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特許7026361モノヒドロペルフルオロアルカンを出発原料としたペルフルオロアルキル化剤の新規製造法、及びそれらを用いた芳香族ペルフルオロアルキル化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】モノヒドロペルフルオロアルカンを出発原料としたペルフルオロアルキル化剤の新規製造法、及びそれらを用いた芳香族ペルフルオロアルキル化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/32 20060101AFI20220218BHJP
   C07C 22/08 20060101ALI20220218BHJP
   C07C 205/11 20060101ALI20220218BHJP
   C07C 201/12 20060101ALI20220218BHJP
   B01J 27/122 20060101ALI20220218BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220218BHJP
【FI】
C07C17/32
C07C22/08
C07C205/11
C07C201/12
B01J27/122 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020202484
(22)【出願日】2020-12-07
(62)【分割の表示】P 2017063336の分割
【原出願日】2017-03-28
(65)【公開番号】P2021054834
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000157119
【氏名又は名称】関東電化工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】網井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】河内 大佑
(72)【発明者】
【氏名】小茂田 和希
(72)【発明者】
【氏名】清水 直登
(72)【発明者】
【氏名】小林 政史
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-506593(JP,A)
【文献】特表2014-519486(JP,A)
【文献】KONDO, Hideaki,Adv.Synth.Catal.,2011年,353,1247-1252
【文献】QING, Feng-Ling,(1,10-Phenanthroline)(trifluoromethyl)-copper(I),e-EROS Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,2015年,1-4
【文献】SHIMIZU, Naoto,Organic Synthesis,2016年,93,147-162
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[2]:
-H [2]
[式中、R は、炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもあるアルキル基であって炭素上の水素が全てフッ素で置換されたペルフルオロアルキル基である]
で示されるモノヒドロペルフルオロアルカン、一般式[3]:
【化1】
[式中、R およびR は、それぞれ独立に、水素原子あるいは炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもある置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基であり、R とR は一体となって環を形成していてもよい]
で示されるカルボニル化合物、およびKOHを有機溶媒中で反応させて、一般式[4]:
【化2】
[式中、R 、R およびR は前記のとおりである]
で表される化合物を得た後、一般式[4]の化合物と一般式[5]:
【化3】
[式中、R 、R 及びR は、それぞれ独立に、水素原子あるいは炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもある置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表わす]
で示される化合物とを有機溶媒中で反応させて、一般式[1]:
【化4】
[式中、R 、R 、R 、R 、R 及びR は前記のとおりである]
で示される化合物を得、そして
一般式[9]:
-X [9]
[式中、Rは置換基を有しても良いアリール基あるいはヘテロアリール基を表わし、Xはフッ素、塩素、臭素あるいはヨウ素を表す]
で示される化合物と、一般式[1]で示される化合物とを、銅触媒、窒素配位子及び金属フッ化物存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式[10]:
-R [10]
[式中、R、Rは前記のとおりである]
で示される芳香族ペルフルオロアルキル化合物の製造方法。
【請求項2】
使用する銅触媒がヨウ化銅(I)であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
使用する窒素配位子が9,10-フェナントロリンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
使用する金属フッ化物がフッ化セシウムであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
使用する化合物[1]の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.5~2当量であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
使用する銅触媒の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.01~0.99当量であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
使用する窒素配位子の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.01~0.99当量であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
使用する金属フッ化物の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.1~5.0当量であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
使用する有機溶媒がジグライム、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)およびジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノヒドロペルフルオロアルカンを出発原料とし、有機電子材料、医薬、農薬、高分子機能材料等の重要な中間体となる芳香族ペルフルオロアルキル化合物を合成するためのペルフルオロアルキル化剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルフルオロアルキル基を有する有機化合物は、有機電子材料、医薬、農薬、高分子機能材料等の重要な中間体である。その中でも、トリフルオロメチル化合物は合成例が多く報告されている。
【0003】
芳香環上にトリフルオロメチル基を導入する方法としては、対応する芳香族ハロゲン化物と、トリフルオロメチル化剤とのクロスカップリング反応が有効である。芳香族ハロゲン化物のトリフルオロメチル化反応においては、中間体としてトリフルオロメチル源と銅化合物が反応して得られるトリフルオロメチル銅(CFCu)が生成し、これが芳香族ハロゲン化物とクロスカップリング反応をすることによって反応が完結し、芳香族トリフルオロメチル化合物を与える。トリフルオロメチル源としては、ルッパート-プラカッシュ試薬(トリフルオロメチルトリメチルシラン、CFSiMe)(特許文献1)が知られている。しかし、本手法では高価なトリフルオロメチル源を使用しなければならないことが大量生産への障害となっていることが否めない。
【0004】
一方で、トリフルオロメタンは、テフロン(登録商標)製造過程の副産物として工業的に大量に産出され、安価に大量入手が可能でトリフルオロメチル源としての可能性を秘めている材料であるため、芳香族トリフルオロメチル化合物を製造するためのトリフルオロメチル源として魅力ある材料である。これまでに、トリフルオロメタンに塩基を作用させた後、銅化合物と反応させてトリフルオロメチル銅を調製し、芳香族ハロゲン化物とのクロスカップリング反応により、芳香族トリフルオロメチル化合物を合成したという報告がなされている(非特許文献1、2)。この手法では、安価で大量入手可能なトリフルオロメタンを使用できるものの、反応剤として用いる塩基(主にターシャリーブトキシカリウム、t-BuOK)が高価である点、銅化合物(主にCuI)を化学量論量必要とすることから、工業的大量生産への適用に対しては必ずしも有効とはいえないのが現状である。
【0005】
銅の使用量を削減する試みとしては、適当なトリフルオロメチル化剤を使用し、触媒量の銅化合物及び窒素を含む配位化合物存在下、芳香族ハロゲン化物と反応させることで芳香族トリフルオロメチル化合物を得たという報告がなされている。この反応においては、トリフルオロメチル源として高価なトリエチルトリフルオロメチルシラン(非特許文献3)、あるいは比較的安価ではあるものの使用用途が限られているため大量入手が決して容易とはいえないフルオラールから誘導されるシリル化トリフルオロメチルヘミアミナール(
非特許文献4)を用いている。シリル化トリフルオロメチルヘミアミナールは、比較的安
価で工業的に大量に入手可能なトリフルオメタンとモルフォリノカルバルデヒドからも合成できるが、この場合は高価な試薬(トリス(トリメチルシリル)アミン、N(SiMe)が必要である(非特許文献5)。
【0006】
なお、トリエチルトリフルオロメチルシランやシリル化トリフルオロメチルヘミアミナールは、反応後に副生するトリエチルフルオロシラン、及びヘミアミナール部分は回収できないため廃棄物として処分される。
【0007】
資源の有効利用を目的とした場合はシリル化トリフルオロメチルカルビノールを用いれば、理論的にカルビノール部分をベンゾフェノンとして回収・再利用することにより廃棄物削減が期待できるが、これまでにシリル化トリフルオロメチルカルビノールは、トリフルオロメチル化剤として注目されていなかったため、前記化合物をトリフルオロメチル化剤として用いた報告例はない。
【0008】
シリル化トリフルオロメチルカルビノールの合成は、CFSiMeとベンゾフェノンの反応(非特許文献6)、あるいはトリフルオロメタン、ベンゾフェノン及びN(SiMeの反応(非特許文献7)が報告されているが、前者では高価なCFSiMeを使用しなければならず、後者では高価な試薬(N(SiMe)が必要であることに加えて、シリル化体の選択性が低く原料のカルビノールが残存するという課題が残されている。
【0009】
トリフルオロメチルトリメトキシボレートカリウム(非特許文献8、9)、及びトリフルオロメチルトリオールボレートカリウム(非特許文献10)も、芳香族トリフルオロメチル化剤として利用できる化合物として報告されている。
【0010】
しかし、従来法ではこれらボレート塩を芳香族トリフルオロメチル化剤として用いた場合、銅化合物を化学量論量必要(非特許文献8)としていた。また、触媒反応の場合でも20mol%の触媒を使用(非特許文献9、10)しており、触媒効率は決して高いとはいえなかった。
【0011】
さらに、トリフルオロメチルトリメトキシボレートカリウムは安定性が低く単離することが困難であるために長期保存することができず、反応毎に調製しなければならない。
【0012】
一方、トリフルオロメチルトリメチルボレートカリウムと対応するトリオールとの反応により得られるトリフルオロメチルトリオールボレートカリウムは大気中で安定な結晶であるために取り扱いが容易で、トリフルオロメチル化剤としては前者よりも有効である。
【0013】
しかし、従来法ではトリフルオロメチルトリメトキシボレートカリウム及びトリフルオロメチルトリオールボレートカリウムの合成には高価なCFSiMeが必要であり、工業的に大量生産するためには課題が残されている(非特許文献9、10、11)。また、安価に大量入手が可能なトリフルオロメタンを用いてトリフルオロメチルトリメトキシボレートカリウムを調製した例が報告されているが、前記ボレート塩を芳香族トリフルオロメチル化剤としては作用しないことが知られているトリフルオロメチルトリフルオロボレートカリウムに変換して構造同定を行ったのみであり、トリフルオロメチルトリオールボレートカリウムを合成した報告はされていない(非特許文献12)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【文献】J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, p20901-20913
【文献】J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, p16837-16840
【文献】Chem. Commun., 2009, p1909-1911
【文献】Adv. Synth. Catal., 2011, 353, p1247-1252
【文献】Org. Lett., 2000, 2, p2101-2103
【文献】J. Am. Chem. Soc., 1989, 11, p393-395
【文献】J. Org. Chem., 2000, 65, p8848-8856
【文献】日本化学会春季年会(2011.3)1C6-17
【文献】Chem. Eur. J., 2011, 17, p2689-2697
【文献】The 13th International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry PB (C)-34
【文献】Tetrahedron Lett., 2003, 44, p8273-8277
【文献】Science 2012, 338, p1324-1327
【特許文献】
【0015】
【文献】特許5072679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明者らは、触媒的芳香族トリフルオロメチル化反応における、従来の技術課題「触媒の削減、安価なトリフルオロメチル源の使用及び使用済みトリフルオロメチル化剤の再生」についての解決を目的に鋭利検討を行なった結果、トリフルオロメタンからシリル化トリフルオロメチルカルビノール、及びトリフルオロメチルトリオールボレートカリウムの簡便な製造法の開発に成功した。
【0017】
また、発明者らによって開発した手法によって合成したトリフルオロメチル化剤を用いて触媒的芳香族トリフルオロメチル化反応を行ったところ、触媒量を従来の報告よりも少ない量、すなわち0.2モル当量から、0.1モル当量まで低減させても反応が進行することを見出した。
【0018】
さらに、シリル化トリフルオロメチルカルビノールを用いた場合、反応後ベンゾフェノンとして回収が可能なことを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、以下の態様を提供する。
(1)
一般式[1]:
【化1】
[式中、Rは、炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもあるアルキル基であって炭素上の水素が全てフッ素で置換されたペルフルオロアルキル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子あるいは炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもある置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基であり、RとRは一体となって環を形成していてもよく、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子あるいは炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもある置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表わす]
であらわされる化合物の製造方法であって、
一般式[2]:
-H [2]
[式中、Rは前記のとおりである]
で示されるモノヒドロペルフルオロアルカン、一般式[3]:
【化2】
[式中、RおよびRは前記のとおりである]
で示されるカルボニル化合物、およびKOHを有機溶媒中で反応させて、一般式[4]:
【化3】
[式中、R、RおよびRは前記のとおりである]
で表される化合物を得た後、一般式[4]の化合物と一般式[5]:
【化4】
[式中、R、R及びRは、前記のとおりである]
で示される化合物とを有機溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式[1]で表される化合物の製造方法。
(2)
一般式[1]:
【化5】
[式中、R、R、R、R、R及びRは前記のとおりである]
であらわされる化合物の製造方法であって、
一般式[2]:
-H [2]
[式中、Rは前記のとおりである]
で示されるモノヒドロペルフルオロアルカン、一般式[3]:
【化6】
[式中、RおよびRは前記のとおりである]
で示されるカルボニル化合物、およびNaHを有機溶媒中で反応させた後、当該反応液と一般式[6]:
Si-Cl [6]
[式中、R、R及びRは、前記のとおりである]
で示される化合物とを反応させることを特徴とする、一般式[1]で表される化合物の製造方法。
(3)
一般式[7]:
【化7】
[式中、Rは前記のとおりであり、Rは水素原子あるいは炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもある置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表わし、Mは元素周期律表におけるI族、II族、III族、IV族、V族、VI族、VII族、VIII族、IX族、X族、XI族、XII族、及びXIII族に属する金属あるいは無置換若しくは炭素数1から10のアルキル基を置換基として有しても良いアンモニウムであり、それらは単独であっても、複数の物質の混合物であっても良く、yはMであらわされる物質の酸化数に一致する]
であらわされる化合物の製造方法であって、
一般式[2]:
-H [2]
[式中、Rは前記のとおりである]
で示されるモノヒドロペルフルオロアルカンと、塩基およびホウ酸トリアルキルを有機溶媒中で反応させた後、当該反応液と一般式[8]:
【化8】
[式中、Rは前記のとおりである]
で示されるトリオールを反応させることを特徴とする、一般式[7]で表される化合物の製造方法。
(4)
使用する塩基がカリウムヘキサメチルジシラジドであることを特徴とする、(3)に記載の製造方法。
(5)
使用するホウ酸トリアルキルが、ホウ酸トリメチルであることを特徴とする、(3)または(4)に記載の製造方法
(6)
使用するトリオールが、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロパンジオールであることを特徴とする、(3)~(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)
一般式[9]:
-X [9]
[式中、Rは置換基を有しても良いアリール基あるいはヘテロアリール基を表わし、Xはフッ素、塩素、臭素あるいはヨウ素を表す]
で示される化合物と、一般式[1]:
【化9】
[式中、R、R、R、R、R及びRは前記のとおりである]
で示される化合物とを、銅触媒、窒素配位子及び金属フッ化物存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式[10]:
-R [10]
[式中、R、Rは前記のとおりである]
で示される芳香族ペルフルオロアルキル化合物の製造方法。
(8)
使用する銅触媒がヨウ化銅(I)であることを特徴とする、(7)に記載の製造方法。
(9)
使用する窒素配位子が9,10-フェナントロリンであることを特徴とする、(7)または(8)に記載の製造方法。
(10)
使用する金属フッ化物がフッ化セシウムであることを特徴とする、(7)~(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)
使用する化合物[1]の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.5~2当量であることを特徴とする、(7)~(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)
使用する銅触媒の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.01~0.99当量であることを特徴とする、(7)~(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13)
使用する窒素配位子の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.01~0.99当量であることを特徴とする、(7)~(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)
使用する金属フッ化物の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.1~5.0当量であることを特徴とする、(7)~(13)のいずれかに記載の製造方法。
(15)
一般式[9]:
-X [9]
[式中、R、Xは前記のとおりである]
で示される化合物と、一般式 [7]:
【化10】
[式中、R、R、My+は前記のとおりである]
で示される化合物とを、銅触媒及び窒素配位子存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式[10]:
-R [10]
[式中、R、Rは前記のとおりである]
で示される芳香族ペルフルオロアルキル化合物の製造方法。
(16)
使用する銅触媒がヨウ化銅(I)であることを特徴とする、(15)に記載の製造方法。
(17)
使用する窒素配位子が9,10-フェナントロリンであることを特徴とする、(15)または(16)に記載の製造方法。
(18)
使用する化合物[7]の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.5~2当量であることを特徴とする、(15)~(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)
使用する銅触媒の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.01~0.99当量であることを特徴とする、(15)~(18)のいずれかに記載の製造方法。
(20)
使用する窒素配位子の使用量が、一般式[9]で示される化合物の0.01~0.99当量であることを特徴とする、(15)~(19)のいずれかに記載の製造方法。
(21)
使用する有機溶媒がジグライム、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)およびジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、(1)~(20)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、トリフルオロメタンやペンタフルオロエタンに代表されるモノヒドロペルフルオロアルカンを出発原料とした、有機電子材料、医薬、農薬及び高分子機能材料等の重要な中間体となる芳香族ペルフルオロアルキル化合物を合成する際に必要なペルフルオロアルキル化剤の簡便な製造方法を提供することが可能になった。モノヒドロペルフルオロアルカンの中でも、特にトリフルオロメタンは産出量が多くかつ地球温暖化効果の高いガスであるために、その処理方法、廃棄方法が課題として挙げられている。本発明では、地球温暖化効果の高いトリフルオロメタンの有効活用法と同時に、その処理方法を併せて提供することが可能であるために、経済面及び環境面で実利貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、一般式[2]で表されるモノヒロドペルフルオロアルカンの中でも、特に工業的に大量に産出されるトリフルオロメタンを出発原料に、有機電子材料、医薬、農薬及び高分子機能材料等の重要な中間体となる芳香族ペルフルオロアルキル化合物を合成するためのペルフルオロアルキル化剤として使用できる、一般式[1]または[7]で示される化合物の簡便な製造方法、及びそれらを用いて一般式[10]で示される芳香族ペルフルオロアルキル化合物を提供するものである。
【0022】
本発明の範囲は、これらの説明に限定されることなく、以下の表記以外にも本発明の趣旨を外れない範囲で適宜修正して実施することができる。
【0023】
(作用)
従来の方法ではトリフルオロメタンの活性化にはターシャリーブトキシカリウム(t-BuOK)などの高価な塩基が必要であったのに対し、本発明では水酸化カリウムといった安価な塩基を使用できることが特徴である。トリフルオロメタンを水酸化カリウム存在下、ベンゾフェノンと反応させることで得られるトリフルオロメチルカルビノールを単離した後、シリル化剤を作用させてシリル化トリフルオロメチルカルビノールに誘導する手法を新たに開発した。
【0024】
しかし、この反応においては水酸化カリウムを塩基として使用するために、汎用性の高いシリル化剤であるクロロトリメチルシランを使用できず、反応を一段階で完了させるこ
とができない。クロロトリメチルシランは水酸化カリウムが存在すると直ちに分解してしまうことが原因である。
【0025】
そこで、前記の反応を一段階で行うプロセスについても新規に開発した。すなわち、塩基をクロロトリメチルシランと反応しない水素化ナトリウムに変更し、トリフルオロメタン存在下でベンゾフェノンを作用させた後、トリフルオロメチルカルビノールを単離することなくワンポットでクロロトリメチルシランを反応させることにより、汎用性の高いクロロトリメチルシランが使用可能になったことに加え、一段階でシリル化トリフルオロメチルカルビノールを合成することに成功した。
【0026】
本発明で得られたシリル化トリフルオロメチルカルビノールは、触媒的芳香族トリフルオロメチル化反応により、収率よく芳香族トリフルオロメチル化合物が得られることを確認した。さらに、副生するベンゾフェノンを回収し、再度トリフルオロメチル化剤の合成に使用することができることを確認した。
【0027】
トリフルオロメチルトリオールボレートカリウムの従来の合成法において、安価なトリフルオロメタンからの一段階合成法については報告がこれまでになされていない。
【0028】
塩基としてn-ブチルリチウムを使用すると中間体のトリフルオロメチルトリメトキシボレート塩の収率が低下するため、プロトン引き抜きの選択性が高いカリウムヘキサメチルジシラジドを用い、ホウ酸トリメチルを作用させることでトリフルオロメチルトリメチルボレートカリウムを効率よく得ることができた。しかしながらトリフルオロメチルトリメトキシボレート塩は不安定なため、単離することができない。そこで本発明者は、トリフルオロメチルトリメトキシボレート塩を単離することなくワンポットでトリオールと反応させることで、一段階でトリフルオロメチルトリオールボレートカリウムを得るプロセスの開発に成功した。具体的にはトリフルオロメタンとカリウムヘキサメチルジシラジドとホウ酸トリメチルを反応させた後、トリオールを反応混合物中に加えることで、ワンポットで目的のトリフルオロメチルトリオールボレートカリウムを得る新規プロセスの開発に成功した。
【0029】
本発明の合成経路で得られたトリフルオロメチルトリオールボレートカリウムを用いた触媒的芳香族トリフルオロメチル化反応においては、収率よく芳香族トリフルオロメチル化合物が得られることを確認した。さらに、本発明においては、従来の手法よりも触媒の量を低減、すなわち0.2モル当量から、0.1モル当量に低減できることを新たに見出した。
【0030】
(反応材料の説明)
以下、具体的な反応について述べる。
[一般式[1]で示されるシリル化ペルフルオロアルキルカルビノール]
本発明の一般式[1]で示されるシリル化ペルフルオロアルキルカルビノールは、特に限定されず、Rで表される置換基としては炭素数1~2の直鎖あるいは3~26、特に炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもあるアルキル基であり、炭素上の水素が全てフッ素で置換されたペルフルオロアルキル基を表し、具体的にはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ペンタフルオロシクロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロイソブチル基、ノナフルオロターシャリーブチル基、ヘプタフルオロシクロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、ノナフルオロシクロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ウンデカフルオロシクロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、トリデカフルオロシクロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ペンタデカシクロオクチル基、ノナデカフルオロノニル基、ヘプタデカフルオロシクロノニル基、ヘンイコサフルオロ
デセニル基、ノナデカフルオロシクロデセニル基などを表す。
、Rで表される置換基としては、水素原子の他に、炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~26、特に炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもあるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基またはアルキニル基をあらわし、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ナフタセニル基、ペンタセニル基、ヘキサセニル基、コロニル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、プレニル基、プロパギル基などであり、それらの炭素原子上には水素原子以外の原子、例えば窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が置換された状態でも良い。
【0031】
また、RとRが一体となって炭素数3~26、特に炭素数3~10の脂肪族環又は複素環を形成しても良く、具体的には、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、3-ピロリジノン、N-メチル-3-ピロリジノン、N-エチル-3-ピロリジノン、N-プロピル-3-ピロリジノン、N-イソプロピル-3-ピロリジノン、N-ブチル-3-ピロリジノン、N-イソブチル-3-ピロリジノン、N-ターシャリーブチル-3-ピロリジノン、N-ペンチル-3-ピロリジノン、N-ヘキシル-3-ピロリジノン、N-ヘプチル-3-ピロリジノン、N-オクチル-3-ピロリジノン、N-ノニル-3-ピロリジノン、N-デシル-3-ピロリジノン、N-シクロプロピル-3-ピロリジノン、N-シクロブチル-3-ピロリジノン、N-シクロペンチル-3-ピロリジノン、N-シクロヘキシル-3-ピロリジノン、N-シクロヘプチル-3-ピロリジノン、N-シクロオクチル-3-ピロリジノン、N-シクロノニル-3-ピロリジノン、N-シクロデシル-3-ピロリジノン、N-フェニル-3-ピロリジノン、N-ナフチル-3-ピロリジノン、N-アントラニル-3-ピロリジノン、N-ナフタセニル-3-ピロリジノン、N-ペンタセニル-3-ピロリジノン、N-ヘキサセニル-3-ピロリジノン、N-コロニル-3-ピロリジノン、N-ピロリル-3-ピロリジノン、N-フリル-3-ピロリジノン、N-チエニル-3-ピロリジノン、N-ピリジル-3-ピロリジノン、N-ピリミジル-3-ピロリジノン、N-ピラジル-3-ピロリジノン、N-ピリダジル-3-ピロリジノン、N-ピラゾリル-3-ピロリジノン、N-イミダゾリル-3-ピロリジノン、N-オキサゾリル-3-ピロリジノン、N-チアゾリル-3-ピロリジノン、N-インドリル-3-ピロリジノン、N-ベンゾフリル-3-ピロリジノン、N-ベンゾチエニル-3-ピロリジノン、N-キノリル-3-ピロリジノン、N-イソキノリル-3-ピロリジノン、N-キノキサリル-3-ピロリジノン、N-フタラジル-3-ピロリジノン、N-キナゾリル-3-ピロリジノン、N-ナフチリジル-3-ピロリジノン、N-シンノリル-3-ピロリジノン、N-ベンゾイミダゾリル-3-ピロリジノン、N-ベンゾオキサゾリル-3-ピロリジノン、N-ベンゾチアゾリル-3-ピロリジノン、N-ベンジル-3-ピロリジノン、N-フェネチル-3-ピロリジノン、N-ビニル-3-ピロリジノン、N-アリル-3-ピロリジノン、N-プレニル-3-ピロリジノン、N-プロパギル-3-ピロリジノン、4,5-ジヒドロ-3(2H)-フラノン、4,5-ジヒドロ-3(2H)-チオフェノン、3-ピペリジノン、N-メチル-3-ピペリジノン、N-エチル-3-ピペリジノン、N-プロピル-3-ピペリジノン、N-イソプロピル-3-ピペリジノン、N-ブチル-3-ピペリジノン、N-イソブチル-3-ピペリジノン、N
-ターシャリーブチル-3-ピペリジノン、N-ペンチル-3-ピペリジノン、N-ヘキシル-3-ピペリジノン、N-ヘプチル-3-ピペリジノン、N-オクチル-3-ピペリジノン、N-ノニル-3-ピペリジノン、N-デシル-3-ピペリジノン、N-シクロプロピル-3-ピペリジノン、N-シクロブチル-3-ピペリジノン、N-シクロペンチル-3-ピペリジノン、N-シクロヘキシル-3-ピペリジノン、N-シクロヘプチル-3-ピペリジノン、N-シクロオクチル-3-ピペリジノン、N-シクロノニル-3-ピペリジノン、N-シクロデシル-3-ピペリジノン、N-フェニル-3-ピペリジノン、N-ナフチル-3-ピペリジノン、N-アントラニル-3-ピペリジノン、N-ナフタセニル-3-ピペリジノン、N-ペンタセニル-3-ピペリジノン、N-ヘキサセニル-3-ピペリジノン、N-コロニル-3-ピペリジノン、N-ピロリル-3-ピペリジノン、N-フリル-3-ピペリジノン、N-チエニル-3-ピペリジノン、N-ピリジル-3-ピペリジノン、N-ピリミジル-3-ピペリジノン、N-ピラジル-3-ピペリジノン、N-ピリダジル-3-ピペリジノン、N-ピラゾリル-3-ピペリジノン、N-イミダゾリル-3-ピペリジノン、N-オキサゾリル-3-ピペリジノン、N-チアゾリル-3-ピペリジノン、N-インドリル-3-ピペリジノン、N-ベンゾフリル-3-ピペリジノン、N-ベンゾチエニル-3-ピペリジノン、N-キノリル-3-ピペリジノン、N-イソキノリル-3-ピペリジノン、N-キノキサリル-3-ピペリジノン、N-フタラジル-3-ピペリジノン、N-キナゾリル-3-ピペリジノン、N-ナフチリジル-3-ピペリジノン、N-シンノリル-3-ピペリジノン、N-ベンゾイミダゾリル-3-ピペリジノン、N-ベンゾオキサゾリル-3-ピペリジノン、N-ベンゾチアゾリル-3-ピペリジノン、N-ビニル-3-ピペリジノン、N-アリル-3-ピペリジノン、N-プレニル-3-ピペリジノン、N-プロパギル-3-ピペリジノン、ジヒドロ-2H-ピラン-3(4H)-オン、ジヒドロ-2H-チオピラン-3(4H)-オン、4-ピペリジノン、N-メチル-4-ピペリジノン、N-エチル-4-ピペリジノン、N-プロピル-4-ピペリジノン、N-イソプロピル-4-ピペリジノン、N-ブチル-4-ピペリジノン、N-イソブチル-4-ピペリジノン、N-ターシャリーブチル-4-ピペリジノン、N-ペンチル-4-ピペリジノン、N-ヘキシル-4-ピペリジノン、N-ヘプチル-4-ピペリジノン、N-オクチル-4-ピペリジノン、N-ノニル-4-ピペリジノン、N-デシル-4-ピペリジノン、N-シクロプロピル-4-ピペリジノン、N-シクロブチル-4-ピペリジノン、N-シクロペンチル-4-ピペリジノン、N-シクロヘキシル-4-ピペリジノン、N-シクロヘプチル-4-ピペリジノン、N-シクロオクチル-4-ピペリジノン、N-シクロノニル-4-ピペリジノン、N-シクロデシル-4-ピペリジノン、N-フェニル-4-ピペリジノン、N-ナフチル-4-ピペリジノン、N-アントラニル-4-ピペリジノン、N-ナフタセニル-4-ピペリジノン、N-ペンタセニル-4-ピペリジノン、N-ヘキサセニル-4-ピペリジノン、N-コロニル-4-ピペリジノン、N-ピロリル-4-ピペリジノン、N-フリル-4-ピペリジノン、N-チエニル-4-ピペリジノン、N-ピリジル-4-ピペリジノン、N-ピリミジル-4-ピペリジノン、N-ピラジル-4-ピペリジノン、N-ピリダジル-4-ピペリジノン、N-ピラゾリル-4-ピペリジノン、N-イミダゾリル-4-ピペリジノン、N-オキサゾリル-4-ピペリジノン、N-チアゾリル-4-ピペリジノン、N-インドリル-4-ピペリジノン、N-ベンゾフリル-4-ピペリジノン、N-ベンゾチエニル-4-ピペリジノン、N-キノリル-4-ピペリジノン、N-イソキノリル-4-ピペリジノン、N-キノキサリル-4-ピペリジノン、N-フタラジル-4-ピペリジノン、N-キナゾリル-4-ピペリジノン、N-ナフチリジル-4-ピペリジノン、N-シンノリル-4-ピペリジノン、N-ベンゾイミダゾリル-4-ピペリジノンN-ベンゾオキサゾリル-4-ピペリジノン、N-ベンゾチアゾリル-4-ピペリジノンN-ベンジル-4-ピペリジノン、N-フェネチル-4-ピペリジノン、N-ビニル-4-ピペリジノン、N-アリル-4-ピペリジノン、N-プレニル-4-ピペリジノン、N-プロパギル-4-ピペリジノン、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン、テトラヒドロ-4H-チオピラン-4-オン、などが挙げられる。
【0032】
前記脂肪族環又は複素環を構成する炭素原子上には、置換基として水素原子以外の原子、例えば窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を含む基が存在しても良く、具体的には、4-アミノシクロヘキサノン、4-(メチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(エチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(プロピルアミノ)シクロヘキサノン、4-(イソプロピルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ブチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(イソブチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ターシャリーブチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ペンチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ヘキシルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ヘプチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(オクチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ノニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(デシルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロプロピルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロブチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロペンチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロヘキシルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロヘプチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロオクチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロノニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロデシルアミノ)シクロヘキサノン、4-(フェニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ナフチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(アントラニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ナフタセニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ペンタセニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ヘキサセニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(コロニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ピロリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(フリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(チエニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ピリジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ピリミジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ピラジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ピリダジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ピラゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(イミダゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(オキサゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(チアゾリルアミノアミノ)シクロヘキサノン、4-(インドリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾフリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾチエニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(キノリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(イソキノリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(キノキサリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(フタラジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(キナゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ナフチリジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シンノリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾイミダゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾオキサゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾチアゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ベンジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(フェネチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ビニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(アリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(プレニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(プロパギルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジメチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジエチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジプロピルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジイソプロピルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジブチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジイソブチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ターシャリーブチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジペンチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジヘキシルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジヘプチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジオクチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジノニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジデシルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジシクロプロピルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジシクロブチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジシクロペンチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジシクロヘキシルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジシクロヘプチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジシクロオクチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジシクロノニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(シクロデシルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジフェニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジナフチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジアントラニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジナフタセニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジペンタセニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジヘキサセニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジコロニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジ
ピロリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジフリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジチエニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジピリジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジピリミジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジピラジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジピリダジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジピラゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジイミダゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジオキサゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジチアゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジインドリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジベンゾフリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジベンゾチエニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジキノリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジイソキノリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジキノキサリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジフタラジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジキナゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジナフチリジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジシンノリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジベンゾイミダゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジベンゾオキサゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジベンゾチアゾリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジフェネチルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジビニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジアリルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジプレニルアミノ)シクロヘキサノン、4-(ジプロパギルアミノ)シクロヘキサノン、4-ヒドロキシシクロヘキサノン、4-(メトキシ)シクロヘキサノン、4-(エトキシ)シクロヘキサノン、4-(プロポキシ)シクロヘキサノン、4-(イソプロポキシ)シクロヘキサノン、4-(ブトキシ)シクロヘキサノン、4-(イソブトキシ)シクロヘキサノン、4-(ターシャリーブトキシ)シクロヘキサノン、4-(ペンチルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ヘキシルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ヘプチルオキシ)シクロヘキサノン、4-(オクチルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ノニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(デシルオキシ)シクロヘキサノン、4-(シクロプロポキシ)シクロヘキサノン、4-(シクロブトキシ)シクロヘキサノン、4-(シクロペンチルオキシ)シクロヘキサノン、4-(シクロヘキシルオキシ)シクロヘキサノン、4-(シクロヘプチルオキシ)シクロヘキサノン、4-(シクロオクチルオキシ)シクロヘキサノン、4-(シクロノニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(シクロデシルオキシ)シクロヘキサノン、4-(フェノキシ)シクロヘキサノン、4-(ナフトキシ)シクロヘキサノン、4-(アントラセニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ナフタセニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ペンタセニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ヘキサセニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(コロニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ピロリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(フリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(チエニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ピリジルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ピリミジルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ピラジルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ピリダジルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ピラゾリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(イミダゾリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(オキサゾリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(チアゾリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(インドリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾフリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾチエニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(キノリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(イソキノリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(キノキサリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(フタラジルオキシ)シクロヘキサノン、4-(キナゾリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ナフチリジルオキシ)シクロヘキサノン、4-(シンノリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾイミダゾリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾオキサゾリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾチアゾリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ベンジルオキシ)シクロヘキサノン、4-(フェネチルオキシ)シクロヘキサノン、4-(ビニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(アリルオキシ)シクロヘキサノン、4-(プレニルオキシ)シクロヘキサノン、4-(プロパギルオキシ)シクロヘキサノン、4-メルカプトシクロヘキサノン、4-(メチルチオ)シクロヘキサノン、4-(エチルチオ)シクロヘキサノン、4-(プロピルチオ)シクロヘキサノン、4-(イソプロピルチオ)シクロヘキサノン、4-(ブチルチオ)シクロヘキサノン、4-(イソ
ブチルチオ)シクロヘキサノン、4-(ターシャリーブチルチオ)シクロヘキサノン、4-(ペンチルチオ)シクロヘキサノン、4-(ヘキシルチオ)シクロヘキサノン、4-(ヘプチルチオ)シクロヘキサノン、4-(オクチルチオ)シクロヘキサノン、4-(ノニルチオ)シクロヘキサノン、4-(デシルチオ)シクロヘキサノン、4-(シクロプロピルチオ)シクロヘキサノン、4-(シクロブチルチオ)シクロヘキサノン、4-(シクロペンチルチオ)シクロヘキサノン、4-(シクロヘキシルチオ)シクロヘキサノン、4-(シクロヘプチルチオ)シクロヘキサノン、4-(シクロオクチルチオ)シクロヘキサノン、4-(シクロノニルチオ)シクロヘキサノン、4-(シクロデシルチオ)シクロヘキサノン、4-(フェニルチオ)シクロヘキサノン、4-(ナフチルチオ)シクロヘキサノン、4-(アントラニルチオ)シクロヘキサノン、4-(ナフタセニルチオ)シクロヘキサノン、4-(ペンタセニルチオ)シクロヘキサノン、4-(ヘキサセニルチオ)シクロヘキサノン、4-(コロニルチオ)シクロヘキサノン、4-(ピロリルチオ)シクロヘキサノン、4-(フリルチオ)シクロヘキサノン、4-(チエニルチオ)シクロヘキサノン、4-(ピリジルチオ)シクロヘキサノン、4-(ピリミジルチオ)シクロヘキサノン、4-(ピラジルチオ)シクロヘキサノン、4-(ピリダジルチオ)シクロヘキサノン、4-(ピラゾリルチオ)シクロヘキサノン、4-(イミダゾリルチオ)シクロヘキサノン、4-(オキサゾリルチオ)シクロヘキサノン、4-(チアゾリルチオ)シクロヘキサノン、4-(インドリルチオ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾフリルチオ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾチエニルチオ)シクロヘキサノン、4-(キノリルチオ)シクロヘキサノン、4-(イソキノリルチオ)シクロヘキサノン、4-(キノキサリルチオ)シクロヘキサノン、4-(フタラジルチオ)シクロヘキサノン、4-(キナゾリルチオ)シクロヘキサノン、4-(ナフチリジルチオ)シクロヘキサノン、4-(シンノリルチオ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾイミダゾリルチオ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾオキサゾリルチオ)シクロヘキサノン、4-(ベンゾチアゾリルチオ)シクロヘキサノン、4-(ベンジルチオ)シクロヘキサノン、4-(フェネチルチオ)シクロヘキサノン、4-(ビニルチオ)シクロヘキサノン、4-(アリルチオ)シクロヘキサノン、4-(プレニルチオ)シクロヘキサノン、4-(プロパギルチオ)シクロヘキサノン、4-フルオロシクロヘキサノン、4-クロロシクロヘキサノン、4-ブロモシクロヘキサノン、4-ヨードシクロヘキサノン、などが挙げられる。
【0033】
、R、Rで表される置換基としては、炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~26、特に炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもあるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基またはアルキニル基をあらわし、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ナフタセニル基、ペンタセニル基、ヘキサセニル基、コロニル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、プレニル基、プロパギル基などであり、それらの炭素原子上には水素原子以外の原子、例えば窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が置換された状態でも良い。
【0034】
[一般式[2]で示されるモノヒドロペルフルオロアルカン]
本発明における一般式[2]で示されるモノヒドロペルフルオロアルカンは、特に限定されず、一般式[1]のRと同じ置換基Rを持つ、対応するモノヒドロペルフルオロ
アルカンである。例えば、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、1H-ヘプタフルオロプロパン、2H-ヘプタフルオロプロパン、などが挙げられる。
【0035】
[一般式[3]で示されるカルボニル化合物]
本発明における一般式[3]で示されるカルボニルは、それぞれ一般式[1]のR、Rと同じ置換基R、Rを持つ、対応するカルボニル化合物である。例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ウンデカン-2-オン、4’-メトキシアセトフェノン、3’-メトキシアセトフェノン、2’-メトキシアセトフェノン、4’-ジメチルアミノアセトフェノン、4’-アセトアミドアセトフェノン、4’-フルオロアセトフェノン、4’-クロロアセトフェノン、3’-ブロモアセトフェノンなどが挙げられる。
【0036】
[一般式[4]で示されるペルフルオロアルキルカルビノール]
本発明における一般式[4]で示されるペルフルオロアルキルカルビノールは、それぞれ一般式[1]のR、R、Rと同じ置換基R、R、Rを持つ、対応するペルフルオロアルキルカルビノールである。
【0037】
[一般式[5]で示されるシリルイミダゾール化合物]
本発明における一般式[5]で示されるシリルイミダゾール化合物は、特に限定されず、一般式[1]のR、R、Rと同じ置換基R、R、Rを持つ、対応するシリルイミダゾール化合物である。例えば、トリメチルシリルイミダゾール、トリエチルシリルイミダゾール、トリプロピルシリルイミダゾールなどが挙げられる。
【0038】
[一般式[6]で示されるクロロシラン化合物]
本発明における一般式[6]で示されるクロロシラン化合物は、特に限定されず、一般式[1]のR、R、Rと同じ置換基R、R、Rを持つ、対応するクロロシラン化合物である。例えば、トリメチルシリルクロロシラン、トリエチルシリルクロロシラン、ターシャリーブチルジメチルクロロシランなどが挙げられる。
【0039】
[一般式[7]で示されるペルフルオロアルキルトリオールボレートカリウム]
本発明の一般式[7]で示されるペルフルオロアルキルトリオールボレートカリウムは、特に限定されず、一般式[1]のRと同じ置換基Rを表し、Rで表される置換基としては、水素原子の他に、炭素数1~2の直鎖あるいは炭素数3~26、特に炭素数3~10の直鎖、分岐あるいは環状構造を有することもあるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基またはアルキニル基をあらわし、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ナフタセニル基、ペンタセニル基、ヘキサセニル基、コロニル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、プレニル基、プロパギル基などであり、それらの炭素原子上には水素原子以外の原子、例えば窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が置換された状態でも良い。
【0040】
Mは元素周期律表におけるI族、II族、III族、IV族、V族、VI族、VII族、VIII族、IX族、X族、XI族、XII族、及びXIII族に属する金属あるいは
無置換若しくは炭素数1から10のアルキル基を置換基として有しても良いアンモニウムであり、それらは単独であっても、複数の物質の混合物であっても良く、yはMであらわされる物質の酸化数に一致する。
【0041】
[一般式[8]で示されるトリオール化合物]
本発明における一般式[8]で示されるトリオール化合物は、特に限定されず、一般式[7]のRと同じ置換基Rを持つ、対応するトリオール化合物である。例えば、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。
【0042】
[一般式[9]で示される芳香族ハロゲン化物]
本発明における一般式[9]で示される芳香族ハロゲン化物は、特に限定されず、Rで表される置換基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ナフタセニル基、ペンタセニル基、ヘキサセニル基、コロニル基などであり、それらの炭素原子上には水素原子以外の原子、例えば窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が置換された状態でも良い芳香族基を表わす。あるいは、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基などであり、それらの炭素原子上には水素原子以外の原子、例えば窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が置換された状態でも良い複素環を表わし、Xはフッ素、塩素、臭素あるいはヨウ素を表す。例えば、4-ニトロヨードベンゼン、4-メトキシヨードベンゼンなどが挙げられる。
【0043】
[一般式[10]で示される芳香族ペルフルオロアルキル化合物]
本発明における一般式[10]で示される芳香族ペルフルオロアルキル化合物は、特に限定されず、一般式[1]のRと同じ置換基R、および一般式[9]のRと同じ置換基Rを表す。例えば、4-ニトロ(トリフルオロメチル)ベンゼン、4-ニトロ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン、4-メトキシ(トリフルオロメチル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0044】
(反応条件)
次に、本発明における反応方法について詳細に説明する。
まず初めに、一般式[1]のシリル化ペルフルオロアルキルカルビノールの合成法について述べる。
【0045】
合成法は二段階で行う方法と、一段階で行う方法に分別される。
二段階で行う方法は、モノヒドロペルフルオロアルカンとカルボニル化合物を水酸化カリウム存在下反応させることで得られるペルフルオロアルキルカルビノールを一旦単離した後、シリル化剤を用いてシリル化することによって達成される。一方、一段階で行う方法は、モノヒドロペルフルオロアルカンとカルボニル化合物を水素化ナトリウム存在下反応させた後、中間体を単離せず、反応混合物の状態でクロロシランを作用させることによって達成される。
【0046】
二段階で行う方法の詳細は以下のとおりである。
本発明において使用する反応容器の材質は、ガラス、ポリエチレン及びポリプロピレン等のプラスチック、テフロン及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂、ステンレススチール、ハステロイ、及びインコネルといった金属が使用できるが、その中でもガラスが好ましい。
【0047】
反応を行う際は、不活性ガス気流下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、乾燥空気、ヘリウム、アルゴン、窒素等があげられるが、好ましくは窒素である。
【0048】
反応温度は-40℃から200℃の範囲で行うことが出来るが、好ましくは0℃から60℃である。反応時間は1時間から100時間の間で行なうことが出来るが、好ましくは6時間から24時間である。
【0049】
モノヒドロペルフルオロアルカンの使用量は、カルボニル化合物に対して0.1モル当量から100モル当量程度、好ましくは1モル当量から10モル当量である。
【0050】
反応圧力は、大気圧以下(1.0×10-7MPa~0.09MPa)、常圧(約0.1MPa)あるいは加圧状態(0.11~4.87MPa)の範囲で反応を行うことが出来るが、ガラス製反応器を用いて反応を行う場合は、好ましくは1.0×10-7MPaから0.11MPaであり、より好ましくは0.01MPaから0.11MPaである。一方、オートクレーブのような金属製反応器を用いて反応を行う場合は、好ましくは0.09×10-7MPaから4.87MPaであり、より好ましくは0.2MPaから1MPaである。
【0051】
モノヒドロペルフルオロアルカンの導入法については、モノヒドロペルフルオロアルカンがトリフルオロメタンである場合について説明するが、標準状態でガス状態であるその他のモノヒドロペルフルオロアルカンの場合も同様の手法を用いて反応に使用することができる。反応に使用する前に反応容器の内部を減圧状態とし、その後トリフルオロメタンを導入して反応容器内をトリフルオロメタン雰囲気においても良いが、窒素、ヘリウムあるいはアルゴン等の不活性ガスで反応容器内を置換した後で、トリフルオロメタンを導入して不活性ガスとのトリフルオロメタン混合ガスの状態で反応を行っても良い。この際、トリフルオロメタンは減圧弁を装着したボンベあるいはシリンダーから配管を通して直接反応器に導入する方法、トリフルオロメタンをあらかじめ充填させたサンプリングバックあるいはゴム風船から反応器に導入する方法が挙げられる。小スケールではゴム風船から反応器に導入する方法が好ましいが、工業的には配管を用いてトリフルオロメタンを反応器の中に導入する方がより好ましい。トリフルオロメタンと反応溶液との接触方式は、気-液界面において接触混合させる方法或いはコンデンサを使用してトリフルオロメタンを液化させて反応溶液に混合させる方法が挙げられるが、気-液界面において接触混合させる方法が好ましい。
【0052】
室温で液体あるいは固体であるモノヒドロペルフルオロアルカンは、通常の液体原料あるいは固体原料と同様な導入方法で反応に使用できる。
【0053】
カルボニル化合物は、反応に使用する前に蒸留といった精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0054】
塩基として使用する水酸化カリウムの量は、モノヒドロペルフルオロアルカンに対し、0.1モル当量から100モル当量程度、好ましくは1モル当量から20モル当量である。水和物を使用した場合や無水物であっても水分が吸着していることが想定される場合は、反応に使用する前に乾燥するなどして水分を除去するかあるいは反応系中に脱水剤、例えばモレキュラーシーブスを添加することが好ましいが、必ずしも完全に除く必要はない。水和数が5以下の水和物、あるいは無水和物であっても工業的に入手可能な状態において混入している程度の水分、すなわち水酸化物に対して5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下の水分は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。水酸化物は、フレーク状、粒状、粉状での使用が可能で
あるが、好ましくは粉状であり、反応に使用する前に粒状のものを粉砕して使用する方法がより好ましい。
【0055】
溶媒は非プロトン性極性溶媒が使用でき、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、フェニルアセトニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、ホルムアミド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1、3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-エポキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジメチルスルホキシド、スルホラン等などが使用出来るが、好ましくはジメチルホルムアミドであり、これらを組み合わせて使用することもできる。また、上述の非プロトン性極性溶媒と、非極性溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等とを組み合わせて使用することもできる。
【0056】
溶媒の量は、カルボニル化合物の1重量部に対して1~100重量部程度、好ましくは1~10重量部である。使用する溶媒は反応に使用する前に水分を除去するか、あるいは反応中に脱水剤、例えばモレキュラーシーブスを添加しても良いが、水分は必ずしも完全に除く必要はない。工業的に入手可能な状態において通常混入している程度、すなわち溶媒に対して5重量%以下、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%以下の水分は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0057】
反応後は、通常の有機化学的処法に基づいた精製処理を施すことで、ペルフルオロアルキルカルビノールを得ることが出来る。
【0058】
引き続き、単離したカルビノールのシリル化について述べる。
【0059】
シリル化反応の際に使用する反応容器の材質は、ガラス、ポリエチレン及びポリプロピレン等のプラスチック、テフロン及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂、ステンレススチール、ハステロイ、及びインコネルといった金属が使用できるが、その中でもガラスが好ましい。
【0060】
反応を行う際は、不活性ガス気流下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、乾燥空気、ヘリウム、アルゴン、窒素等があげられるが、好ましくは窒素である。
反応温度は-40℃から200℃の範囲で行うことが出来るが、好ましくは0℃である。反応時間は1時間から100時間の間で行なうことが出来るが、好ましくは3時間から6時間である。
【0061】
シリル化剤としてシリルイミダゾールを反応させる。シリルイミダゾールの量は、ペルフルオロアルキルカルビノールに対して1~100当量程度、好ましくは1~10当量である。
【0062】
シリルイミダゾールは、反応に使用する前に蒸留といった精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0063】
溶媒は非プロトン性極性溶媒が使用でき、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、フェニルアセトニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、ホルムアミド、N-メチルピロリ
ドン、N,N-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1、3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-エポキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジメチルスルホキシド、スルホラン等などが使用出来るが、好ましくはテトラヒドロフランであり、これらを組み合わせて使用することもできる。また、上述の非プロトン性極性溶媒と、非極性溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等とを組み合わせて使用することもできる。
【0064】
溶媒の量は、ペルフルオロアルキルカルビノールの1重量部に対して1~100重量部程度、好ましくは1~10重量部である。使用する溶媒は反応に使用する前に水分を除去するか、あるいは反応中に脱水剤、例えばモレキュラーシーブスを添加しても良いが、水分は必ずしも完全に除く必要はない。工業的に入手可能な状態において通常混入している程度、すなわち溶媒に対して5重量%以下、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%以下の水分は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0065】
反応後は、通常の有機化学的処法に基づいた精製処理を施すことで、シリル化ペルフルオロアルキルカルビノールを得ることが出来る。
【0066】
一段階で行う方法の詳細については、以下の通りである。
本発明において使用する反応容器の材質は、ガラス、ポリエチレン及びポリプロピレン等のプラスチック、テフロン及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂、ステンレススチール、ハステロイ、及びインコネルといった金属が使用できるが、その中でもガラスが好ましい。
【0067】
反応を行う際は、不活性ガス気流下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、乾燥空気、ヘリウム、アルゴン、窒素等があげられるが、好ましくは窒素である。
【0068】
反応温度は-40℃から200℃の範囲で行うことが出来るが、好ましくは0℃から60℃である。反応時間は1時間から100時間の間で行なうことが出来るが、好ましくは6時間から24時間である。
【0069】
モノヒドロペルフルオロアルカンの使用量は、カルボニル化合物に対して0.1モル当量から100モル当量程度、好ましくは1モル当量から10モル当量である。
【0070】
反応圧力は、大気圧以下(1.0×10-7MPa~0.09MPa)、常圧(約0.1MPa)あるいは加圧状態(0.11~4.87MPa)の範囲で反応を行うことが出来るが、ガラス製反応器を用いて反応を行う場合は、好ましくは1.0×10-7MPaから0.11MPaであり、より好ましくは0.01MPaから0.11MPaである。一方、オートクレーブのような金属製反応器を用いて反応を行う場合は、好ましくは0.09×10-7MPaから4.87MPaであり、より好ましくは0.2MPaから1MPaである。
【0071】
モノヒドロペルフルオロアルカンの導入法については、モノヒドロペルフルオロアルカンがトリフルオロメタンである場合について説明するが、標準状態でガス状態であるその他のモノヒドロペルフルオロアルカンの場合も同様の手法を用いて反応に使用することができる。反応に使用する前に反応容器の内部を減圧状態とし、その後トリフルオロメタンを導入して反応容器内をトリフルオロメタン雰囲気においても良いが、窒素、ヘリウムあ
るいはアルゴン等の不活性ガスで反応容器内を置換した後で、トリフルオロメタンを導入して不活性ガスとのトリフルオロメタン混合ガスの状態で反応を行っても良い。この際、トリフルオロメタンは減圧弁を装着したボンベあるいはシリンダーから配管を通して直接反応器に導入する方法、トリフルオロメタンをあらかじめ充填させたサンプリングバックあるいはゴム風船から反応器に導入する方法が挙げられる。小スケールではゴム風船から反応器に導入する方法が好ましいが、工業的には配管を用いてトリフルオロメタンを反応器の中に導入する方がより好ましい。トリフルオロメタンと反応溶液との接触方式は、気-液界面において接触混合させる方法或いはコンデンサを使用してトリフルオロメタンを液化させて反応溶液に混合させる方法が挙げられるが、気-液界面において接触混合させる方法が好ましい。
【0072】
室温で液体あるいは固体であるモノヒドロペルフルオロアルカンは、通常の液体原料あるいは固体原料と同様な導入方法で反応に使用できる。
【0073】
カルボニル化合物は、反応に使用する前に蒸留といった精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0074】
塩基として使用する水素化ナトリウムの量は、モノヒドロペルフルオロアルカンに対し、0.1モル当量から100モル当量程度、好ましくは1モル当量から20モル当量である。水素化ナトリウムは、オイルを含有して安定化させているものをそのまま用いることができる。
【0075】
溶媒は非プロトン性極性溶媒が使用でき、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、フェニルアセトニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、ホルムアミド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1、3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-エポキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジメチルスルホキシド、スルホラン等などが使用出来るが、好ましくはジメチルホルムアミドであり、これらを組み合わせて使用することもできる。また、上述の非プロトン性極性溶媒と、非極性溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等とを組み合わせて使用することもできる。
【0076】
溶媒の量は、カルボニル化合物の1重量部に対して1~100重量部程度、好ましくは1~10重量部である。使用する溶媒は反応に使用する前に水分を除去するか、あるいは反応中に脱水剤、例えばモレキュラーシーブスを添加しても良いが、水分は必ずしも完全に除く必要はない。工業的に入手可能な状態において通常混入している程度、すなわち溶媒に対して5重量%以下、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%以下の水分は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0077】
所定時間反応させた後クロロシランを加える。クロロシランの量は、カルボニル化合物に対して1~100モル当量程度、好ましくは1~10当量である。
【0078】
クロロシランは、反応に使用する前に蒸留といった精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0079】
反応後は、通常の有機化学的処法に基づいた精製処理を施すことで、シリル化ペルフルオロアルキルカルビノールを得ることが出来る。
【0080】
次に、ペルフルオロアルキルトリオールボレートカリウムの合成について述べる。
本発明において使用する反応容器の材質は、ガラス、ポリエチレン及びポリプロピレン等のプラスチック、テフロン及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂、ステンレススチール、ハステロイ、及びインコネルといった金属が使用できるが、その中でもガラスが好ましい。
【0081】
反応を行う際は、不活性ガス気流下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、乾燥空気、ヘリウム、アルゴン、窒素等があげられるが、好ましくは窒素である。
【0082】
反応温度は-40℃から200℃の範囲で行うことが出来るが、好ましくは0℃から60℃である。反応時間は1時間から100時間の間で行なうことが出来るが、好ましくは6時間から24時間である。
【0083】
モノヒドロペルフルオロアルカンの使用量は、ホウ酸トリメチルに対して0.1モル当量から100モル当量程度、好ましくは1モル当量から10モル当量である。
【0084】
反応圧力は、大気圧以下(1.0×10-7MPa~0.09MPa)、常圧(約0.1MPa)あるいは加圧状態(0.11~4.87MPa)の範囲で反応を行うことが出来るが、ガラス製反応器を用いて反応を行う場合は、好ましくは1.0×10-7MPaから0.11MPaであり、より好ましくは0.01MPaから0.11MPaである。一方、オートクレーブのような金属製反応器を用いて反応を行う場合は、好ましくは0.09×10-7MPaから4.87MPaであり、より好ましくは0.2MPaから1MPaである。
【0085】
モノヒドロペルフルオロアルカンの導入法については、モノヒドロペルフルオロアルカンがトリフルオロメタンである場合について説明するが、標準状態でガス状態であるその他のモノヒドロペルフルオロアルカンの場合も同様の手法を用いて反応に使用することができる。反応に使用する前に反応容器の内部を減圧状態とし、その後トリフルオロメタンを導入して反応容器内をトリフルオロメタン雰囲気においても良いが、窒素、ヘリウムあるいはアルゴン等の不活性ガスで反応容器内を置換した後で、トリフルオロメタンを導入して不活性ガスとのトリフルオロメタン混合ガスの状態で反応を行っても良い。この際、トリフルオロメタンは減圧弁を装着したボンベあるいはシリンダーから配管を通して直接反応器に導入する方法、トリフルオロメタンをあらかじめ充填させたサンプリングバックあるいはゴム風船から反応器に導入する方法が挙げられる。小スケールではゴム風船から反応器に導入する方法が好ましいが、工業的には配管を用いてトリフルオロメタンを反応器の中に導入する方がより好ましい。トリフルオロメタンと反応溶液との接触方式は、気-液界面において接触混合させる方法或いはコンデンサを使用してトリフルオロメタンを液化させて反応溶液に混合させる方法が挙げられるが、気-液界面において接触混合させる方法が好ましい。
【0086】
室温で液体あるいは固体であるモノヒドロペルフルオロアルカンは、通常の液体原料あるいは固体原料と同様な導入方法で反応に使用できる。
【0087】
反応に使用するホウ酸トリメチルは、反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0088】
反応に使用する塩基であるカリウムヘキサメチルジシラジドは、ホウ酸トリメチルに対し、0.1モル当量から100モル当量程度、好ましくは0.1モル当量から2モル当量である。反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0089】
反応に使用するトリオールは、ホウ酸トリメチルに対し、0.1モル当量から100モル当量程度、好ましくは0.1モル当量から2モル当量である。反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0090】
溶媒は非プロトン性極性溶媒が使用でき、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、フェニルアセトニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、ホルムアミド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1、3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-エポキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジメチルスルホキシド、スルホラン等などが使用出来るが、好ましくはテトラヒドロフランであり、これらを組み合わせて使用することもできる。また、上述の非プロトン性極性溶媒と、非極性溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等とを組み合わせて使用することもできる。
【0091】
溶媒の量は、ホウ酸トリメチルの1重量部に対して1~100重量部程度、好ましくは1~10重量部である。使用する溶媒は反応に使用する前に水分を除去するか、あるいは反応中に脱水剤、例えばモレキュラーシーブスを添加しても良いが、水分は必ずしも完全に除く必要はない。工業的に入手可能な状態において通常混入している程度、すなわち溶媒に対して5重量%以下、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%以下の水分は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0092】
反応後は、通常の有機化学的処法に基づいた精製処理を施すことで、ペルフルオロアルキルトリオールボレートカリウムを得ることが出来る。
【0093】
なお、反応材料としてホウ酸トリメチルおよびカリウムヘキサメチルジシラジドを具体例として説明したが、当業界で入手可能な他のホウ酸トリアルキルおよび金属ヘキサメチルジシラジドを上記と同様にして使用することができる。ホウ酸トリアルキルとしては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリへキシル、ホウ酸トリオクチルなどが挙げられる。また、金属ヘキサメチルジシラジドとしては、例えば、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどが挙げられる。これらの内でも、ホウ酸トリメチルおよびカリウムヘキサメチルジシラジドが最も好ましい。
【0094】
次に、シリル化ペルフルオロアルキルカルビノールをペルフルオロアルキル化剤に用い、芳香族ハロゲン化物と反応させた場合について述べる。
【0095】
本発明において使用する反応容器の材質は、ガラス、ポリエチレン及びポリプロピレン等のプラスチック、テフロン及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素
樹脂、ステンレススチール、ハステロイ、及びインコネルといった金属が使用できるが、その中でもガラスが好ましい。
【0096】
反応容器は反応前に十分に乾燥させて水分を除去したものを使用するのが好ましい。
反応を行う際は、不活性ガス気流下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、乾燥空気、ヘリウム、アルゴン、窒素等があげられるが、好ましくは窒素である。
【0097】
反応温度は-40℃から200℃の範囲で行うことが出来るが、好ましくは0℃から90℃である。反応時間は1時間から100時間の間で行なうことが出来るが、好ましくは6時間から24時間である。
【0098】
反応に使用する芳香族ハロゲン化合物は、反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0099】
反応に使用するシリル化ペルフルオロアルキルカルビノールは、芳香族ハロゲン化合物に対し、0.01モル当量から10モル当量程度、好ましくは1.2モル当量から2モル当量である。前工程での反応後、通常の精製操作を行ったものをそのまま使用できる。
【0100】
反応に使用する銅触媒であるヨウ化銅(I)は、芳香族ハロゲン化合物に対し、0.01モル当量から0.99モル当量程度、好ましくは0.01モル当量から0.5モル当量、より好ましくは0.1モル当量である。反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0101】
反応に使用する9,10-フェナントロリンは、芳香族ハロゲン化合物に対し、0.01モル当量から0.99モル当量程度、好ましくは0.01モル当量から0.5モル当量、より好ましくは0.1モル当量である。反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0102】
反応に使用するフッ化セシウムは、芳香族ハロゲン化合物に対し、0.1モル当量から100モル当量程度、好ましくは0.1モル当量から10モル当量、より好ましくは1モル当量から2モル当量である。フッ化セシウムは、所定の方法で活性化させてから使用することが好ましい。この活性化は、具体的には、フッ化セシウムを反応容器に仕込んだ後、真空引きしながら反応容器をフレームドライするのが好ましい。
【0103】
溶媒は非プロトン性極性溶媒が使用でき、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、フェニルアセトニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、ホルムアミド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ターシャリーメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1、3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-エポキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジメチルスルホキシド、スルホラン等などが使用出来るが、好ましくはジグライムあるいはジメチルホルムアミド、より好ましくはジグライムとジメチルホルムアミドの混合物である。上述の非プロトン性極性溶媒と、非極性溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等とを組み合わせて使用することもできる。
【0104】
溶媒の量は、芳香族ハロゲン化物の1重量部に対して1~100重量部程度、好ましくは1~10重量部である。使用する溶媒は反応に使用する前に水分を除去するか、あるいは反応中に脱水剤、例えばモレキュラーシーブスを添加しても良いが、水分は必ずしも完全に除く必要はない。工業的に入手可能な状態において通常混入している程度、すなわち溶媒に対して5重量%以下、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%以下の水分は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0105】
反応後は、通常の有機化学的処法に基づいた精製処理を施すことで、芳香族ペルフルオロアルキル化合物を得ることが出来る。
【0106】
次に、ペルフルオロアルキルトリールボレートカリウムをペルフルオロアルキル化剤に用い、芳香族ハロゲン化物と反応させた場合について述べる。
【0107】
本発明において使用する反応容器の材質は、ガラス、ポリエチレン及びポリプロピレン等のプラスチック、テフロン及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂、ステンレススチール、ハステロイ、及びインコネルといった金属が使用できるが、その中でもガラスが好ましい。
【0108】
反応容器は反応前に十分に乾燥させて水分を除去したものを使用するのが好ましい。
【0109】
反応を行う際は、不活性ガス気流下で反応を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、乾燥空気、ヘリウム、アルゴン、窒素等があげられるが、好ましくは窒素である。
【0110】
反応温度は-40℃から200℃の範囲で行うことが出来るが、好ましくは0℃から60℃である。反応時間は1時間から100時間の間で行なうことが出来るが、好ましくは6時間から24時間である。
【0111】
反応に使用する芳香族ハロゲン化物は、反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0112】
反応に使用するペルフルオロアルキルトリオールボレートカリウムは、芳香族ハロゲン化物に対し、0.01モル当量から10モル当量程度、好ましくは1.5モル当量から2モル当量である。前工程での反応後、通常の精製操作を行ったものをそのまま使用できる。
【0113】
反応に使用する銅触媒であるヨウ化銅(I)は、芳香族ハロゲン化物に対し、0.01モル当量から0.99モル当量程度、好ましくは0.01モル当量から0.5モル当量、より好ましくは0.1モル当量である。反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0114】
反応に使用する9,10-フェナントロリンは、芳香族ハロゲン化物に対し、0.01モル当量から0.99モル当量程度、好ましくは0.01モル当量から0.5モル当量、より好ましくは0.1モル当量である。反応に使用する前に所定の精製操作を行うなどして不純物を除去しても良いが、工業的に入手できる状態において混入している程度の不純物は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0115】
溶媒は非プロトン性極性溶媒が使用でき、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、フェニルアセトニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、ホルムアミド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ターシャリーメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1、3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-エポキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジメチルスルホキシド、スルホラン等などが使用出来るが、好ましくはジメチルスルホキシドである。上述の非プロトン性極性溶媒と、非極性溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等とを組み合わせて使用することもできる。
【0116】
溶媒の量は、芳香族ハロゲン化物の1重量部に対して1~100重量部程度、好ましくは1~10重量部である。使用する溶媒は反応に使用する前に水分を除去するか、あるいは反応中に脱水剤、例えばモレキュラーシーブスを添加しても良いが、水分は必ずしも完全に除く必要はない。工業的に入手可能な状態において通常混入している程度、すなわち溶媒に対して5重量%以下、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%以下の水分は、本製造方法の実施において特に問題にならず、そのまま使用できる。
【0117】
反応後は、通常の有機化学的処法に基づいた精製処理を施すことで、芳香族ペルフルオロアルキル化合物を得ることが出来る。
【実施例
【0118】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明における化合物の合成方法はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、化合物の同定は、H 核磁気共鳴スペクトル分析法(NMR)、13C NMR、19F NMR、質量スペクトル分析法(EI-MS)により行った。
【0119】
[実施例1]
【化11】
(式中、Phはフェニル基、DMSOはジメチルスルホキシド、THFはテトラヒドロフラン、r.t.は室温、30minは30分の反応時間、6hは6時間の反応時間を示す。)
【0120】
アルゴン雰囲気下、水酸化カリウム(アルゴングローブボックス中で乳鉢ですりつぶして粉末状にしたもの、1.12g、20mmol)及びジメチルスルホキシド(未乾燥品、5mL)が入った20mL二口フラスコに、ベンゾフェノン(182mg、1mmol)を加えた後、過剰量のトリフルオロメタンの入った風船を取り付けた。室温で6時間撹拌後、氷浴下で、4規定塩酸で水酸化カリウムを中和することによって反応を停止した。有機層をジエチルエーテルで抽出(20mL×3回)、水(30mL×3回)で洗浄、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL×1回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除き、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、トリフルオロメチルカルビノール1を白色固体として95%の収率(原料ケトン基準)で得た。
【0121】
100mL三口ナスフラスコに撹拌子を入れ、減圧条件下、フレームドライした。容器
を室温まで冷ました後、窒素置換した。トリフルオロメチルカルビノール1にテトラヒドロフラン(Naで予備乾燥後蒸留したもの、3.2mL)を加えた溶液をシリンジ針で容器に入れ、0℃で30分間撹拌させた。0℃のままN-トリメチルシリルイミダゾール(0.7mL、673mg、4.8mmol)をゆっくり加え、0℃で30分間撹拌させた。氷浴から取り出し、20℃で6時間撹拌させた。反応後、炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)で中和し、反応を止めた。ヘキサンで抽出(3×20mL)し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄(1×20mL)した。有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ、硫酸ナトリウムを濾過で取り除いた。ロータリーエバレーターでヘキサンを除き、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により精製することでシリル化トリフルオロメチルカルビノール2を無色透明液体として98%の収率(化合物1基準)で得た。
【0122】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ: 0.06 (s, 9H),
7.27-7.46 (m, 10H).
13C NMR (68 MHz, CDCl) δ: 1.4, 81.9 (q,
J = 29 Hz), 125.1 (q, J = 286 Hz), 128.
1(q, J = 2 Hz), 140.8.
19F NMR (376 MHz, CDCl) δ: 89.1 (s, 3F).
EI-MS m/z (%): 255 (36), 213 (16), 184 (48), 165 (96), 105 (32), 77 (100), 73 (56).
【0123】
[実施例2]
【化12】
実施例1におけるトリフルオロメタンをペンタフルオロエタンに変え、実施例1と同条件で反応を行ったところ、ペンタフルオロエチルカルビノール3を無色透明液体として51%の収率(19F NMR収率、原料ケトン基準)で得た。
【0124】
引き続き、トリフルオロメチルカルビノール1をペンタフルオロエチルカルビノール3に変え、実施例1と同条件で反応を行ったところ、シリル化ペンタフルオロエチルカルビノール4を無色透明液体として92%の収率(化合物3基準)で得た。
【0125】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ: -0.16 (s, 9H), 7.30-7.33 (m, 6H), 7.40-7.42 (m, 4H).
19F NMR (376 MHz, CDCl) δ: 45.6 (s, 2F), 84.3 (s, 3F).
EI-MS m/z (%): 255 (71), 194 (16), 165 (50), 105 (41), 77 (76), 73 (100).
【0126】
[実施例3]
【化13】
(式中、Phはフェニル基、DMFはジメチルホルムアミド、r.t.は室温、12hは12時間の反応時間を示す。)
【0127】
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(純度:50~72%、96mg、約2mmol)及びジメチルホルムアミド(脱水品、1mL)が入った20mL二口フラスコに、ベンゾフェノン(182mg、1mmol)を加えた後、過剰量のトリフルオロメタンの入った風船を取り付け、室温で12時間撹拌した。その後、氷浴下で、クロロトリメチルシラン(0.63mL、435mg、4mmol)を加え、室温まで昇温し12時間撹拌した。氷浴下で、水を加えて反応を停止した。ヘキサンで抽出(20mL×3回)、水(30mL×1回)で洗浄、飽和塩化ナトリウム水溶液(40mL×1回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除き、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去することで、シリル化トリフルオロメチルカルビノール2を無色透明液体として62%の収率(19F NMR収率、原料ケトン基準)で得た。
【0128】
[実施例4]
【化14】
実施例3におけるトリフルオロメタンをペンタフルオロエタンに変え、実施例3と同条件で反応を行ったところ、シリル化ペンタフルオロエチルカルビノール4を無色透明液体として88%の収率(19F NMR収率、原料ケトン基準)で得た。
【0129】
[実施例5]
【化15】
(式中、KHMDSはカリウムヘキサメチルジシラジド、THFはテトラヒドロフラン、r.t.は室温、1hは1時間の反応時間、5hは5時間の反応時間を示す。)
【0130】
撹拌子入り2つ口30mLナスフラスコを減圧下でフレームドライした。放冷後、窒素雰囲気下でテトラヒドロフラン(Naで予備乾燥後蒸留したもの、8mL)、トリフルオロメタン雰囲気下とし、-78℃にて1時間撹拌した。その後、ホウ酸トリメチル (4
15.6mg、446.9μL、4mmol)を加え、カリウムヘキサメチルジシラジドのTHF溶液(798.0mg/4mLのTHF、4mmol)を一秒につき一滴の速度で滴下した。滴下終了後、-78℃にて1時間撹拌した。反応終了後、室温に昇温し、反応溶液をサンプリング、19F NMRを測定したところ、88%の収率でトリフルオロメチルトリメトキシボレート塩を得た。引き続き、反応溶液に2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール(420.5mg、3.5mmol)、テトラヒドロフラン(Naで予備乾燥後蒸留したもの、2mL)を加え、室温にて5時間撹拌した。反応終了後、ろ過、ヘキサンとジエチルエーテルで洗浄し、溶媒留去することによりトリ
フルオロメチルトリオールボレートカリウム5を淡褐色固体として42%の収率(19
NMR収率、ホウ酸トリメチル基準)で得た。
【0131】
HNMR(400 MHz, DO)δ: 0.84 (s, 3H), 3.47
(s, 6H).
19F NMR(376 MHz, DO, C) δ: 88.4 (q, BF = 29.0 Hz, 3F).
【0132】
[実施例6]
【化16】
(式中、Phはフェニル基、phenは9,10-フェナントロリン、diglymeはジグライム、DMFはジメチルホルムアミド、24hは24時間の反応時間を示す。)
【0133】
減圧下でフレームドライしたシュレンク管に窒素雰囲気下、活性化させたフッ化セシウム(91mg、0.6mmol)、ヨウ化銅(I)(5.7mg、0.03mmol、10mol%)、1,10-フェナントロリン(5.4mg、0.03mmol、10mol%)、4-ニトロヨードベンゼン(75mg、0.3mmol)、ジグライム(脱水品、0.3mL)、ジメチルホルムアミド(脱水品、0.3mL)を加えた。混合溶液にシリル化トリフルオロメチルカルビノール2(195mg、0.6mmol)を添加し、窒素雰囲気下で密封後90℃にて24時間攪拌した。反応終了後、室温に戻し、水を加え、ジエチルエーテルで抽出した有機層を水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル
= 30:1)で精製することにより、4-ニトロ(トリフルオロメチル)ベンゼン6を
淡黄色結晶として74%の収率(19F NMR収率、4-ニトロヨードベンゼン基準)で得た。
【0134】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ: 7.85 (d, J = 9 Hz, 2H), 8.37 (d, J = 8.8 Hz, 2H).
19F NMR (376 MHz, CDCl) δ: 98.6 (s, 3F).
EI-MS m/z (%) 192(31), 145(100), 125(29), 95(40), 75(39).
【0135】
[実施例7]
【化17】
(式中、Phはフェニル基、phenは9,10-フェナントロリン、diglymeはジグライム、24hは24時間の反応時間を示す。)
【0136】
減圧下でフレームドライしたシュレンク管にアルゴン雰囲気下、活性化させたフッ化セシウム(91mg、0.6mmol)、ヨウ化銅(I)(5.7mg、0.03mmol
、10mol%)、1,10-フェナントロリン(5.4mg、0.03mmol、10mol%)、4-ニトロヨードベンゼン(75mg、0.3mmol)を加えた後、シリル化ペンタフルオロエチルカルビノール4(224.7mg、0.6mmol)のジグライム(0.6mL)溶液を滴下し、アルゴン雰囲気下で密封後80℃にて24時間攪拌した。反応終了後、室温に戻し、水を加え、ジエチルエーテルで抽出した有機層を水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 100:1)で精製することにより、4-ニ
トロ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン7を淡黄色結晶として93%の収率(19F NMR収率、4-ニトロヨードベンゼン基準)で得た。
【0137】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ: 7.83 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.38 (d, J = 8.8 Hz, 2H).
19F NMR (376 MHz, CDCl) δ: 46.4 (s, 2F), 77.3 (s, 3F).
EI-MS m/z (%): 241 (13), 172 (33), 145 (100), 125 (21), 114 (18), 75 (16).
【0138】
[実施例8]
実施例7におけるシリル化ペンタフルオロエチルカルビノール4の使用量を0.6mmolから0.36mmolに変更した他は実施例7と同条件で反応を行ったところ、4-ニトロ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン7を淡黄色結晶として64%の収率(19F NMR収率、4-ニトロヨードベンゼン基準)で得た。
[実施例9]
【化18】
(式中、phenは9,10-フェナントロリン、DMSOはジメチルスルホキシド、24hは24時間の反応時間を示す。)
【0139】
減圧下でフレームドライした撹拌子入りシュレンク管に窒素雰囲気下、ヨウ化銅(I)
(5.7mg、 0.03 mmol)、1,10-フェナントロリン(5.4mg、
0.03mmol)、トリフルオロメチルトリオールボレートカリウム5(142mg、 0.6mmol)、4-ヨードニトロベンゼン(75mg、0.3mmol)、ジメチルスルホキシド(脱水品、0.6mL)を加えた。密閉後、60 ℃にて24時間撹拌
した。反応終了後、放冷し、ジエチルエーテルで薄め、飽和塩化アンモニウム水溶液により洗浄した (3回)。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥・ろ過し、ろ液を濃縮し
、粗4-ニトロ(トリフルオロメチル)ベンゼン6を95%(19F NMR収率、4-ニトロヨードベンゼン基準)の収率で得た。
【0140】
[実施例10]
実施例7におけるヨウ化銅(I)及び9,10-フェナントロリンの使用量をそれぞれ0.03mmolから0.015mmolに変更した他は実施例7と同条件で反応を行ったところ、4-ニトロ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン7を淡黄色結晶として82%の収率(19F NMR収率、4-ニトロヨードベンゼン基準)で得た。
【0141】
[実施例11]
【化19】
実施例9における4-ニトロヨードベンゼンを4-メトキシヨードベンゼンに変え、実施例9と同条件で反応を行ったところ、4-メトキシ(トリフルオロメチル)ベンゼン8を無
色透明液体として65%の収率(19F NMR収率、4-メトキシヨードベンゼン基準)で得た。
【0142】
H NMR(400 MHz, CDCl) δ: 3.85 (s, 3H), 6.96 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 8.8 Hz, 2H).
19F NMR(376 MHz, CDCl, C) δ: 100.3 (s, 3F).
EI-MS m/z (%): 176 (100), 145 (31).
【0143】
[実施例12]
実施例11におけるトリフルオロメチルトリオールボレートカリウム5を0.6mmolから0.45mmolに変更した他は実施例11と同条件で反応を行ったところ、4-メトキシ(トリフルオロメチル)ベンゼン8を無色透明液体として32%の収率(19
NMR収率、4-メトキシヨードベンゼン基準)で得た。