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特許7026309光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システム
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  • 特許-光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20220218BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220218BHJP
   G01B 11/02 20060101ALN20220218BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G06T1/00 300
G01B11/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2016572149
(86)(22)【出願日】2016-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2016052513
(87)【国際公開番号】W WO2016121878
(87)【国際公開日】2016-08-04
【審査請求日】2018-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2015016090
(32)【優先日】2015-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015125742
(32)【優先日】2015-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599066148
【氏名又は名称】株式会社 デクシス
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】小柳 伸一
(72)【発明者】
【氏名】新田 雅康
(72)【発明者】
【氏名】戸田 貴行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 海智人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 仁志
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕敬
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/052332(WO,A1)
【文献】特開2013-250214(JP,A)
【文献】特開2004-108828(JP,A)
【文献】特開2014-130130(JP,A)
【文献】特開2010-107250(JP,A)
【文献】特開2005-140537(JP,A)
【文献】特開2007-040853(JP,A)
【文献】特開2003-329612(JP,A)
【文献】特開2012-132836(JP,A)
【文献】国際公開第2009/016924(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮影手段に対して相対的に移動させて走査しながら検査対象物を撮影した画像から外観上の欠陥の有無を判断する光学式外観検査装置に使用する撮影手段であって、
検査対象物において、照明手段が照射した光の強さが異なる領域(A1、A2、A3)を、検査対象物の走査方向に並んだ、走査方向と交差する向きに延伸する複数のライン状の画像(L1、L2、L3)で撮影する、エリアセンサからなる撮影部と、
撮影部が撮影した画像における複数のライン状の画像(L1、L2、L3)の夫々について、走査方向に交差する向きに延伸するライン状の画像(L1、L2、L3)ごとに、当該延伸するライン状の画像内に区画された走査方向に並んだ複数の領域(A1~D1、A2~D2、A3~D3、A4~D4、A5~D5、A6~D6、A7~D7、A8~D8、A9~D9)同士で明るさを比較した上で、この比較に基づいて、輝度が最大であるか、輝度が最小であるか、輝度の平均値からなるか、又は輝度が中間である、特定の領(B1、C2、A3、B4、C5、D6、B7、C8、A9)を抽出し、この抽出した特定の領(B1、C2、A3、B4、C5、D6、B7、C8、A9)を組み合わせての画像データ(B1+C2+A3+B4+C5+D6+B7+C8+A9)に合成することで、データ量を減じて検査スピードを速める画像処理部とからなり、
前記1の画像データを合成する為の複数のライン状の画像(L1、L2、L3)は、撮影部が1回の撮影で取得した画像から、照明手段において照射している領域内(A1)、及び照明手段において照射している領域外(A3)の夫々の領域から選択して抽出されており、
前記撮影部は、検査対象物が移動する毎に多数回の撮影を行うことを特徴とする、光学式外観検査装置用の撮影手段。
【請求項2】
検査対象物を撮影する、請求項1に記載の撮影手段と、
当該撮影手段が撮影した撮影画像を使用して、検査対象物における外観上の欠陥の有無を解析・判断する処理手段と
検査対象物に光を照射する照明手段とからなり、
当該処理手段は、撮影手段から撮影画像を取得すると共に、照明手段において照射している領域内(A1)、及び照明手段において照射している領域外(A3)の夫々の領域から選択した、走査方向に交差する向きに延伸する複数ライン状の画像(L1、L2、L3)の夫々から合成した1列の画像データ(B1+C2+A3+B4+C5+D6+B7+C8+A9)について、明るさの変化を解析し、検査対象物における夫々の外観上の欠陥の有無を判断する事を特徴とする、光学式外観検査装置。
【請求項3】
前記走査方向に交差する向きに延伸する複数ライン状の画像(L1、L2、L3)は、照明手段によって光が照射されている領域の中心部分である照射中心領域(A1)、照明手段によって光が照射されている領域の輪郭領域(A2)、及び当該輪郭領域の近傍であって照明手段による光で照射されていない非照射領域(A3)の少なくとも何れか2つ以上の領域内で選択されている、請求項2に記載の光学式外観検査装置。
【請求項4】
前記走査方向に交差する向きに延伸する複数ライン状の画像(L1、L2、L3)は、検査対象物に照射している光の輝度が最も高い高輝度領域(A1)、当該輝度が急激に変化している輝度変化領域(A2)、及び当該輝度変化位置よりも低い輝度でその変化が安定している低輝度安定領域(A3)の少なくとも何れか2つ以上の領域内で選択されている、請求項2に記載の光学式外観検査装置。
【請求項5】
前記処理手段は、検査対象物を撮影手段に対して相対的に移動させて走査させることにより、走査方向に交差する向きに延伸する複数のライン状の画像(L1、L2、L3)において合成した1列の画像データ(B1+C2+A3+B4+C5+D6+B7+C8+A9)を取得し、これを夫々のライン状の画像(L1、L2、L3)ごとに結合して展開した複数の面画像について、明るさの変化を解析し
当該処理手段における複数ライン状の画像(L1、L2、L3)は、撮影手段における1回の走査によって取得される、請求項2~4の何れか一項に記載の光学式外観検査装置。
【請求項6】
請求項2~の何れか一項に記載の光学式外観検査装置を用いて構成された光学式外観検査システムであって、
更に、検査対象物を載せ置いて此れを搬送する検査対象物移動手段と、当該検査対象物移動手段による検査対象物の移動速度又は移動距離を検出する移送検出手段とを備えており、
前記処理手段が取得した撮影画像は、移送検出手段から取得した移動速度又は移動量に基づいて算出した撮影位置と関連付けられている事を特徴とする、光学式外観検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品や工業製品などの様々な物品の外観を検査する為の光学式外観検査装置と、これに好適に使用できる撮影手段に関する。特に物品を撮影した画像データを解析して、物品表面のキズ・バリや歪み等の凹凸欠陥、或いは表面に透過して見える異物の有無を検査する為の光学式外観検査装置、及びこれに好適に使用できる撮影手段に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物や加工食品などの食品、或いは樹脂成型品や金属加工品などの工業製品など、各種の物品(以下、「検査対象物」とも言う)の表面における欠陥を検査する為に、ベルトコンベアーなどで搬送される物品を撮影し、その撮影した画像データを解析する事が行われている。
【0003】
かかる画像データを利用して異物等の検査を行う為の装置については、本願出願人も特許文献1(特開2010-8339号公報)において提案している。この文献では、透明容器内に充填された粉末中の異物を容易且つ確実に検査する為に、前記透明容器に縦方向の往復振動と横方向の往復振動を合成した振動を与えて該透明容器内の粉末を循環流動させながら、循環流動する粉末を撮像し、得られた画像を用いて異物の有無を検査する透明容器内粉末中の異物検査方法を提案している。
【0004】
また、従前において物品の外観上の欠陥を検査する為には、検査内容(即ち、ゴミの付着を検査するのか、表面のキズやバリの有無を検査するのか、或いは表面における歪みの有無を検査するのかなどの違い)によって撮影する向き又は光の当て方を変えなければならなかった。例えば、検査対象物に付着したゴミなどの検査では、真上から検査(撮影)しなければならず、キズなどの凹凸の検査では、検査対象物かカメラの角度を変えて斜め方向から検査(撮影)しなければならなかった。この為、検査対象物に対して様々な表面検査を行う場合には、検査対象物を複数回往復させるか、複数の検査ステーションを設けて検査しなければならなかった。
【0005】
そこで、特許文献2(特開2007-333449号公報)では、検査時間を短縮する為に、1往復するのみで性能検査をすることが可能なバックライトパネルの検査装置を提案している。即ち、この文献では、検査領域に配設された、板状の被検査体を検査するための検査機構と、前記被検査体が着脱可能に載置される載置台と、前記載置台を水平方向に移動させるための載置台移動手段と、前記移動手段を操作するための操作部と、前記載置台真上面から撮影するカメラと、前記載置台を斜め上面の左右から撮影する2台のカメラと、前記カメラからの映像に基づいて不良検出する検出部と、前記検出部の検出結果を表示する表示手段とで構成し、前記カメラによって被検査体を1往復移動するのみで被検査体の検査が終了するようにしている。
【0006】
また従前においては、検査する欠陥の種類により、検査(撮影)する角度を変える事を自動化する技術も提案されている。例えば特許文献3(特開2006-300913号公報)では、往路と復路でのカメラの撮像角度を自動で移動させ、カメラとワークの位置関係の角度を変えることにより、不良の形態により検査を容易にする技術が提案されている。即ち、この文献では、導光板検査用の複数のラインセンサカメラを導光板積載ステージの上から保持し、その構造体ごとカメラの撮像角度を変えるロータリアクチュエータとブレーキを持つ導光板検査装置を提案している。
【0007】
更に、従前においては、表面の凹凸を有する撮像対象物を鮮明に撮像することができるように工夫したラインセンサカメラを備えた撮像装置も提案されている。例えば特許文献4(特開2011-223233号公報)では、対物レンズと、前記対物レンズの結像深度内に配設され、複数の撮像素子から成るラインスキャンセンサをスキャン方向に複数組連設した撮像部とを備え、複数組の前記ラインスキャンセンサは、相互の結像位置が異なるように配設されているラインセンサカメラと、複数組の前記ラインスキャンセンサの撮像結果を、前記撮像素子単位で順に読み出す画像読出し手段と、読み出した複数の単位撮像画像のうちから合焦画像を抽出する合焦画像抽出手段と、抽出した合焦画像を合成して合焦撮像画像を生成する合焦撮像画像生成手段とを備えた撮像装置が提案されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-8339号公報
【文献】特開2007-333449号公報
【文献】特開2006-300913号公報
【文献】特開2011-223233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の通り、物品(検査対象物)の表面に出現する欠陥を検査する場合には、表面にゴミ等が付着したか否かを検査するのか、表面のキズやバリ、或いは歪み等の凹凸を検査するのか等により、検査対象を撮影する向き又は光の当て方を変更しなければならなかった。例えば、検査対象が導光板であり、その製造工程における外観検査を自動化する場合には、製造原料である樹脂の炭化異物の有無や、未溶解などの変色した欠陥を検査する為に、透過照明を照射して撮影しなければならず、また樹脂成型時の溶解温度、射出圧力に起因するなだらかな凹凸欠陥を検査する為には、散乱照明を照射して撮影しなければならず、そして成型に使用する金型や取出し機に起因するキズ・バリ等の急峻な凹凸欠陥を検査する為には、ローアングル照明を照射して撮影しなければならなかった。よって検査する欠陥の特徴に合わせた照明条件と、それぞれの照明条件で撮像するためのカメラを用意することが必要となっていた。
【0010】
そこでこの問題を解決する為に、従来では、前記特許文献1で開示するように複数のカメラを設置したり、或いは特許文献2で開示するように、カメラの向きを自動修正したりすることが提案されていた。
【0011】
しかし、複数のカメラを使用する場合には、当然のことながらカメラの設置台数が増えてコストが増大するだけでなく、更に当該カメラの設置スペースを確保しなければならないことから、検査装置自体が大型化してしまうという問題があった。またカメラの向きを自動修正する場合には、所定の位置にカメラを移動させる為の動作時間が必要になり、検査時間が増大する事が考えられた。
【0012】
そこで本発明では、使用するカメラの台数を少なくし、また当該カメラの設置台数を少なくすることで、装置自体を小型化した光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムを提供する事を第1の課題とし、更にカメラの使用台数を少なくしながらも、カメラを移動させるなどの動作時間を要せずして、様々な種類の検査を短時間で行う事ができる光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムを提供する事を第2の課題とする。
【0013】
また、検査対象はベルトコンベアー等の搬送手段で搬送されるところ、検査対象の大きさ、高さ又は厚さは様々である。即ち、検査対象も、ある時は高さのある箱状、筒状などの立体形状の物品であったり、また、ある時は高さの低い板状又はシート状の物品であることもある。したがって、高さや厚さ等が異なる物品を的確な角度で撮影する為には、検査の都度、カメラの設置位置や角度または検査対象物の設置位置や角度を調整しなければならず、その作業が手間になっていた。
【0014】
そこで本発明は、このような大きさ、高さ又は厚さが異なる検査対象物を検査する場合であっても、カメラ、照明、又は検査対象物の高さや角度の変更を要せずして、検査対象物の外観を検査することのできる光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムを提供する事を第3の課題とする。
【0015】
更に、従前においては、製造原料である樹脂の炭化異物の有無、未溶解などの変色した欠陥、樹脂成型時の溶解温度、射出圧力に起因するなだらかな凹凸欠陥、及び成型に使用する金型や取出し機に起因するキズ・バリ等の急峻な凹凸欠陥等の、検査対象物の外観に出現する欠陥を撮影画像によって検査する場合は、それぞれの欠陥ごとに、検査する為の画像を撮影しなければならなかった。
【0016】
そこで、本発明は、前記したような検査対象物の外観に出現する様々な種類の欠陥を、1回の撮影で検査する事ができるようにした光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムを提供する事を第4の課題とする。
【0017】
また、撮影画像に基づいて表面検査を行う場合には、検査対象の厚みや高さ位置が変化することにより、照射した光の透過位置や反射位置が変動してしまう事が考えられる。そこで、このような変動を無くすことが望ましく、また表面の欠陥によって生じる「照射した光の変化」は漏れなくデータとして取得する事が望ましい。
【0018】
この点、前記特許文献4では、焦点が合った撮像データを抽出・合成することにより、表面に凹凸を持った撮像対象物の表面全体を鮮明に撮像することが開示されている。しかし、この文献にかかる発明は、表面の凹凸を有する撮像対象物を鮮明に撮像する事を課題とするものであり、複数組のラインスキャンセンサは、相互の結像位置が異なるように配設されている。よって、この技術では、最適な焦点距離の撮影画像は取得できるものの、光源との位置関係が関与してくる表面検査のための撮影画像を取得する事は出来ない。また、この特許文献4の技術は、その請求項4に「前記各ラインスキャンセンサは、TDI方式で読み出される複数のセンサアレイで構成されている」と記載されており、当該センサアレイは256ラインが一般的であることを鑑みれば、この技術では、複数の撮像素子の傾き角度とライン数によって高さ分解能が制限されてしまい、実用上の凹凸追従の自由度は低いと考えられる。
【0019】
そこで本発明では、広い視野を確保すると共に、表面検査のための最適な画像を取得できるように工夫した撮影手段を使用し、高速及び/又は高精度で検査対象物の表面検査を行う事ができるようにした光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムを提供する事を第5の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、本発明では照明手段が照射している領域の内外から選択された複数ラインにおける画像データを、ラインごとに解析・判断することで、検査対象物の外観に出現する様々な欠陥を検査するようにした光学式外観検査装置と、此れを使用した光学式外観検査システムを提供するものである。
【0021】
即ち、本発明にかかる光学式外観検査システムは、検査対象物を撮影する撮影手段と、当該撮影手段が撮影した撮影画像を使用して、検査対象物における外観上の欠陥の有無を解析・判断する処理手段とからなり、当該処理手段は、撮影手段から撮影画像を取得すると共に、検査対象物に照射した光の強さが異なる領域からそれぞれ選択した複数ラインにおける画像データについて、色及び/又は明るさの変化を解析し、検査対象物における夫々の外観上の欠陥の有無を判断するように構成している。
【0022】
≪撮影手段について≫
上記本発明の光学式外観検査装置において、撮影手段は、検査対象物を撮影して撮影映像を取得するものであり、各種の撮像素子を伴って構成される。特にこの撮影手段は、撮影した画像データを電子データとして取得できるものが望ましい。これは処理手段における画像解析処理を円滑に行う為である。かかる撮像素子としては、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサであってよい。特に、当該撮影手段がCMOSイメージセンサカメラの様に任意のライン毎に撮影できるカメラが望ましい。かかる任意のラインごとに撮影可能なカメラは、複数のフォトダイオードを一列に配置したフォトダイオード列を備えて構成する事ができ、このフォトダイオード列を複数設ける事で、処理手段は、複数のラインにおける画像データを取得することができる。一方、CCDイメージセンサ等の様に面状の撮影画像を取得するカメラであれば、検査対象物を撮影した面状の撮影画像から複数ラインで画像を抜き出して、解析対象となる画像データを取得する事ができる。
【0023】
特に、この撮影手段としては、フォトダイオードが縦横方向に複数配置された面状の撮像素子を備え、撮像視野内における任意の複数ラインを抜き出す事のできるカメラを使用するのが望ましい。面状の撮像素子でありながら、任意に選択したラインで撮像することにより、検査対象物を停止させることなく撮影領域を通過するだけで、複数台の撮影手段及び照明手段を用いた場合と同様の画像を得ることができる為である。また面状の画像を撮影するイメージセンサを用いたカメラの様に、面状の撮影画像を取得した後に、必要なライン(領域)を抜き出すという処理が不要になり、処理速度を高める事ができる為である。即ち、CMOSイメージセンサを用いた撮影手段を使用する事により、検査処理を単純化し、且つデータ量を減じる事ができ、そして検査時間を短縮する事ができる。
【0024】
上記撮影手段は、検査対象物の材質の違い乃至は変化、或いは検査対象の厚みや高さ位置の変化等により、照射した光の透過位置や反射位置が変動したとしても、最適な画像データを取得できるように構成するのが望ましい。その為には、例えば、走査方向に一定の幅を有する領域で検査対象物を撮影し、この撮影画像から色及び/又は明るさの変化が最適な領域を抽出且つ組み合わせて、これを表面検査に使用する画像データとする事も望ましい。
【0025】
即ち、前記撮影手段は、検査対象物の走査方向に平行に並んだ複数のラインで撮影する撮影部と、撮影部が撮影した複数のラインの夫々について、走査方向に直交する向き(即ち、撮影したラインの長さ方向)の領域ごとに色及び/又は明るさを比較した上で、この比較に基づいて特定のラインの領域を抽出し、これを組み合わせて1ライン又は複数ラインの画像データを合成する画像処理部とから構成する事ができる。
【0026】
かかる撮影手段を使用した光学式外観検査装置において、前記撮影部は、前記検査対象物に照射した光の強さが異なる領域からそれぞれ選択した複数ラインの夫々において、検査対象物の走査方向に平行に並んだ複数のラインで撮影し、前記処理手段が解析する複数ラインにおける画像データとして、それぞれ画像処理部が合成した1ライン又は複数ラインの画像データを複数使用する光学式外観検査装置とする事ができる。このように構成した光学式外観検査装置では、表面検査に使用する画像データ(即ち、照射した光の強さが異なる夫々の領域から取得した画像データ)として、検査対象物の走査方向に並んだ複数のライン同士における特定の領域の色及び/又は明るさを比較した上で、各表面検査に最適な領域画像を抽出且つ組み合わせて合成した1又は複数ラインの画像データを使用する事から、より確実且つ精度の高い表面検査を行う事ができる。また、一回で撮影する検査対象物の撮影領域を、前記検査対象物の走査方向に並んだ複数のラインとした場合には、当該検査対象物の走査方向に並んだ複数のラインの領域単位で検査対象物を移送させることができ、これにより検査速度を向上させることもできる。
【0027】
≪処理手段について≫
<処理手段の構成について>
処理手段は、前記撮影手段が撮影した撮影画像を取得すると共に、検査対象物に照射した光の強さが異なる領域からそれぞれ選択した複数ラインにおける画像データについて、色及び/又は明るさの変化を解析し、検査対象物における夫々の外観上の欠陥の有無を判断する装置である。この処理手段が解析する画像データは、撮影手段による撮影画像を直接使用する他、当該撮影画像を加工した画像であって良い。即ち、この処理手段は、撮影手段から撮影画像を取得し、取得した撮影画像を解析対象となる画像データとするか、又は取得した撮影画像について画像処理を行って作成した画像データについて、色及び/又は明るさの変化を解析し、検査対象物における外観上の欠陥を検査しても良い。よって、この処理手段は、当該解析・判断に必要な数値計算や情報処理、機器制御などを行う為、及び必要に応じて画像処理を行う為のCPU(Central Processing Unit)やメモリ等を伴って構成される。なお、撮影画像に対する画像処理としては、撮影画像から任意の領域の抽出処理、撮影画像の結合処理、及び明度、彩度、コントラスト等の補正処理を含む。
【0028】
当該処理手段は、複数ラインの画像データについて解析を行う。この複数ラインの画像データは、前記のように、CMOSイメージセンサの様に、任意の複数ラインで撮影できるイメージセンサを用いたカメラで撮影する事によって取得した複数ラインの画像データである他、CCDイメージセンサの様に、面状の画像を取得するイメージセンサを用いたカメラで撮影した面状の画像から切り出して抽出することにより取得した複数ラインの画像データであってよい。特に、処理手段が面状に撮影した画像を取得する場合には、当該面状の画像からの抽出処理は、当該処理手段で実行する事ができる。
【0029】
<処理手段が取得するラインの画像データについて>
前記処理手段が解析する複数ラインの画像データは、検査対象物に照射した光の強さが異なる領域からそれぞれ選択された複数ラインの画像データである。この「検査対象物に照射した光」とは、当該検査対象物で反射した光、又は当該検査対象物を透過した光のことであり、前記複数ラインの画像データは、当該反射光又は透過光の強さが異なる領域から夫々選択される。かかる「検査対象物に照射した光」の強さは、検査対象物に向かう光(検査対象物に照射する光)によっても測定する事ができ、これは検査対象物における光の照射側の輝度を計測するか、単一色の検査対象物の反射光又は透過光の輝度を計測する事によって特定する事ができる。
【0030】
かかる検査対象物に照射した光は、光源を備えた照明手段が照射した光である他、自然光であって良い。自然光であっても、検査対象物に対する照射方向が特定されていれば、どの位置におけるライン状の画像データを取得するかによって、画像に出現する外観上の欠陥の種類が異なると考えられるためである。但し、本発明にかかる光学式外観検査装置は、光の照射位置及び輝度などの照射条件を一定に保つために、更に検査対象物に光を照射する照明手段を備える事が望ましい。その際、処理手段が解析する複数ラインの画像データは、照明手段が照射した光の強さが異なる領域から、夫々選択されるのが望ましい。
【0031】
上記照明手段は、検査対象物に対して光を照射する様々な照明を使用する事ができる。この照明手段が照射する光としては、可視光である他、赤外光、紫外光、X線などの不可視光であってよい。特に可視光を照射する照明手段の場合には、白色光である他、青色、緑色、赤色、黄色などの様に特定の波長域にピークを有する光を照射するものであっても良い。よって、前記撮影手段は、必ずしも可視光領域の光を撮影するものに限られず、不可視光領域の光を撮影できるものも含まれる。また、前記処理手段が複数ラインの画像データを解析する事を考慮すれば、当該照明手段は長尺な範囲に光を照射するライン照明である事が望ましい。そして、照明手段としてライン照明を使用した場合には、当該照明の延伸方向と前記解析に使用する複数ラインの画像データの延伸方向とは、相互に平行になるように設けられることが望ましく、更に、両者の延伸方向は検査対象物の走査方向に直交する向きであることが望ましい。
【0032】
また撮影手段が撮影する光は、照射した光が検査対象物を透過した光(透過光)であっても、検査対象物で反射した光(反射光)であっても良い。よって光が照射される検査対象物は、透明であっても不透明であっても良く、更に一部透明または一部不透明な物品であっても良い。検査対象物を撮影する際、一般的に検査対象物が透明である場合には、検査対象物に照射した光の透過光を撮影して外観上の欠陥を検査するのが望ましい。但し、当該透明な検査対象物が反射光を生じさせる場合には、この反射光を撮影して外観上の欠陥を検査する事もできる。一方で、検査対象物が不透明である場合には、専ら、検査対象物に照射した光の反射光を撮影する事により、外観上の欠陥を検査する事になる。
【0033】
上記の通り、本発明にかかる光学式外観検査装置が、前記照明手段を備えている場合には、処理手段で解析する複数ラインの画像データは、照明手段が照射した光の強さが異なる領域から選択されている事が望ましい。即ち、少なくとも、照明手段が光を照射している領域内、及び照明手段が光を照射している領域外等の様に、光の強さが異なる領域の夫々の領域から選択されている事が望ましい。これは、照明手段が光を照射している領域の内側か又は外側かによって、観察できる(又は観察しやすい)欠陥の種類が異なる為である。この為、照明手段において照射している領域の内側及び外側の領域から、解析する為の画像データを取得する事により、様々な種類の欠陥に応じて観察しやすい画像データを取得することができる。
【0034】
また、上記処理手段において解析する「複数ラインにおける画像データ」は、照射手段によって光を照射している領域内、照射手段によって光を照射している領域外の他、更に両者の境界領域も含めた三か所の内の何れか2つ以上の領域から選択されるのが望ましい。
【0035】
即ち、上記本発明にかかる光学式外観検査装置は、更に検査対象物に光を照射する照明手段を備えており、前記処理手段が解析する、複数ラインにおける画像データは、照明手段によって光が照射されている領域の中心部分である照射中心領域、照明手段によって光が照射されている領域の輪郭領域、及び当該輪郭領域の近傍であって照明手段による光が照射されていない非照射領域の少なくとも何れか2つ以上の領域内で選択されるように構成するのが望ましい。そして、当該複数ラインの画像データが、照射中心領域、輪郭領域及び非照射領域の夫々から選択されている事が特に望ましい。
【0036】
上記のように、解析する画像データを取得する領域を、前記照射中心領域、輪郭領域、及び非照射領域とすることにより、照明手段の照射領域との関係で、解析対象の画像データを取得する領域を特定する事ができる。したがって、照明手段における照射領域を特定できれば、処理手段が解析するラインの画像データの位置を特定する事ができる。かかる照明手段における照射領域の特定は、検査対象物ごとに都度、測定又は設定する事もできるが、形状及び大きさが同じ検査対象物を複数検査する場合には、最初に照明手段における照射領域を特定すれば、その後は、所定の位置(ライン)の画像データ使用することにより、複数の検査対象物を連続的に外観検査する事ができる。よってこの場合には、最初に、実際に検査する対象物において、どのラインで解析対象となる画像データを取得するのが良いのかを確認した上で、解析対象となる画像データの取得位置(ライン)を特定するのが望ましい。特に、輪郭領域および非照射領域において、どのラインの画像データを解析するのかを設定する場合には、実際に検査する検査対象物における欠陥(キズ、バリ又は歪みなどの凹凸欠陥、異物の付着や色の不均一などの色彩欠陥などの欠陥)が出現しやすい位置を実際に測定して特定するのが望ましい。そして、撮影手段がCMOSイメージセンサの様に、任意の複数ラインで撮影できるイメージセンサを用いたカメラである場合には、当該設定した複数ラインで画像データを取得するのが望ましい。
【0037】
また、上記本発明にかかる光学式外観検査装置は、更に検査対象物に光を照射する照明手段を備えており、前記処理手段が解析する複数ラインにおける画像データは、検査対象物に照射している光の輝度が最も高い高輝度領域、当該輝度が急激に変化している輝度変化領域、及び当該輝度変化位置よりも低い輝度でその変化が安定している低輝度安定領域の少なくとも何れか2つ以上の領域内で選択するように構成する事も望ましい。そして、当該複数ラインの画像データが、高輝度領域、輝度変化領域及び低輝度安定領域の夫々から選択されている事が特に望ましい。
【0038】
上記のように、解析する画像データを取得する領域を、前記高輝度領域、輝度変化領域、及び低輝度安定領域とすることで、実際に照射した光の輝度を測定し、その測定データを基に、解析する画像データを取得する領域を特定する事ができる。かかる照射光の輝度の測定は、検査対象物ごとに都度、測定又は設定する事もできるが、同じ形状及び大きさの検査対象物を複数検査する場合には、最初に、照射輝度を測定して解析する画像データのライン位置を特定すれば、その後は、所定の位置(ライン)の画像データ使用することにより、複数の検査対象物を連続的に外観検査する事ができる。この場合においても、実際に検査する対象物において、どのラインで解析対象となる画像データを取得するのが良いのかを確認した上で、解析対象となる画像データの取得位置(ライン)を特定するのが望ましい。特に、輝度変化領域および低輝度安定領域において、どのラインの画像データを解析するのかを設定する場合には、実際に検査する検査対象物における欠陥(キズ、バリ又は歪みなどの凹凸欠陥、異物の付着や色の不均一などの色彩欠陥などの欠陥)が見えやすい位置を実際に測定して特定するのが望ましい。そして、撮影手段がCMOSイメージセンサの様に、任意の複数ラインで撮影できるイメージセンサを用いたカメラである場合には、当該設定した複数ラインで画像データを取得するのが望ましい。
【0039】
<処理手段での画像データの処理・検査について>
前記処理手段は、上記のように「光の強さが異なる領域」、「照射中心領域、輪郭領域、及び非照射領域」、又は「高輝度領域、輝度変化領域、及び低輝度安定領域」において、夫々複数ラインにおける画像データを取得し、必要に応じて画像処理を行って、解析・判断する事により、検査対象物に付着した異物や、検査対象物の外観に出現している変色等の欠陥、検査対象物の外面におけるなだらかな凹凸欠陥、及びキズ・バリ等の急峻な凹凸欠陥等、異なる種類の様々な欠損を検査する事ができる。この時、夫々の領域から選択される複数ラインにおける画像データは、夫々のラインにおいて幅を異ならせることができ、また複数ラインにおける画像データの何れか又は全てのライン幅を任意に調整する事もできる。
【0040】
即ち、処理手段は、撮影手段が撮影した撮影画像から、解析対象となる複数ラインにおける画像データを取得する。この画像データとしては、撮影手段がCMOSイメージセンサの様に、任意の複数ラインで撮影できるイメージセンサを用いたカメラである場合には、撮影手段を走査させることにより、複数ラインごと(照明手段で光を照射している領域との関係で相互に異なるライン)に、ライン状の画像(走査方向と交差する向きに延伸するライン状の画像)を複数取得し、これを各ラインごとに走査方向に結合して、検査対象物全体を映し出した面画像として展開したものを使用する事ができる。かかるライン状の画像を面画像に展開する処理は、撮影手段で行っても、処理手段で行っても良い。
【0041】
一方、撮影手段がCCDイメージセンサの様に面状の画像を撮影するイメージセンサを用いたカメラである場合には、撮影手段から取得する撮影画像は、面状の画像となる。そこで処理手段は、撮影手段を走査させることにより取得した複数の撮影画像の夫々から、前記所定の領域をライン状の画像として夫々選択して抽出し、これを抽出したラインごとに、走査方向に繋げて、検査対象物全体をカバーするような面画像に展開し、これを解析対象の画像データとする事ができる。但し、この場合には、1回の撮影で取得した面状の画像から、照明手段で光を照射している領域との関係で任意に特定された複数の領域をライン状に抽出する処理が必要になる。
【0042】
そして処理手段では、上記の処理によって取得した画像データにおいて、色及び/又は明るさの変化を解析し、検査対象物における夫々の外観上の欠陥の有無を判断することができる。この画像データに対する色及び/又は明るさの変化の解析は、画素ごとに色や明るさを判断して周囲の画素との変化量を得る事で判断できる。
【0043】
ここで、検査できる欠陥の種類は、その欠陥が外観から観察できるものであればすべて含む。即ち、検査対象物の表面における異物、変色、及び凹凸の欠陥の他、透過して外観から観察できる限りにおいて、検査対象物の内部に存在する異物や変色の欠陥も検査する事ができる。よって、製造原料である樹脂の炭化異物、未溶解などの変色した欠陥、樹脂成型時の溶解温度、射出圧力に起因するなだらかな凹凸欠陥、及び成型に使用する金型や取出し機に起因するキズ・バリ等の急峻な凹凸欠陥等の検査対象物の外観に出現する欠陥を検査する事ができる。
【0044】
≪望ましい実施形態≫
上記のように、複数のライン毎に取得したライン状の画像を、各ラインごとに面画像に展開したものを画像データとして使用し、この画像データに基づいて、検査対象物における外観の欠陥を検査する場合には、前記撮影手段における撮影の為の走査は、検査時間を短縮する為に、1回で完了する事が望ましい。本発明においては、撮影手段を1回走査させるだけで、照明手段が光を照射している領域との関係で異なる位置(ライン)の画像データを取得できる事から、1回の走査で様々な種類の外観上の欠陥を検査する事ができる。
【0045】
更に、本発明にかかる光学式外観検査装置では、装置自体の構成を簡易且つ小型化する為に、構成要素となる撮影手段は1つであることが望ましい。即ち、1つの撮影手段による撮影画像から、複数ラインにおける画像データを取得するのが望ましい。但し、2つ以上の撮影手段を用いて構成する事もできる。2つ以上の撮影手段を用いる場合には、夫々の撮影手段が撮影する領域を異ならせることができる。具体的には、撮影手段の走査方向に直行する向きの長さ(撮影領域の幅方向長さ)が長い場合には、その長さ方向に複数の撮影手段を並べることができる。この場合、夫々の撮影手段が撮影する領域を検査対象物の長さ方向に異なることになる。また、何れかの撮影手段が、検査に必要となる複数ラインにおける画像データの内の幾つかを撮影し、他の撮影手段で、その他のラインにおける画像データを撮影する事もできる。
【0046】
また、本実施の形態において、上記撮影手段は、検査対象物に照射した光の強さが異なる領域ごとに最適な画像データを合成するように構成されている事が望ましい。かかる撮影手段は、複数のフォトダイオードからなるフォトダイオード列を、平行に複数配列してなる光学素子を具えた撮影手段であって、任意の2か所以上において、複数のフォトダイオード列での撮影を実現することのできるようにした撮影手段、換言すれば撮影領域の2か所以上、望ましくは3か所においてROI(Reagion Of Interest)を設定できるようにした撮影手段により実現する事ができる。
【0047】
よって、かかる撮影手段は、走査しながら検査対象物を撮影した画像から外観上の欠陥の有無を判断する光学式外観検査装置に使用する撮影手段であって、検査対象物の走査方向に並んだ複数のラインで撮影する撮影部と、撮影部が撮影した複数のラインの夫々について、走査方向に直交する向きの領域ごとに色及び/又は明るさを比較した上で、この比較に基づいて特定のラインの領域を抽出し、これを組み合わせて1ラインの画像データを合成する画像処理部とからなる光学式外観検査装置用の撮影手段とすることができる。
【0048】
上記撮影手段における撮像部は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の撮像素子を用いて構成する事ができ、更に検査対象物からの入射光を集光・結像するレンズなどの光学部品を伴って構成する事ができる。かかる撮像素子に関し、CMOSイメージセンサであれば、フォトダイオード列ごとの画像を取得することから、走査方向に直交する向きに並んだ領域ごとの色及び/又は明るさの比較処理を高速で実行する事ができる。一方で、CMOSイメージセンサを使用した場合には、撮影した画像データから、走査方向に直交する向きに並んだ領域ごとに画像データを切り出す処理等を実行することが必要になる。
【0049】
また、上記撮影手段における画像処理部は、画像処理を行う処理装置を用いて構成する事ができる。この処理装置は前記撮像部と同じ筐体内に設けても良い他、当該撮像物とは別の筐体又は装置に設けて、前記撮像部から取得した画像を処理するように構成する事もできる。即ち、かかる撮影手段は、撮像部と画像処理部とを一体化したモジュールとして具体化できる他、両者が別々に設けられて相互に連携処理を実現するように構成しても良い。よって、撮像部としてデジタルカメラを使用し、画像処理部としてコンピュータを使用しても良い。
【0050】
上記の撮影手段では、走査方向に対して交差する向きに配列したフォトダイオード列を、走査方向に隣合せて複数列設け、一回の撮影で取得した複数のフォトダイオード列における、走査方向に並んだフォトダイオード同士の明るさ及び/又は色合いを比較して、予め設定した条件で任意のフォトダイオードの画像を抽出乃至は演算することができる。そして抽出乃至は演算した画像同士を繋ぎ合わせる事により、当該撮影箇所についての1ラインの画像データを合成する事ができる。このようにして検査に使用する1ラインの画像データを生成する事により、検査の精度を向上させ、またデータ量を減じる事によって検査スピードを速める事ができる。
【0051】
また、走査方向に並んだフォトダイオードの画像(画素単位の画像)を抽出乃至は演算する条件としては、以下に詳述する「処理無しモード」、「最大輝度モード」、「最小輝度モード」、「平均輝度モード」、「中間輝度モード」等から選択するように構成する事ができる。
【0052】
「処理無しモード」は、走査方向に並んだ画素を、そのまま取得するモードであり、モノクロ画像として取得する事ができる。
「最大輝度モード」は、走査方向に交差する向きで並んでいる画素列同士において、走査方向に並んだ画素同士で輝度が最大となる画素を抽出して、これを1ラインに合成した画像データを取得するモードである。このモードでは、明欠陥を対象とした最高輝度値で検査に使用する1ラインの画像データを生成する事ができる。
「最小輝度モード」は、前記走査方向に並んだ画素同士で輝度が最小となる画素を抽出して、これを1ラインに合成した画像データを取得するモードである。このモードでは、暗欠陥を対象とした最低輝度値で検査に使用する1ラインの画像データを生成する事ができる。
「平均輝度モード」は、走査方向に交差する向きで並んでいる画素列同士において、走査方向に並んだ画素同士の輝度の平均値を算出し、これを1ラインに合成した画像データを取得するモードである。このモードは各画素における輝度の平均を算出している事から、おおよそソフトフィルターを介したような処理画像を検査用の画像データとして取得する事ができる。
【0053】
「中間輝度モード」前記走査方向に並んだ画素同士で輝度が中間になる画素を抽出して、これを1ラインに合成した画像データを取得するモードである。このモードでは、輝度が平均の画素を取得するので、スパイクノイズを除去した画像データを取得する事ができる。特に「平均輝度モード」では画像がぼやける場合であっても、鮮明な画像データを取得する事ができる。
【0054】
また、撮影手段は、前記検査対象物に照射した光の強さが異なる領域(即ち、「パーシャルスキャン領域」)ごとに、上記のモードを設定する事ができるように形成する事が望ましい。各パーシャルスキャン領域において、検査に必要な画像データをより鮮明に取得する為である。また、当該撮影手段は、前記パーシャルスキャン領域ごとに、オフセット値及び/又はゲイン値を異ならせる画像調整手段を備える事が望ましい。前記検査対象物に照射した光の強さが異なる領域は、検査対象物の表面に出現する欠陥の種類に応じて撮影に必要な明るさ等が異なることから、各領域ごとにオフセット値及び/又はゲイン値を異ならせる画像調整手段を設ける事で、各領域で要求される最適な画像データを取得する事ができる。デジタルゲインやオフセットを調整することにより、検査対象物の色や透過度、或いは照射する光の強さ(輝度)に応じて最適な画像を取得することができる。
【0055】
≪光学式外観検査システムについて≫
また、本発明にかかる光学式外観検査装置では、更に検査対象物を搬送する為の構成などを伴う事で、光学式外観検査システムとする事ができる。即ち、前記本発明にかかる光学式外観検査装置を用いて構成された光学式外観検査システムであって、更に、検査対象物を載せ置いて此れを搬送する検査対象物移動手段と、当該検査対象移動手段による検査対象物の移動速度又は移動距離を検出する移送検出手段とを備えており、前記処理手段が取得した撮影画像は、移送検出手段から取得した移動速度又は移動量に基づいて算出した撮影位置と関連付けて取得するように構成した光学式外観検査システムとする事ができる。
【0056】
かかる検査対象移送手段としては、コンベアーやマニピュレーター等を挙げる事ができる。また移送検出手段としては、ロータリーエンコーダやリニアエンコーダなどを挙げる事ができる。そして光学式外観検査装置を構成する撮影手段は、移送検出手段から取得した移動速度又は移動距離に起因する信号を取得したタイミングで画像を撮影する事で、この撮影画像における各ラインの画像(ライン状の画像)を撮影位置に関連付けることができる。その結果、検査対象物移動手段における検査対象物の移動速度の変動による撮像分解能のばらつきを抑制すると共に、取得した複数のライン状の画像から面画像を展開する際に、その位置補正が可能となる。
【0057】
そして上記光学式外観検査システムにおいて、前記検査対象物移動手段は、載置した状態で搬送する検査対象物を吸引するか又は当該検査対象物を押し当てる保持手段を備えることができる。検査対象物が板状又はシート状である場合に、撮影手段との距離を一定に保つためである。かかる保持手段は、検査対象物に対してダウンフローのエアーを吹き付けて、当該検査対象物を検査対象物移動手段に押し付ける構成、又は検査対象物移動手段において検査対象物を載置している面に微細な開口を設けて、当該開口から検査対象物の載置面を吸引する構成として具体化できる。かかる保持手段は、少なくとも撮影手段による撮影時に、検査対象物を検査対象物移動手段に密着させておけば足りる。
【0058】
また、本発明にかかる光学式外観検査システムでは、更に、検査対象物の厚みも検査できるように構成する事ができる。即ち、前記検査対象物移動手段における検査対象物の移動経路上には、更に、前記検査対象物の厚みを計測するための厚み計測手段を設けることができる。そして前記処理装置は、この当該厚み計測手段の計測値に基づいて、厚みの不良を検出するように構成するのが望ましい。
【0059】
かかる厚み計測手段としては、反射型のレーザー変位計を用いることができ、当該厚み計測手段の計測結果から、検査対象物における厚みの不良を検査する事ができる。また、この厚み計測手段の計測結果から、検査対象物の厚みを取得し、これに基づいて処理手段が解析する画像データのラインの位置(撮影手段における取得位置)を調整することもできる。
【0060】
なお、上記処理手段は、本発明の光学式外観検査装置を構成する各機器の動作などを制御する事もでき、例えば撮影手段の位置、照明手段の位置や明るさ、検査手段が解析する複数ラインにおける画像データの取得位置等を制御する事もできる。また、この処理手段は、取得又は加工した画像に基づいて、外観における欠陥の有無を判断する事ができる。かかる判断に際しては、画像における色調、明度、輝度等の違いが有る領域を特定し、更に当該領域の大きさを画素数などから特定することにより判断する事ができる。その結果、当該処理手段における判断結果に基づいて、外観上の欠陥を有する検査対象物を自動的に特定する事ができる。
【0061】
そして、本発明にかかる光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムで外観を検査する事の出来る検査対象物は、特に制限されるものではなく、農作物や水産物、或いはこれらの加工品などの食品や、樹脂板、ガラス板、金属板、電子部品・製品、光学部品・製品などの各種工業製品であってよい。但し、当該検査対象物は、外観において凹凸の少ない形状であることが望ましく、例えば板状体、筒体において、より正確に外観の欠陥を検査する事ができる。また、検査対象物は透明であっても不透明であっても良い。
【発明の効果】
【0062】
上記本発明にかかる光学式外観検査装置によれば、1つの撮影手段で、同時に、複数ラインにおける画像データを取得する事ができる為、使用する撮影手段の台数を少なくし、また当該撮影手段の設置台数を少なくすることができ、よって装置自体を小型化した光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムを提供する事ができる。
【0063】
また、外観検査を行うに際して必要となる複数の画像データを取得する際には、撮影手段や照明手段を移動させる必要はない事から、これらの光学機器を移動させるなどの動作時間を要せずして、様々な種類の検査を短時間で行う事ができる光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムが実現する。特に撮影手段として、CMOSイメージセンサの様に、任意のラインで撮影できるイメージセンサを用いたカメラを使用した場合には、画像処理速度が高まる事から、検査時間を一層短縮化できる。
【0064】
また、検査対象物の大きさ、高さ又は厚さは様々である所、本発明にかかる光学式外観検査装置では、解析する画像データを取得するラインを選択するだけで、都度、撮影手段や照明手段の設置位置や角度の調整を不要とする事ができる。よって、大きさ、高さ又は厚さが異なる検査対象物を検査する場合であっても、従来は面倒であったカメラ、照明、又は検査対象物の高さや角度の変更の必要性を無くして検査対象物の外観を検査することのできる光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムが実現する。
【0065】
そして本発明にかかる光学式外観検査装置では、撮影手段における1回の走査で、外観検査に必要な複数の画像を取得できることから、検査対象物の外観に出現する様々な種類の欠陥を、1回の撮影で検査する事ができるようにした光学式外観検査装置、及びこれを用いた光学式外観検査システムが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本実施の形態にかかる光学式外観検査装置を用いて構成した光学式外観検査システムを示す全体構成図である。
図2】光学式外観検査装置での処理内容を説明する、(A)外観検査ステーションを示す斜視図、(B)検査対象物に対する光の照射具合と読み取り位置を示す要部拡大平面図、(C)処理装置において解析する為の画像データを示す平面図である。
図3】様々な欠陥を検査できる事を説明する、(A)検査対象物に欠陥のサンプルを設けた状態を示す要部拡大図、(B)透過光が照射されている領域における欠陥の見え方を示す正面略図、(C)透過光が照射されている領域の輪郭における欠陥の見え方を示す正面略図、(D)透過光が照射されていない領域であって、輪郭領域の近傍領域における欠陥の見え方を示す正面略図である。
図4】他の実施の形態における光学式外観検査装置を示しており、(A)当該光学式外観検査装置の要部拡大斜視図、(B)撮影した画像から複数ラインにおいてライン状の画像を抽出する処理内容を示す概念図、(C)ライン状の画像から合成した、解析対象となる画像データを示す平面図である。
図5】検査対象物が不透明である場合における欠陥の見え方を説明する、(A)検査対象物に欠陥のサンプルを設けた状態を示す要部拡大図、(B)光が照射されている領域における欠陥の見え方を示す正面略図、(C)光が照射されている領域の輪郭における欠陥の見え方を示す正面略図、(D)光が照射されていない領域であって、輪郭領域の近傍領域における欠陥の見え方を示す正面略図である。
図6】検査対象物が円柱状である場合における検査方法を示す斜視図である。
図7】検査対象物が幅方向に長尺な場合の検査方法を示す斜視図である。
図8】光学式外観検査装置で使用する撮影手段の原理を示す略図である。
図9】撮影手段による画像データの形成原理を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本発明にかかる光学式外観検査装置の幾つかの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。特に、以下の実施の形態では、工業製品(部品を含む)の外観を検査する為の光学式外観検査装置50として具体的に示すが、検査対象物Wはこれらに限らず、様々なものを対象とする事ができる。
【0068】
図1は、本実施の形態にかかる光学式外観検査装置50を用いて構成した光学式外観検査システム60を示す全体構成図である。特に本実施の形態では、検査対象物Wとして、板状であって且つ透明に形成されているものを検査するように構成しており、その一例として、導光板を検査するのに適した構成としている。
【0069】
図1に示す様に、この実施の形態に示す光学式外観検査システム60は、検査対象物Wである導光板を受け取る受領ステーション10と、前記光学式外観検査装置50が設置されて検査対象物Wの外観を検査する外観検査ステーション20と、検査対象物Wの厚みを検査する厚み検査ステーション30と、検査が完了した検査対象物Wを送り出す搬出ステーション40により構成している。
【0070】
上記受領ステーション10では、この光学式外観検査システム60での検査対象物Wとなるワークを受領する。本実施の形態では、検査対象物Wが薄板状の導光板であることから、反りや浮き等が生じやすく、よってこの反りや浮き等が、その後に続く外観検査ステーション20及び厚み検査ステーション30における検査に悪影響を与える事の無いように、検査対象物Wは、保持手段(図示せず)によって、検査対象物移動手段11に密着されていることが望ましい。かかる保持手段は、検査対象物Wを検査対象物移動手段側に吸引する構造、又は検査対象物Wに対して上方からエアーを吹き付けて検査対象物移動手段11に押し当てる構成として実現する事ができる。そして、当該受領ステーション10で受け渡された検査対象物Wは、保持手段で保持された状態で、その後に続く外観検査ステーション20、厚み検査ステーション30を水平移動し、搬出ステーション40に到達する。なお、この保持手段は、外観検査ステーション20及び厚み検査ステーション30など、実際に検査を行う領域、更には検査を行っている時だけ、検査対象物Wを保持するように構成する事もできる。
【0071】
また検査対象物Wを各ステーションに移送する為の検査対象物移動手段11として、各種のコンベアー等を使用する事ができる。特に、本実施の形態における検査対象物Wは透明であり、使用している照明手段52は透過照明であることから、検査対象物Wを搬送する検査対象物移動手段11は、後述する外観検査ステーション20に設けられる撮影手段51と照明手段52との間を通過するように設けられている。
【0072】
また、前記の通り検査対象物Wが透明であって、撮影手段51は、検査対象物Wを透過した透過光を撮影するように構成されていることから、前記検査対象物移動手段11及び検査対象物Wの保持手段は、撮影手段51と照明手段52との間を遮る事の無いように構成する事が望ましい。透明に形成されている検査対象物Wの全体を撮像可能なようにする為である。具体的には、前記検査対象物移動手段11は、撮影に影響を与えないように透明な材料で形成するか、又は検査対象物Wの側面等、撮影に影響を与えない場所を保持して搬送するように構成することができ、また検査対象物Wの保持機構は、撮影に影響を与えないように透明な材料で形成するか、又はエアーの流れによって検査対象物Wを保持するように構成することができる。
【0073】
前記外観検査ステーション20では、検査対象物Wにおける外観の検査を行う。この外観検査ステーション20に設置される光学式外観検査装置50は、検査対象物Wを透過するように光を照射する照明手段52としての透過照明と、照明手段52で光を照射した検査対象物Wを撮影する撮影手段51としてのCMOSイメージセンサを用いたカメラと、撮影手段51が撮影した撮影画像を取得して、光の強さが異なる複数ラインの画像データに基づいて検査対象物Wにおける外観上の欠陥の有無を判断する処理手段53としての制御装置とを主要な構成要素として構成している。
【0074】
特に本実施の形態における検査対象物Wは透明な製品であり、使用している照明手段52は透過照明であることから、撮影手段51は、照明手段52と対向するように設けられており、望ましくは、当該撮影手段51は、その撮影方向が、前記照明手段52の照射方向と正対するように設けられる。
【0075】
前記照明手段52として使用している透過照明は、検査対象物Wに光を照射する事により、その欠陥を強調することができる。かかる照明手段52は、長時間・長期間での運用でも安定した照射性能を確保する為に、LEDを光源とすることが望ましく、複数ラインの画像データに基づいて外観上の欠陥を判断する事から、ライン照明を使用する事が望ましい。また、この照明手段52は、検査対象物Wの材質や色などに応じて、照射した光の波長を任意に調整しても良い。検査対象物Wが赤色であれば赤色波長領域の光を照射し、検査対象物Wが緑色であれば緑色波長領域の光を照射することができる。また検査対象物Wが金属などの様に反射率が高い材料で形成されている場合や、透明な材料で形成されている場合には、青色波長領域の光を照射するのが望ましい。青色波長領域の光は、波長が短く、反射光や透過光が散乱しやすいためである。
【0076】
かかる照明手段52は、検査対象物移動手段11によって搬送される検査対象物Wを明確に照らすために、搬送手段の近傍に設置するのが望ましい。但し、当該照明手段52が照射している領域の輪郭の幅を調整する為、或いは照射している領域の輝度を調整する為に、当該照明手段52は、前記検査対象物移動手段11との間隔を任意に調整できるように設置しても良い。
【0077】
また、撮影手段51として使用しているカメラは、撮像素子としてCMOSイメージセンサを備えており、フォトダイオードが縦横方向に複数配置された面状の撮像素子を備えている。例えば横方向(走査方向に対する幅方向)2048画素、縦方向(走査方向)2048画素の撮像素子を使用する事ができる。このようなイメージセンサを備えた撮影手段51において、横方向の視野を200mmとした場合には、縦方向の視野も200mmとなることから、この縦方向の視野内で、撮影に使用するフォトダイオード列を複数指定すれば、当該撮影手段51を走査させることにより、複数ラインにおける画像データを取得する事ができる。また、この縦方向の視野内において、撮影に使用するフォトダイオード列の位置(ライン)を変更すれば、あたかも複数のラインセンサを使用しているように動作させることができ、また画角の開き角度によって角度を変更しているような動作を行う事ができる。
【0078】
そして、処理手段53として使用されている制御装置は、撮影手段51が撮影した撮影画像を取得し、複数ラインの画像データをそれぞれ解析して、外観における欠陥の有無を判断する。この解析に使用する画像データは、撮影手段51が撮影した撮影画像をそのまま使用する他、当該撮影画像を複数ラインごとに繋ぎ合わせて面画像に展開したものであって良い。よってこの処理手段53は、画像データを解析すると共に、必要に応じて画像処理を行う為に必要な数値計算や情報処理を行う為のCPU(Central Processing Unit)及びメモリ等を伴って構成される。かかる処理装置としては、コンピュータを使用する事ができるが、画像処理及び外観上の欠陥を解析・判断する為に必要な数値計算や情報処理を行う為に設計された装置であっても良い。そしてこの処理手段53は、前記撮像素子において、撮影手段51の走査方向に並んだフォトダイオード列の何れの列で撮影するかについても制御することができる。
【0079】
また、撮影手段51から取得した撮影画像を、検査対象物Wの撮影位置と相関させる為に、前記検査対象物移動手段11による検査対象物Wの水平移動距離や移動速度を検出する移送検出手段54を設けるのが望ましい。かかる移送検出手段54としては、ロータリーエンコーダやリニアエンコーダ等を使用する事ができる。そしてこの移送検出手段54は、検査対象物Wの搬送経路における何れかの場所に設置する事ができ、望ましくは検査対象物Wの水平移動距離や速度を正確に計測する為に、当該外観検査ステーション20に設置し、特に望ましくは撮影手段51における撮影領域の近傍に設置する。そして、この移送検出手段54による検出信号を処理手段53に送ることにより、検査対象物移動手段11による検査対象物Wの移動速度の変動による撮像分解能のばらつきを抑制すると共に、撮影手段51においてライン状に取得した画像を、解析に使用する画像データ(面画像)に展開する際に、その位置補正を可能とすることができる。
【0080】
そして厚み検査ステーション30では、検査対象物Wにおける厚みが既定の範囲内か否かを検査する。即ち、この厚み検査ステーション30には、検査対象物移動手段11によって搬送されてきた検査対象物Wの厚みを、反射型のレーザー変位計からなる厚み検出手段31で計測する。この計測結果は、前記処理手段53に送られ、当該処理手段53において検査対象物Wの厚みの不良を検出する事ができる。
【0081】
なお、図1に示した光学式外観検査システム60は、特に検査対象物Wが透明であって、透過照明により撮影画像を取得するように構成している。即ち、照明手段52は、検査対象物Wを挟んで反対側に設けている。この点、仮に検査対象物Wが透明でない場合には、透過照明によって画像データを取得する事は出来ない。よって、検査対象物Wが不透明な場合には、後述する図4に示す様に、反射照明を使用し、撮影手段51は検査対象部に照射した光の反射光を撮影する事により、前記の画像データを取得する事ができる。その際、照明手段52は、撮影手段51による撮影方向から検査対象物Wに対して光を照射する事が望ましく、特に検査対象物Wの鉛直上方から光を照射するのが望ましい。
【0082】
次に、図2を参照しながら、前記外観検査ステーション20における光学式外観検査装置50での処理内容を説明する。図2(A)は外観検査ステーション20を示す斜視図であり、図2(B)は検査対象物Wに対する光の照射具合と読み取り位置を示す要部拡大平面図であり、図2(C)は処理装置において解析する為の画像データを示す平面図である。
【0083】
先ず、この外観検査ステーション20では、検査対象物Wは、コンベアー等の検査対象物移動手段11によって搬送されており、当該検査対象物移動手段11の下方には照明手段52が設けられている。この照明手段52はライン照明であって、検査対象物Wの幅方向(移送方向に対して交差する向き)全体にわたって光を照射する。この照明手段52の光は、検査対象物Wを透過しており、これにより検査対象物Wの上方に設けられた撮影手段51は検査対象物Wの透過光を撮影する事ができる。そして検査対象物Wは照明手段52と撮影手段51との間を通過する。
【0084】
図2(B)に示す様に、撮影手段51では、透過光によって照らされている領域において、明るい領域A1と、その輪郭領域A2と、透過光によって照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域の領域A3において、検査対象物Wの幅方向(走査方向と交差する方向)に延伸するラインで撮影した画像データを取得する。各ラインにおける撮影は、検査対象物Wを移送しながら行われ、少なくとも1回の撮影で取得する画素数分移動するごとに撮影される。この検査対象物Wの移送距離は、前記ロータリーエンコーダ等の移送検出手段54により検出される。よって一定距離移動したとの信号を移送検出手段54から取得した時点で、前記撮影手段51は所定のラインにおける画像を撮影する事ができる。
【0085】
そして、図2(B)に示した各ラインにおける撮影が、検査対象物Wの全体について行われた後に、検査対象が移動するごとに撮影したライン状の画像を繋ぎ合わせて、図2(C)に示すような面画像に展開した画像データD1~D3を形成する。即ち、透過光によって照らされている領域において、明るい領域A1を撮影した画像で形成した画像データD1と、透過光によって照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域の領域A2を撮影した画像で形成した画像データD2と、透過光によって照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域の領域A3を撮影した画像で形成した画像データD3とを形成する。かかる画像データの形成は、撮影手段51が撮影するごとに、処理装置はライン状の画像を取得して、これを面画像に展開する他、撮影ごとのライン状の画像データを撮影手段51において記録しておき、面画像に合成したのちに処理手段53に送るようにしても良い。このように形成した各ラインにおける夫々の面画像(画像データ)は、検査対象物Wに対する光の照射方向を異ならせた状態を撮影したものとなる。よって、撮影手段51における1回の走査で取得可能でありながらも、光の照射角度を異ならせて、撮影手段51を複数回走査させた場合と同じ画像データを取得する事ができる。
【0086】
次に、図3を参照しながら、光の照射具合が異なっている複数ラインにおける画像データを使用する事により、様々な欠陥を検査する例を説明する。図3(A)は検査対象物Wに欠陥のサンプルを設けた状態を示す要部拡大図であり、図3(B)は、透過光が照射されている領域における欠陥の見え方を示す正面略図であり、図3(C)は、透過光が照射されている領域の輪郭における欠陥の見え方を示す正面略図であり、図3(D)は、透過光が照射されていない領域であって、輪郭領域の近傍領域における欠陥の見え方を示す正面略図である。
【0087】
この例では、検査対象物Wは透明であって、図3(B)~(D)では、検査対象物Wに光を照射した時の透過光における見え方を示したものである。検査対象物Wには、サンプルとして、図3(A)に示す様に、上から順に、表面に存在するキズ等のキズ欠陥F1、表面又は内面に黒色の異物が存在する色欠陥F2、表面におけるなだらかな凹凸からなる凹凸欠陥F3を形成している。
【0088】
このような欠陥を形成したサンプル検査対象物Wでは、図3(B)に示すように、裏面に光が照射されている領域A1では、色欠陥F2が明瞭に出現しており、一方でキズ欠陥F1や凹凸欠陥F3は明瞭には出現していない。また図3(C)に示すように、輪郭領域A2では、凹凸欠陥F3が明瞭に出現しており、一方で色欠陥F2やキズ欠陥F1は明瞭には出現していない。そして図3(D)に示すように、光が照射されていない領域A3では、キズ欠陥F1が明瞭に出現しており、一方で色欠陥F2や凹凸欠陥F3は明瞭には出現していない。
【0089】
このように、光を照射している領域との関係において、明瞭に出現する欠陥の種類が異なる事から、前記複数ラインにおける画像データをそれぞれ解析する事により、1回の走査で取得した複数の画像データを使用して、様々な外観上の欠陥を検査する事ができる。
【0090】
なお、上記の実施の形態では、検査対象物Wが透明な製品であることから、照明手段52として透過照明を使用しているが、当該検査対象物Wが不透明である場合には、以下の図4に示す様に、照明手段を撮影手段51側に設け、撮影手段52は検査対象物Wに照射された光の反射光を撮影するようにしても良い。また、上記の実施の形態では、撮影手段51としてCMOSイメージセンサを使用したカメラを用いているが、所定のエリアを面画像で撮影するCCDイメージセンサを使用したカメラを使用する事もでき、この場合には、以下の図4に示すようなライン状の画像の抽出等の画像処理を行う。
【0091】
図4は他の実施の形態における光学式外観検査装置150を示しており、当該光学式外観検査装置150も、前記図1に示した光学式外観検査システム60の外観検査ステーション20に設置する事ができる。この実施の形態に示す光学式外観検査装置150は、特に撮影手段151としてCCDイメージセンサを用いたカメラを使用し、また照明手段152は透過光ではなく反射光を撮影するように構成している。図4(A)は他の実施の形態にかかる光学式外観検査装置150を示す要部拡大斜視図であり、図4(B)は撮影した画像から複数ラインにおいてライン状の画像を抽出する処理内容を示す概念図であり、図4(C)は、ライン状の画像から合成した、解析対象となる画像データを示す平面図である。
【0092】
この実施の形態においても、検査対象物Wは、コンベアー等の検査対象物移動手段11によって搬送される。搬送されてきた検査対象物Wに対しては、その上方に設けられた照明手段152から光を照射している。そして、照明手段152と同様に検査対象物Wの上方に設けた撮影手段151では、少なくとも光で照射している照射範囲と、当該照射範囲の近傍であって、光が照射されていない領域を含んで、検査対象物Wの幅方向全体が写るようにして画像を撮影する。この撮影した画像は、前述の実施の形態と同じように、ロータリーエンコーダ等の移送検出手段が計測した移送距離等と関連付けられている。
【0093】
そして一定のエリアを撮影した画像から、図4(B)に示す様に、任意に設定した領域内から、ライン状の画像を抽出する。即ち、照明手段152から照射された光で照らされている領域A1、その輪郭領域A2と、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3の夫々のラインから、ライン状の画像(L1~L3)を抽出する。即ち、光で照らされている領域A1からライン状の画像L1を抜き出し、光で照らされている領域A1の輪郭領域A2からライン状の画像L2を抜き出し、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3からライン状の画像L3を抜き出す。
【0094】
そして抽出したライン状の画像を、それぞれ繋ぎ合わせて、図4(C)に示すような面画像からなる画像データを夫々合成する。即ち、光で照らされている領域A1から抜き出したライン状の画像L1を繋ぎ合わせた画像データD11と、光で照らされている領域A1の輪郭領域A2から抜き出したライン状の画像L2を繋ぎ合わせた画像データD12と、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3から抜き出したライン状の画像L3を繋ぎ合わせた画像データD13とを、それぞれ合成する。そして、この合成した夫々の面画像(画像データ)について、色及び/又は明るさの変化を解析することで、検査対象物Wにおける夫々の外観上の欠陥の有無を判断する事ができる。
【0095】
次に、図5を参照しながら、検査対象物Wが不透明である場合における欠陥の見え方を説明する。図5は検査対象物Wに光を照射した時の反射光の見え方を示すものであり、図5(A)は検査対象物Wに欠陥のサンプルを設けた状態を示す要部拡大図であり、図5(B)は、光が照射されている領域における欠陥の見え方を示す正面略図であり、図5(C)は、光が照射されている領域の輪郭における欠陥の見え方を示す正面略図であり、図5(D)は、光が照射されていない領域であって、輪郭領域の近傍領域における欠陥の見え方を示す正面略図である。
【0096】
この例では、検査対象物Wは不透明であって、図5(B)~(D)では、検査対象物Wに光を照射した時の反射光における見え方を示したものである。検査対象物Wには、サンプルとして、図5(A)に示す様に、上から順に、表面に存在する黒色の異物等の異物欠陥F11、貫通する孔等の孔欠陥F12、表面に存在するキズ等のキズ欠陥F13を形成している。
【0097】
このような欠陥を形成したサンプル検査対象物Wでは、図5(B)に示すように、表面に光が照射されている領域A1では、孔欠陥F12が明瞭に出現しており、一方で異物欠陥F11やキズ欠陥F13は明瞭には出現していない。また図5(C)に示すように、輪郭領域A2では、異物欠陥F11が明瞭に出現しており、一方で孔欠陥F12やキズ欠陥F13は明瞭には出現していない。そして図5(D)に示すように、光が照射されていない領域A3では、キズ欠陥F13が明瞭に出現しており、一方で異物欠陥F11や孔欠陥F12は明瞭には出現していない。
【0098】
このように、検査対象が不透明であっても、反射光を撮影する事により、光を照射している領域との関係において、明瞭に出現する欠陥の種類が異なることになる。よって前記複数ラインにおける画像データをそれぞれ解析する事により、1回の走査で取得した複数の画像データを使用して、様々な外観上の欠陥を検査する事ができる。
【0099】
なお、本実施の形態では、検査対象物Wが不透明な場合について説明したが、透明な場合には、前記図2に示したように、透過照明を照射する照明手段52を使用することができる。また、本実施の形態に示す様に、検査対象物Wが不透明な場合であっても、前述のようにCMOSイメージセンサを使用したカメラからなる撮影手段51を使用することができ、この場合には各ラインにおいて撮影した画像を面画像に展開して、欠陥を検査する事ができる。
【0100】
図6は、検査対象物Wが円柱状である場合における検査方法を示す斜視図である。この図に示す様に、検査対象が筒状であって、その周面における外観を検査する場合には、検査対象物Wを軸周りに回転させることにより、外観検査を行う事ができる。特に検査対象物Wが曲面を有する場合には、撮影手段51としてCMOSイメージセンサを使用したカメラを用いる事で、曲面における画像の歪みの問題を解消する事ができ、より正確に外観検査を行う事ができる。但し、この実施の形態においても、撮影手段としてはCCDイメージセンサを使用したカメラを用いても良い。
【0101】
図7は、検査対象物Wが幅方向に長尺な場合、即ち移送方向に直行する向きに長尺である場合の検査方法を示す斜視図である。この図に示す様に、検査対象が幅広である場合には、撮影手段51を幅方向に複数並べて使用する事ができる。この場合においては、複数台の撮影手段51を使用する事になる。但し、何れかの幅方向の範囲は、何れか1つの撮影手段51によって、複数ラインにおける画像データが取得される。この図7では、撮影手段51は一列に配置しているが、千鳥状に配置しても良い。但し、幅方向において撮影領域に隙間が生じることなく、かつ後から連結できるように、撮影範囲を特定できることが必要である。但し、この実施の形態においても、撮影手段としてはCCDイメージセンサを使用したカメラを用いても良い。
【0102】
以上のように構成した光学式外観検査装置によれば、検査対象物Wの製造工程において生じるすべての欠陥を、一つの撮像条件で、一回の撮像で、同時に検査することが可能になり、また検査対象物Wが、厚みが異なる製品の場合でも、撮影手段や照明手段などの光学系を物理的に調整することなく、検査に必要な画像データを取得して、欠陥を解析・判断する事ができる。
【0103】
次に、図8及び9を参照しながら、本実施の形態にかかる光学式外観検査装置で好適に使用可能な撮影手段について説明する。かかる撮影手段は、図8に示す様に、走査方向に交差する向きに複数のフォトダイオードを配列したフォトダイオード列を、平行な状態で、走査方向に複数並べて構成している。図8には、A~D列からなる4列のフォトダイオード列を示しており、各列は配列方向に並んだ9個のフォトダイオードで構成されている。このように構成した撮影手段で撮影する事により、4列×9個の合計36画素の画像を撮影する事ができる。
【0104】
特に、この実施の形態にかかる撮影手段は、更に画像処理部を伴って構成されており、この画像処理部によって、36画素の画像サイズを小さくする処理を実行する。具体的には、走査方向に並んでいる画素から、最大輝度、最小輝度、平均輝度等の予め設定した条件の輝度の画素を算出乃至は抽出する処理を、配列方向に並んだすべての画素について実行する。そして、この条件によって演算乃至は抽出した画素を連結した1列の画像データを生成し、この1列の画像データを表面検査に使用する。図8はフォトダイオードの配列を示しているが、これを各フォトダイオードが撮影した画素として見た場合に、輝度が最も低い画素を抽出する。図8において、フォトダイオードの配列を画素の配列として見た場合、A1~D1の画素において最も輝度が低いB1画素を抽出し、隣に配列されたA2~D2の画素においても、最も輝度が低いC2画素を抽出する。そしてこのような演算乃至は抽出処理をA9~D9の画素まで実行し、B1、C2、A3、B4、C5、D6、B7、C8、A9の画素からなる1列の画像データを生成する。その結果36画素の画像を9画素の画像データに合成することができ、よってデータ量を減じ、処理速度を高める事ができる。なお、かかる画素の抽出は、処理手段において実行する事もできる。
【0105】
図9は、実際に検査対象物を撮影した画像から、1列の画像データを演算乃至は抽出する処理を示す略図である。図9(A)に示す様に、検査対象物Wを撮影して、走査方向に並んだ10列の画素からなる画像を撮影する。各列は光学素子に応じた画素で構成する事ができる。そして図9(B)に示す様に、この撮影した画素から、走査方向に並んだ各列の画素を比較して、図9(C)に示す様に、最も輝度が高い画素を抽出する。この処理を各列における画素の配列方向まで実施し、抽出した画素を1列に組み合わせることにより、1列の画像データを生成する事ができる。そして、この生成した1列の画像データを検査に使用する事から、検査に使用する画像データを大幅に低減し、処理速度を向上させることができる。
【0106】
このような撮影手段を使用した検査装置では、検査対象物の移送距離を、おおよそ1回の撮影で撮影した画素列分とすることにより、検査スピードを高める事ができる。即ち、図9では9画素分または10画素分ずつ検査対象物を移送させて撮影する事により、1回の撮影ごとの移送距離を大きくして大量の検査対象物を検査する事ができる。
【0107】
一方で、検査対象物の移送距離を、1回の撮影で撮影した画素列よりも短くした場合には、何れかの領域については、その周辺を含めた広い範囲についての画像を取得することができる。例えば、図9に示す様に走査方向に10列のフォトダイオード列が並んでいる場合には、1乃至は5列づつ移送させて撮影を行うことができる。そして、この撮影画素の中から目的に合った画素(予め条件設定した画素)を抽出することから、撮影漏れの無い、より精度の高い画像データを取得する事ができる。よって、この場合には、表面検査を高精度に実施する事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
上記本発明にかかる光学式外観検査装置は、工業製品のみならず、原材料や、農作物、水産物、或いはこれらの加工品など、様々な物品について、その外観上の欠陥を検査する為に利用する事ができる。そして、検査対象物Wは、透明であっても不透明であっても、外観検査を行う事ができる。
【符号の説明】
【0109】
10 受領ステーション
11 検査対象物移動手段
20 外観検査ステーション
30 検査ステーション
31 検出手段
40 搬出ステーション
50,150 光学式外観検査装置
51,151 撮影手段
52,152 照明手段
53 処理手段
54 移送検出手段
60 光学式外観検査システム
W 検査対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9