(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】アナログ保持治具
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
(21)【出願番号】P 2020203006
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2021-02-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517044384
【氏名又は名称】株式会社E-Joint
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】藤川 知
(72)【発明者】
【氏名】夏堀 礼二
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05350297(US,A)
【文献】特開2014-061412(JP,A)
【文献】特開2016-049416(JP,A)
【文献】特表2018-519947(JP,A)
【文献】特表2021-508280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00 - 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用アナログ(3)を保持するための保持部本体(5)と,
前記保持部本体(5)と連結し,アナログガイド(7)と接続するためのアナログガイド用接続部(9)とを有し,
顎部分モデル(11)に対し,前記アナログガイド(7)を介して,前記歯科用アナログ(3)を植立するために用いられ
,
前記アナログガイド用接続部(9)は,円盤状のすそ部分(4)と,前記円盤状のすそ部分(4)から外周方向に飛び出た突起部(6)とを有する,
アナログ保持治具(13)。
【請求項2】
請求項1に記載のアナログ保持治具(13)であって,
前記保持部本体(5)は,前記歯科用アナログ(3)と係合する係合部(2)を有する,
アナログ保持治具(13)。
【請求項3】
顎部分モデル(11)に対し,歯科用アナログ(3)を植立するために用いられるアナログガイド(7)であって,
前記顎部分モデル(11)に設置可能な形状を有するアナログガイド本体(15)と,
前記アナログガイド本体(15)に設けられ,アナログ保持治具(13)のアナログガイド用接続部
(9)と接続されて,前記アナログ保持治具(13)に保持された歯科用アナログ(3)を前記顎部分モデル(11)のアナログ設置位置に向けさせるための,アナログ保持治具接続部(17)と,を有
し,
前記アナログガイド用接続部(9)は,円盤状のすそ部分(4)と,前記円盤状のすそ部分(4)から外周方向に飛び出た突起部(6)とを有するものであり,
前記アナログ保持治具接続部(17)は,前記円盤状のすそ部分(4)と前記突起部(6)に対応した窪みを有する,
アナログガイド(7)。
【請求項4】
請求項3に記載のアナログガイド(7)であって,
前記アナログガイド本体(15)は,前記アナログ保持治具接続部(17)に隣接し,歯冠部に係合するための歯冠係合部(12,14)と,
前記歯冠係合部(12,14)と前記アナログ保持治具接続部(17)とを連結する連結部(16)とを有する,アナログガイド(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,歯科用治具などに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6208905号公報には,スキャン用治具が記載されている。このようにインプラントを製造する際に,スキャン用治具を用いることは知られている。例えば,特許第6161048号公報インプラントを製造する際に,歯科用アナログ(インプラントアナログ)が用いられる。歯科用アナログを顎部分モデルに設置する際に,歯科用アナログの角度や位置の調整が難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6208905号公報
【文献】特許第6161048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため,歯科用アナログを顎部分モデルに設置しやすくする治具などが望まれた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は,アナログ保持治具に関する。
アナログ保持治具は,歯科用アナログ3を保持し,顎部分モデル11に対してアナログガイド7を介して歯科用アナログ3を植立するために用いられる装置である。
アナログ保持治具13は,歯科用アナログ3を保持するための保持部本体5と,保持部本体5と連結し,アナログガイド7と接続するためのアナログガイド用接続部9とを有する。
【0006】
第2の発明は,アナログガイドに関する。
アナログガイドは,顎部分モデル11に対し,歯科用アナログ3を植立するために用いられる装置である。
アナログガイド7は,アナログガイド本体15とアナログ保持治具接続部17と,を有する。
アナログガイド本体15は,顎部分モデル11に設置可能な形状を有する部位である。
アナログ保持治具接続部17は,アナログガイド本体15に設けられ,アナログ保持治具13のアナログガイド7用接続部と接続されて,アナログ保持治具13に保持された歯科用アナログ3を顎部分モデル11のアナログ設置位置に向けさせるための部位である。
【0007】
第3の発明は,アナログガイドの製造情報の取得方法に関する。
この方法は,アナログガイドを製造するために必要なアナログガイドの3次元情報を含む情報を得るための方法である。
この方法は,3Dスキャン画像取得工程と,3Dスキャン画像解析工程と,アナログガイドの製造情報取得工程とを含む。
3Dスキャン画像取得工程は,スキャン用治具21が埋立された患者の顎部分23の3Dスキャン画像25を取得するための工程である。
3Dスキャン画像解析工程は,3Dスキャン画像取得工程で取得した顎部分23の3Dスキャン画像25を解析し,顎部分情報と治具部分情報を得るための工程である。
アナログガイドの製造情報取得工程は,3Dスキャン画像解析工程で得た顎部分情報及び,治具部分情報を用いて,アナログガイドの製造情報を取得するための工程である。
【0008】
第4の発明は,アナログガイドの製造方法に関する。
このアナログガイドの製造方法は,上記したアナログガイドの製造情報取得方法に基づいて取得されたアナログガイドの製造情報を用いてアナログガイド7を製造する工程を含む。
【0009】
第5の発明は,インプラント用3D模型の製造方法に関する。
この方法は,3Dスキャン画像取得工程と,3Dスキャン画像解析工程と,アナログガイドの製造情報取得工程と,アナログガイド製造工程と,顎部分モデルの製造情報取得工程と,顎部分モデル製造工程と,歯科用アナログ植立工程とを含む。
3Dスキャン画像取得工程は,スキャン用治具21が埋立された患者の顎部分23の3Dスキャン画像25を取得するための工程である。
3Dスキャン画像解析工程は,3Dスキャン画像取得工程で取得した顎部分23の3Dスキャン画像25を解析し,顎部分情報と治具部分情報を得るための工程である。
アナログガイドの製造情報取得工程は,3Dスキャン画像解析工程で得た顎部分情報及び,治具部分情報を用いて,アナログガイド7の製造情報を得るための工程である。
アナログガイド製造工程は,アナログガイドの製造情報取得工程で取得されたアナログガイド7の製造情報を用いてアナログガイド7を製造するための工程である。
顎部分モデルの製造情報取得工程は,3Dスキャン画像解析工程で得た顎部分情報に基づいて,顎部分モデルの製造情報を取得するための工程である。
顎部分モデル製造工程は,顎部分モデルの製造情報取得工程で得られた顎部分モデルの製造情報に基づいて顎部分モデルを製造するための工程である。
歯科用アナログ植立工程は,歯科用アナログ3をアナログ保持治具13に装着し,アナログガイド7を用いて,顎部分モデルに歯科用アナログ3を植立するための工程である。
【発明の効果】
【0010】
歯科用アナログを顎部分モデルに設置しやすくする治具などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3は,アナログガイドにアナログ保持治具を装着した様子を示す概念図である。
【
図4】
図4は,歯科用アナログ,アナログ保持治具及びアナログガイドを装着した様子を示す概念図である。
【
図5】
図5は,スキャン用治具が埋立された患者の顎部分の3Dスキャン画像の例を示す概念図である。
【
図6】
図6は,歯科用アナログをアナログ保持治具に装着し,アナログガイドを用いて,顎部分モデルに歯科用アナログを植立した様子を示す概念図である。
【
図7】
図7は,口腔内のスキャンデータを示す図である。
【
図8】
図8は,デジタルスキャンデータを示す概念図である。
【
図9】
図9は,インプラント体の位置と顎形状を示す概念図である。
【
図10】
図10は,アナログガイドの形状データを示す概念図である。
【
図11】
図11は,実施例で得られたアナログガイドの図面に代わる写真である。
【
図13】
図13は,顎モデルのデザインデータを示す概念図である。
【
図14】
図14は,顎部分モデルを示す図面に代わる写真である。
【
図16】
図16は,アナログガイドを顎部分モデルにフィットさせた様子を示す図面に代わる写真である。
【
図17】
図17は,アナログガイドを顎部分モデルにフィットさせたシミュレーションの様子を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0013】
図1は,アナログ保持治具の概念図である。アナログ保持治具は,歯科用アナログ3を保持し,顎部分モデル11に対してアナログガイド7を介して歯科用アナログ3を植立するために用いられる装置(ピックアップデバイス:PUD)である。歯科用アナログは,インプラントアナログともよばれる治具である(特許第6161048号公報参照)。
図1に示される通り,アナログ保持治具13は,歯科用アナログ3を保持するための保持部本体5と,保持部本体5と連結し,アナログガイド7と接続するためのアナログガイド用接続部9とを有する。
【0014】
図1の例では,保持部本体5は,筒状の胴体部と,胴体部の上部に位置し,胴体部よりも径が小さい係合部2とを有している。係合部2は,歯科用アナログ3に挿入され,歯科用アナログ3を固定できる。
【0015】
図1の例では,アナログガイド用接続部9は,保持部本体5のうち歯科用アナログ3を係合する係合部2と反対側の端部に接続されている。アナログガイド用接続部9は,円盤状のすそ部分4と,すそ部分から外周方向に飛び出た突起部6とを有している。すそ部分は,多段階の円盤状(中心部に近づくほど径が小さくなる円盤上部分を2以上有する形状)であってもよい。アナログガイド用接続部9のすそ部分4と突起部6とは,アナログガイド7に存在するこれらに対応した窪みを有するアナログ保持治具接続部17と,係合する。すると,アナログガイド7にアナログ保持治具13が固定される。
【0016】
アナログ保持治具13(ピックアップデバイス:PUD)は,ある程度の強度を有する公知の材質(例:プラスチック)を用いて製造できる。アナログ保持治具13(PUD)は,歯科用アナログを顎部分モデルに植立するために用いる。このため,アナログ保持治具13(PUD)のサイズは,顎の大きさや歯の部位の大きさを考慮して適宜調整すればよい。アナログ保持治具13は,ある程度の強度を有するものであればよく,公地の材料(例えば,ステンレスなどの金属やプラスチック)を用いて,適宜製造すればよい。
【0017】
図2は,アナログガイドの概念図である。アナログガイド7は,顎部分モデル11に対し,歯科用アナログ3を植立するために用いられる装置(ピックアップガイドホルダー:PUDホルダー)である。
図2に示される通り,アナログガイド7は,アナログガイド本体15とアナログ保持治具接続部17と,を有する。
【0018】
アナログガイド本体15は,顎部分モデル11に設置可能な形状を有する部位である。アナログガイド本体15は,アナログ保持治具接続部17の他,歯科用アナログ3を挿入し,インプラントを埋入する部位に隣接する歯冠部の全部又は一部に係合する歯冠係合部12,14と,歯冠係合部12,14とアナログ保持治具接続部17とを連結する連結部16とを有する。顎部分モデル11の歯冠部に歯冠係合部12,14が係合することで,アナログガイドが顎部分モデル11に固定される。すると,アナログ保持治具接続部17も顎部分モデル11に対して固定され,アナログ保持治具13や歯科用アナログ3も顎部分モデル11に対して固定される。このようにアナログガイド本体15は,対象となる患者(または患者の顎モデル)のインプラント埋入部やそれに隣接する歯の形状を反映した形状であることが好ましい。
【0019】
アナログ保持治具接続部17は,アナログガイド本体15に設けられ,アナログ保持治具13のアナログガイド用接続部9と接続されて,アナログ保持治具13に保持された歯科用アナログ3を顎部分モデル11のアナログ設置位置に向けさせるための部位である。アナログ保持治具接続部17は,アナログ保持治具13のアナログガイド用接続部9のすそ部分4と突起部6に対応した窪みを有する。アナログ保持治具接続部17にアナログガイド用接続部9がはまり,アナログ保持治具13がアナログガイド7に固定される。
【0020】
アナログガイド7(PUDホルダー)は,ある程度の強度を有する公知の材質(例:プラスチック)を用いて製造できる。アナログガイド7(PUDホルダー)は,アナログ保持治具接続部17を1つのみ有するものであってもよい。また,インプラントを複数設ける場合には,アナログガイド7(PUDホルダー)は,アナログ保持治具接続部17を2つ以上有するものであってもよい。アナログガイド7(PUDホルダー)のサイズは,顎の大きさ,歯の部位の大きさ及びアナログ保持治具接続部の数を考慮して適宜調整すればよい。
【0021】
図3は,アナログガイドにアナログ保持治具を装着した様子を示す概念図である。
図3に示すように,アナログ保持治具接続部17にアナログガイド用接続部9がはまり,アナログ保持治具13がアナログガイド7に固定される。
【0022】
図4は,歯科用アナログ,アナログ保持治具及びアナログガイドを装着した様子を示す概念図である。
【0023】
次に,アナログガイドの製造方法の例について説明する。この例では,まず,アナログガイドを製造するために必要なアナログガイドの3次元情報を含む情報を得る。この方法は,3Dスキャン画像取得工程と,3Dスキャン画像解析工程と,アナログガイドの製造情報取得工程とを含む。
【0024】
3Dスキャン画像取得工程は,スキャン用治具21が埋立された患者の顎部分23の3Dスキャン画像25を取得するための工程である。
スキャン用治具21は,例えば特許第6208905号公報に記載された通り,公知である。ヒト又は模型に歯科用インプラントのインプラント体又は中間構造体が埋入されている。歯科用インプラントに,スキャン用治具を装着する。そのうえで,スキャナ,レントゲン撮影やCT等を用いて,スキャン用治具を撮影する。このようにして,システムは,スキャン用治具21が埋立された患者の顎部分23の3Dスキャン画像25を取得することができる。
【0025】
図5は,スキャン用治具が埋立された患者の顎部分の3Dスキャン画像の例を示す概念図である。
【0026】
3Dスキャン画像解析工程は,3Dスキャン画像取得工程で取得した顎部分23の3Dスキャン画像25を解析し,顎部分情報と治具部分情報を得るための工程である。
先の工程で,撮影した情報は,コンピュータへ送信され,そのコントラスト等から,スキャン領域の頂点部分が求められる。すると,コンピュータには,あらかじめヘッド部の各側面に関する情報(例えば,側面を構成する多角形の形状,隣接する側面,面積,位置,及び角度)が記憶されている。コンピュータは,求めた頂点位置の情報から,撮影した画像に含まれる頂点がヘッド部分のどの頂点であるかを求める。そのうえで,適宜,各頂点によって形成される多角形の面積を比較し,頂点の解析が正しいことを確認する。コンピュータは,頂点の位置に関する情報から,スキャン用治具の位置や方向を求めるとともに,それと連結されている歯科用インプラントの位置や方向を求める。
【0027】
アナログガイドの製造情報取得工程は,3Dスキャン画像解析工程で得た顎部分情報及び,治具部分情報を用いて,アナログガイドの製造情報を取得するための工程である。
先の工程で,システムは,顎部分情報と治具部分情報とを得ている。得られた情報は,適宜記憶部に記憶される。システムは,記憶部からプログラムを読み出し,記憶部から顎部分情報と治具部分情報とを読み出して,プログラムの指令に基づいて,演算部に演算処理を行わせ,アナログガイドの製造情報を取得する。顎部分情報には,インプラントを埋入する部位に隣接する歯冠部の形状に関する情報や位置情報が含まれている。これらの情報を用いて,システムは,アナログガイド7(PUDホルダー)の全体の大きさや歯冠係合部12,14の形状を求める。また,治具部分情報には,インプラントを埋入する部位と隣接する歯冠部の位置情報や,インプラントを埋入する方向に関する情報が含まれる。これらの情報を用いて,システムは,アナログガイド7(PUDホルダー)におけるアナログ保持治具接続部17の設計情報を得ることができる。すると,システムは,アナログガイド7(PUDホルダー)の全体の大きさや歯冠係合部12,14の形状に関する情報とアナログ保持治具接続部17の設計情報とから連結部の情報を求めることができる。このようにして,システムは,アナログガイドの製造情報を取得できる。
【0028】
次にアナログガイドの製造情報を用いてアナログガイド7を製造する。例えば,システムは,3Dプリンタを含む。システムは,アナログガイドの製造情報を用いて,3Dプリンタ部にアナログガイド7を製造させる。このようにして,システムは,アナログガイド7を製造できる。また,システムは,切削加工機を有しており,アナログガイドの製造情報を用いて,切削加工機に切削加工を行わせることで,アナログガイド7を製造させてもよい。
【0029】
次に,インプラント用3D模型(顎部分)の製造方法について説明する。
この方法は,3Dスキャン画像取得工程と,3Dスキャン画像解析工程と,アナログガイドの製造情報取得工程と,アナログガイド製造工程と,顎部分モデルの製造情報取得工程と,顎部分モデル製造工程と,歯科用アナログ植立工程とを含む。3Dスキャン画像取得工程と,3Dスキャン画像解析工程と,アナログガイドの製造情報取得工程と,アナログガイド製造工程は,先に説明した通りである。
【0030】
顎部分モデルの製造情報取得工程は,3Dスキャン画像解析工程で得た顎部分情報に基づいて,顎部分モデルの製造情報を取得するための工程である。
先の工程で,システムは,顎部分情報を得ている。得られた情報は,適宜記憶部に記憶される。システムは,記憶部からプログラムを読み出し,記憶部から顎部分情報を読み出して,プログラムの指令に基づいて,演算部に演算処理を行わせ,顎部分モデルの製造情報を取得する。顎部分モデルは,上顎及び下顎を含む顎の部分のモデルであってもよいし,インプラントを埋入する部位や,それに隣接する歯の部分のみのモデルであってもよい。顎部分情報には,インプラントを埋入する部位や,それに隣接する歯冠部の形状に関する情報のほか,顎全体の形状情報が含まれている。これらの情報を用いて,システムは,顎部分モデルの全体の大きさや歯冠の形状を求める。これらの情報を用いて,システムは,顎部分モデルの設計情報を得ることができる。
【0031】
顎部分モデル製造工程は,顎部分モデルの製造情報取得工程で得られた顎部分モデルの製造情報に基づいて顎部分モデルを製造するための工程である。次に顎部分モデルの製造情報を用いて顎部分モデルを製造する。例えば,システムは,3Dプリンタを含む。システムは,顎部分モデルの製造情報を用いて,3Dプリンタ部に顎部分モデルを製造させる。このようにして,システムは,顎部分モデルを製造できる。
【0032】
歯科用アナログ植立工程は,歯科用アナログ3をアナログ保持治具13に装着し,アナログガイド7を用いて,顎部分モデルに歯科用アナログ3を植立するための工程である。
【0033】
図6は,歯科用アナログ3をアナログ保持治具13に装着し,アナログガイド7を用いて,顎部分モデル11に歯科用アナログ3を植立した様子を示す概念図である。
【実施例】
【0034】
以下,実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
口腔内のインプラント体にスキャン用治具を装着し,口腔内スキャナを用いてスキャン用治具を含めた口腔内のスキャンデータを取得した(
図7)。
図7は,口腔内のスキャンデータを示す図である。
そのスキャンデータからインプラント体位置を特定させたデータに変換させた(
図8)。
図8は,デジタルスキャンデータを示す概念図である。インプラント体の位置と顎形状(
図9)からアナログガイドの形状データのデザイン(
図10)し,このデータを得た。
図9は,インプラント体の位置と顎形状を示す概念図である。
図10は,アナログガイドの形状データを示す概念図である。
ワックスディスク(山八社グリーンT20)を切削加工機(ROLAND社 dwx51)を用いてアナログガイドを加工した(
図11)。
図11は,得られたアナログガイドの図面に代わる写真である。先のデータから顎モデルの模型データ(
図12)と,インプラント体位置周囲を削除した模型データをデザインした(
図13)。
図12は顎部分の模型データを示す概念図である。
図13は,顎モデルのデザインデータを示す概念図である。デザインした模型データを3Dプリンタ(formlabs社Form3)から出力した(
図14)。
図14は,顎部分モデルを示す図面に代わる写真である。今後の作業性向上のためインプラント周囲を疑似歯肉模型に置き換えたガム模型を製作した(
図15)。
図15は,ガム模型を示す図面に代わる写真である。アナログガイドが3Dプリンタ模型に適合することを,現物上並びに適合後のスキャンデータから確認した(
図16,
図17)。
図16は,アナログガイドを顎部分モデルにフィットさせた様子を示す図面に代わる写真である。
図17は,アナログガイドを顎部分モデルにフィットさせたシミュレーションの様子を示す図面である。適合確認が得られたのちにアナログガイドにアナログ保持治具を装着し,アナログ保持治具にインプラントアナログを装着した。その状態でアナログガイドを3Dプリンタ模型に装着し,アナログと模型との間にレジン(GC社フィクスピード)を流し込み固定した。この作業により,口腔内スキャンデータから得られた位置が正確に移された3Dプリンタインプラント模型を作製することができた。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は,歯科や医療機器の分野で利用されうる。
【符号の説明】
【0036】
3 歯科用アナログ
5 保持部本体
7 アナログガイド
9 アナログガイド用接続部
11 顎部分モデル
13 アナログ保持治具
15 アナログガイド本体
17 アナログ保持治具接続部
21 スキャン用治具
23 顎部分
25 3Dスキャン画像
【要約】 (修正有)
【課題】歯科用アナログを顎部分モデルに設置しやすくする治具などを提供する。
【解決手段】歯科用アナログを保持するための保持部本体5と,保持部本体5と連結し,アナログガイドと接続するためのアナログガイド用接続部9とを有し,顎部分モデルに対し,アナログガイドを介して,歯科用アナログを植立するために用いられる,アナログ保持治具13。
【選択図】
図1