないため、方位提示図形22の向きを基準として、コードの正しい向きを容易に認識できる。
【0047】
なお、逆L字型の方位提示図形22は、コード描画領域において、その他に類似の図形がないため、コード描画領域における基準位置も提示している。
即ち、方位提示図形22は、向き及び基準位置の両方を提示しており、実施形態によっては、単独で基準位置提示部2となりうる。
【0048】
図2は、識別コードXaの、他の実施形態を示す図である。
図1に示す識別コードXaとの違いは、図2に示す識別コードXaの第2コード提示部12が、二値情報提示線分ではなく、全部で8個の二値情報提示セル12s、12t、12u、12v、12w、12x、12y、12z(以下、12s~12z)から構成されている点である。
【0049】
二値情報提示セル12s~12zは、全部で8個のセルのうち一つのセルのみが黒く塗られており、黒く塗られたセルの相対位置に基づいて、多肢択一的に所定の情報を提示する。
例えば、本実施形態において、二値情報提示線分12uのみが黒く塗られており、これは(0,0,1,0,0,0,0,0)という二値情報を提示している。
なお、セルの数は特に限定されないが、セルの数が多くなりすぎると、人の目での判読がしにくくなるため、8個以下が好ましい。
【0050】
また、二値情報提示セル12s~12zと、二値情報提示セル11a~11fと、はそれぞれ異なる形状に構成されている。
本実施形態では、二値情報提示セル12s~12zは略扇形、二値情報提示セル11a~11fは長方形であるが、二値情報提示セル12s~12zと、二値情報提示セル11a~11fと、がそれぞれ異なる形状であれば、いずれのセルの形状も限定されない。
【0051】
また、二値情報提示セル12s~12zは、略放射状、略点対称に配置されていることで、人にとっても、機械にとっても、黒いセルの相対位置をより認識しやすくなる。
【0052】
図1及び図2で示した、二値情報提示線分12a~12hと、二値情報提示セル12s~12zと、を比較すると、線分はセルよりも容易に編集でき、セルは線分よりも認識しやすい、というように、双方に利点がある。
【0053】
図3は、識別コードXaを描画するための識別コードテンプレートXbの例を示す図である。
【0054】
識別コードテンプレートXbは、識別コードXaと同様に、コード提示部1と、基準位置提示部2と、を備え、
コード提示部1は、第1コード提示部11と、第2コード提示部12と、を有し、
第1コード提示部11は、複数の二値情報提示セル11a~11fを含み、
第2コード提示部12は、複数の二値情報提示線分12a~12hを含み、
基準位置提示部2は、中心提示図形21と、方位提示図形22を有する。
【0055】
ただし、識別コードテンプレートXbは、識別コードXaとは違い、二値情報提示セル11a~11f及び/又は二値情報提示線分12a~12hの全部が、0の値を示す(白色及び点線である)。
【0056】
即ち、使用者は、識別コードテンプレートXbに含まれる二値情報提示セル11a~11f及び/又は二値情報提示線分12a~12hの一部を黒く塗ることで、所定の情報を示す識別コードXaを容易に描画することができる。
【0057】
識別ステッカーXcは、図1図3の何れかに示したような識別コードXa又は識別コードテンプレートXbを含む印字面と、接着面と、を備える。
【0058】
以下、図4図5を用いて、本発明の実施形態に係る識別コードXaを用いた紙媒体文書電子化システムを説明する。
【0059】
図4に示すように、紙媒体文書電子化システムXdは、識別コードXaを含む紙媒体文書dの内容を光学的に読み取り、紙媒体文書dを画像文書データに変換する読取手段m1と、読み取った画像文書データに含まれる識別コードXaの画像情報を認識するコード認識手段m2と、識別コードXaの画像情報を格納先指定情報に変換するコード変換手段m3と、画像文書データを格納先指定情報が指定する格納先に格納する格納手段m4と、を備える。
【0060】
紙媒体文書dに、識別コードXaを直接印字する、識別コードXaが印字された識別ステッカーXcを貼付する、識別コードテンプレートXbを直接印字して識別コードXaを描画する、識別コードテンプレートXbが印字された識別ステッカーXcを貼付して識別コードXaを描画する、等の方法で識別コードXaを含む紙媒体文書dを作成することができる。
【0061】
本システムの使用者は、まず、上記したような方法で、紙媒体文書dに識別コードXaを導入した後、読取手段m1に紙媒体文書dを光学的に読み取らせる。
【0062】
読取手段m1は、光学的に読み取った紙媒体文書dの内容を、更に画像文書データに変換する。
【0063】
コード認識手段m2は、読取手段m1によって光学的に読み取られた紙媒体文書dの画像文書データに含まれる識別コードXaを、中心提示図形21と、方位提示図形22を有する基準位置提示部2に基づいて認識する。
【0064】
コード変換手段m3は、コード認識手段m2によって認識された識別コードXaに含まれる二値情報提示セル11a~11f及び二値情報提示線分12a~12hが示す二値情報を、紙媒体文書dの画像文書データの格納先を指定する、格納先指定情報に変換する。
なお、所定の二値情報に対応する格納先は、使用者によって予め設定されている。
【0065】
格納手段m4は、コード変換手段m3によって得られた格納先指定情報に基づいて、紙媒体文書dの画像文書データを、格納先指定情報が指定する格納先に格納する。
【0066】
図4では、紙媒体文書dの画像文書データが、二値情報提示線分12a~12hのうち黒い線分の相対位置に応じて、パターンp1、p2、p3、p4、p5、p6、p7、p8(以下、p1~p8)の8通りに格納/送信される様子を示している。
なお、先述したように、第1コード提示部11で64通り、第2コード提示部12で8通りの情報を提示できるため、この組み合わせにより、識別コードXaは、最大で512通りの格納/送信先を指定することができる。
【0067】
また、第1コード提示部11に例えば、組織の「部」としての識別8通りと「課」としての識別8通りを提示させ、紙媒体文書dの所属部課を識別し、第2コード提示部12に、部課内での格納先8通りを提示させる運用等も可能である。
【0068】
パターンp1~p5で指定された格納先は、クラウド・ストレージやコンピュータの記憶装置内に設けられたデータフォルダである。
【0069】
パターンp6~p8は、紙媒体文書dの内容を、メールやFAXにて送信することを想定したパターンである。
【0070】
パターンp6は、紙媒体文書dの内容を、光学文字認識(OCR)等でメールファイルに変換して送信するパターンである。
【0071】
パターンp7は、紙媒体文書dの画像文書データを、メールの添付ファイルとして格納するパターンである。
【0072】
また、パターンp6、p7においては、紙媒体文書dを紙媒体文書電子化システムXdに読み取らせることで、予め設定されたメールアドレスに、紙媒体文書dの内容を直接送信することも可能である。
【0073】
また、パターンp8は、紙媒体文書dの内容を、予め設定されたFAX番号にFAX送信するパターンである。
【0074】
図5は、紙媒体文書dを電子化する処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、読取手段m1は、紙媒体文書dの内容を光学的に読み取り、この内容を画像文書データに変換する。
【0075】
次に、ステップS2において、コード認識手段m2は、紙媒体文書dが変換された画像文書データ中の、識別コードXaの描画領域を、基準位置提示部2に基づいて認識する。
【0076】
次に、ステップS3において、コード変換手段m3は、紙媒体文書dが変換された画像文書データ中の、識別コードXaの画像情報を、紙媒体文書dの画像文書データの格納先を指定する、格納先指定情報に変換する。
【0077】
最後に、ステップS4において、格納手段m4は、コード変換手段m3によって得られた格納先指定情報に基づいて、紙媒体文書dの画像文書データを、格納先指定情報が指定する格納/送信先に格納/送信する。
【0078】
以上から、使用者は、識別コードXaを含む紙媒体文書dを、紙媒体文書電子化システムXdの読取手段m1に読み取らせるだけで、紙媒体文書dの内容を電子化し、所定の格納/送信先に格納/送信することが可能である。
【0079】
なお、識別コードXaは、複数枚の紙媒体からなる紙媒体文書dの表紙のみに含まれていてもよく、紙媒体文書電子化システムXdは、複数枚の紙媒体からなる紙媒体文書dを、ひとまとまりの画像文書データに変換するように設定することも可能である。
この場合、紙媒体文書電子化システムXdは、新しくコードが読み込まれることを転機として、新しいコードが読み込まれる前後の紙媒体のまとまりを、別々の紙媒体文書dとして画像文書データに変換する。
このようにすることで、本システムの使用者は、膨大な数の紙媒体一枚一枚に識別コードXaをいちいち導入する必要なく、複数種類の紙媒体文書dを簡便に電子化することが可能となる。
【0080】
本実施形態によれば、第1コード提示部11が、所定の情報の一部を、二値情報提示セル11a~11fが示す各値の組合せに基づいて提示し、第2コード提示部12が、所定の情報の一部を、二値情報提示線分12a~12h又は二値情報提示セル12s~12zのうち一つだけ1の値を示す線分の相対位置に基づいて提示することで、機械と人の双方にとって認識しやすい識別コードXaが提供される。
【0081】
また、二値情報提示セル11a~11f、12s~12z及び二値情報提示線分12a~12hが、その色彩の明暗によって二値情報を提示することで、識別コードXaは、光学的な読み取りに特に適した態様となる。
【0082】
また、二値情報提示部が、二値情報提示線分12a~12h及び/又は閉曲線状の二値情報提示セル11a~11f、12s~12zを複数含むことで、識別コードXaの使用者は、セルを塗りつぶす、線分をなぞって太くすることで簡単に二値情報を編集することができる。
【0083】
また、第1コード提示部11が、複数の二値情報提示セル11a~11fから構成され、第2コード提示部12が、複数の二値情報提示線分12a~12hから構成されていることで、第1コード提示部11と、第2コード提示部12と、が視覚的に明確に区別されるため、識別コードXaを人の目で判読しやすくなる。
【0084】
また、第1コード提示部11及び前記第2コード提示部12が、二値情報提示セルから構成され、第1コード提示部11を構成する複数の二値情報提示セル11a~11fと、第2コード提示部12を構成する複数の二値情報提示セル12s~12zと、はそれぞれ異なる形状に構成されていることで、第1コード提示部と、第2コード提示部と、が視覚的に明確に区別されるため、識別コードXaを人の目で判読しやすくなる。
【0085】
また、基準位置提示部2が、コード描画範囲の略中心を提示する中心提示図形21と、コード描画範囲の方位を提示する方位提示図形22を有することで、識別コードXaがいかなる向きで提示された場合でも、正しい向きのコードが認識されるため、機械によるコード認識の精度を高めることができる。
【0086】
また、識別コードテンプレートXbを予め文書の表紙に印字しておくことで、使用者は、該文書の識別コードXaを手元で簡単に描画・編集可能になる。
【0087】
また、上記した何れかの識別コードXa又は識別コードテンプレートXbを含む印字面と、接着面と、を備える識別ステッカーXcを既存の紙媒体文書に貼付するだけで、既存の紙媒体文書を識別コードXaによって管理することが可能になる。
【0088】
なお、上述の実施形態において示した各構成や機能は、あくまでも一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
また、上記した識別コードXa、識別コードテンプレートXb、識別ステッカーXc、は、紙媒体文書の電子化に限らず、人と機械が協働する幅広い場面において、利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
Xa 識別コード
1 コード提示部
11 第1コード提示部
11a、11b、11c、11d、11e、11f 二値情報提示セル
12 第2コード提示部
12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h 二値情報提示線分
12s、12t、12u、12v、12w、12x、12y、12z 二値情報提示セル
2 基準位置提示部
21 中心提示図形
22 方位提示図形
Xb 識別コードテンプレート
Xc 識別ステッカー
Xd 紙媒体文書電子化システム

【要約】
【課題】機械と人の双方にとって認識しやすい識別コードを提供し、更にはこの識別コードを用いた紙媒体文書電子化システムを提供すること。
【解決手段】コード提示部1と、基準位置提示部2と、を備え、コード提示部1は、第1コード提示部11と、第2コード提示部12と、を有し、第1コード提示部11及び第2コード提示部12は、複数の二値情報提示部を含み、第1コード提示部11は、所定の情報の一部又は全部を、複数の二値情報提示部が示す各値の組合せに基づいて提示し、第2コード提示部は、所定の情報の一部又は全部を、複数の二値情報提示部のうち一つだけ1の値を示す二値情報提示部の相対位置に基づいて提示する識別コードXa。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5