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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】サニタリー機能性ショーツ
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/12 20060101AFI20220218BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20220218BHJP
   A41B 9/04 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
A41B9/12 E
A61F13/49 220
A41B9/04 F
A41B9/04 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020565897
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 KR2018005737
(87)【国際公開番号】W WO2019221317
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】520453250
【氏名又は名称】ダンセク
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン,テ ウン
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-318974(JP,A)
【文献】特開2006-2255(JP,A)
【文献】特開2005-46181(JP,A)
【文献】特開2004-329272(JP,A)
【文献】特開2016-19566(JP,A)
【文献】特開2015-29542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/12
A61F 13/49
A41B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
40~120番手のコーマ糸又はカード糸である綿を含む綿糸層と、前記綿糸層の裏面に存在する第1のナイロンシートと、前記綿糸層と前記第1のナイロンシートの間に存在する第1の防水布とを含む尻部吸収領域と、
前記尻部吸収領域の下端に位置し、着用者の肌接触面に存在する第1の吸収布と、前記第1の吸収布の裏面に存在する第2のナイロンシートと、前記第1の吸収布と前記第2のナイロンシートの間に存在する第2の防水布とを含む経血吸収領域と、
前記経血吸収領域の両側に形成されており、第3のナイロンシートと、前記第3のナイロンシートの両側又は一側に存在する第3及び第4の防水布とを含む経血漏れ防止ラインとを含み、
前記第1の吸収布は、[数1]を満たし、着用者の肌接触面から順次位置する第1~第3の吸収層を含むことを特徴とするサニタリー機能性ショーツ。
[数1]
D1>D2>D3
[数1]において、D1は、第1の吸収層に存在する繊維原糸の繊度であり、D2は、第2の吸収層に存在する繊維原糸の繊度であり、D3は、第3の吸収層に存在する繊維原糸の繊度である。
【請求項2】
前記第1~第4の防水布は、
ポリエステル系樹脂を含む第1の層と、
ポリウレタン系樹脂を含む第2の層と、
前記第1の層及び第2の層の間に存在するポリウレタン系水性接着剤層とを含むことを特徴とする請求項1に記載のサニタリー機能性ショーツ。
【請求項3】
前記第1の吸収布の前記第1~第3の吸収層は、ポリエステル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のサニタリー機能性ショーツ。
【請求項4】
更に、前記第1の吸収布は、凹凸構造を有するポリウレタンドット層を含み、
前記凹凸構造を有するポリウレタンドット層のある一面は、前記第1の吸収層が位置し、他面は、着用者の肌接触面と直接接触することを特徴とする請求項1に記載のサニタリー機能性ショーツ。
【請求項5】
前記第1の吸収布は、[数2]を満たすことを特徴とする請求項1に記載のサニタリー機能性ショーツ。
[数2]
ρ1>ρ2>ρ3
[数2]において、ρ1は、第1の吸収層の空隙率(%)で、ρ2は、第2の吸収層の空隙率(%)であり、ρ3は、第3の吸収層の空隙率(%)である。
【請求項6】
前記第1の吸収布の前記第1~第3の吸収層は、セラミックス粒子を1~3%の割合で含有する原糸を用いて形成され、
前記第1の吸収布は、10nm~700nm範囲内の波長光に対する遮断率が80%~95%の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のサニタリー機能性ショーツ。
【請求項7】
前記経血吸収領域の縁を縫製し、単位質量(g)のあたり、アンモニア脱臭率が3mg~10mgの範囲内にある消臭室を含むことを特徴とする請求項1に記載のサニタリー機能性ショーツ。
【請求項8】
更に、前記尻部吸収領域の上端に存在し、着用者の腰部位を取り囲む腰バンド領域を含み、
前記腰バンド領域は、ナイロン100重量分に比して、ポリウレタン20重量分~40重量分の割合で含むことを特徴とする請求項1に記載のサニタリー機能性ショーツ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サニタリー機能性ショーツに係り、より詳しくは、女性の月経期間に発生する経血又は分泌物を効率よく吸収することができ、洗濯により繰返し使用可能なサニタリー機能性ショーツに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、女性の月経期間に使われる生理用ナプキンは、下着に固着して、下着との連動性を高く維持して使われるが、ウィングが常に同じ位置で折り曲げられるとは言えず、ウィングが下着の外面に露出した状態となって、見にくくなる。さらには、使い捨てのナプキンによる環境的な負担が全世界的に問題となっているのが実情である。
【0003】
このような生理用ナプキンの問題を解消するために、登録実用新案第3002607号公報や特開2001-55602号公報などのように、ショーツの内部に吸水性素材を装着するか、吸水性素材を挿入する生理用ショーツが開発されているが、従来のサニタリーショーツの場合、繰返し使用による吸水性劣化、着用による不便さと異質感、及びショーツのたるみによる経血又は分泌物の漏れ問題を改善しなければならないなど、様々な問題点を有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、女性の月経期間に発生する経血又は分泌物を効率よく吸収することができ、経血又は分泌物による匂いの発生を防止することができるサニタリー機能性ショーツに関する。
【0005】
また、本発明は、一定の時間以上使用すると、着用者が感じる履き心地の悪さと異物感を最小化することができるサニタリー機能性ショーツに関する。
【0006】
更に、本発明は、ショーツのたるみで発生し得る経血又は分泌物の漏れ問題を効果的に防止することができ、繰返し使用による吸水性劣化の問題を改善することができるサニタリー機能性ショーツに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために案出されたものであって、本発明のサニタリー機能性ショーツにおいて、40~120番手のコーマ糸又はカード糸である綿を含む綿糸層と、前記綿糸層の裏面に存在する第1のナイロンシートと、前記綿糸層と前記第1のナイロンシートの間に存在する第1の防水布とを含む尻部吸収領域と、前記尻部吸収領域の下端に位置し、着用者の肌接触面に存在する第1の吸収布と、前記第1の吸収布の裏面に存在する第2のナイロンシートと、前記第1の吸収布と前記第2のナイロンシートの間に存在する第2の防水布とを含む経血吸収領域と、前記経血吸収領域の両側に形成されており、第3のナイロンシートと、前記第3のナイロンシートの両側又は一側に存在する第3及び第4の防水布とを含む経血漏れ防止ラインとを含み、前記第1の吸収布は、[数1]を満たし、着用者の肌接触面から順次位置する第1~第3の吸収層を含むことを特徴とする。
[数1]D1>D2>D3
[数1]において、D1は、第1の吸収層に存在する繊維原糸の繊度であり、D2は、第2の吸収層に存在する繊維原糸の繊度であり、D3は、第3の吸収層に存在する繊維原糸の繊度である。
【0008】
前記第1~第4の防水布は、ポリエステル系樹脂を含む第1の層と、ポリウレタン系樹脂を含む第2の層と、前記第1の層及び第2の層の間に存在するポリウレタン系水性接着剤層とを含む。
【0009】
前記第1の吸収布の前記第1~第3の吸収層は、ポリエステル系樹脂を含む。
【0010】
更に、前記第1の吸収布は、凹凸構造を有するポリウレタンドット層を含み、前記凹凸構造を有するポリウレタンドット層のある一面は、前記第1の吸収層が位置し、他面は、着用者の肌接触面と直接接触する。
【0011】
前記第1の吸収布は、[数2]を満たす。
[数2]ρ1>ρ2>ρ3
[数2]において、ρ1は、第1の吸収層の空隙率(%)で、ρ2は、第2の吸収層の空隙率(%)であり、ρ3は、第3の吸収層の空隙率(%)である。
【0012】
前記第1の吸収布の第1~第3の吸収層は、セラミックス粒子を1~3%の割合で含有する原糸を用いて形成され、前記第1の吸収布は、10nm~700nm範囲内の波長光に対する遮断率が80%~95%の範囲内にある。
【0013】
前記経血吸収領域の縁を縫製し、単位質量(g)のあたり、アンモニア脱臭率が3mg~10mgの範囲内にある消臭室を含む。
【0014】
更に、前記尻部吸収領域の上端に存在し、着用者の腰部位を取り囲む腰バンド領域を含み、前記腰バンド領域は、ナイロン100重量分に比して、ポリウレタン20重量分~40重量分の割合で含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるサニタリー機能性ショーツは、経血又は分泌物を効率よく吸収することができ、経血又は分泌物による匂いを除去することができる。
【0016】
また、本発明によるサニタリー機能性ショーツは、一定の時間以上使用する場合、着用者が感じる履き心地の悪さと異物感を最小化することができる。
【0017】
更に、本発明によるサニタリー機能性ショーツは、ショーツのたるみにより発生し得る経血又は分泌物の漏れ問題を防止することができ、繰返し使用による吸水性劣化の問題を改善することができる。
【0018】
しかし、本発明の効果が前述した範囲内に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明によるサニタリー機能性ショーツを各領域別に説明するための図である。
図2】本発明によるサニタリー機能性ショーツの尻部吸収領域を具体的に説明するための図である。
図3】本発明によるサニタリー機能性ショーツの経血吸収領域を具体的に説明するための図である。
図4a】本発明によるサニタリー機能性ショーツの経血漏れ防止ラインを具体的に説明するための図である。
図4b】本発明によるサニタリー機能性ショーツの経血漏れ防止ラインを具体的に説明するための図である。
図5】本発明による第1の吸収布の各構成を具体的に説明するための図である。
図6】本発明による第1の吸収布の各構成を具体的に説明するための図である。
図7】本発明による第1~第4の防水布の各構成を具体的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について、より具体的に説明する。
【0021】
本明細書において、単数の表現は、別に明示しない限り、複数の表現を含む。
【0022】
本明細書で使用する用語は、本発明における機能を考えて、できるだけ、現在広く使われる一般の用語を選択しているが、これは、当分野に従事する技術者の意図又は判例、新技術の出現などにより変わることがある。また、特定の場合は、出願人が任意に選択した用語もあり、この場合、該当する発明の説明部分にて詳しくその意味を記載する。したがって、本発明で使用する用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般にわたる内容を基に、定義されるべきである。
【0023】
本明細書において、「含む」又は「構成される」などの用語は、明細書上で記載する特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせたもの存在又は付加可能性を予め排除しないと理解されるべきである。
【0024】
本発明は、サニタリー機能性ショーツに関する。本発明によるサニタリー機能性ショーツは、女性の経血又は分泌物を効率よく吸収することができ、前記経血又は分泌物を長時間保つことができるので、別の生理用ナプキンの着用が不要である。
【0025】
サニタリー機能性ショーツの機能において重要な要素は、経血又は分泌物を吸収するだけでなく、吸収した経血又は分泌物の漏れを防止することにあり、さらには、経血又は分泌物の発生による匂いを効率よく除去することにある。また、長時間使用しても、ショーツ着用による異物感や履き心地の悪さなどを最小化しなければならず、繰返し使用による吸収性の低下があってはいけない。
【0026】
しかし、従来のサニタリー機能性ショーツの場合、一定の時間以上着用すると、吸収した経血又は分泌物が漏れるか、又は匂いが発生するなどの問題が生じるため、新たなショーツに履き替えるなど、多くの面倒があった。
【0027】
これに対して、本発明者は、経血又は分泌物の吸収程度の差により、ショーツの領域を区切り、部位別にオーダーメード型素材を採択することで、前述した問題点を改善している。
【0028】
特に、本発明者は、経血吸収領域に特定の条件を満たす吸収布を含め、また、尻部吸収領域、経血吸収領域、及び経血漏れ防止領域に所定の防水布を含めることで、速い速度で経血又は分泌物を吸収すると共に、経血漏れの問題を改善し、合わせて、匂いが発生する問題、及び一定時間以上の着用による不便さなどを改善している。
【0029】
図1は、本発明によるサニタリー機能性ショーツを各領域別に説明するための図である。
【0030】
図1に示しているように、本発明によるサニタリー機能性ショーツは、尻部吸収領域100と、前記尻部吸収領域100の下端に位置する経血吸収領域200と、前記経血吸収領域200の両側に形成されている経血漏れ防止ライン300とを含む。
【0031】
前記尻部吸収領域100は、図2に示しているように、40~120番手のコーマ糸又はカード糸である綿を含む綿糸層110と、前記綿糸層110の裏面に存在する第1のナイロンシート120と、前記綿糸層110と前記第1のナイロンシート120の間に存在する第1の防水布130とを含む。
【0032】
前記経血吸収領域200は、図3に示しているように、着用者の肌接触面に存在する第1の吸収布210と、前記第1の吸収布210の裏面に存在する第2のナイロンシート220と、前記第1の吸収布210と前記第2のナイロンシート220の間に存在する第2の防水布230とを含む。
【0033】
前記経血漏れ防止ライン300は、図4a及び図4bに示しているように、第3のナイロンシート310と、前記第3のナイロンシート310の両側又は一側に存在する第3及び第4の防水布320、330とを含む。
【0034】
また、前記第3の防水布320は、[数1]を満足し、着用者の肌接触面から順次位置する第1~第3の吸収層321、322、323(図示せず)とを含む。
[数1]
D1>D2>D3
[数1]において、D1は、第1の吸収層321に存在する繊維原糸の繊度であり、D2は、第2の吸収層322に存在する繊維原糸の繊度(nm)であり、D3は、第3の吸収層323に存在する繊維原糸の繊度(nm)である。
【0035】
前記尻部吸収領域100は、着用者の尻部に接触する部位であって、肌と直接接触する綿糸層110と、ショーツの最外層に位置する第1のナイロンシート120と、前記綿糸層110と第1のナイロンシート120の間に存在する第1の防水布130とを含む。
【0036】
前記尻部吸収領域100の綿糸層110は、40~120番手のコーマ糸又はカード糸である綿を含む。
【0037】
一例として、前記綿糸層110は、40番手又は60番手のコーマ糸又はカード糸である綿を含む。前記綿糸層110により、長時間の着用で発生し得る汗を効率よく吸収することができ、肌の刺激を最小化することができる。
【0038】
前記綿糸層110の裏面に存在する第1のナイロンシート120は、例えば、ナイロンとポリウレタンの混合物である。
【0039】
一例として、前記第1のナイロンシート120は、ナイロン100重量分に比して、ポリウレタン5~15重量分又は6~10重量分を含む。前記範囲内のポリウレタンを含む場合、ショーツ全体の伸縮性及びスパン感を確保することができ、全体的な着用感を向上することができる。
【0040】
尻部吸収領域100に含まれる第1の防水布130は、前記綿糸層110と第1のナイロンシート120の間に存在し、後述する経血吸収領域200の吸収布により吸収された経血又は分泌物を保つ役割を果たす。
【0041】
前記第1の防水布130は、例えば、ポリエステル系樹脂を含む第1の層131と、ポリウレタン系樹脂を含む第2の層132と、前記第1の層131と第2の層132の間に存在するポリウレタン系水性接着剤層133とを含む。(図7参照)
【0042】
具体的に、前記第1の層131は、ポリエステル系樹脂からなり、前記第2の層132は、ポリウレタン系樹脂からなる。
【0043】
前記ポリエステル系樹脂の種類は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、及びポリ乳酸などのポリエステルなどがあるが、これに制限されるものではなく、テレフタル酸とエチレングリコール、又はブチレングリコールの縮合反応により生成される高分子重合体と、セバシン酸、アジピン酸、トリメリット酸、イソフタル酸、及びパラオキシ安息香酸などと、エチレングリコールやブチレングリコールとの縮合体、又は他のポリエステル類を含むポリエステル重合体などを例にすることもできる。
【0044】
前記ポリウレタン樹脂の種類は、例えば、ポリマージオール及びジイソシアネートを出発物質とするポリウレタンであれば、任意のものでも良く、特に限定されるものではない。また、その合成法も、特に限定されるものではない。
【0045】
具体的に、前記ポリウレタン系樹脂は、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジアミンからなるポリウレタンウレアでも良く、また、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジオールからなるポリウレタンでも良い。また、鎖延長剤として、水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を用いたポリウレタンウレアでも良い。また、本発明の効果を妨害しない範囲で、3官能性以上の多官能性のグリコールやイソシアネートなどが用いられることも望ましい。
【0046】
前記第1の防水布130は、前述のように、ポリエステル系樹脂を含む第1の層131と、ポリウレタン樹脂を含む第2の層132とを含むことで、経血吸収領域200の吸収布により吸収された経血又は分泌物を保つ役割を効率よく果たすことができる。一方、図7に示しているように、前記第1の防水布130は、肌接触面を基準に、第1の層131、接着剤層133、及び第2の層132が順次位置する。また、前記第1の防水布130は、後述する第2~第4の防水布230、320、330と1つの単防水布として、縫製糸により区画されている。
【0047】
前記第1の防水布130を製造する方法は、特に制限されるのではなく、例えば、前述した原糸材料を紡糸してウェブで形成し、形成されたウェブをエンボスロールの間を通過して、熱圧着により、不織布でシート化するなどの方式などが例示される。
【0048】
本発明によるサニタリー機能性ショーツは、経血吸収領域200を含む。前記経血吸収領域200は、前記尻部吸収領域100の下端に位置し、着用者の肌接触面に存在する第1の吸収布210と、前記第1の吸収布210の裏面に存在する第2のナイロンシート220と、前記第1の吸収布210と前記第2のナイロンシート220の間に存在する第2の防水布230とを含む。
【0049】
前記経血吸収領域200の肌接触面に存在する第1の吸収布210は、[数1]を満たし、着用者の肌接触面から順次位置する第1~第3の吸収層211、212、213を含む。(図5参照)
[数1]
D1>D2>D3
[数1]において、D1は、第1の吸収層に存在する繊維原糸の繊度で、D2は、第2の吸収層に存在する繊維原糸の繊度であり、D3は、第3の吸収層に存在する繊維原糸の繊度である。
【0050】
本発明による前記第1の吸収布210は、繊度が相違する原糸を用いて、3層構造の吸収層を形成し、各吸収層の繊度を、肌接触面から順次縮小することで、着用者の経血又は分泌物を効率よく吸収する。
【0051】
図5及び図6は、本発明による第1の吸収布210の各構成を具体的に説明するための図である。
【0052】
図5に示しているように、前記第1の吸収布210は、肌接触面に近い部分から順次繊度が減少する第1~第3の吸収層211、212、213を含む。このような吸収層の繊度配列は、各吸収層内の毛細管現象による経血又は分泌物、及びその他の汗の順次排出能を増大させ、それにより、前記第3の吸収層213の裏面に存在する第2の防水布230に、経血又は分泌物、及び汗のような排出物を迅速に移動させることができる。
【0053】
第1の吸収布210に含まれる第1~第3の吸収層211、212、213を構成する繊維の具体的な繊度又は直径は、特に制限されるものではなく、前述した[数1]を満たす繊度又は直径であれば良い。
【0054】
前記第1の吸収布210に含まれる第1~第3の吸収層211、212、213は、更に、各層内の空隙領域が順次減少する構造である。
【0055】
一例として、前記第1の吸収布210は、[数2]を満たしている。
[数2]
ρ1>ρ2>ρ3
[数2]において、ρ1は、第1の吸収層の空隙率(%)で、ρ2は、第2の吸収層の空隙率(%)であり、ρ3は、第3の吸収層の空隙率(%)である。
【0056】
第1の吸収布210が[数2]を満たすということは、第1~第3の吸収層211、212、213の空隙が肌表面から順次減少するということを意味し、[数2]を満たすことによって、第1の吸収布210の前述した毛細管効果を極大化することができる。
【0057】
前記第1~第3の吸収層211、212、213は、例えば、ポリエステル系樹脂を含む。
【0058】
前記ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、又はポリ乳酸などのポリエステルなどがあるが、これに制限されるものではない。
【0059】
第1の吸収布210の第1~第3の吸収層211、212、213を形成する方法は、例えば、前記第1~第3の吸収層のそれぞれを構成する原糸を、公知の織物又は編物製造方式で製造した後、ロールツーロール工程により相互圧着して、3層構造の吸収層を含む吸収布を製造することもでき、また、前述した第1の防水布130の製造方式と同様な不織布製造方式を用いることもできる。
【0060】
一方、前記第1の吸収布210に含まれる吸収層を1方向に整列した編物で組織することで、経血又は分泌物の吸収及び排出効果を極大化することができる。
【0061】
一例として、第1の吸収布210の第1~第3の吸収層211、212、213はそれぞれ、互いに異なる繊度を有する原糸を用いて形成された編物層である。
【0062】
前記第1~第3の吸収層211、212、213は、また、優れた紫外線及び可視光線遮断率を有するように、所定のセラミックス粒子を含むことができる。
【0063】
一例として、前記第1の吸収布210の第1~第3の吸収層211、212、213は、セラミックス粒子を、1~3%の割合で含有する原糸を用いて形成され、10nm~700nm範囲内の波長光に対する遮断率は、80%~95%の範囲内である。
【0064】
前記セラミックス粒子は、例えばTiOなどであるが、これに制限されるものではない。このように、原糸に所定含量のセラミックス粒子を共に混入し、これを用いて、第1の吸収布210の第1~第3の吸収層211、212、213を製造する場合、優れたな光遮断率を達成することができる。
【0065】
前記第1の吸収布210は、凹凸構造を有するポリウレタンドット層を更に含む。
【0066】
具体的に、図6に示しているように、第1の吸収布210は、第1の吸収層211の第2の吸収層212が位置する面の反対面に存在するポリウレタンドット層214を更に含む。
【0067】
通常のサニタリーショーツの場合、着用期間による経血又は分泌物の蓄積による肌異物感及び履き心地の悪さが発生することがある。しかし、本発明によるサニタリー機能性ショーツの場合、肌と直接接触する部位に形成されている第1の吸収布210のポリウレタンドット層214により、前述した肌異物感及び履き心地の悪さを最小化することができる。
【0068】
すなわち、図6に示しているように、第1の吸収層211の上端に存在するポリウレタンドット層214は、凹部(A)と凸部(B)を同時に含み、所定の弾性を有するものであって、経血又は分泌物を吸収する第1の吸収層211を直接肌に接しないようにすることで、着用者の肌異物感及び履き心地の悪さを最小化することができる。すなわち、図6に示しているように、前記ポリウレタンドット層214のある一面は、前記第1の吸収層211が位置し、他面は、着用者の肌接触面と直接接していることがある。
【0069】
前記ポリウレタンドット層214は、凸部(A)と凹部(B)を含み、所定の厚さを有するものであって、前記ポリウレタンを構成する構造単位のポリマージオールとしては、ポリエーテル系ジオール、ポリエステル系ジオール、又はポリカーボネートジオールなどであり、弾性や柔軟性の観点から、ポリエステル系ジオール化合物が望ましい。
【0070】
前記ポリエーテル系ジオール化合物としては、具体的に、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略する)、テトラヒドロプラン(以下、THFと略する)、及び3-メチル-THFの共重合体である変性PTMG、THF、及び2,3-ジメチル-THFの共重合体である変性PTMG、THF及びネオペンチルグリコールの共重合体である変性PTMG、THFとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが不規則に配列されたランダム共重合体などがある。また、前記ポリエーテル系ジオール化合物としては、アジピン酸ブチレン、ポリカプロラクトンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールとポリプロピレンポリオールの混合物をアジピン酸などと縮重合することで得られる側鎖を有するポリエステルジオールなどのポリエステル系グリコールや、3,8-ジメチルデカン2酸及び/又は3,7-ジメチルデカン2酸からなるジカルボン酸成分とジオール成分から誘導されるジカルボン酸エステル単位を含有するポリカーボネートジオールなどがある。
【0071】
このようなポリマージオールは、単独で使用しても良く、2種以上を混合又は共重合して使用してもよい。
【0072】
また、ポリウレタンドット層を構成する構造単位のジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略する)、トリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアネートベンゼン、キシレンジイソシアネート、2,6-ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートがあり、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5-ナフタレンジイソシアネートなどの指環族ジイソシアネートなどがある。
【0073】
前記ポリウレタンドット層214は、例えば、凹部と凸部を有する繊維モールドに、前記ドット層を形成するポリウレタン樹脂原糸を紡糸するなどの方式で形成されるが、これに制限されるものではない。前記のように、通常のポリウレタン層に比して、凹部と凸部を含むポリウレタンドット層を第1の吸収層211上に位置させる場合、肌接触による着用者の異物感も履き心地の悪さを最小化することができる。
【0074】
前記ポリウレタンドット層214を製造する場合、原糸に更にセラミックス粒子又はスパン素材などが含まれて混合紡糸されることができる。そこで、前記ポリウレタンドット層214には、セラミックス粒子又はスパン素材を更に含む。
【0075】
本発明によるサニタリー機能性ショーツは、優れた消臭能を有する。
【0076】
前記優れた消臭能を達成するために、第1の吸収布210は、所定の消臭手段を含む。
【0077】
一例として、前記第1の吸収布210は、有機及び無機抗菌剤を含む。
【0078】
具体的に、前記第1の吸収布210は、金属フタロシアニン及び酸化亜鉛を含む。前記金属フタロシアニン及び酸化亜鉛は、例えば、消臭マスター配置形態で製造されて、原糸紡糸に際して、混合可能である。
【0079】
前記第1の吸収布210は、チアゾリルベンズイミダゾル(2-(4-thiazolyl)benzimidazole)と、ポリヘキサメチレンビグアニドハイドロクロライド(polyhexamethylene biguanide hydrochloriude)と、下記化学式1のパウダーとを含む。
【0080】
[化1]
【0081】
また、他の例示として、本発明によるサニタリー機能性ショーツは、前記経血吸収領域200の縁を縫製し、単位質量(g)のあたり、アンモニア脱臭率が3mg~10mgの範囲内にある消臭室を含む。
【0082】
特に、本発明によるサニタリー機能性ショーツは、第1の吸収布210内の有機及び無機抗菌剤の添加と、経血吸収領域の縁を縫製する消臭室の構成を同時に含むことで、長時間着用しても、経血又は分泌物による匂いを最小化することができる。
【0083】
本発明によるサニタリー機能性ショーツは、また、経血漏れ防止ライン300を含む。前記経血漏れ防止ライン300は、図4a及び図4bに示しているように、第3のナイロンシート310と、前記第3のナイロンシート310の両側又は一側に存在する第3及び第4の防水布320、330とを含む。
【0084】
前記経血漏れ防止ライン300は、第1及び第2の防水布130、230と実質的に同一構成である第3及び第4の防水布320、330を、ナイロンシートの両側又は一側に位置させることで、経血又は分泌物が漏れる現象を効率よく防止することができる。
【0085】
一例として、前記経血漏れ防止ライン300は、図4aに示しているように、第3及び第4の防水布320、330を、第3のナイロンシート310の一側に位置させることができる。
【0086】
他の例示として、前記経血漏れ防止ライン300は、図4bに示しているように、第3及び第4の防水布320、330を、第3のナイロンシート310の両側に位置させることもできる。
【0087】
前記のように、二重の防水布をナイロンシートと共に含める場合、経血の漏れ防止効果を極大化することができる。
【0088】
一方、第3及び第4の防水布320、330は、第1及び第2の防水布130、230と同様に、ポリエステル系樹脂を含む第1の層131と、ポリウレタン系樹脂を含む第2の層133と、前記第1の層131及び第2の層132の間に存在するポリウレタン系水性接着剤層133とを含む。
【0089】
一方、前記経血漏れ防止ライン300は、スパン素材を排除することで、繰返し洗濯及び長期間の着用によるたるみの問題を最小化する。
【0090】
一例として、前記経血漏れ防止ライン300は、スパン素材を含まないことを特徴とする。
【0091】
本発明によるサニタリー機能性ショーツは、また、前記尻部吸収領域の上端に存在し、着用者の腰部位を取り囲む腰バンド領域400を更に含む。前記腰バンド領域400は、例えば、ナイロン及びポリウレタンが混合している。
【0092】
より具体的に、前記腰バンド領域400は、ナイロン100重量分に比して、ポリウレタン20重量分~40重量分の割合で含む。前記のような割合内で適切なスパン性及び着用感を確保することができる。
【0093】
以上、本発明によるサニタリー機能性ショーツについて図面を例示として説明したが、これは、本発明による一例に過ぎず、本発明の主たる技術的思想を含む均等物乃至同一性範疇の置換物が本発明の権利範囲に属することは、当該技術分野の通常の知識を有する者にとって自明である。
【符号の説明】
【0094】
100 尻部吸収領域
110 綿糸層
120 第1のナイロンシート
130 第1の防水布
131 第1の層
132 第2の層
133 ポリウレタン系水性接着剤層
200 経血吸収領域
210 第1の吸収布
211 第1の吸収層
212 第2の吸収層
213 第3の吸収層
214 ポリウレタンドット層
220 第2のナイロンシート
230 第2の防水布
300 経血漏れ防止ライン
310 第3のナイロンシート
320 第3の防水布
321 第1の吸収層
322 第2の吸収層
323 第3の吸収層
330 第4の防水布
400 腰バンド領域
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7