(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】コヒーレント複合フレネルフォーカシングを使用した超音波ビームフォーミングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2019531617
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(86)【国際出願番号】 CA2017051524
(87)【国際公開番号】W WO2018107299
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-14
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506367238
【氏名又は名称】ダルハウジー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】サムソン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ラサム,キャサリン
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-540071(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0079299(US,A1)
【文献】特開2007-089187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0079658(US,A1)
【文献】特表2009-535097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0242567(US,A1)
【文献】特表2006-519556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0160144(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0167786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む超音波アレイを備え、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組のバイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれの超音波パルスを、選択された仰角によって特徴付けられる選択された仰角スライス焦点に又はその近位にフォーカシングするように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンである、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号をコヒーレントに複合するステップであって、
各超音波パルスを送信した後に前記第1の電極アレイによって応答的に受信される受信信号をコヒーレントに複合し、これによって、選択された仰角に対応する2次元画像データセットを取得し、各フレネル位相パターンに関連するフレネル二次ローブは、前記異なるフレネル位相パターンに関連する受信信号のコヒーレント複合によって低減される、
受信信号をコヒーレントに複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の更なる仰角に関連付けられた更なる2次元データセットを収集し、これによって、複数の2次元画像データセットを含む3次元画像データセットを取得するステップと、
d)前記3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている、超音波イメージングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、前記フレネル位相パターンの組のそれぞれが異なるように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記異なるフレネル位相パターンは、前記複数の超音波パルスの全てに共通のフレネル位相パターンを使用して得られる仰角二次ローブエネルギに対する仰角二次ローブエネルギの減少係数が、前記複数の超音波パルスにおける前記超音波パルスの数の平方根の25%以内になるように選択される超音波イメージングシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンのそれぞれに対して、位相ラッピングの前に異なる位相オフセットを選択することによって、前記少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンが生成されるように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、位相オフセットを使用して生成された各フレネル位相パターンに対して、それぞれに関連する送信信号に群遅延を加え、前記位相オフセットを補償するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンのそれぞれに対して、異なる仰角焦点深度を選択することによって、前記少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンが生成されるように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、異なる仰角焦点深度に関連する各フレネル位相パターンに対して、それぞれに関連する送信信号に群遅延を加え、前記異なる仰角焦点深度を補償するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンのそれぞれに対して、異なる仰角を選択することによって、前記少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンが生成されるように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、前記方位角平面内において各超音波パルスの波面が線形であり、異なる複数のパルスに関連する複数の波面が、前記方位角平面内で異なる方向に角度を有するように前記送信信号を生成するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、各超音波パルスが、前記方位角平面内で発散する波面を伴って伝播するように前記送信信号を生成するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、各超音波パルスのそれぞれに関連する前記波面が異なる仮想ソース位置を有するように前記送信信号を生成するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、前記受信信号を検出する際、フレネル位相パターンも仰角フォーカシング行うように形成されるように、バイアス信号を前記第2の電極アレイに供給するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、送信及び受信の間に同じフレネル位相パターンが形成されるように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項14】
請求項12に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、送信及び受信の間に異なるフレネル位相パターンが形成されるように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、複数の分割及び遅延仰角サブアパーチャをフレネル位相フォーカシングと組み合わせて使用することによって、1つ以上の超音波パルスの仰角フォーカシングが実行されるように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記超音波アレイ素子は、電歪層内において、前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイによって画定される超音波イメージングシステム。
【請求項17】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記超音波アレイ素子は、容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)アレイ素子を含む超音波イメージングシステム。
【請求項18】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記超音波アレイ素子は、少なくとも1次元においてカーフ加工される超音波イメージングシステム。
【請求項19】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の超音波イメージングシステムにおいて、前記超音波アレイ素子は、少なくとも1次元において部分的にカーフ加工される超音波イメージングシステム。
【請求項20】
超音波アレイを制御する方法であって、
前記方法は、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む超音波アレイを制御してコヒーレント複合イメージングを実行する方法であり、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組のバイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれの超音波パルスを、選択された仰角によって特徴付けられる選択された仰角スライス焦点に又はその近位にフォーカシングするように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンである、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号をコヒーレントに複合することであって、
各超音波パルスを送信した後に前記第1の電極アレイによって応答的に受信される受信信号をコヒーレントに複合し、これによって、選択された仰角に対応する2次元画像データセットを取得し、各フレネル位相パターンに関連するフレネル二次ローブは、前記異なるフレネル位相パターンに関連する受信信号のコヒーレント複合によって低減される、
受信信号をコヒーレントに複合することと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の更なる仰角に関連付けられた更なる2次元データセットを収集し、これによって、複数の2次元画像データセットを含む3次元画像データセットを取得することと、
d)前記3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記フレネル位相パターンの組のそれぞれが異なる方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、前記異なるフレネル位相パターンは、前記複数の超音波パルスの全てに共通のフレネル位相パターンを使用して得られる仰角二次ローブエネルギに対する仰角二次ローブエネルギの減少係数が、前記複数の超音波パルスにおける前記超音波パルスの数の平方根の25%以内になるように選択される方法。
【請求項23】
請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の方法において、少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンのそれぞれに対して、位相ラッピングの前に異なる位相オフセットを選択することによって、前記少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンが生成される方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、位相オフセットを使用して生成された各フレネル位相パターンに対して、それぞれに関連する送信信号に群遅延を加え、前記位相オフセットを補償する方法。
【請求項25】
請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の方法において、少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンのそれぞれに対して、異なる仰角焦点深度を選択することによって、前記少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンが生成される方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、異なる仰角焦点深度に関連する各フレネル位相パターンに対して、それぞれに関連する送信信号に群遅延を加え、前記異なる仰角焦点深度を補償する方法。
【請求項27】
請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の方法において、少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンのそれぞれに対して、異なる仰角を選択することによって、前記少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンが生成される方法。
【請求項28】
請求項20から請求項27のいずれか一項に記載の方法において、前記送信信号は、前記方位角平面内において各超音波パルスの波面が線形であり、異なるパルスに関連する波面が、前記方位角平面内で異なる方向に角度を有するように生成される方法。
【請求項29】
請求項20から請求項27のいずれか一項に記載の方法において、前記送信信号は、各超音波パルスが、前記方位角平面内で発散する波面を伴って伝播するように生成される方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記送信信号は、各超音波パルスのそれぞれに関連する前記波面が異なる仮想ソース位置を有するように生成される方法。
【請求項31】
請求項20から請求項30のいずれか一項に記載の方法において、前記受信信号を検出する際、フレネル位相パターンも仰角フォーカシングを行うように形成されるように、バイアス信号が前記第2の電極アレイに供給される方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、送信及び受信の間に同じフレネル位相パターンが形成される方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法において、送信及び受信の間に異なるフレネル位相パターンが形成される方法。
【請求項34】
請求項20から請求項33のいずれか一項に記載の方法において、複数の分割及び遅延仰角サブアパーチャをフレネル位相フォーカシングと組み合わせて使用することによって、1つ以上の超音波パルスの仰角フォーカシングが実行される方法。
【請求項35】
請求項20から請求項34のいずれか一項に記載の方法において、前記超音波アレイ素子は、電歪層内において、前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイによって画定される方法。
【請求項36】
請求項20から請求項34のいずれか一項に記載の方法において、前記超音波アレイ素子は、容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)アレイ素子を含む方法。
【請求項37】
請求項20から請求項34のいずれか一項に記載の方法において、前記超音波アレイ素子は、少なくとも1次元においてカーフ加工される方法。
【請求項38】
請求項20から請求項34のいずれか一項に記載の方法において、前記超音波アレイ素子は、少なくとも1次元において部分的にカーフ加工される方法。
【請求項39】
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む超音波アレイを備え、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記送信バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、それぞれの超音波パルスを、選択された仰角によって特徴付けられる選択された仰角スライス焦点にフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成し、
各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられた受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記第2の電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記第1の電極アレイによって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
アダマール行列を使用して前記受信信号を復号し、前記仰角方向における前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して、前記選択された仰角に関連する二方向焦点を生成し、
前記復号されビームフォーミングされた受信信号をコヒーレントに複合して、前記選択された仰角に対応する2次元画像データセットを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の更なる仰角に関連付けられた更なる2次元データセットを収集し、これによって、複数の2次元画像データセットを含む3次元画像データセットを取得するステップと、
d)前記3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている超音波イメージングシステム。
【請求項40】
請求項39に記載のシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、更に、アダマール復号及びビームフォーミングの前に、1つ以上の隣接する仰角スライスに関連する受信信号をコヒーレントに複合することによって、少なくとも1つの仰角スライスに関連するサイドローブエネルギを低減するように構成されるシステム。
【請求項41】
請求項39又は請求項40に記載のシステムにおいて、所与の仰角スライスに対して使用される前記フレネル位相パターンのうちの少なくとも2つは、異なっており、これによってサイドローブエネルギが低減されるシステム。
【請求項42】
請求項39又は請求項40に記載のシステムにおいて、所与の仰角スライスに対して使用される前記フレネル位相パターンのうちの少なくとも2つは、仰角又は仰角焦点深度において相対的にシフトされているシステム。
【請求項43】
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む超音波アレイを備え、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記送信バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように前記第2の電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記第1の電極アレイによって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンの前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号を仰角方向及び方位角方向にコヒーレントに複合して3次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項44】
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、信号電極アレイとバイアス電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む1次元超音波アレイを備え、
前記バイアス電極アレイの素子の数が、前記信号電極アレイの電極の数を超え、
前記超音波アレイが一組のサブアパーチャを含み、
各サブアパーチャが、単一の信号電極と複数の隣接するバイアス電極とを含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極アレイ及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極アレイの電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信バイアス電圧は、選択された画像ラインにおいてそれぞれの超音波パルスをフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成するように前記バイアス電極アレイに供給され、
各サブアパーチャについて、各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられる前記受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極アレイの各電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用してサブアパーチャ毎に前記受信信号を復号し、
前記サブアパーチャからの前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して前記選択された画像ラインに対応する画像ラインを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の追加画像ラインに関連付けられた追加画像ラインを収集し、これによって2次元画像データセットを取得するステップと、
d)2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている超音波イメージングシステム。
【請求項45】
請求項44に記載のシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、更に、アダマール復号及びビームフォーミングの前又は後に、1つ以上の隣接する画像ラインに関連する受信信号を複合することによって、少なくとも1つの画像ラインに関連するサイドローブエネルギを低減するように構成されるシステム。
【請求項46】
請求項44又は請求項45に記載のシステムにおいて、前記超音波アレイは、イメージングプローブ内に存在するシステム。
【請求項47】
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、信号電極アレイとバイアス電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む1次元超音波アレイを備え、
前記バイアス電極アレイの素子の数が、前記信号電極アレイの電極の数を超え、前記超音波アレイが一組のサブアパーチャを含み、各サブアパーチャが単一の信号電極と複数の隣接するバイアス電極とを含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極アレイ及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極アレイの電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信バイアス電圧は、前記バイアス電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
各サブアパーチャについて、所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極アレイの各電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンのサブアパーチャ毎に受信信号を復号し、
前記復号された受信信号をコヒーレントに複合して2次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)前記2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項48】
請求項47に記載のシステムにおいて、前記超音波アレイは、イメージングプローブ内に存在するシステム。
【請求項49】
超音波イメージングシステムであって、
超音波イメージングシステムは、信号電極とバイアス電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む1次元超音波アレイを備え、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、選択された画像ラインにおいてそれぞれの超音波パルスをフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成するように前記バイアス電極アレイに供給され、
各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられた受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極によって受信された受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用してサブアパーチャ毎に前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して前記選択された画像ラインに対応する画像ラインを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の追加画像ラインに関連付けられた追加画像ラインを収集し、これによって2次元画像データセットを取得するステップと、
d)2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている超音波イメージングシステム。
【請求項50】
請求項49に記載のシステムにおいて、前記制御及び処理回路は、更に、アダマール復号及びビームフォーミングの前又は後に、1つ以上の隣接する画像ラインに関連する受信信号を複合することによって、少なくとも1つの画像ラインに関連するサイドローブエネルギを低減するように構成されるシステム。
【請求項51】
請求項49又は請求項50に記載のシステムにおいて、前記超音波アレイは、イメージングプローブ内に存在するシステム。
【請求項52】
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、信号電極とバイアス電極アレイとの間に形成された複数の超音波アレイ素子を含む1次元超音波アレイを備え、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、前記バイアス電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
各サブアパーチャについて、所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極によって受信された受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンの前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号をコヒーレントに複合して2次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)前記2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成される超音波イメージングシステム。
【請求項53】
請求項52に記載のシステムにおいて、前記超音波アレイは、イメージングプローブ内に存在するシステム。
【請求項54】
超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記超音波アレイは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含み、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記送信バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、それぞれの超音波パルスを、選択された仰角によって特徴付けられる選択された仰角スライス焦点にフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成し、
各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられた受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記第2の電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合することであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記第1の電極アレイによって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
アダマール行列を使用して前記受信信号を復号し、前記仰角方向における前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して、前記選択された仰角に関連する二方向焦点を生成し、
前記復号されビームフォーミングされた受信信号をコヒーレントに複合して、前記選択された仰角に対応する2次元画像データセットを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の更なる仰角に関連付けられた更なる2次元データセットを収集し、これによって、複数の2次元画像データセットを含む3次元画像データセットを取得することと、
d)前記3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法。
【請求項55】
超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記超音波アレイは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含み、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記送信バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように前記第2の電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合することであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記第1の電極アレイによって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンの前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号を仰角方向及び方位角方向にコヒーレントに複合して3次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法。
【請求項56】
1次元超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記1次元超音波アレイは、信号電極アレイとバイアス電極アレイとの間に画定される複数の超音波アレイ素子を含み、
前記バイアス電極アレイの素子の数が、前記信号電極アレイの電極の数を超え、
前記超音波アレイが一組のサブアパーチャを含み、
各サブアパーチャが単一の信号電極と複数の隣接するバイアス電極とを含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極アレイ及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極アレイの電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、選択された画像ラインにおいてそれぞれの超音波パルスをフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成するように前記バイアス電極アレイに供給され、
各サブアパーチャについて、各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられる前記受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極アレイの各電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用してサブアパーチャ毎に前記受信信号を復号し、
前記サブアパーチャからの前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して前記選択された画像ラインに対応する画像ラインを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の追加画像ラインに関連付けられた追加画像ラインを収集し、これによって2次元画像データセットを取得するステップと、
d)2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている方法。
【請求項57】
1次元超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって
前記1次元超音波アレイは、信号電極アレイとバイアス電極アレイとの間に画定される複数の超音波アレイ素子を含み、
前記バイアス電極アレイの素子の数が、前記信号電極アレイの電極の数を超え、
前記超音波アレイが一組のサブアパーチャを含み、
各サブアパーチャが単一の信号電極と複数の隣接するバイアス電極とを含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極アレイの電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、前記バイアス電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
各サブアパーチャについて、所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極アレイの各電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンのサブアパーチャ毎に受信信号を復号し、
前記復号された受信信号をコヒーレントに複合して2次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)前記2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法。
【請求項58】
1次元超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記1次元超音波アレイは、信号電極とバイアス電極アレイとの間に画定される複数の超音波アレイ素子を含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、選択された画像ラインにおいてそれぞれの超音波パルスをフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成するように前記バイアス電極アレイに供給され、
各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられた受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合することであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極によって受信された受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用してサブアパーチャ毎に前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して前記選択された画像ラインに対応する画像ラインを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の追加画像ラインに関連付けられた追加画像ラインを収集し、これによって2次元画像データセットを取得することと、
d)2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法。
【請求項59】
1次元超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記1次元超音波アレイは、信号電極とバイアス電極アレイとの間に画定される複数の超音波アレイ素子をみ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、前記バイアス電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合することであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンの前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号をコヒーレントに複合して2次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)前記2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波ビームフォーミング及び超音波イメージングに関する。幾つかの態様では、本開示は、ボルメトリック超音波イメージングに関する。
【0002】
[関連出願への相互参照]
本出願は、「SYSTEMS AND METHODS FOR ULTRASOUND BEAMFORMING USING COHERENTLY COMPOUNDED FRESNEL FOCUSING」という名称で2016年12月15日に出願された米国仮特許出願第62/434,763号に対する優先権を主張するものであり、その全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
[背景]
3Dイメージングが可能な超音波システムには、2Dアレイに必要な素子/ビームフォーミングチャネルの数、小さな素子の高いインピーダンスに起因する電気的整合の問題、及び3Dボリュームに対しては画像取得時間が長くなることを含む幾つかの技術的課題がある。交差電極アレイは、これらの問題のいくつかを解決でき、特に、素子数を大幅に削減できる。交差電極アレイは、超音波素子の2Dグリッドの代わりに、アレイの上部に設けられた線形の電極の組と、これと同じであるがこれと直交する、アレイの底部に設けられた組とからなる。この設計により、素子の数を実質的に削減しながら、両方の平面における電気的制御を維持できる。しかしながら、これらのアレイでは、方位角と仰角の次元に同時にアクセスしてビームフォーミングを行うことができないため、二方向にフォーカシングしたボルメトリック画像をリアルタイムで作成することは、依然として困難である。
【0004】
音波は、光と同様に、フレネルレンズ又はゾーンプレート法を用いてフォーカシングできる。フレネルゾーンプレートは、特に大きなアパーチャを使用する場合に、緊密な焦点を生成できる。ゾーンプレートは、透明領域と不透明領域が交互に並んだリング又はストリップから構成されている。波は、不透明ゾーンの周りで回折し、各領域の特定の間隔のために、焦点において建設的に干渉する。フレネルゾーンプレートでは、両方のゾーンが波を透過するが、交互のゾーンで位相が反転する。このタイプのプレートは、効率が高いという利点を有し、受動超音波フォーカシングのための優れた手法である。
【0005】
[サマリー]
選択された仰角でのフレネル仰角フォーカシングは、フレネルフォーカシング超音波パルスの連続的な組を送信することによって行われ、各パルスに対してそれぞれ異なるフレネル位相パターンが使用され、受信信号がコヒーレントに複合される。異なるフレネルパターンは、二次ローブ領域における圧力場の変動を平均化することによって、二次ローブのエネルギを低減する。幾つかの実施形態において、コヒーレント複合フレネルフォーカシングの方法は、方位角方向におけるコヒーレントに複合されたデフォーカス波(例えば、平面波又は発散波)イメージングと組み合わせられる。一連の平面波又は発散波が送信されるときにそれぞれ使用されるフレネルパターンを変更することによって各仰角スライスが収集され、これにより、コヒーレント複合は、両方の平面に同時に利益をもたらすことができる。アダマール受信符号化及びこれに続く動的受信ビームフォーミングを用いて、仰角方向の性能を更に改善できる。
【0006】
したがって、第1の態様では、
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む超音波アレイを備え、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組のバイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれの超音波パルスを、選択された仰角によって特徴付けられる選択された仰角スライス焦点に又はその近位にフォーカシングするように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンである、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号をコヒーレントに複合するステップであって、
各超音波パルスを送信した後に前記第1の電極アレイによって応答的に受信される受信信号をコヒーレントに複合し、これによって、選択された仰角に対応する2次元画像データセットを取得し、各フレネル位相パターンに関連するフレネル二次ローブは、前記異なるフレネル位相パターンに関連する受信信号のコヒーレント複合によって低減される、
受信信号をコヒーレントに複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の更なる仰角に関連付けられた更なる2次元データセットを収集し、これによって、複数の2次元画像データセットを含む3次元画像データセットを取得するステップと、
d)前記3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている、超音波イメージングシステムが提供される。
【0007】
別の態様では、
超音波アレイを制御する方法であって、
前記方法は、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む超音波アレイを制御してコヒーレント複合イメージングを実行する方法であり、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組のバイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれの超音波パルスを、選択された仰角によって特徴付けられる選択された仰角スライス焦点に又はその近位にフォーカシングするように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンである、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号をコヒーレントに複合することであって、
各超音波パルスを送信した後に前記第1の電極アレイによって応答的に受信される受信信号をコヒーレントに複合し、これによって、選択された仰角に対応する2次元画像データセットを取得し、各フレネル位相パターンに関連するフレネル二次ローブは、前記異なるフレネル位相パターンに関連する受信信号のコヒーレント複合によって低減される、
受信信号をコヒーレントに複合することと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の更なる仰角に関連付けられた更なる2次元データセットを収集し、これによって、複数の2次元画像データセットを含む3次元画像データセットを取得することと、
d)前記3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法が提供される。
【0008】
別の態様では、
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む超音波アレイを備え、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記送信バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、それぞれの超音波パルスを、選択された仰角によって特徴付けられる選択された仰角スライス焦点にフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成し、
各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられた受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記第2の電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記第1の電極アレイによって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
アダマール行列を使用して前記受信信号を復号し、前記仰角方向における前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して、前記選択された仰角に関連する二方向焦点を生成し、
前記復号されビームフォーミングされた受信信号をコヒーレントに複合して、前記選択された仰角に対応する2次元画像データセットを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の更なる仰角に関連付けられた更なる2次元データセットを収集し、これによって、複数の2次元画像データセットを含む3次元画像データセットを取得するステップと、
d)前記3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている超音波イメージングシステムが提供される。
【0009】
別の態様では、
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む超音波アレイを備え、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記送信バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように前記第2の電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記第1の電極アレイによって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンの前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号を仰角方向及び方位角方向にコヒーレントに複合して3次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成される超音波イメージングシステムが提供される。
【0010】
別の態様では、
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、信号電極アレイとバイアス電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む1次元超音波アレイを備え、
前記バイアス電極アレイの素子の数が、前記信号電極アレイの電極の数を超え、
前記超音波アレイが一組のサブアパーチャを含み、
各サブアパーチャが、単一の信号電極と複数の隣接するバイアス電極とを含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極アレイ及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極アレイの電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信バイアス電圧は、選択された画像ラインにおいてそれぞれの超音波パルスをフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成するように前記バイアス電極アレイに供給され、
各サブアパーチャについて、各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられる前記受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極アレイの各電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用してサブアパーチャ毎に前記受信信号を復号し、
前記サブアパーチャからの前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して前記選択された画像ラインに対応する画像ラインを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の追加画像ラインに関連付けられた追加画像ラインを収集し、これによって2次元画像データセットを取得するステップと、
d)2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている超音波イメージングシステムが提供される。
【0011】
別の態様では、
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、信号電極アレイとバイアス電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む1次元超音波アレイを備え、
前記バイアス電極アレイの素子の数が、前記信号電極アレイの電極の数を超え、前記超音波アレイが一組のサブアパーチャを含み、各サブアパーチャが単一の信号電極と複数の隣接するバイアス電極とを含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極アレイ及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極アレイの電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信バイアス電圧は、前記バイアス電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
各サブアパーチャについて、所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極アレイの各電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンのサブアパーチャ毎に受信信号を復号し、
前記復号された受信信号をコヒーレントに複合して2次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)前記2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成される超音波イメージングシステムが提供される。
【0012】
別の態様では、
超音波イメージングシステムであって、
超音波イメージングシステムは、信号電極とバイアス電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含む1次元超音波アレイを備え、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、選択された画像ラインにおいてそれぞれの超音波パルスをフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成するように前記バイアス電極アレイに供給され、
各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられた受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極によって受信された受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用してサブアパーチャ毎に前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して前記選択された画像ラインに対応する画像ラインを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の追加画像ラインに関連付けられた追加画像ラインを収集し、これによって2次元画像データセットを取得するステップと、
d)2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている超音波イメージングシステムが提供される。
【0013】
別の態様では、
超音波イメージングシステムであって、
前記超音波イメージングシステムは、信号電極とバイアス電極アレイとの間に形成された複数の超音波アレイ素子を含む1次元超音波アレイを備え、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、前記バイアス電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
各サブアパーチャについて、所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極によって受信された受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンの前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号をコヒーレントに複合して2次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)前記2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成される超音波イメージングシステムが提供される。
【0014】
別の態様では、
超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記超音波アレイは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含み、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記送信バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、それぞれの超音波パルスを、選択された仰角によって特徴付けられる選択された仰角スライス焦点にフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成し、
各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられた受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記第2の電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合することであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記第1の電極アレイによって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
アダマール行列を使用して前記受信信号を復号し、前記仰角方向における前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して、前記選択された仰角に関連する二方向焦点を生成し、
前記復号されビームフォーミングされた受信信号をコヒーレントに複合して、前記選択された仰角に対応する2次元画像データセットを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の更なる仰角に関連付けられた更なる2次元データセットを収集し、これによって、複数の2次元画像データセットを含む3次元画像データセットを取得することと、
d)前記3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法が提供される。
【0015】
別の態様では、
超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記超音波アレイは、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に画定された複数の超音波アレイ素子を含み、
前記第1の電極アレイの電極は、方位角方向に沿って間隔を置いて方位角方向に直交するように延在し、
前記第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて仰角方向に直交するように延在し、
前記第1の電極アレイ及び前記第2の電極アレイは、交差電極構成で設けられ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記第1の電極アレイの各電極に一組の送信信号を送り、前記第2の電極アレイの各電極に一組の送信バイアス電圧を印加し、
前記送信信号は、各超音波パルスが前記方位角方向にフォーカシングされず、前記複数の超音波パルスが前記方位角方向にコヒーレント複合イメージングを実行するのに適したそれぞれの波面を有するように、前記第1の電極アレイに供給され、
前記送信バイアス電圧は、前記第2の電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように前記第2の電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合することであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記第1の電極アレイによって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンの前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号を仰角方向及び方位角方向にコヒーレントに複合して3次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)3次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法が提供される。
【0016】
別の態様では、
1次元超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記1次元超音波アレイは、信号電極アレイとバイアス電極アレイとの間に画定される複数の超音波アレイ素子を含み、
前記バイアス電極アレイの素子の数が、前記信号電極アレイの電極の数を超え、
前記超音波アレイが一組のサブアパーチャを含み、
各サブアパーチャが単一の信号電極と複数の隣接するバイアス電極とを含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記超音波イメージングシステムは、前記信号電極アレイ及び前記バイアス電極アレイに動作可能に接続された制御及び処理回路を更に備え、
前記制御及び処理回路は、プロセッサ及びメモリを備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
a)前記超音波アレイを制御するステップであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極アレイの電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、選択された画像ラインにおいてそれぞれの超音波パルスをフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成するように前記バイアス電極アレイに供給され、
各サブアパーチャについて、各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられる前記受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御するステップと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極アレイの各電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用してサブアパーチャ毎に前記受信信号を復号し、
前記サブアパーチャからの前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して前記選択された画像ラインに対応する画像ラインを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合するステップと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の追加画像ラインに関連付けられた追加画像ラインを収集し、これによって2次元画像データセットを取得するステップと、
d)2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成するステップと、
を実行するように構成されている方法が提供される。
【0017】
別の態様では、
1次元超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって
前記1次元超音波アレイは、信号電極アレイとバイアス電極アレイとの間に画定される複数の超音波アレイ素子を含み、
前記バイアス電極アレイの素子の数が、前記信号電極アレイの電極の数を超え、
前記超音波アレイが一組のサブアパーチャを含み、
各サブアパーチャが単一の信号電極と複数の隣接するバイアス電極とを含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極アレイの電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、前記バイアス電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
各サブアパーチャについて、所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合するステップであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極アレイの各電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンのサブアパーチャ毎に受信信号を復号し、
前記復号された受信信号をコヒーレントに複合して2次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)前記2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法が提供される。
【0018】
別の態様では、
1次元超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記1次元超音波アレイは、信号電極とバイアス電極アレイとの間に画定される複数の超音波アレイ素子を含み、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、選択された画像ラインにおいてそれぞれの超音波パルスをフォーカシングするように構成されたフレネル位相パターンを形成するように前記バイアス電極アレイに供給され、
各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記超音波パルスにそれぞれ関連付けられた受信バイアス電圧の一意的な組がアダマール行列の異なる行に対応するように、前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合することであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極によって受信された受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用してサブアパーチャ毎に前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号の動的受信ビームフォーミングを使用して前記選択された画像ラインに対応する画像ラインを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)ステップa)及びb)を1回以上繰り返して、1つ以上の追加画像ラインに関連付けられた追加画像ラインを収集し、これによって2次元画像データセットを取得することと、
d)2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法が提供される。
【0019】
別の態様では、
1次元超音波アレイを用いてイメージングを行う方法であって、
前記1次元超音波アレイは、信号電極とバイアス電極アレイとの間に画定される複数の超音波アレイ素子をみ、
各超音波アレイ素子は、当該超音波アレイ素子から出射される超音波の位相が、当該超音波アレイ素子に印加されるバイアス電圧の極性に依存するような音響変換が可能であり、
前記方法は、
a)前記超音波アレイを制御することであって、
前記超音波アレイを制御して、複数の超音波パルスを連続的に送信し、前記複数の超音波パルスの各超音波パルスに対して、前記信号電極に送信信号を送り、前記バイアス電極アレイの電極に一組の送信バイアス電圧を供給し、
前記送信バイアス電圧は、前記バイアス電極アレイに供給されて、一組のフレネル位相パターンを形成し、各フレネル位相パターンは、それぞれのデフォーカスフレネル波を形成するように構成され、前記フレネル位相パターンの少なくともサブセットは、異なるフレネル位相パターンであり、各フレネル位相パターンは、複数の超音波パルスに対して繰り返され、
所与のフレネル位相パターンに対応する各超音波パルスに受信バイアス電圧の一意的な組が関連付けられ、前記受信バイアス電圧の一意的な組が、それぞれアダマール行列の異なる行に対応するように前記バイアス電極アレイに受信バイアス電圧を印加する、
前記超音波アレイを制御することと、
b)受信信号を複合することであって、
各超音波パルスのための前記受信バイアス電圧の印加中に前記信号電極によって受信される受信信号を複合し、
前記複合は、
前記アダマール行列を使用して各フレネルパターンの前記受信信号を復号し、
前記復号された受信信号をコヒーレントに複合して2次元画像データを取得する
ことによって実行される、
受信信号を複合することと、
c)前記2次元画像データを処理して1つ以上の画像を生成することと、
を含む方法が提供される。
【0020】
本開示の機能的及び有利な態様は、以下の詳細な説明及び図面を参照することによって更に理解される。
【0021】
以下の図面を参照して、例示のみを目的として、実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1A~
図1Cは、交差電極アレイを用いた種々のフォーカシング構成を示し、(A)は、方位角方向における従来のビームフォーミングによって形成された焦点、(B)は、操縦可能なフレネルレンズによって仰角方向に形成された焦点、(C)は、2つのフォーカシングタイプの組み合わせを示す図である。
【
図2】
図2A~
図2Cは、3つの異なる連続的な送信/受信イベントに対するフレネルパターンを示す図であり、異なるフレネルパターンが、それぞれ異なる軸上位置を有する焦点に対応する。
【
図3】
図3A~
図3Fは、同じ経路長曲線から計算され、したがって共通の焦点を有する異なるフレネル位相パターンの例を示す図であるが、異なる位相オフセットを使用して異なるフレネル位相パターンが生成されている。
【
図4】
図4A~
図4Cは、15度の操縦角に対して焦点の位置を変化させることによって生成される、3つの異なる送信/受信イベントに対する各フレネル位相パターンの例を示す図である。
図4D~
図4Fは、15度の操縦角に対する焦点の位置を変化させることによって生成される3つの異なる送信/受信イベントに対する各フレネルパターンの例を示す図であり、各送信/受信イベントに対して一組のサブアパーチャが使用されるように、分割及び遅延サブアパーチャ技術をそれぞれ一意的なフレネル位相パターンと組み合わせている。
【
図5】
図5A~
図5Dは、複数の角度における平面波の生成、及び超音波イメージングのための各平面波のコヒーレント複合を示す図である。
【
図6】
図6A~
図6Dは、複数の仮想焦点を有する発散波の生成、及び超音波イメージングのための各発散波のコヒーレント複合を示す図である。
【
図7】
図7は、仰角方向におけるコヒーレント複合フレネルフォーカシング及び方位角方向における線形又は発散波コヒーレント複合ビームフォーミングに基づく交差電極トランスデューサによるイメージングを行う例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、仰角方向におけるコヒーレント複合フレネルフォーカシング及び方位角方向における線形又は発散波コヒーレント複合ビームフォーミングに基づく交差電極トランスデューサを用いてイメージングを行うための例示的イメージングシステムを示す図である。
【
図9】
図9A~
図9Fは、軸方向にフォーカシングされた構成についての36個のフレネル位相パターンを使用するフレネルフォーカシングについてシミュレートされたRFパルスデータ(軸外角度30度(
図9A~
図9B)及び軸上(
図9C~
図9F)で収集されたもの)をプロットした図である。このうち、
図9A、
図9C、
図9Eは、各送信/受信イベントに対応する個々の受信信号をプロットしたものであり、
図9B、
図9D、
図9Fは、コヒーレントに複合された受信信号を示す。
【
図10】
図10は、単一のフレネルパターンに基づき、かつ、各パターンについて異なる焦点領域を使用して生成された複数の異なるフレネル位相パターンにそれぞれ関連する受信信号のコヒーレントに複合された組に基づき、受信された信号についてシミュレートされた二方向放射パターンをプロットした図である。
【
図11】
図11A~
図11Bは、2つの異なるフレネル位相パターンに基づいて焦点領域に生成されたシミュレートされた圧力をプロットした図であり、2つの異なるフレネル位相パターンを使用して出射されたパルスの飛行時間の差について、群遅延補償を用いて生成された結果(
図11B)及び群遅延補償を用いずに生成された結果(
図11A)を示す図である。
【
図13】
図13は、単一のフレネルパターンに基づき、かつ、各パターンについて異なる位相オフセットを使用して生成された複数の異なるフレネル位相パターンにそれぞれ関連する受信信号のコヒーレントに複合された組に基づき、受信された信号についてシミュレートされた二方向放射パターンをプロットした図である。
【
図14】
図14A~
図14Dは、(A)平面波送信、(B)傾斜平面波、及び(C)、(D)バイアス制御されたフレネル波の例について、3時点での伝搬圧力波のシミュレーションを示す図である。
【
図15】
図15は、アダマール行列の例として、16×16行列の一例を示す図である。
【
図16】
図16A及び
図16Bは、(A)単一のRF信号チャネル、及び(B)各チャネルがバイアス電極のサブアパーチャを形成する複数のRF信号チャネルについて、素子に印加されるバイアス制御を用いて2次元イメージングが行われる例示的実施形態を示す図である。
【
図17】
図17は、20個のフレネル焦点位置がライン毎に使用され、2個の隣接するイメージングラインが現ラインのために再使用される例を示す図である。
【
図18】
図18A及び
図18Bは、単一平面波画像と比較して15及び50のフレネル波画像を複合することによって達成された改善を示すために(A)軸上及び(B)軸外の場合についての二方向放射パターンをプロットした図である。
【
図19】
図19A及び
図19Bは、(A)軸上及び(B)軸外の場合について、送信時のフレネルレンズ及びアダマール復号合成受信アパーチャを実装する二方向放射パターンをプロットした図である。
【
図20】
図20A及び
図20Bは、(A)軸上及び(B)軸外の場合について、3つの画像ライン上で隣接ライン複合を実施する二方向放射パターンをプロットした図である。
【
図21】
図21A及び
図21Bは、(A)軸上及び(B)軸外の場合について、送信時のフレネルレンズ及びアダマール復号合成受信アパーチャを実装し、複合すべき隣接する画像ライン(合計3ライン)からのデータを再利用する二方向放射パターンをプロットした図である。参考のため、単一ラインからの放射パターンを点線で示している。
【
図22】
図22A~
図22Dは、1次元アレイのパルス長について、隣接する画像ラインを複合する効果を示すプロットであり、(A)は、中心にフォーカシングした、送信時の単一フレネルレンズ及びアダマール受信符号化について処理されたパルス、(B)は、広角にフォーカシングした、送信時の単一フレネルレンズ及びアダマール受信符号化について処理されたパルス、(C)は、中心にフォーカシングした、送信時の単一フレネルレンズ及びアダマール受信符号化について、3つの隣接するラインを複合して処理されたパルス、(D)は、広角にフォーカシングした、送信時の単一フレネルレンズ及びアダマール受信符号化について、3つの隣接するラインを複合して処理されたパルスを示す。縦軸は、任意のパルス振幅であり、横軸は、時間である。
【
図23】
図23は、送信時には、仰角方向においてフレネルフォーカシングを用い、受信時にはアダマール符号化を用いる、交差電極アレイを用いて3次元イメージングを行う方法(方位角方向のコヒーレント複合と並行される)の一例を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、送信時には、デフォーカスフレネル波を用いて、受信時にはアダマール符号化を仰角方向において用いる、交差電極アレイを用いて3次元イメージングを行う方法(コヒーレント複合と並行される)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態及び態様について、詳細を参照して説明する。以下の説明及び図面は、本開示を例示するものであり、限定するものではない。本明細書の様々な実施形態を明瞭に説明するために、多くの具体的な詳細事項について記述する。但し、幾つかの例では、本発明の実施形態を明瞭にするために、周知の又は従来から知られている詳細については記述しない。
【0024】
ここで使用する「備える」、「有する」、「含む」等の表現は、排他的ではなく、包含を意味し非限定的な表現として解釈される。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる「備える」、「有する」、「含む」等及びこれらの活用形は、特定された特徴、ステップ又は要素が含まれることを意味する。これらの表現は、他の特徴、ステップ又は要素の存在を除外するようには解釈されない。
【0025】
ここで用いる「例示的な」という用語は、「具体例、例証又は例示に使用される」ことを意味し、本明細書において開示される他の構成に比べて好ましい又は有利であるということは意味しない。
【0026】
ここで用いる「約」、「略」等の用語は、数値範囲の上限及び下限における変動(特性、パラメータ及び寸法における変動等)をカバーすることを意味する。特に明記しない限り、「約」及び「略」の用語は、±25%以内を意味する。
【0027】
なお、特に明記しない限り、特定された範囲又はグループは、その範囲又はグループに含まれるメンバそれぞれを全て簡潔に参照しているものと解釈されると共に、そこに含まれる可能なサブ範囲又はサブグループのそれぞれを全て簡潔に参照しているものとも解釈され、同様にそのサブ範囲又はサブグループに関する言及であるとも解釈される。特に明記しない限り、本開示は、サブ範囲又はサブグループの具体的なメンバそれぞれ全てと、サブ範囲又はサブグループの組み合わせのそれぞれ全てとに関連し、サブ範囲又はサブグループの具体的なメンバそれぞれ全てと、サブ範囲又はサブグループの組み合わせのそれぞれ全てとが明示的に組み入れられているものとする。
【0028】
また、本明細書において、量又はパラメータと併せて使用される「~の桁」といった表現は、記載された量又はパラメータの約10分の1から10倍に亘る範囲を指す。
【0029】
[超音波ビームフォーミング及びイメージングにおけるフレネルゾーンプレート]
超音波トランスデューサにフレネル法を実装するには、パルス極性の制御が必要である。位相は、DCバイアスの極性によって制御され、動的に変化させることができるため、電歪セラミック又はCMUT上に構築したアレイは、この手法に適している。PMN-PT(ニオブ酸鉛マグネシウムチタン酸鉛)セラミック等の電歪セラミックは、従来の圧電体に代えてアレイ基板として使用できる。このタイプの材料は、バイアス電圧が印加されている間のみ圧電的にアクティブである。更に、応答は、バイアス電圧の振幅で調整できる。トランスデューサに電圧が印加されていない場合、応答は、無視できるものであり、DCバイアスが印加されている場合、発生される音波の位相は、バイアスが正か負かに応じて、+90度又は-90度のいずれかに量子化される。したがって、電歪基板上に画定されたアレイ素子は、個別にかつ並列にアドレス指定できる。これにより、アレイ全体に亘って正及び負の値でバイアスパターンを変化させることによって再構成可能なフレネルゾーンプレートを作成できる。
【0030】
典型的な線形位相アレイは、音響レンズを使用して、画像の仰角方向のスライス解像度(スライス厚)を改善する。仰角レンズを適度な角度に操縦するように再構成できれば、更なるビームフォーミングチャネルを追加することなく、電気接続の数を適度に増加させるだけで、ボルメトリック画像を捕捉できる。これは、機械的音響レンズを、フレネルレンズに近似した電気的に再構成可能なレンズに置き換えることによって達成できる。
【0031】
上述したように、フレネルレンズは、アレイの仰角方向に沿って、各素子からのパルスの極性を決定する正バイアス及び負バイアスの適切なパターンを印加することによって作成される。同時に、直交電極を用いて、他方の平面でビームフォーミングを行うことができる。一実施例では、交差電極アレイと同様に、上部電極と直交するように延在する一組の底部電極を有するアレイが形成される。底部電極は、仰角平面におけるアクティブレンズ制御を提供する(逆も同様である)。
【0032】
図1A~
図1Cは、仰角フォーカシングのために動的フレネルレンズを使用する交差電極アレイ上の操縦可能なレンズの概念を示している。
図1Aは、方位角方向における従来の送信フェーズドアレイビームフォーミングの使用を示している。一組の送信信号100が底部電極アレイ110に送られ、ビームフォーミングされたパルス115が送信されて方位角方向にフォーカシングされる。
【0033】
図1Bは、仰角方向におけるフレネルフォーカシングの使用を示しており、第2のアレイ120に印加されるバイアス電圧130の制御によってフレネル位相板(レンズ)が形成される。トランスデューサ素子によって仰角方向に出射される超音波の位相が0°又は180°異なるように、第2のアレイに一組のバイアス電圧130が印加され、これによって、送信波を仰角方向にフォーカシングする離散的フレネル位相プロファイルを形成する。以下、各超音波素子にわたるこの位相プロファイルをフレネル位相パターンと呼ぶ。
【0034】
仰角方向にフレネルタイプのフォーカスを作成する際、各素子のバイアス値は、素子とフォーカスの間の幾何学的な経路長を考慮して算出される。その素子の相対的位相遅延は、以下のように求められる。
【数1】
ここで、x及びzは、それぞれ、アレイ素子に対する所望の焦点の仰角方向及び軸方向の座標(
図1A~
図1C参照)であり、λは、媒質中の励起パルスの中心周波数の波長である。バイアスの符号(S
bias)は、以下のように求められる。
【0035】
【数2】
これは、各素子の相対的な位相遅延の位相ラップ近似である。次に、遅延のうち単一波長内に入る部分が、0又はπラジアンとして量子化される(実効遅延は、0又はλ/2に等しくなる)。これは、フレネルゾーンプレートの純粋な透明領域とパルス反転領域をモデル化する。この計算には、中心素子の基準位相をシフトするオフセット位相を追加してもよい。したがって、特定の焦点に対して1つの固有のフレネルパターンは、存在しない。パターンは、様々なビーム形状(例えば、主ローブ幅、二次ローブレベル、感度)に合わせて最適化するように選択できる。従来のビームフォーミングと比較して、フレネル法は、近似であり、波長の半分のみに量子化されたビームフォーマ遅延分解能を有すると考えることができる。
【0036】
図1Cは、方位角方向のフォーカシングに従来のビームフォーミングを使用し、仰角方向のフォーカシングにフレネルビームフォーミングを使用するハイブリッドの場合を示している。残念ながら、仰角方向におけるフレネルフォーカスを用いた二方向ビームプロファイルでは、高い二次ローブエネルギが発生するため、この技術は、有用な診断画像を生成できない。
【0037】
[複合フレネルイメージング]
本開示の例示的実施形態は、フレネルフォーカシング及びイメージングに関連する高い二次ローブエネルギについての前述の課題を解決する。以下に記載する種々の例示的な実施形態によれば、選択された仰角でのフレネルフォーカシングは、フレネルフォーカシング超音波パルスの連続的な組を送信することによって行われ、ここで、超音波パルスを送信する際に、異なる複数のフレネル位相パターンが使用される。既知の合成アパーチャフレネルフォーカシングの方法(複数の超音波パルスが、フルフレネルアパーチャに対する単一のフレネル位相パターンに基づいて、異なる複数のフレネルサブアパーチャから連続的に送信される)とは異なり、以下に記載する様々な実施形態では、フルフレネルアパーチャからの超音波パルスの連続的な送信を採用し、ここでは、各フレネルフォーカシング超音波パルスを送信する際にそれぞれ異なるフレネル位相パターンを使用する。異なる複数の送信イベントに応答して連続的に受信される信号は、コヒーレントに結合され、以下、この方法を、コヒーレント複合フレネルフォーカシング(coherently compounded Fresnel focusing)又はコヒーレント複合フレネルイメージング(coherently compounded Fresnel imaging)と呼ぶ。
【0038】
本発明者らは、このようなコヒーレント複合フレネルフォーカシングスキーム(異なる超音波パルスをフォーカシングするために、異なるフレネル位相パターンを使用するもの)を使用することにより、受信信号のコヒーレントな結合によって、二次ローブ領域における圧力場の変動の平均化により、二次ローブエネルギが低減されることを見出した。換言すれば、それぞれがλ/2に量子化されたランダムなビームフォーミング遅延誤差を有する二次ローブ領域における圧力場の平均化によって、二次ローブエネルギが低減される。理論によって制限されることを意図するものではないが、単一のフレネル位相パターンを有する単一のフレネルアパーチャを用いたイメージングに対して、異なるフレネル位相パターンが関連付けられた送信パルスの数をnとして、最大1/√nの二次ローブエネルギの低減が達成されると考えられる。
【0039】
ここに開示するコヒーレント複合フレネル法は、固定された機械レンズとは異なり、仰角スライスの動的な操縦及び収集が可能であるという利点を有する。
【0040】
所与の仰角(仰角スライス)に対する送信イベントに関連する様々なフレネル位相パターンは、以下に記載する様々な例示的実施形態に応じて選択できる。例示的な一実施形態では、フレネル焦点領域/ゾーンが、選択された又は所望の仰角及び焦点深度に集合的に近似するように、様々な超音波パルスを近接する異なる空間領域にフォーカシングするように異なるフレネル位相パターンが選択される。ここで使用する用語「近接」とは、2つの焦点領域が重なり合うか又は空間的に隣接し、これにより、この2つの焦点領域の両方が、選択された仰角焦点に重なるか又は近傍にあることを意味する。したがって、受信信号の収集及びコヒーレント結合時に、対応する画像データは、超音波パルスの各焦点の平均に対応する焦点領域及び仰角に関連付けられるとともに、上述のように二次ローブエネルギが低減される。
【0041】
一実施例では、平均焦点深度が所望の又は選択された焦点深度に対応するように、2つ以上の異なるフレネル位相パターンを生成して、互いに近接する異なる軸方向焦点深度を生成してもよい。
図2A~
図2Cは、このような実施形態による3つの例示的なフレネル位相パターンを示し、ここでは、中心軸に沿ってアレイから離れるように焦点を移動させることによって、異なるフレネル位相パターンが生成されている。
【0042】
他の実施例では、2つ以上の異なるフレネル位相パターンを生成して、互いに僅かに異なる仰角を生成し、異なる仰角の平均仰角が所望の又は選択された仰角に対応し又は近似するようにしてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、2つ以上の異なるフレネル位相パターンを生成して異なる軸方向焦点深度を生成してもよく、2つ以上の異なるフレネル位相パターンを生成して異なる仰角を生成してもよく、これにより、受信信号をコヒーレントに結合することによって、所望の仰角及び焦点深度(画像データの所望の仰角スライス)に対応する画像データが収集される。
【0043】
なお、送信イベントのそれぞれに対して異なるフレネル位相パターンが使用されると、二次ローブの低減が最大化されることが期待されるが、本実施形態は、複数の送信イベントの間で、少なくとも2つの異なるフレネル位相パターンを使用して実施してもよいことは明らかである。
【0044】
異なる送信イベントからの超音波パルスが異なる深度及び/又は仰角にフォーカシングされるように複数のフレネル位相パターンが使用される場合、各焦点領域について異なる飛行時間を補償するために、各超音波パルスに(送信及び受信に)群遅延を適用することが有益である。群遅延の値は、次式により求められる。
【数3】
ここで、dは、アレイの中心から、焦点ゾーンの空間的オフセットを含む所与の対象フレネルパターンに関連する焦点ゾーンまでの距離であり、d
0は、アレイの中心から、空間的オフセットがない焦点ゾーンまでのベースライン距離であり、cは、媒体中の音速である。
【0045】
別の例示的な実施形態では、焦点位置を変更する代わりに、フレネル位相パターンの計算に使用される位相オフセット値を変更することによって、異なるフレネル位相パターンを生成できる。仰角方向に64個の素子を有するアレイについてのこのような実施形態の例示的な具体例を
図3A~
図3Fに示す。
図3A~
図3Cは、第1のフレネル位相パターンの生成を示し、
図3D~
図3Fは、オフセット位相に基づく第2のフレネル位相パターンの生成を示している。焦点から各仰角素子までの経路長は、フレネルパターンを算出するための出発点であり、経路長の共通依存性は、
図3A及び
図3Dに示されている。
【0046】
図3B及び
図3Eは、経路長の位相への変換を示す。(式2に従って実行される)位相ラッピングのステップの前に、
図3Bの位相プロファイルに位相オフセットを加えることにより、
図3Eに示す位相プロファイルが得られる。
図3Eのようにこの位相オフセットが変化すると、0位相点と考えられる点が変化し、従って、位相ラッピングが実施された後に異なる位相ラッピング曲線が生成される。これは、
図3C及び
図3Fに明確に示されており、ここでは、
図3B及び
図3Eからの位相プロファイルを量子化して、各アレイ素子に印加されるバイアスの符号のパターンを決定し、これによって、フレネルパターンの正のバイアスの領域及び負のバイアスの領域が決定される。
図3C及び
図3Fに示すように、
図3B及び
図3Eの異なる位相プロファイルは、異なるフレネル位相パターンを生じる。
【0047】
前述の例と同様の手法で、アレイに群遅延を適用して、各フレネルパターンからのパルスを位相整合させることができる。所与のフレネル位相パターンに対する遅延の値は、次式によって求めることができる。
【数4】
ここで、λは、媒質中の励起パルスの中心周波数の波長であり、「offset」は、量子化に先立って位相プロファイルに適用される位相オフセットであり、cは、媒質中の音速である。
【0048】
幾つかの実施形態では、フレネル位相パターンは、受信フォーカシング及び送信フォーカシングに使用される。例示的な一具体例では、所与の送信イベントに使用されるフレネル位相パターンを、対応する受信イベント中に適用してもよい。他の例示的な具体例では、所与の送信/受信イベントのための送信及び受信の間に異なるフレネル位相パターンを適用してもよい。
【0049】
幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上の送信/受信イベントを、一連の分割アパーチャ(split-aperture)イベントとして実施できる。したがって、選択されたフレネル位相パターンを有する所与の送信イベントは、一連のサブパルスとして実施でき、ここで、各サブパルスは、アレイ素子のサブセットを使用して送信され、各サブパルスは、全体的なフレネル位相パターンのサブセットを使用して生成される。このような具体例を
図4A~
図4Fに示す。
図4A~
図4Cは、上述の例示的な方法により、それぞれが空間的に摂動された焦点位置を有する、一組の異なるフレネル位相パターンを示している。
図4D~
図4Fは、対応する一組の分割アパーチャフレネル位相パターンを示し、ここでは、各フレネル位相パターンは、追加の経路長遅延(サブアパーチャの送信イベントと受信イベントの間の時間遅延を使用して生成される)によって分離された4つのサブアパーチャに分割される。
図4D~
図4Fに示すように、追加の経路長は、所望の連続経路長に離散的に近似するように選択される。
【0050】
以下に説明する具体例において提示されるシミュレーションは、複数のフレネルフォーカシングパターンを有する複数の送信/受信イベントから得られる受信信号を平均化することによって、二次ローブエネルギを大幅に低減できることを実証する。この二次ローブエネルギの低減は、十分に大きいため、交差アレイ構成を有する超音波システムの仰角フォーカシングに、本実施例のコヒーレント複合フレネルフォーカシング方法を使用できる。
【0051】
しかしながら、従来のライン毎の送信及び受信ビームフォーミングが方位角方向で行われる場合、仰角フォーカシングのためにコヒーレント複合を何回も(例えば30~100回も)行うことは、実用的ではない。このような場合、フレネルコヒーレント複合は、方位角方向(方位角次元)の各ラインに対して繰り返し行う必要があるため、画像収集時間が極端に長くなる。
【0052】
このように収集時間が長くなる問題は、コヒーレント複合フレネル仰角フォーカシングと、方位角方向における「平面波」又は「発散波」イメージングとを組み合わせることによって解決できる可能性がある。「平面波」又は「発散波」イメージングにより、少数の送信イベントで完全な2D画像を収集できるため、これを使用して超高速イメージング(10,000フレーム/秒)を実行できる。平面波は、全視野に到達し、全ての平面波について、フレーム内の各空間位置に対して動的受信ビームフォーミングが行われる。一般に、複数の平面波(又は発散波)を出射し、同じ仰角スライスについてこれらを複合すると、画質(コントラスト、SNR、解像度等)が向上する。平面波は、異なる角度で出射され、合成送信焦点の生成を可能にする。
【0053】
以下に詳細に説明する例示的な実施形態によれば、異なるが近接する空間位置への再フォーカシングによって(及び/又はフレネル位相パターンの量子化の前に異なる位相オフセットを使用することによって)、一連の平面波又は発散波における各パルス出射に対するフレネルパターンを変更することにより、複合によって、両方の平面に同時に利益をもたらすことができる。このような例示的な実施形態を更に詳細に説明する前に、以下、「平面波」及び「発散波」イメージング法を簡単に説明する。
【0054】
[コヒーレント複合平面波及び発散波を用いた方位角イメージング]
送信フォーカシングを実施する典型的な超音波システムは、所与の画像ラインに沿った特定の焦点深度でピーク圧力が生じるように、出射された等位相面をビームフォーミングする。次に、各送信の間に最も強く励起された画像ウィンドウの領域を再構成するために、各送信インソニフィケーション(transmit insonification)に受信フォーカシングが適用される。各ラインは、所与のラインに沿った音響圧力が比較的一定になるように、複数の焦点深度への送信を行うことによって構成される。互いに隣接するラインをリンクすることによって画像ウィンドウ全体が組み立てられる。このプロセスは、画像ウィンドウを構築するために多くのインソニフィケーションを必要とする。
【0055】
平面波イメージングは、画像を生成するために必要なインソニフィケーションの数を最小化することにより、明確な速度の利点を提供する。受信ビームフォーミングの間に、画像ウィンドウ内の全ての空間にデジタルフォーカシングが適用され、この結果、単一のインソニフィケーションだけを使用して画像を生成できる。
【0056】
単一の平面波が媒体に出射される単純なケースでは、受信に対して一方向焦点しか存在しないため、前述の従来の画像再構成と比較して、画質が著しく低下する。画質を改善するためには、連続的なインソニフィケーションによって送信焦点を構築する必要がある。平面波イメージングの場合、送信焦点は、送信アパーチャに対してそれぞれ異なる角度αで出射される各平面波をコヒーレントに複合することによって構築される。したがって、励起から媒質中のある点までの時間は、次式によって求められる。
【数5】
x
1においてトランスデューサに戻る受信時間は、次式によって求められる。
【数6】
ここで、x
1は、アレイ上の素子の位置を表す。次に、各平面波から生成された各画像をコヒーレントに加算して、最終的な複合画像を生成する。この複合は、平面波イメージングの重要な特徴であり、これにより、平面波イメージングの性能の利点が得られる。媒体を様々な角度から励起することによって、焦点の外側の物体からの受信フォーカシングに対する干渉は、各フレームに亘ってコヒーレントに合計されない。これにより、受信フォーカスに重畳される干渉量が低減される。
【0057】
図5A~
図5Dは、異なる角度で出射される幾つかの平面波から複合焦点を構築する手法を示している。
図5Aは、異なる角度を有する複数の平面波(これらの平面波は、一連の送信イベントに従って連続的に生成される。)を生成するためのトランスデューサアレイのフェージングを示している。
図5B~
図5Dは、様々な異なる画像焦点に対する画像データを生成するための、各平面波送信イベントに応答して収集された受信信号のコヒーレント複合を示している。平面波複合から作成された画像は、画像の改善、マッチング、及び幾つかの観点から、従来のビームフォーミング技術を超えていることが判明した。線形アレイの場合、平面波イメージングは、より高いフレームレートを達成しながら、コントラスト、SNR、及び横方向分解能に関して有利であることが示されている。
【0058】
また、平面波イメージングの代替として、発散波を使用することもできる。このイメージング技術は、上述の平面波イメージング方式と同様に、単一のインソニフィケーションから画像を生成できる。発散波を生成するために、アレイ上の各素子は、イメージングアレイの背後にある仮想点源を模倣するように励起される。平面波イメージングの先の例の場合と同様に、アレイの背後の異なる複数の仮想点源位置から生成された画像をコヒーレントに複合することによって、画質が改善される。それぞれ異なる仮想点源位置を有する発散波面の生成を
図6Aに示す。
図6B~
図6Dに示すように、異なる波面をコヒーレントに複合することにより、異なる焦点位置で受信フォーカシングを行うことができる。
【0059】
前述の2つの例示的な実施形態は、それぞれ平面波及び発散球面波を使用したが、受信フォーカシングにおいて波面の幾何学的形状が適切に考慮されていれば、複合のために任意の送信波形を使用できることは明らかである。
【0060】
[コヒーレント複合方位角平面波/発散波イメージングとコヒーレント複合仰角フレネルフォーカシングの組合せ]
幾つかの例示的な実施形態では、コヒーレント複合フレネル仰角フォーカシングを実施する前述の方法は、方位角方向における「平面波」又は「発散波」(又は制御された波面形状を有するフォーカスされない(unfocused)又はデフォーカスされた(defocused)波)イメージングと組み合わせることによって有利に実施でき、これにより、ボルメトリックイメージングを効率的に行うことができる。一実施形態では、交差電極トランスデューサアレイを使用して、コヒーレント複合ボルメトリックイメージングを実行でき、ここでは、2次元画像スライスの収集のためにコヒーレントに複合された平面波又は発散波イメージングを採用し、コヒーレント複合フレネルフォーカシングを使用して画像スライスの仰角を制御する。
【0061】
例えば、一連の平面波又は発散波は、交差電極アレイの方位角電極アレイを使用して送受信してもよく、ここでは、波の波面は、コヒーレント複合イメージングのために構成され、異なる送信イベントの間に異なるフレネル位相パターンが適用されるように、交差電極アレイの仰角電極を用いて、ある選択された仰角でフレネルフォーカシングのためのバイアス電圧を印加してもよく、これによって、上述のように仰角二次ローブエネルギが低減される。
【0062】
上述したように、交差電極アレイは、第1の電極の組と第2の電極の組とから形成され、第1の電極アレイと第2の電極アレイとの間に超音波素子のアレイが画定される。第1の電極の組は、方位角方向に沿って間隔を置いて配置され、方位角方向に直交するように延在し、したがって、第1の電極アレイは、方位角方向のイメージングに適している。第2の電極アレイの電極は、仰角方向に沿って間隔を置いて配置され、仰角方向に直交するように延在し、したがって、第2の電極アレイは、仰角方向のイメージングに適している。超音波アレイ素子は、アレイから出射される超音波の位相が、第2の電極アレイによって印加されるバイアス電圧の極性に依存するように形成される。
【0063】
図7のフローチャートに示すように、ボルメトリックイメージングは、2次元画像スライスの組(各2次元画像スライスが異なる仰角に対応する)から画像データを収集することによって、交差電極超音波アレイによって実行される。各2次元画像スライスは、コヒーレント複合平面波/発散波イメージング(平面波又は発散波を使用するコヒーレント複合)を用いて収集される。
【0064】
505及び530に示すように、第1の仰角スライスに対応する画像データを収集するために、一連の送信/受信イベント505が実行される。コヒーレント複合イメージングを容易にするために、単一の送信/受信を実行する代わりに、一連の送信/受信イベントを実行する。各送信/受信イベント505は、一組のバイアス電圧を第2の電極アレイに印加し(500に示す)、一組の送信信号を第1の電極アレイに送る(510に示す)ことによって実行される。これにより得られる反射又は散乱超音波は、520において受信信号として検出される。500に示すように、出射された超音波パルスが最初の仰角スライスに対応する仰角で仰角方向にフォーカシングされるように、フレネル位相アレイを生成するためにバイアス電圧が印加される。更に、510に示すように、デフォーカスされたパルス(例えば、平面波に類似する直線状の等位相面、又は発散する例えば円形の波面)を生成するように、送信信号が第1の電極アレイに送られる。
【0065】
530に示すように、1つ以上の更なる送信イベントに対してステップ500~520が繰り返され、ここでは、結果として得られる画像データに対する仰角二次ローブエネルギの影響を低減するために、異なる送信/受信イベントに対して異なるフレネル位相パターンが使用される。送信信号は、異なる送信イベントに関連する波面が、方位角方向でコヒーレント複合イメージングを行うのに適するように、第1の電極アレイに提供される。異なるフレネル位相パターンは、所与の仰角スライスに関連する一連の超音波パルスが共通焦点領域に、又はその近傍に、フォーカシングされるように提供される。例えば、上述のように、送信超音波パルスは、超音波パルスが、近接しているが、量子化されたフレネル位相パターンが異なるように十分に空間的に分離されるように、様々なフレネル位相パターンによってフォーカシングしてもよい。これに加えて又はこれに代えて、上述のように、異なるフレネル位相パターンは、共通の焦点を有するが、量子化されたフレネル位相パターンが異なるように、量子化の前に異なる位相オフセットによって生成されてもよい。上述のように、異なるフレネル位相パターンが使用される場合、異なる焦点位置が関連付けられ又は異なる位相オフセットを有するフレネル位相パターンによる群遅延変動が適切に補償されるように、異なる送信パルスに群遅延を適用することが好ましい。これらの群遅延の補償は、デフォーカスされた方位角平面波面のコヒーレント複合を実行する際に方位角平面で行われる。
【0066】
ステップ540において、異なる複数の送信/受信イベントに対して第1の電極アレイから検出された受信信号は、2次元の仰角画像スライスデータを生成するためにコヒーレントに複合される。上述したように、異なる複数のフレネルパターンを使用することにより、仰角画像スライスデータに対する仰角二次ローブエネルギの寄与を低減できる。
【0067】
次に、550に示すように、上述のステップ(500~540)を一回以上繰り返すことによって、複数の仰角スライスに対応する画像データを収集し、これによって一組のボルメトリック画像データを生成できる。次に、560に示すように、ボルメトリック画像データを処理して、1つ以上の画像をレンダリングできる。
【0068】
なお、
図7に示すフローチャートは、コヒーレント複合フレネル仰角フォーカシング及び方位角イメージングを使用してボルメトリックイメージングを実行する方法の非限定的な例を示しており、本開示の意図された範囲から逸脱することなく、フローチャートに示す各ステップを変更できる。例えば、(540に示す)受信信号のコヒーレント複合は、ある仰角に対する受信信号を収集した直後に行う必要はなく、代わりに、複数の仰角スライスから受信信号を収集した後にスライス単位で行ってもよい。
【0069】
図7に示すこの方法は、2次元での同時複合を採用する利点を有し、これにより、高いボルメトリックフレームレートを容易にしながら、両方の次元で画質を改善できる。この方法及びその変形例により、2次元の仰角スライスを速やかに収集でき、これによって、ボルメトリック画像データの超高速収集が容易になることが判明した。例えば、幾つかの例示的な具体例では、各2次元画像スライスは、1.25ms未満で収集できる。なお、マルチスライスボルメトリック画像データセットを収集する時間は、何枚のスライスが所望されるか又は必要とされるかに依存する。
【0070】
図8は、仰角方向におけるコヒーレント複合フレネルフォーカシングと、方位角方向におけるコヒーレントに複合された線形又は発散波ビームフォーミングとに基づく交差電極トランスデューサを用いてイメージングを行うための例示的イメージングシステムを示している。この例示的なシステムは、交差電極超音波トランスデューサ400(これは、超音波画像内視鏡等の超音波イメージングデバイスのコンポーネントであってもよい。)と、パルサー・受信器回路320を有する送信ビームフォーマ300と、受信ビームフォーマ310と、バイアス発生器330と、制御及び処理ハードウェア200(例えば、コントローラ、コンピュータ、又は他のコンピューティングシステム)とを含む。
【0071】
制御及び処理ハードウェア200は、送信ビームフォーマ300及び受信ビームフォーマ310を制御し、ビームフォーミングされた受信信号を処理するために使用される。
図8に示すように、一実施形態では、制御及び処理ハードウェア200は、プロセッサ210、メモリ220、システムバス205、1つ以上の入出力デバイス230、及び複数のオプションの追加的デバイス、例えば、通信インタフェース260、ディスプレイ240、外部記憶装置250、及びデータ取得インタフェース270等を含むことができる。
【0072】
交差電極超音波トランスデューサ400の例は、米国特許出願第2007/0079658号明細書(Wagner)、発明の名称「ROTATING APERTURE FOR ULTRASOUND IMAGING WITH A CAPACITIVE MEMBRANE OR ELECTROSTRICTIVE ULTRASOUND TRANSDUCER」に開示されている。
図8には、交差電極超音波トランスデューサの別の例が示されており、この例は、電歪層430の両側に、第1の電極410の第1のアレイ及び第2の電極420の第2のアレイを含む。第1の電極410は、第1の方向に延在し、第2の電極420は、第2の方向に延在している。第1の電極410は、第1の平面(超音波トランスデューサの出射面に直交し、且つ第1の方向を含む)内に超音波エネルギをフォーカシングするために使用される。第2の電極420は、第2の平面(超音波トランスデューサの出射面に直交し、且つ第2の方向を含む)内に超音波エネルギをフォーカシングするために使用される。第1及び第2の平面は、互いに直交する方向(例えば、方位角と仰角)での走査を可能にするために直交していてもよい。
【0073】
この例では、第1の電極410及び第2の電極420は、直交する構成で示されているが、他の実施例では、電極は、90度以外の角度で交差する構成で提供してもよい。更に、図では、第1及び第2の電極を縦長の電極として示しているが、第1の電極が第1の方向に延在し、第2の電極が第2の方向に延在し、超音波素子の2次元の線形アレイを画定していれば、電極の形状は、厳密に線形である必要はない。
【0074】
また、図は、超音波トランスダクション層として電歪材料のカーフ加工されていない層(unkerfed layer)を含む例示的な具体例を示している。モノリシック圧電体の上面及び底面上に電極を画定することによって形成される交差電極アレイを有するこのような実施形態は、容易に製造できるが、この手法は、素子間に実質的な機械的クロストークを発生させ、このため、指向性及び放射パターンの品質を低下させる可能性がある。
【0075】
他の例示的な実施形態では、機械的クロストークを低減するために、他の材料及び構成を使用して、クロス電極アレイを形成してもよい。例えば、1次元(1つの方向/次元にカーフ加工され、他の方向/次元にカーフ加工されない)又は2次元のアレイの素子間に切断又は他の手法によってカーフを形成してもよく、又は圧電基板を複合圧電基板(例えば、エポキシに埋め込まれたピラーのマトリックス)に置き換えてもよい。カーフ加工されたアレイ(kerfed array)は、電歪セラミックが厚さ方向に部分的にのみ切断される半カーフ加工されたアレイ(semi-kerfed array)として形成してもよい。これに代えて、交差電極アレイを容量性微細加工超音波トランスデューサ(capacitive micromachined ultrasound transducer)のアレイとして形成してもよく、この容量性微細加工超音波トランスデューサは、カーフ加工された又はカーフ加工されない電歪基板と同様に、バイアス電圧の印加時に音響変換を行うことができ、これにより、バイアス電圧が存在するとき、電圧パルスの印加時に超音波エネルギが出射される。
【0076】
再び
図8に示す例示的な実施形態を参照すると、第1の電極410の第1のアレイは、Tx/Rxスイッチ320及び導体370を介して送信ビームフォーマ300と電気的に通信し、これにより、送信電圧パルスが第1の電極の第1のアレイに供給され、方位角方向でコヒーレント複合イメージングを実行するためのデフォーカスされた超音波パルスの組が生成される。更に、送信の間、バイアス発生器330は、導体360を介して第2の電極420の第2のアレイにバイアスを印加し、超音波パルスがフレネルアパーチャを介して第2の平面内でフォーカシングされ、これにより、上述のように、フレネル位相パターンが複数の送信イベント間で変化する。
【0077】
2次元コヒーレント複合イメージングを実行する本実施例の方法(例えば、
図7に示す例示的な方法)は、プロセッサ210及び/又はメモリ220を介して実施できる。
図8に示すように、フレネル位相パターンの制御及び方位角方向における複合されたコヒーレントイメージングに関連する送信/受信イベントのタイミングの制御は、制御及び処理ハードウェア200によって、コヒーレント複合モジュール290として表される実行可能命令を介して実施できる。制御及び処理ハードウェア200は、スキャン変換ソフトウェア(例えば、リアルタイムスキャン変換ソフトウェア)を含んでもよく、これを実行してもよい。
【0078】
ここに説明する機能は、以下に説明する機能の一部をプロセッサ210内のハードウェアロジックを介して実現し、他の部分は、メモリ220に格納された命令を使用してもよい。幾つかの実施形態は、追加の命令をメモリ220に格納することなく、プロセッサ210を用いて実現される。また、幾つかの実施形態は、1つ以上の汎用マイクロプロセッサがメモリ220に格納された命令を実行することによって実現される。幾つかの例示的な実施形態では、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)等のカスタマイズされたプロセッサを使用できる。したがって、本開示は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの特定の構成に限定されない。
【0079】
再び
図8を参照すると、図に示す例示的なシステムは、所与の具体例において使用できるコンポーネントを限定する意図はないことは明らかである。例えば、このシステムは、1つ以上の追加のプロセッサを含むことができる。更に、制御及び処理ユニット200の1つ以上のコンポーネントは、処理デバイスにインタフェースされる外部コンポーネントとして提供してもよい。例えば、図に示すように、送信ビームフォーマ300、受信ビームフォーマ310、及びバイアス発生器330のうちのいずれか1つ以上は、(破線内に示すように)制御及び処理ハードウェア200のコンポーネントとして含まれてもよく、又は1つ以上の外部装置として提供されてもよい。送信ビームフォーマ300、受信ビームフォーマ310、画像処理モジュール280、及びコヒーレント複合モジュール290は、本明細書で説明する方法を実行するためのアルゴリズムを実行するように構成又はプログラムすることができる。
【0080】
幾つかの実施形態は、完全に機能するコンピュータ及びコンピュータシステムによって実現でき、様々な実施形態は、様々な形式のコンピュータ製品として提供でき、実際の提供に使用されるあらゆるタイプの機械可読媒体又はコンピュータ可読媒体に適用することができる。
【0081】
ここに開示した幾つかの態様は、少なくとも部分的に、ソフトウェアで実現してもよい。すなわち、この技術は、コンピュータシステム又は他のデータ処理システムのプロセッサによって、そのプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)に応答して実行されてもよく、プロセッサは、メモリ(例えばROM、揮発性RAM、不揮発性メモリ、キャッシュ又は遠隔ストレージデバイス)に格納された一連の命令を実行する。
【0082】
コンピュータ可読ストレージ媒体を用いて、データ処理システムが実行することによって、システムに様々な方法を実行させるソフトウェア及びデータを格納することができる。実行可能ソフトウェア及びデータは、様々な場所(例えば、ROM、揮発性RAM、不揮発性メモリ及び/又はキャッシュを含む)に格納することができる。このソフトウェア及び/又はデータの一部は、これらのストレージデバイスの何れに保存してもよい。本明細書中で使用される、語句「コンピュータ可読媒体」及び「コンピュータ可読記憶媒体」とは、過渡的な伝播信号自体を除く、全てのコンピュータ可読媒体を指す。
【0083】
交差電極構成を使用する本実施形態は、従来の2Dアレイ設計に比べて顕著な利点を提供する。交差電極アレイは、上部電極が、仰角面においてアクティブレンズ制御を提供するため、2N個の電気接続及びN個のビームフォーミングチャネルのみを必要とする。従来の2Dアレイを用いて3D画像ボリュームを捕捉する代替的手法は、N2個の素子及びビームフォーミングチャネルを必要とする。したがって、ビームフォーミングの複雑さが低く、電気的接続性が最小であることは、従来の2Dアレイ設計よりも現実的に優れた利点がある。電気的相互接続は、パッケージングのかなりの部分を占め、したがって、必要とされる素子の数を最小にすることは、小型化のために重要であるため、この態様は、パッケージングを小型化する必要がある幾つかの用途において有利である。
【0084】
上述のように、音波は、光と同様に、フレネルレンズ又はゾーンプレート法を用いてフォーカシングできる。フレネルゾーンプレートは、特に大きなアパーチャを使用する場合に、密な焦点を生成できる。フレネル型の手法は、超音波トランスデューサに亘ってパルス極性を制御することによって実施される。これに代えて、操縦された平面波インソニフィケーションを模倣するように正及び負のパルスのパターンを設定してもよい。パルス極性の制御は、従来の圧電体の代わりにDCバイアスに依存する応答を有する圧電体基板(すなわち、電歪セラミック、CMUT)を使用して達成してもよい。このタイプの材料は、バイアス電圧が印加されている間のみ、圧電的にアクティブである。更に、応答は、バイアス電圧の振幅によって調整できる。トランスデューサに電圧が印加されていない場合、応答は、無視できるものであり、DCバイアスが印加されている場合、発生する音波の位相は、バイアスが正か負かに応じて+90度又は-90度のいずれかに量子化される。したがって、基板に沿って一連の正バイアス及び負バイアスを変化させるだけで、基板からの出射波面を動的に変化(フォーカシング、操縦)させることができる。単一のRFデータチャネル及び圧電基板に亘る一連のバイアスのみを用いて超音波画像を形成できるため、これは、強力な概念である。
【0085】
上述したように、平面波は、超音波アレイの全ての素子を同時にパルシングすることによって、1つの送信イベントにおいて全画像領域をインソニファイする。平面波イメージングは、一回の送信イベントで2D画像全体を収集できるため、超高速イメージング(10,000万フレーム/秒)を行うことができる。平面波は視野全体に到達し、平面波毎にフレーム内の各画素位置に対して動的受信ビームフォーミングが行われる。画質(コントラスト、SNR、解像度等)は、通常、複数の平面波(または発散波)を出射し、各フレームをコヒーレントに複合することによって改善される。平面波は、異なる角度で出射され、これにより合成送信焦点の生成を可能にする。このような平面波の生成例を
図14A及び
図14Bに示す。
【0086】
平坦な平面波を生成する代わりに、アレイに亘るバイアスのパターンは、不均一/不規則な波面を生成してもよい。このような波面は、出射された超音波の位相を2つの極性のうちの1つに応じて量子化するバイアスパターンによって生成されるものであり、以下、これをデフォーカスフレネル波(defocused Fresnel wave)と呼ぶ。このような波面の生成の具体例を
図14C及び
図14Dに示す。これらの伝搬波は、平面波と同様に高速イメージングに利用できる。これらのバイアス制御された一連のフレネル波の結果をコヒーレントに複合することにより、平面波イメージングと同様に画質を改善できる。異なる不規則波面を送信する各フレームをコヒーレントに複合するために、画素位置のそれぞれにおける位相は、既知である必要があり、これを合成送信ビームフォーミングにおいて使用する。このため、画像領域全体で波面をシミュレートし、1つの画像から次の画像への位相オフセットのルックアップテーブルを作成する必要がある。真の平面波を使用して画像を作成する場合、波面は、開始時も伝播中も同期したままであるため、この計算は、簡単である。
【0087】
単一のRFチャネルのみが使用される場合、受信データを分割し、アレイの各素子からの情報を分離する必要がある。受信データのこのような分割を行うための1つのオプションは、受信時に単一の素子のみをアクティブ化し(1つの素子をバイアスし、他の全ての素子を接地し)、次に、アレイに沿ってアクティブな受信素子を移動させつつ同じ送信バイアスパターンを繰り返すことである。このプロセスは、アレイ内の各バイアスされた素子について繰り返される。個々の素子のそれぞれからのRFデータを用いて、合成受信アパーチャを形成できる。この手法の主な欠点は、単一の受信アレイ素子を使用する場合にSNRが低下すること、及び画像を生成するために必要な時間が増加することである(素子の数Nを係数として増加する)。
【0088】
ここで、幾つかの例示的な実施形態では、受信パターンにアダマール符号化を使用できる。アダマール行列は、+1又は-1に等しい成分で構成され、各行が相互に直交するという性質を有する。16×16アダマール行列の例を
図15に示す。
【0089】
受信バイアスパターンをアダマール符号化すると、行列演算を実行することにより、以下に示すように、直交行列の特性を使用して、アレイに亘る各素子からRFデータと等価のデータを復号して取り出すことができる。以下の式において、Hは、アダマール行列であり、Rは、各符号化受信バイアスパターンについて受信された時刻tにおけるRFデータの列ベクトルであり、Eは、各素子についての時刻tにおける復号RFデータである。この手法でも、追加の送信イベント(バイアスパターンの素子毎(例えば、バイアスパターンを確立する電極アレイの電極毎)に1つの、合計N個のイベント)が必要であり、符号化された受信信号を検出するために、全ての素子が受信時にアクティブである必要がある。
【数7】
一実施形態では、アダマール受信符号化を用いて、バイアス電極の1次元アレイと単一信号電極とを用いて2次元イメージングを行うことができる。このような例示的な実施形態によれば、バイアスに感応する電歪素子(バイアス電極のアレイによって生成される)に動的に変化するバイアスパターンを適用して、複数のパルス及びアダマール符号化バイアスパターンに亘る2次元画像を生成できる。このような手法により、必要とされるRFアナログチャネルの数を大幅に低減でき、これにより、電子ハードウェアを単純化でき、関連するコストを低減でき、並びにカテーテルベース(又はプローブベース)のイメージング用途のためのケーブル配線システムの寸法を低減できる等の利点が生じる。
【0090】
上述したように、DCバイアス極性を変化させることができて、複数のパルスに亘って素子全体に亘って動的に変更できる限り、単一のRFチャネルのみに接続された線形素子を用いて高品質の放射パターンを生成できる。このような構成の一例を
図16Aに示す。この図は、応答がDCバイアスに依存する圧電基板600(すなわち、電歪セラミック、CMUT)を示しており、ここでは、基板の一方の側にバイアス電極610の1次元アレイが形成され、反対側に単一の信号(RF)電極620が形成されている。バイアス電極610にバイアス電圧が印加されることにより、圧電基板600がバイアスされ、出射される超音波の音響位相の(量子化された)極性が制御される。
【0091】
このようなアレイは、2次元イメージングのために動的1次元バイアスパターンを使用する幾つかの例示的な実施形態において使用できる。一実施形態では、1次元超音波アレイを使用して、デフォーカスフレネル波毎に複数の送信パルスを有するデフォーカスフレネル波を送信し、受信アダマール符号化を使用して、アダマール行列における異なる行により、所与のデフォーカスフレネル波の各送信パルスを受信符号化する。次に、アダマール復号された受信信号をコヒーレントに複合して、2次元画像を生成できる。
【0092】
別の例示的な実施形態では、バイアス電極アレイを使用して、画像ライン(角度)毎に複数のパルスを送信することによってフォーカスフレネル波面(focused Fresnel wavefront)を送信し、受信アダマール符号化を使用して、所与の画像ラインについて各パルスを、アダマール行列における異なる行を使用して受信符号化することによって、受信信号を復号する。所与の画像ライン角度に対するアダマール復号信号は、その後、動的受信ビームフォーミングを介して画像ラインを生成するために順次使用できる。この処理を複数の画像ラインに対して繰り返すことによって、2次元画像データを生成できる。
【0093】
上述の例示的な2次元アダマール符号化の実施形態は、後述するように、3次元イメージングにも適用できる。
【0094】
なお、素子に亘って変化し且つ動的に変更されるバイアスパターンによって単一のRFチャネルに接続された線形素子を用いて2次元画像を生成することにより、複数のアレイ素子からRFチャネルデータに直接アクセスする従来の技術と比較してフレームレートが大幅に低下するというトレードオフが本質的に生じる。例えば、受信アダマール符号化と組み合わせたフレネルフォーカシングビームの送信を含む先の実施形態では、アダマール符号化に使用される素子全体のバイアスチャネルの数を「N」として、送信フォーカシングが「N」回繰り返される。本発明者らは、このような実施形態において、高品質のイメージングを達成し、グレーチングローブアーチファクトを回避するために、最小で約64個のバイアスチャネルが有益であることを見出した。64個のバイアスチャネルでは、アダマール行列を効果的に復号し、64個のチャネルのチャネルデータを得るためには、画像ラインあたり64個の送信パルスが必要になる。このようにパルス数が多いと、現在のところ、高いフレームレートイメージングを達成することは困難である(フレームレート=N×ライン数)。
【0095】
これに代えて、デフォーカスフレネル波を用いて送信を行い、受信信号をアダマール符号化する他の例示的な実施形態では、受信時にチャネルデータを復号して取得するために、予め複合された各フレームに対して同一の平面波の「N」個のパルスが必要になる。高画質が望まれる場合、少なくとも40個の複合を行うことが有益であることがあるが、この場合も、現在利用可能な技術(フレームレート=N×複合数)を考慮すると、高フレームレートのイメージングが困難である。
【0096】
別の例示的な実施形態では、1より多い数のRF信号チャネルを使用し、バイアス電極の数を信号電極(チャネル)の数よりも多くすることによって、チャネル数とフレームレートとの間のトレードオフを調整できる。例えば、信号チャネルの数は、2、3、4、5、6、7、又は8であってもよい。4信号電極構成の例を
図16Bに示す。この図に示すように、アレイは、4つのRF信号アパーチャ(それぞれの信号電極622、624、626、及び628と、それぞれのバイアス電極の組612、614、616、及び618とを有する)に分割される。例えば、合計でN=64のバイアスチャネルが使用され、4つのサブアパーチャに分割される場合、それぞれが16チャネルを有する4つのアダマール行列が使用され、フレームレートは、単一信号チャネルの実施形態と比較して4倍に増加される。
【0097】
例えば、受信アダマール符号化と組み合わせたフレネルフォーカシングビームの送信を含む実施形態によれば、アパーチャ全体(又はその一部)をフレネル送信フォーカシングに使用できるが、受信符号化は、サブアパーチャ毎に実行される。画像ラインあたりの送信パルスの数は、アパーチャ全体に亘るバイアス電極の数ではなく、各サブアパーチャ内のバイアス電極の数に等しくなる。サブアパーチャからの復号されたチャネルデータは、その後、画像ラインに沿って動的に受信ビームフォーミングされ、これが複数の画像ラインに対して繰り返される。したがって、このような実施形態のフレームレートは、フレームレート=N/(サブアパーチャ数)×ライン数となる。
【0098】
これに代えて、アダマール受信符号化と組み合わせてデフォーカスフレネル波の送信を使用する実施形態では、アパーチャ全体(又はその一部)をデフォーカスフレネル波の送信のために使用できるが、受信符号化は、サブアパーチャ毎に実行される。デフォーカスフレネル波あたりの送信パルスの数は、アパーチャ全体に亘るバイアス電極の数ではなく、各サブアパーチャ内のバイアス電極の数に等しい。このような実施形態のフレームレートは、フレームレート=N/(サブアパーチャ数)×複合数となる。
【0099】
なお、ここに開示する実施形態は、カーフ加工された基板、電極がモノリシック圧電体上にあるカーフレス基板、及び電極が複合圧電体上にあるカーフレス基板に対して使用できる。バイアス電極(及び1つ以上の単一電極/チャネル)の1次元アレイを用いた2次元イメージングの非限定的な例において例示したアダマール符号化を含む上述の方法は、2次元交差電極アレイを用いた3次元イメージングにも適用できる。上述したように、交差電極アレイは、圧電基板の上面に設けられた直線状の電極の組と、底面に設けられた同等であるが直交する電極の組とを使用して形成してもよい。交差電極アレイは、3D超音波イメージングにおける幾つかの課題を解決し、特に、グリッドアレイと比較して素子数を大幅に削減できる。しかしながら、これらのアレイでは、方位角と仰角の次元を同時にビームフォーミングできないため、二方向にフォーカシングされたボルメトリック画像をリアルタイムで生成することは困難である。
【0100】
後述するように、幾つかの例示的な実施形態では、仰角方向の送信時にデフォーカスフレネル波又はフレネルフォーカシングパルスを生成するために交差電極の2つの電極アレイのうちの一方を使用でき、この電極アレイを、アダマール受信符号化のために使用できる。他方の電極アレイは、方位角イメージングに使用できる。幾つかの例示的な実施形態では、第2のアレイは、方位角方向におけるコヒーレント複合のために使用でき、コヒーレント複合は、仰角方向におけるアダマール符号化に必要な複数パルス送受信動作と並行して(例えば、同時に)実行できる。
【0101】
一実施形態では、交差電極アレイを採用し、仰角方向では、(先の1次元の実施形態で説明したように)バイアス制御されたデフォーカスフレネル波を使用し、方位角方向では、従来のイメージング(すなわち、Bモード、平面波又は発散波によるイメージング)を実行してもよく、この場合、デフォーカスフレネル波に対して実施される複合は、両方の平面に同時に利益をもたらす。例えば、仰角方向と方位角方向の両方でデフォーカス波のコヒーレント複合を採用する場合、この複合を並行して行うことができる。この場合、3D画像を構築するために必要とされる送信イベントの数は、適切な画質を達成するために必要な複合の数及び交差電極アレイの仰角素子の数に依存する。仰角方向についての受信にアダマール符号化を使用することにより、アダマール符号化に使用されるバイアス電極の数をNとして、デフォーカスフレネル波毎にN個の複合が行われ、これにより、合成受信アパーチャが適切に復号及び構築される。このような場合、フレームレートは、パルス繰り返し周波数をPRFとし、デフォーカスフレネル波の数をFWとして、フレームレート=PRF/[N*FW]となる。方位角複合は、同時に実行されるため、フレームレートには影響しない。
図24のフローチャートはステップ750~790を示し、本方法の実装例を図示する。
【0102】
2次元交差電極アレイを使用するバイアス制御3次元イメージングの別の例では、例えば、前述の1次元アレイの例で説明したように、各バイアス電極に亘るバイアスパターンを使用してフレネルレンズを近似することによって、仰角方向に超音波エネルギをフォーカシングできる。本実施形態によれば、送信時に仰角方向にフレネルレンズバイアスパターンを適用でき、バイアスパターンのアダマール符号化を用いて合成受信アパーチャを構築できる。これらの送信/受信バイアスパターンは、3D画像ボリュームのスライスを選択する二方向の仰角焦点を作成する。方位角方向では、平面波又は発散波のイメージングのために他の電極アレイを使用してもよい。アダマール符号化法は、アダマール符号化のためにバイアスされる電極の数をNとして、各仰角素子からの寄与を復号するためにN個の送信/受信イベントを必要とする。換言すれば、仰角フレネルレンズ送信バイアスパターン毎にN個の超音波パルスが送信される。N個の送信/受信イベントの間、方位角方向における平面/発散波イメージングは、スライスの画質を改善するために同時に複合される。この手法を用いて3D画像を構築するために必要とされる送信イベントの数は、ボリューム内の仰角スライスの数及び交差電極アレイの仰角素子の数に依存する。このような場合、フレームレートは、パルス繰り返し周波数をPRFとし、仰角スライスの数をELとして、フレームレート=PRF/[N*EL]となる。
図23のフローチャートはステップ700~740を示し、本方法の実装例を図示する。
【0103】
一具体例では、各受信アダマール符号化パターンに対してフレネルレンズパターンを変更することによって、仰角スライスの選択性を更に改善できる。これにより行われる複合によって、送信焦点上のサイドローブエネルギが低減される。このような例示的な実施形態によれば、送信焦点フレネルパターンは、上述の例示的な実施形態で説明したように、仰角フォーカシングを空間的にシフトすることによって、少なくとも2つのアダマール受信パターン(任意の変形として、全てのアダマール受信パターン)について変更される。例えば、少なくとも2つのフレネルパターンが、異なる仰角焦点深度及び/又は異なる仰角焦点角度に対応してもよい。
【0104】
上述の実施形態の多くでは、バイアス制御されたフレネルレンズを使用して、2次元画像領域の選択された画像ラインに沿って焦点を形成し、又は3次元ボリュームの選択された仰角平面において焦点を形成し、それぞれ単一の仰角画像ライン又はスライスを選択する。フレネルレンズを送信と受信の両方又は送信のみ(例えば、受信時のアダマール符号化と共に)に使用する様々な実施形態を説明した。更に、単一の画像ライン又はスライス上に複数のフレネルレンズパターンをコヒーレントに複合することにより、サイドローブエネルギが低減され、画質が向上することを示した。
【0105】
幾つかの例示的な実施形態では、この概念は、隣接する画像ライン又はスライスに拡張できる。例えば、所与の画像ライン又はスライスに近接する画像ライン又は画像スライスについて収集された信号データは、隣接する画像ライン又はスライスのパルスが同位相であるか焦点に位相調整されている場合に再利用できる。このように隣接する画像ラインやスライスからのデータを再利用することにより、フレームレートを低下させることなく、サイドローブエネルギを更に抑制できる。例えば、幾つかの例示的な実施においては、所与の画像ライン又は画像スライスに直接隣接する画像ライン又はスライスを複合でき、これは、画像データの1つ以上の画像ライン又は画像スライスに対して実施できる。別の例示的な実施形態では、所与の画像ライン又は画像スライスのいずれか片側又は両側の2つ以上の隣接する画像ライン又は画像スライスを複合できる。なお、隣接する画像ライン又はスライスからの信号の複合は、アダマール符号化及びビームフォーミングの前に行っても、後に行ってもよい。前述のフレネルベースのイメージングの例示的実施形態のいずれか又はその変形例は、隣接する画像ライン又は画像スライスからの画像データの複合を含む本実施形態に適合させることができる。
【0106】
図17は、このような実施形態の例示的な具体例を示しており、ここでは、ライン毎に20個のフレネル焦点位置が使用され、2つの隣接する画像ライン(652及び654)が現画像ライン650に対して再使用される。マルチライン又はマルチスライス複合のためのこのようなサイドローブエネルギ低減の例は、後述する実施例4に示されている。
【0107】
[実施例]
以下の実施例は、当業者が本開示の実施形態を理解し、実施することを可能にするために提示される。これらは、本開示の範囲を限定するものではなく、単に例示的かつ代表的なものであるとみなされる。
【0108】
[実施例1:空間的に異なる焦点位置に対応するフレネル位相パターンを用いたフレネルコヒーレント複合フォーカシングのシミュレーション]
本実施例では、Field IIを用いて40MHz 1Dフェーズドアレイをシミュレートし、共通焦点近傍の異なる位置に対応するフレネル位相パターンを選択することにより、コヒーレント複合フレネルフォーカシングを行った。アレイから離れるように中心軸に沿って焦点を移動させることによって生成される3つの例示的なフレネルパターンを
図2A~
図2Cに示す。関心フィールドについて二方向パルスエコー測定値を収集し、各フレネルパターン(n=36)について複合した。
図9A~
図9Fは、軸外30度(
図9A~
図9B)からのシミュレートされたRFデータを軸上の場合(
図9C~
図9F)と比較して示している。
図9A、
図9C、及び
図9Eは、36個の別個のパルスエコーを示し、
図9B、
図9D、及び
図9Fは、平均化されたパルスを示している。
図9A~
図9Bから分かるように、軸外エネルギは、非コヒーレントに複合され、平均は、著しく減少する。これとは対照的に、軸上パルス(
図9C~
図F)は、同一の位相を有し、平均信号は、強度を失わない。
【0109】
図9C~
図9Fに示すように、各フレネルパターンに対する集束パルスの振幅は変動し、これにより、最大の単一パルスの振幅より複合パルスの振幅が小さい理由が説明される。
【0110】
本実施例では、複合により主ローブに対する二次ローブのエネルギが13dB改善された。これは、理論上√nの15.5dBの改善に近い。
図10は、二方向放射パターンに対する改善を示している。主ローブ幅を維持しながら、二次ローブレベルが低減されている。この例は、概念を説明するために36個の複合イベントを使用して実行されているが、この結果は、平均の数に応じて向上する。更に、(以下の実施例で説明するように)焦点を横方向及び軸方向に移動させることによって又は量子化に使用されるオフセット位相を0又はλ/2に変更することによって一意的なフレネルパターンを生成できる。
【0111】
異なるフレネル位相パターン間の飛行時間変動を補正するために、送信パルスと受信パルスに群遅延補正を適用した。
図11A~
図11Bは、群遅延補償の効果として、2つの異なるフレネル位相パターンからの焦点における2つの例示パルスを示している。群遅延を使用しない場合、
図11Aに示すように、焦点のパルスは、位相がずれている。一方、群遅延が加えられると、
図11Bに示すように、パルスは、同位相となり、建設的に干渉する。
【0112】
[実施例2:位相オフセットに対応したフレネル位相パターンを用いたフレネルコヒーレント複合フォーカシングのシミュレーション]
本実施例は、量子化前に位相オフセットを変化させて異なるフレネルパターンを生成した場合の複合による性能改善を説明するために実行されたシミュレーションを記述する。前の実施例で説明した40MHz 1Dフェーズドアレイをシミュレートし、関心フィールドについて二方向パルスエコー測定値を収集し、各フレネルパターンについて複合した。この例では、位相オフセット値を0[rad]と2π[rad]との間で変化させることにより、16個(n=16)の一意的なフレネルパターンを生成した。
図12A~
図12Fは、軸外30度(
図12A~
図12B)からのシミュレートされたRFデータを軸上の場合(
図12C~
図12F)と比較して示している。
図12A、
図12C、及び
図12Eは、16個の別個のパルスエコーを示し、
図12B、
図12D、及び
図12Fは、平均化されたパルスを示す。
図12A~
図12Bに示すように、軸外エネルギは、非コヒーレントに複合され、平均は、著しく減少する。これとは対照的に、軸上パルスは、
図12E~
図12Fに示すように、重複する位相を有する。この実施例では、複合により二次ローブに対する主ローブのエネルギが12.2dB改善された。
図13は、二方向放射パターンに対する改善を示している。異なるフレネル位相パターンを生成する際に使用される異なる位相オフセットに起因する飛行時間変動を補正するために、送信パルス及び受信パルスに群遅延補正を適用した。
【0113】
[実施例3:1Dアレイのためのバイアス制御フレネル波面イメージングのシミュレーション]
Field II[3]を用いて、動的受信ビームフォーミングを用いたバイアス制御フレネル波面イメージングを40MHz 64素子1Dアレイのモデリングにより行った。
図16A及び
図16Bは、この結果として、アレイの軸上の散乱及び端部における散乱の放射パターンプロファイルを示している。フレネル波複合の数を増やすと、サイドローブレベルが大幅に減少し、画像品質が向上する。
【0114】
Field IIを用いた40MHz 64素子1Dアレイのモデリングにより、アダマール符号化受信バイアスパターンを用いたバイアス制御フレネルレンズのシミュレーションも行った。
図19A及び
図19Bは、この結果として、アレイの軸上及び端部における放射パターンのプロファイルを示している。アダマール行列を用いて各素子からの受信寄与を復号するために、64の送信/受信イベントを用いてシミュレーションを行った。復号された受信信号は、ビームフォーミングされるが、送信の焦点は、フレネルレンズバイアスパターンによって提供される。
【0115】
[実施例4:隣接する画像ライン(又は仰角スライス)からのデータの複合]
Field IIを用いた10MHz 64素子1Dアレイのモデリングにより、隣接する仰角ラインからのデータを複合して、送受信におけるバイアス制御フレネルレンズのシミュレーションを行った。
図17は、イメージングライン及びフレネルレンズ焦点位置を示している。この例では、各イメージングラインに対して20の複合を使用し、現ラインについて2つの隣接する画像ラインからのデータを再利用し、合計で60の複合を行い、複合はアダマール復号の後に行った。この結果として、
図20A及び
図20Bは、軸上及びアレイの端部の放射パターンプロファイルとして、単一ラインに対する20の複合を3つのイメージングラインに対する60の複合と比較して示している。
【0116】
隣接する仰角スライスからのデータを複合する第2の実施例において、Field IIを用いて、40MHz 64素子2D交差電極アレイをシミュレートした。送信では、バイアス制御フレネルレンズをインプリメントし、受信では、アダマール符号化パターンを適用した。アダマール復号及びビームフォーミングの前に、現スライスのいずれかの側の画像ラインからのデータを収集し、コヒーレントに複合した。
図21A及び
図21Bは、これにより得られた仰角方向の放射パターンを、軸上焦点及びアレイの端部付近について示している。
【0117】
図22A~
図22Dは、2次元交差電極アレイのパルス長について、隣接する仰角スライスを複合する効果をプロットした図であり、(A)は、中心にフォーカシングした、送信時の単一フレネルレンズ及び仰角におけるアダマール受信符号化について処理されたパルス、(B)は、広角にフォーカシングした、送信時の単一フレネルレンズ及び仰角におけるアダマール受信符号化について処理されたパルス、(C)は、中心にフォーカシングした、送信時の単一フレネルレンズ及び仰角におけるアダマール受信符号化について、3つの隣接する仰角スライスを複合して処理されたパルス、(D)は、広角にフォーカシングした、送信時の単一フレネルレンズ及びアダマール受信符号化について、3つの仰角スライスを複合して処理されたパルスを示す。縦軸は、任意のパルス振幅、横軸は、時間である。
【0118】
上述の特定の実施形態は、例示的なものであり、これらの実施形態を様々に修正及び変形できることは明らかである。更に、特許請求の範囲は、ここに開示した特定の形式に限定されず、ここに開示した思想及び範囲に含まれる全ての修正、均等物及び変形を包含することは明らかである。