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  • 特許-半導体ポリマー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】半導体ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20220218BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20220218BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20220218BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20220218BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
C08G61/12
H01L29/28 100A
H01L29/28 250G
H01L29/78 618B
H01L31/04 152G
H01L31/04 152B
H01L31/04 152H
H01L31/04 152J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018561518
(86)(22)【出願日】2017-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2017061614
(87)【国際公開番号】W WO2017202635
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】16171347.4
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520139099
【氏名又は名称】クラップ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLAP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】パスカル アヨ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ケルブライン
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-323992(JP,A)
【文献】特表2015-514836(JP,A)
【文献】特表2005-533839(JP,A)
【文献】特開2015-091960(JP,A)
【文献】特表2014-529593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00-61/12
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08F 6/00-246/00、301/00
H01L 51/05、51/30、51/46
H01L 29/786
C07D 477/00-491/22、498/00-498/22、
503/00-505/24、513/00-521/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

-[Ar3c-[Ar2b-[Ar1a-Y(R1n1(R2n2-[Ar1’a’-[Ar2’b’-[Ar3’c’- (I)
[式中、
aは、0、1、2、または3であり、a’は、0、1、2、または3であり、bは、0、1、2、または3であり、b’は、0、1、2、または3であり、cは、0、1、2、または3であり、c’は、0、1、2、または3であり、
Ar1、Ar1’、Ar2、Ar2’、Ar3、およびAr3’は、互いに独立して、任意に置換されていてよいC6~C24-アリーレン基、または任意に置換されていてよいC2~C20-ヘテロアリーレン基であり、
-Y(R1n1(R2n2-は、式
【化1】
の基であり、前記基は、任意に置換されていてよく、式中、R1’およびR2’は、R1の意味を有するが、ただし、-Y(R1n1(R2n2-が、式
【化2】
の基である場合には、aおよびa’は0ではなく、
ここで、R1、R2、R1’、およびR2’は、式
【化3】
の基であり、式中、
iは、1~10の整数であり、かつ
70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C50-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の少なくとも1個は、水素とは異なる]の繰返単位を有するポリマー。
【請求項2】
Ar1およびAr1’は、互いに独立して、式
【化4】
【化5】
【化6】
の基であり、式中、
3およびR3’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C1~C25-アルキル、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、
4、R4’、R5、R5’、R6、およびR6’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C1~C25-アルキル、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、
7、R7’、R9、およびR9’は、互いに独立して、水素、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、またはC7~C25-アリールアルキルであり、
8およびR8’は、互いに独立して、水素、C6~C18-アリール、C1~C25-アルキルもしくはC1~C25-アルコキシにより置換されたC6~C18-アリール、または任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、またはC7~C25-アリールアルキルであり、
11およびR11’は、互いに独立して、C1~C25-アルキル基、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C8-アルキルおよび/もしくはC1~C8-アルコキシで1回~3回置換されていてよいフェニル基であり、
12およびR12’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、C1~C25-アルコキシ、C7~C25-アリールアルキル、または
【化7】
であり、ここで、
13は、C1~C10-アルキル基、またはトリ(C1~C8-アルキル)シリル基であり、
103’は、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキルであり、かつ
114およびR114’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR103’、C1~C25-アルキル基、またはC6~C14-アリールもしくはC2~C20-ヘテロアリールである、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
Ar2、Ar2’、Ar3、およびAr3’は、互いに独立して、Ar1の意味を有し、ここで、
Ar1は、互いに独立して、式
【化8】
【化9】
【化10】
の基であり、式中、
3 およびR 3’ は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C 1 ~C 25 -アルキル、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC 1 ~C 25 -アルキル、C 7 ~C 25 -アリールアルキル、またはC 1 ~C 25 -アルコキシであり、
4 、R 4’ 、R 5 、R 5’ 、R 6 、およびR 6’ は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C 1 ~C 25 -アルキル、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC 1 ~C 25 -アルキル、C 7 ~C 25 -アリールアルキル、またはC 1 ~C 25 -アルコキシであり、
7 、R 7’ 、R 9 、およびR 9’ は、互いに独立して、水素、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC 1 ~C 25 -アルキル、またはC 7 ~C 25 -アリールアルキルであり、
8 およびR 8’ は、互いに独立して、水素、C 6 ~C 18 -アリール、C 1 ~C 25 -アルキルもしくはC 1 ~C 25 -アルコキシにより置換されたC 6 ~C 18 -アリール、または任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC 1 ~C 25 -アルキル、またはC 7 ~C 25 -アリールアルキルであり、
11 およびR 11’ は、互いに独立して、C 1 ~C 25 -アルキル基、C 7 ~C 25 -アリールアルキル、またはC 1 ~C 8 -アルキルおよび/もしくはC 1 ~C 8 -アルコキシで1回~3回置換されていてよいフェニル基であり、
12 およびR 12’ は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC 1 ~C 25 -アルキル、C 1 ~C 25 -アルコキシ、C 7 ~C 25 -アリールアルキル、または
【化11】
であり、ここで、
13 は、C 1 ~C 10 -アルキル基、またはトリ(C 1 ~C 8 -アルキル)シリル基であり、
103’ は、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC 1 ~C 25 -アルキルであり、かつ
114 およびR 114’ は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR 103’ 、C 1 ~C 25 -アルキル基、またはC 6 ~C 14 -アリールもしくはC 2 ~C 20 -ヘテロアリールであり、
または、Ar 1 は、互いに独立して、
【化12】
【化13】
であり、
105、R105’、R106、およびR106’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、
107は、水素、C7~C25-アリールアルキル、C6~C20-アリール、C1~C25-アルキルもしくはC1~C25-アルコキシにより置換されたC6~C20-アリール、C1~C18-ペルフルオロアルキル、-O-もしくは-S-により中断されていてよいC1~C25-アルキル、または-COOR103であり、ここで、R103は、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキルであり、
108およびR109は、互いに独立して、水素、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、またはC7~C25-アリールアルキルであり、
115およびR115’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、C1~C25-アルコキシ、C7~C25-アリールアルキル、または
【化14】
であり、ここで、R116は、C1~C10-アルキル基、またはトリ(C1~C8-アルキル)シリル基である、請求項記載のポリマー。
【請求項4】

【化15】
の繰返単位を有し、式中、
3およびR3’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1~C25-アルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、かつ
1、R2、R1’、およびR2’は、請求項1に定義されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項5】

【化16】
の繰返単位を有し、式中、
3およびR3’は、互いに独立して、水素、フッ素、C1~C25-アルキル、C1~C25-アルコキシであり、かつR1およびR2は、請求項1に定義されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項6】
繰返単位-[A]-[COM]n3- (V)を有し、式中、Aは、式(I)の単位であり、かつCOMは、Ar2の意味を有し、ここでAr2は、請求項3に定義されており、n3は、1~4の整数であり、かつCOMは、それぞれの場合に同一または異なっていてよい、請求項3記載のポリマー。
【請求項7】
前記繰返単位-[A]-[COM]n3-は、式
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
の繰返単位であり、式中、
3およびR3’は、互いに独立して、水素、フッ素、C1~C25-アルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、かつ
1およびR2は、請求項1に定義されている、請求項6記載のポリマー。
【請求項8】

【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
のポリマーであり、式中、
nは、4~1000であり、かつ
1およびR2は、請求項1に定義されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項9】
式(II)の基において、置換基R70、R71、およびR72の少なくとも2個は、水素とは異なる、請求項8記載のポリマー。
【請求項10】
1、R2、R1’、およびR2’は、式
【化25】
の基であり、式中、
iは、1~5の整数であり、かつ
70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C36-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の2個は、水素とは異なる、請求項1または9記載のポリマー。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のポリマーを含む、有機半導体材料。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項記載のポリマー、および/または請求項11記載の有機半導体材料を含む、半導体デバイス。
【請求項13】
有機半導体デバイスの製造方法であって、有機溶剤、または有機溶剤の混合物中の、請求項1から10までのいずれか1項記載のポリマーの溶液および/または分散液を適切な基板に適用し、該溶剤を除去することを含む、方法。
【請求項14】
光起電性デバイス、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタにおける、請求項1から10までのいずれか1項記載のポリマー、および/または請求項11記載の有機半導体材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の繰返単位を有するポリマー、および該ポリマーの、有機デバイスにおける、特に有機光起電性装置およびフォトダイオードにおける、またはダイオードおよび/もしくは有機電界効果トランジスタを有するデバイスにおける有機半導体としての使用に関する。本発明によるポリマーは、有機溶剤中での優れた可溶性、および優れた被膜形成特性を有し得る。さらに、本発明によるポリマーが、有機電界効果トランジスタ、有機光起電性装置、およびフォトダイオードにおいて使用される場合に、高いエネルギー変換効率、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比、および/または優れた安定性を確認することができる。
【0002】
ジケトピロロピロール(DPP)ベースのポリマーおよびコポリマーは、例えば米国特許第6451459号明細書(US6451459)、国際公開第05/049695号パンフレット(WO05/049695)、国際公開第08/000664号パンフレット(WO08/000664)、欧州特許出願公開第2075274号明細書(EP2075274A1)、国際公開第2010/049321号パンフレット(WO2010/049321)、国際公開第2010/049323号パンフレット(WO2010/049323)、国際公開第2010/108873号パンフレット(WO2010/108873)、国際公開第2010/115767号パンフレット(WO2010/115767)、国際公開第2010/136352号パンフレット(WO2010/136352)、国際公開第2011/144566号パンフレット(WO2011/144566)、および国際公開第2011/144566号パンフレット(WO2011/144566)に記載されている。
【0003】
イソインジゴベースのポリマーおよびコポリマーは、例えば国際公開第2009/053291号パンフレット(WO2009/053291)、PCT/IB2015/055118、米国特許出願公開第2014/0011973号明細書(US2014/0011973)、およびPCT/EP2016/050801に記載されている。ナフタレンイミドベースのポリマーおよびコポリマーは、例えば国際公開第2009098253号パンフレット(WO2009098253)に記載されている。
【0004】
ペリレンイミドベースのポリマーおよびコポリマーは、例えば国際公開第2009098250号パンフレット(WO2009098250)、国際公開第2009098252号パンフレット(WO2009098252)、国際公開第2009098253号パンフレット(WO2009098253)、および国際公開第2009098254号パンフレット(WO2009098254)に記載されている。
【0005】
B.Fu et al.,Adv.Funct.Mater.2014,24,3734-3744により、分岐位置がポリマー骨格から離れた側鎖の導入は、可溶性の改善における分岐側鎖の利益と、効率的なπ-π分子間相互作用の促進における線状鎖の利益とを兼ね備えることが報告されている。これにより、高められた溶液加工性、より高い重合度、密集したπ-π分子間スタッキング、そしてまた優れたマクロスケールでの電荷担体輸送を伴うポリマーが得られる。
【0006】
米国特許第5750723号明細書(US5750723)は、重合可能なジケトピロロピロール
【化1】
[式中、AおよびBは、互いに独立して、式
【化2】
の基であり、R1は、重合可能な反応性基(-(CH2m-CH=CH-(CH2n-CH3(II)、または-(Y)p-X-(Z)r-Q(III))であり、かつR2は、C1~C6-アルキルまたはR1であり、mおよびnは、互いに独立して、0から12の間の整数であるが、ただし、m+nの和は、少なくとも4である]、例えば
【化3】
に関する。
【0007】
米国特許出願公開第2005/0255391号明細書(US2005/0255391)は、カラーフィルタにおける重合可能なジケトピロロピロールの使用に関する。なかでも、一般式
【化4】
[式中、R1およびR2は、互いに独立して、式-X2-X3(II)の基であり、ここで、X2は、C1~C18-アルキレンであり、かつX3は、-NH2、-OH、-CH=CH2、-C(CH3)=CH2、-CO-CH=CH2、-CO-C(CH3)=CH2、-CO-CH=CH2、または-CO-C(CH3)=CH2である]のジケトピロロピロール、例えば
【化5】
が開示されている。米国特許出願公開第2009140220号明細書(US2009140220)も参照される。
【0008】
本発明の目的は、先行技術の有機半導体(OSC)層における欠点を減らすまたは克服すること、改善された電子デバイスを提供すること、そのようなデバイスにおいて使用されるべき改善されたOSC材料および構成要素を提供すること、そしてそれらの製造のための方法を提供することであった。前記デバイスは、改善された安定性、OSC層の高い被膜均一性および高い完全性を有するべきであり、前記材料は、高い電荷移動度および溶液からの良好な加工性を有するべきであり、かつ前記方法は、特に大規模に、簡単でありかつ時間効率的および費用効率的なデバイス製造を可能にすべきである。本発明のその他の目的は、以下の詳細な説明から当業者には直ちに明らかである。
【0009】
したがって、本発明の課題は、有機電界効果トランジスタ、有機光起電性装置(太陽電池)、およびフォトダイオードにおいて使用される場合に、高いエネルギー変換効率、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比、および/または優れた安定性を示すポリマーを提供することである。本発明のもう1つの課題は、架橋され得る半導体ポリマーを提供することである。
【0010】
前記課題は、式
-[Ar3c-[Ar2b-[Ar1a-Y(R1n1(R2n2-[Ar1’a’-[Ar2’b’-[Ar3’c’- (I)
[式中、
aは、0、1、2、または3であり、a’は、0、1、2、または3であり、bは、0、1、2、または3であり、b’は、0、1、2、または3であり、cは、0、1、2、または3であり、c’は、0、1、2、または3であり、
n1は、1または2であり、n2は、1または2であり、
Yは、二価の複素環式基または環系であり、それらは任意に置換されていてよく、
Ar1、Ar1’、Ar2、Ar2’、Ar3、およびAr3’は、互いに独立して、任意に置換されていてよいC6~C24-アリーレン基、または任意に置換されていてよいC2~C20-ヘテロアリーレン基であり、
1およびR2は、それぞれの場合に、互いに独立して、水素、C5~C12-シクロアルキル、COR38、C1~C50-アルキル、C3~C50-アルケニル、もしくはC3~C50-アルキニル(それらは、任意にC1~C12-アルコキシ、ハロゲン、C5~C8-シクロアルキル、シアノ、C6~C24-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、もしくはシリル基で1回以上置換されていてよく、かつ/または任意に1個以上の-O-、-S-、-NR39-、-CONR39-、-NR39CO-、-COO-、-CO-、もしくは-OCO-によりさらに中断されていてよい)、または式
【化6】
の基であり、
iは、1~18の整数であり、
70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素、C1~C50-アルキル、C5~C12-シクロアルキル、C6~C24-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、C2~C50-アルケニル、またはC2~C50-アルキニル(それらは、任意にC1~C12-アルコキシ、ハロゲン(特に、F)、C5~C8-シクロアルキル、シアノ、C6~C24-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、もしくはシリル基で1回以上置換されていてよく、かつ/または任意に1個以上の-O-、-S-、-NR39-、-CONR39-、-NR39CO-、-COO-、-CO-、もしくは-OCO-によりさらに中断されていてよい)であるが、ただし、前記置換基R70、R71、およびR72の少なくとも1個は、水素とは異なるものとし、
38は、C1~C50-アルキル、C2~C50-アルケニル、C2~C50-アルキニル、またはC1~C50-アルコキシ(それらは、任意にC1~C12-アルコキシ、ハロゲン、C5~C8-シクロアルキル、シアノ、C6~C24-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、もしくはシリル基で1回以上置換されていてよく、かつ/または任意に1個以上の-O-、-S-、-NR39-、-CONR39-、-NR39CO-、-COO-、-CO-、もしくは-OCO-によりさらに中断されていてよい)であり、かつ
39は、水素、C1~C25-アルキル、C1~C18-ハロアルキル、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C18-アルカノイルであるが、
ただし、R1およびR2の少なくとも1個は、式(II)の基であるものとする]の繰返単位を有するポリマーによって解決された。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、VDS=-30Vによる0.5Vの刻み幅でのVGS=10V~-30Vでの化合物P1から作製されたFETの代表的な伝達特性を示す。ドレイン電流(黒色の実線曲線)、ゲート電流(点線の灰色の曲線)、ドレイン電流の平方根(灰色の実線の曲線)、および平方根の当てはめられた傾き(点線の黒色の曲線)。
【0012】
本発明のポリマーは、半導体デバイスにおいて半導体層として使用することができる。したがって、本発明はまた、本発明のポリマーを含む半導体デバイス、または有機半導体材料、層、もしくは構成要素に関する。上記半導体デバイスは、特に有機光起電性(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタである。本発明の半導体ポリマーは、良好な移動度に加えて、良好な可溶性を示し、その可溶性により、半導体が、例えば印刷法により適用されるデバイスのために適したものとなる。
【0013】
前記二価の複素環式基または環系Yの例を、以下に示す。
【0014】
置換基R1およびR2の他に、Yは、C1~C25-アルキル、C2~C25-アルケニル、C2~C25-アルキニル、C5~C8-シクロアルキル、C6~C14-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、-OR110、-OC(O)-R110、-C(O)-OR110、-C(O)-R110、-NR110111、-NR110-C(O)R111、-C(O)-NR110111、-N[C(O)R110][C(O)R111]、-SR110、ハロゲン、CN、-SiR112113114、および-NO2からなる群から独立して選択される1個~4個の置換基で置換されていてよく、ここで、R110およびR111は、独立して、H、C1~C25-アルキル、C3~C25-アルケニル、C3~C25-アルキニル、C5~C8-シクロアルキル、C6~C14-アリール、およびC2~C20-ヘテロアリールからなる群から選択され、R112、R113、およびR114は、互いに独立して、H、C1~C25-アルキル、C2~C25-アルケニル、C2~C25-アルキニル、C5~C8-シクロアルキル、フェニル、およびO-Si(CH33からなる群から選択される。より好ましいYのさらなる置換基は、F、C1~C25-アルキル、および-OR110であり、ここで、R110は、C1~C25-アルキルである。最も好ましいYは、R1およびR2を除いてさらなる置換基を有さない。
【0015】
式Y(R1n1(R2n2の基は、好ましくは、式
【化7】
の基であり、前記基は任意に置換されていてよく、ここで、R1およびR2は、前記または以下に定義され、かつR1’およびR2’は、R1の意味を有するが、ただし、Y(R1n1(R2n2が式
【化8】
の基である場合に、式(I)中のaおよびa’は、0ではないものとする。つまり、式(IIIa)の基は、少なくとも1個の基Ar1およびAr1’を有する。
【0016】
式Y(R1n1(R2n2の基は、より好ましくは式(IIIa)、(IIIb)、(IIId)、(IIIe)、(IIIf)、(IIIg)、(IIIh)、または(IIIi)の基であり、さらにより好ましくは式(IIIa)、(IIIb)、(IIId)、(IIIe)、(IIIh)、または(IIIi)の基であり、最も好ましくは式(IIIa)、(IIIb)、または(IIId)の基である。
【0017】
任意に置換されていてよいC6~C14-アリーレン基、C6~C24-アリーレン基、およびC2~C20-ヘテロアリーレン基、Ar1、Ar1’、Ar2、Ar2’、Ar3、およびAr3’を以下に示す。
【0018】
6~C14-アリーレン基、C6~C24-アリーレン基、およびC2~C20-ヘテロアリーレン基は、C1~C25-アルキル、C2~C25-アルケニル、C2~C25-アルキニル、C5~C8-シクロアルキル、C6~C14-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、OR110、OC(O)-R110、C(O)-OR110、C(O)-R110、NR110111、NR110-C(O)R111、C(O)-NR110111、N[C(O)R110][C(O)R111]、SR110、ハロゲン、CN、SiR112113114、およびNO2からなる群から独立して選択される1個~10個の置換基で置換されていてよく、ここで、R110およびR111は、独立して、H、C1~C25-アルキル、C2~C25-アルケニル、C2~C25-アルキニル、C5~C8-シクロアルキル、C6~C14-アリール、およびC2~C20-ヘテロアリールからなる群から選択され、R112、R113、およびR114は、互いに独立して、H、C1~C25-アルキル、C2~C25-アルケニル、C2~C25-アルキニル、C5~C8-シクロアルキル、フェニル、およびO-Si(CH33からなる群から選択される。
【0019】
好ましくは、C6~C14-アリーレン基、C6~C24-アリーレン基、およびC2~C20-ヘテロアリーレン基は、C1~C25-アルキル、OR110、ハロゲン、およびSiR112113114からなる群から独立して選択される1個~10個の置換基で置換されていてよく、ここで、R110は、H、およびC1~C25-アルキルからなる群から選択され、R112、R113、およびR114は、互いに独立して、H、C1~C25-アルキル、フェニル、およびO-Si(CH33からなる群から選択される。
【0020】
より好ましくは、C6~C14-アリーレン基、C6~C24-アリーレン基、およびC2~C20-ヘテロアリーレン基は、C1~C25-アルキル、OR110、およびハロゲンからなる群から独立して選択される1個~10個の置換基で置換されていてよく、ここで、R110は、H、およびC1~C25-アルキルからなる群から選択される。
【0021】
最も好ましくは、C6~C14-アリーレン基、C6~C24-アリーレン基、およびC2~C20-ヘテロアリーレン基は、置換されていない。
【0022】
Ar1およびAr1’は、互いに独立して、式
【化9】
【0023】
【化10】
の基であり、式中、
3およびR3’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C1~C25-アルキル、特にCF3、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキル、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、
4、R4’、R5、R5’、R6、およびR6’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化C1~C25-アルキル、特にCF3、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキル、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、
7、R7’、R9、およびR9’は、互いに独立して、水素、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキル、またはC7~C25-アリールアルキルであり、
8およびR8’は、互いに独立して、水素、C6~C18-アリール、C1~C25-アルキルもしくはC1~C25-アルコキシにより置換されたC6~C18-アリール、または任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキル、またはC7~C25-アリールアルキルであり、
11およびR11’は、互いに独立して、C1~C25-アルキル基、特にC1~C8-アルキル基、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C8-アルキルおよび/もしくはC1~C8-アルコキシで1回~3回置換されていてよいフェニル基であり、
12およびR12’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキル、C1~C25-アルコキシ、C7~C25-アリールアルキル、または
【化11】
であり、ここで、R13は、C1~C10-アルキル基、またはトリ(C1~C8-アルキル)シリル基であり、
103’は、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキルであり、かつ
114およびR114’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR103’、C1~C25-アルキル基、またはC6~C14-アリールもしくはC2~C20-ヘテロアリールである。
【0024】
Ar1およびAr1’は、好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XIb、XId、XIi、XIm、またはXIz-1の基、より好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XId、またはXIiの基、さらにより好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、またはXIdの基、最も好ましくは式XIa-1、またはXIa-4の基である。
【0025】
Ar2、Ar2’、Ar3、およびAr3’は、互いに独立して、Ar1の意味を有し、ここで、Ar1は、上記または下記に定義されており、または互いに独立して、
【化12】
であり、
103は、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキルであり、
104およびR104’は、互いに独立して、水素、シアノ、COOR103、C1~C25-アルキル基、またはC6~C14-アリールもしくはC2~C20-ヘテロアリールであり、
105、R105’、R106、およびR106’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、C7~C25-アリールアルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、
107は、水素、C7~C25-アリールアルキル、C6~C20-アリール、C1~C25-アルキルもしくはC1~C25-アルコキシにより置換されたC6~C20-アリール、C1~C18-ペルフルオロアルキル、-O-もしくは-S-により中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキル、または-COOR103であり、
108およびR109は、互いに独立して、水素、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキル、またはC7~C25-アリールアルキルであり、
115およびR115’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、任意に1個以上の酸素原子もしくは硫黄原子によって中断されていてよいC1~C25-アルキル、特にC3~C25-アルキル、C1~C25-アルコキシ、C7~C25-アリールアルキル、または
【化13】
であり、ここで、R116は、C1~C10-アルキル基、またはトリ(C1~C8-アルキル)シリル基である。
【0026】
Ar2、Ar2’、Ar3、およびAr3’は、好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XIb、XId、XIi、XIm、XIx-1、XIx-2、XIx-3、XIx-5、XIz-1、XIIIa、XIIIb-1、XIIIb-2、XIIIe、XIIIg-2、XIIIi-1、またはXIIIjの基、より好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XId、XIi、XIx-1、XIx-2、XIIIa、XIIIg-2、またはXIIIi-1の基、さらにより好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XId、またはXIIIi-1の基、最も好ましくは式XIa-1、XIa-4、またはXIIIi-1の基である。
【0027】
aは、0、1、2、または3であり、a’は、0、1、2、または3であり、bは、0、1、2、または3であり、b’は、0、1、2、または3であり、cは、0、1、2、または3であり、c’は、0、1、2、または3であり、好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0、1または2であり、b’は、0、1または2であり、cは、0、1または2であり、c’は、0、1または2であり、より好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0または1であり、b’は、0または1であり、cは、0または1であり、c’は、0または1であり、さらにより好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、最も好ましくはaは、0または1であり、a’は、0または1であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0である。
【0028】
式(I)の繰返単位は、好ましくは式
【化14】
の繰返単位、より好ましくは式(Ia)、(Ic)、(Ie)、(If)、(Ij)、または(Ik)の繰返単位、最も好ましくは式(Ia)、(Ic)、(Ie)、または(If)の繰返単位であり、式中、
3およびR3’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、特にフッ素、C1~C25-アルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、かつ
1、R2、R1’、およびR2’は、上記または下記に定義されている。
【0029】
好ましい実施形態においては、本発明は、繰返単位-[A]-[COM]n3- (V)を有し、式中、Aは、式(I)の単位であり、かつCOMは、-Ar2-の意味を有し、ここでAr2は、上記または下記に定義されており、n3は、1~4、特に1~3の整数であり、かつCOMは、それぞれの場合に同一または異なっていてよい、ポリマーに関する。
【0030】
もう1つの好ましい実施形態においては、本発明は、式-[[A]-[COM]n3n- (V’)のポリマーであって、式中、Aは、式(I)の単位であり、かつCOMは、-Ar2-の意味を有し、ここでAr2は、上記または下記に定義されており、n3は、1~4、特に1~3の整数であり、かつCOMは、それぞれの場合に同一または異なっていてよく、nは、4~1000、特に5~200、さらに具体的には6~100であるポリマーに関する。
【0031】
COMは、好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XIb、XId、XIi、XIm、XIx-1、XIx-2、XIx-3、XIx-5、XIz-1、XIIIa、XIIIb-1、XIIIb-2、XIIIe、XIIIg-2、XIIIi-1、またはXIIIjの基、より好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XId、XIi、XIx-1、XIx-2、XIIIa、XIIIg-2、またはXIIIi-1の基、さらにより好ましくは式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XId、またはXIIIi-1の基、最も好ましくは式XIa-1、XIa-4、またはXIIIi-1の基である。
【0032】
前記実施形態においては、式
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】
【化18】
の繰返単位-[A]-[COM]n3-を有し、式中、
3およびR3’は、互いに独立して、水素、フッ素、C1~C25-アルキル、またはC1~C25-アルコキシであり、かつR1およびR2は、上記または下記に定義されている、ポリマーが好ましい。
【0036】
3およびR3’は、好ましくは水素である。
【0037】
式-[A]-[COM]n3-の繰返単位は、好ましくは式Va、Vb、Vd、Ve、Vf、Vg、Vj、Vk、Vl、Vn、Vo、またはVpの繰返単位、より好ましくは式Va、Vb、Vd、Ve、Vf、Vn、Vo、またはVpの繰返単位、さらにより好ましくは式Va、Vb、またはVpの繰返単位、最も好ましくは式Vaの繰返単位である。
【0038】
好ましくは、本発明のポリマー中の繰返単位-[A]-[COM]n3-の全質量は、該ポリマーの全質量の5質量%超、好ましくは20質量%超、より好ましくは50質量%超、さらにより好ましくは80質量%超、最も好ましくは90質量%超である。
【0039】
本発明によるポリマーの例を以下に示す:
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
[式中、nは、4~1000、特に5~200、さらに具体的には6~100であり、かつR1およびR2は、上記または下記に定義されている]。
【0043】
式Va’、Vb’、Vd’、Ve’、Vf’、Vn’、Vo’、およびVp’のポリマーがより好ましい。式Va’、Vb’、Vd’、Ve’、Vf’、およびVp’のポリマーがさらにより好ましい。式Va’のポリマーが最も好ましい。
【0044】
1、R2、R1’、およびR2’は、好ましくは、互いに独立して、水素、COR38、C1~C50-アルキル、C3~C50-アルケニル、もしくはC3~C50-アルキニル(それらは、任意にC1~C12-アルコキシ、ハロゲン、C5~C8-シクロアルキル、シアノ、C6~C20-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、もしくはシリル基で1回以上置換されていてよく、かつ/または任意に1個以上の-O-、-S-、-NR39-、-CONR39-、-NR39CO-、-COO-、-CO-、もしくは-OCO-によりさらに中断されていてよい)、または式
【化23】
の基である。
【0045】
シリル基は、式-SiR161162163の基であり、式中、R161、R162、およびR163は、互いに独立して、C1~C8-アルキル、任意にC1~C4-アルキルで置換されていてよいC5~C6-シクロアルキル、ハロゲン化C1~C8-アルキル、C2~C8-アルケニル、-O-SiR164165166、-(O-SiR164165d-R166、またはフェニルであり、R164、R165、およびR166は、互いに独立して、C1~C8-アルキル、ハロゲン化C1~C8-アルキル、C2~C8-アルケニル、-O-SiR169170171、-(O-SiR169170d’-R171、またはフェニルであり、
169、R170、およびR171は、互いに独立して、C1~C8-アルキル、ハロゲン化C1~C8-アルキル、C2~C8-アルケニル、-O-Si(CH33、またはフェニルであり、dは、1~10の整数であり、d’は、1~10の整数である。
【0046】
1、R2、R1’、およびR2’の少なくとも1個は、式(II)の基である。好ましくは、R1、R2、R1’、およびR2’は、互いに独立して、式(II)の基である。
【0047】
iは、1~18、好ましくは1~10、より好ましくは1~5の整数である。
【0048】
70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素、C1~C50-アルキル、C5~C8-シクロアルキル、C6~C24-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、C2~C50-アルケニル、またはC2~C50-アルキニル(それらは、任意にC1~C12-アルコキシ、フッ素、C5~C8-シクロアルキル、C6~C24-アリール、C2~C20-ヘテロアリール、もしくはシリル基で1回以上置換されていてよく、かつ/または任意に1個以上の-O-もしくは-S-によりさらに中断されていてよい)であり、好ましくは、水素、C1~C50-アルキル、C2~C50-アルケニル、またはC2~C50-アルキニル(それらは、任意にフッ素で1回以上置換されていてよく、かつ/または任意に1個以上の-O-もしくは-S-により中断されていてよい)であり、より好ましくは、水素、C1~C50-アルキル、またはC2~C50-アルケニル、さらにより好ましくは、水素またはC1~C50-アルキルであり、最も好ましくは、水素またはC1~C36-アルキルであり、特に、水素またはC6~C24-アルキルである。
【0049】
好ましくは、置換基R70、R71、およびR72の少なくとも2個は、水素とは異なり、より好ましくは、置換基R70、R71、およびR72の2個は、水素とは異なる。
【0050】
70、R71、およびR72の場合に、アルキル、アルケニル、またはアルキニルは、直鎖状または分枝鎖状であってよく、好ましくは直鎖状である。
【0051】
1、R2、R1’、およびR2’は、好ましくは、互いに独立して、式(II)で示される基であって、式中、iは、1~10の整数であり、R70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C50-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の少なくとも1個が水素とは異なる基である。
【0052】
1、R2、R1’、およびR2’は、最も好ましくは、互いに独立して、式(II)で示される基であって、式中、iは、1~5の整数であり、かつR70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C36-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の少なくとも2個が水素とは異なる基である。
【0053】
好ましい実施形態においては、本発明は、式
-[Ar3c-[Ar2b-[Ar1a-Y(R1n1(R2n2-[Ar1’a’-[Ar2’b’-[Ar3’c’- (I)
[式中、
aは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0、1または2であり、b’は、0、1または2であり、cは、0、1または2であり、c’は、0、1または2であり、より好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0または1であり、b’は、0または1であり、cは、0または1であり、c’は、0または1であり、さらにより好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、最も好ましくはaは、0または1であり、a’は、0または1であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、
Y(R1n1(R2n2は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、(IIIe)、(IIIf)、(IIIg)、(IIIh)、または(IIIi)の基であり、
Ar1およびAr1’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XIb、XId、XIi、XIm、またはXIz-1の基であり、
Ar2、Ar2’、Ar3、およびAr3’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XIb、XId、XIi、XIm、XIx-1、XIx-2、XIx-3、XIx-5、XIz-1、XIIIa、XIIIb-1、XIIIb-2、XIIIe、XIIIg-2、XIIIi-1、またはXIIIjの基であり、
1、R2、R1’、およびR2’は、互いに独立して、式
【化24】
で示される基であって、式中、iは、1~10の整数であり、R70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C50-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の少なくとも1個が水素とは異なる基である]の繰返単位を有するポリマーに関する。
【0054】
より好ましい実施形態においては、本発明は、式
-[Ar3c-[Ar2b-[Ar1a-Y(R1n1(R2n2-[Ar1’a’-[Ar2’b’-[Ar3’c’- (I)
[式中、
aは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0または1であり、b’は、0または1であり、cは、0または1であり、c’は、0または1であり、好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、より好ましくはaは、0または1であり、a’は、0または1であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、
Y(R1n1(R2n2は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIId)、(IIIe)、(IIIh)、または(IIIi)の基であり、
Ar1およびAr1’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-2、XIa-4、またはXIdの基であり、
Ar2、Ar2’、Ar3およびAr3’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XId、またはXIIIi-1の基であり、
1、R2、R1’、およびR2’は、互いに独立して、式(II)で示される基であって、式中、iは、1~10の整数であり、R70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C50-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の2個が水素とは異なる基である]の繰返単位を有するポリマーに関する。
【0055】
さらにより好ましい実施形態においては、本発明は、式
-[Ar3c-[Ar2b-[Ar1a-Y(R1n1(R2n2-[Ar1’a’-[Ar2’b’-[Ar3’c’- (I)
[式中、
aは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、好ましくはaは、0または1であり、a’は、0または1であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、
Y(R1n1(R2n2は、式(IIIa)、(IIIb)、または(IIId)の基であり、
Ar1およびAr1’は、互いに独立して、式XIa-1、またはXIa-4の基であり、
Ar2、Ar2’、Ar3およびAr3’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-4、またはXIIIi-1の基であり、
1およびR2は、互いに独立して、式(II)で示される基であって、式中、iは、1~5の整数であり、かつR70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C36-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の2個が水素とは異なる基である]の繰返単位を有するポリマーに関する。
【0056】
最も好ましくは、置換基R70、R71、およびR72の1個は、水素であり、置換基R70、R71、およびR72のその他の2個は、C1~C36-アルキル、特にC6~C24-アルキル、さらに具体的にはC8~C18-アルキルである。
【0057】
ハロゲンは、F、Cl、Br、およびIであり得る。
【0058】
1~C4-アルキル、C1~C10-アルキル、C1~C25-アルキル、およびC1~C50-アルキルは、分枝鎖状または非分枝鎖状であり得る。例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n-(1-エチル)プロピル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-(2-エチル)ヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-イコシル(C20)、n-ドコシル(C22)、n-テトラコシル(C24)、n-ヘキサコシル(C26)、n-オクタコシル(C28)、およびn-トリアコンチル(C30)である。
【0059】
2~C8-アルケニル、C3~C8-アルケニル、C2~C25-アルケニル、C3~C25-アルケニル、C2~C50-アルケニル、およびC3~C50-アルケニルは、分枝鎖状または非分枝鎖状であり得る。例は、ビニル、プロペニル、シス-2-ブテニル、トランス-2-ブテニル、3-ブテニル、シス-2-ペンテニル、トランス-2-ペンテニル、シス-3-ペンテニル、トランス-3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-メチル-3-ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、ドセニル、リノレイル(C18)、リノレニル(C18)、オレイル(C18)、アラキドニル(C20)、およびエルシル(C22)である。
【0060】
2~C25-アルキニル、C3~C25-アルキニル、C2~C50-アルキニル、およびC3~C50-アルキニルは、分枝鎖状または非分枝鎖状であり得る。例は、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、3-ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、ウンデシニル、ドデシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、およびイコシニル(C20)である。
【0061】
ハロゲン化C1~C8-アルキルおよびC1~C25-アルキル(C1~C25-ハロアルキル)は、水素原子の一部またはすべてがハロゲン原子により置き換えられているC1~C25-アルキル基、例えばCF3である。
【0062】
1~C25-アルカノイル(C2~C18-アルカノイル)は、基Rw-(C=O)-であって、式中、RwがC1~C25-アルキル(C1~C18-アルキル)である基を指す。その具体的な例としては、アセチル基、n-プロパノイル基、イソプロパノイル基、n-ブチロイル基、およびt-ブチロイル基が挙げられる。
【0063】
5~C8-シクロアルキルおよびC5~C12-シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、およびシクロドデシルである。
【0064】
6~C14-アリールおよびC6~C24-アリールの例は、フェニル、
【化25】
である。C6~C14-アリールまたはC6~C24-アリールは、任意に1個以上のC1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、またはハロゲン、特にフッ素でさらに置換されていてよい。C6~C14-アリールまたはC6~C24-アリールは、好ましくは非置換である。
【0065】
2~C20-ヘテロアリールは、単環式または多環式、例えば二環式、三環式、または四環式の環系であって、少なくとも1個の複素芳香族環を有し、かつ=Oにより置換されていてよい非芳香族環も含み得る環系である。
【0066】
ヘテロアリールの例は、
【化26】
【0067】
【化27】
【0068】
【化28】
【0069】
【化29】
であり、式中、R100およびR101は、独立してそれぞれの場合に、H、C1~C20-アルキル、C2~C20-アルケニル、C2~C20-アルキニル、C5~C8-シクロアルキル、C6~C14-アリール、およびC2~C20-ヘテロアリールからなる群から選択されるか、またはR100およびR101は、同じ原子に結合されている場合に、それらが結合される原子と一緒に5員~12員の環系を形成する。C2~C20-ヘテロアリールは、任意に1個以上のC1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシ、またはハロゲン、特にフッ素でさらに置換されていてよい。C2~C20-ヘテロアリールは、好ましくは非置換である。
【0070】
前記5員~12員の環系は、R100およびR101がそれぞれ結合される原子に加えて、CH2、O、S、およびNR102からなる群から選択される環員を含んでよく、ここで、R102は、それぞれの場合に、H、C1~C10-アルキル、C3~C10-アルケニル、およびC3~C10-アルキニルからなる群から選択される。
【0071】
7~C25-アラルキルは、一般的にベンジル、2-ベンジル-2-プロピル、β-フェニル-エチル、α,α-ジメチルベンジル、ω-フェニル-ブチル、ω,ω-ジメチル-ω-フェニル-ブチル、ω-フェニル-ドデシル、ω-フェニル-オクタデシル、ω-フェニル-エイコシルまたはω-フェニル-ドコシル、好ましくはC7~C18-アラルキル、例えばベンジル、2-ベンジル-2-プロピル、β-フェニル-エチル、α,α-ジメチルベンジル、ω-フェニル-ブチル、ω,ω-ジメチル-ω-フェニル-ブチル、ω-フェニル-ドデシル、またはω-フェニル-オクタデシルであり、かつ特に好ましくはC7~C12-アラルキル、例えばベンジル、2-ベンジル-2-プロピル、β-フェニル-エチル、α,α-ジメチルベンジル、ω-フェニル-ブチル、またはω,ω-ジメチル-ω-フェニル-ブチルであり、そこでは脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基の両方とも非置換または置換されていてよい。好ましい例は、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、ナフチルエチル、ナフチルメチル、およびクミルである。
【0072】
1~C25-アルコキシ基(C1~C12-アルコキシ基)は、直鎖状または分枝鎖状のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、またはt-アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、およびオクタデシルオキシである。
【0073】
式X3-[Ar3c-[Ar2b-[Ar1a-Y(R1n1(R2n2-[Ar1’a’-[Ar2’b’-[Ar3’c’-X4 (X)の化合物は新規であり、かつ本発明のさらなる主題を成し、式中、
a、a’、b、b’、c、c’、Y、n1、n2、Ar2、Ar2’、Ar3、Ar3’、R1、およびR2は、上記または下記に定義されており、Ar1およびAr1’は、上記または下記に定義されており、
3およびX4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ZnX12、-SnR207208209であり、ここで、R207、R208、およびR209は、同一または異なり、かつHまたはC1~C6-アルキルであり、その際、2個の基は、任意に共通の環を形成し、かつこれらの基は、任意に分岐または非分岐であり、かつX12は、ハロゲン原子、または-OS(O)2CF3、-OS(O)2-アリール、-OS(O)2CH3、-B(OH)2、-B(OY12
【化30】
、-BF4Na、または-BF4Kであり、式中、
1は、独立してそれぞれの場合に、C1~C10-アルキル基であり、かつY2は、独立してそれぞれの場合に、任意に置換されたC2~C10-アルキレン基、例えば-CY34-CY56-、または-CY78-CY910-CY1112-であり、ここで、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、およびY12は、互いに独立して、水素またはC1~C10-アルキル基、特に-C(CH32C(CH32-、-CH2C(CH32CH2-、または-C(CH32CH2C(CH32-であり、かつY13およびY14は、互いに独立して、水素またはC1~C10-アルキル基である。
【0074】
好ましい実施形態においては、本発明は、式(X)で示され、式中、
aは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0、1または2であり、b’は、0、1または2であり、cは、0、1または2であり、c’は、0、1または2であり、より好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0または1であり、b’は、0または1であり、cは、0または1であり、c’は、0または1であり、さらにより好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、最も好ましくはaは、0または1であり、a’は、0または1であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であるが、ただし、YがIIIaである場合に、aおよびa’は0ではないものとし、
Y(R1n1(R2n2は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、(IIIe)、(IIIf)、(IIIg)、(IIIh)、または(IIIi)の基であり、
Ar1およびAr1’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XIb、XId、XIi、XIm、またはXIz-1の基であり、
Ar2、Ar2’、Ar3、およびAr3’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XIb、XId、XIi、XIm、XIx-1、XIx-2、XIx-3、XIx-5、XIz-1、XIIIa、XIIIb-1、XIIIb-2、XIIIe、XIIIg-2、XIIIi-1、またはXIIIjの基であり、
1、R2、R1’、およびR2’は、互いに独立して、式
【化31】
で示される基であって、式中、iは、1~10の整数であり、R70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C50-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の少なくとも1個が水素とは異なる基である、化合物に関する。
【0075】
より好ましい実施形態においては、本発明は、式(X)で示され、式中、
aは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0または1であり、b’は、0または1であり、cは、0または1であり、c’は、0または1であり、好ましくはaは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、より好ましくはaは、0または1であり、a’は、0または1であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であるが、ただし、YがIIIaである場合に、aおよびa’は0ではないものとし、
Y(R1n1(R2n2は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIId)、(IIIe)、(IIIh)、または(IIIi)の基であり、
Ar1およびAr1’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-2、XIa-4、またはXIdの基であり、
Ar2、Ar2’、Ar3およびAr3’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-2、XIa-4、XId、またはXIIIi-1の基であり、
1、R2、R1’、およびR2’は、互いに独立して、式(II)で示される基であって、式中、iは、1~10の整数であり、R70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C50-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の2個が水素とは異なる基である、化合物に関する。
【0076】
さらにより好ましい実施形態においては、本発明は、式(X)で示され、式中、
aは、0、1または2であり、a’は、0、1または2であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であり、好ましくはaは、0または1であり、a’は、0または1であり、bは、0であり、b’は、0であり、cは、0であり、c’は、0であるが、ただし、YがIIIaである場合に、aおよびa’は0ではないものとし、
Y(R1n1(R2n2は、式(IIIa)、(IIIb)、または(IIId)の基であり、
Ar1およびAr1’は、互いに独立して、式XIa-1、またはXIa-4の基であり、
Ar2、Ar2’、Ar3およびAr3’は、互いに独立して、式XIa-1、XIa-4、またはXIIIi-1の基であり、
1およびR2は、互いに独立して、式(II)で示される基であって、式中、iは、1~5の整数であり、かつR70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C36-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の2個が水素とは異なる基である、化合物に関する。ハロゲンは、F、Cl、Br、およびIであり得る。
【0077】
3およびX4は、好ましくは水素またはハロゲン、より好ましくはH、Cl、Br、またはI、より好ましくはH、Br、またはI、最も好ましくはHまたはBrである。
【0078】
式(X)の化合物の例を、以下に示す:
【化32】
【0079】
【化33】
【0080】
【化34】
【0081】
より好ましいのは、式I-1、I-2、I-5、I-6、I-9、I-10、I-13、I-14、I-21、I-22、I-23、およびI-24の化合物であり、さらにより好ましいのは、式I-1、I-2、I-5、I-6、I-9、I-10、I-13、およびI-14の化合物である。好ましくは、R1、R2、R1’、およびR2’は、互いに独立して、式
【化35】
で示される基であって、式中、iは、1~10の整数であり、R70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C50-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の少なくとも1個が水素とは異なる基である。より好ましくは、R1、R2、R1’、およびR2’は、互いに独立して、式(II)で示される基であって、式中、iは、1~10、特に1~5の整数であり、R70、R71、およびR72は、互いに独立して、水素またはC1~C50-アルキルであるが、ただし、置換基R70、R71、およびR72の2個が水素とは異なる基である。
【0082】
式(X)の化合物の合成を、Yが式
【化36】
の基である化合物を基礎としてより詳細に記載する。
【0083】

【化37】
の化合物は、式
【化38】
(式中、R1およびR2は、互いに独立して、式(II)の基である)の所望の生成物へと、式IXおよび炭酸カリウムの化合物の混合物のジメチルホルムアミド中での加熱に続いて、
【化39】
を添加することによりN-アルキル化することによって変換され得る。例えば、ジメチルホルムアミド中の式(IX)の化合物の混合物は、室温で適切な塩基、例えばK2CO3で処理される。その後に、式
【化40】
のヨウ化物が添加され、その反応混合物は50℃~100℃に2時間~24時間にわたり加熱される。得られた化合物は、さらに国際公開第2009/047104号パンフレット(WO2009/047104)に記載される手順と同様にして臭素化されることで、式
【化41】
の化合物を得ることができる。
【0084】
あるいは式
【化42】
の化合物は、式
【化43】
の化合物から、例えば米国特許出願公開第2014/0264184号明細書(US2014/0264184)に記載される手順を介したアルキル化により得ることができる。
【0085】
式(IX)の化合物の製造は、例えば国際公開第2009/047104号パンフレット(WO2009/047104)に記載されており、またはそこに記載される方法と同様に実施することができる。
【0086】

【化44】
【0087】
【化45】
の化合物は、例えば式
【化46】
の化合物と、N-ブロモスクシンイミド、Br2、またはI2とを溶剤、例えばジクロロメタン中で、例えばイミダゾールおよび/またはトリフェニルホスフィンの存在下で反応させることによって得ることができる。
【0088】

【化47】
の化合物は、以下の経路(ウィッティヒ反応)を介して合成することができる:
【化48】
【0089】
70は、好ましくは水素であり、かつR71およびR72は、好ましくはC1~C36-アルキル、jは、i-1であり、R200は、それぞれの場合にC1~C12-アルキルであり、または両方の置換基R200は一緒になって、基-(CH2m-を形成し、かつmは、2~4である。
【0090】
あるいは式
【化49】
の化合物は、式
【化50】
の化合物を、溶剤、例えばトルエン中で酸、例えばp-トルエンスルホン酸の存在下で、高められた温度において、例えば還流温度で脱水することにより得ることができる。R71および/またはR72がR71および/またはR72が結合される炭素原子に対してα-水素を含む場合に、異性体混合物を得ることができる。異性体混合物の合成の1例を以下に示す。
【0091】
70は、好ましくは水素であり、かつR71およびR72は、好ましくはC1~C36-アルキルである。
【0092】
以下のジヒドロキシ化合物
【化51】
の場合には、前記脱水過程により、以下の3種の異性体:
【化52】
(i=3、R70は水素であり、R71はC10-アルキルであり、R72はC10-アルキルである)
【化53】
(i=4、R70はC10-アルキルであり、R71はC9-アルキルであり、R72は水素である)、および
【化54】
(i=4、R70はC10-アルキルであり、R71は水素であり、R72はC9-アルキルである)がもたらされ得る。
【0093】
したがって、そのような異性体混合物から誘導されるすべての生成物は、異性体を含み得る。すなわち、側鎖R1、R2、R1’、およびR2’は、種々の異性体からなり得る。
【0094】

【化55】
のジオールは、市販されているか、または例えば米国特許出願公開第2014/0011973号明細書(US2014/0011973)、国際公開第2007/091009号パンフレット(WO2007/091009)に記載される方法と同様にして、本出願の実施例1に示されるように製造することができる。
【0095】
式(II)の基を有するモノマーを用いて製造されたポリマーは、プリンテッド・エレクトロニクス用途のために重要な高い移動度および高い可溶性を示す。
【0096】
式-[[A]-[COM]n3n- (V’)のポリマーは、例えば鈴木反応により得ることができる。ジボロネートおよびジハロゲニド、特にジブロミドの縮合反応(通常は、「鈴木反応」と呼ばれる)は、N.Miyaura and A.Suzuki in Chemical Reviews,Vol.95,pp.457-2483(1995)により報告されるように様々な有機官能基の存在を許容する。
【0097】
式-[[A]-[COM]n3n- (V’)に相当するポリマーを製造するために、溶剤中で、かつ触媒の存在下で、例えばPdおよびトリフェニルホスフィンの触媒作用下で、式X11’-A-X11’に相当するジハロゲニドを、ジボロン酸もしくは式X11-[COM]n3-X11に相当するジボロネートと反応させるか、またはジボロン酸もしくは式X11-A-X11に相当するジボロネートを、式X11’-[COM]n3-X11’のジハロゲニドと反応させ、式中、X11’は、独立してそれぞれの場合に、Cl、Br、またはIであり、かつX11は、独立してそれぞれの場合に、-B(OH)2、-B(OY12
【化56】
であり、ここで、Y1は、独立してそれぞれの場合に、C1~C10-アルキル基であり、かつY2は、独立してそれぞれの場合に、C2~C10-アルキレン基、例えば-CY34-CY56-、または-CY78-CY910-CY1112-であり、ここで、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、およびY12は、互いに独立して、水素またはC1~C10-アルキル基、特に-C(CH32C(CH32-、-CH2C(CH32CH2-、または-C(CH32CH2C(CH32-であり、かつY13およびY14は、互いに独立して、水素またはC1~C10-アルキル基である。
【0098】
好ましい触媒は、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジアルコキシビフェニル/パラジウム(II)アセテート、トリアルキルホスホニウム塩/パラジウム(0)誘導体、およびトリアルキルホスフィン/パラジウム(0)誘導体である。特に好ましい触媒は、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(sPhos)/酢酸パラジウム(II)、およびトリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t-Bu)3P・HBF4)/トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)およびトリ-t-ブチルホスフィン(t-Bu)3P/トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)である。該反応は、一般的に約0℃~180℃で芳香族炭化水素溶剤、例えばトルエン、キシレン中で実施される。その他の溶剤、例えばジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフランは、単独で、または芳香族炭化水素との混合物で使用することもできる。水性塩基、好ましくは炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウムまたは重炭酸カリウムが、ボロン酸、ボロネートのための活性化剤として、かつHBr捕捉剤として使用される。重合反応は、0.2時間~100時間を費やし得る。有機塩基、例えばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、および相転移触媒、例えばTBABは、ホウ素の活性を促進し得る(例えば、Leadbeater & Marco;Angew.Chem.Int.Ed.Eng.42(2003)1407およびそこに引用される参考文献を参照)。反応条件のその他の別形は、T.I.Wallow and B. M.NovakによりJ. Org. Chem. 59 (1994) 5034-5037において、そしてM.Remmers,M.Schulze,and G.WegnerによりMacromol.Rapid Commun.17(1996)239-252において示されている。分子量の制御は、過剰のジブロミド、ジボロン酸、もしくはジボロネート、または連鎖停止剤のいずれかを使用することにより可能である。
【0099】
特に好ましい方法は、国際公開第2010/136352号パンフレット(WO2010/136352)に記載されている。国際公開第2010/136352号パンフレット(WO2010/136352)に記載される方法によれば、重合は、
a)パラジウム触媒および特定の有機ホスフィンまたはホスホニウム化合物を含む触媒/配位子系、
b)塩基、
c)溶剤または溶剤の混合物
の存在下で行われる。好ましい有機ホスフィンは、式
【化57】
【0100】
【表1】
の三置換されたホスフィンから選択される。
1)305およびR306は一緒になって環
【化58】
を形成する。2)303およびR304は一緒になって環
【化59】
を形成する。
【0101】
好ましい触媒の例としては、以下の化合物:
パラジウム(II)アセチルアセトネート、パラジウム(0)ジベンジリデン-アセトン錯体、パラジウム(II)プロピオネート、
Pd2(dba)3: [トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)]、
Pd(dba)2: [ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)]、
Pd(PR32(ここでPR3は、式VIの三置換されたホスフィンである)、
Pd(OAc)2: [酢酸パラジウム(II)]、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、リチウムテトラクロロパラデート(II)、
PdCl2(PR32(ここでPR3は、式VIの三置換されたホスフィンである)、パラジウム(0)ジアリルエーテル錯体、硝酸パラジウム(II)、
PdCl2(PhCN)2: [ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)]、
PdCl2(CH3CN): [ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)]、および
PdCl2(COD): [ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム(II)]
が挙げられる。
【0102】
特に好ましいのは、PdCl2、Pd2(dba)3、Pd(dba)2、Pd(OAc)2、またはPd(PR2である。最も好ましいのは、Pd2(dba)3およびPd(OAc)2である。
【0103】
前記パラジウム触媒は、反応混合物中に触媒量で存在する。用語「触媒量」は、使用される1種以上の(複素)芳香族化合物の当量に対して1当量を明らかに下回る量、好ましくは0.001mol%~5mol%、最も好ましくは0.001mol%~1mol%の1種以上の(複素)芳香族化合物を指す。
【0104】
該反応混合物中のホスフィンまたはホスホニウム塩の量は、好ましくは、使用される1種以上の(複素)芳香族化合物の当量に対して0.001mol%~10mol%、最も好ましくは0.01mol%~5mol%である。Pd:ホスフィンの好ましい比率は、1:4である。
【0105】
前記塩基は、すべての水性および非水性の塩基から選択され得、そして無機または有機であり得る。ホウ素官能基1個当たりに前記塩基が、前記反応混合物中に少なくとも1.5当量存在することが好ましい。適切な塩基は、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、フッ化物、およびリン酸塩、例えばナトリウムおよびカリウムの水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、フッ化物、およびリン酸塩、または金属アルコレートである。塩基の混合物を使用することも可能である。前記塩基は、好ましくはリチウム塩、例えばリチウムアルコキシド(例えば、リチウムメトキシドおよびリチウムエトキシド)、リチウムの水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、フッ化物および/またはリン酸塩である。
【0106】
現在で最も好ましい塩基は、水性LiOH・H2O(LiOHの一水和物)、および(無水)LiOHである。
【0107】
前記反応は、一般的には約0℃~180℃、好ましくは20℃~160℃、より好ましくは40℃~140℃、最も好ましくは40℃~120℃で実施される。重合反応は、0.1時間~100時間、特に0.2時間~100時間を費やし得る。
【0108】
前記溶剤は、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、または1種以上の溶剤を含む溶剤混合物、例えばTHF/トルエンおよび任意に水から選択される。最も好ましいのは、THFまたはTHF/水である。
【0109】
本発明の好ましい実施形態においては、前記溶剤はTHFであり、前記塩基はLiOH・H2Oであり、かつ前記反応は、THFの還流温度(約65℃)で実施される。
【0110】
有利には、前記重合は、
a)酢酸パラジウム(II)、またはPd2(dba)3、(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))および有機ホスフィンA-1~A-13、
b)LiOH、またはLiOH・H2O、ならびに
c)THF、および任意に水
の存在下で実施される。LiOHの一水和物が使用される場合に、水を添加する必要はない。
【0111】
好ましくは、前記重合反応は、不活性条件下で酸素の不存在下で実施される。窒素、より好ましくはアルゴンが不活性ガスとして使用される。
【0112】
国際公開第2010/136352号パンフレット(WO2010/136352)に記載される方法は、大規模用途のために適しており、容易に利用可能であり、かつ出発材料を高収率で、高い純度および高い選択性をもってそれぞれのポリマーへと変換する。所望であれば、一官能性のアリールハロゲン化物またはアリールボロネートが、そのような反応において末端アリール基の形成をもたらす連鎖停止剤として使用され得る。
【0113】
【化60】
【0114】
得られるコポリマー中のモノマー単位の配列は、鈴木反応におけるモノマー供給物の順序および組成を制御することにより制御することが可能である。
【0115】
本発明のポリマーのための代替的な製造方法を、より詳細に以下で説明する。
【0116】
本発明のポリマーは、スティルカップリング(例えば、Babudri et al,J.Mater.Chem.,2004,14,11-34;J.K.Stille,Angew.Chemie Int.Ed.Engl.1986,25,508を参照)によっても合成することができる。
【0117】
式-[[A]-[COM]n3n- (V’)に相当するポリマーを製造するためには、不活性溶剤中で0℃~200℃の範囲の温度でパラジウム含有触媒の存在下で、式X11’-A-X11’のジハロゲニドが式X21-[COM]n3-X21の化合物と反応させられるか、または式X11’-[COM]n3-X11’のジハロゲニドが式X21-A-X21の化合物と反応させられ、ここで、X21は、基-SnR207208209であり、かつX11’は、先に定義され、R207、R208、およびR209は同一または異なり、かつHまたはC1~C6-アルキルであり、ここで、2個の基は任意に共通の環を形成し、これらの基は任意に分枝鎖状または非分枝鎖状である。本明細書では、使用されるすべてのモノマーの全体は、有機スズ官能とハロゲン官能との非常に釣り合いのとれた比率を有することが保証されねばならない。さらに、反応の終わりに一官能性の試薬による末端封鎖によりあらゆる過剰の反応性基を取り除くことが有利である場合がある。該方法を実施するためには、スズ化合物およびハロゲン化合物は、好ましくは1種以上の不活性有機溶剤中に導入され、0℃~200℃、好ましくは30℃~170℃の温度で1時間~200時間、好ましくは5時間~150時間の時間にわたり撹拌される。粗生成物は、当業者に公知であり、かつそれぞれのポリマーにとって適切な方法、例えばソックスレー抽出、繰り返しの再沈殿、または透析によってさえも精製することができる。
【0118】
記載される方法のために適切な有機溶剤は、例えばエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルおよびt-ブチルメチルエーテル、炭化水素、例えばヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、1-ブタノール、2-ブタノールおよびt-ブタノール、ケトン、例えばアセトン、エチルメチルケトンおよびイソブチルメチルケトン、アミド、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドおよびN-メチルピロリドン、ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルおよびブチロニトリル、ならびにそれらの混合物である。
【0119】
パラジウムおよびホスフィン成分は、鈴木変法のための記載と同様にして選択されるべきである。
【0120】
あるいは本発明のポリマーは、根岸反応によって亜鉛試薬A-(ZnX222(式中、X22はハロゲンおよびハロゲン化物である)および[COM]n3-(X232(式中、X23はハロゲンまたはトリフレートである)、または[COM]n3-(X222およびA-(ZnX232を使用して合成することもできる。例えば、E.Negishi et al.,Heterocycles 18(1982)117-22も参照される。
【0121】
あるいは本発明のポリマーは、檜山反応によって有機ケイ素試薬A-(SiR2102112122(式中、R210、R211およびR212は同一または異なり、かつハロゲンまたはC1~C6-アルキルである)および[COM]n3-(X232(式中、X23はハロゲンまたはトリフレートである)、またはA-(X232および[COM]n3-(SiR2102112122を使用して合成することもできる。例えば、T.Hiyama et al.,Pure Appl.Chem.66(1994)1471-1478、およびT.Hiyama et al.,Synlett(1991)845-853も参照される。
【0122】
あるいは本発明のポリマーは、Macromolecules 2015,48,6978-6986に記載される直接的なアリール化重合法によって合成することもできる。
【0123】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(A)n型のホモポリマーに関する。(A)n型のホモポリマーは、ジハロゲン化物X11’-A-X11’(式中、X11’はハロゲン、特にCl、BrまたはI、さらに具体的にはBrである)の山本カップリングを介して得ることができる。あるいは(A)n型のホモポリマーは、単位X11’-A-X11’(式中、X11’は水素である)の、例えば酸化剤としてFeCl3を用いた酸化的重合を介して得ることができる。
【0124】
本発明のポリマーを含有する混合物は、本発明のポリマー(一般的には5質量%~99.9999質量%、特に20質量%~85質量%)および少なくとも1種の別の材料を含む半導体層をもたらす。その他の材料は、限定されるものではないが、本発明の同じポリマーの異なる分子量を有するフラクション、本発明の別のポリマー、半導体ポリマー、有機小分子、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子トライポッド、TiO2、ZnO等)、導電性粒子(Au、Ag等)、絶縁体材料、例えばゲート誘電体のために記載される材料(PET、PS等)であってよい。
【0125】
本発明のポリマーは、例えば国際公開第2009/047104号パンフレット(WO2009/047104)、国際公開第2010108873号パンフレット(WO2010108873)、国際公開第09/047104号パンフレット(WO09/047104)、米国特許第6,690,029号明細書(US6,690,029)、国際公開第2007082584号パンフレット(WO2007082584)、および国際公開第2008107089号パンフレット(WO2008107089)に記載される小分子と配合することができる。
【0126】
前記ポリマーは、小分子、または2種以上の小分子化合物の混合物を含有し得る。
【0127】
したがって、本発明はまた、本発明によるポリマーを含む有機半導体材料、層、または構成要素に関する。
【0128】
本発明のポリマーは、半導体デバイスにおいて半導体層として使用することができる。したがって、本発明はまた、本発明のポリマー、または有機半導体材料、層もしくは構成要素を含む半導体デバイスに関する。上記半導体デバイスは、特に有機光起電性(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタである。
【0129】
本発明のポリマーは、単独でまたは組み合わせて、半導体デバイスの有機半導体層として使用され得る。該層は、任意の有用な手段、例えば蒸着(比較的低い分子量を有する材料の場合)および印刷技術によって設けられ得る。本発明の化合物は、有機溶剤中に十分に可溶性であり得、そして溶液堆積およびパターン形成され得る(例えば、スピンコート、ディップコート、インクジェット印刷、グラビア印刷、ブレード塗布、スロットダイ被覆、スプレー塗布、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト(ウェーブ)プリンティング、ドロップキャストもしくはゾーンキャスト、またはその他の公知の技術によって)。
【0130】
本発明のポリマーは、複数のOTFTを含む集積回路だけでなく、様々なエレクトロニクス製品において使用することができる。そのような製品には、例えば無線識別(RFID)タグ、フレキシブルディスプレイ(例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、手持ち式デバイスで使用するための)用のバックプレーン、スマートカード、医療デバイス、記憶素子、センサ(例えば、光センサ、イメージセンサ、生体センサ、化学センサ、機械的センサ、または温度センサ)、特にフォトダイオード、またはセキュリティーデバイス等が含まれる。
【0131】
本発明のポリマーは、一般的に薄い、好ましくは30ミクロン厚未満の有機層または被膜の形で有機半導体として使用される。一般的に、本発明の半導体層は、せいぜい1ミクロン(=1μm)厚であるが、必要に応じてより厚くてもよい。様々な電子デバイス用途のためには、その厚さは約1ミクロン厚未満であってもよい。例えば、OFETで使用するためには、層厚は、一般的に100nm以下であり得る。該層の正確な厚さは、例えば該層が使用される電子デバイスの要求に依存することとなる。
【0132】
例えば、OFET中のドレインとソースとの間の能動的半導体チャネルは、本発明のポリマーを含み得る。OFETは、文献において当業者に知られる多くの種々の構造および仕様で記載されている。それらの半導体材料が部分的にまたは完全に本発明の半導体材料と置き換えられたすべてのこれらのOFETが参照される。
【0133】
一般的に、有機電界効果トランジスタは、誘電性層、半導体層、および基板を含む。さらに、有機電界効果トランジスタは、通常はゲート電極およびソース/ドレイン電極を含む。
【0134】
本発明によるOFETデバイスは、好ましくは
- ソース電極、
- ドレイン電極、
- ゲート電極、
- 半導体層、
- 1つ以上のゲート絶縁体層、および
- 任意に、基板
を含み、前記半導体層が1種以上の本発明のポリマーを含む。
【0135】
前記半導体層は、5nm~500nm、好ましくは10nm~100nm、より好ましくは20nm~50nmの厚さを有し得る。
【0136】
前記絶縁体層は、誘電性材料を含む。該誘電性材料は、二酸化ケイ素もしくは酸化アルミニウム、またはポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(4-ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ベンゾシクロブテン(BCB)、またはポリイミド(PI)であり得る。前記絶縁体層は、10nm~2000nm、好ましくは50nm~1000nm、より好ましくは100nm~800nmの厚さを有し得る。
【0137】
前記絶縁体層は、誘電性材料の他に、有機シラン誘導体または有機リン酸誘導体の自己組織化単層を含む。有機シラン誘導体の1つの例は、オクチルトリクロロシランである。有機リン酸誘導体の1つの例は、オクチルデシルリン酸である。前記絶縁体層中に含まれる自己組織化単層は、通常は前記半導体層と接触している。
【0138】
前記ソース/ドレイン電極は、任意の適切な有機または無機のソース/ドレイン材料から製造され得る。無機のソース/ドレイン材料の例は、金(Au)、銀(Ag)または銅(Cu)、ならびにこれらの金属の少なくとも1種を含む合金である。該ソース/ドレイン電極は、1nm~100nm、好ましくは20nm~70nmの厚さを有し得る。
【0139】
前記ゲート電極は、任意の適切なゲート材料、例えば高ドープされたシリコン、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、酸化インジウムスズもしくは金(Au)、またはこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から製造され得る。前記ゲート電極は、1nm~200nm、好ましくは5nm~100nmの厚さを有し得る。
【0140】
前記基板は、任意の適切な基板、例えばガラス、またはプラスチック基板、例えばポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)であり得る。有機電界効果トランジスタの設計に応じて、前記ゲート電極、例えば高ドープされたシリコンが基板としても機能し得る。
【0141】
OFETデバイスにおける前記ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極、ならびに前記絶縁性層および半導体層は、任意の順序で配置されていてよいが、ソース電極およびドレイン電極は、絶縁性層によりゲート電極から隔離されており、ゲート電極および半導体層の両方は、その絶縁性層と接触しており、かつソース電極およびドレイン電極の両方は、半導体層と接触している。
【0142】
好ましくは、OFETは、第1の側および第2の側を有する絶縁体を含み、ゲート電極は、その絶縁体の第1の側に位置し、本発明のポリマーを含む層は、その絶縁体の第2の側に位置し、かつドレイン電極およびソース電極は、そのポリマー層上に位置している。
【0143】
OFETデバイスは、トップゲート型デバイスまたはボトムゲート型デバイスであり得る。
【0144】
OFETデバイスの適切な構造および製造方法は、当業者に公知であり、文献において、例えば国際公開第03/052841号パンフレット(WO03/052841)に記載されている。
【0145】
本発明のポリマーを含む半導体層は、さらに少なくとも別の材料を含み得る。その他の材料は、限定されるものではないが、本発明の別のポリマー、半導体ポリマー、ポリマーバインダー、本発明のポリマーとは異なる有機小分子、カーボンナノチューブ、特に半導体性カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子トライポッド、TiO2、ZnO等)、導電性粒子(Au、Ag等)、および絶縁体材料、例えばゲート誘電体のために記載される材料(PET、PS等)であってよい。上述のように、前記半導体層は、本発明の1種以上のポリマーおよびポリマーバインダーの混合物から構成されていてもよい。本発明のポリマーの前記ポリマーバインダーに対する比は、5%~95%で変動し得る。好ましくは、前記ポリマーバインダーは、半晶質ポリマー、例えばポリスチレン(PS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)である。この技術では、電気的性能の低下は回避され得る(国際公開第2008/001123号パンフレット(WO2008/001123A1)を参照)。
【0146】
本発明のポリマーは、有利には、有機光起電性(PV)デバイス(太陽電池)において使用される。したがって、本発明は、本発明によるポリマーを含むPVデバイスを提供する。この構造のデバイスはまた、整流特性も有することとなる(こうして、フォトダイオードとも呼ばれ得る)。光応答デバイスは、光から電気を生ずる太陽電池、そして光を測定または検出する光検出器としての用途を有する。
【0147】
前記PVデバイスは、この順序で
(a)カソード(電極)、
(b)任意に、遷移層、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、特にフッ化リチウム、
(c)光活性層、
(d)任意に、平滑化層、
(e)アノード(電極)、
(f)基板
を含む。
【0148】
前記光活性層は、本発明のポリマーを含む。好ましくは、前記光活性層は、電子供与体としての本発明の共役ポリマー、および電子受容体としての受容体材料、例えばフラーレン、特に官能化されたフラーレンPCBMから製造される。上述のように、該光活性層はまた、ポリマーバインダーを含有してもよい。式(I)のポリマーの前記ポリマーバインダーに対する比は、5%~95%で変動し得る。好ましくは、前記ポリマーバインダーは、半晶質ポリマー、例えばポリスチレン(PS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)である。
【0149】
ヘテロ接合型太陽電池の場合には、前記活性層は、好ましくは本発明のポリマーおよびフラーレン、例えば[60]PCBM(=6,6-フェニル-C61-酪酸メチルエステル)、または[70]PCBMの1:1~1:3の質量比の混合物を含む。本発明において有用なフラーレンは、広い範囲のサイズ(1分子当たりの炭素数の数)を有し得る。本明細書で使用されるフラーレンという用語には、バックミンスターフラーレン(C60)およびその関連の「球形」フラーレンならびにカーボンナノチューブを含む純粋な炭素の様々なケージ様分子が含まれる。フラーレンは、例えばC20~C1000の範囲の当該技術分野で公知のフラーレンから選択され得る。好ましくは、該フラーレンは、C60~C96の範囲から選択される。最も好ましくは、前記フラーレンは、C60またはC70、例えば[60]PCBMまたは[70]PCBMである。化学修飾されたフラーレンを利用することも可能であるが、ただし、その修飾されたフラーレンは、受容体型および電子移動度特性を保っているものとする。前記受容体材料は、任意の半導体ポリマー、例えば本発明のポリマー(ただし、そのポリマーは、受容体型および電子移動度特性を保っているものとする)、有機小分子、カーボンナノチューブ、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子トライポッド、TiO2、ZnO等)からなる群から選択される材料であり得る。
【0150】
前記光活性層は、電子供与体としての本発明のポリマー、および電子受容体としてのフラーレン、特に官能化されたフラーレンPCBMから製造される。これらの2種の成分は、溶剤と一緒に混合され、そして溶液として前記平滑化層上に、例えばスピンコート法、ドロップキャスト法、ラングミュラー-ブロジェット(「LB」)法、インクジェット印刷法、および浸漬法によって適用される。スキージ法または印刷法が、より大きな表面をそのような光活性層でコーティングするために使用することもできる。典型的なトルエンの代わりに、クロロベンゼン等の分散剤が、好ましくは溶剤として使用される。これらの方法の中でも、真空堆積法、スピンコート法、インクジェット印刷法、およびキャスト法が、作業の容易さおよび費用の観点で特に好ましい。
【0151】
前記層をスピンコート法、キャスト法、およびインクジェット印刷法を使用することにより形成する場合には、そのコーティングは、前記組成物を0.01質量%~90質量%の濃度で適切な有機溶剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、およびそれらの混合物中に溶解または分散させることにより調製された溶液および/または分散液を使用して行うことができる。
【0152】
光起電性(PV)デバイスはまた、より多くの太陽スペクトルを吸収するために、互いの上部にプロセシングされた多接合型太陽電池からなり得る。そのような構造は、例えばApp.Phys.Let.90,143512(2007),Adv.Funct.Mater.16,1897-1903(2006)および国際公開第2004/112161号パンフレット(WO2004/112161)に記載されている。
【0153】
前記PVデバイスはまた、例えば米国特許出願公開第20070079867号明細書(US20070079867)および米国特許出願公開第20060013549号明細書(US20060013549)に記載されるように繊維上にプロセシングすることもできる。
【0154】
以下の実施例は、説明の目的のために含まれているに過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特段の記載がない限り、すべての部およびパーセンテージは、質量基準である。
【0155】
質量平均分子量(Mw)および多分散性(Mw/Mn=PD)は、高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)[装置:屈折率(RI)から応答を得るPolymer laboratories社(英国、チャーチ・ストレットン、現在のVarian社)製のGPC PL 220]により測定される。クロマトグラフィー条件:カラム:Polymer laboratories社(英国、チャーチ・ストレットン)製の3本の「PLgel Olexis」カラム、13μmの平均粒度を有する(寸法300×8mm内径)。移動相:真空蒸留により精製され、かつブチルヒドロキシトルエン(BHT、200mg/l)により安定化された1,2,4-トリクロロベンゼン、クロマトグラフィー温度:150℃、移動相流速:1ml/分、溶質濃度:約1mg/ml、注入容量:200μl、検出:RI。分子量較正の手順:相対的較正は、1’930’000 Da~5’050 Daの分子量範囲にわたるPolymer laboratories社(英国、チャーチ・ストレットン)から入手した一連の10種のポリスチレン較正標準、すなわちPS 1’930’000 Da、PS 1’460’000 Da、PS 1’075’000 Da、PS 560’000 Da、PS 330’000 Da、PS 96’000 Da、PS 52’000 Da、PS 30’300 Da、PS 10’100 Da、PS 5’050 Daの使用により行われる。分子量の計算のためには多項式較正が使用される。
【0156】
以下の実施例に示されるすべてのポリマー構造は、記載された重合手順により得られるポリマー生成物の理想的な表現である。2種より多くの成分が互いに共重合される場合には、該ポリマー中の順序は、重合条件に応じて交互またはランダムのいずれかであり得る。すべての実験は、保護ガス雰囲気中で行われる。以下の実施例で挙げられるパーセンテージおよび比率は、特段の記載がない限り、質量%および質量比である。
【0157】
実施例
実施例1
a)ジオール1の合成
【化61】
【0158】
45mlのジエチルエーテル中に溶解された4.55gのδ-バレロラクトン[542-28-9]を、撹拌しながら100mlの1Mのデシル-マグネシウム-ブロミドのグリニャール溶液(ジエチルエーテル中)[17049-50-2]に室温で滴加する。次いで該反応混合物を、一晩還流させる。次いで該反応混合物を0℃に冷却し、100mlの水の添加により慎重にクエンチし、引き続き200mlの飽和塩化アンモニウム溶液を添加する。層を分離し、水層を酢酸エチルでもう一度抽出する。合した有機層を、ブラインおよび水で洗浄し、次いでMgSO4を通じて乾燥させる。濾過および溶剤の蒸発後に、粗製ジオール1が得られる。該粗製材料を後続工程で直接的に使用する。
【0159】
1H-NMRデータ(ppm、CDCl3)は、3.66 2H t,1.63-1.52 2H m,1.52-1.38 6H m,1.38-1.20 34H m,0.90 6H tに相当する。
【0160】
b)脱水を介したオレフィン性アルコール2の合成
【化62】
【0161】
20.5gの粗製ジオール1を、350mlのトルエン中に溶解させる。0.39gのパラトルエンスルホン酸を添加し、その反応混合物を、水分離器において一晩還流させる。次いで該反応混合物を、室温に冷却し、そして水で洗浄する。有機相をMgSO4を通じて乾燥させ、濾過し、そして溶剤を蒸発させることで、粗製の無色のオレフィン性化合物2が異性体混合物として得られる。該粗製材料を後続工程で直接的に使用する。
【0162】
1H-NMRデータ(ppm、CDCl3)は、5.14 1H 幅広 t,3.66 2H t,2.08-1.94 6H m,1.68-1.55 2H m,1.55-1.22 32H m,0.91 6H tに相当する。
【0163】
脱水生成物に関しては、1種の可能な異性体だけが抜き出される。種々の可能な異性体を、この脱水過程の間に得ることができ、その際、すべての異性体は、種々のR-OHを有する混合物2を形成する。
【0164】
【化63】
【0165】
c)オレフィン性アルキル化剤3の合成
4.01gのイミダゾールおよび15.45gのトリフェニルホスフィンを、200mlのジクロロメタン中にアルゴン下で溶解させ、0℃に冷却する。次いで14.95gのヨウ素を添加する。15分間の撹拌の後に、18gの化合物2を添加する。次いで温度を室温にまで高め、その混合物を4時間にわたり撹拌する。ジクロロメタンを蒸発させ、残留物をヘプタンを用いてシリカプラグを通じて濾過する。ヘプタンを除去した後に、粗製化合物3が、異性体混合物R-Iとして得られる。該粗製材料を後続工程で直接的に使用する。
【0166】
【化64】
【0167】
d)アルキル化されたDPP 4の合成
6.14gのDPP顔料[777079-55-7]を150mlの無水ジメチルホルムアミド中に、5.56gのK2CO3と一緒に窒素下で懸濁させる。次いで16gの粗製化合物の混合物3を添加し、その混合物を90℃に加熱し、一晩撹拌する。冷却後に、200mlの水を添加し、その生成物をトルエンで抽出する。トルエン相を水で洗浄し、MgSO4を通じて乾燥させ、濾過し、そして蒸発させることで、粗製化合物4が異性体混合物として得られる。その生成物をシリカゲルを介したカラムクロマトグラフィーにより精製することで、例えばモノアルキル化された生成物が得られる。
【0168】
1H-NMRデータ300MHz(ppm、CDCl): 8.71 2H d,7.25 2H d,5.19-5.10 2H m,4.01 4H t,2.19-1.95 12H m,1.85-1.22 68H m,0.90 12H t;質量スペクトルは一致する。
【0169】
【化65】
【0170】
e)DPP 4のポリマー5への共重合
1gのDPP化合物4および291mlのボロン酸エステル[175361-81-6]を、15mlの脱ガスされたテトラヒドロフラン中の7.8mgの酢酸パラジウム(II)、46.7mgの2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)-1-フェニルインドール[740815-37-6]、および217.9mgのLiOH・H2Oと一緒にアルゴン下で混合する。全反応混合物を撹拌し、温度を還流温度にまで高める。その反応混合物を、1.5時間にわたり還流させる。次いで該反応混合物を室温に冷却し、40mlの水-メタノール混合物を添加することで、構造5のポリマー(P1)が沈殿する。該混合物を濾過し、残留ポリマーを水で洗浄し、乾燥させる。次いで該ポリマーをソックスレー装置中でヘプタンで、そして次いでテトラヒドロフランで抽出する。テトラヒドロフランフラクションを、高温GPCにより分析する(150℃で1,2,4-トリクロロベンゼン)。Mwは、31056g/molであり、PDIは、1.76である。
【0171】
適用例1
化合物P1を基礎とする有機電界効果トランジスタ(OFET)の作製および電気的特性
バックコンタクト-トップゲート型FETの製造
化合物P1を、ジクロロベンゼン中に0.75質量%の濃度で溶解させ、引き続きリソグラフィーにより事前にパターン形成された、FETのソースおよびドレイン接点として機能する金接点を備えるPET基板上にコーティングする。100μlの配合物を標準的なブレードコーターによりコーティングすることで、基板全体にわたって半導体の均質な層が得られる。コーティングが完了した後に、その基板を直ちに予熱されたホットプレート上に移し、90℃で30秒間にわたり加熱する。次いで、PGMEA中に溶解された4質量%のポリスチレンからなるゲート誘電性層を、その有機半導体上にスピンコートする(2500rpm、30秒)。スピンコート後に、上記基板を再びホットプレートに移し、100℃でさらに5分間にわたりアニールする。誘電性層の厚さは、側面計により測定されて430nmである。最後に50nm厚のシャドウマスクでパターン形成された金ゲート電極を真空蒸発により堆積させることで、BCTG配置のFETが完成する。
【0172】
電気的特性
図1は、VDS=-30Vによる0.5Vの刻み幅でのVGS=10V~-30Vでの化合物P1から作製されたFETの代表的な伝達特性を示す。ドレイン電流(黒色の実線曲線)、ゲート電流(点線の灰色の曲線)、ドレイン電流の平方根(灰色の実線の曲線)、および平方根の当てはめられた傾き(点線の黒色の曲線)。
【0173】
移動度μは、飽和領域において計算された伝達特性曲線の平方根表示(灰色の実線の曲線)から計算される。傾きmは、図1中の黒色の点線から測定される。図1における黒色の点線を、ドレイン電流IDの平方根表示の領域にその平方根表示の線形勾配と良好な相関が得られるように当てはめる。
【0174】
閾値電圧UThは、図1における黒色の点線とX軸部分(VGS)との交点から求めることができる。
【0175】
OFETの電気的特性を計算するために、以下の等式を使用する:
【数1】
【0176】
式中、ε0は、8.85×10-12As/Vmの真空の誘電率である。εrは、ポリスチレンについては2.6であり、d=430nmは、誘電体の厚さである。ここでチャネル長さL=200μmであり、チャネル幅W=4000μmである。
【0177】
以下の移動度、閾値電圧、およびオン/オフ比は、それぞれの化合物について、4つのTFTの平均から計算された:
【表2】
図1